【実施例】
【0111】
使用化学物質リスト:
1. 硝酸銀>99%,Sigma−Aldrich(Milwaukee,WI)#
S6506,169.87g/mol
2. 臭化銅(I)>98%(Sigma Aldrich #61163)
3. 酢酸銅(II)一水和物≧98%,Sigma−Aldrich #21755
7,199.65g/mol
4. 水素化ホウ素ナトリウム≧98.0%,Sigma−Aldrich #452
882,37.83g/mol
5. 水酸化ナトリウム≧97.0%,Sigma−Aldrich #221465
,40g/mol
6. メルカプトコハク酸(チオリンゴ酸)≧99.0%,Sigma−Aldric
h #88460,150.15g/mol,HOOCCH(SH)CH
2COOH
7. N−(2−メルカプトプロピオニル)グリシン(チオグリシン),Sigma−
Aldrich #M6635,163.19g/mol,CH
3CH(SH)CONH
CH
2COOH
8. チオグリセロール95%,TCI America(Portland,OR)
#T0905,108.16g/mol,HSCH
2CH(OH)CH
2OH
9. リポ酸≧98.0%(チオクト酸),Sigma−Aldrich #6232
0,206.33g/mol
10. チオ乳酸95%,Sigma−Aldrich T31003,106.14
g/mol,CH
3CH(SH)COOH
11. (3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン95%(チオシラン),Si
gma−Aldrich #175617,196.34g/mol
12. 2−アミノエタンチオール>95%(アミノチオール),TCI Ameri
ca #77.15g/mol
13. アスパラギン酸≧99%,Sigma−Aldrich #A9006,13
3.10g/mol
14. ロイシン≧99%,Sigma−Aldrich #L7875,131.1
7g/mol,CH3)2CHCH
2CH(NH
2)CO
2H
15. リシン>97%,TCI America #L0129,146.19
16. ポリビニルピロリドン Mw=1,300,000(PVP−1300K),
Sigma−Aldrich #437190
17. ポリビニルピロリドン Mw=10,000(PVP−10K),Sigma
−Aldrich #PVP10
18. ポリビニルピロリドン,Luvitec K17(BASF,Germany
)
19. 酢酸ビニル−ビニルピロリドン共重合体,Luvitec VA64(BAS
F,Germany)
20. ポリエチレングリコール(PEG,MW10,000)(Sigma−Ald
rich 309028)
21. 臭化水素酸48%,Sigma−Aldrich #268003,80.9
1g/mol
22. 塩酸36.5%,EMD Chemicals(Bridgetown,NJ
)#HX0603−75,36.46g/mol
23. ヨウ化ナトリウム≧99.0%,Sigma−Aldrich #S8379
,149.89g/mol
24. 臭化カリウム≧99%,Sigma−Aldrich #22,186−4,
119g/mol
25. 塩化ナトリウム≧99.5%,Fluka(Milwaukee,WI)#7
1379,58.44g/mol
26. 無水アセトニトリル99.8%(Sigma−Aldrich 271004
)
27. ヨウ化銅98%(粒子径2〜3μm),99.5%(粒子径1〜2μm)an
d 99.999%(粒子径1−2μm)(それぞれSigma Aldrich 20
5540;3140および215554)
28. AgIナノ粒子,25nm(重量で0.7%)PVPマトリクス内(Chem
pilots a/s,Denmark
29. 銅金属,Sigma Aldrich Cat.#326453
【0112】
5.機能性金属塩ナノ粒子生成プロセス
機能性ナノ粒子の合成に使われるのが以下の方法である。下記の手順は、Proced
ure Set 1とProcedure Set 2の2つのセットに分けられる。最
初のセットは、様々な金属ハロゲン化物と銀金属のナノ粒子を生成する手順を含み、この
結果形成される抗菌性が表2から表9で検討される。
【0113】
以下の前駆体溶液が、両セットの粒子合成に使われる:
溶液A: 4%AgNO3溶液: 0.945gの硝酸銀(Sigma−Aldrich
#S6506)が、14.055gの(脱イオン)水に溶解した。(この溶液は、理論
上、重量で4%の金属銀を含んでいる。)
溶液B: 0.7%NaBH4溶液: 0.07gの水素化ホウ素ナトリウム(Aldr
ich #452882)が9.93gの水に溶解した。この溶液は、常に使用直前に新
しく調製された。
溶液C: 10%アスパラギン酸溶液: 0.296gのNaOHペレット(7.4mm
ol)が8.6gの水に溶解し、0.988gのアスパラギン酸(7.4mmol)(S
igma #A9006)が添加された後、透明な液が得られるまで攪拌された。
溶液D: 10%チオグリシン溶液(TGN): 0.0245gのNaOHペレット(
0.613mmol)が0.875gの水に溶解し、0.1gのN−(2−メルカプトプ
ロピオニル)グリシン(0.613mmol)(チオグリシンSigma#M6635)
が添加された後、透明な液が得られるまで攪拌された。
溶液E: 10%チオリンゴ酸(TMAN)溶液: 0.134gのNaOHペレット(
3.35mmol)が2.12gの水に溶解し、0.25gのメルカプトコハク酸(3.
35mmol)(チオリンゴ酸,Aldrich#88460)が添加された後、透明な
液が得られるまで攪拌された。
溶液F: 10%チオクト酸溶液(TOA): 0.0193gのNaOHペレット(0
.483mmol)が0.88gの水に溶解し、0.1gのリポ酸(0.483mmol
)(チオクト酸,Sigma#M6635)が添加された後攪拌された。
溶液G: 銅溶液: 0.0213gのCuBrを0.048gのHBr48%に溶かし
た後16gの水で希釈し、最終的に透明な液になるまで攪拌。
溶液H: 10%PVP−1300Kまたは10K溶液: 1gのポリビニルピロリドン
(mol.wt.)=1,300,000または10,000が9gの水で溶解した。
【0114】
[PROCEDURE SET 1(例1−20)機能性金属銀ナノ粒子の合成]
例1: Ag/SH=1/0.25およびAg/Aspartic=1/5でのチオリ
ンゴ酸とAg°粒子の合成および機能化
1gの溶液A(0.371mmol)が2.39gの水で希釈された。2.47gの溶
液C(1.855mmol)と3−5分後に0.139gの溶液E(0.0926mmo
l)が、攪拌されながら希釈された溶液へ滴下された。さらに5分攪拌された後、2gの
溶液B(0.37mmol)が攪拌されながら溶液へゆっくりと滴下された。金属銀の算
出を基にした銀の最終濃度は0.5%w/wであった。
【0115】
例2a: Ag/SH=1/0.25およびAg/Aspartic=1/5でのチオ
グリシンとAg°粒子の合成および機能化
1gの溶液A(0.371mmol)が2.368gの水で希釈された。2.47gの
溶液C(1.855mmol)と3−5分後に0.151gの溶液D(0.0925mm
ol)が、攪拌されながら希釈された溶液へ滴下された。さらに5分攪拌された後、2g
の溶液B(0.37mmol)が攪拌されながら溶液へゆっくりと滴下された。金属銀の
算出を基にした銀の最終濃度は0.5%w/wであった。
【0116】
例2b: Ag/SH=1/0.25およびAg/Aspartic=1/2でのチオ
グリシンとAg°粒子の合成および機能化
1gの溶液A(0.371mmol)が2.368gの水で希釈された。0.99gの溶
液Cと3−5分後に0.151gの溶液D(0.0925mmol)が、攪拌されながら
希釈された溶液へ滴下された。さらに5分攪拌された後、2gの溶液B(0.37mmo
l)が攪拌されながら溶液へゆっくりと滴下された。金属銀の算出を基にした銀の最終濃
度は0.5%w/wであった。
【0117】
例3: PVPとAg°粒子の合成および機能化
0.1366gの硝酸銀が9.825gの水で溶解され、2.168gの水溶液H(P
VP MW10,000)が添加された。最後に、調製されたばかりの0.25%w/w
NaBH4液5.202gが硝酸銀溶液へゆっくりと滴下され、銀粒子が得られるまで一
晩攪拌された。金属銀の算出を基にした銀の最終濃度は0.5%w/wであった。
【0118】
例4: PVP、チオグリシンとAg°粒子の合成および機能化
0.1366gの硝酸銀が8.25gの水で溶解され、2.168gの水溶液H(PV
P MW10,000)が添加された。最後に、調製されたばかりの0.25%w/wN
aBH4液5.202gが硝酸銀溶液へゆっくりと滴下され、銀粒子が得られるまで一晩
攪拌された。金属銀の算出を基にした銀の最終濃度は0.5%w/wであった。このよう
にして生成された銀ゾル3.5gが、2.4gの水と0.146gの溶液Dで希釈され、
この混合物は、PVPおよびチオグリシンの両方で改質された銀粒子が得られるまで2時
間攪拌された。
【0119】
例5: PVPとAgBrナノ粒子の合成および機能化
0.2079gの硝酸銀が12.785gの水で溶解され、3.30gの水溶液Hが添
加された。最後に、5.20gの水に0.146gの臭化カリウムが入った溶液が攪拌さ
れながら滴下され、粒子が形成されるまで一晩引き続き攪拌された。金属銀の算出を基に
した銀の最終濃度は0.61%w/wであった。
【0120】
例6: Ag/SH=1/0.25およびAg/Aspartic=1/2でのチオリ
ンゴ酸、アスパラギン酸とAgBrナノ粒子の合成および機能化
1gの溶液A(0.371mmol)が4.176gの水で希釈された。0.99gの
溶液C(0.744mmol)と3−5分後に0.139gの溶液E(0.0925mm
ol)が、攪拌されながら希釈された溶液へ滴下された。さらに5分攪拌された後、0.
047gのHBr48%(0.279mmol)(Aldrich#268003)を2
gの水で希釈した溶液が攪拌されながらゆっくりと滴下された。金属銀の算出を基にした
銀の最終濃度は0.5%w/wであった。
【0121】
例7: Ag/SH=1/0.25およびAg/Aspartic=1/2でのチオリ
ンゴ酸、アスパラギン酸とAgClナノ粒子の合成および機能化
1gの溶液A(0.371mmol)が3.843gの水で希釈された。0.99gの
溶液C(0.744mmol)と3−5分後に0.139gの溶液E(0.0925mm
ol)が、攪拌されながら希釈された溶液へ滴下された。さらに5分攪拌された後、0.
028gのHCl36.5%(0.280mmol)(EMD Chem.#HX060
3−75)を2gの水で希釈した溶液が攪拌されながらゆっくりと滴下された。金属銀の
算出を基にした銀の最終濃度は0.5%w/wであった。
【0122】
例8: Ag/SH=1/0.25でのチオグリシンとAglナノ粒子の合成および機
能化
1gの溶液A(0.371mmol)が4.804gの水で希釈された。0.151g
の溶液D(0.0925mmol)が攪拌されながら希釈された溶液へ滴下された。さら
に5分攪拌された後、0.042gのヨウ化ナトリウム(Sigma−Aldrich#
S8379)を2gの水で希釈した溶液が攪拌されながらゆっくりと滴下された。金属銀
の算出を基にした銀の最終濃度は0.5%w/wであった。
【0123】
例9: Ag/SH=1/0.25およびAg/Aspartic=1/2でのチオグ
リシン、アスパラギン酸とAgBrナノ粒子の合成および機能化
1gの溶液A(0.371mmol)が3.826gの水で希釈された。0.99gの
溶液C(0.744mmol)と3−5分後に0.151gの溶液D(0.0925mm
ol)が、攪拌されながら希釈された溶液へ滴下された。さらに5分攪拌された後、0.
033gの臭化カリウム(0.277mmol)(Aldrich#22,186−4)
を2gの水で希釈した溶液が攪拌されながらゆっくりと滴下された。金属銀の算出を基に
した銀の最終濃度は0.5%w/w、粒子径は約25nmである。
【0124】
例10: Ag/SH=1/0.5およびAg/Aspartic=1/2での5mo
l−%CuBr、チオグリシンとAgBrナノ粒子の合成および機能化
溶液Cの量が2.47g(1.855mol)であったこと以外は、例9と同様の手順
。この場合の粒子径は10〜15nmだった。
【0125】
例11: Ag/SH=1/0.5およびAg/Aspartic=1/2での5mo
l−%CuBr、チオグリシンとAgIナノ粒子の合成および機能化
1gの溶液A(0.371mmol)が1.675gの水で希釈された。0.99gの
溶液C(0.744mmol)と3−5分後に0.151gの溶液D(0.0925mm
ol)が、攪拌されながら希釈された溶液へ滴下された。さらに5分攪拌された後、2.
