(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記モノマーが、メチル含有、ヘキシル含有またはシクロヘキシル含有メタクレートポリマーに比べて、カルボニル基から疎水性置換基へのFukui(−)関数電子密度の増大した非局在化を示す、請求項1に記載のキャリア組成物。
前記二級アミノアクリレートモノマーが、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、およびジエチルアミノプロピルメタクリレートからなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のキャリア組成物。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、メタクリレートキャリア樹脂に関し、ここでこの樹脂は、疎水性基に実質的に位置する最高被占軌道(HOMO)電子密度を有し、このメタクリレートのカルボニル機能に位置するHOMO電子密度は有効に低減されるので、高電荷およびRH感受性の改善の両方が得られる。
【0009】
キャリア組成物は、少なくとも1つのメタクリレートモノマーおよび疎水性置換基を有するポリマーコーティング樹脂を含むものが開示され、ここでメタクリレート含有ポリマーユニットのHOMOは、疎水性置換基に位置するこうした分子軌道の電子密度が約25%を超え、メタクリレート部分のカルボニル酸素上のこうした分子軌道の電子密度が約75%未満である。
【0010】
「RH感受性」とは、トナーが、特により高い湿度レベルに曝される場合に、十分な電荷を保持するまたは含むことを意味する。RH比は、一般にAゾーンにおけるμC/g単位の電荷と、Cゾーンにおける電荷との比であり、ここでこのAゾーンは、一般に28℃および85%RHを含み、Cゾーンは、一般に12℃および15%RHを含む。現像剤に関してRH比を担うQ/Mは、別の点では同様の条件下で測定される場合に、AゾーンのトナーQ/Mと、CゾーンのトナーQ/Mとの比として定量できる。RH比はまた、Aゾーンのトナー電荷Q/Dと、CゾーンのトナーQ/Dとの比として測定できる。故に、RH比は、Aゾーンの電荷が0である場合の0の値から、両方のゾーンの電荷が同じである場合の1の値までである。RH比の値は、1を超える場合があり、これは一般的ではないが、Aゾーンの電荷が、Cゾーンの電荷よりも高いことを示す。RH比は、ある状況では、負であることができ、これも一般的ではないが、電荷の符号がまた環境ゾーンの変化に応じて変化することを示す。他の環境ゾーンが、現像剤のRH比を規定するAゾーンおよびCゾーンの代わりに使用されてもよい。
【0011】
本明細書で使用される場合、量に関連して使用される修飾語「約」は、記述された値を含み、文脈によって示される意味を有する(例えば、それは、特定の量の測定に関連する誤差程度を少なくとも含む)。「約」は、記述された値の10%以下であると解釈される。範囲の文脈で使用される場合、修飾語「約」はまた、2つの端点の絶対値によって規定される範囲を開示するものとして考慮されるべきである。例えば「約2〜約4の範囲」はまた「2〜4」の範囲を開示する。
【0012】
「参照キャリアに対して負の帯電が可能である負の添加剤」は、添加剤が、それをキャリアと直接混合することによって、添加剤の摩擦電荷を決定することにより測定されるキャリア表面に対して負に帯電していることを意味する。同様に、「キャリアに対して正の帯電が可能である正の添加剤」は、添加剤が、それをキャリアと直接混合することによって、添加剤の摩擦電荷を決定することにより測定されるキャリア表面に対して正に帯電していることを意味する。
【0013】
キャリアに対して負の帯電が可能な負の添加剤としては、例えばシリカ粒子、アルミナ粒子、またはいずれかの小さいサイズの粒子(例えばいずれかの好適な技術によって決定される場合に体積平均粒子直径が約7〜約100nm)が挙げられ、それらには例えば、摩擦電気接触状態のキャリアに対してその粒子を負に帯電可能な組成物で場合により処理されたポリマー性微小球が含まれる。処理材料は、例えばフルオロシラン、例えばハロゲン含有オルガノシラン、シラザン、シロキサンなどであってもよい。
【0014】
現像剤は、メタクリレートコーティングされたキャリアおよびトナーを含むものが開示され、ここでトナーは、例えば乳化凝集トナーのような樹脂を含み、これらに限定されないが、1つ以上のラテックス樹脂、着色剤、ワックス、およびポリマーシェルを含む。
【0015】
