特許第6424063号(P6424063)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6424063
(24)【登録日】2018年10月26日
(45)【発行日】2018年11月14日
(54)【発明の名称】包装材
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20181105BHJP
   B65D 65/10 20060101ALI20181105BHJP
   B65D 85/50 20060101ALI20181105BHJP
【FI】
   A23L7/10 F
   B65D65/10 A
   B65D85/50 140
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-215475(P2014-215475)
(22)【出願日】2014年10月22日
(65)【公開番号】特開2016-77271(P2016-77271A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年8月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241186
【氏名又は名称】朋和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】神谷 知毅
【審査官】 北田 祐介
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−108389(JP,U)
【文献】 特開平08−242790(JP,A)
【文献】 特開平10−007165(JP,A)
【文献】 実開平05−072763(JP,U)
【文献】 実開平05−072764(JP,U)
【文献】 特開2007−254013(JP,A)
【文献】 特開平05−162768(JP,A)
【文献】 特開平11−299439(JP,A)
【文献】 実開平11−000048(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3001713(JP,U)
【文献】 特開2000−139381(JP,A)
【文献】 特開平07−222559(JP,A)
【文献】 特開2001−120201(JP,A)
【文献】 特開2004−081175(JP,A)
【文献】 特開2007−246152(JP,A)
【文献】 特開平08−242789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/10
B65D 65/10
B65D 85/50
B65B 11/00−11/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
米飯加工食品を包装可能に構成されており、
一方向に直交する他方向に間隔を空けて設定されて前記一方向に沿って伸びる一対の切断予定線上で切断されることで前記他方向に分割可能に構成される外シートと該外シートに積層されて外シートと同方向に分割可能に構成される内シートとを備え、外シートと内シートとの外周部同士がシールされることで外シートと内シートとの間にシート状食品を収容可能に構成された包装材であって、
前記一対の切断予定線の一部を備える第一領域と、米飯加工食品を包装した際に第一領域と重なり合って第一領域内の一対の切断予定線の一部を覆う第二領域とを備えており
該第二領域の端部が切り込まれて形成された少なくとも二つの切込線を備えると共に各切込線の一端部を起点に第二領域が切断可能に構成されており、
各切込線は、一端部から他端部側へ向かって形成される第一切込部と、他端部から第一切込部へ向かって形成されて第一切込部と交差する第二切込部とを備えており、
第二領域が第一領域と重なり合った際に、第一領域における一対の切断予定線が二つの切込線の間に位置し、各切込線一端部が他端部よりも第一領域における外シートの切断方向の下流側に位置すると共に、第一切込部が前記一方向に沿って配置され、第二切込部における第一切込部との交差位置が切込線の他端部よりも第一領域内の一対の切断予定線から離れた位置に配置されるように構成されたことを特徴とする包装材。
【請求項2】
米飯加工食品を包装可能に構成されており、
一方向に直交する他方向に間隔を空けて設定されて前記一方向に沿って伸びる一対の切断予定線上で切断されることで前記他方向に分割可能に構成される外シートと該外シートに積層されて外シートと同方向に分割可能に構成される内シートとを備え、外シートと内シートとの外周部同士がシールされることで外シートと内シートとの間にシート状食品を収容可能に構成された包装材であって、
前記一対の切断予定線の一部を備える第一領域と、米飯加工食品を包装した際に第一領域と重なり合って第一領域内の一対の切断予定線の一部を覆う第二領域とを備えており、