010gの溶液G(HBrからの0.0356mmol臭化物)が攪拌されながらゆっく
りと滴下された。最後の段階では、2gの水で希釈された0.0225gのヨウ化ナトリ
ウム(0.15mmol)が添加された。金属銀の算出を基にした銀の最終濃度は0.5
%w/wであった。
【0126】
例12: Ag/SH=1/0.10およびAg/PVP=1/2.5w/wでのチオ
グリセロールとAgBrまたはAgClナノ粒子の合成
AgBrナノ粒子の調製のため、1gの溶液A(0.371mmol)が3.88gの
水で希釈された。1gの溶液H(PVP−1300K)と2−3分後に0.080gの5
%w/wチオグリセロール水溶液(0.037mmol)(TCI America #
T0905)が、攪拌されながら希釈された溶液へ滴下された。2−3分後、2gの水で
希釈した0.0397gの臭化カリウム(0.334mmol)(Aldrich#22
,186−4AgCl用)溶液が攪拌されながらゆっくりと滴下された。金属銀の算出を
基にした銀の最終濃度は0.5%w/wであった。
【0127】
AgClナノ粒子の調製のために同様の手順が取られたが、3.88gではなく3.9
0gの水が、0.0397gの臭化カリウムの代わりに0.0195gの塩化ナトリウム
(Fluka#71379)が使用された。
【0128】
例13: Ag/SH=1/0.5およびAg/PVP=1/2.5w/wでのチオグ
リシンとAgBrまたはAgClナノ粒子の合成
a.臭化銀ナノ粒子の生成: 3.30gの溶液Aが12.056gの水で希釈された
。3.30g10%PVP−10K溶液、0.1426gの臭化カリウムが入った溶液、
5.2gの水がそれぞれゆっくりと滴下され、ナノ粒子懸濁液が一晩攪拌された。
【0129】
b.表面改質: 0.204gの水と0.146g10%チオグリシン溶液が、上記の
合成ハロゲン化銀ナノ粒子3.5gへ滴下され、少なくとも6時間攪拌された。金属銀の
算出を基にした銀の最終濃度は0.5%w/wであった。
【0130】
AgClナノ粒子の調製のために上記と同様の手順が取られたが、12.056gでは
なく12.128gの水が、0.1426gの臭化カリウムの代わりに0.0715gの
塩化ナトリウムが使用された。
【0131】
例14: Ag/SH=1/0.5およびAg/PVP=1/2.5w/wでの5mo
l−%CuBrおよびチオグリシンとAgBrナノ粒子の合成
a.臭化銀ナノ粒子の生成: 3.30gの溶液A(1.224mmol)が10.5
85gの水で希釈された。3.30g10%PVP−10K溶液と6.815gの銅溶液
(HBrからの1.224mmol臭化物)は、0.0213gのCuBrを0.50g
HBr48%で溶解して16gの水で希釈し、最後に透明なナノ粒子懸濁液が得られるま
で攪拌されて生成され、このナノ粒子懸濁液は一晩攪拌された。
【0132】
b.表面改質: 0.204gの水と0.146gの溶液Dが、上記の合成臭化銀ナノ
粒子懸濁液3.5gへ滴下され、少なくとも6時間攪拌された。金属銀の算出を基にした
銀の最終濃度は0.5%w/wであった。
【0133】
例15: Ag/SH=1/0.5およびAg/PVP=1/2.5w/wでの5mo
l−%CuBrおよびチオグリシンとAgIナノ粒子の合成
a.ヨウ化銀ナノ粒子の生成: 1.65gの溶液A(0.612mmol)が4.4
52gの水で希釈された。1.65gの溶液H(PVP−10K)と1.674gの銅溶
液(HBrからの0.118mmol臭化物)は、0.0213gのCuBrを0.09
6gHBr48%で溶解して8gの水で希釈し、最後に透明なナノ粒子懸濁液が得られる
まで攪拌されて生成された。最後の段階では、2gの水で溶解された0.074gのヨウ
化ナトリウム(0.494mmol)が添加され、一晩攪拌された。
【0134】
b.表面改質: 0.204gの水と0.146gの溶液Dが、上記の合成ヨウ化銀ナ
ノ粒子懸濁液3.5gへ滴下され、少なくとも6時間攪拌された。金属銀の算出を基にし
た銀の最終濃度は0.5%w/wであった。
【0135】
例16: Ag/SH=1/0.5およびAg/PVP=1/2.5w/wでの5mo
l−%CuBr、チオグリシンとAglの合成;自由銀イオン過剰
a.ヨウ化銀ナノ粒子の生成: 1.65gの溶液A(0.612mmol)が4.4
52gの水で希釈された。1.65gの溶液H(PVP−10K)と1.674gの銅溶
液(HBrからの0.118mmol臭化物)がそれぞれゆっくりと滴下されたが、これ
らは0.096gHBr48%に0.0213gのCuBrを溶解して8gの水で希釈し
、透明なゾルができるまで攪拌されることで生成されたものである。最終段階で、2.0
5gの水に溶解した0.023gのヨウ化ナトリウム(0.151mmol)が添加され
、一晩攪拌された。ヨウ化ナトリウムに対する硝酸銀のモル比は、銀の56%が自由イオ
ンとして利用できるというものである。
【0136】
b.表面改質: 0.204gの水と0.146gの溶液Dが、上記の合成硝酸銀ゾル
3.5gに滴下され、その後少なくとも6時間攪拌された。金属銀の算出を基にした銀の
最終濃度は0.5%w/wであった。
【0137】
例17: Cu/PVP=1/3.3w/wでのPVPとCuIナノ粒子の合成
2.232gの溶液H(PVP−10K)が、6.227gの水に溶解した0.211
gの酢酸銅(II)一水和物(1.057mmol)溶液に、攪拌されながら添加された
。その後、5gの水に溶解した0.3168gのヨウ化ナトリウム(2.114mmol
)が銅溶液にゆっくりと滴下され、一晩攪拌された。翌日このCuI懸濁液は洗浄された
が、これはジエチルエーテルで2.5−3mlを7−10回抽出することによって、形成
されたヨウ素を除去するためである。残りのエーテルは真空下での蒸発によって溶液から
分離された後、過程で失われた重量を補うために水が添加された。金属銅の算出を基にし
た銅の最終濃度は0.48%w/wであった。反応: Cu
2+→2I
−→CuI
2→C
uI
(s)+I
2
【0138】
例18: Cu
++を過剰に持つCuI粒子
1.86gの溶液H(PVP−10K)が、6.448gの水に溶解した0.176g
の酢酸銅(II)一水和物(1.057mmol)溶液に、攪拌されながら添加された。
その後、3gの水に溶解した0.132gのヨウ化ナトリウム(2.114mmol)が
銅溶液にゆっくりと滴下され、一晩攪拌された。この過程の残りは例18にあるものと同
じで、懸濁液の銅の最終濃度は0.48%w/wであった。
【0139】
例19: 5mol−%CuIとハロゲン化銀ナノ粒子の合成
0.236gの水とメソッド17で調製されたようなCuI0.114gが、例13に
ある手順で生成されたハロゲン化銀ナノ粒子溶液3.5gにそれぞれ攪拌されながら滴下
された。金属銀の算出を基にした銀の最終濃度は0.5%w/wであった。
【0140】
例20: Ag/SH=0.5での5mol−%CuI、チオグリシンとハロゲン化銀
ナノ粒子の合成
0.09gの水、メソッド17のCuI0.114g、0.146gの溶液Dが、例1
3にある手順で生成されたハロゲン化銀ナノ粒子溶液3.5gにそれぞれ攪拌されながら
滴下された。金属銀の算出を基にした銀の最終濃度は0.5%w/wであった。
【0141】
[PROCEDURE SET 2](例21−42b)
例21: ポリビニルピロリドンで機能化された銀ナノ粒子の合成
周辺の光が遮蔽された攪拌子付き反応フラスコへ、0.1366gの硝酸銀と6.7g
の脱イオン水(DI water)が添加され、攪拌されて透明溶液を得た。この溶液に
2.168gの40%w/wPVP(Aldrich,Mol wt 10k)が添加さ
れた。素早く攪拌されながら、水素化ホウ素ナトリウムの0.25%w/w溶液5.20
2gが滴下されると、非常に濃い灰色の溶液が得られた。最終分散系での銀の重量%は0
.61%w/wで、データを体積分率へ変換した後に動的光拡散で測定された粒子径は1
0〜40nmだった。
【0142】
例22: ポリビニルピロリドンで機能化された臭化銀ナノ粒子の合成
周辺の光が遮蔽され、0℃の氷浴に置かれた攪拌子付き反応フラスコへ、0.2gの硝
酸銀と51gの脱イオン水(DI water)が添加され、完全な溶液にするため5分
攪拌された。これに3.34mlの10wt%PVP(Aldrich,Mol wt
10k)水溶液が添加され、10分攪拌された。氷浴に置かれた別の攪拌子付き反応槽へ
、0.157gの臭化カリウムと21.4gの脱イオン水が添加され、完全な溶液にする
ため10分攪拌された。この溶液は滴下漏斗へ移され、攪拌された硝酸銀/PVP溶液へ
0℃で滴下された(滴下速度0.436ml/分)。この過程の間、臭化銀溶液は周辺の
光から遮断されていた。この混合物は0℃で一晩攪拌され、半透明の淡褐色となった。最
終混合物における銀の重量%は0.17%で、平均粒子径は4nmだった(動的光拡散に
よる体積分率分布をベースとする)。
【0143】
例23: PVPで機能化されたヨウ化銅ナノ粒子の合成
100mlの丸底フラスコへ、0.380gのヨウ化銅粉末(Aldrich,98%
)と60mlsの無水アセトニトリル51gが添加された。フラスコに栓をして10分間
超音波処理をし、黄色の透明な溶液を得た。この溶液に1.956gのPVP(Aldr
ich,Mol.wt.10K)が添加され、10分超音波処理されて淡い緑色の溶液が
形成された。この溶液はロータリーエバポレータに移され、30℃で約30分、その後温
度を60℃に上げて15分間真空下でアセトニトリルが除去された。これにより明るい緑
色の固体が得られた(粗い粒子のポリマー粉末で、粉砕してどんな大きさの粉末にもでき
るが、ナノサイズよりもはるかに大きいことが望ましい)。この固体は安定していて、水
で再分散させてナノ粒子を生成することもできる。このCuI/PVP固形物の入ったフ
ラスコに、攪拌子と100mlの脱イオン水が添加され、乳白色の不透明な混合物が形成
された。この混合物は周辺の光から遮断され、25℃で3日間攪拌された。これにより、
半透明で淡いピンク色の安定した分散系が生成された。この分散系における銅の重量%は
0.13%で、平均粒子径は4nmだった(動的光拡散による体積分率分布をベースとす
る)。
【0144】
例24: pH調整剤とCuI−PEG分散系の合成
硝酸をpH調整剤として使い、水中で調製されたポリエチレングリコール(PEG)で
改質されたCuI表面分散系。攪拌子付き反応フラスコへ、4.5gのPEG(MW=1
0,000)、0.0476gのCuI(99.999%)、50mlのアセトニトリル
が添加された。この混合物は室温で約30分攪拌され、薄緑色の溶液を得た。反応フラス
コがロータリーエバポレータに置かれ、ペースト状になるまで25℃で溶媒が除去された
。その後温度を45℃に上げてアセトニトリルを完全に除去すると、黄色の粉末が得られ
た。この粉末は50mlのDI水で分散され、0.05ml(0.07g)の濃硝酸が添
加されて黄色がかった白色の混合物が生成された。暗闇で一晩攪拌されるとこの分散系は
透明になり、淡い黄色の分散系が得られた。
【0145】
例25: Ag
+:Cu
+ 1:10のモル比でのAgBr:CuI/PVP分散系の
合成
a.以下のような銅元素およびヨウ素元素の直接反応によって、ヨウ化銅分散系が調製
された: 8.75gのポリビニルピロリドンPVP(10,000MW,Sigma
Aldrich Cat.#PVP10)、50mlのDI水(18Mohm−cm)、
0.125gのCu金属(Sigma Aldrich Cat.#326453)が反
応フラスコへ添加された。この混合物は攪拌され、氷浴で0℃まで冷却された。
【0146】
ヨウ素0.25g(≧99.8%Sigma Aldrich Cat.#20,77
7−2)とトルエン8ml(99.8%Sigma Aldrich Cat.#244
511)が反応槽に添加され、もう一つの溶液が調製された。
【0147】
このヨウ素/トルエン混合物は、1ml/分の速度でゆっくりと0℃の銅分散系に添加
され、0℃で30分攪拌された後、さらに攪拌されながら室温まで温められた。この溶液
は、透明なトルエン相とCuI分散系の濃いオレンジ色の水相を得るため分液漏斗に移さ
れた。水相(CuI)はトルエン相から分離され、光の当たらない場所に保管された。
【0148】
b.例27で調製された1.5gのAgBr分散系と上記のCuI水性分散系14.8
905gを混合して、モル比が1:10のAg
+とCu
+が調製された。これにより、透
明な黄色/茶色の分散系が得られた。
【0149】
例26: Ag/PVP分散系の調製
コンデンサー付き丸底フラスコへ、50mlのDI水(18Mohm−cm)と20g
のPVP(10,000MW,Sigma Aldrich Cat.#PVP10)が
添加された。この混合物は室温で攪拌され、透明な黄色の溶液となった。この溶液に0.
04926gの硝酸銀(≧99.0%ACS試液Sigma Aldrich Cat.
