特許第6422716号(P6422716)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6422716-流動層装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6422716
(24)【登録日】2018年10月26日
(45)【発行日】2018年11月14日
(54)【発明の名称】流動層装置
(51)【国際特許分類】
   B01J 2/16 20060101AFI20181105BHJP
   B01J 2/00 20060101ALI20181105BHJP
   F26B 3/08 20060101ALI20181105BHJP
【FI】
   B01J2/16
   B01J2/00 B
   F26B3/08
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-196886(P2014-196886)
(22)【出願日】2014年9月26日
(65)【公開番号】特開2016-67971(P2016-67971A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】591011384
【氏名又は名称】株式会社パウレック
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 浩司
(72)【発明者】
【氏名】長門 琢也
【審査官】 小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−172320(JP,A)
【文献】 特開昭49−026365(JP,A)
【文献】 特開2000−249392(JP,A)
【文献】 特開昭61−202042(JP,A)
【文献】 特開2003−314785(JP,A)
【文献】 特開2006−272164(JP,A)
【文献】 実開昭56−061735(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 2/00− 2/30
B01J 8/00− 8/46
F26B 1/00−25/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を気体により浮遊流動させながら、造粒、コーティング、及び乾燥のうち少なくとも一の処理を行う流動層容器と、該流動層容器に前記気体を供給する給気部とを備えた流動層装置において、
前記給気部は、前記気体を所定温度に加熱する加熱手段と、該加熱手段で加熱された気体を前記流動層容器に流通させる気体供給路と、該気体供給路の外周面を所定の間隔部を隔てて包囲する包囲体と、
前記気体供給路を通過する気体の一部を前記間隔部に分岐させる分岐部と、
前記流動層容器に接続されて前記流動層容器内の気体を排気する排気路と、
前記間隔部と前記排気路とを繋ぐバイパス経路と
を備え
前記分岐部で分岐した気体は、前記気体供給路を通過する気体の流れの方向に関して、上流側となる前記間隔部の部位から前記間隔部に供給され、下流側となる前記間隔部の部位から前記バイパス経路に流通することを特徴とする流動層装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品製造、食品製造、農薬製造等の各種分野において、粉粒体の造粒、コーティング、乾燥を行う流動層装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流動層装置は、一般に、流動層容器の処理室の底部から導入した気体(流動化気体)によって、処理室内で粉粒体を浮遊流動させて流動層を形成しつつ、造粒、コーティング、乾燥を粉粒体に行うものである。この種の流動層装置には、粉粒状粒子の転動、噴流、及び撹拌等を伴うものも含まれる(複合型流動層装置と呼ばれている)。
【0003】
