【文献】
Chang J. Park, Jong R. Ahn,"Effect of magnetic field in electron-impact ion sources and simulation of electron trajectories",Review of Scientific Instruments,米国,American Institute of Physics,2006年 8月,Volume 77,Page 085107
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
イオン化チャンバ、及び前記イオン化チャンバに繋がるサンプルの入口を有する本体であって、前記イオン化チャンバに第1の端部及び第2の端部を設けており、イオン源軸に沿って前記第1の端部から前記第2の端部までの長さを有する本体と、
前記本体を包囲し、かつ前記イオン化チャンバ内に軸方向磁界を生成するように構成される磁石アセンブリと、
前記第1の端部に位置決めされ、かつ熱イオン陰極及び電子反射体を有する電子源であって、電子ビームを、前記イオン化チャンバを通して前記イオン源軸に沿って加速させるように構成される電子源と、
前記第2の端部に位置決めされる抽出器、前記イオン化チャンバの外部に設けられ、かつ前記イオン源軸に沿って前記抽出器から離れて位置する第1のレンズ素子、並びに前記イオン源軸に沿って前記第1のレンズ素子から離れて位置する第2のレンズ素子を有するレンズアセンブリであって、前記抽出器が、前記イオン化チャンバから前記イオン源軸に沿ってイオンビームを外部に誘導するように構成され、前記第1のレンズ素子が、前記電子ビームを前記電子源に向かって反射させるように構成され、前記第2のレンズ素子が、低エネルギーのイオンを前記第1のレンズ素子に向かって反射しながら高エネルギーのイオンを送り出すように構成される、レンズアセンブリと
を備えているイオン源。
前記イオン化チャンバが、前記長さに沿って一定である断面積を有しているか、又は前記長さの少なくとも一部に沿って増加する断面積を有している、請求項1に記載のイオン源。
前記集束ステップは、前記イオン源軸の周りにて周方向に互いに離れて位置する複数の磁石と、前記イオン化チャンバの外部の前記イオン源軸上に位置決めされた軸上磁石とを利用するプロセスを含む、請求項6又は7に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、いくつかの実施形態に係るイオン源100の一例を示す斜視図である。
図2は、
図1に示されるイオン源100の断面斜視図である。例示される実施形態では、イオン源100は、全体として、内部イオン化チャンバ又は容積208を画定する本体104と、磁石アセンブリ112と、電子源116と、レンズアセンブリ120とを有している。
【0014】
イオン源100は、イオン源軸124の周りに概ね配置される全体形状又は構成を有することができる。動作時に、イオン源100は、イオン源軸124に沿って電子ビームを生成し、かつイオン化されることになるサンプル材料の流れをイオン源軸124に対して任意の方向に受け入れることができる。分析されるサンプル材料は、複合技法を含む任意の適切な手段によって、イオン源100に導入することができ、その場合、サンプル材料は、例えば、ガスクロマトグラフィ(GC)機器等の分析分離機器の出力物となる。その後、イオン源100は、イオンを生成し、イオンをイオン源軸124に沿って集束させて、イオンビームにする。そのイオンは、イオン源軸124に沿ってイオン源100から出て、次のイオン処理デバイスに入る。そのイオン処理デバイスは、イオン源軸124に沿ったイオンの入口を有することができる。
【0015】
イオン化チャンバ208は、イオン源軸124に沿って第1の端部から第2の端部までの長さを有している。サンプル源から、サンプル材料を電子ビームと相互作用させるイオン化チャンバ208の中に向けてサンプル材料を誘導する経路を設けることに適した任意の場所には、本体104を貫通するようにサンプルの入口228が形成されている。イオン化チャンバ208の軸方向長さは、所望の被分析物分子をイオン化するために利用可能な比較的長い実用的な電子ビーム領域を設けるように選択することができ、それによって、イオン源100のイオン化効率を高め、その結果、全体としての機器の感度を高めることができる。
【0016】
磁石アセンブリ112は、本体104を同軸上にて包囲している。磁石アセンブリ112は、イオン化チャンバ208内に均一な軸方向磁界を生成するように構成され、その磁界は、電子ビームと、結果として生成されたイオンビームとをイオン源軸124に沿って集束かつ圧縮する。磁気的に制限された電子ビーム及び比較的長いイオン化チャンバ208によって、イオン化チャンバ208から抽出し(放出し)、最終的に、例えば、質量分析器、又はイオンガイド、イオントラップ、質量フィルタ、衝突セル等の質量分析器に前置される別種類のデバイス等のような下流のイオン処理デバイスに受け入れることを改善するために十分に適したイオンビームが、生成可能となる。イオンビームは、ニーア型のイオン源にて生じることがわかっているイオン損失を被ることなく抽出することができる。なお、ニーア型のイオン源は、イオン化チャンバ208の内面との衝突時に多数のイオンがフィラメントに向かって引っ張られるか、又は集束から外れ、中和される(失われる)ものである。磁石アセンブリ112は、イオン源軸124の周りで円周方向にて互いに離れて位置する複数の磁石132を有することができる。例示される実施形態は、リング状のヨーク134に固定された4つの磁石132から成る対称的な配置関係を包含するものとなっている。磁石132は永久磁石又は電磁石とすることができる。サンプルの入口228と、電線管等の他の構成要素とは、隣接する磁石132における任意の対間の間隙に位置決めすることができる。磁石132は、間隙によって互いに離れて位置するが、イオン源軸124の周りに対称に配置されており、生成される軸方向磁界は均一となっている。
