特許第6424062号(P6424062)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6424062
(24)【登録日】2018年10月26日
(45)【発行日】2018年11月14日
(54)【発明の名称】基地局及びアンテナの制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/28 20090101AFI20181105BHJP
   H04W 88/08 20090101ALI20181105BHJP
   H04B 7/10 20060101ALI20181105BHJP
【FI】
   H04W16/28
   H04W88/08
   H04B7/10 A
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-211699(P2014-211699)
(22)【出願日】2014年10月16日
(65)【公開番号】特開2016-82381(P2016-82381A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100145698
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 俊介
(72)【発明者】
【氏名】北藪 透
(72)【発明者】
【氏名】松野 宏己
(72)【発明者】
【氏名】林 合祐
【審査官】 桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−141845(JP,A)
【文献】 特開2000−332666(JP,A)
【文献】 特開平9−139704(JP,A)
【文献】 特開2009−77117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 − 99/00
H04B 7/10
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナの指向性を変更可能な基地局であって、
自局と通信する無線端末のリストを記憶する記憶部と、
前記リストに含まれる無線端末を探索する探索部と、
探索した前記無線端末が移動端末である場合、当該無線端末が存在する複数箇所の位置の夫々に対して、当該無線端末と自局との間の伝搬損失が最小となる方向、及び当該方向の前記伝搬損失を特定する特定部と、
特定した前記方向と当該方向の伝搬損失とに基づいて、当該方向に対する電波の送信強度を算出する強度算出部と、
算出した前記送信強度に基づいて、アンテナの指向性を制御するアンテナ制御部と、
を備え
探索した前記無線端末が移動端末である場合、前記特定部が第1方向の前記伝搬損失として第1伝搬損失を特定したタイミングよりも後に、当該第1方向の前記伝搬損失として前記第1伝搬損失よりも小さい第2伝搬損失を特定すると、前記探索部による前記探索を終了する、基地局。
【請求項2】
前記特定部は、探索した前記無線端末から受信したアップリンク信号の到来方向に基づいて、前記伝搬損失が最小となる方向を特定する、
請求項1に記載の基地局。
【請求項3】
前記探索部は、前記アンテナの指向性を所定の時間間隔で変化させて送信した電波に基づいて、前記無線端末を探索する、
請求項1又は2に記載の基地局。
【請求項4】
前記探索部は、第1送信強度の電波を用いて前記無線端末を探索した結果、前記リストに含まれる無線端末のうちの少なくとも一の無線端末が探索できない場合、前記第1送信強度よりも強い第2送信強度の電波を用いて当該一の無線端末を探索する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の基地局。
【請求項5】
前記強度算出部は、特定された前記伝搬損失のうち、前記複数箇所の位置に対応する前記方向の夫々において最大となる前記伝搬損失の夫々に基づいて、当該方向に対する電波の送信強度を算出する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の基地局。
【請求項6】
前記強度算出部は、特定した前記方向の伝搬損失と、当該方向に存在する無線端末に応じた所要SNRとの和を、当該方向に対する電波の送信強度として算出する、
請求項1からのいずれか1項に記載の基地局。
【請求項7】
前記リストに含まれない無線端末を検出した際に、前記リストに含まれる前記無線端末からの追加要求に応じて、当該無線端末を前記リストに追加する更新部、
を更に備える請求項1からのいずれか1項に記載の基地局。
【請求項8】
障害物の方向を検知するセンサを更に備え、
前記探索部は、当該障害物の方向以外の方向において、前記探索を行う、
請求項1からのいずれか1項に記載の基地局。
【請求項9】
アンテナの指向性を変更可能な基地局における前記アンテナの制御方法であって、
自局と通信する無線端末のリストに含まれる無線端末を探索するステップと、
探索した前記無線端末が移動端末である場合、当該無線端末が存在する複数箇所の位置の夫々に対して、当該無線端末と自局との間の伝搬損失が最小となる方向、及び当該方向の前記伝搬損失を特定するステップと、