#209139)が添加され、攪拌されながら7時間、70℃まで温められた。この間に
反応が起こり、425nmでのプラズモンピークの形成に伴ってPVP吸収が起こったが
、これはPVPによって銀金属に対する硝酸銀が減少したためである。Agナノ粒子の最
終分散系はオレンジ/茶色で透明だった。この分散系の希釈試料に関する動的光拡散では
、平均粒子径は7nmだった。
【0150】
例27: AgBr/PVP分散系の合成
20gのPVP(10,000MW,Sigma Aldrich Cat.#PVP
10)を40mlのDI水(18Mohm−cm)に溶解させて、臭化銀分散系が調製さ
れた。攪拌しながらこの溶液に0.0492gの硝酸銀(≧99.0%ACS試液Sig
ma Aldrich Cat.#209139)が添加され、透明の黄色い溶液が生成
された。別の反応槽では、0.0357gの臭化カリウム(無水粉末99.95%Sig
ma Aldrich Cat.#451010)を10mlのDI水(18Mohm−
cm)に溶解させて、還元溶液が調製された。このKBr溶液がAgNO
3/PVP溶液
に滴下され、黄色/オレンジ色の透明なAgBr分散系が形成された。この分散系の希釈
試料に関する動的光拡散では、平均粒子径は4nmだった。
【0151】
例28: CuI/PVP分散液の合成
50mlの無水アセトニトリル(99.8%Sigma Aldrich Cat.#
271004)の入った反応フラスコに10gのPVP(10,000MW,Sigma
Aldrich Cat.#PVP10)を入れ、攪拌し、淡黄色の溶液を得た。この
溶液に0.0476gのCuI(98.0%Sigma Aldrich Cat.#2
05540)を添加し、30分攪拌して淡緑色の溶液を得た。次に、30℃で減圧下で大
部分のアセトニトリルを除去し、粘着性のペーストを得た。その後、温度を60℃に上げ
、溶媒を完全に除去し、淡緑色の固体を得た。これに50mlのDI水(18Mohm−
cm)を添加し、攪拌し、透明で鮮烈な黄色の分散液を得た。分散液の希釈されたサンプ
ルに動的光散乱をすることによって平均粒径4nmのものを得た。
【0152】
例29: Ag+AgBr分散液の合成。モル比Ag°:Ag
+=1:5
Ag°:Ag
+の1:5のモル比を例26で調製したAg/PVP分散液2.0gと例
27で調製したAgBr/PVP分散液10.022gを配合することによって作成した
。その結果、透明な黄色・茶色の分散液を得た。配合する前に分散液の希釈試料へ動的光
散乱をすることによって平均粒径7nmのAgと4nmのAgBrを得た。
【0153】
例30: Ag:CuI分散液の合成。モル比Ag°:Cu
+ 1:10
Ag°:Cu
+の1:10のモル比を例26で調製したAg/PVP分散液1.5gと
例28で調製したCuI/PVP分散液14.8905gを配合することによって作成し
た。その結果、透明な黄色・茶色の分散液を得た。配合する前に分散液の希釈試料へ動的
光散乱をすることによって平均粒径7nmのAgと4nmのCuIを得た。
【0154】
例31: AgBr:CuI分散液の合成。モル比Ag
+:Cu
+ 1:10
Ag
+:Cu
+の1:10のモル比を例27で調製したAgBr/PVP分散液1.5
gと例28で調製したCuI/PVP分散液14.8905gを配合することによって作
成した。その結果、透明な黄色・茶色の分散液を得た。
【0155】
例32: PVP−BASF−CuCl分散液の合成。
50mlの無水アセトニトリル(99.8%Sigma Aldrich Cat.#
271004)の入った反応フラスコに14gのPVP(BASF K17)を入れ、攪
拌し、澄明な液を得た。この溶液に0.0239gのCuCl(ACS試薬>99.0%
Sigma Aldrich Cat.#307483)を添加し、30分攪拌して淡緑
色の溶液を得た。次に、30℃で減圧下で大部分のアセトニトリルを除去し、粘着性のペ
ーストを得た。その後、温度を60℃に上げ、溶媒を完全に除去し、淡緑色の固体を得た
。これに50mlのDI水(18Mohm−cm)を添加し、攪拌し、透明で鮮烈な黄色
の分散液を得た。
【0156】
例33: CuI/PVP−BASF+酢酸+HNO
3の合成
反応フラスコに4.05gのPVP(BASF K17)と50mlの無水アセトニト
リル(99.8%Sigma Aldrich Cat.#271004)を入れ、蓋を
し、常温で攪拌し、澄明な液を得た。この溶液に0.0476gのCul(99.999
%Sigma Aldrich Cat.#215554)を添加し、25℃で30分攪
拌して透明な淡緑色の溶液を得た。30℃で減圧下で大部分のアセトニトリルを除去し、
粘着性のペーストを得た。その後、温度を60℃に上げ、溶媒を完全に除去し、均質な黄
色の固体を得た。この固体に50mlのDI水(18Mohm−cm)を添加し、攪拌し
、濁った白い色の分散液を得た。これを暗いところで3日間静置し、分散液は濁ったまま
で、淡白色の沈殿物があった。これを攪拌しながら0.3mlの氷酢酸(ACS試薬≧9
9.7%Sigma Aldrich Cat.#320099)をすぐに添加し、分散
液がオレンジ/黄色に変わったが、まだ濁っていて、微量の沈殿があった。この混合液に
0.05mlの濃硝酸(ACS試薬≧90%Sigma Aldrich Cat.#2
58121)を添加すると、溶液が透明で淡緑色の溶液に変わった。
【0157】
例34: CuI/VP−VA共重合体−BASF+HNO
3分散液の合成
50mlの無水アセトニトリル(99.8%Sigma Aldrich Cat.#
271004)の入った反応フラスコに6.75gのPV−VA(BASF Luvit
ec VA 64)を入れ、攪拌し、澄明な液を得た。この溶液に0.0476gのCu
l(99.999%Sigma Aldrich Cat.#215554)を添加し、
30分攪拌して緑・黄色の溶液を得た。30℃で減圧下で大部分のアセトニトリルを除去
し、粘着性のペーストを得た。その後、温度を60℃に上げ、溶媒を完全に除去し、均質
な黄色の固体を得た。この固体に50mlのDI水(18Mohm−cm)を添加し、攪
拌し、濁った淡黄色のスラリーを得た。攪拌しながら0.05gの濃硝酸(ACS試薬≧
90%Sigma Aldrich Cat.#258121)を添加すると、混合液が
透明で淡黄色に変わった。
【0158】
例35: CuI/VP−VA共重合体−BASF+HNO
3+亜硫酸ナトリウム分散
液の合成
50mlの無水アセトニトリル(99.8%Sigma Aldrich Cat.#
271004)の入った反応フラスコに13.5gの共重合体PV−VA(BASF L
uvitec VA 64)を入れ、攪拌し、澄明な液を得た。この溶液に0.0952
gのCul(99.999%Sigma Aldrich Cat.#215554)を
添加し、30分攪拌して緑・黄色の溶液を得た。30℃で減圧下で大部分のアセトニトリ
ルを除去し、粘着性のペーストを得た。その後、温度を60℃に上げ、溶媒を完全に除去
し、均質な黄色の固体を得た。この固体に100mlのDI水(18Mohm−cm)を
添加し、攪拌し、濁った淡黄色のスラリーを得た。攪拌しながら0.05gの濃硝酸(A
CS試薬≧90%Sigma Aldrich Cat.#258121)を添加すると
、混合液が透明で淡黄色に変わった。これにCuIナノ分散液を添加し、共重合体の総重
量に基づいて濃度0.1wt%に相当する0.0135gの亜硫酸ナトリウム(>98%
Sigma Aldrich Cat.#S50505)を得た。しかし、これは、分散
液の外観に影響を与えなかった。
【0159】
例36a: CuI/PVP−BASF+HNO
3の合成
かくはん子の付いた丸底フラスコに4.275gのPVP(BASF K17)と50
mlの無水アセトニトリル(99.8%Sigma Aldrich Cat.#271
004)を添加し、蓋をし、常温で静置し、澄明で無色の溶液を得た。この溶液に0.2
25gのCul(99.999%Sigma Aldrich Cat.#215554
)を添加し、25℃で30分攪拌して淡黄色の溶液を得た。30℃で減圧下で大部分のア
セトニトリルを除去し、粘着性のペーストを得た。その後、温度を60℃に上げ、溶媒を
完全に除去し、均質な黄色の固体を得た。この固体に50mlのDI水(18Mohm−
cm)を添加し、攪拌し、濁った淡黄色の分散液を得た。攪拌しながら0.07gの濃硝
酸(ACS試薬≧90%Sigma Aldrich Cat.#258121)を添加
すると、混合液が無色で沈殿のないやや濁ったものに変わった。分散液の希釈試料へ動的
光散乱が体積分率分析で2峰性の分布を示し、最高の粒径が263と471nmだった。
【0160】
上述の手順に従いながら調製したもう一つの調合液に成分の比率を変えた。50mlの
アセトニトリルにPVP(BASF K17)の量は2.25gだった。これに0.04
76gのCuI(99.999%)を添加した。これを上述のように処理し、乾燥粉末を
60mlのDI水に再懸濁した。得られた溶液は乳状で淡黄色だった。攪拌した後、0.
05mlの硝酸を添加し、二日間にわたって攪拌した。溶液が透明な黄色となり、沈殿物
がなかった。この処理後溶液が安定した。粒径は4nmだった。
【0161】
例36b: CuI/PVP粒子の合成:酸を使って粒径の管理
水分散液に硝酸の量を管理することによって異なる粒径のPVPで機能化されたヨウ化
銅を調整した。分散液を例36aの通り調製したが、唯一の違いは酸をCuI/PVP粉
末を分散した水分散液の形で添加したことである。酸の濃度を0−8.46mMの範囲内
で変え、動的光散乱で測定した対応粒径のばらつきが1070から5nmの範囲内だった
。pHを4と7pHの間で構成されたFisher Scientific pH計で測
定した。データを表1Aに纏めた。同表から粒径を管理するのに硝酸の効果が明らかであ
る。サンプルを酸で調製したが、ヨウ化銅を添加しなかった(サンプルS45,S47と
S49がそれぞれ0.846,4.227と8.46mMの硝酸を含んだが、ヨウ化銅を
含まなかった)。サンプルの酸性度は抗菌効果へ影響がないことを確認するためにこれら
のサンプルを試験した。ここでもう一つ注目に値することは、PVPのソースが違うと、
調製の方法によってその酸性度が異なり、粒径を管理するために違うレベルのpH調整を
必要とするかもしれない。その一例として、硝酸を使わなかったとき粒径は1070nm
で、例28で違うPVP(Aldrichから入手したPVP)を添加酸なしで使ったと
き、粒径は4から6nmだったことが挙げられる。
【0162】
【表2】
【0163】
50mlの丸底フラスコに0.81gのPVP(Luvitec K17 from
BASF)と15mlのアセトニトリルを入れた。これを攪拌し、無色の溶液を得た。こ
のPVP溶液に0.0095gCuI(Aldrich,純度99.5%)を添加した。
これを攪拌して澄明で黄色の溶液にした。PVP/CuI溶液をロータリーエバポレータ
で乾燥して、黄色の固体を得た。この液体を7.5mlの脱イオン水に再懸濁し、攪拌し
て濁った白色の溶液を得た。再懸濁したPVP/CuI溶液に以下の表に示すように、異
なる濃度(酸強度)のさまざまな酸を7.5mlの体積で添加した。この溶液を光を避け
ながら攪拌した。攪拌した1日後溶液が表1B(「溶液の透明さ」の欄)から明らかなよ
うに、たいていの場合透明なものになった。これらの溶液のpHも測定した。pHはさま
ざまな要因、例えば溶液におけるPVPの種類と量、CuIの量、酸の種類と濃度等によ
る。澄明な液の平均粒径は10nmで、他の溶液に比べかなり高いことが予想される。こ
の溶液をリン酸緩衝生理食塩水(PBS;pH7.4;Sigma−Aldrich,S
t.Louis,MO)における総銅含有量が59.07ppmになるように薄め、pH
を再び測定した。これは液体懸濁液において抗菌試験結果を数回生み出すのに利用された
典型的な銅の濃度だった。この試験は、これらのナノ粒子の抗菌性質がpHが一貫して6
と7.4(または緩衝液のpHまで)の範囲内にある懸濁液において測定されることを保
証するために実施された。ご参考までに、人間の肌のpHが約5.5,尿が6.0、そし
て血液が7.34から7.45である。塩酸、硝酸と硫酸を異なる強度で添加した後の結
果を表1Bに纏めた。この結果からわかるように、違う酸を異なる濃度で使うと、pHと
粒径を管理することができるが、これらを緩衝液に使った場合、6以上のpHとすること
ができる。
【0164】
【表3】
【0165】
例37: Ag
0.5Cu
0.5Iナノ粒子の合成
この方法で「固溶体」すなわち、CuIとAgIの明白な液相はないが、一つの金属が
固体の結晶または非結晶格子構造にわたってランダムに別の金属に代用されるものを得た
。10gのPVP(10,000MW,Sigma Aldrich Cat.#PVP
10)を40mlのDI水(18Mohm−cm)に溶解し、0.0246g(0.14
5mmol)の硝酸銀(≧99.0%ACS試薬Sigma Aldrich Cat.
