(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
<<電子機器について>>
まず、後述する第一乃至第三実施形態に共通する電子機器1の構成について説明する。
【0016】
<電子機器の外観>
図1,2は、それぞれ、電子機器1の外観を示す前面図及び裏面図である。電子機器1は、例えば、スマートフォン等の携帯電話機であって、基地局及びサーバー等を通じて他の通信装置と通信することが可能である。
図1,2に示されるように、電子機器1の形状は、平面視において略長方形の板状形状となっている。電子機器1の外面(表面)は、
図1,2に示されるように、カバーパネル2と筐体3とによって構成されている。
【0017】
カバーパネル2は、平面視において板状形状を成している。カバーパネル2は、
図1に示されるように、電子機器1の前面における、周縁領域以外の領域を構成している。カバーパネル2は、電子機器1の前面の一部を構成する第1主面70と、第1主面70とは反対側に位置する第2主面71とを有している(後述の
図9,10参照)。以後、第1主面70を「外側主面70」と呼び、第2主面71を「内側主面71」と呼ぶことがある。
【0018】
カバーパネル2は、透明の硬い材料で形成されている。カバーパネル2の材料には、例えばサファイアが採用される。サファイアは、地表に多く存在する石英などのガラス成分より硬い。したがって、例えば、カバーパネル2の材料にサファイアを採用した場合には、電子機器1を屋外で落としてもカバーパネル2に傷がつきにくい。ここで、サファイアとは、アルミナ(Al
2O
3)を主成分とする単結晶のことをいい、本明細書では、Al
2O
3純度が約90%以上の単結晶のことをいう。傷がよりつき難く、割れや欠け等をより確実に抑制する点で、Al
2O
3純度は99%以上であることが好ましい。
【0019】
本実施の形態では、カバーパネル2は、電子機器1の表面に設けられたサファイアから成る層を含む一層構造のパネルであるが、当該層を含む複数層構造の複合パネル(積層パネル)であっても良い。例えば、カバーパネル2は、電子機器1の表面に設けられたサファイアから成る層(サファイアパネル)と、当該層に貼り付けられたガラスから成る層(ガラスパネル)とで構成された2層構造の複合パネルであっても良い。また、カバーパネル2は、電子機器1の表面に設けられたサファイアから成る層(サファイアパネル)と、当該層に貼り付けられたガラスから成る層(ガラスパネル)と、当該層に貼り付けられたサファイアから成る層(サファイアパネル)とで構成された3層構造の複合パネルであっても良い。また、カバーパネル2は、サファイア以外の結晶性材料、例えば、ダイヤモンド、ジルコニア、チタニア、水晶、タンタル酸リチウム、酸化窒化アルミニウムなどから成る層を含んでいても良い。
【0020】
サファイア、ダイヤモンド等の結晶性材料は、硬くはあるが、変形しにくい材質であることが多い。そのため、カバーパネル2に変形が生じた場合には、当該カバーパネル2が割れる可能性がある。それ故に、後述する第一乃至第三実施形態においては、カバーパネル2に割れが生じにくい電子機器1の構成について説明する。
【0021】
また、カバーパネル2は表示領域2aと周縁領域2bとを備えている。後述する表示装置16によって表示された文字、記号、図形、映像等の各種情報は、カバーパネル2における表示領域2aを通して使用者に視認される。カバーパネル2における、表示領域2aを取り囲む周縁領域2bは、例えばフィルム等が貼られることで黒色となっており、当該周縁領域2bでは表示装置16による表示が使用者に視認されにくい。
【0022】
また、カバーパネル2の上側端部には、前面側撮像部4が備えられている。また、カバーパネル2の内側主面71には、後述するタッチパネル17が貼り付けられている。使用者は、カバーパネル2の表示領域2aを指等で操作することによって、電子機器1に対して各種指示を与えることができる。
【0023】
筐体3は、電子機器1の前面の周縁領域と、側面及び裏面とを構成している。筐体3は、例えば、樹脂で形成されている。筐体3を形成する樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂あるいはナイロン系樹脂が採用される。
【0024】
筐体3における、電子機器1の前面の下側端部には、操作キー5a,5b,5cおよびマイク穴6が設けられている。
図1に示される電子機器1では、操作キー5a〜5cはハードウェアキーで構成されているが、操作キー5a〜5cのそれぞれは、表示領域2aに表示されるソフトウェアキーで実現されてもよい。操作キー5a〜5cを形成する材料には、サファイア、ダイヤモンド等の結晶性材料が採用されてもよい。マイク穴6は、加工が困難であることから、カバーパネル2には設けず、カバーパネル2以外の部位に設けてもよい。例えば、上述のように筐体3に設けてもよい。特に通話時にユーザが表示領域2a上を操作するとき、操作音を拾わないように、筐体3の側面または裏面に設けられることが好ましい。
【0025】
続いて、電子機器1の側面には、当該電子機器1の起動を行うサイドキー7が備えられている。また、
図2に示されるように、電子機器1の裏面には、撮像装置8aおよび照明装置8bを有する裏面側撮像部8と、スピーカー穴9とが備えられている。照明装置8bは、例えばLEDで構成され、撮像装置8aで撮影を行う際に発光するフラッシュの役割を果たす。
【0026】
以後、電子機器1に関して「上側」及び「下側」と言えば、
図1に示される電子機器1での「上側」及び「下側」をそれぞれ意味する。また、電子機器1に関して「右側」及び「左側」と言えば、
図1に示される電子機器1での「右側」及び「左側」をそれぞれ意味する。
【0027】
<電子機器の電気的構成>
図3は、電子機器1の電気的構成を示すブロック図である。
図3に示されるように、電子機器1には、制御部10と、無線通信部14と、表示装置16と、タッチパネル17と、操作キー5a〜5cと、サイドキー7と、マイク18と、圧電振動素子19と、スピーカー20と、前面側撮像部4と、裏面側撮像部8と、電池21とが設けられている。電子機器1に設けられた、これらの構成要素は、電子機器1の筐体3内に収められている。
【0028】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)11、DSP(Digital Signal Processor)12及び記憶部13等を備えている。制御部10は、電子機器1の他の構成要素を制御することによって、電子機器1の動作を統括的に管理する。記憶部13は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等で構成されている。記憶部13には、電子機器1を制御するための、具体的には電子機器1が備える無線通信部14、表示装置16等の各構成要素を制御するための制御プログラムであるメインプログラム及び複数のアプリケーションプログラム等が記憶されている。制御部10の各種機能は、CPU11及びDSP12が記憶部13内の各種プログラムを実行することによって実現される。
