(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6424102
(24)【登録日】2018年10月26日
(45)【発行日】2018年11月14日
(54)【発明の名称】食品成形装置および食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
A21C 11/10 20060101AFI20181105BHJP
A23P 20/20 20160101ALI20181105BHJP
A21C 11/16 20060101ALI20181105BHJP
【FI】
A21C11/10 Z
A23P20/20
A21C11/16 B
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-17730(P2015-17730)
(22)【出願日】2015年1月30日
(65)【公開番号】特開2016-140294(P2016-140294A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2017年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000150361
【氏名又は名称】株式会社中村屋
(74)【代理人】
【識別番号】100117835
【弁理士】
【氏名又は名称】谷山 尚史
(74)【代理人】
【識別番号】100098903
【弁理士】
【氏名又は名称】大房 孝次
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(72)【発明者】
【氏名】伊賀 義晃
(72)【発明者】
【氏名】山内 一史
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 康介
【審査官】
岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−032902(JP,A)
【文献】
特開2004−041051(JP,A)
【文献】
特開2014−212721(JP,A)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形断面で下方に押し出される生地を囲うように配置され、前記生地の中心に向けて閉じることで前記生地を切断する複数のシャッタ片と、
前記複数のシャッタ片の下に配置され、少なくとも前記複数のシャッタ片が閉じるときに、前記複数のシャッタ片との間で前記生地を挟む台と、
前記複数のシャッタ片と前記台の間に設けられ、前記複数のシャッタ片が閉じるのに連動して前記生地の側方から前記生地に押し付けられる成形片と、を備え、
前記成形片は、前記複数のシャッタ片が前記生地を切断するときの前記複数のシャッタ片と前記台の間隔と略同じ高さを有し、かつ、水平断面において、前記生地の中心に向けて凸となる凸形状を有し、前記シャッタ片により切断された生地を上下方向から見たときの当該生地の最も外側の輪郭を円形から異なる形状に成形するように構成されていることを特徴とする食品成形装置。
【請求項2】
円形断面で下方に押し出される生地を囲うように配置され、前記生地の中心に向けて閉じることで前記生地を切断する、それぞれが回動可能である複数のシャッタ片と、
前記複数のシャッタ片の下に配置され、少なくとも前記複数のシャッタ片が閉じるときに、前記複数のシャッタ片との間で前記生地を挟む台と、
前記複数のシャッタ片と前記台の間に設けられ、前記シャッタ片に固定され、前記複数のシャッタ片が閉じるのに連動して前記生地の側方から前記生地に押し付けられる成形片と、を備え、
前記成形片は、前記複数のシャッタ片が閉じるときに、当該成形片が固定されているシャッタ片に隣接するシャッタ片の真下を通過するように、当該成形片が固定されているシャッタ片よりも、当該シャッタ片の回動中心から離れる方向に延出しており、水平断面において、前記生地の中心に向けて凸となる凸形状を有し、前記生地を円形から異なる形状に成形するように構成されていることを特徴とする食品成形装置。
【請求項3】
前記成形片は、前記複数のシャッタ片に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の食品成形装置。
【請求項4】
前記成形片は、前記生地に凹み形状を形成するための凹部形成片を有し、
前記凹部形成片は、前記生地に押し付けられる先端部が、上下方向から見て40°以内で形成された先細形状を有していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の食品成形装置。
【請求項5】
前記先端部は、下端部が下方に向かうにつれて前記生地の中心から離れていることを特徴とする請求項4に記載の食品成形装置。
【請求項6】
