特許第6422969号(P6422969)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6422969薬物送達デバイス用のアセンブリおよび薬物送達デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6422969
(24)【登録日】2018年10月26日
(45)【発行日】2018年11月14日
(54)【発明の名称】薬物送達デバイス用のアセンブリおよび薬物送達デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20181105BHJP
【FI】
   A61M5/315 550N
【請求項の数】12
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-528156(P2016-528156)
(86)(22)【出願日】2014年11月10日
(65)【公表番号】特表2016-537078(P2016-537078A)
(43)【公表日】2016年12月1日
(86)【国際出願番号】EP2014074147
(87)【国際公開番号】WO2015071212
(87)【国際公開日】20150521
【審査請求日】2017年10月25日
(31)【優先権主張番号】13193024.0
(32)【優先日】2013年11月15日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】トルシュテン・クラフト
【審査官】 今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−516598(JP,A)
【文献】 特表2005−508205(JP,A)
【文献】 特表2013−539699(JP,A)
【文献】 特表2013−528090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイス用のアセンブリ(100)であって、
ハウジングと、
クリッカ部材(2)と、
クラッチ機能(20)を含む回転可能なクラッチ部材(1)であって、該クラッチ部材(1)が第1の位置と該第1の位置とは異なる第2の位置との間でハウジングに対して軸方向に動くことができるように該アセンブリ(100)が構成される、クラッチ部材と、
クリッカ機構を形成するようにクリッカ部材(2)と相互作用するように構成される逆クリッカ(8)と、
クリッカ部材(2)とクラッチ部材(1)との間に配置され、クラッチ部材(1)を第1の位置の方へ、クリッカ部材から遠ざけるように動かすように配置されるばね要素(3)と
を含み、
第1の位置において、クラッチ部材(1)がクリッカ部材(2)に対して回転されるとき、逆クリッカ(8)がクリッカ部材(2)に対して回転し、
クラッチ部材(1)が第2の位置にあるとき、クラッチ部材(1)がクリッカ部材(2)に対して回転しない
ように構成される、前記アセンブリ。
【請求項2】
さらなるクラッチ部材(21)を含み、クラッチ部材(1)が第1の位置にあるとき、クラッチ機能(20)とさらなるクラッチ部材(21)との間に確立することができるクラッチ係合部が係合され、クラッチ部材(1)が第2の位置にあるとき、クラッチ係合部が解放されるように構成される、請求項1に記載のアセンブリ(100)。
【請求項3】
クリッカ機構に加えて、フィードバック部材を含むフィードバック機構を含み、クラッチ部材(1)の第2の位置ではフィードバック機構が動作可能であり、それによりフィードバック部材がクラッチ部材(1)にトルクを及ぼすように構成される、請求項2に記載のアセンブリ(100)。
【請求項4】
フィードバック部材は、さらなるクラッチ部材(21)であり、アセンブリ(100)は、クラッチ部材(1)が第2の位置にあるとき、トルクが、クリッカ部材(2)とクラッチ部材(1)との間の相対的な回転運動に影響を及ぼさないほど小さいように構成される、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
アセンブリ(100)のピストンロッドに連結されクラッチ部材(1)に対して回転方向にロックされる駆動スリーブ(4)を含む、請求項1〜4の少なくとも1項に記載のアセンブリ(100)。
【請求項6】
駆動スリーブ(4)は、クリッカ部材(2)およびクラッチ部材(1)を通って延びる、請求項5に記載のアセンブリ(100)。
【請求項7】
