特許第6423193号(P6423193)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士機械製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6423193-実装装置及び実装方法 図000002
  • 特許6423193-実装装置及び実装方法 図000003
  • 特許6423193-実装装置及び実装方法 図000004
  • 特許6423193-実装装置及び実装方法 図000005
  • 特許6423193-実装装置及び実装方法 図000006
  • 特許6423193-実装装置及び実装方法 図000007
  • 特許6423193-実装装置及び実装方法 図000008
  • 特許6423193-実装装置及び実装方法 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6423193
(24)【登録日】2018年10月26日
(45)【発行日】2018年11月14日
(54)【発明の名称】実装装置及び実装方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20181105BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20181105BHJP
【FI】
   H05K13/04 A
   H05K13/08 Q
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-149528(P2014-149528)
(22)【出願日】2014年7月23日
(65)【公開番号】特開2016-25266(P2016-25266A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牛居 智史
(72)【発明者】
【氏名】森山 正良
(72)【発明者】
【氏名】奈良 祐介
【審査官】 福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−073844(JP,A)
【文献】 特開2005−072318(JP,A)
【文献】 特開2003−218136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を採取して基板に載置する実装処理を行う1つの採取部と、
前記採取部に対して移動可能に該採取部に配設され、基準マークが配列された前記基板の該基準マークを撮像する撮像部と、
前記部品を前記基板に載置させると共に、前記部品が載置されていない領域の前記基準マークを撮像させるよう前記撮像部と前記採取部とを制御する制御部と、
を備えた実装装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記部品の載置前に1以上の前記基準マークを前記撮像部に撮像させ、次に前記撮像した画像の基準マークに基づく位置に前記採取部により前記部品を載置させると共に前記部品が載置されていない領域の前記基準マークを前記撮像部に撮像させ、その後前記撮像した画像の基準マークに基づく位置に前記採取部により前記部品を載置させると共に前記部品が載置されていない領域の前記基準マークを前記撮像部に撮像させる、請求項1に記載の実装装置。
【請求項3】
記制御部は、前記採取部に採取された部品の位置と前記撮像部の位置とが所定の配列方向に並ぶよう前記撮像部を移動させる、請求項1又は2に記載の実装装置。
【請求項4】
記制御部は、前記部品の載置位置に前記採取部を移動するとしたときに前記部品が載置されていない領域の基準マークが撮像範囲に入るように前記撮像部を移動させる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の実装装置。
【請求項5】
前記基板は、部品の載置位置ごとに前記基準マークが形成されているブロック基板である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の実装装置。
【請求項6】
部品を採取して基板に載置する実装処理を行う1つの採取部と、前記採取部に対して移動可能に該採取部に配設され基準マークが配列された前記基板の該基準マークを撮像する撮像部と、を備えた実装装置による実装方法であって、
前記部品を前記基板に載置させると共に、前記部品が載置されていない領域の前記基準マークを撮像させるよう前記撮像部と前記採取部とを制御するステップ、
