特許第6423969号(P6423969)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6423969
(24)【登録日】2018年10月26日
(45)【発行日】2018年11月14日
(54)【発明の名称】取付部品を備えた内燃エンジン
(51)【国際特許分類】
   F02M 35/104 20060101AFI20181105BHJP
   F02M 35/112 20060101ALI20181105BHJP
   F02M 35/116 20060101ALI20181105BHJP
【FI】
   F02M35/104 B
   F02M35/112
   F02M35/116 J
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-542079(P2017-542079)
(86)(22)【出願日】2016年3月7日
(65)【公表番号】特表2018-505346(P2018-505346A)
(43)【公表日】2018年2月22日
(86)【国際出願番号】EP2016054783
(87)【国際公開番号】WO2016146418
(87)【国際公開日】20160922
【審査請求日】2017年8月10日
(31)【優先権主張番号】102015204607.9
(32)【優先日】2015年3月13日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506292974
【氏名又は名称】マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デッティンガー マルコ
(72)【発明者】
【氏名】エントレス マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ギュート ヴォルフガング
【審査官】 家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−074859(JP,A)
【文献】 特開平08−100723(JP,A)
【文献】 特開2006−063880(JP,A)
【文献】 特表2010−510423(JP,A)
【文献】 特表2007−504390(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0294226(US,A1)
【文献】 米国特許第06192849(US,B1)
【文献】 特開2010−168928(JP,A)
【文献】 特開2010−031649(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/080753(WO,A1)
【文献】 特開2001−213061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 35/10 − 35/16
F02B 29/04
F02M 26/22 − 26/33
F02B 61/00 − 79/00
F01N 13/10
F02F 1/00 − 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシリンダ(3)および少なくとも1つのシリンダヘッド(6)を有する少なくとも1つのエンジンブロック(2)と、
上記シリンダヘッド(6)に固定された少なくとも1つの取付部品(9)と、
上記取付部品(9)を上記シリンダヘッド(6)に取り付ける時に、上記取付部品(9)を上記シリンダヘッド(6)に対して位置合わせするための位置合わせ装置(20)とを備え、
上記位置合わせ装置(20)は、互いに離間した少なくとも3つの別個の位置合わせユニット(22)を有し、
少なくとも1つの上記位置合わせユニット(22)は、上記取付部品(9)が上記シリンダヘッド(6)に取り付けられる取付方向(24)に対して垂直な第1位置合わせ方向(23)において、上記取付部品(9)を上記シリンダヘッド(6)に対して位置合わせするように構成され、
少なくとも1つの他の上記位置合わせユニット(22)は、上記取付方向(24)に対して垂直でありかつ上記第1位置合わせ方向(23)に対して傾斜した第2位置合わせ方向(25)において、上記取付部品(9)を上記シリンダヘッド(6)に対して位置合わせするように構成され、
各上記位置合わせユニット(22)は、上記第1位置合わせ方向(23)または上記第2位置合わせ方向(25)においてのみ、上記取付部品(9)を上記シリンダヘッド(6)に対して位置合わせするように構成されており、
各上記位置合わせユニット(22)は、上記取付部品(9)に固定して設けられた第1位置合わせ要素(28)と、上記シリンダヘッド(6)に固定して設けられた第2位置合わせ要素(29)とを有し、
上記第1位置合わせ要素(28)および上記第2位置合わせ要素(29)は、各上記位置合わせ方向(23,25)における位置合わせのために協働するように構成されており、
少なくとも1つの上記位置合わせユニット(22)において、上記第1位置合わせ要素(28)は、上記取付部品(9)から上記取付方向(24)に突出する位置合わせピン(30)によって構成され、対応する上記第2位置合わせ要素(29)は、上記シリンダヘッド(6)に形成され、該シリンダヘッド(6)に対して上記取付部品(9)を位置合わせするために上記位置合わせピン(30)が入り込む位置合わせ開口(31)によって構成されており、
