特許第6422872号(P6422872)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6422872
(24)【登録日】2018年10月26日
(45)【発行日】2018年11月14日
(54)【発明の名称】光走査装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20181105BHJP
   G02B 23/26 20060101ALI20181105BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20181105BHJP
【FI】
   A61B1/00 524
   A61B1/00 715
   A61B1/00 730
   G02B23/26 B
   G02B26/10 109Z
   G02B26/10 C
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-536447(P2015-536447)
(86)(22)【出願日】2014年9月10日
(86)【国際出願番号】JP2014004646
(87)【国際公開番号】WO2015037231
(87)【国際公開日】20150319
【審査請求日】2017年5月18日
(31)【優先権主張番号】特願2013-188436(P2013-188436)
(32)【優先日】2013年9月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100147692
【弁理士】
【氏名又は名称】下地 健一
(72)【発明者】
【氏名】藤原 真人
(72)【発明者】
【氏名】嶋本 篤義
(72)【発明者】
【氏名】印南 岳晴
(72)【発明者】
【氏名】西村 淳一
【審査官】 牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/031824(WO,A1)
【文献】 特開2012−231910(JP,A)
【文献】 特開2013−054185(JP,A)
【文献】 特表2007−503938(JP,A)
【文献】 特表2005−501279(JP,A)
【文献】 特開2008−116922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00− 1/32
G02B 21/00−21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバの射出端部を走査部により振動させながら、前記光ファイバの射出端面から射出される光を物体に照射して該物体を走査する光走査装置であって、
前記走査部は、
前記射出端部を介して第1の方向に対向配置され、前記射出端部を第1の方向に振動させる少なくとも一対の第1方向コイルと、
前記射出端部に該射出端部を貫通させて装着された永久磁石と、を備え、
前記永久磁石は、前記射出端部が貫通する貫通孔の軸方向に着磁されており、
前記走査部は、前記第1方向コイルに給電される電流により、前記永久磁石の内部に振動の節が位置するように前記射出端部を前記第1の方向に2次以上の高次共振モードの周波数近傍で駆動振動させ、
前記第1の方向においては、非振動状態時における前記永久磁石と前記第1方向コイルとの相対距離が、他の方向よりも小さい、
光走査装置。
【請求項2】
前記永久磁石は、前記貫通孔の軸方向からみて非対称に構成されている、
請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記永久磁石は、前記貫通孔の軸方向と直交する断面において、前記貫通孔を通る前記第1の方向の長さが、前記貫通孔を通る前記第1の方向と直交する方向の長さよりも長い、
請求項2に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記永久磁石は、前記貫通孔の軸方向に対して傾いて装着されている、
請求項2又は3に記載の光走査装置。
【請求項5】
前記射出端部を介して前記第1の方向と交差する方向に対向配置され、前記射出端部を前記第1の方向と交差する第2の方向に振動させる少なくとも一対の第2方向コイルを更に備え、
前記走査部は、前記第2方向コイルに給電される電流により、前記第1の方向における周波数よりも低い周波数で前記射出端部を前記第2の方向に駆動振動させる、
請求項1乃至4のいずれかに記載の光走査装置。
【請求項6】
前記第1方向コイル及び第2方向コイルは、少なくとも前記永久磁石の前記射出端面側とは反対側の磁極側においてそれぞれ対向配置されており、
前記射出端部の非振動状態において、前記第2方向コイルが前記第1方向コイルよりも前記永久磁石に近づいて配置されている、
