(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6422251
(24)【登録日】2018年10月26日
(45)【発行日】2018年11月14日
(54)【発明の名称】消火用の噴霧ヘッド
(51)【国際特許分類】
A62C 37/14 20060101AFI20181105BHJP
A62C 31/02 20060101ALI20181105BHJP
【FI】
A62C37/14
A62C31/02
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-146877(P2014-146877)
(22)【出願日】2014年7月17日
(65)【公開番号】特開2016-22055(P2016-22055A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年2月13日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000199186
【氏名又は名称】千住スプリンクラー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002169
【氏名又は名称】彩雲国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】松本 大志
【審査官】
首藤 崇聡
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2002/0096580(US,A1)
【文献】
実開昭52−050639(JP,U)
【文献】
実開昭49−027028(JP,U)
【文献】
実開昭54−007600(JP,U)
【文献】
特開平7−31691(JP,A)
【文献】
特開平5−345047(JP,A)
【文献】
特開2014−028020(JP,A)
【文献】
特開2003−062113(JP,A)
【文献】
特開2006−263217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 31/02
A62C 37/14
A62C 37/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端側に消火水流入口を有すると共に、先端側に消火水噴出口を有し、且つ内部に該消火水流入口と該消火水噴出口とを連通させる消火水流路を有するヘッド本体と、該ヘッド本体の消火水噴出口を閉鎖する弁体を閉鎖状態に支持する感熱分解部と、該ヘッド本体の前方に延在する一対のアームによって形成され、内側に該感熱分解部が固定されるフレームと、該フレームの先端部に設けられ、消火水を所定の散水領域に向けて散水させるデフレクタとを備えた消火用の噴霧ヘッドにおいて、
前記デフレクタとして、前記一対のアームの接合部分より先端側に設けられる第1のデフレクタと第2のデフレクタであって、円板状に形成される第1のデフレクタと、該第1のデフレクタよりも大径の円板状に形成され、且つ該第1のデフレクタの前方に配置される第2のデフレクタとを設け、
前記第1のデフレクタは、前記第2のデフレクタに向けて消火水を通過させる通水孔を有しており、前記通水孔は、周方向に沿って延在する帯状をなすことを特徴とする消火用の噴霧ヘッド。
【請求項2】
前記第1のデフレクタと前記第2のデフレクタとの間に間隙が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の消火用の噴霧ヘッド。
【請求項3】
基端側に消火水流入口を有すると共に、先端側に消火水噴出口を有し、且つ内部に該消火水流入口と該消火水噴出口とを連通させる消火水流路を有するヘッド本体と、該ヘッド本体の消火水噴出口を閉鎖する弁体を閉鎖状態に支持する感熱分解部と、該ヘッド本体の前方に延在する一対のアームによって形成され、内側に該感熱分解部が固定されるフレームと、該フレームの先端部に設けられ、消火水を所定の散水領域に向けて散水させるデフレクタとを備えた消火用の噴霧ヘッドにおいて、
前記デフレクタとして、前記一対のアームの接合部分より先端側に設けられる第1のデフレクタと第2のデフレクタであって、円板状に形成される第1のデフレクタと、該第1のデフレクタよりも大径の円板状に形成され、且つ該第1のデフレクタの前方に配置される第2のデフレクタとを設け、
前記第1のデフレクタと前記第2のデフレクタとは、何れも、周縁部に幅が一定の棒状の爪部が設けられ、該爪部は複数が周方向に所定の角度間隔で配置されて設けられ、かつ全て前記ヘッド本体側に折り曲げられており、
