(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数のスペーサーは、前記素子基板及び前記対向基板の双方に接するメインスペーサーと、前記素子基板と前記対向基板とのいずれか一方に接するサブスペーサーと、を含む
請求項1に記載の液晶表示装置。
前記スペーサーの前記行方向の寸法は、前記行方向に配列された2つの前記サブ画素に相当する寸法と、前記列方向に延在する前記第2部分の前記行方向の寸法と、を併せた寸法以下とする
請求項1から5のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[一実施形態]
以下、本発明の一実施形態の液晶表示装置について説明する。
本実施形態の液晶表示装置は、液晶層を挟持する一対の基板のうち、一方の基板上に一対の電極を備え、これら一対の電極間に印加する電界で液晶を駆動する横電界方式の液晶表示装置である。本実施形態では、一例として、FFS方式を用いたアクティブマトリクス方式の液晶表示装置を挙げて説明する。
【0020】
図1は、一実施形態に係る液晶表示装置1の概略構成を示す分解斜視図である。
なお、以下の各図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0021】
本実施形態の液晶表示装置1は、
図1に示すように、観察者から見て奥側から、バックライト2と、偏光板3と、液晶セル4と、偏光板5と、を備えている。本実施形態の液晶表示装置1は、透過型の液晶表示装置であって、バックライト2から射出される光の透過率を液晶セル4によって制御して表示を行う。
【0022】
液晶セル4は、対向配置された薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor, 以下、TFTと略記する)アレイ基板6と対向基板7とを有し、TFTアレイ基板(素子基板)6と対向基板7との間に液晶層8が挟持されている。液晶層8にはポジ型の液晶材料を用いるのが一般的であるが、ネガ型の液晶材料を用いても良い。TFTアレイ基板6は、基板9上にマトリクス状に配列された複数のサブ画素10を有し、これら複数のサブ画素10によって表示領域(画面)が構成されている。対向基板7には、基板11上にカラーフィルター12が備えられている。
【0023】
図1では図示は省略するが、表示領域は、互いに平行に配置された複数のソースバスライン(信号線)と、互いに平行に配置された複数のゲートバスライン(走査線)と、を有している。複数のソースバスラインと複数のゲートバスラインとは交差して配置されている。表示領域は、複数のソースバスラインと複数のゲートバスラインとによって格子状に区画され、区画された略矩形状の各領域がサブ画素10となる。
【0024】
一つのサブ画素10に、カラーフィルター12の赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれか一つの着色パターンが対応する。本明細書の「着色パターン」とは、一つのサブ画素10に対応するカラーフィルター12の特定の色の最小単位領域のことである。
【0025】
図2は、対向基板7側から見た、TFTアレイ基板6の表示領域の一部を示す平面図である。なお、
図2においては、便宜上、対向基板7を構成するサブスペーサー(スペーサー)SP1及びブラックマトリクスBMを図示し、サブ画素10との位置関係を示している。
【0026】
図2に示すように、TFTアレイ基板6には、互いに平行に隣接して配置された複数のソースバスライン(SL1〜SLm)と、複数のソースバスライン(SL1〜SLm)と交差するように互いに平行に隣接して配置された複数のゲートバスライン(GL1〜GLn)と、複数の画素電極20と、が設けられている。
【0027】
以下の説明においては、ソースバスラインを総称してソースバスラインSLと記載することがある。ゲートバスラインを総称してゲートバスラインGLと記載することがある。
【0028】
ソースバスラインSLのうちゲートバスラインGLと平面視で重なる部分は、ゲートバスラインGLの延在方向に対して直交した直線状となっている。