請求項5に記載の光走査装置。
【請求項7】
前記第2の方向は、前記第1の方向と直交し、
前記走査部は、前記光ファイバから照射される光により前記物体をラスタ走査する、
請求項5又は6に記載の光走査装置。
【請求項8】
前記一対のコイルは、各コイルの巻き中心軸が前記永久磁石の着磁方向の少なくとも一方の端面近傍において、前記永久磁石の着磁方向と交差するように設けられている、
請求項1乃至7のいずれかに記載の光走査装置。
【請求項9】
前記一対のコイルは、各コイルの巻き中心軸が前記永久磁石の着磁方向に略直交するように設けられている、
請求項8に記載の光走査装置。
【請求項10】
前記射出端部を収容する筒部材を備え、
前記一対のコイルは、前記筒部材の側面に対向して設けられ、
前記筒部材は、前記一対のコイルが設けられている部分が、他の部分よりも開口が小さい、
請求項8又は9に記載の光走査装置。
【請求項11】
各前記コイルは、当該コイルの巻き中心軸に沿って挿入された強磁性体からなる芯棒を備える、
請求項1乃至10のいずれかに記載の光走査装置。
【請求項12】
前記走査部は、内視鏡の挿入先端部に装着されている、
請求項1乃至11のいずれかに記載の光走査装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2013年9月11日に日本国に特許出願された特願2013−188436の優先権を主張するものであり、この先の出願の開示全体をここに参照のために取り込む。
【技術分野】
【0002】
本発明は、揺動可能な光ファイバを用いる光走査装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
従来、光ファイバの射出端部を振動させながら、光ファイバから被観察物に向けて光を照射して被観察物を走査する光走査装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。かかる光走査装置は、光ファイバの射出端部に取り付けられた永久磁石と、永久磁石の周囲のハウジングの内壁に配置された4つのコイルとを有する走査部を備える。4つのコイルは、対向する一方の2つのコイルが光ファイバの射出端部をX軸方向に駆動するXコイルを構成し、他方の2つのコイルが光ファイバの射出端部をX軸方向と直交するY軸方向に駆動するYコイルを構成する。
【0004】
Xコイルには、光ファイバの射出端部及び永久磁石を含む被振動部の共振周波数に相当する周波数の電流が給電される。Yコイルには、共振周波数よりも低周波数の電流が給電される。これにより、走査部は、被振動部を電磁力によってX軸方向に共振的に振動させながら、Y軸方向にはX軸方向よりも低周波数で振動させて、被観察物をラスタ走査する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−116922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した光ファイバを用いる光走査装置は、一つの特徴として走査部を小型にできる利点がある。したがって、例えば内視鏡に適用した場合は、内視鏡の挿入先端部に固体撮像素子が配置される電子内視鏡と比較して、挿入先端部の細径化が可能となる。
【0007】
その一方で、光走査装置は、走査部が小型であることから、光ファイバの振動振幅が小さく、結果として被観察物の走査範囲が狭くなる。この問題を解消し、走査部を大型化することなく、光ファイバの最大振動振幅を大きくするには、XコイルやYコイルの駆動コイルに給電する駆動電流を大きくしたり、永久磁石を大きくしたりして、光ファイバを振動させる電磁力を大きくすることが考えられる。
【0008】
しかしながら、駆動コイルへの給電電流を大きくすると、発熱が著しくなって、被検者等に悪影響を及ぼしたり、駆動コイルが溶断したりすることが想定される。また、永久磁石を単に大きくすると、永久磁石が光ファイバとともに変位した際に駆動コイルやハウジングと干渉することが想定される。
【0009】
したがって、かかる観点に鑑みてなされた本発明の目的は、走査部の大型化を招くことなく、光ファイバの最大振動振幅を効率よく大きくできる光走査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する本発明に係る光走査装置は、光ファイバの射出端部を走査部により振動させながら、前記光ファイバの射出端面から射出される光を物体に照射して該物体を走査する光走査装置であって、
前記走査部は、
前記射出端部を介して第1の方向に対向配置され、前記射出端部を第1の方向に振動させる少なくとも一対の第1方向コイルと、
前記射出端部に該射出端部を貫通させて装着された永久磁石と、を備え、
前記永久磁石は、前記射出端部が貫通する貫通孔の軸方向に着磁されており、
