(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1ケーシングに、前記操作機構を前記一方向から覆うカバー部材を取付け、このカバー部材により、前記第2ケーシングに組み付けられた前記噛合部アッセンブリの前記一方向に対する側の側面を前記一方向と反対方向である他方向への移動を押さえることを特徴とする請求項1に記載の車両用ドアラッチ装置。
前記位置決めガイド手段は、前記第2ケーシングに対し、前記噛合部アッセンブリを前記一方向に直交する方向への移動を押さえるように位置決めすることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用ドアラッチ装置。
前記噛合部アッセンブリは、裏面にバックプレートを備え、このバックプレートと前記第1ケーシングまたは第2ケーシングに、前記位置決めガイド手段を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用ドアラッチ装置。
前記噛合部アッセンブリは、前記噛合機構が組付けられるボディを備え、このボディに、前記アウトサイドレバーを支持する枢軸を一体的に設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両用ドアラッチ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1及び2に記載のドアラッチ装置は、噛合部アッセンブリと操作部アッセンブリとを一体化する前の工程において、ラッチやポール等の噛合機構をボディに予め組付けておき、この噛合機構が組付けられた噛合部アッセンブリを、操作部アッセンブリに組み付けて一体化するだけでよいので、ドアラッチ装置の組立てを容易に行うことができるという利点がある。
【0005】
しかし、いずれのドアラッチ装置も、ドアのアウトサイドハンドルの開操作と連動して回動するアウトサイドレバーが、ケーシングに設けられた前後方向の枢軸により支持されているため、次のような課題がある。
近年においては、ドアラッチ装置の組立効率を向上させるために自動組立てが行われているが、上記のように、アウトサイドレバーが、ケーシングに設けられた前後方向の枢軸により支持されていると、ケーシングに組付けられる操作機構の組付方向とアウトサイドレバーの組付方向とが、互いに直角に交差する2方向となるので、それらを組み立てライン等において同方向から組付けることができない。そのため、従来においては、アウトサイドレバーを別工程においてケーシングに組付ける作業を必要としたり、操作機構とアウトサイドレバーとを同方向からケーシングに組付けられるように、組み立てライン等においてケーシングの向きを90度変換させる工程が必要であった。このため、ドアラッチ装置組立て時の作業工程が増えて、組立効率が低下するとともに、組立コストの上昇を招いていた。
【0006】
また、特許文献1及び2に記載のドアラッチ装置は、いずれも、枢軸及びそれにより支持されるアウトサイドレバーを、ケーシングにおける噛合部アッセンブリよりも下方に配置して、噛合部アッセンブリの組付け時に、枢軸及びアウトサイドレバーと干渉しないようにしている。そのため、ケーシングの上下寸法を、枢軸及びアウトサイドレバーを噛合部アッセンブリよりも下方に配置した分だけ大としなければならず、その結果、ケーシングを含むドアラッチ装置全体が大型化するという課題もある。
【0007】
さらに、特許文献1及び2に記載のドアラッチ装置においては、いずれも、ケーシングに組み付けられた噛合部アッセンブリと操作部アッセンブリとを不動状態に一体化するために、ケーシングと噛合部アッセンブリとを、操作機構の組付け方向とは異なる方向から、ねじ等の固定手段をもって固定する必要があり、そのための固定作業が増えるため、組立効率がさらに低下するという課題がある。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑み、組立効率を向上させるとともに、小型化が図れるようにした車両用ドアラッチ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によると、上記課題は、次の各発明により解決される。