【0017】
電子源116は、電子を生成し、イオン化チャンバ208を通して第1の端部から電子ビームを誘導するように構成される任意のデバイスとすることができる。例示される実施形態では、電子源116は1つ又は複数の陰極238を有している。陰極238は熱イオンを放出可能に構成されており、それゆえ、陰極238は、例えば、レニウム若しくはタングステン−レニウム合金等の熱イオン放出材料から構成される1つ若しくは複数のフィラメント(代替的には、コア上のコーティング)とすることができるか、又はそのようなフィラメントを有することができる。陰極238は、熱イオン放出を引き起こすのに十分な温度まで加熱されるようになっている。加熱は、通常、陰極238を通して電流を流すことによって行われる。その電流を調節することによって電子エネルギーを調節することができ、電子エネルギーは、通常、約70eVに設定されるが、それよりも低くても、高くてもよい。また、電子源116は、イオンリペラ240と、電子反射体244(プレート又は電極)とを有している。陰極238は、電子反射体244とイオンリペラ240との間に位置決めされ、その場所は、イオンリペラ240によってイオン化チャンバ208から分離された電子源領域と見なすことができる。イオンリペラ240(それは電子抽出器と見なすこともできる)は、イオン源軸124上に開口部を有する壁又はプレートとして構成することができる。電子エネルギーは、イオンリペラ240及び電子反射体244に印加される電圧によって設定される。電子反射体244に印加される電圧は、生成されたばかりの電子をレンズアセンブリ120に向かって加速させるようになっている。このために、電子反射体244と、後に説明されるレンズアセンブリ120の「抽出器」等のような陰極238の下流に位置する任意の適切な導電性素子(陽極)との間に、軸方向電圧勾配を掛けることができる。電子反射体244に印加される電圧は、通常では負値となっているが、より一般的には、リペラ240、及び後に説明されるレンズアセンブリ120の「第1のレンズ素子」までにおける他の下流光学系よりも低い正値となっている。電子反射体244及び陰極238が等電位にて動作可能に構成されているか、又は電子反射体244が、電子をイオン化チャンバ208の中に押し込むことを支援するために陰極238よりも高い負値とすることを可能とするように構成されている。
【0018】
レンズアセンブリ120は、電子源116に対して軸方向の反対側に位置するイオン化チャンバ208の第2の端部に位置決めされている。レンズアセンブリ120は、数ある中でも、イオンビームをイオン化チャンバ208からイオン源軸124に沿って次のイオン処理デバイスの中に誘導するように構成されている。このために、レンズアセンブリ120は、電圧源によって独立して設定可能な複数のレンズ素子(又は電極)を有している。各レンズ素子はイオン源軸124上に開口部又はスロットを有することができる。例示される実施形態では、レンズアセンブリ120はイオン抽出レンズ(又はイオン抽出器)248と、イオン源軸124に沿って抽出器248から離れて位置する第1のレンズ素子(又は電子反射体)250と、イオン源軸124に沿って第1のレンズ素子250から離れて位置する第2のレンズ素子(又はイオン反射体)252と、イオン源軸124に沿って第2のレンズ素子252から離れて位置するイオン源出口レンズ素子(又はイオンビーム集束レンズ素子)256とを有している。イオン源出口レンズ素子256は、イオン処理デバイスへの入口レンズ素子として構成することができるか、又はその役割を果たすこともできる。レンズアセンブリ120は、第2のレンズ素子252とイオン源出口レンズ素子256との間に1つ又は複数のさらなるイオン集束レンズ素子254を有することもでき、イオンビームを集束するために利用することができる。イオンリペラ240及び抽出器248は、イオン化チャンバ208の軸方向におけるそれぞれ第1の端部及び第2の端部と見なすことができる。当業者に理解されるように、イオン化チャンバ208からイオンビームを引き出すことを支援するために、抽出器248に適切な大きさの電圧を印加することができる。
【0019】
第1のレンズ素子250は、イオン化チャンバ208の直ぐ外側に位置決めされ、チャンバの下流側に位置する抽出器248に直接隣接している。電子ビームを反射してイオン化チャンバ208の中に戻すために、第1のレンズ素子250に適切な大きさの電圧を印加することができる。従って、陰極238(又は陰極238及び電子反射体244)及び第1のレンズ素子250は、イオン源軸124に沿って電子ビームを反射し、イオン化チャンバ208を通して往復させるように協調して働き、これによって、イオン化チャンバ208内で被分析物のEIイオン化のために利用可能な電子密度を高めることとなる。
【0020】