特定した前記方向と当該方向の伝搬損失とに基づいて、当該方向に対する電波の送信強度を算出するステップと、
算出した前記送信強度に基づいて、アンテナの指向性を制御するステップと、
を有し、
前記無線端末を探索するステップでは、探索した前記無線端末が移動端末である場合、第1方向の前記伝搬損失として第1伝搬損失を特定したタイミングよりも後に、当該第1方向の前記伝搬損失として前記第1伝搬損失よりも小さい第2伝搬損失を特定すると、前記無線端末の探索を終了する、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線端末が通信可能なエリアを構築する基地局及びアンテナの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信技術の発展に伴い、通信事業者には、無線通信可能な通信エリアを適切に構築することが求められている。従来のマクロ局(基地局)の多くは、半径数百メートルから十数キロメートルの通信エリア(マクロセル)を構築しているが、マクロ局だけでは電波の不感地帯が生じてしまう。このような不感地帯に対しては、フェムト局を設置し、半径十数メートル程度の通信エリア(フェムトセル)を構築し対応することとしている。
【0003】
ところで、フェムト局を設置した場合、マクロ局の電波との干渉により却って通信を阻害する可能性があるため、フェムト局の設置には、マクロ局の電波との干渉を抑制する工夫が求められている。
この点、非特許文献1には、フェムト局がマクロ局(又は他のフェムト局)に与える干渉を抑えるために、マクロ局が送信する信号の受信電力を測定し、その測定値をもとにフェムト局の送信電力を決定する方法、即ち、他局の存在に合わせて送信電力に制限を加える方法が提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Kimura, Otonari, and Seki, “Autonomous downlink interference control for LTE femtocells in residential deployment,” PIMRC 2013, pp. 392-396, Sept. 2013.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1において提案されている方法では、フェムト局の送信電力に制限を加えるため、フェムト局に接続している無線端末のスループットが低下したり、無線端末がフェムト局に繋がらなくなったりしてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、接続している無線端末のスループットを確保可能な通信エリアを構築可能な基地局及びアンテナの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様においては、アンテナの指向性を変更可能な基地局であって、自局と通信する無線端末のリストを記憶する記憶部と、前記リストに含まれる無線端末を探索する探索部と、探索した前記無線端末と自局との間の伝搬損失が最小となる方向、及び当該方向の前記伝搬損失を特定する特定部と、特定した前記方向と当該方向の伝搬損失とに基づいて、当該方向に対する電波の送信強度を算出する強度算出部と、算出した前記送信強度に基づいて、アンテナの指向性を制御するアンテナ制御部と、を備える基地局を提供する。
【0008】
また、前記特定部は、探索した前記無線端末から受信したアップリンク信号の到来方向に基づいて、前記伝搬損失が最小となる方向を特定することとしてもよい。
【0009】
また、前記探索部は、前記アンテナの指向性を所定の時間間隔で変化させて送信した電波に基づいて、前記無線端末を探索することとしてもよい。
【0010】
また、前記探索部は、第1送信強度の電波を用いて前記無線端末を探索した結果、前記リストに含まれる無線端末のうちの少なくとも一の無線端末が探索できない場合、前記第1送信強度よりも強い第2送信強度の電波を用いて当該一の無線端末を探索することとしてもよい。
【0011】
また、前記無線端末が移動端末である場合、前記特定部は、前記移動端末が存在する複数箇所の位置の夫々に対して、前記伝搬損失が最小となる方向及び前記伝搬損失を特定し、前記強度算出部は、特定された前記伝搬損失のうち、前記複数箇所の位置に対応する前記方向の夫々において最大となる前記伝搬損失の夫々に基づいて、当該方向に対する電波の送信強度を算出することとしてもよい。
【0012】
また、前記特定部が第1方向の前記伝搬損失として第1伝搬損失を特定したタイミングよりも後に、当該第1方向の前記伝搬損失として前記第1伝搬損失よりも小さい第2伝搬損失を特定すると、前記探索部による前記探索を終了することとしてもよい。
【0013】
また、前記強度算出部は、特定した前記方向の伝搬損失と、当該方向に存在する無線端末に応じた所要SNRとの和を、当該方向に対する電波の送信強度として算出することとしてもよい。
【0014】
また、前記リストに含まれない無線端末を検出した際に、前記リストに含まれる前記無線端末からの追加要求に応じて、当該無線端末を前記リストに追加する更新部を更に備えることとしてもよい。