ソースバスラインSLとゲートバスラインGLとが交差する交差部の近傍にはTFT21が設けられている。
【0029】
TFT21は、ゲートバスラインGLと電気的に接続されたゲート電極(不図示)と、ベースコート13と、ベースコート13の上に配置された半導体層(図示略)と、ソースバスラインSLと電気的に接続されたソース電極16と、画素電極20と電気的に接続されたドレイン電極と、を備えている。半導体層は、例えば、非結晶シリコン、多結晶シリコン、酸化物半導体(InGaZnOxなど)で構成されている。
【0030】
ここで、画素電極20とTFT21のドレイン電極とは、スルーホールTHを介して接続されている。半導体層とソース電極16とはスルーホールACを介して接続されている。
【0031】
複数のゲートバスライン(GL1〜GLn)には、図示略のゲートドライバーから、GL1、GL2、GL3、・・・GLnの順に、スキャン信号が順次的に供給される。このスキャン信号に応答して、TFTが水平ライン単位で駆動される。
複数のソースバスライン(SL1〜SLm)には、図示略のソースドライバーから、ゲートバスラインGLにスキャン信号が供給される1水平期間ごとに、1水平ライン分の画像信号が供給される。
【0032】
TFTアレイ基板6には、複数のソースバスライン(SL1〜SLm)と複数のゲートバスライン(GL1〜GLn)とが互いに交差して配置されている。隣り合う2本のソースバスラインSLと隣り合う2本のゲートバスラインとによって囲まれた領域が一つのサブ画素10となる。
【0033】
本実施形態では、複数のソースバスライン(SL1〜SLm)と複数のゲートバスライン(GL1〜GLn)とに平面視重なる領域に、ブラックマトリクスBMが形成されている。
本実施形態では、ブラックマトリクスBMの開口部BMhの開口面積が、サブ画素10の面積よりも小さくなるように規定されている。TFTアレイ基板6には、表示の最小単位であるサブ画素10がマトリクス状に配置されている。
【0034】
また、ソースバスラインSLの幅及びゲートバスラインGLの幅は、それぞれブラックマトリクスBMの幅よりも細くなっている。
【0035】
サブ画素10のサイズは、例えば、横幅W1が20μm程度、縦幅W2が60μm程度となっている。ここで、横幅W1は、サブ画素10の行方向V1における長さである。縦幅W2は、サブ画素10の列方向V2における長さである。
【0036】
本実施形態において、「行方向V1」とは、ゲートバスラインGLの延在方向に沿う方向であり、「列方向V2」とは、ソースバスラインSLの延在方向に沿う方向である。
【0037】
次に、液晶表示装置1の断面構成について、
図3及び
図4を参照しながら説明する。
図3は、一実施形態における液晶表示装置のサブスペーサーおよびその周囲の概略構成を示す断面図である。
図4は、一実施形態における液晶表示装置のメインスペーサーおよびその周囲の概略構成を示す断面図である。なお、
図3及び
図4において、便宜上、
図1で示したバックライト2、偏光板3及び偏光板5等の図示を省略している。
【0038】
(TFTアレイ基板)
先ず、TFTアレイ基板6の構成について説明する。
図3に示すように、TFTアレイ基板6は、ガラス基板等の透明基板からなる基板9を備えている。基板9上には、ベースコート13が形成されている。ベースコート13としては、例えば窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜またはこれらの積層膜等の無機絶縁性材料を用いることができる。
【0039】
ゲート絶縁膜14上には、不図示のゲート電極が形成されている。ゲート電極の形成材料としては、例えばW(タングステン)/TaN(窒化タンタル)の積層膜、Mo(モリブデン)、Ti(チタン)、Al(アルミニウム)等を用いることができる。なお、ゲート電極は、ゲートバスラインGLの一部によって構成されている。
【0040】
ゲート電極上には、ゲート絶縁膜14が形成されている。ゲート絶縁膜14の形成材料としては、上述のベースコート13と同様の無機絶縁性材料を用いることができる。
【0041】