電子を反射してイオン化チャンバ208の中に戻すために、第1のレンズ素子250に相対的に大きな電圧を印加することができる。この結果、一般的に第1のレンズ素子250と抽出器248との間における領域内でイオンを生成することができ、その領域はイオントラッピング領域と呼ばれる場合がある。イオン化チャンバ208と比べて、この領域内のエネルギーは低く、それゆえ、この領域内で生成されたイオンは望ましくないほど低いイオンエネルギーとなるおそれがある。結果として、これらのイオンは、この領域内に捕捉される傾向となる。これらのイオンは本明細書にて「低エネルギー」又は「より低いエネルギーの」又は「捕捉された」イオンと呼ばれる場合があり、そのイオンは、この文脈において、イオン源100に対して意図された動作条件下で、トラッピング領域内に捕捉できるほど十分に低いエネルギーを有するイオンを指すものとする。これに対して、イオン化チャンバ208にて通常生成される「高エネルギー」又は「より高いエネルギーの」又は「捕捉されない」イオンは、レンズアセンブリ120を突き抜けて、下流のイオン処理デバイスに入ることができる。イオントラッピングは、望ましくない空間電荷を生じ、イオン電流を不安定にするおそれがあるので、結果として望ましくないような一定しない性能になる。
【0021】
第2のレンズ素子252は、第2のレンズ素子252と抽出器248との間における領域内のイオントラッピングを実質的に低減するか、又は解消するために設けられている。第2のレンズ素子252上に設定された電圧は、第1のレンズ素子250上に設定された電圧よりも高い正値とすることができる。結果として、第2のレンズ素子252は、低エネルギーイオンを反射して第1のレンズ素子250に向かって戻し、これらのイオンはその後第1のレンズ素子250と衝突して中和されることとなる。さらに、第1のレンズ素子250は、トラッピング領域内のイオントラッピングを最小化するように、実行可能な限り抽出器248の近くに位置決めすることができる。
【0022】
図3は、イオンシミュレーションソフトウェアによって作成されたイオン源300のモデルを示している。このモデルは、イオン源300の側断面図に対応するものである。イオン源300は、上記で説明され、かつ
図1及び
図2にて示されるイオン源100に概ね類似しており、従って、類似の構成要素は類似する符号によって示されている。このモデルは、出口レンズ素子256の直ぐ下流に位置し、かつイオン源300との軸上に位置決めされる無線周波数(RF)四重極質量フィルタ360を有している。
図3は、イオン源軸に沿って集中した強い電子ビーム362を示しており、電子は反射して陰極238と第1のレンズ素子250との間を往復するようになっている。このシミュレーションでは、磁界強度は750ガウスとなっている。実際には、それよりも強い磁界強度又は弱い磁界強度が用いられる場合もある。
【0023】
また、
図3は、イオン化チャンバ208の少なくとも一部364(本体104の1つ又は複数の内面によって画定される部分等)を、先細り形状又は円錐形状とし、かつレンズアセンブリ120の方向に発散する実施形態もまた示している。すなわち、イオン化チャンバ208の断面積は、レンズアセンブリ120の方向にて徐々に大きくなっている。この変化する形状は電界を僅かに減衰させ、これによって、イオンがレンズアセンブリ120及び後続のイオン処理デバイスの方向に優先的に進行可能となる。
【0024】
図4は、
図3と同じモデルを示すが、イオン源軸に沿って制限されたイオンビーム466を含むようなイオンの軌跡を示している。
図5は、レンズアセンブリ120の周囲の領域を示す拡大図である。イオントラッピング領域が、円568によって示されている。低エネルギーイオン470が、
図4及び
図5に示されており、第2のレンズ素子252から反射されて、第1のレンズ素子250に衝突するようになっている。
図4及び
図5では、本明細書にて開示されるイオン源が、イオン源内のイオン容積内で生成された高いエネルギーのイオンを高い効率で送り出すことを維持しながら、イオントラッピングを著しく低減するか、又は解消することができることが実証されている。
図3〜
図5のイオン源300は、円錐形のイオン容積形状を用いてモデル化されたが、他のモデルが
図2に示されるような直線内腔(一定の内径)形状を用いてシミュレートされて、同様の結果が生成されたということに留意されたい。
【0025】
別の実施形態では、軸方向磁界を変更して、電子ビームと、その後に生成されるイオンビームとを所望の形態に整形することができる。これは、例えば、磁石アセンブリの構成を変更することによって達成することができる。
図6は、別の実施形態にて、軸方向電子ビーム672及び磁石アセンブリ612を示しながら、イオンシミュレーションソフトウェアによって作成されたイオン源600の別のモデルを示している。イオン源軸に対して径方向に位置決めされた磁石(径方向磁石132)に加えて、磁石アセンブリ612は、後方又は軸上磁石674を有している。軸上磁石674は、イオン源軸上にて、電子反射体244から見てイオン化チャンバ208とは反対側に位置するイオン化チャンバ208の外部にて位置決めされる。この例では、軸上磁石674は円板形になっており、イオン源軸がその中心を通り抜けるようになっている。軸上磁石674を加えると、電子ビーム672は電子源にてさらに集束され、レンズアセンブリ120の方向にて徐々に広がるか、又は発散するようになっている。電子ビーム672の包絡線を広げることによって、より大きなイオン化領域が生成され、イオン化確率を改善することができる。このことは、イオン化プロセスに及ぼす空間電荷の悪影響に対処することに有用な場合がある。
