特許第6423638号(P6423638)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6423638-飲料冷却装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6423638
(24)【登録日】2018年10月26日
(45)【発行日】2018年11月14日
(54)【発明の名称】飲料冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F25D 11/00 20060101AFI20181105BHJP
   B67D 1/08 20060101ALI20181105BHJP
【FI】
   F25D11/00 102E
   B67D1/08 A
   F25D11/00 102C
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-158907(P2014-158907)
(22)【出願日】2014年8月4日
(65)【公開番号】特開2016-35367(P2016-35367A)
(43)【公開日】2016年3月17日
【審査請求日】2017年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100064724
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 照一
(72)【発明者】
【氏名】有田 正吾
【審査官】 笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−218962(JP,A)
【文献】 特開2002−211693(JP,A)
【文献】 特開2006−052899(JP,A)
【文献】 特開平06−288667(JP,A)
【文献】 実開昭60−079679(JP,U)
【文献】 特開平06−336291(JP,A)
【文献】 特表2002−514295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00
B67D 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却水を貯えた冷却水槽と、
前記冷却水槽内に配設した蒸発器に冷媒を循環供給し、前記蒸発器の周囲に氷を形成させることにより冷却水を冷却する冷凍装置と、
前記冷却水槽内にて上下方向を螺旋の進行方向として巻回した螺旋状の飲料冷却管と、
前記冷却水槽内にて前記螺旋状の飲料冷却管の内側に設けられて、前記冷却水槽の上部から底部に冷却水の流れを発生させる撹拌羽根と、
前記冷却水槽内にて前記蒸発器の周囲に配設した氷検知用電極を有して、この氷検知用電極が前記蒸発器の周囲に形成される氷に覆われることにより前記蒸発器の周囲に形成される氷が所定の厚みとなったことを検知する氷厚検知センサとを備え、
前記氷厚検知センサによる検知結果に基づいて前記冷凍装置の作動を制御する飲料冷却装置であって、
前記螺旋状の飲料冷却管は、各巻部分が上下に互いに密着するように巻管のピッチを小さくした密巻部と、この密巻部の上側にて各巻部分が上下に互いに離間するように巻管のピッチを大きくした粗巻部とを有し、
前記氷厚検知センサの氷検知用電極を前記飲料冷却管の密巻部の上部にて上端より下側に設けたことを特徴とする飲料冷却装置。
【請求項2】
請求項1に記載の飲料冷却装置において、