クリッカ部材(2)は、クリッカ機能(7)を含み、逆クリッカ(8)は、逆クリッカ機能(8)を含み、逆クリッカ(8)は、駆動スリーブ(4)によってもたらされ、アセンブリ(100)は、クリッカ機能(7)および逆クリッカ機能(8)が互いに向かい合って配置されるように構成される、請求項5または6に記載のアセンブリ(100)。
【請求項8】
クリッカ部材(2)は、クリッカ機能(7)を含み、逆クリッカ(8)は、逆クリッカ機能(8)を含み、逆クリッカ(8)は、クラッチ部材(1)によってもたらされ、アセンブリ(100)は、クリッカ機能(7)および逆クリッカ機能(8)が互いに向かい合って配置されるように構成される、請求項1〜6の少なくとも1項に記載のアセンブリ(100)。
【請求項9】
クリッカ部材(2)およびクラッチ部材(1)は、該クラッチ部材(1)が第2の位置にあるとき、クリッカ部材(2)およびクラッチ部材(1)を回転方向にロックするのに適した継手(10)を介して相互作用するように構成される、請求項1〜8の少なくとも1項に記載のアセンブリ(100)。
【請求項10】
クリッカ機構の動作中、クリッカ部材(2)およびクラッチ部材(1)が制限された状態で互いに対して軸方向に動かされ、クラッチ部材(1)が第1の位置にあるとき、クリッカ部材(2)がクラッチ部材(1)に対して動かされるまたはその逆による動きの軸方向距離が、クラッチ部材(1)の第1の位置と第2の位置との間の軸方向距離よりも小さい、ように構成される、請求項1〜9の少なくとも1項に記載のアセンブリ(100)。
【請求項11】
クリッカ部材(2)は、ハウジングに対して回転方向に固定され、逆クリッカ(8)は、クラッチ部材(1)が第1に位置においてクリッカ部材(2)に対して回転されるときに逆クリッカ(8)およびクラッチ部材(1)が同速度で回転するようにクラッチ部材(1)に連結される、請求項1〜10の少なくとも1項に記載のアセンブリ。
【請求項12】
請求項1〜11の少なくとも1項に記載のアセンブリ(100)を含む薬物送達デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、注射器型のデバイスのような薬物送達デバイス用のアセンブリ、および薬物送達デバイスに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本開示の目的は、薬物送達デバイスを改善することができるアセンブリを提供することである。特に、そのアセンブリを用いることで、薬物送達デバイスをより使い易くかつ/または頑強にすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0003】
この目的は、独立請求項1の主題によって達成される。有利な実施形態および改善点は、従属請求項の主題にある。
【0004】
本開示の一態様は、ハウジングを含む薬物送達デバイス用のアセンブリに関する。ハウジングは主軸を含むことができる。アセンブリは、クリッカ部材をさらに含む。クリッカ部材は、ハウジングに対して回転方向にロックされる。クリッカ部材は、好ましくは、ある限度内でのみ、ハウジングに対して軸方向に動くことができる。主軸は、ハウジングの長手方向軸であってよい。アセンブリは、クラッチ機能を含むクラッチ部材をさらに含む。クラッチ機能は、回転可能であることが好ましい。クラッチ機能は、例えばアセンブリまたは薬物送達デバイスのさらなるクラッチ部材と相互作用するように構成される。アセンブリは、クリッカ機構を形成するようにクリッカ部材と相互作用するように構成される逆クリッカ(counter clicker)をさらに含む。
【0005】
アセンブリは、さらに、クラッチ部材が第1の位置と第1の位置とは異なる第2の位置との間でハウジングに対して軸方向に動くことができるように構成される。第1の位置は、アセンブリまたは薬物送達デバイスの使用者が薬物の用量を設定することができる、クラッチ部材の位置に関係することができる。第2の位置は、アセンブリまたは薬物送達デバイスから用量が実際に投薬されるまたは用量が投薬された後の、クラッチ部材の位置に関係することができる。クラッチ部材の第1の位置および第2の位置は、ハウジングに対するクラッチ部材の異なる軸方向位置に関係することができる。
【0006】
アセンブリは、クリッカ部材とクラッチ部材との間に配置されるばね要素をさらに含む。ばね要素は、クリッカ部材とクラッチ部材との間に保持される。ばね要素は、クラッチ部材を第1の位置の方に向かってクリッカ部材から遠ざけるように動かすように配置される。
【0007】