【0026】
図7は、本明細書にて開示されるようなイオン源を設けることができるハードウェア又は電子機器700の一例を示す概略図である。イオン源の種々の構成要素に印加される個々の電圧は、それぞれ符号の776〜792として表されている(それは本明細書にて総称的に電源又は電圧源と呼ばれる場合がある)。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の電圧786が本体104の1つ又は複数の導電性素子に印加される場合がある。電圧源776〜792の内1つ又は複数の電圧源のパラメータをコントローラ794によって制御できることを示すために、電圧源776〜792はコントローラ794(例えば、電子プロセッサに基づくコントローラ又はコンピュータ)と信号通信するように示されている。パラメータは、例えば、電圧の大きさの設定及び調節;印加される電圧のオン/オフ状態、タイミング及び持続時間;電圧源776〜792の内2つ以上の電圧源に対する電圧印加の協調又は同期等を含むことができる。コントローラ794は、電圧源776〜792のプログラミングされた制御を実施するためにコンピュータ読み取り可能媒体又はソフトウェア796を含むことができる。いくつかの実施形態では、コントローラ794は、本明細書にて開示される方法の内1つ又は複数を、全体的に又は部分的に実施することができる(例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアを利用する)。
【0027】
いくつかの実施形態では、電子放出を開始するときに、「初期」電子エネルギーは、熱イオン陰極238とイオンリペラ240との間における電位差として設定することができる。陰極238又はイオンリペラ240上の電圧が変化しても、他の構成要素上の電圧を調節することによって、この電位差を所望の固定値に維持することができる。例えば、電子反射体244上の電圧に追従するように陰極238上の電圧を調節することによって、適切な電子エネルギーのオフセット量を依然として維持しながら、イオンリペラ240をランプ制御し、最適化することができる。さらに、第1のレンズ素子250上の電圧は、陰極電圧に追従し、第1のレンズ素子250の電子反射機能を最適化することができる。追従機能は、例えば、
図7にて概略的に示されるコントローラ794によって実施することができる。デフォルト動作として、コントローラ794は、陰極電圧を読み取って、同じ値を第1のレンズ素子250に印加することができる。第1のレンズ素子250の最適化をさらに改善できるようにするために、さらなる印加オフセット電圧をランプ制御し、デフォルト印加陰極整合電圧と加算することができる。すなわち、V
FIRST LENS ELEMENT=V
CATHOD+V
OFFSETである。オフセット電圧を印加することによって、第1のレンズ素子250により強い電子反射をもたらし、第1のレンズ素子250と抽出器248との間におけるイオントラッピング領域への電子の流入を最小化することができ、これによって、より実用的な高エネルギーイオンの量をさらに増やし、望ましくない低エネルギーイオンの量をさらに減らすことができる。同様に、電子エネルギーのランプ制御が陰極電圧を変更し、第1のレンズ素子250に印加される電圧もランプ制御される陰極電圧に十分に追従することができる。
【0028】
いくつかの応用形態では、イオン源にて生じる電子空間電荷の効果を低減するか、又は解消することが望ましい場合がある。例えば、空間電荷効果は、電子ビームを制御不可能に変調させ、これによって、イオンビームの安定性に悪影響を及ぼすほど著しい場合がある。これに対処するために、いくつかの実施形態では、電子源116、レンズアセンブリ120、及び/又は本体104の導電性素子の内1つ又は複数に周期的な電圧を印加することができる。周期的な電圧は周期的なDCパルス(実験的に最適化されたパルス幅、周期及び振幅を有する)、又は高周波(例えば、RF)電位とすることができる。周期的な電圧は、汚染物質のレベルが上昇することから生じる望ましくない任意の表面電荷蓄積を放電することができる。代替的には、例えば、適切な電子光学系を利用して、電子ビームをイオン源軸から離れるように周期的に偏向させること等によって、電子ビームをゲート制御して空間電荷蓄積を軽減することができる。いくつかの実施形態では、空間電荷効果は、米国特許第7,291,845号にて開示される技法を実施することによって対処することができ、その内容全体が引用することにより本明細書の一部を成すものとする。
【0029】
図8は、別の実施形態について、
図1及び
図2に示されるイオン源100の一部の概略図である。この実施形態では、陰極(フィラメント)238とイオンリペラ240との間にて、電子源116にさらなる電極(又は電子抽出器)802が追加されている。特に低い電子エネルギー(例えば、9eV〜25eV)にて動作しているときに、電子抽出器802に適切な電圧を印加することによって、電子抽出器802を利用して電子源116内の電界条件を調節することができる。例えば、電子抽出器802は、電子を陰極238から引き離し、イオン化チャンバ208に向かって引き寄せ、イオン源の本体104とイオンリペラ240との間における電位差を低くしておくことを支援することができる。