前記消火水噴出口が上向きに設置されることを特徴とする消火用の噴霧ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、消火用の噴霧ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、消火用の噴霧ヘッドにおいて、消火水の噴出口の前方に延在する一対のアームによって馬蹄形状に形成され、内側に消火水の噴出口を閉鎖する弁体を支持するグラスバルブ等の感熱分解部が固定されるフレームを備えているものがある。
【0003】
通常、この種の噴霧ヘッドは、所定の散水分布が得られるようにするために、噴出口から噴出する消火水を衝突させて所定の方向に分散させるデフレクタをフレームの先端部に備えている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2003−62113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この種の噴霧ヘッドの場合、前記のようなデフレクタを備えていても、例えば、消火水の噴出口の前方に位置するフレームが散水の障害となって、フレームの裏側に対応する領域への散水量が 不足してしまう等して、所定の散水分布が得られなくなってしまうことがある。特に、ヘッドの仕様上、消火水噴出口から噴出する消火水の流量を少なく設定する場合に、このような問題が顕著に現れることとなる。
【0006】
つまり、このような消火水流路の形状を持つ噴霧ヘッドには、噴出する消火水の流量を少なくすると、所定の散水分布が得られなくなってしまうことがあるという問題がある。
【0007】
この発明は、前記の事情に鑑み、噴出する消火水の流量を少なくする場合でも、所定の散水分布が得られるようにすることができる消火用の噴霧ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、基端側に消火水流入口を有すると共に、先端側に消火水噴出口を有し、且つ内部に該消火水流入口と該消火水噴出口とを連通させる消火水流路を有するヘッド本体と、該ヘッド本体の消火水噴出口を閉鎖する弁体を閉鎖状態に支持する感熱分解部と、該ヘッド本体の前方に延在する一対のアームによって形成され、内側に該感熱分解部が固定されるフレームと、該フレームの先端部に設けられ、消火水を所定の散水領域に向けて散水させるデフレクタとを備えた消火用の噴霧ヘッドにおいて、前記デフレクタとして、前記一対のアームの接合部分より先端側に設けられる第1のデフレクタと第2のデフレクタであって、円板状に形成される第1のデフレクタと、該第1のデフレクタよりも大径の円板状に形成され、且つ該第1のデフレクタの前方に配置される第2のデフレクタとを設け
、前記第1のデフレクタは、前記第2のデフレクタに向けて消火水を通過させる通水孔を有しており、前記通水孔は、周方向に沿って延在する帯状をなすことを特徴とする消火用の噴霧ヘッドである。
【0010】
又、この発明は、前記第1のデフレクタと前記第2のデフレクタとの間に間隙が設けられていることを特徴とする消火用の噴霧ヘッドである。
【0011】
又、この発明は、基端側に消火水流入口を有すると共に、先端側に消火水噴出口を有し、且つ内部に該消火水流入口と該消火水噴出口とを連通させる消火水流路を有するヘッド本体と、該ヘッド本体の消火水噴出口を閉鎖する弁体を閉鎖状態に支持する感熱分解部と、該ヘッド本体の前方に延在する一対のアームによって形成され、内側に該感熱分解部が固定されるフレームと、該フレームの先端部に設けられ、消火水を所定の散水領域に向けて散水させるデフレクタとを備えた消火用の噴霧ヘッドにおいて、前記デフレクタとして、前記一対のアームの接合部分より先端側に設けられる第1のデフレクタと第2のデフレクタであって、円板状に形成される第1のデフレクタと、該第1のデフレクタよりも大径の円板状に形成され、且つ該第1のデフレクタの前方に配置される第2のデフレクタとを設け、前記第1のデフレクタと前記第2のデフレクタとは、何れも、周縁部に
幅が一定の棒状の爪部が設けられ、該爪部は
複数が周方向に所定の角度間隔で配置されて設けられ、かつ全て前記ヘッド本体側に折り曲げられて
おり、前記消火水噴出口が上向きに設置されることを特徴とする消火用の噴霧ヘッドである。
【発明の効果】
【0013】
この発明においては、消火水を散水させるデフレクタとして、円板状に形成される第1のデフレクタと、該第1のデフレクタよりも大径の円板状に形成され、且つ第1のデフレクタの前方に位置する第2のデフレクタとを設けたことで、第1のデフレクタにより消火水を第2のデフレクタに向けて誘導したり、対応する領域ごとの散水距離や散水密度を増やしたりすることができ、デフレクタ全体としての消火水の散水効果を向上させることができる。
【0014】