該第二領域の端部が切り込まれて形成された少なくとも二つの切込線を備えると共に各切込線の一端部を起点に第二領域が切断可能に構成されており、
各切込線は、一端部から他端部側へ向かって形成される第一切込部と、第一切込部と交差する第二切込部と、他端部から第二切込部へ向かって形成されて第二切込部と交差する第三切込部とを備えており、
第二領域が第一領域と重なり合った際に、第一領域における一対の切断予定線が二つの切込線の間に位置し、各切込線の一端部が他端部よりも第一領域における外シートの切断方向の下流側に位置すると共に、第一切込部及び第三切込部が前記一方向に沿って配置され、第二切込部における第一切込部との交差位置が第三切込部との交差位置よりも第一領域内の一対の切断予定線から離れた位置に配置されるように構成されたことを特徴とする包装材。
【請求項3】
前記包装材は、四角形状に形成されると共に、四隅部分に切欠部を備えており、
各切欠部は、前記他方向に位置する包装材の側端部から前記他方向に離れた位置に形成されて前記一方向に伸びる直線部と、該直線部から前記一方向における包装材の中央部側へ向けて傾斜して前記側端部に至る傾斜部とを備えており、
少なくとも第二領域に形成される切欠部の直線部及び傾斜部に前記切込線が形成される請求項1又は2に記載の包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米飯加工食品を包装する包装材であって、外シートと内シートとの間にシート状食品を収容可能に構成されたものに関する。
【背景技術】
【0002】
米飯加工食品を包装する包装材として、種々のものが知られている。例えば、コンビニエンスストア等で販売されている海苔付きおにぎりを包装する包装材としては、外シートと内シートとの間に海苔を介在させた状態で該海苔を囲むように外シートと内シートとがシールされることで、外シートと内シートとの間にシート状食品を収容するものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
外シートは、矩形状に形成され、長手方向の一端部に二つの切り込みを備えている。これにより、二つの切り込みの間に指などで摘むことができる摘み部が形成される。そして、斯かる摘み部を摘んで外シートの一端部側から他端部側に向かって長手方向に沿って引っ張ることで、外シートが長手方向に沿って伸びる切断予定線上で切断される。これにより、外シートは、幅方向に分割される。一方、内シートは、矩形状の二枚の内シート片から構成されており、各内シート片の長手方向に沿った一端部同士が重なるように配置されて構成されている。これにより、内シートは、幅方向に分割可能となっている。
【0004】
斯かる包装材を用いておにぎり(一対の三角形状の面を備えるもの)を包装する際には、おにぎりを挟み込むように包装材を二つ折りにする。これにより、包装材には、おにぎりの一方の三角形状の面(表面)側に位置する表面側領域と、おにぎりの他方の三角形状の面(裏面)側に位置する裏面側領域とが形成される。そして、表面側領域及び裏面側領域におけるおにぎりと対峙しない領域をおにぎりの裏面側へ折り曲げて、斯かる領域を裏面側領域に貼り付けることで、包装材によっておにぎりが包装された状態となる。
【0005】
包装されたおにぎりを取り出す際には、摘み部を外シートの一端部側から他端部側へ長手方向に沿って引っ張ることで外シートを切断し外シートを幅方向に分割する。そして、外シート及び内シートを幅方向に引っ張って分離することで、海苔とおにぎりとの間から内シートが引き抜かれ、海苔とおにぎりとが一体となって取り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−103255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のようにおにぎりを包装すると、包装材には、外シートの切断予定線の少なくとも一部を含む領域(以下、第一領域とも記す)が他の領域(以下、第二領域とも記す)と重なり合った状態になる。このため、第一領域内の切断予定線の少なくとも一部が第二領域によって覆われた状態となり、第一領域において外シートを切断する際に第二領域が抵抗となって外シートの切断を行うことが困難となる。
【0008】