を含む実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装装置及び実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、実装装置としては、各基準マークの位置と、複数の基板認識カメラ間のカメラ間距離と、各基板認識カメラのカメラ視野の広さと基づいて、複数個の基板認識カメラのカメラ視野の範囲内に複数個の基準マークが同時に収まるか否かを判定し、複数個の基板認識カメラのカメラ視野の範囲内に複数個の基準マークが同時に収まる場合には、複数個の基板認識カメラにより複数個の基準マークを同時に撮影するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、得られた各画像データに基づいて各基準マークを認識し、認識した情報に従って基台上の基板に対し吸着ヘッドにより電子部品を実装するため、基準マークを必要数撮影しつつも、タクトタイムを短縮することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−170516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1の装置では、複数個の基準マークを同時に撮影することにより、タクトタイムを短縮するとしているが、同時に撮影できない場合などは考慮されていなかった。また、実装装置では、基準マーク上にカメラを移動させてこれを撮影したのちに、部品を採取する位置にノズルを移動して部品を採取し、その後基準マークの近傍に部品を配置するなどの処理を繰り返し行う場合があった。このような場合は、実装処理がより長時間化することになり、更なる生産時間の短縮が望まれていた。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、生産効率をより高めることができる実装装置及び実装方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の実装装置は、
部品を採取して基板に載置する実装処理を行う採取部と、
前記採取部に配設され、基準マークが配列された前記基板の該基準マークを撮像する撮像部と、
前記部品を前記基板に載置させると共に、前記部品が載置されていない領域の前記基準マークを撮像させるよう前記撮像部と前記採取部とを制御する制御部と、
を備えたものである。
【0008】
この装置では、部品を基板に載置させる実装処理と、部品が載置されていない領域の基準マークを撮像する処理とを並行して行う。このため、例えば、実装処理と撮像処理とを別々に行う場合に比して、撮像部の移動などをより低減させることができる。したがって、生産効率をより高めることができる。ここで、「前記部品が載置されていない領域」とは、部品を基板に載置させようとしている領域とは異なる領域をいうものとする。
【0009】
本発明の実装装置において、前記制御部は、前記部品の載置前に1以上の前記基準マークを前記撮像部に撮像させ、次に前記撮像した画像の基準マークに基づく位置に前記採取部により前記部品を載置させると共に前記部品が載置されていない領域の前記基準マークを前記撮像部に撮像させ、その後前記撮像した画像の基準マークに基づく位置に前記採取部により前記部品を載置させると共に前記部品が載置されていない領域の前記基準マークを前記撮像部に撮像させるものとしてもよい。こうすれば、撮像した画像をその後の部品の載置に利用しながら、生産効率をより高めることができる。
【0010】
本発明の実装装置において、前記撮像部は、前記採取部に対して移動可能に該採取部に配設されており、前記制御部は、前記採取部に採取された部品の位置と前記撮像部の位置とが所定の配列方向に並ぶよう前記撮像部を移動させるものとしてもよい。こうすれば、部品が採取されている位置と撮像位置とが所定方向に配列するため、基準マークの撮像及び部品の載置を行いやすい。また、本発明の実装装置において、前記撮像部は、前記採取部に対して移動可能に該採取部に配設されており、前記制御部は、前記部品の載置位置に前記採取部を移動するとしたときに前記部品が載置されていない領域の基準マークが撮像範囲に入るように前記撮像部を移動させるものとしてもよい。こうすれば、基準マークの撮像及び部品の載置を並行してより確実に行うことができる。あるいは、本発明の実装装置において、前記撮像部は、前記採取部で部品を採取する採取部材に対して所定位置で固定されているものとしてもよい。こうすれば、構成をより簡略化することができる。
【0011】
本発明の実装装置において、前記基板は、部品の載置位置ごとに前記基準マークが形成されているブロック基板であるものとしてもよい。こうすれば、基準マークが基板上に多数形成されたブロック基板の生産効率をより高めることができる。
【0012】
本発明の実装方法は、
部品を採取して基板に載置する実装処理を行う採取部と、前記採取部に配設され基準マークが配列された前記基板の該基準マークを撮像する撮像部と、を備えた実装装置による実装方法であって、
前記部品を前記基板に載置させると共に、前記部品が載置されていない領域の前記基準マークを撮像させるよう前記撮像部と前記採取部とを制御するステップ、
