特許第6422360号(P6422360)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6422360レジスターボックス、その製造方法および水道メータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6422360
(24)【登録日】2018年10月26日
(45)【発行日】2018年11月14日
(54)【発明の名称】レジスターボックス、その製造方法および水道メータ
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/06 20060101AFI20181105BHJP
【FI】
   G01F1/06 Z
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-26129(P2015-26129)
(22)【出願日】2015年2月13日
(65)【公開番号】特開2016-148606(P2016-148606A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2017年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222657
【氏名又は名称】東洋計器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】土田 泰秀
(72)【発明者】
【氏名】竹中 宏
【審査官】 山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−023227(JP,A)
【文献】 特開2002−310744(JP,A)
【文献】 特開昭62−003619(JP,A)
【文献】 特開2001−033286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00− 1/12
G01F 15/00−15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
羽根車の回転に基づき流量を計測する計測ユニットを収納する、水道メータの樹脂製のレジスターボックスであって、
上端が開口した筒状胴部と、
前記筒状胴部の下端を封鎖している底板部と、
前記底板部の中央部分を上側に突出させることにより形成され、当該底板部の外側表面の中央部分に下向きに開口する所定深さの中央凹部と、
前記底板部の内側表面に形成した複数本の内側補強リブと、
前記底板部の前記外側表面に形成した複数本の外側補強リブと
を有していることを特徴とする水道メータのレジスターボックス。
【請求項2】
前記外側補強リブは、前記中央凹部を中心として放射状に形成され、
前記内側補強リブは、前記中央凹部を形成するために当該中央凹部に対応する前記内側表面の中央部分に形成されている中央凸部を中心として放射状に形成されている
請求項1に記載の水道メータのレジスターボックス。
【請求項3】
前記外側補強リブのそれぞれは、前記内側補強リブのそれぞれに対して、前記中央凹部を中心として、円周方向に相対的に位相をずらして配置されている請求項2に記載の水道メータのレジスターボックス。
【請求項4】
前記底板部の前記外側表面には下方に開口する凹状断面の外側凹状リブが形成され、
前記外側凹状リブは、その長さ方向の中央部分において、前記中央凹部を規定しているリブ部分に繋がっており、その両端は前記筒状胴部に繋がっている
請求項3に記載の水道メータのレジスターボックス。
【請求項5】
前記底板部の前記内側表面には上方に開口する凹状断面の内側凹状リブが形成され、
前記内側凹状リブは、その長さ方向の中央部分において、前記外側凹状リブに繋がっており、その両端は前記筒状胴部に繋がっている
請求項4に記載の水道メータのレジスターボックス。
【請求項6】
請求項5に記載の水道メータのレジスターボックスの製造方法であって、
前記レジスターボックスを成形するための射出成形用の金型キャビティにおいて、前記レジスターボックスの前記外側凹状リブの長さ方向において、当該外側凹状リブの底面部分における前記内側凹状リブが交差する部位に対応する位置に、溶融樹脂を注入するためのゲートを設けることを特徴とする水道メータのレジスターボックスの製造方法。
【請求項7】
