【文献】
沖野 健一,分散台帳技術のセキュリティ要件:銀行口座振替処理への適用,日本銀行 金融研究所ディスカッション・ペーパー・シリーズ IMES DISCUSSION PAPER SERIES No.2017−J−6,2017年 3月23日,pp.1-19
【文献】
企業ネットを変える 2017年注目の新技術,日経コミュニケーション 第636号,2017年 1月 1日,pp.16-20
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0022】
図1は、ネットワークを利用して少なくとも1つの事業者がサービスを顧客に提供するためのビジネスモデルの概念を示す。
【0023】
ネットワーク1は、複数のノード10
1、10
2、・・・10
Nを備えている。
図1に示される例では、N=12であるが本発明はこれに限定されない。Nは2以上の任意の整数であり得る。複数のノード10
1、10
2、・・・10
Nのうちの少なくともいくつかには、少なくとも1つの事業者がサービスを顧客に提供するために必要なデータが格納されている。また、複数のノード10
1、10
2、・・・10
Nのうちの少なくともいくつかは、少なくとも1つの事業者がサービスを顧客に提供するために必要なデータを処理することが可能なように構成されている。ここで、サービスは、任意の種類のサービスであり得る。例えば、サービスは、「価値の移動」を実現するための金融サービスや電子決済サービスであり得るが、これらに限定されない。
【0024】
このように、複数のノード10
1、10
2、・・・10
Nのうちの少なくともいくつかのノードが、少なくとも1つの事業者がサービスを顧客に提供するために必要なデータを格納する能力を有することにより、少なくとも1つの事業者がサービスを顧客に提供するために必要なデータをネットワーク1内で管理することが可能である。また、複数のノード10
1、10
2、・・・10
Nのうちの少なくともいくつかのノードが、そのデータを処理する能力を有することにより、そのデータを処理することをネットワーク1内で行うことが可能である。少なくとも1つの事業者がサービスを顧客に提供するために必要なデータを格納する能力を有するいくつかのノードは、そのデータを処理する能力を有するいくつかのノードと同一であってもよいが異なっていてもよい。両者のノードが異なっている場合には、例えば、一方のノードと他方のノードとの間で通信を行うことによって、一方のノードに格納されたデータを他方のノードにおいて適切に処理することが可能である。
【0025】
このように、ネットワーク1は、少なくとも1つの事業者がサービスを顧客に提供するために必要なデータを管理することをネットワーク1内で行うことが可能であり、かつ、そのデータを処理することがネットワーク1内で行うことが可能であるように構成されている。出願人は、このようなネットワーク1を「インテリジェント化された」ネットワークと呼んでいる。ネットワーク1は、単なる伝送路としての機能ばかりでなく、データを管理する機能およびデータを処理する機能の両方を備えているからである。このようにインテリジェント化されたネットワーク1を用いることにより、各事業者は、もはや、そのようなデータを一括管理するための個別のサーバシステムを構築する必要がなく、そのようなデータを伝送するための専用回線および中央サーバを利用する必要がない。その結果、各事業者のサーバシステムに処理されるべきデータが集中することを防止することが可能であり、各事業者が個別にデータを管理するために必要なコストを大幅に軽減することが可能である。さらに、専用回線を利用することを不要にすることにより、端末装置との接続の容易性を確保することが可能であり、通信コストを大幅に削減することが可能である。さらに、中央サーバを利用することを不要にすることにより、データの処理量が中央サーバの能力に制限されることをなくすことが可能である。その結果、データの処理の可用性を飛躍的に向上させることが可能である。
【0026】
なお、インテリジェント化されたネットワーク1において行われるデータ管理およびデータ処理は、データの処理速度および/またはデータの処理量が最大となるように最適化される。最適化の手法は問わない。例えば、1秒あたり10万件〜100万件のオーダーでの処理が可能であるように最適化が行われることが好ましい。
【0027】