そこで、本発明は、第一領域内の切断予定線の少なくとも一部が第二領域によって覆われた状態であっても容易に外シートを切断することができる包装材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る包装材は、米飯加工食品を包装可能に構成されており、一方向に直交する他方向に間隔を空けて設定されて前記一方向に沿って伸びる一対の切断予定線上で切断されることで前記他方向に分割可能に構成される外シートと該外シートに積層されて外シートと同方向に分割可能に構成される内シートとを備え、外シートと内シートとの外周部同士がシールされることで外シートと内シートとの間にシート状食品を収容可能に構成された包装材であって、前記一対の切断予定線の一部を備える第一領域と、米飯加工食品を包装した際に第一領域と重なり合って第一領域内の一対の切断予定線の一部を覆う第二領域とを備えており、該第二領域の端部が切り込まれて形成された少なくとも二つの切込線を備えると共に各切込線の一端部を起点に第二領域が切断可能に構成されており、各切込線は、一端部から他端部側へ向かって形成される第一切込部と、他端部から第一切込部へ向かって形成されて第一切込部と交差する第二切込部とを備えており、第二領域が第一領域と重なり合った際に、第一領域における一対の切断予定線が二つの切込線の間に位置し、各切込線一端部が他端部よりも第一領域における外シートの切断方向の下流側に位置すると共に、第一切込部が前記一方向に沿って配置され、第二切込部における第一切込部との交差位置が切込線の他端部よりも第一領域内の一対の切断予定線から離れた位置に配置されるように構成されたことを特徴とする。
【0010】
斯かる構成によれば、包装材で米飯加工食品を包装した際には、第二領域が第一領域内の切断予定線を覆った状態になる。そして、第二領域が切込線の一端部を起点に切断可能に構成されると共に切込線の一端部が他端部よりも第一領域における外シートの切断方向の下流側に位置することで、第一領域で外シートを切断予定線上で切断する際に第二領域を切込線の一端部を起点に切断することができる。
【0011】
また、切込線の一端部から他端部側へ向かって形成される第一切込部が第一領域内の切断予定線に沿って配置されることで、第二領域の切断方向が第一領域における外シートの切断方向に沿った方向になる。これにより、第一領域での外シートの切断に伴って第二領域を切断することが容易になる。このため、第一領域で外シートを切断する際に第二領域が抵抗になるのを抑制することができ、外シートの切断を容易に行うことができる。
なお、切断予定線は、外シートが一方向に沿って切断される際の切断予定位置に想定される仮想線である。
【0013】
斯かる構成によれば、外シートが一対の切断予定線上で切断された際には、外シートにおける一対の切断予定線間の領域が他の領域から分離される。また、第二領域が切込線を複数備えると共に、第二領域が第一領域と重なり合った際に第一領域内の一対の切断予定線が二つの切込線の各第一切込部の間に位置することで、外シートにおける一対の切断予定線間の領域が他の領域から分離される際に第二領域における二つの切込線間の領域が他の領域から分離される。
【0014】
また、二つの切込線の各第一切込部の間に一対の切断予定線が位置することで、一対の切断予定線間の領域よりも外側の位置で第二領域が切断されるため、第一領域における外シートの切断によって分離される領域の幅よりも第二領域の切断によって分離される領域の幅の方が広くなる。このため、包装材で包装された米飯加工食品を容易に取り出すことができる。
【0016】
斯かる構成によれば、第一切込部と交差する方向に沿って形成される第二切込部を備えると共に、第二領域が第一領域と重なり合った際に第二切込部における第一切込部と連結される一端部が他端部よりも第一領域内の一対の切断予定線から離間した位置に配置されることで、第一領域内の一対の切断予定線と第一切込部との間に第二切込部が位置することになる。このため、第一領域内の一対の切断予定線から離れた位置に第一切込部が位置していても、第二切込部C5を介して第一切込部の一端部へ第二領域の切断位置を確実に導くことができる。
【0017】
また、第一領域内の一対の切断予定線と第一切込部との間に第二切込部が位置することで、一対の切断予定線間の領域よりも外側の位置で第二領域が切断されるため、第一領域における外シートの切断によって分離される領域の幅よりも第二領域の切断によって分離される領域の幅の方がより広くなる。このため、包装材で包装された米飯加工食品をより容易に取り出すことができる。
【0018】
本発明に係る他の包装材は、米飯加工食品を包装可能に構成されており、一方向に直交する他方向に間隔を空けて設定されて前記一方向に沿って伸びる一対の切断予定線上で切断されることで前記他方向に分割可能に構成される外シートと該外シートに積層されて外シートと同方向に分割可能に構成される内シートとを備え、外シートと内シートとの外周部同士がシールされることで外シートと内シートとの間にシート状食品を収容可能に構成された包装材であって、前記一対の切断予定線の一部を備える第一領域と、米飯加工食品を包装した際に第一領域と重なり合って第一領域内の一対の切断予定線の一部を覆う第二領域とを備えており、該第二領域の端部が切り込まれて形成された少なくとも二つの切込線を備えると共に各切込線の一端部を起点に第二領域が切断可能に構成されており、各切込線は、一端部から他端部側へ向かって形成される第一切込部と、第一切込部と交差する第二切込部と、他端部から第二切込部へ向かって形成されて第二切込部と交差する第三切込部とを備えており、第二領域が第一領域と重なり合った際に、第一領域における一対の切断予定線が二つの切込線の間に位置し、各切込線の一端部が他端部よりも第一領域における外シートの切断方向の下流側に位置すると共に、第一切込部及び第三切込部が前記一方向に沿って配置され、第二切込部における第一切込部との交差位置が第三切込部との交差位置よりも第一領域内の一対の切断予定線から離れた位置に配置されるように構成されたことを特徴とする。