【0015】
また、障害物の方向を検知するセンサを更に備え、前記探索部は、当該障害物の方向以外の方向において、前記探索を行うこととしてもよい。
【0016】
本発明の第2の態様においては、アンテナの指向性を変更可能な基地局における前記アンテナの制御方法であって、自局と通信する無線端末のリストに含まれる無線端末を探索するステップと、探索した前記無線端末と自局との間の伝搬損失が最小となる方向、及び当該方向の前記伝搬損失を特定するステップと、特定した前記方向と当該方向の伝搬損失とに基づいて、当該方向に対する電波の送信強度を算出するステップと、算出した前記送信強度に基づいて、アンテナの指向性を制御するステップと、を有するアンテナの制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、接続している無線端末のスループットを確保可能な通信エリアを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の基地局の概要を示す図である。
図2】基地局の機能構成を示すブロック図である。
図3】基地局が備えるアンテナの構成の一例を示す図である。
図4】基地局に記憶されるリストの一例を示す図である。
図5】探索部による無線端末の探査方法の一例を示す図である。
図6】第2実施形態の基地局の概要を示す図である。
図7】第2実施形態の基地局に記憶されるリストの一例を示す図である。
図8】第2実施形態の基地局によるエリア校正モードの終了タイミングの一例を説明するための図である。
図9】第3実施形態の基地局の概要を示す図である。
図10】基地局が新たな無線端末を検出した場合の処理の流れを示すフローチャートである。
図11】リスト内の無線端末が新たな無線端末を検出した場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[基地局1の概要]
初めに、図1を参照して本発明の基地局1の概要について説明する。基地局1は、複数の送受信アンテナを備え、指向性制御が可能な無線基地局である。基地局1は、当該基地局1と無線通信可能な通信エリアの範囲を校正するためのエリア校正モードを備えており、当該エリア校正モードで決定した範囲をカバーするようにアンテナの指向性を制御することで、通信エリアを構築する。
【0020】
具体的には、基地局1は、基地局1に接続する無線端末(UE:User Equipment)9のリストを備え、図1(A)に示すように、エリア校正モードにおいてリスト内の無線端末9を検出する。リスト内の無線端末9を検出すると、基地局1は、当該無線端末9の方向及び当該方向に対する送信電力を決定し、決定した方向及び送信電力に基づいてアンテナの指向性を制御することで、図1(B)に示すように、通信エリアRを構築する。
このように予め登録したリストに基づいて構築される通信エリアRは、リスト内の無線端末9のスループットを十分に確保できる通信エリアであり、また、他の基地局が構築する通信エリアに対する不要な干渉を抑えることのできる通信エリアである。
【0021】
なお、基地局1は、無線端末9との間で電波を送受信可能な任意の装置であり、例えば、モバイル基地局(マクロ局)やフェムト局、また、ユーザ宅内に設置される無線LANアクセスポイント等である。また、無線端末9は、基地局1との間で電波を送受信可能な任意の装置であり、例えば、携帯電話、スマートフォン、PC、タブレットPC、ゲーム機等であってもよく、また、ユーザ宅内にセンサネットワークを構築する場合に用いられる各種センサ等であってもよい。
以下、本発明の基地局1に好適な実施形態について説明する。
【0022】
[第1実施形態]
初めに、図2から図5を参照して、本発明の基地局1の第1実施形態について説明する。なお、第1実施形態の基地局1は、エリア校正モードにおいて移動しない無線端末9を検出することで、通信エリアを構築することとしている。
【0023】
[基地局1の機能構成]
図2は、本発明の基地局1の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、基地局1は、送受信部2と、記憶部3と、制御部4と、センサ5と、を含んで構成され、送受信部2から送信される信号の振幅・位相を調整することで、送信する電波の送信パターンを制御する。なお、基地局1の通信方式は、TDD(Time-Division-Duplex)であってもよく、また、FDD(Frequency-Division-Duplex)であってもよい。
【0024】
送受信部2は、送信又は受信する電波の指向性を制御可能なアンテナを含んでおり、特定の方向に対して、電波の放射を集中させたり、受信感度を高めたりすることができる。このような送受信部2としては、既に公知の構成を採用することができるが、その一例を図3に示す。なお、図3に示す例は一例に過ぎず、その他の構成により指向性を制御可能にすることとしてもよい。
【0025】