【0030】
図9は、本明細書にて開示されるようなイオン源100を設けることができる質量分析(MS)システム900の一例を示す概略図である。そのMSシステム900は、全体として、サンプル源902と、イオン源100と、質量分析計(MS)906と、イオン源100及びMS906の内部を制御された減圧レベルに保持する真空システムとを有している。真空システムは、イオン源100及びMS906からそれぞれ続く真空ライン908及び910によって概略的に示されている。真空ライン908,910は、当業者によって理解される1つ又は複数の真空生成ポンプ及び関連する配管系統及び他の構成要素を概略的に表している。イオン源100とMS906との間に1つ又は複数の他のタイプのイオン処理デバイス(図示せず)が設けられる場合があることも理解されるであろう。種々のタイプのサンプル源、分析計、及び関連する構成要素における構造及び動作は当業者によって一般的に理解されており、それゆえ、本明細書にて開示される主題を理解するために必要に応じて簡略的にのみ説明されている。実際には、イオン源100はMS906と一体に構成することができるか、そうでない場合には、MS906の前端又は入口と見なすことができ、それゆえ、実施形態によってはMS906の構成要素と見なされる場合がある。
【0031】
サンプル源902は、分析されるサンプルをイオン源100に供給するための任意のデバイス又はシステムとすることができる。サンプルは、サンプル源902からイオン源100に流れ込む気相又は蒸気の形で与えることができる。ガスクロマトグラフィ−質量分析(GC−MS)システム等の複合システムでは、サンプル源902はGCシステムとすることができ、その場合、GCシステムの分析カラムが、適切なハードウェアを通して、イオン源100とのインターフェースを構成することとなる。
【0032】
MS906は、全体として、ハウジング916内に封入される質量分析器912及びイオン検出器914を含むことができる。真空ライン910は質量分析器912の内部を非常に低い(真空)圧力に維持するようになっている。いくつかの実施形態では、質量分析器912の圧力は10
−4Torr〜10
−9Torrに及ぶようになっている。真空ライン910は、MS906から任意の残留非分析中性分子を除去することもできる。質量分析器912は、それぞれのm/z比に基づいて被分析物イオンを分離するか、選別するか、又はフィルタリングするように構成される任意のデバイスとすることができる。質量分析器の例は、限定はしないが、多重極電極構造(例えば、四重極質量フィルタ、イオントラップ等)、飛行時間(TOF)分析器、イオンサイクロトロン共鳴(ICR)トラップを含む。質量分析器912は、特にイオンフラグメンテーション分析が望まれるときに、2つ以上の質量分析器から成るシステムを含むことができる。例として、質量分析器912は、当業者によって理解されるような、タンデムMS又はMS
nシステムとすることができる。別の例として、質量分析器912は、質量フィルタと、それに続く衝突セルとを含むことができ、さらに、それに質量フィルタ(例えば、三重極又はQQQシステム)又はTOFデバイス(例えば、qTOFシステム)が続く。イオン検出器914は、質量分析器912から出力された質量弁別後のイオンの流速(又は流れ)を収集し、測定するように構成される任意のデバイスとすることができる。イオン検出器914の例は、限定はしないが、電子増倍管、光電子増倍管、及びファラデーカップを含んでいる。
【0033】
本明細書にて開示されるような軸方向EI源は、いくつかの実施形態では、高電子エネルギー又は低電子エネルギーのいずれかで動作することができる。電子ビームのエネルギーは、フィラメントに印加される電圧を調節し、それによって、フィラメントに流れる電流を調節することができる。いくつかの実施形態では、電子ビームは、9eV〜150eVの範囲に渡って調節することができる。70eV未満の電子エネルギー、例えば、9eV〜25eVの範囲内の電子エネルギーは、ソフトイオン化方式の範囲内にあると見なすことができる。本明細書にて開示されるような軸方向EI源は、これらの電子エネルギー範囲に渡ってEIを実効的に実施することができる。非常に低いエネルギーであっても、そのEI源は、多くの実験にとって十分な強度及びイオン化収量を有する電子ビームを生成することができる。それゆえ、これらの軸方向EI源はハードイオン化又はソフトイオン化を実施することができ、所与の被分析物又は1組の被分析物のイオン化及び質量分析プロセスを最適化するために、所望により、又は必要に応じて、ハードイオン化とソフトイオン化とを切り替えることができる(同じ実験中を含む)。それゆえ、その軸方向EI源は、従来、化学イオン化(CI)等の従来のソフトイオン化を選択してEIが放棄される数多くの場合に利用することができる。従って、本明細書にて開示されるような軸方向EI源は、CI源及び従来のEI源等の他のデバイスと比較して、より万能なイオン化デバイスとすることができる。例えば、軸方向EI源は、分子イオン又は他の高質量イオンの形成等の望ましいイオン化経路に好都合である低い電子エネルギーにおいて動作することができる。低い電子エネルギーにおける軸方向EI源の動作に関連する方法が、本願と同時に出願され、かつ「ELECTRON IONIZATION (EI) UTILIZING DIFFERENT EI ENERGIES」と題する米国特許出願(代理人整理番号第20120352−01号、米国特許出願番号13/925,470)に開示されており、その内容全体が引用することにより本明細書の一部を成すものとする。