前記金型キャビティにおける前記中央凹部に対応するキャビティ部分を挟み、前記ゲートとは反対側の部分にウエルドラインが形成されないように、前記中央凹部の深さを設定する請求項6に記載の水道メータのレジスターボックスの製造方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載の製造方法によって成形されたことを特徴とする水道メータのレジスターボックス。
【請求項9】
請求項1ないし5および8のうちのいずれか一つの項に記載のレジスターボックスを有していることを特徴とする水道メータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、羽根車の回転に基づき流量を計測する計測ユニットを収納する、水道メータの樹脂製のレジスターボックスに関する。さらに詳しくは、樹脂の充填不良に起因する強度および耐久性の低下を防止あるいは抑制可能な形状のレジスターボックス、その製造方法および、当該レジスターボックスを備えた水道メータに関する。
【背景技術】
【0002】
水道メータは、そのメータケース内に水道水が通過する測定室を備え、この測定室には流量に応じて回転する軸流式あるいは接線流式の羽根車が配置されている。羽根車の回転がメータケース内のレジスターボックスに収納されている計測ユニットによって検出され、検出結果に基づき流量が計測される。計測ユニットは、レジスターボックスに密閉状態で収納されて、内部に水などが浸入しないようになっている。かかる構成の水道メータは特許文献1、2に開示されており、特許文献2には樹脂製のレジスターボックスが提案されている。
【0003】
図4は一般的な樹脂製のレジスターボックスを示す平面図、側面図、底面図および縦断面図である。これらの図に示すように、レジスターボックス100は、全体として浅いカップ形状をしており、上端が開口した偏平な円筒状胴部101と、この円筒状胴部101の下端を封鎖している円盤状の底板部102とを備えている。円筒状胴部101の開口縁部101aは厚肉とされ、その外周面に沿って複数の補強用の縦リブ101bが形成されている。
【0004】
底板部102の下面である凸状の外側表面103は滑らかな面であり、その中央部分には上方に窪む所定深さの中央凹部104が形成されており、ここに、流量計測用の羽根車の上側軸端部(図示せず)が収容される。これに対して、底板部102の上面である凹状の内側表面105は、中央凹部104を形成するために底板部の中央部分が上方に突出した中央凸部104aとなっている。この中央凸部104aを中心として放射状に多数本の補強リブ106が形成され、底板部102の強度、剛性を確保している。
【0005】
補強リブ106は、底板部102の内側表面からの丈が、中央凸部104aとほぼ同一の高さとされる。丈の高い補強リブ106を形成することで樹脂製のレジスターボックス100の強度、剛性を確保している。また、レジスターボックス100に収容される計測ユニット(図示せず)の底面は平坦面であり、レジスターボックス100の内側表面105の中央凸部104aと計測ユニットの底面との間に形成されるデッドスペースを利用して補強リブ106が形成されている。
【0006】
この形状のレジスターボックス100は、これに対応するキャビティを備えた射出成形用の金型に溶融樹脂を注入して充填・硬化させることにより製造される。金型のキャビティ内に溶融樹脂を注入するためのゲートは、溶融樹脂がキャビティ内の各部に確実に流動して充填されるように、一般的には、底板部102の中央凹部104の近傍位置に配置される。図4(c)、(d)には、レジスターボックス100におけるゲート跡107の位置を示してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−42332号公報
【特許文献2】特開2004−233252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような形状のレジスターボックス100の射出成形時においては、金型キャビティ内における中央凹部104の周辺に対応する部分において、溶融樹脂が合流する合流部となる。この合流部に形成されるウエルドライン108の部分の樹脂強度が低下するという問題がある。
【0009】
図5はレジスターボックス100の射出成形に用いる金型キャビティ内の溶融樹脂の流れを示す説明図である。この図に示すように、ゲート111から金型キャビティ112に注入された溶融樹脂は、底板部102に対応するキャビティ部分112Aに沿って流動する。このキャビティ部分112Aの中央には、中央凹部104形成用の中央部分112Bがあるので、図5(b)に示すように、中央部分112Bの両側を回ってゲート111の反対側の部分で溶融樹脂が合流する。