ゲート絶縁膜14上には、層間絶縁膜15が形成されている。層間絶縁膜15の形成材料としては、上述のベースコート13と同様の無機絶縁性材料を用いることができる。
【0042】
層間絶縁膜15上には、ソース電極16が形成されている。ソース電極16の形成材料としては、上述のゲート電極と同様の導電性材料を用いることができる。
【0043】
層間絶縁膜15上には、ソース電極16を覆うように有機絶縁膜17が形成されている。有機絶縁膜17の形成材料としては、例えばポリイミド、ポリアミド、アクリル、ポリイミドアミド、ベンゾシクロブテン等の有機絶縁性材料を用いることができる。
【0044】
有機絶縁膜17上には、共通電極18が形成されている。共通電極18の形成材料としては、例えばITO(Indium Tin Oxide、インジウム錫酸化物)、IZO(Indium ZincOxide、インジウム亜鉛酸化物)等の透明導電性材料を用いることができる。
【0045】
共通電極18上には、保護膜25が形成されている。保護膜25の形成材料としては、上述のベースコート13と同様の無機絶縁性材料を用いることができる。保護膜25は共通電極18を覆うように形成され、共通電極18と画素電極20とを絶縁している。
【0046】
尚、保護膜25上には、画素電極20が形成されている。画素電極20の形成材料としては、上述の共通電極18と同様の透明導電性材料を用いることができる。TFTアレイ基板6の最表面(液晶層8側)には図示しない配向膜が形成されている。配向膜は、液晶層8を構成する液晶分子を水平配向させる配向規制力を有している。
【0047】
次に、対向基板7の構成について説明する。
基板11としては、ガラス基板等の透明基板を用いることができる。対向基板7は、基板11にカラーフィルター12とブラックマトリクスBMとが形成された、カラーフィルター基板である。基板11上には、ブラックマトリクスBM及びカラーフィルター12がこの順で形成されている。カラーフィルター12の液晶層8側には、オーバーコート22が形成されている。
【0048】
図3に示すように、本実施形態では、オーバーコート22の液晶層8側に、複数のサブスペーサー(スペーサー)SP1が形成されている。サブスペーサーSP1は所定の高さを有して対向基板7側に形成され、TFTアレイ基板6には接触しない構成とされている。液晶表示装置1を対向基板7側から押したときに、サブスペーサーSP1がTFTアレイ基板6に接する。サブスペーサーSP1は、液晶表示装置1を対向基板7の側から押したときの押し圧に対する強度を向上させるためのスペーサーである。対向基板7の最表面(液晶層8側)には図示しない配向膜が形成されている。
【0049】
また、
図4に示すように、TFTアレイ基板6と対向基板7との間には、TFTアレイ基板6及び対向基板7に接する複数のメインスペーサー(スペーサー)SP2が配置されている。メインスペーサーSP2は、液晶セル4のセル厚を均一に保持する柱状スペーサーである。
【0050】
図5は、一実施形態における対向基板のメインスペーサーの位置を示す平面図である。
図5に示すように、本実施形態では、R(赤)色光を射出する赤色サブ画素10Rと、G(緑)色光を出力する緑色サブ画素10Gと、B(青)色光を出力する青色サブ画素10Bと、の3個のサブ画素で、1個の画素Pを構成している。赤色サブ画素10R、緑色サブ画素10G及び青色サブ画素10Bは、行方向V1に沿ってこの順に配置されている。
【0051】
対向基板7側には、複数のサブスペーサーSP1と、複数のメインスペーサーSP2が設けられている。サブスペーサーSP1は、メインスペーサーSP2よりも高さが低く、TFTアレイ基板6との間に液晶層8が存在するように、対向基板7のTFTアレイ基板6側の面に設けられている。
【0052】
メインスペーサーSP2は、セル厚を表示領域内で均一に保持できるよう所定の位置に設けられ、設置する数も任意である。本実施形態では、緑の視認性が高いというような色の視認性の問題から、視認性の低い色である青色のサブ画素10Bと赤色のサブ画素10Rとの画素間にメインスペーサーSP2を配置している。
【0053】