従って、この発明によれば、噴出する消火水の水量が少なくする場合でも、所定の散水分布が得られるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】この発明の一例である第1の実施形態の噴霧ヘッド(下向き型)を示したものであり、感熱分解部が破壊されておらず、弁体が消火水噴出口を閉鎖している状態における(a)が正面図、(b)が側面図、(c)が底面図、(d)が(b)のA−A線矢視断面図である。
【
図2】同上を示したものであり、感熱分解部が破壊され、弁体が消火水噴出口を解放している状態における(a)が
図1(b)のA−A線矢視拡大断面図、(b)が同B−B線矢視拡大断面図である。
【
図3】同上の噴霧ヘッドにおける第1のデフレクタ単体を示したものであり、(a)が平面図、(b)がA−A線断面図である。
【
図4】この発明の一例である第2の実施形態の噴霧ヘッド(上向き型)を示したものであり、感熱分解部が破壊されておらず、弁体が消火水噴出口を閉鎖している状態における(a)が正面図、(b)が側面図、(c)が上面図である。
【
図5】同上を示したものであり、感熱分解部が破壊され、弁体が消火水噴出口を解放している状態における(a)が
図4(b)のA−A線矢視拡大断面図、(b)が同B−B線矢視拡大断面図である。
【
図6】同上の噴霧ヘッドにおける第1のデフレクタ単体を示したものであり、(a)が平面図、(b)が 正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1の実施形態]
先ず、
図1乃至
図3に基づいて、第1の実施形態の噴霧ヘッド1−1について説明する。
【0017】
尚、本実施形態の噴霧ヘッド1−1は、接続される消火水供給用の配管内に常時消火水が充水される閉鎖型の噴霧ヘッドにこの発明を適用する場合の一例を示すものであり、又、消火水の放出口が下向きに設置される下向き型の噴霧ヘッドにこの発明を適用する場合の一例を示すものである。
【0018】
噴霧ヘッド1−1は、基端側に消火水流入口2を有すると共に、先端側に消火水噴出口3を有し、且つ内部に消火水流入口2と消火水噴出口3とを連通させる消火水流路4を有するヘッド本体5と、常時は消火水噴出口3を閉鎖し、火災時は消火水噴出口3を開放する弁体6 と、常時は弁体6を閉鎖状態に維持し、火災時は分解して弁体6を開放状態にする感熱分解部の一例であるグラスバルブ7と、ヘッド本体5の前方(消火水の噴出方向側)に延在する左右一対のアーム8a,8bによって全体として馬蹄形状に形成され、内側にグラスバルブ7が固定されるフレーム8と、フレーム8の先端部8dとなる一対のアーム8a,8bの接合部分8cの先端部に設けられ、消火水を所定の散水領域に向けて散水するデフレクタ9−1とを備えている(
図1及び
図2参照)。
【0019】
尚、噴霧ヘッド1−1は、ヘッド本体5の外周面に形成されているネジ部10によって図示しない消火設備の配管に接続されることになるが、前記の通り、閉鎖型のものであるので、常時消火水が充水されている配管に接続されることとなり、又、前記の通り、下向き型のものであるので、消火水噴出口3を下向きにして配管に接続されることとなる。
【0020】
そして、噴霧ヘッド1−1は、前記の通り、消火水を所定の散水領域に向けて散水するデフレクタ9−1を備えているが、具体的には、そのデフレクタ9−1として、円板状に形成される第1のデフレクタ9aと、第1のデフレクタ9aよりも大径の円板状に形成され、且つ第1のデフレクタ9aの前方(消火水の噴出方向側)に配置される第2のデフレクタ9bとを備えている。
【0021】
ここで、噴霧ヘッド1−1は、消火水を所定の散水領域に向けて散水するデフレクタ9−1として、円板状に形成される第1のデフレクタ9aと、第1のデフレクタ9aよりも大径の円板状に形成され、且つ第1のデフレクタ9aの前方に配置される第2のデフレクタ9bとを備えていることで、第1のデフレクタ9aにより消火水を第2のデフレクタ9bに向けて誘導することができ、デフレクタ9−1全体としての消火水の散水効果を向上させることができるようになっている。
【0022】
従って、噴霧ヘッド1−1は、噴出する消火水の水量が少なく設定したとしても、所定の散水分布が得られるようにすることが可能である。
【0023】
更に、本実施形態について詳細に説明する。
【0024】
デフレクタ9−1において、第1のデフレクタ9aは、前記の通り、消火水を第2のデフレクタ9bに向けて誘導することができるようになっているが、具体的には、第2のデフレクタ9bに向けて消火水を通過させる通水孔9cを備えており、その通水孔9cを介して第2のデフレクタ9bに向けて消火水を誘導することができるようになっている(
図2及び
図3参照)。
