特許第6422333号(P6422333)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6422333
(24)【登録日】2018年10月26日
(45)【発行日】2018年11月14日
(54)【発明の名称】印字ユニット及びプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/04 20060101AFI20181105BHJP
   B41J 11/70 20060101ALI20181105BHJP
【FI】
   B41J11/04
   B41J11/70
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-260733(P2014-260733)
(22)【出願日】2014年12月24日
(65)【公開番号】特開2016-52773(P2016-52773A)
(43)【公開日】2016年4月14日
【審査請求日】2017年10月11日
(31)【優先権主張番号】特願2014-178522(P2014-178522)
(32)【優先日】2014年9月2日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100166305
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 徹
(72)【発明者】
【氏名】村田 智大
【審査官】 西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−272200(JP,A)
【文献】 特開平10−147023(JP,A)
【文献】 特開2008−006674(JP,A)
【文献】 米国特許第06155731(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/00−11/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発熱素子が配設されたサーマルヘッドを有するヘッドユニットと、
記録紙を紙送りするプラテンローラを有し、前記ヘッドユニットに分離可能に組み合わされるプラテンユニットと、を備えた印字ユニットにおいて、
前記プラテンユニットは、
前記プラテンローラの両端部を各別に支持する一対の軸支持部、及び前記一対の軸支持部間を架け渡す連結部を有するプラテンフレームと、
前記プラテンフレームを移動可能に支持するサブフレームと、を有し、
前記ヘッドユニットは、
前記プラテンローラの両端部を各別に収容するとともに、前記プラテンフレームを装着位置で保持する係合凹部と、
前記プラテンフレームにおける一方の前記軸支持部側を、前記プラテンローラと前記係合凹部との離脱方向に向けて押圧する解除レバーと、
装着位置において、前記プラテンフレームの前記連結部に当接する当接部と、
を有し、
前記プラテンフレームと前記サブフレームとの間には、前記プラテンフレームを前記当接部に向けて与圧する与圧機構が配設され、 前記解除レバーは、前記プラテンフレームのうち、前記当接部に対して前記プラテンローラ側に位置する部分を押圧し、
前記与圧機構は、前記プラテンフレームのうち、前記当接部に対して前記プラテンローラ側とは反対側に位置する部分を押圧する
ことを特徴とする印字ユニット。
【請求項2】
前記ヘッドユニット及び前記プラテンフレームのうち、一方側に設けられた固定刃と、
前記ヘッドユニット及び前記プラテンフレームのうち、他方側にスライド可能に設けられるとともに、前記固定刃との間で記録紙を切断する可動刃と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の印字ユニット。
【請求項3】
前記サブフレームは、前記プラテンローラを介して前記プラテンフレームを移動可能に支持していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印字ユニット。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の印字ユニットを有するプリンタにおいて、
前記記録紙を収容する記録紙収容部を有するケーシング本体側に前記ヘッドユニットが組み付けられ、
ヒンジ部を介して前記ケーシング本体に回動可能に連結され、前記記録紙収容部を開閉するプリンタカバー側に、前記サブフレームを介して前記プラテンユニットが組み付けられていることを特徴とするプリンタ。
【請求項5】
記録紙を収容する記録紙収容部を有するケーシング本体と、
前記ケーシング本体に組み付けられたサーマルヘッドを有するヘッドユニットと、
ヒンジ部を介して前記ケーシング本体に回動可能に連結され、前記記録紙収容部を開閉するプリンタカバーと、
前記プリンタカバーに組み付けられるとともに、前記プリンタカバーの閉位置において前記ヘッドユニットに分離可能に組み合わされるプラテンユニットと、を備えたプリンタにおいて、
前記プラテンユニットは、
前記記録紙を紙送りするプラテンローラと、
前記プラテンローラの両端部を各別に支持する一対の軸支持部、及び前記一対の軸支持部間を架け渡す連結部を有するプラテンフレームと、を有し、
前記ヘッドユニットは、
前記プラテンローラの両端部を各別に収容するとともに、前記プラテンフレームを装着位置で保持する係合凹部と、
前記プラテンフレームにおける一方の前記軸支持部側を、前記プラテンローラと前記係合凹部との離脱方向に向けて押圧する解除レバーと、
装着位置において、前記プラテンフレームの前記連結部に当接する当接部と、
を有し、
前記プラテンフレームは、前記プリンタカバーに対して移動可能に支持され、
前記プリンタカバーと前記プラテンフレームとの間には、前記プラテンフレームを前記当接部に向けて与圧する与圧機構が配設され、
前記解除レバーは、前記プラテンフレームのうち、前記当接部に対して前記プラテンローラ側に位置する部分を押圧し、