前記先端部は、曲率半径3mm以下の曲面形状であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の食品成形装置。
【請求項7】
前記成形片は、互いに交差する方向に延びる一対の角形成片を有し、
各角形成片は、上下方向から見て前記生地の中心側へ凸となる凸曲面を有していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の食品成形装置。
【請求項8】
前記成形片は、前記生地に凹み形状を形成するための凹部形成片と、互いに交差する方向に延びる一対の角形成片とからなり、
前記凹部形成片は、前記生地に押し付けられる先端部が、上下方向から見て40°以内で形成された先細形状を有し、
各角形成片は、上下方向から見て前記生地の中心側へ凸となる凸曲面を有し、
前記凹部形成片は、前記シャッタ片が閉じたときに、前記一対の角形成片によって形成される生地の角の方向を向いていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の食品成形装置。
【請求項9】
前記成形片は、前記シャッタ片が閉じるとき、前記凸形状の先端が、前記生地の径方向外側から中心に向かって移動するように設けられたことを特徴とする請求項1から請求項8に記載の食品成形装置。
【請求項10】
前記生地は、発泡性の生地であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の食品成形装置。
【請求項11】
前記生地は、具を包んでいることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の食品成形装置。
【請求項12】
食品成形装置により生地を成形して食品を製造する食品の製造方法であって、
円形断面の生地を下方に押し出し、
複数のシャッタ片を前記円形断面の生地の中心に向けて閉じることで前記生地を切断し、
前記シャッタ片の下方に設けた台と前記複数のシャッタ片との間に配置した、前記複数のシャッタ片が前記生地を切断するときの前記複数のシャッタ片と前記台の間隔と略同じ高さを有する、前記生地の中心に向けて凸となる凸形状を有する成形片を、前記複数のシャッタ片が閉じるのに連動させて前記生地の側方から前記生地に押し付け、前記シャッタ片により切断された生地を上下方向から見たときの当該生地の最も外側の輪郭を円形から異なる形状に成形することを特徴とする食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円形断面で押し出された生地を円形から異なる形状に成形する食品成形装置
および食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包皮食品やパン等の食品を所望の外観に成形する場合、生地を丸型や棒状にした後に、所望の形に成形していた。例えば、特許文献1に記載されている切断装置により生地を切断して丸型や棒状にしていた。特許文献1で開示されている切断装置は、下方に押し出された生地を、当該生地を囲むように設けられたシャッタ片が閉じることで、生地を所望の大きさに切断するように構成されている。そして、切断された生地は、切断装置とは別に設けられた型押し機で成形したり、手作業でセルクルに生地を詰めて成形したりしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−063416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したように型押し機で成形をすると、製造ラインが長くなるという問題がある。また、手作業でセルクルに生地を詰めて成形すると、セルクルに生地を詰める作業者が必要となる。そのため、どちらの方法においても、大量に食品を生産しようとすると、コストが高くなってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、コストを抑えるとともに、様々な形に成形可能な食品成形装置
および食品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するため、本発明の食品成形装置は、円形断面で下方に押し出される生地を囲うように配置され、前記生地の中心に向けて閉じることで前記生地を切断する複数のシャッタ片と、前記複数のシャッタ片の下に配置され、少なくとも前記複数のシャッタ片が閉じるときに、前記複数のシャッタ片との間で前記生地を挟む台と、前記複数のシャッタ片と前記台の間に設けられ、前記複数のシャッタ片が閉じるのに連動して前記生地の側方から前記生地に押し付けられる成形片と、を備え、前記成形片は、
前記複数のシャッタ片が前記生地を切断するときの前記複数のシャッタ片と前記台の間隔と略同じ高さを有し、かつ、水平断面において、前記生地の中心に向けて凸となる凸形状を有し、
前記シャッタ片により切断された生地を上下方向から見たときの当該生地の最も外側の輪郭を円形から異なる形状に成形するように構成されていることを特徴とする。
