(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記紫外線強度値に対応する前記複数の紫外線モニタ用センサの出力信号及び前記流量値に対応する流量信号が入力され、前記複数の紫外線モニタ用センサの出力信号のいずれかに基づいて、前記監視対象の紫外線ランプの紫外線照射量の制御を行う紫外線照射量監視制御装置を備えた、
請求項1記載の液体処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、実施形態について図面を参照して説明する。
[1]第1実施形態
図1は、第1実施形態の水処理システムの構成を示す系統図である。
実施形態の水処理システム10は、地下水を水源とする浄水処理場の紫外線消毒システムとして構築されている。
【0014】
水処理システム10は、地下水をくみ上げるための複数の井戸11と、各井戸11の取水配管12にそれぞれ設けられた流量計(第1段流量計)13と、各取水配管12の流量計13の下流側に設けられた第1段の紫外線照射ユニット14と、取水配管12を集合させる集合配管(第1段集合配管)15と、集合配管15に接続されて所定の水処理系統数に分散させる分散配管16と、を備えている。
【0015】
さらに水処理システム10は、分散配管16に接続された複数の送水配管17と、送水配管17にそれぞれ設けられた流量計(第2段流量計)18と、各送水配管17の流量計18の下流側に設けられた第2段の紫外線照射ユニット19と、送水配管17を集合させる集合配管(第2段集合配管)20と、集合配管20に接続された送水配管21と、送水配管21に設けられた流量計(第3段流量計)22と、送水配管21の流量計22の下流側に設けられた第3段の紫外線照射ユニット23と、送水配管21の下流に設置された浄水池24と、浄水池に消毒剤を注入する消毒剤注入装置25と、処理水送水配管26と、各紫外線照射ユニット14,19,23を制御するコントローラ27と、を備えている。
【0016】
コントローラ27は、CPU(Central Processing Unit)などの制御装置と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶装置と、不揮発性の外部記憶装置(磁気ディスク装置等)と、状態表示を行うための表示装置(インジケータ、液晶パネル等)と、操作パネルなどの入力装置を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0017】
図2は、紫外線照射ユニットの構成図である。
コントローラ27には、流量計13、18、22、および紫外線照射ユニット14,19,23に設けられている紫外線モニタ用センサUVS1、UVS2の出力信号が入力され、紫外線照射ユニット14、19、23を制御している。なお、
図2では紫外線照射ユニット23を代表例として描いてある。
【0018】
図3は、
図2の紫外線照射ユニットのA−A断面図である。
紫外線照射ユニット23は、処理水の殺菌、消毒、不活化等を行うものであり、通水胴31と、ランプハウジング32と、フランジ継手33と、を備えている。
【0019】
通水胴31は、対向する一対の開口部(給水口と排水口)を有する円筒形状に形成された部材であり、処理を施す処理水が図中DA方向に向かって通過するものである。
本実施形態では、処理水が流入する側の開口部を給水口31aとし、処理水が流出する側の開口部を排水口31bと称する。
【0020】
また、ランプハウジング32内には、紫外線照射管34(34a〜34d)がDA方向とは交差する方向(
図3の場合、紙面に直交する方向)に配置されている。このため、ランプハウジング32の一対の円盤状のランプハウジング蓋35には、それぞれ対向する位置に4つずつ、合計8つの貫通孔が形成されている。この8つの貫通孔には、図示していない水密Oリングと、この水密Oリングを押さえるOリング押さえ36により、紫外線照射管34がそれぞれランプハウジング32、通水胴31に対し水密状態で固定されている。
【0021】
ここで、通水胴31とランプハウジング32とは、
図3に示すように、2つの円筒がそれぞれの中心軸の中央部分で交差するように結合している。
【0022】
紫外線照射管34は、それぞれ紫外線ランプ37(37a〜37d)と保護管38とを備えている。なお、本実施形態では、紫外線照射管34を4本備えた構成としているが、必要な紫外線量に応じて、1本〜3本、もしくは5本以上備えた構成としてもよい。
【0023】
紫外線ランプ37は、通水胴31を通過する処理水に紫外線を照射するランプである。
【0024】
本実施形態の紫外線ランプ37は、紫外線を発光する発光部の長さ(発光長)が、通水胴31の内径に対して、例えば、−10%〜+10%以内の長さのものが備えられている。また、紫外線ランプ37は、波長が200nm〜300nmの範囲の紫外線を発光するものである。
【0025】
保護管38は、例えば、石英ガラスによって形成され、紫外線ランプ37を収納して保護している。そして、複数の保護管38、複数の紫外線ランプ37は、その中心軸が略平行に設定されることで互いに等間隔になるように配置されている。
【0026】
フランジ継手33は、紫外線照射ユニット23を水処理施設等の配管や他の紫外線照射ユニットと接続するための継手として機能する一対の突縁部である。また、フランジ継手33は、開口部が形成された円環形状に形成されている。一対のフランジ継手33は、一方が通水胴31の給水口31a側を形成し、他方が通水胴31の排水口31b側を形成している。また、フランジ継手33は、内径が通水胴31の内径と同じで、外径が通水胴31の外径より大きい。
【0027】
また、円筒に形成されたランプハウジング32内の中心軸に沿って、洗浄板駆動軸40が設置されている。洗浄板駆動軸40は駆動モータ41により回転駆動可能である。洗浄板駆動軸40には移動コマ42が取り付けられている。移動コマ42は、洗浄板駆動軸40に螺合しており、洗浄板駆動軸40が回転することにより洗浄板駆動軸40上が
