特許第6424379号(P6424379)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6424379
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】チケット管理システム及びその運用方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20181112BHJP
   G06K 7/14 20060101ALI20181112BHJP
【FI】
   G06Q50/10
   G06K7/14 017
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-109259(P2017-109259)
(22)【出願日】2017年6月1日
【審査請求日】2017年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】517193589
【氏名又は名称】三桐 睦夫
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三桐 睦夫
【審査官】 山内 裕史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−92460(JP,A)
【文献】 特開2004−288033(JP,A)
【文献】 特開2002−150085(JP,A)
【文献】 特開2003−123103(JP,A)
【文献】 特開2003−91747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
G06K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して接続されるチケット管理サーバと、イベントの主催者端末と、ユーザ端末とを含むチケット管理システムであって、
前記チケット管理サーバは、チケット購入申し込み時に前記ユーザ端末から送信されるパスワードとチケットキャンセルの場合のユーザの返金用仮想通貨ウォレットIDとをチケット情報と関連付けて登録情報として管理する登録情報管理部と、
前記ユーザ端末又は前記主催者端末からの要求に基づきチケットの発行処理、キャンセル処理、入場受付処理、又はイベント中止処理を行うチケット処理部と、を含み、
前記主催者端末は、チケットに印刷された入場用の識別コードを読み取る読取部とパスワードを入力する入力部とを備えた少なくとも一つの主催者端末を含み、
前記入場用の識別コードはチケットの発行処理の際、前記登録情報に基づきチケット処理部にて生成され、
前記入場受付処理における入場可否判断は、読み取られた前記入場用の識別コードの情報に基づき、前記入力部から入力されたパスワードと前記登録情報とを照合することによりなされることを特徴とするチケット管理システム。
【請求項2】
前記キャンセル処理は、
識別コードを読み取る読取部を備えたユーザ端末から送信される前記ユーザ端末によって読み取られたキャンセル用の識別コードの情報に基づきユーザ端末に入力されたパスワードを前記登録情報と照合し、照合の結果不一致がなければ前記返金用仮想通貨ウォレットIDに返金用仮想通貨を送信することによりなされるか、
ユーザによって切り離され返送されたチケットの半券に印刷されたキャンセル用の識別コードの情報に基づくオペレータ入力により前記返金用仮想通貨ウォレットIDに返金用仮想通貨を送信することによりなされ、
前記キャンセル用の識別コードはチケットの発行処理の際、前記登録情報に基づきチケット処理部にて生成され、予め前記入場用の識別コードと共にチケットに印刷されることを特徴とする請求項1に記載のチケット管理システム。
【請求項3】
前記チケット処理部は前記キャンセル処理の実行に伴いキャンセルされたチケットを無効化し、キャンセルされたチケットに対応するイベントの座席を新たなチケットとして販売するリセールリストに登録することを特徴とする請求項2に記載のチケット管理システム。
【請求項4】
前記チケット処理部は、前記主催者端末から前記イベント中止処理を要求されると、前記主催者端末から返金に必要な仮想通貨を受信し、各ユーザの返金用仮想通貨ウォレットIDにチケット購入時の金額に相当する仮想通貨を送信して返金処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のチケット管理システム。
【請求項5】
前記チケット処理部は、前記主催者端末からの要求またはオペレータからの入力に基づき転売が行われようとするチケットを無効化することを特徴とする請求項1に記載のチケット管理システム。
【請求項6】
前記入場用の識別コード及び前記キャンセル用の識別コードはいずれもQRコード(登録商標)であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のチケット管理システム。
【請求項7】
ネットワークを介して接続されるチケット管理サーバと、主催者端末と、ユーザ端末とを含むチケット管理システムの運用方法であって、
前記チケット管理サーバが、前記ユーザ端末からパスワードとチケットキャンセルの場合のユーザの返金用仮想通貨ウォレットIDとを受信してチケット情報と関連付けて登録情報として登録する段階と、
前記チケット管理サーバが、前記登録情報に基づきチケットに印刷する入場用の識別コードとキャンセル用の識別コードとを生成して出力する段階と、を有し、
チケットによる入場が行われる場合、前記チケット管理サーバが、前記主催者端末により読み取られた入場用の識別コードの情報に基づき、前記主催者端末に入力されたパスワードを受信して登録情報と照合する段階と、
照合の結果不一致がなければ入場可の情報を前記主催者端末に送信する段階と、をさらに有することを特徴とするチケット管理システムの運用方法。
【請求項8】
チケットがキャンセルされる場合、前記チケット管理サーバが、前記ユーザ端末により読み取られたキャンセル用の識別コードの情報と、前記ユーザ端末に入力されたパスワードとを受信して登録情報と照合する段階と、
照合の結果不一致がなければユーザの返金用仮想通貨ウォレットIDに返金用仮想通貨を送信する段階と、
前記キャンセルされたチケットを無効にする段階と、
キャンセルされたチケットに対応するイベントの座席を新たなチケットとして販売するリセールリストに登録する段階と、をさらに有することを特徴とする請求項7に記載のチケット管理システムの運用方法。
【請求項9】
イベントが中止される場合、前記チケット管理サーバが、前記主催者端末から返金に必要な仮想通貨を受信する段階と、
各ユーザの返金用仮想通貨ウォレットIDにチケット購入時の金額に相当する仮想通貨を送信して返金処理を行う段階と、をさらに有することを特徴とする請求項7に記載のチケット管理システムの運用方法。
【請求項10】