【0019】
斯かる構成によれば、第一切込部と第三切込部とが互いに沿うように形成されるため、包装材を製造する際や包装材で米飯加工食品を包装する際に第二領域に対して第一切込部及び第三切込部に沿った方向の張力が加わった際にも第二領域が意図せずに切断されてしまうのを防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、第一領域内の切断予定線の少なくとも一部が第二領域によって覆われた状態であっても容易に外シートを切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第一実施形態に係る包装材の構成を示した斜視図。
図2】同実施形態に係る包装材の平面図。
図3】同実施形態に係る包装材で米飯加工食品を挟み込んだ状態を示す斜視図。
図4】同実施形態に係る包装材で米飯加工食品を包装した状態を示した平面図。
図5】本発明の第二実施形態に係る包装材の平面図。
図6】同実施形態に係る包装材で米飯加工食品を包装した状態を示した平面図。
図7】他の実施形態に係る包装材で米飯加工食品を包装した状態を示した平面図。
図8】更に他の実施形態に係る包装材で米飯加工食品を包装した状態を示した平面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明に係る包装材の実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0023】
<第一実施形態>
本実施形態に係る包装材1は、図1に示すように、米飯加工食品(具体的には、おにぎり)X1を包装可能に構成される。斯かる包装材1は、米飯加工食品X1と接する内シート2と、該内シート2に重ね合わされる外シート3とから構成される。
【0024】
内シート2は、一方向に直交する他方向に分割可能に構成される。具体的には、内シート2は、一対の内シート片2a,2aから構成される。一対の内シート片2a,2aは、内シート2の略中央部で一方向に沿って重なるように配置される(即ち、一対の内シート片2a,2aが重なる領域が内シート2の一方向に沿って形成される)。これにより、内シート2は、他方向に分割可能に構成される。本実施形態では、内シート2は、一方向が長手となるように(具体的には、長方形状に)形成され、該長手方向に直交する他方向が幅方向となるように構成される。
【0025】
外シート3は、一方向に直交する他方向に分割可能に構成される。具体的には、外シート3は、内シート2と略同一形状を有する外シート本体3aと、該外シート本体3aに積層される帯状のカットテープ3bとを備える。外シート本体3aは、一方向が長手となるように(本実施形態では、長方形状に)形成され、該一方向(長手方向)に直交する他方向が幅方向となるように構成される。カットテープ3bは、外シート本体3aの他方向の中央部に一方向に沿って配置される。また、カットテープ3bは、外シート本体3aの他方向に間隔を空けて一対配置される。
【0026】
また、外シート3(具体的には、外シート本体3a)は、一方向(長手方向)の一端部に、他方向(幅方向)に間隔を空けて形成された一対の切り込み3c,3cを備える。そして、該一対の切り込み3c,3cの間には、一対のカットテープ3b,3bの端部が位置する。これにより、一対の切り込み3c,3cの間に指などで摘むことが可能な摘み部3dが形成される。
【0027】
これにより、摘み部3dを摘んで外シート3の一方向の一端部側から他端部側へ向かって引っ張ることで、一対の切り込み3c,3cの端部を起点に外シート3が一方向に沿って切断されて他方向に分割される。より詳しくは、外シート3は、一方向(長手方向)に沿って(具体的には、各カットテープ3b,3bに沿って)伸びる一対の切断予定線CL,CL上で切断されて一対の切断予定線CL,CL間の領域が他の領域から分離されることで、他方向(幅方向)に分割される。なお、切断予定線CLは、切り込み3cの端部から外シートの一方向に沿って伸びる仮想線として想定されるものである。
【0028】
