(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
[実施形態]
図1は、実施形態に係るコネクタの分解斜視図である。
図2は、実施形態に係るコネクタにおけるメスコネクタの分解斜視図である。
図3は、実施形態に係るコネクタにおけるオスコネクタの斜視図である。
図4は、実施形態に係るコネクタにおけるメスコネクタの正面図である。
図5は、実施形態に係るコネクタにおけるメスコネクタの要部断面斜視図である。
図6〜
図8は、実施形態に係るコネクタの動作説明図である。なお、
図1はオスコネクタおよびメスコネクタをそれぞれ構成する各要素を組み合わせた状態を表し、
図2はメスコネクタを構成する各要素を分解した状態を表している。また、
図1〜
図3、
図5〜
図8は端子に接続される一部の電線を二点鎖線で図示している。また、
図6はオスハウジングおよびメスハウジングの嵌合状態で、かつCPA部材が初期位置を図示しており、
図8はCPA部材が嵌合保証位置にある状態を図示しており、
図6〜
図8においてオスハウジングは、本体部を含む一部分を部分的に図示している。
【0013】
図1〜
図8のX方向は、本実施形態におけるコネクタ1の嵌合方向であり、オスコネクタMCおよびメスコネクタFCの前後方向である。Y方向は、本実施形態におけるコネクタ1の配列方向であり、嵌合方向と直交し、オスコネクタMCおよびメスコネクタFCの幅方向である。Z方向は、本実施形態におけるコネクタ1の上下方向であり、嵌合方向および配列方向と直交する方向である。X1方向はコネクタ1のオス方向で、X2方向はコネクタ1のメス方向である。Y1方向はコネクタ1の左方向で、Y2方向はコネクタ1の右方向である。Z1方向はコネクタ1の上方向で、Z2方向はコネクタ1の下方向である。以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、各部が相互に組み付けられた状態での方向を表すものとする。
【0014】
図1に示す本実施形態のコネクタ1は、例えば、自動車等に使用されるワイヤハーネスWH等に適用される。ここでは、コネクタ1は、ワイヤハーネスWHを構成する電線W1と電線W2とを接続する電線対電線接続用の接続機構であり、例えば、エアバック回路において用いられる。ここで、電線W1,W2は、例えば、複数の導電性の金属素線を撚り合わせた導体部(芯線)と、当該導体部の外側を覆う絶縁性の被覆部とを含んで構成される。コネクタ1は、オスコネクタMCと、メスコネクタFCとを備え、オスコネクタMCとメスコネクタFCとが相互に嵌合しコネクタ接合されることで、
図1〜
図3に示すように、それぞれが備えるオス端子3と、メス端子6とが電気的に接続され、相互間に電気的な接続部位が形成される。なお、電線W1,W2は、オス端子3およびメス端子6にそれぞれ接続され、不図示の防水部材が、電線W1,W2の外周と、オスハウジング2の端子挿入室および後述するメスハウジング5の端子挿入室5aとのそれぞれの間に介在し、防水性を確保する。
【0015】
オスコネクタMCは、
図1および
図3に示すように、ワイヤハーネスWHを構成する電線W1の末端に接続されるオス型のコネクタである。オスコネクタMCは、オスハウジング2と、オス端子3とを備える。
【0016】
オスハウジング2は、第1ハウジングであり、オス側のコネクタハウジングであり、絶縁性の合成樹脂材等によって形成される。オスハウジング2は、オス端子3が設けられるものであり、本体部21と、第1リブ22と、第2リブ23と、オスビーク24と、短絡解除部25とを有する。
【0017】
本体部21は、嵌合方向に沿ってオス方向側が閉塞された略長円筒状に形成されており、内部に嵌合空間部2aが形成される。嵌合空間部2aは、本体部21のメス方向側端部に形成された開口により外部と連通、メスコネクタFCの後述するメスハウジング5が嵌合する空間部である。本体部21は、嵌合空間部2a内にオス端子3の先端部(メス方向側端部)が露出するようにしてオス端子3を保持する。
【0018】
