(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
細長に形成された挿入部と、前記挿入部の基端側を構成する可撓管部と、前記可撓管部の管内に設けられ前記可撓管部の硬度を変更する硬度変更機構部と、を備え、前記硬度変更機構部による前記可撓管部の硬度変更領域が前記可撓管部の中途部分から基端部分に至るよう設定された内視鏡と、
可撓性を備え軸方向に延びる筒状であり、内部に前記挿入部を摺動自在に挿入可能とし、軸方向の全長が前記硬度変更領域の全長よりも短く形成されると共に、当該挿入部を覆った状態における硬度の上昇度合いが、前記硬度変更機構部の作動による前記可撓管部の硬度の上昇度合いと略同等になるように設定されたオーバーチューブと、
を備え、
前記オーバーチューブを前記挿入部に外挿した状態において、当該オーバーチューブと前記挿入部との長手方向の相対位置を変化させることにより、前記オーバーチューブの軸方向の基端部を前記挿入部の最も基端側に位置させて前記硬度変更領域の先端部分を露出させた状態と、当該オーバーチューブを先端側に変位させることで当該硬度変更領域の先端部分が当該オーバーチューブにより覆われている状態とを選択可能であって、かつ、前記オーバーチューブを前記挿入部に外挿した状態において、当該挿入部の当該オーバーチューブが覆われた部分における当該オーバーチューブにより当該挿入部を外挿することによる硬度の上昇度合いと、前記硬度変更機構部の作動による前記可撓管部の硬度の上昇度合いとが略同等になるように設定することで、前記オーバーチューブの軸方向の基端部を前記挿入部の最も基端側に位置させて前記硬度変更領域の先端部分を露出させた状態を選択した場合において前記硬度変更機構部による前記硬度変更領域の硬度の上昇操作が行われたときに、前記挿入部における前記硬度変更領域より先端側の部分と、前記硬度変更領域における前記オーバーチューブから露出した部分と、前記オーバーチューブに覆われた部分と、に係るそれぞれの硬度の変位が、前記挿入部の先端から基端方向に向かって段階的に緩やかに上昇するように構成された
ことを特徴とする内視鏡システム。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の好ましい形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものであり、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、及び各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
【0011】
図1に示す本実施形態の内視鏡システム50は、内視鏡1とオーバーチューブ40を備える。内視鏡1は、人体等の被検体内に導入可能な細長の挿入部2を有し、挿入部2に被検体内を観察するための構成を有する。なお、内視鏡1の挿入部2が導入される被検体は、人体に限らず、他の生体であってもよい。
【0012】
本実施形態の内視鏡1は、被検体の内部に導入される細長に形成された挿入部2と、挿入部2の基端に位置する操作部3と、操作部3から延出するユニバーサルコード4とで主に構成されている。
【0013】
挿入部2は、先端に配設される先端部8、先端部8の基端側に配設される湾曲自在な湾曲部9、及び湾曲部9の基端側と操作部3の先端側とを接続する可撓性を有する可撓管部10が連設されて構成されている。
【0014】
先端部8には、被検体内を観察するための構成等が配設されている。例えば、先端部8には、対物レンズ及び撮像素子を含み光学的に被検体内を観察するための撮像ユニットが配設されている。また、先端部8には、図示しないが、撮像ユニットの被写体を照明する光を出射する照明光出射部も設けられている。なお、先端部8には、超音波を用いて音響的に被検体内を観察するための超音波振動子が配設されていてもよい。
【0015】
挿入部2の基端に配設された操作部3には、湾曲部9の湾曲を操作するためのアングル操作ノブ6が設けられている。ユニバーサルコード4の基端部には図示しない外部装置に接続可能に構成された内視鏡コネクタ5が設けられている。内視鏡コネクタ5が接続される外部装置は、先端部8に設けられた撮像ユニットを制御するカメラコントロールユニット等を備える。
