(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記偶数個のタンクのうち、隣接する二つのタンクは縦ベルトで結合され、さらに前記縦ベルトの外側に前記一対の折り畳みフレームへ延びる外延縦ベルトが設けられ、前記連結ベルトは、前記外延縦ベルトを含んで構成される請求項1記載の田畑間移設用太陽光発電設備。
前記一対の折り畳みフレームは、前記起立位置及び前記折り畳み位置のいずれにおいても、前記太陽電池パネルの垂直投影面内に位置する請求項1から3のいずれかに記載の田畑間移設用太陽光発電設備。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
(実施の形態1)
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る太陽光発電装置の底面図である。
【0042】
この装置は、後に詳述するように、分解して運搬、設置及び撤去が容易となるように配慮されたものであり、太陽電池パネル1、枠体2及び折り畳みフレーム3、5を主材とする。
【0043】
図1に示すように、太陽電池パネル1の裏面(太陽光を受ける表面の反対面)の周縁部には枠体2が固定される。
【0044】
図21は、本発明の実施の形態1における枠体の取付説明図、
図22(a)〜(c)は、本発明の実施の形態2における枠体の取付説明図である。
【0045】
ここで、太陽電池パネル1と枠体2の取付要領は、
図21あるいは
図22(a)〜
図22(c)のようにすれば、市販の太陽電池パネル1のほとんどに対応できる。
【0046】
特に、折り畳みフレーム3、5は、
図1に示すような折り畳み位置において、いずれも枠体2の厚さ方向において枠体2内に収まるようになっている。したがって、例えば軽トラックの荷台に複数枚の太陽電池発電装置(太陽電池パネル1、枠体2及び折り畳みフレーム3、5等)を同装置の厚さ方向に重ねて積んでもかさばらないし、折り畳みフレーム3、5が太陽電池パネル1を傷つけることもない。しかしながら、本発明の本質は、このような取付要領にはないので、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0047】
さて、
図1に示すように、枠体2の長手方向中心線を対称軸として、枠体2には折り畳みフレーム3、5が線対称に配置されるとともに、折り畳みフレーム3、5の両端部は、ヒンジ2aにより枠体2に連結されている。
【0048】
図1に示す状態では、折り畳みフレーム3、5は、折り畳まれた状態にあるが、ヒンジ2aを作動させることにより、
図1の状態から折り畳みフレーム3、5を起こし、枠体2と直交する姿勢をとることができる。
【0049】
折り畳みフレーム3、5は、対称であるため、このうち折り畳みフレーム3のみを詳細に説明する。
【0050】
折り畳みフレーム3の各部は、好ましくは、直径14ミリメートル程度のパイプを主材とし、このようなパイプを折り曲げ加工することにより、構成される。
【0051】
このようにすると、軽量で人手での持ち運びが容易でありながら、かつ十分な強度を保持することができる。
【0052】
折り畳みフレーム3の外形は、概ね底辺31を最も長い辺とし、短辺33と長辺34とが直交する直角三角形をなす。
【0053】
この直角三角形において、底辺31と長辺34とがなす角θが地面G(
図6等参照。)に対して、太陽電池パネル1がなす傾斜角となる。
【0054】
なお、設置場所の緯度等を考慮して、角θを設定するのが望ましい。
【0055】
但し、底辺31と長辺34との先端部分は、ヒンジ2aの付近で切り取られ、正確には、折り畳みフレーム3は、底辺31、短辺33、長辺34及び起立辺35を有する台形状となっている。
【0056】
このようにすることにより、
図1に示すように折り畳みフレーム3が折り畳まれた状態であっても、あるいは、
図6に示すように折り畳みフレーム3が地面Gに対して垂直となる状態であっても、折り畳みフレーム3は、常に太陽電池パネル1の投影面積内にある。
