特許第6422963号(P6422963)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6422963
(24)【登録日】2018年10月26日
(45)【発行日】2018年11月14日
(54)【発明の名称】ワイヤレス誘導給電
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/10 20160101AFI20181105BHJP
   H02J 50/70 20160101ALI20181105BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20181105BHJP
   H04B 5/02 20060101ALI20181105BHJP
   H04B 1/59 20060101ALI20181105BHJP
【FI】
   H02J50/10
   H02J50/70
   H02J50/80
   H04B5/02
   H04B1/59
【請求項の数】27
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2016-526505(P2016-526505)
(86)(22)【出願日】2014年7月1日
(65)【公表番号】特表2016-529862(P2016-529862A)
(43)【公表日】2016年9月23日
(86)【国際出願番号】EP2014063963
(87)【国際公開番号】WO2015007518
(87)【国際公開日】20150122
【審査請求日】2017年6月30日
(31)【優先権主張番号】13176799.8
(32)【優先日】2013年7月17日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ジョーイ ネイル フランシス
(72)【発明者】
【氏名】ファン ヴァーヘニンゲン アンドリース
(72)【発明者】
【氏名】エッツ ウィルヘルムス ゲラルドゥス マリア
【審査官】 宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/036702(WO,A1)
【文献】 特開2009−247125(JP,A)
【文献】 特開2009−253649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K17/00−19/18
H02J7/00−7/12、
7/34−7/36、
50/00−50/90
H04B1/00、
1/30、
1/59、
1/72、
5/00−5/06、
11/00−13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス誘導給電信号によってパワーレシーバに給電をもたらすパワートランスミッタを含むワイヤレス給電システム用の装置であって、
給電フェーズ中に前記給電信号は、周期的反復給電信号タイムフレームの電力時間間隔中に供給され、前記給電信号タイムフレームは、低下電力時間間隔を更に含み、前記給電信号の電力は、前記電力時間間隔と比較して、前記低下電力時間間隔にわたって減らされ、
前記装置は、
前記給電信号の伝送用の給電インダクタと、
短距離通信用の通信アンテナと、
前記短距離通信を用いて、前記パワートランスミッタ及び前記パワーレシーバの少なくとも一方である第2の要素とデータメッセージを通信する、前記通信アンテナと結合され前記給電信号とは別個のキャリア信号を使用する、短距離通信ユニットと、
前記短距離通信が前記低下電力時間間隔に限定されるように前記短距離通信を前記給電信号タイムフレームに同期させるシンクロナイザとを含み、
前記短距離通信ユニットは、前記データメッセージが前記第2の要素から受信される前記低下電力時間間隔に対して後続の低下電力時間間隔内で、前記第2の要素から受信された前記データメッセージに返答する、
装置。
【請求項2】
前記周期的反復給電信号タイムフレームは、5Hz以上200Hz以下の繰り返し周波数を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記短距離通信は、20cm以下の範囲である、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記キャリア信号のキャリア周波数は、前記給電信号の周波数の2倍以上である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
第1のタイムフレームにおける前記低下電力時間間隔中の前記給電信号の電力レベルは、前記第1のタイムフレーム中の前記電力時間間隔中の前記給電信号の電力レベルの20%以下である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記短距離通信は近距離無線通信(NFC通信)であり、前記短距離通信ユニットは、前記第2の要素に対する短距離通信リンクを開始するイニシエータとして動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記短距離通信ユニットは、給電フェーズに入る前に、少なくとも第1の動作を行い、前記少なくとも第1の動作は、前記第2の要素の通信能力の検出と、通信コリジョンの検出と、前記装置と前記第2の要素との間の通信セッション初期化と、前記第2の要素のデバイス起動とから選択される動作を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記短距離通信ユニットは、前記第2の要素へ装置の識別を繰り返し送信する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
期待識別値と一致する前記第2の要素の識別の指標を受信しないことに応じて、給電を阻止する給電コントローラを更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
パワートランスミッタである、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
ワイヤレス誘導給電信号によってパワーレシーバに給電をもたらすパワートランスミッタを含むワイヤレス給電システム用の装置であって、
給電フェーズ中に前記給電信号は、周期的反復給電信号タイムフレームの電力時間間隔中に供給され、前記給電信号タイムフレームは、低下電力時間間隔を更に含み、前記給電信号の電力は、前記電力時間間隔と比較して、前記低下電力時間間隔にわたって減らされ、
前記装置は、
前記給電信号の伝送用の給電インダクタと、
短距離通信用の通信アンテナと、
前記短距離通信を用いて、前記パワートランスミッタ及び前記パワーレシーバの少なくとも一方である第2の要素とデータメッセージを通信する、前記通信アンテナと結合され、前記給電信号とは別個のキャリア信号を使用する、短距離通信ユニットと、
前記短距離通信が前記低下電力時間間隔に限定されるように前記短距離通信を前記給電信号タイムフレームに同期させるシンクロナイザと、
周期的に変動する電源信号を提供する電源と
前記電源信号から送電インダクタ用の駆動信号を生成する給電信号生成器であって、前記電源信号の周期変動の周波数よりも高くなるように駆動信号の周波数を生成する周波数変換器、及び前記送電インダクタに供給される前記駆動信号の電力を前記低下電力時間間隔における閾値を下回るように制限するリミッタを含む給電信号生成器と、
前記低下電力時間間隔を前記電源信号の周期変動に同期させる電源シンクロナイザと、を含む、装置。
【請求項12】
前記電源信号の周期変動の周波数は1kHz未満である、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記電源シンクロナイザは、前記電源信号の絶対値の周期最小値に対応するように前記低下電力時間間隔を同期させる、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
ワイヤレス誘導給電信号によってパワーレシーバに給電をもたらすパワートランスミッタを含むワイヤレス給電システム用の装置であって、
給電フェーズ中に前記給電信号は、周期的反復給電信号タイムフレームの電力時間間隔中に供給され、前記給電信号タイムフレームは、低下電力時間間隔を更に含み、前記給電信号の電力は、前記電力時間間隔と比較して、前記低下電力時間間隔にわたって減らされ、
前記装置は、
前記給電信号の伝送用の給電インダクタと、
短距離通信用の通信アンテナと、
前記短距離通信を用いて、前記パワートランスミッタ及び前記パワーレシーバの少なくとも一方である第2の要素とデータメッセージを通信する、前記通信アンテナと結合され、前記給電信号とは別個のキャリア信号を使用する、短距離通信ユニットと、
前記短距離通信が前記低下電力時間間隔に限定されるように前記短距離通信を前記給電信号タイムフレームに同期させるシンクロナイザと、
給電コントローラと、を含み、
前記短距離通信ユニットは、前記短距離通信によって通信され得る可能性のある通信要素の検出を行い、
前記給電コントローラは、2つ以上の可能性のある通信要素が検出された場合に給電を阻止する
置。
【請求項15】
前記第2の要素から予期された応答メッセージが時間間隔内に受信されないという検出に応じて、給電を阻止する給電コントローラを更に含む、請求項10に記載の装置。
【請求項16】
前記第2の要素からの無線信号の欠如の検出に応じて、給電を阻止する給電コントローラを更に含む、請求項10に記載の装置。
【請求項17】
パワーレシーバである、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記第2の要素からの通信信号の欠如の検出に応じて、前記パワーレシーバの負荷に対する電力を減らすコントローラを更に含む、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記第2の要素からの通信信号の欠如の検出に応じて、ユーザアラートを生成するユーザインタフェースを更に含む、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記短距離通信ユニットは、前記給電信号が存在しているという検出に応じて、前記第2の要素との通信リンクの終了を阻止する、請求項17に記載の装置。
【請求項21】
前記シンクロナイザは、前記給電信号の電力周期変動に応じて、前記給電信号タイムフレームのタイミングを決定する、請求項17に記載の装置。
【請求項22】
前記短距離通信ユニットは、前記データメッセージが前記第2の要素から受信される前記低下電力時間間隔中に、前記第2の要素から受信された前記データメッセージに返答する、請求項11又は14に記載の装置。
【請求項23】
ワイヤレス誘導給電信号によってパワーレシーバに給電をもたらすパワートランスミッタを含むワイヤレス給電システムの動作方法であって、前記給電信号は、5Hz以上200Hz以下の繰り返し周波数を有する周期的反復給電信号タイムフレームの電力時間間隔中に供給され、前記給電信号タイムフレームは、低下電力時間間隔を更に含み、前記給電信号の電力は、前記電力時間間隔と比較して、前記低下電力時間間隔にわたって減らされ、
前記動作方法は、
給電フェーズ中に、前記給電信号とは別個のキャリア信号に基づいた短距離通信を用いて、及び、前記給電信号の伝送の為の給電インダクタとは異なる通信アンテナを用いて、前記パワートランスミッタ及び前記パワーレシーバの少なくとも一方である第2の要素とデータメッセージを通信するステップと
前記短距離通信が前記低下電力時間間隔に限定されるように前記短距離通信を前記給電信号タイムフレームに同期させるステップとを含み、
前記通信するステップが、前記データメッセージが前記第2の要素から受信される前記低下電力時間間隔に対して後続の低下電力時間間隔内で、前記第2の要素から受信された前記データメッセージに返答することを含む、
動作方法。
【請求項24】
ワイヤレス誘導給電信号によってパワーレシーバに給電をもたらすパワートランスミッタを含むワイヤレス給電システムの動作方法であって、前記給電信号は、周期的反復給電信号タイムフレームの電力時間間隔中に供給され、前記給電信号タイムフレームは、低下電力時間間隔を更に含み、前記給電信号の電力は、前記電力時間間隔と比較して、前記低下電力時間間隔にわたって減らされ、
前記動作方法は、
給電フェーズ中に、前記給電信号とは別個のキャリア信号に基づいた短距離通信を用いて、及び、前記給電信号の伝送の為の給電インダクタとは異なる通信アンテナを用いて、前記パワートランスミッタ及び前記パワーレシーバの少なくとも一方である第2の要素とデータメッセージを通信するステップと、
前記短距離通信が前記低下電力時間間隔に限定されるように前記短距離通信を前記給電信号タイムフレームに同期させるステップと、
電源から供給される周期的に変動する電源信号から送電インダクタ用の駆動信号を生成するステップであって、前記電源信号の周期変動の周波数よりも高くなるように駆動信号の周波数を生成し、前記送電インダクタに供給される前記駆動信号の電力を前記低下電力時間間隔における閾値を下回るように制限する、ステップと、
前記低下電力時間間隔を前記電源信号の周期変動に同期させるステップと、を含む、
動作方法。
【請求項25】
ワイヤレス誘導給電信号によってパワーレシーバに給電をもたらすパワートランスミッタを含むワイヤレス給電システムの動作方法であって、前記給電信号は、周期的反復給電信号タイムフレームの電力時間間隔中に供給され、前記給電信号タイムフレームは、低下電力時間間隔を更に含み、前記給電信号の電力は、前記電力時間間隔と比較して、前記低下電力時間間隔にわたって減らされ、
前記動作方法は、
給電フェーズ中に、前記給電信号とは別個のキャリア信号に基づいた短距離通信を用いて、及び、前記給電信号の伝送の為の給電インダクタとは異なる通信アンテナを用いて、前記パワートランスミッタ及び前記パワーレシーバの少なくとも一方である第2の要素とデータメッセージを通信するステップと、
前記短距離通信が前記低下電力時間間隔に限定されるように前記短距離通信を前記給電信号タイムフレームに同期させるステップと、を含み、
前記通信するステップは、前記短距離通信によって通信され得る可能性のある通信要素の検出を行い、2つ以上の可能性のある通信要素が検出された場合に給電を阻止する、
動作方法。
【請求項26】
前記周期的反復給電信号タイムフレームは、5Hz以上200Hz以下の繰り返し周波数を有する、請求項23乃至25のいずれか一項に記載の動作方法。
【請求項27】
前記短距離通信は、20cm以下の範囲である、請求項23乃至26のいずれか一項に記載の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導給電に関し、特に、限定されるものではないが、Qiワイヤレス給電規格に従った誘導給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力をデバイスに供給する為に、多くのシステムは、配線及び/又は電気接点を必要とする。これらのワイヤ及び接点を省くことは、ユーザ体験の向上を提供する。従来、これは、デバイス内に配置されたバッテリを用いて達成されてきたが、この方法は、余分な重量、嵩、及びバッテリを頻繁に交換又は再充電する必要性を含む幾つかの欠点を有する。最近では、ワイヤレス誘導給電を使用した方法が益々関心を集めている。
【0003】
この関心の高まりの一部は、この10年間に爆発的に増えたポータブル及びモバイルデバイスの数及び種類によるものである。例えば、携帯電話、タブレット、メディアプレーヤー等の使用は、至る所で行われるようになった。このようなデバイスは、通常、内蔵バッテリによって電力を供給され、一般的な使用ケースは、多くの場合、バッテリの再充電又は外部電源からの直接配線によるデバイスの電力供給を必要とする。
【0004】
上述の通り、殆どの現在のデバイスは、外部電源から電力供給される為に配線及び/又は明確な電気接点を必要とする。しかしながら、これは、非実用的となる傾向があり、及びユーザが物理的にコネクタを挿入する又はそうでなければ物理的電気接点を確立することを必要とする。また、ワイヤの長さを導入することによって、ユーザにとって不便となる傾向がある。一般的に、電力要件も大きく異なり、現在では殆どのデバイスが独自の専用電源を備えており、一般的なユーザが多数の異なる電源(各電源が特定のデバイス専用である)を有する結果となっている。内蔵バッテリは、外部電源への有線接続の必要性を無くし得るが、この方法は、バッテリが再充電(又は高価な交換)を必要とする為、部分的な解決策を提供するだけである。バッテリの使用は、大幅に重量も増加させ得、且つ潜在的にデバイスのコスト及びサイズも増加させ得る。