少なくとも1つの上記位置合わせ開口(31)は、上記取付方向(24)に対して垂直な断面において円形状を有し、
対応する上記位置合わせピン(30)は、上記取付方向(24)に対して垂直な断面においてピン形状を有し、
上記ピン形状は、対応する上記位置合わせユニット(22)の上記位置合わせ方向(23,25)と平行な向きにおいて、他方の上記位置合わせ方向(23,25)と平行な向きのピン厚さ(35)よりも大きなピン幅(34)を有する
ことを特徴とする内燃エンジン。
【請求項2】
請求項1において、
上記第1位置合わせ方向(23)は、上記第2位置合わせ方向(25)と実質的に垂直である
ことを特徴とする内燃エンジン。
【請求項3】
請求項1または2において、
上記位置合わせユニット(22)は、正確に3つ設けられており、
上記3つの位置合わせユニット(22)のうち2つは、一方の上記位置合わせ方向(23,25)における位置合わせを担うように構成され、
上記3つの位置合わせユニット(22)のうち1つは、他方の上記位置合わせ方向(23,25)における位置合わせを担うように構成されている
ことを特徴とする内燃エンジン。
【請求項4】
請求項3において、
上記一方の位置合わせ方向(23,25)に関連付けられた2つの上記位置合わせユニット(22)は、上記他方の位置合わせ方向(23,25)において互いに離間しており、
上記他方の位置合わせ方向(23,25)に関連付けられた1つの上記位置合わせユニット(22)は、上記他方の位置合わせ方向(23,25)において、上記一方の位置合わせ方向(23,25)に関連付けられた2つの上記位置合わせユニット(22)の間に設けられており、
上記他方の位置合わせ方向(23,25)に関連付けられた1つの上記位置合わせユニット(22)は、上記一方の位置合わせ方向(23,25)において、該一方の位置合わせ方向(23,25)に関連付けられた2つの上記位置合わせユニット(22)からオフセットされて設けられている
ことを特徴とする内燃エンジン。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項において、
少なくとも1つの上記位置合わせユニット(22)において、上記第2位置合わせ要素(29)は、上記シリンダヘッド(6)から上記取付方向(24)に突出する位置合わせピン(30)によって構成され、対応する上記第1位置合わせ要素(28)は、上記取付部品(9)に形成され、上記シリンダヘッド(6)に対して上記取付部品(9)を位置合わせするために上記位置合わせピン(30)が入り込む位置合わせ開口(31)によって構成されている
ことを特徴とする内燃エンジン。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項において、
少なくとも1つの上記位置合わせ開口(31)は、長孔(32)として構成され、
上記長孔(32)の長手方向は、対応する上記位置合わせユニット(22)の上記位置合わせ方向(23,25)に対して垂直に延びている
ことを特徴とする内燃エンジン。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項において、
少なくとも1つの上記位置合わせ開口(31)は、細長く形成されていて、その長手方向の両端部の間に案内部(33)を有し、
上記案内部(33)は、互いに対して平行にかつ対応する上記位置合わせユニット(22)の上記位置合わせ方向(23,25)に対して垂直に延びかつ互いに対向する2つの壁部を有する
ことを特徴とする内燃エンジン。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項において、
上記ピン形状は、平坦であって、ピン幅方向において互いに離間した両端部の間に、上記ピン幅(34)に沿って、上記ピン厚さ(35)が一定である部分(36)を有する
ことを特徴とする内燃エンジン。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項において、
少なくとも1つの上記位置合わせ開口(31)は、上記取付方向(24)に対して垂直な断面において円形状を有し、
各上記位置合わせピン(30)は、対応する上記位置合わせユニット(22)の上記位置合わせ方向(23,25)と垂直な方向において、該位置合わせ方向(23,25)と平行な方向よりも小さな曲げ剛性を有する
ことを特徴とする内燃エンジン。
【請求項10】
請求項1〜のいずれか1項において、
全ての上記位置合わせユニット(22)は、上記取付部品(9)が上記シリンダヘッド(6)に対して当接する位置合わせ平面(26)に位置している
ことを特徴とする内燃エンジン。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項において、
上記シリンダヘッドは、上記エンジンブロック(2)に固定され、上記シリンダ(3)につながる外気チャネル(7)を有しており、
上記取付部品は、上記シリンダヘッド(6)に固定され、外気入口開口(10)と、上記外気チャネル(7)に流体接続された複数の外気出口開口(11)とを有する吸気モジュール(9)である
ことを特徴とする内燃エンジン。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の内燃エンジン(1)用の吸気モジュールであって、