前記入場用の識別コード及び前記キャンセル用の識別コードはいずれもQRコード(登録商標)であることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載のチケット管理システムの運用方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チケット管理システム及びその運用方法に関し、特に簡便な管理で購入者を容易に認証でき、又キャンセルとリセールも簡単な手続きで容易に行うことができるとともに、不当な高額転売を防止するチケット管理システム及びその運用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンサートを始めとして、日々様々なイベントのチケットが発売されている。特に人気のイベントでは発売後すぐに完売となり、チケット購入を希望しても購入できないファンも数多くいる。そうした状況を利用し、始めから転売目的でチケットを購入しオークションなどを利用して価格を吊り上げ、高額で転売する個人や業者が後を絶たない。正規のチケット販売でチケットの購入ができなかった購入希望者は、どうしてもチケットを入手したい場合、こうした高額の転売チケットを購入せざるを得ず、大きな不利益を被ることとなる。
【0003】
一方、購入したチケットが、都合により利用できなくなった場合、チケット購入者はキャンセルを希望するが、イベントによりキャンセルが受け付けられないこともあり、受け付けられても購入方法によって手続きが異なるなど手続きが煩雑な場合が多い。また主催者側はキャンセルとなった席のチケットを再度販売するリセールの手続きも必要となり、主催者にとってもチケット購入者にとってもチケットのキャンセルは手間のかかるものとなっている。
このようにチケット管理には様々な課題が山積している状況である。チケットの転売を防止する観点では主に電子チケットを活用した取り組みがなされてきている。
【0004】
特許文献1には、チケット購入時に端末装置に固有に付与される端末IDを関連付けして記憶し、チケットアプリ起動時に、取得する端末IDがチケット情報表示プログラムに予め記録されている端末IDと一致するか否かを照合し、一致した場合に、機械読取り可能なチケット情報を端末装置の表示部に表示させるプログラムが開示されている。この技術によればチケットアプリを起動した状態で端末IDのチェックが行われるため、転売された場合は転売先の端末IDが一致せず、入場のためのチケット情報が表示されないので転売を防止できる。しかし、チケット購入者は入場に際してチケットアプリを起動し、端末IDのチェックが必要であるため入場処理が手間取ることが想定される。
【0005】
上記の例は端末IDがチケット購入者を特定するための必須の情報であるが、オンラインを利用したチケット購入では、一般的にチケット購入者を特定するために、氏名以外にも住所や電話番号など多くの個人情報の開示が求められ、入力の煩雑さに加え個人情報漏えいのリスクも新たな課題となっている。
【0006】
特許文献2には、チケットの転売にかかるトラブルを防止し、キャンセルされたチケットの有効活用を実現することが可能なチケット処理システムとして、チケット処理サーバが購入の申し込みを受け付け、キャンセルまたは譲渡の申し込みがあるとオークションサーバにてオークションが実行され、購入金額を超えない範囲で落札価格から手数料を差し引いた金額が返金されるチケット処理システムが開示されている。この技術によればチケット購入者は都合が悪くなった場合でも確実にキャンセルを行うことができるようになる。しかしキャンセルされたチケットの購入希望者はオークションによって落札しなければチケットが手に入らないため、結局正規の販売価格より高いチケットを購入することになりかねない。
【0007】
こうしたチケット管理に関する課題を解決するために、より簡単な仕組みで転売を防止し、又容易にキャンセルができるとともに正規の販売価格でリセールができるチケット管理システムが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012−73890号公報
【特許文献2】特開2014−126959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来のチケット管理システムにおける問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、特に簡便な管理で購入者を容易に認証でき、又キャンセルとリセールも簡単な手続きで容易に行うことができるとともに、不当な高額転売を防止するチケット管理システム及びその運用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するためになされた本発明によるチケット管理システムは、ネットワークを介して接続されるチケット管理サーバと、イベントの主催者端末と、ユーザ端末とを含むチケット管理システムであって、前記チケット管理サーバは、チケット購入申し込み時に前記ユーザ端末から送信されるパスワードとチケットキャンセルの場合のユーザの返金用仮想通貨ウォレットIDとをチケット情報と関連付けて登録情報として管理する登録情報管理部と、前記ユーザ端末又は前記主催者端末からの要求に基づきチケットの発行処理、キャンセル処理、入場受付処理、又はイベント中止処理を行うチケット処理部と、を含み、前記主催者端末は、チケットに印刷された入場用の識別コードを読み取る読取部とパスワードを入力する入力部とを備えた少なくとも一つの主催者端末を含み、前記入場用の識別コードはチケットの発行処理の際、前記登録情報に基づきチケット処理部にて生成され、前記入場受付処理における入場可否判断は、読み取られた前記入場用の識別コードの情報に基づき、前記入力部から入力されたパスワードと前記登録情報とを照合することによりなされることを特徴とする。
【0011】
前記キャンセル処理は、識別コードを読み取る読取部を備えたユーザ端末から送信される前記ユーザ端末によって読み取られたキャンセル用の識別コードの情報に基づきユーザ端末に入力されたパスワードを前記登録情報と照合し、照合の結果不一致がなければ前記返金用仮想通貨ウォレットIDに返金用仮想通貨を送信することによりなされるか、ユーザによって切り離され返送されたチケットの半券に印刷されたキャンセル用の識別コードの情報に基づくオペレータ入力により前記返金用仮想通貨ウォレットIDに返金用仮想通貨を送信することによりなされ、前記キャンセル用の識別コードはチケットの発行処理の際、前記登録情報に基づきチケット処理部にて生成され、予め前記入場用の識別コードと共にチケットに印刷されることが好ましい。
【0012】
前記チケット処理部は前記キャンセル処理の実行に伴いキャンセルされたチケットを無効化し、キャンセルされたチケットに対応するイベントの座席を新たなチケットとして販売するリセールリストに登録することが好ましい。
