(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表面活性ポリマーが、塩基不安定基、酸不安定基、またはこれらの組み合わせを含むモノマーから形成される重合単位をさらに含む、請求項1〜4のいずれかに記載のトップコート組成物。
【発明を実施するための形態】
【0014】
トップコート組成物
本発明のトップコート組成物は、マトリックスポリマー、表面活性ポリマー、溶媒を含み、1つ以上の更なる任意の成分を含み得る。
【0015】
フォトレジスト層の上に適用される本発明のトップコート組成物は、自己分離型であり、液浸リソグラフィープロセスで用いられる浸漬液中へのフォトレジスト層の成分の移動を最小限に抑えるか、またはそれを阻止することができる。本明細書で使用されるとき、用語「浸漬液」は、液浸リソグラフィーを行うために露光ツールのレンズとフォトレジストコーティングされた基板との間に挿入される流体、典型的には、水を意味する。
【0016】
更に、本明細書で使用されるとき、トップコート層は、トップコート組成物の使用時に、同じ様式であるがトップコート組成物層の不在下で加工される同じフォトレジスト系と比べて減少した量の酸または有機材料が浸漬液中で検出された場合、浸漬液中へのフォトレジスト材料の移動を抑制するとみなされる。浸漬液中のフォトレジスト材料の検出は、フォトレジスト(オーバーコーティングされたトップコート組成物層ありまたはなし)に露光する前、次いで、浸漬液を通した露光によりフォトレジスト層(オーバーコーティングされたトップコート組成物層ありまたはなし)をリソグラフィー加工した後に、浸漬液の質量分析法分析により行われ得る。好ましくは、トップコート組成物は、いずれのトップコート層も用いない同じフォトレジスト(すなわち、浸漬液がフォトレジスト層と直接接触する)と比べて、浸漬液中に存在するフォトレジスト材料(例えば、質量分析法によって検出される酸または有機物)の少なくとも10パーセントの減少をもたらし、より好ましくは、トップコート組成物は、トップコート層を用いない同じフォトレジストと比べて、浸漬液中に存在するフォトレジスト材料の少なくとも20、50、または100パーセントの減少をもたらす。
【0017】
本発明のトップコート組成物は、液浸リソグラフィープロセスにおいて重要である様々な水接触角特性、例えば、浸漬液界面での静的接触角、後退接触角、前進接触角、及び滑り角のうちの1つ以上の改善を可能にし得る。トップコート層組成物は、例えば、塩基現像水溶液中で優れた現像液溶解度を層の露光された領域及び露光されていない領域の両方に有するトップコート層を提供する。
【0018】
本組成物は、乾式リソグラフィーで、またはより典型的には、液浸リソグラフィープロセスで使用され得る。露光波長は、フォトレジスト組成物以外によっては特に限定されず、300nm未満、例えば、248nm、193nmの波長、またはEUV波長(例えば、13.4または13.5nm)が典型的である。193nm液浸リソグラフィープロセスでの組成物の使用が特に好ましい。
【0019】
本発明のトップコート組成物は、2つ以上の異なるポリマーを含む。本発明で有用なポリマーは、ホモポリマーであり得るが、より典型的には、複数のはっきりと異なる繰り返し単位を含み、2つまたは3つのはっきりと異なる単位、すなわち、コポリマーまたはターポリマーが典型的である。これらのポリマーは、好ましくは、組成物から形成されるトップコート層が、アルカリ性現像水溶液、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液等の第四級水酸化アンモニウム溶液を使用して、レジスト現像ステップで除去され得るように、アルカリ水溶液に可溶性である。
【0020】
重合アクリレート基、ポリエステル、ならびに他の繰り返し単位及び/またはポリマー骨格構造を含むポリマー、例えば、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、重合芳香族(メタ)アクリレート、及び重合ビニル芳香族モノマー等によって提供されるものを含む様々なポリマーが、本発明のトップコート組成物に用いられ得る。典型的には、これらのポリマーは各々、少なくとも2つの異なる繰り返し単位を含む。これらの異なるポリマーは、好適には、様々な相対量で存在し得る。
【0021】
本発明のトップコート組成物のポリマーは、例えば、1つ以上の疎水性基、弱酸性基、強酸性基、分岐状の任意に置換されたアルキルもしくはシクロアルキル基、フルオロアルキル基、または極性基、例えば、エステル、エーテル、カルボキシ、もしくはスルホニル基を含む、様々な繰り返し単位を含み得る。これらのポリマーの繰り返し単位上での特定の官能基の存在は、例えば、これらのポリマーの意図される官能性に依存するであろう。
【0022】
ある特定の好ましい態様では、コーティング組成物の1つ以上のポリマーは、リソグラフィー加工中に反応性の1つ以上の基、例えば、酸及び熱の存在下で切断反応を受け得る1つ以上の光酸−酸不安定基、例えば、酸不安定エステル基(例えば、t−ブチルエステル基、例えば、t−ブチルアクリレートもしくはt−ブチルメタクリレート、アダマンチルアクリレートの重合によってもたらされるもの)、及び/またはアセタール基、例えば、ビニルエーテル化合物の重合によりもたらされるものを含む。かかる基の存在は、会合したポリマー(複数可)を現像液溶液中でより可溶性にし、それによって、現像プロセス中のトップコート層の現像可能性及び除去に役立ち得る。
【0023】
これらのポリマーは、トップコート層の特性に適合するように有利に選択され得、各々が、一般に、1つ以上の目的または機能を果たす。かかる機能としては、例えば、フォトレジストプロファイル調整、トップコート表面調整、欠陥の低減、及びトップコート層とフォトレジスト層との間の界面混合の低減のうちの1つ以上が挙げられる。
【0024】
マトリックスポリマーは、1つ以上の繰り返し単位を含み得、2つの繰り返し単位が典型的である。マトリックスポリマーは、例えば、マイクロ架橋に起因する全体的な欠陥率を低減させるのに十分に高い現像液溶解速度を提供すべきである。マトリックスポリマーは、例えば、ポリマー現像液溶解速度を促進するためにスルホンアミド含有モノマーを含み得る。マトリックスポリマーの典型的な現像液溶解速度は、300nm/秒を超え、好ましくは500nm/秒を超える。マトリックスポリマーは、フッ素化されていてもフッ素化されていなくてもよい。いくつかのフォトレジスト材料について、フッ素化されたトップコートマトリックスポリマーは、トップコート層とその下のフォトレジスト層との間の界面混合を低減させるか、または最小限に抑えることができる。したがって、マトリックスポリマーの1つ以上の繰り返し単位が、例えば、フルオロアルキル基、例えば、C1〜C4フルオロアルキル基、典型的には、フルオロメチルでフッ素化され得、例えば、スルホンアミド基(例えば、−NHSO
2CF
3)またはフルオロアルコール基(例えば、−C(CF
3)
2OH)として存在し得る。
【0025】