上記吸気モジュール(9)は、該吸気モジュール(9)を上記シリンダヘッド(6)に取り付けるために設けられた取付サイドに、上記吸気モジュール(9)に固定して設けられた複数の第1位置合わせ要素(30)を備える
ことを特徴とする吸気モジュール。
【請求項13】
請求項12において、
上記吸気モジュール(9)は、モジュールハウジング(37)であって、上記吸気モジュール(9)を上記シリンダヘッド(6)に取り付けるために上記モジュールハウジング(37)に設けられた取付サイド(38)に複数の第1位置合わせ要素(28)が一体形成されたモジュールハウジング(37)を備える
ことを特徴とする吸気モジュール。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の内燃エンジン(1)用の吸気モジュールであって、
上記吸気モジュール(9)は、モジュールハウジング(37)であって、上記吸気モジュール(9)を上記シリンダヘッド(6)に取り付けるために上記モジュールハウジング(37)に設けられた取付サイド(38)に複数の第1位置合わせ要素(28)が一体形成されたモジュールハウジング(37)を備える
ことを特徴とする吸気モジュール。
【請求項15】
請求項14において、
上記吸気モジュール(9)は、該吸気モジュール(9)を上記シリンダヘッド(6)に取り付けるために設けられた取付サイドに、上記吸気モジュール(9)に固定して設けられた複数の第1位置合わせ要素(30)を備える
ことを特徴とする吸気モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部の特徴を有する、取付部品、特に吸気モジュールを備えた内燃エンジンに関する。本発明は、また、そのような内燃エンジン用の吸気モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な内燃エンジンは、少なくとも1つのエンジンブロックを備える。エンジンブロックは、複数のシリンダと、エンジンブロックに固定された少なくとも1つのシリンダヘッドと、シリンダにつながる外気チャネルとを有する。また、シリンダヘッドに固定され、外気入口開口と、外気チャネルに流体接続された複数の外気出口開口とを有する少なくとも1つの吸気モジュールが設けられる。
【0003】
そのような吸気モジュールは、外気分配器と呼ばれることもあり、過給エンジンおよび吸気エンジンの両方において使用可能である。吸気モジュールは、シリンダヘッドに取り付けられ、この点において、取付部品であるとも言える。シリンダヘッドは、エンジンブロックに取り付けられるものであって、ここでは、エンジンブロックに設けられるフランジ部品でもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、吸気モジュールは、外気出口開口の領域にフランジを有する。このフランジによって、シリンダヘッドへのねじ接続が可能となる。ここで、構成に応じて、比較的複雑なねじパターンが存在し得る。ねじ接続を実現するために、シリンダヘッドの穴パターンは、固定ねじをフランジの貫通孔を介してシリンダヘッドのねじ穴に螺合させられるように、フランジの穴パターンとオーバーラップするものである必要がある。このため、特に連続組立てにおいて、および好ましくは自動ねじ接続に関連して、吸気モジュールをシリンダヘッドに対して正しく位置合わせするために比較的多くの労力が必要となる。そのような位置合わせは、例えば組立工によって手動で行われる。
【0005】
また、同様の問題が、フランジ部品を介してエンジンブロックに取り付ける必要のある他の取付部品に関しても生じる。
【0006】
本発明は、上述したタイプの内燃エンジンのための、または関連する吸気モジュールのための改善された実施形態を提示するという課題に関する。当該実施形態は、特に内燃エンジンの組立ての簡略化によって特徴付けられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、この課題は、独立請求項の主題によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0008】
本発明は、取付部品、特に吸気モジュールと、フランジ部品、特にシリンダヘッドとに、取付部品をフランジ部品に、特に吸気モジュールをシリンダヘッドに取り付ける時に取付部品をフランジ部品に対して、特に吸気モジュールをシリンダヘッドに対して位置合わせするための位置合わせ装置を設けるという基本思想に基づく。このために設けられる位置合わせ装置は、好ましくは、取付部品とフランジ部品との間に、したがって好ましくは吸気モジュールとシリンダヘッドとの間に配置される。そのため、位置合わせ装置は、一方では、フランジ部品、好ましくはシリンダヘッドに対向する取付部品、特に吸気モジュールの取付サイドに位置し、他方では、取付部品、好ましくは吸気モジュールに対向するフランジ部品、特にシリンダヘッドの接続サイドに位置する。取付部品をフランジ部品に、特に吸気モジュールをシリンダヘッドに取り付けると、取付部品、好ましくは吸気モジュールの取付サイドは、フランジ部品、好ましくはシリンダヘッドの接続サイドに当接し、その場合、取付部品とフランジ部品との間、特に吸気モジュールとシリンダヘッドとの間に設けられた位置合わせ装置が機能し、取付部品のフランジ部品に対する、特に吸気モジュールのシリンダヘッドに対する所望の位置合わせがなされる。そのような位置合わせ装置を取付部品およびフランジ部品、特に吸気モジュールおよびシリンダヘッドに組み込むことにより、取付部品、好ましくは吸気モジュールを取り付ける際に、フランジ部品、好ましくはシリンダヘッドに対する必要な位置合わせが必ず自動的になされる。そのため、例えば、取付部品、特に吸気モジュールの上述した穴パターンが、フランジ部品、特にシリンダヘッドの穴パターンに対して一致態様で十分な精度をもって位置合わせされる。取付部品、好ましくは吸気モジュールの組付けが、それにより簡略化されかつ特に良好に自動化され得る。