前記チケット処理部は、前記主催者端末から前記イベント中止処理を要求されると、前記主催者端末から返金に必要な仮想通貨を受信し、各ユーザの返金用仮想通貨ウォレットIDにチケット購入時の金額に相当する仮想通貨を送信して返金処理を行うことが好ましい。
【0013】
前記チケット処理部は、前記主催者端末からの要求またはオペレータからの入力に基づき転売が行われようとするチケットを無効化することが好ましい。
前記入場用の識別コード及び前記キャンセル用の識別コードはいずれもQRコード(登録商標)であることが好ましい。
【0014】
上記目的を達成するためになされた本発明によるチケット管理システムの運用方法は、ネットワークを介して接続されるチケット管理サーバと、主催者端末と、ユーザ端末とを含むチケット管理システムの運用方法であって、前記チケット管理サーバが、前記ユーザ端末からパスワードとチケットキャンセルの場合のユーザの返金用仮想通貨ウォレットIDとを受信してチケット情報と関連付けて登録情報として登録する段階と、前記チケット管理サーバが、前記登録情報に基づきチケットに印刷する入場用の識別コードとキャンセル用の識別コードとを生成して出力する段階と、を有し、チケットによる入場が行われる場合、前記チケット管理サーバが、前記主催者端末により読み取られた入場用の識別コードの情報に基づき、前記主催者端末に入力されたパスワードを受信して登録情報と照合する段階と、照合の結果不一致がなければ入場可の情報を前記主催者端末に送信する段階と、をさらに有することを特徴とする。
【0015】
チケットがキャンセルされる場合、前記チケット管理サーバが、前記ユーザ端末により読み取られたキャンセル用の識別コードの情報と、前記ユーザ端末に入力されたパスワードとを受信して登録情報と照合する段階と、照合の結果不一致がなければユーザの返金用仮想通貨ウォレットIDに返金用仮想通貨を送信する段階と、前記キャンセルされたチケットを無効にする段階と、キャンセルされたチケットに対応するイベントの座席を新たなチケットとして販売するリセールリストに登録する段階と、をさらに有することが好ましい。
【0016】
イベントが中止される場合、前記チケット管理サーバが、前記主催者端末から返金に必要な仮想通貨を受信する段階と、各ユーザの返金用仮想通貨ウォレットIDにチケット購入時の金額に相当する仮想通貨を送信して返金処理を行う段階と、をさらに有することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るチケット管理システム及びその運用方法によれば、チケット購入者はチケット購入に当たり、パスワードとキャンセルの際の返金受取用仮想通貨ウォレットIDのみを登録すればよく、個人情報の入力も不要であるためチケットの購入申し込みが簡単であり、また入場時は上記登録情報に基づき発行されたチケットに印刷された入場用QRコードを読み取り、パスワードとして4ケタの暗証番号を入力するのみで入場可否が判断されるため入場に手間取ることがない。
【0018】
またチケット購入者がチケットをキャンセルする場合は、チケットに印刷されたキャンセル用QRコードを読み取り、パスワードとして4ケタの暗証番号を入力するのみで返金受取用仮想通貨ウォレットに返金がなされるため、非常に簡単にキャンセルを行うことができる。キャンセルされたチケットは直ちに無効化され、それによって空いた座席のチケットはすぐにリセールに回されるので、不当に価格がつり上がることなくキャンセル待ちのチケット購入希望者にチケット購入の機会が与えられる。
【0019】
また本発明に係るチケット管理システム及びその運用方法によれば、イベントが中止になった場合でもチケットの返金が仮想通貨で行われるため、チケット購入者リストに従い自動的にかつ速やかに、それぞれの返金受取用仮想通貨ウォレットIDに仮想通貨で返金が可能となり、主催者の返金にかかる工数を大幅に低減することができる。
さらに、本発明に係るチケット管理システム及びその運用方法によれば、遠隔でチケットの無効化ができるので、転売のためにオークションにかけられているチケットを発見次第、直ちにそのチケットを無効化できるため、チケットの転売防止に大きな効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態によるチケット管理システムの構成を概略的に示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態によるチケットの印刷例を示す図である。
図3】本発明の実施形態による入場受付処理を説明するための図である。
図4】本発明の実施形態によるチケットのキャンセル処理を説明するための図である。
図5】本発明の実施形態によるチケットの発行方法を説明するためのフローチャートである。
図6】本発明の実施形態によるチケットによる入場受付方法を説明するためのフローチャートである。
図7】本発明の実施形態によるチケットのキャンセル方法を説明するためのフローチャートである。
図8】本発明の実施形態によるイベント中止処理方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明に係るチケット管理システム及びその運用方法を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態によるチケット管理システムの構成を概略的に示すブロック図である。
図1を参照すると、本発明の実施形態によるチケット管理システム1は、ネットワーク50を介して接続されるチケット管理サーバ10、イベントの主催者端末20、及びチケットを購入するユーザが所有するユーザ端末30を含む。
【0022】
チケット管理システム1は、イベントのチケットの発行、イベントの入場管理、チケット購入者によるキャンセル、転売防止のためのチケットの無効化、キャンセルまたは無効化されたチケットのリセール、イベント中止による返金処理などに対応して、チケット管理サーバ10が集約的にチケットの管理を行うシステムである。
【0023】
チケット管理システム1が管理するチケットは、後述するように入場用の半券とキャンセル用の半券で構成され、それぞれ入場用の識別コードとキャンセル用の識別コードが印刷される。入場用の識別コードとキャンセル用の識別コードは、このチケット固有であり、またチケット管理サーバ10には、これらの識別コードに含まれる情報と、チケットを購入するユーザがチケット購入時に登録するパスワードとキャンセル時の返却金を受け取るユーザの仮想通貨の口座番号とが関連付けられて登録されているので、イベントの入場時には入場用の識別コードを読み込んでパスワードを入力するだけで入場可否の判断がなされ、キャンセル時にはキャンセル用の識別コードを読み込んでパスワードを入力するだけで認証ができ、キャンセル処理に伴う返金処理が進行する。このように、本発明のチケット管理システムでは、イベント入場時の認証もキャンセルも簡単な手続きで行うことができる利便性の高いチケット管理方法を提供することができる。
【0024】
