特許第6423930号(P6423930)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6423930
(24)【登録日】2018年10月26日
(45)【発行日】2018年11月14日
(54)【発明の名称】光電気複合ケーブル
(51)【国際特許分類】
   H01B 11/22 20060101AFI20181105BHJP
   H01B 7/08 20060101ALI20181105BHJP
【FI】
   H01B11/22
   H01B7/08
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-145950(P2017-145950)
(22)【出願日】2017年7月28日
【審査請求日】2017年10月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000153591
【氏名又は名称】株式会社巴川製紙所
(74)【代理人】
【識別番号】100095636
【弁理士】
【氏名又は名称】早崎 修
(72)【発明者】
【氏名】笹木 仁人
(72)【発明者】
【氏名】本間 康平
(72)【発明者】
【氏名】吉田 光宏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正義
(72)【発明者】
【氏名】後藤 誠
【審査官】 神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−145969(JP,A)
【文献】 特開2012−089315(JP,A)
【文献】 特開2008−198651(JP,A)
【文献】 実開昭51−028483(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 11/22
H01B 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄型パネル状の電気機器に接続し、前記電気機器へ電気信号を出力する信号線が配線されるフレキシブルフラット配線板と、前記電気機器へ高速電気信号に変換される光信号を出力する光ファイバーを複合化した光電気複合ケーブルであって、
光ファイバーと、
前記光ファイバーに沿って前記光ファイバーの表面側と背面側に積層される少なくとも一対のフレキシブルフラット配線板と、
表面側と背面側の前記一対のフレキシブルフラット配線板に挟まれる前記光ファイバーの側方に配置される中間フレキシブルフラット配線板と、
前記一対のフレキシブルフラット配線板と前記光ファイバーと前記中間フレキシブルフラット配線板との全体を一体化する被覆部材とからなることを特徴とする光電気複合ケーブル。
【請求項2】
前記被覆部材は、前記一対のフレキシブルフラット配線板の外周に密着し、前記一対のフレキシブルフラット配線板で前記光ファイバーと前記中間フレキシブルフラット配線板を挟持した全体を一体化することを特徴とする請求項1に記載の光電気複合ケーブル。
【請求項3】
前記一対のフレキシブルフラット配線板は、それぞれフレキシブルフラットケーブルであることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の光電気複合ケーブル。
【請求項4】
前記一対のフレキシブルフラット配線板の少なくともいずれかに、前記電気機器を駆動する駆動電源を給電する電源線が配線されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の光電気複合ケーブル。
【請求項5】
前記被覆部材は、合成ゴムであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の光電気複合ケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型パネル状の電気機器に接続する光電気複合ケーブルに関し、更に詳しくは、フレキシブルフラット配線板と光ファイバーとを複合化した光電気複合ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
薄型パネル状の電気機器として、例えば、壁面に沿って配置する壁掛けテレビ110のディスプレー装置101は、ディスプレー装置101が壁面から大きく突出しないように、図7図8に示すように、ディスプレー装置101に表示する映像信号を処理する通信制御部102bやディスプレー装置101の電源部102aを有する付加装置102を、壁パネルWPを貫通する埋込みボックスSB内に配置し、付加装置102からディスプレー装置101の背面側に接続する電源線103を介してディスプレー装置101に駆動電源を給電するとともに、信号線104を介してディスプレー装置101に映像信号等の電気信号を出力している(特許文献1)。
【0003】