を含むものである。
【0013】
この実装方法では、上述した実装装置と同様に、部品を基板に載置させる実装処理と、部品が載置されていない領域の基準マークを撮像する処理とを並行して行うため、撮像部の移動などをより低減させることができる。したがって、生産効率をより高めることができる。なお、この実装方法において、上述した実装装置の種々の態様を採用してもよいし、また、上述した実装装置の各機能を実現するような構成を追加してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実装システム10の概略説明図。
図2】ノズル保持体42Aを装着した実装ヘッド24の説明図。
図3】ノズル保持体42Bを装着した実装ヘッド24の説明図。
図4】基板70の一例を表す説明図。
図5】実装処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
図6】基板70上の基準マーク72の撮像及び部品Pの載置の説明図。
図7】基板70上の基準マーク72の撮像及び部品Pの載置の説明図。
図8】基板70上の基準マーク72の撮像及び部品Pの載置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の好適な実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1は、実装システム10の概略説明図である。図2は、ノズル保持体42Aを装着した実装ヘッド24の説明図であり、図2(a)が実装ヘッド24の下面側の図、図2(b)が側面側の図である。図3は、ノズル保持体42Bを装着した実装ヘッド24の説明図であり、図3(a)が実装ヘッド24の下面側の図、図3(b)が側面側の図である。図4は、基板70の一例を表す説明図である。本実施形態の実装システム10は、部品Pを基板70に実装処理する実装装置11と、実装処理に関する情報の管理、設定を行う実装管理コンピュータ80とを備えている。なお、本実施形態において、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、図1〜3に示した通りとする。また、実装処理とは、部品を基板上に載置、配置、装着、挿入、接合、接着する処理などを含む。
【0016】
実装装置11は、図1に示すように、基板を搬送する搬送部18と、部品を採取して基板70に載置する実装処理を行う採取部21と、採取部21に配設され基板70の基準マークを撮像するマークカメラ34と、採取部21やマークカメラ34など装置全体を制御する制御装置60とを備えている。搬送部18は、図1の前後に間隔を開けて設けられ左右方向に延びる支持板20,20と、両支持板20,20の互いに対向する面に設けられたコンベアベルト22,22とを備えている。コンベアベルト22,22は、支持板20,20の左右に設けられた駆動輪及び従動輪に無端状となるように架け渡されている。基板を複数含む基板70は、一対のコンベアベルト22,22の上面に乗せられて左から右へと搬送される。この基板70は、多数立設された支持ピン23によってその裏面側から支持されている。
【0017】
採取部21は、実装ヘッド24、X軸スライダ26、Y軸スライダ30などを備えている。実装ヘッド24は、X軸スライダ26の前面に取り付けられている。X軸スライダ26は、前後方向にスライド可能なY軸スライダ30の前面に、左右方向にスライド可能となるように取り付けられている。Y軸スライダ30は、前後方向に延びる左右一対のガイドレール32,32にスライド可能に取り付けられている。なお、ガイドレール32,32は、実装装置11の内部に固定されている。Y軸スライダ30の前面には、左右方向に延びる上下一対のガイドレール28,28が設けられ、このガイドレール28,28にX軸スライダ26が左右方向にスライド可能に取り付けられている。実装ヘッド24は、X軸スライダ26が左右方向に移動するのに伴って左右方向に移動し、Y軸スライダ30が前後方向に移動するのに伴って前後方向に移動する。なお、各スライダ26,30は、それぞれ図示しない駆動モータにより駆動される。
【0018】
実装ヘッド24は、部品Pを吸着して採取するノズル40と、ノズル40を1以上装着、取り外し可能なノズル保持体42と、を備えている。実装ヘッド24は、例えば、ノズル保持体42A〜42Cの3種を装着、取り外し可能である。なお、ノズル保持体42A〜42Cをノズル保持体42と総称する。ノズル保持体42Aは、図2に示すように、12個のノズルホルダを備えており、12本のノズル40を装着可能である。ノズル保持体42Aは、間欠回転可能な状態で実装ヘッド24に保持されており、実装ヘッド24のY軸方向の先端側に位置する1カ所の位置(ノズル40aの位置)でノズル40をX軸およびY軸方向と直交するZ軸方向(上下方向)に昇降する。ノズル保持体42Bは、図3に示すように、4個のノズルホルダを備えており、4本のノズル40を装着可能である。ノズル保持体42Bは、それ自体は回転せず、各ノズル40がその位置でZ軸方向に昇降可能に装着されている。ノズル保持体42Cは、1本のノズル40を装着可能であり、ノズル40がZ軸方向に昇降可能に装着されている。ノズル40は、圧力を利用して、ノズル先端に部品Pを吸着したり、ノズル先端に吸着している部品Pを放したりするものである。このノズル40は、Z軸モータ45を駆動源とするホルダ昇降装置によってZ軸方向に昇降される。なお、部品Pを採取する採取部材は、ここではノズル40として説明するが、部品Pを採取可能であれば特に限定されず、部品Pを挟持して採取するメカニカルチャックなどとしてもよい。