前記氷厚検知センサの氷検知用電極を前記飲料冷却管の密巻部の上部にて上端より1巻分から5巻分の下側に配置したことを特徴とする飲料冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビール等の飲料を冷却水槽内にて螺旋状の飲料冷却管を通過させることにより冷却する飲料冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び2にはビール等の飲料を冷却する飲料冷却装置が開示されている。特許文献1の飲料冷却装置は、冷却水を貯えた冷却水槽と、冷却水槽の内周面に沿って設けた蒸発管により冷却水を冷却する冷凍装置と、冷却水槽内にて上下方向を螺旋の進行方向として巻回した螺旋状の飲料冷却管と、冷却水槽内にて螺旋状の飲料冷却管の内側に設けられて、冷却水槽の上部から底部に冷却水の流れを発生させる撹拌羽根とを備えている。この飲料冷却装置においては、冷却水槽内の冷却水は撹拌羽根の回転によって螺旋状の飲料冷却管の内側と外側を循環しており、飲料冷却管を通過する飲料は螺旋状の飲料冷却管の内側と外側とを循環する冷却水と熱交換することによって冷却される。また、飲料冷却装置は、冷却水槽内の上部にて蒸発管の周囲に配設した氷検知用電極を有して、この氷検知用電極が蒸発管の周囲に形成された氷に覆われることにより蒸発管の周囲に形成される氷が所定の厚みとなったことを検知する氷厚検知センサとを備えている。飲料冷却装置では、この氷厚検知センサの検知結果に基づいて冷凍装置の作動を制御し、蒸発管の周囲に形成される氷が飲料冷却管を覆わないように適切な厚みの氷が形成されるように制御している。
【0003】
特許文献2の飲料冷却装置は、冷却水を貯えた冷却水槽と、冷却水槽の内周面に沿って設けた蒸発管により冷却水を冷却する冷凍装置と、冷却水槽内にて上下方向を螺旋の進行方向として巻回した螺旋状の飲料冷却管と、冷却水槽内にて螺旋状の飲料冷却管の内側に設けられて、冷却水槽の上部から底部に冷却水の流れを発生させる撹拌羽根とを備えている。この飲料冷却装置においては、螺旋状の飲料冷却管は上部及び下部に各巻部分が上下に互いに離間した粗巻部を有しており、上下方向の中間部に各巻部分が上下に互いに密着した密巻部を有している。
【0004】
冷却水槽内の冷却水は撹拌羽根を回転させたときに螺旋状の飲料冷却管の上部の粗巻部の各巻部分の間を通過して螺旋状の飲料冷却管の内部に流入するため、冷却水槽内の冷却水はエア噛みと呼ばれる冷却水が空気が巻き込むことによる異音の発生が抑制されている。また、螺旋状の飲料冷却管の内部に流入した冷却水は上下方向の中間部の密巻部によって外側に流出するのを抑制されて下側に送られ、下部の粗巻部の各巻部分の間から外側に流出する。螺旋状の飲料冷却管の下部から外側に流出した冷却水は螺旋状の飲料冷却管の外側を上昇して再び螺旋状の飲料冷却管の上部から内側に流入し、冷却水槽内の冷却水は螺旋状の飲料冷却管の内側と外側とを循環する。このように、螺旋状の飲料冷却管は、上部及び下部に粗巻部と、上下方向の中間部に密巻部とを有したことで、冷却水は空気を巻き込むことによって生じる異音の発生が抑制されるとともに、飲料冷却管を通過する飲料は螺旋状の飲料冷却管の上部から下部にかけて内側と外側とを循環する冷却水によって効率よく冷却されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−321794号公報
【特許文献2】特開2005−221122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載の飲料冷却装置において、特許文献1と同様に氷厚検知センサを用いて蒸発器の周囲に形成される氷の厚みを制御したときには、以下に述べる課題を有していた。この種の飲料冷却装置では、冷却水槽内にて蒸発管の上部に氷が形成されにくいため、冷却水槽内の上部に氷厚検知センサの氷検知用電極を配設することが多い。特許文献2に記載の飲料冷却装置のように、螺旋状の飲料冷却管の上部に粗巻部を設けたときには、冷却水槽内の冷却水は飲料冷却管の粗巻部から内側に流入するため、冷却水槽内の上部の水流が特に速くなっていた。