このように壁面に取付けられる壁掛けテレビ110は、壁パネルWP内の埋込みボックスSBへ付加装置102を収容するために壁パネルWPに孔を穿つ必要があり、壁パネルWPの加工が必要で、また、孔を穿った位置に取付位置が限られることになるので、壁掛けテレビ10を所望の位置へ移動させることができかった。そこで、従来、ディスプレー装置とディスプレー装置に映像信号や制御信号を出力するセットトップボックスSTBとを分離し、両者を接続ケーブルで接続し、薄型パネル状の電気機器であるディスプレー装置を薄型化し、かつ、任意の位置に配置自在としている。
【0004】
ここで壁面に取付けられる壁掛けテレビ110に壁パネルWPに孔を穿つことなく接続ケーブルを接続するには、幅が1cmに満たない壁掛けテレビ110の側面の接続挿入口に接続ケーブルの端末を挿入して接続する必要があり、このような用途の接続ケーブルとして、フレキシブルプリント配線基板(FPC:Flexible Print Circuit)やフレキシブルフラットケーブル(FFC:Flexible Flat Cable)等のフレキシブルフラット配線板が用いられている。
【0005】
更に、ディスプレーの大型化に伴って、セットトップボックスSTBからディスプレーへ大容量の映像信号を高速に伝送する必要が生じ、フレキシブルフラット配線板に形成される電気信号線による伝送に限界が生じ、フレキシブルフラット配線板に沿って光ファイバーからなる光導波路を形成し、光導波路で大容量の信号を高速に伝送する光電気複合ケーブルが提案されている(特許文献2、特許文献3)。
【0006】
このうち、特許文献2に記載の光電気複合ケーブル120は、図9(a)(b)に示す様に、細長帯状の絶縁フィルム基材121aの表面に電気信号線となる複数の帯状導体122を並列に配置したフレキシブルフラットケーブルの中央に光導波路となる光ファイバー123を平列に配置し、その表面全体を薄肉の絶縁保護シート121bで覆う構造としている。光ファイバー123の両端には、高速電気信号をE/O変換及び光信号をO/E変換する一組の光電変換素子が備えられ、光電気複合ケーブル120の帯状導体122を介して比較的低速な電気信号が、光ファイバー123を介して大容量の高速電気信号が、光電気複合ケーブル120の端末に接続する薄型パネル状の電気機器に出力される。
【0007】
また、特許文献3に記載の光電気複合ケーブル130は、図10(a)(b)に示す様に、細長帯状のフレキシブルプリント配線基板131の信号線となる配線パターンが配線された側方に光ファイバー133を収容する凹溝134が凹設され、この凹溝134の両側に光ファイバー133を掛け渡して、配線パターン132と光ファイバー133とを一体化させた光電気複合ケーブル130が形成される。フレキシブルプリント配線基板131の凹溝134の両側の部位には、高速電気信号をE/O変換及び光ファイバー133に流れる光信号をO/E変換する一組の光電変換素子135、135が実装され、光電気複合ケーブル130の配線パターンを介して比較的低速な電気信号が、光ファイバー133を介して大容量の高速電気信号が、光電気複合ケーブル130の端末に接続する薄型パネル状の電気機器に出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第5180856号公報
【特許文献2】特開2011−248119号公報
【特許文献3】特開2010−19895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の通り、薄型パネル状の電気機器の狭い幅の側面内に、接続ケーブルの端末を接続するには、接続ケーブルを薄肉のフレキシブルプリント配線基板やフレキシブルフラットケーブル等の薄肉のフレキシブルフラット配線板で構成する必要があり、更に、高速大容量の電気信号を電気機器へ出力するには、このフレキシブルフラット配線板に光ファイバー123、133を一体に配線した光電気複合ケーブル120、130とする。一方、壁掛けテレビなどの用途で備えられるディスプレー装置等では、近年、有機ELの表示素子を用いて厚さ3mm以下にまで薄型化し、壁面から突出する厚さを、ディスプレー装置に接続するケーブル類を含めて3mm以下とすることが要望され、このような場合には、ディスプレーの側面に接続する光電気複合ケーブル120、130の厚さが3mm以下となるので屈曲しやすいものとなる。
【0010】
その結果、図9に示す光電気複合ケーブル120では、絶縁フィルム基材121aの表面に光ファイバー123が固定され、光ファイバー123の表面側には薄肉の絶縁保護シート121bが覆われただけであるので、絶縁フィルム基材121aが表面側に大きな曲率で湾曲し、光ファイバー123が破損し若しくは折れるという問題があった。
【0011】
そこで、図10に示す光電気複合ケーブル130は、光ファイバー133を凹溝134の両端に遊びをもって掛け渡し、その両端のみをフレキシブルプリント配線基板131に支持している。これにより、フレキシブルプリント配線基板131自体が大きく撓んでも、フレキシブルプリント配線基板131とともに光ファイバー133が大きく撓まないようにしているが、光ファイバー133の両端の固定端に大きな曲げ応力が生じるので、結局光ファイバー133保護の本質的な解決策にはならない。