【0034】
イオン源の例が、これまで主にEIと関連して説明されたが、それに加えて、又はその代わりに、本明細書にて教示されるイオン源が、同じく電子ビームを利用する既知の技法である化学イオン化(CI)用に構成できることは理解されよう。CIの場合、そのイオン源はイオン化チャンバに反応性ガスを入れるための入口を含むことができる。
【0035】
例示的な実施形態:
ここで開示されている主題により提供される例示的な実施形態は、以下を含むが、これらに限定されない。
【0036】
実施形態1.イオン源が、
イオン化チャンバ、及びイオン化チャンバに繋がるサンプルの入口を有する本体であって、イオン化チャンバに第1の端部及び第2の端部を設けており、イオン源軸に沿って第1の端部から第2の端部までの長さを有する本体と、
本体を包囲し、かつイオン化チャンバ内に軸方向磁界を生成するように構成される磁石アセンブリと、
第1の端部に位置決めされ、かつ熱イオン陰極及び電子反射体を有する電子源であって、電子ビームを、イオン化チャンバを通してイオン源軸に沿って加速させるように構成される電子源と、
第2の端部に位置決めされる抽出器、イオン化チャンバの外部に設けられ、かつイオン源軸に沿って抽出器から離れて位置する第1のレンズ素子、及びイオン源軸に沿って第1のレンズ素子から離れて位置する第2のレンズ素子を有するレンズアセンブリであって、抽出器が、イオン化チャンバからイオン源軸に沿ってイオンビームを外部に誘導するように構成され、第1のレンズ素子が、電子ビームを電子源に向かって反射するように構成され、第2のレンズ素子が、低エネルギーのイオンを第1のレンズ素子に向かって反射しながら高エネルギーのイオンを送り出すように構成される、レンズアセンブリと
を備えている。
【0037】
実施形態2.実施形態1に係るイオン源にて、イオン化チャンバは、長さに沿って一定である断面積を有するか、又は長さの少なくとも一部に沿って増加する断面積を有している。
【0038】
実施形態3.実施形態1又は実施形態2に係るイオン源にて、磁石アセンブリは、イオン源軸の周りで円周方向にて互いに離れて位置する複数の磁石を備えている。
【0039】
実施形態4.実施形態3のイオン源にて、サンプルの入口が2つの磁石の間に位置決めされている。
【0040】
実施形態5.実施形態3又は実施形態4に係るイオン源にて、磁石アセンブリが、イオン化チャンバの外部のイオン源軸上に位置決めされる軸上磁石であって、電子ビームを抽出器に向かう方向に発散させるように方向磁界を変更する構成である軸上磁石を備えている。
【0041】
実施形態6.実施形態1〜実施形態5のいずれか一つに係るイオン源が、第1の端部にて陰極と抽出器との間に位置決めされるイオンリペラを備えている。
【0042】
実施形態7.実施形態1〜実施形態6のいずれか一つに係るイオン源にて、レンズアセンブリは、第2のレンズ素子から離れて位置する出口レンズであって、イオンビームをイオン源軸に沿ってイオン処理デバイスの中に誘導するように構成される出口レンズを備える。
【0043】
実施形態8.実施形態1〜実施形態7のいずれか一つに係るイオン源が、電子源及びレンズアセンブリと信号通信する電圧源と、電圧源の動作を制御するように構成されるコントローラとを備え、
動作は、
陰極に印加される電圧を調節するプロセスと、
陰極に印加される電圧を調節しながら、陰極、並びに第1の端部にて陰極及び抽出器間に位置決めされたイオンリペラの間における一定の電位差を維持するプロセスと、
陰極に印加される電圧に対する調節に基づいて、第1のレンズ素子に印加される電圧を調節するプロセスと、
陰極及び第1のレンズ素子に印加される電圧を、陰極及び第1のレンズ素子間で電子ビームの反射を維持することに十分なそれぞれの値に設定するプロセスと、
陰極及び第1のレンズ素子に印加される電圧を、陰極及び第1のレンズ素子間で電子ビームの反射を維持することに十分なそれぞれの値に設定するとともに、第1のレンズ素子に陰極に対するオフセット電圧を加え、第1のレンズ素子からの電子ビームの反射を高めるプロセスと、
第2のレンズ素子に印加される電圧を、第2のレンズ素子及び抽出器間に捕捉されたイオンを第1のレンズ素子に向かって加速させることに十分な値に設定するプロセスと、
電子源の導電性素子にパルス電圧を印加するプロセスと、
レンズアセンブリの導電性素子にパルス電圧を印加するプロセスと、
本体にパルス電圧を印加するプロセスと、
電子ビームをゲート制御するプロセスと、
上記プロセスの内2つ以上のプロセスと
から成る群から選択されるものとなっている。
【0044】
実施形態9.実施形態1〜実施形態8のいずれか一つに係るイオン源が、陰極及びイオン化チャンバ間におけるイオンリペラと、陰極及びイオンリペラ間における電子抽出器とを備えている。
【0045】
実施形態10.イオン処理システムが、実施形態1〜実施形態9のいずれか一つに係るイオン源と、レンズアセンブリと通信するイオン処理デバイスとを備えている。
【0046】
実施形態11.実施形態10に係るイオン処理システムにて、イオン処理デバイスは、イオンガイド、イオントラップ、質量フィルタ、衝突セル、及び質量分析器から成る群から選択される。
【0047】