ラテックス樹脂は、第1および第2のモノマー組成物を含んでいてもよい。いずれかの好適なモノマーまたはモノマー混合物は、第1のモノマー組成物および第2のモノマー組成物を調製するために選択されてもよい。第1および/または第2のモノマー組成物についての例示的なモノマーとしては、スチレン、アルキルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート、β−カルボキシエチルアクリレート(β−CEA)、フェニルアクリレート、メチルαクロロアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ブタジエン、イソプレン、メタクリロニトリル、アクリロニトリル、ビニルエーテル、例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルエチルエーテルなど、ビニルエステル、例えばビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルベンゾエート、ビニルブチレート、ビニルケトン、例えばビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなど、ビニリデンハライド、例えば塩化ビニリデン、ビニリデンクロロフルオライドなど、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリデンなど、メタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニル−N−メチルピリジニウムクロライド、ビニルナフタレン、p−クロロスチレン、ビニルクロライド、ビニルブロマイド、ビニルフルオライド、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなど、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。モノマーの混合物が使用される場合、通常ラテックスポリマーはコポリマーである。
【0016】
ラテックスコポリマーの具体例としては、ポリ(スチレン−n−ブチルアクリレート−β−CEA)、ポリ(スチレン−アルキルアクリレート)、ポリ(スチレン−1,3−ジエン)、ポリ(スチレン−アルキルメタクリレート)、ポリ(アルキルメタクリレート−アルキルアクリレート)、ポリ(アルキルメタクリレート−アリールアクリレート)、ポリ(アリールメタクリレート−アルキルアクリレート)、ポリ(アルキルメタクリレート)、ポリ(スチレン−アルキルアクリレート−アクリロニトリル)、ポリ(スチレン−1,3−ジエン−アクリロニトリル)、ポリ(アルキルアクリレート−アクリロニトリル)、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(メチルスチレン−ブタジエン)、ポリ(メチルメタクリレート−ブタジエン)、ポリ(エチルメタクリレート−ブタジエン)、ポリ(プロピルメタクリレート−ブタジエン)、ポリ(ブチルメタクリレート−ブタジエン)、ポリ(メチルアクリレート−ブタジエン)、ポリ(エチルアクリレート−ブタジエン)、ポリ(プロピルアクリレート−ブタジエン)、ポリ(ブチルアクリレート−ブタジエン)、ポリ(スチレン−イソプレン)、ポリ(メチルスチレン−イソプレン)、ポリ(メチルメタクリレート−イソプレン)、ポリ(エチルメタクリレート−イソプレン)、ポリ(プロピルメタクリレート−イソプレン)、ポリ(ブチルメタクリレート−イソプレン)、ポリ(メチルアクリレート−イソプレン)、ポリ(エチルアクリレート−イソプレン)、ポリ(プロピルアクリレート−イソプレン)、ポリ(ブチルアクリレート−イソプレン)、ポリ(スチレン−プロピルアクリレート)、ポリ(スチレン−ブチルアクリレート)、ポリ(スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル)、ポリ(スチレン−ブチルアクリレート−アクリロニトリルなどが挙げられる。
【0017】
第1のモノマー組成物および第2のモノマー組成物は、実質的に水不溶性であってもよく、一般に疎水性であり、または反応容器に添加される場合に適切に撹拌されて水相中に容易に分散され得る。
【0018】
第1のモノマー組成物および第2のモノマー組成物の重量比は、一般に約0.1:99.9〜約50:50の範囲であってもよい。
【0019】
第1の/第2のモノマー組成物の例は、スチレン、n−ブチルアクリレートおよびβ−CEAを含む混合物のようなスチレンおよびアルキルアクリレートを含む混合物であってもよい。モノマーの総重量に基づいて、スチレンは、一般に約1%〜約99%の量で存在してもよいが、より多いまたは少ない量で存在してもよく、アルキルアクリレート、例えばn−ブチルアクリレートは、一般に約1%〜約99%の量で存在してもよいが、より多いまたは少ない量で存在してもよい。
【0020】
好適な樹脂は、ポリエステルである。好適なポリエステル樹脂としては、例えば、スルホン化された、スルホン化されていない、結晶性、非晶質、これらの組み合わせなどであるものが挙げられる。ポリエステル樹脂は、線状、分岐、架橋、これらの組み合わせなどであってもよい。
【0021】
混合物が使用される場合、例えば非晶質および結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂と非晶質ポリエステル樹脂との比は、約1:99〜約30:70の範囲であってもよい。
【0022】