前記与圧機構は、前記プラテンフレームのうち、前記当接部に対して前記プラテンローラ側とは反対側に位置する部分を押圧する
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項6】
前記ヘッドユニット及び前記プラテンフレームのうち、一方側に設けられた固定刃と、
前記ヘッドユニット及び前記プラテンフレームのうち、他方側にスライド可能に設けられるとともに、前記固定刃との間で前記記録紙を切断する可動刃と、を備えていることを特徴とする請求項5に記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印字ユニット及びプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、記録紙(感熱紙)に対して印刷を行うプリンタとして、サーマルプリンタが知られている。サーマルプリンタは、印字ユニットの小型軽量化が可能であり、またトナーやインク等も使用せず簡素な構成であること等から、キャッシュレジスターや携帯端末装置等に採用され、各種ラベルや、レシート、チケット等の印刷に広く利用されている。
【0003】
上述した印字ユニットとして、例えばロール紙を収納するケーシング本体側にサーマルヘッドを支持するヘッドフレームが取り付けられ、ケーシング本体に対してヒンジ部を介して開閉操作可能に連結されたプリンタカバー側にプラテンローラを支持するプラテンフレームが取り付けられた、いわゆる分離型が知られている。
【0004】
上述した分離型の印字ユニットでは、プリンタカバーの閉位置において、プラテンローラとサーマルヘッドとの圧接状態を維持するためのロック機構を備えている。上述したロック機構として、例えばプラテンローラの両端部を各別に受け入れる係合凹部がヘッドフレームに形成された構成が知られている。
この構成によれば、プリンタカバーの閉操作に伴い、プラテンローラの両端部が係合凹部内に収容されるとともに、サーマルヘッドが付勢部材によってプラテンローラ側に押し付けられることで、プラテンローラが係合凹部内に係合される。
【0005】
一方、上述の構成において、プラテンローラと係合凹部との係合を解除するためには、ヘッドフレームに設けられた解除レバー等によってプラテンローラの一端部を係合凹部から離脱する方向に向けて押し上げる。このとき、プラテンローラの一端部に作用する押し上げ力を、プラテンフレームやプリンタカバーを介してプラテンローラの他端部に伝達させることで、プラテンローラの両端部を係合凹部から離脱させるようになっている。
【0006】
また、印字ユニットでは、印刷された記録紙を切断するカッター機構を備えたものがある(例えば、下記特許文献2参照)。カッター機構は、上述した両ユニットのうち、例えばヘッドフレーム側に組み込まれた可動刃と、プラテンフレーム側に組み込まれた固定刃と、を備えている。この構成によれば、可動刃を固定刃に対してスライド移動させることで、可動刃及び固定刃との間で記録紙を挟み込んで切断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−318260号公報
【特許文献2】特開2009−269319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した構成においては、プラテンローラと係合凹部との係合を確実に解除することが難しかった。具体的に、プラテンローラの一端部に作用する押し上げ力がプラテンフレームやプリンタカバーを介して他端部に伝達される際、押し上げ力によってプリンタカバーが捩れ、プラテンローラの他端部にまで押し上げ力が十分に伝達され難いという課題があった。この場合には、プラテンローラのうち、一端部のみが係合凹部との係合から解除された、いわゆる片開きが生じるおそれがある。
これに対して、プリンタカバー等を補強して、プラテンローラの他端部にまで押し上げ力を伝達し易くする構成も考えられるが、製造コストの増加に繋がる等の問題がある。
【0009】
また、ロック機構として、例えば特許文献1に示されるように、ヘッドフレームに形成された凹部内でプラテンローラの両端部を各別に保持する一対のロックアームを備える構成が知られている。この構成によれば、解除レバー等の操作に連動して各ロックアームがプラテンローラの両端部から離間することで、プラテンローラを凹部内から容易に離脱させることが可能とされている。
しかしながら、特許文献1の構成にあっては、ロックアームを別途設ける必要があるため、部品点数の増加や製造コストの増加に繋がるという問題がある。
【0010】
また、上述したカッター機構において、記録紙の良好な切断性を確保するためには、可動刃がスライドする際に固定刃及び可動刃同士が適度な接触圧で接するように、可動刃及び固定刃間の位置関係を設定する必要がある。そこで、例えば特許文献2には、固定刃の刃先が可動刃に押し付けられるように固定刃を付勢する付勢部材を配設する構成が採用されている。
【0011】
しかしながら、分離型の印字ユニットにおいては、可動刃及び固定刃の位置関係は、プリンタカバー及びケーシング本体の位置精度(例えば、ヒンジ部の位置等)に依存している。例えば、プラテンローラに対するヒンジ部の位置(高さ)によって固定刃の角度が変化する。そのため、プリンタカバー及びケーシング本体の位置精度が悪い場合には、プリンタカバーの閉位置において固定刃及び切断刃を高精度に位置決めすることが難しく、切断性が低下するおそれがある。
【0012】