内シート2および外シート3は、米飯加工食品X1に巻く海苔等のシート状食品X2を介して重ね合された状態で、図2に示すように、シート状食品X2を囲むように端部同士が(断続的に)シールされてシール部Sが形成される。これにより、シート状食品X2が収容された包装材1が形成される。本実施形態では、包装材1は、平面視四角形状(具体的には、一方向が長手となる長方形状)に形成される。また、包装材1の一方向(長手方向)が内シート2及び外シート3の一方向(長手方向)に対応し、包装材1の他方向(幅方向)が内シート2及び外シート3の他方向(幅方向)に対応する。
【0029】
また、包装材1は、四隅部分に切欠部1aを備える。各切欠部1aは、包装材1の長手方向に(切断予定線CL又はカットテープ3b)に沿って伸びる直線部1bと、該直線部1bから外方に向けて傾斜して包装材1の側端部に至る傾斜部1cとで画定される。
【0030】
また、包装材1は、外シート3の一対の切断予定線CL,CLの一部を備える第一領域A1と、米飯加工食品X1を包装した際に第一領域A1と重なり合う第二領域A2を備える。本実施形態では、第一領域A1は、包装材1で米飯加工食品X1を包装した際に米飯加工食品X1と対峙する領域である。斯かる第一領域A1は、包装材1の一方向(長手方向)の他端部側に位置する。一方、第二領域A2は、包装材1で米飯加工食品X1を包装する前の状態においては、包装材1の四隅部分(即ち、切欠部1aに接する領域)に想定される仮想領域であり、包装材1で米飯加工食品X1を包装した際に第一領域A1内の一対の切断予定線CL,CLの少なくとも一部を覆うように構成される。斯かる第二領域A2は、包装材1の一方向(長手方向)の一端部側に位置する。また、本実施形態では、第二領域A2は、包装材1の他方向(幅方向)に間隔を空けて一対形成される。換言すれば、第二領域A2は、包装材1の他方向(幅方向)で隣り合う一対の角部のそれぞれによって構成される。
【0031】
また、包装材1は、第二領域A2の一部が切り込まれて形成された切込線C1を備える。該切込線C1は、全体がシール部Sの内側に形成される。切込線C1は、一端部C2よりも他端部C3が包装材1の一方向(長手方向)の中央側に位置すると共に、一端部C2よりも他端部C3が切断予定線CLから包装材1の他方向(幅方向)に離れて位置する。また、切込線C1の他端部C3は、包装材1の端縁(具体的には、切欠部1aに接する端縁、即ち、直線部1b又は傾斜部1c)と接するように形成される。
【0032】
本実施形態では、切込線C1は、複数形成される。具体的には、直線部1bの複数箇所に切込線C1が形成されると共に、傾斜部1cの複数箇所に切込線C1が形成される。上記のような切込線C1が第二領域A2に形成されることで、第二領域A2が切込線C1の一端部C2を起点に切断可能に構成される。
【0033】
また、切込線C1は、一端部から他端部側へ向かって形成される第一切込部C4と、該第一切込部C4よりも他端部C3側の領域に形成されて第一切込部C4に対して交差する方向に沿って形成される第二切込部C5を備える。
【0034】
第一切込部C4は、一端部C4aが切込線C1の一端部C2を構成し、他端部C4bが第二切込部C5と連結される。また、第一切込部C4は、切断予定線CLに対して傾斜するような角度(90°未満)で形成される。具体的には、第一切込部C4は、一端部C4aから他端部C4bへ向かうに従って切断予定線CLとの間隔が広くなるように構成される。また、第一切込部C4は、切断予定線CLに沿った仮想線L1に対する角度(即ち、切断予定線CLに対する角度)θ1が40°以上80°以下であることが好ましく、50°以上70°以下であることがより好ましく、60°であることがさらに好ましい。
【0035】
第二切込部C5は、切込線C1の他端部C3から一端部C2側に向かって形成されて第一切込部C4と連結される。具体的には、第二切込部C5は、一端部C5aが第一切込部C4の他端部C4bと連結されると共に他端部C5bが包装材1の端縁(具体的には、切欠部1aに接する端縁、即ち、直線部1b又は傾斜部1c)と接するように形成される。つまり、第二切込部C5の他端部C5bは、切込線C1の他端部C3を構成する。また、第二切込部C5は、仮想線L1(即ち、切断予定線CL)に対して略直交するように形成される。
【0036】
次に、上記のような包装材1を用いて米飯加工食品X1(一対の三角形状の面を備えるおにぎり)を包装する際の方法について説明する。まず、包装材1の内シート2側に米飯加工食品X1を配置して、図3に示すように、米飯加工食品X1を挟み込むように包装材1を二つ折りにする。これにより、包装材1には、米飯加工食品X1と対峙する領域と対峙しない領域とが形成される。そして、包装材1における米飯加工食品X1と対峙しない領域を米飯加工食品X1の一方の三角形状の面(表面)側から他方の三角形状の面(裏面)側に向かって折り返すと共に、図4に示すように、第二領域A2を第一領域A1に重ね合わせた状態にする。そして第一領域A1に一対の第二領域A2,A2を固定する。第二領域A2を第一領域A1に固定する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、接着剤を用いたり、ヒートシールを用いたり、粘着ラベルを用いたりすることができる。これにより、包装材1によって米飯加工食品X1が包装された状態となる。