前記走査部は、前記第1方向コイルに給電される電流により、前記永久磁石の内部に振動の節が位置するように前記射出端部を前記第1の方向に2次以上の高次共振モードの周波数近傍で駆動振動させ、
前記第1の方向においては、非振動状態時における前記永久磁石と前記第1方向コイルとの相対距離が、他の方向よりも小さい、
ものである。
このようにすることで、前記永久磁石の内部に振動の節が位置することにより、前記第1の方向においては、振動時における前記永久磁石の変位を小さくすることができる。そして、前記永久磁石と前記第1方向コイルとを、互いに近接した位置に配置することが可能となり、前記永久磁石に対して前記第1方向コイルが発生する磁場を効果的に作用させることができる。
【0011】
前記永久磁石は、前記貫通孔の軸方向からみて非対称に構成されるとよい。
【0012】
前記永久磁石は、前記貫通孔の軸方向と直交する断面において、前記貫通孔を通る前記第1の方向の長さが、前記貫通孔を通る前記第1の方向と直交する方向の長さよりも長くするとよい。
このようにすることで、前記第1の方向においては、前記永久磁石を前記第1方向コイルに対して、より近接した位置に配置することができる。
また、前記第1の方向の共振周波数と、前記第1の方向と直交する方向の共振周波数とが近い場合、前記共振周波数近傍で前記第1の方向にのみ駆動振動させたとしても、前記直交方向にも振動が発生し、意図せず軌跡が楕円となってしまうことがある。しかし、前述のような構成とすることで、楕円軌跡とならずに、直線軌跡などの所望の軌跡を得ることが可能となる。
【0013】
前記永久磁石は、前記貫通孔の軸方向に対して傾いて装着されるとよい。
【0014】
前記射出端部を介して前記第1の方向と交差する方向に対向配置され、前記射出端部を前記第1の方向と交差する第2の方向に振動させる少なくとも一対の第2方向コイルを更に備え、
前記走査部は、前記第2方向コイルに給電される電流により、前記第1の方向における駆動周波数よりも低い駆動周波数で前記射出端部を前記第2の方向に振動させるとよい。
【0015】
前記第1方向コイル及び第2方向コイルは、少なくとも前記永久磁石の前記射出端面側とは反対側の磁極側においてそれぞれ対向配置されており、
前記射出端部の非振動状態において、前記第2方向コイルが前記第1方向コイルよりも前記永久磁石に近づいて配置されるとよい。
このようにすることで、前記第1の方向においては前記永久磁石を前記第1方向コイルに向けて近付け、更に前記第2の方向においては前記第2方向コイルを前記永久磁石に近付けることで、前記永久磁石は非対称形状のまま、前記第1方向コイル及び前記第2方向コイルの磁場を効果的に前記永久磁石に掛けることができる。
【0016】
前記第2の方向は、前記第1の方向と直交し、
前記走査部は、前記光ファイバから照射される光により前記物体をラスタ走査するとよい。
【0017】
前記一対のコイルは、各コイルの巻き中心軸が前記永久磁石の着磁方向の少なくとも一方の端面近傍において、前記永久磁石の着磁方向と交差するように設けられていると良い。
この場合、前記一対のコイルは、各コイルの巻き中心軸が前記永久磁石の着磁方向に対する端面近傍に位置するように配置されているので、前記コイルが発生する磁場の方向は、前記永久磁石の着磁方向に交差し、該着磁方向に交差する方向の磁場が、前記永久磁石の端面に存在する磁極に作用する。この磁力の方向は、前記光ファイバの振動を励起するために必要な前記永久磁石の振動方向と一致するので、効率的に前記光ファイバを振動させることができる。
【0018】
前記一対のコイルは、各コイルの巻き中心軸が前記永久磁石の着磁方向に略直交するように設けられていると良い。
このようにすることで、前記永久磁石に対して前記一対のコイルが発生する磁場を更に効果的に作用させることができる。
【0019】
前記射出端部を収容する筒部材を備え、
前記一対のコイルは、前記筒部材の側面に対向して設けられ、
前記筒部材は、前記一対のコイルが設けられている部分が、他の部分よりも開口が小さいと良い。
このようにすることで、前記コイルを簡便な構成で保持できるとともに、前記コイルを前記永久磁石に対して、より近接した位置に配置することができる。
【0020】
各前記コイルは、当該コイルの巻き中心軸に沿って挿入された強磁性体からなる芯棒を備えると良い。
このようにすることで、前記コイルに供給する電流を低減しつつより大きな磁場を発生させることができる。
【0021】
前記走査部は、内視鏡の挿入先端部に装着されているとよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、走査部の大型化を招くことなく、光ファイバの最大振動振幅を効率よく大きくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施の形態に係る光走査装置の概略構成を示すブロック図である。
