(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
天板の開口部から上部を突出させて設けられ、燃料ガスを燃焼させて調理容器を加熱するコンロバーナーと、前記天板上に設けられ、押し下げて操作される操作ツマミと、該操作ツマミの下方に設けられ、前記コンロバーナーに供給される燃料ガスの流量を調節する調節バルブと、前記天板に形成された貫通孔を通って前記操作ツマミと前記調節バルブとを接続するシャフトと、前記調節バルブの上方を覆い、前記シャフトを挿通する挿通孔が形成されたバルブカバーとを備えるガスコンロにおいて、
前記シャフトには、前記天板と前記バルブカバーとの間の位置に、弾性材料を用いて中央部が上方に張り出した凸形状に形成されたシャフトパッキンが装着されており、
前記バルブカバーの上面には、上方に突出した突出部が前記シャフトパッキンの下方の位置に設けられており、
前記突出部は、前記バルブカバーを貫通して設けられた通気孔を有する
ことを特徴とするガスコンロ。
【背景技術】
【0002】
燃料ガスをコンロバーナーで燃焼させて、鍋などの調理容器を加熱するガスコンロが広く普及している。ガスコンロには、天板に形成された開口部から上部を突出させた状態でコンロバーナーが搭載されており、調理容器を載せる五徳がコンロバーナーを囲んで天板上に設置されている。また、ガスコンロは、コンロバーナーの点火や火力調節の際に操作する操作ツマミを備えており、この操作ツマミが天板上に設けられて、操作ツマミを押し下げて回転させるタイプのガスコンロも多く存在している(例えば、特許文献1)。
【0003】
天板上に操作ツマミを備えたガスコンロでは、コンロバーナーに供給される燃料ガスの流量を調節する調節バルブが操作ツマミの下方の位置に内蔵されている。調節バルブは、シャフトを介して操作ツマミと接続されており、天板には、シャフトを通すために貫通孔が形成されている。このため、操作ツマミを操作すると、その操作がシャフトを介して調節バルブに伝わる。ただし、天板に貫通孔を設けると、調理容器から煮こぼれた場合に、煮こぼれ汁が貫通孔からガスコンロの内部に入り込み、調節バルブにかかる虞がある。そこで、調節バルブの上方を覆うバルブカバーが設けられており、煮こぼれ汁が調節バルブにかかることを抑制している。
【0004】
また、バルブカバーには、シャフトを挿通する挿通孔が形成されていることから、煮こぼれ汁がシャフトを伝わって挿通孔から下方に流れ落ちることがある。その対策として、シャフトには、ゴムなどの弾性材料を用いて上方に凸形の傘状に形成されたシャフトパッキンが、バルブカバーよりも上方の位置に装着される(例えば、特許文献2)。こうすれば、シャフトを伝わる煮こぼれ汁がシャフトパッキンの外側に導かれるので、挿通孔から流れ落ちることを回避できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし近年では、ガスコンロの下方のスペースを有効活用するためにガスコンロの薄型化の要請が高まっているところ、シャフトにシャフトパッキンが装着されたガスコンロでは、薄型化が困難であるという問題があった。これは次のような理由による。
【0007】
まず、コンロバーナーの点火の際には操作ツマミが押し下げられるので、シャフトに装着されたシャフトパッキンも下方に移動する。このとき、シャフトパッキンとバルブカバーとの間隔が狭いと、シャフトパッキンの下端がバルブカバーの上面に当接して、傘状のシャフトパッキンとバルブカバーとの間の閉鎖空間に空気が閉じ込められた状態となる。この状態から操作ツマミが更に押し下げられると、シャフトパッキンが変形して、閉鎖空間内の空気が外側に排出される。その後、操作ツマミの押し下げが解放されて元の位置に戻る際には、変形していたシャフトパッキンが元の形状に戻ろうとして、シャフトパッキンとバルブカバーとの間の閉鎖空間に負圧が生じる。このため、バルブカバーの上面に煮こぼれ汁があった場合には、負圧で煮こぼれ汁を吸い込んでしまい、吸い込まれた煮こぼれ汁がバルブカバーの挿通孔から流れ落ちて調節バルブにかかることがある。