また、図3では、送信アンテナの指向性を制御するための構成を示し、受信アンテナの指向性を制御するための構成は省略している。この点、受信アンテナの指向性を制御するための構成は、変調部6の代わりに復調部を備える他、送信アンテナと基本的に同じである。また、基地局1は、送信アンテナと受信アンテナとを別々に備えるのではなく、送受信兼用のアンテナを備えることとしてもよい。
【0026】
図3に示すように、送受信部2は、例えば、変調部6と、分配部7と、信号発生部8と、複数のアンテナ素子20とを含んで構成される。変調部6は、予め定められた変調方式に従い入力された送信用のデータを変調して、高周波信号(例えば、RF(Radio Frequency)信号やベースバンド信号)を生成し、分配部7に供給する。分配部7は、指向性に応じたウェイトに基づいて、供給された高周波信号を信号発生部8に対して分配する。信号発生部8は、分配部7により分配された高周波信号をアンテナ素子20に出力し、アンテナ素子20から高周波信号を放射させる。
このように、分配部7が、各アンテナ素子20から放射される高周波信号のウェイトを調整することで、送受信部2では、送信アンテナの指向性を制御することができる。なお、送信アンテナと受信アンテナとでは、少なくとも、送信アンテナの利得が大きい方向(即ち、無線端末9に対して電波を放射している方向)において受信アンテナの利得が大きければよく、両アンテナの指向性パターンは異なることとしてもよい。
【0027】
図2に戻り、記憶部3は、ROM及びRAM等のメモリ又はハードディスク等の記憶媒体である。記憶部3は、制御部4を動作させるためのプログラム及び制御部4が動作する際に生成されるデータを記憶する。また、記憶部3は、上述のエリア校正モード中に参照するリストを記憶する。
【0028】
ここで、記憶部3に記憶されるリストの一例を図4に示す。図4に示すように、リストは、基地局1と通信する無線端末9の一覧表であり、無線端末9を識別する識別情報に対応付けて当該無線端末9の所要SNR(Signal to Noise Ratio)を記憶する。また、リストには、指向方向、伝搬損失及び検出済み判定といった項目が設けられている。これら項目は、エリア校正モード中に制御部4の制御に応じて更新される。
【0029】
所要SNRは、無線端末9が基地局1と通信する際に必要となる信号雑音比である。基地局1が構築する通信エリアに存在する無線端末9としては、上述のように、スマートフォンやPC等の他、各種センサ等のように様々な端末が想定される。これら無線端末9では、その種別に応じて必要となるSNRが異なる。一例として、動画視聴等が想定される無線端末9では高いSNRが求められ、センサのように測定値を通信するだけの無線端末9では低いSNRで足りる。
そこで、本実施形態では、リストに含まれる無線端末9毎に所要SNRを記憶しておき、無線端末9毎の所要SNRに基づき、当該無線端末9に対して放射する電波強度(送信強度)を算出する。
【0030】
なお、リストに登録される無線端末9は任意の方法で設定することができる。一例として、基地局1を用いるユーザ(管理者)が手動で設定することとしてもよく、また、基地局1が有するホワイトリストを用いることとしてもよい。LTE(Long Term Evolution)では、登録された無線端末9のみが基地局1に接続できるようにする仕組みとしてCSG(Closed Subscriber Group)機能が設けられている。このCSG機能を利用している無線端末9(即ち、ホワイトリストとして登録した無線端末9)を、記憶部3のリストに登録することで、ホワイトリストを用いた登録を実現することができる。
なお、CSG機能を利用して基地局1に接続している無線端末9のうちの一部の無線端末9を絞り込み当該無線端末9のみを、記憶部3のリストに登録することとしてもよい。一部の絞り込みとしては、スマートフォン等のように人が持って移動する無線端末9と、センサのように家電機器等に設置され移動することのない無線端末9といった、無線端末9の種別を用いて絞り込みを行うことができる。
【0031】
図2に戻り、センサ5は、障害物の方向を検知する。本実施形態では、基地局1を宅内に設置することを想定しているため、障害物として宅内の壁を検知することとしている。そのため、センサ5としては、基地局1に対する壁面方向を検出するためのセンサ、例えば、超音波センサ、照度センサ、音センサ等を用いることができる。照度センサを用いる場合には、時刻情報や天気情報と連携させることとしてもよい。基地局1を窓際に設置した場合、昼間であれば明るい方向は外(壁)側となるのに対して、夜間であれば明るい方向は部屋の中央方向となる。照度センサと時刻情報や天気情報とを連携させることで、障害物を誤判定してしまうことを防ぐことができ、好適である。
後述するように、エリア校正モード中では、センサ5が検知した障害物(壁)方向を避けてリスト内の無線端末9の探索を行う。
【0032】
図2に戻り、制御部4は、例えばCPUであり、記憶部3に記憶されたプログラムを実行することにより、起動制御部41、探索部42、特定部43、更新部44、強度算出部45及びアンテナ制御部46として機能する。
【0033】
起動制御部41は、基地局1におけるエリア校正モードの起動/終了を制御する。エリア校正モードの起動/終了は、任意の条件により制御することができるが、以下にその一部を例示する。