アセンブリは、クラッチ部材が第1の位置にあるときは、クラッチ部材がクリッカ部材に対して回転され、逆クリッカがクリッカ部材に対して回転してクリッキング動作が実施され、クラッチ部材が第2の位置にあるときは、クリッカ部材に対するクラッチ部材の回転およびそれと共にクリッカ部材に対する逆クリッカの回転が阻止されてクリッキング動作が実施されないように構成される。
【0008】
有利には、提供されるアセンブリの概念によって、例えばハウジングに対する、ばね要素の固定に関する問題を回避することができる。例えば、例えば使用者によるアセンブリまたはデバイスの不適当な操作(maloperation)中にクラッチ部材に大きな力またはトルクが加えられたとき、アセンブリの構成要素がその支承部または固定状態から引き出されることを回避することができる。したがって、特に頑強な設計を提供することが可能である。さらに、提供される設計は、薬物送達デバイスが機能するのに欠かせないクラッチの機能性に適合する(以下参照)。
【0009】
一実施形態では、クリッカ部材は、クラッチ部材が第1の位置にあるとき、クリッカ機構を形成するように逆クリッカと相互作用するように構成されるクリッカ機能を含む。
【0010】
一態様は、アセンブリを含む薬物送達デバイスに関する。
【0011】
クリッカ機構は、好ましくは、設定用クリッカ機構(setting clicker mechanism)、すなわち、例えばアセンブリおよび/または薬物送達デバイスの用量設定操作中に動作されるクリッカ機構である。
【0012】
一実施形態では、クリッカ機構は、クラッチ部材が第1の位置にあり、クラッチ部材がハウジングに対して回転されるとき、使用者に可聴的かつ/または触覚的なフィードバックを提供するように配置される。
【0013】
一実施形態では、クリッカ部材および/またはクラッチ部材は、スリーブ様に構成される。有利には、クラッチ部材およびクリッカ部材は、アセンブリのハウジング内で案内され、したがって、クリッカ機構およびクラッチ係合部が頑強に具現化される(以下参照)。
【0014】
一実施形態では、アセンブリは、さらなるクラッチ部材を含む。アセンブリは、クラッチ部材が第1の位置にあるとき、クラッチ機能とさらなるクラッチ部材との間に確立することができるクラッチ係合部が係合され、クラッチ部材が第2の位置にあるとき、クラッチ係合部が解放されるように構成される。例えば、クラッチ係合部は、クラッチ部材とさらなるクラッチ部材との間に回転ロッキングを形成するように構成される。有利には、クラッチ部材と前記構成要素との間の相対的な回転が阻止され、その一方でこの回転および/または回転阻止は、アセンブリおよび/または薬物送達デバイスの動作に欠かせない。
【0015】
一実施形態では、アセンブリは、クリッカ機構に加えて、フィードバック部材を含むフィードバック機構を含む。アセンブリは、クラッチ部材の第2の位置ではフィードバック機構が動作可能であり、それによりフィードバック部材がクラッチ部材にトルクを及ぼすように構成される。アセンブリは、好ましくは、クラッチ部材が第2の位置にあるとき、フィードバック機構が自動的に動作し、好ましくは薬物の用量の投薬中に、アセンブリおよび/または薬物送達デバイスの使用者に可聴的かつ/または触覚的なフィードバックをもたらすように構成される。フィードバック部材は、用量ダイヤルスリーブまたはあらゆる他の構成要素であってよい。
【0016】
一実施形態では、フィードバック部材は、さらなるクラッチ部材であり、アセンブリは、クラッチ部材が第2の位置にあるとき、トルクがクリッカ部材とクラッチ部材の相対的な回転運動に影響を及ぼさないほど小さいように構成される。この実施形態の利点としては、クラッチ部材が第2の位置にあるとき、クリッカ部材とクラッチ部材をフィードバック機構によって軸方向に分けなくてもよい。
【0017】
一実施形態では、クリッカ機能および逆クリッカ機能は、クリッカ部材および逆クリッカを含む構成要素の円周周りに間隔を置いて配置される歯をそれぞれ含む、または構築する。この実施形態によれば、クリッカ部材と逆クリッカの相対的な回転が、少なくとも部分的に、クリッカ部材または逆クリッカのそれぞれの他方の構成要素に対する軸方向運動に変換されることが達成される。一般に、クリッカ機構は、このように簡単に具現化することができる。
【0018】
一実施形態では、クリッカ機構は、クラッチ部材が第1の位置にあるときだけ動作または起動されるように構成される。
【0019】