この種の流動層装置では、最適な条件で処理を行うために、流動層容器に供給する気体を加熱する加熱手段や制御部が配置され、所定温度に加熱された気体を供給するようにしている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−094455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年は、処理の対象となる粒状体の粒子径が小さくなり、流動層容器に供給する気体の量が少なくなることがある。また、加熱手段と流動層容器との間の気体供給路の途中に、気体の供給量を調整するダンパや、緊急時に気体供給路を遮断する遮断弁等が付加されることもあり、加熱手段から流動層容器までの距離が長くなっている。そのため、加熱手段において加熱された気体は、気体供給路中において熱量が損失し、流動層容器に達する際には、気体の温度が低下するという問題があった。ここで、流動層装置の立ち上げ時には、流動層容器の内部を所定温度にするために、予熱処理が行われる。そのため、流動層容器に供給される気体の温度が低下すれば、流動層容器の内部を所定温度に上昇させるのに時間がかかり、時間的、エネルギー的な損失が生じるという問題がある。
【0006】
例えば、流動層容器に供給する加熱された気体の量を多くすることや、加熱手段による加熱温度を高くすることで、気体の温度低下を防止することが考えられる。しかしながら、これらの対応は、気体を加熱するのに必要なエネルギーが増加するため、エネルギーの効率化の観点からは好ましくない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、気体を加熱するエネルギーを増加することなく、気体供給路中における加熱された気体の温度低下を抑制することができる流動層装置を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明にかかる流動層装置は、粉粒体を気体により浮遊流動させながら、造粒、コーティング、及び乾燥のうち少なくとも一の処理を行う流動層容器と、この流動層容器に気体を供給する給気部とを備えた流動層装置において、給気部は、気体を所定温度に加熱する加熱手段と、加熱手段で加熱された気体を流動層容器に流通させる気体供給路と、気体供給路の外周面を所定の間隔部を隔てて包囲する包囲体とを備えることを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、加熱手段で加熱された気体が流通する気体供給路は、包囲体によって所定の間隔部を隔てて包囲されるため、間隔部による断熱・保温効果を得ることができる。そのため、加熱手段において気体を加熱するエネルギーを増加することなく、気体供給路を流通する気体の温度低下を抑制することができる。また、このような包囲体を、加熱手段と流動層容器の間の気体供給路に備えることにより、気体供給路は、加熱手段によって加熱された気体を、温度を低下させることなく流動層容器に供給することが可能となる。さらに、このように、加熱された気体を、温度を低下させることなく流動層容器に供給することができるため、流動層装置の立ち上げ時には、予熱時間を短縮することが可能となる。
【0010】
また、気体供給路を通過する気体の一部を間隔部に分岐させる分岐部と、流動層容器に接続されて流動層容器内の気体を排気する排気路と、間隔部と排気路とを繋ぐバイパス経路とを備えることが好ましい。これによって、気体供給路内を加熱された気体が流通することに加えて、加熱された気体の一部が、分岐部によって分岐して気体供給路と包囲体との間の間隔部を通過するため、気体供給路内を通過する気体の温度を維持することができる。これによって、加熱された気体を、温度を低下させることなく流動層容器に供給することができる。このとき、分岐部において分岐した気体は、バイパス経路を通って排気される、加熱された気体の一部であるため、気体供給路内の気体の温度を低下させないための新たなエネルギーを必要とするものでもない。
【0011】
以上のように、本発明によれば、気体を加熱するエネルギーを増加することなく、気体供給路中における加熱された気体の温度低下を抑制することができる流動層装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第一の実施形態にかかる流動層装置を模式的に示す概略断面図である。
図2】本発明の第二の実施形態にかかる流動層装置を模式的に示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明にかかる流動層装置の実施形態について各図面に基づいて説明する。
【0014】
図1に示すように、本発明の第一実施形態にかかる流動層装置1は、筒状の流動層容器10と、流動層容器10内に気体を供給する給気部20と、流動層容器10内の気体を排気する排気部30とを備えている。なお、流動層容器10、給気部20、及び排気部30の相互の位置関係は、図1に示す配置に限定されるものではない。