図1を参照すると、チケット管理サーバ10は、データの入出力を行う入出力部12、チケットに関する様々な情報や自身の動作を制御するプログラムなどを記憶する記憶部13、チケットの処理内容や管理情報を表示する表示部14、ユーザ端末30から送信される登録情報を管理する登録情報管理部15、チケットの販売情報などを管理するチケット情報管理部16、及びチケットの発行やキャンセルなどの処理を行うチケット処理部17、及びこれらの構成要素を制御する制御部11を含む。またチケットの半券が郵送されてきた場合のキャンセル処理のために読取部18をさらに含む。
【0025】
実施形態ではチケットを購入するユーザは、チケット購入申し込みの際、ユーザ本人を認証するためのパスワードと、チケットをキャンセルする場合やイベントが中止になった場合の払戻金を受け取る返金用仮想通貨ウォレットIDを、ユーザ端末30からチケット管理サーバ10に送信して登録する。
【0026】
パスワードはイベント会場で入場する際に主催者端末20に入力するとき、またはチケットをキャンセルする場合にユーザ端末30に入力するときに使用される。実施形態ではパスワードとして4桁の任意の数字(暗証番号)を使用するが、これに限らず文字や記号を含めてもよいし、桁数も4桁より多くても少なくても構わない。
返金用仮想通貨ウォレットIDは返金を受けるユーザの仮想通貨の口座番号である。仮想通貨による取引は、円などの実際の通貨取引と異なり金融機関を介さずデータの授受の形で行われる。返金用仮想通貨ウォレットIDは仮想通貨の送信先アドレスに相当するものである。金融機関を介さないため、仮想通貨には金融機関の営業時間のように取扱時間帯の制約がないため、24時間いつでも取引が即座に行われる。
【0027】
登録情報管理部15は、ユーザ端末30から送信されたパスワードと、返金用仮想通貨ウォレットIDとを、イベント会場の座席及びチケットをユニークに管理するためのチケットコードなどのチケット情報と関連付けして登録情報として管理し、保存する。
この実施形態ではユーザがチケット購入のために登録するのはパスワードと、返金用仮想通貨ウォレットIDのみであり、住所や電話番号など個人を特定するための情報を登録する必要がない。このためチケット購入のための入力作業が少なくユーザの利便性が向上するとともに個人情報の流出についても懸念する必要がない。
【0028】
他の実施形態では、チケットを購入するユーザは、チケット購入申し込みの際、パスワードと返金用仮想通貨ウォレットIDに加えて返金用仮想通貨ウォレットIDの名義人名を登録するようにする。この場合、登録情報管理部15は、パスワードと、返金用仮想通貨ウォレットIDと、返金用仮想通貨ウォレットIDの名義人名とをチケット情報と関連付けして登録情報として管理し、保存する。
【0029】
返金用仮想通貨ウォレットIDの名義人名を登録するのは、ユーザ個人を特定するためというより、チケットに印刷するためである。チケットにチケット購入者であるユーザの返金用仮想通貨ウォレットIDの名義人名が印刷されることにより、ユーザは転売に対してためらいを持ちやすくなるため、チケットの転売を防止する効果が得られるからである。また入場の際にチェックされるという心理から、異性や外国人は転売に掛けられるチケットを購入することの意欲がそがれることにもなる。
この実施形態でも、名義人名の分だけ入力は増えるが、名義人名だけでは個人特定までは至らないので、上記の実施形態と同様の効果が得られる。
【0030】
チケット情報管理部16は、開催するイベントのチケットの販売情報を管理する。実施形態ではイベント会場の座席ごとの販売状況、即ち販売中、販売済み、キャンセル済み、リセール中などの区分がわかるようにテーブルにまとめて管理する。これにより売れ残っている座席を抽出して一覧表示したり、販売済みの座席とその売り出し価格から売り上げ実績を集計して表示したりするなどの運営上の管理を行うことができる。さらに主催者ごとにイベント単位にチケットの販売実績を集計して提供するようにしてもよい。こうした情報は主催者端末20からの要求に対応して提供するようにしてもよく、また例えば主催者用のマイページを作成し、主催者用マイページの表示情報として提供してもよい。
【0031】
チケット処理部17はユーザ端末30又は主催者端末20からの要求に基づきチケットの発行処理、キャンセル処理、入場受付処理、又はイベント中止処理を行う。
チケット発行処理では、ユーザ端末30からチケット購入申し込みの際、送信されるパスワードと、返金用仮想通貨ウォレットIDがチケット情報と関連付けられて登録情報として登録されると、この登録情報に基づき、チケット処理部17はチケットに印刷する識別コードを生成して出力する。
【0032】
実施形態では識別コードは、QRコードであり、またチケットに印刷する識別コードは入場用QRコードとキャンセル用QRコードの2種類である。入場用QRコードはチケット購入申し込みを行ったユーザのパスワードと返金用仮想通貨ウォレットIDに関連付けられたチケットコードを含む。またキャンセル用QRコードはこのチケットコードに加えてキャンセル処理を行うためのWebサイトの接続先情報を含む。
識別コードに含まれる情報は、チケットコードに限らず、チケット固有で、チケットを購入したユーザの登録情報に関連付けられた情報であればよい。また識別コードはQRコードのような2次元バーコードに限らず、情報量が少なければ1次元バーコードでもよく、また文字認識ができる読取装置と組み合わせれば文字や数字でもよい。
【0033】
入場受付処理では、ユーザがイベント会場の入り口でチケットを提示すると、後述するようにチケットに印刷された入場用の識別コードが読み取られ、ユーザが入力するパスワードとともに主催者端末20から送信されてくるので、チケット処理部17は、入場用の識別コードに含まれるチケットコードに基づき、登録情報管理部15が管理する登録情報を参照して、このチケットコードに関連付けられて登録されているパスワードと、主催者端末20から送信されたパスワードとを照合し、照合したパスワードが一致すると、イベント会場にいるユーザはチケットを購入したユーザであるとの認証を行い、入場可の情報を主催者端末20に送信する。照合したパスワードが一致しない場合は入場不可またはパスワードの再入力を求める情報を主催者端末20に送信する。
【0034】
キャンセル処理では、チケットを購入したものの都合によりキャンセルを希望するユーザが、ユーザ端末30によりチケットに印刷されたキャンセル用の識別コードを読み取り、読み取られた識別コードの情報とユーザが入力したパスワードがユーザ端末30から送信されてくるので、チケット処理部17は、キャンセル用の識別コードに含まれるチケットコードに基づき登録情報管理部15が管理する登録情報を参照して、このチケットコードに関連付けられて登録されているパスワードと、ユーザ端末30から送信されたパスワードとを照合し、照合したパスワードが一致すると、登録情報に登録されたそのユーザの返金用仮想通貨ウォレットIDに、チケットの購入金額から手数料などを差し引いた払戻額に相当する仮想通貨を送信する。