【0008】
こうした事態を回避するには、シャフトパッキンの下端とバルブカバーとの間に、操作ツマミの押し下げ量よりも大きな間隔を確保しておく必要がある。その結果、シャフトにシャフトパッキンが装着されたガスコンロでは、薄型化することが困難であった。
【0009】
この発明は、従来の技術が有する上述した課題に対応してなされたものであり、天板上に操作ツマミを備えて、シャフトにシャフトパッキンを装着していながらも、薄型化を図ることが容易なガスコンロの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明のガスコンロは次の構成を採用した。すなわち、
天板の開口部から上部を突出させて設けられ、燃料ガスを燃焼させて調理容器を加熱するコンロバーナーと、前記天板上に設けられ、押し下げて操作される操作ツマミと、該操作ツマミの下方に設けられ、前記コンロバーナーに供給される燃料ガスの流量を調節する調節バルブと、前記天板に形成された貫通孔を通って前記操作ツマミと前記調節バルブとを接続するシャフトと、前記調節バルブの上方を覆い、前記シャフトを挿通する挿通孔が形成されたバルブカバーとを備えるガスコンロにおいて、
前記シャフトには、前記天板と前記バルブカバーとの間の位置に、弾性材料を用いて中央部が上方に張り出した凸形状に形成されたシャフトパッキンが装着されており、
前記バルブカバーの上面には、上方に突出した突出部が前記シャフトパッキンの下方の位置に設けられており、
前記突出部は、前記バルブカバーを貫通して設けられた通気孔を有する
ことを特徴とする。
【0011】
このような本発明のガスコンロでは、バルブカバーを貫通して通気孔が設けられているものの、バルブカバーの上面よりも高くなっている突出部に設けられているので、バルブカバーの上面に溜まった煮こぼれ汁が通気孔から流れ落ちることを抑制することができる。そして、操作ツマミと一緒にシャフトが押し下げられて、シャフトパッキンの外縁部がバルブカバーに当接すると共にシャフトパッキンが変形し、その後、操作ツマミの押し下げが解放された際に、変形していたシャフトパッキンが元の形状に戻ろうとしてシャフトパッキンとバルブカバーとの間の空間が負圧になっても、通気孔を通ってバルブカバーの下面側から直ちに空気が流入し、負圧を解消することができる。このため、バルブカバーの上面に溜まった煮こぼれ汁をシャフトパッキンの周囲から内側に負圧で吸い込むことはない。また、通気孔は、バルブカバーの上面よりも高くなっている突出部に設けられており、このように煮こぼれ汁が溜まるところから離して設けられることで、通気孔から空気が流入する際に、空気と一緒に煮こぼれ汁が巻き込まれて挿通孔にかかることを抑制できる。その結果、シャフトパッキンとバルブカバーとの間の隙間を操作ツマミの押し下げ量よりも大きく設定しておく必要がなく、ガスコンロの薄型化を図ることが可能となる。
【0012】
上述した本発明のガスコンロでは、バルブカバーの挿通孔を、突出部に形成しておいてもよい。
【0013】
このように挿通孔を、通気孔と同様に、バルブカバーの上面よりも高くなっている突出部に形成しておけば、バルブカバーの上面に溜まった煮こぼれ汁が挿通孔および通気孔から流れ落ちることを合わせて抑制することができる。
【0014】
また、上述した本発明のガスコンロでは、バルブカバーの突出部に、操作ツマミが押し下げられた状態でシャフトパッキンの外縁部が当接する当接部を有することとして、通気孔を、当接部よりもシャフトパッキンの内側に設けておいてもよい。
【0015】
このようにすれば、シャフトパッキンの外縁部がバルブカバーの突出部に当接した状態において、通気孔は、煮こぼれ汁が溜まる部分(バルブカバーの上面)からシャフトパッキンによって隔離されているので、通気孔から空気が流入する際に、空気と一緒に煮こぼれ汁を巻き込むようなことがない。その結果、煮こぼれ汁が挿通孔から流れ落ちることをより確実に防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本実施例のガスコンロ1の外観形状を示す斜視図である。図示されるように、本実施例のガスコンロ1は、上面側が開口した箱形状に形成された板金製のコンロ本体2と、コンロ本体2上に載置されてコンロ本体2の上面を覆う天板3と、天板3に形成された図示しない開口部から上部を突出させてコンロ本体2内に搭載されたコンロバーナー4R,4Lと、鍋などの調理容器を置くためにコンロバーナー4R,4Rを囲んで天板3の上面に設置された五徳5R,5Lなどを備えている。