#209139)を添加した。この淡黄色の溶液に0.0350g(0.145mmol
)の硝酸銅三水和物(≧98%Sigma Aldrich Cat.#61197)を
添加し、暗黄色の溶液を得た。別の容器に0.0481g(0.29mmol)のヨウ化
カリウム(≧99.0%ACS試薬Sigma Aldrich Cat.#60400
)を10mlのDI水(18Mohm−cm)に溶解し、銀に滴下(0.34ml/分)
して硝酸銅PVP溶液を得た。その結果、ヨウ化銀・銅(Ag
0.5Cu
0.5I)の固
溶体の淡黄色の分散液を得た。分散液の希釈試料へ動的光散乱によって29nmの平均粒
径が確認された。
【0166】
例38: Ag
0.25Cu
0.75Iナノ粒子の合成
ヨウ化銀・銅固体のナノ粒子分散液を例#37の通り調製したが、唯一の違いは、金属
イオンのモル濃度をAg
0.25Cu
0.75Iの式に従って調製したことである。分散
液の希釈試料へ動的光散乱によって10nmの平均粒径が確認された。
【0167】
例39: Ag
0.75Cu
0.25Iナノ粒子の合成
ヨウ化銀・銅固体のナノ粒子分散液を例#37の通り調製したが、唯一の違いは、金属
イオンのモル濃度をAg
0.25Cu
0.75Iの式に従って調製した。分散液の希釈試
料へ動的光散乱によって8nmの平均粒径が確認された。
【0168】
例40: 多孔質粒子へ金属と無機金属化合物の注入
この例は抗菌作用のある組成物の合成と抗菌試験について明らかにする。同組成物は、
ヨウ化銅、臭化銅および塩化銅からなる群より選定されるハロゲン化銅粒子とハロゲン化
銅粒子を注入された多孔質担体粒子によって構成され、微生物の環境に抗菌効果が発揮さ
れるのに有効なイオンの量が放出されるように、担体粒子がハロゲン化銅粒子を安定化さ
せるものである。
【0169】
ハロゲン化銅・多孔質粒子の組成物は多孔質シリカ担体粒子にハロゲン化銅を注入する
利用された二つのプロセスの実施態様によって立証される。これらの方法は、反応沈殿お
よび/または溶媒の蒸発によって他の金属化合物(他の金属ハロゲン化物を含んでいる)
を含んでいるためにも使うことができる。担体粒子に注入される物質の量を増やすために
、金属ハロゲン化物の濃縮液(飽和溶液または飽和に近い溶液)を使うことができる。一
度細孔に溶液を注入すれば、金属化合物が粒子(細孔の表面を含んでいる)の表面に堆積
されるように多孔質粒子を除去し、乾燥させる。金属ハロゲン化物の濃度をさらに増やす
ために、すでに堆積されたものが可溶化しないために飽和溶液または飽和に近い溶液を使
ってこのプロセスを数回繰り返すことができる。Silicycle Inc.(カナダ
、ケベック市)社からのさまざまな種類の多孔質シリカ粒子を利用した。多孔質シリカ粒
子はIMPAQ(登録商標)角ばったシリカゲルB10007B親水性シリカで、その平
均粒径は10μm(細孔径が6nm、細孔容積が約0.8ml/g、表面積が>450m
2/g)、0−20μmの粒径のシリカ(細孔径が6nm、細孔容積が500m
2/g)
;や0.5−3μmのシリカ(製品番号R10003B、細孔径6nm)等であった。
【0170】
方法1
0.6gのCuI(Sigma Aldrich社製,純度98.5%)を常温で20
mlのアセトニトリルに溶解した(約0.68gのCuIが溶液を蒸発させたからである
)。この溶液に1gのシリカ粉末(0−20μm)を添加した。この溶液を常温で3時間
攪拌(この場合、時間を数秒から3時間以上に変えることができる)し、0.45μmナ
イロンフィルター(Micron Separations Inc社製、Westbo
ro,MA)を使ってろ過し、最後に70℃で乾燥させた。ヘラを使って材料を容易に細
かい粉末に砕くことができる。このシリカの民間試験所での誘導結合プラズマ(ICP)
による原子吸光分析で銅は重量でシリカの1.88%だったことが確認された。
【0171】
例41: 多孔質粒子へ金属と無機金属化合物の注入
方法2
この方法においてCuIの溶媒は3.5M KIの水溶液だった。KI溶液は29gの
KIを40mlの脱イオン水に溶解・攪拌し、水を添加し、最終容積を50mlにするこ
とによって得られた。配合後KI溶液の容積は50mlと測定された。1.52gのCu
Iを添加し、常温で攪拌した。溶液がすぐに黄色になり、次の日にやや黒くなった。この
溶液を6ml取り、0.5gの多孔質シリカ担体粒子(0.5から3μm)を添加し、6
時間にわたって攪拌した。シリカ粒子をろ過した後、シリカの表面にくっ付いていたCu
Iを沈殿させるために水を添加した。このシリカの誘導結合プラズマ(ICP)AA装置
による分析で銅は重量でシリカの1.46%だったことが確認された。
【0172】
例42a: 湿式研削によるポリウレタン/CuI分散液の調製
サンプルをNetzsch Premier Technologies LLC(E
xton PA)製モデル名Minicer(登録商標)の湿式粉砕機で研削した。粉砕
ビーズはYTZセラミックス(半径300μm)製だった。粉砕機の中もセラミックスが
内張りされていた。水媒体を使って粒径を細かいものに砕くのに純度99.9%のCuI
を使った。2種類の水媒体が使われた。一つは、Lamberti SpA,(Gall
arate,イタリア)社から入手した商標名ESACOTE(登録商標)の脂肪族ポリ
ウレタン71/N水分散液(固体35%)で、これは家具用水性ワニスと金属コーティン
グに使われる。そして、もう一つはPVP(Aldrich 分子量10,000)水溶
液だった。
【0173】
ポリウレタン分散液は100mlごとに10gのヨウ化銅を添加することによって得た
。研削が進むに連れて粘度が増加し、分散液を7%n−エチルピロリドンと重量で93%
の水の混合液で希釈した。60mlの希釈液をプロセス全体を通して添加した。当初のサ
ンプルは50グラムのCuIと500グラムのPU分散液だった。ここで注目すべきこと
は、研削された粒子の表面はPU分散液(疎水性ポリウレタン、界面活性剤とその他の添
加剤からなる)によって機能化された。合計60グラムの7%1−エチル−2−ピロリド
ンを、粉砕プロセス全体を通して定期的に以下の通り添加した。75分経過後25グラム
、105分経過後10グラム、120分経過後15グラム、そして150分経過後10グ
ラムを添加した。粉砕機から約100mlの製品を75分と105分後(溶媒を添加する
前)採取し、残りを210分経過後取り出した。プロセスが終了した時点で、CuIを含
めて総固形分は35%、ポリマー含量は27.2%、そしてポリマーに対するCuIの比
率は28.6%だった。研削中最高の温度が38℃だった。研削が210分経過した時点
で粒径を測定した。装置における循環速度と攪拌速度は6で設定された。粒径の測定はH
ORIBAレーザー散乱粒径分布解析器(モデルLA−950A)で行った。平均粒径は
68nmで、標準偏差は7.4nmだった。研削された粒子を含んでいる分散液の安定性
を試験するために粒径を次の日に再び測定したら、平均粒径は70nmで、標準偏差は8
.2nmだったことが判明した。
【0174】
例42b: 湿式研削によるPVP/CuI分散液の調製
PVP分散液の製剤は480グラム:CuI20グラム、PVP(Aldrich 1
0,000MW)60グラムと脱イオン水400グラムだった。研削パラメーターは42
aと同じで、上記と同様な条件下(例42a)でサンプルを研削が45分、120分と2
10分経過した時点で採取し、粒径(平均)は前述のHORIBAレーザー散乱粒径分布
解析器で測定したら、それぞれ920nm(2峰性分布で、ピークが170と1,500
nmだった)、220nmと120nmだった。
【0175】
6.細菌、ウィルスと菌類に対する粒子分散液の抗菌の試験
a.微生物分析
機能化された粒子の抗菌効果を以下の標準法を利用して評価した。
【0176】
微生物分離株の保存と調製:
試験用細菌を、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC,Mana
ssas,VA)またはアリゾナ大学(Tucson,Arizona)から入手: E
scherichia coli(ATCC #15597),Enterococcu
s faecalis(ATCC #19433),Pseudomonas aeru
ginosa(ATCC #27313),Staphylococcus aureu
s(ATCC #25923),Mycobacterium fortuitum(A
TCC #6841),Salmonella enterica serovar T
yphimurium(ATCC 23564),およびStreptococcus
mutans(ATCC #25175)-。銅に対する抵抗力のある株のEscher
ichia coli 77−30013−2をDr.Chris Rensingから
、そしてBacillus Cereusをアリゾナ大学、(Tucson,Arizo
na)のDr.Helen Jostから入手した。
【0177】
これらの研究で使われた微生物分離株は、200rpmの軌道シェーカーの上でトリプ
シン寒天培地(TSA; Difco,Sparks,MD)を用いて37℃で、または
トリプシン液体培地(TSB)を用いて37℃で通常の方法で培養された。M.fort
uitumの場合、微生物の集合体の形成を抑止し最終濃度が0.1%(v/v)になる
ように培養液にTween80(ポリエチレングリコールソルビタンオレイン酸モノエス
テル;Sigma Aldrich,St.Louis,MO)を添加した。
【0178】
ウィルスの保存と調製:
試験ウィルスをATCCまたはテキサス州ヒューストンにあるベイラー医科大学、から
入手: MS2大腸菌ファージ(ATCC#15597−B1)とポリオウィルス1(株
LSc−2ab)をテキサス州ヒューストンにあるから入手した。
【0179】
MS2を以下の方法で保存した: 0.8%のバクト寒天(Difco,Sparks
,MD)を含有する約5mlの軟寒天のTSAの入った試験管をE.coliの一晩培養
(物)とMS2の約1x10
5プラーク形成単位(PFU)にて45℃で接種した。軟寒
天重層分散液をゆっくりボルテックスさせ、TSAプレートの全体にわたって均一に上か
ら注いで、凝固させた。37℃で24時間にわたって培養した後、6mlの無菌リン酸緩
衝生理食塩水(PBS;pH7.4;Sigma−Aldrich,St.Louis,
MO)を寒天重層に添加し、25℃で2時間静置した。培養後、細菌デブリをペレット化
するためにPBS分散液を採取し、遠心分離(10分間、9,820xg)した。MS2
を含んでいる残りの上清を1.5%牛肉エキスに浸水された0.22μm(Millex
;Millipore,Bedford,MA)の使用寸前まで4℃で無菌のチューブに
保管された膜を使って濾過した。MS2の滴定濃度を測定するために、前述の二重寒天重
層方法を使った。しかし、37℃で24時間培養した後、PFU/mlの数を確認するた
めに、MS2をプラーク形成によって列挙した。
【0180】
ポリオウィルス1(菌株LSc−2ab)を以下のように保存した: ポリオウィルス
1を(全体容積の100mlに付き)5mlの子牛(の)血清(CS;HyClone
Laboratories,Logan,UT),3mlの1M HEPES緩衝液(M
ediatech Inc.,Manassas,VA),1.375ml of 7.
5%重炭酸ナトリウム(Fisher Scientific,Fair Lawn,N
J),1mlの10mg/mlカナマイシン(HyClone Laboratorie
s,Logan,UT),1mlの100X抗菌−抗真菌(HyClone Labor
atories,Logan,UT)と1mlの200mMグルタミン(Glutama
x;HyClone Laboratories,Logan,UT)を37℃で5%C
O
2を含有する最小必須培地(MEM,Earleの塩類で改質;Irvine Sci
entific,Santa Ana,CA)を含んでいるBGM(Buffalogr
een monkey腎臓;米国環境保護庁のDan Dahlingから入手,Cin
cinnati,OH)細胞単層の入った細胞培養フラスコに保存した。
【0181】
ウィルスをBGM細胞単層を接種することによって繁殖させた。細胞単層の≧90%が
破壊されたことが観察されたため、細胞栽培フラスコを−20℃で凍結した後3回連続を
解凍し、宿主細胞からウィルスを放出した。次に、懸濁培養を遠心分離(1000xg
for 10min)し、細胞デブリを除去した。その後、ポリエチレングリコール(P
EG;9%w/v)と塩化ナトリウム(5.8%w/v)で一晩中4℃で沈殿させた。(
Black et al.“Determination of Ct values
for chlorine resistant enteroviruses,” J
.Environ.Sci.Health A Tox.Hazard Subst.E
nviron.Eng.44: 336−339,2009).一晩中培養した後ウィル
ス分散液を遠心分離(9,820xg for 30min at 4℃)し、ウィルス
ペレットを10mlPBSに再溶解した。ウィルスの単分散を促進するためにVertr
el XF採取を1:1の比率で実施し、脂質(7,500xgで遠心分離を15間4℃
で実施)を除去した(Black et al.,2009)。ウィルスを含んでいる上
水層を、ピペットを用いて丁寧に除去し、滅菌された低温バイアルに一定分量(1ml)
を入れた(VWR,Radnor,PA)。Bidawid et al.,“A fe
line kidney cell line−based plaque assay
for feline calicivirus,a surrogate for
Norwalk virus.” J.Virol.Methods 107: 163
−167(2003)に説明されたポリオウィルス1のウィルス滴定を10層段階希釈プ
ラーク形成定量を使って行った。6−well組織栽培プレート(Corning In
c.,Corning,NY)におけるBGM細胞単層を0.025M TRIS緩衝食
塩水[3.68Lの超高純度H
2Oにおける0.32L TBS−1(31.6g/L
Trizma base,81.8g/L NaCl,3.73g/L KCl,0.5
7g/L Na
2HPO
4−無水)]で2回洗った後、ウィルスを10倍連続希釈した0
.1mlで接種し、30分間37℃で培養した。この培養時間の後、(100mlに付き
)0.75%のBacto−agar(Becton,Dickenson and C
o.,Sparks,MD)MEMのソフトな溶液3ml、2%FBS(HyClone
Laboratories,Logan,UT)、3mlの1M HEPES緩衝液(
Mediatech Inc.,Manassas,VA)、1mlの7.5%重炭酸ナ
トリウム(Fisher Scientific,Fair Lawn,NJ)、1ml
の10mg/mlカナマイシン(HyClone Laboratories,Loga
n,UT)、1mlの100X抗菌−抗真菌(HyClone Laboratorie
s,Logan,UT)と1mlの200mMグルタミン(Glutamax; HyC
lone Laboratories,Logan,UT)を各wellに重層として添
加し、凝固させた。次に、プレートを37℃で2日間5%CO
2に培養させた。培養後、
寒天重層を除去し、細胞単層を0.5%(w/v)クリスタル・バイオレット(Sigm
a−Aldrich,St.Louis,MO)に染料し、超純水に溶解し、95%エタ
ノールと1:1の比率で混合した。プラークを数え、感染性ウィルスを列挙した。
【0182】
カビ(菌)の保存と調製:
試験用カビをアリゾナ大学(Tucson,Arizona)から入手: Penic
illiumおよびAspergillus niger isolatesをDr.C
harles Gerbaから入手した。
【0183】
Penicillium and Aspergillus niger isola
tesをサブロー培地(Neogen Corporation,Lansing,MI
)斜面に25℃で保存した。子実体を含んでいる成熟した斜面培養を数回滅菌したPBS
10mlで洗浄して胞子を解放した。胞子分散液を15mL円錐形チューブに移し、胞子
を分散させるためにボルテックスした。
【0184】
1)殺菌検定
一晩の分散液を遠心分離(9,820xg,15min,20℃,JA−14ロータ,
Beckman J2−21円心機; Beckman Coulter,Inc.,F
ullerton,CA)によって収穫し、100mlの無菌のPBSに再懸濁した。上
述の遠心分離プロセスをさらに2回実施し、最終収穫を10mlのPBSに再懸濁した。
微生物分散液をPBSに光学混濁度(BIOLOG濁度計、Hayward,CAを使っ
て測定)がMcFarland No.0.5基準同等になるように調製した。PBSの
入った無菌の50mlポリプロピレン円錐形チューブ(Becton Dickinso
n社,Franklin Lakes,NJ)を試験分散液に最終濃度が約1.0x10
6CFU/mlになるように接種した。本発明の機能化された粒子を10ppm銀か59
ppm銅で評価した。次に、試験サンプルを実験中25℃で軌道シェーカー(300rp
m)に乗せた。事前に決めた間隔(例えば、1,3,5と24時間)100μlのサンプ
ルを採取し、Dey Engley中和培養液(D/E; Difco,Sparks,
MD)で1:10の比率で中和させた。微生物サンプルを連続的に無菌PBSにおいて希
釈し、spread plate method(Eaton et al.,“Spr
ead Plate Method,” in Standard Methods f
or the Examination of Water & Wastewater
,21
st ed.,American Public Health Associa
tion,Washington,DC,pp.9−38 - 9−40.9215C.