【0005】
著しく向上されたユーザ体験を提供する為に、パワートランスミッタデバイス内のトランスミッタコイルから個々のデバイス内のレシーバコイルへと誘導的に給電されるワイヤレス電源の使用が提案されている。
【0006】
磁気誘導による送電は、多くの場合、一次トランスミッタコイルと二次レシーバコイルとの間の強結合を有する変圧器に適用されるよく知られた概念である。2つのデバイス間で一次トランスミッタコイル及び二次レシーバコイルを分けることによって、弱結合の変圧器の原理に基づいて、デバイス間のワイヤレス給電が可能となる。
【0007】
このような構成は、ワイヤ又は物理的電気接続を全く必要とすることなく、デバイスへのワイヤレス給電を可能にする。実際それは、再充電又は外部から電力供給される為に、単にデバイスがトランスミッタコイルに隣接して又はその上に配置されることを可能にすることができる。例えば、パワートランスミッタデバイスは、電力供給される為に単にデバイスを上に配置することができる水平面を有して構成されてもよい。
【0008】
更に、このようなワイヤレス給電構成は、パワートランスミッタデバイスを様々なパワーレシーバデバイスと共に使用できるように有利に設計することができる。具体的には、Qi規格として知られるワイヤレス給電規格が定義されており、現在更に開発されているところである。この規格は、Qi規格に適合するパワートランスミッタデバイスが、同じくQi規格に適合するパワーレシーバデバイスと共に使用されることを、これらが同じメーカーのものである又は互いに専用のものである必要無しに可能にする。Qi規格は、(例えば、特定の電力消耗に依存して)動作が特定のパワーレシーバデバイスに適応されることを可能にする幾つかの機能性を更に含む。
【0009】
Qi規格は、ワイヤレスパワーコンソーシアム(Wireless Power Consortium)によって開発され、より詳しい情報は、例えばそのウェブサイト:
http://www.wirelesspowerconsortium.com/index.html(具体的には、定義された規格の文献を見ることができる)
で見ることができる。
【0010】
パワートランスミッタ及びパワーレシーバの相互作用及び相互運用性をサポートする為には、これらのデバイスが互いに通信できることが好ましい、即ち、パワートランスミッタとパワーレシーバとの間の通信がサポートされると望ましく、通信が両方向にサポートされると好ましい。
【0011】
Qi規格は、パワーレシーバからパワートランスミッタへの通信をサポートし、それによって、パワートランスミッタが特定のパワーレシーバに適応することを可能にし得る情報をパワーレシーバが提供することを可能にする。現在の規格では、パワーレシーバからパワートランスミッタへの一方向通信リンクが定義されており、この方法は、パワーレシーバが制御素子であるという視点に基づいている。パワートランスミッタとパワーレシーバとの間の給電の準備及び制御を行う為に、パワーレシーバは、具体的に情報をパワートランスミッタへと伝える。
【0012】
一方向通信は、パワーレシーバによって二次レシーバコイルに印加される負荷が給電信号の変調をもたらす為に変えられる負荷変調を行うパワーレシーバによって達成される。その結果生じる電気特性の変化(例えば、電流引き込みの変動)は、パワートランスミッタによって検出及び復号(復調)することができる。
【0013】
しかしながら、Qiシステムの限界は、パワートランスミッタからパワーレシーバへの通信をサポートしない(少なくともlow power Qi specificationにおいて)点である。更に、Qi用に開発されたような負荷変調は、一部の適用例では準最適となる場合がある。
【0014】
実際、Qiシステム等の給電システムにおけるレシーバとトランスミッタとの間の通信は、複数の課題及び困難に直面する。具体的には、給電信号の要件及び特徴と、通信の要望との間に矛盾が一般的に存在する。一般的に、システムは、給電機能と通信機能との間に緊密なインタラクションを必要とする。例えば、システムは、1つのみの信号(つまり給電信号自体)がトランスミッタとパワーレシーバとの間に誘導的に結合されるという概念に基づいて設計される。しかしながら、給電を行う為だけでなく情報を運ぶ為にも給電信号自体を使用することは、困難をもたらす。
【0015】
例えば、多くのケースでは、給電信号振幅は、動的及び周期的に変動している場合があり、その結果、給電信号が必ずしも変調に適しているとは限らない。実際、給電信号振幅が一時的に実質的にゼロにまで減らされると、直接的、例えばパワートランスミッタからパワーレシーバへの通信を提供する為の給電信号の振幅又は周波数変調、又はパワーレシーバからパワートランスミッタへの通信を提供する為の給電信号の負荷変調であろうと、変調を行うべき信号が存在しない。
【0016】
別の例として、パワーレシーバが負荷変調によってデータを伝える負荷変調方法の使用(Qiシステムにおいて等)は、通常負荷が比較的一定であることを必要とする。しかしながらこれは、多くの適用例において保証することができない。
【0017】
例えば、モータ駆動の電化製品(例えばミキサー等)に電力供給を行う為にワイヤレス給電が用いられる場合、この電流の振幅は、モータの負荷に強く関連付けられる。モータの負荷が変化していると、モータの電流も同様に変化している。これは、負荷と共に変化するインバータ電流の振幅をもたらす。この負荷の変動は、負荷変調を妨げ、通信の低下をもたらす。実際、実行する上で、負荷の一部としてモータを含む負荷の負荷変調を検出することは一般的に非常に困難である。
【0018】
このような問題点に対処する為に、パワートランスミッタとパワーレシーバとの間の通信を提供する完全に分離した通信技術を使用することが提案されている。しかしながら、このような方法は一部の問題を解決することができる一方で、それは一般的に他の欠点を導入する。
【0019】
例えば、それは、一般的に、給電に関与する2つのグループ間ではない通信が確立され得る危険性を導入する。これは、一般的に、不完全な及び潜在的に安全性の低い動作につながる。例えば、別個の通信チャネルの使用は、異なる給電動作の動作間の干渉をもたらし得、結果として、過剰な電力レベルを有する望ましくない状況をもたらし得る。例えば、制御動作は、例えば、別の近くのパワーレシーバの給電を制御する為に使用されている1つの給電動作のパワーレシーバからの制御データによって、互いに干渉し合う場合がある。通信信号と給電信号との間の分離は、ロバスト性の低い及びフェイルセーフ性の低い動作をもたらし得る。
【0020】
従って、改良された給電システムが有利となる、並びに、具体的には、通信サポートの向上、信頼性の向上、柔軟性の向上、実施の容易化、負荷変動に対する感度の低下、安全性の向上及び/又は性能の向上を可能にするシステムが有利となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
従って、本発明は、上述の欠点の1つ又は複数を個々に又は任意の組み合わせで、好ましくは軽減する、緩和する又は取り除くことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の一態様によれば、ワイヤレス誘導給電信号によってパワーレシーバに給電をもたらすように構成されたパワートランスミッタを含むワイヤレス給電システム用の装置が提供され、給電フェーズ中に給電信号は、反復給電信号タイムフレームの電力時間間隔中に供給され、給電信号タイムフレームは、低下電力時間間隔を更に含み、給電信号の電力は、電力時間間隔と比較して、低下電力時間間隔にわたって減らされ、この装置は、給電信号の伝送用の給電インダクタ;短距離通信用の通信アンテナ;短距離通信を用いて、パワートランスミッタ及びパワーレシーバの少なくとも一方である第2の要素とデータメッセージを通信するように構成された短距離通信ユニットであって、短距離通信は、20cm以下の範囲を有し、給電信号とは別個のキャリア信号を使用する、短距離通信ユニット;並びに短距離通信が低下電力時間間隔に限定されるように短距離通信を給電信号タイムフレームに同期させるように構成されたシンクロナイザを含む。
【0023】
本発明は、多くの給電システムにおいて、向上した通信及び/又は向上した、より信頼性のある、若しくは潜在的により安全な動作を提供することができる。
【0024】
この方法は、具体的に多くのケースにおいて、給電信号とは分離した別個の通信チャネルを使用する利点を、通常それに関連する潜在的なリスク及び欠点を導入することなく提供することができる。
【0025】
本発明は、電磁信号に基づいた別個のシステム間の向上した相互作用を可能にすることができる。この方法は、分離した電力供給及び通信を可能にすることができ、それによって、各々の個別の最適化を可能にする。加えて、この方法は、共に小さな空間内に共存する電磁信号に基づいた異なるシステム間の干渉を軽減することができる。特に、この方法は、非常に強い磁場が給電信号によって生成される給電フェーズ中に通信を行いながらも、通信を電力供給から分離させることを可能にすることができる。
【0026】
実際、本発明は、短距離誘導給電の使用と短距離通信システムとを、両者の干渉を回避又は軽減しながら組み合わせることができ、それによって、信頼できる動作が実現されることを可能にする。本発明者らは、別個の通信リンクの使用が、2つ以上のパワーレシーバ又はパワートランスミッタの存在が望ましくない影響をもたらし得るリスクを導入し得ること、及びこれらの影響を、誘導給電の範囲に相当する範囲を有する通信リンクを使用することによって軽減できることに気付いた。本発明者らは、2つの短距離磁場のニーズ間の(及び特に非常に強い磁場である給電信号磁場に対する)明白な矛盾にもかかわらず、そのような短距離通信及び給電動作を共存及び協働するようにさせることができることに更に気付いた。
【0027】
従って、この方法は、非常に短距離の給電及び通信の両方を有することによる利点を、給電及び通信の両方が短距離であることの欠点を同時に克服しながら提供することができる。この方法は、具体的には、短距離通信は、電力をパワーレシーバに供給することに起因する強い干渉によって、ワイヤレス給電システムにおいて実用的ではないという先入観を克服することができる。本発明は、通信の要件に適応するように給電動作を変更することができる。従って、通信方法を連続給電要件に適合するように適応させる従来の方法ではなく、本システムは、逆の方法を取り、給電特性を短距離通信システムの導入に関連する要件に適応させる。従って、電力供給の観点からの給電動作を、通信性能及び短距離通信システムを使用する動作上の利点とトレードオフすることができる。
【0028】
この方法は、具体的には、より信頼性のある動作を可能にすることができ、且つ複数の給電要素(レシーバ又はトランスミッタ)の動作及び互いに近接し得る給電間の干渉のリスクを低減することができる。この方法は、双方向通信、より速いデータ速度通信及び/又はより信頼性のある通信を含む、実質的に向上した通信も可能にすることができる。
【0029】
装置がパワートランスミッタである場合、第2の要素は、パワーレシーバでもよい。装置がパワーレシーバである場合、第2の要素は、パワートランスミッタでもよい。
【0030】
20cmの通信範囲は、一部の実施形態では、既定の方向で、具体的には、給電信号を発する平面パワートランスミッタコイルが形成される平面の方向で測定されてもよい。
【0031】
シンクロナイザユニットは、低下電力時間間隔中に行われるようにデータ交換を同期させるように構成されてもよい。シンクロナイザは、一部の実施形態では、低下電力時間間隔中にのみデータを送信するように、装置の送信機能を同期させてもよい。一部の実施形態又はケースでは、送信機能は、例えばキャリアを他の時間間隔中(具体的には、電力時間間隔中)に送信することができるが、データ通信が低下電力時間間隔中に存在するように限定することができる。シンクロナイザは、一部の実施形態では、装置の受信機能を、低下電力時間間隔中にのみデータを受信するように同期させてもよい。
【0032】
一部の実施形態では、短距離通信は、低下電力時間間隔中にのみデータ(メッセージ)を送信するように構成される。
【0033】
一部の実施形態では、短距離通信は、低下電力時間間隔中にのみデータ(メッセージ)を受信するように構成される。
【0034】
一部の実施形態では、通信範囲は、10cm以下でもよい。
【0035】
殆どの実施形態では、低下電力時間間隔の持続時間は、電力時間間隔の持続時間よりも短く、一般的には大幅に短い。多くの実施形態では、デューティサイクルは、20%、10%又は5%以下でもよい。正確なデューティサイクルは、通信能力と給電効率との間の有利なトレードオフを提供することができる。多くの給電システムにとって、有利なトレードオフは、10%以下のデューティサイクルの場合に見られる。
【0036】
低下電力時間間隔の持続時間は、多くの実施形態では、有利には1ミリ秒〜5ミリ秒の範囲内でもよく、及び/又は電力時間間隔の持続時間は、多くの実施形態では、有利には5ミリ秒〜10ミリ秒の範囲内でもよい。
【0037】
多くの実施形態では、タイムフレームの持続時間は、5ミリ秒以上200ミリ秒以下である。このタイムフレームは、周期的に反復するタイムフレームでもよく、一般的には、5Hz以上200Hz以下の繰り返し周波数を有してもよい。
【0038】
本発明の任意選択的な特徴によれば、キャリアのキャリア周波数は、給電信号の周波数の2倍以上である。
【0039】
これは、多くの実施形態において性能の向上を提供することができ、具体的には一般的に、給電信号からの短距離通信に対する干渉の減少を提供することができる。
【0040】
本発明の任意選択的な特徴によれば、第1のタイムフレームにおける低下電力時間間隔中の給電信号の電力レベルは、第1のタイムフレーム中の電力時間間隔中の給電信号の電力レベルの20%以下である。
【0041】
これは、性能の向上を提供することができる。
【0042】
低下電力時間間隔中の給電信号の電力は、一般的に、電力時間間隔において可能な最大電力の20%、10%又は5%以下に限定されてもよい。多くのケースでは、低下電力時間間隔中の給電信号は、隣接する電力時間間隔における電力の20%、10%又は5%以下でもよい。多くの実施形態において、低下電力時間間隔は、実質的に、電源オフ時間間隔に対応してもよい。多くの実施形態において、パワートランスミッタは、低下電力時間間隔中、給電信号をオフにするように構成されてもよい。このような電源オフ時間間隔では、給電信号が生成されなくてもよい。短距離通信は、近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)でもよい。
【0043】
本発明者らは、パワーレシーバとパワートランスミッタとの間の(双方向)通信にNFC通信規格が使用されることを可能にするように、Qiシステム等の給電システムを変更することができること、並びにこれが向上した及びより信頼性のある動作を可能にし得ることに気付いた。
【0044】
特に、NFCは、Bluetooth(登録商標)又はWiFi(登録商標)等の他の通信方法と比較して、異なるデバイスからの通信が混同されるリスクを低下させながら、より信頼性のある動作を提供することができる。この方法は、近距離通信を利用し、従って給電が非常に強い磁場も誘導する場所で動作する通信にもかかわらず、NFCが給電システムと共に使用されることを可能にする。
【0045】
この方法は、コストを低下させ、通信を非常に小さな範囲に限定し、一般的には、1つのみの他の通信要素が既定の範囲内に存在し得ることを確実にしながら、十分に速いデータ速度を実現することができる為、特に給電に適した通信を提供することができる。
【0046】
本発明の任意選択的な特徴によれば、短距離通信ユニットは、第2の要素に対する短距離通信リンクを開始するイニシエータとして動作可能である。
【0047】
一部の実施形態及びケースでは、装置は、イニシエータとして動作してもよく、第2の要素は、ターゲットとして動作してもよい。一部の実施形態及びケースでは、第2の要素は、イニシエータとして動作してもよく、装置は、ターゲットとして動作してもよい。
【0048】
例えば、装置は、パワートランスミッタでもよく、パワーレシーバとのNFC通信を開始するイニシエータとして動作してもよい。別の例として、装置は、パワーレシーバでもよく、パワートランスミッタとのNFC通信を開始するイニシエータとして動作してもよい。
【0049】