本発明は、このような事情に考慮してなされたものであって、部品点数や製造コストの増加を抑制した上で、優れた操作性を具備させることができ、また可動刃及び固定刃を高精度に位置決めして優れた切断性を具備させることができる印字ユニット及びプリンタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る印字ユニットは、複数の発熱素子が配設されたサーマルヘッドを有するヘッドユニットと、記録紙を紙送りするプラテンローラを有し、前記ヘッドユニットに分離可能に組み合わされるプラテンユニットと、を備えた印字ユニットにおいて、前記プラテンユニットは、前記プラテンローラの両端部を各別に支持する一対の軸支持部、及び前記一対の軸支持部間を架け渡す連結部を有するプラテンフレームと、前記プラテンフレームを移動可能に支持するサブフレームと、を有し、前記ヘッドユニットは、前記プラテンローラの両端部を各別に収容するとともに、前記プラテンフレームを装着位置で保持する係合凹部と、前記プラテンフレームにおける一方の前記軸支持部側を、前記プラテンローラと前記係合凹部との分離方向に向けて押圧する解除レバーと、装着位置において、前記プラテンフレームの前記連結部に当接する当接部と、を有し、前記プラテンフレームと前記サブフレームとの間には、前記プラテンフレームを前記当接部に向けて与圧する与圧機構が配設されていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、ヘッドユニットからプラテンユニットを分離させる際には、まず解除レバーを操作して、プラテンユニットにおける一方の軸支持部側を分離方向に向けて押圧する。すると、プラテンフレームが当接部を支点にしてサブフレームに対して分離方向に向けて回動することで、プラテンローラが係合凹部から離脱していく。その後、プラテンローラと係合凹部との係合が解除され、両ユニットの組み合わせが解除される。
ここで、プラテンフレームが与圧機構によって当接部に向けて与圧されているため、解除レバーによるプラテンフレームの押圧時において、プラテンフレームと当接部との当接状態を維持し、プラテンフレームの当接部からの浮き上がりが抑制される。そのため、解除レバーから一方の軸支持部側に作用する押し上げ力は、連結部を介して他方側の軸支持部に伝達される。これにより、プラテンローラの両端部が係合凹部から離脱することになる。
【0015】
このように、解除レバーの押圧力を両軸支持部に効率的に伝達することができるので、片開きの発生を抑制し、両ユニットを確実に分離することができる。この場合、従来のようにプラテンユニットが組み付けられるプリンタカバーを補強したり、ロックアームを設けたりする等の必要がないので、部品点数や製造コストの増加を抑えることができる。
しかも、プラテンユニット(プラテンフレーム)とヘッドユニットとが当接部を介して当接するので、両者を同電位で保持することができ、二次放電等の発生を抑制できる。
【0016】
本発明に係る印字ユニットでは、前記解除レバーは、前記プラテンフレームのうち、前記当接部に対して前記プラテンローラ側に位置する部分を押圧し、前記与圧機構は、前記プラテンフレームのうち、前記当接部に対して前記プラテンローラ側とは反対側に位置する部分を押圧してもよい。
この構成によれば、プラテンフレームと当接部との当接状態を確実に維持でき、解除レバーの押圧力を両軸支持部により効率的に伝達することができる。
【0017】
本発明に係る印字ユニットでは、前記ヘッドユニット及び前記プラテンフレームのうち、一方側に設けられた固定刃と、前記ヘッドユニット及び前記プラテンフレームのうち、他方側にスライド可能に設けられるとともに、前記固定刃との間で記録紙を切断する可動刃と、を備えていてもよい。
この構成によれば、上述したようにプラテンフレームがヘッドユニットの当接部に当接するので、両ユニットが組み付けられた状態において、両ユニットが所定位置で位置決めされることになる。すなわち、プラテンユニット及びヘッドユニットが、プラテンローラと係合凹部との連結部分、及びプラテンフレームとヘッドユニットの当接部との当接部分の少なくとも2か所で位置決めされるため、ヘッドユニットとプラテンユニットとを高精度に位置決めできる。特に、プラテンフレームは与圧機構によって当接部に向けて付勢されているため、仮にプラテンローラに対するヒンジ部の位置にばらつきがあった場合であっても、その位置ばらつきを与圧機構の変形量で吸収できる。そのため、プラテンフレームと当接部との当接状態を維持し、ヘッドユニットとプラテンユニットとが高精度に位置決めされる。そのため、ヘッドユニット及びプラテンフレームのうち、一方側に設けられた固定刃と、他方側に設けられた可動刃と、を高精度に位置決めできる。そのため、優れた切断性を具備させることができる。
【0018】
本発明に係る印字ユニットでは、前記サブフレームは、前記プラテンローラを介して前記プラテンフレームを移動可能に支持していてもよい。
この構成によれば、サブフレームがプラテンローラを介してプラテンフレームに支持されているため、サブフレームがプラテンローラ以外の別部材によりプラテンフレームに支持される場合に比べて、部品点数の増加を抑制できる。
【0019】
本発明に係るプリンタは、上記本発明の印字ユニットを有するプリンタにおいて、前記記録紙を収容する記録紙収容部を有するケーシング本体側に前記ヘッドユニットが組み付けられ、ヒンジ部を介して前記ケーシング本体に回動可能に連結され、前記記録紙収容部を開閉するプリンタカバー側に、前記サブフレームを介して前記プラテンユニットが組み付けられていてもよい。
この構成によれば、上述した印字ユニットを備えているため、部品点数や製造コストの増加を抑制した上で、優れた操作性を具備させることができる。
【0020】