【0018】
また、天板3上には、コンロバーナー4R,4Lのそれぞれに対応させて、点火時や火力調節時などに操作する操作ツマミ6R,6Lが設けられている。そして、操作ツマミ6R,6Rの下方には、コンロバーナー4R,4Lに供給される燃料ガスの流量を調節するためのバルブユニット10R,10Lがコンロ本体2内に搭載されている。バルブユニット10R、10Lの詳細については別図を用いて後述するが、バルブユニット10R,10Lはシャフトを介して操作ツマミ6R,6Lと接続されている。操作ツマミ6R,6Lを下方に押し下げて所定方向に回転させると、コンロバーナー4R,4Lに燃料ガスが供給されて、図示しない点火プラグで点火される。その後は、操作ツマミ6R,6Lの回転角度を変えると、バルブユニット10R,10Lを通過する燃料ガスの流量が変更されて、コンロバーナー4R,4Lの火力を調節することができる。
【0019】
以下では、操作ツマミ6R,6Lとバルブユニット10R,10Lとの接続について説明するが、右側のコンロバーナー4Rに対応する操作ツマミ6Rおよびバルブユニット10Rと、左側のコンロバーナー4Lに対応する操作ツマミ6Lおよびバルブユニット10Lとは、構造や形状が基本的には同様である。そこで、特に右側と左側とを区別する必要がない場合には、単に操作ツマミ6、およびバルブユニット10と表記する。
【0020】
図2は、本実施例のガスコンロ1の操作ツマミ6およびバルブユニット10の分解組立図である。図示されるようにバルブユニット10は、操作ツマミ6を回転させる操作を受けて燃料ガスの流量を調節する機能を有する調節バルブ11と、板金あるいはダイカストによって形成され、調節バルブ11の上方を覆う板状のバルブカバー12と、ゴム等の弾性材料を用いて中央部が上方に張り出した凸形状に形成されたシャフトパッキン13などを備えている。
【0021】
調節バルブ11からは、上方に向けてシャフト11aが突設されており、バルブカバー12の略中央の位置には、シャフト11aを挿通する挿通孔12cが形成されている。バルブカバー12は、挿通孔12cにシャフト11aを挿通した状態で、図示しない取付ネジによって調節バルブ11に対して固定される。また、バルブカバー12には、平面状に形成された上面12aから上方に突出した円板形状の突出部12bが設けられており、この突出部12bに挿通孔12cが形成されている。さらに、本実施例の突出部12bには、挿通孔12cとは別に、バルブカバー12を貫通して長孔の通気孔12dが形成されている。
【0022】
挿通孔12cに挿通されたシャフト11aには、バルブカバー12の上方から、シャフトパッキン13が装着される。本実施例のシャフトパッキン13は、上向きに凸のドーム状に形成されたドーム部13aと、ドーム部13aの外周に幅広の円環状に形成されたフランジ部13bとを有しており、ドーム部13aの中央には装着孔13cが形成されている。この装着孔13cの内径は、シャフト11aの外径よりも小さくなっており、装着孔13cにシャフト11aを挿し通すと、装着孔13cが広がる。また、シャフト11aの側面には、シャフトパッキン13の位置決め用に凹部11bが形成されており、シャフトパッキン13を凹部11bの位置まで押し下げていくと、広がっていた装着孔13cが凹部11bに嵌り込んで、シャフトパッキン13の装着が完了する。
【0023】