【0016】
また、操作部3には、可撓管部10内に配設された硬度変更機構部20を操作するための硬度変更ノブ21が設けられている。硬度変更機構部20は、可撓管部10の長手方向に沿って可撓管部10内に挿入されており、硬度変更ノブ21による操作入力に応じて、屈曲に対する硬度が変化する構成を有する。すなわち、硬度変更機構部20は、可撓管部10の屈曲に対する硬度を変化させる。
【0017】
硬度変更機構部20の構成は公知であるため、詳細な説明は省略するが、硬度変更機構部20は、
図3に示すように、コイルパイプ22、第1ワイヤ24および第2ワイヤ25および牽引機構部30を備える。挿入部2および硬度変更機構部20を構成する部材について、挿入部2の先端部8側に向かう方向を先端方向と称し、操作部3側に向かう方向を基端方向と称する。
【0018】
コイルパイプ22は、例えばステンレス合金等の金属製の線状の素線を、挿入部2の長手方向に平行な所定の軸A周りに螺旋状に巻回して形成された線状部材である。コイルパイプ22の基端22bは、操作部3内に設けられたコイル固定部23に固定されている。
【0019】
また、コイルパイプ22の先端22aは、可撓管部10内の可撓管部10の先端10aよりも所定距離だけ基端方向に配置されている。すなわち、コイルパイプ22は、可撓管部10内において、可撓管部10の基端10bから可撓管部10の先端10aよりも手前まで延在している。
【0020】
コイルパイプ22内には、第1ワイヤ24が挿通されている。第1ワイヤ24は、先端24aがコイルパイプ22の先端22aに固定されており、基端24bが後述する牽引機構部30のワイヤ保持部30aに固定されている。
【0021】
本実施形態では一例として、第1ワイヤ24の先端24aは、コイルパイプ22の先端22aに固着される接続部25に固定されている。なお、第1ワイヤ24の先端24aは、直接的にコイルパイプ22の先端22aに固定されていてもよい。
【0022】
第2ワイヤ26は、先端26aが湾曲部9の基端側の枠部材9aに設けられたワイヤ固定部28に固定されており、基端26bが接続部25に固定されている。第2ワイヤ26は、コイルパイプ22の先端22aが可撓管部10内において基端方向に移動することを規制し、コイルパイプ22の可撓管部10内における長手方向の位置を保持する。
【0023】
牽引機構部30は、操作部3に対して回動する硬度変更ノブ21と、第1ワイヤ24の基端24bを保持し硬度変更ノブ21の回動に応じて軸Aに沿う方向に進退移動するワイヤ保持部30aと、を備える。
【0024】
硬度変更ノブ21の内周面には、カム溝21bが彫設されている。ワイヤ保持部30aには、カム溝21bに摺動可能に係合するカムピン30bが設けられている。カム溝21bとカムピン30bとの係合により、ワイヤ保持部30aは、硬度変更ノブ21の回動に応じて軸Aに沿う方向に進退移動する。以上のように構成された、本実施形態の牽引機構部30は、使用者による硬度変更ノブ21の回動操作に応じて、第1ワイヤ24を基端方向に牽引し、第1ワイヤ24に加える張力を変更することができる。
【0025】
牽引機構部30によって第1ワイヤ24に加えられる張力に応じて、コイルパイプ22には圧縮力が加えられる。コイルパイプ22は、圧縮力が加えられることにより曲げ変形に対する抵抗力が大きくなる。よって、可撓管部10のコイルパイプ22が内部に配置されている範囲の屈曲に対する硬度は、コイルパイプ22の曲げ変形に対する抵抗力に応じて変化する。以上に説明した構成により、硬度変更機構部20は、可撓管部10のコイルパイプ22が挿通されている部分の硬度を変更する。
【0026】
本実施形態においては、可撓管部10を直線状に保持した場合における、可撓管部10の基端10bからコイルパイプ22の先端
22aまでの長さはL1である。したがって、本実施形態の内視鏡1の挿入部2では、可撓管部10の基端10bから長手方向に沿って先端方向に向かって長さL1の範囲が、硬度変更機構部20によって硬度の変更が可能な硬度変更領域2aである。
【0027】