【0034】
<起動制御>
起動制御部41は、例えば、基地局1の電源が投入されると、エリア校正モードを起動することができ、また、一定時間周期でエリア校正モードを起動することもできる。また、起動制御部41は、基地局1に内蔵された基地局1の位置又は姿勢変化を検出するセンサからの出力によって基地局1が移動又は向きを変更したと判定したことを条件として、エリア校正モードを起動することとしてもよい。また、起動制御部41は、他の装置からの制御信号を受けた場合にエリア校正モードを起動することとしてもよい。他の装置としては、記憶部3のリスト内に含まれる無線端末9を用いることもでき、また、基地局1と接続されたネットワーク機器(サーバ)を用いることもできる。また、起動制御部41は、記憶部3のリストが更新されることを条件に、エリア校正モードを起動することとしてもよい。
なお、基地局1にエリア校正モードを起動するスイッチを設け、起動制御部41は、同スイッチが操作されることを条件に、エリア校正モードを起動することとしてもよい。
【0035】
<終了制御>
起動制御部41は、例えば、記憶部3に記憶されたリストに含まれる無線端末9の全てを検出すると、エリア校正モードを終了することができる。また、起動制御部41は、送信電力を最大値に設定してもリスト内の無線端末9を検出できない場合には、一定時間経過後にエリア校正モードを終了することもできる。なお、送信電力の最大値とは、基地局1の装置上の最大値であってもよく、また、ユーザ等が指定した最大値であってもよい。
また、起動制御部41は、基地局1と接続された他の装置からの制御に応じてエリア校正モードを終了することとしてもよく、また、基地局1に設けられたスイッチが操作されることを条件に、エリア校正モードを終了することとしてもよい。
【0036】
探索部42は、記憶部3のリストに含まれる無線端末9を探索する。ここで、探索部42による無線端末9の探索方法の一例を、図5に示す。
図5(A)に示すように、まず、探索部42は、基地局1の送信電力を最小値に設定し、送受信部2の指向方向を特定方向に向けて探索範囲を形成する。形成した探索範囲内に対象の無線端末9が存在する場合、当該無線端末9から接続要求が通知されるため、探索部42は、この接続要求を受けることで、リスト内の無線端末9を検出する。
【0037】
探索部42は、リストに含まれる無線端末9の全てを検出するとエリア校正モードを終了する一方で、検出できない無線端末9が存在する場合、図5(A)に示すように、基地局1の送信電力を維持したまま、送受信部2の指向方向を変更する。指向方向の変更は、例えば、前の指向方向から一定角度回転させた方向に変更することであってもよく、また、これまでに向けた指向方向から一番角度の離れた方向に変更することであってもよい。
探索部42が指向方向を変更するタイミングは任意であるが、例えば、無線端末9が通信を行わない(スリープ等)期間又は時刻の情報を基地局1が保持しておき、無線端末9が通信を行わない期間よりも長い期間を待ってから指向方向を変更することで、検出漏れを防ぐことができる。
【0038】
探索部42が指向方向の変更を繰り返しても検出できない無線端末9がある場合、探索部42は、図5(B)に示すように、基地局1の送信電力を増加させる。送信電力を増加させるか否かの判断基準は任意であるが、例えば、指向方向の変更回数が基準値を超えることを条件に送信電力を増加させることとしてもよく、また、指向方向から一定の利得(例えば3dB)が下がる指向方向までを探索範囲として、360°のうち探索範囲に含まれていない方向がなくなったことを条件に、送信電力を増加させることとしてもよい。
【0039】
送信電力を増加させた後、探索部42は、再度、指向方向を変えながらリストに含まれている無線端末9の探索を行い、また、増加した送信電力でも検出できない無線端末9が存在する場合には、送信電力を再度増加させることを繰り返す。
なお、探索部42が送信電力を増加させた後に最初に設定する指向方向は、任意であるが、例えば、これまでに検出した無線端末9の指向方向を優先的に設定することとしてもよい。
【0040】
探索範囲内に無線端末9が存在する場合、当該無線端末9から接続要求が通知される。探索部42は、接続要求があった場合に、当該無線端末9に対して接続を許可し、当該無線端末9からアップリンク(UL)信号を受信し、校正情報を取得する。取得する校正情報としては、例えば、無線端末9を識別する識別情報、基地局1と無線端末9との間の伝搬損失、アップリンク信号の到来方向、チャネル品質(基地局1のRSRP、他の基地局のRSRP、SINR等)が挙げられる。
【0041】
なお、探索部42は、センサ5が検知した障害物の方向以外の方向において、無線端末9の探索を行うこととしてもよい。一例として、探索部42は、超音波センサが出力する障害物までの距離情報を元に、距離が一定値以下の場合は当該方向に壁面があると判定し、同方向に対する探査を行わないこととしてもよい。また、探索部42は、最大電力まで送信電力を増加させてもリスト内の無線端末9が検出できない場合に、障害物の方向の探査を行うこととしてもよい。