図2図1の光源部の概略構成を示す図である。
図3図1の検出部の概略構成を示す図である。
図4図1の光走査型内視鏡本体を概略的に示す概観図である。
図5図4の挿入部の先端部を拡大して示す断面図である。
図6図5の走査部を拡大して示す図である。
図7図6の永久磁石を拡大して示す斜視図である。
図8】被振動部のX方向における3次共振モードによる振動態様を説明する図である。
図9】永久磁石の変形例を拡大して示す斜視図である。
図10】第2実施の形態を説明する永久磁石の図である。
図11】第3実施の形態を説明する走査部の構成を示す図である。
図12】第4実施の形態を説明する走査部の構成を示す図である。
図13】第5実施の形態を説明する永久磁石の2つの例を示す斜視図である。
図14】第5実施の形態を説明する走査部の構成を示す図である。
図15図14のソレノイド電磁コイルの巻き中心軸と永久磁石の着磁方向との関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
【0025】
(第1実施の形態)
図1は、第1実施の形態に係る光走査装置の概略構成を示すブロック図である。図1の光走査装置は、光走査型内視鏡装置10を構成するもので、光走査型内視鏡本体20と、光源部30と、検出部40と、駆動電流生成部50と、制御部60と、表示部61と、入力部62とを有している。光源部30と光走査型内視鏡本体20との間は、例えば1本のシングルモードファイバからなる照明用の光ファイバ11により光学的に接続される。検出部40と光走査型内視鏡本体20との間は、例えば複数本のマルチモードファイバからなる検出用の光ファイババンドル12により光学的に接続される。なお、光源部30、検出部40、駆動電流生成部50及び制御部60は、同一の筐体内に収納されていても良く、また、別々の筐体に収納されていても良い。
【0026】
光源部30は、例えば赤、緑及び青の三原色のCW(連続発振)レーザ光を射出する3つのレーザ光源からの光を合波して白色光として出射する。レーザ光源としては、例えばDPSSレーザ(半導体励起固体レーザ)やレーザダイオードを使用することができる。もちろん、光源部30の構成はこれに限られず、1つのレーザ光源を用いるものであっても、他の複数の光源を用いるものであっても良い。
【0027】
光走査型内視鏡本体20は、光ファイバ11の射出端部を走査部70により振動させながら、光源部30から光ファイバ11を経て射出される光を被観察物(物体)100に照射して被観察物100を2次元走査(本実施の形態ではラスタ走査)する。また、光走査型内視鏡本体20は、被観察物100の2次元走査により得られる信号光を集光して、光ファイババンドル12を経て検出部40に伝送する。ここで、駆動電流生成部50は、制御部60からの制御に基づいて走査部70に対して配線ケーブル13を介して所要の振動電流を給電する。
【0028】
検出部40は、光ファイババンドル12により伝送された信号光をスペクトル成分に分離し、分離した信号光を電気信号に光電変換する。制御部60は、光源部30、検出部40及び駆動電流生成部50を同期制御するとともに、検出部40により出力された電気信号を処理して、表示部61に画像を表示する。また、制御部60は、入力部62からの入力操作による入力信号に基づいて、走査速度や表示画像の明るさ等、種々の設定を行う。
【0029】
図2は、図1の光走査型内視鏡10の光源部30の概略構成を示す図である。光源部30は、赤、緑及び青の三原色のCW(連続発振)レーザ光を射出するレーザ光源31R,31G,31Bと、ダイクロイックミラー32a,32bと、AOM(音響光学モジュレータ)33と、レンズ34とを備える。赤色のレーザ光源31Rは、例えば、LD(半導体レーザ)を使用することができる。緑色のレーザ光源31Gは、例えば、DPSSレーザ(半導体励起固体レーザ)を使用することができる。青色のレーザ光源31Bは、例えば、LDを使用することができる。
【0030】
レーザ光源31Rから射出された赤色のレーザ光は、ダイクロイックミラー32a及びダイクロイックミラー32bを順次透過する。レーザ光源31Gから射出された緑色のレーザ光は、ダイクロイックミラー32aで反射されて赤色のレーザ光と同軸に合波されてダイクロイックミラー32bを透過する。レーザ光源31Bから射出された青色のレーザ光は、ダイクロイックミラー32bで反射されて、赤色のレーザ光及び緑色のレーザ光と同軸に合波される。これにより、ダイクロイックミラー32bから赤、緑、青の3原色のレーザ光が合波された白色のレーザ光が射出される。
【0031】