一実施形態では、アセンブリは、アセンブリのピストンロッドに連結される駆動スリーブを含む。駆動スリーブは、さらに、クラッチ部材に対して回転方向にロックされる。駆動スリーブおよび/またはピストンロッドは、薬物送達デバイスの駆動スリーブおよびピストンロッドをそれぞれ構築することができる。駆動スリーブは、さらに、クラッチ部材に対して回転方向にロックされる。アセンブリが薬物送達デバイス内に適用される場合、この実施形態が特に適当である。
【0020】
一実施形態では、駆動スリーブは、クリッカ部材およびクラッチ部材を通って延びる。薬物送達デバイスの頑強な機能性は、この実施形態に従って最も簡単に達成することができる。というのも、駆動部材は、クラッチ部材および/またはクリッカ部材の軸方向延長部の先にある、アセンブリまたは薬物送達デバイスのさらに別の構成要素との相互作用に必要とされるからである。
【0021】
一実施形態では、クリッカ部材は、ハウジングに対して回転方向に固定される。逆クリッカは、クラッチ部材が第1の位置においてクリッカ部材に対して回転されるときに、逆クリッカおよびクラッチ部材が同速度で回転するようにクラッチ部材に連結される。
【0022】
一実施形態では、逆クリッカは、駆動スリーブによってもたらされ、アセンブリは、クリッカ機能および逆クリッカ機能が互いに向かい合って配置されるように構成される。この実施形態によって、好都合には、クリッカ機構を形成するために、逆クリッカとクリッカ部材との間の相互作用が可能になる。
【0023】
一実施形態では、クリッカ部材およびクラッチ部材は、クラッチ部材が第2の位置にあるとき、クリッカ部材およびクラッチ部材を回転方向にロックするのに適した継手を介して相互作用するように構成される。クリッカ部材とクラッチ部材の回転ロッキングは、クラッチ部材が第2に位置にあるとき、フィードバック機能によってクラッチ部材に及ぼされる上述したトルクがクラッチ部材とクリッカ部材を相対的に回転させようとすることがあるので、有利であり得る。前記回転は、要するに、前記継手によって回避可能である。
【0024】
一実施形態では、アセンブリは、クリッカ機構の動作中、クリッカ部材およびクラッチ部材が制限された状態で互いに対して軸方向に動かされ、クラッチ部材が第1の位置にあるとき、クリッカ部材がクラッチ部材に対して動かされるまたはその逆による動きの軸方向距離が、クラッチ部材の第1の位置と第2の位置との間の軸方向距離よりも小さいように構成される。この実施形態によれば、好都合には、クリッカ機構の動作中における上述の継手の解放を防ぐことができる。
【0025】
一実施形態では、逆クリッカは、クラッチ部材によってもたらされ、アセンブリは、クリッカ機能および逆クリッカ機能が互いに向かい合って配置されるように構成される。この実施形態によって、好都合には、クリッカ機構を形成するために逆クリッカとクリッカ機能との間の相互作用が可能になる。
【0026】
クリッカ部材とクラッチ部材との間の上述した相対的な軸方向運動の間、ばね要素は、例えばクリッカ機能の歯と逆クリッカの歯が互いに上を動くまたは通過するときに、付勢または弛緩されることが好ましい。
【0027】
本明細書で使用する用語「薬物」は、好ましくは少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0028】
インスリン類似体は、例えば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0029】
インスリン誘導体は、例えば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0030】
エキセンジン−4は、例えば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0031】
エキセンジン−4誘導体は、例えば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
【0032】
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0033】
ホルモンは、例えば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0034】
