(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記自営通信網は、移動局(以下、「通信端末装置」、「端末」又は「ユーザ機器」ともいう。)の使用者側で比較的簡易に構築して運営することができ、企業、大型店舗、工場、病院などで広く利用されている。このような自営通信網が増えていった場合、各自営通信網と、移動体通信事業者が管理運営するLTE(Long Term Evolution)等の無線通信標準規格に準拠した通信事業者通信網との間や、複数の自営通信網間でローミングできないという課題がある。また、通信事業者通信網が増えていった場合も、通信事業者通信網と自営通信網との間や、複数の通信事業者通信網間でローミングできないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様に係るローミング制御装置は、複数の通信網間のローミングを制御するローミング制御装置であって、移動局との通信に国際移動体加入者識別情報を用いる第1通信網と複数の第2通信網とに接続され、前記国際移動体加入者識別情報の加入者識別番号割り当て部の一部に、前記複数の第2通信網それぞれを識別するための拡張通信網識別情報が割り当てられ、前記複数の第2通信網に対応する複数の拡張通信網識別情報を記憶する記憶手段と、前記複数の第2通信網のいずれかをホーム網とする移動局が他の第2通信網又は第1通信網に在圏するとき、その移動局から受信した前記国際移動体加入者識別情報に含まれる拡張事業者識別情報と、前記記憶手段に記憶されている拡張通信網識別情報とに基づいて、前記移動局のホーム網を判断し、前記
移動局が在圏する在圏網と前記ホーム網との間のローミングを開始するように制御する制御手段と、を備える。
前記ローミング制御装置において、前記第1通信網は通信事業者通信網であり、前記第2通信網は自営通信網であってもよい。
また、ローミング制御装置において、前記第1通信網及び前記第2通信網はいずれも自営通信網であってもよいし、又は、通信事業者通信網であってもよい。
また、前記ローミング制御装置において、前記拡張通信網識別情報は、前記加入者識別番号割り当て部の先頭の複数桁に割り当てられた番号であってもよい。
また、前記ローミング制御装置において、前記第2通信網をホーム網とする移動局を識別可能な移動局識別番号は、前記国際移動体加入者識別情報の加入者識別番号割り当て部における前記拡張通信網識別情報以外の部分に割り当てられ、前記移動局識別番号の桁数は前記第2通信網ごとに設定してもよい。
【0005】
本発明の他の態様に係る通信中継装置は、移動局との通信に国際移動体加入者識別情報を用いる第1通信網及び複数の第2通信網の間の通信を中継する通信中継装置であって、前記いずれかのローミング制御装置を備え、前記国際移動体加入者識別情報の加入者識別番号割り当て部の一部に、前記複数の第2通信網それぞれを識別するための拡張通信網識別情報が割り当てられている。
【0006】
本発明の更に他の態様に係る通信システムは、移動局との通信に国際移動体加入者識別情報を用いる第1通信網及び複数の第2通信網と、前記いずれかのローミング制御装置と、を備え、前記国際移動体加入者識別情報の加入者識別番号割り当て部の一部に、前記複数の第2通信網それぞれを識別するための拡張通信網識別情報が割り当てられている。
前記通信システムにおいて、前記第1通信網及び前記複数の第2通信網は、中継網を介して互いに接続され、前記ローミング制御装置は、前記中継網に設けてもよい。ここで、前記中継網は、国際ローミング中継網、又は、前記複数の第2通信網が接続された第2通信網用のローミング中継網であってもよい。
また、前記通信システムにおいて、前記ローミング制御装置は、前記第1通信網、又は、前記複数の第2通信網のいずれかに設けてよい。
また、前記通信システムにおいて、前記第2通信網は、有線又は無線を介して複数の電話機が接続された交換機を備えてもよい。ここで、前記交換機はPHS(Personal Handy Phone System)の基地局の機能を有してもよい。
また、前記通信システムにおいて、前記第1通信網及び前記第2通信網は、LTE(Long Term Evolution)/LTE−Advancedの標準規格に準拠し、前記ローミング制御装置は、MME(Mobility Management Entity)又はHSS(Home Subscriber Server)に設けてもよい。ここで、前記第2通信網は、有線又は無線を介して複数の電話機が接続されたPBX(Private Branch eXchange)と、前記PBXとEPC(Evolved Packet Core)との間の音声通信を中継するIMS(IP Multimedia Subsystem)と、を備えてもよい。また、前記第1通信網及び前記第2通信網における移動局との間の無線通信方式は、TD(Time Divisio
n)−LTE方式又はFDD(Frequency Division Duplex)−LTE方式であってもよい。
【0007】