ダイクロイックミラー32bから射出された白色のレーザ光は、AOM33により強度変調されて、レンズ34を経て光ファイバ11の入射端に入射される。AOM33は、図1の制御部60の制御のもとに光ファイバ11に入射させる白色のレーザ光の強度を変調する。なお、レーザ光源31R,31G,31B及びダイクロイックミラー32a,32bは、図2の配置に限らず、例えば、緑色及び青色のレーザ光を合波した後、赤色のレーザ光を合波するようにしても良い。また、AOM33を用いずに、直接LDの電流を変調してレーザ光を強度変調しても良い。
【0032】
図3は、図1の光走査型内視鏡10の検出部40の概略構成を示す図である。検出部40は、赤、緑及び青の各色に対応する光を検出するためのフォトダイオードを用いた受光器41R,41G,41B、ダイクロイックミラー42a,42b及びレンズ43を備える。検出部40には、光ファイババンドル12が接続されている。
【0033】
光ファイババンドル12の射出端から射出される信号光は、レンズ43により略平行な光束に変換された後、ダイクロイックミラー42aで青色の波長帯域の光が反射されて分離され、赤色及び緑色の波長帯域の光はダイクロイックミラー42aを透過する。ダイクロイックミラー42aで分離された青色の波長帯域の光は、受光器41Bにより受光されて光電変換される。また、ダイクロイックミラー42aを透過した赤色及び緑色の波長帯域の光は、ダイクロイックミラー42bで緑色の波長帯域の光が反射され、赤色の波長帯域の光は透過されてそれぞれ分離される。ダイクロイックミラー42bで分離された緑色及び赤色の信号光は、それぞれ受光器41G及び受光器41Rにより受光されて光電変換される。
【0034】
受光器41R,41G及び41Bの光電変換出力は、図1の制御部60に入力される。なお、受光器41R,41G,41B及びダイクロイックミラー42a,42bは、図3の配置に限らず、例えば、信号光から赤色の光を分離した後、さらに緑色と青色の信号光を分離するような配置としても良い。
【0035】
図4は、光走査型内視鏡本体20を概略的に示す概観図である。光走査型内視鏡本体20は、操作部22及び可撓性の挿入部23を備える。光源部30に接続される光ファイバ11、検出部40に接続される光ファイババンドル12、及び、駆動電流生成部50からの配線ケーブル13は、挿入部23の内部を通して先端部24まで導かれている。先端部24は、操作部22により向きが操作される。
【0036】
図5は、図4の挿入部23の先端部24を拡大して示す断面図である。図6は、図5の走査部70を拡大して示す図である。先端部24は、走査部70、投影用レンズ25を備えるとともに、挿入部23を通る光ファイバ11、光ファイババンドル12、及び様々な処置具を挿通するための鉗子穴27が延在している。光ファイババンドル12の先端には、検出用レンズを備えていても良い。
【0037】
光ファイバ11は、先端部24において、一部が固定部11aとして先端部24の内部に固定された取付環26に固定され、この固定部11aからレーザ光を被観察物100に向けて射出する射出端面11cまでの射出端部11bが揺動可能に支持されている。一方、光ファイババンドル12は、それぞれの光ファイバが挿入部23の外周部を通るように配置されて、先端部24の先端まで延在している。
【0038】
走査部70は、角型チューブ71の4つの側面に螺旋状に扁平に巻回された偏向磁場発生用の電磁コイル72a〜72hと、射出端部11bの一部に射出端部11bを貫通させて装着された永久磁石73とを有する。角型チューブ71は、筒部材として射出端部11bの周囲を囲むように、一端部が取付環26に固定される。永久磁石73は、光ファイバ11の軸方向に着磁されている。電磁コイル72a〜72hは、永久磁石73のそれぞれの磁極を介して対向するように角型チューブ71に設けられる。
【0039】
ここで、電磁コイル72a〜72dは、射出端部11bをX方向(第1の方向)に振動させる2対のX方向コイルを構成するもので、電磁コイル72a,72cが永久磁石73の一方の磁極を介してX方向に対向配置された一対のコイルを構成し、電磁コイル72b,72dが永久磁石73の他方の磁極を介してX方向に対向配置された一対のコイルを構成している。また、電磁コイル72e〜72hは、射出端部11bをX方向と直交するY方向(第2の方向)に振動させる2対のY方向コイルを構成するもので、電磁コイル72e,72gが永久磁石73の一方の磁極を介してY方向に対向配置された一対のコイルを構成し、電磁コイル72f,72hが永久磁石73の他方の磁極を介してY方向に対向配置された一対のコイルを構成している。なお、電磁コイル72g,72hは図示していない。ここで、電磁コイル74a〜74hの各々は、各コイルの巻き中心軸が、射出端部11bの非振動状態での永久磁石73の着磁方向、すなわちX方向及びY方向と直交するZ方向と交差するように、好ましくは略直交するように設けられる。