このため、この特許文献2に記載の飲料冷却装置において、冷却水槽の上部に氷厚検知センサの氷検知用電極を配設すると、氷検知用電極が氷に覆われたとしても、氷検知用電極の周囲の氷が冷却水の速い水流によって局部的に融けることがあった。氷検知用電極が氷に覆われた状態と局部的に冷却水に露出した状態とが頻繁に起きると、冷凍装置の特に圧縮機の作動及び停止(発停)を繰り返すことになり、圧縮機が通常よりも早いタイミングで発停回数の上限となるおそれがあった。本発明は、氷厚検知センサの氷検知用電極の周囲に形成される氷が冷却水槽内の冷却水の水流によって浸食されにくくすることにより、冷凍装置が頻繁に作動及び停止を繰り返さないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するため、冷却水を貯えた冷却水槽と、冷却水槽内に配設した蒸発器に冷媒を循環供給し、蒸発器の周囲に氷を形成させることにより冷却水を冷却する冷凍装置と、冷却水槽内にて上下方向を螺旋の進行方向として巻回した螺旋状の飲料冷却管と、冷却水槽内にて螺旋状の飲料冷却管の内側に設けられて、冷却水槽の上部から底部に冷却水の流れを発生させる撹拌羽根と、冷却水槽内にて蒸発器の周囲に配設した氷検知用電極を有して、この氷検知用電極が蒸発器の周囲に形成される氷に覆われることにより蒸発器の周囲に形成される氷が所定の厚みとなったことを検知する氷厚検知センサとを備え、氷厚検知センサによる検知結果に基づいて冷凍装置の作動を制御する飲料冷却装置であって、螺旋状の飲料冷却管は、各巻部分が上下に互いに密着するように巻管のピッチを小さくした密巻部と、この密巻部の上側にて各巻部分が上下に互いに離間するように巻管のピッチを大きくした粗巻部とを有し、氷厚検知センサの氷検知用電極を飲料冷却管の密巻部の上部にて上端より下側に設けたことを特徴とする飲料冷却装置を提供するものである。
【0008】
上記のように構成した飲料冷却装置においては、螺旋状の飲料冷却管は、各巻部分が上下に互いに密着するように巻管のピッチを小さくした密巻部と、この密巻部の上側にて各巻部分が上下に互いに離間するように巻管のピッチを大きくした粗巻部とを有したことで、冷却水槽内の冷却水は粗巻部から螺旋状の飲料冷却管の内側に流入することによって空気を巻き込みにくくなり、冷却水が空気を巻き込むときに生じる異音の発生が抑制される。冷却水槽内の冷却水は飲料冷却管の粗巻部を通過するため、冷却水の水流は粗巻部の周囲で速くなるが、氷厚検知センサの氷検知用電極を飲料冷却管の密巻部の上部にて上端より下側に設けたため、氷検知用電極の周囲に形成される氷が粗巻部の周囲で生じる冷却水の水流の影響を受けないようにすることができた。これによって、氷検知用電極の周囲の氷が局部的に融けることに起因して、氷検知用電極が局部的に冷却水に露出することを防ぐことができ、冷凍装置が頻繁に作動及び停止を繰り返さないようにすることができた。
【0009】
上記のように構成した飲料冷却装置においては、氷厚検知センサの氷検知用電極を飲料冷却管の密巻部の上部にて上端より1巻分から5巻分の下側に配置するのが好ましく、このようにしたときには、氷厚検知センサの氷検知用電極の周囲に形成される氷は粗巻部の周囲で生じる冷却水の水流の影響をさらに受けないようにすることができた。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明による飲料冷却装置の一実施形態である飲料ディスペンサの左右方向の中心部を前後方向に沿って切断した縦方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明による飲料冷却装置の一実施形態である飲料ディスペンサを図面を参照して説明する。図1に示すように、本発明の飲料ディスペンサ10は、ハウジング11内の前部に冷却水を貯える冷却水槽20と、後部を機械室12として冷却水槽20内の冷却水を冷却する冷凍装置30とを収容したものである。
【0012】