いずれかの好適な界面活性剤は、本開示に従うラテックス、顔料またはワックス分散液の調製のために使用されてもよい。エマルションシステムによれば、いずれかの所望の非イオン性またはイオン性の界面活性剤、例えばアニオン性またはカチオン性界面活性剤が想定され得る。
【0023】
いずれかの好適な開始剤または開始剤の混合物は、本開示に従うラテックスプロセスおよびトナープロセスにおいて選択されてもよい。重合されるべきモノマーの総重量に基づいて、開始剤は、一般に約0.1%〜約5%の量で存在できるが、より多いまたはより少ない量で存在してもよい。
【0024】
連鎖移動剤は、場合により、ラテックスの重合度を制御するために使用されてもよく、それによって生成物ラテックスの分子量および分子量分布を制御してもよい。
【0025】
重合されるべきモノマーの総重量に基づいて、連鎖移動剤は、一般に約0.1%〜約7の量で存在してもよいが、より多いまたは少ない量で存在してもよい。
【0026】
分岐剤は、場合によりターゲットラテックスの分岐構造を制御するために第1の/第2のモノマー組成物に含まれてもよい。
【0027】
重合されるべきモノマーの総重量に基づいて、分岐剤は、一般に約0%〜約2%の量で存在してもよいが、より多いまたは少ない量で存在してもよい。
【0028】
本開示のラテックスプロセスおよびトナープロセスにおいて、乳化は、いずれかの好適なプロセス、例えば高温での混合によって行われてもよい。例えば、エマルション混合物は、約40℃〜約80℃の温度にて約1分〜約20分間約200〜約400rpmに設定されたホモジナイザー中で混合されてもよい。
【0029】
あらゆるタイプの反応器が制限なしに好適に使用され得る。反応器は、そこに組成物を撹拌するための手段を含むべきである。ラテックスおよび/またはトナーを形成するために、反応器は、インペラが約10〜約1,000rpmの速度で作動するようなプロセスを通して作動される。
【0030】
本開示のラテックスは、トナー、インクおよび現像剤を既知の方法によって形成するための乳化/凝集/合一プロセスに関して選択されてもよい。
【0031】
トナー総重量に基づいて、ラテックスは、一般に約50%〜約99%の量で存在してもよいが、より多いまたは少ない量で存在してもよい。
【0032】
種々の既知の好適な着色剤、例えば染料、顔料、染料の混合物、顔料の混合物、染料および顔料の混合物などは、トナー中に含まれていてもよい。着色剤は、例えば0〜約35重量%の量でトナー中に含まれていてもよいが、こうした範囲外の量が利用されてもよい。
【0033】
本開示のトナーは、単一タイプのワックスまたは2つ以上の異なるワックスの混合物のいずれかであることができるワックスを含有してもよい。
【0034】
含まれる場合、ワックスは、例えばトナー粒子の約1重量%〜約25重量%の量で存在してもよい。ワックスは、少なくとも約30℃の融点を有することができる。
【0035】
選択されてもよいワックスとしては、例えば約500〜約20,000の重量平均分子量を有するワックスが挙げられる。
【0036】
トナー粒子は、当業者の範囲内のいずれかの方法によって調製されてもよい。
【0037】
実施形態において、トナー組成物は、乳化凝集プロセス、例えば任意のワックスおよびいずれかの他の所望のまたは必要とされる添加剤の混合物、および上記で記載される樹脂を、場合により上記で記載される界面活性剤と共に含むエマルションを凝集させる工程、および次いで凝集混合物を合一させる工程を含むプロセスによって調製されてもよい。
【0038】
上記混合物の調製の後、凝集剤が混合物に添加されてもよい。凝集剤は、樹脂のガラス転移温度(T
g)未満の温度にて混合物に添加されてもよい。
【0039】
凝集剤は、例えば百部あたり約0.1部(pph)〜約1pphの量でトナーを形成するために利用される混合物に添加されてもよい。
【0040】
トナーの光沢は、粒子中の保持された金属イオン、例えばAl
3+の量によって影響を受ける場合がある。保持された金属イオンの量は、キレート剤、例えばEDTAの添加によって調整されてもよい。
【0041】
粒子は、所定の所望粒径が得られるまで凝集させてもよい。サンプルは、成長プロセスの間に採取され、例えばCoulter Counterを用いて平均粒径について分析されてもよい。故に凝集は、高温を維持すること、または温度を、例えば約40℃〜約100℃に徐々に昇温すること、および撹拌を継続しながら混合物をこの温度に、約0.5時間〜約6時間の期間維持することによって進行させ、凝集された粒子を得てもよい。所定の所望粒径に到達したら、成長プロセスを停止する。粒径は、約3〜8μmであってもよい。
【0042】
シェルは、形成された凝集トナー粒子に適用され得る。コア樹脂に好適なものとして上記で記載されたいずれかの樹脂が、シェル樹脂として利用されてもよい。シェル樹脂は、当業者の範囲内のいずれかの方法によって凝集された粒子に適用されてもよい。
【0043】
シェル構成成分は、トナー粒子の約5〜約40重量%であってもよい。
【0044】