【0012】
また、光電気複合ケーブルのフレキシブルフラット配線板には、電気機器へ出力する多種類の信号に応じて多種類の信号線を配線するのに加えて、電気機器へ電源を給電する電源線を配線する必要があり、多数の信号線と電源線の全てを相互に絶縁して配線するには、フレキシブルフラット配線板が幅広となり、室内でセットトップボックスSTBとの間に配線するフレキシブルフラット配線板が幅広で目立ち、美感を損なうという問題があった。
【0013】
特に、フレキシブルフラット配線板上に形成する電源線は薄肉であるので、電気機器を動作させる10A乃至20Aの電源電流以上の電流を許容電流とするには、電源パターン自体の幅も幅広とする必要があり、更に、厚さを3mm以下とした薄型の電気機器内には、オペアンプ、3端子レギュレータ等の外形に一定の厚みのある定電圧電源回路部品を内蔵することができないので、電気機器内の異なる電力で動作する回路素子毎にその消費電流に応じて異なる線幅の電源線を互いに絶縁させて多数配線することとなり、フレキシブルフラット配線板の幅を更に拡大させて設計しなければならなかった。
【0014】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、フレキシブルフラット配線板に沿って光ファイバーを配線した全体を薄肉にしても、光ファイバーが大きな曲げ応力を受けて変形したり、破損することがない光電気複合ケーブルを提供することを目的とする。
【0015】
また、フレキシブルフラット配線板に多種類の信号線や電源線を配線しても、配線方向に直交する横幅が拡大しない光電気複合ケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の目的を達成するため、請求項1に記載の光電気複合ケーブルは、薄型パネル状の電気機器に接続し、電気機器へ電気信号を出力する信号線が配線されるフレキシブルフラット配線板と、電気機器へ高速電気信号に変換される光信号を出力する光ファイバーを複合化した光電気複合ケーブルであって、光ファイバーと光ファイバーに沿って光ファイバーの表面側と背面側に積層される少なくとも一対のフレキシブルフラット配線板と、表面側と背面側の一対のフレキシブルフラット配線板に挟まれる光ファイバーの側方に配置される中間フレキシブルフラット配線板と、一対のフレキシブルフラット配線板と光ファイバーと中間フレキシブルフラット配線板との全体を一体化する被覆部材とからなることを特徴とする。
【0017】
光ファイバーは、その表面側と背面側に積層される一対のフレキシブルフラット配線板に挟持された状態で、被覆部材で一体化されるので、表面側若しくは背面側に大きな曲率で撓むことがない。
【0018】
厚さ方向で重なる一対のフレキシブルフラット基板にそれぞれ信号線を配線できるので、光電気複合ケーブルの幅を拡大させずに、多種類の信号線を配線できる。
【0019】
電気機器へ低速電気信号を出力する信号線が配線された一対のフレキシブルフラット配線板と、電気機器へ高速電気信号に変換される光信号を出力する光ファイバーとの全体を数mmの厚さ以下の薄肉に一体化でき、薄型パネル状の電気機器の狭小な側面に薄肉の光電気複合ケーブルの端末部を挿入して、電気機器へ低速信号と高速電気信号に変換される光信号を出力する。
【0020】
中間フレキシブルフラット配線板に更に多種類の信号線を配線しても、光電気複合ケーブルの厚さや幅が変化しない。
【0021】
請求項2に記載の光電気複合ケーブルは、被覆部材が、一対のフレキシブルフラット配線板の外周に密着し、一対のフレキシブルフラット配線板で光ファイバーと中間フレキシブルフラット配線板を挟持した全体を一体化することを特徴とする。
【0022】
一対のフレキシブルフラット配線板は、その外周に密着する被覆部材で覆われる。
【0023】
請求項3に記載の光電気複合ケーブルは、一対のフレキシブルフラット配線板は、それぞれフレキシブルフラットケーブルであることを特徴とする。
【0024】
一対のフレキシブルフラット配線板をフレキシブルフラットケーブルで構成するので、数m以上の長い光電気複合ケーブルを安価に製造できる。
【0025】
信号線を、フレキシブルフラットケーブルの絶縁性のフレキシブルフラット基板に固定される帯状の導電性金属薄板を信号線とするので、フレキシブルフラットケーブルを扁平に保ったまま、180度折り返して、信号線の配線方向を所定方向に変えることができる。
【0026】
請求項に記載の光電気複合ケーブルは、一対のフレキシブルフラット配線板の少なくともいずれかに、電気機器を駆動する駆動電源を給電する電源線が配線されることを特徴とする。
【0027】
電源線を一対のフレキシブルフラット配線板のいずれかの十分な幅内に配線できるので、電源線の線幅を太幅として横断面積を拡大し、電源線の許容電流を大電流とすることができる。