【0040】
電磁コイル72a〜72hは、配線ケーブル13を介して駆動制御部50に接続されて、駆動制御部50から所要の電流が給電される。これにより、射出端部11bは、X方向及びY方向に振動して、被観察物100をレーザ光によりラスタ走査する。
【0041】
投影用レンズ25は、先端部24の端面側に配置される。投影用レンズ25は、光ファイバ11の射出端面11cから射出されたレーザ光が、被観察物100上に略集光するように構成されている。また、検出用レンズが配置される場合は、被観察物100上に集光されたレーザ光が、被観察物100により反射、散乱、屈折等をした光(被観察物100と相互作用した光)又は蛍光等を検出光として取り込み、検出用レンズの後方に配置された光ファイババンドル12に集光させるように配置される。
【0042】
本実施の形態において、永久磁石73は、図7に拡大斜視図を示すように、射出端部11bの貫通孔73aの軸方向をZ方向と平行にして軸方向から見たときに非対称な楕円柱状に構成される。図7においては、永久磁石73のX方向の長さがY方向の長さよりも長くなっている。したがって、射出端部11bの非振動状態では、永久磁石73とX方向に対を成す電磁コイル72a、72c;72b、72dとの相対距離が、他の方向であるY方向に対を成す電磁コイル72e、72g;72f、72hとの相対距離よりも小さくなっている。
【0043】
そして、図8に示すように、X方向に対を成す電磁コイル72a、72c;72b、72dには、永久磁石73の着磁方向の両端に、例えばある瞬間に+X方向と−X方向に互いに逆向きの力(図8に矢印で示す)が作用するように給電される。これにより、射出端部11bは、X方向においては、固定部11aへの固定部分の領域P1付近、永久磁石73の内部の領域P2付近、及び、永久磁石73から射出端面11cまでの間で永久磁石73の近傍の領域P3付近に、それぞれ振動の節を有する3次共振モードの共振周波数近傍で駆動振動される。また、Y方向に対を成す電磁コイル72e、72g;72f、72hには、これらのコイルと相対距離の大きい永久磁石73の着磁方向の両端に、例えばある瞬間に+Y方向に同じ向きの力が作用するように給電される。これにより、射出端部11bは、Y方向においては、領域P1付近に振動の節を有する1次振動モードの共振周波数近傍で駆動振動される。なお、図8において、電磁コイル72a、72c;72b、72dによる磁場は、破線で示されている。
【0044】
このように、X方向の振動において、永久磁石73の内部に振動の節を位置させれば、振動時における永久磁石73の変位を小さくすることができる。したがって、電磁コイル72a、72c;72b、72dを永久磁石73に近接して配置することができるので、永久磁石73に対して電磁コイル72a、72c;72b、72dが発生する磁場を効果的に作用させることができる。これにより、射出端部11bを3次共振モードの共振周波数近傍で効率よく振動させることができる。また、永久磁石73は、貫通孔73aの軸方向と直交する断面において、貫通孔73aを通るX方向の長さが、貫通孔73aを通るY方向の長さよりも長いので、永久磁石73をX方向において電磁コイル72a、72c;72b、72dに近づけることができる。これにより、電磁コイル72a、72c;72b、72dによる磁場を永久磁石73に効果的に作用させることができる。
【0045】
また、X方向の共振周波数とY方向の共振周波数とが近い場合、X方向にのみ共振周波数近傍で駆動振動させると、Y方向にも振動が発生して、振動の軌跡が意図しない楕円となることがあるが、上記の構成とすることで、楕円軌跡とならずに、直線軌跡などの所望の振動軌跡を得ることが可能となる。また、各コイルは、コイルの巻き中心軸が射出端部11bの非振動状態での永久磁石73の着磁方向であるZ方向と直交するように、永久磁石73の端面近傍に配置されている。したがって、各コイルが発生する磁場の方向が、永久磁石73の着磁方向に交差し、その着磁方向に交差する方向の磁場が、永久磁石73の端面に存在する磁極に効果的に作用する。これにより、永久磁石73に作用する磁力の方向が、射出端部11bの振動を励起するために必要な永久磁石73の振動方向と一致するので、射出端部11bを効率的に振動させることができる。また、射出端部11bを収容する角型チューブ71を設けることで、電磁コイル72a〜72hを角型チューブ71の4つの側面に簡単に保持することが可能となる。なお、角型チューブ71の形状は丸型などであっても良い。
【0046】