図3中、上下方向に移動する。
【0028】
移動コマ42には洗浄板43が取り付けられており、この洗浄板43は、複数の保護管38のそれぞれを挿通するように配置された洗浄ワイパー44を備えている。洗浄板43は移動コマ42の移動に伴いランプハウジング32の軸方向に移動する。この洗浄板43の移動により、洗浄ワイパー44が保護管38の外周面に接触し、保護管38の外周面に付着した汚れが軸方向にわたって洗浄される。
【0029】
ここで、紫外線モニタ用センサUVS1、UVS2について紫外線照射ユニット23を例として詳細に説明する。
【0030】
紫外線照射ユニット23の第1紫外線モニタ用センサーUVS1は、ランプハウジング32の壁に設けられた測定孔39内に収納されている。そして
図2の例の場合、監視対象である紫外線ランプ37aと対向した測定孔39の窓面(測定窓)39Aと紫外線ランプ37aを収納した保護管38の表面との距離が第1の所定距離(本実施形態では140mm)となるように設定されている。
【0031】
一方、紫外線照射ユニット23の第2紫外線モニタ用センサUVS2は、ランプハウジング32の壁に設けられた測定孔39内に収納され、監視対象である紫外線ランプ37aと対向した測定孔39の窓面39Aと紫外線ランプ37aを収納した保護管38の表面との距離が第2の所定距離(本実施形態では117mm)となるように設定されている。
【0032】
なお、以上の説明においては、測定孔39の窓面39Aと紫外線ランプ37aを収納した保護管38の表面との距離について規定しているが、紫外線ランプ37aと第1紫外線モニタ用センサーUVS1あるいは第2紫外線モニタ用センサUVS2との距離を規定してもよい。
【0033】
ここで、第1の所定距離及び第2の所定距離の設定について更に説明する。
第1紫外線モニタ用センサUVS1が収納された測定孔39と紫外線ランプ37aが収納された保護管38との間の第1の所定距離(=140mm)は、所定の処理流量範囲内の任意の処理流量において、処理水の紫外線透過率が90%〜100%の範囲(第1の紫外線透過率範囲)で紫外線ランプ37aの出力が変化した場合でも第1紫外線用センサ13による紫外線強度測定値及び処理流量のみをパラメータとする第1の関数により、紫外線照射ユニット23における紫外線照射量が計算可能となる最適な位置として設定されている。
【0034】
また、第2紫外線モニタ用センサUVS2が収納された測定孔39と紫外線ランプ37aが収納された保護管38との間の第2の所定距離(=117mm)は、所定の処理流量範囲内の任意の処理流量において、処理水の紫外線透過率が75%〜85%の範囲(第2紫外線透過率範囲)で紫外線ランプ37aの出力が変化した場合でも第2紫外線モニタ用センサUVS2による紫外線強度測定値及び処理流量のみをパラメータとする第2の関数により、紫外線照射ユニット23における紫外線照射量が計算可能となる最適な位置として設定されている。
【0035】
ここで、第1の関数及び第2の関数は、例えば、以下の試験および紫外線照射量解析に基づいて決定される。
【0036】
以下に示す試験は、紫外線ランプ37(本実施形態の場合、紫外線ランプ37a)と紫外線モニタ用センサ(本実施形態の場合、第1紫外線モニタ用センサUVS1あるいは第2紫外線モニタ用センサUVS2)との位置関係を変化させた場合の紫外線モニタ用センサで検知される紫外線強度の変化を調べるものである。
【0037】
すなわち、本試験は、紫外線ランプ37を収納する保護管38の外周面と紫外線モニタ用センサを収納する測定孔39の窓面39Aとの間の距離が異なる複数の場合について、処理水中1cmの間隔を波長253.7nmの紫外線が通過する割合である紫外線透過率と紫外線ランプ出力が変化したときの紫外線モニタ用センサで検知される紫外線強度の変化とを調べる試験である。
【0038】
図4は、通水試験装置の説明図である。
通水試験装置50は、原水OLを蓄える原水槽51と、蓄えられた原水OLを搬送するポンプ52と、原水OLを均一にするためのラインミキサ53と、紫外線モニタ用センサ(本実施形態の場合、第1紫外線モニタ用センサUVS1あるいは第2紫外線モニタ用センサUVS2)が設置された試験用リアクタ54と、流量を測定するための流量計55と、を備え、流量計55の流出側を循環用配管56により原水槽51につなぐことにより、原水OLを循環させる構成となっている。
そして、試験用リアクタ54内の紫外線モニタ用センサを用いて、循環紫外線強度を紫外線モニタ用センサにより測定した。
【0039】
図5は、試験状態の説明図である。
試験用リアクタ54においては、
図5に示すように紫外線ランプ37を収納する保護管38の外周面と紫外線モニタ用センサを収納する測定孔39の窓面39Aとの間の距離L(=L1,L2あるいはL3)が異なる状態A,B,Cの3点で測定した。
【0040】
図6は、紫外線ランプを覆う保護管の外周面と紫外線モニタ用センサを収納する測定窓の窓面との間の距離が近い場合(L=L1)の測定結果の一例の説明図である。
図7は、紫外線ランプを覆う保護管の外周面と紫外線モニタ用センサを収納する測定窓の窓面との間の距離が中間である場合(L=L2)の測定結果の一例の説明図である。
図8は、紫外線ランプを覆う保護管の外周面と紫外線モニタ用センサを収納する測定窓の窓面との間の距離が遠い場合(L=L3)の測定結果の一例の説明図である。
【0041】
ここで、
図4乃至
図9を参照して紫外線照射装置の紫外線照射量を解析する方法について説明する。
図9は、紫外線照射量解析用の紫外線照射装置の説明図である。
図9において、
図2と同様の部分には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0042】
紫外線照射量解析用の紫外線照射装置60は、ランプハウジング32内の通水胴31の中心軸を通る位置に、一対の紫外線ランプ37(37a〜37b)と保護管38とを備えている。
