特許第6422433号(P6422433)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6422433-路面又は床用装飾シート 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6422433
(24)【登録日】2018年10月26日
(45)【発行日】2018年11月14日
(54)【発明の名称】路面又は床用装飾シート
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/00 20160101AFI20181105BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20181105BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20181105BHJP
   E01F 9/512 20160101ALI20181105BHJP
   E01F 9/524 20160101ALI20181105BHJP
   E01F 9/576 20160101ALI20181105BHJP
【FI】
   E01F9/00
   B32B27/00 E
   B32B27/20 Z
   E01F9/512
   E01F9/524
   E01F9/576
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-512615(P2015-512615)
(86)(22)【出願日】2012年10月11日
(65)【公表番号】特表2015-523478(P2015-523478A)
(43)【公表日】2015年8月13日
(86)【国際出願番号】US2012059648
(87)【国際公開番号】WO2013172862
(87)【国際公開日】20131121
【審査請求日】2015年10月7日
【審判番号】不服2017-4274(P2017-4274/J1)
【審判請求日】2017年3月27日
(31)【優先権主張番号】特願2012-112454(P2012-112454)
(32)【優先日】2012年5月16日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100157185
【弁理士】
【氏名又は名称】吉野 亮平
(72)【発明者】
【氏名】山本 剛生
(72)【発明者】
【氏名】阿部 秀俊
【合議体】
【審判長】 小野 忠悦
【審判官】 前川 慎喜
【審判官】 井上 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平4−319107(JP,A)
【文献】 特開2001−295454(JP,A)
【文献】 特開2007−253370(JP,A)
【文献】 実開平5−80793(JP,U)
【文献】 特開昭56−3707(JP,A)
【文献】 特開2007−261143(JP,A)
【文献】 特表2006−517875(JP,A)
【文献】 特表2010−505610(JP,A)
【文献】 特表2012−507607(JP,A)
【文献】 実開昭58−50825(JP,U)
【文献】 特開2005−76425(JP,A)
【文献】 特開2009−57081(JP,A)
【文献】 特開2008−290055(JP,A)
【文献】 特公昭46−20812(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/00 - 11/00
B32B 27/00
B32B 27/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤層と、意匠層と、第1ビーズコート層と、第2ビーズコート層とをこの順で積層して形成された路面又は床用装飾シートであって、
前記第1ビーズコート層は、樹脂と20μm〜60μmの中央径を有するビーズとを有
前記第2ビーズコート層は、前記第1ビーズコート層の上にコーティングされており、樹脂と20μm〜60μmの中央径を有し、かつ前記第1ビーズコート層に含まれる前記ビーズの中央径より大きい中央径を有するビーズとを含む、路面又は床用装飾シート。
【請求項2】
前記接着剤層が、架橋されたアクリル系接着性ポリマーを含む接着剤を含む、請求項1に記載の路面又は床用装飾シート。
【請求項3】