本実施例では、シャフト11aに装着されたシャフトパッキン13の下方の位置にバルブカバー12の突出部12bが設けられており、シャフトパッキン13の外径は、突出部12bの外径とほぼ同じになっている。また、詳しくは後述するが、シャフト11aの凹部11bにシャフトパッキン13の装着孔13cが嵌り込んだ状態では、シャフトパッキン13の下端(ここではフランジ部13bの下面)が突出部12bよりも上方の位置にあって、フランジ部13bと突出部12bとは当接していない。
【0024】
以上のようにして組み立てられたバルブユニット10をコンロ本体2内に設置し、天板3を取り付けると、シャフト11aの上端が、天板3に形成された貫通孔3aの中心から突出した状態となる。そして、この貫通孔3aの内側にゴム製で筒状のツマミパッキン7を嵌め込んだ後、シャフト11aの上端に操作ツマミ6を取り付ける。前述したように操作ツマミ6は、押し下げて回転させる操作が行われるので、押し下げた操作ツマミ6がツマミパッキン7に接触すると、操作ツマミ6の操作の邪魔になる。そこで、操作ツマミ6とツマミパッキン7との間には、操作ツマミ6を押し下げた状態で操作ツマミ6とツマミパッキン7とが接触しないように、十分な隙間が設けられている。
【0025】
このように操作ツマミ6とツマミパッキン7との間に隙間が存在することによって、調理容器から天板3に煮こぼれた場合に、煮こぼれ汁が操作ツマミ6とツマミパッキン7との隙間から貫通孔3aを通ってガスコンロ1の内部に入り込んでしまうことが起こり得る。そして、貫通孔3aを通って内部に入り込んだ煮こぼれ汁が調節バルブ11にかかってしまうと、調節バルブ11の動作に支障を来して燃料ガスの流量調節ができなくなるといった不具合が生じる可能性がある。そこで、バルブカバー12を設けることによって、煮こぼれ汁が調節バルブ11にかかることを抑制している。
【0026】
バルブカバー12の周縁には、上方に向けて立設された立設部12fがあり、バルブカバー12の上面12aは、煮こぼれ汁を受ける汁受け皿として機能する。ただし、立設部12fはバルブカバー12の全周にわたって設けられているわけではなく、一部(
図2の例では図中の手前側)には設けられていない。そのため、煮こぼれ汁が大量に入り込んだ場合には、立設部12fが設けられていない部分から下方に流れ落ちるようになっている。このように煮こぼれ汁が流れ落ちる箇所は、調節バルブ11などの重要な部品を避けて設定されているので、重要な部品に煮こぼれ汁がかかることはない。
【0027】
また、煮こぼれ汁がシャフト11aを伝わってバルブカバー12の挿通孔12cから下方に流れ落ちないように、シャフト11aには、バルブカバー12よりも上方の位置にシャフトパッキン13が装着されており、シャフト11aを伝わる煮こぼれ汁をシャフトパッキン13の外側に導いて落としている。さらに、本実施例のガスコンロ1では、バルブカバー12に突出部12bを設けると共に、その突出部12bに通気孔12dを形成しておくことによって、バルブカバー12の上面12aに煮こぼれ汁が溜まっていた場合でも、挿通孔12cから煮こぼれ汁が流れ落ちて調節バルブ11にかかることを防止できる。以下、この点について説明するが、その準備として、突出部12bや通気孔12dがない場合について簡単に説明する。
【0028】
まず、操作ツマミ6が押し下げられるのに伴って、シャフト11aに取り付けられたシャフトパッキン13も下方に移動し、シャフトパッキン13の下端がバルブカバー12の上面12aに当接した後に、ドーム部13aが押し潰されることでドーム部13a内の空気が外側に排出される。そして、操作ツマミ6が元の位置に戻る際に、押し潰されていたドーム部13aが元の形状に戻ろうとして、ドーム部13a内が負圧になる。このため、バルブカバー12の上面12aに煮こぼれ汁が溜まっていた場合には、負圧でシャフトパッキン13の周囲から煮こぼれ汁をドーム部13a内に吸い込んでしまい、吸い込まれた煮こぼれ汁が挿通孔12cから流れ落ちて調節バルブ11にかかる虞がある。これを回避するために、従来のガスコンロ1では、操作ツマミ6が押し下げられてもシャフトパッキン13がバルブカバー12に当接しないように、シャフトパッキン13とバルブカバー12との間に操作ツマミ6の押し下げ量よりも大きな間隔が確保されており、その結果、ガスコンロ1の薄型化が困難であった。