【0009】
ここで、取付部品とフランジ部品との間、特に吸気モジュールとシリンダヘッドとの間に配置される位置合わせ装置は、取付部品をフランジ部品に、特に吸気モジュールをシリンダヘッドに固定する機能を有する固定手段に加えて設けられる。そのような固定手段は、例えば、取付部品、好ましくは吸気モジュールに形成された貫通開口を通り抜けてフランジ部品、好ましくはシリンダヘッドに形成されたねじ穴に螺合し、取付部品をフランジ部品に、特に吸気モジュールをシリンダヘッドにねじ止めするためのねじである。位置合わせ装置による取付部品とフランジ部品との間、特に吸気モジュールとシリンダヘッドとの間における位置合わせは、取付部品をフランジ部品に、特に吸気モジュールをシリンダヘッドに固定する前に、したがって特に上述したねじ接続の前になされる。また、当該位置合わせは、取付方向に対して実質的に垂直に延びる位置合わせ平面においてなされる。位置合わせ平面は、取付状態において互いに当接する取付部品、好ましくは吸気モジュールの上述した取付サイドと、フランジ部品、特にシリンダヘッドの上述した接続サイドとの両方に対して実質的に平行に延びている。
【0010】
本発明において、取付部品は、例えば、吸気モジュール、シリンダヘッドカバー、オイルミスト分離器、または冷却器である。そのような取付部品は、幅方向よりも長手方向の方がずっと大きく、そのため、小さな位置決め誤差でも構成要素の全体に対して大きな影響を及ぼすおそれがある。後述する実施形態および例は、吸気モジュールおよびシリンダヘッドを例にとって説明するが、他の取付部品およびフランジ部品に類似の態様で置換可能である。
【0011】
有利な実施形態によると、位置合わせ装置は、互いに離間した少なくとも3つの別個の位置合わせユニットを備えていてもよい。少なくとも1つのそのような位置合わせユニットは、第1位置合わせ方向において、取付部品をフランジ部品に対して、または吸気モジュールをシリンダヘッドに対して位置合わせするように構成されている。ここで、第1位置合わせ方向は、取付部品がフランジ部品に、または吸気モジュールがシリンダヘッドに取り付けられる取付方向に対して垂直に向いている。また、少なくとも1つの他のそのような位置合わせユニットは、第2位置合わせ方向において、取付部品をフランジ部品に対して、または吸気モジュールをシリンダヘッドに対して位置合わせするように構成されている。ここで、第2位置合わせ方向は、取付方向に対して垂直でありかつ第1位置合わせ方向に対して傾斜している。取付方向に対して垂直に延びかつ互いに対して傾斜した2つの位置合わせ方向により、取付方向に対して垂直に延びる位置合わせ平面が規定される。好適には、2つの位置合わせ方向は、互いに対して実質的に垂直である。よって、2つの位置合わせ方向の間の角度は、90±5°である。
【0012】
有利な実施形態によると、全ての位置合わせユニットは、第1位置合わせ方向または第2位置合わせ方向のいずれか一方においてのみ、取付部品をフランジ部品に対して、または吸気モジュールをシリンダヘッドに対して位置合わせするように構成されている。よって、これら2つの位置合わせ方向のみが位置合わせユニットによって規定される。これにより、取付部品とフランジ部品との間、または吸気モジュールとシリンダヘッドとの間における特にシンプルかつ効率的な位置決めまたは位置合わせが実現される。
【0013】
特に有利な実施形態では、正確に3つの位置合わせユニットが設けられ、これらの位置合わせユニットのうち2つ、すなわち第1位置合わせユニットおよび第2位置合わせユニットは、一方の位置合わせ方向における位置合わせを担い、これらの位置合わせユニットのうち1つ、すなわち第3位置合わせユニットは、他方の位置合わせ方向における位置合わせを担う。例えば、第1および第2位置合わせユニットは、それぞれ第1位置合わせ方向における位置合わせを担い、第3位置合わせユニットは、第2位置合わせ方向における位置合わせを担う。あるいは、その逆であってもよい。
【0014】
特に有利な別の展開によると、一方の位置合わせ方向に関連付けられた2つの位置合わせユニット、すなわち第1および第2位置合わせユニットは、他方の位置合わせ方向において互いに離間していてもよい。加えてまたは代えて、他方の位置合わせ方向に関連付けられた1つの位置合わせユニット、すなわち第3位置合わせユニットは、他方の位置合わせ方向において、一方の位置合わせ方向に関連付けられた2つの位置合わせユニットの間、すなわち第1および第2位置合わせユニットの間に配置されていてもよい。また、加えてまたは代えて、他方の位置合わせ方向に関連付けられた1つの位置合わせユニット(第3位置合わせユニット)は、一方の位置合わせ方向において、当該一方の位置合わせ方向に関連付けられた2つの位置合わせユニット(第1および第2位置合わせユニット)からオフセットされて設けられていてもよい。上述した内容は、それぞれ個別にもしくは組み合わせて、または任意の組合せにおいて実施されてもよく、それぞれが取付部品のフランジ部品に対する、または吸気モジュールのシリンダヘッドに対する位置合わせを改善する。また、他方の位置合わせ方向に関連付けられた1つの位置合わせユニット、すなわち第3位置合わせユニットは、第1および第3位置合わせユニットの間、すなわち一方の位置合わせ方向に関連付けられた2つの他の位置合わせユニットの間の実質的に中央に配置されていてもよい。ここで、この中央位置合わせは、取付部品もしくはフランジ部品、または吸気モジュールもしくはシリンダヘッドの長手方向に関するものであって、特にシリンダヘッドのシリンダが互いに隣り合って並ぶ方向に対応している。中央に設けられた(第3)位置合わせユニットに対応する位置合わせ方向は、上述した長手方向に対して平行に延びていることが好ましい。