また、本発明は、食品成形装置により生地を成形して食品を製造する食品の製造方法であって、円形断面の生地を下方に押し出し、複数のシャッタ片を前記円形断面の生地の中心に向けて閉じることで前記生地を切断し、前記シャッタ片の下方に設けた台と前記複数のシャッタ片との間に配置した、
前記複数のシャッタ片が前記生地を切断するときの前記複数のシャッタ片と前記台の間隔と略同じ高さを有する、前記生地の中心に向けて凸となる凸形状を有する成形片を、前記複数のシャッタ片が閉じるのに連動させて前記生地の側方から前記生地に押し付け、
前記シャッタ片により切断された生地を上下方向から見たときの当該生地の最も外側の輪郭を円形から異なる形状に成形することを特徴とする。
【0007】
このように構成された食品成形装置
および食品の製造方法によれば、生地を様々な形に成形することができる。また、生地の切断と成形を同時に行うので、生地の切断をした後に成形する場合に比べ、必要な機械や作業者が少なく、コストを抑えることができる。
【0008】
また、これによれば、生地の上端から下端まで全体的に形をつけることができる。
【0009】
また、前記した目的を達成するため、本発明の食品成形装置は、円形断面で下方に押し出される生地を囲うように配置され、前記生地の中心に向けて閉じることで前記生地を切断する、それぞれが回動可能である複数のシャッタ片と、前記複数のシャッタ片の下に配置され、少なくとも前記複数のシャッタ片が閉じるときに、前記複数のシャッタ片との間で前記生地を挟む台と、前記複数のシャッタ片と前記台の間に設けられ、前記シャッタ片に固定され、前記複数のシャッタ片が閉じるのに連動して前記生地の側方から前記生地に押し付けられる成形片と、を備え、前記成形片は、前記複数のシャッタ片が閉じるときに、当該成形片が固定されているシャッタ片に隣接するシャッタ片の真下を通過するように、当該成形片が固定されているシャッタ片よりも、当該シャッタ片の回動中心から離れる方向に延出しており、水平断面において、前記生地の中心に向けて凸となる凸形状を有し、前記生地を円形から異なる形状に成形するように構成されていてもよい。
【0010】
前記した食品成形装置において、前記成形片は、前記複数のシャッタ片に着脱可能に取り付けられていることが望ましい。
【0011】
これによれば、簡単な構成で成形片をシャッタ片に連動させることができる。また、成形したい形に合わせて成形片を交換することができる。
【0012】
前記した食品成形装置において、前記成形片は、前記生地に凹み形状を形成するための凹部形成片を有し、前記凹部形成片は、前記生地に押し付けられる先端部が、上下方向から見て40°以内で形成された先細形状を有している構成としてもよい。
【0013】
これによれば、生地の凹部形成片が押し付けられた部分に、凹み形状を形成することができる。
【0014】
前記した食品成形装置において、前記先端部は、下端部が下方に向かうにつれて前記生地の中心から離れていることが望ましい。
【0015】
シャッタ片により切断された生地は、重力により、下部ほど径方向に広がった形になっている。上記の構成では、凹部形成片の先端部が、下端部が下方に向かうにつれて生地の中心から離れているので、凹部形成片の先端部が生地へ食い込み過ぎるのを抑えることができる。
【0016】
前記した食品成形装置において、前記先端部は、曲率半径3mm以下の曲面形状であることが望ましい。
【0017】
これによれば、凹部形成片の先端部で生地を傷めるのを抑えつつ、生地にしっかりと凹み形状を形成することができる。
【0018】
前記した食品成形装置において、前記成形片は、互いに交差する方向に延びる一対の角形成片を有し、各角形成片は、上下方向から見て前記生地の中心側へ凸となる凸曲面を有している構成としてもよい。
【0019】
これによれば、生地の一対の角形成片が押し付けられた部分に、角を形成することができる。
【0020】
前記した食品成形装置において、前記成形片は、前記生地に凹み形状を形成するための凹部形成片と、互いに交差する方向に延びる一対の角形成片とからなり、前記凹部形成片は、前記生地に押し付けられる先端部が、上下方向から見て40°以内で形成された先細形状を有し、各角形成片は、上下方向から見て前記生地の中心側へ凸となる凸曲面を有し、前記凹部
形成片は、前記シャッタ片が閉じたときに、前記一対の角形成片によって形成される生地の角の方向を向いている構成としてもよい。
【0021】
これによれば、生地をハート型に成形することができる。
【0022】
前記した食品成形装置において、前記成形片は、前記シャッタ片が閉じるとき、前記凸形状の先端が、前記生地の径方向外側から中心に向かって移動することが望ましい。
【0023】
これによれば、生地の表面がシャッタ片に引っ張られて生地に皺ができるのを抑えることができる。
【0024】
前記した生地は、発泡性の生地であってもよい。
【0025】