【0029】
これに対して、バルブカバー12に突出部12bや通気孔12dを備えた本実施例のガスコンロ1では、以下のような理由から、シャフトパッキン13とバルブカバー12との間に大きな間隔を確保しなくても、挿通孔12cから煮こぼれ汁が流れ落ちて調節バルブ11にかかることを回避することができる。
【0030】
図3は、本実施例のバルブユニット10を、シャフト11aの中心軸を通る平面で切断した断面図である。まず、
図3(a)には、操作ツマミ6(
図2参照)が押し下げられる前の状態が示されている。このとき、天板3の貫通孔3a(
図2参照)を通って煮こぼれ汁がガスコンロ1の内部に入り込むと、
図3(a)中に一点鎖線の矢印で示すように、煮こぼれ汁がシャフトパッキン13の上を伝ってシャフトパッキン13の外側から流れ落ち、バルブカバー12の突出部12bの外側で一段低くなった上面12aに溜まる。前述したようにバルブカバー12には挿通孔12cや通気孔12dが設けられているが、これらは上面12aよりも一段高くなっている突出部12bに設けられているので、上面12aに溜まった煮こぼれ汁が挿通孔12cや通気孔12dから流れ落ちることを抑制することができる。また、本実施例のシャフトパッキン13には、ドーム部13aの外周に円環状のフランジ部13bが幅広に形成されており、シャフトパッキン13の高さを出すことなく、煮こぼれ汁を挿通孔12c(
図2参照)から離れた外側に導くことができる。
【0031】
こうしてバルブカバー12の上面12aに煮こぼれ汁が溜まった状態で、操作ツマミ6(
図2参照)と一緒にシャフト11aが押し下げられると、
図3(b)に示されるように、シャフトパッキン13のフランジ部13bがバルブカバー12の突出部12bに当接する。本実施例のシャフトパッキン13は、外径が突出部12bとほぼ同じであり、突出部12bを上から覆うようになっている。そして、更にシャフト11aが押し下げられると、ドーム部13aが押し潰されることによって、操作ツマミ6およびシャフト11aの押し下げ量を吸収する。このとき、ドーム部13aの内側は、突出部12bに形成された通気孔12dを介してバルブカバー12の下面側と連通しており、ドーム部13a内の空気は通気孔12dを通って排出される。尚、本実施例の通気孔12dは、突出部12bの半径方向に長い長孔に形成されており、少なくとも一部がドーム部13aの下方に位置している。また、本実施例では、突出部12bの上端面のうちフランジ部13bが当接する部分が本発明における「当接部」に対応する。
【0032】
その後、操作ツマミ6の押し下げが解放されると、
図3(c)に示されるように、押し下げられていたシャフト11aが元の位置に戻ろうとし、それに伴って、押し潰されていたシャフトパッキン13のドーム部13aが元の形状に戻ろうとする。このとき、ドーム部13aの内側は、体積の増加によって負圧になるものの、通気孔12dによってバルブカバー12の下面側と連通していることから、
図3(c)中に破線の矢印で示すように、ドーム部13aの内側に直ちに空気が流入して負圧を解消することができる。このため、バルブカバー12の上面12aに溜まった煮こぼれ汁をシャフトパッキン13の周囲からドーム部13a内に負圧で吸い込むことはない。また、本実施例のガスコンロ1では、シャフトパッキン13の下端(フランジ部13b)がバルブカバー12の突出部12bに当接することで、通気孔12dは、煮こぼれ汁が溜まる部分(上面12a)からシャフトパッキン13によって隔離されているので、通気孔12dから空気が流入する際に、空気と一緒に煮こぼれ汁が巻き込まれて挿通孔12cにかかるようなことがない。その結果、シャフトパッキン13とバルブカバー12との間の隙間を操作ツマミ6の押し下げ量よりも大きく設定しておく必要がなく、ガスコンロ1の薄型化を図ることが可能となる。
【0033】
上述した本実施例のガスコンロ1には、次のような変形例も存在する。以下では、上述の実施例とは異なる点を中心に変形例について説明する。尚、変形例の説明に際しては、上述の実施例と同じ構成については同じ符号を付すこととして説明を省略する。