実施形態12.実施形態10に係るイオン処理システムが、質量分析器を備え、質量分析器と通信するイオン検出器をさらに備えている。
【0048】
実施形態13.電子イオン化を実行する方法が、
電子を、電子ビームとして電子源から、電子源及びレンズアセンブリ間にイオン源軸に沿った長さを有するイオン化チャンバを通して誘導するステップと、
イオン化チャンバに軸方向磁界をかけることによってイオン源軸に沿って電子ビームを集束させるステップと、
電子源及びレンズアセンブリ間でイオン源軸に沿って往復させるように電子を反射させるステップと、
サンプル材料を電子ビームに向かってイオン化チャンバに送り込むことによってイオンを生成する生成ステップであって、イオンをイオン源軸に沿って集束してイオンビームとする生成ステップと、
レンズアセンブリを通してイオン源軸に沿ってイオンを送り出すステップと、
レンズアセンブリ内に捕捉されたイオンを反射させ、捕捉されていないイオンをレンズアセンブリから送り出しながら、捕捉されたイオンがレンズアセンブリから出ることを防ぐようになっているステップと
を含んでいる。
【0049】
実施形態14.実施形態13に係る方法が、軸方向磁界をかける際に利用される2つの磁石間にサンプル材料を誘導するステップをさらに含んでいる。
【0050】
実施形態15.実施形態13又は実施形態14に係る方法にて、電子を集束させるステップが、イオン源軸の周りで円周方向にて互いに離れて位置する複数の磁石を利用するプロセスを含む。
【0051】
実施形態16.実施形態13〜実施形態15のいずれか一つに係る方法にて、電子を集束させるステップが、電子ビームが抽出器に向かう方向において発散するように行われる。
【0052】
実施形態17.実施形態13〜実施形態16のいずれか一つに係る方法にて、電子を集束させるステップが、イオン源軸の周りで円周方向にて互いに離れて位置する複数の磁石と、イオン化チャンバの外部のイオン源軸上に位置決めされた軸上磁石とを利用するプロセスを含んでいる。
【0053】
実施形態18.実施形態13〜実施形態17のいずれか一つに係る方法にて、電子を生成するステップは、陰極に電圧を印加することによって行われ、電子を生成するステップは、電圧を調節することによって電子のエネルギーを調節するプロセスをさらに含んでいる。
【0054】
実施形態19.実施形態18に係る方法が、陰極上の電圧を調節しながら、陰極及びレンズアセンブリ間に位置決めされたイオンリペラ上の電圧を調節する調節ステップであって、陰極及びイオンリペラ間の一定の電位差を維持する調節ステップをさらに含んでいる。
【0055】
実施形態20.実施形態18又は実施形態19に係る方法が、レンズアセンブリのレンズ素子に電圧を印加する印加ステップであって、電子ビームを反射してイオン化チャンバの中に戻す印加ステップと、陰極上の電圧を調節しながら、レンズ素子上の電圧を同じ量だけ調節するステップとをさらに含んでいる。
【0056】
実施形態21.実施形態18〜実施形態20のいずれか一つに係る方法にて、電子を生成するステップは、陰極に電圧を印加することによって行われ、電子を生成するステップは、レンズアセンブリのレンズ素子に電圧を印加する印加プロセスであって、電子ビームを反射してイオン化チャンバの中に戻す印加プロセスをさらに含んでいる。
【0057】
実施形態22.実施形態21に係る方法が、陰極及びレンズ素子に印加される電圧を、陰極及びレンズ素子間で電子の反射を維持することに十分なそれぞれの値に設定するステップをさらに含んでいる。
【0058】
実施形態23.実施形態22に係る方法が、陰極及びレンズ素子に印加されるそれぞれの電圧を等しい値に設定するステップ、又は陰極に印加される電圧に対して所定のオフセット量分レンズ素子に印加される電圧を増加させて、レンズ素子における反射を増加させる増加ステップをさらに含む。
【0059】
実施形態24.実施形態13〜実施形態23に係るいずれか一つに係る方法が、レンズアセンブリの抽出器に電圧を印加して、イオンをイオン化チャンバからレンズアセンブリに送り込むステップを含む。
【0060】
実施形態25.実施形態24に係る方法が、イオン化チャンバの外部に位置決めされたレンズアセンブリの第1のレンズ素子に電圧を印加して、抽出器を通して電子ビームをイオン化チャンバの中に反射させるステップをさらに含んでいる。
【0061】
実施形態26.実施形態25に係る方法が、レンズアセンブリの第2のレンズ素子に電圧を印加して、捕捉されたイオンを反射させて、第1のレンズ素子に衝突させるステップをさらに含んでいる。
【0062】
実施形態27.実施形態13〜実施形態26のいずれか一つに係る方法が、レンズアセンブリのレンズ素子に電圧を印加して、捕捉されたイオンを反射させて、レンズアセンブリの別のレンズ素子に衝突させるステップをさらに含んでいる。
【0063】
実施形態28.実施形態13〜実施形態27のいずれか一つに係る方法が、電子源の導電性素子にパルス電圧を印加するプロセスと、レンズアセンブリの導電性素子にパルス電圧を印加するプロセスと、イオン化チャンバの少なくとも一部を画定する本体にパルス電圧を印加するプロセスと、電子ビームをゲート制御するプロセスと、上記プロセスの内2つ以上のプロセスとから成る群から選択されたパルス処理を実行するステップをさらに含んでいる。
【0064】
実施形態29.実施形態13〜実施形態28のいずれか一つに係る方法が、電子源の陰極から電子を放出するステップと、電子源の電子抽出器に電圧を印加することによって、放出された電子を陰極から引き離すステップとを含む。