本実施形態におけるサブスペーサーSP1の平面形状は楕円状とされ、メインスペーサーSP2の平面形状は円形とされている。サブスペーサーSP1は、列方向V2よりも行方向V1に寸法を有した楕円形状である。サブスペーサーSP1及びメインスペーサーSP2の平面形状は上記した形状に限られない。例えば、サブスペーサーSP1の平面形状を、台形状、多角形状あるいは半円形状としてもよい。また、メインスペーサーSP2がサブスペーサーSP1と同じ形状であってもよい。
【0054】
図6Aは、一実施形態における対向基板の概略構成を示す平面図である。
サブスペーサーSP1は、
図6A中の破線で囲む領域で示すように4つのサブ画素10ごとに一つの割合で設けられ、画素配列の列方向(列方向V2)及び行方向(行方向V1)にそれぞれ2つのサブ画素10おきに配置されている。つまり、奇数行に配列されたサブスペーサーSP11と、偶数行に配列されたサブスペーサーSP12と、が、列方向では互いに隣り合わない配置となっている。
【0055】
なお、以下の説明において、サブスペーサーSP11,SP12を区別しない場合には、単にサブスペーサーSP1と称する。
【0056】
複数のサブ画素10は、対向基板7側に設けられたブラックマトリクスBMによって区画されている。ブラックマトリクスBMは、複数の第1部分BM1と、複数の第2部分BM2と、を有する。各第1部分BM1は、行方向(行方向)V1に沿って延在するとともに列方向(列方向)V2で隣り合う同色のサブ画素10間に存在する。各第2部分BM2は、列方向V2に沿って延在するとともに行方向V1で隣り合う異なる色のサブ画素10間に存在する。
【0057】
第1部分BM1は、拡大部(第1領域)23と縮小部(第2領域)24とを有しており、延在方向にこれらが交互に存在する。対向基板7の法線方向において、拡大部23と平面視で重なる位置にサブスペーサーSP1が配置されている。また、複数の第1部分BM1のうちのいずれかには、サブスペーサーSP1が配置される拡大部23と、縮小部24と、の他に、メインスペーサーSP2が配置される拡大部(第3領域)33が一つあるいは複数設けられている。拡大部33は、拡大部23よりも広い面積を有する。
第2部分BM2は、サブ画素10R,10G,10Bどうしの混色を防止するもので、縮小部24よりも狭い形状とされている。
【0058】
なお、本実施形態では、拡大部23にサブスペーサーSP1が配置され、拡大部33にメインスペーサーSP2が配置されているが、全ての拡大部23,33のそれぞれに、サブスペーサーSP1あるいはメインスペーサーSP2が配置されていなくてもよい。サブスペーサーSP1あるいはメインスペーサーSP2が配置されていない拡大部23,33が存在していてもよい。
【0059】
図6Bは、比較例1の構成におけるサブスペーサーの配置を示す平面図である。
比較例1の構成においては、
図6Bに示すように、サブスペーサーSP1が6つのサブ画素10ごとに一つの割合で設けられていたため、1画素Pを構成する3つのサブ画素10の形状が同じレイアウトとなっていた。
【0060】
本実施形態の構成では、
図6Aに示すように、1画素Pを構成する3つのサブ画素10のうち、2つのサブ画素10の形状が同じレイアウトとされている。つまり、残りの1つのサブ画素10は隣り合う他の画素における1つのサブ画素10と同じレイアウトとされている。よって、行方向V1に配列された画素配列のうち、2つのサブ画素10ずつ同じレイアウトとなっている。
【0061】
なお、
図6Aに示す本実施形態のブラックマトリクスBMの開口率は、
図6Bに示す従来構成のブラックマトリクスBMの開口率と略同等に維持されている。
【0062】
図7は、サブスペーサー及びブラックマトリクスの形状を示す平面図である。なお、以下の説明において、
図5も適宜参照する。
図5及び
図7を用いて、ブラックマトリクスBM及びサブスペーサーSP1の構成について詳述する。
【0063】
(ブラックマトリクスBMの寸法)
図5及び
図7に示すように、ブラックマトリクスBMのうち列方向V2に延在する第2部分BM2の幅W1は、およそ4〜6μmである。第2部分BM2の幅W1は、異なる色のサブ画素10どうしの間隔に相当する。
【0064】