【0043】
紫外線照射装置60における紫外線照射量の解析は、処理水が紫外線照射装置60を通過する間に受ける紫外線照射量を、大腸菌ファージMS2を指標菌とし、菌のそれぞれが紫外線照射装置60の流入口31aから排出口31bまで通過する間の軌跡を流動解析で求める。そして、紫外線ランプ37から照射される紫外線のうち波長200nm〜300nmにおける5nm毎の紫外線強度、保護管38の波長別紫外線透過率、処理水の波長別紫外線透過率特性を考慮し、以下に示す紫外線放射式(1)を用いて紫外線照射装置60の内部における紫外線分布を計算し、その間に指標菌が照射される紫外線強度と通過時間の積として求められる紫外線照射量分布に基づく等価換算紫外線照射量RED(Reduction Equivalent UV Dose)を解析した。
【0045】
ここで、
kλ:ランプから発する紫外線の強さに関するランプ固有の定数
PX:発光点からの距離
r:紫外線強度を計算する位置におけるランプからの半径距離
q:保護管の半径
T:処理水の紫外線透過率(%)
fL:ランプ劣化係数
fQ:保護管透過率
fD:保護管汚れ係数
である。なお、上記の解析方法の妥当性は、非特許文献2により検証済みである。
【0046】
ここで、
図9に示した紫外線照射装置において、紫外線ランプ37a、37bとしては、消費電力3kWの中圧紫外線ランプ2本を保護管38に収納して設置しているが、紫外線照射量の解析では2本設置している紫外線ランプ37a、37bのうち
図9の左側に示した中圧紫外線ランプ37aのみを点灯(紫外線ランプ37bは消灯)させた場合について検討を行った。
【0047】
図10は、紫外線透過率98%における紫外線強度分布の解析方法による解析結果の一例の説明図である。
図11は、紫外線透過率95%における紫外線強度分布の解析方法による解析結果の一例の説明図である。
【0048】
図12は、紫外線透過率90%における紫外線強度分布の解析方法による解析結果の一例の説明図である。
図13は、紫外線透過率85%における紫外線強度分布の解析方法による解析結果の一例の説明図である。
【0049】
図10〜
図13は、各紫外線透過率の場合の流量と等価換算紫外線照射量REDとの関係をより理解できるように、紫外線ランプ37の出力制御値(ランプ出力制御値)を最大出力制御値(=100%)の場合、出力制御値が80%の場合及び出力制御値が50%の場合を例として示した場合のものである。なお、実際には、出力制御値が75%の場合等の中間の出力制御値や、出力制御値が50%未満についても検討を行っている。
【0050】
上述した一連の紫外線強度分布の解析結果に基づいて検討を行った結果、測定孔39に関し、紫外線ランプ37に対し処理水の紫外線透過率が所定の透過率範囲で紫外線強度測定値及び流量値をパラメータとする一つの関数で検知される紫外線強度を紫外線透過100%、ランプ出力制御値100%における紫外線強度で規格化した相対紫外線強度を表すことが可能な測定孔39の位置が存在することが分かった。
図14は、紫外線透過率90%、95%、98%におけるS
*/QとMS2−REDの関係説明図である。
図15は、紫外線透過率75%、80%、85%におけるS
*/QとMS2−REDの関係説明図である。
【0051】
図14及び
図15において、横軸中に示されたS
*は、紫外線ランプ37を
図5中の状態A〜Cに示すように設置した場合の紫外線モニタ用センサで検知される紫外線強度を紫外線透過100%、ランプ出力制御値100%における紫外線強度で規格化した相対紫外線強度であり、Qは被処理水の流量(単位m
3/H)である。
【0052】
図14に示すように、紫外線透過率90%〜98%におけるS
*/QとMS2−REDの相関の強さを示す指標であるR
2は0.9918であった。これに対し、
図15に示すように、紫外線透過率75%〜85%におけるS*/QとMS2−REDの相関の強さを示す指標であるR
2は0.9816と若干低下していた。
【0053】
これらのことから、S
*/QとMS2−REDの相関が最も強くなる測定孔39の窓面39Aと紫外線ランプ37を収納した保護管38の表面との距離が、被処理水の紫外線透過率の範囲によって異なることが分かった。
【0054】
そこで、上述した紫外線強度測定試験により得られたデータに基づき、紫外線モニタ用センサによって検知される紫外線強度Sを以下に示す(2)式で定義して近似式を導出し、測定孔39の窓面39Aと紫外線ランプ37を収納した保護管38の表面との距離Lを変化させた場合のS
*/QとMS2−REDの相関の強さR
2を指標として評価した。
【0056】
ここで、係数a〜eは、以下の表1に示すようになっている。
【表1】
【0057】
図16は、測定窓の窓面と紫外線ランプを収納した保護管の表面との距離Lと、S
*/QとMS2−REDとの相関の強さR
2の評価結果である。
図16に示すように、被処理水の紫外線透過率の範囲が90%〜98%の場合は、測定孔39の窓面39Aと紫外線ランプ37を収納した保護管38の表面との距離Lが140mmのときにR
2が最大値(0.9918)となった。
【0058】
また、被処理水の紫外線透過率の範囲が75%〜85%では、測定孔39の窓面39Aと紫外線ランプ37を収納した保護管38の表面との距離Lが117mmのときにR
2は最大値(0.9943)となった。
【0059】
これらの結果によれば、被処理水の紫外線透過率が90%以上である第1の所定範囲の場合には、紫外線ランプ37を収納した保護管38の外周面から測定窓39の窓面39Aまでの距離Lが140mmとすれば、被処理水の紫外線透過率にかかわらず、紫外線モニタ用センサで測定された相対紫外線強度S
*を流量Q(m
3/H)で除した(S
*/Q)と、等価換算紫外線照射量(MS2−RED)の関係が一つの関数(関数式)で表せることが分かる。
【0060】