マトリックスポリマーは、表面活性ポリマーがマトリックスポリマーから分相し、トップコートフォトレジスト界面から離れてトップコート層の上面に移動することを可能にするように、表面活性ポリマーの表面エネルギーよりも高い表面エネルギーを有し、好ましくは、それと非混合性である。マトリックスポリマーの表面エネルギーは、典型的には、30〜60mN/mである。
【0026】
本発明による例示のマトリックスポリマーとしては、以下のものが挙げられる。
【0029】
マトリックスポリマーは、トップコート組成物の全固形分に基づいて、典型的には70〜99重量%、より典型的には85〜95重量%の量で組成物中に存在する。マトリックスポリマーの重量平均分子量は、典型的には400,000ダルトン未満、例えば、5000〜50,000、5000〜15,000、または5000〜25,000ダルトンである。
【0030】
表面活性ポリマーは、トップコート/浸漬液界面での表面特性を改善するためにトップコート組成物中に提供される。具体的には、表面活性ポリマーは、有益には、水に関して望ましい表面特性、例えば、トップコート/浸漬液界面での静的接触角(SCA)、後退接触角(RCA)、前進接触角(ACA)、及び滑り角(SA)の改善のうちの1つ以上を提供することができる。特に、表面活性ポリマーは、より速いスキャン速度及び増大したプロセス処理能力を可能にできる、より大きいRCAを可能にし得る。乾燥した状態のトップコート組成物の層は、典型的には、60〜90°、好ましくは70〜90°、より好ましくは75〜90°の水後退接触角を有する。「乾燥した状態の」という語句は、全組成物に基づいて8重量%以下の溶媒を含有することを意味する。
【0031】
表面活性ポリマーは、好ましくは、アルカリ水溶液に可溶性である。表面活性ポリマーは、好ましくは、マトリックスポリマーよりも低い表面エネルギーを有する。好ましくは、表面活性ポリマーは、マトリックスポリマーならびにオーバーコート組成物中に存在する他のポリマーよりも著しく低い表面エネルギーを有し、それらと著しく非混合性である。このように、トップコート組成物は、自己分離型であり得、表面活性ポリマーがコーティング中に他のポリマーから離れてトップコート層の上面に移動する。それによって、結果として生じるトップコート層は、トップコート層の上面(液浸リソグラフィープロセスの場合、トップコート//浸漬液界面である)に表面活性ポリマーを豊富に含む。表面活性ポリマーの所望の表面エネルギーが特定のマトリックスポリマー及びその表面エネルギーに依存するが、表面活性ポリマーの表面エネルギーは、典型的には25〜35mN/m、好ましくは25〜30mN/mである。表面活性ポリマーは、典型的には、マトリックスポリマーの表面エネルギーよりも5〜25mN/m低く、好ましくは、マトリックスポリマーの表面エネルギーよりも5〜15mN/m低い。
【0032】
表面活性ポリマーは、以下の一般式(I)のモノマーから形成される重合単位であって、
【0034】
式中、R
1はH、F、メチル、またはフッ素化メチルを表し、R
2は任意に置換されたC1〜C8アルキレンまたは任意に置換されたC1〜C8フルオロアルキレンを表し、1個以上のヘテロ原子を任意に含み、R
3はH、F、任意に置換されたC1〜C10アルキル、または任意に置換されたC5〜C15アリールを表し、1個以上のヘテロ原子を任意に含み、R
4は任意に置換されたC1〜C8アルキル、任意に置換されたC1〜C8フルオロアルキル、または任意に置換されたC5〜C15アリールを表し、1個以上のヘテロ原子を任意に含み、XはO、S、またはNR
5を表し、R
5は水素及び任意に置換されたC1〜C5アルキルから選択され、aは0または1である、重合単位と、溶媒とを含む。
【0035】
一般式(I)において、aが1であるとき、表面活性ポリマーはポリマーの表面エネルギーを更に低くするように、より疎水性になり得る。イミド基、好ましくはフッ素化イミド基を付加ポリマー中に有する、一般式(I)のモノマーから形成された重合単位の使用により、大きい後退接触角を維持しながら、改善された暗視野現像液溶解速度を提供することができる。
【0036】
一般式(I)の例示の好適なモノマーとしては、以下のものが挙げられる。
【0042】
表面活性ポリマーは、一般式(I)のモノマーから形成されるホモポリマーであり得るか、または代替的に、1つ以上の追加の単位を含むコポリマーであり得る。コポリマーの場合、一般式(I)のモノマーの重合単位は、典型的には、表面活性ポリマーに基づいて、50〜99モル%の量、例えば、55〜90モル%または60〜80モル%の量で存在する。
【0043】
表面活性ポリマーで使用され得る好適な種類の追加の単位としては、例えば、フルオロアルコール、酸不安定、塩基不安定、スルホンアミド、アルキル、及びエステル基から選択される1つ以上の基を含有する単位が挙げられる。好ましくは、かかる酸不安定、塩基不安定、スルホンアミド、アルキル、及びエステル基は、フッ素化されている。これらのうち、表面活性ポリマーは、活性化放射線への露光及び露光後ベーキング後の現像液溶液中での溶解度を高めるために、好ましくは、1つ以上の酸不安定または塩基不安定基を含む。本発明による表面活性付加ポリマーで使用するための例示の追加の単位としては、以下のモノマーのうちの1つ以上の重合単位が挙げられる。
【0047】
表面活性ポリマーとして有用な例示のポリマーとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0053】
液浸リソグラフィー用の表面活性ポリマーの下限は、一般に、フォトレジスト成分の浸出を阻止する必要性によって決定される。表面活性ポリマーは、トップコート組成物の全固形分に基づいて、典型的には1〜30重量%、より典型的には3〜20重量%または5〜15重量%の量で組成物中に存在する。付加ポリマーの重量平均分子量Mwは、典型的には400,000ダルトン未満、好ましくは5000〜50,000ダルトン、より好ましくは5000〜25,000ダルトンである。
【0054】
任意に、1つ以上の追加のポリマーをトップコート組成物中で使用して、例えば、トップコート層の1つ以上の特性を更に調整することができる。
【0055】
トップコートを配合及び成型するための典型的な溶媒材料は、トップコート組成物の成分を溶解または分散させるが、その下のフォトレジスト層を認識可能な程度に溶解させない任意のものである。より具体的には、トップコート組成物の配合に好適な溶媒としては、アルコール、例えば、n−ブタノール、アルキレングリコール、例えば、プロピレングリコールのうちの1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない。更に、または代替的に、非極性溶媒、例えば、脂肪族及び芳香族炭化水素、ならびにアルキルエーテル、例えば、ドデカン、イソオクタン、及びイソペンチルエーテルが使用され得る。好ましくは、異なる溶媒、例えば、2つ、3つ、またはそれ以上の溶媒の混合物を使用して、組成物中の他のポリマー(複数可)から分離する第1の付加ポリマーの効果的な相分離を達成し、分注体積の低減を可能にする配合物の粘度の低減をもたらすことができる。