前記接着剤層が、ゴム系接着剤を含む接着剤を含み、前記接着剤層の表面が電子ビームで処理される、請求項1に記載の路面又は床用装飾シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は路面又は床用装飾シートに関する。
【背景技術】
【0002】
色、模様、又は文字/記号を有する装飾シートは、路面又は床に接着される。
【0003】
例えば、日本の公開特許出願(特開)第S56−3707号は、ベースシートと、表面層と、表面層に部分的に埋め込まれ、部分的に露出され、表面層により支持される粒子の単一層とを含む舗装マーキングシート材を開示している。
【0004】
更に、日本の公開特許出願(特開)第2001−295454号は、ベース層と、ベース層の表面に配置された保護層と、ベース層の裏面に配置された接着剤層とを含む接着シートを開示しており、前記保護層は、保護層の表面を改質する表面改質剤と、硬化性樹脂と、無機酸化物粒子とを含んでいる。
【0005】
このタイプの装飾シートは、宣伝、方向指示、交通標識又は案内などの情報を表示するために、室内及び屋外の床又は路面若しくは駐車場に接着されるが、このような用途では、歩行者及び例えば自動車などの車両が床、路面等に接着されているシートを横切って行き来するために、装飾シートの表面が磨耗又は剥離によって損傷を受ける傾向がある。具体的には、車両が装飾シートの上を通過する場合又は車両が装飾シートの上で回転する場合、即ち、装飾シートの上でタイヤが方向を変える場合は、装飾シートは容易に損傷又は剥離される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、装飾シートを提供することであり、この装飾シートは、アンチスキッド特性を有し、かつ耐磨耗性を有する。
また、本発明の付随的な目的は、夏季に高温に曝され歩行者又は車両が上を行き来するような床又は路面に接着されたときでも高い接着力を呈し、歩行者又は車両の横滑りを引き起こさず、損傷若しくは剥離を被らない装飾シートを提供することである
【課題を解決するための手段】
【0007】
具体的には、本発明は、接着剤層と、意匠層と、第1ビーズコート層と、第2ビーズコート層とをこの順で積層して形成された路面又は床用装飾シートであって、前記第1ビーズコート層は、樹脂と20μm〜60μmの中央径を有するビーズとを有前記第2ビーズコート層は、前記第1ビーズコート層の上にコーティングされており、樹脂と20μm〜60μmの中央径を有し、かつ前記第1ビーズコート層に含まれる前記ビーズの中央径より大きい中央径を有するビーズとを含む路面又は床用装飾シートを提供する。
このような構成を有する本発明によれば、アンチスキッド特性を有し、耐磨耗性を有する路面又は床用装飾シートを提供することが可能である。
【0008】
また、本発明において好ましくは、接着剤層は、架橋されたアクリル系接着性ポリマーを含む接着剤を含むか、または、ゴム系接着剤を含む接着剤を含み、ゴム系接着剤を含む場合には、接着剤層の表面が電子ビームで処理される。
このように構成された本発明によれば、歩行者又は車両が上を行き来する床又は路面に接着されたときでも高い接着力を呈し、歩行者又は車両の横滑りを引き起こさず、高温下でも損傷若しくは剥離を被らない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の路面又は床用装飾シートの一例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の路面又は床用装飾シートは、第1ビーズコート層と、第2ビーズコート層と、意匠層と、接着剤層とを有する。
【0011】
第2ビーズコート層は第1ビーズコート層の上にコーティングされ、装飾シートの最も外側の層として位置づけられる。
【0012】
第1及び第2のビーズコート層はそれぞれ、樹脂と、20μm〜60μmの中央径を有するビーズとを含む。
【0013】
本明細書において、「20μm〜60μmの中央径を有するビーズを含む」とは、ビーズコート層に含まれているビーズの50%が20μm〜60μmの範囲内の特定の粒径を有することを意味する。中央径とは、ビーズコート層に含まれているビーズの粒径分布の中央の値を意味するものであり、本明細書では「D50」と表現される。
【0014】
更に、ビーズコート層は、異なる粒径を有する2種類以上のビーズを含むことができる。例えば、「30μmの中央径を有するビーズ及び50μmの中央径を有するビーズを8:2の質量比で含む」は、ビーズコート層に含まれているビーズの80%が30μmの中央径を有し、ビーズコート層に含まれているビーズの20%が50μmの中央径を有することを意味する。
【0015】