また、被処理水の紫外線透過率が75%〜85%である第2の所定範囲の場合には、紫外線ランプ37を収納した保護管38の外周面から測定孔39の窓面39Aまでの距離Lが117mmとすれば、被処理水の紫外線透過率にかかわらず、紫外線モニタ用センサで測定された相対紫外線強度S
*を流量Q(m
3/H)で除した(S
*/Q)と等価換算紫外線照射量(MS2−RED)の関係が一つの関数(関数式)で表せることがわかる。
【0061】
したがって、特定した関数により、対応する紫外線透過率範囲内において、任意の相対紫外線強度(S
*)と流量(Q)から、その時の等価換算紫外線照射量(MS2−RED)の推定が可能になる。
【0062】
より具体的には、被処理水の紫外線透過率が90%以上である第1の所定範囲である場合に、紫外線ランプ37aから照射される紫外線強度を監視するための第1紫外線モニタ用センサUVS1は、監視対象である紫外線ランプ37aと対向した測定窓面15と紫外線ランプ37aの保護管38表面との距離が140mmになるように設置する。
【0063】
また、被処理水の紫外線透過率が75%〜85%である第2の所定範囲の場合に、紫外線ランプ37aから照射される紫外線強度を監視するための第2紫外線モニタ用センサUVS2は、監視対象である紫外線ランプ37aと対向した測定窓面15と紫外線ランプ37aの保護管38表面との距離が117mmになるように設置する。
【0064】
そして、第1紫外線モニタ用センサUVS1の出力と、第2紫外線モニタ用センサUVS2の出力とを連携制御することにより、被処理水の紫外線透過率が75%〜98%の広範囲に渡り、被処理水の紫外線透過率の情報がなくても、紫外線モニタ用センサで検知される相対紫外線強度S
*と流量Qから等価換算紫外線強度(MS2−RED)を求めることができるようになる。
【0065】
次に、上記のように構成された紫外線照射を用いた紫外線処理設備の紫外線照射量監視制御システムにおける紫外線ランプの出力制御方法について説明する。
図17は、紫外線照射装置の監視制御システムを含む紫外線処理設備の概要構成説明図である。以下の説明においても、紫外線照射ユニット23を例として説明するが他の紫外線照射ユニット14,19についても同様である。
【0066】
紫外線処理設備101は、紫外線照射ユニット23と、流量計103と、流量調整弁104と、ランプ電源105と、紫外線照射量監視制御装置106と、紫外線処理設備監視制御装置107と、第1紫外線モニタ用センサUVS1と、第1紫外線モニタ109と、第2紫外線モニタ用センサUVS2と、第2紫外線モニタ111と、を備えている。
ここで、ランプ電源105には、紫外線照射ユニット23に搭載された紫外線ランプのそれぞれに対応するように、紫外線ランプと同数の電子安定器が備えられている。
第1紫外線モニタ用センサUVS1および第2紫外線モニタ用センサUVS2は、紫外線照射ユニット23に取り付けられている。
【0067】
そして、第1紫外線モニタ用センサUVS1は第1紫外線モニタ109に専用線を介して接続され、第2紫外線モニタ用センサUVS2は第2紫外線モニタ111に専用線を介して接続されている。
【0068】
第1紫外線モニタ109は、第1紫外線モニタ用センサUVS1により検知された紫外線強度に応じた電流信号(あるいは電圧信号)に変換して紫外線照射量監視制御装置106へ出力する。
【0069】
同様に、第2紫外線モニタ111は、第2紫外線モニタ用センサUVS2により検知された紫外線強度に応じた電流信号(あるいは電圧信号)に変換して紫外線照射量監視制御装置106へ出力する。
このとき、流量調整弁104は、紫外線処理設備監視制御装置107の制御下で弁の開閉が行われることにより、紫外線照射ユニット23に流入する処理流体の量を調整する。
【0070】
流量計103は、流量調整弁104を通過して紫外線照射ユニット23に流入する処理流体の流量を計測する。そして、流量計103は、計測した流量を紫外線照射量監視制御装置106へ出力する。
【0071】
紫外線照射量監視制御装置106は、流量計103で計測された処理流体の流量と、第1紫外線モニタUVS1あるいは第2紫外線モニタUVS2から取得した紫外線強度のうち、紫外線透過率に対応したいずれかに基づいて、紫外線ランプ37へ電力を供給するランプ電源105を制御する。
ランプ電源105は、紫外線照射ユニット23に搭載された紫外線ランプ37に電力を供給する。
【0072】
本実施形態では、紫外線照射量監視制御装置106は、流量計103によって測定された流量と、第1紫外線モニタ用センサUVS1または第2紫外線モニタ用センサUVS2によって検知された紫外線強度のうち、紫外線透過率に対応したいずれかに基づいて、被測定対象の紫外線ランプ37の出力を調整し、その時の紫外線ランプ37の制御値を他の紫外線ランプ(
図2の例の場合、紫外線ランプ37b〜37d)についても同様に適用して、全ての紫外線ランプ37の出力を調整する。
【0073】
次に、第1紫外線モニタ用センサUVS1および第2紫外線モニタ用センサUVS2により、紫外線強度を測定される紫外線ランプ37を制御する指標を、第1紫外線モニタ用センサUVS1あるいは第2紫外線モニタ用センサUVS2のいずれに求めるかを選択する選択方法について説明する。
【0074】
上述のように第1紫外線モニタ用センサUVS1は、処理水の紫外線透過率が90%〜100%の第1の所定範囲において、任意の処理流量のもとで紫外線ランプ37aの出力が変化した場合でも、第1紫外線モニタ109によって検知された紫外線強度と流量を変数とした関数(関数式、計算式)により、紫外線照射ユニット23における紫外線照射量が計算可能となる最適な位置に設置されている。
【0075】
また、上述のように第2紫外線モニタ用センサUVS2は、処理水の紫外線透過率が75%〜85%の第2所定範囲において、任意の処理流量のもとで紫外線ランプ37aの出力が変化した場合でも、第2紫外線モニタ111によって検知された紫外線強度と流量を変数とした関数(関数式、計算式)により、紫外線照射ユニット23における紫外線照射量が計算可能となる最適な位置に設置されている。