インテリジェント化されたネットワーク1は、例えば、ブロックチェーン(分散型台帳)、コンテンツデリバリネットワーク、業務サーバを用いて実現することが可能である。ブロックチェーン(分散型台帳)を利用することにより、データを一括管理する高いセキュリティのサーバシステムを必要とすることなく、データを分散管理する複数の装置を利用して高いセキュリティを実現することが可能である。ただし、インテリジェント化されたネットワーク1を実現する構成は、ブロックチェーン(分散型台帳)を利用した構成に限定されない。上述した機能を有するインテリジェント化されたネットワーク1を実現することが可能である限り、任意のハードウェア構成および/または任意のソフトウェア構成を有するインテリジェント化されたネットワーク1が本発明の範囲内である。
【0028】
複数の端末装置20
1、20
2、・・・20
Mのそれぞれは、顧客に関連付けられている。
図1に示される例では、M=4であるが本発明はこれに限定されない。Mは2以上の任意の整数であり得る。複数の端末装置20
1、20
2、・・・20
Mのそれぞれは、複数のノード10
1、10
2、・・・10
Nのうちの1つに接続されることが可能なように構成されている。例えば、端末装置20
1は、複数のノード10
1、10
2、・・・10
Nのうち端末装置20
1に最も近いノードに接続されることが可能であるが、これに限定されない。複数の端末装置20
1、20
2、・・・20
Mのそれぞれを複数のノード10
1、10
2、・・・10
Nのうちの1つに接続する態様は任意である。例えば、インターネットなどのオープンネットワークを利用して、端末装置20を複数のノード10
1、10
2、・・・10
Nのうちの1つに接続することが可能であるが、これに限定されない。複数の端末装置20
1、20
2、・・・20
Mのそれぞれの一例は、顧客が利用する店舗に設置されている端末装置、顧客が利用するEC(電子商取引)加盟店に設置されている端末装置、顧客が利用する端末装置(例えば、Walletアプリケーションなどの特定のアプリケーションがインストールされたスマートフォン)、顧客が利用する物(例えば、家電や車載のETC装置)に組み込まれている端末装置などであるが、これらに限定されない。
【0029】
図1に示されるように、端末装置20
1がネットワーク1内のノード10
1に接続されると、端末装置20
1とネットワーク1内の少なくとも1つのノードとの間で通信を行うことによって、少なくとも1つの事業者がサービスを顧客に提供することが達成される。すなわち、少なくとも1つの事業者がサービスを顧客に提供することは、少なくとも1つの事業者を介することなく、端末装置20
1とネットワーク1との間で達成される。
【0030】
図2A、
図2Bは、端末装置20
1、20
2とネットワーク1との間のデータフローの一例を示す。
図2A、
図2Bに示される例では、ある事業者が顧客にサービスを提供するために必要なデータがネットワーク1内のノード10
4、10
7、10
10に分散して管理されているものと仮定する。
【0031】
例えば、端末装置20
1がネットワーク1内のノード10
1に接続された場合、端末装置20
1は、顧客が希望するサービスのリクエスト(以下、「サービスリクエスト」という)をノード10
1に送信する(
図2AのS1)。ノード10
1は、端末装置20
1から受信されたサービスリクエストに対する処理を行うために必要なデータがノード10
4、10
7、10
10のうちのどのノードで管理されているかを判定する機能を有している。そのデータがノード10
4で管理されていると判定された場合には、ノード10
1は、そのサービスリクエストをノード10
4に転送する(
図2AのS2)。ノード10
4は、ノード10
1からそのサービスリクエストを受信し、そのサービスリクエストに対する処理に必要なデータに基づいてそのサービスリクエストに対する処理を実行する。ノード10
4は、そのサービスリクエストに対する処理の結果をノード10
1を介して端末装置20
1に返信する(
図2AのS5、S6)。ただし、サービスリクエストに対する処理を実行するノードは、ノード10
4に限定されない。例えば、ノード10
1が端末装置20
1からサービスリクエストを受信した直後に、ノード10
1が、ノード10
1に接続された端末装置20
2から別のサービスリクエストを受信した場合(
図2AのS3)において、その別のサービスリクエストに対する処理を行うために必要なデータがノード10
7で管理されていると判定された場合には、ノード10
1は、その別のサービスリクエストをノード10
7に転送する(
図2AのS4)。ノード10
7は、ノード10