【0010】
図5(a)に示すように、上方に突出している中央部分112Bを乗り越えてゲート111の反対側に向けて流動する溶融樹脂の流れは遅い。よって、中央部分112Bの周囲におけるゲート111とは反対側の部分においては、外周側の部分から溶融樹脂が合流して、内周側の部分に、明確なウエルドライン108が形成されてしまう。このようなウエルドライン108が形成されたレジスターボックス100においては、ウエルドライン108の形成部分に強度不足が生じ、また、当該部分にクラックが発生しやすい。この結果、レジスターボックス100の耐久性も低下してしまう。
【0011】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、強度不足、クラックの発生原因のウエルドラインが形成されずに溶融樹脂を充填可能な形状を備えた水道メータのレジスターボックスおよびその製造方法を提供することにある。また、本発明の課題は、かかる形状のレジスターボックスを備えた水道メータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明は、羽根車の回転に基づき流量を計測する計測ユニットを収納する、水道メータの樹脂製のレジスターボックスであって、
上端が開口した筒状胴部と、
前記筒状胴部の下端を封鎖している底板部と、
前記底板部の中央部分を上側に突出させることにより形成されている、当該底板部の外側表面の中央部分に下向きに開口する所定深さの中央凹部と、
前記底板部の内側表面に形成した複数本の内側補強リブと、
前記底板部の前記外側表面に形成した複数本の外側補強リブと、
を有していることを特徴としている。
【0013】
本発明のレジスターボックスでは、その底板部の外側表面および内側表面の双方に補強リブを形成している。これにより、従来のように、内側表面にのみ丈の高い補強リブを配置する場合と同様な強度、剛性を底板部に付与している。また、内側表面に形成される内側補強リブの丈を低くすることができるので、これに対応させて、中央凸部を低くすることができる。すなわち、外側表面の側から見た場合には中央凹部を浅くすることができる。この結果、丈の低い中央凸部(浅い中央凹部)に対応するキャビティ部分を、溶融樹脂が円滑に乗り越えて流動できる。この結果、中央凸部を乗り越えてゲートとは反対側に流動する溶融樹脂の流れが速くなり、外周側から溶融樹脂が合流して内周側の部分にウエルドラインが形成されてしまうことを防止あるいは抑制できる。これにより、レジスターボックスの強度不足、クラックの発生を防止あるいは抑制することができる。
【0014】
本発明において、前記外側補強リブを、前記中央凹部を中心として放射状に形成し、前記内側補強リブを、前記中央凹部を形成するために当該中央凹部に対応する前記内側表面の中央部分に形成されている中央凸部を中心として放射状に形成することができる。
【0015】
この場合には、内外の補強リブによる底板部の補強効果を高めるために、前記外側補強リブのそれぞれを、前記内側補強リブのそれぞれに対して、前記中央凹部を中心として、円周方向に相対的に位相をずらして配置することが望ましい。
【0016】
また、底板部の強度、剛性を更に高めるためには、前記底板部の前記外側表面に下方に開口する凹状断面の外側凹状リブを形成し、この外側凹状リブを、その長さ方向の中央部分において、前記中央凹部を規定しているリブ部分に繋げ、その両端を前記筒状胴部に繋げることが望ましい。このように筒状胴部の間に架け渡す状態にリブを形成することにより、底板部の強度、剛性を高めることができる。
【0017】
同様に、前記底板部の前記内側表面にも上方に開口する凹状断面の内側凹状リブを形成し、この内側凹状リブを、その長さ方向の中央部分において、前記外側凹状リブに繋げ、その両端を前記筒状胴部に繋げることが望ましい。
【0018】
ここで、このように補強リブが底板部の内側表面および外側表面に形成されているレジスターボックスの製造に当っては、
前記レジスターボックスを成形するための射出成形用の金型キャビティにおいて、前記レジスターボックスの前記外側凹状リブの長さ方向において、当該外側凹状リブの底面部分における前記内側凹状リブが交差する部位に対応する位置に、溶融樹脂を注入するためのゲートを設けることが望ましい。
【0019】
また、前記金型キャビティにおける前記中央凹部に対応するキャビティ部分を挟み、前記ゲートとは反対側の部分にウエルドラインが形成されないように、前記中央凹部の深さを設定すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明を適用した水道メータの概略縦断面図である。