また、本発明の更に他の態様に係るローミング制御方法は、第1通信網及び複数の第2通信網それぞれにおいて移動局との通信に用いられる国際移動体加入者識別情報の加入者識別番号割り当て部の一部に、前記複数の第2通信網それぞれを識別するための可能な拡張通信網識別情報が割り当てられ、前記複数の第2通信網のいずれかをホーム網とする移動局が他の第2通信網又は第1通信網に在圏するとき、その移動局から受信した前記国際移動体加入者識別情報に含まれる拡張事業者識別情報に基づいて前記移動局のホーム網を判断し、前記
移動局が在圏する在圏網と前記ホーム網との間のローミングを開始する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、移動局が接続可能な通信網が増えてきた場合でも通信網間で移動局がローミングできる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る通信システムの全体概略構成の一例を示す説明図である。本実施形態の通信システムは、第1通信網100と、複数の第2通信網200と、中継網300とを備える。なお、
図1では第1通信網100が一つの場合について示しているが、第1通信網100は複数であってもよい。また、第1通信網100が通信事業者通信網(以下「キャリア通信網」という。)であり、第2通信網200が自営通信網であってもよい。また、本実施形態において、第1通信網100及び第2通信網200の両方がキャリア通信網であってもよく、第1通信網100及び第2通信網200の両方が自営通信網であってもよい。ここで、キャリア通信網は移動局の通信サービスを提供する移動体通信事業者(キャリア)が管理運営する通信網である。また、自営通信網は、移動局が使用されている企業、大型店舗、工場、病院などの事業者(以下「自営事業者」ともいう。)や自営通信網の専門業者が管理運営する通信網である。
【0011】
中継網300は、複数の通信網間の通信を中継する通信網であり、例えば専門の中継通信事業者によって管理運営される。中継網300は、第1通信網100と第2通信網200との間の通信を中継することができる。また、中継網300は、複数の第1通信網100間の通信や複数の第2通信網200間の通信を中継可能に構成してもよい。なお、中継網300は、移動体通信事業者又は自営通信事業者によって管理運営されるものであってもよい。また、中継網300は、複数の国にまたがって通信網間の通信を中継する国際ローミング中継事業者の中継網であってもよい。
【0012】
本実施形態において、第1通信網100及び第2通信網200はそれぞれ国際的な通信標準規格であるLTE/LTE−Advancedに準拠した通信方式を用い、各通信網100、200と移動局との間の無線通信方式は、TD(Time Divisio
n)−LTE方式である。移動局11,12はいずれも、TD−LTE方式により第1通信網100及び第2通信網200それぞれと通信することができる。なお、各通信網100、200と移動局との間の無線通信方式は、FDD(Frequency Division Duplex)−LTE方式であってもよい。また、第1通信網100及び第2通信網200のいずれか一方の通信方式がTD−LTE方式であり他方がFDD−LTE方式であってもよい。また、各通信網100、200における通信方式は、LTE/LTE−Advanced以外の通信標準規格に準拠したものであってもよい。
【0013】
移動局11,12はいずれも、TD−LTE方式により第1通信網100及び第2通信網200それぞれと通信することができる。
【0014】
第1通信網100は、マクロセルやスモールセル等の基地局(「eNodeB」ともいう。)105が接続されたLTEのコアネットワーク(EPC:Evolved Packet Core)110を備えている。コアネットワーク(EPC)110は、基地局105を介して、第1通信網100の通信サービスの加入者の移動局(以下「ユーザ機器」、「UE」又は「第1UE」という。)11や、自セルに在圏するローミング対象の移動局(第2UE)12と通信することができる。また、コアネットワーク(EPC)110は、IMS(IP・マルチメディア・サブシステム)120を介して回線交換方式の公衆交換電話網(PSTN)600に接続されている。また、コアネットワーク(EPC)110は、ファイアウォール機能を有するGiインターフェース装置(Gi−LAN)130を介してインターネット700に接続されている。
【0015】
第2通信網200は、マクロセルやスモールセル等の基地局(「eNodeB」ともいう。)205が接続されたLTEのコアネットワーク(EPC)210を備えている。コアネットワーク(EPC)210は、基地局205を介して、第2通信網200の通信サービスの利用者の移動局(以下「ユーザ機器」、「UE」又は「第2UE」という。)12や、自セルに在圏するローミング対象の移動局(UE)11と通信することができる。また、コアネットワーク(EPC)210は、IMS220及び構内交換機(PBX)240を介して公衆交換電話網(PSTN)600に接続されている。構内交換機(PBX)240には有線又は無線を介して複数の電話機20が接続され、これらの電話機20の間の内線通話や、自セルの移動局(第2UE)12と電話機20との通話が可能になっている。また、コアネットワーク(EPC)210は、アプリケーション・サーバ(AS)230を介してインターネット700に接続されている。