第1の発明は、車体側のストライカに係合することにより、ドアを閉位置に保持可能な噛合機構を有する噛合部アッセンブリと、前記ドアをロック状態とアンロック状態とに切替え可能な操作機構を一方向から組付け可能な第1ケーシング、及び当該第1ケーシングに対しほぼ直角であって、前記噛合部アッセンブリを組付け可能な第2ケーシングを備える操作部アッセンブリと、前記噛合部アッセンブリに回動可能に支持され、前記噛合機構をドア開方向に操作可能なアウトサイドレバーとを備え、前記第1ケーシングと前記第2ケーシングとの少なくともいずれか一方には、前記噛合部アッセンブリを前記第1ケーシングに対する前記操作機構の組付け方向と同方向から組付け可能にガイドする位置決めガイド手段を有し、前記第2ケーシングは前記噛合部アッセンブリの前面側を覆う基部を有し、前記基部の後面の上下方向の中間部
に、前記組付け方向
に延伸するとともに、後方へ突出するほぼ水平のガイド片
を設け、前記噛合部アッセンブリに、前記ガイド片と摺接可能とし、前記噛合部アッセンブリを前記基部の後面に沿って前記組付け方向へ移動させることができる摺接部を設けることを特徴としている。
【0010】
第2の発明は、上記第1の発明において、前記第1ケーシングに、前記操作機構を前記一方向から覆うカバー部材を取付け、このカバー部材により、前記第2ケーシングに組み付けられた前記噛合部アッセンブリの前記一方向に対する側の側面を前記一方向と反対方向である他方向への移動を押さえることを特徴としている。
【0011】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、前記位置決めガイド手段は、前記第2ケーシングに対し、前記噛合部アッセンブリを前記一方向に直交する方向への移動を押さえるように位置決めすることを特徴としている。
【0012】
第4の発明は、上記第1〜3のいずれかの発明において、前記噛合部アッセンブリは、裏面にバックプレートを備え、このバックプレートと前記第1ケーシングまたは第2ケーシングに、前記位置決めガイド手段を設けたことを特徴としている。
【0013】
第5の発明は、上記第1〜第4のいずれかの発明において、前記噛合部アッセンブリは、前記噛合機構が組付けられるボディを備え、このボディに、前記アウトサイドレバーを支持する枢軸を一体的に設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明のドアラッチ装置によると、アウトサイドレバーは、噛合部アッセンブリに支持され、かつ第1ケーシングと第2ケーシングとの少なくともいずれか一方には、噛合部アッセンブリを第1ケーシングに対する操作機構の組付け方向と同方向から組付け可能にガイドする位置決めガイド手段を有するので、第2ケーシングに対する噛合部アッセンブリの組付けを、第1ケーシングに対する操作機構と同方向である一方向から行うことができる。その結果、従来のように、アウトサイドレバーを別工程において第2ケーシングに組み付けたり、組立ライン等においてケーシングの向きを90度変換させたりする作業工程が必要なくなり、ドアラッチ装置の組立効率が向上するとともに、組立コストも低減する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るドアラッチ装置の一実施形態を、
図1〜
図11に基づいて説明する。なお、以下の説明では、
図2における左方を車両の「車内側」、右方を同じく「車外側」とし、
図3における左方を同じく「前方」、右方を同じく「後方」とする。
本実施形態のドアラッチ装置1は、自動車のフロントサイドドア(以下ドアと略称する)内の後端部に取付けられるもので、車体側のストライカSに係合することにより、ドアを閉扉状態に保持するための噛合部アッセンブリ2を、噛合部アッセンブリ2を操作するための操作部アッセンブリ3に組み付けて、噛合部アッセンブリ2と操作部アッセンブリ3とを一体化することによって構成されている。
【0017】
図7に示すように、噛合部アッセンブリ2は、ストライカSが進入可能なストライカ進入溝4を有する合成樹脂製のボディ5と、ボディ5の後面側に固定され、ストライカSが進入可能な切欠部6を有する金属製のカバープレート7と、ボディ4の前面側に固定される金属製のバックプレート8と、ボディ5における後面側の内部に収容され、カバープレート7の軸孔9及びボディ5の軸孔10を貫通する前方を向くラッチ軸11により枢支された、車体側のストライカSに係合可能なラッチ12と、ボディ5内に組付けられ、前部の軸部151がバックプレート8の軸孔13に、後部の軸部152がカバープレート7の軸孔14に回動可能に枢支された、ストライカSに噛合したラッチ12と係合可能な係合部153と操作部アッセンブリ3の後述するリリース部材44が当接可能なリリース作用部154を有するポール15と、ラッチ軸11と平行をなすようにボディ5に前向きに一体形成した枢軸16により上下方向に回動可能に支持されたアウトサイドレバー17と、ボディ5に形成されたバンパラバー組付孔18に組み込まれるゴム等の弾性部材からなるバンパラバー19とを備えている。なお、上記ラッチ12とポール15は、本発明に係る噛合機構20に相当する。