多糖類としては、例えば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、例えば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0035】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0036】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(例えば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0037】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0038】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(C)と可変領域(V)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0039】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0040】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0041】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0042】
薬学的に許容される塩は、例えば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、例えば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、例えば、アルカリまたはアルカリ土類、例えば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0043】
薬学的に許容される溶媒和物は、例えば、水和物である。
【0044】
本明細書において、様々な態様または実施形態と併せて上記および以下に述べられる特徴は、やはりまた、他の態様および実施形態に適用することができる。本開示の主題のさらなる特徴および有利な実施形態は、図面と併せて以下の例示的な実施形態の説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1A】本開示によるものではないアセンブリの図である。
図1B図1Aのアセンブリのより詳細な斜視図である。
図2A】クラッチ部材の斜視図である。
図2B】クリッカ部材の斜視図である。
図2C】駆動スリーブの斜視図である。
図3A】本開示によるアセンブリの第1の実施形態の側面図である。
図3B図3Aのアセンブリのより詳細な側面図である。
図4A】一代替実施形態によるクリッカ部材の斜視図である。
図4B】一代替実施形態によるクラッチ部材の斜視図である。
図5A】本開示によるアセンブリの一代替実施形態の側面図である。
図5B図5Aのアセンブリのより詳細な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図面において、同様の要素、同じ種類の要素および同一の働きをする要素は、同じ参照番号を備えることができる。さらに、図面における尺度は正確ではないことがある。むしろ、重要な原理をより良く示すために特定の特徴が誇張されて示されることもある。
【0047】
図1Aには、本開示によるものではないアセンブリが示されている。アセンブリは、クラッチ部材1を含む。クラッチ部材1は細長い形状を含む。クラッチ部材1の遠位端(図1の左端)は、クリッカ機能7を含む。クリッカ機能7は、歯または歯状境界面(tooth interface)であってよい、またはそれを含むことができる。図1A、1Bの左側は、アセンブリ100の遠位端に関係し、その一方で、右側は、アセンブリの近位端に関係することができる。クラッチ部材1は、さらに、スリーブ様に構成される。アセンブリは、ばね要素3をさらに含む。ばね要素3は、板ばねである。ばね要素3は、ハウジングに対して回転方向にロックされる。ばね要素3は、例えば歯を含む、逆クリッカ(明確に図示せず)を含む。逆クリッカ機能は、クリッカ機構を形成するようにクリッカ機能7と相互作用するように構成される。クリッカ機構は、例えば薬物の用量設定中である、クラッチ部材1がばね要素3に対して回転されるときに、可聴的かつ/または触覚的なフィードバックをもたらすのに適している。アセンブリ100は、駆動スリーブ4をさらに含む。駆動スリーブ4は、好ましくは、クラッチ部材1の中を少なくとも部分的に延びるように配置される。
【0048】
図1A、1Bに示されるばね要素3は、ハウジング(明確に図示せず)内におけるその固定に関する問題を引き起こすことがある。例えば、薬物の用量の設定中または投薬中に大きな力またはトルクがクラッチ部材1に加えられると、ばね要素3は、その支承部または固定状態から引き出されてしまうことがある。