本発明の任意選択的な特徴によれば、短距離通信ユニットは、データメッセージが第2の要素から受信される低下電力時間間隔中に、第2の要素から受信されたデータメッセージに返答するように構成される。
【0050】
一部の実施形態では、双方向通信が、単一のタイムスロット/間隔内で行われてもよい。例えば、第2の要素は、イニシエータでもよく、既定の低下電力時間間隔内に第1のメッセージを装置に送信してもよい。装置は、ターゲットでもよく、第2のメッセージを第2の要素に送信し、第1のメッセージが受信されたのと同じ低下電力時間間隔内で第2のメッセージが送信されることによって、第1のメッセージに応答してもよい。
【0051】
一部の実施形態では、短距離通信ユニットは、データメッセージが第2の要素に送信される低下電力時間間隔中に、第2の要素からデータメッセージを受信するように構成される。例えば、装置は、イニシエータでもよく、既定の低下電力時間間隔内で第1のメッセージを第2の要素に送信してもよい。第2の要素は、ターゲットでもよく、第2のメッセージを装置に送信し、第1のメッセージが受信されたのと同じ低下電力時間間隔内で第2のメッセージが送信されることによって、第1のメッセージに応答してもよい。装置は、それが第1のメッセージを送信したのと同じ低下電力時間間隔内で、この第2のメッセージを受信するように構成されてもよい。
【0052】
本発明の任意選択的な特徴によれば、短距離通信ユニットは、データメッセージが第2の要素から受信される低下電力時間間隔に対して後続の低下電力時間間隔内で、第2の要素から受信されたデータメッセージに返答するように構成される。
【0053】
一部の実施形態では、双方向通信は、2つの連続するタイムスロット/間隔内で行われてもよい。例えば、第2の要素は、イニシエータでもよく、既定の低下電力時間間隔内で装置に第1のメッセージを送信してもよい。装置は、ターゲットでもよく、第2のメッセージを第2の要素に送信し、第2のメッセージが次の低下電力時間間隔内、即ち、第1のメッセージが受信された間隔に続く低下電力時間間隔内で送信されることによって、第1のメッセージに応答してもよい。
【0054】
一部の実施形態では、短距離通信ユニットは、データメッセージが第2の要素に送信される低下電力時間間隔に対して後続の低下電力時間間隔内で、第2の要素から応答データメッセージを受信するように構成される。
【0055】
例えば、装置は、イニシエータでもよく、既定の低下電力時間間隔内で第2の要素に第1のメッセージを送信してもよい。第2の要素は、ターゲットでもよく、第2のメッセージを装置に送信し、第2のメッセージが次の低下電力時間間隔内、即ち、第1のメッセージが受信された間隔に続く低下電力時間間隔内で送信されることによって、第1のメッセージに応答してもよい。装置は、この第2のメッセージを、この次の低下電力時間間隔内、即ち、それが第1のメッセージを送信した低下電力時間間隔に続く低下電力時間間隔内で受信するように構成されてもよい。
【0056】
本発明の任意選択的な特徴によれば、短距離通信ユニットは、給電フェーズに入る前に、少なくとも第1の動作を行うように構成され、少なくとも第1の動作は、第2の要素の通信能力の検出;通信コリジョンの検出;装置と第2の要素との間の通信セッション初期化;第2の要素のデバイス起動から選択される動作を含む。
【0057】
これは、多くのケースにおいて、向上した性能を提供することができ、且つ、特に容易にされた及び/又はより信頼性のある動作を確実にすることができる。特に、それは、進行中の通信に最適化されたタイムフレーム及び給電中の制御が、例えば、そのような通信中に定期的に行われないプロシージャのタイミング要件によって妥協される必要がないことを可能にし得る。
【0058】
通信コリジョン検出は、具体的には、短距離通信ユニットの通信範囲内で動作している及び具体的には送信している他の短距離通信ユニットの検出でもよい。
【0059】
本発明の任意選択的な特徴によれば、短距離通信ユニットは、第2の要素へ装置の識別を繰り返し送信するように構成される。
【0060】
この方法は、更に信頼性を向上させ、給電信号と分離した通信リンクを使用するにもかかわらず、通信が意図されたパワートランスミッタとパワーレシーバとの間のものであることを確実にすることができる。この方法は、具体的には、第2の要素が意図されたソースからデータメッセージを受信することを第2の要素がチェックすることを可能にし得る。
【0061】
本発明の任意選択的な特徴によれば、この装置は、期待識別値と一致する第2の要素の識別の指標を受信しないことに応じて、給電を阻止するように構成された給電コントローラを更に含む。
【0062】
この方法は、更に信頼性を向上させ、給電信号と分離した通信リンクを使用するにもかかわらず、通信が意図されたパワートランスミッタとパワーレシーバとの間のものであることを確実にすることができる。この方法は、具体的には、通信が給電に関与しない第2の要素とのものであることに起因する、望ましくない高給電レベルのリスクを減少させることができる。
【0063】
本発明の任意選択的な特徴によれば、装置は、パワートランスミッタである。
【0064】
本発明は、給電システムにおいて向上した動作をサポートすることができる向上したパワートランスミッタを提供することができる。特に、向上した及びより信頼性のある通信を提供することができ、それによって、向上した給電を可能にする。
【0065】
本発明の任意選択的な特徴によれば、装置は、周期的に変動する電源信号を提供する電源であって、電源信号の周期変動の周波数は1kHz未満である、電源;電源信号から送電インダクタ用の駆動信号を生成する給電信号生成器であって、電源信号の周期変動の周波数よりも高くなるように駆動信号の周波数を生成するように構成された周波数変換器、及び送電インダクタに供給される駆動信号の電力を低下電力時間間隔における閾値を下回るように制限するリミッタを含む給電信号生成器;並びに低下電力時間間隔を電源信号の周期変動に同期させる電源シンクロナイザを更に含む。
【0066】
これは、向上した性能を可能にし、特に給電に対する影響が低減されることを可能にすることができる。
【0067】
多くの実施形態において、電源信号は、変動DC給電信号である。
【0068】
一部の実施形態では、電源は、AC信号の整流に応じて電源信号を生成するように構成され、低下電力時間間隔は、AC信号のゼロ交差に同期されてもよい。
【0069】
一部の実施形態では、リミッタは、低下電力時間間隔中に、周波数変換器から送電インダクタを切り離すように構成されてもよい。
【0070】
多くの実施形態において、低下電力時間間隔は、電源信号のレベルが閾値を下回る時間間隔に対応する。
【0071】
これは、多くの実施形態において、向上した給電を可能にすることができる。
【0072】
多くの実施形態において、低下電力時間間隔は、電源信号のレベルが閾値を下回る時間間隔に対応する。電源シンクロナイザは、電源信号のレベルが閾値を下回る時間間隔となるように低下電力時間間隔を選択してもよい。
【0073】
多くの実施形態において、給電信号生成器は、周期変動の周波数の5倍以下の周波数を有し、一般的には、周期変動の周波数と実質的に同一又はその2倍の周波数を有するように給電信号を生成するように構成されてもよい。
【0074】
本発明の任意選択的な特徴によれば、電源シンクロナイザは、電源信号の絶対値の周期最小値に対応するように低下電力時間間隔を同期させるように構成される。
【0075】
これは、向上した性能を提供することができる。電源シンクロナイザは、具体的には、電源信号のゼロ交差に対応するように低下電力時間間隔を同期させるように構成されてもよい。電源信号の絶対値は、整流された電源信号に対応してもよい。電源シンクロナイザは、電源信号の絶対値の周期最小値に対応するように低下電力時間間隔を同期させるように構成される。この値は、電力、電圧又は電流値でもよい。
【0076】
本発明の任意選択的な特徴によれば、短距離通信ユニットは、短距離通信によって通信され得る可能性のある通信要素の検出を行うように構成され、装置は、2つ以上の可能性のある通信要素が検出された場合に給電を阻止するように構成された給電コントローラを更に含む。
【0077】
この方法は、向上した信頼性を可能にすることができ、パワートランスミッタが給電のターゲットではないパワーレシーバと意図せず通信するリスクを減少させることができる。
【0078】
例えば、パワートランスミッタは、範囲内の他の通信要素を検出する為にコリジョン検出(例えば、NFCコリジョン解消)を行ってもよい。パワートランスミッタは、2つ以上の他の通信要素が検出される場合に給電を阻止してもよい。給電は、給電信号の電力を既定のレベル(安全な動作に対応する)に制限することによって、例えば給電信号をオフにすることによって、又は給電動作を終了させる(又は継続しない、若しくは開始しない)ことによって阻止されてもよい。
【0079】
本発明の任意選択的な特徴によれば、装置は、第2の要素から予期された応答メッセージが時間間隔内に受信されないという検出に応じて、給電を阻止するように構成された給電コントローラを更に含む。
【0080】
この方法は、更に信頼性を向上させ、通信が実際に給電に関与するパワーレシーバとのものである場合にのみ電力が供給されることを確実にすることができる。給電は、給電信号の電力を既定のレベル(安全な動作に対応する)に制限することによって、例えば給電信号をオフにすることによって、又は給電動作を終了させる(又は継続しない、若しくは開始しない)ことによって阻止されてもよい。
【0081】
本発明の任意選択的な特徴によれば、装置は、第2の要素からの無線信号の欠如の検出に応じて、給電を阻止するように構成された給電コントローラを更に含む。
【0082】
この方法は、更に信頼性を向上させ、通信が実際に給電に関与するパワーレシーバとのものである場合にのみ電力が供給されることを確実にすることができる。給電は、給電信号の電力を既定のレベル(安全な動作に対応する)に制限することによって、例えば給電信号をオフにすることによって、又は給電動作を終了させる(又は継続しない、若しくは開始しない)ことによって阻止されてもよい。
【0083】
この方法は、例えば、第2の要素がキャリア信号を生成することになっているイニシエータであり、(第1の要素の)通信ユニットがターゲットであるNFC通信に適用することができる。
【0084】
本発明の任意選択的な特徴によれば、装置は、パワーレシーバである。
【0085】
本発明は、給電システムにおいて向上した動作をサポートすることができる向上したパワーレシーバを提供することができる。特に、向上した及びより信頼性のある通信を提供することができ、それによって、向上した給電を可能にする。
【0086】
通信ユニットは、一部の実施形態において、パッシブNFCタグを含んでもよい。
【0087】
本発明の任意選択的な特徴によれば、装置は、第2の要素からの通信信号の欠如の検出に応じて、パワーレシーバの負荷に対する電力を減らすように構成されたコントローラを更に含む。
【0088】
この方法は、向上した及び/又はより信頼性のある動作を可能にすることができ、且つ、パワーレシーバによって制御されていないパワートランスミッタによって給電信号が供給され得るケースにおいて、潜在的に負荷に過剰な電力を供給することを回避することができる。
【0089】
負荷に対する電力の低下は、(給電信号を受信する為の)受電コイルを負荷から切り離すことによるか、及び/又は負荷を短絡させることによるものでもよい。
【0090】
本発明の任意選択的な特徴によれば、装置は、第2の要素からの通信信号の欠如の検出に応じて、ユーザアラートを生成するように構成されたユーザインタフェースを更に含む。
【0091】
この方法は、向上した及び/又はより信頼性のある動作を可能にすることができ、且つ、パワーレシーバによって制御されていないパワートランスミッタによって電力がパワーレシーバに供給され得る潜在的ケースに対してユーザに警告することができる。
【0092】
本発明の任意選択的な特徴によれば、短距離通信ユニットは、給電信号が存在しているという検出に応じて、第2の要素との通信リンクの終了を阻止するように構成される。
【0093】
この方法は、向上した及び/又はより信頼性のある動作を可能にすることができ、且つ、パワーレシーバへの給電が別のパワーレシーバによって制御されるリスクを減少させることができる。
【0094】
本発明の任意選択的な特徴によれば、シンクロナイザは、給電信号の電力変動に応じて、給電信号タイムフレームのタイミングを決定するように構成される。
【0095】
これは、信頼性のある動作を可能にすることができ、且つ、特にパワーレシーバの通信機能性を同期させる為の効率的な、信頼性のある、及び低複雑度の方法を提供することができる。
【0096】
本発明の一態様によれば、ワイヤレス誘導給電信号によってパワーレシーバに給電をもたらすように構成されたパワートランスミッタを含むワイヤレス給電システムの動作方法が提供され、給電信号は、反復給電信号タイムフレームの電力時間間隔中に供給され、給電信号タイムフレームは、低下電力時間間隔を更に含み、給電信号の電力は、電力時間間隔と比較して、低下電力時間間隔にわたって減らされ、この方法は、給電フェーズ中に、給電信号とは別個のキャリア信号に基づいた短距離通信を用いて、及び給電信号の伝送の為の給電インダクタとは異なる通信アンテナを用いて、パワートランスミッタ及びパワーレシーバの少なくとも一方である第2の要素とデータメッセージを通信するステップであって、短距離通信は、20cm以下の範囲を有するステップ;並びに短距離通信が低下電力時間間隔に限定されるように短距離通信を給電信号タイムフレームに同期させるステップを含む。
【0097】
本発明のこれら及び他の態様、特徴並びに利点は、以下に記載される1つ又は複数の実施形態を参照して明らかとなり、解明されるであろう。
【0098】
本発明の実施形態は、図面を参照して、ほんの一例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0099】
図1】本発明の一部の実施形態による、パワートランスミッタ及びパワーレシーバを含む給電システムの一例を示す。
図2】本発明の一部の実施形態による、パワートランスミッタの素子の一例を示す。
図3】本発明の一部の実施形態による、パワートランスミッタの素子の一例を示す。
図4】本発明の一部の実施形態による、パワーレシーバの素子の一例を示す。
図5図1の給電システムの信号の可能なタイミング図の一例を示す。
図6図1の給電システムの信号の可能なタイミング図の一例を示す。
図7】給電システムにおける可能なケースの一例を示す。
図8図3のパワートランスミッタのドライバの素子の一例を示す。
図9】パワートランスミッタにおける信号の一例を示す。
図10】パワートランスミッタの送電コイルの駆動回路の一例を示す。
図11】パワートランスミッタの送電コイルの駆動回路の一例を示す。
図12図3のパワートランスミッタにおける信号の一例を示す。
図13図1の給電システムの信号の可能なタイミング図の一例を示す。
図14図1の給電システムにおける電力コイルの配置の一例を示す。
図15図1の給電システムにおける電力コイルの配置の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0100】
以下の説明は、Qi型の給電システムに適用可能な本発明の実施形態に注目するが、本発明は、この適用例に限定されず、多くの他の給電システムに適用することができることが認識されるであろう。
【0101】
図1は、本発明の一部の実施形態による給電システムの一例を示す。給電システムは、送電側給電コイル/インダクタ(以下、トランスミッタコイル103と称される)を含む(又はそれに結合された)パワートランスミッタ101を含む。システムは、受電側給電コイル/インダクタ(以下、レシーバコイル107と称される)を含む(又はそれに結合された)パワーレシーバ105を更に含む。
【0102】
システムは、パワートランスミッタ101からパワーレシーバ105へのワイヤレス誘導給電を提供する。具体的には、パワートランスミッタ101は、トランスミッタコイル103によって磁束として伝搬される給電信号を生成する。給電信号は、一般的に、約20kHz〜200kHzの周波数を有し得る。トランスミッタコイル103及びレシーバコイル107は、弱結合され、従ってレシーバコイルは、パワートランスミッタ101からの給電信号(の少なくとも一部)を受信する。従って、トランスミッタコイル103からレシーバコイル107へのワイヤレス誘導結合によって、パワートランスミッタ101からパワーレシーバ105へと給電される。従って、トランスミッタコイル103及び受電コイル107は、給電信号をパワートランスミッタ101からパワーレシーバ105へとわたって伝送するように構成される。給電信号という用語は、主に、トランスミッタコイル103とレシーバコイル107との間の誘導信号(磁束信号)を指す為に使用されるが、同等に、それは、トランスミッタコイル103に供給される電気信号又は実際にはレシーバコイル107の電気信号への言及としても見なされ得る及び使用され得ることが認識されるであろう。