第1ビーズコート層及び第2ビーズコート層に含まれているビーズの中央径は同じでもよく、異なっていてもよい。これらの中央径が異なる場合、第2ビーズコート層に含まれているビーズの中央径は第1ビーズコート層に含まれているビーズの中央径より大きくてもよく、あるいは、第2ビーズコート層に含まれているビーズの中央径は第1ビーズコート層に含まれているビーズの中央径より小さくてもよい。
【0016】
第1ビーズコート層と第2ビーズコート層に含まれているビーズの中央径の組み合わせは、適宜選択することができ、限定されない。
【0017】
それらのビーズは、無機又は有機材料を含むほぼ球形の粒子であり、好ましくは非粘着質の粒子である。具体的には、例えば、アルミナ、シリカ、ガラス、別の金属酸化物、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、又はウレタン樹脂が含まれるビーズを使用することができる。樹脂を含むビーズを使用する場合、ビーズは耐溶剤性の観点から好ましくは架橋される。
【0018】
第1及び第2のビーズコート層に含まれている樹脂は、それらの樹脂が粘着質の接着特性を呈するものでない限りは、特に限定されない。好ましくは、良好な粒子湿潤性及び優れたフィルム強度並びに耐溶剤性を有する樹脂を使用する。更に、好ましくは、耐溶剤性の観点から架橋可能な樹脂を使用する。具体的には、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、又はそれらの混合物を使用することが可能である。樹脂の粘度は、約100〜約5,000センチポアズであってよい。
【0019】
ビーズコート層中のビーズと樹脂の質量比は、特に限定されないが、例えば、約8:2〜約1:9であり得る。
【0020】
第1ビーズコート層は、ビーズを樹脂に添加した後に混合し、ナイフコーティングなどの従来の公知の方法を用いて透明のフィルム層又は意匠層の表面にコーティングし、次いで乾燥することにより得られる。
【0021】
第2ビーズコート層は、ビーズを樹脂に添加し混合した後に、ナイフコーティングなどの従来の公知の方法を用いて、既に調整済みの第1ビーズコート層の表面にコーティングし、次いで乾燥することにより得られる。
【0022】
本発明において、第1ビーズコート層及び第2ビーズコート層は、別個の層として独立に形成されなくてはならない。
【0023】
第1ビーズコート層及び第2ビーズコート層の厚さは特に限定されない。例えば、第1ビーズコート層の厚さは約10μm〜約100μmであり得、第2ビーズコート層の厚さは約20μm〜約80μmであり得る。
【0024】
更に好ましくは、ビーズは樹脂から露出せず、第1ビーズコート層及び第2ビーズコート層において層の表面は樹脂により被覆される。
【0025】
第1ビーズコート層及び第2ビーズコート層のコーティング重量は特に限定されないが、約10g/m〜約50g/mであり得る。
【0026】
本発明の装飾シートは意匠層を含む。意匠層は、任意の構成要素である透明フィルムの上に提供された印刷層からか、又はプラスチックの着色により得られた着色されたフィルムから構成される。
【0027】
意匠層が印刷層である場合において、印刷層は、水性インク、有機溶剤系インク又はUVインク、シルクスクリーン印刷、グラビア印刷、静電印刷、オフセット印刷等を用いたインクジェット印刷により透明フィルム層の上に提供される。
【0028】
本発明の装飾シートは、任意の構成要素として透明フィルム層を含む。透明フィルム層は意匠層のためのベース材である。上記の役割を満たす十分な強度(強靭性)を有するフィルム、又は意匠層の表面上に樹脂をコーティングした後に乾燥することにより得られた樹脂層を、このタイプの透明フィルム層として使用することができる。
【0029】
このタイプのフィルムは、例えば、アクリルポリマー、ウレタン系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ポリ(塩化ビニル)、ポリオレフィン、ポリエチレン又はポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、若しくはフッ素化ポリマーを含むフィルムであり得る。これらのうち、印刷性という観点から、アクリルポリマーを使用することが好ましい。
【0030】
透明フィルム層の厚さは適宜選択することができ、限定されない。例えば、この厚さは、約3μm〜約500μm、又は約5μm〜約300μmであってよい。
【0031】