本発明に係るプリンタは、記録紙を収容する記録紙収容部を有するケーシング本体と、前記ケーシング本体に組み付けられたサーマルヘッドを有するヘッドユニットと、ヒンジ部を介して前記ケーシング本体に回動可能に連結され、前記記録紙収容部を開閉するプリンタカバーと、前記プリンタカバーに組み付けられるとともに、前記プリンタカバーの閉位置において前記ヘッドユニットに分離可能に組み合わされるプラテンユニットと、を備えたプリンタにおいて、前記プラテンユニットは、前記記録紙を紙送りするプラテンローラと、前記プラテンローラの両端部を各別に支持する一対の軸支持部、及び前記一対の軸支持部間を架け渡す連結部を有するプラテンフレームと、を有し、前記ヘッドユニットは、前記プラテンローラの両端部を各別に収容するとともに、前記プラテンフレームを装着位置で保持する係合凹部と、前記プラテンフレームにおける一方の前記軸支持部側を、前記プラテンローラと前記係合凹部との離脱方向に向けて押圧する解除レバーと、装着位置において、前記プラテンフレームの前記連結部に当接する当接部と、を有し、前記プラテンフレームは、前記プリンタカバーに対して移動可能に支持され、前記プリンタカバーと前記プラテンフレームとの間には、前記プラテンフレームを前記当接部に向けて与圧する与圧機構が配設されていることを特徴とする。
この構成によれば、ヘッドユニットからプラテンユニットを分離させる際には、まず解除レバーを操作して、プラテンユニットにおける一方の軸支持部側を分離方向に向けて押圧する。すると、プラテンフレームが当接部を支点にしてプリンタカバーに対して分離方向に向けて回動することで、プラテンローラが係合凹部から離脱していく。その後、プラテンローラと係合凹部との係合が解除され、両ユニットの組み合わせが解除される。
ここで、プラテンフレームが与圧機構によって当接部に向けて与圧されているため、解除レバーによるプラテンフレームの押圧時において、プラテンフレームと当接部との当接状態を維持し、プラテンフレームの当接部からの浮き上がりが抑制される。そのため、解除レバーから一方の軸支持部側に作用する押し上げ力は、連結部を介して他方側の軸支持部に伝達される。これにより、プラテンローラの両端部が係合凹部から離脱することになる。
【0021】
このように、解除レバーの押圧力を両軸支持部に効率的に伝達することができるので、片開きの発生を抑制し、両ユニットを確実に分離することができる。この場合、従来のようにプラテンユニットが組み付けられるプリンタカバーを補強したり、ロックアームを設けたりする等の必要がないので、部品点数や製造コストの増加を抑えることができる。また、プラテンフレームがプリンタカバーに移動可能に支持されているので、プラテンフレームとプリンタカバーとの間に別途サブフレームを介在させる場合に比べて部品点数の削減を図ることができる。
しかも、プラテンユニット(プラテンフレーム)とヘッドユニットとが当接部を介して当接するので、両者を同電位で保持することができ、二次放電等の発生を抑制できる。
【0022】
本発明に係るプリンタでは、前記ヘッドユニット及び前記プラテンフレームのうち、一方側に設けられた固定刃と、前記ヘッドユニット及び前記プラテンフレームのうち、他方側にスライド可能に設けられるとともに、前記固定刃との間で前記記録紙を切断する可動刃と、を備えていてもよい。
この構成によれば、上述したようにプラテンフレームがヘッドユニットの当接部に当接するので、両ユニットが組み付けられた状態において、両ユニットが所定位置で位置決めされることになる。すなわち、プラテンユニット及びヘッドユニットが、プラテンローラと係合凹部との連結部分、及びプラテンフレームとヘッドユニットの当接部との当接部分の少なくとも2か所で位置決めされる。特に、プラテンフレームは与圧機構によって当接部に向けて付勢されているため、仮にプラテンローラに対するヒンジ部の位置にばらつきがあった場合であっても、その位置ばらつきを与圧機構の変形量で吸収できる。そのため、プラテンフレームと当接部との当接状態を維持し、ヘッドユニットとプラテンユニットとが高精度に位置決めされる。そのため、ヘッドユニット及びプラテンフレームのうち、一方側に設けられた固定刃と、他方側に設けられた可動刃と、を高精度に位置決めできる。そのため、優れた切断性を具備させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、部品点数や製造コストの増加を抑制した上で、優れた操作性を具備させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】プリンタカバーの開位置において、ケーシング内に印字ユニットが組み込まれた状態を示すサーマルプリンタの断面図である。
図2】プリンタカバーの閉位置において、ケーシング内に印字ユニットが組み込まれた状態を示すサーマルプリンタの断面図である。
図3】印字ユニットの側面図である。
図4】印字ユニットの分解斜視図である。
図5】印字ユニットの断面図である。
図6】プラテンユニットの斜視図である。
図7】サーマルプリンタの開閉動作を説明するための説明図であって、図5の部分断面図である。
図8】サーマルプリンタの開閉動作を説明するための説明図であって、図5の部分断面図である。
図9】サーマルプリンタの開閉動作を説明するための説明図であって、図5の部分断面図である。
図10】プリンタカバーの開動作時を説明するための説明図であって、図3に相当する側面図である。
図11】実施形態の他の構成に係るサーマルプリンタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[サーマルプリンタ]
図1図2は、サーマルプリンタ1の断面図であって、図1はプリンタカバー6の開位置を示し、図2はプリンタカバー6の閉位置(装着位置)を示す。なお、本実施形態では、図1に示す例において、紙面上下方向を単に上下方向L1、紙面に直交する方向を左右方向L2、上下方向L1及び左右方向L2に直交する方向を前後方向L3として説明する。
図1図2に示すように、本実施形態のサーマルプリンタ1は、互いに分離可能に組み合わされるプラテンユニット2及びヘッドユニット3を有する印字ユニット9と、印字ユニット9が組み込まれるとともに、記録紙Pが巻回されたロール紙Rを収容するケーシング4と、を備えている。
【0026】
ケーシング4は、ロール紙Rを収容するロール紙収容部5aが形成されたケーシング本体5と、ロール紙収容部5aを開閉するプリンタカバー6と、を備えている。