【0103】
一部の実施形態では、受電側給電コイル107は、誘導給電信号に曝露された際に、誘導渦電流により又は追加的に強磁性挙動によるヒステリシス損失によって加熱される受電側給電要素であってもよい。例えば、受電コイル107は、誘導的に加熱される電化製品用の鉄板でもよい。従って、一部の実施形態では、受電コイル107は、誘導渦電流により又は追加的に強磁性挙動によるヒステリシス損失によって加熱される導電性素子でもよい。従って、そのような例において、受電コイル107は、本来負荷も形成する。
【0104】
以下では、Qi規格(本明細書に記載された(又は結果として起こる)変更及び改良を除く)に従った一実施形態を具体的に参照して、パワートランスミッタ101及びパワーレシーバ105の動作が説明される。具体的には、パワートランスミッタ101及びパワーレシーバ105は、Qi specificationバージョン1.0又は1.1(本明細書に記載された(又は結果として起こる)変更及び改良を除く)に実質的に対応してもよい。
【0105】
給電を制御する為には、システムは、異なるフェーズ、具体的には、選択フェーズ、ピングフェーズ、識別及び構成フェーズ、並びに給電フェーズを経由して進んでもよい。より詳しい情報は、Qi wireless power specificationの第1部の第5章において見ることができる。
【0106】
最初に、パワートランスミッタ101は、それがパワーレシーバの潜在的存在を単に監視するだけである選択フェーズにある。パワートランスミッタ101は、この目的の為に様々な方法(例えば、Qi wireless power specificationに記載されるような)を使用してもよい。そのような潜在的存在が検出されると、パワートランスミッタ101は、給電信号が一時的に生成されるピングフェーズに入る。信号は、ピング信号として知られる。パワーレシーバ105は、その電子機器の電源を入れる為に受信信号を印加することができる。給電信号を受信した後、パワーレシーバ105は、最初のパケットをパワートランスミッタ101に伝える。具体的には、パワートランスミッタとパワーレシーバとの間の結合の度合いを示す信号強度パケットが送信される。より詳しい情報は、Qi wireless power specificationの第1部の第6.3.1章において見ることができる。従って、ピングフェーズでは、パワーレシーバ105がパワートランスミッタ101の境界に存在するか否かが決定される。
【0107】
信号強度メッセージを受信すると、パワートランスミッタ101は、識別&構成フェーズに移る。このフェーズでは、パワーレシーバ105は、その出力負荷の接続を切ったままにし、従来のQiシステムでは、このフェーズにおけるパワーレシーバ105は、負荷変調を用いてパワートランスミッタ101と通信する。そのようなシステムでは、パワートランスミッタは、この目的の為に一定の振幅、周波数及び位相を有する(負荷変調によって引き起こされた変化は除く)給電信号を供給する。メッセージは、パワートランスミッタ101によって使用され、それ自体をパワーレシーバ105による要求に従って構成する。パワーレシーバからのメッセージは、連続的に通信されないが、間隔を空けて通信される。
【0108】
識別及び構成フェーズに続いて、システムは、実際の給電が生じる給電フェーズへと進む。具体的には、その電力要件を伝えた後に、パワーレシーバ105は、出力負荷を接続し、それに受け取った電力を供給する。パワーレシーバ105は、出力負荷を監視し、ある動作点の実際の値と所望の値との制御誤差を測定する。それは、例えば250ms毎の最低ペースで、そのような制御誤差をパワートランスミッタ101へと伝えることにより、これらの誤差及び給電信号の変化又は変化無しの要望をパワートランスミッタ101に示す。従って、給電フェーズでは、パワーレシーバ105は、パワートランスミッタと通信もする。
【0109】
図1の給電システムは、パワートランスミッタ101とパワーレシーバ105との間の通信を利用する。
【0110】
パワーレシーバからパワートランスミッタへの通信の方法は、Qi specificationバージョン1.0及び1.1に規格化されている。
【0111】
この規格によれば、パワーレシーバからパワートランスミッタへの通信チャネルは、給電信号をキャリアとして用いることにより実現される。パワーレシーバは、レシーバコイルの負荷を変調する。これは、パワートランスミッタ側における給電信号の対応する変動をもたらす。負荷変調は、トランスミッタコイル電流の振幅及び/若しくは位相の変化によって、又は代替的若しくは追加的にトランスミッタコイルの電圧の変化によって検出することができる。この原理に基づいて、パワーレシーバは、パワートランスミッタが復調するデータを変調することができる。このデータは、バイト及びパケット単位でフォーマット化される。より詳しい情報は、http://www.wirelesspowerconsortium.com/downloads/wireless-power-specification-part-1.htmlから入手可能な「System description, Wireless Power Transfer, Volume I: Low Power, Part 1: Interface Definition, Version 1.0 July 2010, published by the Wireless Power Consortium」(Qi wireless power specificationとも呼ばれる)、具体的には、第6章:Communications Interfaceにおいて見ることができる。
【0112】
Qi wireless power specificationバージョン1.0及び1.1は、パワーレシーバからパワートランスミッタへの通信のみを定義し、即ち、それは一方向通信のみを定義することに留意されたい。
【0113】
図1のシステムは、Qi wireless power specificationバージョン1.0及び1.1に開示された通信方法とは異なる通信方法を用いる。但し、この異なる通信方法は、Qi wireless power specificationバージョン1.0及び1.1の通信方法を含む他の通信方法と共に使用されてもよいことが認識されるであろう。例えば、Qi型システムの場合、Qi wireless power specificationバージョン1.0及び1.1の通信方法は、Qi wireless power specificationバージョン1.0及び1.1によって行われることが規定された全ての通信に対して使用することができるが、以下に記載される異なる方法によってサポートされる追加の通信と共に使用することもできる。また、システムは、一部のフェーズ又はモードにおいてはQi wireless power specificationバージョン1.0及び1.1に従うが、他のフェーズ又はモードにおいては従わずに通信する場合があることが認識されるであろう。例えば、それは、給電信号及び外部負荷が一定となり得る識別及び構成フェーズ中は、標準負荷変調を用いるが、これが当てはまらない給電フェーズ中は用いなくてもよい。
【0114】
図1のシステムでは、パワーレシーバ105とパワートランスミッタ101との間の通信が、Qi wireless power specificationバージョン1.0及び1.1の規格化通信に対して改良される。
【0115】
第1に、システムは、パワートランスミッタ101からパワーレシーバ105へのメッセージの通信をサポートし、具体的にはパワートランスミッタ101がデータをパワーレシーバ105へと送信することを可能にする。第2に、パワーレシーバ105からパワートランスミッタ101への通信は、改良された通信を使用してもよく、負荷変調による通信に限定されなくてもよい。
【0116】
具体的には、図1のシステムは、給電信号の変調に関与しない又は給電信号をキャリアとして使用しないという意味では給電信号から独立した第2の通信リンクを利用する。通信リンクは、20cm以下の範囲の短距離通信リンクである。従って、通信は最大20cmの距離まで保証されるだけである。一部の実施形態では、この範囲は、10cm以下である。実際、多くの実施形態では、一般的な通信距離は、約数センチメートルの場合がある。
【0117】
短距離通信リンクは、具体的にはNFC通信リンクでもよい。
【0118】
多くの実施形態において、第2の通信リンクは、給電及び給電信号から独立した短距離通信によって形成される。短距離通信システムは、具体的には、給電信号は使用しないが、これの存在から独立している。短距離通信は、給電信号が存在しない時でさえ行うことができ、実際、短距離通信は、多くの場合、給電信号が存在しない時に、より信頼性があり、エラー確率が減る場合がある。従って、給電及び通信の両方に同じ信号が使用される従来の方法の代わりに、図1のシステムは、給電信号を変調するのではなく別個のキャリアを変調することに基づく通信によって区別された通信及び給電を提供する(但し、例えば識別及び構成フェーズ中の旧式の通信等のパワートランスミッタ101とパワーレシーバ105との間の一部の通信は、場合によっては追加的に給電信号を用いて行われてもよい)。
【0119】
その結果、短距離通信は、給電信号(の一部)ではないキャリアの使用に基づく。具体的には、短距離通信電波インタフェースによって通信されるデータは、通信キャリアを変調させることによって通信される。通信キャリアは、給電信号から独立している、並びに一般的に大きく異なる周波数及び電力レベルを有する。一般的に、通信キャリアの周波数は、給電信号の周波数の2倍以上である、並びに、電力レベルは一般的に、給電信号における給電信号の最大電力レベルの半分未満及び多くの場合、はるかに低い(例えば、10分の1、50分の1又は100分の1等)。
【0120】
短距離通信は更に、通信キャリア/信号を通信する為に給電信号をパワートランスミッタ101からパワーレシーバ105へと伝送する為のものとは異なるインダクタを使用する。具体的には、通信キャリアは、短距離通信アンテナを用いて伝送され、トランスミッタコイル103又は受電コイル107を使用しない。
【0121】
従って、短距離通信及び給電は、図1のシステムにおいて、実質的に独立した及び別個の機能及びシステムである。しかしながら、そのような異なる及び独立したシステムの使用が幾つかの利点を提供し得る一方で、関連する幾つかの困難も存在し得る。具体的には、2つの独立したシステムが共に同じ空間に共存する電磁信号に基づくシステムにおいて、これらのシステムは、互いに対する干渉を生じさせる。具体的には、給電信号によって生成された非常に強い電磁場が、短距離通信に大きな影響を及ぼし得る高度な干渉を生じさせる。
【0122】
図1のシステムは、時分割タイムフレームを使用するように給電信号を適応させることによって及び短距離通信をこのタイムフレームに同期させることによって、このような短距離通信リンクが給電の為にパワートランスミッタ101によって生成された強い磁気信号と共存することを可能にする。
【0123】
具体的には、既存のシステムの場合のように連続した給電を使用するのではなく、本システムは、タイムフレームを給電信号に適用する。タイムフレームは、少なくとも2種類の時間間隔/タイムスロット、即ち、給電に必要とされる電力を有する給電信号が生成される電力時間間隔及び電力レベルを低下させた給電信号のみが供給される低下電力時間間隔を含む。実際、多くの実施形態では、給電信号は、低下電力時間間隔中は完全にオフにされてもよい。給電動作を適応させ、効果的にこれを不連続にする方法は、短距離通信が給電と共存することを可能にする。この方法は、短距離通信が給電フェーズ中に行われることを可能にする。従って、パワーレシーバ105に対して給電が行われている給電フェーズ中は、パワートランスミッタ101は、パワーレシーバ105に対して必要とされる電力を生成する為に、非常に強い給電信号を生成する。このような強い信号は、多くの場合、実際給電信号が最も強い場所で動作している短距離通信に対して非常に大きな干渉を生じさせ得る。
【0124】
この方法は、従来の方法に関連する幾つかの欠点に対処することができる。
【0125】
例えば、それは、通信の為に給電信号をキャリア信号として使用するという欠点を克服することができる。例えば、モータ等の多くの負荷の場合、動的変動は非常に大きな影響を与え、これは多くのケースでは、負荷変調を比較的信頼性の低いもの又は実現不可能なものにする場合がある。また、給電信号の変調は、比較的遅い傾向があり、非常に低い通信データ速度をもたらす。
【0126】
しかしながら、NFC通信リンク等の別の通信リンクを同期化時分割方法と共に使用することは、給電特性が通信リンクから切り離されることを可能にし、その結果、より信頼性のある及びより高速な通信を可能にする。加えて、短距離通信は、給電の近くで行われている他の給電動作からの動作干渉に対する保護の向上を提供する。
【0127】
実際、別個の通信チャネルが使用される場合、これは、高い電力レベルを有する潜在的に危険な状況をもたらし得る異なる給電動作間の干渉をもたらし得る。例えば、制御動作は、例えばある給電動作のパワーレシーバからの制御データが、このパワーレシーバ近くの別のパワーレシーバに対する給電を制御する為に使用されることによって、互いに干渉し合う場合がある。通信信号と給電信号との間の分離は、ロバスト性の低い及びフェイルセーフ性の低い動作をもたらし得る。
【0128】
具体的には、負荷変調による通信は、本来、データが正しいパワーレシーバ105とパワートランスミッタ101との間で通信されることを確実にする傾向があり、即ち、パワートランスミッタ101は、給電動作を制御する為に受信データを使用することができることを確実に想定することができる。しかしながら、本発明者らは、給電信号から独立した別の通信リンクが使用される場合、パワーレシーバ105から送信されたデータが電力をパワーレシーバ105に供給するパワートランスミッタ101によって受信されない場合がある、又は電力をパワーレシーバ105に供給しないパワートランスミッタ101によって受信される場合があるリスクの存在に気付いた。同様に、パワートランスミッタ101によって受信されたデータが予期されたパワーレシーバ105からのものではないリスクがある。
【0129】
この問題点は、限られたエリア内に配置された複数のパワートランスミッタが同時に複数のパワーレシーバに給電を行うことができる状況では特に大きな影響を与え得る。
【0130】
この問題点はまた、複数の送電コイルを含み、複数の給電を同時にサポートすることが可能なパワートランスミッタの場合に特に大きな影響を与え得る。
【0131】
一例として、別のRF通信リンクの使用は、通信が行われる為にパワーレシーバ105が正しく配置されることを必要としなくてもよい。具体的には、成功した通信を実行することができるという事実は、一般的に、受電コイル107が送電コイル103の十分近くに配置されることを保証しない。従って、パワーレシーバが、そのような通信チャネルを介してパワートランスミッタを制御する場合、システムは、受電コイルが送電コイルの十分近くに配置されていることを確信することができない(従って受電コイルと送電コイルとの間の結合が非常に低い場合がある)。パワーレシーバは、供給される電力が、現在の不十分な結合でもパワーレシーバが十分な電力を受け取ることができるように十分高くなるまで、パワートランスミッタに出力を上げることを要求し続けることが可能である。しかしながら、これは、非常に強い磁場が誘導されることを必要とする場合があり、これは、パワートランスミッタによって生成された磁場に対するユーザ又は金属体の予期せぬ及び望ましくない曝露につながる可能性がある。
【0132】
パワートランスミッタ及びパワーレシーバは、パワーレシーバの位置を検証及びチェックする追加の機能性を含んでもよいが、このような追加の機能性は、一般的に複雑さ及びコストを増大させる。
【0133】