【0037】
斯かる状態では、第一領域A1に一対の第二領域A2,A2が重なり合うと共に、一対の第二領域A2,A2によって第一領域A1内の一対の切断予定線CL,CLの一部が覆われた状態となる。このように第一領域A1に一対の第二領域A2,A2が重なり合った状態では、切込線C1は、一端部C2が他端部C3よりも第一領域A1における外シート3の切断方向の下流側に位置するように配置される。また、第一切込部C4は、第一領域A1内の一対の切断予定線CL,CLに沿うように配置される。また、第二切込部C5は、一端部C5aが他端部C5bよりも切断予定線CLから離間した位置に配置される。
【0038】
また、一対の第二領域A2,A2に形成される二つの切込線C1,C1の間(具体的には、各切込線C1の第一切込部C4及び第二切込部C5の間)に一対の切断予定線CL,CLが位置する。より詳しくは、一方の第二領域A2が備える少なくとも一つの切込線C1(具体的には、該切込線C1の第二切込部C5の他端部C5b)と他方向の第二領域A2が備える少なくとも一つの切込線C1(具体的には、該切込線C1の第二切込部C5の他端部C5b)との間に一対の切断予定線CL,CLが位置する。
【0039】
上記のように包装材1で包装された米飯加工食品X1を取り出す際には、摘み部3dを摘んで米飯加工食品X1の表面側から裏面側へ向かって包装材1の一方向(長手方向)に沿って引っ張ることで、外シート3が一対の切断予定線CL,CL上で切断されて、一対の切断予定線CL,CL間の領域が他の領域から切除される。この際、第一領域A1の切断に伴って第二領域A2が切断される。具体的には、第二領域A2は、一対の切込線C1,C1(より詳しくは、一方の第二領域A2に形成される少なくとも一つの切込線C1と他方向の第二領域A2に形成される少なくとも一つの切込線C1)の各一端部C2(即ち、第一切込部C4の一端部C4a)を起点に一方向(長手方向)に沿って(即ち、第一領域A1内の外シート3の切断方向に沿って)切断されて、一対の第二領域A2における二つの切込線C1,C1間の領域が他の領域から切除される。これにより、外シート3は、他方向(幅方向)に分割される。
【0040】
そして、包装材1を他方向(幅方向)に引っ張ることで内シート2及び外シート3が他方向(幅方向に)分離される。これにより、包装材1に収容されたシート状食品X2が内シート2と外シート3との間から取り出されると共に、米飯加工食品X1とシート状食品X2とが一体となって取り出される。
【0041】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態について、図5,6を用いて説明する。第二実施形態に係る包装材10は、第一実施形態に係る包装材1と比較すると、主に、切込線C10の構成が異なるものである。従って、以下では、第一実施形態と異なる点を中心に説明し、同一の構成に対しては同一の符号を付すこととして説明を省略する。
【0042】
図5に示すように、包装材10が備える切込線C10は、第二切込部C5よりも他端部C3側の領域に形成されると共に第一切込部C4に沿って形成される第三切込部C6を更に備える。該第三切込部C6は、切込線C10の他端部C3から一端部C2側に向かって形成される。つまり、第三切込部C6は、一端部C6aが第二切込部C5の他端部C5bに連結されると共に他端部C6bが切込線C10の他端部C3を構成する。また、第三切込部C6の他端部C6bは、包装材1の端縁(具体的には、切欠部1aに接する端縁、即ち、直線部1b又は傾斜部1c)と接するように形成される。
【0043】
また、第三切込部C6は、切断予定線CLに対して傾斜するような角度(90°未満)で形成される。具体的には、第三切込部C6と切断予定線CLとの間隔は、第三切込部C6における一端部C6aから他端部C6bへ向かうに従って広くなるように構成される。また、第三切込部C6は、切断予定線CLに沿った仮想線L2に対する角度(即ち、切断予定線CLに対する角度)θ2が40°以上80°以下であることが好ましく、50°以上70°以下であることがより好ましく、60°であることがさらに好ましい。
【0044】
次に、上記のように構成された包装材10を用いて、第一実施形態と同様の方法で米飯加工食品X1を包装した状態について説明する。斯かる状態では、図6に示すように、切込線C10は、一端部C2が他端部C3よりも第一領域A1における外シート3の切断方向の下流側に位置するように配置される。また、第一切込部C4は、第一領域A1内の一対の切断予定線CL,CLに沿うように配置される。また、第二切込部C5は、一端部C5aが他端部C5bよりも切断予定線CLから離間した位置に配置される。そして、第三切込部C6は、第一領域A1内の一対の切断予定線CL,CLに沿うように配置される。