第1リブ22は、本体部21の外周面から突出して、嵌合方向に延在して形成される。本実施形態における第1リブ22は、本体部21の外周面に複数形成されており、オスコネクタMCおよびメスコネクタFCのコネクタ嵌合時に、後述するCPA部材7の複数の支持溝部7cにそれぞれ挿入され、オスハウジング2に対してCPA部材7を支持する。
【0019】
第2リブ23は、本体部21の外周面から突出して、嵌合方向に延在して形成される。本実施形態における第2リブ23は、本体部21の外周面に複数形成されており、コネクタ嵌合時に、メスハウジング5の後述するロックアーム部52の複数の支持溝部52aにそれぞれ挿入され、オスハウジング2に対してメスハウジング5の後述するメスロック部53を支持する。
【0020】
オスビーク24は、第1係止部であり、本体部21の外周面から突出して形成される。本実施形態におけるオスビーク24は、本体部21の外周面のうち、上方向側の面において、配列方向における略中央部、かつ、嵌合方向におけるメス方向側端部の1近傍に形成される。オスビーク24は、頭頂部を挟んで嵌合方向において対向する面のうち、メス方向側の面がオス方向側に向かって突出する傾斜面に形成され、オス方向側の面が上下方向に平行(略平行を含む)な係止面に形成される。オスビーク24は、メスハウジング5のメスロック部53が係止される部分である。
【0021】
短絡解除部25は、嵌合状態において、メス端子6および後述する短絡子8の短絡状態を解除して、非短絡状態とするものである。短絡解除部25は、嵌合状態において、メス端子6と短絡子8との間に挿入されることで、短絡状態においてメス端子6に接触する短絡子8を離間させ、メス端子6および短絡子8を非短絡状態とするものである。本実施形態における短絡解除部25は、嵌合空間部2aのオス方向側端部を形成する本体部21の内壁面からメス方向側に突出する板状部材であり、複数の短絡子8にそれぞれに対応し、配列方向に複数形成される。ここで、嵌合状態とは、オスハウジング2とメスハウジング5とが嵌合した状態で、すなわちオスハウジング2の嵌合空間部2aの適正な嵌合位置で、メスハウジング5が嵌合した状態をいい、メスロック部53がオスビーク24に係止され、メス端子6とオス端子3との適正な電気的な接続が行われている状態である。
【0022】
オス端子3は、第1端子であり、メス端子6に挿入されることで、メス端子6と電気的に接続されるものであり、オスハウジング2の内部で配列方向に複数配列される。オス端子3は、コネクタ用のオス型の端子金具であり、電線W1の末端に接続され全体が導電性の金属によって構成される。本実施形態におけるオス端子3は、配列方向に隣り合う2つのオス端子3を一対とし、2対が、オスハウジング2に保持された状態で嵌合方向に沿って延在する。オス端子3は、例えば、嵌合空間部2a内に露出する先端部とは反対側の端部(オス方向側の端部)が、図示しない端子挿入室(キャビティ)内に保持され、反対側の端部に電線W1が接続される。ここで、端子挿入室は、嵌合方向に延在して形成され、メス方向側端部が嵌合空間部2aと連通し、本体部21のオス方向側端部に形成された開口により外部と連通する。オス端子3は、本体部21のオス方向側端部に形成される端子挿入室と連通する開口から嵌合方向に沿って端子挿入室に挿入されて、図示しないランスにより係止されることで、先端部が本体部21の嵌合空間部2a内に露出した状態で、オスハウジング2に保持される。
【0023】
メスコネクタFCは、
図1、
図2、
図4および
図5に示すように、ワイヤハーネスWHを構成する第2電線である電線W2の末端に接続されるメス型のコネクタである。メスコネクタFCは、メスハウジング5と、メス端子6と、CPA部材7と、短絡子8と、フロントホルダ9と、サイドスペーサ10と、防水パッキン11とを備える。
【0024】
メスハウジング5は、第2ハウジングおよび本実施形態における対象ハウジングであり、メス側のコネクタハウジングであり、絶縁性の合成樹脂材等によって形成される。メスハウジング5は、メス端子6が設けられるものであり、オスハウジング2の嵌合空間部2aに挿入され、オスハウジング2と嵌合可能なものである。メスハウジング5は、本体部51と、ロックアーム部52と、メスロック部53と、ランス54と、リブ55と、突起部56とを有する。