また、複数の電化製品を個々のパワーレシーバと共に同時に使用することは、第1のパワートランスミッタに結合された第1のパワーレシーバが第2のパワートランスミッタに結合された第2のパワーレシーバに干渉する状況を引き起こし得る。第1のパワーレシーバの制御信号が、第2のパワートランスミッタによって受信され得、又はその逆が起こり得る。これは、例えば、第2のパワートランスミッタが第2のパワーレシーバにとって適切ではない高磁場を生成するように制御される結果となり得る。例えば、第1のパワーレシーバが給電信号のレベルが上げられるべきであることを検出した場合、それは、出力の増加を要求することができる。しかしながら、この要求は、第1のパワートランスミッタの代わりに第2のパワートランスミッタによって受信される可能性があり、それは、第2のパワートランスミッタによって第2のパワーレシーバへと供給される給電信号が増大される結果となる。第1のパワーレシーバは、給電信号のレベルが低過ぎる(第1のパワートランスミッタからの給電信号は変化していない為)ことを依然として検出し、従って出力を上げる要求をし続ける。従って、第2のパワートランスミッタは電力レベルを上げ続ける。この連続した出力の増加は、損傷、過剰な発熱、並びに一般的に第2のパワーレシーバ及び関連の電化製品にとって望ましくない及び潜在的に危険な状況さえ引き起こし得る。
【0134】
この問題点を説明するある具体的なケース例として、ユーザが台所で第1のパワートランスミッタの上にケトルを置く場合がある。第1のパワートランスミッタは、その給電面上に物体が置かれたことを検出することができ、それはケトルに対してその電子機器を作動させる為に低電力の給電信号を供給することができる。ケトルは、電力を供給するようにパワートランスミッタを起動及び制御する為に、RF通信リンクを介してパワートランスミッタに情報を送る。しばらくして、ユーザは第1のパワートランスミッタ上に鍋を置くことを決める場合があり、それに応じてユーザはケトルを第1のパワートランスミッタ近くの第2のパワートランスミッタに移動させる場合がある。第2のパワートランスミッタはケトルを検出し、ケトルの制御の下、これに給電する。第1のパワートランスミッタは、鍋を検出することができるが、依然としてケトルから制御データを受信する。従って、第1のパワートランスミッタは、鍋に電力を供給するが、給電信号はケトルによって制御され、場合によっては、予期しない鍋の加熱をもたらす。ユーザは、通常この状況に気付かない、例えば不適切に熱い場合がある鍋に触れる可能性がある。
【0135】
別の例として、非耐熱調理台を伴った同じケースに遭遇する場合がある。ケトルは、ケトル内の水が沸点に達したとしても、それが配置される面は加熱しないように構築することができる。鍋は、誘導加熱調理に適した従来の鍋でもよいが、セラミックガラス板上で使用されることのみが意図されたものである。この状況では、鍋は、非耐熱調理台に損傷を与え得、なぜならそれは、鍋が第1のパワートランスミッタ上に配置されながら第1のパワートランスミッタが依然としてケトルの制御下にある場合に、エネルギーの消散を制限する手段を有さないからである。
【0136】
問題は、例えば、パワートランスミッタが複数の送電コイルを含むことができるケースにおいても生じる可能性がある。例えば、図2に示されるように、パワートランスミッタは、各々が送電コイルを含む複数の送電素子TEを制御する電力コントローラPCUを含んでもよい。同時に、別の通信ユニットCUが、別のRF通信リンクからデータを受信してもよい。このようなケースにおいて、第1のパワーレシーバを、第1の送電素子/コイルTE上に配置することができる。例えば、携帯電話を送電コイルアレイ上に配置することができ、携帯電話への給電を開始することができる。携帯電話は、RF通信リンクを用いて制御データをパワートランスミッタへと送信し返すことができ、第1の送電コイルTEの給電信号をそれに従って構成することができる。ユーザがここで第2のモバイルを充電することを望む場合がある。ユーザは、新しい電話の為のスペースを作る為に第1の携帯電話を僅かに片側に移動させる場合があり、これにより、第1の携帯電話が今度は違う送電コイル上、例えば隣接する送電コイル上に配置される結果となる場合がある。しかしながら、これは、システムによって検出されない場合があり、実際第1の携帯電話からの逆方向通信リンクが依然として機能する。第1の携帯電話は、低結合を補償する為に出力の増加を要求し、第1の送電コイルによって生成される潜在的に非常に大きな磁場をもたらす。実際、多くのケースでは、第2の携帯電話は、潜在的に、第1の送電コイルの上に配置され得、それは結果的に高い磁場を、それを低減する機会無しに経験する。従って、給電の制御は事実上失われ得、実際一部のケースでは、1つのモバイルの給電が他のモバイルによって制御され得、その逆となり得る。
【0137】
NFC等の短距離通信リンクの使用は、給電信号から独立した別の通信リンクが使用されるものの、パワートランスミッタ101とパワーレシーバ105との間の保証された幾何学的関係が存在することを確実にする。多くの実施形態では、これは、記載された問題を緩和又は克服するのに十分なものとなり得る。例えば、送電コイル103の20cm範囲内のパワーレシーバ105のみが、実際給電に関与するパワーレシーバ105であることを確実にすることによって、通信が実際給電を行うパワーレシーバ105とパワートランスミッタ101との間のものであることを確実にすることができる。実際、これを恐らく保証できないケースにおいてさえ、問題が生じる可能性を大きく減らすことができる。
【0138】
以下の説明は、給電信号から独立した通信リンクがNFC通信リンクである実施形態に注目する。
【0139】
図3は、図1のパワートランスミッタ101の素子をより詳細に示し、図4は、図1のパワーレシーバ105の素子をより詳細に示す。
【0140】
パワートランスミッタ101は、送電コイル103の駆動信号を生成するように構成され、従って誘導給電信号に変換される駆動信号を生成するように構成されたドライバ301に結合された送電コイル103を含む。ドライバ301は、給電信号を生成する為に送電コイル103に供給される所望の電力レベルを有したAC信号を生成するように構成される。ドライバ301は、当業者にはよく知られた駆動信号を生成する為の適切な機能性を含んでもよいことが認識されるであろう。例えば、ドライバ301は、DC電力供給信号を給電の為に適切な周波数(一般的に約50〜200kHz)のAC信号へと変換するインバータを含んでもよい。ドライバ301は、給電システムの異なるフェーズを操作する適切な制御機能性を含んでもよいことも認識されるであろう。多くの場合、ドライバ301は、選択された周波数用の電力コイル103を備えた共振回路を実現する為に、1つ又は複数のコンデンサを含む。
【0141】
ドライバ301は、給電信号の電力を制御するように構成された電力コントローラ303に結合される。具体的には、電力コントローラ303は、ドライバ301に供給され、駆動信号の電力レベルを示す制御信号を生成することができる。ドライバ301は、次に、対応する振幅を有するように駆動信号をスケール変更することができる。
【0142】
パワートランスミッタ101は更に、パワーレシーバ105と通信するように構成された第1の通信ユニット305を含む。具体的には、第1の通信ユニット305は、順方向通信リンク上でパワーレシーバ105にデータを通信し、逆方向通信リンク上でパワーレシーバ105からデータを受信することができる。通信リンクは、短距離RF通信リンクであり、それに応じてパワートランスミッタ101は、第1の通信ユニット305に結合されたアンテナ307も含む。
【0143】
アンテナ307は、具体的には電磁放射器、アンテナ、インダクタ又はコイル等の、電気信号を電磁通信信号へと変換するのに適したどのような素子でもよい。
【0144】
この具体例では、第1の通信ユニット305は、NFC通信ユニットであり、通信リンクはその結果、NFC通信リンクである。アンテナ307は、具体的にはNFC平面コイルでもよい。
【0145】
従って、第1の通信ユニット305は、短距離通信を用いて具体的にはNFC通信を用いて、データメッセージをパワーレシーバ105とやり取りすることができる。通信の範囲は、20cm以下に、多くの実施形態では10cm以下に限定される。一般的な通信リンクは、僅か数cmの距離にわたる場合がある。
【0146】
通信範囲は、確実な通信を可能にするアンテナ間の最大距離でもよい。確実な通信とは、エラーレートが閾値を下回る(例えば、10−3未満のビットエラーレート等)ことを必要とすると考えることができる。
【0147】
第1の通信ユニット305は、NFC通信リンクによってパワーレシーバ105にデータメッセージを送信することができる、又はNFC通信リンクによってパワーレシーバ105からデータメッセージを受信することができる。具体的には、第1の通信ユニット305は、NFC通信リンクによってパワーレシーバ105に順方向メッセージを送信することができ、パワーレシーバ105は、NFC通信リンクによってパワートランスミッタ101に応答メッセージを送信し返すことにより応答することが予期される。応答メッセージは、例えば、逆方向通信リンクが実際給電に関与しているパワーレシーバ105とのリンクであることを確認することが必要とされてもよい。
【0148】
一部の実施形態では、通信リンクの1つのみが短距離(NFC)通信によって確立されてもよい。例えば、一部の実施形態では、順方向通信リンクは、給電信号の変調を用いて確立されてもよいが、逆方向通信リンクは、NFC通信を用いて確立される。別の例として、一部の実施形態では、逆方向通信リンクは、給電信号の負荷変調を用いて確立されてもよいが、順方向通信リンクは、NFC通信を用いて確立される。
【0149】
パワーレシーバ105は、受電コイル107に結合され、給電信号を受信する給電コントローラ401を含む。給電コントローラ401は、更に負荷403に結合される、並びに給電信号を受信すること及び負荷403の為に適切な電力供給信号を生成することができる。給電コントローラ401は、例えば、当業者にはよく知られた(フルブリッジ)整流器、平滑回路、及び電圧又は電力制御回路を含んでもよい。多くの場合、パワーレシーバは、選択された周波数用のレシーバコイル107を備えた共振回路を実現する為に、1つ又は複数のコンデンサを含む。
【0150】
給電コントローラ401は更に、パワーレシーバ105を制御すること具体的にはQi給電の異なるフェーズのサポートを含む伝送機能動作をサポートすることが可能である。
【0151】
パワーレシーバ105は、短距離通信ユニットである第2の通信ユニット405を更に含む。具体的には、第2の通信ユニット405は、逆方向通信リンク上でデータをパワートランスミッタ101に通信し、順方向通信リンク上でパワートランスミッタ101からデータを受信することができる。通信リンクは、短距離RF通信リンクであり、それに応じてパワーレシーバ105は、第2の通信ユニット405に結合されたアンテナ407も含む。
【0152】
アンテナ407は、具体的には電磁放射器、アンテナ、インダクタ又はコイル等の、電磁通信信号を電気信号へと変換するのに適したどのような素子でもよい。
【0153】
この具体例では、第2の通信ユニット405は、NFC通信ユニットであり、通信リンクはその結果、NFC通信リンクである。アンテナ407は、具体的にはNFC平面コイルでもよい。
【0154】
従って、第2の通信ユニット405は、短距離通信を用いて及び具体的にはNFC通信を用いて、データメッセージをパワートランスミッタ101とやり取りすることができる。第2の通信ユニット405は、NFC通信リンクによってパワートランスミッタ101にデータメッセージを送信することができ、又はNFC通信リンクによってパワートランスミッタ101からデータメッセージを受信することができる。具体的には、第2の通信ユニット405は、逆方向NFC通信リンクによってパワートランスミッタ101に順方向メッセージを送信することができる。パワートランスミッタ101は、順方向NFC通信リンクによってパワーレシーバ105に応答メッセージを送信し返すことにより、このメッセージに応答することができる。
【0155】
別の例として、パワートランスミッタ101は、NFCイニシエータを実現してもよく、パワーレシーバ105は、NFCターゲットを実現してもよい。NFCイニシエータ(即ち、パワートランスミッタ101)は、順方向NFC通信リンク上で要求を送ることができ、NFCターゲット(即ち、パワーレシーバ105)は、逆方向NFC通信リンク上で返答を送ることができる。この返答は、順方向NFC通信リンクが実際正しいパワーレシーバ105へのリンクであることの確認でもよく、又はそれを含んでもよい。
【0156】
このシステムは、従って、給電とは分離した及び具体的には給電信号の変調に関与しない通信システムを利用する。しかしながら、図1〜4のシステムでは、NFC通信は、単に給電から独立して実現されておらず、より正確に言えば、動作が互いに統合及び連係される。この統合は、給電及びNFC通信が、同期化及び時分割多重構成で動作するものである。
【0157】
具体的には、給電は、それが連続的な給電ではなく、不連続給電信号が使用されるように変更される。実際、給電及びNFC通信は共に、反復タイムフレームに従って動作するように構成される。反復タイムフレームは、給電が行われる少なくとも1つの時間間隔を含む。従って、この時間間隔は、電力時間間隔(又は給電時間間隔)と称される。各タイムフレームは、給電信号の電力が減らされ、一般的には実質的にゼロにまで減らされる少なくとも1つの時間間隔を更に含む。従って、この時間間隔は、低下電力時間間隔と称される。
【0158】
図5は、図1のシステムのタイミング図の一例を示す。
【0159】
この例では、各反復タイムフレームは、1つの電力時間間隔及び1つの低下電力時間間隔を含む。この例では、給電信号の電力は、低下電力時間間隔中にゼロにまで減らされる。図5では、電力時間間隔は、「ウィンドウP」と称され、低下電力時間間隔は、「ウィンドウZ」と称される。
【0160】
一部の実施形態又はケースでは、給電信号の電力は、低下電力時間間隔中にゼロにまで減らされなくてもよいが、例えばNFC通信に引き起こされる干渉が許容可能であることが知られている電力レベルに電力レベルを限定することによって等、電力時間間隔中の給電信号の最大可能電力よりも低いレベルである低レベルに制限されてもよいことが認識されるであろう。
【0161】
図1のシステムでは、NFC通信は、NFC通信規格に適合するように行われるだけではなく、給電動作と統合されるように行われ、具体的には、NFC通信は、給電信号のタイムフレームと同期して行われ、即ちそれは、給電信号の電力変動と同期化される。従って、図1のシステムでは、給電信号によって電力を供給する機能性及び通信キャリアを用いた短距離通信は、互いに同期化される、並びに実際通信キャリアは、給電信号に同期化される。更に、この通信及び給電の同期化は、パワートランスミッタ101がパワーレシーバ105に電力を供給している給電フェーズ中に行われ、それによって、電力の伝送と同時の短距離通信を可能にするか、又は改善する。
【0162】
具体的には、図3のパワートランスミッタ101は、ドライバ301及び第1の通信ユニット305に結合された第1のシンクロナイザ309を含む。第1のシンクロナイザ309は、短距離(NFC)通信が低下電力時間間隔に限定されるように、短距離(NFC)通信を給電信号タイムフレームに同期化するように構成される。
【0163】
同様に、パワーレシーバ105は、電力コントローラ401及び第2の通信ユニット405に結合された第2のシンクロナイザ409を含む。第2のシンクロナイザ409は、短距離(NFC)通信が低下電力時間間隔に限定されるように、短距離(NFC)通信を給電信号タイムフレームに同期化するように構成される。
【0164】
従って、第1及び第2の通信ユニット305、405は、NFC通信リンクによる通信が低下電力時間間隔に限定されるように制御される。具体的には、データメッセージの送信は、低下電力時間間隔中のみ行われ、これらを除いてはデータの送信が生じない(但し、一部の実施形態では、第1及び第2の通信ユニット305、405の一方のNFCトランスミッタは、例えばパッシブNFC通信ユニットに電力を供給する為に、例えば非変調キャリアを連続的に送信してもよい)。
【0165】
例えば、NFC通信は、ターゲットがそれ自体に電力を供給する機能性を含まないパッシブNFC通信要素であるパッシブモードにおいて行われてもよい。パッシブモードでは、イニシエータがRF場を生成し、ターゲットがこの場によって電力を供給される。ターゲットは、既存のRF場を変調させることによって応答する。前述のように、イニシエータは、パワートランスミッタ側又はパワーレシーバ側で実現されてもよい。但し、ターゲットがパワーレシーバ側に配置された場合には、ターゲットはイニシエータから直接電力を供給され得る。この解決策は、パワーレシーバにおける内部電源(例えば、バッテリ)の実装及びキャリア信号の生成(即ち、局部発振器)を阻止することができる。