ここで、X方向における3次共振モードは、射出端部11b及び永久磁石73を含む被振動部のX方向の共振周波数fxを中心とする±数%、好ましくは±1%の範囲とすることができる。同様に、Y方向における1次共振モードは、被振動部のY方向の共振周波数fyを中心とする±数%、好ましくは±1%の範囲とすることができる。これにより、本実施の形態によると、走査部70の大型化を招くことなく、光ファイバ11の射出端面11cを、効率よく、X方向に大きな振幅で高速振動させ、Y方向に大きな振幅で低速振動させて、被観察物100を広範囲でラスタ走査することが可能となる。なお、永久磁石73は、図9に拡大斜視図を示すように、Z方向からみて、X方向の長さがY方向の長さよりも長い長方形を有する非対称な直方体に構成されてもよい。
【0047】
(第2実施の形態)
第2実施の形態に係る光走査装置は、第1実施の形態に係る光走査装置において、走査部70を構成する永久磁石73が、図10に示すようにX方向に傾けて射出端部11bに装着されている。かかる構成によると、永久磁石73の形状のみに非対称性を付ける場合よりも、被振動部のX方向及びY方向における共振周波数に大きな差を付けることができるので、第1実施の形態の効果に加えて、より容易に被振動部を、X方向には3次共振モードで、Y方向には1次共振モードで振動駆動することが可能となる。
【0048】
なお、永久磁石73は、円柱又は長手方向と直交する断面が正方形の直方体として、射出端部11bにX方向に傾けて装着することにより、Z方向からみて非対称に構成されてもよい。
【0049】
(第3実施の形態)
第3実施の形態に係る光走査装置は、第1実施の形態又は第2実施の形態に係る光走査装置と走査部70の構成が異なる。すなわち、走査部70は、図11に示すように、永久磁石73の射出端面11c側とは反対側の磁極側で、Y方向に対向配置される電磁コイル72f,72hが、Y方向に対向配置される電磁コイル72e,72gよりも、射出端部11bの非振動状態において、永久磁石73に近づいて配置されて構成される。つまり、角型チューブ71は、電磁コイル72f,72hが配置される部分の開口が、電磁コイル72e,72gが配置される部分の開口よりも小さくなっている。かかる構成によると、第1実施の形態の効果に加えて、電磁コイル72f,72hと永久磁石73との距離を近くした分、両者間の電磁的作用を増強することができる。
【0050】
したがって、電磁コイル72f,72hに給電する電流を、第1実施の形態や第2実施の形態の場合と同じとした場合は、Y方向の1次共振モードにおける振動振幅をより大きくできる。また、Y方向の1次共振モードにおける振動振幅として、第1実施の形態や第2実施の形態の場合と同じ振幅を得る場合は、電磁コイル72f,72hに給電する電流を小さくできる。
【0051】
(第4実施の形態)
第4実施の形態に係る光走査装置は、第3実施の形態の場合と同様に、第1実施の形態又は第2実施の形態に係る光走査装置と走査部70の構成が異なる。すなわち、走査部70は、図12に示すように、永久磁石73の射出端面11c側とは反対側の磁極側で、Y方向に対向配置される電磁コイル72f,72hに代えて、角型チューブ71にソレノイド電磁コイル74f,74hが配置されて構成される。ソレノイド電磁コイル74f,74hは、それぞれ芯棒75f、75hの外周にコイルが巻回されて構成される。芯棒75f、75hは、ステンレス等の常磁性体や、鉄、パーマロイ等の強磁性体で構成され、X方向に対向配置される電磁コイル72b,72dよりも、射出端部11bの非振動状態において、永久磁石73に近づいて配置されている。
【0052】
したがって、本実施の形態においても、第3実施の形態の場合と同様に、ソレノイド電磁コイル74f,74hと永久磁石73との距離が近い分、両者間の電磁的作用を増強することができるので、射出端部11bをY方向に効率よく1次共振モードで振動させることが可能となる。また、芯棒75f、75hに強磁性体を用いることで、更に電磁的作用を増強することができるので、ソレノイド電磁コイル74f,74hに供給する電流を低減しつつより大きな磁場を発生させることができる。なお、ソレノイド電磁コイル74f,74hは空芯コイルであってもよい。
【0053】
(第5実施の形態)
上述した各実施の形態では、図7図9図10に示したように、永久磁石73を貫通孔73aの軸方向からみて非対称な形状とすることで、永久磁石73と第1方向コイルとの相対距離を、永久磁石73と第2方向コイルとの相対距離よりも小さくしている。本実施の形態では、第1実施の形態において、永久磁石73を、例えば図13(a)又は(b)に示すように、貫通孔73aの軸方向から見たときに、X方向及びY方向の長さが等しい対称な円柱状又は四角柱状とする。なお、永久磁石73は、図13(a)、(b)に示す構成に限らず、貫通孔73aの軸方向から見たときに、X方向及びY方向の長さが等しければ任意の形状とすることができる。
【0054】