【0016】
中継網300は、第1通信網100と第2通信網200との間の通信を中継するプロキシノード群からなる通信中継装置310を備えている。この通信中継装置310と、第1通信網100のコアネットワーク(EPC)110及び第2通信網200のコアネットワーク(EPC)210とは、LTEの所定のインターフェース(例えばS8インターフェース)400を介して接続されている。通信中継装置310は、移動局11、12に割り当てられた国際移動体加入者識別情報(IMSI)に基づいて、移動局11、12が相互にローミング可能になるように第1通信網100と第2通信網200との間でローミング処理を行うとともに通信網間の通信を中継するローミング制御装置としても機能する。
【0017】
図2は、本実施形態の通信システムにおける第1通信網100、第2通信網200及び中継網300のプロキシノード群310の主要構成の一例を示す図である。
第1通信網100は、EPC(コアネットワーク)と、HSS(ホーム加入者サーバ)114とを備えている。EPCは、MME(モビリティ・管理・エンティティ)111と、SGW(サービング・ゲートウェイ)112と、PGW(パケットデータ網・ゲートウェイ)113と、ポリシー課金制御装置であるPCRF(ポリシー課金ルール機能)115と、を備えている。MME111は、基地局(eNodeB)105を収容し、モビリティ制御などを提供する論理ノードである。また、SGW112は、MME111とPGW113との間でユーザデータを中継したり第2通信網200などの他の通信網のコアネットワーク側にユーザデータを転送したりする在圏パケットゲートウェイ(在圏パケット交換機)である。また、PGW113は、IPアドレスの割当てやSGW112へのパケット転送などを行うゲートウェイである。HSS114は、加入者情報の管理やサービス制御などを行うサーバである。また、PCRF115は、ユーザデータ転送のQoS(通信サービス品質)及び課金のための制御を行う論理ノードである。
【0018】
また、第2通信網200は、MME211とSGW212とPGW213とを有するEPC(コアネットワーク)と、HSS214とを備えている。
【0019】
また、中継網300の通信中継装置310は、第1通信網100と同様にHSS314とPCRF315とを備えるとともに、中継ノードとしてのMME/HSS311とSGW/PGW312とを備える。MME/HSS311は、第1通信網100側のMME111と第2通信網200側のHSS214との通信、及び第2通信網200側のMME211と第1通信網100側のHSS114との通信を中継する。また、SGW/PGW312は、第1通信網100側のSGW112と第2通信網200側のPGW213との通信、及び第2通信網200側のSGW212と第1通信網100側のPGW113との通信を中継する。
【0020】
また、本実施形態において、通信中継装置310のMME/HSS311及びSGW/PGW312は、移動局11、12に割り当てられた国際移動体加入者識別情報であるIMSI(International Mobile Subscriber Identity)に基づいて、移動局11、12が相互にローミング可能になるように第1通信網100と第2通信網200との間でローミング処理を行うとともに通信網間の通信を中継する。MME/HSS311及びSGW/PGW312の少なくとも一方は、ローミング処理に用いられる複数の第2通信網200に対応する複数の拡張通信網識別情報を記憶する記憶手段としてのデータベースを備える。
【0021】
表1は、通信中継装置310のデータベースに記憶される拡張通信網識別情報としての拡張通信網識別番号を少なくとも含むローミング処理用データの一例を示す。表1のローミング処理用データは、5桁の数字からなる拡張通信網識別情報と、第2通信網200の名称と、HSS214の接続情報と、PGW213の接続情報とを有する。また、通信中継装置310のデータベースには、第1通信網100側のローミング処理用データも格納されている。第1通信網100のローミング処理用データは、例えば、2桁の数字からなる通信事業者識別情報と、第1通信網100の名称と、HSS114の接続情報とを有する。
【表1】
【0022】
また、第2通信網200の移動局12に割り当てられる15桁のIMSIは、3桁の国識別番号割り当て部と、2桁の事業者識別番号割り当て部と、10桁の加入者識別番号割り当て部とを有する。このIMSIの10桁の加入者識別番号割り当て部の一部(本例では5桁)に、表1の拡張通信網識別番号が割り当てられる。また、IMSIの2桁の事業者識別番号割り当て部に、通信事業者識別番号が割り当てられる。
【0023】
中継網300のMME/HSS311は、次のような制御を行う制御手段としても機能する。すなわち、MME/HSS311は、複数の第2通信網200のいずれかをホーム網とする移動局(第2UE)12が他の第2通信網200又は第1通信網100に在圏するとき、その移動局12から受信したIMSIに含まれる拡張事業者識別番号と、前記データベースに記憶されている拡張通信網識別番号とに基づいて、移動局12のホーム網を判断し、移動局12による在圏網とホーム網との間のローミングを開始するように制御する。