図1に示したように、冷却水槽20内には飲料を冷却する螺旋状の飲料冷却管21が設けられており、飲料冷却管21は上下方向を螺旋の進行方向として螺旋状に巻回されている。飲料冷却管21の導入端部にはハウジング11の外部に設けた図示しないビア樽等の飲料容器に接続され、導出端部にはハウジング11の前面に設けた注出コック22に接続されている。螺旋状の飲料冷却管21は上下方向に延びる螺旋軸を中心に回転する巻部分(一巻部分)を上下方向に連続して配置したものである。飲料冷却管21は、各巻部分が上下に互いに密着するように巻管のピッチを小さくした密巻部21aと、この密巻部21aの上側及び下側に各巻部分が上下に互いに離間するように巻管のピッチを大きくした粗巻部21b,21cと有している。飲料冷却管21の密巻部21aは飲料冷却管21の上部の略1/5の部分と下部の略2/5の部分を除いた上下方向の中間部の略2/5の領域に設けられている。また、飲料冷却管21の上側の粗巻部21bは飲料冷却管21の上部の略1/5の領域に設けられており、下側の粗巻部21cは飲料冷却管21の下部の略2/5の領域に設けられている。なお、上側の粗巻部21bは下側の粗巻部21cより狭い領域となっているが、上側の粗巻部21bの巻管のピッチは下側の粗巻部21cの巻管のピッチより大きくなっている。
【0013】
図1に示したように、冷却水槽20には撹拌装置23が設けられている。撹拌装置23は、冷却水槽20の上縁に架設した支持板23aの上面に撹拌モータ23bを備えている。撹拌モータ23bにより回転する回転軸23cは支持板23aを貫通して螺旋状の飲料冷却管21の中央部となる位置で冷却水槽20内に延び、先端には冷却水を撹拌する撹拌羽根23dが固定されている。撹拌モータ23bにより回転軸23cを回転させると、回転軸23cの先端部の撹拌羽根23dが冷却水槽20内の螺旋状の飲料冷却管21の内側で回転し、撹拌羽根23dは図1の矢印に示したように螺旋状の飲料冷却管21の内側にて上部から底部に冷却水の流れを発生させる。
【0014】
図1に示したように、冷凍装置30は、冷媒を圧縮する圧縮機31と、圧縮した冷媒ガスを冷却する凝縮器32と、液化冷媒を膨張させるキャピラリチューブ(図示省略)と、冷却水槽20の内周面に螺旋状に巻回されて膨張させた液化冷媒を気化させて冷却水を冷却する蒸発管(蒸発器)33とからなり、これらを連結して冷媒が循環する冷媒回路を構成している。冷凍装置30は、冷媒回路の冷媒を循環させることにより、冷却水槽20内にて蒸発管33の周囲の冷却水を冷却し、蒸発管33の周囲に所定の厚みの氷層Iを形成している。
【0015】
図1に示したように、冷却水槽20内には氷厚検知センサ40が設けられている。氷厚検知センサ40は、冷却水槽20内の後部にて蒸発管33の前側(周囲)に設けたブラケット41と、ブラケット41に固定した第1及び第2氷検知用電極42,43と、上述した飲料冷却管21よりなるアース電極21とを備えている。なお、この実施形態では、飲料冷却管21をアース電極として用いたが、これに限られるものでなく、蒸発管33の周囲に形成される氷層Iに覆われない位置に飲料冷却管21とは異なるアース電極を別に設けるようにしてもよい。氷厚検知センサ40は、第1及び第2氷検知用電極42,43とアース電極21との間の電位差または電気抵抗(電気伝導度)に基づいて蒸発管33の周囲に所定の厚みの氷が形成されたことを検出するものである。第1及び第2氷検知用電極42,43は蒸発管33の周囲に形成される氷層I内の最も外側位置にてブラケット41によって固定されている。第1氷検知用電極42は蒸発管33の周囲にて所定の厚みの氷層Iが形成される最も外側まで延びる長い電極であり、第2氷検知用電極43は蒸発管33の周囲にて所定の厚みの氷層Iが最も薄くなった状態で冷却水に露出する位置に延びる短い電極である。第1及び第2氷検知用電極42,43は密巻部21aの上端より下側位置、すなわち、飲料冷却管21の密巻部21aと水平方向に対向する位置に設けられている。この実施形態では、第1及び第2氷検知用電極42,43は密巻部21aの上端より1巻分以上下側として、上端より4〜5巻分下側位置に配置されている。