プリンタカバー6は、ヒンジ部7を介してケーシング本体5に回動可能に連結されている。また、図2に示すように、プリンタカバー6の閉位置において、ロール紙収容部5aの開口縁と、プリンタカバー6の先端部と、の間には、記録紙Pを外部(上方)に排出する排出口8が形成されている。
【0027】
上述したプラテンユニット2は、プラテンローラ10及び固定刃13が主に組み込まれたユニットであって、プリンタカバー6の内面における先端部に組み付けられている。このため、プラテンユニット2は、プリンタカバー6の開閉動作に伴って移動することで、ヘッドユニット3に対して分離可能に組み合わされる。
一方、ヘッドユニット3は、例えばサーマルヘッド12及び可動刃11が主に組み込まれたユニットであって、ケーシング本体5に組み付けられている。図示の例において、ヘッドユニット3は、ロール紙収容部5aに隣接して配設された内部プレート5b上に、サーマルヘッド12をロール紙収容部5a側に向けた状態で固定されている。
【0028】
なお、プリンタカバー6が閉まり、プラテンユニット2とヘッドユニット3とが組み合わされたときに、図2に示すように、プラテンローラ10に対してサーマルヘッド12が押し付けられるとともに、固定刃13に対して可動刃11が重なり合う。なお、固定刃13及び可動刃11によりカッター機構14を構成している。
【0029】
次に、上述した印字ユニット9の構成を詳述する。
(プラテンユニット)
図3は印字ユニット9の側面図であり、図4は印字ユニット9の分解斜視図である。図5は印字ユニット9の断面図であり、図6はプラテンユニット2の斜視図である。
図3図6に示すように、プラテンユニット2は、上述したプラテンローラ10及び固定刃13と、これらプラテンローラ10及び固定刃13を支持するプラテンフレーム21と、プラテンフレーム21を支持するサブフレーム22と、を備えている。
【0030】
まず、プラテンフレーム21は、金属等の板材が屈曲形成されてなり、前後方向L3方向から見た正面視で下方に向けて開放されたコ字状を呈している。具体的に、プラテンフレーム21は、左右方向L2の両端部に位置する一対の軸支持部24と、左右方向L2に沿って延びるとともに、各軸支持部24間を架け渡す連結部25と、を備えている。
各軸支持部24における前後方向L3の一端部には、プラテンローラ10の後述する軸受29が保持されている。また、各軸支持部24のうち、左右方向L2の一端側に位置する軸支持部24の下端部には、左右方向L2の外側に向けて突出する突出片26が形成されている。
【0031】
プラテンローラ10は、プリンタカバー6の閉位置においてプラテンユニット2とヘッドユニット3とが組み合わされたときに、記録紙Pを間に挟んだ状態でヘッドユニット3側のサーマルヘッド12に対して外周面が接触するように配置されている。具体的に、プラテンローラ10は、左右方向L2に沿って延びるプラテン軸27と、プラテン軸27に外装されたゴム等からなるローラ本体28と、を備えている。
【0032】
プラテン軸27の両端部には、軸受29がそれぞれ外装されている。各軸受29は、上述したようにプラテンフレーム21に保持され、これら軸受29を介してプラテンローラ10がプラテンフレーム21に回転可能に支持されている。
また、プラテン軸27の他端部(プラテン軸27のうち、左右方向L2における他端側の軸受29よりも外側に位置する部分)には、プラテン用歯車31が装着されている(図4参照)。このプラテン用歯車31は、プラテンユニット2とヘッドユニット3とが組み合わされたとき、ヘッドユニット3側の後述するプラテン駆動用歯車52(図4参照)に噛合して、プラテンローラ10に回転力を伝達する。これにより、プラテンローラ10と、サーマルヘッド12と、の間で記録紙Pを挟み込みながら紙送りすることが可能とされている。
【0033】
固定刃13は、左右方向L2に沿って延在する板状とされ、その刃先を前後方向L3の一端側に向けた状態でプラテンフレーム21の連結部25上に固定されている。
【0034】
サブフレーム22は、プラテンフレーム21よりも一回り大きくなっており、プラテンフレーム21を上方及び左右方向L2の両側から囲繞している。具体的に、サブフレーム22は、左右方向L2の両側に位置する側壁部33と、各側壁部33間を連結する基部34と、を有している。
各側壁部33における前後方向L3の一端部には、プラテンローラ10の各軸受29が各別に遊挿されている。これにより、サブフレーム22は、プラテンローラ10を介してプラテンフレーム21を回転可能、かつ左右方向L2に直交する面内を移動可能に支持している。また、各側壁部33において、前後方向L3の他端部には、左右方向L2の内側に向けて屈曲された屈曲片36が形成されている。
【0035】
ここで、プラテンフレーム21とサブフレーム22との間には、プラテン軸27周りにプラテンフレーム21をサブフレーム22から離間する方向(下方)に向けて付勢(与圧)する一対の与圧機構37が介在している。各与圧機構37は、例えば上下方向L1に沿って延びるコイルばね等からなり、その下端部がサブフレーム22の上述した屈曲片36に各別に連結され、上端部がプラテンフレーム21の連結部25に連結されている。この場合、プリンタカバー6の開位置において、プラテンフレーム21は、サブフレーム22に対して傾いた状態で保持されている(例えば、図8参照)。
【0036】
(ヘッドユニット)
図3図5に示すように、ヘッドユニット3は、上述したサーマルヘッド12及び可動刃11と、これらサーマルヘッド12及び可動刃11を支持するヘッドフレーム41と、を備えている。
【0037】
ヘッドフレーム41は、前後方向L3から見た正面視でコ字状を呈し、左右方向L2の両側に位置する一対の側壁部42、及び側壁部42の上端部同士を架け渡す天壁部43と、を有している。