【0057】
言い換えれば、折り畳みフレーム3が太陽電池パネル1の前後に出っ張ることはなく、太陽電池パネル1同士を前後に近接して複数配置する際におけるスペースファクターが良好となる。
【0058】
次に、折り畳みフレーム3の内部構造を説明する。
【0059】
まず、底辺34の内側には、底辺34とほぼ平行な内側長辺36が設けられ、内側長辺36の両端部は、それぞれ底辺31と短辺33と平行になるように折り曲げられ、接触部分において底辺31と短辺33とに溶接される。
【0060】
内側長辺36よりも底辺31側の部分は、補強部分となっており、底辺31と短辺33との角部には、補強材42が配置され、それ以外の部分には補強材41が配置される。
【0061】
内側長辺36と長辺34との間の部分は、連結部分となっており、その両側部には、ロ字状に曲げられた補強リング37、38とが嵌め込まれる。
【0062】
補強部分の中央部には、略T字状をなすプレートからなる根がらみ材止め39のT字側部が固着される。
【0063】
根がらみ材止め39の中央には、長辺34及び内側長辺36と平行に延びる突片40が形成され、突片40の中央部には、クサビ孔40aが開けてある。
【0064】
上記補強材41のうち、補強リング37、38と平行な部分は、内側長辺36の補強リング37、38の反対側に溶接される平行部41aとなっている。
【0065】
底辺31の補強材42付近には、後述するような補強材83(
図6参照。)を係止するための筋交い掛け32が固定され、方杖6を係止するための係止部6aが設けられる。
【0066】
折り畳みフレーム5にも同様に方杖7を係止するための係止部7aが設けられる。
【0067】
図1に示すように、両側のヒンジ2aよりも枠体2の中央側には、一対のヒンジ2b、2bが固定され、これらのヒンジ2b、2bには、左右対称に方杖6、7の基端部が揺動可能に軸支される。
【0068】
即ち、折り畳みフレーム3、5を
図1の状態から枠体2に対して垂直に立て、方杖6、7も立ち上げて係止部6a、7aに方杖6、7の先端部を装着すると、折り畳みフレーム3、5が枠体2に対して垂直に起立する状態を保持できる(
図7も参照)。
【0069】
次に、
図2〜
図7を参照しながら、折り畳みフレーム3、5の下方の台部、台部と折り畳みフレーム3、5との連結要領について説明する。
【0070】
図2は、本発明の実施の形態1における基礎を示す平面図である。
図2において、破線の矩形は、枠体2の外縁部の位置を示す。この矩形の中に左右一対の台部を設置する。
【0071】
図2(a)に示すように、ポリエチレン等の樹脂で形成された市販のタンク(通常、灯油を収納するためのものであり、18乃至20リットルの容積を有するもの)60を横に二つ並べ、これらを縦ベルト43で連結する。
【0072】
後述するように、このように縦ベルト43で連結された二つのタンク60、60を、縦に並べ、都合四つのタンク60を横ベルト45で連結し、四つのタンク60で一つの基礎のユニットを構成する。
【0073】
後述するように本形態では、種々のベルトを使用するが、いずれのベルトも市販の荷積み用ラッシングベルト(幅50ミリメートル程度)を用いて良い。したがって、十分な強度を発揮する高品質のベルトを非常に安価にかつ容易に、入手及び交換することができる。
【0074】
タンク60としては、地面G上に置かれる底面61(
図6も参照。)と平行な上面62aを有する把手62を有し、把手62の下方にベルトを挿通できる隙間63が開いているものであれば任意である。
【0075】
市販のポリタンクは、この条件を満たすので、本形態のタンク60として使用できる。
【0076】
市販のポリタンクを使用すれば、わざわざ新たに金型を起こして成型するような莫大なコスト及び労力を使うことなく、目的の設置及び撤去を実現できる。一部のタンクに、使用に耐えられないような破損を生じたとしても、近所のホームセンター等で同形のタンクを安価に購入するだけで、リカバリーすることができる。さらに、ベルトも同様に入手・交換できる。