【0015】
別の有利な実施形態によると、位置合わせユニットは、取付部品または吸気モジュールに固定して設けられた第1位置合わせ要素と、フランジ部品またはシリンダヘッドに固定して設けられた第2位置合わせ要素とを有していてもよい。両位置合わせ要素は、取付部品のフランジ部品に対する、または吸気モジュールのシリンダヘッドに対する各位置合わせ方向における位置合わせのために協働する。ここで、好ましい実施形態では、第1位置合わせ要素は、取付部品または吸気モジュールに一体形成されている。加えてまたは代えて、第2位置合わせ要素は、フランジ部品またはシリンダヘッドに一体形成されていてもよい。
【0016】
別の展開によると、少なくとも位置合わせユニットにおいて、第1位置合わせ要素は、取付部品または吸気モジュールから取付方向に突出する位置合わせピンによって構成されていてもよく、対応する第2位置合わせ要素は、フランジ部品またはシリンダヘッドに形成され、取付部品のフランジ部品に対する、または吸気モジュールのシリンダヘッドに対する位置合わせのために位置合わせピンが入り込む位置合わせ開口によって構成されている。加えてまたは代えて、少なくとも位置合わせユニットにおいて、第2位置合わせ要素は、フランジ部品またはシリンダヘッドから取付方向に突出する位置合わせピンによって構成されていてもよく、対応する第1位置合わせ要素は、取付部品または吸気モジュールに形成され、取付部品のフランジ部品に対する、または吸気モジュールのシリンダヘッドに対する位置合わせのために位置合わせピンが入り込む位置合わせ開口によって構成されていてもよい。したがって、各位置合わせユニットの対応する位置合わせ要素は、嵌め合いによって協働し、それにより取付部品のフランジ部品に対する、または吸気モジュールのシリンダヘッドに対する効率的な位置合わせをもたらす。
【0017】
基本的に、全ての位置合わせユニットにおいて、第1位置合わせ要素は、位置合わせピンによって構成されていてもよい。あるいは、全ての位置合わせユニットにおいて、第1位置合わせ要素は、位置合わせ開口によって構成されていてもよい。しかしながら、基本的に、混合的な実施形態も考えられ、よって、少なくとも1つの位置合わせピンおよび少なくとも1つの位置合わせ開口が、取付部品または吸気モジュールに存在していてもよい。しかしながら、全ての位置合わせピンが取付部品または吸気モジュールに設けられる実施形態が好ましく、ここで、取付部品または吸気モジュールに位置合わせピンを一体形成することが好ましい。
【0018】
有利な別の展開によると、少なくとも1つのそのような位置合わせ開口は、長手方向が対応する位置合わせユニットの位置合わせ方向に対して垂直に延びる長孔として構成されていてもよい。好ましくは、全ての位置合わせ開口が、長孔として構成されている。
【0019】
また、少なくとも1つのそのような位置合わせ開口は、細長く形成され、または長孔として構成されていてもよく、その長手方向の両端部の間に、互いに対向する2つの壁部を含む案内部を有していてもよい。当該2つの壁部は、互いに対して平行にかつ対応する位置合わせユニットの位置合わせ方向に対して垂直に延びている。好適には、対応する位置合わせピンは、当該細長い位置合わせ開口に入り込むものであって、当該壁部上を案内されてもよい。位置合わせピンは、例えば、取付方向を横切る方向において円形断面を有していてもよい。しかしながら、このことは必ずしも必要ではない。
【0020】
好ましくは、全ての位置合わせ開口が、細長く形成され、または長孔として構成されている。
【0021】
別の有利な展開によると、少なくとも1つのそのような位置合わせ開口は、取付方向に対して垂直な断面において円形状を有していてもよい。ここで、好ましい実施形態では、全ての位置合わせ開口が、そのような円形状断面を有する。しかしながら、混合的な実施形態、すなわち、少なくとも1つの位置合わせ開口が、そのような円形状断面を有する一方、少なくとも1つの他の位置合わせ開口が、細長く形成され、または長孔として構成されている実施形態も考えられる。
【0022】
各位置合わせユニットにおいて位置合わせ開口が円形状断面を有する場合、有利な実施形態によると、対応する位置合わせピンは、取付方向に対して垂直な断面においてピン形状を有していてもよい。当該ピン形状は、対応する位置合わせユニットの位置合わせ方向と平行な向きにおいて、他方の位置合わせ方向と平行な向きのピン厚さよりも大きなピン幅を有する。好適には、ピン幅は、ピン厚さに対して垂直に延びている。ピン形状がピン厚さよりも大きなピン幅を有するので、各位置合わせピンは、円形の位置合わせ開口内で対応する位置合わせ方向を規定する。なぜなら、ピン厚さと平行な向きにおいて、位置合わせ開口内における位置合わせピンに対する大きな遊びが存在しており、よってピン幅と平行な向きにおける位置合わせがなされるためである。