【0076】
したがって、紫外線ランプ37aの出力制御値を決定する代表の紫外線モニタ(
図17の例の場合、第1紫外線モニタ109あるいは第2紫外線モニタ111のいずれか)を選定するためには、処理水の紫外線透過率を知る必要がある。
【0077】
このときの紫外線透過率は前記紫外線強度測定試験により得られたデータに基づき、紫外線モニタ用センサによって検知される紫外線強度Sの近似式である(2)式に対して、第1紫外線モニタ用センサUVS1を収納した測定孔39と、監視対象である紫外線ランプ37を収納した保護管38の表面との距離140mmと、そのときの紫外線ランプ出力制御値と、第1紫外線モニタ用センサUVS1により検知された紫外線強度と、を代入し紫外線透過率UVTcalを逆算することで求めることできる。
【0078】
図18は、紫外線ランプおよび保護管の初期性能から計算した処理水の紫外線透過率UVTcalの変化の説明図である。紫外線透過率UVTcalは(2)式により逆算して求められている。
ところで、紫外線ランプ37および保護管38は、紫外線照射ユニット23の運転時間の経過と共に劣化する。これに伴い第1紫外線モニタ用センサUVS1あるいは第2紫外線モニタ用センサUVS2で検知される紫外線強度も低下する。
【0079】
通常、紫外線ランプ37および保護管38は、消毒性能を維持できる紫外線維持率の低下の許容値Fを下回ったときに寿命と定義して交換を行っている。
【0080】
図19は、紫外線ランプおよび保護管の寿命末期性能から計算した処理水の紫外線透過率の変化の説明図である。
ここで、紫外線ランプ37の劣化による紫外線維持率を0.8、保護管38の劣化による保護管の紫外線透過率維持率を0.95と仮定して設計された紫外線照射装置の場合について、寿命末期における紫外線ランプ出力制御値と、第1紫外線モニタ用センサUVS1により検知された第1紫外線モニタ109で変換された紫外線強度と、を(2)式に代入し紫外線透過率UVTcalFを逆算した結果が示されている。
【0081】
図18に示した紫外線ランプ37および保護管38の初期性能から計算した処理水の紫外線透過率の推定値UVTcalと、
図19に示した紫外線ランプ37および保護管38の寿命末期性能から計算した処理水の紫外線透過率UVTcalFを比較すると、その差は2%程度である。
【0082】
したがって、本実施形態では、この場合の紫外線ランプの出力制御値を決定する代表紫外線モニタは、
図19に示した紫外線ランプ37および保護管38の寿命末期性能の設計値に基づき計算した処理水の紫外線透過率が88%以上の場合は、第1紫外線モニタ用センサUVS1を選択するように設定している。
【0083】
また、
図19に示した紫外線ランプ37および保護管38の寿命末期性能の設計値に基づき計算した処理水の紫外線透過率が88%未満の場合は第2紫外線モニタ用センサUVS2を選択するように設定している。
【0084】
図20は、実施形態の紫外線処理設備の監視および紫外線ランプ出力制御手順の一例を示すフローチャートである。
以下に、第1実施形態における監視・制御手順を説明する。
【0085】
まず、監視・制御を開始すると、目標紫外線照射量REDおよび代表紫外線モニタ切替え紫外線透過率UVTcを設定する(ステップS1)。
続いて、紫外線照射量監視制御装置106は流量計103の出力(流量Q)を読み込む(ステップS2)。
【0086】
続いて、紫外線照射量監視制御装置106は、第1紫外線モニタ109で変換された紫外線強度S1
Dmを読み込む(ステップS3)。
続いて、紫外線照射量監視制御装置106は、紫外線ランプ37aの出力制御値P
S1を読み込む(ステップS4)。
【0087】
続いて、紫外線照射量監視制御装置106は、(2)式に第1紫外線モニタ用センサUVS1を収納した測定孔39の窓面39Aと紫外線ランプ37aを収納した保護管38の外表面の距離Lと、第1紫外線モニタ109で変換された紫外線強度S1
Dmと、紫外線ランプ37aの出力制御値P
S1と、を代入し処理水の紫外線透過率を計算する(ステップS5)。
【0088】
続いて、紫外線照射量監視制御装置106は、紫外線透過率計算値UVTcalと代表紫外線モニタ切替え紫外線透過率UVTc設定値(=88%)を比較し、UVTcal≧UVTcであるか否かを判断する(ステップS6)。
【0089】
ステップS6の判断において紫外線透過率計算値UVTcalがUVTc以上と判断された場合(Yes)は、ステップS7へ進み、UVTcalがUVTc未満と判断された場合(No)は、ステップS7へ進む。
【0090】
ステップS6で、UVTcalがUVTc以上と判断された場合、紫外線照射量監視制御装置は、第1紫外線モニタ109で変換された紫外線強度S1
*Dmを以下の(3)式を用いて相対紫外線強度S1
*Dmを計算する。
【0092】
ここで、S1
0は、紫外線透過率100%、紫外線ランプ出力100%のときの第1紫外線モニタ用センサUVS1で検知された紫外線強度である。
【0093】
続いて、紫外線照射量監視制御装置106は、相対紫外線強度S1
*Dmと、流量Qと、によって定義した目標紫外線照射量REDの計算式である以下の(4)式から逆算される以下の(5)式で示す相対紫外線強度計算式に目標紫外線照射量REDと、流量Qと、を入力して相対紫外線強度目標値S1
*DSを計算する(ステップS8)。
【0095】
ここで、S1
*は相対紫外線強度、Qは流量、a,bは実験または解析により求められる係数である。
【0097】
続いて、紫外線照射量監視制御装置106は、第1紫外線モニタ用センサUVS1の監視対象である紫外線ランプ37aの出力制御値Ps1が100%以上(Ps1≧100%)であり、かつ、相対紫外線強度S1
*Dmが相対紫外線強度目標値S1
*DS未満(S1
*Dm<S1
*DS)であるか否かを判断する(ステップS9)。