側壁部42には、プラテンローラ10の軸受29が各別に係合される係合凹部44が形成されている。これら係合凹部44は、上方に向けて開口するとともに、前後方向L3に沿う幅が下方に向かうに従い漸次縮小している。また、係合凹部44の内周縁には、閉位置において、プラテンローラ10の軸受29に上方から係合するストッパ部45が、前後方向L3の一端側に向けて突設されている。
【0038】
また、図5に示すように、側壁部42の上端部において、前後方向L3の他端側に位置する角部は、プラテンユニット2がヘッドユニット3に組み合わされた状態で、プラテンフレーム21の連結部25に当接する当接部47を構成している。具体的に、当接部47は、プラテンフレーム21の連結部25のうち、左右方向L2の両端部であって、前後方向L3におけるプラテンローラ10よりも他端側に位置する部分に当接するように構成されている。
【0039】
したがって、プラテンユニット2がヘッドユニット3に組み合わされた状態において、上述した与圧機構37は、プラテンフレーム21を当接部47に向けて付勢(与圧)し、プラテンフレーム21と当接部47との当接状態を維持している。これにより、プラテンフレーム21に支持されているプラテンローラ10及び固定刃13が、サーマルヘッド12及び可動刃11に対して所定位置(すなわち、紙送り可能な位置及び用紙切断可能な位置)に位置決めされる。
また、このときのプラテンフレーム21には、当接部47を支点にしてプラテンローラ10が係合凹部44から離脱する方向(離脱方向)に付勢力が作用している。なお、与圧機構37の付勢力は、プラテンユニット2とヘッドユニット3とが組み合わされた状態で、プラテンローラ10と係合凹部44とが付勢力のみによって離脱しない程度で、かつプリンタカバー6に捩れ等が生じない程度に設定されている。
【0040】
図4図5に示すように、ヘッドフレーム41において、側壁部42間に位置する部分には、ガイド部材48が設けられている。ガイド部材48における左右方向L2の中央部には、下方に向けて窪む収容部48aが形成されている。収容部48a内には、閉位置において、上述したプラテンローラ10のローラ本体28が収容される。そして、ローラ本体28の外周面と収容部48aの底面との間を記録紙Pが通過するように構成されている。
【0041】
図3図4に示すように、ヘッドフレーム41の各側壁部42のうち、左右方向L2における一端側の側壁部42には、プラテンユニット2とヘッドユニット3との組み合わせを解除する解除レバー51が配設されている。解除レバー51は、左右方向L2から見た側面視でV字状とされ、その頂部が左右方向L2に沿って延びる回動軸O1周りに回動可能に支持されている。解除レバー51のうち、頂部に対して一端側に位置する部分は、ケーシング本体5に設けられた図示しないレバー部材が係止されるレバー係止部51aを構成している。これにより、解除レバー51は、レバー部材の操作に連動して回動するようになっている。一方、解除レバー51のうち、頂部に対して他端側に位置する部分は、プラテンフレーム21の上述した突出片26に下方から当接可能な当接片51bを構成している。当接片51bは、解除レバー51の回動時に突出片26を介してプラテンユニット2を上方に向けて押し上げる。
【0042】
図4に示すように、各側壁部42のうち、左右方向L2における他端側の側壁部42には、プラテンユニット2とヘッドユニット3とが互いに組み合わされた際に、プラテンユニット2のプラテン用歯車31に噛合するプラテン駆動用歯車52が設けられている。このプラテン駆動用歯車52は、図示しないプラテン用輪列機構を介してヘッドフレーム41に搭載されたプラテン駆動用モータ53(図5参照)に接続されている。これにより、プラテン駆動用モータ53を適宜回転させることで、その回転力をプラテン用輪列機構、及びプラテン駆動用歯車52を介してプラテン用歯車31に伝達し、プラテンローラ10を回転させることが可能とされている。
【0043】
図4に示すように、サーマルヘッド12は、左右方向L2(記録紙Pの紙幅方向)に沿って延在する板状とされ、ヘッドフレーム41のうち前後方向L1におけるガイド部材48よりも一端側に配置されている。サーマルヘッド12の表面には、複数の発熱素子12aがライン状に配列されている。発熱素子12aは、ガイド部材48における収容部48aの底面よりも上方に位置し、プリンタカバー6の閉位置において、プラテンローラ10に対向配置される。なお、図5に示すように、サーマルヘッド12は、ガイド部材48に
回動可能に支持されたヘッド支持体55に固定されている。ヘッド支持体55は、ヘッドフレーム41の天壁部43から下方に向けて延設された支持プレート56との間に介在するヘッド付勢部材57によって前後方向L3における他端側に向けて付勢されている。これにより、閉位置において、プラテンローラ10には、サーマルヘッド12が圧接されるようになっている。
【0044】
図3図5に示すように、可動刃11は、プリンタカバー6を閉じてヘッドユニット3とプラテンユニット2とが組み合わされたときに、記録紙Pを挟んで固定刃13に対して前後方向L3で向き合う位置に配設されている。具体的に、可動刃11は、可動刃フレーム61と、可動刃フレーム61にスライド可能に支持された可動刃本体62と、可動刃本体62を駆動させる駆動機構63と、を備えている。
【0045】
可動刃フレーム61は、ヘッドフレーム41の天壁部43上に固定されている。
可動刃本体62は、上下方向L1から見た平面視でV字状とされ、根元から刃先までの長さが両端から中央に向かって漸次短くなるように形成されている。
【0046】
駆動機構63は、可動刃フレーム61上に搭載された正逆転可能なカッター用モータや、カッター用モータ及び可動刃本体62間に接続される輪列機構等を有している。そして、可動刃本体62は、カッター用モータの駆動力が輪列機構を介して伝達されることで、スライド移動する。
【0047】
(サーマルプリンタの作用)
次に、上述したサーマルプリンタ1の作動について説明する。図7図9は、サーマルプリンタ1の開閉動作を説明するための説明図であって、図5の部分断面図である。