オーバーチューブ40は、可撓性を有する筒状の筒状部41を備えている。筒状部41は、両端が開口する筒形状であり、
図2に示すように、内部に内視鏡1の挿入部2を挿通することができる。言い換えれば、筒状部41は、挿入部2の外周に被せることができる。筒状部41は、内部に挿入部2が挿入されている状態においては、挿入部2の変形に応じて屈曲する。また、筒状部41は、挿入部2に対して相対的に挿入部2の長手方向に沿って摺動可能である。
【0028】
図2は、筒状部41を、挿入部2に対して最も基端方向に配置した状態を示している。すなわち、
図2は、オーバーチューブ40内に内視鏡1の挿入部2を最も押し込んだ状態を示している。
【0029】
図1および
図2に示すように、筒状部41の軸方向(長手方向)の長さL2は、硬度変更領域2aの長さL1よりも短い。
【0030】
したがって、
図2に示すように筒状部41を、挿入部2に対して最も基端方向に配置した場合には、可撓管部10に設けられた硬度変更領域2aの先端部が、オーバーチューブ40の筒状部41の先端部41aよりも先端方向に突出する。言い換えれば、挿入部2をオーバーチューブ40の筒状部41に最も押し込んだ場合には、硬度変更領域2aの先端部が、筒状部41から先端方向に露出する。
【0031】
筒状部41の先端部41aには、伸縮可能な部材からなるバルーン42が配設されている。また、筒状部41の基端部41bには、図示しない管路を介してバルーン42内に連通するバルーン通気口43が配設されている。バルーン42は、筒状部41の先端部41aの外周を囲うように配置されたドーナツ形状を有している。バルーン42は、バルーン通気口43を介した気体の出し入れに応じて膨張または収縮する。
【0032】
以上に説明したように、本実施形態の内視鏡システム50では、オーバーチューブ40の挿入部2に外挿される筒状部41の全長L2が、挿入部2の硬度変更領域2aの長さL1よりも短い。したがって、本実施形態の内視鏡システム50では、オーバーチューブ40を挿入部2に外挿した状態において、オーバーチューブ40と挿入部2との長手方向の相対位置を変化させることによって、硬度変更領域2aの先端部がオーバーチューブ40よりも先端方向に露出した状態と、硬度変更領域2aの先端部がオーバーチューブ40により覆われている状態と、を選択することができる。
【0033】
例えば
図4に示すように、オーバーチューブ40に対して挿入部2を相対的に先端方向へ押し込めば、硬度変更領域2aの先端部がオーバーチューブ40よりも先端方向に露出する。また例えば、
図5に示すように、オーバーチューブ40に対して挿入部2を相対的に基端方向へ引き戻せば、硬度変更領域2aの先端部がオーバーチューブ40により覆われる。
【0034】
図6、
図7、
図8および
図9には、長手方向についての挿入部2およびオーバーチューブ40の
硬度の変化の様子を示す。
図6、
図7、
図8および
図9に示す模式的なグラフにおいて、横軸であるx軸は、挿入部2の先端からの長手方向の距離を示している。また、縦軸であるy軸は、挿入部2およびオーバーチューブ40の曲げ方向の変形に対する
硬度を示している。
【0035】
x軸において、x=0が挿入部2の先端であり、x=L0が挿入部2の基端(可撓管部10の基端10b)である。また、y軸においては、図中の上に向かうほど
硬度が高くなる。また、図中の一点鎖線は、挿入部2の
硬度を示し、二点鎖線はオーバーチューブ40の
硬度を示している。同一のx座標において、挿入部2の
硬度と、オーバーチューブ40の
硬度を積算した値が、当該x座標における内視鏡システム50の挿入部2の
硬度を示す。
【0036】
そして、
図6は、硬度変更領域2aの先端部がオーバーチューブ40よりも先端方向に露出した状態であって、かつ硬度変更機構部20による可撓管部10の
硬度の上昇操作が行われていない状態を示している。すなわち、
図6に示す状態では、オーバーチューブ40の先端のx座標xCの値が、L0−L1よりも大きい。
【0037】
図6に示すように、オーバーチューブ40が外挿されている領域(x≧xC)においては、挿入部2の
硬度にオーバーチューブ40の筒状部41の
硬度Stが合成されるため、
硬度が高くなる。