【0098】
紫外線ランプ37aの出力制御値Ps1が100%以上(Ps1≧100%)であり、かつ、相対紫外線強度S1
*Dmが相対紫外線強度目標値S1
*DS未満(S1
*Dm<S1
*DS)である場合は、紫外線照射量監視制御装置106は、重警報「UV強度不足」を紫外線処理設備監視制御装置107へ発報し(ステップS10)、紫外線処理設備101の運転を停止する(ステップS11)。
【0099】
紫外線ランプ37aの出力制御値Ps1が100%未満(Ps1<100%)、あるいは、相対紫外線強度S1
*Dmが相対紫外線強度目標値S1
*DS以上(S1
*Dm≧S1
*DS)である場合は、相対紫外線強度S1
*Dmと相対紫外線強度目標値S1
*DSを比較し、一致している(S1
*Dm=S1
*DS)か否かを判断する(ステップS12)。
【0100】
第1紫外線モニタ109の相対紫外線強度S1
*Dmと相対紫外線強度目標値S1
*DSとが一致しない場合、紫外線照射量監視制御装置106は、ランプ電源105の出力電力を制御して、紫外線ランプ37aのランプ出力を以下の条件に従って調整する(ステップS13)。
【0101】
すなわち、S1
*Dm>S1
*DSである場合、紫外線ランプ37aの出力制御値P
S1を下げる。S1
*Dm>S1
*DSである場合、紫外線ランプ37aの出力制御値P
S1を上げる。
【0102】
上述のように紫外線ランプ37aのランプ出力を調整した後、紫外線照射量監視制御装置106は、第1紫外線モニタ109の紫外線強度 S1
Dmを読み込むステップS3に戻り、第1紫外線モニタ109の相対紫外線強度S1
*Dmと相対紫外線強度目標値S1
*DSが一致(S1
*Dm=S1
*DS)するまで、ステップS3〜ステップS12を繰り返す。
【0103】
第1紫外線モニタ109で検知された相対紫外線強度S1
*Dmと相対紫外線強度目標値S1
*DSとが一致した後、紫外線照射量監視制御装置106は、紫外線ランプ37b〜37dの出力制御値P
S2〜P
S4を読み込む(ステップS14)。
【0104】
続いて、紫外線照射量監視制御装置106は、紫外線ランプ37b〜37dの出力制御値P
S2〜P
S4が100%以上(P
S2…S4≧100%)か否か、かつ、第1紫外線モニタ109の相対紫外線強度S1
*Dmと相対紫外線強度目標値S1
*DS未満(S1
*Dm<S1
*DS)か否か判断する(ステップS15)。
【0105】
紫外線ランプ37b〜37dの何れかの出力制御値P
S2〜P
S4が100%以上であって、かつ、第1紫外線モニタ109の相対紫外線強度S1
*Dmと相対紫外線強度目標値S1
*DS未満の場合、紫外線照射量監視制御装置106は重警報「UV強度不足」を紫外線処理設備監視制御装置107へ発報し(ステップS10)、紫外線処理設備101の運転を停止する(ステップS11)。
【0106】
紫外線ランプ37b〜37dの出力制御値P
S2〜P
S4が100%未満、あるいは、第1紫外線モニタ用センサUVS1で検知された紫外線強度の相対紫外線強度S1
*Dmが相対紫外線強度目標値S1
*DS以上である場合、紫外線ランプ37b〜37dの出力制御値P
S2〜P
S4をP
S1に設定し、紫外線ランプ37b〜37dの出力を調整する(ステップS16)。
【0107】
また、紫外線照射量監視制御装置106は、ステップS6の判断において、紫外線透過率計算値UVTcalが代表紫外線モニタ切替え紫外線透過率UVTc未満と判断された場合(ステップS6;No)は、代表紫外線モニタを第2紫外線モニタ111に変更し、上述したステップS7〜ステップS15に代えて、ステップS7A〜ステップS9A、ステップS10、ステップS11、ステップS12A〜ステップS15Aを実行し、ステップS16へと処理を行うことなる。
【0108】
以上の説明のように、本第1実施形態によれば、処理水の紫外線透過率が75%〜98%(第2の所定範囲〜第1の所定範囲)で変動した場合でも、紫外線照射装置14,19,23内の紫外線照射量の常時監視と制御が可能となる。
【0109】
このため、流量が計画流量より小さい場合や、処理水の紫外線透過率が設計条件より高い条件で起こる得る紫外線が過剰となる条件になった場合は、紫外線ランプの出力を下げて運転できる。
この結果、紫外線ランプを駆動するための無駄な電量消費を防ぎ、省エネルギーを実現することができる。
【0110】
また、処理水の流量が計画流量より大きい場合や、処理水の紫外線透過が計画条件より低い場合に起こりうる紫外線の照射不足を防止することができる。
この結果、紫外線照射量不足により、処理水内に病原性を保持した微生物が残存することに起因する感染拡大を防止することができる。
【0111】
したがって、本第1実施形態の紫外線処理装置の監視制御システムによれば、紫外線照射装置の信頼性を向上し、安全な処理水を提供することができる。
【0112】
さらに、第1実施形態の紫外線照射装置14,19,23によれば、紫外線照射装置14,19,23内に配置された紫外線ランプ37のそれぞれについて紫外線発光能力の監視及び制御が可能となり、紫外線照射装置14,19,23内全ての紫外線ランプ37から発光される紫外線の強度を均一にすることができる。
【0113】
これらの結果、紫外線照射装置14,19,23の安定した運転を実現できるとともに、能力の低下した紫外線ランプの特定が可能となり、紫外線照射量不足により処理水内に病原性を保持した微生物が残存することに起因する感染拡大を防止することができる。
【0114】
換言すれば、本第1実施形態によれば、紫外線照射装置の信頼性が向上し、安全な処理水を提供することができる。
【0115】
[2]第2実施形態
次に、第2実施形態の紫外線照射装置について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において上述の第1実施形態の紫外線照射装置と同様の構成には、同一の符号を付して重複する説明を省略するものとする。
