特許第6422894号(P6422894)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6422894フレキシブルプリント回路板を備える拡張可能なカテーテルアッセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6422894
(24)【登録日】2018年10月26日
(45)【発行日】2018年11月14日
(54)【発明の名称】フレキシブルプリント回路板を備える拡張可能なカテーテルアッセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0478 20060101AFI20181105BHJP
   A61B 5/0408 20060101ALI20181105BHJP
   A61B 5/0492 20060101ALI20181105BHJP
   A61B 8/12 20060101ALN20181105BHJP
【FI】
   A61B5/04 300J
   !A61B8/12
【請求項の数】28
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2015-557091(P2015-557091)
(86)(22)【出願日】2014年2月7日
(65)【公表番号】特表2016-511026(P2016-511026A)
(43)【公表日】2016年4月14日
(86)【国際出願番号】US2014015261
(87)【国際公開番号】WO2014124231
(87)【国際公開日】20140814
【審査請求日】2016年10月21日
(31)【優先権主張番号】61/762,363
(32)【優先日】2013年2月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513228661
【氏名又は名称】アクタス メディカル インク
【氏名又は名称原語表記】Acutus Medical,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョウ デリック レン−ユ
(72)【発明者】
【氏名】コービイ ティモシー ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン マーカス フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ナイト ダリル アラン
(72)【発明者】
【氏名】ローマン リカルド デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】フラハティ ジェイ クリストファー
【審査官】 ▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−522106(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/092016(WO,A1)
【文献】 特開2004−350702(JP,A)
【文献】 特表2003−511098(JP,A)
【文献】 特表2011−507656(JP,A)
【文献】 特表2011−504363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/04−5/055
A61B 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内管腔の中へ挿入されるように構成されているデバイスであって、
近位端部および遠位端部を含む細長いシャフトと、
半径方向にコンパクトな状態から半径方向に拡張した状態へ移行するように構成されている拡張可能なアッセンブリと、
前記拡張可能なアッセンブリのスプライン上に形成されたフレキシブルプリント回路板(フレックスPCB)基板と、
前記フレックスPCB基板に連結されており、かつ、複数の電気信号を受信または送信することの少なくとも1つをするように構成されている複数の電子要素と、
前記フレックスPCB基板の上または中の少なくとも1つに位置決めされ、前記複数の電気信号を処理するように構成されている電子モジュールに電気的に接続するように構成されている複数の電気接点に、前記複数の電子要素を選択的に連結する、複数の通信経路と、
を含み、
前記複数の電子要素が、少なくとも1つの電極および少なくとも1つの超音波トランスデューサーを含み、前記複数の通信経路の少なくとも1つが、前記少なくとも1つの電極および前記少なくとも1つの超音波トランスデューサーに電気的に接続され、
前記少なくとも1つの超音波トランスデューサーが、整合層と、前記整合層の上のアクティブ要素と、前記アクティブ要素の上のバッキング材料とを含む、
ことを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイスであって、前記拡張可能なアッセンブリが、心腔の中への挿入のためにさらに構成されていることを特徴とする、デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載のデバイスであって、前記複数の電子要素の少なくともいくつかが、前記フレックスPCB基板に固定して取り付けられていることを特徴とする、デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載のデバイスであって、前記複数の電子要素の少なくともいくつかが、前記拡張可能なアッセンブリに固定して取り付けられていることを特徴とする、デバイス。
【請求項5】
請求項1に記載のデバイスであって、前記複数の電子要素の少なくとも1つが、電極、超音波トランスデューサ、加速度計、センサ、温度センサ、圧力センサ、歪みゲージ、トランスデューサー、加熱要素、冷却要素、および、それらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの要素を含むことを特徴とする、デバイス。
【請求項6】
請求項に記載のデバイスであって、前記複数の電子要素が、少なくとも4つの電極および少なくとも4つの超音波トランスデューサーを含むことを特徴とする、デバイス。
【請求項7】
請求項1に記載のデバイスであって、前記複数の電子要素が、導電性コーティングを備える少なくとも1つの電極を含むことを特徴とする、デバイス。
【請求項8】
請求項に記載のデバイスであって、前記導電性コーティングが、酸化イリジウム、白金黒、PEDOT、炭素ナノチューブ、および、それらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする、デバイス。
【請求項9】
請求項1に記載のデバイスであって、
前記複数の電子要素の少なくとも1つが、少なくとも1つの超音波トランスデューサーを含み、
前記フレックスPCB基板が、導電性のパッドを含み、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサーが、前記導電性のパッドに電気的に接続されていることを特徴とする、デバイス。
【請求項10】
請求項に記載のデバイスであって、前記導電性パッドと電気接続するように前記超音波トランスデューサーを維持するように構成されているハウジングをさらに含むことを特徴とする、デバイス。
【請求項11】
請求項1に記載のデバイスであって、
前記複数の電子要素が、複数の超音波トランスデューサーを含み、
前記拡張可能なアッセンブリが、それぞれのスプラインに装着されている少なくとも2つの超音波トランスデューサーを備える少なくとも2つのスプラインを含み、
第1のスプラインに装着されている前記少なくとも2つの超音波トランスデューサーが、第2のスプラインに装着されている少なくとも2つの超音波トランスデューサーから直線的に互い違いに配置されており、前記第1のスプラインの上の超音波トランスデューサーの突出部が、前記第2のスプラインの上の前記少なくとも2つの超音波トランスデューサーの突出部同士の間に延在するようになっていることを特徴とする、デバイス。
【請求項12】
請求項に記載のデバイスであって、前記整合層が、血液の中の浸漬に基づく4分の1波長の整合層であることを特徴とする、デバイス。
【請求項13】
請求項1に記載のデバイスであって、前記拡張可能なアッセンブリが、スプラインサポートを含み、前記フレックスPCB基板が、1つ以上の場所において、前記スプラインサポートに取り付けられていることを特徴とする、デバイス。
【請求項14】
請求項1に記載のデバイスであって、前記フレックスPCB基板が、ポリイミド、ポリエステル、ナイロン、Pebax、液晶ポリマー、および、それらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される材料を含むことを特徴とする、デバイス。
【請求項15】
請求項1に記載のデバイスであって、前記フレックスPCB基板が、導体の第1のセットを備える第1の層と、導体の第2のセットを備える第2の対向する層と、前記第1の層と前記第2の層との間に少なくとも1つのバイアと、を含むことを特徴とする、デバイス。
【請求項16】
請求項1に記載のデバイスであって、前記複数の電子要素が、マルチプレクサー、トランスデューサー、センサー、A/Dコンバーター、D/Aコンバーター、電気−光信号コンバーター、光−電気信号コンバーター、アナログ信号フィルター、デジタル信号フィルター、増幅回路、前置増幅回路、および、それらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの電子要素を含むことを特徴とする、デバイス。
【請求項17】
請求項1に記載のデバイスであって、前記フレックスPCB基板が、
前記拡張可能なアッセンブリ上に位置決めされている遠位部分と、
前記複数の電気接点を含む近位部分と、
前記複数の通信経路の少なくとも一部分を含む、それらの間の中間部分と
を含み、
前記中間部分が、前記シャフトの長さの少なくとも大部分を通って延在していることを特徴とする、デバイス。
【請求項18】
請求項17に記載のデバイスであって、フレックスPCB基板近位端部が、前記シャフト近位端部の近位に位置決めされていることを特徴とする、デバイス。
【請求項19】
請求項1に記載のデバイスであって、前記デバイスが、少なくとも1つの通信導管をさらに含み、前記少なくとも1つの通信導管は、前記フレックスPCB基板に電気的に連結されている遠位端部と、前記シャフトの長さの少なくとも大部分を通って延在する細長い部分とを含むことを特徴とする、デバイス。
【請求項20】
請求項19に記載のデバイスであって、前記少なくとも1つの通信導管が、ワイヤー、トレース、同軸ケーブル、マイクロ同軸ケーブル、光ファイバー、および、それらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される導管を含むことを特徴とする、デバイス。
【請求項21】
請求項1に記載のデバイスであって、前記フレックスPCB基板が、複数のスプラインを含み、それぞれのスプラインは、一連の電気接続点を含む接続領域を含み、
前記接続領域は、前記拡張可能なアッセンブリの中心軸線の周りに直線的に配置されており、
前記接続領域の少なくとも1つが、少なくとも1つの他の接続領域に対して互い違いに配置されていることを特徴とする、デバイス。
【請求項22】
請求項21に記載のデバイスであって、前記複数のスプラインが互いに対してフレキシブルに取り付けられていることを特徴とする、デバイス。
【請求項23】
請求項に記載のデバイスであって、前記少なくとも1つの通信経路が、シールドおよび内側導体を含む少なくとも1つの同軸ケーブルを含み、前記少なくとも1つの電極および前記少なくとも1つの超音波トランスデューサーが、前記同軸ケーブル内側導体に電気的に接続されていることを特徴とする、デバイス。
【請求項24】
請求項1に記載のデバイスであって、前記細長いシャフトが、細長いルーメンを画定し、前記ルーメンが、ガイドワイヤー、アブレーションカテーテル、および、それらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される第2のデバイスを摺動式に受け入れるように構成されていることを特徴とする、デバイス。
【請求項25】
請求項1に記載のデバイスであって、前記拡張可能なアッセンブリが、前記シャフトの前記遠位端部に取り付けられていることを特徴とする、デバイス。
【請求項26】
請求項1に記載のデバイスであって、前記シャフトが、遠位部分を含み、前記拡張可能なアッセンブリが、前記シャフトの遠位部分の上に位置決めされていることを特徴とする、デバイス。
【請求項27】
請求項1に記載のデバイスであって、前記拡張可能なアッセンブリが、拡張した状態で付勢されていることを特徴とする、デバイス。
【請求項28】
請求項1に記載のデバイスであって、前記拡張可能なアッセンブリが、収縮した状態で付勢されていることを特徴とする、デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、35USC119(e)の下で、2013年2月8日に出願されたEXPANDABLE CATHETER ASSEMBLY WITH FLEXIBLE PRINTED CIRCUIT BOARD (PCB) ELECTRICAL PATHWAYSという表題の米国仮特許出願第61/762,363号の優先権を主張し、それは、その全体が、本願に引用して援用されている。
【0002】
本出願は、その優先権は主張していないが、2012年8月31日に出願されたSYSTEM AND METHOD FOR DIAGNOSING AND TREATING HEART TISSUEという表題の米国特許出願第61/695,535号に関連する可能性があり、それは、その全体が本願に引用して援用されている。
【0003】
本発明は、身体の中で使用される医療用デバイスの分野に関し、より具体的には、たとえば、電気生理学において使用される拡張可能なカテーテルなどのような、拡張可能なアッセンブリを含む医療用デバイスの分野に関し、また、そのようなデバイスおよび拡張可能なアッセンブリを使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0004】