【0049】
アセンブリ、薬物送達デバイス、またはその構成要素の「遠位端」とは、薬物送達デバイスの投薬端に最も近い端部を意味することになっている。
【0050】
アセンブリ、薬物送達デバイス、またはその構成要素の「近位端」とは、薬物送達デバイスの投薬端から最も遠い端部を意味することになっている。
【0051】
クラッチ部材1は、その近位端に、投薬クリッカ5のようなフィードバック機構をさらに含む。投薬クリッカ5は、弾性アームを含むことができる。弾性アーム(明確に図示せず)は、例えばアセンブリの別の構成要素がクラッチ部材1に対して回転されると、径方向内方に偏向される(以下参照)。
【0052】
図1Bには、図1Aのアセンブリの一部が示されている。図1Bでは、クラッチ部材1は、例えば明確に図示されないハウジングに対して、第1の軸方向位置に配置されている。図面には、さらに、ばね要素3が、ハウジングに対してばね要素3を軸方向にロックするのに役立つ突出部6を含むことが示されている。クラッチ部材1がばね要素3に対して回転されると、クリッカ機能7が、好ましくは、ばね要素3の逆クリッカ8の上をクリックし、それによって可聴的または触覚的なフィードバックが使用者にもたらされる。前記クリッキングまたはフィードバックは、ばね要素3の弾性によって促進されることが好ましい。上述した回転は、アセンブリ100またはアセンブリ100が適用される対応する薬物送達デバイスの用量設定またはダイヤル設定操作に関係することができる。
【0053】
クラッチ部材1が、駆動スリーブ4に対して遠位方向(第2の軸方向位置)、すなわち図1Bの左に動かされると、ばね部材3が付勢され、したがって、逆クリッカ8は、クリッカ機構のクリッカ機能7と相互作用するために、クラッチ部材1に対して動かないようにされる。
【0054】
図2Aは、本開示による第1の実施形態におけるクラッチ部材1の斜視図である。クラッチ部材1は、その遠位端に、継手10を形成する歯11を含む(以下の図3B参照)。クラッチ部材1は、その近位端(図2Aの右端)に、クラッチ機能20をさらに含む。クラッチ機能20は、クラッチ機構および/またはクラッチ係合部を形成するように、アセンブリ100または薬物送達デバイスのさらなるクラッチ部材21(図3A、5Aに概略的に示される)と相互作用するように構成される。例えば、クラッチ係合部は、クラッチ部材1とさらなるクラッチ部材21との間に回転ロッキングを形成するように構成される。クラッチ機能20は、図示されるように、クラッチ部材1の円周に沿って歯状面を含むことができる。各歯は、長手方向に配置される側縁を含む。
【0055】
図1Aによれば、クラッチ部材1は、投薬クリッカ5をさらに含む。
【0056】
図2Bは、本開示による第1の実施形態によるクリッカ部材2の斜視図である。クリッカ部材2は、クラッチ部材1の歯11に適合する継手10の歯12を含む。図1Bによれば、クリッカ部材2は、突出部6を含む。
【0057】
図2Cは、本開示による駆動スリーブ4の斜視図である。駆動スリーブ4は、例えばクリッカ部材2、ばね要素3および/またはクラッチ部材1の中を少なくとも部分的に延びることができるような細長い形状を含む。駆動スリーブ4は、アセンブリまたは薬物送達デバイスの、ピストンロッドのような別の構成要素と相互作用することが好ましい。好ましくは、駆動スリーブ4は、例えばアセンブリ100が適用されるデバイスから薬物の用量を投薬するためのアセンブリ100のピストンロッドに連結される(図3A参照)。駆動スリーブ4は、さらに、クラッチ部材1に対して回転方向にロックされる。
【0058】
図3Aは、本開示によるアセンブリ100の第1の実施形態の側面図である。図面には、すべてそろった薬物送達デバイスは示されないが、本開示の目的は、図2から5に示されるアセンブリ100を含むような薬物送達デバイスに関することができる。アセンブリ100は、長手方向軸Xを含む。
【0059】