1からその別のサービスリクエストを受信し、その別のサービスリクエストに対する処理に必要なデータに基づいてその別のサービスリクエストに対する処理を実行する。ノード10
7は、その別のサービスリクエスト処理の結果をノード10
1を介して端末装置20
2に返信する(
図2AのS7、S8)。
【0032】
このように、ネットワーク1内でサービスリクエストに対して処理を実行するノードを分散させておくことにより、ネットワーク1内の一部のノードに処理が集中することが原因で処理が遅延することを防止することが可能である。
【0033】
さらに、ネットワーク1内でサービスリクエストに対して処理を実行するノードが同一であったとしても、その同一のノードに至る往路のルート(または、その同一のノードから戻る復路のルート)を最適化することにより、ネットワーク1内の一部のルートに渋滞が起こることが原因で処理が遅延することを防止することも可能である。
【0034】
例えば、サービスリクエストをノード10
1から他のノードを介することなくノード10
4に直接転送するルートは物理的には最短ルートであるかもしれないが、このルートが必ずしも最速ルートであるとは限らない。なぜなら、ノード10
1とノード10
4との間に渋滞が発生することも起こり得るからである。このような渋滞を回避するために、ノード10
1は、ノード10
1とノード10
4との間の最速ルートを特定する機能を有している。例えば、ノード10
1は、ノード10
1→ノード10
4の直接転送ルート、ノード10
1→ノード10
3→ノード10
4の間接転送ルート、ノード10
1→ノード10
2→ノード10
4の間接転送ルート、ノード10
1→ノード10
3→ノード10
7→ノード10
4の間接転送ルート、ノード10
1→ノード10
2→ノード10
2→ノード10
4の間接転送ルートなどを比較検討することによって、最速ルートを特定する。
【0035】
例えば、ノード10
1が端末装置20
1からサービスリクエストを受信し(
図2BのS1)、ノード10
1がそのサービスリクエストをノード10
1→ノード10
4の直接転送ルートを介してノード10
4に転送した(
図2BのS2)直後に、ノード10
1が、ノード10
1に接続された端末装置20
2から別のサービスリクエストを受信した場合において、その別のサービスリクエストに対する処理を行うために必要なデータがノード10
4で管理されていると判定された場合には、ノード10
1は、先のサービスリクエストを転送するために利用した直接転送ルート以外の間接転送ルートのうちの1つを最速ルートとして特定するようにしてもよい。この場合、例えば、ノード10
1は、その別のサービスリクエストをノード10
1→ノード10
3→ノード10
4の間接転送ルートを介してノード10
4に転送することが可能である(
図2BのS4’、S4”)。ノード10
4は、そのサービスリクエストに対する処理の結果をノード10
1を介して端末装置20
1に返信し(
図2BのS5、S6)、その別のサービスリクエストに対する処理の結果をノード10
3、ノード10
1を介して端末装置20
2に返信する(
図2BのS7’、S7’、S8)。なお、
図2Bに示される例では、ノード10
1からノード10
4に至る往路のルートとノード10
4からノード10
1に至る復路のルートとは同一のノードを経由するルートである例を示したが、これに限定されない。ノード10
1からノード10
4に至る往路のルートとノード10
4からノード10
1に至る復路のルートとは異なるノードを経由するルートであってもよい。
【0036】
このように、ネットワーク1内でサービスリクエストに対する処理を実行するノードに至る往路のルート(または、そのノードから戻る復路のルート)を最適化することにより、ネットワーク1内の一部のルートに渋滞が起こることが原因で処理が遅延することを防止することが可能である。
【0037】
なお、
図2A、
図2Bを参照して上述した実施形態では、ノード10
1は、サービスリクエストに対する処理を行うために必要なデータがノード10
4、10
7、10
10のうちのどのノードで管理されているかを判定する機能を有しているとしたが、このような判定機能をどのように実現するかは問わない。例えば、各ノードが自律的にそのような判定を行うようにしてもよいし、各ノードがネットワーク1の全体の処理の流れを制御するコントローラから指令を受信してその指令に従って判定を行うようにしてもよい。さらに、
図2A、
図2Bを参照して上述した実施形態では、ノード10
1は、ノード10
1とノード10