装飾シートは、任意の構成要素として結合層を更に含み得る。結合層は、それに隣接した2つの層を接着する役割を果たし、かつまた不透明性を付与する。結合層は、アクリル系、ゴム系、ウレタン系、ポリエステル系、又はシリコーン系のポリマーなどの従来の公知の粘着質の接着ポリマーを含む接着剤を含む。結合層が不透明性を付与する場合、これらの粘着質の接着剤に公知の染料又は顔料を更に添加することにより得られる着色された接着剤を使用することが可能である。例えば、酸化チタンを顔料として使用することが可能である。この場合、着色された接着剤は白色であろう。結合層として好適な透明度を有する着色された接着剤を用いることにより、意匠層における色密度の差が生じず、より鮮鋭なデザインを提供することができる。
【0032】
結合層の厚さは適宜選択することができ、限定されない。例えば、この厚さは、約5μm〜約200μm、又は約10μm〜約100μmであってよい。
【0033】
装飾シートは、任意の構成要素としてアルミニウム、アルミニウム合金などの金属層を更に含むことができる。金属層は、強靭性を装飾シートに付与し、凹凸面への追従性を向上する。
【0034】
金属層の厚さは適宜選択することができ、限定されない。例えば、この厚さは、約20μm〜約200μmであり得る。
【0035】
装飾シートは、床又は路面のような被着体に装飾シートを接着するために接着剤層を有する。結合層は、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、ゴム系、又はシリコーン系などの従来の公知の接着性ポリマーを含む接着剤(感圧性接着剤)を含む。それらの接着性ポリマーを公知の架橋剤で架橋することができる。好ましい接着性ポリマーは、架橋されたアクリル系ポリマー又はゴム系ポリマーであり得る。
【0036】
接着剤層の表面を電子ビーム(ebeam)で処理して、被着体への粘着性を改善することができる。
【0037】
ゴム系接着剤を用いたときに、特に例えば65℃などの高温下での接着を電子ビーム処理によって改善することができる。電子ビームの照射量は限定されないが、約0.5Mrad〜約10Mrad、又は約1Mrad〜約6Mradであり得る。
【0038】
接着剤層の厚さは特に限定されないが、例えば、約10μm〜約200μm、約20μm〜約150μm、又は約30μm〜約100μmであり得る。
【0039】
装飾シートは、接着剤層と、金属層と、結合層と、意匠層と、透明フィルム層と、第1ビーズコート層と、第2ビーズコート層とを、その順序で積層することによって得られる。更に、装飾シートはまた、必要に応じてプライマー層などの異なる機能を有する層を有してもよい。接着剤層及び第2ビーズコート層は最も外側の層であり、接着剤層は被着体の側に、第2ビーズコート層はその反対側にある。
【0040】
更に、装飾シートの接着剤層の外面にライナー(剥離層)を提供することができる。このライナーは、粘着質の接着テープの分野でしばしば使用されるようなタイプのものでよく、特定の構成要素に限定されない。好ましいライナーとしては、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、又はセルロースアセテートのようなプラスチック材料、そのようなタイプのプラスチック材料で被覆又はラミネートされた紙、若しくは他の材料が挙げられる。これらのライナーは、更に改質されずに用いられてもよいが、その剥離性を改善するために、シリコーン処理に供した後に使用してもよく、又は、別の方法を用いて処理してもよい。
【0041】
装飾シートは、従来の公知の方法を適切に選択することにより生成することができる。製造方法の一例を以下に記載する。
【0042】
透明フィルム層は、ポリエステルフィルムのようなプラスチックフィルムライナー上にナイフコーティングなどのような手段で透明フィルム層を構成する樹脂をコーティングしてから乾燥することにより形成される。
【0043】
ビーズコート層1は、得られた透明フィルム層のライナーの反対側の表面の上にビーズコート層1を構成するビーズ含有樹脂溶液をコーティングしてから乾燥することにより形成される。次いで、ビーズコート層1の上にビーズコート層2を構成するビーズ含有樹脂溶液をコーティングしてから乾燥することにより、ビーズコート層2を形成する。
【0044】
透明フィルム層からライナーを剥離し、インクジェットプリンタなどを用いて透明フィルム層の表面に印刷することにより、意匠層を形成する。
【0045】
次いで、接着剤を両面に有するアルミ箔(白色の粘着質の接着剤/アルミ箔/アクリル又はゴムの粘着質の接着剤/ライナーにより得られるフィルム)を意匠層に接着することにより装飾シートが得られる。