【0077】
タンク60には、注出入口キャップ64が設けられており、同キャップ64を開いて水をタンク60に注げば、タンク60の重量が増加し、一つのタンク60あたり18〜20キログラム程度となり、十分なおもりとして使用できる。
【0078】
一方、同キャップ64を開いて水を放出すれば、タンク60を軽くして、次の現場への搬送を容易にすることができる。
【0079】
ここで、タンク60に出し入れする液体としての水は、水道水であっても良いし、農地であれば農業用水、あるいは雨水であってもよい。あるいは水ではない液体を使用しても差し支えないが、後述するように、農地で放出することを考えると、農地に影響が少ない(普通に存在する)水が最も好ましい。
【0080】
図2(b)に示すように、タンク60の連結が完了したら、4つのタンク60の把手62の上面62a上に基礎プレート70を載置する。
【0081】
、
図3(a)は、本発明の実施の形態1における基礎プレートの平面図、
図3(b)は、同基礎プレートの正面図である。
【0082】
図3(a)、(b)に示すように、基礎プレート70は次のように構成される。基礎プレート70は、樹脂で構成するのが望ましいが、他に軽量で丈夫な金属(例えばアルミニウム)等で構成することもできる。
【0083】
基礎プレート70は、矩形の水平板である板部71を主材とする。板部71の上面において長手方向中心線と平行で間隔をあけて平行に突条72、73が突設される。
【0084】
突条72、73の間は、板部71の上面と同レベルの底部を有する溝部74となっている。
【0085】
溝部74の幅、即ち、突条72、73の間隔は、折り畳みフレーム3、5を構成するスチールパイプの直径よりもやや広く設定される。
【0086】
板部71の長手方向縁部の一方には、単に板部71に対して垂直下向きに折れ曲がる掛け脚部75が形成される。
【0087】
また板部71の長手方向縁部の他方には、板部71に対して垂直下向きに折れ曲がり、かつさらに板部71と平行に折れ曲がるかぎ脚部76が形成される。
【0088】
図4は、本発明の実施の形態1における基礎プレート付近を示す縦断面図である。
図4に示すように、かぎ脚部76は、断面においてC字状に折れ曲がる形状をなす。
【0089】
図2(a)に示すように、基礎プレート70を4つのタンク60に載置する際、掛け脚部75は単に把手62の側方に垂れ下がるだけの姿勢になるが、かぎ脚部76は、把手62の側方及び下方を回り込むような姿勢となる。
【0090】
これにより、基礎プレート70は、4つのタンク60からなるユニットに仮止めされることになる。
【0091】
さらに、基礎プレート70の溝部74には、折り畳みフレーム3、5の最下点(即ち、長辺34)が挿入され、太陽電池パネル1、枠体2等の荷重が、基礎プレート70を介して、把手62、即ち4つのタンク60からなるユニットへ伝達される。
【0092】
図6は、本発明の実施の形態1における田畑間移設用太陽光発電設備の側面図である。
【0093】
詳細は、後述するが、
図4、
図6に示すように、縦ベルト43の外側に設けられる外縁縦ベルト44が基礎プレート70の上方まで延び、長辺34と平行で、しかも長辺34よりも上方に位置する補強材41の平行部41aを巻き込んで4つのタンク40と締結される。
【0094】
このように、本形態の基礎プレート70を構成し、荷重を合理的に伝達することにより、市販のポリタンク、ラッシングベルトといった、容易にしかも安価に入手できる部材を使用しながら、台風などの過酷な気象状況下でも安定して太陽電池パネル1を支持でき、しかも移設時には、各部材をバラバラに分解し、一つ一つの部分を人手で運びうる程度の重量とするという、困難な課題を解決することができる。
【0095】
この点は、農地のように周囲の道が軽トラックしか走行できないような狭く、足場が悪い現場(言い換えれば、搬送用の大型機械を使用できない環境)では、極めて重要な点である。
【0096】