【0056】
例示の態様では、二溶媒系または三溶媒系が本発明のトップコート組成物に使用され得る。溶媒系は、例えば、一次溶媒及び付加溶媒を含み得、シンナー溶媒を含み得る。一次溶媒は、典型的には、トップコート組成物の非溶媒成分に対して優れた溶解度特性を呈する。一次溶媒の所望の沸点が溶媒系の他の成分に依存するが、沸点は、典型的には、付加溶媒の沸点よりも低く、120〜140℃、例えば、約130℃の沸点が典型的である。好適な一次溶媒としては、例えば、C4〜C8n−アルコール、例えば、n−ブタノール、イソブタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンタノール、2,3−ジメチル−1−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、イソヘキサノール、及びイソヘプタノール、それらの異性体、ならびにそれらの混合物が挙げられる。一次溶媒は、典型的には、溶媒系に基づいて、30〜80重量%の量で存在する。
【0057】
付加溶媒は、トップコート組成物中の表面活性ポリマーと他のポリマー(複数可)との間の相分離を容易にして、自己分離型のトップコート構造を促進するために存在する。加えて、より高い沸点の付加溶媒が、コーティング中の先端部乾燥作用を低減し得る。付加溶媒が溶媒系の他の成分よりも高い沸点を有することが典型的である。付加溶媒の所望の沸点が溶媒系の他の成分に依存するが、170〜200℃、例えば、約190℃の沸点が典型的である。好適な付加溶媒としては、例えば、ヒドロキシアルキルエーテルが挙げられる。例示のヒドロキシアルキルエーテルとしては、ジアルキルグリコールモノアルキルエーテル及びそれらの異性体、例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、それらの異性体、及びそれらの混合物が挙げられる。付加溶媒は、典型的には、溶媒系に基づいて、3〜15重量%の量で存在する。
【0058】
シンナー溶媒を任意に使用して、粘度を低下させ、より低い分注体積でコーティング被覆範囲を改善することができる。シンナー溶媒は、典型的には、一次溶媒と比べて組成物の非溶媒成分に対してより不良な溶媒である。シンナー溶媒の所望の沸点が溶媒系の他の成分に依存するが、140〜180℃、例えば、約170℃の沸点が典型的である。好適なシンナー溶媒としては、例えば、アルカン、例えば、C8〜C12n−アルカン、例えば、n−オクタン、n−デカン、及びドデカン、それらの異性体、ならびにそれらの異性体の混合物、ならびに/またはアルキルエーテル、例えば、式R
1−O−R
2のものが挙げられ、式中、R
1及びR
2は独立して、C
2〜C
8アルキル、C
2〜C
6アルキル、及びC
2〜C
4アルキルから選択される。アルキルエーテル基は、直鎖状または分岐状であり得、対称性または非対称性であり得る。特に好適なアルキルエーテルとしては、例えば、イソブチルエーテル、イソペンチル、及びイソブチルイソヘキシル、それらの異性体、ならびにそれらの混合物が挙げられる。他の好適なシンナー溶媒としては、例えば、ペンタン酸プロピル、ペンタン酸イソプロピル、3−メチルブタン酸イソプロピル、2−メチルブタン酸イソプロピル、ピバル酸イソプロピル、イソ酪酸イソブチル、イソ酪酸2−メチルブチル、2−メチルブタン酸2−メチルブチル、2−メチルヘキサン酸2−メチルブチル、ヘプタン酸2−メチルブチル、ヘプタン酸ヘキシル、n−酪酸n−ブチル、n−酪酸イソアミル、及びイソ吉草酸イソアミルが挙げられる。シンナー溶媒は、使用される場合、溶媒系に基づいて、典型的には10〜70重量%の量で存在する。
【0059】
特に好適な三溶媒系としては、4−メチル−2−ペンタノール/イソペンチルエーテル/ジプロピレングリコールモノメチルエーテル及び4−メチル−2−ペンタノール/イソ酪酸イソブチル/ジプロピレングリコールメチルエーテルが挙げられる。1つ以上の追加の溶媒が溶媒系中で使用されてもよく、例えば、1つ以上の追加の一次溶媒、シンナー溶媒、付加溶媒、及び/または他の溶媒が用いられてもよい。
【0060】
本発明のトップコート組成物は、1つ以上の他の任意の成分、例えば、光酸発生剤(PAG)化合物等の酸発生剤化合物を含み得る。好適な光酸発生剤は、化学増幅フォトレジストの技術分野で既知であり、これらとしては、例えば、オニウム塩、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム;ニトロベンジル誘導体、例えば、p−トルエンスルホン酸2−ニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸2,6−ジニトロベンジル、及びp−トルエンスルホン酸2,4−ジニトロベンジル;スルホン酸エステル、例えば、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、及び1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン;ジアゾメタン誘導体、例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン;グリオキシム誘導体、例えば、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、及びビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム;N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル;ならびにハロゲン含有トリアジン化合物、例えば、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、及び2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンが挙げられる。かかるPAGのうちの1つ以上が使用され得る。
【0061】
用いられる場合、1つ以上の酸発生剤が、トップコート組成物中、組成物の全固形分に基づいて、比較的少量、例えば、0.1〜8重量%、例えば、約2重量%で利用され得る。1つ以上の酸発生剤化合物のかかる使用は、リソグラフィー性能、特に、その下のレジスト層にパターン形成された現像像の解像度に好ましく影響を与え得る。トップコート組成物は、任意に、光酸発生剤を含まなくてもよい。
【0062】
液浸リソグラフィーで使用されるとき、好ましいトップコート層組成物は、目標露光波長で浸漬液の屈折率とフォトレジストの屈折率との間の屈折率を有する。好ましいトップコート組成物層は、典型的には、193nmで1.4以上、好ましくは1.47以上の屈折率を有する。任意の特定の系について、屈折率は、ポリマーブレンドの成分の比率、またはトップコート組成物のポリマー(複数可)のうちのいずれかの組成を変更することを含む、トップコート組成物の1つ以上のポリマーの組成を変化させることによって調整され得る。例えば、トップコート層組成物中の有機含有量を増加させることにより、層の屈折率が増加し得る。