心臓の特定の電気的特性を測定するために身体の中で電極を使用することは、日常的に実施されており、それは、心臓マッピングと称される場合がある。そして、たとえば身体の中で神経または組織を選択的に切除するために、アブレーションカテーテルを使用することも、日常的に実施されている。心臓マッピングおよびアブレーションは、異なる特殊なデバイスまたはシステムを使用して、別々に実施される。
【0005】
アブレーションカテーテルは、たとえば、心拍の速度またはリズムに関連する問題であるいくつかのタイプの不整脈を治療するために、医療処置において使用することが可能である。アブレーションカテーテルは、長くて細いフレキシブルチューブであり、それは、患者の腕、脚の付け根(大腿上部)、または首にある血管の中へ置かれ、血管を通して心臓の中へガイドされる。カテーテルアブレーションでは、通常、無線周波数(RF)エネルギーが使用され、心臓組織を選択的に破壊する熱を生み出す。
【0006】
心臓マッピングのために、例として、現在、永久磁石の磁界、電磁石によって発生させられる磁界、またはインピーダンス測定のいずれかによって、電極を身体の中に局在させることが可能である。
【0007】
Biosense Webster,Inc.によるCarto 3 Systemは、先行技術による電磁界測定システムの例である。そのようなシステムは、電磁コイルを備えた特殊な電極を必要とする。
【0008】
Medtronic,Inc.によるLocalisa(登録商標)Intracardiac Navigation Systemは、先行技術によるインピーダンス測定システムの例である(Localisaは、Medtronic Inc.による米国商標として登録されている。)。そのようなシステムは、組織異方性および呼吸に起因して不正確である可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの態様によれば、体内管腔の中へ挿入されるように構成されているデバイスは、近位端部および遠位端部を含む細長いシャフトと、半径方向にコンパクトな状態から半径方向に拡張した状態へ移行するように構成されている拡張可能なアッセンブリと、フレキシブルプリント回路板(フレックスPCB)基板と、前記フレックスPCB基板に連結されており、かつ、電気信号を受信または送信することの少なくとも1つをするように構成されている複数の電子要素と、前記フレックスPCB基板の上または中の少なくとも1つに位置決めされている複数の通信経路であって、前記複数の通信経路は、前記電気信号を処理するように構成されている電子モジュールに電気的に接続するように構成されている複数の電気接点に、前記複数の電子要素を選択的に連結する、複数の通信経路とを含む。
【0010】
前記拡張可能なアッセンブリが、心腔の中への挿入のためにさらに構成され得る。
【0011】
前記デバイスが、双極子マッピングデバイスを含むことが可能である。
【0012】
前記デバイスが、大腿静脈、大腿動脈、頸静脈内静脈、頸静脈内動脈、大静脈、および、それらの組み合わせからなる群から選択される体内管腔の中に挿入可能であり得る。
【0013】
前記電気信号が、電力、情報信号、センサ信号、コントロール信号、および、それらの組み合わせからなる群から選択される信号を含むことが可能である。
【0014】
前記電子モジュールが、電力信号を送信すること、ドライブ信号を送信すること、情報信号を送信すること、情報信号を受信すること、センサ信号を受信すること、情報信号を処理すること、情報信号を分析すること、および、それらの組み合わせからなる群から選択される機能を実施するように構成される。
【0015】
前記複数の電子要素の少なくともいくつかが、前記フレックスPCB基板および/または前記拡張可能なアッセンブリに固定して取り付けられ得る。
【0016】
前記複数の電子要素の少なくとも1つが、電極、超音波トランスデューサ、加速度計、センサ、トランスデューサ、および、それらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの要素を含むことが可能である。
【0017】
前記複数の電子要素の少なくとも1つが、温度センサ、圧力センサ、歪みゲージ、および、それらの組み合わせからなる群から選択されるセンサを含むことが可能である。
【0018】
前記複数の電子要素の少なくとも1つが、サウンドトランスデューサ、超音波トランスデューサ、電極、加熱要素、冷却要素、および、それらの組み合わせからなる群から選択されるトランスデューサを含むことが可能である。
【0019】
前記複数の電子要素が、少なくとも2つの異なるタイプの電子要素を含むことが可能である。たとえば、前記少なくとも2つのタイプの電子要素が、少なくとも1つの電極および少なくとも1つの超音波トランスデューサを含むことが可能である。前記複数の電子要素が、少なくとも4つの電極および少なくとも4つの超音波トランスデューサを含むことが可能である。前記複数の電子要素が、少なくとも6つの電極および少なくとも6つの超音波トランスデューサを含むことが可能である。前記複数の電子要素が、少なくとも8つの電極および少なくとも8つの超音波トランスデューサを含むことが可能である。
【0020】
前記複数の電子要素の少なくとも1つが、少なくとも1つの電極を含むことが可能である。前記少なくとも1つの電極が、前記フレックスPCB基板の上に蒸着された電極を含むことが可能である。前記少なくとも1つの電極が、電着、イオンビーム蒸着、スパッタリング、および、それらの組み合わせからなる群から選択される蒸着プロセスを使用して蒸着された電極を含むことが可能である。前記少なくとも1つの電極が、銅、金、プラチナ、イリジウム、ステンレス鋼、および、それらの組み合わせからなる群から選択される材料を含むことが可能である。前記少なくとも1つの電極が、導電性コーティングを含むことが可能であり、前記導電性コーティングは、たとえば、酸化イリジウム、白金黒、PEDOT、炭素ナノチューブ、および、それらの組み合わせからなる群から選択される。
【0021】
前記複数の電子要素の少なくとも1つが、超音波トランスデューサを含むことが可能である。前記フレックスPCB基板が、導電性のパッドを含むことが可能であり、前記超音波トランスデューサが、前記導電性のパッドに電気的に接続され得る。前記デバイスが、前記導電性パッドと電気接続するように前記超音波トランスデューサを維持するように構成されているハウジングをさらに含むことが可能である。前記デバイスが、前記超音波トランスデューサを前記フレックスPCB基板に固定するように構成されているクリップをさらに含むことが可能である。前記超音波トランスデューサが、前記導電性パッドにはんだ付けされ得る。
【0022】
前記複数の電子要素が、複数の超音波トランスデューサを含むことが可能である。前記拡張可能なアッセンブリが、それぞれのスプラインに装着されている少なくとも2つの超音波トランスデューサを備える少なくとも2つのスプラインを含むことが可能である。第1のスプラインに装着されている前記少なくとも2つの超音波トランスデューサが、第2のスプラインに装着されている少なくとも2つの超音波トランスデューサから直線的に互い違いに配置され得、前記第1のスプラインの上の超音波トランスデューサの突出部が、前記第2のスプラインの上の前記少なくとも2つの超音波トランスデューサの突出部同士の間に延在するようになっている。
【0023】
前記複数の電子要素が、前記複数の通信経路を介して、前記電子モジュールから信号を送信および/または受信するように構成され得る。
【0024】
前記複数の電子要素が、1つ以上の圧電トランスデューサ(PZT)を含むことが可能である。前記1つ以上の圧電トランスデューサが、整合層と、前記整合層の上のアクティブ要素と、前記アクティブ要素の上のバッキング材料とを含むことが可能である。前記整合層が、血液の中の浸漬に基づいて4分の1波長の整合層であることが可能である。前記整合層が、前記フレックスPCB基板の金属層の一部であることが可能である。前記複数の通信経路が、前記フレックスPCB基板の中に形成された導電性トレースを含むことが可能である。前記導電性トレースが、前記整合層のパッドの周りに形成され得る。前記導電性トレースが、前記フレックスPCB基板の第1の金属層の一部を形成することが可能であり、前記整合層が、前記フレックスPCB基板の第2の金属層であることが可能である。
【0025】
前記拡張可能なアッセンブリが、スプラインサポートを含むことが可能であり、前記フレックスPCB基板が、1つ以上の場所において、前記スプラインサポートに取り付けられ得る。たとえば、前記フレックスPCB基板が、2つ以上の個別の場所において、前記スプラインサポートに取り付けられ得、前記2つ以上の個別の場所の少なくとも2つが、前記フレックスPCB基板および前記スプラインサポートが取り付けられていない領域によって分離されている。前記デバイスは、前記1つ以上の場所において前記フレックスPCB基板を前記スプラインサポートに取り付ける接着剤、少なくとも1つの圧着、および/または、少なくとも1つのキャプチャー要素をさらに含むことが可能である。
【0026】
前記フレックスPCB基板が、ポリイミド、ポリエステル、ナイロン、Pebax、液晶ポリマー、および、それらの組み合わせからなる群から選択される材料を含むことが可能である。
【0027】
前記フレックスPCB基板が、積層構造を有することが可能であり、たとえば、前記積層構造が、導体の複数の層を含むことが可能である。
【0028】
前記フレックスPCB基板が、導体の第1のセットを備える第1の層と、導体の第2のセットを備える第2の対向する層とを含むことが可能である。前記フレックスPCB基板が、前記第1の層と前記第2の層との間に少なくとも1つのバイアをさらに含むことが可能である。
【0029】
前記複数の電子要素が、マルチプレクサー、トランスデューサ、センサ、A/Dコンバーター、D/Aコンバーター、電気−光信号コンバーター、光−電気信号コンバーター、アナログ信号フィルター、デジタル信号フィルター、増幅回路、前置増幅回路、および、それらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの電子要素を含むことが可能である。
【0030】
前記フレックスPCBが、前記拡張可能なアッセンブリが位置決めされている遠位端部と、前記複数の電気接点を含む近位端部と、前記複数の通信経路の少なくとも一部分を含む、それらの間の中間部分とを含み、前記中間部分が、前記シャフトの中へ実質的に延在している。フレックスPCB基板近位端部が、前記シャフト近位端部の近位に位置決めされ得る。
【0031】
前記デバイスが、少なくとも1つの通信導管をさらに含むことが可能であり、前記少なくとも1つの通信導管は、前記フレックスPCB基板に電気的に取り付けられている遠位端部と、前記シャフトの長さの大部分を通って延在する細長い部分とを含むことが可能である。前記少なくとも1つの通信導管が、ワイヤー、トレース、同軸ケーブル、光ファイバー、および、それらの組み合わせからなる群から選択される導管を含むことが可能である。前記少なくとも1つの通信導管が、少なくとも1つのマイクロ同軸ケーブルを含むことが可能である。
【0032】
前記フレックスPCBが、複数のスプラインを含むことが可能であり、それぞれのスプラインは、一連の電気接続点を含む接続領域を含むことが可能であり、前記接続領域は、前記拡張可能なアッセンブリの中心軸線の周りに直線的に配置されており、前記接続領域の少なくとも1つが、少なくとも1つの他の接続領域に対して互い違いに配置されている。
【0033】
前記デバイスが、第2のフレックスPCB基板をさらに含むことが可能であり、前記第2のフレックスPCB基板は、前記第2のフレックスPCB基板に連結されており、電気信号を受信または送信することの少なくとも1つをするように構成されている第2の複数の電子要素と、前記第2のフレックスPCB基板の上または中の少なくとも1つに位置決めされている第2の複数の通信経路であって、前記第2の複数の通信経路は、前記電子モジュールに電気的に接続するように構成されている前記複数の電気接点に前記第2の複数の電子要素を選択的に連結させる、第2の複数の通信経路とを含む。前記拡張可能なアッセンブリが、少なくとも第1のスプラインおよび第2のスプラインを含むことが可能であり、第1のフレックスPCB基板が、前記第1のスプラインに取り付けられ得、前記第2のフレックスPCB基板が、前記第2のスプラインに取り付けられ得る。第1のフレックスPCB基板が、第1の長さを有することが可能であり、また、前記第1のフレックスPCB基板の近位端部に接続領域を有することが可能であり、前記第2のフレックスPCB基板が、第2の長さを有することが可能であり、また、前記第2のフレックスPCB基板の近位端部に第2の接続領域を有することが可能であり、前記第1および第2の接続領域は、前記拡張可能なアッセンブリの中心軸線の周りに直線的に配置され得、前記第2の長さは、前記第1の長さよりも長いことが可能であり、前記第1の接続領域は、前記第2の接続領域の場所よりも近位の場所に位置決めされ得る。
【0034】
前記拡張可能なアッセンブリが、2つから8つの間のフレックスPCB基板を含むことが可能であり、それぞれのフレックスPCB基板は、前記複数の電子要素からの複数の電子要素を含み、前記複数の通信経路からの複数の通信経路を含み、前記複数の通信経路は、前記複数の電子要素をそれぞれのフレックスPCB基板から前記電子モジュールへ連結させる。たとえば、前記拡張可能なアッセンブリが、2つから8つのスプラインを含むことが可能であり、前記フレックスPCB基板のそれぞれが、異なるスプラインに取り付けられている。
【0035】
前記複数の通信経路が、銅、金、プラチナ、銀、および、それらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む1つ以上の導体を含むことが可能である。
【0036】
