(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
保守実施時期に達していない保守対象部品について、当該保守対象部品の現実の経過時間と当該保守対象部品の処理装置の処理状況情報と前記算出式とによって得られる、当該保守対象部品の指標の今後の推移予測から、保守実施時期に達していない保守対象部品の指標が予め定められた値を超える時期を推定する請求項1〜請求項3の何れか1項記載の保守管理制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(システム構成)
図1には、本実施の形態に係る保守管理制御装置100を含む通信回線網20が示されている。
【0025】
図1に示される如く、通信回線網20には、本実施の形態に係る複数台の画像処理装置10A、10B、10C、10D、10E、10F(以下、総称する場合、「画像処理装置10」、又は「画像処理装置10A〜10F」等という)がそれぞれ接続されている。
【0026】
図1では、画像処理装置10として、6台の画像処理装置10A〜10Fが接続されているが、この数は限定されるものではない。
【0027】
例えば、前記通信回線網20がLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)であり、複数のLAN(通信回線網20)が、WAN(ワールド・エリア・ネットワーク)によって相互に接続されていてもよい。また、通信回線網20がインターネットであり、例えば、全国に分散されている数万台以上の画像処理装置10を対象としてもよい。
【0028】
すなわち、本実施の形態の保守管理制御装置100は、画像処理装置10における、所謂「ビッグデータ」を一括管理することが可能である。従って、本実施の形態において、通信回線網20は、管理制御対象となる画像処理装置10と接続された全ての通信回線網を含むものとする。
【0029】
なお、以下では、予め定められた領域(例えば、1企業のビル内)に設定された画像処理装置10を一括管理制御する状況を想定して説明するが、当該状況に基づく説明は、広範囲(例えば、特定地域)に展開しているコンビニエンスストア等に設置されている画像処理装置群を対象とする管理を否定するものではない。
【0030】
図1に示される如く、通信回線網20の枝線20Aには、複数台のPC(パーソナルコンピュータ)21が接続されている。
図1では、3台のPC21が接続されているが、この数は限定されるものではなく、通信回線網20の規模(PC21を操作するユーザー数を含む)に応じて増減する。なお、以下において、単に、通信回線網20と記した場合は、枝線20Aを含むものとする。
【0031】
さらに、通信回線網20を含む全ての通信回線網は、有線接続である必要はない。すなわち、無線によって情報を送受信する無線通信回線網であってもよい。
【0032】
画像処理装置10は、PC21から当該画像処理装置10に対して遠隔で、例えばデータを転送して画像形成(プリント)指示操作を受ける場合、或いは、ユーザーが画像処理装置10の前に立って各種操作によって、例えば、複写(コピー)、スキャン(画像読取)、ファクシミリ送受信等の処理の指示を受ける場合がある。
【0033】
保守管理制御装置100(以下、「管理サーバー100」という場合がある。)は、主として、通信回線網20に接続されている画像処理装置10から画像処理に関する情報(処理状況情報)を集約して、ユーザーが画像処理装置10を利用するにあたり、必要かつ有用な情報を提供する役目を有している。
【0034】
図2に示される如く、管理サーバー100は、CPU100A、RAM100B、ROM100C、I/O100D及びこれらを相互に接続するデータバスやコントロールバス等のバス100Eを備えている。
【0035】
I/O100Dには、キーボードやマウス等の入力装置100Fと、モニタ100Gが接続されている。また、I/O100Dには、I/F100Hを介して前記通信回線網20に接続されている。さらに、I/O100Dには、大規模記録媒体として、ハードディスク(HDD)100Iが接続されている。
【0036】
なお、管理サーバー100は、基本的には、データの送受信が行われればよく、入力装置100Fやモニタ100Gは必須ではない。例えば、手動による情報入力や情報表示が必要な場合は、専用又は汎用のI/FにPC等を接続して、入力装置100Fやモニタ100Gを代行するようにすればよい。この管理サーバー100の詳細な機能については省略する。
【0037】
(画像処理装置の概略構成)
図3(A)には、本実施の形態に係る画像処理装置10が示されている。なお、画像処理装置10A〜10Fは、型式、機種、グレードを含む製造情報によって、外観や一部機能が異なる場合があるが、以下では、画像処理装置10の一般的な構造及び機能を説明する。
【0038】
従って、それぞれの画像処理装置10A〜10Fは、図示した構造に限定されず、新機種に交換されている場合を含む。また、画像処理装置10A〜10Fは、個々に、オプション機能や新機能が装備されたり、新型部品に交換されている場合を含む。さらに、画像処理装置10A〜10Fは、後述する一般的な構造の一部の機能(画像形成機能、画像読取機能、ファクシミリ通信機能)を搭載している場合も含む。
【0039】
画像処理装置10は、一般的な構造として、記録用紙Pに画像を形成する画像形成部24と、原稿画像を読み取る画像読取部26と、ファクシミリ通信制御回路28を備えている。また、画像処理装置10は、当該装置全体を総括して制御する主制御部30(以下、「メインコントローラ30」という場合がある。)を備えており、画像形成部24、画像読取部26、ファクシミリ通信制御回路28を制御して、画像読取部26で読み取った原稿画像の画像データを一次的に記憶したり、読み取った画像データを画像形成部24又はファクシミリ通信制御回路28へ送出したりする。
【0040】
メインコントローラ30にはインターネット等の通信回線網20が接続され、ファクシミリ通信制御回路28には電話回線網32が接続されている。メインコントローラ30は、例えば、通信回線網20を介してPC21(