【0018】
バックプレート8は、ラッチ軸11の先端部の小径軸部111が実質的に回転不能に圧入される軸孔21が形成された車内外方向を向く第1軸孔形成部81と、この第1軸孔形成部81の車外側の端部より下向きに延出し、ボディ5の前面の膨出部5aとバンパラバー19の一部をボディ5の前面から保持可能な側面視コ字状をなす保持部82(
図10参照)と、この保持部82の下端部より車内方向に延出し、ポール15の前側の軸部151が回転自在に挿入される上述の軸孔13が形成された第2軸孔形成部83と、この第2軸孔形成部83の中間部より下方に延出し、ボディ5の枢軸16が嵌合される支持孔22が形成された支持孔形成部84と、図示しないドアのインナパネルの取付孔、カバープレート7の貫通孔23及びボディ5の貫通孔24を貫通するボルト25Aが螺合するねじ孔26が形成されたねじ孔形成部85と、第1軸孔形成部81の車内側の端部から前方に向かって延出し、操作部アッセンブリ3に設けられた後述する第3ガイド部53に係合可能なガイド孔27を有するガイド孔形成部86とを備えている。
【0019】
噛合部アッセンブリ2は、上記ボルト25Aと、カバープレート7のねじ孔28、28に螺合する2本のボルト25B、25Bとにより、操作部アッセンブリ3と共にドアのインナパネルに固定される。この際、ボルト25Aがバックプレート8のねじ孔26にも螺合することにより、ボディ5の裏面にバックプレート8が固定される。
【0020】
ラッチ12は、一端がボディ5の前面側、他端がラッチ12にそれぞれ掛止されるスプリング29によって、ドア開方向(
図8において時計方向)に付勢されている。また、ポール15は、一端がボディ5、他端がポール15にそれぞれ掛止されるスプリング30によって、ラッチ12と係合する方向(
図8において反時計方向)に付勢されている。
【0021】
ボディ5における車内寄り側の上面には、後方と車内外方向に開口するコ字状のガイド溝32を有する第1被ガイド部33が上向きに突設されている。また、
図1〜
図3に示すように、ボディ5における車内寄り側の下面には、前後の対向面に下方と車内外方向に開口するガイド溝34が形成された前後1対の第2被ガイド部35、35が下向きに突設されている。第1被ガイド部33と第2被ガイド部35、35は、それぞれ、後述するケーシング40の第1ガイド部51と第2ガイド部52に嵌合するようになっている。
【0022】
アウトサイドレバー17は、枢軸16に回動可能かつ車内外方向に移動可能として嵌合される長孔171aを有する第1レバー171と、この第1レバー171の前面側に重合し、枢軸16に回動可能に嵌合される軸孔172aを有する第2レバー172との2分割構造となっている。第1レバー171と第2レバー172とは、第1レバー171の上縁に折曲形成された前向係合片171bの下面が、第2レバー172の車外側の上端172bと当接することにより、
図8、
図9に示す待機位置から、リリース方向(
図8において時計方向)へ一体的に連動する。第1、第2レバー171、172は、一端が第1レバー171に、他端が第2レバー172にそれぞれ掛止されるスプリング31によって、
図8において反時計方向に付勢されている。
【0023】
第1レバー171の車外側の端部は、ドアのアウタパネルに設けたアウトサイドハンドル(図示略)に、ロッド等の操作力伝達部材(図示略)を介して連結され、アウトサイドハンドルをドア開操作すると、第2レバー172の車内側の端部172cに連係された操作部アッセンブリ3における後述するリリース部材44を介して、ポール15をリリース方向に回動させてドアを開くことができる。
【0024】
なお、側面衝突等によりドアのアウタパネルが車内側に変形し、第1レバー171に当接したときには、第1レバー171が長孔171aを介して車内方向に移動することにより、第1レバー171の前向係合片171bと第2レバー172の上端172bとの係合状態が解除される。これにより、第1レバー171がリリース方向に回動しても、その回動力が第2レバー172に伝達されることがなくなり、第2レバー172及びその車内側の端部172cに連係されるリリース部材 がリリース方向に移動するのが防止される。その結果、ポール15がリリース方向に回動するのが防止されることにより、側面衝突時等においてドアが不意に開くことがなくなる。
【0025】
図1〜