2005)を使って37℃で24時間(E.coli,P.aeruginosa,S.
aureus,and E.faecalis)または48と72時間(M.fortu
itum and S.mutans)にわたって列挙した。
【0185】
多孔質シリカ粒子の抗菌性質の評価:
CuIを含んでいる多孔質シリカ粒子とCuIを含まない多孔質シリカ粒子の実験を2
50ml Erlenmeyerフラスコに入った100mlの無菌のPBSに実施した
。微生物分散液を1.0x10
6CFU/mlの最終濃度に添加した。粉末シリカサンプ
ルを100mlのPBSに付き0.1g乾燥重量で試験した。微生物を含んでいるが、粒
子を添加しないコントロールも含んだ。粉末シリカサンプルを各フラスコに入れ、実験の
実施中攪拌プレート(VWR VMS−C7,VWR,Radnor,PA)を使って分
散した。事前に決めた間隔(例えば、15分,1,6と24時間)で1mlサンプルを採
取し、Dey Engley中和培養液(D/E; Difco,Sparks,MD)
に1:2の比率で中和させた。
【0186】
2)ウィルス殺滅アッセイ
ポリオウィルス1実験を50mlの無菌ポリプロピレン円錐形チューブ(Becton
Dickinson and Company,Franklin Lakes,NJ
)に入った10mlの無菌PBSに実施した。MS2実験を250mlの滅菌性パイレッ
クス(登録商標)ビーカーに入った50mlの無菌のPBSにおいて実施した。純ウィル
スのを約1.0x10
6PFU/mlの最終試験濃度を達成するためにチューブ/ビーカ
ーに個別に添加した。本発明の機能化された粒子を10ppm銀か59ppm銅で評価し
た。次に、試験サンプルを実験中軌道シェーカー(300rpm)に乗せ、実験を25℃
で実施した。事前に決めた間隔(例えば、3,5,7と24時間)で100μlのサンプ
ルを採取し、Dey Engley中和培養液(D/E; Difco,Sparks,
MD)で1:10に比率で中和した。機能化された粒子の効果性を上述のウィルスの保存
と調製のところで説明した寒天重層法に基づいて決定した。
【0187】
3)カビ殺滅アッセイ
PBSを含んでいる無菌の50mlのポリプロピレン円錐形チューブ(Becton
Dickinson and Company,Franklin Lakes,NJ)
を約1.0x10
6CFU/mlのカビ胞子分散液で接種した。本発明の機能化された粒
子を10ppm銀または59ppm銅で評価した。次に、試験サンプルを実験中軌道シェ
ーカー(300rpm)に乗せ、実験を25℃で実施した。事前に決めた間隔(例えば、
1,3,5と24時間)で100μlのサンプルを採取し、Dey Engley中和培
養液(D/E; Difco,Sparks,MD)で1:10に比率で中和した。カビ
のサンプルを無菌のPBSに連続的に希釈し、spread plate method
(Eaton et al.,“Spread Plate Method,” in
Standard Methods for the Examination of
Water & Wastewater,21
st ed.,American Pub
lic Health Association,Washington,DC,pp.
9−38 - 9−40.9215C,2005)を使って25℃で48と72時間にわ
たって列挙した。
【0188】
4)光学混濁度測定に基づく抗菌作用の決定
抗菌粒子を含んでいるものと含まない細菌懸濁液の菌発育を濁度測定を利用して把握し
た。濁った懸濁液が生物量の発育または増菌を示し、透明な懸濁液は生物量の発育または
増菌を示さなかった。菌が発育しないことは抗菌粒子の効果性と関連している。光学混濁
度をEppendorf Bio Photometer cuvette reade
r(Eppendorf North America,Inc,Enfield,CT
)またはBiotek Synergy 2 multiwell plate rea
der(Biotek Inc.,Winooski,VT)のような分光光度計を使っ
てモニターした。
【0189】
5)細菌胞子の発芽に対する作用の把握
胞子の調製:1リットルの培養物をtrypticase soy前培養からの指数増
殖期の細胞で接種したtrypticase soy broth(TSB; Difc
o,Sparks,MD)の入ったErlenmeyerフラスコにおいて培養した。培
養物を回転式シェーカーの上で200rpmで37℃で培養した。胞子の発育は位相差顕
微鏡法に基づいて可視化した。培養物を72時間後に収穫した。収穫と洗浄はすべて25
℃で行った。胞子を遠心分離によって収穫し、1M KCLおよび0.5M NaClを
含んでいる溶液の4分の1の培養液量で再懸濁した。遠心分離を繰り返し、培養物を1m
lに付き1mgのリゾチームを含んでいる50mM Tris−HCL(pH7.2)の
10分の1の培養液量に再懸濁した。次に、細胞懸濁液を37℃で1時間培養した後、1
M NaCl、脱イオン水、0.05%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、50mM
Tris−HCl、pH7.2、10mM EDTAと3つの更なる脱イオン水での洗
浄ステップからなる代替の遠心分離と洗浄を実施した。胞子懸濁液に80℃で10分間熱
ショックを与え、使用まで4℃で保存した。(Nicholson,W.L.and P
.Setlow.1990.胞子形成、発芽と発育。pp.391−450.In Ha
rwood,CR and Cutting,SM(eds.)Molecular b
iological methods for Bacillus.John Wile
y & Sons,New York).
【0190】
発芽検定。2mlのポリプロピレンチューブを常温で24時間に渡って約2pMまたは
59ppmのナノ粒子で処理されたB.cereusの胞子懸濁液で接種した。24時間
にわたる培養後、懸濁液を13,000xgで遠心分離することによってペレット化し、
上清を除去し、処分した。ペレットを200μlのTSBに再懸濁した。次に、チューブ
を24時間に渡って25℃と37℃で培養した。ナノ粒子の化学性質と24時間培養した
後B.cereus胞子の発芽特性を600nmの波長の光学的混濁度(Eppendo
rf Bio Photometer)で測定した(OD600)。
【0191】
例43: 標的微生物に対する粒子懸濁液の抗菌効果について
上記の結果は表2から9に使われた試料のすべての変化を示していない。公式のナンバ
ーはこれらの表におけるとの関連付けを示すものに過ぎない。これらの表におけるすべて
のサンプルはPROCEDURE SET 1(例1〜20)に基づいて調製された。
【0192】
説明のために、表2における式#E33
Bは、粒子がPVPとTGNで表面改質された
ヨウ化銀と臭化銅を含んでいる異なる機能化された金属ハロゲン化物から構成される。こ
の式は例16のプロセスを利用して作成された。本製剤において銀がヨウ化物より5.6
ppm多いため、銀化学量論はヨウ化塩ナトリウムに比べ56%多かった。
【0193】
別段の記載がない限り、微生物に対するすべての試験において10ppmの金属銀濃度
が得られるように溶液を希釈した。
【0194】
この例は7つの病原性種に対するさまざまな二元の混合金属ハロゲン化物の組成物の試
験とその効果性を示す。標的微生物に対するさまざまな化学性質と表面改質で調製された
広範な粒子の抗菌効果の評価の結果を下記の微生物について表2から9に示した。: E
.coli(ATCC 15579)、表2; P.aeruginosa(ATCC
27313),表3; M.fortuitum(ATCC 6841),表4; S.
aureus(ATCC 25923)、表5; E.faecalis(ATCC 1
9433)、表6; 耐銅E.coli(77−30013−2)、表7; MS2 c
olliphage(ATCC 15597−B1)、表8; Poliovirus(
PV−1,LSc−2ab)、表9。
【0195】
以下の表において使われた略号は下記の通りである:
アミノ酸重合調整剤のコラム: Leu=Leucine; Lys=Lysine;
Asp=Aspartic acid; PVP=Polyvinylpyrroli
done. Thiol Modifier Column: AT=Aminothi
ol; TGO=Thioglycerol; TGN=Thioglycine; T
LA=Thiolactic acid; TMA=Thiomalic acid;
TOA=Thiooctic acid; TS=Thiosilane.
【0196】
式のナンバーの下付き文字[記号]: R#=“#”回同じサンプルで試験の繰り返し
すなわち、R1はこのサンプルの一回目の繰り返しである。“R”以外の文字はサンプル
が再調製されたことを表している。例えば、Aは最初のリメークで、Bは2回目のリメー
クである。
【0197】
表2〜9のヘッダー(見出し)は以下の通りである: “Formula #”(式)
は内部のトラッキング・ナンバーで、“1℃onstituent(%weight)”
(成分%重量)は金属成分と最初の金属ハロゲン化物粒子における重量パーセントを指す
;“1 Halogen”(ハロゲン)は一次金属ハロゲン化物塩粒子におけるハロゲン
を指す;“2℃onstituent”((成分)は二次金属ハロゲン化物粒子における
金属成分を指す;“2° Halogen”(ハロゲン)は二次金属ハロゲン化物塩粒子
におけるハロゲンを指す;“AA Modifier(重合調整剤)(Ag:AA,in
mol)”は溶液における粒子(もしあれば)を安定化させるために使われたアミノ酸
やポリマー、そして胞子におけるその銀とアミノ酸/ポリマー比を指す;“Thiol
modifier(チオール重合調整剤)(Ag:SH)”は水における粒子を安定化さ
せるために使われたチオール重合調整剤、そして胞子における銀とチオールの比率を指す
;“Exposure time(暴露時間)”は本発明の組成物でコーティングされた
試料に微生物サンプルを暴露した時間(通常時間(hr)で示す)を指す;“Log
10
”は対数尺度でコントロールに対し結果として生じる細菌数の減少を指す。
【0198】
【表4】
【0199】
表2は、4ログ(lоg
10)以上も減少する(すなわち、1万の微生物のうち1つの
微生物が生存すること)傾向のある機能化された粒子の選択的組み合わせに5時間暴露さ
れたE.coli微生物の数を示す。特に、式e E−33
Bすなわち、PVPとTGN
で機能化されたAgIとCuBr粒子の組み合わせはE.coliの4.32log
10
a相当の減少を示す。また、式H−02
Bすなわち、PVPのみで機能化されたAgBr
/CuI粒子の組み合わせは最大(4.8log
10以上)のE.coliの減少を示し
た。
【0200】
【表5A】
【表5B】
【表5C】
【表5D】
【0201】
表3はP.aeruginosaに対し機能化された金属ハロゲン化物の組み合わせの
一部の結果を示す。驚くことに、試験時間の5時間にわたって少なくとも5log
10の
減少を発揮する銀ハロゲン化物と銅ハロゲン化物粒子の組み合わせが29種類もある。P
.aeruginosaに対する結果から、機能化された金属銀ナノ粒子のみを使う場合
に比べ、機能化された銀ハロゲン化物と銅ハロゲン化物ナノ粒子の方がはるかに効果的で
あることが明らかである。機能化された金属銀ナノ粒子のみが0.93log
10程度の
減少、機能化された臭化銀粒子が3.68log
10程度の減少、そしてヨウ化銀粒子が
0.97log
10(データを図示していない)しか示さなかった。式A−07(図示し
ていない)を除いて、塩化銀ナノ粒子がP.aeruginosaに対してあまり効果を
発揮しなかった。5log
10以上の減少は29の結果に発揮されていることから、機能
化された銀ハロゲン化物ナノ粒子のみより機能化された銀ハロゲン化物粒子と機能化され
た銅ハロゲン化物粒子の組み合わせがより効果的であることが言える。また、ハロゲン化
物は二つのカチオンが異なる機能化された銅ハロゲン化物粒子と機能化された銀ハロゲン
化物粒子の組み合わせがより高い抗菌効果を示す。ここで注目に値することは、CuI−
PVPの二つの例、式G−01とI−1はそれぞれ5.35と5.30と言った銀ハロゲ
ン化物微粒子なしでlog
10ほどの減少を記録した。
【0202】
【表6A】
【表6B】
【0203】
表4は、M.fortuitumに対して機能化された金属ハロゲン化物粒子の試験の
結果を示す。表4におけるM.fortuitumに対する結果から明らかなように、金
属ハロゲン化物粒子は著しい死菌効率を示し、5つの例の場合、48時間内に4log以
上の細菌密度の低下が見られた。(抗酸菌は通常細菌に比べ有糸分裂が遅いということが
知られているため、P.aeruginosaまたはE.coliに比べM.fortu
itumの暴露時間が長かった。)M.fortuitumに対するこれらの結果は、本
機能化された粒子がM.tuberculosisはもちろん、通常の抗生剤に耐性を持
つM.tuberculosisに対しても効果的であることを示唆する。なぜなら本抗
菌剤の抗菌作用の仕組みが通常の抗生剤のそれとかなり違うからである。特に、単独のC
uI粒子のみが組み合わせより劣っていて、ハロゲン化銀とハロゲン化銅粒子間の相乗効
果を示唆している。
【0204】
【表7】
【0205】
表5は、S.aureusに対して機能化された金属ハロゲン化物粒子の試験の結果を
示す。グラム陽性菌に対して機能化された粒子の抗菌効果の調査は多くなかったが、S.
arueusに対する結果は励まされるもので、24時間以内に5log異常の細菌密度
の低下が確認できた。(式E−30
C,AgI/CuBr−PVP,>5.19log
1
0).