【0035】
仮想通貨にはいろいろな種類があるが、一般にはその価値の変動が大きい。そこでチケット処理部17は、価値の変動が大きい仮想通貨の場合はチケットのキャンセルが発生した時点でのその仮想通貨の価値に基づき払戻額に相当する仮想通貨の額を算出する。
チケットを購入したユーザのユーザ端末30が、必ずしも識別コードを読み取るための読取部、即ちカメラ機能を備えたものとは限らない。
【0036】
ユーザ端末30に読取部が備わっていない場合、チケットを購入したユーザがキャンセルをするのに、キャンセル用の識別コードが印刷されたチケットの半券をチケット管理サーバ10の管理者またはオペレータに送付してもよい。この場合はオペレータによってキャンセル用の識別コードが読取部18から読み取られるので、チケット処理部17は、読み取られた識別コードの情報に基づき、登録情報に登録されたそのユーザの返金用仮想通貨ウォレットIDを抽出し、払戻額に相当する仮想通貨を送信する。
【0037】
チケット処理部17は、上記いずれのキャンセル処理の場合も仮想通貨を送信すると、キャンセルされたチケットを無効化し、このチケットに対応するイベント会場の座席を新たなチケットとして販売するリセールリストに登録する。リセールリストはキャンセルや転売が発覚して無効化されたチケットをリセール(再販売)するために一覧表にまとめたリストである。リセールリストはチケット処理部17が独立して作成・管理してもよいし、当該チケットを無効化してリセールすることがわかるようにチケット情報管理部16に情報を引き渡し、チケット情報管理部16が管理するテーブルでまとめて管理するようにしてもよい。
リセールリストに登録されたチケットは、チケットを販売する予約サイトなどの空席情報に反映され、新たな購入希望者がいればその希望者に販売される。
【0038】
イベント中止処理は、主催者側の都合でイベントの開催が中止になる場合の処理であり、チケット購入者全員に購入金額相当の払い戻しが必要となる。イベント中止に伴い、チケット処理部17は、主催者端末20からイベント中止通知に続いてチケットを購入したユーザ全員に払い戻すための必要額に相当する仮想通貨を受信する。チケット処理部17は、登録情報に基づきチケットを購入したユーザのそれぞれの返金用仮想通貨ウォレットIDに、順次チケット購入金額相当の仮想通貨を送信する。
【0039】
またチケット処理部17は、オークションサイトなどでチケットの転売が行われていることが発覚した場合、主催者端末20からの要求またはチケット管理サーバ10のオペレータの入力に基づき、転売されているチケットの無効化を行う。チケットの無効化は、登録情報でこのチケットのチケットコードに関連付けられたパスワードや返金用仮想通貨ウォレットIDを消去するようにしてもよいし、登録情報の中でこのチケットが無効化されたことを判別できるフラグを設定してもよい。
キャンセル処理の時と同様、チケット処理部17は、無効化されたチケットに対応するイベント会場の座席を、新たなチケットとして販売するリセールリストに登録する。
【0040】
入出力部12は、ネットワーク50を通じて主催者端末20やユーザ端末30とのデータ入出力を行う。チケット管理サーバ10に文字入力を行うキーボードなども入出力部12に含む。
記憶部13は登録情報やチケットの販売情報などの各種管理データの他、チケット管理サーバ10を制御する制御プログラムなどを保存する。ハードディスクなどの記憶媒体により具現化され、記憶する情報が多い場合は外付けのメモリ装置として構成してもよい。
【0041】
表示部14は、チケットの処理内容や管理情報を表示するもので、液晶表示装置などで具現化される。
読取部18は、チケットの半券が郵送されてきた場合に、チケット半券に印刷されたキャンセル用の識別コードを読み取るもので、識別コードが1次元バーコードやQRコードのような2次元バーコードの場合は、バーコードリーダで具現化される。識別コードが文字や数字の場合はカメラで具現化される。
【0042】
主催者端末20は、イベント会場における入場受付、当日売りのチケット販売、イベントが中止になった時のチケットの払い戻しのための仮想通貨のウォレット管理などを行う。主催者端末20は、イベントの規模が小さい場合は1つでもよいが、図1に示すように入場受付、当日チケット販売、ウォレット管理をそれぞれ独立して行う複数の構成でもよい。
いずれの構成の場合でも主催者端末20は、入出力部22、記憶部23、表示部24、及びこれらの構成要素を制御する制御部21を含む。また主催者端末20が複数ある場合でも、少なくとも入場受付を行う主催者端末20は、チケットに印刷された識別コードを読み取る読取部25とユーザがパスワードを入力するための入力部26とを備える。
【0043】
入出力部22は、ネットワーク50を介してチケット管理サーバ10とデータの送受信を行う通信手段と、データやプログラムなどを入力するためのキーボードなどの文字入力手段などを含む。
記憶部23は、主催者端末20が取り扱うデータや主催者端末20自信を制御する制御プログラムなどを保存する。
表示部24は主催者端末20が取り扱うデータや制御プログラムなどを表示する。
【0044】
主催者端末20は、ノート型のパーソナルコンピュータやタブレット端末などで具現化される。またタブレット端末などタッチパネル式の液晶表示パネルを備えた機器では、表示部が文字入力手段を兼ね備える形態となるが、このように具現化する機器の構成により、主催者端末20の各構成要素は適宜組み合わせたり分割したりして構成してもよい。
【0045】
読取部25は、イベント会場の受付にてユーザが提示するチケットに印刷された入場用識別コードを読み取るためのものである。識別コードが1次元バーコードやQRコードのような2次元バーコードの場合、読取部25はバーコードリーダで具現化される。また識別コードが文字や記号などの場合は画像を取得するカメラで具現化される。
入力部26は、イベント会場の受付にてユーザの認証のために使用されるパスワードの入力に使用される。実施形態ではパスワードは4桁の暗証番号であり、テンキーが配列された入力端末で具現できる。
読取部25及び入力部26は、主催者端末20に内蔵される構成としてもよいが、入場受付の作業効率から主催者端末20に外付けで接続される構成とするのが好ましい。
【0046】
ユーザ端末30は、チケットの購入申し込みやキャンセルの際に、必要なデータの入力や入力したデータをチケット管理サーバ10に送信するのに使用される。
このためユーザ端末30は、入出力部32、記憶部33、表示部34、及び読取部35及びこれらの構成要素を制御する制御部31を含む。
【0047】
入出力部32は、チケット購入の際に登録するパスワードや返金用仮想通貨ウォレットIDなどを入力するキーボードなどの文字入力手段と、入力されたデータをチケット管理サーバ10に送信する通信手段とを含む。
記憶部33は、入力されたデータや自身を制御するプログラムなどを保存する。