【0016】
飲料ディスペンサ10は冷凍装置30の作動を制御する制御装置50を備えている。制御装置50は冷凍装置30と氷厚検知センサ40とに接続されており、氷厚検知センサ40の検出に基づいて冷凍装置30、特に圧縮機31の作動を制御する。蒸発管33の周囲に形成される氷層Iが第1氷検知用電極42を覆う位置まで成長し、第1氷検知用電極42とアース電極21との間の電位差(電気抵抗値)が所定の上限値以上となると、蒸発管33の周囲に所定の厚みの氷が形成されたことになり、制御装置50は冷凍装置30の圧縮機31の作動を停止させる。これに対し、第2氷検知用電極43が冷却水に露出する位置まで氷層Iが融けて、第2氷検知用電極43とアース電極21との間の電位差(電気抵抗値)が所定の下限値以下となると、制御装置50は冷凍装置30の圧縮機31を作動させ、蒸発管33に冷媒を循環させて、蒸発管33の周囲の冷却水を冷却して再び氷を成長させる。
【0017】
上記のように構成した飲料ディスペンサ10の作動について説明する。飲料ディスペンサ10の冷凍装置30の作動により、圧縮機31から圧送された冷媒ガスが凝縮器32で冷却されて液化冷媒となり、この液化冷媒がキャピラリチューブ(図示省略)を通過するときに膨張し、膨張した液化冷媒が蒸発管33を通過するときに冷却水槽20内の冷却水と熱交換することにより気化してから圧縮機31に戻る。このとき、冷却水槽20内の冷却水は蒸発管33の周囲で徐々に冷却され、蒸発管33の周囲で所定の厚みの氷層Iが形成される。
【0018】
また、撹拌装置23の撹拌モータ23bが作動することにより、撹拌羽根23dが冷却水槽20内で回転し、冷却水槽20内の冷却水は螺旋状の飲料冷却管21の内側で上部から底部へ流れる。このとき、冷却水槽20内の冷却水は螺旋状の飲料冷却管21の上側の粗巻部21bの各巻部分の間を通過して、螺旋状の飲料冷却管21の外側から内側に流入する。冷却水槽20内の冷却水は粗巻部21bの各巻部分の間を通過するため、冷却水は空気を巻き込むときに生じる異音の発生が抑制されている。螺旋状の飲料冷却管21の内部に流入した冷却水は上下方向の中間部の密巻部21aによって外側に流出するのを抑制されて下側に送られ、下部の粗巻部21cの各巻部分の間と螺旋状の飲料冷却管21の下側の開口から外側に流出する。螺旋状の飲料冷却管21の下部から外側に流出した冷却水は螺旋状の飲料冷却管21の外側を上昇して再び螺旋状の飲料冷却管21の上部から内側に流入し、冷却水槽20内の冷却水は螺旋状の飲料冷却管21の上部から下部にかけて内側と外側とを効率よく循環する。
【0019】
飲料冷却管21には炭酸ガスボンベ(図示しない)から供給される炭酸ガスの圧力が加えられた状態のビア樽等の飲料容器(図示しない)が接続されており、注出コック22の操作レバーを操作すると、ビア樽等の飲料容器から炭酸ガスの圧力により押し出された飲料が飲料冷却管21を通って注出コック22から注出される。このとき、飲料冷却管21を通過する飲料は冷却水槽20内の冷却水と熱交換して冷却される。
【0020】
上記のように構成した飲料ディスペンサ10においては、螺旋状の飲料冷却管21は、各巻部分が上下に互いに密着するように巻管のピッチを小さくした密巻部21aと、この密巻部21aの上側に各巻部分が上下に互いに離間するように巻管のピッチを大きくした粗巻部21bとを有している。これにより、冷却水槽20内の冷却水は螺旋状の飲料冷却管21の外側から内側に流入するときに、螺旋状の飲料冷却管21の上側の粗巻部21bの各巻部分の間を通過するので、冷却水は空気を巻き込むときに生じる異音の発生が抑制されている。また、螺旋状の飲料冷却管21の内側に流入した冷却水は上下方向の中間部の密巻部21aによって外側に流出するのを抑制されて下側に送られ、下部の粗巻部21cの各巻部分の間と螺旋状の飲料冷却管21の下側の開口から外側に流出しており、螺旋状の飲料冷却管21の下部を通過する飲料も効率よく冷却されるようになっている。