【0046】
装飾シートは、宣伝、方向指示、交通標識又は案内などの情報を表示するために屋内又は屋外の床若しくは道路又は駐車場のような路面に接着することができる。
【0047】
以下の略語が本明細書で使用される。
BA:n−ブチルアクリレート
MEK:メチルエチルケトン
AA:アクリル酸
MMA:メチルメタクリレート
BMA:ブチルメタクリレート
DMAEMA:ジメチルアミノエチルメタクリレート
IPA:イソプロピルアルコール
【実施例】
【0048】
(実施例1)
試料の調製
実施例1の試料を以下のように調製した。使用した材料を表1に示す。
【0049】
工程1:受像フィルム(透明フィルム層)の調製 P1、P2及びCL1(組成は表1を参照)の混合溶液をミキサー(Tokushu Kika Kogyo Co.,Ltd.製のTK Autohomomixer)で混合した。P1、P2及びCL1の配合比は固形含有量として100:75:0.15であった。攪拌した溶液を、ナイフコーターを用いて厚さ50μmのポリエステルフィルム上にコーティングし、次いで、95℃で5分間及び155℃で2分間乾燥した。乾燥後、50μmの厚さを有する受像フィルム(ポリエステルフィルムを除く)が得られた。
【0050】
工程2:ビーズコート層1のコーティング
PU1、CL2、ビーズ1及びFA1(組成は表1を参照)の混合溶液をミキサー(Tokushu Kika Kogyo Co.,Ltd.製のTK Autohomomixer)で混合した。PU1、CL2、ビーズ1及びFA1の配合比は固形含有量として30:5:35:0.69であった。ビーズコート層1は、攪拌した溶液をナイフコーターを用いて受像層の上にコーティングしてから、65℃で2分間、90℃で3分間、及び155℃で2分間乾燥することにより形成した。乾燥後、ビーズコート層1のコーティング重量は37g/mであった。
【0051】
工程3:ビーズコート層2のコーティング
PU1、CL2、ビーズ2及びFA1の混合溶液をミキサー(Tokushu Kika Kogyo Co.,Ltd.製のTK Autohomomixer)で混合した。PU1、CL2、ビーズ2及びFA1の配合比は固形含有量として30:5:35:0.69であった。ビーズコート層2は、攪拌した溶液をナイフコーターを用いてビーズコート層1の上にコーティングしてから、65℃で2分間、90℃で3分間、及び155℃で2分間乾燥することにより形成した。乾燥後、ビーズコート層2のコーティング重量は28g/mであった。
【0052】
工程4:意匠層の印刷
意匠層は、ビーズコート層1及びビーズコート層2を含む受像フィルムのポリエステルフィルムを剥離し、溶剤インクジェットプリンタ(Roland DG Corporation製のSC540)を用いて受像フィルムの表面に印刷することにより形成した。
【0053】
工程5:両面に粘着質の接着剤を有するアルミ箔の接着
メチルイソブチルケトン(MIBK)40質量部を、10質量部のアクリル樹脂1(メチルメタクリレート(MMA)/ブチルメタクリレート(BMA)/ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)の組成比=60:34:6(質量比)、重量平均分子量(Mw)=約70,000、Tg=約66℃、エチルアセテート溶液として供給される)及び50質量部の酸化チタン(DuPont社製のTiPure R960)に添加し、塗料シェーカー(Thinky Corporation製のARE250)内で10分間攪拌して、顔料プレミックス溶液を得た。
【0054】
次いで、50質量部の酸化チタン1及び10質量部のアクリル樹脂1を、100質量部の接着性ポリマー1(アクリル酸ブチル(BA)/アクリル酸(AA)の組成比=96:4(質量比)、Tg=約−50℃、Mw=約580,000、エチルアセテート/トルエン溶液として供給)に添加して得られた接着剤組成物を、その得られた顔料プレミックスと混ぜ合わせることにより、白色の接着剤組成物溶液を調製した。0.2質量部(固形含有量として)の架橋剤1(ビスアミド系、1,1’−イソフタロイル−ビス(2−メチルアジリジン)を、100質量部の粘着質の接着性ポリマー1に添加した。粘着質の接着剤と顔料との相溶性は良好であり、容易に分散を達成した。白色の接着剤層は、乾燥後のコーティング層の厚さが30μmになるように、得られた白色接着剤組成物溶液をナイフコーターを用いて厚さ50μmのアルミ箔上にコーティングし、次いで、90℃で5分間加熱し、乾燥し、架橋することにより得られた。白色の接着剤は、25μmの厚さを有するシリコン処理したポリエステルライナーを接着することにより保護した。