【0025】
又、第1のデフレクタ9aと第2のデフレクタ9bとの間には、適宜の寸法の間隙9dが設けられている(
図1(a)参照)。この間隙9dがあることにより第1のデフレクタ9aの通水孔9cを介して第2のデフレクタ9bに向けて消火水を矢印W1,W2で示したように誘導することができるようになっている(
図2(a)参照)。尚、9fは第1のデフレクタ9aと第2のデフレクタ9bとの間に介在するスペーサであり、このスペーサ9fの高さによって間隙9dの高さ寸法を適宜決定することができる。
【0026】
第1のデフレクタ9aは、前記の通り、通水孔9cを介して第2のデフレクタ9bに向けて消火水を誘導することができるようになっているが、それだけでなく、消火水噴出口3から噴出された消火水が第1のデフレクタ9a又は第2のデフレクタ9bに衝突して天井面側となるヘッド本体5側に跳ね返るのを防ぐことができるようになっている。即ち、第1のデフレクタ9aは、消火水が通水孔9cを通過することにより天井面側に跳ね返るのを防ぐことができ、又、通水孔9cを通過して第2のデフレクタ9bに至る消火水が跳ね返ったとしても、第1のデフレクタ9aの第2のデフレクタ9bに対向する面に衝突することにより第1のデフレクタaを越えて天井面側に跳ね返るのを防ぐことができるようになっている。
【0027】
つまり、噴霧ヘッド1−1は、デフレクタ9−1として、第1のデフレクタ9aと第2のデフレクタ9bとを備えていることで、消火水を第1のデフレクタ9aから第2のデフレクタ9bに誘導することによって、消火水の散水効果を向上させることができるようになっているだけでなく、消火水が天井面側に跳ね返るのを防ぎ、消火水が天井面に衝突してヘッド直下に落ちるのを防ぐことによっても、消火水の散水効果を向上させることができるようになっている。
【0028】
即ち、従来のようにデフレクタが1枚であれば、消火水の一部が天井面に衝突するため、消火水の全てを有効に散水することができず、噴出する消火水の流量を少なくする場合において、所定の散水領域の外周部に対する必要な散水量が不足して、所定の散水分布が得られない虞があった。しかし、本発明の実施の形態1では、第1のデフレクタ9aの前方に第2のデフレクタ9bを設けたことで、第2のデフレクタ9bで跳ね上がった消火水は第1のデフレクタ9aに衝突し、散水分布の外周部へ散水するように誘導される(矢印W1)と共に、第2のデフレクタ9bのスリット9eを抜ける消火水は散水分布の中央部に散布される(矢印W2)ため、ほぼ全ての消火水を有効に散水することができ、かつ所定の散水分布を得ることができる。従って、噴出する消火水の流量を少なくしたとしても、デフレクタ9−1の外周側に充分な量の消火水を供給することできるので、所定の散水領域の外周部に対して、必要な散水量を供給することができて、所定の散水分布を得ることができる。
【0029】
第1のデフレクタ9aの通水孔9cの数、形状、配置等についてであるが、本実施形態においては、数としては、複数、具体的には4つあるものとなっており、形状としては、周方向に沿って延在する帯状をなすものとなっており、配置としては、周方向に所定の角度間隔、具体的には90度の等角度間隔で並ぶものとなっている(
図2(b)及び
図3(a)参照)。
【0030】
又、本実施形態において、第2のデフレクタ9bは、中心側から径方向に延在して周縁に至るスリット9eが複数、具体的には8つ設けられていて、それらが周方向に所定の角度間隔、具体的には45度の等角度間隔で配置されたものとなっており、それらのうち90度間隔で配置されている4つのスリット9eは第1のデフレクタ9aの通水孔9cと対向する位置に設けられ、それら4つのスリット9eの基端部が平面視で第1のデフレクタ9aの通水孔9cから覗く位置に設けられたものとなっている。これにより、第1のデフレクタ9aの通水孔9cを介して第2のデフレクタ9bに向けて誘導される消火水は、矢印W1で示したように第2のデフレクタ9b上を流れるものと、矢印W2で示したように第2のデフレクタ9bのスリットeを通過するものとに分かれるようになっている。
【0031】
尚、第1のデフレクタ9aの通水孔9cも、第2のデフレクタ9bのスリット9eも、何れも、それらの数、形状、配置等の変更は適宜することができる。
【0032】
[第2の実施形態]
次に、
図4乃至
図6に基づいて、第2の実施形態の噴霧ヘッド1−2について説明する。
【0033】
この発明は、第1の実施形態の噴霧ヘッド1−1のような下向き型のものだけでなく、消火水の放出口が上向きに設置される上向き型のものにも適用可能であり、第2の実施形態の噴霧ヘッド1−2は、この発明を上向き型のものに適用する場合を例示するものである。
【0034】