【0015】
流動層容器10は、下から順に、給気室11と、粉粒体Mの造粒又はコーティングを行う処理室12と、排気室13とに区分される。給気室11と処理室12との間は、パンチングメタル等の多孔板(または金網)で構成された気体分散板14で仕切られている。給気室11には、給気部20から熱風等の気体が供給され(図中の矢印A)、この気体が気体分散板14を介して処理室12に導入される(図中の矢印B)。
【0016】
処理室12には、スプレー液(膜剤液、結合剤液等)を噴霧する図示しないスプレーノズルが設置されており、給気室11から供給された気体により、粉粒体Mを浮遊流動させながら造粒又はコーティングを行うようになっている。
【0017】
処理室12と排気室13との間は、固気分離用のフィルター部15を介して連通している。そして、フィルター部15によって、処理室12の粉粒体Mを含む固気混合気体から気体を分離した後、その分離した気体を排気室13に導入するようになっている(図中の矢印C)。なお、本実施形態においては、流動層容器10の内周面に設けられた図示しないリング状のシール部をフィルター部15に当接させることにより、処理室12と排気室13との間が仕切られている。また、フィルター部15は、複数のバグフィルターと、この複数のバグフィルターを吊下げ支持する図示しないフィルター支持部とから構成されている。
【0018】
給気部20は、図示しない給気ブロワーによって吸引される気体(空気)を所定温度に加熱するヒーターを内蔵する加熱手段としての加熱ユニット21と、加熱ユニット21で加熱された気体を流動層容器10の給気室11に流通させる気体供給路22と備える。気体供給路22は、例えばステンレス等の管状の金属体で形成される。本実施形態においては、気体供給路22は、流動層容器10の給気室11の側面に、気体を流通可能に接続される。
【0019】
また、気体供給路22には、気体供給路22の外周面を所定の間隔部D1を隔てて包囲する包囲体23が設けられる。包囲体23は、例えばステンレス等の金属体で形成される。このように、気体供給路22と包囲体23とによって、二重管が形成される。なお、本実施形態においては、気体供給路22と包囲体23との間の間隔部D1には、空気が充填される。
【0020】
一方、排気部30は、流動層容器10の排気室13に接続されて流動層容器10内の気体を排気する排気路31を有し、排気路31には図示しない集塵機や排気ブロワー等が接続される。
【0021】
次に、上記のように構成された流動層装置1の動作を説明する。
【0022】
まず、流動層装置1の流動層容器10内で粉粒体Mの処理を行う際には、図1に示すように、処理室12に収容された粉粒体Mが、気体分散板14を介して流動層容器10内に導入される気体によって浮遊流動される。浮遊流動させる粉粒体Mには、スプレーノズル(図示せず)からスプレー液(膜剤液、結合剤液等)が噴霧される。この状態では、スプレーノズルから噴霧されるスプレー液、例えば膜剤液のミストによって粉粒体Mが湿潤すると同時に、膜剤液中に含まれる固形成分が粉粒体Mの表面に付着し、乾燥固化されて、粉粒体Mの表面に被覆層が形成される(コーティング)。また、スプレーノズルから噴霧されるスプレー液の種類を、例えば、結合剤液に変更すれば、スプレー液のミストによって湿潤した粉粒体Mが付着凝集して成長し、乾燥されて所定径の粒子が得られる(造粒)。
【0023】
このような粉粒体Mのコーティングや、造粒等の処理を行っている間、処理室12内で上昇する粉粒体Mを含む固気混合気体は、フィルター部15のバグフィルターによって固気分離され、分離された気体が排気室13に導入されると共に、排気路31を通じて流動層容器10の外部に排出される。さらに、上述のような一連の粉粒体Mの処理を行った後に、バグフィルターに付着した微粉を払い落とす払い落とし操作や洗浄処理が行われる。
【0024】
以下、給気部20における気体の加熱処理について詳細を説明する。給気部20においては、図示しない給気ブロワーによって吸引される気体(空気)が加熱ユニット21によって所定温度に加熱される。所定温度に加熱された気体は、気体供給路22を通過して、流動層容器10の給気室11に供給される。
【0025】