【0042】
特定部43は、探索した無線端末9と基地局1との間の伝搬損失が最小となる方向、及び当該方向の伝搬損失を特定する。
伝搬損失が最小となる方向の特定方法としては、探索時に基地局1から送信した電波(ダウンリンク)の指向方向を、当該方向として特定することもでき、また、探索時に無線端末9から受信した電波(アップリンク)の到来方向を、当該方向として特定することもできる。基地局1から送信する電波は、所定のビーム幅を持つため、一般に、ダウンリンクの放射方向に基づく推定よりもアップリンクの到来方向に基づく推定の方が、角度情報の推定精度が高い。そこで、本実施形態では、特定部43は、探索した無線端末9から受信したアップリンク信号の到来方向を、伝搬損失が最小となる方向として特定する。
【0043】
また、無線端末9と基地局1との間の伝搬損失の特定方法としては、例えば、無線端末9から受信したアップリンク信号の受信強度に基づいて特定することができる。具体的には、リストに含まれる無線端末9に対して基地局1と通信する際の送信強度を設定しておき、特定部43は、設定した送信強度と受信した受信強度とに基づいて、無線端末9と基地局1との間の伝搬損失を算出することができる。
また、特定部43は、無線端末9から受信したレポート(Measurement Report)に基づいて、無線端末9と基地局1との間の伝搬損失を特定することとしてもよい。
【0044】
更新部44は、探索結果に基づいて、記憶部3のリストを更新する。例えば、更新部44は、探索した無線端末9について、特定部43が特定した方向及び伝搬損失を、リストに記録するとともに、当該無線端末9が検出済みであることをリストに記録する。
【0045】
強度算出部45は、特定した方向と当該方向の伝搬損失とに基づいて、当該方向に対する電波の送信強度を算出する。具体的には、強度算出部45は、リストに記録された無線端末9の各方向のうち、当該方向と合致する結果を全て選びだし、その中で一番大きな伝搬損失を選出する。例えば、強度算出部45は、同一の方向について一の無線端末9のみが存在する場合には、当該無線端末9と基地局1との間の伝搬損失を選出し、同一の方向について複数の無線端末9が存在する場合には、最も大きな伝搬損失を選出する。続いて、強度算出部45は、選出した伝搬損失と、当該伝搬損失に対応する無線端末9の所要SNRとを加算し算出した和を、当該方向に対する電波の送信強度として算出する。図4に示す例では、強度算出部45は、「UE1」が存在する方向「95deg」に対する電波の送信強度として「75dB(=25+50)」を算出し、「UE2」が存在する方向「60deg」に対する電波の送信強度として「70dB(=5+65)」を算出する。
【0046】
アンテナ制御部46は、各方向について算出した送信強度に基づいて送受信部2の指向性を制御する。具体的には、アンテナ制御部46は、各方向に対して算出した送信強度を満たすように、複数のアンテナ素子20に対するウェイトの計算を行うことで、送受信部2の指向性を制御する。ウェイト計算の方法は任意であるが、例えば、MMSE(Minimum Mean Square Error)法等の手法を用いることができる。即ち、アンテナ制御部46は、乗算するウェイト(複素数)の位相を回転、振幅を増減させながら各方向への利得と、ウェイト乗算後の利得との差の二乗を誤差として算出し、各方向の誤差の和が最小となるウェイトを求める。このとき、ウェイトの探索方法としては、再急降下法等の任意の方法を用いることができる。
【0047】
なお、誤差に関しては、無線端末9が要求するSNRや各方向の利得の大小によって重みづけを行うこととしてもよい。具体的には、高いSNRを要求する無線端末9の校正情報から算出した指向方向の利得に関しては、低SNRで少ないデータの通信ができればよいセンサ等の無線端末9の校正情報から算出した指向方向の利得よりも、誤差の重みづけを大きくする。また、利得の大きい指向方向の誤差については、重みづけを大きくすることとしてもよい。
【0048】
[第1実施形態の基地局1の効果]
以上、本発明の基地局1の第1実施形態について説明した。以上説明した基地局1によれば、基地局1と接続する無線端末9をリスト内に登録しておき、エリア校正モード中にリスト内の無線端末9の方向及び無線端末9との間の伝搬損失を特定する。そして、基地局1では、伝搬損失及び無線端末9の所要SNRに基づき、リストに登録された無線端末9が存在する方向に対する送信強度を算出し、この送信強度を満たすように送受信部2の指向性パターンを制御する。
これにより、基地局1は、リスト内の無線端末9のスループットを十分に確保できる通信エリアを構築することができる。また、リストに登録された無線端末9に基づいて通信エリアを構築するため、基地局1と無線端末9とが通信を行うために必要最小限の通信エリアを構築することができ、他の基地局が構築する通信エリアに対する不要な干渉を抑えることができる。
【0049】
[第2実施形態]
続いて、図6から図8を参照して、本発明の基地局1の第2実施形態について説明する。第2実施形態の基地局1は、エリア校正モードにおいて移動する無線端末9を検出することで、通信エリアを構築することとしている。