【0019】
また、実装ヘッド24には、基板を上方から撮影するマークカメラ34が配設されている。マークカメラ34は、下方が撮影領域であり、基板70の基準位置や部品Pを載置する基準位置などを示す基板70に付された基準マーク72(図4参照)を読み取るカメラである。マークカメラ34は、実装ヘッド24の移動に伴ってX−Y方向へ移動する。また、マークカメラ34は、図2,3に示すように、実装ヘッド24に対してX−Y方向に移動可能に実装ヘッド24に配設されたアーム形状の移動部材35に固定されている。マークカメラ34は、実装ヘッド24のY軸中心の所定位置が初期位置に設定されている(図3(a)では実線参照)。移動部材35は、実装ヘッド24に配設された移動モータ36によって実装ヘッド24に対してX−Y方向に移動する。マークカメラ34は、図示しない位置センサにより位置管理されている。
【0020】
リールユニット56は、部品Pが格納されたテープが巻き付けられているリール57を複数備え、実装装置11の前側に着脱可能に取り付けられている。このテープは、リール57から巻きほどかれ、フィーダ部58によって、実装ヘッド24により採取される採取位置に送り出される。パーツカメラ54は、搬送部18の前側の支持板20の前方に配置されている。このパーツカメラ54の撮像範囲は、パーツカメラ54の上方である。パーツカメラ54は、部品Pを吸着したノズル40がパーツカメラ54の上方を通過する際、ノズル40に吸着された部品Pの状態を撮影し、その画像を制御装置60へ出力する。ノズルストッカ55は、部品Pの種類に適した複数種類のノズル40をストックするボックスである。ノズル40は、実装ヘッド24のノズル保持体42に取り外し可能に装着される。
【0021】
制御装置60は、図1に示すように、CPU61を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶するROM62、各種データを記憶するHDD63、作業領域として用いられるRAM64、外部装置と電気信号のやり取りを行うための入出力インタフェース65などを備えており、これらはバス66を介して接続されている。この制御装置60は、搬送部18、採取部21、マークカメラ34、パーツカメラ54及びリールユニット56などと双方向通信可能に接続されており、マークカメラ34やパーツカメラ54からの画像信号を入力する。なお、各スライダ26,30には図示しない位置センサが装備されており、制御装置60はそれらの位置センサからの位置情報を入力しつつ、各スライダ26,30の駆動モータを制御する。
【0022】
生産対象物である基板70は、図4に示すように、部品Pを載置する載置部71が複数形成され、載置部71の位置を示す基準マーク72がぞれぞれの載置部71の近傍に形成されているブロック基板として構成されている。基準マーク72は、載置部71の4隅の近傍に1つずつ設けられている。実装装置11では、基準マーク72の4つの位置を確認したあと、その中央に位置する載置部71へ部品Pを載置する。
【0023】
管理コンピュータ80は、図1に示すように、実装処理に関する情報を管理するPCであり、マウスやキーボードなどの入力デバイス87や、ディスプレイ88などを備えている。管理コンピュータ80には、実装装置11においてどのノズル保持体42やノズル40を用いるかや、どの部品Pをどの順番でどの基板70へ実装するか、部品Pを実装した基板70を何枚作製するかなどが定められている生産ジョブデータが図示しないHDDに記憶されている。この生産ジョブデータには、マークカメラ34によって撮像可能な範囲に関する情報や、基板70の載置部71の位置や基準マーク72の位置などの情報も含まれている。
【0024】
次に、こうして構成された本実施形態の実装システム10の動作、まず実装装置11の実装処理について説明する。図5は、制御装置60のCPU61により実行される実装処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、実装装置11のHDD63に記憶され、作業者による開始指示により実行される。ここでは、基板70に部品Pを配置する場合について主として説明する。このルーチンが実行されると、制御装置60のCPU61は、生産ジョブデータを取得する(ステップS100)。生産ジョブデータは、管理コンピュータ80から先に受信して記憶していたものをHDD63から読み出して取得してもよいし、管理コンピュータ80から直接受信して取得してもよい。