【0028】
請求項に記載の光電気複合ケーブルは、被覆部材が、合成ゴムであることを特徴とする。
【0029】
一対のフレキシブルフラット配線板と光ファイバーは、弾性体である合成ゴムで囲まれ、外部からの衝撃が合成ゴムで緩和される。
【発明の効果】
【0030】
請求項1の発明によれば、光ファイバーが、その表面側と背面側に積層される一対のフレキシブルフラット基板により保護されるので、光ファイバーが大きく撓んで変形したり、破損することがない。
【0031】
薄型パネル状の電気機器の狭小な側面において、電気機器へ電気信号を出力する信号線と光ファイバーを一括接続できる。
【0032】
電気信号を出力する多数の信号線を光ファイバーとともに、幅を拡大させずに一纏めに一体化するので、室内に配線しても美感を損なうことがなく、ユーザーが個々のフレキシブルフラット配線板や光ファイバーを分離して誤って電気機器へ接続する恐れがない。
【0033】
光電気複合ケーブルの厚さや幅を変えずに、更に多数の信号線を配線できる。
【0034】
請求項2の発明によれば、一対のフレキシブルフラット基板が被覆部材により保護される。
【0035】
請求項3の発明によれば、絶縁性のフレキシブルフラット基板に帯状導電性金属薄板を固定するだけで製造されるフレキシブルフラットケーブルを光電気複合ケーブルの一対のフレキシブルフラット配線板とするので、光電気複合ケーブルを数メートル以上の長さで形成でき、また、単位長さ当たりの価格を低価格で製造できる。
【0036】
また、薄型パネル状の電気機器の狭小な側面内において、フレキシブルフラットケーブルを扁平に保ったまま180度折り返して、信号線を光ファイバーの延長方向に重ならない任意の方向へ引き出すことができる。
【0037】
請求項の発明によれば、大電流を許容電流とするために太幅の電源線であっても、いずれかのフレキシブルフラット配線板に形成できる。
【0038】
また、薄型パネル状の電気機器の狭小な側面において、電気機器の駆動電源を給電する電源線と、電気機器へ低速電気信号を出力する信号線と高速電気信号を出力する光ファイバーを1本の光電気複合ケーブルで一括接続でき、電気機器に駆動電源を給電する電源ケーブルを別に接続する必要がない。
【0039】
請求項の発明によれば、一対のフレキシブルフラット配線板と光ファイバーの周囲が弾性体である合成ゴムで囲まれるので、光電気複合ケーブルが外部から予期しない負荷や衝撃を受けても、一対のフレキシブルフラット配線板や光ファイバーが折れたり、破損することがない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】平面ディスプレー装置40とセットトップボックスSTBを接続する本願発明の一実施の形態に係る光電気複合ケーブル1を示す平面図である。
図2図1のA−A線で切断した拡大断面図である。
図3】表面側フレキシブルフラットケーブル10と平面ディスプレー装置40との接続部を示す拡大断面図である。
図4】テープ型光ファイバ心線5の平面ディスプレー装置40との接続部を示す拡大断面図である。
図5図1のブロック図である。
図6】他の実施の形態に係る光電気複合ケーブル20を、図1のA−A線に相当する位置で切断した拡大断面図である。
図7】ディスプレー装置101と付加装置102とを接続する従来の電源線103を示す縦断面図である。
図8】壁掛けテレビ110のブロック図である。
図9】従来の光電気複合ケーブル120の表面から薄肉の絶縁保護シート121bの一部を剥離した状態を示す(a)は、平面図、(b)は、長手方向に沿って切断した縦断面図である。
図10】従来の光電気複合ケーブル130を示す(a)は、側面図、(b)は、平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の一実施の形態に係る光電気複合ケーブル1を図1乃至図5を用いて説明する。光電気複合ケーブル1は、図1に示すように、薄型パネル状の電気機器である平面ディスプレー装置40とセットトップボックスSTBとの間に配線され、図2に示す様に、一対のフレキシブルフラットケーブル10、11の間に6本の光ファイバー5aが平行に並べられたテープ型光ファイバ心線5と中間フレキシブルフラットケーブル12とが挟持され、その外周を含む全体に樹脂からなる被覆部材13が一体成形され、全体が薄肉帯状に一体化されている。
【0042】
平面ディスプレー装置40は、壁面に沿って取付けられるいわゆる壁掛けテレビのモニターであり、壁面からの突出量が最小となるように表示素子として有機ELを用い、その厚さを3mm以下としている。3mm以下に薄型化するため、平面ディスプレー装置40には、平面ディスプレー装置40に表示される映像を受信するチューナーや映像信号の信号処理回路、平面ディスプレー装置40を駆動する電源回路などを設けずに、可能な限り薄型化が図られ、平面ディスプレー装置40から数メートル離れた場所に設置され、光電気複合ケーブル1を介して平面ディスプレー装置40接続するセットトップボックスSTB側にチューナー、信号処理回路、電源回路等のこれらの回路が備えられている。