【0166】
一部の実施形態では、第1のシンクロナイザ309及び/又は第2のシンクロナイザ409は、データメッセージの送信を低下電力時間間隔に同期化するように構成される。従って、第1のシンクロナイザ309は、パワーレシーバ105へのデータメッセージの送信のタイミングを合わせる為に第1の通信ユニット305によって使用されるタイミング信号を第1の通信ユニット305に供給することができる。同様に、第2のシンクロナイザ409は、パワートランスミッタ101へのデータメッセージの送信のタイミングを合わせる為に第2の通信ユニット405によって使用されるタイミング信号を第2の通信ユニット405に供給することができる。
【0167】
同様に、一部の実施形態では、第1のシンクロナイザ309及び/又は第2のシンクロナイザ409は、データメッセージの受信を低下電力時間間隔に同期化するように構成される。従って、第1のシンクロナイザ309は、第1の通信ユニット305のレシーバがパワーレシーバ105からデータメッセージを受信することができる時のタイミングを合わせる為に、第1の通信ユニット305によって使用されるタイミング信号を第1の通信ユニット305に供給することができる。その結果、第1のシンクロナイザ309は、正しい時間間隔において送信されたデータメッセージのみを受信することができることを確実することができる。これは、電力を減らす為及び/又はデータメッセージが意図されたパワーレシーバ105以外の他のソースから受信されるリスクを更に減らす為に使用することができる。同様に、第2のシンクロナイザ409は、パワートランスミッタ101からのデータメッセージの受信のタイミングを合わせる為に第2の通信ユニット405によって使用されるタイミング信号を第2の通信ユニット405に供給することができる。
【0168】
殆どの実施形態において、各タイムフレーム内の電力時間間隔の持続時間(又は2つ以上の電力時間間隔が存在する場合にはそれらの合計持続時間)は、各タイムフレーム内の低下電力時間間隔(又は2つ以上の低下電力時間間隔が存在する場合にはそれらの合計持続時間)よりも長い。多くの実施形態において、それは、少なくとも2倍、3倍、5倍又は10倍長い。各タイムフレームが1つの電力時間間隔及び1つの低下電力時間間隔のみを含む実施形態では、デューティサイクル(低下電力時間間隔に関する)は、一般的に、20%、10%又は5%以下である。
【0169】
これは、容認できないほど給電に影響を与えることなく、十分な容量の通信チャネルを確立する為の十分な時間を提供することによって、一般的に有利となり得る。
【0170】
タイムフレームは、一般的に、5ms以上200ms以下の持続時間を有し得る。更に、タイムフレームは、周期的に反復するタイムフレームである。それに応じて、繰り返し周波数は、一般的に5Hz以上200Hz以下である。これは、多くのケースにおいて性能の向上を提供することができ、具体的には、短距離通信システムが十分に速い通信を提供することを可能にすることができ、データを通信できるまでの最大待ち時間が、給電性能に容認できない影響をもたらさない持続時間にまで減らされる。従って、それは、給電が効果を維持するのに十分に速い応答時間を提供する傾向がある。
【0171】
タイムフレームタイミングは、一般的に、給電信号を制御する(例えば、ゲーティングする)為に使用される同じタイムベースを第1のシンクロナイザ309に提供することができる(又は第1のシンクロナイザ309によって生成し、電力コントローラ303に提供することができる)ことから、パワートランスミッタ101において容易に入手できる。パワーレシーバ105では、タイミングは、電力レベル変動に基づいた(例えば、シュミットトリガ回路を使用する)電力時間間隔と低下電力時間間隔との間の遷移の検出によって、給電信号自体から導き出すことができる。例えば、第1の位相ロックループは、電力時間間隔から低下電力時間間隔への遷移と同期化されたタイムベース信号を生成する為に、立ち下がりエッジ遷移(即ち、電力時間間隔から低下電力時間間隔へ)に基づいてもよい。第2の位相ロックループは、低下電力時間間隔から電力時間間隔への遷移と同期化されたタイムベース信号を生成する為に、立ち上がりエッジ遷移(即ち、低下電力時間間隔から電力時間間隔へ)に基づいてもよい。その場合、2つの生成された信号は、例えば50%のデューティサイクルを有してもよく、両遷移に同期化されたタイムベース信号を、2つの生成された信号を組み合わせる(例えば、OR又はAND関数を用いる)ことによって生成することができる。
【0172】
図5は、同期化されたNFC通信の一例を更に示す。この例では、イニシエータ(異なる実施形態及びケースでは、パワートランスミッタ又はパワーレシーバのどちらかでもよい)は、第1の低下電力時間間隔中にデータメッセージを送信する。ターゲット(異なる実施形態及びケースでは、パワーレシーバ又はパワートランスミッタのどちらかでもよい)は、第1の低下電力時間間隔中にデータメッセージを受信する。後続の低下電力時間間隔中に、ターゲットは、応答メッセージをイニシエータに送信することによって応答する。
【0173】
従って、この例では、通信ユニット305、405は、データメッセージに返答するように構成され、この返答は、後続の低下電力時間間隔中にこのデータメッセージを受信したものに送信される。
【0174】
従って、この例では、各低下電力時間間隔は、一方向の通信を提供する。データメッセージが一方向に送信された後に、受信部が次の低下電力時間間隔中に応答メッセージを送信する。
【0175】
給電と時分割多重化して動作するデータ交換活動により、データメッセージを送信する為に利用可能な時間は限られる。これは、送信することができるデータ量、及び具体的には1つの低下電力時間間隔内で送信することができるデータ量を減らし得る。各時間間隔中の一方向のみの送信は、多くの場合、より低いオーバーヘッドを有する、より効率的な通信を提供することができ、その結果、より高い総データ速度を可能にする。
【0176】
しかしながら、一部の実施形態では、データメッセージに対するより速い応答を有することが望ましい場合がある。
【0177】
一部の実施形態では、通信ユニット305、405は、データメッセージが受信される同じ低下電力時間間隔中にデータメッセージに返答するように構成されてもよい。
【0178】
そのような通信の一例が図6に示される。この例では、イニシエータは、ある低下電力時間間隔中にそのデータを送り、ターゲットは、同じ低下電力時間間隔中にその返答を送る。
【0179】
同じ低下電力時間間隔中の応答メッセージの送信は、更なる利点を提供することができる。
【0180】
動作フィールドを生成する前に、イニシエータは、NFC規格(例えば、ISO/IEC_18092: Information technology - Telecommunications and information exchange between systems - Near Field Communication - Interface and Protocol (NFCIP-1), Second edition, 15 March 2013を参照)に従って、RFコリジョン防止を行うべきである。具体的には、イニシエータは、別のRF場が検出される限り、それ自体のRF場を生成しないものとする。このようなRFコリジョンは、NFC通信が互いに干渉し合うことを防止することが意図されたものである。
【0181】
アクティブ通信モード(即ち、ターゲットがそれ自体のRF場を生成する)においてRFコリジョンを行う場合、システムは、イニシエータによって生成されたRF場がオフにされた時からターゲットによって生成されたRF場がオンにされる時までの時間間隔を導入する。この時間間隔中は、イニシエータ及びターゲットは、RF場を全く生成しない。この時間間隔の持続時間は、アクティブ遅延時間TADTとして知られ、768/f(≒56.6μs)≦TADT≦2559/f(≒188.7μs)として表され、式中、fは、キャリア周波数(即ち、13.56MHz)である。アクティブ遅延時間後に、ターゲットのRF場のスイッチオンと、応答メッセージの送信開始との間の時間であるガード時間TARFGが存在する。TARFGは、1024/f(≒75.5μs)以上でなければならない。しかしながら、これらのRFコリジョン防止の為のタイミング要件は、多くの場合、遅延がNFC要件を超える為、応答メッセージが後続の低下電力時間間隔に存在することを許容しない場合がある。従って、多くの実施形態において、各低下電力時間間隔において双方向送信を有することが有利となり得る。
【0182】
図1のシステムでは、通信ユニット305、405は、通信リンクをサポートする為に幾つかの動作を行うように更に構成される。
【0183】
そのような動作は、他の通信要素の通信能力を検出することを含んでもよい。例えば、イニシエータは、ターゲットの通信能力を決定してもよく、具体的には、例えばターゲットがアクティブ又はパッシブターゲットであるか、それがどのNFCモードをサポートするか等を決定してもよい。
【0184】
1つ又は複数の通信リンクをサポートする為に行われ得る別の動作は、具体的には、例えばコリジョン解消に関してNFC規格に記載されるような、同時短距離通信が行われていることを検出する為に行われ得るコリジョン検出である。
【0185】
1つ又は複数の通信リンクをサポートする為に行われ得る別の動作は、パワートランスミッタ101とパワーレシーバ105との間(及びイニシエータとターゲットとの間)の通信を初期化することができる通信セッション初期化である。具体的には、通信は、通信能力の決定及び適応、識別情報の交換等を伴う特定のプロシージャに従うことによってセットアップすることができる。
【0186】
この動作は、具体的には、イニシエータが例えば通信に備えてターゲットを起動させることができるデバイス起動でもよい。
【0187】
具体的には、NFCの場合、これらの動作は、技術検出、コリジョン解消及びデバイス起動活動(例えば、NFC Activity Specification, Technical Specification, Version 1.0, NFC Forum, 18 November 2010に記載される)を含んでもよい。
【0188】
多くの実施形態において、これらの機能は、給電フェーズ前に行われてもよく、即ち、それらは、パワートランスミッタがパワーレシーバ(の負荷)に対して送電を開始する前に行われる。
【0189】
これらの活動は、比較的時間のかかる活動であり、多くの実施形態において、それらのタイミング要件は、記載されたデータ交換方式には対応しない場合がある。従って、これらの活動が給電中に行われた場合、一部の実施形態の一部のケースでは、正しい実行を保証することができない。
【0190】
このアプローチは、通信が意図されたパワートランスミッタ101と意図されたパワーレシーバ105との間のものではないリスクを減少させることを目的とした様々なアプローチを更に含んでもよい。
【0191】
多くの実施形態において、パワーレシーバ105及び/又はパワートランスミッタ101の短距離通信ユニット305、405は、短距離通信の考えられる通信候補の検出を行ってもよい。これは、例えば、NFC通信のコリジョン解消活動中に行われてもよい。例えば、イニシエータの通信ユニットは、RF信号を生成することができ、その後、何個の潜在的ターゲットが応答を提供するかを見る為に監視することができる。
【0192】
2つ以上の潜在的通信候補が検出された場合(即ち、NFC例の場合、2つ以上のターゲット)、通信ユニットは、これを電力コントローラ303に示す(直接的に、又は例えば検出がパワーレシーバ105内であれば負荷変調によって)。次に、電力コントローラ303は、例えば給電を終了させることによって、意図された給電を初期化しないことによって、最大電力限度を制限することによって等、給電の阻止に進む。
【0193】
NFCの一具体例として、コリジョン解消活動中に、2つ以上のターゲットがイニシエータによって検出された場合、パワートランスミッタ101は、給電信号を生成しない。従って、パワートランスミッタ101は、2つ以上のターゲットが検出される限り、電力を送らない。これは、パワートランスミッタ又はパワーレシーバが2つ以上のパワーレシーバ又はパワートランスミッタとそれぞれ通信し得るリスクを減少させることができる。
【0194】
従ってこれは、様々な望ましくないケースを防止することができる。
【0195】
例えば、図7に示されるように、第2のパワーレシーバ(App#2)が、パワートランスミッタ(Tx#1)から電力を受け取る意図されたパワーレシーバ(App#1)に対して、それがTx#1内に実装されたNFCデバイスの通信範囲内にあるように極めて近接して配置された場合、App#2もまた、パワートランスミッタと通信し、それから電力を受け取る可能性がある。従って、電力を受け取るはずではないApp#2が、意図せず熱くなり、望ましくない状況をもたらす可能性がある。
【0196】
2つのパワーレシーバ(例えば、2つの電化製品)が同じパワートランスミッタと通信することができるケースでは、2つの電化製品は、パワートランスミッタに対して矛盾するコマンドを送信する可能性がある。例えば、一方がより多くの電力を要求する可能性がある一方で、第2の電化製品がより低い電力を必要とする。
【0197】
NFC−F信号技術がパッシブ通信モードで用いられる場合、NFC Digital Protocol, Technical Specification, Version 1.0, NFC Forum, 17 November 2010に記載されるSENSF_REQコマンドを、ターゲットの動作フィールドを精査する為にイニシエータによって使用することができる。有効なSENSF_RES応答毎に、イニシエータは、そのデバイスカウンタをインクリメントする(例えば、NFC Activity Specification, Technical Specification, Version 1.0, NFC Forum, 18 November 2010を参照)。このタスクは、コリジョン解消活動によって行われる。カウントされたターゲットの数は、イニシエータの通信範囲内でNFC−F信号技術を用いて構成されたターゲットデバイスの数である。従って、この数が1より大きい場合、パワートランスミッタは、給電信号を阻止してもよい。
【0198】
一部の実施形態では、パワーレシーバ105は、第2の通信ユニット405によって確立された短距離通信リンクが存在しないことに応答して、受電コイル107の信号を負荷403から切り離すように構成されてもよい。このような実施形態では、受電コイル107は、第2の通信ユニット405がパワートランスミッタ101との短距離通信リンクを確立していない限り、切り離されてもよい。具体的には、NFCの場合、受電コイル107は、パワーレシーバ105が作動したNFCデバイスでない限り、切り離される。多くの実施形態では、受電コイル107は、パワーレシーバ105の内部回路からも切り離されてもよい。
【0199】
この方法は、別の近接したパワーレシーバに電力を供給することが意図された給電信号を意図せず受信するパワーレシーバ105の影響を低減することができる。
【0200】
一具体例として、NFC−A信号技術がパッシブ通信モードで用いられるケースでは、NFC Digital Protocol, Technical Specification, Version 1.0, NFC Forum, 17 November 2010に記載されたSDD_REQコマンドを、同じ技術(この場合、NFC−A)の2つ以上のデバイスがイニシエータの動作フィールド内に存在するか否かを検出する為にイニシエータによって使用することができる。これは、コリジョン解消活動中に検出することができる。従って、図7に描かれた例において、Tx#1及びApp#1がNFC−Aを用いて通信する並びにApp#2がNFC−Fを用いてのみ通信できる場合、イニシエータは、2つ以上のデバイスがその通信範囲内にあることを検出しない。この場合、App#2もTx#1から電力を受け取る。
【0201】
このような状況を防止する為に、一部の実施形態においてパワーレシーバの電力コイルは、デバイスの起動(NFC通信リンクの場合)が行われていなければ、少なくとも負荷から及び一般的にはパワーレシーバの他の部分から切り離されてもよい。つまり、一部の実施形態においてパワーレシーバ105の電力コイルは、NFC通信ユニットが起動されない限り、負荷から切り離されてもよい。