トナー粒子の所望の最終粒径が達成されたら、混合物のpHは、約6〜約10の値に塩基によって調整されてもよい。pHの調整は、凍結、すなわちトナー成長を停止させるために利用してもよい。トナー成長を停止するために利用される塩基としては、いずれかの好適な塩基、例えばアルカリ金属水酸化物を挙げることができる。キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)が添加されて、上述の所望の値にpHを調整するのに役立ててもよい。
【0045】
上記で記載されるような任意のシェル形成を伴う所望の粒径への凝集の後、次いで粒子は、所望の最終形状に合一させてもよく、合一は、例えば混合物を、約55℃〜約100℃の温度に加熱することによって達成され、この温度は、可塑化を防止するために結晶性樹脂の融点未満であってもよい。
【0046】
合一は、約0.1〜約9時間の期間にわたって進行され、達成されてもよい。
【0047】
合一後、混合物は、室温(RT)、例えば約20℃〜約25℃まで冷却されてもよい。
【0048】
トナー粒子はまた、他の任意添加剤を含有してもよい。例えば、トナーは、いずれかの既知の電荷添加剤を、トナーの約0.1〜約10重量%の量で含んでいてもよい。
【0049】
表面添加剤は、本開示のトナー組成物に、洗浄または乾燥後に添加できる。こうした表面添加剤の例としては、例えば金属塩、脂肪酸の金属塩、コロイダルシリカ、金属酸化物、チタン酸ストロンチウム、これらの混合物などが挙げられる。
【0050】
トナー粒子の特徴は、いずれかの好適な技術および装置によって決定されてもよい。体積平均粒子直径D
50v、GSD
v、およびGSD
nは、製造元の説明書に従って操作されるBeckman Coulter MULTISIZER 3のような測定機器によって測定されてもよい。
【0051】
キャリア組成物は、疎水性置換基を含む少なくとも1つのメタクリレートモノマーで構成されるポリマーコーティング樹脂を含むものが開示され、ここで場合によりモノマーは、少なくとも約4.75、少なくとも約4.8、少なくとも約4.9、少なくとも約5、少なくとも約5.1以上の炭素:酸素(C/O)比を有することができる。
【0052】
キャリア樹脂は、約80℃〜140℃の間のTgを有するメタクリレートモノマーであってもよく、さらにトナー表面添加剤を含んでいてもよい。実施形態において、トナー表面添加剤はシリカである。記載されるようなこうした樹脂は、トナー表面添加剤からモノマーへの電子の逆方向電荷移動についてのエネルギーギャップよりも低いモノマーからトナー添加剤への電子の順方向電荷移動についてのエネルギーギャップを有する。
【0053】
少なくとも1つのメタクリレートモノマーは式(I)に示されるような式を有することができる。
【化1】
式中、Arは少なくとも1つの芳香族基を含む。
【0054】
アリール基は、例えば、ベンジル基、ナフチル基、フェニル基などであることができる。
【0055】
このモノマーの電子の順方向電荷移動のためのギャップは、約5.1eV未満、約5eV未満、約4.9eV未満またはそれ未満であり、このトナー添加剤からの電子の逆方向電荷移動のためのギャップが順方向ギャップよりも大きいことを含む。
【0056】
樹脂は、疎水性基に実質的に位置するHOMO電子密度を有し、これによりメタクリレートのカルボニル機能または基に位置するHOMO電子密度を有効に低減する。実施形態において、樹脂を構成するモノマーは、これらに限定されないが、疎水性基、例えばフェニルおよびベンジル置換基を含む。
【0057】
コーティング樹脂はさらに、二級アミノアクリレートモノマーを含んでいてもよい。こうした二級アミノアクリレートモノマーとしては、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、ジエチルアミノエチルメタクリレート(DEAEMA)およびジエチルアミノプロピルメタクリレート(DEAPMA)が挙げられるが、これらに限定されない。二級アミノアクリレートモノマーは、樹脂コーティングの約0.5〜約1重量%、約1〜約1.5重量%、約1.5〜約2重量%で存在してもよい。
【0058】
キャリア樹脂は、複数種の樹脂を含むことができる。故に2つの樹脂が存在する場合、それらは、約30〜約70重量%〜約70〜約30重量%、約40〜約60重量%〜約60〜約40重量%の割合で混合されてもよい。コーティングは、例えばキャリアの約0.1〜約5重量%、キャリアの約0.5〜約2重量%のコーティング重量を有していてもよい。
【0059】
キャリア樹脂ポリマーは、得られたコポリマーが好適な電荷移動およびRH感受性特性を保持する限り、場合により、いずれかの所望のコモノマーと共重合されてもよい。好適なコモノマーとしては、モノアルキルまたはジアルキルアミン、例えばDMAEMA、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジイソプロピルアミノエチルメタクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレートなどを挙げることができる。
【0060】