【0024】
本実施形態の通信システムの第1通信網100、第2通信網200及び中継網300における各構成要素は、例えば個別の独立したコンピュータ装置で構成したり、共用される単一のコンピュータ装置で構成したりすることができる。また、前記各構成要素は、通信ネットワークで互いに接続された複数のコンピュータ装置の群で構成してもよい。
【0025】
図3は、
図2の通信システムにおいて第2通信網200をホーム網とする移動局(第2UE)12が第1通信網100に在圏するときのローミング処理の一例を示すシーケンス図である。
図3において、まず、第2通信網200をホーム網とする移動局である第2UE12が第1通信網100に在圏するときに第2UE12の電源をONにする(S101)と、第2UE12は、MME111に対して、IMSIを含む位置登録要求(アタッチ要求信号)を送信する(S102)。
【0026】
次に、第1通信網100のMME111は、第2UE12から受信した位置登録要求(アタッチ要求信号)に基づいて、第2通信網(ホーム網)200との間で連携した位置登録のために、中継網300のMME/HSS311に対して、第2UE12のIMSIを含む位置登録要求を送信する(S103)。MME/HSS311は、MME111から受信した位置登録要求に基づいて、第2UE12のIMSIを解析し、IMSIに含まれる拡張通信網識別番号と前記データベースの情報とに基づいて、第2UE12のホーム網を選択する(S104)。この中継網300による選択結果に基づいて、第1通信網100に在圏する第2UE12と、その第2UE12のホーム網である第2通信網200との間で、認証などの所定のセキュリティ手順が実行される(S105)。
【0027】
次に、第1通信網100のMME111は、中継網300を介して第2通信網200のHSS214に位置登録要求を送信する(S106)。第2通信網200のHSS214は、第1通信網100のMME111に、位置登録応答(Update Location Answer信号)を送信する(S107)。この位置登録応答の信号は、MME111がホーム網200のPGW213を選択するように設定される。例えば、位置登録応答の信号に含まれるSubscribed Data内のAPN(アクセスポイント名)に対応付けられる情報要素である「VPLMN Dynamic Address Allowed」の値が「(0):not allowed」に設定される。この設定により、MME111は、ホーム網200のPGW213を選択する(S108)。
【0028】
次に、在圏網(第1通信網)100のSGW112と、ホーム網200のPGW213と間でベアラ(QCI:QoS Class Identifierの値)が設定される(S109)。その後、在圏網(第1通信網)100のMME111は、アタッチが完了した旨のAttach Accept信号を第2UE12に送信する(S110)。
【0029】
以上の処理により第2UE12による第2通信網200と第1通信網100との間のローミングが開始され、第2通信網200をホーム網とする第2UE12が在圏網である第1通信網100で通信可能な状態になる。例えば、第1通信網100に在圏する第2UE12で、ホーム網の第2通信網200における内線番号の発着が可能になる。また、第1通信網100に在圏する第2UE12からホーム網の第2通信網200におけるイントラネットにアクセス可能になる。
【0030】
図4は、
図2の通信システムにおいて第1通信網100をホーム網とする移動局(第1UE)11が第2通信網200に在圏するときのローミング処理の一例を示すシーケンス図である。なお、
図4において、
図3と同様な部分については説明を省略する。
【0031】
図4において、まず、第1通信網100をホーム網とする移動局である第1UE11が複数の第2通信網200のいずれかに在圏するときに第1UE11の電源をONにする(S201)と、第1UE11は、MME211に対して、IMSIを含む位置登録要求(アタッチ要求信号)を送信する(S202)。
【0032】
次に、在圏網の第2通信網200のMME211は、第1UE11から受信した位置登録要求(アタッチ要求信号)に基づいて、第1通信網(ホーム網)100との間で連携した位置登録のために、中継網300のMME/HSS311に対して、第1UE11のIMSIを含む位置登録要求を送信する(S203)。MME/HSS311は、MME211から受信した位置登録要求に基づいて、第1UE11のIMSIを解析し、IMSIに含まれる事業者識別番号及び拡張通信網識別番号と前記データベースの情報とに基づいて、第1UE11のホーム網及び在圏網を選択する(S204)。この中継網300による選択結果に基づいて、第2通信網200に在圏する第1UE11と、その第1UE11のホーム網である第1通信網100との間で、認証などの所定のセキュリティ手順が実行される(S205)。
【0033】