【0063】
本発明のトップコート組成物は、好適には、ポリマー及び任意の成分を1つ以上の極性溶媒、例えば、上で特定されるもの、または代替的に1つ以上の非極性溶媒、例えば、上で特定される脂肪族及び芳香族炭化水素中に混和することによって調製され得る。全組成物の粘度は、典型的には、1.5〜2センチポアズ(cp)である。
【0064】
フォトレジスト組成物
本発明で有用なフォトレジスト組成物としては、例えば、酸感受性のマトリックス樹脂を含む化学増幅フォトレジスト組成物が挙げられ、これは、フォトレジスト組成物層の一部として、樹脂及び組成物層が、ソフトベーク、活性化放射線への露光、及び露光後ベーク後に光酸発生剤によって生成された酸との反応の結果として、有機現像液中の溶解度の変化を受けることを意味する。フォトレジスト組成物は、ポジ型またはネガ型であり得る。溶解度の変化は、マトリックスポリマー中の酸開裂性脱離基、例えば、光酸不安定エステルまたはアセタール基が、活性化放射線への露光及び熱処理の際に光酸促進脱保護反応を受けて、酸またはアルコール基を産生したときにもたらされる。
【0065】
マトリックスポリマーは、典型的には、1つ以上の酸不安定基、極性基のうちの1つ以上(例えば、ラクトン、ヒドロキシアダマンチル、ヒドロキシビニルナフタレン)、及び1つ以上の非極性基(例えば、アダマンチル)を含む。好ましい酸不安定基としては、例えば、マトリックスポリマーのエステルのカルボキシル酸素に共有結合する第三級非環式アルキル炭素(例えば、t−ブチル)または第三級脂環式炭素(例えば、メチルアダマンチル)を含有するアセタール基またはエステル基が挙げられる。好適なマトリックスポリマーとしては、(アルキル)アクリレート単位、好ましくは、酸不安定(アルキル)アクリレート単位、例えば、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、メチルアダマンチルアクリレート、メチルアダマンチルメタクリレート、エチルフェンキルアクリレート、エチルフェンキルメタクリレート等、ならびに他の非環式アルキル及び脂環式(アルキル)アクリレートを含有するポリマーが更に挙げられる。ある特定の200nm未満、例えば、193nmの波長での撮像について、マトリックスポリマーは、典型的には、フェニル、ベンジル、もしくは他の芳香族基を実質的に含まない(例えば、15モル%未満)か、またはそれらを完全に含まず、ここで、かかる基は、放射線を高度に吸収する。
【0066】
フォトレジスト組成物での使用に好適なマトリックスポリマーは、市販されており、当業者によって容易に作製され得る。マトリックスポリマーは、レジストの露光されたコーティング層を好適な現像液溶液中で現像可能にするのに十分な量でレジスト組成物中に存在する。典型的には、マトリックスポリマーは、レジスト組成物の全固形分に基づいて、50〜95重量%の量で組成物中に存在する。マトリックスポリマーの重量平均分子量M
wは、典型的には100,000ダルトン未満、例えば、5000〜100,000ダルトン、より典型的には5000〜15,000ダルトンである。
【0067】
フォトレジスト組成物は、活性化放射線への露光時に組成物のコーティング層内に潜像を生成するのに十分な量で用いられる光酸発生剤(PAG)を更に含む。例えば、光酸発生剤は、好適には、フォトレジスト組成物の全固形分に基づいて、約1〜20重量%の量で存在する。典型的には、非化学増幅材料と比較して、より少量のPAGが化学増幅レジストに好適である。好適なPAGは、化学増幅フォトレジストの技術分野で既知である。
【0068】
フォトレジスト組成物に好適な溶媒としては、例えば、グリコールエーテル、例えば、2−メトキシエチルエーテル(ジグリム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル;酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル;乳酸塩、例えば、乳酸メチル及び乳酸エチル;プロピオン酸塩、例えば、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸エチルエトキシ、及び2−ヒドロキシイソ酪酸メチル;セロソルブエステル、例えば、酢酸メチルセロソルブ;芳香族炭化水素、例えば、トルエン及びキシレン;ならびにケトン、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、及び2−ヘプタノンが挙げられる。上述の溶媒のうちの2つ、3つ、またはそれ以上のブレンド等の溶媒のブレンドも好適である。溶媒は、フォトレジスト組成物の総重量に基づいて、典型的には90〜99重量%、より典型的には95〜98重量%の量で組成物中に存在する。
【0069】
フォトレジスト組成物は、他の任意の材料を更に含み得る。例えば、本組成物は、添加塩基、光線性色素及び造影剤、線条防止剤、可塑剤、速度強化剤、増感剤等のうちの1つ以上を含み得る。使用される場合、かかる任意の添加物は、フォトレジスト組成物の全固形分に基づいて、典型的には0.1〜10重量%等の少量で組成物中に存在する。
【0070】
フォトレジストは、既知の手順に従って調製され得る。例えば、レジストは、フォトレジストの成分を好適な溶媒中に溶解させることによってコーティング組成物として調製され得る。フォトレジストの所望の全固形分含有量は、組成物中の特定のポリマー、最終層厚さ、及び露光波長等の要因に依存するであろう。典型的には、フォトレジストの固形分含有量は、フォトレジスト組成物の総重量に基づいて、1〜10重量%、より典型的には2〜5重量%と異なる。
【0071】
リソグラフィー加工
フォトレジスト組成物は、スピンコーティング、浸漬、ローラーコーティング、または他の従来のコーティング技法等によって基板に適用され得、スピンコーティングが典型的である。スピンコーティングの場合、コーティング溶液の固形分含有量は、利用される特定のスピン装置、溶液の粘度、スピナーの速度、及びスピン許容時間に基づいて、所望のフィルム厚さを提供するように調整され得る。
【0072】
本発明に従って使用されるフォトレジスト組成物は、フォトレジストでのコーティングを伴うプロセスで従来使用される基板に好適に適用される。例えば、本組成物は、シリコンウェハまたはパターン形成される1つ以上の層、例えば、金属層、半導体層、及び誘電体層のうちの1つ以上でコーティングされたシリコンウェハ上に適用され得る。アルミニウム−酸化アルミニウム、ヒ化ガリウム、セラミック、石英、銅、ガラス基板等も好適に用いられ得る。フォトレジストは、反射防止層上にも好適に適用され得る。次に、フォトレジスト組成物は、典型的には、フォトレジストコーティングが不粘着になるまで加熱して溶媒を除去することによってソフトベークされる。代替的に、フォトレジスト層は、トップコート組成物が適用され、フォトレジスト組成物及びトップコート組成物層の両方からの溶媒が単一の熱処理ステップで実質的に除去された後に乾燥され得る。