前記複数の電子要素が、複数の超音波トランスデューサを含むことが可能であり、前記複数の通信経路の少なくとも1つが、前記複数の超音波トランスデューサに電気的に接続されている。前記少なくとも1つの通信経路が、シールドおよび内側導体を含む少なくとも1つの同軸ケーブルを含み、前記複数の超音波トランスデューサが、前記同軸ケーブルシールドに電気的に接続され得る。
【0037】
前記複数の電子要素が、少なくとも1つの電極および少なくとも1つの超音波トランスデューサを含むことが可能であり、前記複数の通信経路の少なくとも1つが、前記少なくとも1つの電極および前記少なくとも1つの超音波トランスデューサに電気的に接続され得る。前記少なくとも1つの通信経路が、シールドおよび内側導体を含む少なくとも1つの同軸ケーブルを含むことが可能であり、前記少なくとも1つの電極および前記少なくとも1つの超音波トランスデューサが、前記同軸ケーブル内側導体に電気的に接続され得る。前記少なくとも1つの通信経路が、それぞれがシールドおよび内側導体を含む複数の同軸ケーブルを含むことが可能であり、前記複数の同軸ケーブルシールドが電気的に接続され得る。たとえば、前記少なくとも1つの電極が、第1の電極および第2の電極を含むことが可能であり、第1の同軸ケーブル内側導体が、前記第1の電極に電気的に接続され得、第2の同軸ケーブル内側導体が、前記第2の電極に電気的に接続され得る。
【0038】
前記複数の電気接点が、前記電子モジュールに取り外し可能に取り付けられるように構成され得る。
【0039】
前記複数の電気接点が、電気コネクターを含むことが可能であり、電気コネクターは、たとえば、プラグまたはジャックのうちの少なくとも1つである。
【0040】
前記細長いシャフトが、細長いルーメンを画定することが可能である。前記ルーメンが、前記シャフト近位端部と遠位端部との間に延在することが可能である。前記ルーメンが、ガイドワイヤー、および/または、第2のデバイスのシャフト、たとえば、アブレーションカテーテルを摺動式に受け入れるように構成されている。
【0041】
前記シャフトが、操縦可能なシャフトを含むことが可能である。
【0042】
前記拡張可能なアッセンブリが、前記シャフトの前記遠位端部に取り付けられ得る。
【0043】
前記シャフトが、遠位部分を含むことが可能であり、前記拡張可能なアッセンブリが、前記シャフトの遠位部分の上に位置決めされ得る。
【0044】
前記シャフトが、ルーメンを画定することが可能であり、前記拡張可能なアッセンブリが、前記シャフトの前記ルーメンの中から前進させられるように構成され得る。
【0045】
前記拡張可能なアッセンブリが、前記フレックスPCB基板の少なくとも一部分を含むスプラインのアレイを含むことが可能である。前記複数の電子要素が、前記スプラインのアレイの中の1つ以上のスプラインに連結され得る。前記フレックスPCB基板が、基板幅を有することが可能であり、第1のスプラインが、第1の基板幅とおおよそ同じ第1のスプライン幅を有することが可能である。前記フレックスPCB基板が、前記スプラインのアレイからの2つ以上のスプラインに連結され得る。
【0046】
前記拡張可能なアッセンブリが、バスケットアレイまたはバスケットカテーテルを形成する複数のスプラインを含むことが可能であり、前記複数の電子要素が、複数の電極および複数の超音波トランスデューサを含むことが可能であり、前記複数の電極および前記複数の超音波トランスデューサが、それぞれのスプラインの上に設けられている。それぞれのスプラインが、電極および超音波トランスデューサの複数の対を含むことが可能であり、1対当たり、1つの電極および1つの超音波トランスデューサを備えている。前記フレックスPCB基板が、前記スプラインの近位端部において、前記複数の電極および前記複数の超音波トランスデューサを接続点に選択的に接続する導電性トレースの形態の前記複数の通信経路の少なくともいくつかを含む少なくとも1つの金属層を含むことが可能である。それぞれのスプラインの上の前記複数の超音波トランスデューサが、単一の導電性トレースを共有することが可能である。1つ以上のワイヤーまたはケーブルが、前記接続点を前記複数の電気接点に接続させることが可能である。
【0047】
前記拡張可能なアッセンブリが、拡張した状態で付勢され得る。
【0048】
前記拡張可能なアッセンブリが、収縮した状態で付勢され得る。
【0049】
前記デバイスが、前記シャフトの前記近位端部に取り付けられているハンドルをさらに含むことが可能である。
【0050】
前記デバイスは、近位端部と、遠位端部と、それらの間のルーメンとを備えるシースをさらに含むことが可能であり、前記ルーメンは、前記細長いシャフトおよび前記拡張可能なアッセンブリを摺動式に受け入れるように構築および配置され得る。前記拡張可能なアッセンブリが、前記シースのルーメンを出ていくときに半径方向に拡張するように構成され得る。
【0051】
別の態様によれば、体内管腔の中へ挿入されるように構成されているフレックスPCBカテーテルは、半径方向にコンパクトな状態から半径方向に拡張した状態へ移行するように構成されている拡張可能なアッセンブリと、フレキシブルプリント回路板(フレックスPCB)基板と、前記フレックスPCB基板に連結されており、かつ、電気信号を受信または送信することの少なくとも1つをするように構成されている複数の電子要素と、前記フレックスPCB基板の上にまたは中の少なくとも1つに位置決めされている複数の通信経路であって、前記複数の通信経路は、前記電気信号を処理するように構成されている電子モジュールに電気的に接続するように構成されている複数の電気接点に、前記複数の電子要素を選択的に連結する、複数の通信経路とを含む。
【0052】
別の態様によれば、体内管腔を介して身体と相互作用する方法は、近位端部および遠位端部を含む細長いシャフトと、半径方向にコンパクトな状態から半径方向に拡張した状態へ移行するように構成されている拡張可能なアッセンブリと、フレキシブルプリント回路板(フレックスPCB)基板と、前記フレックスPCB基板に連結されており、かつ、電気信号を受信または送信することの少なくとも1つをするように構成されている複数の電子要素と、前記フレックスPCB基板の上にまたは中の少なくとも1つに位置決めされている複数の通信経路であって、前記複数の通信経路は、前記電気信号を処理するように構成されている電子モジュールに電気的に接続するように構成されている複数の電気接点に、前記複数の電子要素を選択的に連結する、複数の通信経路とを含む、デバイスを提供するステップと、前記拡張可能なアッセンブリを前記身体の領域の中へ導入し、前記拡張可能なアッセンブリを拡張させるステップと、前記複数の通信経路の少なくともいくつかを介して、少なくとも1つの電気信号を前記複数の電子要素に供給するステップとを含む。前記身体の前記領域が、心室を含むことが可能である。
【0053】
前記方法の様々な実施形態では、前記デバイスが、本明細書で説明されている実施形態の1つ以上にしたがって、構成および配置され得る。
【0054】
本発明は、添付されている図面および付随する詳細な説明を考慮して、より明らかになることとなる。本明細書で示されている実施形態は、限定としてではなく、例として提供されており、同様の参照番号は、同じまたは類似の要素を表している。図面は、必ずしも正確な縮尺になっておらず、その代わりに、本発明の態様を図示することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】本発明概念の態様による、フレキシブルプリント回路板(「フレックスPCB」)カテーテルを含むカテーテルシステムの実施形態の側面図である。
図2A】本発明概念の態様による、拡張可能なアッセンブリを含むことが可能なフレキシブルプリント回路板(「フレックスPCB」)の実施形態の一部分の底面図である。
図2B】本発明概念の態様による、拡張可能なアッセンブリを含むことが可能なフレキシブルプリント回路板(「フレックスPCB」)の実施形態の一部分の上面図である。
図3A】本発明概念の態様による、図2Aおよび図2BのフレックスPCBカテーテルおよび関連の装置の電気的なレイアウトの実施形態を示す概略ダイアグラムである。
図3B】本発明概念の態様による、図2Aおよび図2BのフレックスPCBカテーテルおよび関連の装置の電気的なレイアウトの実施形態を示す概略ダイアグラムである。
図4】本発明概念の態様による、互い違いに配置されている接続部分を有するフレックスPCBスプラインの近位端部の実施形態の斜視図である。
図5】本発明概念の態様による、つぶされた状態の拡張可能なアッセンブリの一部分の実施形態の斜視図である。
図6】本発明概念の態様による、フレックスPCB拡張可能なアッセンブリのフレックスPCB層の実施形態の斜視図である。
図7A】本発明概念の態様による、フレックスPCBカテーテルおよびその一部分の実施形態の斜視図である。
図7B】本発明概念の態様による、フレックスPCBカテーテルおよびその一部分の実施形態の斜視図である。
図7C】本発明概念の態様による、多層スプラインの実施形態の分解図である。
図8】本発明概念の態様による、フレックスPCBカテーテルのスプラインの別の実施形態の一部分を示す図である。
図9A】本発明概念の態様による、フレックスPCBカテーテルの実施形態の斜視図である。
図9B】本発明概念の態様による、外側シャフトの中につぶされた状態の図9AのフレックスPCBカテーテルの実施形態の正面図である。
図10】本発明概念の態様による、フレックスPCBカテーテルの別の実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
様々な例示的な実施形態が、いくつかの例示的な実施形態が示されている添付の図面を参照して、より完全に以降で説明されることとなる。しかし、本発明概念は、多くの異なる形態で具現化させることが可能であり、本明細書で述べられている例示的な実施形態に限定されるように解釈されるべきではない。
【0057】
第1の、第2のなどの用語が、様々な要素を説明するために本明細書で使用されている可能性があるが、これらの要素は、これらの用語によって限定されるべきではないということが理解されることとなる。これらの用語は、1つの要素を別の要素から区別するために使用されており、必要とされる要素のシーケンスを暗示するために使用されているのではない。たとえば、本発明の範囲を逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶことが可能であり、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶことが可能である。本明細書で使用されているように、「および/または」の用語は、列挙されている関連のアイテムの1つ以上の任意の組み合わせおよびすべての組み合わせを含む。
【0058】
要素が、別の要素「の上にある」、または、別の要素に「接続されている」もしくは「連結されている」と称されるときには、それが、直接的に他の要素の上にあるか、または、他の要素に直接的に接続もしくは連結されている可能性があり、または、介在する要素が存在する可能性があるということが理解されることとなる。それとは対照的に、要素が、別の要素の「直接的に上にある」、または、別の要素に「直接的に接続されている」もしくは「直接的に連結されている」と称されるときには、介在する要素は存在していない。要素同士の間の関係を説明するために使用されている他の語句は、同様の方式で解釈されるべきである(たとえば、「間に」対「直接的に間に」、「隣接して」対「直接的に隣接して」など)。
【0059】
本明細書で使用されている専門用語は、特定の実施形態だけを説明する目的のためのものであり、本発明の限定となることを意図していない。本明細書で使用されているように、単数形「1つ(a)」、「1つの(an)」、および、「その(the)」は、文脈がそうでないことを明確に指示していなければ、複数形も同様に含むことを意図している。「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、および/または「含む(including)」の用語は、本明細書で使用されるときには、記述されている特徴、ステップ、動作、要素、および/またはコンポーネントの存在を特定しているが、1つ以上の他の特徴、ステップ、動作、要素、コンポーネント、および/または、それらのグループの存在または追加を除外していないということがさらに理解されることとなる。
【0060】
「下方に」、「下に」、「下側に」、「上方に」、および、「上側に」などのような、空間的に相対的な用語は、たとえば、図の中に図示されているような、別の要素および/または特徴に対する要素および/または特徴の関係を説明するために使用されている可能性がある。空間的に相対的な用語は、図に示されている配向に加えて、使用時および/または動作時のデバイスの異なる配向を包含することを意図しているということが理解されることとなる。たとえば、図の中のデバイスがひっくり返された場合には、他の要素または特徴の「下に」および/または「下方に」あると説明されている要素が、他の要素または特徴の「上に」配向されることとなる。デバイスは、それ以外に配向させる(たとえば、90度または他の配向で回転させる)ことが可能であり、本明細書で使用されている空間的に相対的な説明は、そのように解釈することが可能である。
【0061】
図1は、本発明概念の態様による、フレキシブルプリント回路板(「フレックスPCB」)カテーテルを含むカテーテルシステムの実施形態の側面図である。
【0062】
図1の実施形態では、カテーテルシステム2は、イントロデューサー10およびフレックスPCBカテーテル100を含む。この実施形態では、イントロデューサー10は、ハンドル12およびシャフト14を含み、シャフト14は、少なくとも1つのルーメンを含む。いくつかの実施形態では、イントロデューサー10は、標準的な経中隔アクセスシース、または、心腔などのような身体空間へのアクセスを提供するように構成されている他のデバイスを含む。シャフト14は、フレックスPCBカテーテル100の並進をシャフト14の中に摺動式に受け入れ、および/または適応するように構成されている。ハンドル12は、コントロール13などのような、ノブ、レバー、スイッチ、または、他のコントロールを含むことが可能であり、コントロール13は、イントロデューサー10の遠位端部を操縦および/または偏向させるように、および/または、別の機能を実施するように構成されている。図1の例示的な実施形態では、ハンドル12、コントロール13、およびシャフト14は、当技術分野で一般的に知られており、したがって、本明細書では詳細に議論されない。