【0029】
無線通信部14は、アンテナ15を有している。無線通信部14は、電子機器1とは別の携帯電話機あるいはインターネットに接続されたウェブサーバ等の通信装置との通信信号の送受信を、基地局等を介してアンテナ15を用いて行う。
【0030】
表示装置16は、例えば、液晶ディスプレイあるいは有機ELディスプレイである。前述した通り、表示装置16によって表示された各種情報は、表示領域2aを通して電子機器1の外部から視認される。
【0031】
タッチパネル17は、例えば、投影型静電容量方式のタッチパネルである。タッチパネル17は、カバーパネル2の内側主面71に貼り付けられている。タッチパネル17は、互いに対向配置されたシート状の二つの電極センサを備えている。使用者が指等の操作子で表示領域2aに対して接触すると、タッチパネル17における、当該操作子と対向する部分の静電容量が変化する。そして、タッチパネル17は、静電容量の変化に応じた電気的な信号を制御部10に出力する。このように、タッチパネル17は、操作子の表示領域2aに対する接触を検出することができる。
【0032】
操作キー5a〜5cおよびサイドキー7は、押下されることで、電気的な指示信号を制御部10に出力する。マイク18には、通話等の際に使用者の音声等が入力され、入力された音声等を電気的な信号に変換して制御部10に出力する。
【0033】
圧電振動素子19は、カバーパネル2の内側主面71に貼り付けられている。圧電振動素子19は、制御部10から与えられる駆動電圧によって振動させられる。制御部10は、音信号に基づいて駆動電圧を生成し、当該駆動電圧を圧電振動素子19に与える。圧電振動素子19が、制御部10によって音信号に基づいて振動させられることによって、カバーパネル2が音信号に基づいて振動する。その結果、カバーパネル2から使用者に受話音が伝達される。この受話音の音量は、使用者がカバーパネル2に耳を近づけた際に適切に聞こえる程度の音量となっている。圧電振動素子19の詳細およびカバーパネル2から使用者に伝達される受話音については後で詳細に説明する。
【0034】
なお、以下の説明では、圧電振動素子19によって、カバーパネル2から使用者に受話音が伝達される場合について説明するが、圧電振動素子19の代わりに、例えば、制御部10からの電気的な音信号を音に変換して出力するダイナミックスピーカーを採用してもよい。ダイナミックスピーカーを採用する場合には、カバーパネル2もしくは筐体3に、レシーバ穴が設けられる。ダイナミックスピーカーから出力される音は、カバーパネル2もしくは筐体3に設けられるレシーバ穴から外部に出力される。レシーバ穴から出力される音の音量は、スピーカー穴9から出力される音の音量よりも小さくなっている。
【0035】
スピーカー20は、制御部10から入力される電気的な音信号を音に変換して出力することで、電子機器1から離れた場所に存在するユーザに着信音などを提供する。前面側撮像部4及び裏面側撮像部8は、静止画像及び動画像を撮像する。電池21は、電子機器1の電源を出力する。電池21から出力された電源は、電子機器1が備える制御部10及び無線通信部14などに含まれる各電子部品に対して供給される。
【0036】
<圧電振動素子の詳細>
図4,5は、それぞれ、圧電振動素子19の構造を示す上面図及び側面図である。
図4,5に示されるように、圧電振動素子19は一方向に長い形状を成している。具体的には、圧電振動素子19は、平面視で長方形の細長い板状を成している。圧電振動素子19は、例えばバイモルフ構造を有している。圧電振動素子19は、シム材19cを介して互いに貼り合わされた第1圧電セラミック板19a及び第2圧電セラミック板19bを備えている。本実施の形態では、第1圧電セラミック板19a及び第2圧電セラミック板19bを備える圧電振動素子が使用されているが、圧電振動素子の構成はこの具体例に限定されない。例えば、圧電板がポリフッ化ビニリデン及びポリ乳酸などの有機圧電材料などで構成された圧電振動素子が使用されても良い。
【0037】
圧電振動素子19では、第1圧電セラミック板19aに対して正の電圧を印加し、第2圧電セラミック板19bに対して負の電圧を印加すると、第1圧電セラミック板19aは長手方向に沿って伸び、第2圧電セラミック板19bは長手方向に沿って縮むようになる。これにより、
図6に示されるように、圧電振動素子19は、第1圧電セラミック板19aを外側にして山状に撓むようになる。
【0038】
一方で、圧電振動素子19では、第1圧電セラミック板19aに対して負の電圧を印加し、第2圧電セラミック板19bに対して正の電圧を印加すると、第1圧電セラミック板19aは長手方向に沿って縮み、第2圧電セラミック板19bは長手方向に沿って伸びるようになる。これにより、
図7に示されるように、圧電振動素子19は、第2圧電セラミック板19bを外側にして山状に撓むようになる。
【0039】
圧電振動素子19は、
図6の状態と
図7の状態とを交互にとることによって、撓み振動を行う。制御部10は、第1圧電セラミック板19aと第2圧電セラミック板19bとの間に、正の電圧と負の電圧とが交互に現れる交流電圧を印加することによって、圧電振動素子19を撓み振動させる。
【0040】
なお、
図4〜7に示される圧電振動素子19では、シム材19cを間に挟んで貼り合わされた第1圧電セラミック板19a及び第2圧電セラミック板19bから成る構造が1つだけ設けられていたが、複数の当該構造を積層させても良い。
【0041】
このような構造を有する圧電振動素子19は、カバーパネル2の内側主面71の周端部に配置される。具体的には、圧電振動素子19は、カバーパネル2の内側主面71の上側端部における、短手方向(左右方向)の中央部に配置される。また、圧電振動素子19は、その長手方向が、カバーパネル2の短手方向に沿うように配置される。これにより、圧電振動素子19は、カバーパネル2の短手方向に沿って撓み振動を行う。そして、圧電振動素子19の長手方向の中心は、カバーパネル2の内側主面71の上側端部における短手方向の中心と一致している。
【0042】
ここで、上述の