【0073】
本発明のトップコート組成物は、フォトレジスト組成物に関して上述されるもの等の任意の好適な方法によってフォトレジスト組成物上に適用され得、スピンコーティングが典型的である。その後、トップコート組成物層を有するフォトレジスト層は、フォトレジストの光活性成分(複数可)の活性化放射線にパターン状に露光される。液浸リソグラフィー系では、露光ツール(特に投影レンズ)とフォトレジストコーティングされた基板との間の空間は、屈折率が強化された流体を提供することができる硫酸セシウム等の1つ以上の添加物と任意に混合される水等の浸漬液で満たされる。典型的には、浸漬液は、微小気泡の形成を回避するように処理されている。
【0074】
露光ステップ中(流体が挿入される液浸であるか、またはかかる流体が挿入されない非液浸であるかにかかわらず)、フォトレジスト組成物層は、露光ツール及びフォトレジスト組成物の成分に応じて、典型的には約1〜100mJ/cm
2の範囲の露光エネルギーで、パターン形成された活性化放射線に露光される。フォトレジスト組成物をフォトレジストに活性化である放射線に露光することへの本明細書での言及は、放射線が、光活性成分の反応を引き起こすこと、例えば、光酸発生剤化合物から光酸を産生すること等によって、フォトレジストに潜像を形成することができることを示す。
【0075】
フォトレジスト組成物(及び感光性である場合、トップコート組成物)は、典型的には、短い露光波長、例えば、248nm、193nm等の300nm未満の波長及びEUV波長を有する放射線によって光活性化される。露光後、組成物層は、典型的には、70℃〜160℃の温度で、15秒〜2分間、例えば、30〜90秒間ベークされる。
【0076】
その後、フィルムは、典型的には、水酸化第四級アンモニウム溶液、例えば、水酸化テトラ−アルキルアンモニウム水溶液、典型的には、2.38重量%または5重量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液;アミン溶液、例えば、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、またはメチルジエチルアミン;アルコールアミン、例えば、ジエタノールアミンまたはトリエタノールアミン;ならびに環状アミン、例えば、ピロールまたはピリジンから選択される塩基現像水溶液での処理によって現像される。一般に、現像は、当該技術分野で認識されている手順に従って行われる。
【0077】
基板上でのフォトレジストコーティングの現像後、現像された基板は、例えば、当該技術分野で既知の手順に従ってレジストが露出している基板領域をエッチングまたはプレーティングすることによって、レジストが露出している領域上で選択的に加工され得る。かかる加工後、レジストは、既知の剥離手順を使用して加工された基板から除去され得る。以下の非限定的な実施例は、本発明を例証するものである。
【実施例】
【0078】
以下のモノマーを以下に記載されるようにポリマーの調製に使用した。示される場合モノマーの比率は、それぞれのポリマーに基づく重量パーセント(wt%)で提供される。
【0079】
【化7】
【0080】
モノマー合成
モノマーM−4〜M−7の合成
モノマーM−4〜M−7を以下に記載のスキーム1に示される合成反応によって調製した。
【0081】
【化8】
【0082】
モノマーM−4の合成
メタクリルアミド(5g、0.059モル)をテトラヒドロフラン(THF)(75mL)に溶解させた。そこに1.00モル/Lのリチウムジイソプロピルアミド(LiDA)溶液60mLを5℃で滴下添加し、続いて10分間撹拌した。次いで、そこに溶解させた2,2−ジメチルブタノイルクロリド(8.7g、0.065モル)を有するTHF(40mL)を溶液に添加し、続いて5℃で18時間撹拌した。反応終了後、THF及びt−ブチルメチルエーテル(MTBE)を溶液に添加し、続いて1重量%の塩酸水溶液で洗浄し、次いで水で蒸留した。次に、THF/MTBE有機層を、回転蒸発器を使用して、減圧下で濃縮した。N−ヘキサン(100mL)を、得られた粗組成物に添加し、5℃で晶析を行い、その後濾過した。結果として生じた固形分を減圧下で乾燥させて、N−メタクリロイル−2,2−ジメチルブタンアミド(モノマーM−4)6.6g(62%の収率)を提供した。[
1H NMR(CDCl
3、300MHz):δ0.9(t、3H)、1.21(s、6H)、1.60(q、2H)、1.99(s、3H)、5.5(s、1H)、5.61(s、1H)、8.25(bs、1H)]。
【0083】
モノマーM−5の合成
メタクリルアミド(10g、0.117モル)をテトラヒドロフラン(THF)(150mL)に溶解させた。そこに1.00モル/Lのリチウムジイソプロピルアミド(LiDA)溶液133mLを5℃で滴下添加し、続いて10分間撹拌した。次いで、そこに溶解させた3,5,5−トリメチルヘキサノイルクロリド(22.77g、0.129モル)を有するTHF(80mL)を溶液に添加し、続いて5℃で18時間撹拌した。反応終了後、THF及びt−ブチルメチルエーテル(MTBE)を溶液に添加し、続いて1重量%の塩酸水溶液で洗浄し、次いで水で蒸留した。次に、THF/MTBE有機層を、回転蒸発器を使用して、減圧下で濃縮した。N−ヘキサン(200mL)を、得られた粗組成物に添加し、5℃で晶析を行い、その後濾過した。結果として生じた固形分を減圧下で乾燥させて、N−メタクリロイル−3,5,5−トリメチルヘキサンアミド(モノマーM−5)18g(68%の収率)を提供した。[
1H NMR(CDCl
3、300MHz):δ0.91(s、9H)、1.01(d、3H)、1.20(d、2H)、1.99(s、3H)、2.11(m、1H)、2.82(d、2H)、5.59(s、1H)、5.79(s、1H)、8.18(bs、1H)]。
【0084】
モノマーM−6の合成
メタクリルアミド(7.3g、0.086モル)をテトラヒドロフラン(THF)(150mL)に溶解させた。そこに1.00モル/Lのリチウムジイソプロピルアミド(LiDA)溶液98mLを5℃で滴下添加し、続いて10分間撹拌した。次いで、そこに溶解させた4−(トリフルオロメチル)シクロヘキサン−1−カルボニルクロリド(20g、0.093モル)を有するTHF(80mL)を溶液に添加し、続いて5℃で18時間撹拌した。反応終了後、THF及びt−ブチルメチルエーテル(MTBE)を溶液に添加し、続いて1重量%の塩酸水溶液で洗浄し、次いで水で蒸留した。次に、THF/MTBE有機層を、回転蒸発器を使用して、減圧下で濃縮した。N−ヘキサン(100mL)を、得られた粗組成物に添加し、5℃で晶析を行い、その後濾過した。結果として生じた固形分を減圧下で乾燥させて、N−メタクリロイル−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキサン−1−カルボキサミド(モノマーM−6)12g(53%の収率)を提供した。[
1H NMR(CDCl