次に、第2通信網200のMME211は、中継網300を介して第1通信網100のHSS114に位置登録要求を送信する(S206)。第1通信網100のHSS114は、第2通信網200のMME211に、位置登録応答(Update Location Answer信号)を送信する(S207)。この位置登録応答の信号に設定された情報により、MME211は、ホーム網100のPGW113を選択する(S208)。
【0034】
次に、在圏網(第2通信網)200のSGW212と、ホーム網100のPGW113と間でベアラ(QCIの値)が設定される(S209)。その後、在圏網(第2通信網)200のMME211は、アタッチが完了した旨のAttach Accept信号を第1UE11に送信する(S210)。
【0035】
以上の処理により第1UE11による第2通信網200と第1通信網100との間のローミングが開始され、第1通信網100をホーム網とする第1UE11が在圏網である第2通信網200で通信可能な状態になる。例えば、第2通信網200に在圏する第1UE11で、第2通信網200における内線番号の発着が可能になる。また、第2通信網200に在圏する第1UE11からVPNなしで第2通信網200におけるイントラネットにアクセス可能になる。
【0036】
なお、第1通信網100と第2通信網200との間のローミングを制御するローミング制御装置は、中継網300ではなく、第1通信網100に設けてもよいし、複数の第2通信網200のいずれかに設けてもよい。例えば、上記ローミング制御装置は、第1通信網100のMME11又はHSS114に設けてもよい。
【0037】
図5は、他の実施形態に係る通信システムの全体概略構成の一例を示す説明図であり、
図6は、同通信システムにおける第1通信網及び第2通信網の主要構成の一例を示す図である。なお、
図5、6において、
図1、2と共通する部分については同じ符号を付し、それらの説明は省略する。また、本実施形態において、第1通信網100と第2通信網200は、国際ローミング通信事業者等の一般的な中継網を介して通信してもよい。
【0038】
図5に示すように、本実施形態では、第1通信網100のコアネットワーク(EPC)110に前述のローミング制御装置が設けられ、第1通信網100のコアネットワーク(EPC)110と複数の第2通信網のコアネットワーク(EPC)210それぞれが、LTEの所定のインターフェース(例えばS8インターフェース)400を介して接続されている。
【0039】
また、
図6に示すように、本実施形態では、第1通信網100と第2通信網200とが中継網を介さずに通信を行っているが、中継網を介して通信を行ってもよい。
【0040】
図7は、
図6の通信システムにおいて第2通信網200をホーム網とする移動局(第2UE)12が第1通信網100に在圏するときのローミング処理の一例を示すシーケンス図である。なお、
図7において、
図3と共通する部分については説明を省略する。
【0041】
図7において、まず、第2通信網200をホーム網とする移動局である第2UE12が第1通信網100に在圏するときに第2UE12の電源をONにする(S301)と、第2UE12は、MME111に対して、IMSIを含む位置登録要求(アタッチ要求信号)を送信する(S302)。
【0042】
次に、第1通信網100のMME111は、第2UE12から受信した位置登録要求に基づいて、第2UE12のIMSIを解析し、IMSIに含まれる拡張通信網識別番号と前記データベースの情報とに基づいて、第2UE12のホーム網を選択する(S303)。このMME111による選択結果に基づいて、第1通信網100に在圏する第2UE12と、その第2UE12のホーム網である第2通信網200との間で、認証などの所定のセキュリティ手順が実行される(S304)。
【0043】
次に、第1通信網100のMME111は、第2UE12から受信した位置登録要求(アタッチ要求信号)に基づいて、上記選択した第2通信網(ホーム網)200との間で連携した位置登録のために、第2通信網200のHSS214に対して、第2UE12のIMSIを含む位置登録要求を送信する(S305)。第2通信網200のHSS214は、第1通信網100のMME111に、位置登録応答(Update Location Answer信号)を送信する(S306)。この位置登録応答の信号に設定された情報により、MME111は、ホーム網200のPGW213を選択する(S307)。
【0044】
次に、在圏網(第1通信網)100のSGW112と、ホーム網200のPGW213と間でベアラ(QCIの値)が設定される(S308)。その後、在圏網(第1通信網)100のMME111は、アタッチが完了した旨のAttach Accept信号を第2UE12に送信する(S309)。
【0045】
以上の処理により第2UE12による第2通信網200と第1通信網100との間のローミングが開始され、第2通信網200をホーム網とする第2UE12が在圏網である第1通信網100で通信可能な状態になる。例えば、第1通信網100に在圏する第2UE12で、ホーム網の第2通信網200における内線番号の発着が可能になる。また、第1通信網100に在圏する第2UE12からホーム網の第2通信網200におけるイントラネットにアクセス可能になる。