【0025】
次に、CPU61は、基板70の搬送及び固定処理を実行する(ステップS110)。この処理では、搬送部18のコンベアベルト22により基板70を搬送させ、部品Pを載置する処理を行う所定の実装位置でこの基板70を固定する処理を行う。次に、CPU61は、生産ジョブデータに含まれる実装順に基づいて、基板70に載置する部品Pを設定し(ステップS120)、その部品Pを採取するノズル保持体42及びノズル40が実装ヘッド24に装着されているか否かを判定する(ステップS130)。実装ヘッド24にノズル保持体42やノズル40が装着されていないときには、CPU61は、生産ジョブデータに基づき、その部品Pの採取用に指定されているノズル保持体42及びノズル40を装着する処理を実行する(ステップS140)。
【0026】
ステップS140のあと、またはステップS130で実装ヘッド24にノズル保持体42やノズル40が装着されているとき、CPU61は、生産ジョブデータからマークカメラ34の撮像範囲や基板70での基準マーク72の配置位置などの情報を取得する(ステップS150)。次に、CPU61は、マークカメラ34の撮像範囲及び基準マーク72の配置位置に基づいて、移動モータ36を駆動し、マークカメラ34の所定位置までの移動及び所定位置での固定を行う(ステップS160)。即ち、CPU61は、ノズル40(ノズル保持体42)に対するマークカメラ34の位置決めを行う。なお、ここでは、CPU61は、ノズル40による部品Pの載置時にはマークカメラ34をノズル40に対して移動しないものとして説明する。

この処理では、CPU61は、ノズル40が載置部71上に位置した際に、他の載置部71に対応する基準マーク72がマークカメラ34により撮像可能な位置を求め、その位置を所定位置としてマークカメラ34の移動及び固定を行う。なお、現在のマークカメラ34の位置でよい場合は、CPU61は、マークカメラ34の移動処理を省略する。ここでは、CPU61は、載置を行うノズル40とマークカメラ34のレンズ中心とがY軸方向に配列するように移動及び固定するものとする(図2、3の点線参照)。こうすれば、ノズル40での部品Pの載置時にマークカメラ34で他の基準マーク72を撮像しやすい。
【0027】
次に、CPU61は、載置する部品Pの採取処理を行う(ステップS170)。このとき、ノズル保持体42に複数のノズル40が装着されているときには、CPU61は、それぞれのノズル40で部品Pを採取するものとしてもよい。この場合、CPU61は、採取した部品Pの部品数に応じて、以下のステップS180〜S210の処理を繰り返すものとする。続いて、CPU61は、部品Pを載置する載置位置(載置部71)に対応する基準マーク72を撮像済みか否かを判定する(ステップS180)。この判定は、後述する基準マーク72の撮像処理において、記憶したマーク位置情報に該当する情報が含まれているか否かに基づいて行うことができる。このマーク位置情報には、撮像した画像を解析して得られた基準マーク72の位置(X−Y座標値)が含まれている。ここでは、該当する載置部71の4つのマーク位置がマーク位置情報に含まれている場合に、肯定判定される。載置位置の基準マーク72が撮像済みでないときには、CPU61は、載置位置の基準マーク72の撮像処理を行う(ステップS190)。
【0028】
図6は、基板70上の基準マーク72の撮像及び部品Pの載置の説明図であり、図6(a)が部品Pの載置前での基準マーク72の撮像処理、図6(b)がそれに続く部品Pの載置処理及び基準マーク72の撮像処理の説明図である。なお、図6〜8では、説明の便宜のため、未撮像の基準マーク72を白抜きとし、撮像済みの基準マーク72を黒塗りとした。また、ここでのマークカメラ34の撮像範囲38には、ノズル40の位置に対して2列上の載置部71が入る場合を具体例として説明する。部品Pの載置前では、CPU61は、マークカメラ34を載置部71の直上に配置させ、且つ基準マーク72がマークカメラ34の撮像範囲38に入る位置に実装ヘッド24を移動させる(図6(a))。続いて、CPU61は、マークカメラ34に画像を撮像させ、撮像した撮像画像を解析し、実装ヘッド24の現在の座標値を用い、載置部71に対応する4カ所の基準マーク72の座標値を求め、この座標値をマーク位置情報に含めてRAM64に記憶させる。
【0029】