【0063】
フレックスPCBカテーテル100は、ハンドル112および細長いフレキシブルシャフト114を含み、細長いフレキシブルシャフト114は、ハンドル112から延在している。シャフト114の遠位端部に取り付けられているのは、半径方向に拡張可能なおよび/またはコンパクト化可能なアッセンブリ、拡張可能なアッセンブリ110である。代替的な実施形態では、拡張可能なアッセンブリ110は、シャフト114の遠位端部の近位にある、シャフト114の遠位部分に装着されている。いくつかの実施形態では、拡張可能なアッセンブリ110は、2012年8月31日に出願されたSYSTEM AND METHOD FOR DIAGNOSING AND TREATING HEART TISSUEという表題の出願人の同時係属中の米国特許出願第61/695,535号を参照して説明されているように、シャフト114に取り付けられており、それは、その全体が本願に引用して援用されている。シャフト114および拡張可能なアッセンブリ110は、血管などのような体内の管を通して身体(たとえば、人体)の中へ挿入されるように構築および配置されている。そのような血管は、例として、大腿静脈、大腿動脈、頸静脈内静脈、頸静脈内動脈、および大静脈を含むことが可能である。拡張可能なアッセンブリ110は、たとえば、双極子マッピングデバイスであるか、または、双極子マッピングデバイスを含むことが可能であり、双極子マッピングデバイスは、たとえば、心臓の電気的活動をマッピングするためのものである。いくつかの実施形態では、ハンドル112は、ノブ、レバー、スイッチ、または他のコントロール、コントロール113を含む。コントロール113は、たとえば、シャフト114の遠位端部を操縦すること、それぞれ、図示されていない1つ以上のコントロールロッドの後退または前進を介するなどして、拡張可能なアッセンブリ110の拡張および/または収縮を制御すること、拡張可能なアッセンブリ110のコンポーネントに電力を提供するように電気的な接続を作ること、または、拡張可能なアッセンブリ110のセンサに電気的に接続すること、ならびに、これらの組み合わせなどのような、機能を実施するように構成することが可能である。
【0064】
1つ以上の電気的な、光学的な、または電気光学的なワイヤーまたはケーブル(たとえば、同軸のワイヤーまたはケーブル)115(集合的に、「ワイヤー115」)のセットは、フレックスPCBカテーテル100と、電子モジュール360などのような外部電気的なコンポーネントまたはシステムとの間の通信経路として、提供することが可能である。ワイヤー115は、シャフト114を通って、ハンドル112の中の開口部へ延在し、1つ以上の電気接続部(EC)116において終端することが可能である。示されているように、電気接続部116は、電気信号導管361などを通して、電子モジュール360および/または別のコンピューター、または、そうでなければ電気ベースのシステムに取り外し可能に取り付けまたは連結するように構成されている、プラグ、ジャック、または他のコネクターの形態をとることが可能である。そのような外部システムは、例として、電力送達システム、電気的な記録システム、超音波イメージングまたはドライビングシステム、表示システム、診断システム、医療システム、または、それらの組み合わせを含むことが可能であり、それは、ユーザー対話型であることが可能である。
【0065】
様々な実施形態では、拡張可能なアッセンブリ110は、半径方向に拡張した状態で弾性的に付勢され得る(たとえば、ニッケルチタン合金フィラメントの弾性的に付勢されているアレイ)。たとえば、拡張可能なアッセンブリ110は、半径方向に拡張した状態で弾性的に付勢され得、拡張可能なアッセンブリ110は、半径方向にコンパクト化され、シャフト14の中に位置決めされ得るようになっており、また、たとえば、シャフト14がシャフト114に対して後退させられるとき、および/または、拡張可能なアッセンブリ110をシャフト14の遠位端部から出ていかせるように、シャフト114が、シャフト14に対して前進させられるときなど、シャフト14の中の拘束が解放されると、拡張可能なアッセンブリ110は、自己拡張するようになっている。他の実施形態では、たとえば、コントロールロッドまたは他のメカニズムが、拡張可能なアッセンブリ110を半径方向に拡張させるために使用されるときなどに、拡張可能なアッセンブリ110が、つぶされた状態または半径方向にコンパクト化された状態で、弾性的に付勢され得る。
【0066】
この実施形態では、フレックスPCBカテーテル100は、スプライン120のセットを含み、スプライン120のセットは、少なくとも1つのフレックスPCB層を含み、それは、フレックスPCBスプラインと称することが可能である。フレックスPCB層は、金属(たとえば、ニッケルチタン合金)またはプラスチックフィラメントなどのような、フレキシブルフィラメントに取り付けることが可能である。この実施形態では、複数のスプライン120が、フレックスPCB構成を有しており、フレックスPCB構成は、少なくとも1つのフレックスPCB基板またはベース層、基板200を含み、基板200の上または中において、複数のアクティブおよび/またはパッシブな、電気的な、光学的な、または電気光学的な要素(EE)150(集合的に「電子要素150」と称される)には、たとえば、電気的な、光学的な、または電気光学的な通信経路などの、付随する通信経路102が設けられている。
【0067】
電子要素150は、電力、情報信号、センサ信号、コントロール信号、および、それらの組み合わせからなる群から選択される電気信号などのような、電気信号を受信および/または送信するように構成させることが可能である。これらの電気信号は、本明細書で上記に説明されているような電子モジュール360または他の外部デバイスから送信され、それによって受信され、および/または、そうでなければ、それによって処理され得る。いくつかの実施形態では、電子モジュール360のプロセシングは、電力信号を送信すること、ドライブ信号を送信すること、情報信号を送信すること、情報信号を受信すること、センサ信号を受信すること、情報信号を処理すること、情報信号を分析すること、および、それらの組み合わせからなる群から選択される機能を含む。
【0068】
フレックスPCBカテーテル100は、接続点104を含むことが可能であり、通信経路102が、特定の回路レイアウトにしたがって、電子要素150を接続点104に連結させている。この実施形態では、ワイヤー115は、電子モジュール360との接続または通信のために、シャフト114を介して、または、シャフト114の中で、接続点104を外部電気接続部(EC)116に連結させている。図1に示されているように、接続点104は、典型的に、シャフト114の遠位部分の中に位置決めされている。
【0069】
いくつかの実施形態では、ワイヤー115は、同軸ケーブルなどのような、絶縁体によって取り囲まれた導体をそれぞれ含み、それは、絶縁体に加えて導体を取り囲むシールドを含むことが可能である。いくつかの実施形態では、基板200がワイヤー115をさらに含むときなどに(たとえば、電子要素150を外部電気接続部116に連結するように、基板200がシャフト114を通って近位に延在し、接続点104の必要性を回避するとき)、ワイヤー115は、フレキシブルプリント回路板(フレックスPCB)基板の上に位置決めされている導電性トレースを含む。
【0070】
様々な実施形態では、フレックスPCBカテーテル100は、遠位端部に形成された、電子要素150を含む拡張可能なアッセンブリ110と、近位端部(シャフト114の近く、または、シャフト114の中)に形成された接続点104とを含むように考えることが可能である。いくつかの実施形態では、拡張可能なアッセンブリ110は、図1にあるように、バスケットアレイなどのようなアレイの形態をとることが可能である。そのようなケースでは、拡張可能なアッセンブリ110は、フレックスPCBバスケットカテーテルと称することが可能である。ニッケル−チタンのアレイまたは他のフレキシブルスプラインなどのような、バスケットアレイは、拡張した状態またはつぶされた状態において、上述の付勢を有するように構成させることが可能であり、他のフレキシブルスプラインの1つ以上は、それに取り付けられているフレックスPCBを含む。フレックスPCB基板200は、接着剤、クリップ、圧着、または取り付け要素などのような、取り付け要素201によって、拡張可能なアッセンブリ110に取り付けることが可能である。いくつかの実施形態では、フレックスPCB基板200は、1つ以上のスプライン120の長さに沿って継続的に取り付けられている。代替的にまたは追加的に、フレックスPCB基板200は、1つ以上のスプライン120の長さに沿って、(図1に示されているように)1つ以上の個別の取り付け場所において位置決めされている1つ以上の取り付け要素201を用いて取り付けることが可能であり、1つ以上の取り付け要素201と並んで、または、1つ以上の取り付け要素201の中間で、フレックスPCB基板200およびスプライン120が独立して屈曲することを可能にするようになっている(たとえば、取り付けられていないセグメントにおいて曲がることは、そのセグメントにおいて、フレックスPCB基板とスプライン120との間の相対移動を可能にし、フレックスPCB基板200が取り付けられているときの拡張可能なアッセンブリ110の剛性を減少させる)。
【0071】
様々な実施形態では、スプライン120は、同じ長さまたは異なる長さを有することが可能である。そして、いくつかの実施形態では、異なるスプライン120の上の接続点104は、以下に議論されることとなるように、拡張可能なアッセンブリ110の緊密につぶされた構成または収縮した構成に適応するように互い違いに配置させることが可能である。
【0072】
様々な実施形態では、電子要素150は、電気的な、光学的な、または電気光学的なコンポーネントのうちの2つ以上のタイプを含むことが可能である。したがって、異なるタイプの電気的なコンポーネントが、1つ以上のスプライン120の上または中に含まれ、1つ以上のアクティブおよび/またはパッシブ機能に適応することが可能である。いくつかの実施形態では、異なるスプライン120は、異なる数、タイプ、および/または配置の電子要素150を含むことが可能である。
【0073】
例として、電子要素150のタイプは、それに限定されないが、電極、トランスデューサ、加速度計、センサ、および集積回路(たとえば、半導体)などを含むことが可能である。例として、そのようなセンサは、それに限定されないが、温度センサ、圧力センサ(たとえば、歪みゲージ)、電圧センサ、電流センサ、および、音響センサなどを含むことが可能である。例として、そのようなトランスデューサは、それに限定されないが、超音波トランスデューサ、サウンドトランスデューサ、加熱要素、および、冷却要素などを含むことが可能である。集積回路は、それに限定されないが、マルチプレクサー(MUX)、デマルチプレクサー(DEMUX)、A/Dコンバーター、D/Aコンバーター、電気/光コンバーター、光/電気コンバーター、アナログまたはデジタル信号フィルター(または、他のフィルター)、増幅器、前置増幅器、トランスデューサ、および、それらの組み合わせなどを含むことが可能である。たとえば、MUXは、拡張可能なアッセンブリ110へのワイヤーの数を低減させるために使用することが可能である。A/Dコンバーターは、ワイヤーを低減させ、および/または、ノイズ感受性を低減もしくは排除し、同軸ケーブルの必要性を回避するなどのために使用することが可能である。増幅器は、1つ以上の信号をブーストするために使用することが可能である。
【0074】
図2Aおよび図2Bは、本発明概念の態様による、図1の拡張可能なアッセンブリ110のスプライン120の一部を形成するフレックスPCB基板200の実施形態の一部分の底面図および上面図をそれぞれ提供する。この説明の目的のために、底面図は、拡張可能なアッセンブリ110の中からの視点であり、上面図は、拡張可能なアッセンブリ110の外側からの視点である。スプライン120のそれぞれは、電極領域212と接続部分216との間に、スパンまたは長さ214を含む。
【0075】
様々な実施形態では、フレックスPCB基板200は、単一層または多層フレックスPCBを含むことが可能であり、そのそれぞれは、一方の側または両方の側に(すなわち、片面にまたは両面に)電気経路を含むことが可能である。図2Aおよび図2Bの実施形態では、フレックスPCB基板200は、多層構造を有しており、多層構造では、層が一緒に積層されており、フレックスPCB基板は、接続点104および通信経路102を含み、電子要素150を支持している。通信経路102および接続点104は、フレックスPCB基板200のいずれかの側もしくは両方の側、または、フレックスPCB基板200の中、または、それらの組み合わせに形成させることが可能である。同様に、電子要素150は、フレックスPCB基板200のいずれかの側もしくは両方の側に装着されるか、フレックスPCB基板200の中に配設されるか、または、それらの組み合わせであることが可能である。
【0076】
この実施形態では、電子要素150は、電極領域212の中のフレックスPCB基板200の遠位端部に配置されており、接続点104は、接続部分216の中のフレックスPCB基板200の近位端部に配置されており、通信経路102は、フレックスPCB基板200のスパンまたは長さ214を越えて、特定の接続点104を特定の電子要素150に連結させている。
【0077】