【0025】
本体部51は、嵌合方向に沿って略長円柱状に形成されており、嵌合空間部2aに挿入されて、オスハウジング2に嵌合される部分であり、内部に、端子挿入室5a(キャビティ)と、短絡子挿入室5bとが形成される。端子挿入室5aは、嵌合方向に延在して形成され、本体部51の嵌合方向における両端部に形成された開口により外部と連通し、メス端子6が嵌合方向に沿って挿入されて、保持される空間部である。本実施形態における端子挿入室5aは、メスハウジング5に設けられる複数のメス端子6の数に応じて、本体部51の内部に配列方向に複数形成される。また、端子挿入室5aは、本体部51の下方向側端部に形成された開口により外部と連通している。短絡子挿入室5bは、嵌合方向に延在して形成され、本体部51のオス方向側端部に形成された開口により外部と連通し、短絡子8が嵌合方向に沿って挿入されて、保持される空間部である。本実施形態における短絡子挿入室5bは、メスハウジング5に設けられる複数の短絡子8の数に応じて、本体部51の内部に配列方向に複数形成される。短絡子挿入室5bは、1つの短絡子8が電気的に接触する複数のメス端子6がそれぞれ保持される端子挿入室5aと上下方向において連通する。
【0026】
ロックアーム部52は、メスロック部53を本体部51と上下方向において離間した状態で支持するものである。ロックアーム部52は、第1アーム部521と、第2アーム部522とを備える。第1アーム部521は、上下方向から見た場合において、オス方向側に開放するU字状に形成されている。第1アーム部521は、メス方向側の端部が本体部51と連結され、オス方向側の両端部(幅方向における2つの端部)の間にメスロック部53が形成されている。従って、第1アーム部521は、上下方向に弾性変形することで、メスロック部53を本体部51に対して上下方向に移動可能に支持している。第1アーム部521は、オス方向側の両端部にそれぞれ支持溝部52aが嵌合方向に沿って形成されている。第2アーム部522は、上下方向から見た場合に、オス方向側に開放するU字状に形成されている。第2アーム部522は、オス方向側の両端部(幅方向における2つの端部)が第1アーム部521のオス方向側の両端部とそれぞれ連結されている。第2アーム部522の幅方向における両端部には、それぞれ、第1突出部523、第2突出部524、第3突出部525が外側に突出して形成されている。本実施形態における第1〜第3突出部523〜525は、メスハウジング5に対してCPA部7が挿入されるCPA挿入時に、CPA部7の後述する複数の第2規制溝部7eにそれぞれ挿入され、メスハウジング5に対するCPA部7の嵌合方向における位置を規制するものである。
【0027】
メスロック部53は、第2係止部であり、メスハウジング5をオスハウジング2に対して係止するための係止機構を構成する。メスロック部53は、嵌合状態で、オスビーク24を乗り越えてオスビーク24に嵌合方向において係止可能なものである。本実施形態におけるメスロック部53は、ロックアーム部52のオス方向側端部に形成されている。メスロック部53は、メス方向側の端面が上下方向に平行(略平行を含む)な係止面に形成される。
【0028】
ランス54は、係止機構を構成するものであり、メス端子6をメスハウジング5に対して係止するものである。本実施形態におけるランス54は、メス端子6の後述する係止穴6bに挿入されることで、端子挿入室5a内のメス端子6がメス方向側に移動することを規制し、端子挿入室5a内のメス端子6を係止する。ランス54は、各端子挿入室5aにそれぞれ形成されている。ランス54は、端子挿入室5aを形成する本体部51の内壁面のうち、配列方向において対向する内壁面の一方からオス方向側に向かって延在し、かつ内壁面から離間して端子挿入室5aの内側に向かって突出して形成される。
【0029】
リブ55は、本体部51の外周面から突出して、嵌合方向に延在して形成される。本実施形態におけるリブ55は、本体部51の外周面に複数形成されており、CPA挿入時に、CPA部材7の後述する複数の支持溝部7cにそれぞれ挿入され、メスハウジング5に対してCPA部材7を支持する。