発泡性の生地であっても、前記した構成の食品成形装置で成形することができる。
【0026】
前記した生地は、具を包んでいてもよい。
【0027】
具を包んだ生地であっても、前記した構成の食品成形装置で成形することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、生地を様々な形に成形することができる。また、生地の切断と成形を同時に行うので、生地の切断をした後に成形する場合に比べ、必要な機械や作業者が少なく、コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態に係る食品成形装置の概略構成を示す図である。
【
図2】シャッタ片が開いた状態の切断部と成形部の構成を示す下面図である。
【
図3】シャッタ片が閉じたときの食品成形装置を示す図である。
【
図4】シャッタ片が閉じた状態の切断部と成形部の構成を示す下面図である。
【
図5】凹部形成片を示す平面図(a)、側面図(b)および斜視図(c)である。
【
図7】第1ブラケットと凹部形成片を示す斜視図(a)と、第2ブラケットと角形成片を示す斜視図(b)である。
【
図8】成形後の生地を示す図(a)と、(a)の状態から発酵させた生地を示す図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、食品成形装置1は、具F2が生地F1に包まれた包皮食品Fを成形するための装置である。食品成形装置1は、投入部2と、ノズル部3と、切断部4と、運搬部5と、成形部6とを備えている。
【0031】
投入部2は、生地F1が投入される生地ホッパ21と、具F2が投入される具ホッパ22とを備えている。また、投入部2は、生地ホッパ21からノズル部3に向けて延びる生地供給管23と、具ホッパ22からノズル部3に向けて延びる具供給管24とを備えている。この投入部2では、生地ホッパ21に投入された生地F1が、生地供給管23を通してノズル部3に供給されるとともに、具ホッパ22に投入された具F2が、具供給管24を通してノズル部3に供給されるようになっている。なお、生地F1は、発泡性の生地であり、本実施形態では、パン生地、中華まんじゅうの生地等の発酵食品の発酵前の生地である。なお、生地F1は、ベーキングパウダーを含む生地であってもよい。
【0032】
ノズル部3は、公知の構成により、投入部2から投入された生地F1を、投入部2から投入された具F2を包んだ状態で、下部に設けられた出口31から円形断面で下方に押し出すように構成されている。
【0033】
切断部4は、ノズル部3から押し出された生地F1を切断するように構成されている。切断部4は、支持ベース41と、支持ベース41に支持された複数のシャッタ片42とを備えている。
【0034】
支持ベース41は、ノズル部3の下に配置されている。そして、支持ベース41は、ノズル部3の出口31の下に、ノズル部3から押し出される生地F1が通る上下に貫通した開口部41Aを有している。
【0035】
複数のシャッタ片42は、支持ベース41の下に配置されている。
図2に示すように、複数のシャッタ片42は、ノズル部3から押し出された生地F1を囲うように等間隔に配置されている。本実施形態では、シャッタ片42は、6つ設けられている。そして、複数のシャッタ片42は、
図3および
図4に示すように、生地F1の中心に向けて閉じることで、生地F1を切断するように構成されている。
【0036】
図2に示すように、各シャッタ片42は、開口部41Aを中心とする円周上に等間隔で配置されたピン411に回動可能に支持されている。ピン411は、支持ベース41に支持されている。シャッタ片42は、ピン411に支持される基部421と、基部421から
図2の反時計回りの方向に延びる刃部422とを有している。
【0037】
複数のシャッタ片42は、所定のタイミングで一斉に回動することで、
図2に示すような、すべての刃部422の先端部が支持ベース41の開口部41Aから離れた位置と、
図4に示すような、すべての刃部422の先端部が支持ベース41の中央に集まって開口部41Aを閉じる位置とに移動するようになっている。
【0038】
図1に示すように、運搬部5は、切断部4で切断された包皮食品Fを受け止めて運搬するように構成されている。運搬部5は、台51と、昇降機52と、ベルト53とを備えている。
【0039】
台51は、複数のシャッタ片42の下に配置され、昇降機52に上下方向に移動可能に支持されている。台51は、複数のシャッタ片42が閉じるときに、昇降機52により上昇し、複数のシャッタ片42との間で生地F1を挟むようになっている(
図3参照)。また、台51は、複数のシャッタ片42が開くときに、昇降機52により下降し、複数のシャッタ片42から離れるようになっている。
【0040】
ベルト53は、台51の上面に接触しながら移動するように設けられている。これにより、ベルト53は、台51が受け止めた包皮食品Fを運搬するようになっている。