図2Aは、フレックスPCB基板200の底面図を示している。パート(A)は、実質的に完成したフレックスPCB基板200の底面図を示している。パート(B)は、フレックスPCB基板200の電極領域212の図を示しており、それは、拡張可能なアッセンブリ110の一部を形成する、底部カバー層210の一部分および金属層220の一部分を含む。パート(C)は、電極領域212の中のパート(B)から、金属層220の図を示している。パート(D)は、パート(C)から、金属層220の一部分の図を示している。パート(E)は、フレックスPCB基板200の接続部分216の図を示しており、それは、接続部分216の中の接続点104の一部を形成する、底部カバー層210の一部分および金属層220の一部分を含む。そして、パート(F)は、パート(E)から、金属層220の図を示している。
【0078】
図2Aの底面図では、フレックスPCB基板は、底部カバー層210と、底部カバー層210の上に配設されている金属または金属層220とを含む。図2Aおよび図2Bの実施形態では、通信経路102は、フレックスPCB基板200の上または中に形成されている金属層220の1つ以上の導電性トレースの形態をとることが可能である。
【0079】
フレックスPCB基板200の接続部分216において、金属層220は、金属パッド222を含み、金属パッド222は、バイア(層の一方の側から反対側へ、電気的な接続を提供する経路)の形態で提供されており、それは、接続点104を含む。すなわち、開口部が、底部カバー層210の中に形成され、接続点104として、パッド222を露出させている。
【0080】
拡張可能なアッセンブリ110を有する金属層220の電極領域212において、金属パッド224が、電子要素150の第1のセットの少なくともいくつかのためのベースとして設けられている。たとえば、この実施形態では、金属パッド224は、1つ以上の超音波要素(図示せず)を支持するために使用される圧電トランスデューサ(PZT)パッドであることが可能である。開口部が、底部カバー層210の中に形成され、金属パッド224を露出させている。金属パッド224同士の間に、また金属層220の一部として、電子要素150の第2のセットが、たとえば、電極152の形態で設けられ得る。この実施形態では、電極152は、金属パッド224同士の間に設けられており、最終的には、金属パッド224の上に装着されている電子要素(たとえば、超音波クリスタル)の第1のセットの個々のもの同士の間に設けられている。
【0081】
図2Bは、フレックスPCB基板200の上面図を示している。パート(A)は、実質的に完成したフレックスPCB基板200の上面図を示している。パート(B)は、フレックスPCB基板200の電極領域212の図を示しており、それは、拡張可能なアッセンブリ110の一部を形成する、上部カバー層230の一部分および金属層220の一部分を含む。パート(C)は、パート(B)から、金属層220の図を示している。パート(D)は、パート(C)から、金属層220の一部分の図を示している。パート(E)は、フレックスPCB基板200の接続部分216の図を示しており、それは、接続点104の一部を形成する、上部カバー層230の一部分および金属層220の一部分を含む。そして、パート(F)は、パート(E)から、金属層220の図を示している。
【0082】
図2Bの実施形態では、上部カバー層230および金属層220が示されている。上部カバー層230は、底部カバー層210と組み合わせられ、金属層220は、底部カバー層210と上部カバー層230との間にそれぞれ維持されている。この実施形態では、上部カバー層230は、フレックスPCB基板200の通信経路102を実質的にカバーする。また、上部カバー層230は、金属パッド224をカバーしており、金属パッド224は、スプライン120の拡張可能なアッセンブリ110部分の中に音響整合を提供するように、構築および配置されている。例として、超音波クリスタルは、以下に議論されることとなるように、上部カバー層230および金属パッド224の上に、後で装着することが可能である。また、電極152は、上部カバー層230の上に装着され、上部カバー層230を通して金属層220に接続することが可能である。
【0083】
フレックスPCBスプライン120の接続部分216において、開口部が、上部カバー層230の中に形成され、接続点104として、パッド222を露出させている。
【0084】
金属層220において、トレースおよびパッドは、導電性の材料から作製することが可能であり、それは、例として、レーザー切断、化学エッチング、成形、もしくは鋳造によって、および/または、印刷によって、形成することが可能である。底部カバー層210は、レーザー切断され、金属層220に積層することが可能であり、または、金属層220は、様々な実施形態で、底部カバー層210に直接的に蒸着およびエッチングすることが可能である。上部カバー層230は、金属層220が中間にある状態で、底部カバー層210の上に積層することが可能である。
【0085】
図2Aおよび図2Bの実施形態では、フレックスPCB基板200は、所定のスプライン120に対して、8セットの電子要素150(たとえば、16コンポーネント)を支持している。他の実施形態では、1つのスプライン120当たり、たとえば、2セット、4セット、または6セットの電子要素など、異なる数のセットの電子要素150を使用することが可能である。例示的な本実施形態では、電子要素150のそれぞれのセットは、1つの電極152と、1つの対応する金属パッド224に連結されている1つの対応する超音波トランスデューサとを含む。電極152は、例として、1つ以上の周波数の範囲において、インピーダンスを低減させるように構築および配置されているコーティングなどのような、1つ以上のコーティングを含むことが可能である。例として、超音波トランスデューサは、様々な方式のいずれかで、フレックスPCB基板200に装着することが可能であり、たとえば、超音波トランスデューサは、いくつかの実施形態では、カップまたはハウジングの中に含有され得る(たとえば、図8を参照。)。
【0086】
様々な実施形態では、金属層220の金属パッド224は、対応するトランスデューサ(たとえば、超音波トランスデューサ)のパワー伝達および効率を最大化する音響整合層としての役割を果たすことが可能である。金属パッド224は、具体的には、トランスデューサ材料(たとえば、PZT)の音響インピーダンスを、伝搬媒体(水、血液など)のものに整合させるように構成されている。
【0087】
音響インピーダンスが、Z_整合=sqrt(Z_トランスデューサ*Z_媒体)によって与えられる場合において、整合層厚さが、材料の中の動作周波数において4分の1(1/4)波長であるときに、最適なインピーダンス整合が実現される。4分の1波長の整合層となるように正確な音響インピーダンスを有するように材料を見出すまたは設計することは困難である可能性があり、したがって、厚さおよび音響インピーダンスは、損失を最小化するために変化させることが可能である。複合材または多層材料は、様々な実施形態で、整合層のために使用することが可能である。整合層のインピーダンス不整合に起因する損失は、計算またはシミュレーションすることが可能であり、金属パッド224の詳細が、それから決定される。
【0088】
本実施形態では、フレックスPCB基板200は、金属層220の一部として、整合層として構成させるか、または、整合層を含むように構成させることが可能である。たとえば、フレックスPCB基板のポリイミド層は、結合接着剤、金属化された電極、および基板層の厚さが制御されるときに、整合層として使用され得る音響インピーダンスを備えて構成させることが可能である。フレックスPCB基板200設計の中のこれらの層のそれぞれの厚さは、音響性能および電気的性能、ならびに、材料の有効性および/またはコストのトレードオフのバランスをとるように選択される。
【0089】
また、底部カバー層(または、バッキング層)210は、フレックスPCB基板200の上に装着されているトランスデューサのパワー伝達効率およびバンド幅に影響を与える。底部カバー層210は、(たとえば、トランスデューサバンド幅を増加させるために)底部カバー層210に進入する任意の音響エネルギーも減衰させながら、トランスデューサの背面から伝送されるエネルギーを最小化するように選択される。
【0090】
電極152は、たとえば、電着、イオンビーム蒸着、スパッタリング、および、それらの組み合わせを介して、底部カバー層210の上に直接的に蒸着させることが可能である。底部カバー層210の上の蒸着の代替例として、電極152は、(たとえば、絶縁グルーなどのような接着剤を用いて)フレックスPCB基板200に装着させることが可能であり、次いで、フレックスPCB基板200の中の通信経路102に電気的に接続される。様々な実施形態では、電極152は、銅、金、プラチナ、イリジウム、ステンレス鋼、および/または、他の導電性材料もしくは元素から形成させることが可能である。随意的に、電極152は、例として、酸化イリジウム、白金黒(Pt黒)、PEDOT(すなわち、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン))、または炭素ナノチューブなどのような、表面コーティングを用いてコーティングすることが可能である。
【0091】
様々な実施形態では、通信経路102は、例として、銅、金、プラチナ、または銀から形成されたフレックスPCB基板の中または上にあるトレースであることが可能である。様々な実施形態では、整合層金属パッド224は、例として、銅、金、プラチナ、または銀から形成させることが可能である。そして、様々な実施形態では、底部カバー層210および上部カバー層230は、それぞれ、ポリイミド、ポリエステル、ナイロン、ポリエーテルブロックアミド(PEBAまたはPEBAX)、および、液晶ポリマー(LCP)などから形成させることが可能である。
【0092】
図3Aおよび図3Bは、本発明概念の態様による、(ワイヤー115の例として)対応する同軸ケーブル310のセットに接続されている、図1図2A、および図2BのフレックスPCBカテーテル100の電気的なレイアウト300の実施形態を示す概略ダイアグラムを提供している。図3Aは、フレックスPCBカテーテル100への同軸ケーブル310の接続の実施形態の概略を表している。図3Bは、電気接続部116を介して、少なくとも1つの外部システム、電子モジュール360への同軸ケーブル310の接続の実施形態の概略を表している。
【0093】
電気的なレイアウト300は、8つの同軸ケーブルを含む同軸ケーブル310を示しており、8つの同軸ケーブルは、同軸ケーブル312を含み、同軸ケーブル312は、電極322を含むそれぞれの8つの電極320に連結されており、それは、電極152と同等であることが可能であり、また、同軸ケーブル312は、超音波トランスデューサ342を含む8つの超音波トランスデューサ340に連結されている。これらの要素は、図3Aにおいて、通信経路102(たとえば、導電性トレース)とともに概略形態で示されている。
【0094】
例として、同軸ケーブル312は、内側導体312a、絶縁体312b、シールド312c、およびケーシング312dを含む。同軸ケーブル312の内側導体312aは、電極322に連結し、次いで、超音波トランスデューサ342の端子に連結している。超音波トランスデューサ342の第2の端子は、同軸ケーブル312のシールド312cに連結している。この実施形態では、超音波トランスデューサ340の第2の端子は、慣用的に接続されている様式で、共通のワイヤーまたはトレースを共有することが可能である。また、同軸ケーブル310のすべてのシールドは、慣用的に接続されている。他の実施形態では、超音波トランスデューサ340の第2の端子、および/またはシールドは、慣用的に接続される必要はなく、または、超音波トランスデューサ340の異なるセットの第2の端子、および/またはシールドは、慣用的に接続され得る。いくつかの実施形態では、同軸ケーブル310は、1kHzにおいておおよそ115pF/メートルの静電容量、75Ωから1000Ωの間の特性インピーダンス、おおよそ200Ωの特性インピーダンス、10MHzにおいて0.3dB/メートルから1.0dB/メートルの間の減衰、10MHzにおいておおよそ0.5dB/メートルの減衰、および、これらの組み合わせからなる群から選択される電気的特性を含む。
【0095】
他の同軸ケーブル310は、それぞれの電極320および超音波トランスデューサ340を備えて、同じ構成および配置を有することが可能である。
【0096】
図3Bの実施形態では、同軸ケーブル310は、電子モジュール360に連結されている。この実施形態では、電子モジュール360は、患者隔離回路362、電極トランシーバー回路364、超音波トランシーバー回路366、コントロール装置368、およびユーザーインターフェース370を含む。先述の回路は、例として、外部システムを形成するか、または、外部システムの一部とすることが可能であり、外部システムは、心臓活動分析、マッピング(たとえば、記録すること、および/または、記録された電気信号の分析)、治療(たとえば、切除エネルギーを提供すること)、または、それらのいくつかの組み合わせを提供する。
【0097】
図3Bの高レベルの概略に示されている実施形態では、電極回路、超音波回路、ユーザーインターフェース、およびコントロール装置は、(たとえば、患者へのショックまたは他の望ましくない電気的なエネルギーの望ましくない送達を防止するために)患者隔離回路362を介して、患者から電気的に隔離されており、患者隔離回路362は、電子モジュール360の一部を形成することが可能であるか、または、それとは別々になっていることが可能である。
【0098】