【0030】
突起部56は、本体部51の外周面から突出して形成される。本実施形態における突起部56は、本体部51の外周面のうち、メス方向側端部で、上下方向における中央部において、配列方向に一対形成されており、CPA挿入時に、CPA部材7の後述する複数の第1規制溝部7dにそれぞれ挿入され、メスハウジング5に対してCPA部材7を支持する。
【0031】
メス端子6は、第2端子であり、本実施形態における対象端子であり、オス端子3が挿入されることで、オス端子3と電気的に接続されるものであり、メスハウジング5の内部で配列方向に配列される。メス端子6は、コネクタ用のメス型の端子金具であり、電線W2の末端に接続され全体が導電性の金属によって構成される。本実施形態におけるメス端子6は、配列方向に隣り合う2つのメス端子6を一対とし、2対が、メスハウジング5に保持された状態で嵌合方向に沿って延在する。メス端子6は、先端部がフロントホルダ9と嵌合方向において対向し、先端部と反対側の端部(メス方向側の端部)に電線W2が接続される。メス端子6には、本体部51のメス方向側端部に形成される開口から嵌合方向に沿って端子挿入室5aに挿入されて、ランス54により係止されることで、メスハウジング5に保持される。メス端子6は、挿入空間部6aが形成される。挿入空間部6aは、嵌合方向に延在して形成され、メス端子6のオス方向側に形成された開口により外部と連通し、オス端子3の先端部が嵌合方向に沿って挿入されて、保持される空間部である。
【0032】
ここで、メス端子6は、嵌合方向から見た場合に、複数の外周面が形成される。本実施形態におけるメス端子6は、1枚の金属板材を折り曲げることで形成され、長方形状に形成される。つまり、メス端子6は、外周面として一対の長辺側である第1外周面61、第3外周面63と、一対の短辺側である第2外周面62、第4外周面64とを有する。メス端子6は、端子挿入室5aに保持された状態で、第1外周面61と第3外周面63とが上下方向において対向し、第2外周面62と第4外周面64とが配列方向において対向する。第1外周面61は、短絡機構を構成するものであり、外周面のうち、上方向側に位置する面であり、凹凸が少なく略平面であり、短絡子8が接触する端子接触面でもある。第2外周面62は、外周面のうち、右方向側に位置する面であり、ランス・スペーサ係止面でもある。第2外周面62は、係止穴6bと、スペーサ係止部6cとを有する。係止穴6bは、係止機構を構成するものであり、ランス54が挿入される穴であり、第2外周面62の一部を切り欠くことで形成される。スペーサ係止部6cは、サイドスペーサ10の一部が係止する係止面であり、係止穴6bよりもメス方向側において第2外周面62の一部を切り欠くことで形成される。第3外周面63は、外周面のうち、下方向側に位置する面であり、凹凸が少なく略平面である。第4外周面64は、外周面のうち、左方向側に位置する面であり、バネ片65が形成されるバネ片形成面でもある。バネ片65は、挿入空間部6aに先端部が挿入されたオス端子3と電気的に接触するものであり、第4外周面64のオス方向側の端部から挿入空間部6aのメス方向側に延在して形成される。バネ片65は、メス方向側の端部である先端部が第4外周面64に対応する内壁面から離間して弾性変形可能に形成される。
【0033】
CPA部材7は、オスハウジング2とメスハウジング5とが完全に嵌合したことを検知するための部材であり、いわゆるCPA(Connector Position assurance:嵌合保証機能)を実現するための部材である。CPA部材7は、メスハウジング5の外側を覆うものであり、メスハウジング5に対して嵌合方向に相対移動可能にメスハウジング5に組み付けられる。CPA部材7は、絶縁性の合成樹脂材等によって形成され、本体部71と、CPAロック部72とを有する。
【0034】