【0021】
上記のように、冷却水槽20内の冷却水は螺旋状の飲料冷却管21の上側の粗巻部21bを通過するために、飲料冷却管21の粗巻部21bの近傍の水流が速くなっており、蒸発管33の周囲に形成される氷は粗巻部21bと同じ高さの部分が局部的に粗巻部21bに流れる水流によって浸食されることがある。本発明の飲料ディスペンサ10は、氷厚検知センサ40の第1及び第2氷検知用電極42,43を飲料冷却管21の密巻部21aの上端より下側に設けたので、第1及び第2氷検知用電極42,43の周囲に形成される氷が粗巻部21bに流れる水流による影響を受けないようにすることができた。これにより、第1及び第2氷検知用電極42,43の周囲の氷が局部的に融けることに起因して、第1及び第2氷検知用電極42,43が局部的に冷却水に露出することを防ぐことができ、冷凍装置30の圧縮機31が頻繁に作動及び停止を繰り返さないようにすることができた。
【0022】
冷却水槽20内では、飲料冷却管21の上側の粗巻部21bと密巻部21aとの境界部分の近傍も粗巻部21bを通過する冷却水によって水流が速くなっている。この実施形態では、氷厚検知センサ40の第1及び第2氷検知用電極42,43は、飲料冷却管21の密巻部21aの上端より1巻分以上下側として、4〜5巻分下側に配置されている。このようにしたことによって、第1及び第2氷検知用電極42,43の周囲に形成される氷は飲料冷却管21の上側の粗巻部21bと密巻部21aとの境界部分の近傍にて粗巻部21bを通過する冷却水による水流の影響を確実に受けないようにすることができた。これにより、第1及び第2氷検知用電極42,43の周囲の氷が局部的に融けることに起因して、第1及び第2氷検知用電極42,43が局部的に冷却水に露出することをさらに確実に防ぐことができ、冷凍装置30の圧縮機31が頻繁に作動及び停止を繰り返さないようにすることができた。なお、氷厚検知センサ40の第1及び第2氷検知用電極42,43を、飲料冷却管21の密巻部21aの上端より4〜5巻分下側に設けたが、これに限られるものでなく、の密巻部21aの上端より1巻分以上下側であれば、粗巻部21bに流れる冷却水の水流の影響を受けにくくすることができる。
【0023】
上述した実施形態では、氷検知用電極として第1及び第2氷検知用電極42,43の2つ電極を用いたが、本発明はこれに限られるものでなく、氷検知用電極として1つの電極を用いたものであってもよい。この場合には、氷検知用電極が氷に覆われたときに冷凍装置30(特に圧縮機31)の作動を停止させ、氷検知用電極が冷却水に露出したときに冷凍装置30(特に圧縮機31)を作動させるように制御すればよく、このようにしたときにも同様の作用効果を得ることできる。
【0024】
また、本発明の飲料冷却装置の一実施形態として飲料ディスペンサ10を用いて説明したが、本発明はこれに限られるものでなく、注出コックを例えばカウンタ等に別途取り付け、カウンタに取り付けた注出コックに飲料ホース等を用いて飲料冷却管21を接続するようにした飲料冷却装置にも適用されるものである。
【0025】
また、本発明の飲料冷却装置の一実施形態として飲料ディスペンサ10を用いて説明したが、本発明はこれに限られるものでなく、例えば、飲料として水、茶等を冷却して注出する給水機、給茶機にも適用されるものである。
【符号の説明】
【0026】
10…飲料冷却装置(飲料ディスペンサ)、20…冷却水槽、21…螺旋状の飲料冷却管、21a…密巻部、21b…粗巻部、23d…撹拌羽根、30…冷凍装置、33…蒸発器(蒸発管)、40…氷厚検知センサ、42,43…氷検知用電極。
図1