図4は、本発明概念の態様による、拡張可能なアッセンブリ110のスプライン120の接続部分216(すなわち、近位端部)の実施形態の斜視図である。この実施形態では、スプライン120は、直線的に互い違いに配置された接続部分216a,216b、および216c(全体的に216)を有しており、それぞれの接続部分216は、直線的な互い違いに配置された接続点104a,104b、および104c(全体的に104)のセットをそれぞれ有している。一般的に、接続部分216は、図1のシャフト114などのようなシャフトの遠位部分の中に含有されているフレックスPCBカテーテル100の一部分の上にある。接続部分216の直線的に互い違いに配置していること、および/または、接続点104の直線的に互い違いに配置していることは、取り囲むシャフト、および/または、接続部分216がそれを通して前進させられることとなるシャフト(たとえば、図1のシャフト14)の効率的に半径方向にコンパクトな設計を可能にする。この実施形態では、近位端部接続部分216a、216b、および216cは、それぞれのスプライン120a,120b、および120cの上のそれらの場所に対して互い違いに配置されている。したがって、少なくとも2つのスプライン120a,120b、および/または120cの対応する接続部分216a、216b、および216c(ならびに、接続点104a,104b、および104c)は、直接的に隣接しておらず、互いに並んでいない−それらは、オフセットされ、または、互い違いに配置されている。フレックスPCBカテーテル100を形成するスプライン120のいくつかまたはすべてに関して、こういう状況とすることが可能である。
【0099】
図4では、スプライン120は、異なる長さを有するように示されているが、他の実施形態では、スプラインは、それらの接続部分がスプラインの上の異なる場所にある状態で、実質的に同じ長さであることが可能である。したがって、スプライン120が実質的に同じ長さであったとしても、接続部分は、オフセットされたまま、または互い違いに配置されたままであることとなり、互い違いに配置された位置決めに起因して、スプライン120の効率的な半径方向のコンパクト化を可能にする。
【0100】
図4は、スプライン120bに関する接続部分216bの中の接続104bの配置の実施形態を示すコールアウト(A)をさらに含む。この実施形態では、9つの接続が、上記に説明されているような直線的に互い違いに配置された配置で、スプライン120bに関して示されている。8つの接続が、図3Aおよび図3Bの中の同軸ケーブル312の内側導体312aなどのような8つの導体に、フレックスPCB基板200を介して提供されている。また、第9の接続が、スプライン120bの上の8つのトランスデューサによって共有されているワイヤーまたはトレースとして、シールドに提供されている(たとえば、図3Aのトランスデューサ340および同軸ケーブル312のシールド312cを参照)。この実施形態では、最も右側の接続が、シールドに接続されているが、他の実施形態では、このような状況である必要はない。また、この接続の配置は、拡張可能なアッセンブリ110の中の1つ以上の他のスプラインに提供することも可能である。
【0101】
この実施形態では、導体(または、ワイヤー)は、それぞれのバイアにレーザー溶接されるか、導電性接着剤を用いて結合されるか、または、はんだ付けすることが可能である(たとえば、図2Aおよび図2Bのパッド222を参照)。それぞれの接続は、垂直方向の寸法(すなわち、深さおよび/または高さ)を有することが可能である。互い違いに配置している接続部分は、接続の垂直方向の寸法によって引き起こされる混雑状態を軽減し、接続部分216は、一般的に、接続点104を含むデバイスの一部分の効率的で半径方向にコンパクトな構成を可能にする。
【0102】
図5は、本発明の態様による、つぶされた状態の拡張可能なアッセンブリ110の一部分の実施形態の斜視図である。図5では、図2Bに示されている上部カバー層230などのようなバッキング層を外部に見ることができる。
【0103】
この実施形態では、拡張可能なアッセンブリ110は、スプライン120a,120b、および120cを含む、6つのスプライン120を含む。スプライン120のそれぞれは、複数の第1の電子要素場所520および複数の第2の電子要素場所530を含む。したがって、2つ以上のタイプの電子要素150を、それぞれのスプライン120の中に含むことが可能である。例として、第1の電子要素場所520は、超音波トランスデューサ、たとえば、トランスデューサ524を含み、または収容することが可能であり、第2の電子要素場所530は、電極、たとえば、電極522を含み、または収容することが可能である。
【0104】
この実施形態では、第1の電子要素場所520は、スプライン120の隣接領域および/または中間領域、ならびに、第2の電子要素場所530よりも幅が広く、概して円形である。他の実施形態では、第1の電子要素場所520は、異なる形状を有することが可能である。拡張可能なアッセンブリ110およびスプライン120のよりコンパクトな配置を促進させるために、第1の電子要素場所520は、スプラインごとに互い違いに配置されているか、またはオフセットされている。したがって、例として、スプライン120aの上の1つの第1の電子要素場所520の突出部は、近隣のスプライン120bの上の近隣の第1の電子要素場所520の2つの突出部の間に位置付けさせることが可能である。この互い違いに配置された配置は、スプライン120のすべてに提供することが可能である。
【0105】
図5の実施形態は、横方向に突出する第1の電子要素場所520を備える実質的に真っ直ぐなスプライン120を示している。他の実施形態では、スプライン120は、実質的に真っ直ぐである必要はない。たとえば、スプライン120は、複数の湾曲したセクション(たとえば、正弦波形状)、鋸歯もしくはジグザグ形状、方形波形状、または、つぶされた状態の拡張可能なアッセンブリ110の互い違いに配置されたまたは交互配置された配置を生成させることができるいくつかの他の形状を有することが可能である。そのようなケースでは、第1の電子要素場所520は、スプラインの一方の側または両方の側に、横方向の突出部を有する必要がない。
【0106】
図6は、本発明概念の態様による、フレックスPCBカテーテル100(たとえば、バスケットカテーテル)のフレックスPCB基板200の実施形態の斜視図である。この実施形態では、フレックスPCB基板200は、6つのスプライン120に適応するように構成されている。それぞれのスプライン120は、例として超音波クリスタルなどのような、または、図1に説明されている他の電子要素150などのような、複数の電子要素の装着に適応するために、電極領域212の中に複数の開口部602を画定している。
【0107】
フレックスPCB基板200は、中央開口部604を画定している。開口部604は、ガイドワイヤーおよび/または第2のカテーテルの通路に適応することが可能であり、第2のカテーテルは、たとえば、いくつかの実施形態では、図10にさらに説明されているアブレーションカテーテルである。
【0108】
フレックスPCB基板200は、単一のワークピースとして作製される単層または多層フレックスPCB層であることが可能である。たとえば、フレックスPCB基板200は、フレックスPCB材料の単一のピースからレーザー切断することが可能である。そのように、製造する複雑性および時間、ならびにコストを低減させることが可能である。
【0109】
また、この実施形態では、スプライン120は、様々な長さを有しており、接続部分が、上記に議論されているように互い違いに配置され得るようになっている。しかし、これは、すべての実施形態において、そうである必要はない。いくつかの実施形態では、スプライン120は、実質的に同じ長さであることが可能である。
【0110】
図7A図7Bは、本発明概念の態様による、フレックスPCBカテーテルおよびその一部分の実施形態の斜視図である。フレックスPCBカテーテルは、例として、図1図2A、および図2BのフレックスPCBカテーテル100の形態をとることが可能である。
【0111】
図7Aの実施形態では、フレックスPCBカテーテル100は、6つのスプライン120を含む拡張可能なアッセンブリ110(たとえば、バスケットカテーテル)を含む。それぞれのスプラインは、電子要素150の8つのセット730を含み、それぞれのセット730は、超音波トランスデューサ154および電極152を含む。他の実施形態では、異なる数の電子要素150および/または電子要素セット730を備えた、より多くのまたはより少ないスプラインを設けることが可能である。
【0112】
スプライン120のそれぞれは、図2A図2B、および図4に関して説明されているように、電極領域212と接続部分216との間に、スパンまたは長さ214を含む。ある実施形態では、スパン214および接続部分216は、拡張可能なアッセンブリ110の(示されているように)拡張した状態およびつぶされた状態の両方において、シャフト(たとえば、図1のシャフト114)の中に維持されている。また、この実施形態では、スプライン120は、様々な長さを有しており、図4に関連して上記に議論されているように、接続部分216が、直線的に互い違いに配置され、必要とされるシャフト114の直径を最小化するようになっている。
【0113】
図7Bを参照すると、この実施形態では、超音波トランスデューサ154は、例示的な実施形態では、心臓内の血液の中に浸漬され得るので、超音波トランスデューサ154は、浸漬タイプのものである。超音波トランスデューサ154は、音響整合層734、アクティブ要素(たとえば、PZTパッドまたは電極)736、およびバッキング材料(または、カバー)738を含む。
【0114】
図7BのフレックスPCBカテーテル100は、画定された開口部を有するフレックスPCB基板200を含み、開口部は、音響整合(または、バランシング)パッド732によって占有されている。例として、音響整合パッド732は、適切な場所にはんだ付けされるか、またはグルーで接着され得る。示されているように、アクティブ要素736は、音響整合パッド732の上に装着することが可能であり、バッキング材料738は、アクティブ要素736の上に配設させることが可能である。
【0115】
図7Aおよび図7Bでは、スプラインサポート750が示されており、スプラインサポート750は、拡張可能なアッセンブリ110に対して形状を与えること、および/または、形状を付勢することを支援することが可能である。
【0116】
図7Cは、本発明概念の態様による、多層スプラインの実施形態の分解図を示している。図7Cのスプラインは、スプライン120の実施形態であることが可能である。
【0117】
図7Cのスプライン120の一部分は、第1の積層された層762(たとえば、図2Bの上部カバー層230)、第1の金属層764、第2の積層された層766、第2の金属層768、第3の積層された層770(たとえば、図2Aの底部カバー層210)、アクティブ要素(たとえば、PZT)736、およびバッキング材料738を含む。層762、764、766、768、および770は、一緒に積層され、フレックスPCB基板200の実施形態を形成することが可能である。
【0118】
この実施形態では、第1の金属層764は、電極152を含み、電極152は、電子要素セット730の一部と、アクティブ要素736の下方に配設されているバランストレース782と、電極152に接続する電極トレース784とを形成している。図7Cの実施形態では、それぞれのアクティブ要素736は、その「下に」同じ量のバランスパッド(または、トレース)782を有しており、それは、図2Aおよび図2Bの実施形態とは異なっており、図2Aおよび図2Bでは、トレースは、「下方」ではなく、金属(たとえば、PZT)パッド224の周りに進行している。この構成では、バランストレース782は、それぞれの要素736の下方に位置決めされており、それぞれの要素736を音響的にバランスさせるように構成されている。いくつかの実施形態では、バランストレース782は、電気信号を運搬しない(すなわち、トレース782は、任意の他の電子コンポーネントまたは導電性トレースに電気的に接続されていない)。たとえば、スプライン120に沿って、それぞれのアクティブ要素736の下方の領域は、1つ以上の電極トレース784と、ゼロまたはそれ以上のバランストレース782とを含む電気的なトレースのセットを含むことが可能である。音響的なバランスまたは他の機械的なバランスを実現するために、トレースの総数は、それぞれのアクティブ要素736の下方において同じ量である。たとえば、8つのアクティブ要素736を含有するスプラインにおいて、最も近位のアクティブ要素736は、その下方に位置決めされている8つの電極トレース784およびゼロ個のバランストレース782を有することとなり、それぞれの連続するより遠位のアクティブ要素736は、(そのアクティブ要素736の直ぐ近位にあるアクティブ要素736と比較して、)その下方に位置決めされている1つ少ない電極トレース784および1つ多いバランストレース782を有することとなり、徐々に増えて、最も遠位のアクティブ要素736まで継続し、最も遠位のアクティブ要素736は、その下方に1つの電極トレース784および7つのバランストレース782を有する。代替的な実施形態では、図2Aに示されているようなバランストレース782の必要性を回避するように、電極トレース784を、それぞれのアクティブ要素736の下方でない領域に位置決めすることが可能である。
【0119】
この実施形態では、第2の金属層768は、パッド786を含む超音波トランスデューサトレースであり、パッド786の上に、アクティブ要素736が装着される。パッドは、トレースライン788に電気的に接続される。第1および第2の金属層764、768の中に設けられる様々なトレースは、図3Aの概略ダイアグラムに示されている接続を達成するように構成させることが可能である。
【0120】
図8は、本発明概念の態様による、フレックスPCBカテーテルのスプラインの別の実施形態の一部分を示している。すなわち、様々な実施形態では、スプライン120は、図8に示されている形態をとることが可能である。
【0121】
図8の実施形態では、フレックスPCB基板200の実施形態が、その上に装着された複数の超音波トランスデューサ800とともに示されている。この実施形態では、超音波トランスデューサ800は、フレックスPCB基板200の中に整合材料802を含み、整合材料802の上にアクティブ要素(たとえば、PZTパッド)804を含み、アクティブ要素804の上にバッキング材料806を含む。