【0034】
図4は、第1変形例のバルブカバー14の形状を示す説明図である。まず、
図4(a)に斜視図で示されるように第1変形例のバルブカバー14には、前述した実施例のバルブカバー12(
図2参照)と同様に、平面状に形成された上面14aから上方に突出した円板形状の突出部14bが設けられている。この突出部14bには、シャフト11aを挿通する挿通孔14cが略中央に形成されると共に、バルブカバー14を貫通する丸孔の通気孔14dが形成されている。
【0035】
また、バルブカバー14の周縁には、上方に向けて立設部14fが立設されており、天板3の貫通孔3aを通って煮こぼれ汁がガスコンロ1の内部に入り込むと、バルブカバー14の上面14aに溜まる。そして、この上面14aよりも高くなっている突出部14bに挿通孔14cや通気孔14dを設けておくことによって、上面14aに溜まった煮こぼれ汁が挿通孔14cや通気孔14dから流れ落ちることを抑制することができる。ただし、第1変形例の突出部14bは、前述した実施例の突出部12bに比べて外径が小さく形成されている。
【0036】
図4(b)には、第1変形例のシャフトパッキン13およびバルブカバー14を、シャフト11aの中心軸を通る平面で切断した断面図が拡大して示されている。この
図4(b)では、押し下げられていたシャフト11aが元の位置に戻ろうとする様子が示されている。図示されるように第1変形例の突出部14bの外径は、シャフトパッキン13のドーム部13aの内径よりも小さいため、シャフト11aが押し下げられた状態において、突出部14bはドーム部13aの内側に位置し、シャフトパッキン13のフランジ部13bはバルブカバー14の上面14aに当接している。
【0037】
そして、押し潰されていたシャフトパッキン13のドーム部13aが元の形状に戻ろうとすると、ドーム部13aの内側は負圧になるものの、
図4(b)中に破線の矢印で示すように、突出部14bの通気孔14dを通ってバルブカバー14の下面側から直ちに空気がドーム部13aの内側に流入し、負圧を解消することができる。このため、バルブカバー14の上面14aに溜まった煮こぼれ汁を、シャフトパッキン13の周囲からドーム部13a内に負圧で吸い込むことはない。また、通気孔14dは、煮こぼれ汁が溜まる上面14aよりも高くなっている突出部14bに設けられている(煮こぼれ汁が溜まるところから離して設けられている)ので、通気孔14dから空気が流入する際に、煮こぼれ汁を一緒に巻き込むことを抑制できる。その結果、第1変形例のガスコンロ1においても、前述した実施例と同様に、シャフトパッキン13とバルブカバー14との間の隙間を操作ツマミ6の押し下げ量よりも大きく設定しておく必要がなく、ガスコンロ1の薄型化を図ることが可能となる。
【0038】
また、第1変形例のガスコンロ1では、シャフトパッキン13の下端(フランジ部13b)を、バルブカバー14の突出部14bよりも一段低くなっている上面14aに当接させることで、ガスコンロ1をさらに薄型化することが可能となる。
【0039】
図5は、第2変形例のバルブカバー15の形状を示す説明図である。まず、
図5(a)に斜視図で示されるように第2変形例のバルブカバー15には、平面状に形成された上面15aから上方に突出した円環形状の第1突出部15eおよび第2突出部15bが設けられている。そして、第1突出部15eの内側には、シャフト11aを挿通する挿通孔15cが形成されており、第1突出部15eよりも径が小さい第2突出部15bの内側には、バルブカバー15を貫通する通気孔15dが形成されている。尚、第2変形例では、第2突出部15bが本発明における「突出部」に対応する。
【0040】
また、バルブカバー15の周縁には、上方に向けて立設部15fが立設されており、天板3の貫通孔3aを通って煮こぼれ汁がガスコンロ1の内部に入り込むと、バルブカバー15の上面15aに溜まる。そして、この上面15aよりも高くなっている第1突出部15eに挿通孔15cを設けて、上面15aよりも高くなっている第2突出部15bに通気孔15dを設けておくことによって、上面15aに溜まった煮こぼれ汁が挿通孔15cや通気孔15dから流れ落ちることを抑制することができる。