キャリア粒子は、機械的衝撃および/または静電引力によってキャリアコアに接着するまで、キャリアコアを、コーティングされたキャリア粒子の重量に基づいて約0.05〜約10重量%、約0.01%〜約3重量%の量のポリマーと混合することによって調製されてもよい。実施形態において、樹脂モノマーのT
gは、約53℃〜約80℃、約80℃〜約100℃、約100℃〜約140℃であってもよい。実施形態において、T
gは約80℃〜約140℃である。
【0061】
種々の有効な好適手段は、キャリアコア粒子の表面にポリマーを適用するために使用でき、例えばカスケードロール混合、タンブリング、ミル加工、振とう、静電粉末クラウド噴霧、流動床、静電ディスク加工処理、静電カーテン、これらの組み合わせなどである。キャリアコア粒子およびポリマーの混合物は、次いで既知の方法およびデバイス、例えば釜または押出機を用いて、加熱されて、ポリマーを溶融させ、キャリアコア粒子と融合可能にすることもできる。コーティングされたキャリア粒子は、次いで冷却されて、その後所望の粒径に分類されてもよい。
【0062】
キャリア粒子は、種々の好適な組み合わせにてトナー粒子と混合できる。濃度は、トナー組成物の約1%〜約20重量%であってもよい。しかし、異なるトナーおよびキャリアパーセンテージを使用して、所望の特徴を有する現像剤組成物を得てもよい。
【0063】
トナー粒子は、現像剤組成物を得るためにキャリア粒子と混合される。現像剤中のトナー濃度は、現像剤の総重量に基づいて約1%〜約25重量%、現像剤の総重量に基づいて約2%〜約15重量%であってもよい。
【0064】
対象とするキャリア樹脂を含む対象とする現像剤は、一連の環境条件の下で良好に帯電する。RH比は可能な限り1に近いことが望ましいが、一般に所望のRH比は、少なくとも約0.5、少なくとも約0.6、少なくとも約0.7などである。印刷の画像密度は、大きく変動しないことが望ましく、低いQ/M電荷は画像密度を増大させる傾向があり、より高いQ/M電荷は画像密度を低下させることがある。また、プリント上の背景のリスクは、Q/D電荷が降下するにつれて増大し、従って高RH比が結果として背景を増大させ得る。プリンターはまた、電荷レベルの変化を補填するためのソフトウェアおよびハードウェアコントロールシステムを有していてもよいが、高いRH比は、異なる環境に対して不十分な制御許容度をもたらす場合があり、結果として画像密度変化、背景またはその両方をもたらす。
【0065】
いずれかの既知のタイプの画像現像システムは、例えば磁気ブラシ現像、一成分ジャンピング現像、ハイブリッドスカベンジレス現像(HSD)などを含む画像現像デバイスに使用されてもよい。
【0066】
キャリア樹脂は、テストポリマーを同定し、ポリマーの表面をモデル化すること、テストトナー添加剤を同定し、トナー添加剤の表面をモデル化すること、密度関数方法を用いてポリマーおよびトナー添加剤の表面電子特性を決定することであって、ここでこの方法は、局所および勾配依存関数についての構造計算を決定すること、トナー添加剤において吸着されたテストポリマー複合体の初期構造、最適化構造および電子特性を決定すること、トナー添加剤において吸着されたポリマー複合体の幾何学最適化収束を決定することであって、ここでこの最適化は、エネルギー、勾配、変位がそれぞれ約2×10
−5Ha、約4×10
−3Ha/Å、および約5×10
3Åより低い場合に達成されること、ポリマー−トナー添加剤複合体についてのHOMOおよびLUMOを計算することによってポリマーと添加剤との間の電荷移動の可能性としての方向を決定すること、HOMOおよびLUMOにおける表面電子密度のFukui関数を決定して、電荷移動におけるドナー−アクセプタ複合体の活性サイトを記載すること、および順方向電子移動および逆方向電子移動の両方について最低エネルギーギャップを決定することであって、ここで逆方向ギャップは、トナー添加剤に吸着されたポリマー複合体についての順方向ギャップよりも高く、負のギャップ差は、ポリマー−トナー添加剤複合体を含むトナー樹脂の帯電の際に負の高いトナー電荷の予測となることによって選択される。
【0067】
特に示されない限り、部およびパーセンテージは重量である。
【0068】
キャリアコーティング樹脂について、環境条件の変化に対して電荷の良好なRH感受性を伴って高電荷を提供するという問題がある。例えばポリマー樹脂、例えばポリ(シクロヘキシルメタクリレート)(PCHMA)は、キャリアコーティング樹脂として使用でき、改善されたRH感受性を有しながら、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)コーティングされた樹脂を含む樹脂と同様の電荷を提供する。より高い電荷が必要とされる状況についてはより高い電荷を生じるためにキャリア樹脂の電荷を調節する必要が残っている。
【0069】
一般に、依然として良好な電荷を提供しながら、キャリア樹脂中のモノマーのより高い炭素と酸素(C/O)との比がRH感受性を改善するようである。例えばCHMAおよびPMMAのコポリマー中のCHMAの量を増大させることにより、コポリマー中において1%でDMAEMAを一定に保つ場合に、こうした挙動を示す。故に、例えばPMMA中のメチル基をCHMA中のシクロヘキシル基で置き換えることによって、樹脂の炭素含有量を増大させることが所望されていた。