【0055】
次いで、乾燥後のコーティング層の厚さが45μmになるように、両面がシリコーン処理されているポリエチレン積層された紙ライナー上に接着性ポリマー2(Soken Chemical & Engineering Co.,Ltd製のSK−Dyne 1429 F2)をコーティングした。乾燥工程後、得られた紙ライナーを、アルミ箔の白色の接着剤層が形成された側と反対側の表面上に接着することにより、両面に接着剤を有するアルミ箔を調製した。
【0056】
両面に接着剤を有する得られたアルミ箔の白色の接着剤層からライナーを剥離し、両面に接着剤を有するアルミ箔を意匠層の上に積層した。
【0057】
(実施例2)
実施例2は、ビーズコート層2のコーティング重量が33g/mであったことを除き、実施例1と同じ方法で調製した。
【0058】
(実施例3)
実施例3は、ビーズコート層2のコーティング重量が37g/mであったことを除き、実施例1と同じ方法で調製した。
【0059】
比較例
比較例は、ビーズコート層2を提供しなかったことを除き、実施例1と同じ方法で調製した。
【0060】
比較例5〜8
工程1:受像フィルムの調製
受像層は、実施例1と同じ方法で調製した。
【0061】
工程2:ビーズコート層1のコーティング
PU1、CL2、ビーズ1及びFA1(組成は表1を参照)の混合溶液をミキサー(Tokushu Kika Kogyo Co.,Ltd.製のTK Autohomomixer)で混合した。PU1、CL2、ビーズ3及びFA1の配合比は固形含有量として30:5:35:0.69であった。ビーズコート層1は、攪拌した溶液をナイフコーターを用いて受像層の上にコーティングしてから、65℃で2分間、90℃で3分間、及び155℃で2分間乾燥することにより形成した。乾燥後、比較例5、6、7及び8のビーズコート層1のコーティング重量は、それぞれ74、84、88及び96g/mであった。
【0062】
工程3:意匠層の印刷
意匠層は、ビーズコート層1及びビーズコート層2を有する受像フィルムのポリエステルフィルムを剥離し、溶剤インクジェットプリンタ(Roland DG Corporation製のSC540)を用いて受像フィルムの表面に印刷することにより形成した。
【0063】
工程4:両面に粘着質の接着剤を有するアルミ箔の接着
実施例1の工程5と同じ方法で調製した両面に接着剤を有するアルミ箔の白色の接着剤層からライナーを剥離し、両面に接着剤を有するアルミ箔を意匠層の上に積層した。
【0064】
比較例1
比較例1は、ビーズコート層2のアルミナビーズにビーズ1を使用したこと、及びビーズコート層2のコーティング重量が38.7g/mであったことを除き、実施例1と同じ方法で調製した。
【0065】
比較例2
比較例2は、ビーズコート層2のアルミナビーズにビーズ1とビーズ2の混合物(ビーズ1:ビーズ2の配合比は8:2)を使用したこと、及びビーズコート層2のコーティング重量が38.2g/mであったことを除き、実施例1と同じ方法で調製した。
【0066】
比較例3
比較例3は、ビーズコート層2のアルミナビーズにビーズ1とビーズ2の混合物(ビーズ1:ビーズ2の配合比は9:1)を使用したこと、及びビーズコート層2のコーティング重量が39.6g/mであったことを除き、実施例1と同じ方法で調製した。
【0067】
比較例12
比較例12は、ビーズコート層1のアルミナビーズにビーズ2を使用したこと、ビーズコート層2のアルミナビーズにビーズ1を使用したこと、及びビーズコート層1及びビーズコート層2のコーティング重量がそれぞれ35g/m及び44g/mであったことを除き、実施例1と同じ方法で調製した。
【0068】
比較例13
比較例13は、ビーズコート層1のアルミナビーズにビーズ1を使用したこと、ビーズコート層2のアルミナビーズにビーズ4を使用したこと、及びビーズコート層1及びビーズコート層2のコーティング重量がそれぞれ37g/m及び26g/mであったことを除き、実施例1と同じ方法で調製した。
【0069】
比較例14
比較例14は、ビーズコート層2のコーティング重量が33g/mであったことを除き、比較例13と同じ方法で調製した。
【0070】
比較例9〜11
工程1:受像フィルムの調製
受像フィルムは、実施例1と同じ方法で調製した。
【0071】
工程2:ビーズコート層1のコーティング