次に、各種の補強要領について説明する。
【0097】
図5(a)は、本発明の実施の形態1における根がらみ材の正面図、
図5(b)は、同根がらみ材と突片との関係図、
図5(c)は、同クサビの正面図である。
【0098】
根がらみ材80は、好ましくはアルミニウム製の角パイプで構成する。こうすると、軽量で運びやすく、かつ十分な強度が得られるからである。
【0099】
根がらみ材80は、枠材2の長手方向長さよりも短く、かつ4つのタンク60からなるユニットの中心間の距離よりもやや長くする。そして、この中心感の距離だけ離して一対のスリット81を根がらみ材80の長手方向と直交する向きに開ける。
【0100】
図4に示すように、スリット81の位置が上記中心に合致するように、ユニット上に根がらみ材80を架け渡し、
図5(b)に示すように、根がらみ材止め39の突片40をスリット81に挿入する。
【0101】
すると、突片40のクサビ孔40aの先端側が根がらみ材80よりも外側に露出する。
【0102】
露出したクサビ孔40aの部分に、
図5(c)に示すようなテーパ部を有するクサビ82を打ち込み、根がらみ材80を用いて、一対のユニットを連結する。
【0103】
図7は、同田畑間移設用太陽光発電設備の背面図である。
図7に示すように、筋交い掛け32等(詳細は後述する。)を利用して、斜めの補強材83をX字状に架け渡し、さらなる補強を行う。
【0104】
ここまで完了した時点のいずれかにおいて、全部で8個のタンク60に十分な水が入っていれば、合計160キログラム程の重量となり、台風などの過酷な気象条件下でも、太陽電池パネル1を安定した状態で地面G上に支持することができる。
【0105】
次に、
図8〜
図20を参照しながら、農地として、稲刈り後の田んぼを例にとり、この農地に本形態における太陽光発電装置を多数設置する手順を説明する。勿論、農地としては、このほかに、休耕地、畑、牧草地等を選択することができ、そのようにしても本発明に包含される。
【0106】
稲刈り後の田んぼを例としたのは、田んぼで田植えから稲刈りまでの時期は、通常の田んぼとして利用し、稲刈りから田植えの前までは、田んぼで発電するためである。
【0107】
このようにすると、いわゆる「米と発電との二毛作」とも言える運用が可能となるし、農地転用というようなわずらわしい手続きが不要となるため、実益が大きい。つまり、農地そのもので発電ができるのである。
【0108】
実際、本発明者は、現実に米と発電との二毛作が行われている例を知らない。
【0109】
(工程1:地盤の整備)
図8は、本発明の実施の形態1における農地の斜視図である。まず
図8に示すように、地盤を整備する。稲刈り後の田んぼには、切り株が残存しており、地面は全体として平坦ではあるが、凸凹が多数存在する。
【0110】
次回、田植えを行う際における土壌の活性を高めるため、田んぼに耕耘機を入れ稲の切り株を鋤いて土地に混ぜる(図示せず)のが望ましい。こうすると、刈り取られた稲から芽、茎及び葉が伸びて太陽電池パネル1を塞ぎ、発電効率が低下する事態を予防できる。
【0111】
全体で3回ほど耕すのが望ましいが、かならずしもこの時点で耕さなくても、田植え前に耕しても良く、そうしても稲作への影響は小さい。
【0112】
そして、
図8に示すように、農地90において、レーキ91等のアタッチメントを装着した小型重機92を走らせ、凹凸を取り除き耕した土を均等にならす。このような小型重機92は、農地90を走行するのに適するように構成されており、市販のもの或いはリース品を使用できるため、作業は容易である。
【0113】
図11は、本発明の実施の形態1におけるユニットの配置説明図、
図23は、本発明の実施の形態1における農地のレイアウト図である。次に、
図11、
図23に示すように、農地90上縦横に地縄93を張り、タンク60を設置する場所をマーキングする。
【0114】
また、タンク60を設置する箇所のみでよいが、ランマプレート(図示せず)で地面を締め固め整地するのが望ましい。
【0115】