図6,7に示されるように、撓み振動を行う圧電振動素子19では、その長手方向の中心が最も変位量が大きくなる。したがって、圧電振動素子19の長手方向の中心が、カバーパネル2の内側主面71の上側端部における短手方向の中心と一致することによって、圧電振動素子19における、撓み振動での変位量が最大となる箇所が、カバーパネル2の内側主面71の上側端部における短手方向の中心に一致するようになる。
【0043】
<受話音の発生について>
本実施の形態に係る電子機器1では、圧電振動素子19がカバーパネル2を振動させることによって、当該カバーパネル2から気導音及び伝導音が使用者に伝達される。言い換えれば、圧電振動素子19自身の振動がカバーパネル2に伝わることにより、当該カバーパネル2から気導音及び伝導音が使用者に伝達される。
【0044】
ここで、気導音とは、外耳道孔(いわゆる「耳の穴」)に入った音波(空気振動)が鼓膜を振動させることによって、人の脳で認識される音である。一方で、伝導音とは、耳介が振動させられ、その耳介の振動が鼓膜に伝わって当該鼓膜が振動することによって、人の脳で認識される音である。以下に、気導音及び伝導音について詳細に説明する。
【0045】
図8は気導音及び伝導音を説明するための図である。
図8には、電子機器1の使用者の耳の構造が示されている。
図8においては、波線400は気道音が脳で認識される際の音信号(音情報)の伝導経路を示している。実線410は伝導音が脳で認識される際の音信号の伝導経路を示している。
【0046】
カバーパネル2に取り付けられた圧電振動素子19が、受話音を示す電気的な音信号に基づいて振動させられると、カバーパネル2が振動して、当該カバーパネル2から音波が出力される。使用者が、電子機器1を手に持って、当該電子機器1のカバーパネル2を当該使用者の耳介300に近づけると、あるいは当該電子機器1のカバーパネル2を当該使用者の耳介300に当てると(接触させると)、当該カバーパネル2から出力される音波が外耳道孔310に入る。カバーパネル2からの音波は、外耳道孔310内を進み、鼓膜320を振動させる。鼓膜320の振動は耳小骨330に伝わり、耳小骨330が振動する。そして、耳小骨330の振動は蝸牛340に伝わって、蝸牛340において電気信号に変換される。この電気信号は、聴神経350を通って脳に伝達され、脳において受話音が認識される。このようにして、カバーパネル2から使用者に対して気導音が伝達される。
【0047】
また、使用者が、電子機器1を手に持って、当該電子機器1のカバーパネル2を当該使用者の耳介300に当てると、耳介300が、圧電振動素子19によって振動させられているカバーパネル2によって振動させられる。耳介300の振動は鼓膜320に伝わり、鼓膜320が振動する。鼓膜320の振動は耳小骨330に伝わり、耳小骨330が振動する。そして、耳小骨330の振動は蝸牛340に伝わり、蝸牛340において電気信号に変換される。この電気信号は、聴神経350を通って脳に伝達され、脳において受話音が認識される。このようにして、カバーパネル2から使用者に対して伝導音が伝達される。
図8では、耳介300内部の耳介軟骨300aも示されている。
【0048】
なお、ここでの伝導音は、骨導音(「骨伝導音」とも呼ばれる)とは異なるものである。骨導音は、頭蓋骨を振動させて、頭蓋骨の振動が直接蝸牛などの内耳を刺激することによって、人の脳で認識される音である。
図8においては、例えば下顎骨500を振動させた場合において、骨伝導音が脳で認識される際の音信号の伝達経路を複数の円弧420で示している。
【0049】
このように、本実施の形態では、圧電振動素子19が前面のカバーパネル2を適切に振動させることによって、カバーパネル2から電子機器1の使用者に対して気導音及び伝導音を伝えることができる。使用者は、カバーパネル2に耳(耳介)を近づけることによって当該カバーパネル2からの気導音を聞くことができる。また使用者は、カバーパネル2に耳(耳介)を接触させることによって当該カバーパネル2からの気導音及び伝導音を聞くことができる。本実施の形態に係る圧電振動素子19では、使用者に対して適切に気導音及び伝導音を伝達できるように、その構造が工夫されている。使用者に対して気導音及び伝導音を伝えることができるように電子機器1を構成することによって様々なメリットが発生する。
【0050】
例えば、使用者は、カバーパネル2を耳に当てれば音が聞こえることから、電子機器1において耳を当てる位置をそれほど気にすることなく通話を行うことができる。
【0051】
また、使用者は、周囲の騒音が大きい場合には、耳をカバーパネル2に強く押し当てることによって、伝導音の音量を大きくしつつ、周囲の騒音を聞こえにくくすることができる。よって、使用者は、周囲の騒音が大きい場合であっても、適切に通話を行うことができる。
【0052】
また、使用者は、耳栓やイヤホンを耳に取り付けた状態であっても、カバーパネル2を耳(より詳細には耳介)に当てることによって、電子機器1からの受話音を認識することができる。また、使用者は、耳にヘッドホンを取り付けた状態であっても、当該ヘッドホンにカバーパネル2を当てることによって、電子機器1からの受話音を認識することができる。
【0053】
<<第一実施形態>>
<電子機器の断面図>
ここでは、カバーパネル2に割れが生じにくい電子機器1の構成について説明する。
図9は、第一実施形態に係る電子機器1の分解斜視図を示す図である。
図10は、
図1,2に示される矢視A−Aにおける電子機器1の断面図を示している。
図11は、
図10に示される部分Bの拡大図である。なお、
図9,11では、図面の煩雑さを避けるために、複数の電子部品を電気的に互いに接続する複数のケーブル(配線)25(
図10参照)など、電子機器1が備える部品の一部の図示を省略して示している。
【0054】
図9,10に示されるように、本実施の形態に係る電子機器1の筐体3は、フロント側筐体3aと、バック側筐体3bとで構成されている。フロント側筐体3a及びバック側筐体3bは、電子機器1の表面を構成している。より具体的には、フロント側筐体3aは、枠状の形状をしており、電子機器1の前面の周縁領域、および電子機器1の側面の一部を構成している。バック側筐体3bは、一方の主面が開口した略箱型を成しており、電子機器1の側面の一部、および電子機器1の裏面を構成している。フロント側筐体3aとバック側筐体3bとは、つめ等による固定や、ねじ締結などの固定によって互いに結合されて、電子機器1を構成する表示装置16等の各種部品を収納している。なお、本実施の形態では、筐体3が、フロント側筐体3aおよびバック側筐体3bで構成される場合について説明するが、筐体3は1つの部材のみで構成されても良いし、3つ以上の部材が組み合わされて構成されても良い。
【0055】
また、