図2図1の水道メータのレジスターボックスを示す平面図、側面図、底面図および縦断面図である。
図3】レジスターボックスの射出成形時における溶融樹脂の流れを説明する説明図である。
図4】従来のレジスターボックスを示す平面図、側面図、底面図および縦断面図である。
図5】従来のレジスターボックスの射出成形時における溶融樹脂の流れを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した水道メータおよびレジスターボックスの実施の形態を説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態に係る水道メータの縦断面図である。水道メータ1は、流入口2および流出口3を備えたメータケース4の内部に各種のメータ構成部品を固定して構成されている。水道メータ1は、流入口2の側が直線状に延びるインレットパイプ5を介して不図示の上流側水道管に接続され、流出口3の側のフランジ部3aに不図示の下流側水道管が接続される。
【0023】
メータケース4内には上流側流路6と下流側流路7が形成されている。上流側流路6は流入路2から斜め下向きに延びており、下流側流路7は上流側流路6の下流側の部分の上側から流出路3側に向かって斜め下向きに延びている。上流側流路6と下流側流路7の間は円形開口8を介して連通している。メータケース4は、円形開口8の真上に形成された上部開口が上ケース10によって閉鎖されている。
【0024】
メータケース4内の流路には、円形開口8の上方に計量室11が形成されている。計量室11内の中心位置には、流路を流れる流量に応じた回転速度で回転する軸流式の羽根車12が同軸に配置されている。羽根車12の下端側には整流器13が同軸に配置されている。整流器13は、羽根車12の上流位置において羽根車12に向かう水流を調整するためのものである。羽根車12の回転軸14の上側軸端部14aはメータケース4の側にスラスト軸受け部を介して回転自在に支持され、その下側軸端部14bは整流器13に設けたスラスト軸受け部によって回転自在の状態に支持されている。
【0025】
メータケース4内において、計量室11と上ケース10との間には、カップ形状のレジスターボックス20が装着されている。レジスターボックス20には、機械式の計測ユニット(図示せず)が挿入され、その上端開口がガラス製の蓋板16によって封鎖されている。蓋板16はリング状の蓋押え17によってレジスターボックス20に密閉状態で固定されている。計測ユニットは、羽根車12の上側軸端部14aに取り付けた磁石の磁極の回転を検出して、これに基づきメータケース4内の流路を流れる流量を計測する。
【0026】
(レジスターボックス)
図2(a)〜(d)は、レジスターボックス20を示す平面図、側面図、底面図および縦断面図である。レジスターボックス20は全体として偏平なカップ形状をした樹脂成形品であり、上端が開口した円筒状胴部21と、この円筒状胴部21の下端を封鎖している円盤状の底板部22とを備えている。
【0027】
底板部22の外側表面23の中央部分には下向きに開口する浅い円形の中央凹部24が形成されている。この中央凹部24は、底板部22の中央部分を上方に僅かに円形に突出させることにより形成したものである。したがって、底板部22の内側表面25の中央部分には上方に僅かに突出した円弧状の中央凸部24aが形成されている。
【0028】
この中央凹部24には下側から羽根車12の回転軸14の上側軸端部14aの先が突入した状態に配置される。先に述べたように、上側軸端部14aの先には磁石が配置されており、レジスターボックス20内の計測ユニットは、上側軸端部14aに取り付けた磁石に対して、底板部22を介して対峙する位置に磁極センサ(図示せず)を備え、当該磁極センサによって磁石の回転(羽根車の回転)が検出される。
【0029】
底板部22における外側表面23には、複数本の外側補強リブ26が形成されている。本例では、外側補強リブ26は、中央凹部24を中心として一定の角度間隔で放射状に形成されている。各外側補強リブ26は、外側表面23から一定の高さのリブである。同様に、底板部22の内側表面25にも、複数本の内側補強リブ27が形成されている。内側補強リブ27も、中央凸部24aを中心として、一定の角度間隔で放射状に形成されている一定の高さのリブである。
【0030】