【0050】
第1実施形態では、ある地点に設置された無線端末9(例えば、各種センサやデスクトップPC等)を対象に通信エリアを構築した。この点、スマートフォンやタブレットPC等のユーザが所持して用いる無線端末9を対象にした場合、無線端末9は様々な地点において利用されることになる。そこで、第2実施形態では、図6に示すように、ユーザは、エリア校正モード中に無線端末9を所持したまま無線端末9を利用するであろう地点を移動する。基地局1では、移動する無線端末9の位置(方向)及び当該位置に対する伝搬損失を算出して、通信エリアを構築する。
以下、第2実施形態の基地局1について説明する。なお、基地局1の構成は、第1実施形態と同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0051】
第2実施形態の探索部42は、記憶部3のリストに含まれる無線端末9を探索する。なお、探索部42による探索は、第1実施形態と同様に指向方向及び送信電力を変更することで探索することとしてもよく(図5参照)、また、障害物方向を除く全方向に対して所定の送信電力の電波を一斉に放射することで探索することとしてもよい。
【0052】
特定部43は、移動する無線端末9が存在する複数個所の位置の夫々に対して、伝搬損失が最小となる方向及び伝搬損失を特定する。具体的には、基地局1では、探索部42が無線端末9を検出すると、無線端末9からアップリンク信号を受信する。特定部43は、受信したアップリンク信号の到来方向から伝搬損失が最小となる方向を特定し、及び当該アップリンク信号の受信強度から基地局1と無線端末9との間の伝搬損失を特定する。もちろん、第1実施形態と同様に、アップリンク信号の到来方向ではなく、ダウンリンク信号の指向方向から無線端末9の方向を特定することとしてもよく、また、アップリンク信号の受信強度ではなく無線端末9から受信したレポートに基づいて伝搬損失を特定することとしてもよい。
【0053】
更新部44は、特定部43が特定した方向及び当該方向の伝搬損失を記憶部3のリストに記憶する。ここで、第2実施形態の基地局1の記憶部3に記憶されるリストの一例を図7に示す。図7に示す例では、無線端末「UE1」が基地局1に対する方向を変更しながら移動していることが確認できる。
【0054】
強度算出部45は、特定された伝搬損失のうち、複数箇所の位置に対応する方向の夫々において最大となる伝搬損失の夫々に基づいて、当該方向に対する電波の送信強度を算出する。ある方向に対して、伝搬損失が小さい位置と伝搬損失が大きい位置との2箇所の位置で無線端末9を検出した場合、伝搬損失が小さい位置(基地局1からの距離が近い)に合わせて通信エリアを構築したのでは、伝搬損失が大きい位置(基地局1からの距離が遠い)で適切なスループットを期待できない。そこで、強度算出部45は、ある方向において最大となる伝搬損失に基づいて、当該方向に対する電波の送信強度を算出する。なお、送信強度の具体的な算出方法は、第1実施形態と同様である。
アンテナ制御部46は、第1実施形態と同様に各方向について算出した送信強度に基づいて送受信部2の指向性を制御する。
【0055】
<第2実施形態の終了制御>
続いて、第2実施形態のように移動する無線端末9を用いてエリア校正モードを実行する場合の、エリア校正モードの終了制御について説明する。第1実施形態のように移動しない無線端末9を検出する場合、起動制御部41は、リスト内の全ての無線端末9を検出したタイミング等でエリア校正モードを終了するものの、移動する無線端末9が含まれる場合には、起動制御部41は、リスト内の全ての無線端末9を検出した場合であっても、エリア校正モードを継続する。
【0056】
このような場合、起動制御部41は、全方位の探索が完了したことと、伝搬損失が減少し始めることと、のアンド条件又はオア条件に基づいて、エリア校正モードを終了することとしてもよい。なお、全方位とは、基地局1の周囲に障害物が存在しない場合には、基地局の周囲360°であり、障害物が存在する場合には、障害物方向を除いた基地局の周囲である。
【0057】
また、伝搬損失が減少し始めることとは、第1方向の伝搬損失として第1伝搬損失を特定したタイミングよりも後に、当該第1方向の伝搬損失として第1伝搬損失よりも小さい第2伝搬損失を特定することである。このような状況は、図8に示すように、無線端末9を所持し移動するユーザが、移動を終えて基地局1に戻ってくるタイミングであると把握できるため、起動制御部41は、エリア校正モードを終了する。
なお、伝搬損失の減少については、瞬時変動の影響を除外するために、一定時間幅の伝搬損失の変化を平滑化した後の時間変化に対して判定することが好ましい。
【0058】
[第2実施形態の基地局1の効果]
以上説明した第2実施形態の基地局1によれば、移動する無線端末9が存在する複数箇所の位置の伝搬損失に基づいて通信エリアを構築するため、移動する無線端末9の利用場所において所望のスループットを十分に確保できる通信エリアを構築することができる。また、無線端末9の移動ルートに沿って通信エリアを構築するため、基地局1と無線端末9とが通信を行うために必要最小限の通信エリアを構築することができ、他の基地局が構築する通信エリアに対する不要な干渉を抑えることができる。