表示部34は、チケット購入のための申し込み画面やキャンセルのためのパスワード入力画面など必要な手続きに関する情報や入力データなどの表示を行う。
【0048】
読取部35は、チケットキャンセルの際、チケットの半券に印刷されたキャンセル用識別コードの読み取りを行う。
ユーザ端末30は、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォンなどで具現化され、読取部35はこれらの機器に内蔵されるカメラにて具現化される。
尚、チケットのキャンセル方法として、上記のようにチケットの半券を切り離して郵送する方法もあるため、ユーザ端末30は、必ずしも読取部35を備えていなくてもよい。
【0049】
ネットワーク50はインターネットなどの広域のネットワークであり、ネットワーク50を介して仮想通貨が送受信されるため暗号処理などセキュリティの確立したネットワークである。
【0050】
次に図2〜4を用いて実施形態によるチケット処理方法について説明する。
図2は本発明の実施形態によるチケットの印刷例を示す図である。
図2を参照すると、チケット200は、切り取り線によって分けられる入場用半券210と、キャンセル用半券220とを含む。
【0051】
入場用半券210には、購入金額表示欄230にチケット200の購入金額が印刷され、その下に入場用の識別コードとして入場用QRコード250が印刷されている。また実施形態により返金用仮想通貨ウォレットIDの名義人名を印刷する場合は名義人名欄270に印刷を行う。入場用QRコード250はチケットコードを基にチケット管理サーバ10で生成されたものである。
【0052】
キャンセル用半券220には、チケット200をキャンセルする場合の払い戻し金額に相当する金額を表示する返却金額表示欄240が設けられる。価値が変動しない仮想通貨の場合は払い戻し金額に対応する仮想通貨の額を印刷する。一方価値が変動する仮想通貨の場合は、キャンセルするタイミングによって払い戻される仮想通貨の額が変わってくるため、円などの実際の通貨で払い戻し金額を印刷するようにしてもよい。
返却金額表示欄240の下にはキャンセル用の識別コードとしてキャンセル用QRコード260が印刷される。実施形態により返金用仮想通貨ウォレットIDの名義人名を印刷する場合は名義人名欄280に印刷を行う。キャンセル用QRコード260はチケットコードとキャンセルを行う際のWebサイトの接続先情報を基にチケット管理サーバ10で生成されたものである。
【0053】
図3は本発明の実施形態による入場受付処理を説明するための図である。
図3を参照すると、イベント会場の入場受付にて、ユーザによりチケット200が提示されると、主催者端末20のオペレータにより読取器25を使用してチケット200に印刷された入場用QRコード250が読み取られる。読み取られた入場用QRコード250の情報は主催者端末20に保存されるとともに主催者端末20の表示部24にはユーザのパスワード入力を促す情報が表示される。
ユーザが入力部26にパスワードを入力すると、主催者端末20は入場用QRコード250の情報と入力されたパスワードとをネットワーク50で接続される遠隔のチケット管理サーバ10に送信する。
【0054】
チケット管理サーバ10は、入場用QRコード250の情報に含まれるチケットコードに基づき、登録情報を参照し、登録情報の中にあるチケットコードに対応付けられたユーザのパスワードと、主催者端末20から送信されたパスワードとを照合し、両者が一致すると主催者端末20に入場可の情報を送信する。また照合するパスワードが一致しない場合は主催者端末20に入場不可の情報を送信する。パスワードの入力ミスなども考慮して所定回数の再入力を認める場合は、入場不可の情報の代わりにパスワードの再入力を求める情報を送信してもよい。
このように、入場受付時に受付で行う処理は、入場用QRコード250の読み取りと4桁のパスワードの入力のみであるので、処理にかかる時間は短時間であり、ユーザを待たすこと無く効率的に入場受付を行うことができる。
【0055】
本発明のチケット管理システム1は、ネットワーク50を使用し、チケット管理サーバ10の照合結果に基づきユーザの入場可否が判断されることが前提であるが、チケット自体は電子チケットのような電子データではなく、紙に印刷されたものであるので、イベント開催時に最悪通信障害などが発生した場合でも、受付でキャンセル用半券220を切り離して回収することにより、どのチケットで入場が行われたかを後から確認できるため、これにより入場を許可することにより大きな混乱なく入場受付を代用することもできる。
【0056】
図4は本発明の実施形態によるチケットのキャンセル処理を説明するための図である。図4(a)はユーザ端末30が識別コードを読み取る読取部35を備える場合のキャンセル処理方法を示し、図4(b)はユーザ端末30が読取部35を備えない場合のキャンセル処理方法を示す。
【0057】
図4(a)を参照すると、チケット200のキャンセルを希望するユーザは、ユーザ端末30によりチケット200のキャンセル用半券220に印刷されたキャンセル用QRコード260を読み取る。キャンセル用QRコード260にはチケットコードの他、キャンセル処理を行うためのWebサイトの接続先情報を含むため、キャンセル用QRコード260を読み取ることにより、チケットコードがチケット管理サーバ10に送信される一方、ユーザ端末30にはキャンセル処理を行うためのWebサイトの情報が送信されて表示される。このWebサイトの情報にはユーザのパスワードを入力する欄が表示され、ユーザによりパスワードが入力されると入力されたパスワードもチケット管理サーバ10に送信される。
【0058】
チケット管理サーバ10は、受信したチケットコードに基づき登録情報を参照し、送信されたパスワードが登録情報に登録されたパスワードと一致するかどうかを照合する。照合するパスワードが一致すると、チケットコード及びパスワードと関連付けられて登録されている返金用仮想通貨ウォレットIDが抽出され、キャンセル用半券220に印刷された払戻金額に相当する額の仮想通貨が返金用仮想通貨ウォレットIDに送付される。
【0059】
一方、図4(b)を参照すると、チケット200のキャンセルを希望するユーザは、キャンセル用半券220を切り離してチケット管理サーバ10の管理者またはオペレータに送付する。この時キャンセル用半券220を入れる返信用封筒400は、市販の一般的な封筒でもよいが、チケット200の発行に伴い、予めチケットコードやユーザの返金用仮想通貨ウォレットIDの名義人名などが印刷されて作成された専用の返信用封筒としてもよい。こうすることにより、キャンセル用半券220の郵送が、チケット200を購入したユーザの手によるものであることの確認手段の一つとなり得る。さらにはキャンセル用半券220を送付する際、ユーザ本人の認証のため、ユーザがチケット購入時に登録したパスワードをキャンセル用半券220に書き込んでから送付するようにしてもよい。
【0060】