図9,10に示されるように、フロント側筐体3aの内側には、表示装置16を支持する支持部品26が固定されている。支持部品26は、例えば、板状形状を成しており、SUS等の金属材料で形成される。支持部品26は、筐体3に固定されているため、剛性が高い。支持部品26には、開口部44が設けられることがある。開口部44は、ケーブル25を通したい箇所や、前面側撮像部4などの電子機器1を構成する電子部品を配置する場合に邪魔となる箇所や、アンテナ15の性能を維持するために(支持部品26の材料である)金属が邪魔となる箇所などに設けられる。
【0056】
支持部品26は、筐体3と別体に形成され、電子機器1の組立時に筐体3に固定されてもよいし、インサート形成によって筐体3と一体となっていてもよい。また、本実施の形態では、支持部品26は、フロント側筐体3aに固定されているが、支持部品26はバック側筐体3bに固定されていてもよい。
【0057】
図10に示されるように、カバーパネル2の内側主面71における周縁領域は、フロント側筐体3aと固定される。カバーパネル2と、フロント側筐体3aとは、両面テープもしくは接着剤等によって固定される。また、カバーパネル2の内側主面71には、タッチパネル17及び圧電振動素子19が固定される。より具体的には、
図11に示されるように、タッチパネル17は、両面テープもしくは接着剤等の貼付部材30によってカバーパネル2に固定される。同様に、圧電振動素子19は、両面テープもしくは接着剤等の貼付部材31によってカバーパネル2に固定される。
【0058】
表示装置16は、タッチパネル17における、カバーパネル2と対向する面とは反対側の面に対向するように配置される。
図11に示されるように、カバーパネル2及びタッチパネル17と、表示装置16の第1主面75とが、両面テープもしくは接着剤等の貼付部材32によって固定される。なお、表示装置16における、第1主面75と反対側の主面を第2主面76と呼ぶ。また、本実施の形態では、表示装置16の第1主面75を「表側主面75」と呼ぶことがある。同様に、表示装置16の第2主面76を「裏側主面76」と呼ぶことがある。
【0059】
表示装置16の裏側主面76は、両面テープもしくは接着剤等の貼付部材33によって、支持部品26の第1主面80に固定される。支持部品26は、第1主面80と、当該第1主面80とは反対側の第2主面81を有している。本実施の形態では、支持部品26の第1主面80を「表側主面80」と呼ぶことがある。同様に、支持部品26の第2主面81を「裏側主面81」と呼ぶことがある。本実施の形態では、カバーパネル2にはタッチパネル17が固定され、タッチパネル17には表示装置16が固定されていることから、表示装置16を支持する支持部品26は、表示装置16及びタッチパネル17を介して、カバーパネル2を支持していると言える。タッチパネル17、表示装置16及び支持部品26の剛性によって、カバーパネル2は、内側(外側主面70から内側主面71に向かう方向)に変形しにくくなる(曲がりにくくなる)。その結果、カバーパネル2に割れが生じにくくなる。
【0060】
また、詳しくは後で説明するが、本実施の形態では、表示装置16の裏側主面76と、支持部品26の表側主面80とが固定されていることにより、カバーパネル2が、外側(内側主面71から外側主面70に向かう方向)に変形しにくくなる(曲がりにくくなる)。その結果、カバーパネル2に割れが生じにくくなる。
【0061】
図9,10に示されるように、CPU11及びDSP12などの各種部品が搭載されるプリント基板27は、支持部品26の裏側主面81に対向するように配置される。電池21は、プリント基板27に対向するように配置される。そして、電池21に対向するように、バック側筐体3bが配置される。
【0062】
<表示装置について>
図12は、表示装置16の裏側主面76を示す図である。なお、
図12では、裏側主面76における支持部品26に固定されている領域を、左上がりの斜線で示している。
図12に示されるように、表示装置16は、裏側主面76における周縁領域50で、支持部品26と固定されている。
【0063】
一方、
図13は、
図11における部分Cの拡大図である。
図13には、表示装置16と、貼付部材33とが示されている。
図13に示される表示装置16は、表示部分16aおよび表示筐体16bで構成される。本実施の形態では、表示部分16aは、上面が開口した箱状を成している表示筐体16bに収納されている。
【0064】
表示部分16aは、文字、記号、図形、映像等の各種情報を表示させるために必要となる複数の部品で構成される。例えば、表示装置16に液晶ディスプレイを採用した場合には、表示部分16aはバックライトや液晶パネルなどの複数の部品で構成される。一方、表示筐体16bは、表示部分16aを保護する部品である。表示筐体16bは、例えば、SUS等の金属材料で形成される。そのため、表示筐体16bは、表示部分16aに比べて強度が強い。
【0065】
表示装置16の表側主面75は、表示部分16aと表示筐体16bとによって構成されている。より具体的には、表側主面75における周縁領域が表示筐体16bによって構成され、表側主面75における周縁領域以外の領域が表示部分16aによって構成されている。本実施の形態では、表側主面75のうちの表示部分16aで構成されている領域を「第1領域45」と呼ぶ。同様に、表側主面75のうちの表示筐体16bで構成されている領域を「第2領域46」と呼ぶ。
【0066】
また、表示装置16の表側主面75における、各種情報の表示がされる領域を「表示領域41」と呼ぶ。表示領域41は「表示画面41」と呼ばれることもある。一方、表示装置16の表側主面75における、表示領域41以外の領域を「非表示領域42」と呼ぶ。
図13に示される表示装置16では、表示部分16aで構成される第1領域45の周縁領域は、非表示領域42となっている。言い換えると、第1領域45の周縁領域では表示が行われない。
【0067】
また、表示装置16の裏側主面76および4つの側面77は、表示筐体16bで構成されている。
図13に示されるように、表示筐体16bは、表示装置16の裏側主面76を構成する底部分60と、当該底部分60に立設された4つの側壁部分61とを有している。
図13には、底部分60と、底部分60の上側端部(
図13では右側端部)から延びる上側壁部分61aと、底部分60の下側端部(
図13では左側端部)から延びる下側壁部分61bとが示されている。
図13には図示されていないが、表示筐体16bは、底部分60の左側端部から延びる左側壁部分、および底部分60の右側端部から延びる右側壁部分も有している。表示筐体16bの底部分60は表示部分16aの底面を覆い、表示筐体16bの側壁部分61は表示部分16aの側面を覆う。
【0068】