【0045】
また、一対の第二領域A2,A2に形成される二つの切込線C10,C10の間(具体的には、各切込線C10の第一切込部C4、第二切込部C5及び第三切込部C6の間)に一対の切断予定線CL,CLが位置する。より詳しくは、一方の第二領域A2が備える少なくとも一つの切込線C10(具体的には、該切込線C10の第三切込部C6の他端部C6b)と他方向の第二領域A2が備える少なくとも一つの切込線C10(具体的には、該切込線C10の第三切込部C6の他端部C6b)との間に一対の切断予定線CL,CLが位置する。
【0046】
上記のように包装材1で包装された米飯加工食品X1を取り出す際には、摘み部3dを摘んで米飯加工食品X1の表面側から裏面側へ向かって包装材10の一方向(長手方向)に沿って引っ張ることで、外シート3が一対の切断予定線CL,CL上で切断されて、一対の切断予定線CL,CL間の領域が他の領域から切除される。この際、第一領域A1の切断に伴って第二領域A2が切断される。具体的には、第二領域A2は、一対の切込線C10,C10(より詳しくは、一方の第二領域A2に形成される少なくとも一つの切込線C10と他方向の第二領域A2に形成される少なくとも一つの切込線C10)の各一端部C2(即ち、第一切込部C4の一端部C4a)を起点に一方向(長手方向)に沿って(即ち、第一領域A1内の外シート3の切断方向に沿って)切断されて、一対の第二領域A2における二つの切込線C10,C10間の領域が他の領域から切除される。これにより、外シート3は、他方向(幅方向)に分割される。
【0047】
そして、包装材1を他方向(幅方向)に引っ張ることで内シート2及び外シート3が他方向(幅方向に)分離される。これにより、包装材1に収容されたシート状食品X2が内シート2と外シート3との間から取り出されると共に、米飯加工食品X1とシート状食品X2とが一体となって取り出される。
【0048】
以上のように、本発明に係る包装材によれば、第一領域内の切断予定線の少なくとも一部が第二領域によって覆われた状態であっても容易に外シートを切断することができる。
【0049】
即ち、包装材1,10で米飯加工食品X1を包装した際には、第二領域A2が第一領域A1内の切断予定線CLを覆った状態になる。そして、第二領域A2が切込線C1,C10の一端部C2を起点に切断可能に構成されると共に切込線C1,C10の一端部C2が他端部C3よりも第一領域A1における外シート3の切断方向の下流側に位置することで、第一領域A1で外シート3を切断予定線CL上で切断する際に第二領域A2を切込線C1,C10の一端部C2を起点に切断することができる。
【0050】
また、切込線C1,C10の一端部C2から他端部C3側へ向かって形成される第一切込部C4が第一領域A1内の切断予定線CLに沿って配置されることで、第二領域A2の切断方向が第一領域A1における外シート3の切断方向に沿った方向になる。これにより、第一領域A1での外シート3の切断に伴って第二領域A2を切断することが容易になる。このため、第一領域A1で外シート3を切断する際に第二領域A2が抵抗になるのを抑制することができ、外シート3の切断を容易に行うことができる。
【0051】
また、外シート3が一対の切断予定線CL,CL上で切断された際には、外シート3における一対の切断予定線CL,CL間の領域が他の領域から分離される。また、第二領域A2が切込線C1,C10を複数備えると共に、第二領域A2が第一領域A1と重なり合った際に第一領域A1内の一対の切断予定線CL,CLが二つの切込線C1,C1,C10,C10の各第一切込部C4の間に位置することで、外シート3における一対の切断予定線CL,CL間の領域が他の領域から分離される際に第二領域A2における二つの切込線C1,C1,C10,C10間の領域が他の領域から分離される。
【0052】
また、二つの切込線C1,C1,C10,C10の各第一切込部C4の間に一対の切断予定線CL,CLが位置することで、一対の切断予定線CL,CL間の領域よりも外側の位置で第二領域A2が切断されるため、第一領域A1における外シート3の切断によって分離される領域の幅よりも第二領域A2の切断によって分離される領域の幅の方が広くなる。このため、包装材1,10で包装された米飯加工食品X1を容易に取り出すことができる。
【0053】
また、第一切込部C4と交差する方向に沿って形成される第二切込部C5を備えると共に、第二領域A2が第一領域A1と重なり合った際に第二切込部C5における第一切込部C4と連結される一端部C5aが他端部C5bよりも第一領域A1内の一対の切断予定線CL,CLから離間した位置に配置されることで、第一領域A1内の一対の切断予定線CL,CLと第一切込部C4との間に第二切込部C5が位置することになる。このため、第一領域A1内の一対の切断予定線CL,CLから離れた位置に第一切込部C4が位置していても、第二切込部C5を介して第一切込部C4の一端部C4aへ第二領域A2の切断位置を確実に導くことができる。