【0023】
特に有利な別の展開では、ピン形状は、平坦であり、そのため、ピン幅方向において互いに離間する両端部の間に、ピン幅に沿って、一定のピン厚さを有する部分が存在する。
【0024】
加えてまたは代えて、各位置合わせユニットが円形状断面の位置合わせ開口を有する場合、対応する位置合わせピンは、対応する位置合わせユニットの位置合わせ方向に対して垂直な向きにおいて、当該位置合わせ方向と平行な向きよりも小さな曲げ剛性を有するように設計されていてもよい。したがって、取付部品または吸気モジュールのフランジ部品またはシリンダヘッドに対する位置合わせの間に、位置合わせピンの曲げ変形、好ましくは弾性曲げ変形が生じ、それにより、曲げ剛性が大きい方向と平行な向きにおいて、取付部品とフランジ部品との間、または吸気モジュールとシリンダヘッドとの間における位置合わせがなされる。
【0025】
ピン形状が平坦である場合、小さい方の曲げ剛性は、比較的小さなピン厚さに対して垂直な向きで生じ、比較的大きなピン幅に対して垂直な向きでは、大きい方の曲げ剛性が存在する。特に、ピン幅は、円形の位置合わせ開口の直径と実質的に等しくてもよく、それによりピン幅と平行な向きにおける位置合わせがなされる。一方、それと交差する向き、すなわちピン厚さの方向では、位置合わせピンに位置合わせ開口内での一定の可動性、すなわち当該方向における小さな曲げ剛性による可動性が残されている。
【0026】
有利な実施形態によると、全ての位置合わせユニットは、1つの位置合わせ平面に位置していてもよい。当該位置合わせ平面では、取付部品がフランジ部品に対して、または吸気モジュールがシリンダヘッドに対して当接する。これにより、取付部品とフランジ部品との間、または吸気モジュールとシリンダヘッドとの間における位置合わせが簡略化される。
【0027】
好ましい実施形態では、フランジ部品は、エンジンブロックに固定され、シリンダにつながる外気チャネルを有するシリンダヘッドである。また、取付部品は、シリンダヘッドに固定され、外気入口開口と、外気チャネルに流体接続された複数の外気出口開口とを有する吸気モジュールであってもよい。
【0028】
本発明に係る吸気モジュールは、上述したタイプの内燃エンジンに適したものであって、吸気モジュールをシリンダヘッドに取り付けるために設けられた取付サイドに、吸気モジュールに固定して設けられた複数の第1位置合わせ要素を備える。加えてまたは代えて、吸気モジュールは、モジュールハウジングであって、吸気モジュールをシリンダヘッドに取り付けるために当該モジュールハウジングに設けられた取付サイドに複数の第1位置合わせ要素が一体形成されたモジュールハウジングを備えていてもよい。吸気モジュールまたはモジュールハウジングに設けられた第1位置合わせ要素は、好ましくは、上述したように、位置合わせピンおよび/または位置合わせ開口であってもよい。
【0029】
本発明の別の重要な特徴および利点は、従属請求項から、図面から、および図面を参照した関連する図の説明から明らかになるだろう。ここで、図面において、取付部品は、一例として吸気モジュールとして構成され、フランジ部品は、一例としてシリンダヘッドとして構成されている。
【0030】
上述したあるいは後述する特徴は、それぞれに示す組合せにおいてのみでなく、本発明の範囲を逸脱することなく、他の組合せにおいてまたは単独でも利用可能であることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、内燃エンジンの非常に簡略化された回路図のような概略図である。
図2図2は、吸気モジュールの側面図である。
図3図3は、吸気モジュールの底面図である。
図4図4は、図3にIV−IV断面線に沿った位置合わせ装置の領域において内燃エンジンを簡略化して示す断面図である。
図5図5は、位置合わせ装置の非常に簡略化された概略図である。
図6図6は、別の実施形態に係る図5相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の好ましい例示的な実施形態について、図示すると共に詳細に説明する。なお、同一の参照符号は、同一のもしくは類似のまたは機能的に同一の構成要素を示す。
【0033】
図1に示すように、内燃エンジン1は、少なくとも1つのエンジンブロック2を備える。エンジンブロック2内には、複数のシリンダ3が設けられているが、図1ではそのうちの1つのみが破線で示されている。図1では、クランクケース4がエンジンブロック2の下側に隣接しており、クランクケース4の下側にはオイルパン5が設けられている。また、エンジンブロック2の上側にはシリンダヘッド6が隣接しており、このシリンダヘッド6は、シリンダ3につながる外気チャネル7を有する。図1では、1つの外気チャネル7のみが破線で図示されている。また、シリンダヘッド6は、シリンダ3に対応した排ガスチャネル8を有しており、同様にそのうちの1つのみが図1に示されている。内燃エンジン1が通常備える別の構成要素、例えばクランクシャフト、ピストン、コネクティングロッド、ガス交換弁ならびに弁制御およびインジェクション装置は、明瞭性を保つために図示していない。また、図1の例では、内燃エンジン1は、1つだけのエンジンブロック2および1つだけのシリンダヘッド6を備えるインラインエンジンとして構成されている。基本的に、少なくとも2つのエンジンブロック2、および/または少なくとも2つのシリンダヘッド6が存在する構造形態も考えられる。例えば、V型エンジンとして構成された内燃エンジン1では、2つのシリンダヘッド6が設けられていてもよく、ボクサーエンジンとして構成された内燃エンジン1では、さらに2つのエンジンブロック2が設けられていてもよい。シリンダヘッド6は、エンジンブロック2のフランジ部品を構成している。