【0206】
【表8】
【0207】
表6は、E.faecallisに対して機能化された金属ハロゲン化物粒子の試験の
結果を示す。これらの結果から明らかなように、本機能化された粒子がenteroco
cciに対しても効果的である。同表から分かるように、機能化された粒子の組み合わせ
は、特に、E−33
C(AgI/CuBr−PVP−TGN)とH−04
B(AgBr/
CuI−PVP−TGN)の場合、24時間以内に5log
10以上の細菌密度の低下を
もたらした。特に、ヨウ化銅の例すなわち、G−01
B(CuI−PVP)はハロゲン化
銀とハロゲン化銅の組み合わせと同等またはそれを超える効果を示した。
【0208】
【表9】
【0209】
表7は、銅に対し耐性を持つE.coliに対して機能化された金属ハロゲン化物粒子
の試験の結果を示す。本機能化された粒子の組み合わせを微生物に対して試験をしたら、
5時間以内に3logに近い細菌密度の低下を確認することができた。(表7を参照)。
特に、式E−33C(AgI/CuBr−PVP−TGN)の場合、約3logの99.
9%(log
102.93)低下が確認された。
【0210】
【表10A】
【表10B】
【0211】
表8は、違う属、すなわち、bacteriophageに対して機能化された金属ハ
ロゲン化物粒子の試験の結果を示す。Bacteriophageは細菌を攻撃するウィ
ルスである。MS2coliphageに対する機能化された金属ハロゲン化物粒子の結
果を表8に示した。細胞培養を使って試験を行う必要のないウィルスに対する効果を確認
するために、本機能化された粒子をbacteriophageに対して試験した。表8
から明らかなように、本機能化された粒子の組み合わせはこのbacteriophag
eの細菌密度の低下に非常に効果的で、24時間以内に5logを超える低下を得ること
ができた。
【0212】
【表11】
【0213】
表9に示された一部の結果のように、ポリオウィルスに関して試験が実施され、バクテ
リオファージに対して得られた結果ほどではなかったが、有望なものが得られた。24時
間以内に3つ以上の細菌密度が低下するという、機能性CuI銅粒子がポリオウィルスに
対して効果的であることが確認された。ポリオウィルスに対する試験のもう一つの有望な
結果は、今回のような細胞培養が観察されたことで、培養における細胞生死判別および生
殖作用に対して機能性粒子の悪影響がまったくなかった。
【0214】
表2〜9のデータから明らかなように、金属ハロゲン化物を含めて本発明の実施形態か
らなる機能性粒子を利用して細菌密度に著しい低下が得られる。グラム陰性菌の中で大腸
菌に比べてP.aeruginosaが一般的に殺菌しにくいため、P.aerugin
osaに関して多くのデータが提示された。
【0215】
例44: B.cereus芽胞に対し機能性ハロゲン化銀、変性ハロゲン化銀および
混合金属ハロゲンナノ粒子の効果性の確認
すべての前述した化学類が参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0216】
a)原液とゾルの生成:
1%アラニン溶液
アラニンの1%w/w水溶液が4.95gの水に0.05gのアラニンを溶解し、透明
な液が得られるまで攪拌して得られた。
Cu
2+を余分に含んでいるCuI粒子の調合液(例18を参照)
CuI粒子の調合液(例17を参照)
AgBr粒子の調合液(例5を参照)
2.5%CuBrを添加したAgBr粒子の調合液
【0217】
CuBr溶液: 0.0106gの臭化銅(I)を0.500g48%臭化水素酸に溶
解した後、16gの水で薄め、透明な液が得られるまで攪拌し続けた。
【0218】
0.2079g硝酸銀を13.682gの水に溶解した後3.30g10%w/wPV
P(MW10,000)水溶液を加えた。最後に、上述の6.810gのCuBr−溶液
を攪拌しながら滴下した。金属銀の計算に基づいて得られた銀の濃度が0.55%w/w
で、Ag/Cu比率がmol/molで40/1(2.5%)だった。この手順によって
主に臭化銅も含んでいるAgBr粒子が得られる(AgBr粒子にCuBrまたは混合ハ
ロゲン化物を添加)。
【0219】
2.5%CuBrを添加したAgI粒子の生成
CuBr溶液: 0.0106gの臭化銅(I)を0.048g48%臭化水素酸に溶
解した後、8gの水に溶解し、透明な液が得られるまで攪拌し続けた。
【0220】
0.2079gの硝酸銀を12gの水に溶解した後、3.30g10%w/wPVP(
MW10,000)の水溶液を添加した。3.324gの上述のCuBr溶液を攪拌しな
がらこれにゆっくりと滴下した。
【0221】
最後に、0.1628gのヨウ化ナトリウムの溶液がゆっくりと5gの水に滴下され、
粒子が形成されるように一晩中撹拌し続けた。金属銀の計算に基づいて得られた銀の濃度
が0.55%w/wで、Ag/Cu比率がmol/molで40/1(2.5%)だった
。
【0222】
b)機能性粒子サンプルの生成:
以下の表10と11に示した順に完全に密閉されたビンに上述の通り生成した成分を攪
拌しながら配合することによってサンプルが調製された(「NP」はナノ粒子を表す)。
表10がアラニン(ALA)によって表面改質された調製を、そして表11がPVPによ
って改質された調製を表す。
【0223】
【表12】
【0224】
【表13】
【0225】
L−アラニン(ALA)またはPVPで機能化された粒子に対する芽胞の発芽反応が、
24時間の静的潜伏期間後に測定された。結果は
図1の通りで、“−Ala”接尾辞の付
いている粒子はL−アラニンによって機能化されたものである。
【0226】
図1からわかるように、管理されたB.cereus芽胞サンプルが栄養条件下で光学
濃度の著しい増加(成長)傾向を示し、指定の機能化された金属ハロゲン化物粒子で処理
されたB.cereus芽胞が同じ栄養条件下で光学濃度の変化(成長)をほとんど示さ
なかった。また、これらの試験に使われた特定の機能化された粒子以外に機能化されたナ
ノ粒子を含めて本発明の機能化された粒子を芽胞の不活性化に使うこともできる。L−ア
ラニンがいくつかの試験に機能化剤として使われたが、他のアミノ酸やアミノ酸の組み合
わせを使うこともできる。
【0227】
例45: CuI粒子の対芽胞成長抑制効果
図2は、B.cereus芽胞の成長に対するCuI/PVPの抑制効果を表すバーチ
ャートである。CuI/PVPの懸濁液が例28のように生成され、CuI/PVPと細
菌培養液からなる最終培地における銅濃度が59ppmだった。CuI/PVPがB.c
ereusの芽胞の成長を抑制するのに効果的であることが、この図から明らかである。
実際には、スタート時の胞子濃度に比べてそれを若干減少させることもできる。
【0228】
例46〜52: 粒子懸濁液を使ったその他の抗菌効果
以下の微生物に対し抗菌試験が実施された。:
例46−Pseudomonas aeruginosa(ATCC 27313)(
表13)
例47−Staphylococcus aureus(ATCC 25923)(表
14)
例48−Streptococcus mutans(ATCC 25175)(表1
5)
例49−S.enterica Typhimurium(ATCC 23564)(
表16)
例50−Mycobacterium fortuitum(ATCC 6841)(
表17)
例51−Penicillium(表18)
例52−Aspergillus niger(表19)
【0229】
表12は、抗菌に対する結果を示す表13−19に使われたサンプル、粒径および機能
化の一覧である。この表における粒径は別段の記載がない限り動的光散乱を利用して測定
された。一部の例では、粒径が光吸収または走査電子顕微鏡法(SEM)によって確認さ
れた。動的光散乱の基づく測定の場合、最終的に1センチの路長キュベットにおいて透明
な液が得られるように、ナノ粒子懸濁液の1−2滴が数mlの水(DI水)に薄められた
。粒子が大きい場合、測定直前に溶液をかき回した。サンプルの繰り返し性と再現性を確
保するために測定が何回も繰り返された。大部分の測定は173°の散乱角で後方散乱モ
ードを利用し、周囲温度でMalvern ZetasizerのナノZS光散乱解析器
(Malvern Inc,Westborough,MAから入手)を利用して実施さ
れた。装置の校正に既知サイズ(60nm)の商業用ポリスチレン球を使った。 いくつ
かの測定の場合、光ファイバープローブを利用し後方散乱モードでナノトラック粒子解析
器(Malvern Inc,Westborough,MAから入手)を使った。デー
タが体積割合モードに変換・報告された。
【0230】
【表14A】
【表14B】
【0231】
事例46: 多様な機能性ナノ粒子のP.aeruginosaに対する効果
表13は、金属ハロゲン化物のさまざまな種類やその組み合わせへの暴露および多様な
濃度、大きさや表面改質におけるP.aeruginosaの減少を表わすものである。
これらがすべてさまざまな規制に基づいて試験された(すなわち、金属ハロゲン化物粒子
または既知の抗菌性物質なしで試験された)。同様な条件下ですべてが均一に微生物の成
長をほとんど示さなかったか緩やかな成長しか示さなかったため、規制の結果をここで省
略する。実験はすべてペアで行われた。また、多くの場合、例えば表13のR1(24時
間経過後)が>4.57の対数減少を示す。同じ表において24時間経過後R2も>5.