図4に示すように、上述した操作部アッセンブリ3は、合成樹脂よりなる平面視ほぼL字状のケーシング40を備えている。ケーシング40は、ドア内においてそのインナパネルの側面と近接して配置され、車内側が開口された操作機構収容部41を有する第1ケーシング401と、この第1ケーシング401における上下方向の中間部の後端から車外方向へほぼ直角をなすように延出し、後面の上半部に、操作機構収容部41と連続する噛合部アッセンブリ収容部42を有する第2ケーシング402と、第1ケーシング401と第2ケーシング402の車内側の開口部を覆う合成樹脂製のカバー部材403と、第1ケーシング401の操作機構収容部41内に車内方向である一方向から組み込まれる操作機構43とを備えている。
【0026】
第2ケーシング402は、噛合部アッセンブリ2と操作部アッセンブリ3とを一体化した状態において、噛合部アッセンブリ2の前面側を覆う基部402aと、基部402aにおける車外側の外周縁のほぼ上半部に後向きに突設された、噛合部アッセンブリ2の上面と車外側の側面の上半部を覆いうる側壁部402bとを備えている。
【0027】
第1ケーシング401における第1ケーシング402との境界部付近の上端部には、上述したボディ4の第1被ガイド部33が車内方向から嵌合可能な第1ガイド部51が一体的に形成されている(
図1、
図3参照)。この第1ガイド部51は、第1被ガイド部33のガイド溝32が嵌合可能な車内方向と前方に突出する後側ガイド突部51aと、この後側ガイド突部51aと離間する前方において車内方向に突出し、第1被ガイド部33の前方への移動を規制する前側ガイド突部51bとを有している。また、第2ケーシング402の車内寄り側の下端部には、上述した第2被ガイド部35、35のガイド溝34に車内方向から嵌合可能な第2ガイド部52が、基部402aの後面より後方に若干離間するようにして上向きに突設されている(
図1〜
図4参照)。
【0028】
さらに、
図3及び
図4に示すように、第2ケーシング402の基部402aにおける第1ケーシング401との境界部の上下方向の中間部には、上述したバックプレート8のガイド孔27が車内方向から嵌合可能な凸状の第3ガイド部53が、車内方向に向かって突設されている。
【0029】
図4及び
図11に示すように、第2ケーシング402の基部402aの下部寄りの後面には、後向きの膨出部402cが形成され、この膨出部402cと基部402aの後面との間には、車内方向に開口する溝状の第4ガイド部54が形成されている。この第4ガイド部54には、噛合部アッセンブリ2を第2ケーシング402に組み付けたとき、バックプレート8における支持孔形成部84に折曲形成された車外方向を向く第4被ガイド部87が車内方向から嵌合可能となっている。なお、上述した互いに嵌合し合う第1被ガイド部33と第1ガイド部51、第2被ガイド部35と第2ガイド部52、ガイド孔27と第3ガイド部53、及び第4被ガイド部87と第4ガイド部54は、いずれも、本発明に係る位置決めガイド手段に相当する。
【0030】
図4、
図5及び
図11に示すように、第2ケーシング402の基部402aにおける上下方向の中間部の後面には、車内外方向を向くほぼ水平のガイド片402dが後向きに突設されている。第2ケーシング402に噛合部アッセンブリ2を組み付ける際、ガイド片402dに、噛合部アッセンブリ2におけるボディ5の膨出部5aと、この膨出部5aを保持するバックプレート8の保持部82とが摺接することにより、噛合部アッセンブリ2が上下に位置決めされるとともに、第2ケーシング402方向へのスライド移動がガイドされる。
【0031】
上述した操作機構43は、アンロック状態にあるときには、ドアのアウトサイドハンドル及びインサイドハンドルを開操作することにより、噛合機構20のラッチ12とストライカSとの係合を解除してドアを開扉可能とし、また、ロック状態にあるときには、アウトサイドハンドル及びインサイドハンドルを開操作しても、ドアを開扉不能とする機能を有する。
【0032】
図3及び
図4に示すように、上述した操作機構43の主な構成部品としては、上述したアウトサイドレバー17における第2レバー172の車内側の端部172cに下端部が連結されたリリース部材44と、このリリース部材44とドアの車内側に設けられるノブレバー(図示略)に連係され、リリース部材44を、ポール15の回動を不能とするロック位置及び回動を可能とするアンロック位置に切り替え可能なロックレバー45と、ドアの車内側に設けられるドア開操作用のインサイドハンドルの操作に連動し、アンロック状態にあるとき、インサイドハンドルの開操作によりドアを開扉可能とするインサイドレバー46と、ドアのアウタパネルに設けられたキーシリンダ(図示略)のロック及びアンロック操作により上下方向に移動し、ロックレバー45をロック位置及びアンロック位置に切り替え可能なスライドレバー47と、ロック及びアンロック操作用の正逆回転可能なモータ48と、モータ48の回転軸に固着されたウオーム49と噛合して正逆回転し、ロックレバー45をロック位置及びアンロック位置に切り替え可能なウオームホイール50とを備えている。