ステップS190で基準マーク72の撮像処理を行ったあと、または、ステップS180で載置位置の基準マーク72が撮像済みであるときには、CPU61は、取得済みの基準マーク72の位置に基づいて部品Pの載置処理を行うと共に、部品Pが載置されていない領域の(他の載置部71に対応する)基準マーク72の撮像処理を行う(ステップS200)。続いて、CPU61は、基準マーク72のマーク位置(座標値)を求め、この座標値をマーク位置情報に記憶させる(ステップS210)。図6(b)に示すように、CPU61は、処理対象の載置部71に部品Pを載置すると共に、マークカメラ34の撮像範囲38に含まれる基準マーク72を撮像する。また、CPU61は、基準マーク72の撮像画像を解析して、各基準マーク72の座標値を求め、この座標値をマーク位置情報に含めてRAM64に記憶させる。
【0030】
続いて、CPU61は、現基板の実装処理が完了したか否かを判定し(ステップS220)、現基板の実装処理が完了していないときにはステップS120以降の処理を実行する。即ち、CPU61は、載置する部品Pを設定し、必要に応じてノズル保持体42やノズル40を変更して部品Pを採取する。そして、CPU61は、設定された載置位置への部品Pの載置処理と、設定された載置位置以外で且つ部品Pが載置されていない載置部71に対応する基準マーク72の撮像処理と、を並行して実行する。このように、CPU61は、部品Pの載置前に1以上の基準マーク72をマークカメラ34に撮像させ、次に撮像した画像の基準マーク72に基づく載置位置に採取部21により部品Pを載置させると共に部品Pが載置されていない領域の基準マーク72をマークカメラ34に撮像させ、その後、撮像した画像の基準マーク72に基づく載置位置に採取部21により部品Pを載置させると共に部品Pが載置されていない領域の基準マーク72をマークカメラ34に撮像させる処理を繰り返す。図7、8は、基板70上の基準マーク72の撮像及び部品Pの載置の説明図である。CPU61は、部品Pの載置位置の基準マーク72を撮像したあと(図6(a))、部品Pの載置処理と他の基準マーク72の撮像処理とを並行して行う(図7(a))。CPU61は、この処理を載置部71の1列に亘って繰り返し行う(図7(b))。すると、基板70には、図7(b)の下から3列目の載置部71に示すように、事前にマーク位置を取得済みの領域が存在するようになる。続いて、上記と同様に、下から2列目の載置部71に部品Pを載置すると、基板70には、事前にマーク位置を取得済みの領域が更に存在するようになる(図8(a))。このような処理を繰り返すことにより、実装装置11は、基準マーク72を撮像するだけの実装ヘッド24の移動(図6(a))を省略可能になり、部品Pの載置処理と他の基準マーク72の撮像とを並行して行う実装ヘッド24の移動を行えばよいことになる(図8(b))。
【0031】
一方、ステップS220で現基板の実装処理が完了したときには、CPU61は、実装完了した基板70を排出し(ステップS230)、生産完了したか否かを実装完了した基板数に基づいて判定する(ステップS240)。生産完了していないときには、CPU61は、ステップS110以降の処理を繰り返し実行する。即ち、CPU61は、基板70の搬送固定処理を行い、載置する部品Pを設定し、必要に応じてノズル保持体42やノズル40を変更して部品Pを採取し、部品の載置処理と基準マーク72の撮像処理とを並行して実行する。一方、生産完了したときには、CPU61は、ノズル保持体42及びノズル40を返却し(ステップS250)、そのままこのルーチンを終了する。
【0032】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の採取部21が本発明の採取部に相当し、マークカメラ34が撮像部に相当し、制御装置60が本発明の制御部に相当する。なお、本実施形態では、実装装置11の動作を説明することにより本発明の実装方法の一例も明らかにしている。
【0033】
以上説明した実装システム10によれば、CPU61は、部品Pを基板70に載置させる実装処理と、部品Pが載置されていない他の領域の基準マーク72を撮像する処理とを並行して行う。このため、例えば、実装処理と撮像処理とを別々に行う場合に比して、マークカメラ34の移動などをより低減させることができる。したがって、生産効率をより高めることができる。また、CPU61は、撮像した画像の基準マーク72に基づく載置位置に採取部21により部品Pを載置させると共に部品Pが載置されていない領域の基準マーク72をマークカメラ34に撮像させるため、撮像した画像をその後の部品の載置に利用しながら、生産効率をより高めることができる。
【0034】
更に、マークカメラ34は、採取部21(ノズル40)に対して移動可能に実装ヘッド24に配設されており、CPU61は、採取部21に採取された部品Pの位置(ノズル40の位置)とマークカメラ34の位置とがY軸方向(所定の配列方向)に並ぶようマークカメラ34を移動させる。このように、部品Pが採取されている位置と撮像位置とが所定方向に配列するため、基準マーク72の撮像及び部品Pの載置を行いやすい。更にまた、CPU61は、部品Pの載置位置に採取部21を移動するとしたときに部品Pが載置されていない領域の基準マーク72が撮像範囲に入るようにマークカメラ34を移動させるため、基準マーク72の撮像及び部品Pの載置を並行してより確実に行うことができる。そしてまた、基板70は、部品Pの載置位置ごとに基準マーク72が形成されているブロック基板であるため、CPU61は、基準マーク72が基板上に多数形成されたブロック基板の生産効率をより高めることができる。