【0046】
図8は、更に他の実施形態に係る通信システムの全体概略構成の一例を示す説明図であり、
図9は、同通信システムにおける第1通信網100及び第2通信網200の主要構成の一例を示す図である。なお、
図8、9において、
図1、2と共通する部分については同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
【0047】
図8に示すように、本実施形態では、第1通信網100内にコアネットワーク(EPC)110とは別に前述のローミング制御装置140を備え、この第1通信網100のローミング制御装置140と複数の第2通信網のコアネットワーク(EPC)210それぞれが、LTEの所定のインターフェース(例えばS8インターフェース)400を介して接続されている。
【0048】
また、
図9に示すように、本実施形態では、第1通信網100のローミング制御装置140と第2通信網200のコアネットワーク(EPC)210とが中継網を介さずに通信を行っているが、中継網を介して通信を行ってもよい。
【0049】
図10は、
図9の通信システムにおいて第2通信網200をホーム網とする移動局(第2UE)12が第1通信網100に在圏するときのローミング処理の一例を示すシーケンス図である。なお、
図10において、
図3と共通する部分については説明を省略する。
【0050】
図10において、まず、第2通信網200をホーム網とする移動局である第2UE12が第1通信網100に在圏するときに第2UE12の電源をONにする(S401)と、第2UE12は、MME111に対して、IMSIを含む位置登録要求(アタッチ要求信号)を送信する(S402)。
【0051】
次に、第1通信網100のMME111は、第2UE12から受信した位置登録要求(アタッチ要求信号)に基づいて、第2通信網(ホーム網)200との間で連携した位置登録のために、MME/HSS141に対して、第2UE12のIMSIを含む位置登録要求を送信する(S403)。MME/HSS141は、MME111から受信した位置登録要求に基づいて、第2UE12のIMSIを解析し、IMSIに含まれる拡張通信網識別番号と前記データベースの情報とに基づいて、第2UE12のホーム網を選択する(S404)。このMME/HSS141による選択結果に基づいて、第1通信網100に在圏する第2UE12と、その第2UE12のホーム網である第2通信網200との間で、認証などの所定のセキュリティ手順が実行される(S405)。
【0052】
次に、第1通信網100のMME111は、第2通信網200のHSS214に位置登録要求を送信する(S406)。第2通信網200のHSS214は、第1通信網100のMME111に、位置登録応答(Update Location Answer信号)を送信する(S407)。この位置登録応答の信号は、MME111がホーム網200のPGW213を選択するように設定される。この設定により、MME111は、ホーム網200のPGW213を選択する(S408)。
【0053】
次に、在圏網(第1通信網)100のSGW112と、ホーム網200のPGW213と間でベアラ(QCI:QoS Class Identifierの値)が設定される(S409)。その後、在圏網(第1通信網)100のMME111は、アタッチが完了した旨のAttach Accept信号を第2UE12に送信する(S410)。
【0054】
以上の処理により第2UE12による第2通信網200と第1通信網100との間のローミングが開始され、第2通信網200をホーム網とする第2UE12が在圏網である第1通信網100で通信可能な状態になる。例えば、第1通信網100に在圏する第2UE12で、ホーム網の第2通信網200における内線番号の発着が可能になる。また、第1通信網100に在圏する第2UE12からホーム網の第2通信網200におけるイントラネットにアクセス可能になる。
【0055】
図11は、
図9の通信システムにおいて第1通信網100をホーム網とする移動局(第1UE)11が第2通信網200に在圏するときのローミング処理の一例を示すシーケンス図である。なお、
図11において、
図3、4と同様な部分については説明を省略する。
【0056】
図11において、まず、第1通信網100をホーム網とする移動局である第1UE11が複数の第2通信網200のいずれかに在圏するときに第1UE11の電源をONにする(S501)と、第1UE11は、MME211に対して、IMSIを含む位置登録要求(アタッチ要求信号)を送信する(S502)。
【0057】
次に、在圏網の第2通信網200のMME211は、第1UE11から受信した位置登録要求(アタッチ要求信号)に基づいて、第1通信網(ホーム網)100との間で連携した位置登録のために、第1通信網100のMME/HSS141に対して、第1UE11のIMSIを含む位置登録要求を送信する(S503)。MME/HSS141は、MME211から受信した位置登録要求に基づいて、第1UE11のIMSIを解析し、IMSIに含まれる事業者識別番号及び拡張通信網識別番号と前記データベースの情報とに基づいて、第1UE11のホーム網及び在圏網を選択する(S504)。このMME/HSS141による選択結果に基づいて、第2通信網200に在圏する第1UE11と、その第1UE11のホーム網である第1通信網100との間で、認証などの所定のセキュリティ手順が実行される(S505)。