【0202】
上記の例は、パワーレシーバ105が受電コイル107の信号を負荷から切り離すように構成されることを記載する。しかしながら、一部の実施形態では、パワーレシーバ105は、受電コイル107の信号を負荷から切り離すことができない。
【0203】
そのようなケースでは、パワーレシーバ105は、第2の通信ユニット405によって確立された短距離通信リンクが存在しないことに応答して、負荷403への電力を減らすように構成されてもよい。そのような実施形態では、第2の通信ユニット405がパワートランスミッタ101との短距離通信リンクを確立していない限り、受電コイル107がショートカットされてもよい又はレシーバコイル107に取り付けられた共振回路がデチューンされてもよい。
【0204】
一部の実施形態では、パワーレシーバ105は、ユーザインタフェースを含んでもよく、且つ給電信号の存在及び通信ユニットによって確立された短距離通信リンクが存在していないことの検出に応答して、ユーザアラートを生成してもよい。
【0205】
例えば、パワーレシーバ105がパワーレシーバコイルの代わりに誘導加熱素子(即ち、スマート鍋)を含む場合、受電コイル107を他の回路から切り離すことは不可能であり、パワーレシーバが別のパワーレシーバ用の給電信号を受信するように配置されている場合、誘導加熱素子の意図しない加熱が生じ得る。この場合、電化製品は、例えば可聴音及び/又は警告灯を用いて、この望ましくない状況をユーザに警告することができる。ユーザは、その後、手作業でこの状況に対処することができる。
【0206】
一部の実施形態では、電力コントローラ303は、第2の要素から予期される応答メッセージが既定の時間間隔内に受信されないという検出に応答して、給電を阻止するように構成される。このメッセージは、例えば、パワートランスミッタ101から送信されたメッセージに応答して予期される専用応答メッセージでもよく、又は例えば、通常動作の一部としてパワーレシーバ105が送信することを予期されるメッセージでもよい。例えば、給電動作中に、パワーレシーバ105は、少なくとも250ms毎に、又はそれよりも速く電力制御メッセージを送信するべきである。そのようなメッセージが時間内に受信されなければ、電力コントローラ303は、給電の阻止に進んでもよく、具体的には、それは、給電を終了させる又は給電信号の電力レベルを減少(特にゼロにまで)させてもよい。
【0207】
この方法は、例えば、パワーレシーバ105が給電中に除去されたか否かを検出してもよい。この動作は、どの要素がイニシエータであるかに依存し得る。イニシエータがパワートランスミッタ側で実現された場合、イニシエータは、パワーレシーバが除去された場合、低下電力時間間隔中にターゲットから応答を受信しない。その結果、第1の通信ユニット305は、タイムアウトエラーを生成してもよく、それに応じて電力コントローラ303が給電を終了させることができる。
【0208】
一部の実施形態では、電力コントローラ303は、パワーレシーバ105からの無線信号の欠如の検出に応答して、給電を阻止するように構成されてもよい。
【0209】
例えば、イニシエータがパワーレシーバ側に配置される場合、ターゲットは、パワートランスミッタ側で実現される。通信がアクティブ通信モードに基づく場合、ターゲットは、それがリッスンモードにある時に、イニシエータによって生成されるRF場を検知しない。通信がパッシブ通信モードである場合、ターゲットは、それ以上イニシエータによって電力を供給されない。従って、アクティブ又はパッシブ通信モードの何れであっても、イニシエータ(パワーレシーバ105)からのRF信号の欠如を検出することができ、この信号の欠如の検出は、電力コントローラ303に供給することができ、その結果、電力コントローラ303は、一般的に給電を終了させることによって、給電の阻止に進むことができる。
【0210】
一部の実施形態では、第2の通信ユニット405は、給電信号が存在しているとの検出に応答して、パワートランスミッタ101との通信リンクの終了を防止するように構成される。具体的には、第2の通信ユニット405は、給電信号が存在する限り(電力時間間隔において)、通信リンクを終了させない。従って、電力時間間隔中にパワートランスミッタ101からの給電信号が存在する限り、短距離通信リンクが、第2の通信ユニット405によってサポートされる。これは、パワートランスミッタ101が意図しないパワーレシーバ105によって誤って制御されるリスクを低減することができる。
【0211】
具体的には、NFC通信の場合、デバイス停止活動は、パワートランスミッタが給電信号を送信する限り行われない。これは、パワートランスミッタ(図7のTx#1)の通信範囲内にある第2の電化製品(例えば、図7のApp#2)が、第1の電化製品(図7のApp#1)に送電中及びそれとデータ交換中のパワートランスミッタ(図7のTx#1)と通信できることを防止することができる。NFC通信は、2つの要素間の通信をサポートするだけである為、1つの通信リンクの維持が、別の通信リンクがセットアップされることを防止することができる(具体的には、2つの要素間の通信がデータ交換フェーズにある場合)。
【0212】
一部の実施形態では、パワートランスミッタ101及び/又はパワーレシーバ105は、識別データを送信し、予期された識別が受信されたか否かを監視するように構成されてもよい。
【0213】
具体的には、イニシエータは、一定間隔で、それが通信しているターゲットの識別番号を要求してもよい。それに応じて、イニシエータは、識別番号を受信し、これが期待値と一致するか否かをチェックする。一致しない場合は、受電が阻止されてもよく、一般的に終了されてもよい。
【0214】
具体的には、パワートランスミッタ101が、パワーレシーバ105から正しい識別を受信しない場合(例えば、他のデータメッセージの一部がパワーレシーバ105から受信される為)、電力コントローラ303が通知を受け、その結果それが給電の終了に進む。
【0215】
従ってそのような例では、パワーレシーバ105は、繰り返しそれ自体の識別を第2のパワートランスミッタ101に送信してもよい。これらの送信は、パワートランスミッタ101からの要求に応じてでもよく、又は例えば全てのメッセージに識別を含めることによって、若しくは一定間隔でドキュメンテーションを送信することによって等、独立して生成されてもよい。
【0216】
従って、システムは、例えば、パワートランスミッタが2つ以上のパワーレシーバと通信する、パワートランスミッタがそれが通信していないパワーレシーバに電力を供給する、通信リンクが初期化されなかったパワーレシーバとパワートランスミッタが通信する、及び/又はパワーレシーバが2つ以上のパワートランスミッタと通信するリスクの低減に役立ち得る追加の予防措置を含んでもよい。
【0217】
前述の通り、順方向及び/又は逆方向通信リンクは、送電コイル103、受電コイル107又は実際は給電信号を利用しない通信リンクである。より正確に言えば、それらは、図1のシステムにおいて、給電の特性の変動によって影響を受けない、具体的には、給電信号の負荷の変動によって影響を受けない独立した通信リンクである。その結果、この方法は、例えば動的負荷変動に対して実質的に感度が低下した、大幅な通信の向上を可能にする。
【0218】
また、具体的にはNFC通信の適用は、既に市販されているトランスミッタ及びレシーバチップ、アンテナ、通信プロトコル等を含む既存の通信システムが使用されることを可能にする。専用通信方法が開発される必要がない。従って、開発時間の大幅な利益及びスケールメリットによるコストの低減を得ることができる。
【0219】
更に、データ速度の大幅な増加は、具体的には、最大424kbit/sの最大データ速度をサポートするNFCによって達成することができる。この通信速度は、不連続通信が考慮に入れられたとしても、Qi wireless power specification for low powerによって達成される2kbit/sよりもはるかに大きい。
【0220】
更に、約4〜10cmまでの最大通信範囲を有するNFCを用いることにより、パワートランスミッタ101が非常に近いパワーレシーバ105から制御データを受信することを確実にすることができ、その結果、給電が給電に関与するパワーレシーバ以外のパワーレシーバによって制御されるリスクを低減する又は潜在的に取り除く。NFCチップ及びアンテナは、それが送電コイルの実質的に上に又は近くに配置されたパワーレシーバとのみ通信することができ、別の送電コイル又はパワートランスミッタ上に配置されたパワーレシーバとは通信できないように、パワートランスミッタ内に設置される。従って、通信リンクは、パワートランスミッタと、それが電力を供給しているパワーレシーバとの間でのみ確立される。別のパワートランスミッタの上に設置されたパワーレシーバとの通信は、このパワーレシーバがパワートランスミッタの通信範囲外にある為、防止される。
【0221】
一部の実施形態では、パワートランスミッタは、変動DC給電信号から給電信号を生成するように構成されてもよい。
【0222】
そのようなドライバの一例が、図8に示される。図9は、ドライバ201の信号の信号波形の例を示す。
【0223】
ドライバ201は、電源信号を生成する電源801を含む。電源801は、1kHz以下及び一般的には500Hz又は200Hz以下の周期変動を有する周波数を有する周期変動信号である。多くの実施形態では、周期変動は、入力AC信号の変動、具体的には、40Hz〜70Hz(一般的には50Hz又は60Hz)の周波数を有する入力AC電源信号に起因する周期変動に対応する。周期変動は、具体的には、入力AC信号の整流に起因し得、その結果、一般的に入力AC信号の周波数(単整流)又は入力AC信号の周波数の2倍(倍整流)に対応する周波数を有し得る。
【0224】
その結果、電源信号は、周期変動する電力/電圧/電流を有し得る周期変動信号である。変動は、1kHz以下の低周波数を有し、一般的には、電源信号は、入力AC信号の周波数(又はその2倍)に対応する周波数を有する低周波信号である。
【0225】
具体的にこの例では、AC信号を受信し、レベルが変動するDC信号を生成するAC−DC変換器。この具体例では、電源801が、50Hz又は60Hzの周波数を有するAC電源から得た正弦波信号(図9のUmains)を受信する。電源801は、正弦波信号の全波整流を行う。従って、図9のUdc_abs信号に対応する電源信号が生成される。
【0226】
この具体例では、電源801が平滑コンデンサを全く含まず、その結果、電源信号が全波整流正弦波信号に対応する。しかしながら、他の実施形態では、電源801は、整流された信号を平滑化するコンデンサを含んでもよく、それによって、レベル変動の少ない電源信号を生成する。しかしながら、殆どの実施形態では、コンデンサは、比較的小さくてもよく、少なくとも一部の負荷に対して実質的に変動するレベルを有する電源信号をもたらす。例えば、多くのケースでは、リップルは、全負荷の少なくとも25%又は50%でもよい。
【0227】
従って、変動電圧を有するDC電源信号が生成される。変動電圧は、ACレベルの変動によるものであり、従って、DC電源信号は、AC電源の周波数の2倍の周期を有する、即ち、50Hzの入力信号の場合10msの周期を有する周期信号である。
【0228】
電源801は、電源信号を受信し、これから給電信号生成器803に結合されたインダクタ103用の駆動信号を生成する給電信号生成器803に結合される。
【0229】
給電信号生成器803は、具体的には、給電信号の周波数よりも高くなるように駆動信号の周波数を生成するように構成された周波数変換器805を含む。周波数変換器は、給電信号に対して駆動信号の周波数を増加させてもよい。インダクタ103は、電源信号の周波数よりも大幅に高い周波数を有する駆動信号によって駆動される。電源信号の周期は、一般的に、2.5ms又は5ms(400Hz又は200Hzの周波数にそれぞれ対応する)以上である。しかしながら、駆動信号は、一般的に、少なくとも20kHz〜200kHzの周波数を有する。給電間隔中は、駆動信号は、具体的には、d(t)=p(t)・x(t)として表すことができ、式中、p(t)は、電源信号であり、且つx(t)は、p(t)よりも高い周波数を有する、一般的には、はるかに高い周波数(例えば、一般的には100倍以上)を有する信号である。損失を減らす為に、x(t)は、一般的にAC信号であり、即ち、それはゼロの平均値を有する。
【0230】
x(t)は、例えば、正弦波でもよい。しかしながら、図8の例では、x(t)は、方形波信号に対応する。この例では、周波数変換は、乗算によってではなく、切り替え動作によって行われる。具体的には、周波数変換器805は、電源信号が供給電圧として提供される、並びに電源信号及び周波数変換信号x(t)の乗算に対応する効果をもたらすスイッチ素子を介してインダクタ103に結合するスイッチ回路を含む。
【0231】
図8のシステムでは、周波数変換器805は、供給電圧として使用される電源信号の変動DC電圧から交流信号を生成するインバータの形態の駆動回路を含む。図10は、ハーフブリッジインバータの一例を示す。スイッチS1及びS2は、それらが決して同時に閉とならないように制御される。交互に、S2が開である一方でS1は閉であり、S1が開である一方でS2は閉である。これらのスイッチは、所望の周波数を有して開閉され、それによって、出力において交流信号を生成する。図11は、フルブリッジインバータを示す。スイッチS1及びS2は、それらが決して同時に閉とならないように制御される。同様に、スイッチS3及びS4は、それらが決して同時に閉とならないように制御される。交互に、S2及びS3が開である一方でスイッチS1及びS4は閉である、並びに、次にS1及びS4が開である一方でS2及びS3は閉であり、それによって、出力において方形波信号を生じさせる。これらのスイッチは、所望の周波数を有して開閉される。
【0232】
結果として生じる信号Uac_HFが図9に示される。一般的に共鳴信号を含む送電コイル103に対するこの信号の印加は、図9の信号Uac_Txをもたらす。
【0233】
しかしながら、図8のドライバ201では、周波数変換器805によって生成された信号は、トランスミッタコイル103に直接供給されない。より正確に言えば、この信号は、インダクタに供給される駆動信号の電力を、この電力が低下電力時間間隔中、即ち、通信間隔中に、既定の閾値を下回るように制限するように構成されたリミッタ807に供給される。リミッタ807の出力は、トランスミッタコイル103に供給される。一般的に、この結合は、共振回路(これはリミッタ807の一部と考えられ得る)を含む。
【0234】
一具体例として、リミッタ807は、単純に、周波数変換器805の出力からトランスミッタコイル103を切り離すことによって、信号の電力がトランスミッタコイル103に供給されることを制限してもよい。従って、この例では、周波数変換器805からの信号は、周波数変換器805からの信号がトランスミッタコイル103に結合されない通信間隔によって中断される給電間隔中にトランスミッタコイル103に結合される。
【0235】
リミッタ807は、インバータの固有の部分であってもよい。一具体例として、通常、位相差を有して(S2及びS3が開である間に、少なくとも一部の時間スイッチS1及びS4が閉である並びにその逆を意味する)切り替えられるフルブリッジインバータ内のスイッチは、方形波の生成は、位相差無しに(S2及びS4が開である間にスイッチS1及びS3が閉である並びにその逆を意味する)切り替えによって停止することができる。一般的に、給電信号の強度は、フルブリッジの位相によって制御することができる。より多くのスイッチが同相である程、給電信号の振幅が低くなり、より多くのスイッチが異相である程、給電信号の振幅が高くなる。
【0236】
図12は、その結果生じる信号(図9の場合と同じ表記を使用)を示す。この図は、まず、電源に供給されるAC電源信号である信号Umainsを示す。この信号は、全波整流されて、図9に示されるようなUdc_absに対応する信号レベル変動電源信号を生成する。次に、周波数変換器805が、これを図9及び図12のUac_HFに対応する高周波信号に変換する。しかしながら、単にこの信号をトランスミッタコイル103/共振回路に供給するのではなく、この信号は、図12のゲート信号On_Off_ZeroX信号に従ってゲーティングされる(即ち、接続又は切断される)。このゲート信号が低い値を有する場合、周波数変換器805によって生成される給電信号は、トランスミッタコイル103/共振回路に結合され、このゲート信号が低い値を有する場合、周波数変換器805によって生成される給電信号は、トランスミッタコイル103/共振回路に結合されない。従って、ゲーティング後に結果として生じる信号は、図12のUac_HFとして示され、これは、共振回路による平滑化の後に、図12の信号Uac_Txとなる。従って、トランスミッタコイル103に供給される給電信号は、この具体例では、図12の信号Uac_Txに対応する。