3、300MHz):δ1.66(m、4H)、1.85(m、2H)、1.99(s、3H)、2.11(m、1H)、2.38(m、2H)、3.56(t、1H)、5.62(s、1H)、5.81(s、1H)、8.26(bs、1H)]。
【0085】
モノマーM−7の合成
N−イソプロピルメタクリルアミド(10g、0.078モル)をテトラヒドロフラン(THF)(150mL)に溶解させた。そこに1.00モル/Lのリチウムジイソプロピルアミド(LiDA)溶液120mLを5℃で滴下添加し、続いて10分間撹拌した。次いで、そこに溶解させたピバロイルクロリド(11.6g、0.086モル)を有するTHF(80mL)を溶液に添加し、続いて5℃で18時間撹拌した。反応終了後、THF及びt−ブチルメチルエーテル(MTBE)を溶液に添加し、続いて1重量%の塩酸水溶液で洗浄し、次いで水で蒸留した。次に、THF/MTBE有機層を、回転蒸発器を使用して、減圧下で濃縮した。N−ヘキサン(200mL)を、得られた粗組成物に添加し、5℃で晶析を行い、その後濾過した。結果として生じた固形分を減圧下で乾燥させて、N−イソプロピル−N−ピバロイルメタクリルアミド(pivaloylmethacrylamide)(モノマーM−7)12g(72%の収率)を提供した。[
1H NMR(CDCl
3、300MHz):δ1.23(s、9H)、1.32(d、6H)、2.00(s、3H)、4.31(m、1H)、5.43(s、2H)]。
【0086】
モノマーM−8の合成
モノマーM−8を以下に記載のスキーム2に示される合成反応によって調製した。
【0087】
【化9】
【0088】
炭酸ナトリウム(37.5g)をベンゼン(150mL)中、ラクトアミド(22.5g)の溶液に添加し、混合物を撹拌した。メタクリルイルクロリド(Methacrylyl chloride)(20g)を混合物に緩徐に添加し、結果として生じた反応混合物を一晩撹拌した。混合物を濾過し、回転蒸発器を使用して濃いシロップに濃縮した。この濃いシロップにヘプタンを添加し、シロップを50%の収率で白い固形分α−メタクリロキシプロピオンアミド(A)に晶析した。α−メタクリロキシプロピオンアミド(A)(5g、0.032モル)をテトラヒドロフラン(THF)(75mL)に溶解させた。そこに1.00モル/Lのリチウムジイソプロピルアミド(LiDA)溶液36mLを5℃で滴下添加し、続いて10分間撹拌した。次いで、そこに溶解させたピバロイルクロリド(4.68g、0.035モル)を有するTHF(40mL)を溶液に添加し、続いて5℃で18時間撹拌した。反応終了後、THF及びt−ブチルメチルエーテル(MTBE)を溶液に添加し、続いて1重量%の塩酸水溶液で洗浄し、次いで水で蒸留した。次に、溶液を減圧下で濃縮した。n−ヘキサンを、得られた溶液に添加し、5℃で晶析を行い、その後濾過した。結果として生じた固形分を減圧下で乾燥させて、1−オキソ−1−ピバルアミドプロパン(pivalamidopropan)−2−イルメタクリレート(モノマーM−8)5g(65%の収率)を提供した。[
1H NMR(CDCl
3、300MHz):δ1.23(s、9H)、1.54(d、3H)、1.99(s、3H)、5.66(m、1H)、5.83(s、1H)、6.21(s、1H)、8.36(bs、1H)]。
【0089】
モノマーM−9の合成
モノマーM−9を以下に記載のスキーム3に示される合成反応によって調製した。
【0090】
【化10】
【0091】
〜168.04gのヘキサフルオロ−2−プロパノール、115.24g(98%)のクロロアセチルクロリド、及び879gの無水酢酸エチルを、ガス注入口、温度熱電対、塔頂攪拌機、及び供給路を有するフラスコに添加した。混合物をドライアイス槽/イソプロパノール槽/水槽を使用して−10〜−20℃に冷却した。284.33gのジイソプロピルエチルアミンを90分にわたって反応混合物に緩徐に添加した。冷却槽を除去し、反応混合物を室温に冷却させた。次いで、メタクリル酸(86.1g)を反応混合物に緩徐に添加した。反応混合物を6時間56℃に加熱し、反応混合物を25℃に冷却した。反応混合物を500mLの脱イオン水で洗浄し、続いて250mLの含水水酸化アンモニウム及び250mLの含水塩化アンモニウムで洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、硫酸マグネシウムを濾過して、酢酸エチルで洗浄した。褐色濾液を減圧下33〜35℃で濃縮し、239gの粗褐色油が残った。この油を、短行程一体型蒸留装置を使用して、3〜4mm(bp=53℃)で真空蒸留し、191.1g(65%の収率)のモノマー−9を得た。[
1H NMR(CDCl
3):δ6.25〜6.24(m、1H)、5.79(hept、J=6Hz、1H)、5.73〜5.69(m、1H)、4.87(s、2H)、1.99(s、3H)。
13C NMR(CDCl
3):δ166.5、165.4、135.1、127.7、120.4(q、J=285Hz)、67.1(hept、J=37.5Hz)、60.1、18.3。
19F NMR(CDCl
3):δ73.7(d、J=6.3Hz)]。
【0092】
マトリックスポリマーMP−1の合成
モノマー供給溶液を、32.36gのプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、27.14gのモノマーM−1、及び11.34gのモノマーM−2を容器内で合わせ、この混合物を撹拌して、これらの2つのモノマーを溶解させることによって調製した。1.67gのモノマーM−3を容器内で5.02gの蒸留水に溶解させ、この混合物を撹拌してモノマーを溶解させた。モノマーM−3の溶液を、モノマーM−1及びM−2の反応混合物に添加し、それらと混合した。開始剤供給溶液を、0.52gのVazo 67フリーラジカル開始剤(E.I.du Pont de Nemours and Company)及び4.65gのPGMEを容器内で合わせ、この混合物を撹拌して開始剤を溶解させることによって調製した。32.53gのPGMEを反応容器に導入し、この容器を窒素ガスで30分間パージした。次に、反応容器を撹拌しながら97℃に加熱した。モノマー供給溶液及び開始剤供給溶液の反応容器への導入を同時に開始した。モノマー供給溶液及び開始剤供給溶液を1.5時間にわたって同時に供給した。反応容器を撹拌しながら97℃で更に4時間維持し、次いで、室温に冷却させた。これにより、マトリックスポリマーMP−1を形成した。重量平均分子量(Mw)及び多分散性(PDI=Mw/Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリスチレン当量値によって決定される。[Mw=29173ダルトン、PDI=2.32]。
【0093】
表面活性ポリマーの合成
表面活性ポリマーを以下に記載のように合成し、表1に要約する。
【0094】
表面活性ポリマーSAP−1の合成(組成物)