図1A、1Bに示されるアセンブリとは対照的に、アセンブリ100は、クラッチ部材1(図2A参照)と、クリッカ部材2(図2B参照)とを含む。クリッカ部材2は、クリッカ機能7を含む。図1A、1Bとは対照的に、逆クリッカ8は、さらに、駆動スリーブ4によって、具体的には駆動スリーブ4の近位面に設けられる。したがって、クリッカ機能7は、クリッカ部材2の遠位端に設けられる。クリッカ機能7および逆クリッカ8は、ともに、クリッカ機構をもたらすために、互いに適合する歯を含む。逆クリッカ8の歯は、逆クリッカ機能(明確に図示せず)を構築することができる。クリッカ部材2とクラッチ部材1との間には、ばね要素3、具体的には渦巻きばねが配置または保持される。ばね要素3は、付勢された状態で、クラッチ部材1とクリッカ部材2との間に配置または保持される。ばね要素3は、クラッチ部材1とクリッカ要素2を互いに遠ざけるように動かそうとする。図面には、例えばハウジングに対して、第1の軸方向位置に配置されているクラッチ部材1が示されている。この位置では、上述したクラッチ係合部は係合されている。図3Aには、アセンブリ100の別個の構成要素として、さらなるクラッチ部材21が示されている。さらなるクラッチ部材21は、クラッチ機能20のように、クラッチ係合部を形成するようにクラッチ機能20の歯状面と相互作用するように構成される円周方向に配置される歯状面(明確に図示せず)を含むことが好ましい。さらなるクラッチ部材21は、アセンブリの用量ダイヤルスリーブであってよく、また投薬クリッカ5(以下参照)に貢献することができる。
【0060】
さらなるクラッチ部材21は、クラッチ部材1の外側かつハウジングの径方向内側に設けられる用量ダイヤルスリーブであってよい。使用者は、所望の用量をダイヤル設定または設定してから、その用量を、例えば起動ボタン(明確に図示せず)を押し下げることによって投薬することができる。これによって、クラッチ部材1は、さらなるクラッチ部材21に対して軸方向に、第1の(軸方向)位置から第2の(軸方向)位置へと変位され、そこで上述したクラッチ機構が解放される。次いで、駆動スリーブ4、クラッチ部材1およびさらなるクラッチ部材21は、ハウジングに対して一緒に回転することができる。さらに、クリッカ機能7の歯と逆クリッカ8の歯の相互作用によって、クラッチ部材1、したがってそれと一緒に駆動スリーブ4は、ハウジングに対して回転できなくなる。しかし、駆動スリーブ4は、ハウジングに対して軸方向に動くことができる。アセンブリ100は、駆動スリーブ4の長手方向の軸方向運動によってアセンブリまたはデバイスのピストンロッドが回転され、それによってカートリッジ内のピストンが前進されて薬物の用量が投薬されるように構成される。
【0061】
図3Bには、図3Aのアセンブリ100の一部がより詳細に示されている。クラッチ部材1の歯11およびクリッカ部材2の歯12は、継手10を形成するように構成される。継手10は、クラッチ部材1が第1の位置にあるときはクリッカ部材2とクラッチ部材1が相対的に回転することができ、クラッチ部材1が第2の位置にあるときは前記構成要素が相対的に回転しないようにする。それに応じて、継手10の歯11、12は構成され形作られる。すなわち、歯11、12は、クリッカ機能7および/または逆クリッカ8の歯のような傾斜は含まないが、長手方向軸Xに対して平行に延びる縁を含む。
【0062】
クラッチ部材1の上述した第1の位置において、クラッチ部材1がハウジングに対してまたは例えば駆動スリーブ4に対して回転されると、クリッカ機構は、上述したように起動され、ばね要素3は、例えばクリッカ機能7の歯が逆クリッカ8の歯の上を動くまたは通過するときに付勢される。したがって、クラッチ部材1および/またはクリッカ部材2は、少なくともある限度内で相対的に軸方向に動くことができるように、アセンブリ100内で保持または支承される。クリッカ部材2は、クラッチ部材1、または場合によってはばね要素3と、駆動スリーブ4との間に保持されることが好ましい。
【0063】
クラッチ機構の動作の間、すなわち、例えばクリッカ機能7の歯が逆クリッカの歯の上を通過するまたは動くとき(図1A、1Bの記述参照)、クリッカ部材2は、ばね要素3の弾性に抗して近位に、すなわちクラッチ部材1(図3A参照)に対して右に動かされることが好ましい。
【0064】
クラッチ部材1が第1の軸方向位置から第2の軸方向位置へと動かされると、ばね要素3が付勢され、クリッカ機能7の歯と逆クリッカ8の歯が係合し、それによってクリッカ部材2に対するクラッチ部材1の回転が妨げられるまたは防止される。
【0065】