【0035】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0036】
例えば、上述した実施形態では、図6〜8に示すように、実装ヘッド24に対して横方向(左右方向)に部品Pを載置していくものとして説明したが、特にこれに限定されず、実装ヘッド24に対して縦方向(上下方向)に部品Pを載置するものとしてもよい。上述した実施形態では、横方向の1、2列に対して基準マーク72を撮像したあと、部品Pの載置及び基準マーク72の撮像を並行して行うものとし、3列以降は部品Pの載置及び基準マーク72の撮像を並行して行うものとした。実装ヘッド24に対して縦方向に部品Pを載置する際には、CPU61は、最初及び2回目に対して基準マーク72を撮像したあと、部品Pの載置を行い、3回目以降に基準マーク72の撮像と部品Pの載置とを並行して行うことができる。こうしても、実装処理と撮像処理とを別々に行う場合に比して、生産効率をより高めることができる。
【0037】
上述した実施形態では、CPU61は、マークカメラ34の中心と部品Pを載置するノズル40とがY軸方向に配列するようマークカメラ34を移動及び固定するものとしたが、特にこれに限定されず、Y軸方向に配列しなくてもよい。また、CPU61は、例えば、より多くの未撮像の基準マーク72が撮像範囲38に含まれるように、より効率的な位置にマークカメラ34を移動するものとしてもよい。こうすれば、生産効率を更に高めることができる。あるいは、CPU61は、載置部71に部品Pを1つ載置する際に、マークカメラ34を移動して複数回の撮像を行うものとしてもよい。こうしても、生産効率をより高めることができる。
【0038】
上述した実施形態では、マークカメラ34は、移動部材35及び移動モータ36により、ノズル40に対して移動可能であるものとして説明したが、特にこれに限定されず、マークカメラ34は、ノズル40に対して所定位置で採取部21に固定されているものとしてもよい。例えば、図3に示すノズル保持体42Bのように、部品Pを配設する位置とマークカメラ34の中心とがY軸方向に配列しない場合であっても、部品Pの載置されていない載置部71に対応する他の基準マーク72を撮像することは可能である。したがって、CPU61は、Y軸方向のずれを加味して基準マーク72の位置を把握するものとすればよい。
【0039】
上述した実施形態では、基板70は、部品Pの載置位置ごとに基準マーク72が形成されているブロック基板であるものとしたが、特にこれに限定されない。例えば、基板は、部品Pの載置位置に対応する基準マーク72があり、この載置位置及び基準マーク72を複数有するものとすればよい。
【0040】
上述した実施形態では、CPU61は、1つの載置部71に対応する基準マーク72(4カ所)を1回で撮像するものとして説明したが、特にこれに限定されず、複数箇所の載置部71に対応する基準マーク72を1回で撮像するものとしてもよい。また、CPU61は、載置部71に対応する一部の基準マーク72と、他の載置部71に対応する一部の基準マーク72とを1回で撮像するものとしてもよい。即ち、CPU61は、複数回の撮像処理により、1つの載置部71に対応する基準マーク72のすべてを撮像するものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、基板に部品を実装する技術分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0042】
10 実装システム、11 実装装置、18 搬送部、21 採取部、20 支持板、22 コンベアベルト、23 支持ピン、24 実装ヘッド、26 X軸スライダ、28 ガイドレール、30 Y軸スライダ、32 ガイドレール、34 マークカメラ、35 移動部材、36 移動モータ、38 撮像範囲、40,40a ノズル、42,42A〜42C ノズル保持体、45 Z軸モータ、54 パーツカメラ、55 ノズルストッカ、56 リールユニット、57 リール、58 フィーダ部、60 制御装置、61 CPU、62 ROM、63 HDD、64 RAM、65 入出力インタフェース、66 バス、70 基板、71 載置部、72 基準マーク、80 管理コンピュータ、87 入力デバイス、88 ディスプレイ、P 部品。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8