モノマー溶液を、14.73gのプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、18gのモノマーM−9をフラスコ内で合わせ、この混合物を撹拌してモノマーを溶解させることによって調製した。開始剤供給溶液を、0.63gのVazo V−601開始剤(Wako Pure Chemical Industries)及び5.64gのPGMEAを容器内で合わせ、この混合物を撹拌して開始剤を溶解させることによって調製した。21gのPGMEAを反応容器に導入し、この容器を窒素ガスで30分間パージした。次に、反応容器を撹拌しながら99℃に加熱した。モノマー供給溶液及び開始剤供給溶液の反応容器への導入を同時に開始した。モノマー供給溶液及び開始剤供給溶液を110分間にわたって同時に供給した。反応容器を撹拌しながら99℃で更に2時間維持し、次いで、室温に冷却させた。これにより、表面活性ポリマーSAP−1を形成した。重量平均分子量(Mw)及び多分散性(PDI=Mw/Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリスチレン当量値によって決定される。[Mw=6585ダルトン、PDI=1.48]。
【0095】
表面活性ポリマーSAP−2の合成
モノマー溶液を、22.39gのプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、4gのモノマーM−9、及び5.82gのモノマーM−4をフラスコ内で合わせ、この混合物を撹拌してモノマーを溶解させることによって調製した。V−601開始剤(Wako Pure Chemical Industries)(0.52g)をフラスコに添加し、この混合物を窒素下で4時間80°Cに加熱した。反応混合物を室温に冷却させ、表面活性ポリマーSAP−2を得た。重量平均分子量(Mw)及び多分散性(PDI=Mw/Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリスチレン当量値によって決定される。[Mw=12,600ダルトン、PDI=2.15]。
【0096】
表面活性ポリマーSAP−3の合成
モノマー溶液を、11.60gのプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、4gのモノマーM−9、及び1.07gのモノマーM−4をフラスコ内で合わせ、この混合物を撹拌してモノマーを溶解させることによって調製した。V−601開始剤(Wako Pure Chemical Industries)(0.22g)をフラスコに添加し、この混合物を窒素下で4時間80°Cに加熱した。反応混合物を室温に冷却させ、表面活性ポリマーSAP−3を得た。コポリマー組成比は、
1H NMR(300MHz)によって決定される。重量平均分子量(Mw)及び多分散性(PDI=Mw/Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリスチレン当量値によって決定される。[Mw=11800ダルトン、PDI=2.1]。
【0097】
表面活性ポリマーSAP−4の合成
モノマー溶液を、16.17gのプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、4gのモノマーM−9、及び3.07gのモノマーM−5をフラスコ内で合わせ、この混合物を撹拌してモノマーを溶解させることによって調製した。V−601開始剤(Wako Pure Chemical Industries)(0.31g)をフラスコに添加し、この混合物を窒素下で4時間80°Cに加熱した。反応混合物を室温に冷却させ、表面活性ポリマーSAP−4を得た。コポリマー組成比は、
1H NMR(300MHz)によって決定される。重量平均分子量(Mw)及び多分散性(PDI=Mw/Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリスチレン当量値によって決定される。[Mw=11,000ダルトン、PDI=2.2]。
【0098】
表面活性ポリマーSAP−5の合成
モノマー溶液を、10.93gのプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、4gのモノマーM−9、及び0.77gのモノマーM−5をフラスコ内で合わせ、この混合物を撹拌してモノマーを溶解させることによって調製した。V−601開始剤(Wako Pure Chemical Industries)(0.20g)をフラスコに添加し、この混合物を窒素下で4時間80℃に加熱した。反応混合物を室温に冷却させ、表面活性ポリマーSAP−5を得た。コポリマー組成比は、
1H NMR(300MHz)によって決定される。重量平均分子量(Mw)及び多分散性(PDI=Mw/Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリスチレン当量値によって決定される。[Mw=20,000ダルトン、PDI=2.1]。
【0099】
表面活性ポリマーSAP−6の合成
モノマー溶液を、14.69gのプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、4gのモノマーM−9、及び8.36gのモノマーM−6をフラスコ内で合わせ、この混合物を撹拌してモノマーを溶解させることによって調製した。V−601開始剤(Wako Pure Chemical Industries)(0.42g)をフラスコに添加し、この混合物を窒素下で4時間80℃に加熱した。反応混合物を室温に冷却させ、表面活性ポリマーSAP−6を得た。コポリマー組成比は、
1H NMR(300MHz)によって決定される。重量平均分子量(Mw)及び多分散性(PDI=Mw/Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリスチレン当量値によって決定される。[Mw=5000ダルトン、PDI=1.43]。
【0100】
表面活性ポリマーSAP−7の合成
モノマー溶液を、6.17gのプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、4gのモノマーM−9、及び1.23gのモノマーM−7をフラスコ内で合わせ、この混合物を撹拌してモノマーを溶解させることによって調製した。V−601開始剤(Wako Pure Chemical Industries)(0.22g)をフラスコに添加し、この混合物を窒素下で4時間80℃に加熱した。反応混合物を室温に冷却させ、表面活性ポリマーSAP−7を得た。コポリマー組成比は、
1H NMR(300MHz)によって決定される。重量平均分子量(Mw)及び多分散性(PDI=Mw/Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリスチレン当量値によって決定される。[Mw=4500ダルトン、PDI=1.36]。
【0101】
表面活性ポリマーSAP−8の合成