さらに、望ましくは、水準器等を用いてタンク60の設置箇所の水平を確認し、必要に応じて土を除去したり追加したりするなどの調整を行う。
【0116】
以上で地盤の整備が完了する。
【0117】
(工程2:基礎の構成)
図9は、本発明の実施の形態1におけるタンクの斜視図である。
図9に示すように、タンク60を長手方向が一致するように2つ並べ、縦ベルト43で連結する。
【0118】
図6等では言及しなかったが、縦ベルト43には、タンク60の側面に対し、上下2箇所に、横向きのベルト通し43aが袋状に形成されており、2つのベルト通し43aの間には、外延縦ベルト44の基端部が縫い付けられている。タンク60の底部付近には、補強材83を係止するためのフック43bが設けられる。
【0119】
外延縦ベルト44の先端部には、内部にラチェット機構(図示せず。)を有する締付具46が装着され、
図9にあらわれている側の反対には、締付具46に挿通させるための外延縦ベルト44の相手部分(挿通ベルト44a。
図15も参照。)が配設されている。
【0120】
タンク60には、予めそれぞれおよそ3〜5リットル程度の水を入れておくと、安定性が向上するし、さほど重くならないので好ましい。
【0121】
図10は、本発明の実施の形態1におけるユニットの斜視図である。次に、
図10に示すように、
図9のセットをタンク60の長手方向に2つ並べ(都合4つのタンク60となる。)て一つの基礎ユニットにまとめる。
【0122】
即ち、ベルト通し43aに横ベルト45を通し、上下2段となるように4つのタンク60の周囲を水平に巻回させ、縛り付ける。
【0123】
このようなユニットを左右2つ作り、太陽電池パネル1及び枠体2を支持する架台の基礎とする。
【0124】
次に、
図23に示すように、地縄93を縦横直角に張り、マトリックス状に左右一対のユニットを配置する。
【0125】
地縄93により区画される一つの矩形が1台の太陽電池パネル1の設置スペースとなるが、一反の田んぼ程度であれば、3本程度の平行な通路95を確保し、確保された通路95をトラクター96が走行できるように配置するのが望ましい。なお通路95の幅は約60センチメートル程度が好ましく、人の移動及び草刈り等が可能となる。ここで、草刈りが必要なのは、農地である現場(特に、太陽電池パネル1の影に入らない通路95)において草が伸びて光を遮り太陽電池パネル1による発電効率が低下する事態を防止する必要があるからである。
【0126】
一つのユニットに対し、4つの把手62の上面62aで構成される平面が存在する。
【0127】
図12は、本発明の実施の形態1における基礎プレートの取付説明図である。
図12に拡大して示すように、この平面の上に基礎プレート70を仮置きする。
【0128】
上述したように、基礎プレート70の長手方向片側には、かぎ脚部76が、反対側には、掛け脚部75が、それぞれ2箇所設けられている。
【0129】
片側のかぎ脚部76が把手62の周回して係合するように、基礎プレート70を配置する。なお、反対側の掛け脚部75付近は、単に把手62の上面62aに載せるだけになる。
【0130】
このようにすると、配置後には、基礎プレート70の溝部74が1つのユニットの長手方向中心に位置することになる。
【0131】
図13は、本発明の実施の形態1における調整過程説明図である。次に、
図13に示すように、根がらみ材76を左右一対の基礎プレート70に載せ、さらにその上に水準器94を載せて、水平レベルが確保できているか確認するとともに、左右一対のユニット間の距離を調整する。
【0132】
勿論、このような調整は、別途の部材を使用しても差し支えない。
【0133】
水平レベル及び距離が適正となったら、キャップ64を開け、各タンク60にホース(図示せず)等を用いて水を入れほぼ満水(例えば、全容積20リットルの水を満たす。)とする。
【0134】
このようにすると、両側のユニットの重量は、160キログラムを超えるものとなり、堅牢で安定した基礎を構築できる。
【0135】