【0237】
一例として、リミッタ807は、ハーフ又はフルブリッジインバータに組み込まれてもよい。ゲート信号On_Off_ZeroX信号が低い値を有する場合、ハーフ又はフルブリッジインバータの全スイッチは、非導電状態に切り替えられ、給電信号がトランスミッタコイルに結合されないようにしてもよい。
【0238】
従って、ゲーティング信号は、給電駆動信号がトランスミッタコイル103に供給される給電間隔を定義する。これらの給電間隔は、給電信号がトランスミッタコイル103に供給されない低下電力時間間隔によって中断される。図8のドライバでは、代わりに、これらの反復時間間隔/低下電力時間間隔が、パワートランスミッタ101とパワーレシーバ105との間の短距離通信に使用され、即ち、それらは、通信間隔(図12のNFCキャリア信号によって示される)として使用される。
【0239】
従って、この場合の低下電力時間間隔は、無作為に又は給電信号から独立して生成されるのではなく、給電信号の変動に同期化される。具体的には、低下電力時間間隔は、電源信号の値/レベルが閾値を下回る時間間隔に対応する。
【0240】
従って、電源シンクロナイザは、低下電力時間間隔を電源信号の周期変動に同期させてもよく、具体的には、これは、適切な時期に高値と低値とのゲーティング信号の切り替えによって達成されてもよい。
【0241】
電源シンクロナイザは、具体的には、電源信号の絶対値の周期最小値に対応するように低下電力時間間隔を同期させてもよい。変動DC信号の場合、これは、電源信号の値の周期最小値に対応してもよい。AC信号の場合、これは、整流された後の電源信号の値の周期最小値に対応してもよい。実際、AC信号の場合、これは、電源信号の値のゼロ交差に対応し得る。電源シンクロナイザは、具体的には、電源信号の電圧を測定し、この電圧に同期化してもよい。しかしながら、同等に、電源シンクロナイザは、電源信号の電流又は電力を測定し、この電流又は電力に同期化してもよい。実際、これらの値の一方の測定に基づいた同期化は、他方の値に基づいた同期化ももたらす。従って、任意の適切なパラメータが同期化を行う為に使用されてもよいことが認識されるであろう。
【0242】
電源シンクロナイザは、多くの実施形態において、低下電力時間間隔の周波数が周期変動の周波数の5倍以下又は5分の1以上であるように同期化を行ってもよい。多くの実施形態では、電源シンクロナイザは、低下電力時間間隔の周波数が周期変動の周波数と同じ又はそれの2倍となるように同期化を行ってもよい。実際、多くの実施形態では、低下電力時間間隔は、電源信号の絶対値の最小値毎に生成される。
【0243】
実際、図12の例では、1つの低下電力時間間隔は、AC入力信号のゼロ交差毎に生成され、これは、整流された入力信号の各最小値に対応する。
【0244】
基本的に、低下電力時間間隔は、電源信号Umainsのゼロ交差に、その結果、給電が最も効率の悪い信号部分に対応するように選択される。この方法は、より効率的な給電をもたらすことができる。
【0245】
図12の信号(NFC)キャリアによって示されるように、NFC通信は、低下電力時間間隔に、従って電源信号のゼロ交差に同期化される。
【0246】
以下に、NFCの実現に関連する幾つかの具体的な解説が提供される。
【0247】
一部の実施形態では、NFC通信は、NFC-A/NFC-DEP Protocolに従ってもよい。
【0248】
この場合、ポーリングモード(即ち、イニシエータからターゲットへ)では、送信信号は、ASK100%変調によるModified Millerコーディングを用いて変調された13.56MHzキャリア信号である。リッスンモード(即ち、ターゲットからイニシエータへ)では、ターゲットは、OOKサブキャリア変調によるマンチェスターコーディングを用いてキャリア信号を変調することによって応答する。NFC−Aの場合のビット持続時間は、約9.44μsに等しい。従って、106kbit/sのデータ速度が達成可能である。
【0249】
この例では、低下電力時間間隔の一般的な持続時間は、約2msでもよい。低下電力時間間隔中は、イニシエータは、NFC Digital Protocol, Technical Specification, Version 1.0, NFC Forum, 17 November 2010において定義されたビットレベルコーディング、フレームフォーマット、データフォーマット及びペイロードフォーマットに従ってデータパケットを送信する。
【0250】
この動作のタイミング図が図13に示される。この例では:
− 送信フレームの先頭ビットは、低下電力時間間隔/時間ウィンドウの開始と同時に生じるように選択される。小さな時間遅延(t−t)が、時間ウィンドウの開始と先頭ビットの遷移との間に導入される。
− 送信フレームの最後のビット(即ち、フレームの終わりの最後のビット)は、低下電力時間間隔/時間ウィンドウの終わりの前に生じるように選択される。
【0251】
従って、通信ユニットは、低下電力時間間隔/時間ウィンドウの開始時に、シンクロナイザによってトリガされる。
【0252】
図13に描かれるように、フレーム遅延時間ポーリング→リッスン(FDTPoll→Listen)は、t−tに等しい。この図では、イニシエータは、1つの低下電力時間間隔ウィンドウの間にデータを送信しており、ターゲットは、次の低下電力時間間隔中に応答している。FDTPoll→Listenは、以下のタイミング要件に適合するように設計されてもよい:
− FDTPoll→Listenは、NFC規格において定義された最小フレーム遅延時間よりも大きいべきである。最小フレーム遅延時間は、如何なる場合でも、期間t−tよりも小さい。従って、この要件は、本質的に満たされる。
− FDTPoll→Listenは、NFC規格において定義された応答待ち時間(RWT:Response Waiting Time)よりも小さいべきである。応答待ち時間は、ポーリングフレームの終わりの後に、その間にターゲットがその応答のデータ開始(SoD:Start of Data)を送らなければならない時間を定義する。それは、式:
RWT=(256×16/f)×2WT
によって計算され、式中fは、キャリア周波数(即ち、13.56MHz)であり、WTは、0〜14の範囲内の値である。WTの値は、ターゲット起動活動中にイニシエータに送信される。安全な動作を得る為に、RWTは、電力時間間隔(t−t)よりも大きくなるように選択される。この値は、一般的に約8msである。従って、WTの値は、5以上でなければならず、これは、約9.67msに等しいRWTに対応する。安全な動作の為には、6以上の値が使用されてもよい。
図13に示されるように、イニシエータが1つの低下電力時間間隔中にデータを送っており、ターゲットが次の低下電力時間間隔中に応答している場合、FDTPoll→Listenは、給電が行われる時間ウィンドウ(t−t)よりも大きく、時間ウィンドウt−tよりも小さいべきである。
− イニシエータによってそのデータを送信する為に使用されるのと同じ低下電力時間間隔中にターゲットが応答している場合、FDTPoll→Listenは、t−t<t−tを有する為に、十分に小さい(一般的には、100μs程度)べきである。
【0253】
フレーム遅延時間リッスン→ポーリング(FDTA,POLL)は、リッスンフレームとポーリングフレームとの間の時間である。最大値FDTA,POLL,MAXは、定義されない。従って、ターゲットが応答した後、イニシエータは、どの低下電力時間間隔を次のデータパケットを送る為にそれが使用するかを自由に選ぶことができる。
【0254】
一部の実施形態では、NFC通信は、NFC-F/NFC-DEP Protocolに従ってもよい。
【0255】
この例では、両送信方向(即ち、ポーリングモード及びリッスンモード)において、送信信号は、ASK変調によるマンチェスターコーディングを用いて変調された13.56MHzキャリア信号である。NFC−Aに対するNFC−Fの利点の1つは、より速いデータ速度が達成可能である点である。212kbit/s又は424kbit/sのデータ速度が達成可能である。
【0256】
NFC-A/NFC-DEP Protocolに関して示されたのと同じタイミング要件が、このような実施形態においても適用可能である場合がある。
【0257】
一部の実施形態では、NFC通信は、NFC-A/Type 4A Tag/ISO-DEP Protocolに従ってもよい。
【0258】
NFC-A/NFC-DEP Protocolに関して示されたのと同じタイミング要件が、このような実施形態においても適用可能である場合がある。
【0259】
一部の実施形態において、NFC通信は、NFC-F/Type 3 Tag/Half-duplex Protocolに従ってもよい。
【0260】
Type 3 Tagプラットフォームは、NFC−Fフレーム遅延時間を使用する。それは、タイミング要件に関してNFC規格によって定義されるような最大応答時間(MRT:Maximum Response Time)を使用する。安全な動作を得る為に、MRTは、電力時間間隔(t−t)よりも大きくなるように選択される。MRTは、式:
MRT=T×((A+1)+n(B+1))×4
によって計算され、式中:
− パラメータnは、CHECK又はUPDATEコマンド中のブロックフィールドのサイズ(即ち、ブロックの数)を示す。
− Tの値は、302.1μs(256×16/f)に等しい。
− パラメータA、B及びEは、イニシエータが動作フィールドを精査する際に、それに送信される。図13に示されるように、これらのパラメータは、フレーム遅延時間ポーリング→リッスン(t−t)よりも大きくなるように選ばれなければならない。
【0261】
以下に、可能な物理的ポジショニングに関連する幾つかの解説が、NFC実施形態を具体的に参照して提供される。
【0262】
物理的配置は、あるパワートランスミッタにおいて実現されたNFC通信ユニット(イニシエータ又はターゲット)が、別のパワートランスミッタにおいて実現されたNFC通信ユニットと通信できることを防止しようとしてもよい。従って、2つのパワートランスミッタ間の最小限の距離を得る為に、NFC通信ユニットのコイル(即ち、それらのアンテナ)は:
− パワーコイルと同じ平面に配置されてもよい。
− パワーコイルの中心と位置合わせされてもよい。
【0263】
この構成が図14に描かれる。図示されるように、2つのNFCコイル間の距離は、10cm(これは、ほぼ達成可能な最大通信範囲である)を超えるように選択されてもよい。従って、2つのパワートランスミッタ間の中心間距離Dは、dNFC+10cmを超えるように選択されてもよく、ここで、dNFCは、NFCコイルの直径である。NFC Analog Specificationの付録では、参照設計が提供される。NFCコイルは、7cmの外径を有する。従って、Dは、17cmを超えるように選択されてもよい。参照設計に提供されたコイルよりも大きいNFCコイルが使用された場合、この距離は増加され得る。
【0264】
類似のコイルトポロジー(即ち、電力コイルの中心と位置合わせされたNFCコイル)が、パワーレシーバにおいて実現されたNFCコイルにも用いられてもよい。その場合、パワートランスミッタとパワーレシーバとの間の通信リンクは、小さなミスアライメント(調理台の厚さ及び通信範囲に依存する)がなお許容されるものの、これら2つの要素が給電の為に位置合わせされた場合にのみ生じることができる。ワイヤレス電力供給電化製品が、パワーレシーバコイルの代わりに誘導加熱装置(即ち、スマート鍋)を含む場合、NFCは、誘導加熱システムの中心と位置合わせされるように選択されてもよい。
【0265】
パワーレシーバは、そのパワートランスミッタのNFCコイルから10cm離れてそのNFCコイルを有し得、依然として通信できる為、第2のパワートランスミッタは、パワーレシーバと第2のパワートランスミッタとの間の通信リンクを防止する為に、2*dNFC+10cmを超える距離Dに配置されるべきであり、dNFCは、NFCコイルの直径である。この構成が、図15に示される。最悪のケースとして、ゼロに等しい調理台の厚さが考慮される。NFC Analog Specificationにおいて提供される参照設計の寸法では、Dは、24cmを超えるべきである。
【0266】
第2のワイヤレス電力供給電化製品が調理台面上に設置される場合、そのNFCコイルは、パワートランスミッタと、この第2の電化製品との間に通信リンクを有さないように、トランスミッタのNFCコイルの中心から10cmを超えて離れて設置されるべきである。
【0267】
明確にする為の上記の説明は、異なる機能回路、ユニット及びプロセッサを参照して本発明の実施形態を説明したことが認識されるであろう。しかしながら、本発明から逸れることなく、異なる機能回路、ユニット又はプロセッサ間での機能性の適切な分配が用いられ得ることが明白となるであろう。例えば、別個のプロセッサ又はコントローラによって行われることが示された機能性が、同じプロセッサ又はコントローラによって行われてもよい。従って、具体的な機能ユニット又は回路への言及は、厳格な論理的又は物理的構造又は機構を示すのではなく、単に、記載された機能性を提供するのに適した手段への言及として考えられるものである。
【0268】
本発明は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの任意の組み合わせを含む適切な形態で実施することができる。本発明は、任意選択的に、少なくとも部分的に、1つ又は複数のデータプロセッサ及び/又はデジタル信号プロセッサ上で動作するコンピュータソフトウェアとして実施されてもよい。本発明の一実施形態の素子及び構成要素は、任意の適切な方法で、物理的、機能的及び論理的に実施されてもよい。実際、機能性は、単一のユニットにおいて、複数のユニットにおいて、又は他の機能ユニットの一部として実施されてもよい。従って、本発明は、単一のユニットにおいて実施されてもよく、又は異なるユニット、回路及びプロセッサ間で物理的及び機能的に分配されてもよい。
【0269】
本発明は、幾つかの実施形態に関連して説明されたが、本明細書に記載された具体的な形態に限定されることは意図されない。より正確に言えば、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。加えて、1つの特徴が特定の実施形態に関連して説明されるように思われる場合もあるが、当業者は、記載された実施形態の様々な特徴が、本発明に従って組み合わせられてもよいことを認識するであろう。クレームでは、含む(comprising)という用語は、他の素子又はステップの存在を排除しない。
【0270】
更に、個々に列挙されたが、複数の手段、素子、回路又は方法ステップが、例えば、単一の回路、ユニット又はプロセッサによって実現されてもよい。加えて、個々の特徴が異なる請求項に含まれ得る場合でも、それらは、場合によっては、有利に組み合わせられてもよく、異なる請求項での包含は、特徴の組み合わせが実現可能及び/又は有利ではないことを意味しない。また、請求項のあるカテゴリにおける特徴の包含は、このカテゴリへの限定を意味せず、むしろ、この特徴が必要に応じて他の請求項カテゴリにも同様に適用可能であることを示す。更に、請求項における特徴の順序は、特徴が機能しなければならない特定の順序を意味せず、特に方法請求項における個々のステップの順序は、これらのステップがこの順序で行われなければならないことを意味しない。むしろ、これらのステップは、任意の適切な順序で行われてもよい。加えて、単数の言及は、複数を排除しない。従って、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「第1の(first)」、「第2の(second)」等への言及は、複数を除外しない。請求項中の参照符号は、単に、明確にする為の例として提供され、特許請求の範囲を限定するものと決して解釈されないものとする。
図1
図2
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図4
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