加熱ユニット21において加熱された気体は、気体供給路22の内部を流通する。このとき、気体供給路22の周囲には、気体供給路22の外周面を所定の間隔部D1を隔てて包囲する包囲体23が設けられており、間隔部D1には空気が充填されている。そのため、気体供給路22は、間隔部D1の空気による断熱・保温効果によって、気体供給路22の内部を通過する加熱された気体の熱量の損失を抑制することができる。これによって、加熱ユニット21で加熱された気体を、温度を低下させることなく流動層容器10の給気室11に供給することができる。
【0026】
ここで、流動層装置1は、立ち上げ時に、流動層容器10の内部を所定温度にするために、予熱処理が行われる。そのため、流動層容器10に供給される、加熱ユニット21で加熱された気体が、気体供給路22において放熱することで温度が低下すれば、流動層容器10の内部を所定温度に上昇させるのに時間がかかり、時間的、エネルギー的な損失が生じてしまう。しかし、本実施形態にかかる流動層装置1においては、加熱ユニット21で加熱された気体は、気体供給路22における放熱量が少なくなるため、温度を低下させることなく流動層容器10の給気室11に供給することができる。これによって、流動層装置1の予熱時間を短縮することが可能となる。
【0027】
なお、包囲体23は、図1に示すように、加熱ユニット21と流動層容器10との間の気体供給路22を全体に亘って包囲してもよく、気体供給路22の一部の領域を包囲してもよい。また、気体供給路22と包囲体23との間に形成される間隔部D1には、空気を充填することに限ることはなく、真空状態としてもよく、断熱材を充填してもよい。いずれにしても、間隔部D1は、気体供給路22に対して断熱・保温効果を有するため、気体供給路22の内部を通過する気体の温度低下を抑制することができる。
【0028】
続いて、本発明の第二実施形態にかかる流動層装置2について説明する。本実施形態においては、図2に示すように、筒状の流動層容器40と、流動層容器40内に気体を供給する給気部50と、流動層容器40内の気体を排気する排気部60と、給気部50と排気部60とを繋ぐバイパス経路としてのバイパス部70とを備えている。なお、流動層容器40は、上述の実施形態における流動層容器10と同様であるため、詳細な説明を省略する。また、流動層容器40、給気部50、排気部60、及びバイパス部70の相互の位置関係は、図2に示す配置に限定されるものではない。
【0029】
給気部50は、図示しない給気ブロワーによって吸引される気体を所定温度に加熱するヒーターを内蔵する加熱ユニット51と、加熱ユニット51で加熱された気体を流動層容器40の給気室41に流通させる気体供給路52とを備える。気体供給路52は、流動層容器40の給気室41(本実施形態においては、給気室41の底面)に、気体を流通可能に接続される。流動層容器40のする上流側の気体供給路52には、給気室41に供給する気体の流量や流速を調整する給気ダンパ53が接続される。
【0030】
また、気体供給路52には、気体供給路52の外周面を所定の間隔部D2を隔てて包囲する包囲体54が設けられる。さらに、気体供給路52には、気体供給路52を通過する気体の一部を間隔部D2に分岐させる分岐部55が形成される。図2に示すように、本実施形態においては、分岐部55は、加熱ユニット51と包囲体54との間に形成され、分岐部55で分岐した分岐路55aは、包囲体54の上流側の側面に形成される供給口54aに気体を流通可能に接続される。
【0031】
一方、包囲体54の下流側には、端面に排出口54bが形成され、バイパス部70が連結される。ここで、バイパス部70は、内部を気体が流通するバイパス路71と、流通する気体の流量や流速を調整するバイパスダンパ72とを備える。
【0032】
排気部60は、流動層容器40の排気室42に接続されて流動層容器40内の気体を排気する排気路61を有し、排気路61の途中に、バイパス路71が合流する合流部62が形成される。また、流動層装置2の排気室42のすぐ下流の排気路61には、排気される気体の流量や流速を調整する排気ダンパ63が配置される。
【0033】
以下、本実施形態における流動層装置2の動作について説明する。給気部50における気体の加熱処理は、上述の実施形態と同様に、図示しない給気ブロワーによって吸引される気体が加熱ユニット51によって所定温度に加熱される。所定温度に加熱された気体は、分岐部55において分岐し、一方の気体は、気体供給路52を通過して、流動層容器40の給気室41に供給される。
【0034】