まず、プリンタカバー6の閉動作について説明する。
図7に示すように、ロール紙Rをロール紙収容部5a内に投入した後、プリンタカバー6を閉じると、プラテンローラ10の軸受29がヘッドユニット3の係合凹部44内に各別に収容される。具体的には、プリンタカバー6の閉動作に伴い、まずプラテンフレーム21の連結部25がヘッドフレーム41の当接部47に突き当たる。図8に示すように、この状態でプリンタカバー6をさらに閉方向に向けて押し込むと、サブフレーム22がプリンタカバー6とともに回動するとともに、プラテンフレーム21が当接部47を支点にしてプリンタカバー6(サブフレーム22)に対して回動する。
【0048】
すると、プラテンローラ10は、軸受29が係合凹部44の内周縁上を摺動しながら、下方に向けて移動する。その後、図9に示すように、プラテンローラ10は、軸受29がストッパ部45を乗り越える際に、ローラ本体28の外周面がサーマルヘッド12に接触して、ヘッド付勢部材57の付勢力に抗する方向(前後方向L3の一端側)に向けてサーマルヘッド12を押圧する。そして、プラテンローラ10の軸受29が係合凹部44内のストッパ部45を乗り越えた後、ローラ本体28がヘッド付勢部材57の付勢力によって前後方向L3の他端側に向けて押圧されることで、軸受29がストッパ部45に係合された状態で係合凹部44内に保持される。これにより、図2図3に示すように、プリンタカバー6が閉位置となるとともに、プラテンユニット2がヘッドユニット3に装着されて、両ユニット2,3が組み合わさった状態となる。なお、両ユニット2,3が組み合わされた状態において、与圧機構37は当接部47に対して前後方向L3の他端側でプラテンフレーム21を当接部47に向けて付勢している。
【0049】
ここで、両ユニット2,3が組み合わさった状態において、プラテンユニット2は、プラテンローラ10が係合凹部44内に保持されるとともに、プラテンフレーム21が当接部47に当接している。すなわち、プラテンユニット2及びヘッドユニット3が、プラテンローラ10と係合凹部44との連結部分、及びプラテンフレーム21とヘッドユニット3の当接部47との当接部分の少なくとも2か所で位置決めされる。
特に、プラテンフレーム21は与圧機構37によって当接部47に向けて付勢されているため、仮にプラテンローラ10に対するヒンジ部7の位置にばらつきがあった場合であっても、その位置ばらつきを与圧機構37の変形量で吸収できる。そのため、プラテンフレーム21と当接部47との当接状態を維持し、ヘッドユニット3とプラテンユニット2とが高精度に位置決めされる。
【0050】
そして、両ユニット2,3が組み合わさった状態において、記録紙Pがプラテンローラ10とサーマルヘッド12との間に挟まれた状態となる。また、この記録紙Pは、可動刃11と固定刃13との間を通過した後、排出口8からケーシング4の外側に引き出された状態となる。さらに、プラテンユニット2側のプラテン用歯車31が、ヘッドユニット3側のプラテン駆動用歯車52に噛合する。
【0051】
その後、プラテン駆動用モータ53を駆動させて、その回転力をプラテンユニット2のプラテン用歯車31に伝達させる。これにより、プラテンローラ10を回転させることができ、サーマルヘッド12との間で記録紙Pを挟み込みながら紙送りさせることができる。また、この紙送りと同時に、サーマルヘッド12の発熱素子12aを適宜発熱させることで、紙送りされる記録紙Pに対して各種の文字や図形等を明瞭に印字することができる。
【0052】
印字された記録紙Pは固定刃13と可動刃11との間を通過する。そして、記録紙Pが所定の長さ通過した後、駆動機構63を駆動させ、可動刃本体62を固定刃13に向けてスライドさせる。これにより、固定刃13と可動刃11との間で記録紙Pを切断できる。その結果、切断した記録紙Pを、レシートやチケット等として使用することができる。
【0053】
次に、プリンタカバー6の開動作について説明する。
図10は、プリンタカバー6の開動作時を説明するための説明図であって、図3に相当する側面図である。
図10に示すように、ケーシング本体5に設けられた図示しないレバー部材を操作すると、レバー部材の操作に連動して、解除レバー51が回動軸O1周りに回動する。すると、解除レバー51の当接片51bが突出片26を介してプラテンユニット2を上方に向けて押し上げる。具体的には、図9に示すように、まずプラテンフレーム21が当接部47を支点にしてサブフレーム22に対して上方に向けて回動する。すると、プラテンローラ10は、ローラ本体28の外周面がサーマルヘッド12をヘッド付勢部材57の付勢力に抗する方向に向けて押圧しながら係合凹部44から離脱していく。このとき、図7図8に示すように、プラテンローラ10の軸受29がストッパ部45を乗り越えることで、軸受29とストッパ部45との係合が解除され、両ユニット2,3の組み合わせが解除される。その後、図1に示すように、プリンタカバー6を引き上げることで、プリンタカバー6が開位置となる。
【0054】
ここで、プラテンフレーム21が与圧機構37によって当接部47に向けて付勢されているため、解除レバー51によるプラテンフレーム21の押し上げ時において、プラテンフレーム21と当接部47との当接状態を維持し、プラテンフレーム21の当接部47からの浮き上がりが抑制される。そのため、解除レバー51から突出片26(一端側の軸支持部24)に作用する押し上げ力は、連結部25を介して他端側の軸支持部24に伝達される。これにより、プラテンローラ10の両軸受29が係合凹部44から離脱することになる。
【0055】
このように、本実施形態によれば、解除レバー51の押し上げ力を両軸支持部24に効率的に伝達することができるので、片開きの発生を抑制し、両ユニット2,3を確実に分離することができる。この場合、従来のようにプリンタカバー6を補強したり、ロックアームを設けたりする等の必要がないので、部品点数や製造コストの増加を抑えることができる。