【0041】
図5(b)には、第2変形例のシャフトパッキン13およびバルブカバー15を、シャフト11aの中心軸を通る平面で切断した断面図が拡大して示されている。この
図5(b)では、押し下げられていたシャフト11aが元の位置に戻ろうとする様子が示されている。シャフト11aが押し下げられた状態において、第2変形例のシャフトパッキン13のフランジ部13bはバルブカバー15の上面15aに当接し、第1突出部15eおよび第2突出部15bはドーム部13aの内側に位置している。
【0042】
そして、押し潰されていたシャフトパッキン13のドーム部13aが元の形状に戻ろうとすると、ドーム部13aの内側は負圧になるものの、
図5(b)中に破線の矢印で示すように、第2突出部15bの通気孔15dを通ってバルブカバー15の下面側から直ちに空気がドーム部13aの内側に流入し、負圧を解消することができる。このため、バルブカバー15の上面15aに溜まった煮こぼれ汁を、シャフトパッキン13の周囲からドーム部13a内に負圧で吸い込むことはない。また、通気孔15dは、煮こぼれ汁が溜まる上面15aよりも高くなっている第2突出部15bに設けられている(煮こぼれ汁が溜まるところから離して設けられている)ので、通気孔15dから空気が流入する際に、煮こぼれ汁を一緒に巻き込むことを抑制できる。その結果、第2変形例のガスコンロ1においても、前述した実施例と同様に、シャフトパッキン13とバルブカバー15との間の隙間を操作ツマミ6の押し下げ量よりも大きく設定しておく必要がなく、ガスコンロ1の薄型化を図ることが可能となる。
【0043】
以上、本実施例および変形例のガスコンロ1について説明したが、本発明は上記の実施例および変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0044】
例えば、前述した実施例では、バルブカバー12の突出部12bが円形になっていたが、突出部12bの形状は、これに限らず、矩形であってもよい。ただし、実施例のように突出部12bの形状をシャフトパッキン13と同様の円形として、外径をシャフトパッキン13の外径とほぼ同じにしておけば、突出部12bにフランジ部13bを当接可能としながら、シャフトパッキン13によって突出部12bを上から覆うことができるので、煮こぼれ汁が突出部12bにかかるのを抑制することができる。
【0045】
また、前述した実施例では、突出部12bに1つの通気孔12dが設けられていたが、通気孔12dの数は、1つに限られず、複数の通気孔12dが設けられていてもよい。
【0046】
また、前述した実施例や変形例では、操作ツマミ6が押し下げられていない状態において、シャフトパッキン13とバルブカバー12との間に隙間が設けられており、操作ツマミ6が押し下げられると、シャフトパッキン13の下端(フランジ部13b)がバルブカバー12に当接するようになっていた。しかし、操作ツマミ6が押し下げられる前から、フランジ部13bをバルブカバー12に当接させておくこととして、操作ツマミ6の押し下げ量の全てをドーム部13aの変形によって吸収してもよい。こうすれば、ドーム部13aの内側に位置する通気孔12dから、バルブカバー12の上面12aの煮こぼれ汁が流れ落ちることを確実に防止できると共に、ガスコンロ1の更なる薄型化を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0047】
1…ガスコンロ、 2…コンロ本体、 3…天板、
3a…貫通孔、 4…コンロバーナー、 5…五徳、
6…操作ツマミ、 7…ツマミパッキン、 10…バルブユニット、
11…調節バルブ、 11a…シャフト、 11b…凹部、
12…バルブカバー、 12a…上面、 12b…突出部、
12c…挿通孔、 12d…通気孔、 12f…立設部、
13…シャフトパッキン、 13a…ドーム部、 13b…フランジ部、
13c…装着孔、 14…バルブカバー、 15…バルブカバー。