【0054】
また、第一領域A1内の一対の切断予定線CL,CLと第一切込部C4との間に第二切込部C5が位置することで、一対の切断予定線CL,CL間の領域よりも外側の位置で第二領域A2が切断されるため、第一領域A1における外シート3の切断によって分離される領域の幅よりも第二領域A2の切断によって分離される領域の幅の方がより広くなる。このため、包装材で包装された米飯加工食品X1をより容易に取り出すことができる。
【0055】
また、第一切込部C4と第三切込部C6とが互いに沿うように形成されるため、包装材10を製造する際や包装材10で米飯加工食品X1を包装する際に第二領域A2に対して第一切込部C4及び第三切込部C6に沿った方向の張力が加わった際にも第二領域A2が意図せずに切断されてしまうのを防止することができる。
【0056】
なお、本発明に係る包装材は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、上記した複数の実施形態の構成や方法等を任意に採用して組み合わせてもよく(1つの実施形態に係る構成や方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよく)、さらに、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0057】
例えば、上記各実施形態では、切込線C1,C10が包装材1,10の端縁と接するように構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、包装材1,10の端縁から離れた位置に切込線が形成されてもよい。換言すれば、第二切込部C5や第三切込部C6の各他端部C5b,C6bが包装材1,10の端縁から離れた位置に形成されてもよい。
【0058】
また、上記各実施形態では、包装材1,10が切欠部1aを備えているが、これに限定されるものではなく、例えば、切欠部1aを備えない包装材であってもよい。この場合、切込線C1,C10は、包装材における他方向(幅方向)に位置する端縁と接するように形成される。
【0059】
また、上記各実施形態では、一対の第二領域A2,A2が第一領域A1に位置する切断予定線CLを覆うように構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、図7に示すように、一つの(換言すれば、一体的に形成された)第二領域A2によって第一領域A1に位置する切断予定線CLが覆われるように構成された包装材11であってもよい。
【0060】
また、上記各実施形態では、一対の切断予定線CL,CL上で外シート3が切断されるように構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、図8に示すように、一つの切断予定線CL上で外シート3が切断されるように構成されてもよい。斯かる場合には、上記各実施形態の切込線C1,C10のように第二切込部C5や第三切込部C6を備えない(即ち、第一切込部C4のみから構成される)切込線C11を備える包装材12であってもよい。斯かる包装材12では、切断予定線CLに沿って外シート3を引き裂くようにして外シート3を切断すると共に、第二領域A2においても切込線C11(即ち、第一切込部C4)の一端部C2(C4a)を起点に引き裂くようにして第二領域A2を切断することで、包装された米飯加工食品X1を取り出すことができる。
【0061】
また、上記各実施形態では、二つの切込線C1,C1,C10,C10の間に一対の切断予定線CL,CLが位置するように構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、二つの切込線C1,C1,C10,C10のうちの一方(一方の第二領域A2に形成される切込線C1,C10)のみが第一領域A1内の切断予定線CLの側方に配置されるように構成されてもよい。
【0062】
上記各実施形態では、包装材1,10によって包装される米飯加工食品として、三角形状の米飯加工食品X1が用いられているが、これに限定されるものではなく、種々の形状のおにぎりを用いることができる。
【符号の説明】
【0063】
1,10,11,12…包装材、1a…切欠部、1b…直線部、1c…傾斜部、2…内シート、2a…内シート片、3…外シート、3a…外シート本体、3b…カットテープ、3d…摘み部、A1…第一領域、A2…第二領域、C1,C10,C11…切込線、C2…一端部、C3…他端部、C4…第一切込部、C5…第二切込部、C6…第三切込部、CL…切断予定線、L1…仮想線、L2…仮想線、S…シール部、X1…米飯加工食品、X2…シート状食品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8