【0058】
次に、第2通信網200のMME211は、第1通信網100のHSS114に位置登録要求を送信する(S506)。第1通信網100のHSS114は、第2通信網200のMME211に、位置登録応答(Update Location Answer信号)を送信する(S507)。この位置登録応答の信号に設定された情報により、MME211は、ホーム網100のPGW113を選択する(S508)。
【0059】
次に、在圏網(第2通信網)200のSGW212と、ホーム網100のPGW113と間でベアラ(QCIの値)が設定される(S509)。その後、在圏網(第2通信網)200のMME211は、アタッチが完了した旨のAttach Accept信号を第1UE11に送信する(S510)。
【0060】
以上の処理により第1UE11による第2通信網200と第1通信網100との間のローミングが開始され、第1通信網100をホーム網とする第1UE11が在圏網である第2通信網200で通信可能な状態になる。例えば、第2通信網200に在圏する第1UE11で、第2通信網200における内線番号の発着が可能になる。また、第2通信網200に在圏する第1UE11からVPNなしで第2通信網200におけるイントラネットにアクセス可能になる。
【0061】
図12は、更に他の実施形態に係る通信システムの全体概略構成の一例を示す説明図であり、
図13は、同通信システムにおける第1通信網100、第2通信網100、及び第2通信網専用の中継通信事業者の自営中継網250の主要構成の一例を示す図である。なお、本実施形態では、第1通信網100がキャリア通信網であり、第2通信網200が自営通信網であるが、第1通信網100及び第2通信網200の両方がキャリア通信網であってもよく、第1通信網100及び第2通信網200の両方が自営通信網であってもよい。また、
図12、13において、
図1、2と共通する部分については同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
【0062】
図12に示すように、本実施形態では、第2通信網(自営通信網)専用の中継通信事業者である自営通信事業者の自営中継網250を複数備え、各自営中継網250に複数の第2通信網(自営通信網)200が接続されている。各自営中継網250は、第1通信網100と第2通信網200との間の通信を中継するプロキシノード群からなる通信中継装置251を備えている。この通信中継装置251と、第1通信網100のコアネットワーク(EPC)110及び第2通信網200のコアネットワーク(EPC)210とは、LTEの所定のインターフェース(例えばS8インターフェース)400を介して接続されている。また、各通信中継装置251は、移動局11、12に割り当てられた国際移動体加入者識別情報(IMSI)に基づいて、移動局11、12が相互にローミング可能になるように第1通信網100と第2通信網200との間でローミング処理を行うとともに通信網間の通信を中継するローミング制御装置としても機能する。
【0063】
本実施形態において、複数の第2通信網(自営通信網)200が接続される自営通信事業者の複数の自営中継網250それぞれには、キャリア通信網と同様に、IMSIの2桁の事業者識別番号割り当て部に設定される事業者識別番号が割り当てられている。また、自営中継網250の通信中継装置251に接続される複数の第2通信網(自営通信網)200には、IMSIの10桁の加入者識別番号割り当て部の一部(本例では5桁)に設定される前述の拡張通信網識別番号が割り当てられている。
【0064】
なお、
図13に示すように、本実施形態では、第1通信網100と自営中継網250とが他の中継網を介さずに通信を行っているが、他の中継網を介して通信を行ってもよい。
【0065】
図14は、
図13の通信システムにおいて第1の自営中継網250に接続された第2通信網(自営通信網)200をホーム網とする移動局(第2UE)12が第1通信網100に在圏するときのローミング処理の一例を示すシーケンス図である。
図14において、まず、第1の自営中継網250に接続された第2通信網200をホーム網とする移動局である第2UE12が第1通信網100に在圏するときに第2UE12の電源をONにする(S601)と、第2UE12は、MME111に対して、IMSIを含む位置登録要求(アタッチ要求信号)を送信する(S602)。
【0066】
次に、第1通信網100のMME111は、第2UE12から受信したIMSIを含む位置登録要求(アタッチ要求信号)に基づいて、第2通信網(ホーム網)200との間で連携した位置登録のために、自営中継網250のMME/HSS251に対して、第2UE12のIMSIを含む位置登録要求を送信する(S603)。MME/HSS251は、MME111から受信した位置登録要求に基づいて、第2UE12のIMSIを解析し、IMSIに含まれる拡張通信網識別番号と前記データベースの情報とに基づいて、第2UE12のホーム網を選択する(S604)。この自営中継網250による選択結果に基づいて、第1通信網100に在圏する第2UE12と、その第2UE12のホーム網である第2通信網200との間で、認証などの所定のセキュリティ手順が実行される(S605)。