また、行方向V1に延在する第1部分BM1の縮小部24の幅W2は、およそ12〜16μmである。縮小部24の幅W2は、サブスペーサーSP1が配置されていない同色のサブ画素10どうしの間隔に相当する。第1部分BM1の拡大部23の幅W3は、およそ15〜21μmである。拡大部23の幅W3は、サブスペーサーSP1が配置されている同色のサブ画素10どうしの間隔に相当する。
【0065】
(サブスペーサーSP1の寸法)
図7に示すように、サブスペーサーSP1は、平面視楕円形状を呈し、列方向V2の寸法よりも行方向V1の寸法の方が長い。より具体的には、列方向V2の両側の側面が平面であり、行方向V1の両側の側面が半円状となっている。サブスペーサーSP1の行方向V1における長さ(横幅)L1は、行方向V1に配列された2つのサブ画素10に相当する寸法Mと、ブラックマトリクスBMの第2部分BM2の幅寸法W1と、を併せた長さ以下の寸法とする。
なお、メインスペーサーSP2をサブスペーサーSP1と同じ寸法で形成してもよい。
サブスペーサーSP1の列方向V2における縦幅L2は、ブラックマトリクスBMの拡大部23の行方向V1の寸法以下とし、本実施形態では、およそ8〜12μmである。
【0066】
サブスペーサーSP1は、ブラックマトリクスBMの拡大部23の中央に設けられ、その周囲には拡大部23が存在(露出)している。これにより、サブスペーサーSP1によって液晶の配向乱れが生じても、その領域を拡大部23によって遮光することができる。
【0067】
一方、
図5に示したメインスペーサーSP2は、サブスペーサーSP1よりも高さを有しているため、その周囲で液晶の配向乱れが生じやすい。そのため、メインスペーサーSP2と平面視で重なるブラックマトリクスBMの拡大部33の面積を、サブスペーサーSP1と平面視で重なる拡大部23の面積よりも大きくしている。これにより、メインスペーサーSP2によって液晶の配向乱れが生じても、その領域を拡大部33によって遮光することができる。
【0068】
図8は、サブスペーサー又はメインスペーサーの形状を示す側面図である。
本実施形態のサブスペーサーSP1は、断面における中央部位の高さと、周縁部位の高さとが略等しい形状とされている(
図3参照)。
これに対して、
図8に示すように、サブスペーサーSP1の行方向V1における延在長さL1が長い場合には、サブスペーサーSP1の製造時において、感光性樹脂が周辺に盛り上がってしまい、中央部分が凹んでしまう。そのため、サブスペーサーSP1の長さL1は短い方が中央部分の凹みを抑制することができる。
【0069】
また、メインスペーサーSP2においても、断面における中央部位の高さと、周縁部位の高さとが略等しい形状とされている(
図4参照)。メインスペーサーSP2の形状をサブスペーサーSP1と同じ形状とした場合にも、
図8に示すように、メインスペーサーSP2の行方向V1における延在長さL1を長くしてしまうと、メインスペーサーSP2の製造時において感光性樹脂が周辺に盛り上がってしまい、中央部分が凹んでしまう。そのため、メインスペーサーSP2の長さL1は短い方が中央部分の凹みを抑制することができる。
【0070】
ここで、サブスペーサーSP1及びメインスペーサーSP2の長さL1を短くし過ぎると、押圧強度が弱くなる。なお、用いる感光性樹脂の材料によっても凹み具合(図中の矢印で示す範囲)が異なるため、材料に応じてサブスペーサーSP1及びメインスペーサーSP2の長さL1を設定することが好ましい。
【0071】
図9は、サブスペーサーとスルーホールとの位置関係を示す平面図である。
本実施形態では、
図9に示すように4つのサブ画素10ごと一つのサブスペーサーSP1を配置している。各サブスペーサーSP1は、TFTアレイ基板6側に設けられたTFT21のスルーホールTHと平面視で重なっている。本実施形態のサブスペーサーSP1は、行方向V1で隣り合う2つのサブ画素10に亘って形成される。そのため、一つのサブスペーサーSP1は、2つのサブ画素10のスルーホールTHと重なっており、双方のスルーホールTHの間にサブスペーサーSP1の中央部分が位置している。
【0072】