【0041】
成形部6は、複数のシャッタ片42と台51の間に設けられている。成形部6は、複数の成形片61を備えている。本実施形態では、成形片61が3つ設けられている。
【0042】
図2に示すように、各成形片61は、それぞれシャッタ片42に固定されている。そして、各成形片61は、複数のシャッタ片42が開いているとき、生地F1から離れた位置に配置されている。
【0043】
そして、
図3に示すように、成形片61は、複数のシャッタ片42が閉じるのに連動して生地F1の側方から生地F1に押し付けられるようになっている。
図4に示すように、成形片61は、水平断面において、生地F1に押し付けられた状態で生地F1の中心に向けて凸となる凸形状を有し、生地F1を円形から異なる形状に成形するように構成されている。
【0044】
本実施形態において、成形片61は、凹部形成片100と、一対の角形成片200とを有している。
【0045】
凹部形成片100は、生地F1に凹み形状を形成するための成形片である。一対の角形成片200は、生地F1に角を形成するための成形片である。
【0046】
凹部形成片100は、
図5(a)〜(c)に示すように、矩形状の固定部110と、三角形状の押付部120とを有している。押付部120は、上下方向から見て、固定部110から離れほど先細となる先細形状を有している。
【0047】
図5(a),(c)に示すように、押付部120の先端部121は、上下方向から見て40°以内で形成されている。この角度は、生地F1の発酵後、凹部形成片100によって形成された凹部が残る程度の角度であり、生地F1の発泡性に応じて変更するとよい。また、先端部121は、曲率半径3mm以下の曲面形状である。この先端部121の曲率半径は、生地F1に凹部が形成された凹部が残る程度でかつ、生地F1を破かない程度、例えば、曲率半径1mmより大きい値に設定されている。
【0048】
そして、
図5(b),(c)に示すように、凹部形成片100の先端部121は、下端部が下方に向かうにつれて固定部110側に近づくように形成されている。具体的に、先端部121は、押付部120の上面から鉛直下方に延びる鉛直部122と、鉛直部122から下方に向かうにつれて固定部110側に近づくように傾斜した傾斜部123とを有している。
【0049】
角形成片200は、
図6に示すように、長尺状の板状部210と、板状部210から厚み方向に突出した突出部220とを有している。突出部220は、板状部210の短手方向に沿って延びる軸を中心とする円筒面である凸曲面221を有している。そして、突出部220の板状部210からの突出量は、突出部220の板状部210の長手方向における長さよりも小さくなっている。
【0050】
図4に示すように、凹部形成片100は、第1ブラケット62を介して一つのシャッタ片42に着脱可能に取り付けられている。凹部形成片100は、先端部121が生地F1に押し付けられるように設けられている。より詳細に、凹部形成片100は、シャッタ片42が閉じたときに、一対の角形成片200によって形成される生地F1の角F11の方向を向くように配置されている。
【0051】
各角形成片200は、第2ブラケット63を介して一つのシャッタ片42に着脱可能に取り付けられている。一対の角形成片200は、シャッタ片42が閉じたときに、板状部210が所定の角度をなすようにして凸曲面221同士が接近するとともに、凸曲面221を生地F1に押し付けるように配置されている。
【0052】
また、各成形片61は、それぞれの凸形状の先端、具体的には、凹部形成片100では先端部121、角形成片200では凸曲面221の先端部が、生地F1の径方向外側から中心に向かって移動するように設けられている。各成形片61は、
図3に示すように、複数のシャッタ片42が生地F1を切断するときの複数のシャッタ片42と台51の間隔Dと略同じ高さを有している。
【0053】
図7(a)に示すように、第1ブラケット62は、L字形状の金属板である。第1ブラケット62は、シャッタ片42に固定される被固定部621と、被固定部621の上端部から横に延出し、凹部形成片100が固定される支持部622とを有している。
【0054】
被固定部621には2つの貫通孔621Aが形成されており、この貫通孔621Aに通されたボルトB1(
図2参照)がシャッタ片42に固定されることで、第1ブラケット62がシャッタ片42に固定されている。なお、ボルトB1は、シャッタ片42の刃部422を基部421に固定するためのボルトB5を利用してもよい。また、支持部622には、2つの貫通孔622Aが形成されており、この貫通孔622Aに通されたボルトB2(
図2参照)が、凹部形成片100の固定部110に形成された穴111にねじ込まれることで、凹部形成片100が第1ブラケット62に固定されている。
【0055】
第2ブラケット63は、金属から形成されている。