【0116】
図21は、第2実施形態の紫外線照射装置の概要構成図である。
本第2実施形態の紫外線照射装置70では、紫外線ランプ37aから発光される紫外線強度を監視するための第1紫外線モニタ用センサUVS1と、紫外線ランプ37a〜37dから発光される紫外線強度を監視するための第2紫外線モニタ用センサUVS21〜UVS24が設定されている。
【0117】
第1紫外線モニタ用センサUVS1は、ランプハウジング32の壁に設けられた測定孔39内に収納され、監視対象である紫外線ランプ37aと対向した測定孔39の窓面と紫外線ランプ37aを収納した保護管38の表面との距離が140mmになるように設置されている。
【0118】
第2紫外線モニタ用センサUVS2−1〜14−4は、ランプハウジング32の壁に設けられた測定孔39内に収納され、監視対象である紫外線ランプ37−1〜37−4と対向した測定窓面と紫外線ランプ37−1〜37−4の保護管38表面との距離が117mmになるように設置されている。上記の構成以外は上述の第1実施形態に係る紫外線照射ユニット23と同様の構成である。
【0119】
上述したように構成された紫外線照射装置70においては、処理水の紫外線透過率が、90%〜100%の範囲にある場合は、第1紫外線モニタ用センサUVS1により検知された紫外線強度と流量に基づいて紫外線照射装置70の紫外線照射量計算値を求める。そして、紫外線照射装置70の紫外線照射量計算値と目標紫外線照射量REDとを比較し、紫外線照射量計算値と目標紫外線照射量の差が正の場合は、紫外線照射量計算値と目標紫外線照射量が等しくなるまで、第1紫外線モニタ用センサUVS1の監視対象である紫外線ランプ37aの出力を下げるように制御する。
一方、紫外線照射装置70の紫外線照射量計算値と目標紫外線照射量の差が負の場合は、紫外線照射量計算値と目標紫外線照射量が等しくなるまで、第1紫外線モニタ用センサUVS1の監視対象である紫外線ランプ37aの出力を上げるように制御する。
【0120】
次に、第1紫外線モニタ用センサUVS1と同様に紫外線ランプ37aを監視対象とする第2紫外線モニタ用センサUVS21で検知される紫外線強度を目標として、他の紫外線ランプ37b〜37dのそれぞれを監視対象とする第2紫外線モニタ用センサUVS22〜UVS24で検知される紫外線強度が、紫外線ランプ37aを監視対象とする第2紫外線モニタ用センサUVS21で検知される紫外線強度と、等しくなるように、それぞれの紫外線ランプ37b〜37dの出力を制御する。
【0121】
一方、処理水の紫外線透過率が、75%以上90%未満の範囲にある場合は、紫外線ランプ37aを監視対象とする第2紫外線モニタ用センサUVS21により検知された紫外線強度と流量に基づいて、紫外線照射装置70の紫外線照射量を計算し、目標紫外線照射量(目標RED)と比較する。
【0122】
そして、紫外線照射量計算値と目標紫外線照射量の差が正の場合は、紫外線照射量計算値と目標紫外線照射量が等しくなるまで、第2紫外線モニタ用センサUVS21の監視対象である紫外線ランプ37aの出力を下げるように制御する。
【0123】
一方、紫外線照射量計算値と目標紫外線照射量の差が負の場合は、紫外線照射量計算値と目標紫外線照射量が等しくなるまで、第2紫外線モニタ用センサUVS21の監視対象である紫外線ランプ37aの出力を上げるように制御する。
【0124】
次に、紫外線ランプ37−1を監視対象とする第2紫外線モニタ用センサUVS21で検知される紫外線強度を目標として、他の紫外線ランプ37b〜37dのそれぞれを監視対象とする紫外線モニタ用センサUVS22〜UVS24で検知される紫外線強度が、紫外線ランプ37aを監視対象とする第2紫外線モニタ用センサUVS21で検知される紫外線強度と、が等しくなるように、それぞれの紫外線ランプ37b〜37dの出力を制御するように監視・制御が構成されている。
【0125】
図22は、第2実施形態の紫外線処理設備の監視および紫外線ランプ出力制御手順の一例を示すフローチャートである。
図22において、
図20に示したフローチャートと同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
【0126】
まず、監視・制御を開始すると、目標紫外線照射量REDおよび代表紫外線モニタ切替え紫外線透過率UVTcを設定する(ステップS1)。
続いて、紫外線照射量監視制御装置は流量計の出力(流量Q)を読み込む(ステップS2)。
【0127】
続いて、紫外線照射量監視制御装置106は、第1紫外線モニタ用センサUVS1で検知された紫外線強度S1
Dmおよび第2紫外線モニタ用センサUVS21〜UVS24で検知された紫外線強度S2
Dm1、S2
Dm2、S2
Dm3、S2
Dm4を読み込む(ステップS3B)。
続いて、紫外線照射量監視制御装置106は、紫外線ランプ37aの出力制御値P
S1を読み込む(ステップSTB4)。
【0128】
続いて、紫外線照射量監視制御装置106は、上述した(2)式に第1紫外線モニタ用センサUVS1を収納した測定孔39の窓面39Aと紫外線ランプ37aを収納した保護管38の外表面の距離Lと、第1紫外線モニタ109が算出した紫外線強度S1
Dmと、紫外線ランプ37aの出力制御値P
S1と、を代入し処理水の紫外線透過率を計算する(ステップS5)。
【0129】
続いて、紫外線照射量監視制御装置106は、紫外線透過率計算値UVTcalと代表紫外線モニタ切替え紫外線透過率UVTc(=88%)を比較し、UVTcal≧UVTcであるか否かを判断する(ステップS6)。
【0130】
ステップS6の判断において、紫外線透過率計算値UVTcalが代表紫外線モニタ切替え紫外線透過率UVTc以上と判断された場合(ステップS6;Yes)は、ステップS7へ進む。紫外線照射量監視制御装置106は、第1紫外線モニタ用センサUVS1で検知された紫外線強度の相対紫外線強度S1
*Dmを上述の(3)式により計算する(ステップS7)。