(工程3:架台の設置)
図14は、本発明の実施の形態1における田畑間移設用太陽光発電設備の組立説明図である。
【0136】
図14に示すように、
図1に示した装置を例えば二人がかりの人手で基礎の近くまで運び、折り畳まれている折り畳みフレーム3、5を開き、方杖6、7の先端部を係止部6a、7aにそれぞれ装着することにより、折り畳みフレーム3、5を枠体2に対して直角に起立する状態とする。
【0137】
図15は、本発明の実施の形態1における太陽光発電装置と基礎の連結説明図である。
【0138】
図15に示すように、折り畳みフレーム3、5が起立したら、折り畳みフレーム3、5の長辺34が基礎プレート70の溝部74内に収まるように、基礎プレート70上に設置する。
【0139】
また、外延縦ベルト44の締付具46側を上に向けて伸ばし、挿通ベルト44aを折り畳みフレーム3、5の平行部41aの上側を通し、締付具46に挿通ベルト44aの先端側を通す。
【0140】
さらに、挿通ベルト44aの先端部を下向きに強く引き、締付具46により挿通ベルト44aを緊結すると、
図6に示したように、折り畳みフレーム3、5が縦ベルト43及び外延縦ベルト44によって、強固に満水となった基礎(2つのユニット)に連結されることになる。
【0141】
以上のように、基礎に架台が連結されると、根がらみ材止め39の突片40は、垂直に起立するともに短辺33側(つまり、太陽電池パネル1の後ろ側)を向いている。
【0142】
図16は、本発明の実施の形態1における根がらみ材の説明図である。
【0143】
図16に示すように、根がらみ材80を内側長辺36と長辺34の間に入れ、根がらみ材80のスリット81を突片40に挿入する。すると、突片40のクサビ孔40aの先端側が根がらみ材80の外側に露出する。
【0144】
図17は、本発明の実施の形態1における根がらみ材の説明図である。
【0145】
図17に示すように、露出するクサビ孔40aにクサビ82を打ち込み、根がらみ材80の両端部を、それぞれ折り畳みフレーム3、5に連結する。
【0146】
こうなると、太陽電池パネル1の長手方向において、折り畳みフレーム3、5は強固に連結され、ほとんど動けない状態になる。言い換えれば、根がらみ材80により、架台の両脚(折り畳みフレーム3、5)の距離が固定され、架台の足下の固着力が増加し、装置は安定的に支持される。
【0147】
(工程4:補強)
図18(a)〜
図18(c)は、本発明の実施の形態1における補強過程の説明図である。
【0148】
望ましくは、以上に加えて、次のような補強を行う。
図18(b)、(c)に示すように、補強材83を追加する。
【0149】
即ち、ワイヤ85の先端部に固定されたカラビナ86を折り畳みフレーム3、5の筋交い掛け32と、対角に位置する縦ベルト43の底部のフック43bにそれぞれ係止する。
【0150】
また、
図18(a)に示すように、ワイヤ85の中央付近に装着されるターンバックル84を締め付けて、ワイヤ85に適切な張力を付与する。
【0151】
その結果、略X字状をなす補強材83により、太陽電池パネル1の上方裏側と、それと対角な基礎底部とが連結され、一層装置の安定性が向上する。
【0152】
即ち、建築基準法が定める基準以上の構造耐力性能が得られる。しかも、設置、移動、再設置等が人手で容易に行い得る。
【0153】
図19は、本発明の実施の形態1における田畑間移設用太陽光発電設備の斜視図である。
【0154】
ここまで行えば、台風などの苛烈な気象状況下でも、
図19に示すように、太陽電池パネル1が、地面Gに対し所定の傾斜角θをなす姿勢で安定して支持することができる。
【0155】
図19において、基礎及び架台がいずれも太陽電池パネル1の垂直投影面積内に収まっている点に注目されたい。
【0156】
よって、地縄93により区画される矩形上の設置スペースは、基本的には隙間無く配置することができ、スペースファクターを良好にすることができる。なお、上述したように、作業効率を考えて、適宜トラクター用の通路を確保しておくことが望ましい。