なお、メインスペーサーSP2をサブスペーサーSP1と同じ形状とし、図中に示す複数のサブスペーサーSP1のうちのいずれかをメインスペーサーSP2とした場合、上述したサブスペーサーSP1と同様に、一つのメインスペーサーSP2が2つのサブ画素10のスルーホールTHと重なることになる。
【0073】
図10Aに示すように、2つのサブ画素10に対して一つのサブスペーサーSPを設ける比較例2の構成の場合、1つのサブスペーサーSPが一つのサブ画素10におけるスルーホールTHと重なることになる。平面視におけるサブスペーサーSPの形状が円形に近くなり、本実施形態の構成に比べてスルーホールTHと重なる面積が大きい。
図3に示したように、スルーホールTHの断面形状は凹状となっている。サブスペーサーSPとスルーホールTHとの重なり面積が増えると、対向基板7側から押圧された際にセル厚を保つ力が弱くなってしまう。セル厚の保持強度(押し圧強度)を確保するためには、サブスペーサーSPの平面視における大きさを大きくして、サブスペーサーSPとスルーホールTHとの重なり面積を小さくする必要がある。
【0074】
一方、
図10Bに示す6つのサブ画素10に対して一つのサブスペーサーSPを設けた比較例1の構成のように、行方向V1における寸法を長くしてサブスペーサーSPの平面形状を大きくすると、サブスペーサーSPとスルーホールTHとの重なり面積が小さくなってセル厚の保持強度を向上させることができる。しかしながら、サブスペーサーSPの延在長さ(行方向V1における横幅)が長くなるため、基板表面の洗浄工程において、サブスペーサーSPの延在方向に交差する列方向V2から洗浄液を流す際に、サブスペーサーSPにダストが引っ掛かりやすい。
【0075】
図11は、本発明の一態様による液晶表示装置の製造時の工程を示す図である。
図11に示すように、本発明の一態様による液晶表示装置は、大判のマザーガラスから複数個のパネルを一括して作製することによって得られる。図中では、マザーガラス上に設定された複数の液晶パネル44を簡略化して示しており、液晶パネル44の外形とサブスペーサーSP1を図示している。また、図中における矢印Eは、洗浄工程においてマザーガラスを洗浄する方向を示している。
【0076】
図11に示すように、大判のマザーガラス70の洗浄工程の際に洗浄液が流れる方向に対して、各液晶パネル44に設けられるサブスペーサーSP1の延在方向が交差している。このような設定とするのは、マザーガラス70からの液晶パネル44の取り数をできるだけ多くするためである。サブスペーサーSP1の延在方向がマザーガラス70の洗浄方向に沿うように形成した場合、1つのマザーガラス70から作製できる液晶パネル44の数が減ってしまう。
【0077】
図12Aは、本実施形態の液晶表示装置の製造時における洗浄の様子を説明するための図である。
図12Bは、比較例1の液晶表示装置の製造時における洗浄の様子を説明するための図である。
ここでは、マザーガラス基板に形成した液晶パネル44の一部(対向基板側)を拡大して示している。
【0078】
図12Bに示す比較例1の構成の場合、サブスペーサーSPが3つのサブ画素10に亘って延在するほどの長さを有しているため、洗浄時に異物Gが引っかかりやすい。一方、
図12Aに示す本実施形態の構成の場合は、サブスペーサーSP1の延在長さが2つのサブ画素10に亘って延在する程度と短いため、比較例1の構成に比べて洗浄時に異物Gが引っかかりにくい。
【0079】
ここで、
図12Aでは、洗浄方向で最も近いサブスペーサーSP1どうしにおける、行方向V1の一端+V1側の端部pを結んだ角度をθ2とする。また、
図12Bでは、洗浄方向で最も近いサブスペーサーSP1どうしにおける、行方向V1の一端+V1側の端部qを結んだ角度をθ1とする。すると、比較例1の構成における洗浄方向に対するサブスペーサーSP1どうしの配置の角度θ1と、本実施形態の構成におけるサブスペーサーSP1どうしの配置の角度θ2との関係が、θ2>θ1となる。
【0080】