図13に示されるように、表示装置16の裏側主面76における周縁領域50の上には4つの側壁部分61が存在する。本実施の形態では、表示装置16において、底部分60の周縁部分60aと、当該周縁部分60a上の4つの側壁部分61とから成る部分を、表示装置16の周端部分62と呼ぶ。底部分60の周縁部分60aの裏面が、裏側主面76の周縁領域50となる。
【0069】
既述したように、本実施の形態に係る表示装置16は、裏側主面76の周縁領域50で支持部品26と固定されている。つまり、表示装置16の周端部分62が支持部品26に固定されている。そのため、例えば電子機器1の表示領域2aのユーザ操作などによって、電子機器1の表面に対してその厚み方向に力がかかったときには、当該表示装置16の周端部分62に力がかかりやすくなる。
【0070】
しかし、本実施の形態に係る表示装置16では、周端部分62に表示部分16aが含まれない。つまり、力がかかりやすい周端部分62には表示領域(表示画面)41が含まれない。したがって、電子機器1の表示領域2aのユーザ操作などによって、表示装置16の表側主面75に力がかかったとしても、表示装置16の表示は乱れにくい。また、支持部品26が固定される周端部分62に表示部分16aの一部が含まれる場合であっても、表示領域41の端での表示が乱れるだけであることから、それほど表示の視認性が劣化することはない。
【0071】
また、本実施の形態では、表示装置16の周端部分62に、強度が強い表示筐体16bの側壁部分61が含まれる。当該側壁部分61は、電子機器1の厚み方向に沿って延びていることから、電子機器1の表面に対してその厚み方向に力がかかったとしても、力がかかりやすい周端部分62は変形しにくい。よって、表示装置16は変形しにくく(曲がりにくく)なり、当該表示装置16の表示が乱れるのを抑制することができる。
【0072】
<比較対象機器>
以下では、
図14,15を参照しながら、本実施の形態の電子機器1と比較される電子機器(以後、「比較対象機器」と呼ぶ)の例を説明する。
図14は、
図11に対応する比較対象機器の断面図である。
図15は、
図10に対応する比較対象機器の断面図である。
図14に示されるように、比較対象機器では、表示装置16の裏側主面76と、支持部品26とが固定されていない。言い換えると、比較対象機器では、本実施の形態の電子機器1と異なり、表示装置16の裏側主面76の周縁領域50と、支持部品26とを固定する貼付部材33が存在しない。
【0073】
カバーパネル2は、タッチパネル17および表示装置16を介して支持部品26によって支えられている。したがって、本実施の形態に係る電子機器1と同様に、比較対象機器のカバーパネル2は、内側には変形しにくい。
【0074】
しかし、本実施の形態に係る電子機器1とは異なり、比較対象機器では、表示装置16と支持部品26とが固定されていない。そのため、
図15に示されるように、比較対象機器のカバーパネル2は、外側に変形しやすくなる。より具体的には、
図15に例示されるように、カバーパネル2の内側主面71に固定された表示装置16は支持部品26から離れ、カバーパネル2は外側に曲がりやすくなる。既述したように、カバーパネル2は変形しにくい材質で形成されることが多い。そのため、カバーパネル2に変形が生じた場合には、当該カバーパネル2が割れる可能性がある。
【0075】
これに対して、本実施の形態に係る電子機器1では、表示装置16が、支持部品26に固定されている(
図11参照)。そのため、表示装置16は支持部品26と離れにくくなり、当該表示装置16に固定されているカバーパネル2は外側に変形しにくくなる。その結果、カバーパネル2が割れることを抑制することができる。
【0076】
また、既述したように、支持部品26は筐体3に固定されているため剛性が高い。つまり、カバーパネル2は、表示装置16を介して支持部品26に固定されることで剛性が高くなる。そのため、カバーパネル2は変形しにくくなる。よって、この点からもカバーパネル2が割れることを抑制することができると言える。
【0077】
<<第一実施形態第一変形例>>
既述した第一実施形態に係る表示装置16は、裏側主面76における周縁領域50で、支持部品26に固定されている(
図11参照)。しかし、表示装置16と支持部品26とは、
図16,17に示されるように固定されてもよい。
図16は、
図11に対応する、電子機器1の断面図である。
図17は、
図12に対応する表示装置16の裏側主面76を示す図である。
【0078】
図16,17に示されるように、本変形例に係る電子機器1では、表示装置16の裏側主面76における全ての領域が、貼付部材34によって支持部品26の表側主面80に固定されている。つまり、本変形例に係る電子機器1では、第一実施形態に係る電子機器1に比べて、表示装置16と支持部品26とが広範囲の領域で固定されている。そのため、
図11,12に示される第一実施形態に係る電子機器1に比べて、カバーパネル2が外側に変形しにくくすることができる。
【0079】
しかしながら、本変形例に係る電子機器1では、表示装置16の裏側主面76における全ての領域が、貼付部材34によって支持部品26に固定されているために、電子機器1の表面に対してその厚み方向に力がかかったときには表示装置16全体に力がかかりやすい。したがって、電子機器1の表面に対してその厚み方向に力がかかった場合における表示装置16の表示の乱れは、第一実施形態に係る電子機器1を採用した方が少なくなる。
【0080】
<<第一実施形態第二変形例>>
既述した第一実施形態に係る表示装置16は、箱状の表示筐体16bに表示部分16aが収納されていた。しかし、
図18,19に示されるような表示装置16を採用してもよい。
図18,19は共に、
図13に対応する、表示装置16の断面を示す図である。
【0081】
図18に示される例では、表示装置16は表示筐体16bを備えていない。つまり、表示装置16は、表示部分16aで構成されている。そのため、表示装置16の周端部分62は、表示部分16aで構成されている。また、表示装置16の表側主面75の周縁領域は非表示領域42となっており、表側主面75の非表示領域42以外の領域が表示領域41となっている。なお、表示領域41は、表示装置16の周端部分62に含まれていない。
【0082】
ここで、例えば、表示装置16(表示部分16a)に液晶ディスプレイを採用した場合には、表示部分16aにおいて、表示領域41の下方に存在するバックライトによって照射された光が、液晶パネルなどの部品を透過し表示領域41に到達する。液晶パネルでは、制御部10から表示装置16に入力された入力画像信号に応じて、当該液晶パネルを透過する光の透過光量が調節される。これにより、表示装置16の表示領域41に画像が表示される。本実施の形態では、バックライトから表示領域41に向かって照射された光が通る、表示部分16aのうちの表示領域41の下の部分を「導光部分47」と呼ぶ。また、表示部分16aのうちの導光部分47以外の部分、つまり表示部分16aのうちの非表示領域42の下の部分を「非導光部分48」と呼ぶ。