本体部71は、嵌合方向に沿って略矩形柱状に形成され、内部に保持室7aと、アーム部挿入室7bとが形成される。保持室7aは、嵌合方向に延在して形成され、本体部71のオス方向側端部に形成された開口により外部と連通し、メスハウジング5が嵌合方向に沿って挿入されて、保持される空間部である。アーム部挿入室7bは、嵌合方向に延在して形成され、CPAロック部72が位置するものである。アーム部挿入室7bは、本体部71のオス方向側端部に形成された開口により外部と連通し、ロックアーム部52およびメスロック部53が嵌合方向に沿って挿入されて、CPAロック部72により、オスビーク24に係止されるメスロック部53をさらに係止する空間部である。アーム部挿入室7bは、保持室7aと上下方向において連通し、本体部71の上方向側端部に形成された開口により外部と連通している。本体部71は、支持溝部7cと、第1規制溝部7dと、第2規制溝部7eとが形成されている。支持溝部7cは、保持室7a内において延在方向に沿って形成され、複数組の第1リブ22およびリブ55にそれぞれ対応して複数形成される。第1規制溝部7dは、保持室7a内において延在方向に沿って形成されており、一対の突起部56にそれぞれ対応して配列方向に一対形成される。第1規制溝部7dは、途中に規制突起部73が底面から保持室7aの内側に向かって形成される。規制突起部73は、第1規制溝部7dに挿入された突起部56が乗り越えることで、メスハウジング5に対してCPA部材7がオス方向側に移動することでメスハウジング5からCPA部材7が脱落することを抑制するものである。第2規制溝部7eは、アーム部挿入室7b内において延在方向に沿って形成されており、複数組の第1〜第3突出部523〜525にそれぞれ対応して複数形成される。第2規制溝部7eは、途中に図示しない規制突起部が底面から保持室7aの内側で、かつ下方向に向かって形成される。規制突起部は、第2規制溝部7eに挿入された第1突起部523が乗り越えることで、嵌合方向において第1突起部523と第2突起部524との間に位置し、CPA部材7の嵌合保証位置においてメスハウジング5に対してCPA部材7が嵌合方向に移動することを規制するものである。なお、本体部71は、メス方向側端部にメス端子6および電線W2を保持室7aに挿入するための開口が形成される。
【0035】
CPAロック部72は、第3係止部であり、CPA部材7をメスハウジング5に対して係止するための係止機構を構成する。CPAロック部72は、嵌合状態で、CPA部材7がメスハウジング5に対して初期位置から嵌合保証位置への移動に伴って、オスビーク24およびオスビーク24に係止されているメスロック部53を順に乗り越えて嵌合保証位置でメスロック部53に係止可能なものである。本実施形態におけるCPAロック部72は、略矩形柱状に形成され、アーム部挿入室7bに向かって延在して形成されている。CPAロック部72は、メス方向側の端部が本体部71と連結され、オス方向側端部である先端部が自由端に形成され、本体部71に対して片持ち状に支持される。CPAロック部72は、先端部が下方向に突出して形成される。
【0036】
短絡子8は、短絡機構を構成するものであり、オスハウジング2とメスハウジング5とが嵌合されていない非嵌合状態において、メスハウジング5に配列された配列方向に隣り合うメス端子6を短絡させるものであり、全体が導電性の金属によって構成される。本実施形態における短絡子8は、複数対のメス端子6に対応して複数形成されており、一対の短絡子8と電気的に接触することで、一対のメス端子6間に電位差が生じることを抑制するものである。短絡子8は、本体部81と、アーム部82とを有する。
【0037】
本体部81は、嵌合方向および配列方向を含む平面に沿った平板状部材であり、短絡子挿入室5bに挿入されることで、本体部51に保持され、本体部51に対する上下方向、嵌合方向および配列方向への移動が規制される。本体部81は、メス方向側端部にアーム部82が連結される。
【0038】
アーム部82は、一対のメス端子6と電気的に接触するものであり、板状部材である。本実施形態におけるアーム部82は、一対のメス端子6の各メス端子6に対応して本体部81に対して一対形成されている。アーム部82は、メス方向側端部が本体部81に連結されており、オス方向側に折り返されて形成されている。つまり、アーム部82は、先端部(オス方向側端部)が本体部81のオス方向側端部と上下方向において対向する。アーム部82は、嵌合方向における途中に下方向に突出する接触部が形成されており、接触部がメス端子6と接触する。