【0033】
ロックレバー45は、車内外方向を向く軸筒55を、第1ケーシング401の基部401aの側面に突設された車内方向を向く支持軸56に、車内方向より嵌合することにより、第1ケーシング401の操作機構収容部41内に組み込まれている。また、インサイドレバー46は、上端部の軸孔57を、基部401aの後端部の側面に突設された車内方向を向く支持軸58に嵌合することにより、操作機構収容部41内に車内方向より組み込まれている。さらに、スライドレバー47は、操作機構収容部41内に車内方向より組み込まれる。
【0034】
モータ48は、基部401aの側面に形成された車内方向に開口するモータ収容部59内に、車内方向より組み込まれている。ウオームホイール50は、中心の軸孔60を、基部401aの中央部に突設された車内方向を向く支持軸61に嵌合することにより、操作機構収容部41内に車内方向より組み込まれている。
図4に示すように、スイッチプレート70は、モータ48及びラッチ12の位置検出を行うラッチスイッチ71とコネクタ72とを連結するようにして、ケーシング40の操作機構収容部41に固定される。
【0035】
次に、噛合部アッセンブリ2と操作部アッセンブリ3とを一体化する際の作業工程について説明する。
まず、噛合部アッセンブリ2と操作部アッセンブリ3とを一体化する前の作業工程において、噛合部アッセンブリ2のボディ5に、アウトサイドレバー17、ラッチ12とポール15よりなる噛合機構20、バンパラバー19、スプリング29、30、31、カバープレート7及びバックプレート8等の各部品を組み付けて、噛合部アッセンブリ2を予め組み立てておく。
【0036】
次いで、操作部アッセンブリ3のケーシング40を、例えば第1ケーシング401の操作機構収容部41側(車内側)が上方を向くようにして自動組み立てライン等にセットし、
図4に示すように(
図4では第1ケーシング401の操作機構収容部41を左側に向けてある)、予め組み立てておいた噛合部アッセンブリ2を、車内方向である第1ケーシング401の操作機構収容部41方向から、第2ケーシング402の基部402aに沿ってスライド移動させ、噛合部アッセンブリ収容部42に収容する。この際、上述したように、第2ケーシング402の基部402aに設けたガイド片402dにより、噛合部アッセンブリ2のスライド移動がガイドされるとともに、第2ケーシング402に対し噛合部アッセンブリ2が位置決めされる。
【0037】
噛合部アッセンブリ2を噛合部アッセンブリ収容部42に収容する過程において、噛合部アッセンブリ2と第1ケーシング401及び第2ケーシング402とに設けた複数の位置決めガイド手段、すなわち第1被ガイド部33と第1ガイド部51同士、第2被ガイド部35と第2ガイド部52同士、ガイド孔27と第3ガイド部53同士、及び第4被ガイド部87と第4ガイド部54同士を互いに嵌合させる。これらの嵌合作業は、全て噛合部アッセンブリ2の組付け方向と同方向、すなわち、第1ケーシング401の操作機構収容部41側(車内方向側)から行うことができる。なお、噛合部アッセンブリ2を噛合部アッセンブリ収容部42に収容する前に、第1ケーシング401の操作機構収容部41にスイッチプレート70を固定しておくことで、噛合部アッセンブリ2を噛合部アッセンブリ収容部42に収容した時点で、ラッチスイッチ71の設定が可能となる。具体的には、スイッチプレート70の端部(ラッチスイッチ71が取り付く側)を噛合部アッセンブリ収容部42側に突出させておくことで、ボディ5に形成されたラッチスイッチ収容部5bにラッチスイッチ71が進入して、ラッチ12の回動軌跡内に位置するように配置できるため、ラッチ12の位置検出が可能となる(
図2参照)。
【0038】