【0043】
これにより、セットトップボックスSTBから光電気複合ケーブル1の3枚のフレキシブルフラットケーブル10、11、12に配線された多数の信号線3を介して平面ディスプレー装置40の各回路素子の動作を制御する比較的低速な制御信号を出力され、光電気複合ケーブル1のテープ型光ファイバ心線5に配線される6本の光ファイバー5aを介して大容量高速伝送が必要な映像信号が平面ディスプレー装置40に出力される。
【0044】
また、平面ディスプレー装置40のディスプレー表示部は、24V/240Wの駆動電源で動作し、ディスプレー表示部や暗号化回路HDCPを制御する制御回路等は、12V/40Wの駆動電源で動作する等、平面ディスプレー装置40には異なる多系統の電源系統が存在している。ここで、平面ディスプレー装置40において単一の入力電源電圧を分圧して安定化した多系統の電源系統から給電するには、オペアンプ、3端子レギュレータなどの外形に一定の厚みのあるIC回路素子からなる定電圧電源回路を設ける必要があるが、本実施の形態では、これらの定電圧電源回路もセットトップボックスSTB側に内蔵して平面ディスプレー装置40の薄型化を図り、光電気複合ケーブル1の3枚のレキシブルフラットケーブル10、11、12のいずれかに配線される平面ディスプレー装置40の電源系統数(ここでは2系統)に対応する2対の第1電源線2aと第2電源線2bを介して、セットトップボックスSTBから異なる駆動源の電源を平面ディスプレー装置40の各回路へ給電している。
【0045】
一対のフレキシブルフラットケーブル10、11と中間フレキシブルフラットケーブル12は、いずれも細長帯状のフィルム基材に沿って複数の直線帯状の導体を固着したフレキシブルフラットケーブル(以下、FFCという)であるが、細長帯状の可撓性基材の長手方向に電源線や信号線が配線されるフレキシブルフラット配線板であれば、FFCに限らず、絶縁フィルム基材の表面にエッチングにより配線パターンを形成したフレキシブルプリント配線基板(以下、FPCという)であってもよい。本実施の形態では、比較的安価に数メートルの長さのケーブルを製造でき、後述するように狭い接続スペース内で嵩張らずに電源線や信号線の配線方向を変更可能なFFCを用いている。従って、以下の説明では、テープ型光ファイバ心線5の表面側に積層されるフレキシブルフラットケーブル10を表面側FFC10と、背面側に積層されるフレキシブルフラットケーブル11を背面側FFC11と、中間フレキシブルフラットケーブル12を、中間FFC12と記載する。
【0046】
各FFC10、11、12は、それぞれ機械強度に優れたPET(ポリエチレンテレフタレート)の細長帯状の2枚の絶縁フィルム基材の間に、複数の銅泊からなる直線帯状の導体を絶縁フィルム基材の長手方向に沿って埋め込み一体に形成したもので、埋め込まれた各導体で各FFC10、11、12に配線される電源線2及び信号線3が形成される。FFC10、11、12に形成される導体の厚みは、数十ミクロンの厚さのFPCの導体パターンに比べて充分に厚いので、電源線2には十分な許容電流の電源電流を流すことができるが、許容電流を10A以上とする場合があるので、上述の2対の第1電源線2aと第2電源線2bの線幅(図2において左右方向の幅)は信号線3の線幅に比べて充分に幅広で、許容電流の大きさに比例する線幅となっている。
【0047】
2対の第1電源線2a及び第2電源線2bと多数の信号線3は、互いに干渉しない位置であれば、各FFC10、11、12の任意の位置に配線できるが、ここでは、図2に示すように、背面側FFC11に一対の第1電源線2aを、表面側FFC10に一対の第2電源線2bを配線し、各FFC10、11、12の残るスペースに多数の信号線3を配線している。
【0048】
テープ型光ファイバ心線5は、6本の光ファイバー素線5aが、図2の図中水平面に沿って平行に並べられた状態で樹脂でテープ状に一体化された心線である。このように、コアとクラッドからなる光ファイバー自体は、非常に脆弱であるので、通常その周囲を一層の被覆で覆った光ファイバ素線や、複数の光ファイバ素線を水平に並べて樹脂でテープ状に一体化したテープ型光ファイバ心線5などの形態で形成され、ここでは、コアとクラッドからなる光ファイバーの他に、テープ型光ファイバ心線5に並べられる光ファイバ素線も光ファイバーという。
【0049】
テープ型光ファイバ心線5は、その厚さが中間FFC12と略同じ厚さの扁平帯状となっていて、中間FFC12とともに中間FFC12の側方で、表面側FFC10と背面側FFC11の間に挟まれ、この状態で表面側FFC10と背面側FFC11の外周を含む全体に被覆部材13が一体成形され、全体が薄肉帯状に一体化された光電気複合ケーブル1が得られる。
【0050】