【0034】
内燃エンジン1は、シリンダヘッド6に適当な態様で固定され、外気入口開口10と、外気チャネル7に流体接続された複数の外気出口開口11とを有する少なくとも1つの吸気モジュール9をさらに備える。ここで、吸気モジュール9は、シリンダ3に外気を供給するための外気システム12の構成要素である。吸気モジュール9は、各シリンダ3に外気を分配する外気分配器として機能する。吸気モジュール9は、フランジ部品を構成するシリンダヘッド6に取り付けられる取付部品を構成している。
【0035】
また、内燃エンジン1は、排気マニホールド14を有する排気システム13を備える。排気マニホールド14は、シリンダヘッド6に固定されていて、排ガスチャネル8に流体接続された複数の排ガス入口開口15と、排ガス出口開口16とを有する。図示の例では、内燃エンジン1は、過給内燃エンジン1として設計されていて、このため、この例では排ガスターボチャージャ17として設計された過給装置を備える。排ガスターボチャージャ17は、排気システム13に組み込まれたタービン18と、外気システム12に組み込まれたコンプレッサ19とを有する。内燃エンジン1の動作中には、公知の態様で、タービン18がコンプレッサ19を駆動する。
【0036】
ここで図示する内燃エンジン1では、吸気モジュール9とシリンダヘッド6との間に位置合わせ装置20が設けられている。この位置合わせ装置は、図1において破線で示されている。位置合わせ装置20は、吸気モジュール9をシリンダヘッド6に取り付ける時に、吸気モジュール9をシリンダヘッド6に対して位置合わせする機能を有する。ここで、位置合わせ装置20は、ここでは詳細に図示しない、吸気モジュール9をシリンダヘッド6に固定する機能を有する固定手段に加えて設けられている。図3には、当該固定手段の貫通開口21が示されている。貫通開口21は、吸気モジュール9に形成されていて、ここでは図示しない固定ねじが、それを介して案内されて、吸気モジュール9をシリンダヘッド6に対してねじ止めする。
【0037】
図2図6に示すように、位置合わせ装置20は、互いに離間して設けられた少なくとも3つの別個の位置合わせユニット22を備える。位置合わせ装置20を概略的に示す図5および図6によると、2つのそのような位置合わせユニット22は、図5および図6において上下に延びる第1位置合わせ方向23において、シリンダヘッド6に対して吸気モジュール9を位置合わせするように設計されている。また、第1位置合わせ方向23は、図1図2、および図4に縦矢印で示す取付方向24に対して垂直である。吸気モジュール9は、この取付方向24において、シリンダヘッド6に取り付けられる。これら2つの位置合わせユニット22は、図2図3図5、および図6において左側または右側に設けられていて、以下では、第1もしくは左側位置合わせユニット22、または第2もしくは右側位置合わせユニット22とも言うことがある。
【0038】
一方、残りの他の位置合わせユニット22は、取付方向24に対して垂直であって第1位置合わせ方向23に対して傾斜した第2位置合わせ方向25において、シリンダヘッド6に対して吸気モジュール9を位置合わせするように設計されている。この例では、第2位置合わせ方向25は、第1位置合わせ方向23に対して実質的に垂直であって、したがって図5および図6において左右に延びている。第1位置合わせ方向23および第2位置合わせ方向25は、位置合わせ平面26を規定する。この位置合わせ平面26は、図4に示されていて、取付方向24に対して実質的に垂直に延びている。この他の位置合わせユニット22は、図2図3図5、および図6において中央に設けられていて、以下では、第3または中央位置合わせユニット22とも言うことがある。
【0039】
ここで示す好ましい例では、第1位置合わせ方向23または第2位置合わせ方向25における位置合わせを行うための、正確に3つのそのような位置合わせユニット22が設けられている。ここで、2つの位置合わせユニット22、すなわち第1および第2位置合わせユニット22が第1位置合わせ方向23における位置合わせをそれぞれ担う一方、1つだけの位置合わせユニット22、すなわち第3位置合わせユニット22が第2位置合わせ方向25における位置合わせを担うことが好ましい。第1位置合わせ方向23に関連付けられた第1および第2位置合わせユニット22は、第2位置合わせ方向25において互いに離間して設けられている。また、第3または中央位置合わせユニット22は、第2位置合わせ方向25において、第1位置合わせ方向23に関連付けられた左側および右側位置合わせユニット22の間に設けられている。さらに、第2位置合わせ方向25に関連付けられた第3位置合わせユニット22は、第1位置合わせ方向23において、この第1位置合わせ方向23に関連付けられた第1および第2位置合わせユニット22からオフセットされて設けられている。また、ここで、第2位置合わせ方向25に関連付けられた第3位置合わせユニット22は、吸気モジュール9の長手方向27において、第1位置合わせ方向23に関連付けられた第1および第2位置合わせユニット22の間の中央に設けられている。吸気モジュール9の長手方向27は、図2図3図5、および図6において両矢印で示されていて、エンジンブロック2の各シリンダ3が当該エンジンブロック2内で互いに隣り合って並ぶ方向に対して平行に延びている。この長手方向27は、図1において紙面直交方向に延びている。ここで、第2位置合わせ方向25は、吸気モジュール9の長手方向27と平行に延びている。