【0067】
次に、第1通信網100のMME111は、自営中継網250を介して第2通信網(自営通信網)200のHSS214に位置登録要求を送信する(S606)。第2通信網200のHSS214は、第1通信網100のMME111に、位置登録応答(Update Location Answer信号)を送信する(S607)。この位置登録応答の信号は、MME111がホーム網200のPGW213を選択するように設定される。この設定により、MME111は、ホーム網200のPGW213を選択する(S608)。
【0068】
次に、在圏網(第1通信網)100のSGW112と、ホーム網200のPGW213と間でベアラ(QCI:QoS Class Identifierの値)が設定される(S609)。その後、在圏網(第1通信網)100のMME111は、アタッチが完了した旨のAttach Accept信号を第2UE12に送信する(S610)。
【0069】
以上の処理により第2UE12による第1の自営中継網250に接続された第2通信網(自営通信網)200と第1通信網100との間のローミングが開始され、第2通信網200をホーム網とする第2UE12が在圏網である第1通信網100で通信可能な状態になる。例えば、第1通信網100に在圏する第2UE12で、ホーム網の第2通信網200における内線番号の発着が可能になる。また、第1通信網100に在圏する第2UE12からホーム網の第2通信網200におけるイントラネットにアクセス可能になる。
【0070】
図15は、
図13の通信システムにおいて第1通信網100をホーム網とする移動局(第1UE)11が第1の自営中継網250に接続された第2通信網(自営通信網)200に在圏するときのローミング処理の一例を示すシーケンス図である。なお、
図15において、
図14と同様な部分については説明を省略する。
【0071】
図15において、まず、第1通信網100をホーム網とする移動局である第1UE11が第1の自営中継網250に接続された複数の第2通信網200のいずれかに在圏するときに第1UE11の電源をONにする(S701)と、第1UE11は、MME211に対して、IMSIを含む位置登録要求(アタッチ要求信号)を送信する(S702)。
【0072】
次に、在圏網の第2通信網200のMME211は、第1UE11から受信した位置登録要求(アタッチ要求信号)に基づいて、第1通信網(ホーム網)100との間で連携した位置登録のために、第1の自営中継網2500のMME/HSS251に対して、第1UE11のIMSIを含む位置登録要求を送信する(S703)。MME/HSS251は、MME211から受信した位置登録要求に基づいて、第1UE11のIMSIを解析し、IMSIに含まれる事業者識別番号及び拡張通信網識別番号と前記データベースの情報とに基づいて、第1UE11のホーム網及び在圏網を選択する(S704)。この自営中継網250による選択結果に基づいて、第2通信網200に在圏する第1UE11と、その第1UE11のホーム網である第1通信網100との間で、認証などの所定のセキュリティ手順が実行される(S705)。
【0073】
次に、第2通信網200のMME211は、第1の自営中継網250を介して第1通信網100のHSS114に位置登録要求を送信する(S706)。第1通信網100のHSS114は、第2通信網200のMME211に、位置登録応答(Update Location Answer信号)を送信する(S707)。この位置登録応答の信号に設定された情報により、MME211は、ホーム網100のPGW113を選択する(S708)。
【0074】
次に、在圏網(第2通信網)200のSGW212と、ホーム網100のPGW113と間でベアラ(QCIの値)が設定される(S709)。その後、在圏網(第2通信網)200のMME211は、アタッチが完了した旨のAttach Accept信号を第1UE11に送信する(S710)。
【0075】
以上の処理により第1UE11による第1の自営中継網250に接続された第2通信網(自営通信網)200と第1通信網100との間のローミングが開始され、第1通信網100をホーム網とする第1UE11が在圏網である第2通信網200で通信可能な状態になる。例えば、第2通信網200に在圏する第1UE11で、第2通信網200における内線番号の発着が可能になる。また、第2通信網200に在圏する第1UE11からVPNなしで第2通信網200におけるイントラネットにアクセス可能になる。
【0076】
以上、上記各実施形態によれば、IMSIの加入者識別番号割り当て部の一部に複数の第2通信網を識別可能な拡張通信網識別番号を割り当てているため、IMSIの2桁の事業者識別番号割り当て部に第2通信網の識別番号を割り当てる場合に比して、ローミング対象として識別可能な第2通信網の数を飛躍的に増やすことができる。従って、第2通信網が増えた場合でも第2通信網と第1通信網との間で移動局がローミング可能になる。