図7(b)に示すように、第2ブラケット63は、シャッタ片42に固定される板状の被固定部631と、被固定部631の上に設けられ、角形成片200が固定される支持部632とを有している。支持部632は、被固定部631から上方に突出するとともに、被固定部631よりも被固定部631の厚み方向に突出している。
【0056】
被固定部631には、2つの貫通孔631Aが形成されており、この貫通孔631Aに通されたボルトB3(
図2参照)がシャッタ片42に固定されることで、第2ブラケット63がシャッタ片42に固定されている。なお、ボルトB3は、シャッタ片42の刃部422を基部421に固定するためのボルトB5を利用してもよい。また、支持部632には、穴632Aが設けられており、角形成片200の板状部210に形成された貫通孔211に通されたボルトB4が穴632Aにねじ込まれることで、角形成片200が第2ブラケット63に固定されている。
【0057】
図2に示すように、凹部形成片100の位置を調整するために、第1ブラケット62とシャッタ片42の間に適宜な数のシム64を設けてもよい。また、角形成片200の位置を調整するために、第2ブラケット63とシャッタ片42の間に適宜な数のシム65を設けてもよい。
【0058】
以上のように構成された食品成形装置1の動作について説明する。
図3に示すように、食品成形装置1では、ノズル部3から押し出された生地F1が、切断部4の複数のシャッタ片42が閉じることで切断される。このとき、台51が上昇して切断部4で切断された生地F1を受け止めるとともに、シャッタ片42の刃部422と台51に生地F1が挟まれる。そして、成形片61が生地F1に押し付けられることで、生地F1が円形から異なる形状に成形される。
【0059】
具体的に、
図4に示すように、一対の角形成片200が生地F1に押し付けられることで、生地F1に所定の角度の角が形成される。
【0060】
そして、凹部形成片100が生地F1に押し付けられることで、生地F1に、一対の角形成片200によって形成された角に向けて凹む凹部が形成される。
【0061】
本実施形態において、凹部形成片100の先端部121が、曲面形状を有しているため、先端部121が生地F1に押し付けられても、生地F1が破れにくい。また、凹部形成片100の先端部121が、下端部が下方に向かうにつれて固定部110側に近づくように形成されているので、生地F1が重力によって下部が上部よりも広がった状態になっていても、先端部121が生地F1に食い込み過ぎて生地F1が破れるのを抑えることができる。
【0062】
また、各成形片61は、複数のシャッタ片42が生地F1を切断するときの複数のシャッタ片42と台51の間隔と略同じ高さを有しているので、生地F1の上下方向全体に形をつけることができる。
【0063】
そして、成形片61は、シャッタ片42が閉じるとき、それぞれの凸形状の先端が、生地F1の径方向外側から中心に向かって移動するように設けられているので、生地F1の側面が移動する成形片61によって水平方向に引っ張られることで、生地F1に皺ができるのを抑えることができる。
【0064】
このように複数の成形片61が生地F1に押し付けられることで、本実施形態では、
図8(a)に示すように、生地F1がハート型に成形される。なお、生地F1は、弾力を有するので、角形成片200が押し付けられた部分は、ほぼ平面になる。
【0065】
成形部6で成形された生地F1は、ベルト53により運搬され、その後発酵される。発酵された生地F1は、
図8(b)に示すように、ハート形を保ったまま膨張する。
【0066】
なお、生地F1をハート形以外の形に成形したいときは、成形片61をシャッタ片42から外して、所望の形に成形するための成形片61を選んでシャッタ片42に取り付ける。
【0067】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0068】
前記実施形態では、成形片61が、一つの凹部形成片100と一対の角形成片200を有していたが、成形片61はこれに限定されるものではない。例えば、成形片61は、複数の凹部形成片100のみであってもよい。例えば、5つの凹部形成片100を生地F1を囲むように等間隔に設けることで、生地F1を星形ないし花形にすることができる。また、成形片61は、複数の角形成片200のみであってもよい。例えば、3つの角形成片を、生地F1を囲むように等間隔に設けることで、生地F1を三角形にすることができる。
【0069】
前記実施形態では、シャッタ片42が6つ設けられていたが、シャッタ片42の数はこれに限定されず、5つ以下であってもよいし、7つ以上であってもよい。
【0070】
前記実施形態では、生地F1が具F2を包んでいたが、生地F1は具F2を包んでいなくてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 食品成形装置
42 シャッタ片
51 台
61 成形片
100 凹部形成片
121 先端部
200 角形成片
221 凸曲面
F1 生地
F2 具