【0157】
このように、本形態の田畑間移設用太陽光発電設備は、水が満たされる複数のタンク60、横ベルト45及び縦ベルト43とを主材とする基礎と、太陽電池パネル1、枠体2及び折り畳みフレーム3、5を主材とする太陽光発電装置と、基礎と太陽光発電装置とを連結する基礎プレート70及び外延縦ベルト44とからなる連結部分とを備えてなる。
【0158】
(工程5:撤去及び移送)
装置、架台及び基礎を撤去するには、上記の工程2〜4を逆順に実施すれば良いことは容易に理解されよう。
【0159】
図20(a)〜
図20(b)は、本発明の実施の形態1における基礎の撤去過程説明図である。
【0160】
撤去を行うときには、基礎について
図20(a)に示すように、締付具46を緩めて外し、外延縦ベルト44及び横ベルト45を緩め、キャップ64を開け、
図20(b)に示すように、タンク60内の水を現場で放水すればよい。
【0161】
このようにしても、現場は農地であるから何の支障もなく放水できるし、放水すればするほど、タンク60が軽くなって持ち運びが容易となる。
【0162】
(まとめ)
以上説明したところから、工程1を除くと、
図14の作業が二人がかりになるのを除き、さほどの筋力や体力を要さず、健常な高齢者又は農家が人手で行いうる範囲にあることが理解されよう。そして、軽トラックの荷台に各パーツを積み込み、太陽電池パネル1を傷つける心配なく、次の現場(別の農地)へ搬送し、組み立てて発電を行うことになる。
【0163】
つまり、ある程度元気な高齢者等であっても、作業に参画することができ、農家とシルバー世代が生きがいを感じながら、一日あたり4時間程度働き、それによる収入を得ることができるし、適度の運動となって健康の維持・増進に資することができる。このように本発明によれば、「米と発電との二毛作」を農地転用等の煩わしい手続きなしに可能とするスキームを構築できるものである。
【0164】
(実施の形態3)
実施の形態3では、実施の形態1、2に比較して、基礎プレート100の構成が異なる。以下、実施の形態3では、実施の形態1、2との相違点のみを述べるが、特に言及されていない項目については、実施の形態1、2と同様である。
【0165】
ここで、
図24(a)は、本発明の実施の形態3における基礎プレートの平面図、
図24(b)は、同基礎プレートの斜視図である。
【0166】
図25(a)は、本発明の実施の形態3における桝の平面図、
図25(b)は、同桝の正面図、
図25(c)は、同タンクの平面図である。
【0167】
図26(a)は、本発明の実施の形態3における桝の正面図、
図26(b)は、同タンクの正面図、
図26(c)は、同給水状態を示す側面図である。
【0168】
実施の形態3における基礎プレート100は、タンク60の各上面上に載置され、かつタンク60の注ぎ口65を挿入可能に開口する丸孔103を有する。
【0169】
また、基礎プレート100は、溝部106を有し、この溝部106は、折畳フレーム3、5の長辺34に接し、太陽電池パネル1及び枠体2に作用する荷重を基礎に伝達する。
【0170】
以下、
図24〜
図26を参照しながら、更に具体的に説明する。実施の形態1、2では、基礎プレート70のかぎ脚部76を用いて、基礎プレート70をタンク60に連結した。
【0171】
一方、実施の形態3では、
図24(b)に示すように、基礎プレート100を、中央の水平部101と、水平部101の両端から下向きに傾斜する2つの傾斜部102とを備えて構成し、基礎プレート100の真下に位置する4本のタンク60に設けられる注ぎ口65(全部で8個)の位置にあわせて、注ぎ口65よりもやや大径の丸孔103(全部で8個)を開設してある。
【0172】
注ぎ口65は、通常キャップ64がねじ込まれることにより閉鎖されるが、これと同じように、傾斜部102に開設される丸孔103には、
図24(a)に示すように、丸孔103から外向きに注ぎ口65を露出させ、傾斜部102の外側から注ぎ口65の外周部にワッシャ66をはめ込み、さらにワッシャ66の上から注ぎ口65のネジ部に、キャップ64をねじ込むと良い。