【0070】
故に、データは、樹脂、例えばPMMA、PCHMAおよびDMAEMAを含有するコポリマーが、少なくとも乾燥条件下で、シリカで許容可能な電荷レベルを提供することを実証する。高RH条件下、PCHMAにおいてシクロヘキシルのような環状炭化水素基を含有するメタクリレートに関して実証されたように、より高いC/O比が所望される。
【0071】
モデル化試験に基づいて、トナーはシリカで、キャリアはポリマー性樹脂コーティングで帯電する際に負の高いトナー電荷のためには、以下の属性が望ましい。
1)キャリア樹脂中のHOMOからトナーシリカ添加剤中のLUMOへの順方向電荷移動についてのギャップは低くすべきである。
2)逆方向ギャップは順方向ギャップよりも高くすべきである(負のギャップ差:2)から1)を差し引く)。
3)樹脂は、高いC/O比モノマーを含み、これがバルク水吸着を制限する。
4)樹脂は、疎水性基に実質的に位置するHOMO電子密度を有する。
【0072】
最初の2つ条件は必要な電荷移動および電荷レベルを提供する一方で、最後の2つの条件は、電荷の水吸着に対するRH感受性を改善する。キャリアコーティング樹脂材料が高い負電荷をトナー表面上のシリカに提供する機能的な仕様を提供するため、および改善されたRH感受性をさらに提供する化学的機能性の記述を提供するために、コンピュータモデル化を使用して、特に高電荷および良好なRH感受性の両方を有する新規な材料を設計する(およびその特性を予測する)のに重要な特性を理解および規定した。
【0073】
メチル、シクロヘキシル、ジメチルアミノ、フェニルおよびベンジル置換基を有するメタクリレートが試験された。
【0074】
すべての置換されたメタクリレートに関して、トリマーを使用して、調べられるべきポリマーとした。ポリマー中のC(炭素)リッチおよびO(酸素)リッチな官能基(アルキル/芳香族およびアシル)の可能性としての効果を区別するために、3つのアシル基すべてが、同じ側に配位するように設計した。
【0075】
シリカモデルの表面ヒドロキシル基を模倣するために、一層シリンダ様シリカモデルを使用して、Si
12O
32H
16を有する表面処理されたシリカを設計した。モデルにおいて、すべてのシリカが、四面体幾何学形状であり、酸素によって連結されていた。シリンダの縁部は、2つのヒドロキシル基によって末端処理され、ジェミナルシラノール[Si(OH)
2]を表していたが、これは通常、未処理のシリカの表面ヒドロキシル基の2つのタイプのうち1つとして非晶質シリカ表面にて実験的に同定されるβ−クリストバライトの表面上にある。(例えば、Leonardelli,et al.,J Am Chem Soc(1992)114:6412、Vigne−Maeder&Sautet,Phys Chem(1997)101(41):8197(本明細書に参考として全体が組み込まれる)を参照のこと)。すべての計算は、Accelrys Materials Studio4.2市販のソフトウェアパッケージからのDMol3モデルで行った。密度汎関数理論(DFT)をすべてのモデルおよびカップリングされたトナー/キャリア複合体の表面電子特性の試験のために使用した。妥当な計算効率での正確性の利点により、DFT方法は、材料の電子構造モデル化にうまく適用されている。
【0076】
必要とされる正確性に依存して、局所および勾配依存性の関数について電子構造計算を行うためにDMol3密度汎関数方法の最近の拡張が設計されている。現在のモデル化例において、Perdew’s91の一般化勾配近似(PW91PW91)を密度汎関数方法として使用した。基底セットについて、d分極関数(DND)を用いた二重数値基底セットをすべての計算について使用した。異なる基底セットタイプに関して、DNDは、同じサイズのガウス型基底セットよりも良好に行われることが報告されており、これは6−31G
*である。DND数値解は、分子および固体計算のために分離原子限度について高度に正確なDFT解を与えることができる。
【0077】
シリカ上に吸着されたポリマー複合体の初期構造、最適な構造および電子特性を試験した。幾何学最適化収束は、エネルギー、勾配および変位が、それぞれ2×10
−5Ha、4×10
−3Ha/Å、および5×10
−3Åよりも低い場合に達成された。Haは、ハートリー原子単位(au)であり、ここで1au=4.359×10
−18ジュールである。HOMO−LUMO軌道計算を、上記モデルの電荷移動方向を理解するため、および複合体モデルにおける電子移動に影響し得る最も重要な因子を同定するために行った。
【0078】
異なる材料上の電子移動活性サイトは、サイトが電子移動の根幹および行先であるので、摩擦電荷にとって重要であり、電子を供与および受容する相対能力は、特定のトナー/チャージャー対の摩擦電荷特性を直接決定する。HOMOおよびLUMOにおいて生じた表面電子密度を使用して、電荷移動におけるドナー−アクセプタ複合体の活性サイトを記載する。+0.1|e|および−0.1|e|電荷のFukui関数も計算した。