【0040】
各位置合わせユニット22は、吸気モジュール9に固定して設けられた第1位置合わせ要素28と、シリンダヘッド6に固定して設けられた第2位置合わせ要素29とを備える。ここで示す例では、2つの位置合わせ要素28,29の一方は、位置合わせピン30として構成されており、他方の位置合わせ要素28,29は、位置合わせ開口31として構成されている。位置合わせ開口31には、吸気モジュール9をシリンダヘッド6に対して位置合わせするために、対応する位置合わせピン30が入り込む。ここで示す好ましい実施形態では、吸気モジュール9に形成された第1位置合わせ要素28がそのような位置合わせピン30によって構成され、シリンダヘッド6に形成された第2位置合わせ要素29がそのような位置合わせ開口31によって構成されている。
【0041】
図5に示す実施形態では、各位置合わせ開口31は、細長く形成され、または長孔32によって構成されている。ここで、各長孔32の長手方向は、各位置合わせユニット22が関連付けられた位置合わせ方向23,25に対して垂直に延びている。また、細長い位置合わせ開口31は、その長手方向の両端部の間に案内部33を有する。この案内部33は、互いに対向しかつ互いに対して平行に延びる2つの壁部によって規定されている。これらの壁部は、各位置合わせユニット22が関連付けられた位置合わせ方向23,25に対して垂直に延びている。したがって、案内部33は、各位置合わせユニット22の位置合わせ方向23,25を規定している。ここで、対応する位置合わせピン30は、上記案内部33の上記壁部によって案内される。そのため、各位置合わせピン30は、それぞれの細長い位置合わせ開口31内で、当該位置合わせユニット22が関連付けられた位置合わせ方向23,25において、位置合わせ開口31の中央に置かれる。一方、各位置合わせピン30は、当該位置合わせ方向23,25と垂直な方向、すなわち他方の位置合わせ方向23,25において、細長い位置合わせ開口31内で移動可能である。特に、細長い位置合わせ開口31に対応する位置合わせピン30は、図5に例示するように、取付方向24に対して垂直な断面が円形状であってもよい。
【0042】
図6を参照して、別の実施形態について詳細に説明する。当該実施形態は、図2図4の例において実施可能である。この実施形態は、特に低コストに製造可能であるという点に特徴がある。各位置合わせ開口31は、取付方向24に対して垂直な断面において円形状を有する。対応する位置合わせピン30は、各位置合わせユニット22に関連付けられた位置合わせ方向23,25と垂直な方向において、当該位置合わせ方向23,25と平行な方向よりも小さい曲げ剛性を有するように構成されている。例えば、図6の左側に示す第1位置合わせユニット22では、第1位置合わせ方向23が与えられる。そして、対応する位置合わせピン30は、第2位置合わせ方向25において、第1位置合わせ方向23よりも小さい曲げ剛性を有する。同じことが、図6の右側に示す第2位置合わせユニット22にも当てはまる。一方、図6の中央に示す第3位置合わせユニット22では、逆の状況が生じる。
【0043】
ここで、方向に対応した曲げ剛性は、関連する位置合わせピン30が、取付方向24に対して垂直な断面においてピン形状を有することによって実現される。当該ピン形状は、対応する位置合わせユニット22に関連付けられた位置合わせ方向23,25と平行な向きにおいて、他方の位置合わせ方向23,25と平行な向きのピン厚さ35よりも大きなピン幅23を有する。図6に示す例では、具体的に、左側に示す第1位置合わせユニット22において、ピン幅34は、第1位置合わせ方向23と平行に向いていて、第2位置合わせ方向25と平行に向いた対応するピン厚さ35よりもかなり大きく寸法設定されている。同じことが、図6の右側に示す第2位置合わせユニット22にも当てはまる。一方、図6の中央に示す第3位置合わせユニット22では、ピン幅34およびピン厚さ35の向きが逆になる。
【0044】
好ましい例では、各ピン形状は、平坦である。すなわち、ピン形状は、ピン幅方向において互いに離間した詳細には図示しない両端部の間に、ピン幅34に沿って、ピン厚さ35が一定である部分36を有する。
【0045】
好適には、例えば図4に示すように、全ての位置合わせユニット22は、上述した位置合わせ平面26に位置している。この位置合わせ平面26では、組立状態において、シリンダヘッド6に面する吸気モジュール9の取付サイド38が、吸気モジュール9に面するシリンダヘッド6の接続サイド39に当接する。
【0046】
好適には、吸気モジュール9は、モジュールハウジング37を備える。このモジュールハウジング37には、空気入口開口10および空気出口開口11が形成されている。ここで、また、取付サイド38は、このモジュールハウジング37上に位置している。さらに、詳細には図示しない固定手段の貫通開口21は、モジュールハウジング37に形成されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6