【0065】
実施形態30.実施形態29に係る方法にて、電子源及びイオン化チャンバ間に位置決めされるイオンリペラに電圧を印加することによってイオンを電子源から押し返すステップをさらに含んでいる。
【0066】
実施形態31.実施形態13〜実施形態30のいずれか一つに係る方法が、レンズアセンブリを通して、イオン源軸上に入口を備えるイオン処理デバイスの中にイオンを送り込むことを含む。
【0067】
実施形態32.実施形態13〜実施形態31のいずれか一つに係る方法が、イオン化チャンバの中にサンプル材料を誘導する前に、ガスクロマトグラフからサンプル材料を出力するステップをさらに含んでいる。
【0068】
図7に概略的に示されるシステムコントローラ794は、イオン源の種々の機能的な態様を制御し、監視し、タイミングを取り、同期させ、及び/又は調節するように構成される1つ又は複数のモジュールを表すことができることは理解されるであろう。また、システムコントローラ794は、例えば、イオン測定信号を受信すること、及び必要に応じてデータ収集及び信号解析に関連する他のタスクを実行し、解析中のサンプルを特徴付ける質量スペクトルを生成することを含め、関連する質量分析システムの機能又は構成要素を制御するように構成される1つ又は複数のモジュールを表す場合もある。
【0069】
全てのそのような目的のために、コントローラ794は、本明細書にて開示される方法のいずれかを実行する命令を含むコンピュータ読み取り可能媒体を含むことができる。コントローラ794は、有線又は無線通信リンクを介してイオン源の様々な構成要素と信号通信するように概略的に示されている。また、これらの目的のために、コントローラ794は、1つ又は複数の種類のハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアと、1つ又は複数のメモリ及びデータベースとを含む場合がある。コントローラ794は、通常、全体的な制御を与える主電子プロセッサを含み、専用制御動作又は特定の信号処理タスクのために構成される1つ又は複数の電子プロセッサを含む場合がある。また、システムコントローラ794は、種々の構成要素に電圧を印加するために、必要に応じて、具体的には示されない全ての電圧源と、タイミングコントローラ、クロック、周波数/波形発生器とを概略的に表す場合もある。コントローラ794は、ユーザ入力デバイス(例えば、キーパッド、タッチスクリーン、マウス等)、ユーザ出力デバイス(例えば、ディスプレイ画面、プリンタ、可視指示体又は警告、可聴指示体又は警告等)、ソフトウェアによって制御されるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)、電子プロセッサによって読み出し可能な媒体(例えば、ソフトウェアにて具現される論理命令、データ等)をロードするデバイス等のような1つ又は複数のタイプのユーザインターフェースデバイスを表す場合もある。コントローラ794は、コントローラ794の種々の機能を制御し、管理するオペレーティングシステム(例えば、Microsoft Windows(登録商標)ソフトウェア)を含む場合もある。
【0070】
本明細書にて用いられる場合に、「信号通信する」という用語は、2つ以上のシステム、デバイス、構成要素、モジュール、又はサブモジュールが、所定のタイプの信号経路を通って進行する信号を介して互いに通信することができることを意味することは理解されるであろう。それらの信号は、第1のシステム、デバイス、構成要素、モジュール又はサブモジュールと第2のシステム、デバイス、構成要素、モジュール又はサブモジュールとの間の信号経路に沿って第1のシステム、デバイス、構成要素、モジュール又はサブモジュールから第2のシステム、デバイス、構成要素、モジュール、又はサブモジュールに情報、電力、又はエネルギーを伝達可能とする通信信号、電力信号、データ信号、又はエネルギー信号とすることができる。信号経路は、物理的接続、電気的接続、磁気的接続、電磁的接続、電気化学的接続、光学的接続、有線接続、又は無線接続を含むことができる。また、信号経路は、第1のシステム、デバイス、構成要素、モジュール、又はサブモジュールと、第2のシステム、デバイス、構成要素、モジュール、又はサブモジュールとの間におけるさらなるシステム、デバイス、構成要素、モジュール、又はサブモジュールを含む場合もある。
【0071】
概して、「連通する(通信する)(communicate)」及び「連通している(in...communication with)」(例えば、第1の構成要素が第2の構成要素と「連通する」又は「連通している)等の用語を、本明細書では、2つ以上の構成要素又は要素間の構造的、機能的、機械的、電気的、信号、光、磁気、電磁気、イオン、又は流体関係を示すように用いている。従って、1つの構成要素が第2の構成要素と連通すると言われることは、第1の構成要素と第2の構成要素との間に追加の構成要素が存在し、及び/又はそれらに動作的に関連するか若しくは関与する可能性を排除するようには意図されていない。
【0072】
本発明の様々な態様又は詳細を、本発明の範囲から逸脱することなく変更することができることが理解されるであろう。さらに、上記説明は、単に例示の目的のものであって限定の目的のものではなく、本発明は特許請求の範囲によって規定されるものとなっている。