【0083】
ユーザが電子機器1に対して行った入力操作などによって導光部分47に力がかかったときには、当該導光部分47となる、バックライトや液晶パネル等の部品の一部分に変形が生じることがある。導光部分47に変形が生じたときには、バックライトから照射された光の進行方向や液晶パネルにおける透過光量が変わりやすい。バックライトから照射された光の進行方向や液晶パネルにおける透過光量の変化は、表示領域41(表示装置16)における表示の乱れの原因となる。
【0084】
また、表示部分16aは表示筐体16bとは異なり強度が弱い。ゆえに、非導光部分48に力がかかった場合であっても、当該非導光部分48だけでなく導光部分47にも変形が生じる可能性がある。しかし、非導光部分48に力がかかった場合における導光部分47の変形量は、導光部分47に力がかかった場合における導光部分47の変形量に比べて小さい。そのため、非導光部分48に力がかかったときは、導光部分47に力がかかったときに比べて、表示領域41(表示装置16)の表示が乱れにくい。
【0085】
図18に示される例では、表示装置16の表側主面75に力がかかったときに力がかかりやすい周端部分62が表示部分16aによって構成されているものの、当該周端部分62は導光部分47を含まない。そのため、本変形例のように、表示装置16が表示筐体16bを備えていない場合であっても、当該表示装置16の裏側主面76の周縁領域50と支持部品26とを固定しても、表示装置16の表示の乱れを低減することができる。
【0086】
なお、
図18に例示される表示装置16とは異なり、表示装置16(表示部分16a)の表側主面75全体が表示領域41である場合には、電子機器1の表面に対してその厚み方向に力がかかったときに、導光部分47に力がかかることになる。この場合には、表示領域41のうちの周端部分62に含まれる領域(言い換えると、表示領域41の周縁領域)で表示が乱れやすくなる。しかし、表示領域41における周縁領域の表示の乱れは、表示領域41の中央領域の表示の乱れと比較して、ユーザにとっては分かりにくいことから、それほど表示の視認性が劣化することはない。
【0087】
図19に示される例では、表示部分16aおよび表示筐体16bによって表示装置16が構成されている。しかし、4つの側壁部分61を有する第一実施形態の表示筐体16bとは異なり、本変形例に係る表示筐体16bは、3つの側壁部分61を有する。より具体的には、
図19に示されるように、本変形例に係る表示筐体16bには、表示装置16における底部分60の上側端部から延びる上側壁部分61aが存在しない。
【0088】
しかし、
図19に示される表示装置16を電子機器1に採用した場合であっても、表示装置16の表側主面75に力がかけられたときに力がかかりやすい周端部分62は、導光部分47を含んでいない。そのため、表示装置16と支持部品26とを固定しても、表示装置16の表示に影響を与えることを抑制することができる。
【0089】
なお、本変形例に係る表示装置16を第一実施形態第一変形例に採用してもよい。
【0090】
<<第一実施形態第三変形例>>
既述した第一実施形態では、表示装置16の裏側主面76の周縁領域50における全ての領域を支持部品26に固定していた。しかし、周縁領域50における全ての領域を支持部品26に固定する必要はない。
図20は、
図12に対応する、表示装置16の裏側主面76を示す図である。
【0091】
図20に示されるように、本変形例では、周縁領域50における上側端部50aが支持部品26に固定されていない。言い換えると、表示装置16は、周縁領域50のうちの、左側端部、下側端部および右側端部で構成される領域50bで、支持部品26に固定されている。このような場合であっても、第一実施形態と同様に、表示装置16は支持部品26と離れにくくなり、当該表示装置16に固定されているカバーパネル2は外側に変形しにくくなる。
【0092】
周縁領域50における、支持部品26に固定されない領域は、
図20に示される例に限定されない。例えば、表示装置16における、支持部品26と固定される領域が、周縁領域50における上側端部および下側端部であってもよい。
【0093】
ここで、周縁領域50のうちの圧電振動素子19と近い領域を支持部品26に固定しない場合には、圧電振動素子19によるカバーパネル2の振動が、支持部品26を表示装置16に固定することによって阻害されることを低減することができる。言い換えると、表示装置16の裏側主面76における圧電振動素子19と近い端部を支持部品26に固定しない場合には、圧電振動素子19によるカバーパネル2の振動が、支持部品26を表示装置16に固定することによって阻害されることを低減することができる。
図21は、カバーパネル2の内側主面71を示す図である。
図22は、
図11に対応する、電子機器1の断面図である。
【0094】
本変形例では、カバーパネル2の内側主面71において、電子機器1の厚み方向で表示装置16に対向している領域を「表示装置対向領域90」と呼ぶ。また、カバーパネル2の内側主面71において、電子機器1の厚み方向で圧電振動素子19に対向している領域を「圧電振動素子対向領域91」と呼ぶ。そして、表示装置対向領域90において、電子機器1の長手方向(上下方向)で圧電振動素子対向領域91に対向している領域を「近接領域92」と呼ぶ。
図21,22に示されるように、近接領域92は、表示装置対向領域90のうちの、圧電振動素子19と近い領域である。
図21に示される近接領域92は、表示装置対向領域90における上側端部に存在する。
【0095】
また、
図22に示されるように、表示装置16の表側主面75において、電子機器1の厚み方向で近接領域92と対向する領域を「表示装置側近接領域93」と呼ぶ。そして、表示装置16の裏側主面76における、表示装置側近接領域93とは反対側の領域が、支持部品26と固定されない「非固定領域94」となっている。
【0096】
図22に示されるように、表示装置16の裏側主面76における非固定領域94は、支持部品26と固定されていない。そのため、カバーパネル2の近接領域92は、表示装置16を介して支持部品26に固定されていないと言える。表示装置対向領域90のうちの、圧電振動素子19と近い近接領域92が、支持部品26に固定されていないことで、圧電振動素子19によるカバーパネル2の振動が、支持部品26を表示装置16に固定することよって抑制されることを低減することができる。
【0097】