アセンブリ100は、クラッチ部材1の投薬クリッカ5およびクラッチ部材1とは別になっているフィードバック部材によって形成される、フィードバック機構をさらに含む。フィードバック部材は、例えばアセンブリ100またはデバイスのさらなるクラッチ部材21(図3Bには詳細に図示せず)であることが好ましい。フィードバック機構は、さらなるクラッチ部材21(図3A参照)を含むことが好ましい。クラッチ部材1が第2の位置にあるとき、トルクは、フィードバック機構によってクラッチ部材1に及ぼされることが好ましい。前記トルクは、クラッチ部材1に対して回転することができるフィードバック部材によってもたらされるフィードバックの主要因であり得る。前記トルクは、クリッカ部材2とクラッチ部材1の相対的な回転運動に影響を与えないほど小さいことが好ましい。歯が係合しているので、クリッカ部材2とクラッチ部材1を互いに軸方向に遠ざけるように動かすのにはさらなるトルクが必要である。さらなるトルクは、上述したトルクよりも大きい。
【0066】
アセンブリ100は、さらに、クラッチ部材1が第1の位置にあるとき、クリッカ部材2がクラッチ部材1に対して動かされるまたはその逆による軸方向距離が、継手10の係合に必要なクラッチ部材1とクリッカ部材2の相対的な軸方向距離よりも小さいように構成される。
【0067】
図4Aは、本開示によるアセンブリ100の一代替実施形態によるクリッカ部材2の斜視図である。図面には、例えば図2Bに示される実施形態とは対照的に、クリッカ部材2の近位端面が、対向して配置される歯のようなクリッカ機能7を含むことが示されている。図示される2つの歯は、クリッカ機構を形成するように逆クリッカ8と相互作用するように構成される(例えば、クリッカ部材2の長手方向軸に対して)傾いたまたは傾斜した側面をそれぞれ含む。
【0068】
図4Bは、図4Aの実施形態によるクラッチ部材1の斜視図である。クラッチ部材1は、その遠位端(図4Bの左)に、逆クリッカ8の歯を含む。前記歯は、クリッカ機構の動作の間、クリッカ機能7の歯と相互作用するように構成される。歯は、さらに、クラッチ部材1の全周にわたって延びる。クラッチ部材1は、その近位端(図4Bの右端)に、クラッチ機能20をさらに含む。
【0069】
図5Aには、図4A、4Bに示される実施形態によるアセンブリ100が示されている。図2A、2B、2Cおよび3A、3Bに示される実施形態とは対照的に、ここには継手が設けられない。(クラッチ部材1の第2の位置における)クラッチ部材1とクリッカ部材2との間の回転ロッキングが、クリッカ機構の歯、すなわちクリッカ機能7の歯と逆クリッカ8の歯に採り入れられているので、継手はここにはなくてよい。図3Aによれば、クラッチ部材1は、第1の位置に示され、したがって、クラッチ部材1とさらなるクラッチ部材21との間のクラッチ係合部は係合されている。
【0070】
これは、図5Aのアセンブリ100の一部をより詳細に示す図5Bにさらに詳細に示されている。ここでもやはり、ばね要素3は、クラッチ部材1とクリッカ部材2との間に、前記構成要素を互いに遠ざけるように付勢するために配置される。
【0071】
この実施形態によるクラッチ機構の動作中、クリッカ機能7の歯は、逆クリッカの歯の上を通過することができることが好ましい(上述の動作参照)。次いで、クリッカ部材2は、ばね要素3の弾性に抗して、遠位方向、すなわちクラッチ部材1に対して左に動かされることが好ましい(図5A参照)。あるいは、次いで、クラッチ部材1を、近位、すなわちクリッカ部材2に対して右に動かしてもよい。
【0072】
突出部6に加えて、ハウジングに対してクラッチ部材2の固定を達成することができるさらに別の固定手段を設けてもよい。
【0073】
本開示の概念によれば、二重の機能性である、第一に、クリッカの機能性を有効にし、そこにおいてクラッチ部材1とクリッカ部材2を離そうとすること、および、第二に、クラッチ部材1とさらなるクラッチ部材との間のクラッチ機構の機能性を有効にし、そこにおいて前記構成要素をクラッチ係合状態で保持しようとすることである、二重の機能性がばね要素に採り入れられていることが有利である。
【0074】
本発明の保護の範囲は本明細書において上記で与えられている例に限定されるものではない。本発明は、各々の新しい特性および各々の特性の組合せにおいて具体化され、それは、この特徴またはこの特徴の組合せが特許請求の範囲中にまたは実施例中に明確に記述されていなくても、特許請求の範囲中に記述されているあらゆる特徴のすべての組合せを特に含む。
【符号の説明】
【0075】
1 クラッチ部材
2 クリッカ部材
3 ばね要素
4 駆動スリーブ
5 投薬クリッカ
6 突出部
7 クリッカ機能
8 逆クリッカ
10 継手
11 歯
12 歯
20 クラッチ機能
21 さらなるクラッチ部材
100 アセンブリ
X 長手方向軸
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B