34の対数減少を示す。しかし、これは前者より後者の結果の方が効果的であることを決
して現していない。これは一定の時間が経過した時点で微生物の数があまりにも少なかっ
たということを示すに過ぎない。従って、これらの表に使われている「>」というシンボ
ルマークは、その実験において最高の対数減少に達したことを意味している。言い換えれ
ば、表示時間の経過後生菌が発見されなかった。第二欄において「S」で始まるサンプル
ナンバーが表12のサンプルナンバーに対応する。表13から表19にかけて同じ結果番
号(欄1の「R」で始まるもの)が使われている場合、同じ調製とバッチが違う微生物に
対して試験されていることを表す。例えば、表13におけるR2の結果がP.aerug
inosaに対して得られ、表14においてS.aureusに対してR2の結果を得る
ために同じ懸濁液が使われた。
【0232】
【表15A】
【表15B】
【0233】
グラム陰性細菌であるP.aeruginosaに対する結果が表13の通りである。
表13における結果のR1とR6(CuIとAgBrの混合物)からわかるように、調整
法を変えながらCuIの粒度を182から4nmに減少させた場合、24時間経過後その
効果が同じで、最大の対数減少が達成される。しかし、小さい粒度は短期間において効果
が大きくて、短時間で対数減少が大きい。同表においてR9が短時間における効果を発揮
し、15分経過した時点で効果が驚くほど高い。R7のようにCuIのみを使った調剤の
場合も高い効果が見られる。上述の調剤において59ppmの銅濃度を含んでいる懸濁液
が使われた。興味深いことに、R5からわかるように、AgおよびAgBrがPVP表面
改質と組み合わせた(両方の銀濃度が10ppmで、合計銀濃度が20ppm)場合、そ
の共同的効果が10ppmを含んでいる濃度(R2とR3)より優れておらず、逆に59
ppm濃度のヨウ化銅の方がこれらよりはるかに上である(R4)。
【0234】
R11のように銅濃度を12ppmに下げた場合、短時間での効果が減少するが、大き
いCuI粒子と高い銅濃度を利用するR1に比べて、24時間経過後同じレベルの効果が
達成できる。金属銀や臭化銀を銀としてヨウ化銅に添加しても(R11をR12またはR
13と比較;またはR7をR8やR9と比較)、効果性が改善されず、CuIが単独でか
なり効果的であることを表す。
【0235】
また、P.aeruginosanoの場合、例えば、オールドリッチからのPVP、
BASFからのPVP、BASFからのVP−VA共重合体、ポリエチレン・グリコール
、そして表面解膠向け酸(結果のR26からR31を参照)等、CuIと違う表面改質が
使われ、これらの懸濁液が最大限に有効であることわかる。AgBrに対する結果のR1
5をR17とR18と比較すると、表面機能化の種類が影響を与え、PVPよりもチオグ
リシン/アスパラギン酸が効果的であることがわかる。さらに、AgBrをAg金属と比
較(R17またはR18をR21と比較)すると、臭化銀を銀として含有(チオグリシン
/アスパラギン酸修正)させた調剤の方が、微生物の濃度を減少させるのに効果的である
ことがわかる。同表における多くの結果からわかるように、P.aeruginosaに
対して金属ハロゲン化物または金属ハロゲン化物と金属を配合したり、違う表面改質の粒
子を使ったりして高い効果を発揮させることもできる。
【0236】
結果のR32とR36が金属濃度60ppmのPVPまたはそれ自身で表面改質したさ
まざまな銀塩(AgBrとAgI)、金属銀と銅塩(CuClとCuI)のナノ粒子と比
較したものである。このデータから明らかなように、この微生物に対してCuIが最大の
効果を発揮し、他の物質は効果が低い。
【0237】
結果のR37からR39が多孔質シリカの粒子の場合である。R37がCuIを一切含
まない粒度0.5から3μmの大きさのシリカ粒子の場合で、結果のR38が例40の方
法(方法1)に基づいてCuIを注入した0から20μmの大きさのシリカ粒子の場合で
ある。これらの粒子における銅金属の含有量が重量で1.9%だった。結果のR39が例
41の方法(方法2)に基づいてCuIを注入した0.5から3μmの大きさのシリカ粒
子の場合である。これらの粒子における銅金属の含有量が重量で1.5%だった。これら
のものが、CuIを含んでいるシリカ粒子とCuIを含まない粒子との懸濁液の抗菌効果
の確認のために試験された。サンプルR38およびR39における銅濃度が、それぞれ1
9および15ppmだった。予想通り、抗菌添加剤を含まないサンプル(結果のR37)
は、抗菌性質を発揮しなかった。他の二つが高い効果性を示した。
【0238】
結果のR40とR47がそれぞれサンプルS43とS50の場合で、これらの実験はP
VPの種類に対する影響や酸の添加の機能性CuIの粒度に対する効果を評価するために
実施された。サンプルS43が例28の手順に従って作成され、オールドリッチPVPを
使っている。他のサンプルは例36bの手順に従い、BASF PVPを使っている。違
うソースからのPVPは利用されたプロセスに基づいて酸度が異なり、違うレベルのpH
調整を必要とする。結果のR42、R44およびR46は、CuIを一切含まないが、酸
を添加したサンプルの場合のものである。微生物を含んでいる緩衝液の試験の際、すべて
の溶液のpHが6以上だった。CuIを含んでいるすべてのサンプルが高い抗菌作用を示
し、CuIを含まないサンプルが大きな抗菌作用を示さなかった。これらの方法で調製し
たすべての機能性粒子が高い抗菌作用を示したことは驚きだったが、その平均的大きさは
約1,000nmから6nmだった。
【0239】
結果のR48からR50(それぞれがサンプルのS51からS53に対するもの)は例
42bに規定されているプロセスを利用して調製された水溶液を含んでいるPVP存在下
で湿式研削によって作られた粒子の懸濁試験の結果である。これらの3つのサンプルは同
じ実験で得られたものだが、違う研削段階で取り出された。これらのサンプルの平均粒度
がそれぞれ120、220と920nmだった。最後のサンプルのS53は平均粒度が9
20nmで、2峰性(の)分布があり、粒子の平均の大きさが170と1,500nmで
最大化していた。これらがすべて高い抗菌効果を示し、粒度の最も小さいサンプル(サン
プルS51に対する結果のR48)程、短時間で最大の効果を発揮した。
【0240】
例47: さまざまな機能性ナノ粒子のS.aureusに対する効果
【表16】
【0241】
表14は、一般的なブドウ球菌感染の原因となるグラム陽性菌のS.aureusに対
する同様な実験の結果を示す。この表においてR4をR3とR2と比較すると、ヨウ化銅
の高い効果についてわかる。Ag金属、AgBr、その組み合わせとCuIに対する結果
を比較すると、P.aeruginosaに対し同様な挙動すなわち、CuIがAg金属
、AgBr、そしてPVP表面改質を含んでいる銀とAgBrの混合物に比べより効果的
であることがわかる。また、結果のR7,R8とR9から明らかなように、粒度の小さい
CuIやAg金属またはAgBrを配合したCuIが非常に効果的である。S.aure
usに関しても、化合物の濃度、金属ハロゲン化物または金属ハロゲン化物と金属の混合
物、そして異なる表面改質の粒子についてP.aeruginosaのような結論に達す
ることができる。
【0242】
例48: さまざまな機能性ナノ粒子のS.mutansに対する効果
【表17】
【0243】
金属ハロゲン化物、特に、ヨウ化銅の全般的な効果性を試験するために、我々は他のい
くつかの微生物に対してもこの物質の機能化ナノ粒子を試験した。その一つは口腔(内)
感染症の場合に一般的である連鎖球菌属細菌のS.mutansだった。表15のR27
とR28から明らかなように、PVPで改質したCuI粒子と共重合体(VP−VA)の
両方がこの細菌の対数減少に効果的だった。
【0244】
例49: さまざまな機能性ナノ粒子のS.enterica Typhimuriu
mに対する効果
【表18】
【0245】
表16から明らかなように、濃度59ppmのPVPで表面改質したCuIが単独また
はチオリンゴ酸とアスパラギン酸(R16)で改質したAgBrとの組み合わせで使用し
た場合、S.entericaという細菌に対して高い効果(R23)を示した。これは
懸濁液に濃度10ppmを含んでいるAgBrを単独で使った場合に比べてより効果的だ
った。(R15)
【0246】
例50: さまざまな機能性ナノ粒子のM.fortuitumに対する効果
【表19】
【0247】
表17は、M.fortuitumに対してこれらの物質の抗菌効果に関するデータを
示している。一般的に、他の微生物に対する濃度と同じ濃度でCuIを使うと効果的であ
る。この微生物に対する効果を上げるためにCuIの濃度を上げることが考えられる。最
大の減少はPVPで改質した銀金属(R2)の場合に見られた。これは臭化銀(R3)や
ヨウ化銅(R29)より高かった。AgまたはAgBrがCuI(それぞれR31とR3
2)と組み合わせた場合、調製が効果的だった。このような組み合わせの対数減少効果は
他の微生物の場合見られなかった。
【0248】
例51: さまざまな機能性ナノ粒子のPenicilliumに対する効果
【表20】
【0249】
菌に対する無機の金属塩の効果を確認するために表18に示す実験をPenicill
iumに対して行った。同表における結果のR27とR28からわかるように、PVPで
改質したCuI粒子と共重合体(VP−VA)の両方が菌の減少に対し効果的だった。
【0250】
例52: さまざまな機能性ナノ粒子のA.nigerに対する効果
【表21】
【0251】
表19は、別の菌A.nigerに対する結果を示す。最大の効果はCuIが単独で使
われた場合である(R35)。
【0252】
例53: 混合金属ハロゲン化物の懸濁液(例37、38と39の方法に基づいて調製
された懸濁液)の抗菌効果試験について
Ag−Cu混合金属ハロゲン化物の抗菌効果試験およびそのCuIとの性能比較が吸光
度法に基づいて実施された。
図5が、ヨウ化銅粒子とAg−CuI混合金属ハロゲン化物
の効果に対する成長の指標としての光学(的)濃度(OD、Y−軸)と、コントロールを
プロットしたバーチャートである。光学(的)濃度が抗菌溶液を混合金属ハロゲン化物(
または混合金属ハロゲン化物の固溶体)で処理した後測定された。低光学(的)濃度が増
殖阻害と高い効果性を示している。Ag
.25Cu
.75I,Ag
.5Cu
.5IとAg
.75Cu
.25IのすべてがP.aureginosa(
図5)およびS.aureu
s(
図6)に対し効果的な抗菌性質を示したが、どれも単独のCuIナノ粒子ほど効果的
ではなかった(CuIが例23と同様な方法で調製された)。また、固溶体においては、
銅含有量が増加するに伴い物質の効果が増大した。
【0253】
例54: 繊維の金属ハロゲン化物によるコーティングとその抗菌試験
機能性粒子の塗布用懸濁液の調製と織物への塗布にこれらの懸濁液の使用に以下の方法
が利用された。
【0254】
a)粒子の調製
GLYMOH−Sol: 0.144gギ酸と1.71gの水をそれぞれ7.5gのGl
ycidoxypropyltrimethoxysilane(GLYMO)に攪拌し
ながら添加し、一晩中攪拌を続けた。
AgBr粒子の調製(例5を参照)
CuI粒子の調製(例17を参照)
Ag°粒子の調製(例3を参照。利用された水の量が9.825gではなく、5.20
2gで、その結果銀濃度が0.61%w/wだった)
【0255】
b)コーティングされた繊維サンプルの調製
i)コーティング懸濁液の調製:
アミン硬化されたPEGコーティング懸濁液が0.80gのポリエチレン・グリコール
(PEG,MW=1,000)を18.056gの水に溶解することによって調製された
。5.36gのGLYMO
H−Sol、6.192gのAgBr粒子、4.624gのC
uI粒子と4.968gの水における2%w/w Jeffamine HK−511が
徐々に撹拌下にPEG液体に垂らされた。この溶液がすぐにコーティングに使われた。
【0256】
ii)コーティング懸濁液の繊維サンプルへの塗布
綿織物のサンプル(25x25cm,未処理綿モスリン)を温水で洗浄し、上述の b
)i)からのアミン硬化されたPEGコーティング懸濁液の入ったビーカーに入れた。次
に、手で綿織物のサンプルからコーティング懸濁液を絞り出し、再び同じ液に浸かり、数
回それを繰り返した。最後に、濡れた基質が機械ローラタイプの設備Dyna−Jet
Model BL−38を使って絞り出した後、オーブンにて120℃で1時間硬化され
た。硬化されたコーティングが理論的に1.5%w/wのAg/Cu=1/1mol/m
olの抗菌物質を含んでいた。
【0257】
これとは別に綿織物のサンプル(25x25cm,未処理綿キャンバス)を温水で洗浄
し、コーティング懸濁液(ポリウレタンコーティング懸濁液またはアミン硬化されたPE
Gコーティング懸濁液)の入ったビーカーに入れた。次に、手で繊維のサンプルからコー
ティング懸濁液を絞り出し、再び同じ液に浸かり、数回それを繰り返した。最後に、濡れ
た基質がDyna−Jet Model BL−38を使って絞り出した後、オーブンに
て120℃で1時間硬化された。
【0258】
機能性粒子でコーティングされた織物の抗菌効果性は、ASTM E 2149−01
を使って評価され、参照することにより全体として本報告に組み込まれる。すなわち、一
晩培養物が無菌PBSの入った容量250mlの三角フラスコにおいて1.5x10
6の
濃度に調整された。次に、織物のサンプル(5.4cmx5.4cm)がフラスコに入れ
られ、25℃でかき回された。しかるべき間隔で1−ml分割量を取り出し、前述の通り
生菌が数えられた。
【0259】
図3は、P.aeruginosaに対して本発明の機能性粒子を含んでいる処理され
た織物の効果性を示す。サンプルが最初、そして普通の家庭用洗剤で3回と10回洗浄し
た後試験された。“Sample 0X”が一度も洗浄されなかったサンプルを表し、“
Sample 3X”が3回洗浄されたサンプルを表し、そして“10X”が10回洗浄
されたサンプルを表している。コーティングされなかった織物のサンプルが(実験結果の
)検査(照合)として使われた。
【0260】
4−log
10を超える細菌の対数減少が、本発明の機能性粒子を含んでいる抗菌コー
ティングを使うことによってすぐに実現することができる。(
図3)また、家庭用洗剤を
使うと、抗菌効果の発揮に遅れは発生するが、コーティングの抗菌効果が減少することは
ない。
【0261】
例55: 金属ハロゲン化物を含んでいるコーティングの調製とその抗菌効果の試験
a)有機エポキシマトリックスを含んでいるコーティング溶液の調製
有機エポキシを含んでいるコーティング溶液の調製の手順は以下の通りだった。0.2
5g EPON(登録商標)8281(有機エポキシ、Miller Stephens
on Chemical社)と0.375g Anquamine(登録商標)721(
硬化剤と乳化剤、Air Products and Chemicals Inc.)
をガラス瓶に入れ、乳状で均質になるまでヘラで攪拌した。1.40g AgBr−so
l(AgBr−solの調製について例5を参照)、1.04g CuI−sol(Cu
I−solの調製について例17を参照)と0.155gの水をEPON(登録商標)と
Anquamine(登録商標)の混合物に加え、溶液をヘラで攪拌しながら均質な乳液
を得るために4分間超音波浴で処理した。最終的なコーティング溶液は14%w/wの固
形分を含んでいた。この場合、硬化コーティングにおける生体活性物質(金属製型枠で、
mol/molでAg/Cu=1/1)は3%w/wだった。異なる生体活性物質を含ん
でいるコーティングを調製するのに利用された成分は、表20の通りである。
【0262】
【表22】
【0263】
b)エポキシ・シラン・マトリックスを含んでいるコーティング懸濁液の調製
エポキシ・シランを含んでいるコーティング懸濁液の調製の手順は以下の通りだった。
エポキシ・シラン・マトリックスを含んでいるコーティング懸濁液を調製するための固形
分を14%w/w含有する懸濁液は上述のa)で説明した通り調製したが、成分の量が表
21の通りだった。:
【0264】
【表23】
【0265】
c)ポリスチレン24−ウェルプレートへコーティングの塗布
前述のa)とb)節で調製したコーティング懸濁液の一つの50μLを、ピペッターを
用いて24−ウェルプレート(シグマオールドリッチ,CLS3526−1EA)のウェ
ルに移した後、ヘラでウェルの底面(1.9cm
2)に広げた。このステップを3回繰り
返し、24穴のプレートの3つのウェルのサンプルを準備した後、このプレートをオーブ
ンに入れ、10〜15分間50℃で加熱した。次に、違うコーティング懸濁液のコーティ
ングを付け、もう一つのコーティングサンプルを作成した。そして、同じ手順を踏んで三
つ目のサンプルを作成した。8つの異なる組成のコーティングを3回ずつ塗布した後、2
4ウェルのプレートをオーブンに入れ、80℃で2時間にわたって最終硬化を行った。
【0266】
セラミック(結晶性セラミックス)基板への抗菌コーティングをガラスと同様な方法で
施すことができる。場合によっては特定のセラミック基板へ有効な化学処理のスキルを保
有する人がいれば、10%水酸化ナトリウム溶液による初期処理を他の化学処理に変える
ことができる。
【0267】
d)抗菌コーティングの試験
500μlのトリプチケースソイブロスを含んでいる24−ウェルのポリスチレンプレ
ート(顆粒)を一晩培養したP.aeruginosaで接種して0.05の光学濃度(
OD600;Eppendorfバイオ光度計)を得た。プレートを25℃で24時間培
養した。培養後100μlの上澄み液をウェルから取り出し、OD600が決定された。
機能性ナノ粒子で被覆された固形体の抗菌効果が立証された(
図4)。
図4からわかるよ
うに、機能性ナノ粒子を含んでいるコーティングが微生物集団を減少させるのに非常に有
効である。さらに、コーティングのマトリックス材(試料管理)は”control”と
いう印を付けたレーンに関連する減少されたODから明らかなように、抗菌行動に対し小
さくではあるが、測定できる効果がある。
【0268】
例56: CuIを含んでいるコーティングの調製とその抗菌試験
物質と方法
この場合、CuIの二つのソースを利用した。一つはバルクヨウ化銅粉末(99.5%
シグマオールドリッチ)で、もう一つはアセトニトリルプロセスで調製され、乾燥粉末と
して分離されたPVPで機能化されたCuIナノ粒子だった。ナノ粒子としてPVPに高
配合のCuIすなわち、60と50wt%を含んでいるものを調製した。利用されたCu
Iは、シグマ・オールドリッチからの99.5%で、PVPはシグマ・オールドリッチか
らの10,000MWだった。典型的な高配合の調製は以下の通りだった。
【0269】
攪拌子の付いたリットルナシフラスコに4.05gのCuI粉末と300mlの無水ア
セトニトリルを入れ、撹拌して淡黄色の溶液を得た。別の攪拌子の付いたフラスコに4.