つまり、本実施形態の構成の方が洗浄方向に対するサブスペーサーSP1の配置の角度θが大きいため、サブスペーサーSP1間を流れる洗浄液の流れ方が矢印Eで示す洗浄方向に近づいている。このため、比較例1の構成よりもサブスペーサーSP1に異物Gが引っかかりにくくなり、洗浄液と一緒に流れやすくなっている。よって、洗浄時に基板上に異物が残留しにくく、液晶表示装置の性能を高めることができる。
【0081】
図13Aは、比較例1の構成のうち柱状スペーサーの横幅を短くした図であって、
図13Bは、本実施形態の構成を示す図である。
洗浄工程時に異物を流れやすくするために、
図13Aに示すようにサブスペーサーSPの横幅(行方向V1への延在長さ)を短くした。ここでは、本実施形態のサブスペーサーSP1と同じ長さ(形状)とした。そのため、洗浄時に異物がサブスペーサーSPに引っかかりにくくなった。
【0082】
しかしながら、行方向V1に並ぶ3つのサブ画素10に対して一つのサブスペーサーSPを配置した比較例1の構成において、単純にサブスペーサーSPの長さを短くしただけで、サブスペーサーSPの数は増えていない。そのため、洗浄効率は向上しても、セル厚の保持強度が低下してしまう。
【0083】
さらに、ブラックマトリクスBMの形状は比較例1の構成のままである。比較例1のブラックマトリクスBMは、行方向V1に並ぶ3つのサブ画素10に亘って拡大部53が存在し、同方向に隣接する3つのサブ画素10に亘って縮小部54が存在するような構成とされている。そのため、拡大部53のうち、サブスペーサーSPが存在しない領域にもブラックマトリクスBMが存在し、サブスペーサーSPによって液晶の配向乱れが生じない領域まで遮光することになり、非効率的な開口率になっている。
【0084】
これに対して
図13Bに示す本実施形態の構成では、行方向V1に並ぶ2つのサブ画素10に対して一つのサブスペーサーSP1が配置されているため、
図13Aに示した比較例1の構成よりも設けるサブスペーサーSP1の数が多い。そのため、サブスペーサーSP1の横幅(行方向V1への延在長さ)が短くてもセル厚の保持強度は確保されている。
【0085】
また、本実施形態におけるブラックマトリクスBMの拡大部23は、サブスペーサーSP1と同じように2つのサブ画素10に対応した大きさを有している。このため、サブスペーサーSP1によって液晶の配向乱れが生じる領域のみを効率よく遮光している。よって、本実施形態によれば、洗浄時に異物が引っかかりにくいだけでなく、ブラックマトリクスBMを効率良くサブスペーサーSP1の遮光に用いることができる。
【0086】
これまで、高精細でない液晶表示装置の場合には、
図16Aに示す構成のように、サブ画素50間に1個のサブスペーサーSPが設けられていた。ところが、高精細な液晶表示装置になると、隣り合うサブスペーサーSPどうしの距離が近くなるため、サブ画素50間に1個のサブスペーサーSPを形成することができない。そのため、
図16Bに示す構成のように、2つのサブ画素50に対応する2つのサブスペーサーSPを併合したような横長形状のサブスペーサーSPが設けられた。高精細になる程、サブスペーサーSPがTFTアレイ基板6側のTFT素子に重なって配置されることになる。
【0087】
図17に示すように、TFTアレイ基板6側において、TFT21と画素電極20とのコンタクト部分(以下、スルーホールTHという)は、凹状に凹んだ表面形状となっている。高精細な機種になる程、サブ画素50間に配置されるサブスペーサーSPがスルーホールTHに重なって形成される部分の面積の割合が多くなる。上述したように、スルーホールTHが凹んだ形状となっているため、サブスペーサーSPによる液晶セル厚を保つ力が弱くなってしまう。これを回避するためには、サブスペーサーSPの形成面積を大きくしなければならない。
【0088】
図16Cに示すように6個のサブ画素50に1つのサブスペーサーSPを配置した場合、サブスペーサーSPが、1画素Pを構成する3つのサブ画素50R,50G,50Bに亘って延在する横幅を有した形状となっている。サブスペーサーSPの横幅が長くなると、サブスペーサーSPを形成した後に行われる洗浄工程の際に、ダストなどの異物がサブスペーサーSPに引っかかってしまい、除去することが困難になってしまう。基板上に異物が存在していると、液晶の配向乱れが生じて微小輝点が発生するおそれがある。