【0039】
フロントホルダ9は、メスハウジング5のオス方向側端部に取り付けられるものであり、本体部51のオス方向側端部に覆い被さるものである。フロントホルダ9は、本体部91と、開口92,93とを有する。本体部91は、嵌合方向に沿ってオス方向側が閉塞された略矩形筒状に形成されており、内部に、本体部51のオス方向側端部が挿入される挿入空間部9aが形成される。本体部91は、メスハウジング5が挿入されて、メスハウジング5に保持される。開口92は、短絡解除部25を短絡子挿入室5bに挿入可能とするものであり、嵌合方向において短絡子挿入室5bとそれぞれ対向して形成される。開口93は、オス端子3を端子挿入室5aに挿入可能とするものであり、嵌合方向において各端子挿入室5aとそれぞれ対向して形成される。
【0040】
サイドスペーサ10は、端子挿入室5aに対してメス端子6を保持するための適正な端子保持力を確保する部材である。本実施形態におけるサイドスペーサ10は、メスハウジング5の下方向側から一部が端子挿入室5aに挿入されるものであり、本体部101と、係止突起部102とを有する。本体部101は、嵌合方向から見た場合において、上方向側に開放するU字状に形成されている。本体部101は、上方向側の両端部(配列方向における2つの端部)が本体部51の外側で本体部51に保持される。係止突起部102は、端子挿入室5aに挿入され、メス端子6のスペーサ係止部6cに挿入されるものであり、複数のメス端子6にそれぞれ対応して複数形成されている。係止突起部102は、上方向側の両端部の間に上方向に向かって突出して形成される。
【0041】
防水パッキン11は、嵌合状態においてオスハウジング2とメスハウジング5との間の隙間に介在することで、外部から嵌合空間部2aに水などの液体が浸入することを抑制するものである。防水パッキン11は、リング状に形成されており、内部に形成された挿入空間部11aにメスハウジング5の本体部51が嵌合方向に沿って挿入される。
【0042】
次に、コネクタ1の組み付け、すなわち嵌合について説明する。まず、オスコネクタMCの組み付けについて説明する。次に、本体部21のオス方向側端部に形成された開口から電線W1が接続されたオス端子3を各端子挿入室にそれぞれ挿入して、挿入された各オス端子3をランスにより係止し、各オス端子3をオスハウジング2の内部で保持することで、各オス端子3をオスハウジング2に組み付ける。
【0043】
次に、メスコネクタFCの組み付けについて説明する。まず、短絡子8をメスハウジング5の各短絡子挿入室5bにそれぞれ挿入して、短絡子挿入室5b内にそれぞれ保持することで、短絡子8をメスハウジング5に組み付ける。このとき、各アーム部82は、それぞれ対応する端子挿入室5a内に一部が突出して位置する。次に、防水パッキン11をオス方向側端部から本体部51に挿入して、防水パッキン11を本体部51に保持することで、防水パッキン11をメスハウジング5に組み付ける。次に、サイドスペーサ10をメスハウジング5に対して仮位置において保持する。サイドスペーサ10の上方向側の両端部の間に本体部51に挿入して、係止突起部102が端子挿入室5aに突出しない仮位置で、サイドスペーサ10を本体部51に対して保持する。次に、フロントホルダ9の挿入空間部9aに対してオス方向側端部から本体部51を挿入して、フロントホルダ9を本体部51のオス方向側において保持することで、フロントホルダ9をメスハウジング5に組み付ける。
【0044】
次に、メスハウジング5をメス方向側端部からCPA部材7に挿入して、CPA部材7をメスハウジング5に組み付ける。CPA挿入時には、メスハウジング5の本体部51が保持室7aに、ロックアーム部52およびメスロック部53がアーム部挿入室7bに挿入される。このとき、各支持溝部7cに各リブ55がそれぞれ挿入され、各第1規制溝部7dに各突起部56がそれぞれ挿入され、各第2規制溝部7eに各第1〜第3突出部523〜525がそれぞれ挿入される。メスハウジング5をCPA部材7に対してさらにメス方向側に移動させると、規制突起部73を突起部56が乗り越えることで、CPA部材7がメスハウジング5に対して初期位置と嵌合保証位置との間で移動可能な状態に組み付けられる。