被覆部材13に用いる樹脂としては、光ファイバーの形状を維持し、かつ接着により光ファイバーが応力歪みを受けずに、光ファイバーが破損することのない程度の接着力を有するものであれば如何なるものでも使用でき、例えば、ウレタン系、アクリル系、エポキシ系、ナイロン系、フェノール系、ポリイミド系、ビニル系、シリコーン系、ゴム系、フッ素化エポキシ系、フッ素化アクリル系等の各種感圧接着剤(粘着剤)、熱可塑性接着剤、熱硬化性接着剤を使用することができる。光ファイバーの配線の固定の容易さからは、感圧接着剤及び熱可塑性接着剤が好ましく使用される。
【0051】
また、被覆部材13は、成型された薄膜のフィルム部材であってもよく、上記接着剤と組み合わせてもかまわない。例えばABS樹脂、シリコーンゴム樹脂、変性シリコーンゴム樹脂、ブチルゴム、アクリルゴム、ポリイミド、塩化ビニル、ポリエステルエラストマー、ポリオレフィンエラストマーが挙げられ、中でも柔軟性を有する合成ゴムであるシリコーンゴム樹脂や、変成シリコーンゴム樹脂を使用するのが好ましい。
【0052】
被覆部材13を用いて光ファイバーと、一対のフレキシブルフラット配線板とを被覆し、全体を一体化する方法はいずれの方法であってもよく、例えば、フィルム部材である場合は、一対のフレキシブルフラット配線板の外周に巻き付ける方法や、2枚のフィルム素材を接着剤等を介してプレス機やローラーなどで貼り合わせる方法をとることができる。また、樹脂や接着剤を使用する場合は、フレキシブルフラット配線板や、光ファイバー外周に塗布し、それらを重ね合わせた上で硬化させる方法や、型にフレキシブルフラット配線板や光ファイバーを挿入し、樹脂を充填させた後、硬化させて成型加工する方法であっても構わない。その他、本発明の光電気複合ケーブルの構造が達成できる限りにおいては、公知の如何なる方法をとることもできる。
【0053】
細長帯状の光電気複合ケーブル1の横幅(図2において左右方向の幅)は、電源線2の線幅、電源線2や信号線3の配線数によっても異なるが、例えば50mmであり、一方、3層に積層される表面側FFC10、テープ型光ファイバ心線5及び背面側FFC11の各厚さは、それぞれ0.5mm以下の厚さとすることが可能なので、被覆部材13で覆われた光電気複合ケーブル1の厚みは2mm以下となっている。
【0054】
このように光電気複合ケーブル1は、厚みが2mm以下の扁平な厚み方向に屈曲可能となるが、屈曲方向のテープ型光ファイバ心線5の両側に、表面側FFC10と背面側FFC11が一体に配置されているので、いずれの方向にも大きな曲率で光電気複合ケーブル1が撓むことがなく、テープ型光ファイバ心線5の各光ファイバ5aが破断したり、変形することがない。
【0055】
光電気複合ケーブル1のセットトップボックスSTB側の端末には、セットトップボックスSTBに接続位置や接続部の大きさの制約がないので、電源線2と信号線3と光ファイバー5aの端末が臨む光電複合プラグ30が取付けられ、セットトップボックスSTBのプリント配線基板31に実装されるレセプタクル32へ光電複合プラグ30を嵌合接続することにより、2対の電源線2と多数の信号線3がセットトップボックスSTBの対応する回路へ電気接続する。
【0056】
また、レセプタクル32内には、図5に示すように、レーザードライバー33で駆動制御される面発光レーザVcselが内蔵され、面発光レーザVcselは、レーザードライバー33に入力される信号をE−O変換して、光電複合プラグ30に臨む光ファイバー5aへ出射する。図5に示すように、セットトップボックスSTBの6レーンの高速信号パターン31aに入力される信号は、1レーンあたり12Gbpsの伝送速度で伝送される映像信号であり、面発光レーザVcselは、6レーンに個々に対応する6本の光ファイバー5aへ映像信号をE−O変換した光信号を送出する。
【0057】
また、セットトップボックスSTBの多数の低速信号パターン31bに入力される信号は、例えば平面ディスプレー装置40の暗号化回路HDCPや有機ELの表示素子の動作を制御する数十Mbpsの伝送速度の制御信号であり、各低速信号パターン31bに接続する信号線3を介して平面ディスプレー装置40側に出力される。
【0058】
更に、セットトップボックスSTBのプリント配線基板31には、平面ディスプレー装置40の2系統の電源系統に対応して、24V/240Wの駆動電源を光電気複合ケーブル1の第1電源線2aを介して平面ディスプレー装置40のディスプレー表示部へ給電する第1給電パターン31c1と、12V/40Wの駆動電源を光電気複合ケーブル1の第2電源線2bを介して平面ディスプレー装置40の制御回路等へ給電する第2給電パターン31c2が形成されている。従って、平面ディスプレー装置40には、複数の異なる電源系統から安定した電源を給電する為の定電圧電源回路を設ける必要がなく、平面ディスプレー装置40を厚さ3mm程度まで薄型化できる。
【0059】