外側補強リブ26のそれぞれは、内側補強リブ27のそれぞれに対して、中央凹部24を中心として、円周方向に相対的に位相をずらして配置してある。これにより、底板部22の強度および面外剛性を高めるようにしている。
【0031】
また、本例では、底板部22の強度、剛性を更に高めるために、外側表面23には下
方に開口する1本の凹状断面の外側凹状リブ28が形成され、内側表面25には上方に開口する1本の内側凹状リブ29が形成されている。外側凹状リブ28は、その長さ方向の中央部分において、中央凹部24を規定しているリブ部分に繋がっており、その両端が筒状胴部21に繋がっている。
【0032】
内側凹状リブ29は、中央凸部24aに対して一方の側にオフセットした位置に形成され、その長さ方向の中央部分において、外側凹状リブ28の形成部分に繋がっており、その両端が円筒状胴部21に繋がっている。このように円筒状胴部21の間に架け渡す状態に、底板部22の両側面にリブを形成することにより、底板部22の強度、剛性を高めることができる。
【0033】
本例のレジスターボックス20では、底板部22の外側表面23および内側表面25の双方に補強リブ26、27を形成している。これにより、内側表面25にのみ丈の高い補強リブを配置する場合と同様な強度、剛性を底板部22に付与できる。これに加えて、底板部22には、円筒状胴部21に両端が繋がる状態に外側凹状リブ28および内側凹状リブ29を形成してある。よって、強度および剛性が不足しがちな樹脂製のレジスターボックスに必要とされる強度および剛性を付与することができる。
【0034】
また、内側表面25に形成される内側補強リブ27の丈を低くし、これに対応させて、中央凸部24aの突出高さも低くしてある。すなわち、外側表面23の側から見た場合には中央凹部24を浅くしてある。よって、射出成形時に、レジスターボックス20にウエルドラインが形成されることを防止あるいは抑制できるので、ウエルドラインが形成された部分の強度の低下、クラックの発生による耐久性の低下等の弊害も防止あるいは抑制できる。
【0035】
ここで、図3(a)は上記構成のレジスターボックス20を射出成形するために用いる射出成形用の金型キャビティの縦断面を示す説明図であり、図3(b)は金型キャビティの平面を示す説明図である。金型キャビティ30に溶融樹脂を注入するゲート31は、レジスターボックス20における外側凹状リブ28の底面部分28aに対応する部位に配置される。具体的には、外側凹状リブ28の長さ方向において、当該外側凹状リブ28の底面部分28aにおける内側凹状リブ29が交差する部位に対応する位置に配置される(図2(c)参照)。
【0036】
当該ゲート31から注入される溶融樹脂は、図3(a)に示すように、金型キャビティ30内において、突出量の少ない中央凸部24a(浅い中央凹部24)に対応するキャビティ部分32を、矢印で示すように、円滑に乗り越えて流動できる。
【0037】
このため、図3(b)に示すように、金型キャビティ30内を、平面方向においては、中央凸部24aに対応するキャビティ部分32を乗り越えてゲート31とは反対側に流動する溶融樹脂の流れが速くなる。この結果、キャビティ部分32を挟み、ゲート31とは反対側の部分においては、その内周側から外周側に向かって溶融樹脂が充填される。このため、従来のように、外周部分の両側から溶融樹脂が合流してウエルドラインが形成されてしまうこと(図5参照)が防止あるいは抑制される。これにより、レジスターボックスの強度不足、クラックの発生を防止あるいは抑制できる。
【0038】
したがって、レジスターボックス20において、その底板部22の中央凸部24aの高さ(中央凹部24の深さ)を次のように設定すればよい。すなわち、溶融樹脂が金型キャビティ30内において、中央凸部24aに対応するキャビティ部分32を円滑に乗り越えて流動してゲート31の反対側の部位において樹脂のウエルドラインが形成されないように設定すればよい。
【符号の説明】
【0039】
1 水道メータ
2 流入口
3 流出口
3a フランジ部
4 メータケース
5 インレットパイプ
6 上流側流路
7 下流側流路
8 円形開口
10 上ケース
11 計量室
12 羽根車
13 整流器
14 回転軸
14a 上側軸端部
14b 下側軸端部
16 蓋板
17 蓋押え
20 レジスターボックス
21 円筒状胴部
22 底板部
23 外側表面
24 中央凹部
24a 中央凸部
25 内側表面
26 外側補強リブ
27 内側補強リブ
28 外側凹状リブ
28a 底面部分
29 内側凹状リブ
30 金型キャビティ
31 ゲート
32 キャビティ部分
図1
図2
図3
図4
図5