【0045】
次に、本体部51のメス方向側端部に形成された開口から電線W2が接続された各メス端子6を各端子挿入室5aにそれぞれ挿入して、挿入された各メス端子6の各係止穴6bに各ランス54がそれぞれ挿入され、各メス端子6が各ランス54によりそれぞれ係止され、各メス端子6をメスハウジング5の内部で保持することで、各メス端子6をメスハウジング5に組み付ける。このとき、各短絡子8の各アーム部82は、対応する各メス端子6の第1外周面61に対して上方向側に弾性変形した状態で接触し、一対のメス端子6が短絡状態となる。
図4に示すように、メス端子6と短絡子8との接触位置Sと、メス端子6をメスハウジング5に対して係止する、すなわちメス端子6をランス54により係止する係止位置Tとは、嵌合方向から見た場合に、嵌合方向周り(嵌合方向を軸とした軸周り)において異なる位置となる。本実施形態におけるコネクタ1では、メス端子6の複数の外周面61〜64のうち、接触位置Sと係止位置Tとが異なる外周面、すなわち、接触位置Sが上下方向に対向する長辺側の外周面61,63のうちの一方の外周面である第1外周面61に位置し、係止位置Tが配列方向に対向する短辺側の外周面62,64のうちの一方の外周面である第2外周面62に位置することとなる。
【0046】
次に、仮位置において保持されたサイドスペーサ10を係止突起部102が端子挿入室5aに突出する本位置において保持することで、サイドスペーサ10をメスハウジング5に組み付ける。このとき、各メス端子6の各スペーサ係止部6cに各係止突起部102がそれぞれ係止され、各メス端子6を各端子挿入室5a内のうち、メス端子6とオス端子3との適正な電気的な接続が確保される位置に係止する。本実施形態では、各メス端子6は、ランス54とスペーサ係止部6cとの2箇所により、嵌合方向の移動が規制され、係止されることになる。
【0047】
次に、メスコネクタFCにオスコネクタMCを組み付ける。まず、
図6に示すように、CPA部材7が初期位置の状態で、メスハウジング5をオスハウジング2の嵌合空間部2aに挿入する。メスハウジング5が嵌合空間部2aに挿入され始めると、メスハウジング5が嵌合空間部2aに挿入されるとともに、CPA部材7が初期位置から嵌合保証位置に向かって嵌合方向に移動、すなわちCPA部材7がメスハウジング5に対してオス方向側に移動する。次に、CPAロック部72がメスロック部53に嵌合方向において接触し、CPA部材7がメスハウジング5に対してオス方向側に移動することが規制された状態で、メスハウジング5が嵌合空間部2aにさらに挿入される。次に、
図7に示すように、メスロック部53がオスビーク24をオス方向側に乗り越え、オスハウジング2とメスハウジング5とが嵌合状態となると、乗り越えたオスビーク24がCPAロック部72に接触し、CPAロック部72を上方向に押し上げる。次に、
図8に示すように、CPAロック部72がメスロック部53をオス方向側に乗り越え、CPA部材7が嵌合保証位置となると、オス方向側にCPAロック部72が位置し、メスロック部53を挟んで、メス方向側にオスビーク24が位置することで、コネクタ1が嵌合保証状態となる。
【0048】
以上で説明したコネクタ1によれば、接触位置Sと係止位置Tとが、嵌合方向周りにおいて異なるので、嵌合方向から見た場合において、接触位置Sと係止位置Tとが同じ位置となることを回避することができる。つまり、メス端子6の第1外周面61と短絡子8とで構成される短絡機構と、メス端子6の第2外周面62とランス54とで構成される係止機構との位置関係が、嵌合方向から見た場合において同じ位置とならないので、短絡機構および係止機構の一方が他方に対して与える影響を抑制することができる。
【0049】