モノマー溶液を、10gのプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、4gのモノマーM−9、及び2.87gのモノマーM−7をフラスコ内で合わせ、この混合物を撹拌してモノマーを溶解させることによって調製した。V−601開始剤(Wako Pure Chemical Industries)(0.19g)をフラスコに添加し、この混合物を窒素下で4時間80℃に加熱した。反応混合物を室温に冷却させ、表面活性ポリマーSAP−8を得た。コポリマー組成比は、
1H NMR(300MHz)によって決定される。重量平均分子量(Mw)及び多分散性(PDI=Mw/Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリスチレン当量値によって決定される。[Mw=4200ダルトン、PDI=1.2]。
【0102】
表面活性ポリマーSAP−9の合成
モノマー溶液を、10.67gのプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、4gのモノマーM−9、及び3.28gのモノマーM−8をフラスコ内で合わせ、この混合物を撹拌してモノマーを溶解させることによって調製した。V−601開始剤(Wako Pure Chemical Industries)(0.25g)をフラスコに添加し、この混合物を窒素下で4時間80℃に加熱した。反応混合物を室温に冷却させ、表面活性ポリマーSAP−9を得た。コポリマー組成比は、
1H NMR(300MHz)によって決定される。重量平均分子量(Mw)及び多分散性(PDI=Mw/Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリスチレン当量値によって決定される。[Mw=7000ダルトン、PDI=1.54]。
【0103】
【表1】
【0104】
トップコート組成物の調製
トップコート組成物TC−1〜TC−9は、マトリックスポリマーMP−1(3.606g)、表面活性ポリマーSAP−1〜SAP−9(0.049g)、及び(4−(2−(tert−ブトキシ)−2−オキソエトキシ)フェニル)ジフェニルスルホニウム1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホン酸(4−メチル−2−ペンタノール中、0.205gの1重量%溶液)を、4−メチル−2−ペンタノール(15.860g)、イソ酪酸イソブチル(9.159g)、及びジプロピレングリコールメチルエーテル(1.326g)の溶媒系に添加することによって配合した。混合物を0.2μmのPTFEディスクに通して濾過した。トップコート組成物のポリマーを表2に要約する。
【0105】
【表2】
【0106】
トップコート組成物の特性
接触角の測定
200mmのシリコンウェハを、HMDSで、120℃で30秒間プライムし、TEL ACT−8ウェハトラック上にEPIC(商標)2096ポジフォトレジスト(Rohm and Haas Electronic Materials)をコーティングし、プライムしたシリコン上で1200Åの厚さにした。トップコート組成物TC−1〜TC−9をレジストコーティングウェハ上にコーティングして385Åの厚さにし、次いで、同じウェハトラック上で、90℃で60秒間ベークした。脱イオン水に関して静的接触角(SCA)、後退接触角(RCA)、前進接触角(ACA)、及び滑り角(SA)を各試料について測定した。静的接触角及び動的接触角を、KRUSS滴下形状分析器モデル100を使用して測定した。動的接触角の測定について、脱イオン水の液滴サイズは50μLであり、ウェハステージ傾斜速度は1単位/秒であった。水の液滴を試験ウェハ表面上に落とすと、ウェハステージの傾斜が即座に始まった。ウェハステージ傾斜中、液滴の映像を、液滴がその元の位置から離れて滑り始めるまで、20フレーム/秒の速度で撮った。映像の各フレームを分析し、液滴が滑り始めたときのフレーム上の液滴の像を使用して、動的接触角(RCA及びACA)をそれらの対応する接線によって決定した。滑り角を、液滴が滑り始めたときのフレームに対応するウェハステージ傾斜角として決定した。静的接触角の測定では、水の液滴は2.5μLであり、傾斜せず試験ウェハ表面上に配置した。接触角は、液滴の前部エッジ及び後部エッジの接線によって決定した。報告された静的接触角は、液滴の前部エッジ及び後部エッジ上の接触角の平均であった。結果を表3に示す。
【0107】
溶解速度の測定
200mmのシリコンウェハを、HMDSで、120℃で30秒間TEL ACT−8ウェハトラック上でプライムした。ウェハを、90℃で60秒間ソフトベークを使用して、4−メチル−2−ペンタノール(14重量%の固形分)中のマトリックスポリマーMP−1溶液、またはPGMEA(14重量%の固形分)中の表面活性ポリマー溶液でコーティングした。表面活性ポリマーの溶解速度(DR)を、5重量%のTMAH現像水溶液中、470nmの入射波長のLitho Tech Japan CorpのARM−808EUV溶解速度モニターで測定した。結果を表3に示す。
【0108】
【表3】
【0109】
コーティング品質試験
TEL Lithius i+クリーントラック上で、300mmのシリコンウェハを、ヘキサメチルジシラザンで、180℃で60秒間プライムした。トップコート組成物TC−1、TC−4、TC−6、TC−8、及びTC−9を、同じ機械上でスピンコーティングし、それぞれのプライムウェハ上で385Åの厚さにした。エッジビード除去ステップを行って、ウェハのエッジ周辺のコーティングされたフィルムを5mmの幅で均一に除去した。コーティングされたフィルムを90℃で60秒間ソフトベークした。トップコート層エッジに目に見えるコーティング欠陥、及びトップコート層の相対的な表面粗さがないかに注意するために、コーティングを、Nikon LU Plan Fluor対物レンズを装備したNikon Eclipse L200顕微鏡を使用して10倍の倍率で視覚的に検査した。観察されたコーティング欠陥は、トップコート層での不連続なスパイク状を呈するはじきの形態であった。結果を表4に要約する。
【0110】
【表4】
【0111】
液浸リソグラフィー
200mmのシリコンウェハにAR(商標)40A反射防止剤(Rohm and Haas Electronic Materials)をスピンコーティングし、215℃で60秒間ベークして、75nmの第1の底部反射防止コーティング(BARC)層を形成する。AR(商標)124反射防止剤(Rohm and Haas Electronic Materials)を第1のBARC層上にコーティングし、205℃で60秒間ベークして、23nmの上部BARC層を形成する。ウェハにEPIC(商標)2096ポジフォトレジスト(Rohm and Haas Electronic Materials)をコーティングして、1200Åの厚さにする。トップコート組成物TC−2〜TC−9をレジストコーティングウェハ上にコーティングして385Åの厚さにし、次いで、90℃で60秒間ベークする。ウェハを、接触穿孔パターンを有するパターン形成フォトマスクを通して液浸スキャナ上で露光する。ウェハを、100℃で60秒間露光後ベークし、2.38重量%のTMAH現像水溶液で12秒間現像して接触穿孔パターンにする。