【0038】
なお、
図6では、説明のために内視鏡の挿入部2の
硬度がx座標に関わら
ず一定の値I1であるとして示してあるが、挿入部2の
硬度はx座標の変化に応じて変化してもよい。これは、
図7、
図8および
図9についても同様である。
【0039】
図7は、硬度変更領域2aの先端部がオーバーチューブ40よりも先端方向に露出した状態であって、かつ硬度変更機構部20による可撓管部10の
硬度の上昇操作が行われている状態を示している。
【0040】
図7に示す状態では、挿入部2の硬度変更領域2aの硬度が上昇している。硬度変更領域2aとは、x座標がL0−L1よりも大きい領域である。
図7に示す状態では、オーバーチューブ40の先端が、この硬度変更領域2a内に位置している。
【0041】
すなわち、オーバーチューブ40が外挿されることによって
硬度が上昇する領域は、硬度変更領域2aの先端よりも基端側に位置している。このため、
図7に示す状態では、硬度変更領域2aよりも先端側の第1領域(x<(L0−L1))が
硬度が最も低く、次に硬度変更領域2aのうちのオーバーチューブ40よりも先端方向に露出した第2領域((L0−L1)≦x<xC)が中間の
硬度となり、次に硬度変更領域2aのオーバーチューブ40に覆われた第3領域(x≧xC)が
硬度が最も高くなる。
【0042】
この順に
硬度が高くなる第1領域、第2領域、および第3領域は、挿入部2の先端から基端方向に向かって順に配置されている。したがって、
図7に示す状態では、挿入部2は先端から基端方向に向かって緩やかな変化で
硬度が上昇する。挿入部2の先端から基端方向に向かう
硬度の変化の傾きが緩やかになることで、挿入部2の被検体内への挿入時の挿入性を向上させることができる。
【0043】
図8は、硬度変更領域2aの先端部がオーバーチューブ40により覆われており、かつ硬度変更機構部20による可撓管部10の
硬度の上昇操作が行われていない状態を示している。すなわち、図
8に示す状態では、オーバーチューブ40の先端のx座標xCの値が、L0−L1よりも小さい。
【0044】
図9は、硬度変更領域2aの先端部がオーバーチューブ40により覆われており、かつ硬度変更機構部20による可撓管部10の
硬度の上昇操作が行われている状態を示している。
【0045】
本実施形態では、オーバーチューブ40を外挿することによる
硬度の上昇幅Stが、硬度変更機構部20による可撓管部10の
硬度の上昇幅と同等となるように設定されている。したがって、本実施形態においてオーバーチューブ40の先端を硬度変更領域2aよりも先端側に位置させた場合には、
図8に示すように、硬度変更機構部20による硬度上昇操作を行わなくても可撓管部10の硬度を上昇させることができる。
【0046】
次に、本実施形態の内視鏡システム50を用いて、被検体である人体の大腸60内に、内視鏡1の挿入部2を肛門61を経由して挿入する方法を
図10から
図17を用いて説明する。
【0047】
まず、第1ステップにおいて、
図10に示すように、肛門61から内視鏡1の挿入部2のみを、硬度変更機構部20による可撓管部10の
硬度の上昇操作を行わない状態で、先端が大腸60のS字状結腸60aに達するまで挿入する。この時、挿入部2にはオーバーチューブ40を外挿しておき、かつオーバーチューブ40は、可撓管部10の基端10b側(操作部3側)に引き寄せた状態としておく。すなわち、オーバーチューブ40は、肛門61よりも外側に位置している。
【0048】
第1ステップでは、挿入部2の大腸60内に挿入されている範囲は、硬度変更機構部20による可撓管部10の
硬度の上昇操作が行われておらず、かつオーバーチューブ40により覆われていないため、最も
硬度が低い柔らかい状態である。このため、屈曲の多いS字状結腸60a内において容易に挿入部2を進行させることができる。
【0049】
次に第2ステップにおいて、
図11に示すように、オーバーチューブ40を、挿入部2に沿って先端方向へ移動させ、オーバーチューブ40の先端をS字状結腸60aにまで到達させる。ここで、オーバーチューブ40は、硬度変更機構部20の先端よりも先端側に位置させる。この操作により、
図8に示すようにオーバーチューブ40に覆われた挿入部2の硬度が上昇する。