例えば、接触位置Sと係止位置Tとが異なる外周面61,62にそれぞれ位置するので、接触位置Sと係止位置Tとが同じ外周面に位置しない。従って、短絡子8のアーム部82が接触する第1外周面61にランス54が挿入される係止穴6bを形成することはないので、第1外周面61に対する接触位置を係止穴6bの制約を受けずに自由に設定することができる。これにより、短絡子8のメス端子6に対する接触面積、特に嵌合方向における接触面積の拡大を図ることができ、短絡子8のメス端子6に対する接触性能を向上することができる。また、ランス54が挿入される係止穴6bが形成された第2外周面62に短絡子8のアーム部82が接触しないので、第2外周面62に対する係止位置、すなわち係止穴6bの形成位置は、短絡子8がメス端子6に対して接触する位置の制約を受けずに自由に設定することができる。これにより、ランス54のメス端子6に対する係止状態を良好、特に係止力を向上させることができる係止穴6bの形状とすることができる。
【0050】
また、接触位置Sが配列方向に平行な長辺側の第1外周面61に位置し、係止位置Tが上下方向に平行な短辺側の第2外周面62に位置するので、嵌合方向から見た場合において、各メス端子6が横向きに配列方向に配列されることとなる。従って、各メス端子6が縦向き、すなわち長辺側の外周面61,63が上下方向に平行であり、短辺側の外周面62,64が配列方向に平行である場合と比較して、コネクタ1の上下方向の長さ、すなわち高さを低くすることができる。また、各メス端子6が縦向きであり、かつ短絡子8およびランス54が上下方向にメス端子6を挟んで対向する場合と比較して、ランス54を配列方向においてメス端子6と対向して形成することができるので、ランス74の厚さおよびランス54の弾性変形分の変化量だけ、コネクタ1の上下方向の長さ、すなわち高さを低くすることができる。これらにより、コネクタ1の低背化を図ることができる。
【0051】
また、係止位置Tが上下方向に平行な短辺側の第2外周面62に位置するので、ランス54をメス端子6に対して下方向に形成する場合と比較して、ランス54がメスハウジング5の外部に露出することを抑制することができる。従って、ランス54に外力が加わることを抑制することができ、ランス54の保護を図ることができる。
【0052】
また、接触位置Sが配列方向に平行な長辺側の第1外周面61に位置するので、接触位置Sが短辺側の外周面62,64に位置する場合と比較して、短絡子8のメス端子6に対する接触面積、特に配列方向における接触面積の拡大を図ることができ、短絡子8のメス端子6に対する接触性能を向上することができる。また、接触位置Sが位置する第1外周面61は、凹凸が少なく略平面で形成されているので、接触面積を容易に確保することができる。
【0053】
また、オス端子3と比較してメス端子6の構造が複雑であるため、短絡子8の端子に対する接触面接を確保することが困難であるが、係止位置Tが位置する短辺側の第2外周面62とは異なる長辺側の第1外周面61に接触位置Sを位置させることができるので、短絡子8の端子に対する接触面接を確保することができ、容易に、短絡状態をメス端子6により実現することができる。
【0054】
上述のように、コネクタ1によれば、短絡機構および係止機構の位置関係を適切な位置関係とすることができる。
【0055】
なお、本実施形態においては、バネ片65が短辺側の第4外周面64に設けられているので、短絡子8およびバネ片65が上下方向に並んで位置する場合と比較して、バネ片65を配列方向においてメス端子6と対向して形成することができるので、バネ片65の厚さおよびバネ片65の弾性変形分の変化量だけ、コネクタ1の上下方向の長さ、すなわち高さを低くすることができる。これらにより、コネクタ1の低背化をさらに図ることができる。
【0056】
また、上記実施形態においては、接触位置Sが第1外周面61に位置し、係止位置Tが第2外周面62に位置するが、これに限定されるものではなく、接触位置Sを第3外周面63に位置し、係止位置Tが第4外周面64に位置していてもよい。係止位置Tが第4外周面64に位置する場合は、バネ片65は第2外周面62に形成されていることが好ましい。