このように、噛合部アッセンブリ2を噛合部アッセンブリ収容部42に収容する過程において、複数の位置決めガイド手段同士を嵌合させることにより、噛合部アッセンブリ2の第2ケーシング402への組付けが終了する。噛合部アッセンブリ2の組付終了後においては、各位置決めガイド手段の作用により、噛合部アッセンブリ2は、第2ケーシング402に対し前後方向、車外方向及び上下方向への移動を押さえるように位置決めされる。また同時に、噛合部アッセンブリ2と第2ケーシング402との間に作用する前後方向の剥離荷重(ケーシング40に対し噛合部アッセンブリ2が後方へ剥離する方向の荷重)に対し高い剥離強度を有するため、噛合部アッセンブリ2と第2ケーシング402とをねじ等の固定手段により固定する必要がなくなる。なお、第2ケーシング402の側壁部402bは、基部402aの上半部のみに設けてあるので、噛合部アッセンブリ2の組付時において、アウトサイドレバー17の第1レバー171が側壁部402bと当接するおそれはなく、第1レバー171の先端部は、第2ケーシング402より車外側に突出する。
【0039】
噛合部アッセンブリ2を第2ケーシング402に組み付けた後、第1ケーシング401の操作機構収容部41内に、上述した操作機構43を構成しているリリース部材44、ロックレバー45、インサイドレバー46、スライドレバー47、モータ48、ウオームホイール50等の各部品を、噛合部アッセンブリ2と同様に車内方向から組み込む。
【0040】
最後に、第1ケーシング401の車内側の開口部にカバー部材403を取付け、操作機構収容部41内に収容した操作機構43、及び噛合部アッセンブリ2におけるボディ5の車内側の側面を、ストライカ進入溝4のみを残してカバー部材403により覆う(
図1参照)。これにより、組立作業は終了し、噛合部アッセンブリ2と操作部アッセンブリ3とが一体化されたドアラッチ装置1が得られる。なお、第1ケーシング401に対するカバー部材403の固定手段としては、ねじによる固定の外に、超音波またはレーザー等による溶着によっても行うことができる。
【0041】
以上説明したように、上記実施形態に係るドアラッチ装置1においては、アウトサイドレバー17は噛合部アッセンブリ2に取付けられ、かつ第2ケーシング402に、第2ケーシング402に対し噛合部アッセンブリ2を位置決めするとともに、第1ケーシング401に対する操作機構43の組付方向と同方向から組付け可能にガイドする複数の位置決めガイド手段を設けたことにより、第1ケーシング401に対する操作機構43の組付けと第2ケーシング402に対する噛合部アッセンブリ2の組付けを、車内方向である一方向から行うことができる。その結果、従来のように、アウトサイドレバー17を別工程において第2ケーシング402に組み付けたり、自動組立ライン等においてケーシング40の向きを90度変換させたりする作業工程が必要なくなり、ドアラッチ装置1の組立効率が向上するとともに、組立コストも低減する。
【0042】
また、アウトサイドレバー17を噛合部アッセンブリ2のボディ4に組み付けたことにより、第2ケーシング402にアウトサイドレバー17を支持する枢軸を設け、この枢軸によりアウトサイドレバー17を支持する必要がなくなるので、これらの枢軸やアウトサイドレバー17が、噛合部アッセンブリ2を第2ケーシング402に組み付ける際の障害となることがない。また、第2ケーシング402に枢軸やアウトサイドレバー17を設けるために、第2ケーシング402の上下寸法を大とする必要もないので、ケーシング40を含むドアラッチ装置1全体の小型化が可能となる。
【0043】
さらに、噛合部アッセンブリ2のボディ5の車内側の側面が、第1ケーシング401に固定されたカバー部材403により押さえられ(
図1参照)、噛合部アッセンブリ2がその組付け方向と反対側である車内方向へ移動するのが阻止されるので、従来のように、第2ケーシング402と噛合部アッセンブリ2とを、操作機構43の組付け方向とは異なる方向から、ねじ等の固定手段をもって固定する作業工程が不要となり、ドアラッチ装置1の組立効率がさらに向上する。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲内で、上記の実施形態に対して、次のような変形や変更を施すことが可能である。
上記実施形態では、部品点数や組付効率を向上するために、アウトサイドレバー17を支持する枢軸16を、噛合部アッセンブリ2のボディ5に一体的に形成したが、別部材の枢軸によりアウトサイドレバー17を支持するようにしてもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、アウトサイドレバー17を、第1レバー171と第2レバー172との2分割構造としたが、一体構造のアウトサイドレバー17としてもよい。
【0046】
さらに、上記実施形態では、位置決めガイド手段を構成する複数のガイド部を第2ケーシング402に設けたが、ガイド部を、第1ケーシング401または第1ケーシング401と第2ケーシング402との両方に設けてもよい。