第2の実施形態の噴霧ヘッド1−2は、天地が逆転している点と、デフレクタ9−2の態様が異なっている点以外は、第1の実施形態の噴霧ヘッド1−1の構成と同様の構成を備えている。
【0035】
噴霧ヘッド1−2にも、デフレクタ9−2として、円板状に形成される第1のデフレクタ9gと、第1のデフレクタ9gよりも大径の円板状に形成され、且つ第1のデフレクタ9gの前方(消火水の噴出方向側)に配置される第2のデフレクタ9hとを備えている。
【0036】
つまり、噴霧ヘッド1−2も、消火水を所定の散水領域に向けて散水するデフレクタ9−2として、円板状に形成される第1のデフレクタ9gと、第1のデフレクタ9gよりも大径の円板状に形成され、且つ第1のデフレクタ9gの前方に配置される第2のデフレクタ9hとを備えていることで、第1のデフレクタ9gにより消火水を第2のデフレクタ9hに向けて矢印W3で示したように誘導することができ、デフレクタ9−2全体としての消火水の散水効果を向上させることができるようになっている。
【0037】
従って、噴霧ヘッド1−2は、噴出する消火水の水量が少なく設定したとしても、所定の散水分布が得られるようにすることが可能である。
【0038】
更に、本実施形態について詳細に説明する。
【0039】
デフレクタ9−2は、第1のデフレクタ9gにも、第2のデフレクタ9hにも、周縁部に爪部9i,9jが複数、周方向に所定の角度間隔で配置されて設けられたものとなっている。
【0040】
尚、デフレクタ9−2において、第1のデフレクタ9gと第2のデフレクタ9hとは互いに接するように設けられており、即ち、両者間には間隙はないものとなっている。
【0041】
デフレクタ9−2は、第1のデフレクタ9gにより、前記の通り、第2のデフレクタ9hに向けて消火水を誘導することができるようになっているが、それだけでなく、第1デフレクタ9gにも周縁部に爪部9iが設けられていることで、第1のデフレクタ9gにより、デフレクタ9−2の散水領域中、内側の領域に対応し、その対応する領域への散水距離や散水密度を増やすことができるようになっている。
【0042】
つまり、噴霧ヘッド1−2は、デフレクタ9−2として、第1のデフレクタ9gと第2のデフレクタ9hとを備えていることで、消火水を第1のデフレクタ9gから第2のデフレクタ9hに誘導することによって、消火水の散水効果を向上させることができるようになっているだけでなく、対応する領域ごとに散水距離や散水密度を増やすことによっても、消火水の散水効果を向上させることができるようになっている。
【0043】
即ち、噴出する消火水の流量を少なくする場合、所定の散水領域に対して、必要な散水量が不足して、所定の散水分布が得られない虞がある。しかし、本発明の実施の形態2では、爪部9iを有する第1のデフレクタ9gの前方に爪部9jを有する第2のデフレクタ9hを設けたことで、爪部9iに衝突した消火水は散水分布の中央付近に散布され、爪部9iを抜けて爪部9jに衝突した消火水は散水分布の中央部より外側であり、かつ外周部より内側に散水され、爪部9jを抜けた消火水は散水分布の外周部に散布される。従って、噴出する消火水の流量を少なくする場合においても、所定の散水領域に対して、必要な散水量を供給することができて、かつ所定の散水分布を得ることができる。
【0044】
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0045】
例えば、噴霧ヘッド1−1においても、噴霧ヘッド1−2においても、噴霧ヘッドから噴出させる消火水としては、水をそのまま用いることもできるが、泡消火薬剤等を適宜の比率(例えば3%程度)で混合した泡水溶液を用いることもできる。消火水として泡水溶液を用いる場合、噴出する泡水溶液の水量を少なく設定したとしても、水をそのまま用いた場合と同様、所定の散水分布が得られるようにすることがでる。それに加えて、噴霧ヘッド1−1の場合は、泡水溶液が第1のデフレクタ9a及び/又は第2のデフレクタ9bに衝突し、噴霧ヘッド1−2の場合は、泡水溶液がデフレクタ9−2並びに爪部9i及び/又は9j衝突するため、従来のデフレクタが1枚の噴霧ヘッドに比べて泡水溶液の衝突回数が多く、泡水溶液が散布される際に飛距離を確保できる程度に、かつ消火能力が高まるような所定の発泡倍率(例えば、5倍程度)を得ることができる。
【符号の説明】
【0046】
1−1,1−2:噴霧ヘッド 2:消火水流入口 3:消火水噴出口
4:消火水流路 5:ヘッド本体 6:弁体 7:グラスバルブ
8:フレーム 8a,8b:アーム 8c:接合部分 8d:先端部
9−1,9−2:デフレクタ 9a,9g:第1のデフレクタ
9b,9h:第2のデフレクタ 9c:通水孔 9d:間隙 9e:スリット
9f:スペーサ 9i,9j:爪部 W1,W2:消火水