郵送されたキャンセル用半券220に印刷されたキャンセル用QRコード260が、読取部18により読み取られる。チケット管理サーバ10は読み取られたキャンセル用QRコード260に含まれるチケットコードを取り出し、このチケットコードに基づき登録情報を参照してこのチケットコードに関連付けられた返金用仮想通貨ウォレットIDを抽出する。
【0061】
キャンセル用半券220にパスワードを記載する場合は、キャンセル用半券220の画像を撮影してその画像から文字認識するか、チケット管理サーバ10のオペレータによる入力によりパスワードもチケット管理サーバ10に入力し、読み取られたチケットコードと合わせて登録情報と照合し、返金用仮想通貨ウォレットIDを抽出する前にキャンセルを希望するユーザの認証をするようにしてもよい。
キャンセル用半券220に印刷された払戻金額に相当する額の仮想通貨が返金用仮想通貨ウォレットIDに送付される。
【0062】
このようにチケット200のキャンセルは、キャンセル用半券220を使用して簡単な処理で行うことができ、しかもキャンセルに伴う払戻金は、予めユーザが登録した返金用仮想通貨ウォレットIDにしか送られないため受取も確実に行うことができ、ユーザにとって非常に利便性が高い方法となっている。また主催者側にしてもキャンセルの際の払い戻し手続きが自動で行われ、同時にキャンセルされたチケット200の座席はリセールに回されるので負担が少なく、利便性の良いチケット管理方法となっている。
【0063】
次に本発明の実施形態によるチケットの主な処理方法を、図5〜8のフローチャートを用いて説明する。
図5は、本発明の実施形態によるチケットの発行方法を説明するためのフローチャートである。
図5を参照すると、チケット200を購入しようとするユーザはチケットを販売するWebサイトにアクセスし、ユーザ端末30はチケット申し込み画面を表示する(段階S510)。
【0064】
チケット購入に際し、チケット管理サーバ10への登録に必要な情報は、ユーザを認証するためのパスワードと、チケット200のキャンセルまたはイベントの中止に伴う払戻金を受け取るための返金用仮想通貨ウォレットIDのみであるので、ユーザ端末30はユーザにより入力されたパスワードと返金用仮想通貨ウォレットIDを、チケット管理サーバ10に送信して登録を行う(段階S520)。
実施形態では更にチケット200に印刷するユーザの返金用仮想通貨ウォレットIDの名義人名を登録してもよい。この場合段階S520にてユーザの返金用仮想通貨ウォレットIDの名義人名も併せて送信しチケット管理サーバ10に登録する。
【0065】
チケット管理サーバ10は、ユーザ端末30から受信したパスワードと返金用仮想通貨ウォレットIDを、販売するチケット200に対応するイベント会場の座席の番号及びチケットコードと関連付けして登録情報として管理し、保存する(段階S530)。チケットコードはチケット200をユニークに管理するためのコードでありチケット毎に異なるものである。チケットコードは、予めイベント会場の座席に対応してまとめて生成しておいてもよいし、ユーザ毎の登録情報を登録する段階で個別に生成してもよい。実施形態では8〜16桁の数字またはアルファベットを組み合わせた文字列である。
【0066】
チケット管理サーバ10は、段階S540にてチケット200に印刷するための識別コードを生成する。実施形態では識別コードは2次元バーコードの1つであるQRコードである。発行するチケット200には入場用半券210とキャンセル用半券220があり、それぞれ入場用QRコード250、キャンセル用QRコード260が印刷される。そのためチケット管理サーバ10はこれら2種類のQRコードを生成する。入場用QRコード250とキャンセル用QRコード260は同一のものでもよいが、実施形態では入場用QRコード250はチケットコードのみを含み、キャンセル用QRコード260はチケットコードと、キャンセル処理を行うためのWebサイトの接続先情報を含む。
【0067】
段階S550にてチケット管理サーバ10は、生成した識別コードをチケット印刷用データとして出力する。登録情報にユーザの返金用仮想通貨ウォレットIDの名義人名を含み、返金用仮想通貨ウォレットIDの名義人名もチケットに印刷する場合は、チケット印刷用データに返金用仮想通貨ウォレットIDの名義人名も含める。チケット200を印刷する印刷装置がチケット管理サーバ10に接続される場合は、デザインを始めチケット200に印刷するすべての情報を含んだデータを生成しチケット印刷用データとして出力するようにしてもよい。
【0068】
チケット印刷を外部委託するなどで別の装置で行う場合は、段階S550にて出力したチケット印刷用データを送ってチケット200を印刷しユーザに引き渡す(段階S560)。
チケット200のキャンセル処理で専用の返信用封筒400を使用する場合は、専用の返信用封筒400に印刷するデータも併せて生成し、段階S550にてチケット印刷用データとともに出力するようにしてもよい。返信用封筒400は印刷後チケット200とセットでユーザに提供される。
【0069】
図6は、本発明の実施形態によるチケットによる入場受付方法を説明するためのフローチャートである。
図6を参照すると、イベント会場の入場受付にてユーザがチケット200を提示すると、読取部25により入場用QRコード250の読み取りを行う(段階S610)。読み取られた入場用QRコード250の情報は主催者端末20からチケット管理サーバ10に送信される。
【0070】
次いで段階S620にてユーザが入力部26にパスワードの入力を行う。入力されたパスワードも主催者端末20からチケット管理サーバ10に送信される。図6では入場用QRコード250の情報とパスワードが個別にチケット管理サーバ10に送信されるように示すが、チケット管理サーバ10でまとめてから段階S620で一緒に送信するようにしてもよい。
【0071】
チケット管理サーバ10は段階S630で、受信した入場用QRコード250の情報から取り出したチケットコードに基づき登録情報を参照し、当該チケットコードに関連付けられて登録されているパスワードと、主催者端末20から受信したパスワードとが一致するかどうかを判断する。
パスワードが一致した場合は、入場受付にチケット200を提示したユーザが、チケット200を購入したユーザであるとの認証が取れたと判断して、チケット管理サーバ10は入場可の情報を主催者端末20に送信する(段階S640)。一方パスワードが一致しない場合は入場不可の情報を主催者端末20に送信して、次のチケットの受付を待つ。パスワードの再入力を認める場合は再入力を求める情報を主催者端末20に送信して、パスワードの再入力が送られてくるのを待機するようにしてもよい。
【0072】
図7は、本発明の実施形態によるチケットのキャンセル方法を説明するためのフローチャートであり、ユーザ端末30に読取部35が備わっている場合のキャンセル方法を示す。