なお、近接領域92、表示装置側近接領域93および非固定領域94の大きさは適宜変更してもよい。
図23は、
図21に対応する、カバーパネル2の内側主面71を示す図である。
図23に示される例では、近接領域92は、表示装置対向領域90における上側端部の中央領域に存在している。つまり、
図23に示される近接領域92は、
図21に示される近接領域92と比べて、面積が小さい。近接領域92の面積が小さい場合には、近接領域92と電子機器1の厚み方向で対向する表示装置側近接領域93、および表示装置16の裏側主面76における、当該表示装置側近接領域93とは反対側の非固定領域94の面積も小さくなる。しかし、この場合であっても、表示装置対向領域90のうちの、圧電振動素子19と近い近接領域92が、支持部品26に固定されていない。したがって、表示装置16の裏側主面76の周縁領域50における全ての領域を支持部品26に固定される場合と比べて、圧電振動素子19によるカバーパネル2の振動が、支持部品26を表示装置16に固定することによって抑制されることを低減することができる。
【0098】
また、第一実施形態第一変形例において、表示装置16の裏側主面76の全ての領域を支持部品26に固定しない態様を採用してもよい。
図24は、表示装置16の裏側主面76を示す図である。
図25は、
図22に対応する、電子機器1の断面を示す図である。
【0099】
図24,25に示される例では、表示装置16の裏側主面76における上側端部が非固定領域94となっている。そして、表示装置16の裏側主面76における非固定領域94以外の領域が、貼付部材33によって、支持部品26の表側主面80に固定されている。
【0100】
図25に示されるように、表示装置16の裏側主面76における非固定領域94は支持部品26と固定されていないため、上述した例と同様に、カバーパネル2の近接領域92は、表示装置16を介して支持部品26に固定されていない。表示装置対向領域90のうちの、圧電振動素子19と近い近接領域92が、支持部品26に固定されていないことで、圧電振動素子19によるカバーパネル2の振動が、支持部品26を表示装置16に固定することよって抑制されることを低減することができる。
【0101】
なお、第一実施形態第一変形例において、表示装置16の裏側主面76の全ての領域を支持部品26に固定しない態様を採用した場合であっても、近接領域92、表示装置側近接領域93および非固定領域94の大きさは適宜変更してもよい。例えば、近接領域92を
図23に示されるように設定してもよい。この場合には、
図26に示されるように非固定領域94の面積も小さくなる。
図26は、
図24に対応する、表示装置16の裏側主面76を示す図である。このような場合であっても、表示装置対向領域90のうちの、圧電振動素子19と近い近接領域92が、支持部品26に固定されていないため、第一実施形態第一変形例に係る電子機器1に比べて、圧電振動素子19によるカバーパネル2の振動が、支持部品26を表示装置16に固定することによって抑制されることを低減することができる。
【0102】
なお、第一実施形態および第一実施形態第一変形例ではなく、第一実施形態第二変形例において、周縁領域50の全ての領域若しくは表示装置16の裏側主面76の全ての領域を支持部品26に固定しない態様を採用してもよい。
【0103】
<<第二実施形態>>
図27は、
図11に対応する第二実施形態に係る電子機器1の断面図である。
図27に示されるように、本実施の形態に係る電子機器1では、表示装置16の裏側主面76と、支持部品26とが貼付部材35によって固定されている。本実施の形態では、第一実施形態とは異なり、表示装置16の裏側主面76における周縁領域50以外の領域も、貼付部材35によって、支持部品26に固定されている。なお、本実施の形態では、表示装置16が、表示筐体16bを備えず、かつ表側主面75に非表示領域42を含まない場合を例に挙げて説明する。しかし、表示装置16は、表示筐体16bを備えていてもよいし(
図13,19参照)、表側主面75に非表示領域42を含んでいてもよい(
図18参照)。第二実施形態における電子機器1の残余の構成は、第一実施形態と同様である。
【0104】
図28は、
図13に対応する、表示装置16および貼付部材35を示す図である。
図29は、
図12に対応する、表示装置16の裏側主面76を示す図である。第二実施形態における貼付部材35には、発泡体基材等の弾力性を有する基材を含む両面テープが採用される。貼付部材35は、弾力性を有する基材を含むため、弾力性を有する。貼付部材35が弾力性を有しない場合には、電子機器1の表面に対してその厚み方向に力がかかったときには、表示装置16全体に力がかかりやすい。そのため、表示装置16の表示が乱れる可能性が高い。
【0105】
しかし、本実施の形態のように、弾力性を有する貼付部材35によって、表示装置16と支持部品26とを固定した場合には、電子機器1の表面に対してその厚み方向に力がかかったときに、貼付部材35が当該厚み方向に変形するため、表示装置16に力がかかりにくくなる。したがって、
図28に示されるように、表示装置16の裏側主面76における表示領域41とは反対側の領域と、支持部品26とを固定した場合であっても、表示装置16(表示領域41)の表示に影響を与えることを抑制することができる。
【0106】
また、
図28,29に示されるように、貼付部材35には、その厚み方向に貫通する複数の貫通穴35aが設けられている。両面テープを採用した場合において、広範囲の領域の固定を行う場合には、当該両面テープと固定する部品との間に空気が入り込みやすい。より具体的には、表示装置16と貼付部材35との間、および支持部品26と貼付部材35との間に空気が入り込み易い。表示装置16と支持部品26との間に空気が入り込んだまま、表示装置16と支持部品26とを固定すると、当該空気によって表示装置16に力がかかる。表示装置16における、空気によって力がかかる部分が表示部分16aである場合には、表示装置16(表示領域41)の表示が乱れる可能性がある。
【0107】
しかし、
図28,29に示されるように、貼付部材35に複数の貫通穴35aが設けられている場合には、表示装置16に貼付部材35を貼り付けた後に当該貼付部材35を加圧することで、表示装置16に貼付部材35を貼り付ける際に表示装置16と貼付部材35との間に入った空気を貫通穴35aに押し出すことができる。同様に、支持部品26に貼付部材35を貼り付けた後に当該貼付部材35を加圧することで、支持部品26に貼付部材35を貼り付ける際に支持部品26と貼付部材35との間に入った空気を貫通穴35aに押し出すことができる。その結果、