05gのPVPと200mlの無水アセトニトリルを入れ、2時間撹拌し、麦わら色の溶
液を得た。CuI溶液を撹拌しながら、PVP溶液を徐々に加え、透明な黄色溶液を得た
。常温でこの溶液を約1時間撹拌すると、薄緑色の溶液に変わった。30℃の減圧下でこ
の溶液を乾燥して、50wt%のCuIを含有する薄緑色の粉末に変えた。粉末にCuI
の濃度を60wt%にするために初期CuI濃度を6.07gに増やす以外にこの手順を
繰り返した。
【0270】
CuIを含んでいるウレタンコーティングの調製
Lamberti SpA(Gallarate,イタリア)社製のESACOTEと
いうブランド名で販売される5gの脂肪族ウレタン71/N水性分酸液(個体分35%、
最大粘度性200cP)をビーカーに入れ、これにCuI粉末(シグマオールドリッチか
らの99.5%のもので、機能化されていない粒子)を0.118g加え、激しく撹拌し
、コーティング調製に0.1gの架橋剤PZ28(PolyAziridine,LLC
Medford,NJ社製の多官能性アジリジン)を添加した。刷毛を使ってウレタン
コーティングをステンレス製の基板2”x2”に塗布し、常温で12時間硬化した後に7
0℃で2時間にわたって硬化した。硬化されたコーティングは透明で、茶色ぽかった。こ
のコーティングは耐久性があって、堅く水とエタノールの両方に対し優れた耐薬品性があ
った。乾燥されたコーティングのCu
+含有量が2.0wt%だった。被覆された表面が
異なる濃度・種類のCu
+が含まれるように、上述のCuIのナノ粉末を使う以外にこの
手順が繰り返された。これらの被覆された基板のP.aeruginosaに対する抗菌
作用を以下の方法で確認した。比較としてDuPont抗菌(市販の粉末被覆)ALES
TA
TMで被覆された金属(Dupont社の工業塗料部門,Wilmington,D
Eから入手)も試験した。これらのコーティングにおける抗菌物質は銀と亜鉛イオンを注
入されたゼオライト粒子(大きさは約2−3μm)だった。
【0271】
コーティングを評価するための試験法(日本工業規格JIS Z 2801: 200
0に基づくもので、その全体を参考として本明細書に組み込む):
【0272】
テストクーポン(50x50mm)が細菌密度を低下させるために70%エタノールを
噴霧することによって調製された。サンプルクーポンに70%エタノールを再噴霧する前
に空気乾燥されるように放置し、試験を実施する前に完全に乾燥させた。ポリエチレン(
PE)カバーガラス(40x40mm)を片面30分ずつ殺菌UVによって消毒した。
【0273】
試験は、一晩培養したものからのPBSにおいてP.aeruginosa微生物のM
cFarland No.0.5標準液の調製に関するものだった。標準液を液状の40
0μLのサンプルクーポンにおいて1:100の比率で希釈・接種した。フィルムの下の
表面が湿っていることを保証するために、無菌のPEフィルムを接種した部分の上に被せ
た。サンプルを取り出す前に25℃でゼロから24時間に渡って密閉環境(95%の相対
湿度)において接種した。1mlのDey−Engley(D/E)中和培養液に事前に
浸かった綿棒でクーポンの表面とPEフィルムの両方を消毒することによって微生物を採
取した。次に、微生物を再懸濁するために標本をD/E培養液の入ったチューブに浸し、
ボルテックスさせた。試験サンプルは順次に無菌のPBSに希釈し、spread pl
ate method(Eaton et al.,“Spread Plate Me
thod,” in Standard Methods for the Exami
nation of Water & Wastewater,21
st ed.,Am
erican Public Health Association,Washing
ton,DC,pp.9−38 ‐ 9−40.9215C,2005)によって37℃
で24〜48時間にわたって数えた。細菌密度の低下は、各露出間隔ごとにナノ粒子なし
のポリウレタンコーティングが施された管理クーポンから微生物の採取と比較することに
よって、確認された。
【0274】
コーティング組成および結果を表22に纏めた。
【表24】
【0275】
これらの結果から明らかなように、特に6時間経過した時点で市販の抗菌コーティング
に比べ、機能化されたCuI粒子がはるかに高い抗菌効果を発揮したことである。ここで
注目に値することは、2μmの大きさのCuI(入手した形)をコーティングに非機能化
粒子として使った場合、識別できる抗菌作用を示さなかった。
【0276】
例57: ウレタン(乳濁液)樹脂における湿式研削CuI分散液を含んでいるウレタ
ンコーティングの調製
Lamberti SpA(Gallarate,イタリア)社製のESACOTE
T
Mというブランド名で販売される脂肪族ウレタン71/N水性分散液(35%個体)を二
つに分けた。PU分散液によって小さいCuI粒子が機能化されていくために、例42a
に示したように、一つの部分にCuIを加え、粒径が小さくなるように240分間研削し
た。これらの二つの部分を皮膜調製において銅の含有量が異なるように、違う比率で混合
た。一例としてこれらが50%の比率で配合された調製は以下の通り重量で調製された。
ビーカーに脂肪性ウレタン71/N水性分酸液3gと分散液を含んでいるCuI3gを入
れた。これを十分配合し、均質な物質にした。この混合液を撹拌しながら架橋剤PZ28
(PolyAziridine,LLC Medford,NJ社製の多官能性のアジリ
ジン)を0.12g添加した。刷毛でウレタン調製をステンレス製基板2”x2”に塗布
し、常温で12時間硬化した後、70℃で2時間にわたって硬化した。硬化された調製は
透明で、茶色がかっていた。これは耐久性があって、硬く水とエタノール両方に対し優れ
た耐薬品性を持っていた。コーティングのCu
+含有量は3.51wt%だった。表23
に示した通り、コーティング表面が異なるCu
+の濃度を有するように、PU71/Nの
CuIウレタン分散に対する比率を変えながらこの手順を数回繰り返した。上述の例と表
23の結果から明らかなように、これらをP.aeruginosaに対して試験した。
この例で強調すべきことは、ポリウレタン71/N水分散液は疎水性分散の乳液であるた
め、水に溶媒和できない。
【0277】
【表25】
【0278】
上述の結果から明らかなように、重合体エマルションプロセスにて研削することによっ
て調製されたコーティングにCuIを含んでいることで、抗菌作用の高い重合体の機能化
されたCuI粒子が得られた。粉末化されたため、重合体エマルションがCuI表面を機
能化し、粒子を安定化させた。表23の100:0の結果で実証されているように、銅を
含んでいる添加剤を含有しないPUコーティングは抗菌性質を示さなかった。また、Cu
I含有量が増加することに伴い抗菌作用が上昇した。ここで注目に値することは、表22
の工業用塗料に比べた場合、これらのCuIを含んでいるすべての塗料は、短期間で優れ
た性能を発揮した。
【0279】
例58: ポビドンヨード+ヨウ化銅/ポリビニルピロリドン抗菌液
ヨウ化銅ポリビニルピロリドン(PVP)粉末を0.0476gのCuI(99.999
%シグマオールドリッチ)を50mlの無水アセトニトリルに溶解することによって調製
した。この溶液に10gのPVP(10,000MWシグマオールドリッチ)を加え、攪
拌することによって淡黄色の溶液を得た。30℃の減圧下でアセトニトリルを取り除き、
淡緑色の粉末を得た。この粉末が0.158wt%Cu
+を含んでいる。
【0280】
ポビドンヨードの10%溶液の(CVSブランド,CVS Pharmacy,Tuc
son,AZから入手)10mlに0.38gの上述のCuI/PVP粉末を加え、溶液
におけるCu
+の密度を60ppmにした。これがポビドンヨード−CuI/PVP抗菌
溶液だった。
【0281】
例59: CuIナノ粒子を含んでいる塗り薬:抑制域
この塗り薬を得るために、二つの異なる大きさの機能化されたCuI粒子をPVPにお
いて調製した。
【0282】
最初の調合液において粒度は241nmで、シグマオールドリッチから10,000分
子量のPVPを利用した例56に説明された手順によって調製された。これを50%粉末
(乾燥粉末においてCuIが重量で50%だったから)と言う。
【0283】
二つ目の調合液において粒度は主に4nmで、以下のように調製された。80mlの無
水アセトニトリル(99.8%シグマオールドリッチCat.#271004)の入った
反応フラスコに4.75gのPVP(BASFからのLuvitec
TMK17)を加え
、攪拌して淡黄色の溶液を得た。この溶液に0.25gのCuI(99.999%シグマ
オールドリッチCat.#205540)を加え、30分攪拌した後透明な淡緑色の粉末
を得た。次に、アセトニトリルの大部分を30℃で減圧下で除外し、粘性ペーストを得た
。その後、温度を60℃に上げて溶媒を完全に取り除き、淡黄色の固体を得た。分散の希
薄試料に動的光を散乱することで微粒子体積の85%は平均粒度が4nmであることが確
認され、残りの粒子は大きかった。乾燥粉末にCuIの含有量が5重量%で、これを5%
粉末と呼称した。
【0284】
ビーカーに0.06gのカルボマー(Lubrizol Inc,Wickliffe
,OHから入手)に2.0mlの脱イオン水(18Mohm−cm)を加えることによっ
て調製した。これを配合することによってやや濁った無色の液体を得た。この配合液に0
.2gのPVP(シグマオールドリッチ,分子量10,000)を加え、激しく攪拌した
。PVPを加えることによって粘度が若干減少した。この溶液に1.96gのCuI/P
VP50%粉末を攪拌しながら加えた後、1.45gのCuI/PVP5%粉末を加えた
。クリームにおけるCu
+の最終密度が2.1wt%だった。このクリームを後述の抑制
域法を利用しP.aeruginosaおよびS.aureusに対して試験した。
【0285】
試験用のペトリ皿は、無菌のプレートに25mlの無菌寒天培地を調剤することによっ
て作製された。一晩培養したものを希釈して0.100の最終光学密度600nmにし、
無菌の綿棒を使って寒天に均一に画線した。 無菌のコルク穿孔器を使って直径約5.3
mmの円筒形プラグを固化した寒天プレートから取り除いた。約75μlのクリームをウ
ェルに添加した。Walgreens Pharmacy社(Walgreens Br
and,Walgreens Pharmacy,Tucson,AZから入手)のトリ
プル抗菌性応急用軟膏をコントロール物質として利用した。このクリーム(コントロール
)は亜鉛バシトラシン400単位、ネオマイシン3.5mgと白色ワセリンにおいて活性
成分として硫酸ポリミキシンB5,000単位を含んでいた。前述のように、プレートは
37℃で24時間湿度室にて接種した後、プレートにおける殺菌と成長抑制効果について
確認した。
【0286】
プレートを検査したところ、ウェルの周りにややアクアマリンの色合いの光輪と同時に
クリームからなるCuIに対する抑制域が確認された。抑制域を決定するために3段の測
定尺度すなわち、“0”は抑制域が全くない存在しない場合、“1”は(ウェルを含めて
)域の直径が6mmから8mmの制限された抑制の場合、そして“2”は(ウェルを含め
て)域の直径が8mmを超える顕著な抑制の場合に使われた。結果を、表24に示してい
る。
【0287】
【表26】
【0288】
コントロール・クリームはグラム陽性の微生物に対して効果的であることが知られてお
り、コントロールがS.aureusを予想通り抑制したことが結果からわかる。本調製
のCuIクリームがS.aureusに対して同等の効果性を示した。グラム陰性のP.
aeruginosaに対してコントロール・クリームは効果を発揮することが期待され
ていなくて、予想通り効果を示さなかった。しかし、CuIに基づくクリームは相当の効
果を示し、本発明の広範な抗菌性質をさらに強化した。
【0289】
当然のことながら、ここで説明された実施態様にはさまざまな変更が可能である。従っ
て、上述の説明を限定的に解釈せずに、あくまでも好適実施態様の例示に過ぎないと見な
すべきである。この発明の以下の請求の精神と範囲を逸脱しない範囲で種々変更可能であ
ることはこの技術に精通したものなら言うまでもない。ここで引用される特許と引用文献
の全体を参考として本明細書に組み込む。