【0131】
続いて、紫外線照射量監視制御装置106は、第1紫外線モニタ用センサUVS1の相対紫外線強度S1
*Dmと、流量Qと、によって定義した等価換算紫外線照射量RED計算式である上述の(4)式から逆算される相対紫外線強度計算式である上述の(5)式に目標REDと、流量Qと、を入力して第1紫外線モニタ用センサUVS1の相対紫外線強度目標値S1
*DSを計算する(ステップS8)。
【0132】
続いて、紫外線照射量監視制御装置106は、第1紫外線モニタ用センサUVS1の監視対象である紫外線ランプ37aの出力制御値P
S1が100%以上(P
S1≧100%)であり、かつ、相対紫外線強度S1
*Dmが相対紫外線強度目標値S1
*DS未満(S1
*Dm<S1
*DS)であるか否かを判断する(ステップS9)。
【0133】
ステップS9の判断において、紫外線ランプ37aの出力制御値P
S1が100%以上(P
S1≧100%)であり、かつ、相対紫外線強度S1
*Dmが相対紫外線強度目標値S1
*DS未満(S1
*Dm<S1
*DS)である場合(Yes)、紫外線照射量監視制御装置106は、重警報「UV強度不足」を紫外線処理設備監視制御装置107へ発報し(ステップS10)、紫外線処理設備101の運転を停止する(ステップS11)。
【0134】
ステップS9の判断において、紫外線ランプ37aの出力制御値P
S1が100%未満(Ps<100%)、あるいは、相対紫外線強度S1
*Dmが相対紫外線強度目標値S1
*DS以上(S1
*Dm≧S1
*DS)である場合は(No)、相対紫外線強度S1
*Dmと相対紫外線強度目標値S1
*DSを比較し、一致している(S1
*Dm=S1
*DS)か否かを判断する(ステップS12)。
【0135】
ステップS12の判断において、第1紫外線モニタ用センサUVS1で検知された紫外線強度の相対紫外線強度S1
*Dmと相対紫外線強度目標値S1
*DSとが一致しない場合、紫外線照射量監視制御装置106は、ランプ電源の出力電力を制御して、紫外線ランプ37aのランプ出力を以下の条件に従って調整する(ステップS13)。
【0136】
すなわち、紫外線照射量監視制御装置106は、S1
*Dm>S1
*DSである場合、紫外線ランプ37aの出力制御値P
S1を下げる。また紫外線照射量監視制御装置106は、S1
*Dm>S1
*DSである場合、紫外線ランプ37aの出力制御値P
S1を上げる。
【0137】
上述のように紫外線ランプ37aのランプ出力を調整した後、紫外線照射量監視制御装置は、処理を再びステップS3Bに移行し、第1紫外線モニタ用センサUVS1の相対紫外線強度S1
*Dmと相対紫外線強度目標値S1
*DSが一致(S1
*Dm=S1
*DS)するまで、ステップS3B〜ステップS12の処理を繰り返す。
【0138】
そして、第1紫外線モニタ用センサUVS1で検知された相対紫外線強度S1
*Dmと相対紫外線強度目標値S1
*DSとが一致した場合には(ステップS12;Yes)、紫外線照射量監視制御装置106は、紫外線ランプ37aを監視対象とする第2紫外線モニタ用センサ14aで検知された紫外線強度S2
Dm1と、他の紫外線ランプ37b〜37dを監視対象とする第2紫外線モニタ用センサUVS22〜UVS24で検知される紫外線強度S2
Dm2〜S2
Dm4が等しいか(S2
Dm1=S2
Dm2=S2
Dm3=S2
Dm4)否かを判断する(ステップS14B)。
【0139】
ステップS14Bの判断において、紫外線ランプ37aを監視対象とする第2紫外線モニタ用センサ14aで検知された紫外線強度S2
Dm1と、他の紫外線ランプ37b〜37dを監視対象とする第2紫外線モニタ用センサUVS22〜UVS24で検知される紫外線強度S2
Dm2〜S2
Dm4が等しい場合には(Yes)、処理を終了する。
【0140】
一方、ステップS14Bの判断において、第2紫外線モニタ用センサUVS22〜UVS24により検知された紫外線強度S2
Dm2〜S2
Dm4のいずれかが、第2紫外線モニタ用センサUVS21で検知された紫外線強度S2
Dm1以下の場合(No)、第2紫外線モニタ用センサUVS21で検知された紫外線強度S2
Dm1以下であった第2紫外線モニタ用センサUVS22〜UVS24の監視対象である紫外線ランプ37b〜37dの出力を上げるように制御する(ステップS15)。
さらに、ステップS14Bの判断において、第2紫外線モニタ用センサUVS22〜UVS24により検知された紫外線強度S2
Dm2〜S2
Dm4のいずれかが、第2紫外線モニタ用センサUVS21で検知された紫外線強度S2
Dm1より大きい場合は(No)、第2紫外線モニタ用センサUVS21で検知された紫外線強度S2
Dm1より大きかった第2紫外線モニタ用センサUVS22〜UVS24の監視対象である紫外線ランプ37b〜37dの出力を下げるように制御する(ステップS15B)。
【0141】
ステップS6の判断において、紫外線透過率計算値UVTcalが代表紫外線モニタ切替え紫外線透過率UVTc未満と判断された場合(ステップS6;No)は、代表紫外線モニタ用センサを第2紫外線モニタ用センサUVS21に変更し、同様にステップS7B〜ステップS13Bを実行し、ステップS14Bへ処理を移行する。
【0142】
以上の説明のように、本第2実施形態によれば、上述の第1実施形態の紫外線照射装置と同様の効果が得られるとともに、全ての第2紫外線モニタ用センサUVS21〜UVS24で検知される紫外線強度が同一となるように紫外線ランプ37a〜37dの出力を制御する。
【0143】
したがって、個々の紫外線ランプ37a〜37dの性能に差がある場合でも、紫外線ランプ37a〜37dから発光される紫外線強度を均一にすることができるので、紫外線照射装置の信頼性が向上し、安全な処理水を提供することができる。
【0144】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。