【0122】
図8では、フレックスPCB基板200は、スプラインサポート850によって実質的にカバーすることが可能であり、スプラインサポート850は、1つ以上の場所において、フレックスPCB基板200に取り付けることが可能である。その場所は、個別の非連続的な場所であることが可能であり、たとえば、固定されていない部分を含み、その間の相対運動を可能にし、スプライン120が固くなることを回避する。
【0123】
超音波トランスデューサ800は、接着剤、圧着、および/または、超音波トランスデューサ800を取り囲む(捕える)ハウジングを用いて、スプラインサポート850および/またはフレックスPCB基板200に取り付けることが可能である。この実施形態では、超音波トランスデューサ800は、ハウジング810を使用してスプライン120に連結されている。ハウジング810は、内側ハウジングコンポーネント812を含むことが可能であり、その2つが、超音波トランスデューサ800を実質的に取り囲み、固定することが可能である。ハウジング810は、任意のまたは様々な固定メカニズムを介して、スプライン120に連結または固定することが可能である。図8では、ハウジング810は、1つ以上のクリップ814を使用して、スプライン120に固定されている。
【0124】
2つのピースの保護カップ、すなわち、ハウジング810および内側ハウジングコンポーネント812の利益は、超音波トランスデューサ800をアレイに固定すること、および、フレックスPCB基板とアクティブ要素804(たとえば、PZT)との結合を側方荷重から保護することである。
【0125】
図9Aは、本発明概念の態様による、フレックスPCBカテーテルの実施形態の斜視図である。図9Aの実施形態では、拡張可能なアッセンブリ110は、図8の実施形態に示されているように構成されている複数のスプライン120を含む。この実施形態では、超音波トランスデューサ800は、ハウジング810を使用してスプライン120に連結されている。しかし、他の実施形態では、超音波トランスデューサ800は、異なる様式で、スプライン120に連結することが可能であり、および/または、異なる電子要素が含まれ得る。
【0126】
この実施形態では、超音波トランスデューサ800およびセンシング電極152のアレイは、複数のスプライン120にわたって、実質的に均等に分配されており、複数のスプライン120は、拡張した状態で示されている。スプライン120の近位端部(シャフト114に最も近い)は、たとえば、シャフト114の上もしくは中の場所、または、シャフト114と内側の並進可能な(すなわち、前進可能および後退可能な)シャフト910との間などにおいて、シャフト114の遠位端部に取り付けられている。スプライン120の遠位端部は、内側シャフト910の遠位端部に接続されており、内側シャフト910は、後退および前進させられ、拡張可能なアッセンブリ110をそれぞれ拡張し、つぶす。内側シャフト910は、図1のハンドル112のコントロール113などのような、近位ハンドルの上のコントロールを介して、前進および後退させることが可能である。内側シャフト910は、ガイドワイヤーを受け入れるように構築および配置されているルーメンなどのような、ルーメン912を含むことが可能である。
【0127】
図9Bは、本発明概念の態様による、図9AのフレックスPCBカテーテルの実施形態のシャフト部分の断面図である。
【0128】
この実施形態では、3つの異なるチューブが存在している。外側チューブまたは第1のチューブは、シャフト114であり、シャフト114は、他の2つのチューブおよびマイクロ同軸ケーブル310を取り囲んでいる。シャフト114は、ある直径を含み、その他には、図1のイントロデューサー10などのような経中隔シースまたは他の導入デバイスを通して挿入され、フレックスPCBカテーテル100を身体の内部に送達させるように構築および配置させることが可能である。第2のチューブ、シャフト920は、複数の半径方向外向きに向かう突出部を備えるチューブを含み、複数の半径方向外向きに向かう突出部は、シャフト114とシャフト920との間に複数のルーメン921を効果的に生成させる(たとえば、図9Bに示されている6つのルーメン)。いくつかの実施形態では、ルーメン921は、2つから12個の間のルーメンを含む。いくつかの実施形態では、シャフト114およびシャフト920は、ルーメン921を生成させるダイから作製されるプラスチック材料の単一の押し出し材などのような、単一の構造体を含む。
【0129】
ルーメン921は、ワイヤー115(たとえば、マイクロ同軸ケーブル310)をハウスし、分別/グループ化する。シャフト114、内側シャフト910、および/またはルーメン921は、フレックスPCBカテーテル100に半径方向の支持を提供している。シャフト920は、第3のチューブ、内側の並進可能なシャフト910のために、中央ルーメン、チャネル922を含む。内側シャフト910は、ルーメン912を含み、ルーメン912は、たとえば、心腔の中へまたは心腔から外へなど、身体の中へまたは身体から外へ、フレックスPCBカテーテル100のオーバーザワイヤー式の挿入のために、ガイドワイヤーを受け入れるように構成させることが可能である。代替的にまたは追加的に、ルーメン912は、第2の電極を通すために、または、造影剤などのような流体を注入するなどのために、使用することが可能である。ルーメン912は、少なくともシャフト114の近位端部から(たとえば、図1に示されているハンドル112から)シャフト114の遠位端部へ延在している。シャフト910は、図1のハンドル112のコントロール113などのような、ハンドルの上のコントロールに操作可能に接続させることが可能である。
【0130】
様々な実施形態では、フレックスPCBカテーテル100の利点は、心臓の電気的活動の360x360アイソクロナル(isochronal)マップ、心室幾何学形状の迅速な獲得、ロープロファイルの挿入/後退(たとえば、本明細書で上記に説明されているような互い違いに配置されている接続点に起因する)、フレキシビリティーの強化(たとえば、フレキシブルPCB構造に起因する)、コストの低減(たとえば、フレキシブルPCB構造に起因する)、および、可変のプロファイルを含む。「オーバーザワイヤー式」の設計は、心腔の中などのような、身体の場所への、安全で効率的なカテーテル設置を促進させる。フレックスPCBアプローチは、フレックスPCBカテーテルの要素の間で、コスト低減された効率的でコンパクトな電気通信を可能にする。
【0131】
様々な実施形態では、第1のチューブ(シャフト114)は、たとえば、15Fr,11Fr、または9Frの経中隔シースを通して導入されるために、11Fr未満または9Fr未満などのような、約15Fr未満の外径を有している。内側シャフト910は、0.032”から0.038”の直径のインターベンショナルガイドワイヤーの上を前進させられるように構成させることが可能である。
【0132】
様々な実施形態では、1つから12個のスプラインを使用することが可能であり、6つのスプラインが現在では好適である。6つのスプラインが使用されるとき、スプラインのそれぞれの対の間の角度は、同様であることが可能であり、すなわち、360°のカバーを実現するために、6つのスプラインでおおよそ60°である。異なる数のスプラインを用いて、スプライン同士の間の異なる角度を使用することが可能である。いくつかの実施形態では、スプライン同士の間で、異なる角度的な分離を用いることが可能である。
【0133】
様々な実施形態では、その拡張した状態の拡張可能なアッセンブリ110の直径は、約1から4cmであるが、約2.5cmが、現在では好適である。
【0134】
様々な材料は、本明細書で議論されている様々なデバイスの構造に関して使用することが可能である。たとえば、スプラインは、例として、ニッケルチタン合金、ステンレス鋼、コバルトクロム、および、ポリイミドまたはPEEKなどのようないくつかの硬質プラスチックを含むか、または、それらから作製することが可能であり、ニッケルチタン合金が、現在では好適である。
【0135】
拡張可能なアッセンブリ110は、コンポーネントのアレイを含むことが可能である。たとえば、フレックスPCB基板には、超音波のためのセラミックPZT材料、および、電極のための金パッドが設けられており、電極は、たとえば、PEDOTまたはIrOxなどのような、インピーダンスを低下させるコーティングでコーティングされている。
【0136】
たとえば、外側シャフト114、内側シャフト910、および/またはマルチルーメンシャフト920など、シャフトの1つ以上は、金属またはプラスチック編組(たとえば、ステンレス鋼編組)から構成させることが可能であり、内側の滑らかなライナー(たとえば、PTFE、FEP、ナイロン)を有する熱可塑性の材料(たとえば、Pebax、ナイロン、ポリウレタン)によって好適にカプセル化された平坦なワイヤーを備える。
【0137】
ここで図10を参照すると、心房細動および/または心室頻拍などのような、心臓不整脈または他の心臓の状態を診断および/または治療するためのシステム2の遠位部分の斜視図が図示されている。システム2は、イントロデューサー10、フレックスPCBカテーテル100、およびアブレーションカテーテル1000を含む。イントロデューサー10は、図1のイントロデューサー10と同様に構成させることが可能であり、フレックスPCBカテーテル100を摺動式に受け入れるようにサイズ決めされているシャフト14を含む。フレックスPCBカテーテル100は、シャフト920を含み、カテーテル1000は、シャフト1010を含む。シャフト920は、内側ルーメン912を含み、内側ルーメン912は、カテーテル1000のシャフト1010を摺動式に受け入れるように構成されている。シャフト920は、図1のシャフト114と同様の構造であることが可能であり、ルーメン912の付加を伴う。
【0138】
診断フレックスPCBカテーテル100およびカテーテル1000は、心室などのような身体の場所の中へ挿入するために構築および配置されている。シャフト920および1010は、典型的に、十分にフレキシブルな材料から構築され、患者の血管系によって課される蛇行を通した挿入を可能にする。シャフト920の遠位端部に取り付けられているのは、拡張可能なアッセンブリ110であり、拡張可能なアッセンブリ110は、図1の拡張可能なアッセンブリ110と同様の構造のものであることが可能である。図10に示されているように、拡張可能なアッセンブリ110は、拡張可能なアッセンブリ110が半径方向に拡張されるように、イントロデューサー10のシャフト14の遠位端部から前進させられている。拡張可能なアッセンブリ110は、この実施形態では、バスケットアレイまたはバスケットカテーテルを形成するスプライン120の上に、複数の電極152および複数の超音波トランスデューサ154を含む。図10の実施形態では、2つの電極152が、超音波トランスデューサ154のいくつかの対の間に位置決めされている。電極152、超音波トランスデューサ154、および/または他の電子要素(たとえば、他のセンサもしくはトランスデューサ)の任意の数、比率、および設置が、含まれ得る。拡張可能なアッセンブリ110は、その遠位端部の上にリング形状の開口部を含み、開口部1030は、カテーテル1000の遠位端部がそれを通って出ていくことを可能とするように、サイズ決めおよび位置決めされている。
【0139】
アブレーションカテーテル1000のシャフト1010は、少なくとも1つのアブレーション要素1020を含み、少なくとも1つのアブレーション要素1020は、先端部に位置決めされており、または、そうでなければ、シャフト1010の遠位部分の上に位置決めされている。たとえば、アブレーションカテーテル1000が、公知の原理による無線周波数エネルギーおよび/または他のエネルギータイプなどのような、エネルギー源に取り付けられているときなどに、アブレーション要素1020は、エネルギーを組織に送達するように構築および配置されている。
【0140】
様々な実施形態では、フレックスPCBカテーテル100は、診断カテーテルとして、臓器、または、臓器の一部分(たとえば、心臓壁の一部分)などのような、組織をマッピングするために使用することが可能である。フレックスPCBカテーテル100は、超音波トランスデューサ154などのような1つ以上の超音波トランスデューサを含むことが可能であり、これらのトランスデューサは、2次元または3次元の組織のマップを生成させるために使用される距離情報などのような、2次元または3次元の距離情報を提供するために使用され、組織壁などのような組織の相対的な位置を決定し、および/または、システム2のデバイスまたは別のデバイスの1つ以上の部分の相対的な場所などのようなデバイス場所を決定する。フレックスPCBカテーテル100は、1つ以上の電極152などのような、1つ以上の電極を含むことが可能であり、たとえば、電極は、心臓の電気的活動などのような生理学的な電気活動を記録するために、または、電極と別の電極との間の距離を測定するために使用される信号などのような、送信された電気信号を測定するために、使用される。フレックスPCBカテーテル100によって収集された3次元の解剖学的なマッピング情報は、図3Bの電子モジュール360によって使用され、解剖学的な場所の3次元の表示を生成させることが可能であり、その解剖学的な場所の少なくとも一部分は、アブレーションカテーテル1000によって治療されることとなる。たとえば、フレックスPCBカテーテル100は、コンピューターシステムに連結させることが可能であり、コンピューターシステムは、臓器、神経、および、体内の他の組織の体積、場所、形状、輪郭、および移動などのような、フレックスPCBカテーテル100によって発生させられた解剖学的なマッピング情報を表示するように構成されている。フレックスPCBカテーテル100は、コンピューターシステムに連結され、電気的なマッピング情報を表示し、例として、双極子マッピングまたは他の情報を表示することなどが可能である。
【0141】