光電気複合ケーブル1の他側に接続する平面ディスプレー装置40には、光電気複合ケーブル1との接続に壁面からの突出量を増加させず、厚さ3mmの平面ディスプレー装置40の側面において光電気複合ケーブル1を接続するとの制約があるが、上述の様に光電気複合ケーブル1は、幅50mm、厚さが2mm以下であるので、薄型で平面ディスプレー装置40の側面の幅が3mmの接続挿入口48に対しても、充分に光電気複合ケーブル1の端末部を挿入し、平面ディスプレー装置40に接続することができる。
【0060】
光電気複合ケーブル1の平面ディスプレー装置40側の端末接続部は、被覆部材13で覆われていないので、積層配置されている表面側FFC10、テープ型光ファイバ心線5、中間FFC12及び背面側FFC11の各ケーブルは一体化されずに個々に独立して分離自在となっている。本実施の形態では、図1に示す様に、テープ型光ファイバ心線5内の光ファイバー5aを屈曲させることなく、テープ型光ファイバ心線5の端末部に電源線2や信号線3の配線が干渉しないように、接続挿入口48内で3枚の表面側FFC10、中間FFC12及び背面側FFC11を斜め45度の傾斜線に沿って表裏が逆転するように180度折り返し、光ファイバー5aに直交する上方に引き出している。ここで、表面側FFC10、中間FFC12及び背面側FFC11は、ほぼ嵩張ることなく180度折り返すことができるので、3mm以下の幅の接続挿入口48内でも充分に折り返すことができるが、接続挿入口48の幅を超える場合には、テープ型光ファイバ心線5の配線方向に沿って、表面側FFC10、中間FFC12及び背面側FFC11の折り返し位置を異ならせてもよい。
【0061】
テープ型光ファイバ心線5の配線方向に対して、図1において上方に折り返された3枚の表面側FFC10、中間FFC12及び背面側FFC11は、更に、上方から順に異なる位置で再び斜め45度の傾斜線に沿って表裏が逆転するように180度折り返され、上方から表面側FFC10、中間FFC12、背面側FFC11及びテープ型光ファイバ心線5の順で、各ケーブルが互いに平行に平面ディスプレー装置40のプリント配線基板41に向かって引き出される。これにより、各ケーブルの端末を、図1に示す様に、プリント配線基板41の異なる位置に実装されたFFCコネクタ42A、42B、42C及びレセプタクル43にそれぞれ接続させることができる。
【0062】
このうち、第2電源線2bと多数の信号線3が配線された表面側FFC10の端末は、プリント配線基板41に実装された図3に示すFFCコネクタ42Aに接続され、第2電源線2bから平面ディスプレー装置40のディスプレー表示部や暗号化回路HDCPを制御する制御回路等に12V/40Wの電源を給電されるとともに、多数の信号線3から平面ディスプレー装置40の各回路素子を制御する比較的低速な伝送速度の制御信号が出力される。ここで、プリント配線基板41の厚さは0.5mm、FFCコネクタ42Aの厚さは1.2mmであるので、幅3mmの平面ディスプレー装置40の接続挿入口48内で光電気複合ケーブル1の表面側FFC10を接続できる。
【0063】
同様に、多数の信号線3が配線された中間FFC12と第1電源線2a及び多数の信号線3が配線された背面側FFC11の各端末は、それぞれプリント配線基板41に実装されたFFCコネクタ42B、42Cに接続し、第1電源線2aから平面ディスプレー装置40のディスプレー表示部へ24V/240Wの電源が給電されるとともに、多数の信号線3から平面ディスプレー装置40の各回路素子を制御する比較的低速な伝送速度の制御信号が出力される。
【0064】
また、テープ型光ファイバ心線5の6本の光ファイバー5aの端部には、各光ファイバー5aを固定し、プリント配線基板41上に実装されたレセプタクル43に嵌合接続する光プラグ44が取付けられている。光プラグ44を嵌合接続したレセプタクル43の高さは、厚さは0.5mmのプリント配線基板41を加えても最大1.7mmであり、幅3mmの平面ディスプレー装置40の側面において光プラグ44を接続できる。
【0065】
レセプタクル43には、図4に示すように、6本の光ファイバー5aの各端面に対向する部位に配置され、図中各光ファイバー5aの水平方向の光軸を鉛直方向に変換する45度ミラー45と、プリント配線基板41の高速信号パターン41a上に金バンプ46を介して搭載され、受光面を45度ミラー45上に臨ませたフォトダイオード47が内蔵されている。フォトダイオード47は、6本の光ファイバー5aの各端面から12Gbpsの伝送速度で出射される映像信号を表す光信号をそれぞれ光電変換し、その出力側に接続されたトランスインピーダンスアンプTIAへ出力する。
【0066】
トランスインピーダンスアンプTIAは、フォトダイオード47から出力される映像信号を表す微弱な電流信号を電圧信号に変換して、6本の光ファイバー5aに個々に対応する6レーンの高速信号パターン41aを介して平面ディスプレー装置40のディスプレー表示部の表示を制御する有機ELドライバーへ出力する。これにより、セットトップボックスSTBから1レーンあたり12Gbpsの伝送速度で伝送される映像信号による映像がディスプレー表示部に表示される。
【0067】