4との間の最速ルートを特定する機能を有しているとしたが、このような特定機能をどのように実現するかは問わない。例えば、各ノードが自律的にそのような特定を行うようにしてもよいし、各ノードがネットワーク1の全体の処理の流れを制御するコントローラから指令を受信してその指令に従って特定を行うようにしてもよい。ノード10
2、・・・10
Nのそれぞれについても同様である。
【0038】
少なくとも1つの事業者の装置30
1、30
2、・・・30
Kのそれぞれは、複数のノード10
1、10
2、・・・10
Nのうちの1つに接続されることが可能なように構成されている。
図1に示される例では、K=3であるが本発明はこれに限定されない。Kは1以上の任意の整数であり得る。例えば、事業者Aの装置30
1は、複数のノード10
1、10
2、・・・10
Nのうち事業者Aの装置30
1に最も近いノードに接続されることが可能であるが、これに限定されない。ネットワーク1内のノードに接続された端末装置(例えば、端末装置20
1)とネットワーク1との間で事業者Aがサービスを顧客に提供することが達成された場合には、そのサービスの提供の結果が事業者Aの装置30
1に伝達される。そのサービスの提供の結果を事業者Aの装置30
1に伝達することは、事業者Aがサービスを顧客に提供することが達成されたタイミングと同時のタイミング(すなわち、リアルタイム)で行われるのではなく、事業者Aがサービスを顧客に提供することが達成されたタイミングよりも後のタイミングで行われる。これにより、処理の負荷がネットワーク1内のノードまたは事業者Aの装置30
1に集中することを防ぐことが可能である。
【0039】
以下、事業者Aがクレジットカード事業者であり、事業者Bがポイント事業者であり、事業者Cが電子マネー事業者である場合を例にとり、上述したビジネスモデルの具体例を説明する。上述したビジネスモデルは、任意のサービスに適用することが可能であるが、特に、「価値の移動」を伴うサービスに適用することが好ましい。その理由は、「価値の移動」を伴うサービスが、高いセキュリティ、早いレスポンス、膨大な処理量に対応できることを必要とするからである。
【0040】
事業者A(クレジットカード事業者)は、クレジットカードのサービスを顧客に提供する。クレジットカードのサービスの一例は、顧客がクレジッドカードを利用することを可能にすることであるが、これに限定されない。クレジットカードのサービスは、事業者Aによる与信管理に基づいている。この与信管理は、例えば、顧客ごとにその利用限度額を設定することによって行われる。
【0041】
事業者B(ポイント事業者)は、ポイントのサービスを顧客に提供する。ポイントのサービスの一例は、ポイントを付与すること、顧客がポイントを利用することを可能にすることであるが、これらに限定されない。ポイントのサービスは、事業者Bによるポイントの残高管理に基づいている。この残高管理は、例えば、顧客ごとにポイントの残高(残額)を管理することによって行われる。
【0042】
事業者C(電子マネー事業者)は、電子マネーのサービスを顧客に提供する。電子マネーのサービスの一例は、電子マネーをチャージすること、顧客が電子マネーを利用することを可能にすることであるが、これらに限定されない。電子マネーのサービスは、事業者Cによる電子マネーの残高管理に基づいている。この残高管理は、例えば、顧客ごとに電子マネーの残高(残額)を管理することによって行われる。
【0043】
以下、クレジットカードのサービスの一例として、クレジットカードの利用を考察する。
【0044】
顧客が店舗において商品を購入する際にクレジットカードを利用することを希望している場合を想定する。この場合、その店舗に設置されている端末装置が、複数のノード10
1、10
2、・・・10
Nのうちの1つに接続される。例えば、端末装置20
1がノード10
1に接続されたとすると、端末装置20
1は、顧客のクレジットカードの利用希望額が「〇〇円」であることを示す情報をネットワーク1に送信する。ネットワーク1は、端末装置20
1から送信された情報に応答して、顧客によるクレジットカードの利用希望額が利用限度額以下であるか否かを判定する。このような判定は、ネットワーク1内で行われる。このような判定は、クレジットカードの与信管理に基づいて行われるが、この与信管理に必要なデータは、ネットワーク1内で管理されており、かつ、この与信管理に必要なデータの処理は、ネットワーク1内で行われるからである。従って、このような判定は、事業者Aに設置されたサーバ装置を介することなく、ネットワーク1内で行われる。顧客によるクレジットカードの利用希望額が利用限度額以下である場合には、ネットワーク1は、その顧客によるクレジットカードの利用を許可し、その顧客によるクレジットカードの利用額を更新する。このような利用額の更新は、ネットワーク1内で管理されている与信管理に必要なデータを更新することによって達成される。このように、顧客によるクレジットカードの利用に関連する処理をネットワーク1内で行うことにより、事業者Aが混雑していても、その処理の結果を迅速に顧客に返すことが可能になる。その結果、処理のレスポンスが早くなる。