【0079】
電荷移動の逆方向ギャップおよび順方向ギャップをさらに探索するために、上記システムについての励起された軌道を調査した。一般に、フェルミ準位の(M+9)を超える軌道および(n−9)未満の軌道の10準位を計算した。順方向電子移動および逆方向電子移動の両方の最低エネルギーギャップは、20の軌道のセットから集められた。エネルギーギャップの計算誤差は、DMEAMAダイマーおよびトリマー/シリカ複合体の順方向および逆方向電子移動バリアを比較することによって評価された。
【0080】
高い負のトナー電荷のために重要な属性は以下のとおりである。
1)順方向電荷移動のためのギャップは低くすべきである。
2)逆方向ギャップは順方向ギャップよりも高くすべきである(負のギャップ差、2)から1)を差し引く)。
3)樹脂は、高いC/O比モノマーを有する。
4)帯電サイトでの水吸着は低くなければならない。
【0081】
属性(1)および(2):順方向電荷移動のためのギャップは低くすべきであり、逆方向ギャップは順方向ギャップよりも高くすべきである(負のギャップ差)。
【0082】
通常の分子内電子移動において、単一材料内では、プロトンまたは衝突または熱エネルギーからの十分なエネルギーの吸着は、HOMOからLUMOへの電子の移動をもたらし得ることが当該技術分野において認識されている。電子およびホール(電子がHOMOを離れるときに残る)が同じ分子上に両方あるので、分子に正味の電荷はない。エネルギーギャップのサイズは、軌道間の電子を移動するために必要とされるエネルギーの量を決定する。そのため、
図1に示されるように、例えば接触する前のキャリア樹脂およびトナー添加剤の両方は、HOMOおよびLUMOならびに関連するギャップを有する。LUMOを超え(増大するエネルギーのLUMO+1、LUMO+2などとして既知)およびHOMO未満(減少するエネルギーのHOMO−1、HOMO−2などとして既知)の他のエネルギー準位も潜在的に存在することに留意すべきである。そのため、一般に、HOMO−nからLUMO+mへの電子の移動が可能であり、ここで材料内ではn、m≧0である。(普通は簡単のために、HOMOn=0はHOMOとして、およびLUMOm=0はLUMOとして記載されることに留意)。
【0083】
トナー添加剤とキャリア間のような2つの材料の接触時、多数の異なる可能性が、HOMO−nおよびLUMO+mの位置に関して生じるので、電荷移動の結果は、多数の異なる可能性を有する。2つの材料の接触は、キャリア樹脂上に位置しているHOMO−nおよびトナー添加剤上のLUMO+mをもらし得る。電子移動により、キャリア樹脂が正に、トナー添加剤が負に帯電する(負の帯電トナーについて所望の移動)(
図2)。他方で、LUMO+mがキャリア樹脂上に位置し、HOMO−nがトナー添加剤上にある場合、電子移動は、トナー添加剤を正に帯電させ、キャリア樹脂は負に帯電させる(負に帯電したトナーの所望でない移動)。もちろん、HOMOおよびLUMOは、ただ1つの分子上に位置してもよく、または部分的に両方の分子上にあることもできる。結果として生じるフロンティア分子軌道の配列は、2つの材料の特性およびそれらの間の相互作用の結果であり、この相互作用は接触状態の2つの分子の配向に依存する。材料のバルクサンプルにおいて、接触状態の分子の異なる配向がランダムに得られる。そのため、全体の電荷移動は、異なるプロセスの合計である。幸運なことには、電荷移動にとって重要なプロセスは、最低エネルギーの場合であるので、所望の順方向電荷移動(例えば負のトナー電荷)のための最低エネルギーギャップおよび逆方向電荷移動(すなわち正のトナー電荷)のための最低エネルギーギャップが決定される。
【0084】
故に、トナーのシリカによる帯電、およびポリマー性樹脂コーティングによるキャリアの帯電の際に高い負のトナー電荷のためには、
1)順方向電荷移動のギャップは低くすべきである。
2)逆方向ギャップは順方向ギャップよりも高くすべきである(負のギャップ差、2)から1)を差し引く)。
【0085】
以下の表1は、多数の異なるコーティング材料のためのシリカへの電子電荷移動(所望)およびポリマーへの電子電荷移動(所望でない)を示す。
【0087】
故に、予測されるように、データは、PMMA、PCHMAおよびDMAEMA/PCHMAに基づくポリマーは、すべてがPMMAの場合にほぼ等しいまたはそれより低い順方向移動の電荷移動ギャップを有するので、良好な高い帯電を有することを示す。すべての場合において、逆方向移動のエネルギーはより高いので、優位でない。
【0088】