本実施の形態によれば、セットトップボックスSTBと薄型パネル状の電気機器である平面ディスプレー装置40とを接続する光電気複合ケーブル1が、表面側FFC10と、背面側FFC11の間に中間FFC12及びテープ型光ファイバ心線5を挟持しただけの薄肉帯状に形成されるので、薄型パネル状の平面ディスプレー装置40へ接続可能で、テープ型光ファイバ心線5の光ファイバー5aが破損しない程度に適度に屈曲するので、配線の自由度が得られる。
【0068】
上述の実施の形態に係る光電気複合ケーブル1では、表面側FFC10と背面側FFC11の横幅(図2において左右方向の幅)がその間に挟まれるテープ型光ファイバ心線5の横幅より長いので、表面側FFC10と背面側FFC11に挟まれるテープ型光ファイバ心線5の側方の空間を利用して、中間FFC12を配置しているが、フレキシブルフラット配線板に配線する電源線2や信号線3の数が少なければ、必ずしも中間FFC12を設ける必要はない。
【0069】
図6は、中間FFC12を配置しない本発明の他の実施の形態に係る光電気複合ケーブル20を示し、図中、光電気複合ケーブル1と同一若しくは同様に作用する構成については同一番号を付し、その詳細な説明を省略する。光電気複合ケーブル20は、1本の光ファイバー5aをそれぞれ複数の信号線3が配線された表面側FFC10と背面側FFC11の間に挟み、樹脂からなる被覆部材13で全体を一体化し、扁平な外形としている。
【0070】
この光電気複合ケーブル20によれば、表面側FFC10と背面側FFC11の横幅を短縮し、光電気複合ケーブル20全体の横幅も短縮できる。
【0071】
また、上述の実施の形態では、薄型パネル状の電気機器として、厚さが3mmの平面ディスプレー装置で説明したが、薄型パネル状であれば、ディスプレー装置に限らない。
【0072】
また、光電気複合ケーブル1は、電源線2と信号線3を配線したフレキシブルフラット配線板にテープ型光ファイバ心線5を複合化したケーブルの例で説明したが、光電気複合ケーブル20のように、信号線3を配線したフレキシブルフラット配線板と光ファイバー5aのみを複合化した光電気複合ケーブルであってもよい。更に、テープ型光ファイバ心線5は、光ファイバー5aの両端にO−E変換素子とE−O変換素子を一体に接続してモジュール化したアクティブオプティカルケーブルであってもよく、また、テープ型光ファイバ心線5内に平行に並べられる光ファイバー5aの素線は、複数本に限らず、1本であってもよい。
【0073】
また、樹脂からなる被覆部材により、表面側と背面側の一対のフレキシブルフラット配線板の間で一体化される光ファイバーは、被覆を有するテープ型光ファイバ心線にかぎらず、コアとクラッドのみからなる光ファイバー素線であってもよい。
【0074】
更に、光電気複合ケーブル1に複合化される電源線2、信号線3及び光ファイバー5aの本数や形状は上記実施の形態に示す例に限らない。特に、電源線2の本数は、薄型パネル状の電気機器内の電源系統数に応じて設定し、各電源線の線幅は、その電源線を介して給電する電源の最大電流以上の許容電流に応じて設定する。
【0075】
更に、上述の実施の形態では、テープ型光ファイバ心線5とその表裏に配置される一対の表面側FFC10と背面側FFC11とに、樹脂からなる被覆部材13を一体成形し、全体を一体化しているが、一対の表面側FFC10と背面側FFC11の外周に密着する粘着層若しくは接着層を有する絶縁テープを被覆部材13として、光ファイバー5aの表裏に配置される一対の表面側FFC10と背面側FFC11の外周に絶縁テープを巻回して、光ファイバー5aを挟持した一対の表面側FFC10と背面側FFC11の全体を一体化してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
薄型パネル状の電気機器に電気接続し、電気機器へ光ファイバーを介して高速大容量の信号を出力するととともに、電気機器へ導体からなる信号線を介して比較的低速な信号を出力する光電気複合ケーブルに適している。
【符号の説明】
【0077】
1 光電気複合ケーブル
2 電源線
2a 第1電源線
2b 第2電源線
3 信号線
5 テープ型光ファイバ心線
5a 光ファイバー
10 表面側フレキシブルフラットケーブル(表面側FFC)
11 背面側フレキシブルフラットケーブル(背面側FFC)
12 中間フレキシブルフラットケーブル(中間FFC)
13 被覆部材
40 薄型パネル状の電気機器(平面ディスプレー装置)
【要約】
【課題】フレキシブルフラット配線板に沿って光ファイバーを配線した全体を薄肉にしても、光ファイバーが大きな曲げ応力を受けて変形したり、破損することがない光電気複合ケーブルを提供する。
【解決手段】光ファイバーの表面側と背面側に一対のフレキシブルフラット配線板を配置し、被覆部材で全体を一体化するので、薄肉の光電気複合ケーブルとしても、大きな曲率で湾曲することがなく、光ファイバーが変形しない。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10