【0059】
[第3実施形態]
続いて、図9から図11を参照して、本発明の基地局1の第3実施形態について説明する。第3実施形態の基地局1は、記憶部3のリストの更新、即ち、リストに新たな無線端末9を追加する点が、第1及び第2実施形態の基地局1と異なる。
【0060】
図9は、第3実施形態の基地局1の概要を示す図である。図9に示す例では、「UE1」「UE2」「UE3」「UE4」の無線端末9は、基地局1のリストに登録されている一方で、「UE5」の無線端末9は、基地局1のリストに登録されていない無線端末9であるとする。第3実施形態の基地局1(更新部44)では、リスト未登録の無線端末9を検出すると、この無線端末9をリストに追加する。
ここで、「UE5」の検出パターンとしては、次の2点が想定される。1点目は、基地局1が検出する場合であり、2点目は、無線端末9が検出する場合である。なお、無線端末9が検出する場合とは、例えば、移動する無線端末9が、D2D(Device to Device)通信により新たな無線端末9を検出する場合である。
【0061】
図10は、基地局1が新たな無線端末9を検出した場合の処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS1において、基地局1の探索部42は、リストに未登録の無線端末9を検出する。一例として、図5に示す探索を行っている最中に、形成したエリア内にリスト未登録の無線端末9が存在する場合、当該無線端末9から基地局1に対して接続要求が通知される。探索部42は、接続要求を行った無線端末9とリストとを比較することで、リストに未登録の無線端末9を検出する。
【0062】
続いて、ステップS2において、検出した無線端末9を、リスト内の他の無線端末9に対して問い合わせる。検出した無線端末9は、基地局1では把握していないものの、リスト内の他の無線端末9で把握している場合があるため、基地局1は、リスト内の他の無線端末9に対して、検出した無線端末9をリストに追加する必要があるか問い合わせる。
【0063】
続いて、ステップS3において、基地局1から問合せを受けた無線端末9は、検出した無線端末9を追加する必要があるか否かを判定する。この判定方法は任意であるが、一例として、問合せを受けた無線端末9が所持するリストに検出した無線端末9が登録されている場合に、問合せを受けた無線端末9は、追加する必要があると判定する。ステップS3においてNOと判定すると処理を終了する一方で、ステップS3においてYESと判定すると、問合せを受けた無線端末9は、基地局1に対して追加要求を行う(ステップS4)。
【0064】
無線端末9から追加要求を受けると、ステップS5において、基地局1では、検出した無線端末9をリストに追加する。その後、基地局1は、無線端末9を追加したリストを用いてエリア校正モードを実行する。
【0065】
図11は、リスト内の無線端末9が新たな無線端末9を検出した場合の処理の流れを示すフローチャートである。
初めに、ステップS11において、リスト内の無線端末9は、リストに未登録の無線端末9を検出する。続いて、ステップS12において、未登録の無線端末9を検出した無線端末9は、基地局1に対して、検出した無線端末9の追加要求を行う。この追加要求を受けると、ステップS13において、基地局1では、要求された無線端末9をリストに追加する。その後、基地局1は、無線端末9を追加したリストを用いてエリア校正モードを実行する。
【0066】
[第3実施形態の基地局1の効果]
以上説明した第3実施形態の基地局1によれば、基地局1が把握していないリスト未登録の無線端末9が存在する場合であっても、当該無線端末9を検出した時点でリストに登録するため、当該無線端末9のスループットも十分に確保できる通信エリアを構築することができる。
【0067】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。特に、装置の分散・統合の具体的な実施形態は以上に図示するものに限られず、その全部又は一部について、種々の付加等に応じて、又は、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0068】
例えば、上記実施形態では、無線端末9と通信するマクロ局、フェムト局又は無線LANアクセスポイント等を例にとり、本発明の基地局1について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、無線端末9同士が通信するD2D通信に適用することとしてもよい。この場合、D2D通信を行う無線端末9のうちの一部又は全ての無線端末9が、本発明の基地局1として機能する。
【符号の説明】
【0069】
1・・・基地局
2・・・送受信部
3・・・記憶部
4・・・制御部
41・・・起動制御部
42・・・探索部
43・・・特定部
44・・・更新部
45・・・強度算出部
46・・・アンテナ制御部
9・・・無線端末
図1
図2
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図11