【0173】
また、水平部101の丸孔103からも同様に注ぎ口65が露出するが、中央部101の注ぎ口65には、タンク60内に虫やゴミ等が入らないように、防虫ネット(図示せず。)を張った目皿を装着した上で、注ぎ口65にキャップ64をねじ込むと良い。
【0174】
このようにキャップ64を傾斜部102の丸孔103から露出する注ぎ口65にねじ込むと、基礎プレート100と4本のタンク60とが一体化される。
【0175】
さらに、水平部101の中央には、水平部101の中心線を対称軸として、線対称となるように、門型の把手104、105の下端部が固着されている。これらの把手104、105の間は、溝部106となっており、この溝部106には、実施の形態1、2と同様に、折畳フレーム3、5の長辺34を挿入し、外延縦ベルト44等により、折畳フレーム3、5をタンク60を主とする基礎に連結できるようになっている。
【0176】
一旦、折畳フレーム3、5が基礎に連結されると、溝部106は、太陽電池パネル1及び枠体2に作用する荷重を基礎に伝達することになる。
【0177】
一方、外延縦ベルト44等を外せば、キャップ64が丸孔103を介して、タンク60の注ぎ口65にねじ込まれているから、例えば、タンク60内の水の量が少ないか全く無いような場合、作業者は、把手104、105を把持すれば、4本のタンク60を一体的に持ち上げて運搬することもでき、非常に便利である。
【0178】
次に、タンク60への注水作業について、
図25〜
図26を参照しながら説明する。タンク60内の水が不足している場合、タンク60に一本ずつ注水を行っても良い。
【0179】
しかしながら、次に述べるような桝107を使用すれば、4本のタンク60にまとめて注水できるので能率が良くなる。まず、
図25(a)、(b)に示すように、上端部が開放された筒状の桝107を用意する。
【0180】
図示したものでは、桝107は、円筒状の筒部108と円板状の底板109を有する。しかしながら、桝107は、断面矩形の筒状としてもよいし、あるいはホッパのように漏斗状に形成しても良い。
【0181】
図26(c)に示すように、4本のタンク60から基礎プレート100を取り外した状態において、基礎プレート100の水平部101の位置にあった4つの注ぎ口65の位置にあわせて、
図25(a)に示すように、底板109に丸孔110を開設する。
【0182】
そして、
図25(b)に示すように、丸孔110の上側から雄ねじソケット111(内部は空洞で、水の流動を可能とする形状となっている。)を丸孔110に挿入し、桝107の下側から、上部に雌ねじキャップ112を装着した注入管113を雄ねじソケット111に突き合わせ、さらに雌ねじキャップ112を雄ねじソケット111にねじ込むことにより、注入管113を桝107の底板109に取り付ける。図示しているように、注水管113は、先細りの漏斗状に形成するのが望ましい。
【0183】
さらに、基礎プレート100の水平部101の位置にある4つの注ぎ口65からキャップ64を外した状態で、4つの注ぎ口65のそれぞれに4本の注水管をそれぞれ挿入し、桝107の上部に給水管115をセットする。この後、給水管115から水を桝107の筒部108へ放水すれば、4本のタンク60にほぼ均等に水を供給することができる。
【0184】
水の供給が完了したら、水を含んで重くなった4本のタンク60を移動せず、その位置において、折畳フレーム3、5の長辺34を基礎プレート100の溝部106にセットし、外延縦ベルト44等により基礎へ折畳フレーム3、5を固定すれば、直ちに発電を開始できる。以上の作業において、基礎プレート100を一時的に取り外しても良いが、基礎プレート100を取付けたまま作業を行うのが望ましい。そうすれば、例えば横ベルト45を緩めたり、取り外したりする状態であっても、基礎プレート100により、4本のタンク60が一体化されるので、まとめて取り扱うことができ、作業効率が向上する。