【0089】
これに対して、本実施形態の構成によれば、4画素に一つの割合でサブスペーサーSPを配置することで、洗浄時に異物が残留しにくく、液晶セル厚の保持強度(押し圧強度)を十分に確保することのできる液晶表示装置を提供することができる。本実施形態では、高精細であってもサブスペーサーSPとスルーホールTHとの重なり面積を小さくすることが可能である。
【0090】
また、サブスペーサーSPの形状(行方向V1における長さ)を上述した寸法に設定することによって、洗浄工程において洗浄液を流す際に異物が効率よく除去されるようになり、基板上に異物が残留するのを防ぐことができる。これにより、製造した液晶表示装置において、異物による液晶の配向乱れが抑制され、微小輝点の発生を抑えることができる。
【0091】
以上、添付図面を参照しながら本発明一態様によるに係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0092】
先の実施形態では、平面視楕円状のサブスペーサーSP1を設けた構成としたが、サブスペーサーSP1の平面視における形状は上述した形状に限らない。
例えば、対向基板7の法線方向から見たサブスペーサーSP1の平面形状が、洗浄液が流れる方向の下流側の側面よりも上流側の側面の方が短い寸法形状とされていてもよい。
【0093】
具体的には、
図14Aに示すように、平面視台形状のサブスペーサーSP13を用いてもよい。サブスペーサーSP13は、図中の矢印Eで示す洗浄液が流れる方向(列方向V2)の下流側の側面13bよりも上流側の側面13aの方が短い寸法形状とされている。そのため、サブスペーサーの延在方向両側には、これら側面13a及び側面13bを繋ぐ傾斜面13c、13cが設けられている。
【0094】
あるいは、
図14Bに示すように、平面視多角形状のサブスペーサーSP14を用いてもよい。サブスペーサーSP14は、その延在方向両側に、図中の矢印Eで示す洗浄液が流れる方向(列方向V2)に対して所定の角度で傾斜する傾斜面14c、14dを有している。
【0095】
このような形状とすることで、各サブスペーサーSP13,SP14における洗浄方向上流側の側面13a,14aを短くすることができる。このため、サブスペーサーSP13,14に異物が引っかかりにくくなり異物が下流に流れやすくなるため、洗浄時における異物の除去効率を向上させることが可能である。なお、傾斜面に代えて湾曲面を有していてもよい。この場合、洗浄方向の上流側に向かって突出した湾曲凸状とすることが好ましい。
【0096】
また、本実施形態のような横電界方式の液晶表示装置では、液晶層8を挟持する一対の基板のうち、一方の基板(本実施形態ではTFTアレイ基板6)上に共通電極18と画素電極20とを設け、液晶層8に対して概ね横方向(概ね基板に平行な方向)の電界を印加する。この場合、液晶分子のダイレクタが基板に対して垂直方向に立ち上がらないため、視野角が広くなるという利点が得られる。
【0097】
横電界方式の液晶表示装置には、電極構成の違いによって、IPS(In-Plane Switching)方式の液晶表示装置と、FFS(Fringe Field Switching)方式の液晶表示装置と、がある。横電界方式の液晶表示装置では、サブ画素内に複数の帯状電極からなる画素電極が形成され、複数の帯状電極の並び方向に液晶層の配向が制御される。
【0098】
本実施形態の構成は、
図15に示すような、視野角を改善するために画素内をマルチドメイン化した液晶表示装置にも適用することができる。マルチドメイン化した液晶表示装置は、列方向V2において互いに隣接するサブ画素40同士で、画素電極20Aの傾斜の向きと画素電極20Bの傾斜の向きとを互いに異ならせた構成となっている。このようなマルチドメイン化した液晶表示装置に本実施形態の構成を採用することによって、セル厚の保持強度を確保しつつ、洗浄時における異物除去効率を向上させることが可能である。
【0099】
なお、メインスペーサーをサブスペーサーと同じ形状とし、
図6A〜
図15に示した複数のサブスペーサーのうちのいずれかをメインスペーサーとした場合、上述したサブスペーサーの説明と同じこととなる。