表1の最後の4つの項目は、DMAEMAおよびPHMA(フェニルメタクリレート)が、約0.045eVの計算誤差(誤差は、大部分がポリマートリマーモデルのサイズ差から生じる)を伴い、MMAおよびCHMAより低いおよびほぼ同等の順方向ギャップエネルギーを示し、BMA(ベンジルメタクリレート)はMMAのギャップに近いが、HMA(ヘキシルメタクリレート)はPMMAよりも大きいギャップを有するので、高くは帯電しないことを示す。故に、DMAEMAまたはPHMAから製造されるキャリアポリマーは、シリカを帯電するために好適である。また、DMAEMAは、シリカトナー添加剤への順方向電子移動のためのギャップを低減するために使用できる。一部のDMAEMAとのBMAまたはPHMAの組み合わせはまた、好適なギャップを提供し、CHMAまたはPMMAに等しいまたはそれ未満のエネルギー、およびシリカへの正味の負電荷移動のために必要とされるように逆方向ギャップよりも低い順方向エネルギーギャップを有する。しかし、DMAEMAは、電荷サイト(N原子である)での水吸着を増大させる極性窒素原子のために電荷の相対湿度感受性を増大させる。
【0089】
属性(3):炭素と酸素との比
MMAのC/O比は、2.5と低く、所望でないRH感受性を有する。CHMAは、5のC/O比を有するので、より改善されたRH比を有する。DMAEMAは、4のC/O比を有するので、RH感受性を損なう場合があるため、最良のRH感受性を維持するために少量で使用されるべきである。ヘキシルメタクリレートおよびフェニルメタクリレートは、CHMAと同様の5の高いC/O比を維持し、また良好なRH比を提供するはずである。フェニルアクリレートは、潜在的なキャリアとして使用されているが(例えば、本明細書に全体が参考として組み込まれる米国特許第6,511,780号を参照のこと)、フェニルアクリレートは、CHMAに比べて低いC/O比(4.5)を有するので、フェニルメタクリレートと同等の良好なRH感受性を提供するとは予測されない。事実、すべての事柄は等しく、C/O比、ひいてはRH感受性は、アクリレート類縁体に比べていずれかのメタクリレートがより高い改善を示し、そういうものとしてメタクリレートは好ましいエステルを表す。一般に、メタクリレートは、アクリレートよりも高いT
gを有し、これがまた現像剤のハウジングのキャリア表面において軟化しない堅牢性コーティングにとって好ましい。ベンジルメタクリレートは、最も高いC/O比(すなわち5.5)を有し、そのためCHMAよりもさらに高いRH感受性を提供することが予測される。
【0090】
属性(4):帯電サイトでの水吸着
上記で記述されたように、別の重要な属性は、樹脂が疎水性基上に実質的に位置するHOMO電子密度およびカルボニル(C=O)酸素上に低減した電子密度を有することである。孤立したトリマー(各モノマー選択肢について3つの繰り返しユニットを行った)について、PMMA(メチル疎水性置換基を有する)、PHMA(ヘキシル疎水性置換基を有する)、PCHMA(シクロヘキシル疎水性基置換基を有する)、PPHMA(フェニル疎水性基置換基)、およびPBMA(ベンジル疎水性置換基を有する)について、電子密度分布を計算した。
【0091】
PMMAにおいて、カルボニル酸素は、大部分がカルボニル酸素原子上に位置するHOMOフロンティア分子軌道を有し、これは非常に極性であり、より高い相対湿度で水を吸引し、HOMOが負電荷をトナーシリカ添加剤アクセプタサイトに提供する電子移動サイトである重要な帯電サイトと相互作用する。故に、高いRHでの水吸着は、電荷移動を乱す(HOMO電荷サイトを物理的にブロッキングすることによって、または実際にHOMO自体を乱すことによって)。より高いC/O比を有するPCHMAに関して、カルボニル酸素から疎水性置換基であるシクロヘキシル基へのHOMOのある程度の非局在化が存在する。その傾向はPBMAについても拡張され、ここでHOMO電子密度のほぼ半分が、カルボニル酸素原子上に位置し続け、ここでは半分が疎水性置換基であるベンジル基上にある。分子のその部分が、カルボニル酸素よりも疎水性であるので、高いRHにて水吸着に対して感受性が小さく、水によって乱されることが少ない。理想の材料は、HOMO分子軌道の大部分が疎水性置換基上にあり、ここでこれは水吸着によってほぼ乱されず、PPHMAの場合と同様に、HOMO分子軌道はカルボニル酸素上にはほとんどなく、ここでHOMOは、大部分がフェニル環上に位置する。ポリマー試験についてHOMOのための近似電子密度は表1に要約される。
【0092】
電子密度分布を試験するための代替方法は、+0.1の全体として正の電荷に関するFukui(−)関数によって与えられるようにHOMOの「ソフトネス」を評価することである。Fukui関数は、シリカへの電荷移動のための活性な分極性電子密度の位置として視覚可能であり、Fukui関数の計算は、例えばAyers et al.の「Chemical Reactivity Theory:A Density Functional View」,Chatteraj編,18章,255〜267頁,CRC Press,2009に記載されている。HOMO電子密度について、疎水性基をメチルからヘキシル、シクロヘキシル、および最終的にはベンジルおよびフェニル(両方は、疎水性基上に大部分の電子密度を有する)に変化させるにつれて、カルボニル酸素から疎水性基へのFukui(−)関数電子密度の非局在化が増大する傾向がある。再度、電子密度が疎水性基および極性カルボニル基上にあるので、改善されたRH感受性をもたらすことが予測される(再度、表1を参照のこと)。