【0045】
顧客によるクレジットカードの利用に関連する処理は、端末装置20
1とネットワーク1との間で行われる。その一方で、顧客によるクレジットカードの利用に関連する処理の結果は、その処理をしたタイミングと同時のタイミング(すなわち、リアルタイム)ではなく、その処理をしたタイミングよりも後のタイミングで事業者Aの装置30
1に伝達される。これにより、処理の負荷がネットワーク1および/または事業者Aの装置30
1に集中することを回避しつつ、顧客によるクレジットカードの利用に関連する処理の結果を事業者Aに報告することが可能である。
【0046】
以下、ポイントのサービスの一例として、ポイントの利用を考察する。
【0047】
顧客がEC(電子商取引)を利用して商品を購入する際にポイントを利用することを希望している場合を想定する。この場合、EC(電子商取引)加盟店に設置されている端末装置が、複数のノード10
1、10
2、・・・10
Nのうちの1つに接続される。例えば、端末装置20
2がノード10
1に接続されたとすると、端末装置20
2は、顧客のポイントの利用希望額が「△△ポイント」であることを示す情報をネットワーク1に送信する。ネットワーク1は、端末装置20
2から送信された情報に応答して、顧客によるポイントの利用希望額がポイントの残額以下であるか否かを判定する。このような判定は、ネットワーク1内で行われる。なぜなら、このような判定は、ポイントの残高管理に基づいて行われるが、この残高管理に必要なデータは、ネットワーク1内で管理されており、かつ、この残高管理に必要なデータの処理は、ネットワーク1内で行われるからである。従って、このような判定は、事業者Bに設置されたサーバ装置を介することなく、ネットワーク1内で行われる。顧客によるポイントの利用希望額がポイントの残額以下である場合には、ネットワーク1は、その顧客によるポイントの利用を許可し、その顧客によるポイントの残額を更新する。このようなポイントの残額の更新は、ネットワーク1内で管理されている残高管理に必要なデータを更新することによって達成される。このように、顧客によるポイントの利用に関連する処理をネットワーク1内で行うことにより、事業者Bが混雑していても、その処理の結果を迅速に顧客に返すことが可能になる。その結果、処理のレスポンスが早くなる。
【0048】
顧客によるポイントの利用に関連する処理は、端末装置20
2とネットワーク1との間で行われる。その一方で、顧客によるポイントの利用に関連する処理の結果は、その処理をしたタイミングと同時のタイミング(すなわち、リアルタイム)ではなく、その処理をしたタイミングよりも後のタイミングで事業者Bの装置30
2に伝達される。これにより、処理の負荷がネットワーク1および/または事業者Bの装置30
2に集中することを回避しつつ、顧客によるポイントの利用に関連する処理の結果を事業者Bに報告することが可能である。
【0049】
以下、電子マネーのサービスの一例として、電子マネーの利用を考察する。
【0050】
顧客がスマートフォンにインストールされたWalletアプリケーションを利用して商品を購入する際に電子マネーを利用することを希望している場合を想定する。この場合、そのスマートフォン(端末装置)が、複数のノード10
1、10
2、・・・10
Nのうちの1つに接続される。例えば、端末装置20
3がノード10
2に接続されたとすると、端末装置20
3は、顧客の電子マネーの利用希望額が「××円」であることを示す情報をネットワーク1に送信する。ネットワーク1は、端末装置20