また、分岐部55において分岐した他方の気体は、分岐路55aを通過して、供給口54aから間隔部D2に供給される。ここで、間隔部D2は、気体供給路52の周囲に形成されている。そのため、間隔部D2に供給される気体によって、気体供給路52の内部を通過する気体の温度低下を抑制することができる。詳しくは、間隔部D2内の気体は、加熱ユニット51で加熱された気体の一部であり、気体供給路52の内部を通過する気体と同じ温度であるため、気体供給路52内の気体の熱量の損失を防止することができる。これによって、気体供給路52内の気体の温度を、確実に所定の温度に維持することができる。
【0035】
間隔部D2内の気体は、排出口54bからバイパス部70のバイパス路71を通り、排気部60の排気路61に合流して排気される。なお、バイパス部70は、流動層容器40に供給する気体の量を調整するために設けられる。各所に配置されたバイパスダンパ72、給気ダンパ53、及び排気ダンパ63のそれぞれを適宜調整することによって、流動層容器40に供給する気体の量を調整する。本実施形態においては、従来、バイパス部を通過して廃棄される気体を、間隔部D2を通過させることで、気体供給路52内の気体の温度低下の防止に用いている。これによって、新たな熱源の設置や加熱エネルギーを用いることなく、気体供給路52内を流通する気体の温度を維持することができる。
【0036】
本実施形態においては、分岐部55で分岐した気体を、分岐路55aを通して包囲体54の供給口54aから間隔部D2に供給したが、これに限ることはない。例えば、包囲体54によって包囲される領域内の気体供給路52に開口を形成することで、気体供給路52内を通過する気体の一部を直接間隔部D2に分岐させてもよい。この場合には、気体供給路52に形成される開口によって分岐部が形成される。
【0037】
また、本実施形態においても、包囲体54は、加熱ユニット51と流動層容器40との間の気体供給路52を全体に亘って包囲してもよい。この場合には、間隔部D2内の気体をバイパス路71に流通するための排出口54bを、包囲体54の下流側の側面に形成することが好ましい。いずれにしても、間隔部D2は、気体供給路52に対して保温効果を有するため、気体供給路52の内部を通過する気体の温度低下を抑制することができる。
【0038】
以上述べてきたように、本発明にかかる流動層装置1は、給気部20に、加熱ユニット21で加熱された気体を流動層容器10に流通させる気体供給路22と、気体供給路22の外周面を所定の間隔部D1を隔てて包囲する包囲体23とを備えることを特徴とする。これによって、気体供給路22と包囲体23との間の間隔部D1に断熱効果を持たせることができるため、気体供給路22を通過する気体の温度低下を抑制することができる。そのため、流動層容器10に供給する気体の量が少なくなったり、気体を加熱する加熱ユニット21と、流動層容器10の給気室11との距離が離れたりしても、加熱された気体の温度を低下させることなく流動層容器10の給気室11に供給することができる。このとき、供給する気体の量を増加したり、加熱ユニット21による加熱温度を高くしたりすることはないため、気体を加熱するエネルギーを増加することはない。
【0039】
なお、上記の実施形態においては、給気部における二重管部の内管が、流動層容器の給気室の側面又は底面に、気体を流通可能に接続される例を示したが、各実施形態における例に限定されるものではなく、二重管部の内管は、流動層容器の給気室の側面及び底面のいずれに接続してもよい。
【0040】
ここで、本発明にかかる流動層装置は、粉末状の物質を用いるため、貯蔵や加工の際に、例えば、粉塵爆発等の爆発が起こるおそれがある。そのため、たとえ爆発が起きた場合であっても、内容成分が外部に放出されないように、閉鎖装置や爆発圧力に耐え得る比較的厚壁の部材で形成された流動層容器等を備えた流動層装置が用いられることがある。そこで、本発明にかかる流動層装置は、耐爆発性を有する部材で構成してもよい。この場合には、給気部における気体供給路は、耐爆発性を有する部材で構成することが好ましい。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。なお、本発明は、上述したような流動層装置1に限ることはなく、転動流動層装置やワースター式流動層装置等の複合型流動層装置にも同様に適用できる。
【符号の説明】
【0042】
1 流動層装置
10 流動層容器
20 給気部
21 加熱ユニット(加熱手段)
22 気体供給路
23 包囲体
D 間隔部
M 粉粒体
図1
図2