しかも、プラテンユニット2(プラテンフレーム21)とヘッドユニット3とが当接部47を介して当接するので、両者を同電位で保持することができ、二次放電等の発生を抑制できる。
また、プラテンフレーム21とサブフレーム22との間に与圧機構37が介在しているため、与圧機構37が組み付けられた状態で、印字ユニット9をケーシング4に組み付けることができる。これにより、例えばプリンタカバー6とプラテンユニット2との間に与圧機構37を介在させる場合に比べて、印字ユニット9をケーシング4に組み付ける際の組付性を向上させることができる。
【0056】
また、本実施形態では、解除レバー51が、プラテンフレーム21のうち、当接部47に対してプラテンローラ10側に位置する部分を押圧し、与圧機構37が、プラテンフレーム21のうち、当接部47に対してプラテンローラ10側とは反対側に位置する部分を押圧する構成とした。
この構成によれば、プラテンフレーム21と当接部47との当接状態を確実に維持でき、解除レバー51の押し上げ力を両軸支持部24により効率的に伝達することができる。
【0057】
さらに、プラテンフレーム21がヘッドユニット3の当接部47に当接するので、両ユニット2,3が組み付けられた状態において、両ユニット2,3が所定位置で位置決めされることになる。そのため、ヘッドユニット3に設けられた可動刃11に対してプラテンフレーム21に設けられた固定刃13を、プリンタカバー6に対する可動刃11の位置精度に関わらず高精度に位置決めできる。その結果、カッター機構14の優れた切断性を具備させることができる。
【0058】
また、サブフレーム22がプラテンローラ10を介してプラテンフレーム21に支持されているため、サブフレーム22がプラテンローラ10以外の別部材によりプラテンフレーム21に支持される場合に比べて、部品点数の増加を抑制できる。
【0059】
そして、本実施形態のサーマルプリンタ1では、上述した印字ユニット9を備えているため、部品点数や製造コストの増加を抑制した上で、優れた操作性を具備させることができる。
【0060】
なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0061】
例えば、上述した実施形態では、与圧機構37が、プラテンフレーム21のうち、当接部47に対してプラテンローラ10側とは反対側に位置する部分を押圧する構成について説明したが、これに限らず、プラテンフレーム21を当接部47に向けて与圧する構成であれば押圧位置は適宜設計変更が可能である。
また、上述した実施形態では、プラテンフレーム21に固定刃13が設けられ、ヘッドフレーム41に可動刃11が設けられた構成について説明したが、これに限られない。すなわち、プラテンフレーム21に可動刃11が設けられ、ヘッドフレーム41に固定刃13が設けられた構成であっても構わない。
【0062】
さらに、上述した実施形態では、与圧機構37が複数設けられた構成について説明したが、これに限らず、単数であっても構わない。
また、上述した構成では、与圧機構37として、コイルばねを用いる構成について説明したが、プラテンフレーム21を当接部47に向けて与圧する構成であれば、適宜設計変更が可能である。
さらに、上述した実施形態では、解除レバー51がプラテンフレーム21を介してプラテンユニット2を押し上げる構成について説明したが、プラテンローラ10を介してプラテンユニット2を押し上げても構わない。
【0063】
また、上述した実施形態では、プラテンフレーム21がサブフレーム22に移動可能に支持され、これらプラテンフレーム21及びサブフレーム22間に与圧機構37を介在させる構成について説明したが、これに限らず、サブフレーム22を設けない構成としても構わない。
【0064】
例えば、図11に示すように、プラテンフレーム21がプリンタカバー6に移動可能に支持され、これらプラテンフレーム21及びプリンタカバー6間に与圧機構37が介在する構成であっても構わない。具体的に、図11に示すサーマルプリンタ100は、プリンタカバー6の先端部において、左右方向L2の両端部から下方に向けて延設された一対のステー101を備えている。これらステー101には、プラテンローラ10の各軸受29(図6参照)が各別に遊挿されている。これにより、プリンタカバー6は、プラテンローラ10を介してプラテンフレーム21を回転可能、かつ左右方向L2に直交する面内を移動可能に支持している。また、ステー101において、前後方向L3の他端部には、左右方向の内側に向けてボス102が突設されている。
【0065】
そして、プラテンフレーム21とプリンタカバー6との間には、プラテン軸27周りにプラテンフレーム21をプリンタカバー6から離間する方向(下方)に向けて付勢(与圧)する一対の与圧機構37が介在している。
【0066】
この構成によれば、上述した実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、プラテンユニット2がプリンタカバー6に移動可能に支持されているので、プラテンフレーム21とプリンタカバー6との間に別途サブフレームを介在させる場合に比べて部品点数の削減を図ることができる。
【0067】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせても構わない。
【符号の説明】
【0068】
1,100…サーマルプリンタ(プリンタ)
2…プラテンユニット
3…ヘッドユニット
5…ケーシング本体
5a…ロール紙収容部
6…プリンタカバー
9…印字ユニット
10…プラテンローラ
11…可動刃
12…サーマルヘッド
13…固定刃
21…プラテンフレーム
22…サブフレーム
24…軸支持部
25…連結部
37…与圧機構
44…係合凹部
47…当接部
51…解除レバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11