図28,29に示されるように、表示装置16の裏側主面76における広範囲の領域を支持部品26に固定した場合であっても、表示装置16と支持部品26との間に入った空気によって表示装置16に力がかかり、当該表示装置16の表示が乱れることを抑制することができる。
【0108】
このような貼付部材35を採用した場合でも、カバーパネル2は、表示装置16を介して支持部品26に固定されていることから、第一実施形態と同様に、表示装置16は支持部品26と離れにくくなる。そのため、表示装置16を介して支持部品26に固定されているカバーパネル2が、外側に曲がりにくくなる。その結果、カバーパネル2が割れることを抑制することができる。
【0109】
なお、貼付部材35に設けられる貫通穴35aの形状等は、
図28,29に示される例に限定されない。また、表示装置16の裏側主面76における、貼付部材35によって支持部品26と固定される領域も、
図28,29に示される例に限定されない。例えば、第一実施形態と同様に、表示装置16が裏側主面76の周縁領域50で支持部品26に固定される場合に、第二実施形態における貼付部材35を採用してもよい。ただし、本実施の形態のように、表示装置16の裏側主面76のうちの広範囲の領域を支持部品26に固定した方が、当該表示装置16が支持部品26と離れにくくなるため、カバーパネル2が外側に曲がりにくくなる。
【0110】
<<第三実施形態>>
図30は、
図11に対応する、第三実施形態に係る電子機器1の断面図である。第三実施形態では、例えばフィルム状の基板を用いたフィルム有機ELを、表示装置16として採用する。つまり、本実施の形態では、曲げて使用可能なディスプレイを表示装置16として採用する。また、表示装置16は、裏側主面76における周縁領域50以外の領域も貼付部材33によって支持部品26と固定されている。第三実施形態における電子機器1の残余の構成は、第一実施形態と同様である。
【0111】
本実施の形態のように、曲げて使用可能なディスプレイを表示装置16として採用した場合には、電子機器1の表面に対してその厚み方向に力がかかったことにより表示装置16が曲がったとしても、表示装置16の表示は乱れにくい。つまり、本実施の形態のように、曲げて使用可能なディスプレイを表示装置16として採用した場合には、表示装置16に力がかかり易い状態で当該表示装置16と支持部品26とを固定しても、表示装置16の表示が乱れにくい。
【0112】
また、本実施形態においても、カバーパネル2は、表示装置16を介して支持部品26に固定されている。そのため、カバーパネル2は外側に曲がりにくい。その結果、カバーパネル2が割れることを抑制することができる。
【0113】
なお、第二実施形態における貼付部材35を、本実施の形態に採用することも可能である。つまり、第二実施形態における貼付部材35を用いて、曲げて使用可能なディスプレイ(表示装置16)と、支持部品26とを固定してもよい。
【0114】
<<変形例>>
上述した実施の形態では、カバーパネル2及び支持部品26は、筐体3に固定されていた。しかし、本変形例のように、カバーパネル2及び支持部品26が、固定部材を介して筐体3に固定される場合であってもよい。
図31は、
図9に対応する、本変形例に係る電子機器1の分解斜視図である。
図32は、
図31に示される矢視D−Dにおける電子機器1の断面図を示している。
【0115】
図31,32に示されるように、本変形例に係る電子機器1では、筐体3は1つの部材で構成されている。筐体3は、上面が開口した略箱型を成している。筐体3は、電子機器1の裏面を構成する底部分103と、4つの側壁部分104とを有している。底部分103によって構成される、筐体3の内部の底面103aには、電池21及びプリント基板27などが配置されている。
【0116】
支持部品26は固定部品100を介して、筐体3に固定される。固定部品100の本体部分100aは、例えば枠状の形状を成している。固定部品100の本体部分100aは側壁部分104の前面104aに配置される。また、固定部品100は、当該固定部品100を側壁部分104の前面104aに配置した際に、本体部分100aから筐体3の底面103aに向かって延びる固定部分100bを有している。一方、支持部品26には、当該支持部品26の裏側主面81の端部から筐体3の底面103aに向かって延びる固定部分26aが設けられる。固定部品100の固定部分100bおよび支持部品26の固定部分26aは、電子機器1を組み立てたときに互いに対向(接触)するように形成されている。そして、
図32に例示されるように、互いに対向している固定部分100bおよび固定部分26aを、ネジ101で締結することによって、固定部品100と支持部品26とが固定される。なお、固定部品100と支持部品26との固定は、ネジ101に限定されず、はめ込みや接着剤等を用いて行われてもよい。
【0117】
固定部品100と筐体3との固定も、上述した支持部品26と固定部品100との固定と同様に行われる。例えば、固定部品100に設けられた固定部分100cと、筐体3内における側壁部分に設けられた固定部品(図示なし)とが、ネジによる締結、はめ込み、接着剤等によって固定される。
【0118】
このように、支持部品26と固定部品100とが固定され、かつ固定部品100と筐体3とが固定されていることから、支持部品26は固定部品100を介して筐体3に固定されていると言える。支持部品26は、筐体3に固定されることによって、剛性が高くなる。
【0119】
そして、カバーパネル2は、固定部品100の本体部分100aに固定されると共に、第一実施形態と同様に表示装置16及びタッチパネル17を介して支持部品26と固定される。カバーパネル2は、表示装置16及びタッチパネル17を介して、支持部品26に固定されているため、第一実施形態と同様に、外側に曲がりにくい。その結果、本変形例においても、カバーパネル2を割れにくくすることができる。
【0120】
なお、第一実施形態ではなく、第一実施形態第一変形例、第一実施形態第二変形例、第一実施形態第三変形例、第二実施形態もしくは第三実施形態において、カバーパネル2及び支持部品26を、固定部品100を介して筐体3に固定する態様を採用してもよい。
【0121】
また上記の例では、本願発明を携帯電話機に適用する場合を例にあげて説明したが、本願発明は、スマートフォン等の携帯電話機以外の電子機器、例えばタブレット端末、腕などに装着するウェアラブルタイプの電子機器等にも適用することができる。
【0122】
以上のように、電子機器1は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。また、上述した各種変形例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。