図7を参照すると、チケット200のキャンセルを希望するユーザは段階S710で、ユーザ端末30によりチケット200のキャンセル用半券220に印刷されたキャンセル用QRコード260を読み取る。読み取られたキャンセル用QRコード260の情報はユーザ端末30からチケット管理サーバ10に送信される。
【0073】
チケット管理サーバ10は、受信したキャンセル用QRコード260の情報に含まれるWebサイトの接続先情報に基づき、キャンセル処理を行うためのWebサイトの情報をユーザ端末30に送信して表示させる(段階S720)。Webサイトの情報にはユーザがパスワードを入力するための入力欄が表示されるので、ユーザはチケット購入時に登録したパスワードを入力して送信する(段階S730)。
【0074】
チケット管理サーバ10は段階S710で受信したキャンセル用QRコード260の情報に含まれるチケットコードに基づき登録情報を参照してこのチケットコードに関連付けられて登録されているパスワードと段階S730で受信したパスワードが一致するかどうかを照合して判断する(段階S740)。
照合した2つのパスワードが一致すれば、パスワードを送信したユーザは当該チケットを購入したユーザであることが認証でき、チケット管理サーバ10は、続けてチケットコードに関連付けられて登録されているこのユーザの返金用仮想通貨ウォレットIDを抽出し、キャンセル用半券220に印刷された払戻金額に相当する額の仮想通貨を返金用仮想通貨ウォレットIDに送付する(段階S750)。
【0075】
仮想通貨の送信が完了すると、チケット管理サーバ10は、段階S760にてキャンセル処理したチケット200の無効化を行う。チケット200の無効化に伴い、このチケット200に関する登録情報を削除してもよいし、このチケット200に関する登録情報に、この登録情報の使用を禁止する無効のフラグを追加して保存してもよい。またチケット200の無効化に伴い、チケット情報管理部16が管理する、チケット200の販売情報に来歴がわかるように、このチケット200が無効化された情報を追記して管理するようにしてもよい。
【0076】
キャンセルされたチケット200に対応したイベント会場の座席は、直ちにリセールに掛けられるため、チケット管理サーバ10は、この座席に対応した新たなチケットをリセールリストに登録する(段階S770)。この時新たなチケットに対しては、キャンセルされたチケットのチケットコードとは異なる新たなチケットコードを生成して、明確に区別するようにする。
【0077】
図8は、本発明の実施形態によるイベントの中止処理方法を説明するためのフローチャートである。
図8を参照すると、イベントを中止せざるを得なくなった場合、イベントの主催者は主催者端末20からイベント中止の通知をチケット管理サーバ10に送信し、イベント中止処理を要求する(段階S810)。
【0078】
主催者側の都合によりイベントが中止になる場合、通常イベントのチケットを購入したユーザに対してチケットの払い戻し処理が行われる。本発明の実施形態によるチケット管理方法では払い戻し処理は仮想通貨で行うため、段階S820にて主催者端末20から、すべての払い戻しに必要な額に相当する仮想通貨をチケット管理サーバ10に送信する。
チケット管理サーバ10はチケット情報管理部16が管理するチケットの販売情報により、最終的に販売されたチケットの情報が保存されているので、イベント中止の通知を受信した段階で、チケット管理サーバ10が、販売されたチケットの販売総額を算出し、別途入力されたイベント中止の通知を受信した時点での仮想通貨の価値に基づきチケットの販売総額に相当する仮想通貨の相当額を算出し、主催者端末20に請求するようにしてもよい。
【0079】
段階S830にてチケット管理サーバ10は、チケット毎にチケットの購入金額に相当する仮想通貨を算出する。
次いでチケット管理サーバ10は、登録情報を参照してユーザ毎に登録情報に登録された返金用仮想通貨ウォレットIDに、段階S830で算出した仮想通貨を送信する。
【0080】
イベント中止に伴うチケットの払い戻し処理はイベントが大規模であるほど払い戻し処理にかかる時間と工数は大きくなり、主催者にとって大きな負担となる。しかし本発明の実施形態によるチケット管理方法では登録情報に登録された情報に基づき機械的に払い戻し処理が行われるため、主催者にはほとんど負担がかからず、又人為的なミスも介在しにくいので確実に払い戻し処理が行われる。また払い戻しを受けるユーザも、払い戻しを受けるために主催者の事務所を訪れることもなく、また特別な追加の手続を行うことなく払い戻しが行われるため、ユーザにとっても負担の無いチケット管理方法となっている。
【0081】
図7、8を用いて説明したようにチケットをキャンセルする場合も、イベント中止による払い戻しの場合も、ユーザがチケット購入の際に登録した返金用仮想通貨ウォレットIDにのみ送金が行われるため、このチケットが転売に掛けられていたとしても、第3者はチケットのキャンセルや払い戻しができないため、このチケットを入手しようとする意欲をそがれる。このように本発明によるチケット管理方法によれば、正規にチケットを購入するユーザにとっては容易にキャンセルができ、使い勝手の良いチケット管理方法である一方、第3者にとってはリスクがあるためチケットの転売が困難なチケット管理方法を提供することができる。
【0082】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0083】
1 チケット管理システム
10 チケット管理サーバ
11、21、31 制御部
12、22、32 入出力部
13、23、33 記憶部
14、24、34 表示部
15 登録情報管理部
16 チケット情報管理部
17 チケット処理部
18、25、35 読取部
20 主催者端末
26 入力部
30 ユーザ端末
50 ネットワーク
200 チケット
210 入場用半券
220 キャンセル用半券
230 購入金額表示欄
240 返却金額表示欄
250 入場用QRコード
260 キャンセル用QRコード
270、280 名義人名欄
400 返信用封筒
【要約】
【課題】簡便な管理で購入者を容易に認証でき、又キャンセルとリセールも簡単な手続きで行うことができ、不当な転売を防止するチケット管理システム及びその運用方法を提供する。
【解決手段】本発明によるチケット管理システムは、ネットワークを介して接続されるチケット管理サーバと、イベントの主催者端末と、ユーザ端末とを含み、チケット管理サーバは、チケット購入申し込み時にユーザ端末から送信されるパスワードとチケットキャンセルの場合のユーザの返金用仮想通貨ウォレットIDとをチケット情報と関連付けて登録情報として管理する登録情報管理部と、ユーザ端末又は主催者端末からの要求に基づきチケットの発行処理、キャンセル処理、入場受付処理、又はイベント中止処理を行うチケット処理部と、を含み、入場受付処理はチケットに印刷された入場用の識別コードの情報に基づきパスワードと登録情報とを照合することによりなされることを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8