また、角型チューブ71には、X方向に対向配置される二対の電磁コイル72a,72c及び72b、72dに代えて、図14に示すように、二対のソレノイド電磁コイル74a,74c及び74b、74dが配置される。ソレノイド電磁コイル74a〜74dは、図12に示したソレノイド電磁コイル74f、74hと同様に、それぞれ芯棒75a〜74dの外周にコイルが巻回されて構成される。芯棒75a〜75dは、ステンレス等の常磁性体や、鉄、パーマロイ等の強磁性体で構成され、Y方向に対向配置される電磁コイル72e〜72hよりも、射出端部11bの非振動状態において、永久磁石73に近づいて配置されている。なお、ソレノイド電磁コイル74a〜74dは空芯コイルであってもよい。
【0055】
ここで、ソレノイド電磁コイル74a〜74dの各々は、上記実施の形態と同様に、図15に示すように、各コイルの巻き中心軸Oa〜Odが、射出端部11bの非振動状態での永久磁石73の着磁方向OmすなわちZ方向と交差するように、好ましくは図示のように略直交するように設けられる。なお、図示しないが、Y方向に対向配置される電磁コイル72e〜72hについても同様に設けられる。
【0056】
図14に示すように、X方向に対を成すソレノイド電磁コイル74a、74c;724b、74dには、永久磁石73の着磁方向の両端に、例えばある瞬間に+X方向と−X方向に互いに逆向きの力(図14に矢印で示す)が作用するように給電される。また、Y方向に対を成す電磁コイル72e、72g;72f、72hには、永久磁石73の着磁方向の両端に、例えばある瞬間に+Y方向に同じ向きの力が作用するように給電される。ここで、上述した実施の形態と同様に、射出端部11bの非振動状態において、永久磁石73とX方向に対を成すソレノイド電磁コイル74a、74c;724b、74dとの相対距離は、他の方向であるY方向に対を成す電磁コイル72e、72g;72f、72hとの相対距離よりも小さくなっている。なお、図14において、ソレノイド電磁コイル74a、74c;724b、74dによる磁場は、破線で示されている。
【0057】
したがって、図8と同様に、射出端部11bは、X方向においては、固定部11aへの固定部分の領域P1付近、永久磁石73の内部の領域P2付近、及び、永久磁石73から射出端面11cまでの間で永久磁石73の近傍の領域P3付近に、それぞれ振動の節を有する3次共振モードの共振周波数近傍で効率よく駆動振動される。また、Y方向においては、射出端部11bは、領域P1付近に振動の節を有する1次振動モードの共振周波数近傍で効率よく駆動振動される。また、ソレノイド電磁コイル74a〜74dが強磁性体よりなる芯棒75a〜75dを有すれば、ソレノイド電磁コイル74a〜74dに供給する電流を低減しつつより大きな磁場を発生させることができ、射出端部11bをより効率的にX方向に駆動振動させることが可能となる。
【0058】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、第5実施の形態のソレノイド電磁コイル74a〜74dを有する構成と、第3実施の形態の電磁コイル72f、72hを永久磁石73に近づける構成、あるいは第4実施の形態の電磁コイル72f、72hに代えてソレノイド電磁コイル74f,74hを設ける構成とを組み合わせてもよい。また、光ファイバ11の射出端部11bのX方向における共振モードは、3次共振モードに限らず、永久磁石73の内部に振動の節が位置すれば、2次共振モードであってもよいし、4次以上の共振モードであってもよい。また、Y方向における共振モードは、1次共振モードの共振周波数近傍に限らず、X方向における駆動周波数よりも低い駆動周波数であればよい。また、走査部70は、射出端部11bを直交するX方向及びY方向に振動させて、被観察物100をラスタ走査するようにしたが、他のリサージュ走査を行うよう構成してもよいし、永久磁石73の内部に振動の節が位置する高次共振モードによる1次元走査のみを行うように構成してもよい。また、本発明は光走査型内視鏡装置に限らず、種々の光走査装置にも有効に適用することができる。
【符号の説明】
【0059】
10 光走査型内視鏡装置
11 光ファイバ
11a 固定部
11b 射出端部
11c 射出端面
12 光ファイババンドル
20 光走査型内視鏡本体
30 光源部
40 検出部
50 駆動電流生成部
60 制御部
70 走査部
71 角型チューブ
72a〜72h 電磁コイル
73 永久磁石
73a 貫通孔
74a〜74d、74f,74h ソレノイド電磁コイル
75a〜75d、75f,75h 芯棒
100 被観察物
図1
図2
図3
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図5
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