【0050】
そして、バルーン通気口43からバルーン42内に気体を送り込み、バルーン42を膨張させ、オーバーチューブ40の位置を固定する。
【0051】
次に第3ステップにおいて、
図12に示すように、位置を固定したオーバーチューブ40と硬度が上昇した挿入部2を引くことにより、S字状結腸60aが直線化する。さらに硬度変更機構部20による可撓管部10の
硬度の上昇操作を行う。
【0052】
次に第4ステップにおいて、
図13に示すように、オーバーチューブ40の位置を固定したまま、硬度上昇操作が行われた挿入部2を押し込み、挿入部2の先端を下行結腸60bと横行結腸60cとの間の脾湾曲60dまで進行させる。このとき、
図7に示すように、挿入部2の
硬度は、先端から基端方向に向かって緩やかな変化で上昇する状態である。すなわち、挿入部2の直線化したS字状結腸60a内に挿通されている基端側の部分の
硬度を維持したまま、硬度の低い挿入部2の先端側を容易に進行させることができる。
【0053】
そして、第5ステップにおいて、
図14に示すように、挿入部2の先端を横行結腸60c内にまで進行させる。
【0054】
次に、第6ステップにおいて、
図15に示すように、バルーン42を収縮させた後に、オーバーチューブ40を挿入部2に沿って先端方向へ移動させ、オーバーチューブ40の先端を脾湾曲60dまで進行させる。そして、硬度変更機構部20による可撓管部10の
硬度の上昇操作を行わない状態とする。
【0055】
このとき、
図8に示すように、硬度変更機構部20による硬度上昇操作を行わなくても、可撓管部10の硬度はオーバーチューブ40の存在によって上昇した状態となる。したがって、直線化したS字状結腸60aの形状は維持される。
【0056】
次に、第7ステップにおいて、
図16に示すように、硬度変更機構部20による可撓管部10の
硬度の上昇操作が行われていない状態で、オーバーチューブ40の位置を固定しつつ、挿入部2のみを先端が肝湾曲60eに到達するまで進行させる。このとき、オーバーチューブ40の硬度によって直線化したS字状結腸60aの形状が維持されるとともに挿入部2の大腸60c内に挿入されている範囲は、硬度変更機構部20による可撓管部10の
硬度の上昇操作が行われておらず、かつオーバーチューブ40により覆われていない最も
硬度が低い柔らかい状態であるため、屈曲が多く固定されていない横行結腸60c内においても容易に挿入部2を進行させることができる(硬いままだと横行結腸は屈曲部が肛門側に大きく下垂してしまい挿入が難しい)。
【0057】
次に第8ステップにおいて、
図17に示すように、硬度変更機構部20による可撓管部10の
硬度の上昇操作を行い、横行結腸60cを持ち上げる。そして、オーバーチューブ40を挿入部2に沿って先端方向へ移動させ、オーバーチューブ40の先端を肝湾曲60eまで進行させた後に、バルーン42を膨張させてオーバーチューブ40の位置を固定する。
【0058】
オーバーチューブ40の先端が肝湾曲60e近傍に固定されることにより、直線化したS字状結腸60aおよび持ち上げた横行結腸60cの形状が維持されるため、挿入部2を大腸のさらに奥である上行結腸60fへ進行させる操作が容易となる。
【0059】
以上に説明したように、本実施形態の内視鏡システム50は、硬度変更機構部20による可撓管部10の
硬度の上昇操作の有無の切替と、オーバーチューブ40を挿入部2に対して長手方向に相対的に進退移動を組み合わせることによって、様々な硬度設定が可能となり(長手方向における硬度設定の自由度が増す)、被検体内への挿入部2の挿入操作を容易に行うことが可能となる。
【0060】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う内視鏡システムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0061】
本出願は、2015年11月20日に日本国に出願された特願2015−227903号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲、図面に引用されたものとする。