追加的に、アブレーションカテーテル1000または他の挿入されるデバイスの場所、たとえば組織またはフレックスPCBカテーテル100に対するそれらの位置などを表示することが可能である。たとえば、アブレーションカテーテル1000が、治療のためにターゲットとされる(たとえば、フレックスPCBカテーテル100によって提供される情報に基づいて、治療のためにターゲットとされる)心臓の中の組織場所に向けられ得る間に、フレックスPCBカテーテル100は、心臓をマッピングするために使用することが可能である。たとえば、アブレーションカテーテル1000は、心臓組織を切除し、心房細動、心房粗動、上室性頻拍(SVT)、ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群、および心室頻拍(VT)などのような、心不整脈に苦しむ患者を治療するように構成させることが可能である。アブレーションカテーテルは、本発明の態様を伝える目的のために、治療デバイスの形態として本明細書で説明されているが、他の実施形態では、異なるタイプの治療デバイス(たとえば、ペーシングデバイス、除細動デバイス、ステント送達デバイス、薬物送達デバイス、または、幹細胞送達デバイスなど)を、フレックスPCBカテーテル100と組み合わせて使用することが可能である。いくつかの実施形態では、これらの治療デバイスの1つ以上が、フレックスPCBカテーテル100のルーメン912を通して挿入され得る。
【0142】
いくつかの実施形態では、単一の経中隔穿刺を利用しながら、フレックスPCBカテーテル100は、患者の左心房にアクセスするように構成させることが可能であり、その経中隔穿刺を通して、すべてのカテーテルコンポーネントが、左心房(および、場合によっては、引き続いて左心室)にアクセスすることが可能である。他の実施形態では、フレックスPCBカテーテル100は、大動脈弁の単一の交差(crossing)を利用しながら、患者の左心室にアクセスするように構成させることが可能であり、大動脈弁を通して、すべてのカテーテルコンポーネントが、左心室(および、場合によっては、引き続いて左心房)にアクセスする。
【0143】
いくつかの方法では、シャフト14は、心房中隔を通して左心房の中へ挿入され、その後に、シャフト14のルーメンを通したフレックスPCBカテーテル100の挿入が続く。それに続いて、アブレーションカテーテル1000は、シャフト920のルーメン912を通して挿入される。他の方法では、シャフト14は、左心房の中へ挿入され、その後に、フレックスPCBカテーテル100およびアブレーションカテーテル1000の同時挿入が続く(たとえば、フレックスPCBカテーテル100が、少なくとも部分的にルーメン912の中に存在しているアブレーションカテーテル1000とともに挿入される)。いくつかの実施形態では、シャフト14は、操縦可能なシースを含むか、または、操縦可能なシースであることが可能である。いくつかの実施形態では、フレックスPCBカテーテル100および/またはアブレーションカテーテル1000は、操縦可能であり、手動的な、半自動的な、または自動的な操縦が、オペレーターおよび/またはロボットコントロールアッセンブリによって実施され得るようになっている。
【0144】
フレックスPCBカテーテル100は、左心房の中に位置決めすることが可能であり、また、表面電荷情報などのような電気的な情報、心臓壁表面情報または心臓壁厚さ情報などのような解剖学的な幾何学形状情報、当技術分野で知られているものなどのような他の生理学的および解剖学的な情報、ならびに、これらの組み合わせからなる群から選択される情報を提供することが可能である。フレックスPCBカテーテル100のシャフト920は、たとえば、脚の中の静脈または首の中の静脈などの静脈系を介して、心臓の中へ挿入されるように構成させることが可能である。シャフト920は、その外側表面および内側表面の中に編組を含むことが可能であり、それは、図示されていないが、典型的に、シャフト920の構造的な完全性および性能を強化するプラスチック繊維または金属繊維の編組である。いくつかの実施形態では、シャフト920の編組は、図1のワイヤー115などのような導体を含むことが可能である。
【0145】
様々な実施形態では、挿入されるカテーテル、または、ルーメン912を通して挿入される他の細長いデバイスは、別のカテーテルを含むことが可能であり、それは、たとえば、左心房、右心房、ヒス束、右心室心尖部、肺静脈、および冠状静脈洞からなる群から選択される場所からの信号を記録するように構成されている診断カテーテルなどである。代替的にまたは追加的に、挿入されるカテーテルは、別のタイプのカテーテルデバイスを含むことが可能である。
【0146】
様々な実施形態では、拡張可能なアッセンブリ110は、例として、図9Aおよび図10に示されている拡張した形状で付勢されるように構築および配置されている。拡張可能なアッセンブリ110の拡張された幾何学形状は、拡張した状態または部分的に拡張した状態で、少なくとも2つ以上のスプライン120を含み、それは、隣接するスプライン120同士の間に実質的に中空の中心部およびスペースを有する「バスケット」として説明することが可能である。図示されている実施形態では、バスケットは球形であるが、たとえば楕円体などの任意の適切な形状を含むことが可能である。したがって、他の実施形態では、拡張可能なアッセンブリ110は、2つ以上のスプライン120が同様のまたは異なる形状、寸法、または構成を含むスプライン120のアレイなどのような、異なる形状または形状の組み合わせを含むことが可能である。いくつかの実施形態では、2つ以上のスプライン120は、様々な曲率半径を含むことが可能である。
【0147】
上記に議論されているように、拡張可能なアッセンブリ110は、拡張した状態またはつぶされた状態(拡張していない状態または収縮した状態)で付勢され得る。例では、拡張可能なアッセンブリ110は、自己拡張型であることが可能であり、スプライン120が、図9Aおよび図10に示されている湾曲した幾何学形状に弾性的に付勢されるようになっている。拡張可能なアッセンブリ110は、それぞれ、図9Aのシャフト920などのようなシャフトの後退および/または前進などによって、それがシャフト14の遠位端部から出ていくときに、自動的に拡張することが可能である。
【0148】
それぞれのスプライン120は、隣接するスプライン120または拡張可能なアッセンブリ110の中の任意の他のスプライン120と同様のまたは異なる電極152および/または超音波トランスデューサ154の配置を含むことが可能である。いくつかの実施形態では、拡張可能なアッセンブリ110は、8つのスプライン120を含み、それぞれのスプライン120は、2つから8つの電極152および2つから8つの超音波トランスデューサ154を含むことが可能である。いくつかの実施形態では、拡張可能なアッセンブリ110は、6つのスプライン120を含み、それぞれのスプライン120は、8つの電極152および8つの超音波トランスデューサ154を含むことが可能である。いくつかの実施形態では、1つ以上のスプライン120が、そのスプライン120の上に含まれている超音波トランスデューサ154の数よりも多いかまたは少ない複数の電極152を含む。たとえば、スプライン120は、7つの電極152と、6つまたは8つのいずれかの超音波トランスデューサ154とを含むことが可能である。いくつかの実施形態では、電極152および超音波トランスデューサ154のセットを交互配置で配置させることが可能であり、1つ以上の単一の超音波トランスデューサ154が、2つの電極152の間に置かれるようになっている。いくつかの実施形態では、電極152および超音波トランスデューサ154のいくつかのセットを配置させることが可能であり、1つ以上の単一の電極152が2つの超音波トランスデューサ154の間に位置決めされるようになっている。
【0149】
様々な実施形態では、電極152は、電圧信号および/または電流信号などのような、電気信号を記録するように構成させることが可能である。記録された信号は、電気記録図情報、双極子マッピング情報、任意のデバイスおよび/またはシステム2のコンポーネントの間の距離などのような距離情報、ならびに、他の情報、または、本明細書で詳細に説明されている情報の組み合わせを作り出すために使用することが可能である。任意のまたはすべての電極152は、表面電荷または他の双極子マッピングパラメーターに関連する情報を提供するように構成されているインピーダンスまたは他の電気的特性を有する電極などのような、双極子マッピング電極を含むことが可能である。
【0150】
いくつかの実施形態では、電極152は、たとえば、0.1Hz以上の信号周波数のハイファイの記録を実現するなどのために、たとえば、10,000オーム未満の範囲にある十分に低いインピーダンスのものである。いくつかの実施形態では、1つ以上の電極152は、たとえば、電極152のインピーダンスを低減させるなどのために、酸化イリジウムコーティングを含む。代替的にまたは追加的に、白金黒コーティングまたは炭素ナノチューブ層などのような、多数の形態のコーティングまたは他の治療が、1つ以上の電極152に含まれ得る。電気信号を記録することに加えて、または、その代替として、電極152は、無線周波数エネルギーなどのような電気エネルギーを送達するように構築および配置させることが可能である。いくつかの実施形態では、フレックスPCBカテーテル100は、たとえば、電気的な情報、解剖学的な情報、および/またはデバイスマッピング情報を提供する診断カテーテルとしてのその機能に加えて、組織に送達されるアブレーション治療法などのような、治療法を送達することが可能である。いくつかの実施形態では、たとえば、1つ以上のコイルが1つ以上の磁界を生成させるように構成されているときなどに、1つ以上の電極152は、1つ以上のコイルをそれぞれ含む。
【0151】
様々な実施形態では、電極152は、非分極性金属および/または分極性金属などのような、様々な材料を含むことが可能である。いくつかの実施形態では、1つ以上の電極152は、少なくとも1つの非貴金属を含み、電極152は、血液、血漿、または生理食塩水のうちの少なくとも1つに接触しているときに酸化するようになっている。いくつかの実施形態では、電極152は、コーティングを含み、それは、たとえば、金属酸化物コーティング、導電性ポリマーコーティング、および、これらの組み合わせからなる群から選択されるコーティングである。いくつかの実施形態では、たとえば、外側層が、インピーダンスを低下させるコーティングまたは他の層を含み、内側層が、1つ以上の電極152の金属のおよび/または他の残りの部分に外側層を結合させるように構成されている層を含むときなどに、1つ以上の電極152が、外側層および内側層を含むことが可能である。
【0152】
いくつかの実施形態では、超音波トランスデューサ154は、フレックスPCBカテーテル100の任意のデバイスおよび/またはコンポーネントと、心臓壁または他の固体組織などのような組織との間の距離などのような、距離情報を記録するように構成させることが可能である。超音波トランスデューサ154は、例として、単一元素または多元素の圧電セラミック、圧電マイクロマシン型超音波トランスデューサ(pMUT)、容量性マイクロマシン型超音波トランスデューサ(cMUT)、圧電ポリマー、および、これらの組み合わせを含む構造を含むことが可能である。
【0153】
アブレーションカテーテル1000のアブレーション要素1020は、1つ以上の電極、極低温エネルギーを送達するように構成されている導管、レーザーダイオード、切除エネルギーを送達するように構成されている光ファイバー、マイクロ波エネルギー送達要素、超音波エネルギー送達要素、薬物、幹細胞、もしくは他の薬剤送達要素、機械的なまたは他のアブレーションデバイス送達要素、および、これらの組み合わせからなる群から選択される機能性要素を含むことが可能である。アブレーション要素1020が1つ以上の電極を含むケースでは、電極は、無線周波数(RF)エネルギーを送達するように構築および配置されている電極を含むことが可能である。複数の電極のケースでは、電極は、バイポーラRFエネルギー送達のために構成させることが可能である。アブレーションカテーテル1000は、図3Bの電子モジュール360などのような外部デバイスに操作可能に接続させることが可能であり、外部デバイスは、アブレーション要素1020にエネルギーを送達するように構成されている。アブレーション要素1020によって送達される典型的なエネルギーは、無線周波数エネルギーなどのような電磁エネルギー、極低温エネルギー、レーザーエネルギー、光エネルギー、マイクロ波エネルギー、超音波エネルギー、化学エネルギー、および、これらの組み合わせからなる群から選択されるエネルギーを含む。
【0154】
イントロデューサー10およびシャフト14と同様に、フレックスPCBカテーテル100および/またはアブレーションカテーテル1000は、当技術分野で知られているように、たとえばプルワイヤーおよびアンカーなどを介して、操縦可能であることができる。アブレーションカテーテル1000は、臨床医などのようなオペレーターによって、操縦および前進させることが可能であり、2つのスプライン120の間のスペースを含む、拡張可能なアッセンブリ110の任意の開口部から出ていくように、または、開口部1030を通って出ていくようになっており、たとえば、心臓組織に接触して切除するためにさらに前進させられる。
【0155】
先述のものは、最良の形態および/または他の好適な実施形態であると考えられるものを説明してきたが、その中で様々な変形を行うことが可能であるということ、および、1つまたは複数の本発明は、様々な形態および実施形態で実施することが可能であるということ、および、それらは、多数の用途に適用することが可能であり、そのうちのいくつかが本明細書で説明されているということが理解される。以下の特許請求の範囲によって、文言通り説明されているもの、および、そのすべての均等物を主張しており、それぞれの請求項の範囲内に入るすべての変形および修正を含むということが意図されている。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図10