3から送信された情報に応答して、顧客による電子マネーの利用希望額が電子マネーの残額以下であるか否かを判定する。このような判定は、ネットワーク1内で行われる。なぜなら、このような判定は、電子マネーの残高管理に基づいて行われるが、この残高管理に必要なデータは、ネットワーク1内で管理されており、かつ、この残高管理に必要なデータの処理は、ネットワーク1内で行われるからである。従って、このような判定は、事業者Cに設置されたサーバ装置を介することなく、ネットワーク1内で行われる。顧客による電子マネーの利用希望額が電子マネーの残額以下である場合には、ネットワーク1は、その顧客による電子マネーの利用を許可し、その顧客による電子マネーの残額を更新する。このような電子マネーの残額の更新は、ネットワーク1内で管理されている残高管理に必要なデータを更新することによって達成される。このように、顧客による電子マネーの利用に関連する処理をネットワーク1内で行うことにより、事業者Cが混雑していても、その処理の結果を迅速に顧客に返すことが可能になる。その結果、処理のレスポンスが早くなる。
【0051】
顧客による電子マネーの利用に関連する処理は、端末装置20
3とネットワーク1との間で行われる。その一方で、顧客による電子マネーの利用に関連する処理の結果は、その処理をしたタイミングと同時のタイミング(すなわち、リアルタイム)ではなく、その処理をしたタイミングよりも後のタイミングで事業者Cの装置30
3に伝達される。これにより、処理の負荷がネットワーク1および/または事業者Cの装置30
3に集中することを回避しつつ、顧客による電子マネーの利用に関連する処理の結果を事業者Cに報告することが可能である。
【0052】
図3は、ネットワーク1に含まれるノード10
1の構成の一例を示す。ネットワーク1に含まれるノード10
2、・・・10
Nのそれぞれの構成もノード10
1の構成と同様である。
【0053】
ノード10
1は、複数の端末装置20
1、20
2、・・・20
Mのうちの少なくとも1つと通信を行い、少なくとも1つの事業者の装置30
1、30
2、・・・30
Kのうちの少なくとも1つと通信を行い、ノード10
2、・・・10
Nのうちの少なくとも1つと通信を行うことが可能であるように構成された装置である。このような通信の態様は問わない。例えば、無線の通信であってもよいし有線の通信であってもよい。このような装置は、例えば、任意のタイプのコンピュータであり得る。
【0054】
ノード10
1は、端末装置インターフェース部310と、事業者装置インターフェース部320と、ノードインターフェース部330と、メモリ部340と、プロセッサ部350とを含む。これらの構成要素は、相互に接続されている。これらの構成要素のそれぞれは、単一のハードウェア部品で構成されてもよいし、複数のハードウェア部品で構成されてもよい。
【0055】
端末装置インターフェース部310は、複数の端末装置20
1、20
2、・・・20
Mのうちの少なくとも1つとの通信を制御する。
【0056】
事業者装置インターフェース部320は、少なくとも1つの事業者の装置30
1、30
2、・・・30
Kのうちの少なくとも1つとの通信を制御する。
【0057】
ノードインターフェース部330は、ノード10
2、・・・10
Nのうちの少なくとも1つとの通信を制御する。
【0058】
メモリ部340には、各種のサービスに関連する処理を実行するために必要とされるプログラムやそのプログラムを実行するために必要とされるデータ等が格納されている。ここで、プログラムをどのようにしてメモリ部340に格納するかは問わない。例えば、プログラムは、メモリ部340にプリインストールされていてもよい。あるいは、プログラムは、インターネットなどのネットワークを経由してダウンロードされることによってメモリ部340にインストールされるようにしてもよいし、光ディスクやUSBなどの記憶媒体を介してメモリ部340にインストールされるようにしてもよい。
【0059】
プロセッサ部350は、ノード10
1全体の動作を制御する。プロセッサ部350は、メモリ部340に格納されているプログラムを読み出し、そのプログラムを実行する。これにより、ノード10
1は、所望のステップを実行する装置として機能することが可能である。
【0060】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。
【解決手段】複数のノードを備えたネットワークが提供される。複数のノードの少なくともいくつかには、少なくとも1つの事業者がサービスを顧客に提供するために必要なデータが格納されている。複数のノードの少なくともいくつかは、データを処理することが可能なように構成されている。顧客に関連付けられた端末装置は、複数のノードのうちの1つに接続されることが可能なように構成されている。本発明の方法は、端末装置を複数のノードのうちの1つに接続することと、少なくとも1つの事業者がサービスを顧客に提供することを、少なくとも1つの事業者を介することなく、端末装置とネットワークとの間で達成することとを含む。