PU1、CL2、ビーズ2及びFA1(組成は表1を参照)の混合溶液をミキサー(Tokushu Kika Kogyo Co.,Ltd.製のTK Autohomomixer)で混合した。PU1、CL2、ビーズ2及びFA1の配合比は固形含有量として30:5:35:0.69であった。ビーズコート層1は、攪拌した溶液をナイフコーターを用いて受像層の上にコーティングしてから、65℃で2分間、90℃で3分間、及び155℃で2分間乾燥することにより形成した。乾燥後、比較例9、10、及び11のビーズコート層1のコーティング重量は、それぞれ、80、88及び110g/mであった。
【0072】
工程3:意匠層の印刷
意匠層は、ビーズコート層1及びビーズコート層2を有する受像フィルムのポリエステルフィルムを剥離し、溶剤インクジェットプリンタ(Roland DG Corporation製のSC540)を用いて受像フィルムの表面に印刷することにより形成した。
【0073】
工程4:両面に粘着質の接着剤を有するアルミ箔の接着
実施例1の工程5と同じ方法で調製した両面に接着剤を有するアルミ箔の白色の接着剤層からライナーを剥離し、両面に接着剤を有するアルミ箔を意匠層の上に積層した。
【0074】
比較例15
比較例15は、ビーズコート層1のアルミナビーズにビーズ1とビーズ2の混合物(ビーズ1:ビーズ2の配合比は2:8)を使用したこと、及びビーズコート層1のコーティング重量が27g/mであったことを除き、比較例3、12、13と同じ方法で調製した。
【0075】
比較例16
比較例16は、ビーズコート層1のアルミナビーズにビーズ1とビーズ2の混合物(ビーズ1:ビーズ2の配合比は5:5)を使用したこと、及びビーズコート層1のコーティング重量が25g/mであったことを除き、比較例3、12、13と同じ方法で調製した。
【0076】
比較例17
比較例17は、ビーズコート層1のアルミナビーズにビーズ1とビーズ2の混合物(ビーズ1:ビーズ2の配合比は8:2)を使用したこと、及びビーズコート層1のコーティング重量が33g/mであったことを除き、比較例3、12、13と同じ方法で調製した。
【0077】
試験方法
ドライステアリング試験
15cm×20cmの大きさに切断した試験片をアスファルトに接着した。試験片の上に、重量約2トン(1814.4kg)の乗用車(トヨタAlphard)の前輪を配置した。車を静止した状態で、ハンドルを右に回転し、タイヤをできるだけ右いっぱいまで回転した。次いで、ハンドルを中央位置に戻し、再びタイヤを車と平行にした。この手順を1周期として、同じやり方で周期を再び実行したが、タイヤを右ではなく左に回転し、次いで再びタイヤを右に回転して、合計3周期を行った。フィルムに引裂き又は剥離が生じなかった事例は合格とみなし、フィルムに引裂き又は剥離が生じた事例は不合格とみなし、結果を表2に示す。
【0078】
耐磨耗性試験
10mm(幅)×10mm(長さ)の大きさに切断した試料からライナーを剥離し、試料をアルミニウムのプレートに接着し、プレマスクを剥離して取り除いた。耐磨耗性は、JIS A 1453にしたがって評価した。S−42型布やすりを用いて、100回転毎にブラシでローラーを掃除し、500回転毎に布やすりを交換して、白色の接着剤層を磨耗し、図柄フィルムの白色が消滅するまでの回転数を測定した。結果を表2に示す。
【0079】
スキッド抵抗試験
試料からライナーを剥離し、試料をアスファルトに接着し、プレマスクを剥離して取り除いた。ウェットスキッド抵抗は、ASTM E303−83にしたがって測定した。結果を表2に示す。B.P.N(英国振り子番号)の値が高いほどスキッドは少ない。
【0080】
接着性試験
20℃
試料を幅25mm×長さ150mmに切断した。切断した試料をアルミニウムパネル及びモルタルパネルにそれぞれ適用した。20℃で48時間放置した後に、JIS Z 0237 8.2.3にしたがって引張り試験機(A&D Company,LImited製のTensilon)で180度剥離力を測定した。引張り速度は300mm/分であった。
【0081】
65℃
試料を幅25mm×長さ150mmに切断した。切断した試料をアルミニウムパネル及びモルタルパネルにそれぞれ適用した。20℃で48時間放置した後に、試料を65℃のオーブン内に保管し、次いで、引張り試験機(A&D Company,LImited製のTensilon)で180度剥離力を測定した。引張り速度は300mm/分であった。
【0082】
結果を表3に示す。
【0083】
(実施例
試料の調製
実施例の試料を以下のように調製した。使用した材料を表1に示す。
【0084】
工程1〜4:
受像フィルム(透明フィルム層)の調製、ビーズコート層1のコーティング、ビーズコート層2のコーティング、及び意匠層の印刷は、実施例1と同じ方法で実行し、次いで、第1及び第2のビーズコート層を含む中間体試料、受像フィルム、及び意匠層を得た。
【0085】
工程5:アルミ箔上の白色の接着剤の調製
10質量部のP1、50質量部の酸化チタン(DuPont社製R960)、及び40質量部のMIBKを調製し、溶液を得た。溶液をPaintシェーカー(Thinky社製ARE250)で10分間混合した後、プレミックス溶液を得た。プレミックス溶液に、100質量部のP3及びCL3(P3:CL3=100:0.2固体比)を加えた。
【0086】
メチルイソブチルケトン(MIBK)40質量部を、10質量部のアクリル樹脂1(メチルメタクリレート(MMA)/ブチルメタクリレート(BMA)/ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)の組成比=60:34:6(質量比)、重量平均分子量(Mw)=約70,000、Tg=約66℃、エチルアセテート溶液として供給される)及び50質量部の酸化チタン(DuPont製のTiPure R960)に添加し、塗料シェーカー(Thinky Corporation製のARE250)内で10分間攪拌して顔料プレミックス溶液を得た。
【0087】
次いで、50質量部の酸化チタン1及び10質量部のアクリル樹脂1を、100質量部の接着性ポリマー1(ブチルアクリレート(BA)/アクリル酸(AA)の組成比=96:4(質量比)、Tg=約−50℃、Mw=約580,000、エチルアセテート/トルエン溶液として供給)に添加して得られた接着剤組成物をその顔料プレミックスと混ぜ合わせることにより、白色の接着剤組成物溶液を調製した。0.2質量部(固形含有量として)のCL3を100質量部のPSA1に添加した。粘着質の接着剤と顔料の相溶性は良好であり、容易に分散を達成した。白色の接着剤層は、乾燥後のコーティング層の厚さが30μmになるように、得られた白色接着剤組成物をナイフコーターを用いて厚さ50μmのアルミ箔上にコーティングし、次いで、90℃で5分間加熱し、乾燥し、架橋することにより得られた。白色の接着剤は、25μmの厚さを有するシリコン処理したポリエステルライナーを接着することにより保護した。
【0088】
工程6:PSAコーティング及び電子ビーム硬化
シリコーンコーティングした紙の剥離ライナーにナイフコーティングでゴムPSA1をコーティングし、90℃で5分間乾燥して、厚さ50μmのPSAを得た。得られたPSAを1Mradの電子ビームに曝露した。そのPSAを、工程5で得たアルミニウム層に積層した。
【0089】
(実施例
実施例は、電子ビーム照射量を2Mradにしたことを除き実施例1と同じ方法で調製した。
【0090】
(実施例
実施例は、電子ビーム照射量を4Mradにしたことを除き実施例1と同じ方法で調製した。
【0091】
(実施例
実施例は、電子ビーム照射量を6Mradにしたことを除き実施例1と同じ方法で調製した。
【0092】
(実施例
実施例は、PSA1:CL4=100:0.78の比率でCL4をPSA1に添加したことを除き実施例と同じ方法で調製した。
【0093】
(実施例
実施例は、PSA1:CL4=100:0.78の比率でCL4をPSA1に添加したことを除き実施例と同じ方法で調製した。
【0094】
(実施例10
実施例10は、PSA1:CL4=100:0.78の比率でCL4をPSA1に添加したことを除き実施例と同じ方法で調製した。
【0095】
(実施例11
実施例11は、電子ビームに曝露しなかったことを除き実施例と同じ方法で調製した。
【0096】
(実施例12
実施例12は、電子ビームに曝露しなかったことを除き実施例1と同じ方法で調製した。
【0097】
(実施例13
実施例13は、2軸押出し機でPSA2をコーティングしたことを除き実施例1と同じ方法で調製した。PSA2のコーティング重量は87g/sqmであった。電子ビーム照射量は4Mradであった。
【0098】
(実施例14
実施例14は、PSA2のコーティング重量が217g/sqmであったことを除き、実施例13と同じ方法で調製した。
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】
【0101】
【表3】
【0102】
参照番号
10 装飾シート 1 接着剤層
2 金属層
3 結合層
4 意匠層
5 透明フィルム層(受像フィルム)
6 第1ビーズコート層
7 第2ビーズコート層
8 第1ビーズコート層中のビーズ
9 第2ビーズコート層中のビーズ
図1