図1参照)と接続され、画像データを受信したり、ファクシミリ通信制御回路28を介して電話回線網32を用いてファクシミリ受信及びファクシミリ送信を実行する役目を有している。
【0041】
画像読取部26には、原稿を位置決めする原稿台と、原稿台に置かれた原稿の画像を走査して光を照射する走査駆動系と、走査駆動系の走査により反射又は透過する光を受光して電気信号に変換するCCD等の光電変換素子と、が設けられている。なお、原稿台の開閉蓋には、原稿を自動で原稿台の画像読取位置へ送り込む自動原稿送り装置(DADF)が設けられる場合がある。
【0042】
画像形成部24は、感光体を備え、感光体の周囲には、感光体を一様に帯電する帯電装置と、画像データに基づいて光ビームを走査する走査露光部と、前記走査露光部によって走査露光されることで形成された静電潜像を現像する画像現像部と、現像化された感光体上の画像を記録用紙Pへ転写する転写部と、転写後の感光体の表面をクリーニングするクリーニング部と、が設けられている。記録用紙Pは画像処理装置10のトレイ10Tに収容されており、当該トレイ10Tから取り出され、画像形成部24の各部へ順次搬送されるようになっている。
【0043】
画像現像部では、現像剤であるトナーが補給され、廃棄材料となる余剰分(廃トナー)は、例えば、仕切り壁を乗り越えて、トナー回収容器24A(
図3(B)参照)へ案内されるようになっている。
【0044】
トナー回収容器24Aは、箱形で予め定められた一定の容積の空間が形成され、案内されてきたトナーが蓄積されるようになっている。
【0045】
また、記録用紙Pの搬送経路上には、転写後の記録用紙P上の画像を定着する定着部24T(
図3(B)参照)が備えられている。
【0046】
画像処理装置10では、画像読取部26、画像形成部24、ファクシミリ通信制御回路28を単独で、或いは組み合わせて動作させることにより、コピー、プリント、スキャン、FAX送受信を含む複数のジョブを実行することが可能となる。
【0047】
図3(B)に示される如く、記録用紙Pの搬送経路には、供給部である上記トレイ10Tから画像形成部24を経て、最下流部である定着部24Tを通過して、排出部10Hに排出されるまで、複数の搬送ローラ10Rが配置されている。
【0048】
定着部24Tには、加圧ローラ25Aと加熱ローラ25Bとが設けられ、搬送ローラ10Rによって搬送される記録用紙Pを加圧ローラ25Aと加熱ローラ25Bとで挟み込み、加圧及び加熱により、記録用紙Pに転写されたトナーを定着させる。
【0049】
ここで、搬送ローラ10Rは、記録用紙Pの搬送(すなわち、画像処理)に応じて、摩耗し得る。このため、搬送ローラ10Rは消耗部品(保守対象部品)の1つとして、前記管理サーバー100での管理対象となっている。なお、定着部24Tの加圧ローラ25A及び加熱ローラ25Bも管理対象になり得る。
【0050】
以下、管理サーバー100における保守対象部品の管理制御の詳細について説明するが、このとき、保守対象部品として、前記トナー回収容器24Aを例にとり説明する。なお、保守対象部品は、トナー回収容器24Aに限定されるものではなく、定着部24Tの加圧ローラ25A及び加熱ローラ25B、画像読取部26で原稿を搬送する搬送ローラ10R、記録用紙Pを搬送ローラ10Rといった経時的に消耗、使用不能となるその他の交換部品であってもよい。なお、交換部品は、再使用、再利用(材料の一部を含む)される場合がある。
【0051】
(管理サーバー100の機能)
「基本設定」
ここで、本実施の形態では、基本設定として、管理サーバー100では、通信回線網20に接続された画像処理装置10のそれぞれの仕様に関する情報(以下、「仕様情報」という場合がある。)が登録されている。また、管理サーバー100では、新規登録、寿命等による交換時には、画像処理装置10の仕様情報が、新規登録又は更新されるようになっている。
【0052】
各画像処理装置10における仕様情報の登録手順としては、例えば、画像処理装置10を通信回線網20に接続した際に、管理サーバー100にアクセスして、管理サーバー100に対して、画像処理装置10を特定する識別情報(ID)を通知する。管理サーバー100には、予め画像処理装置10の仕様情報が、識別情報に関連付けられて記憶されており、通知を受けた識別情報に基づいて、画像処理装置10の仕様情報を検索し、当該画像処理装置10が、管理サーバー100の管理下に置かれたことを登録する。なお、検索の際、画像処理装置10のメーカーサイトへアクセスして仕様情報を取得してもよい。また、前記仕様情報の登録の際、登録された画像処理装置10の設置場所に関する情報が、併せて登録されるようになっている。
【0053】
これにより、管理サーバー100では、通信回線網20に接続され、かつ登録された画像処理装置10(以下、「登録デバイス」という場合がある。)の個々の仕様に関する情報が認識可能となる。
【0054】
「標準日数算出式の最適化」
標準日数算出式を補正して、標準日数に基づく保守対象部品の保守実施時期(トナー回収容器24Aの交換時期)を精度良く予測する算出式を生成する手段を説明する。本実施例において、標準日数とは、保守対象部品の状態を表す指標の一例である。ここで、標準日数は、保守対象部品の保守実施時期と、その時点での画像処理装置の処理量とが対応づけられている。
【0055】
補正は、複数回繰り返される場合がある。このため、以下、本実施の形態において、標準日数算出式を補正する過程を、「標準日数算出式の最適化」という。
【0056】
トナー回収容器24Aの標準日数yaは、以下の(1)式のような算出式で求めることが可能である。
【0057】
ya=x1+x2+x3+x4+x5・・・(1)
ここで、x1は後述する群毎のトナー回収容器24Aの交換までの平均日数、x2はディスペンス時間YMC(イエロー、マゼンタ、シアンのトナーの供給モータの累積回転時間)、x3はセットアップ回数BW(白黒濃度パッチのセットアップ回数)、x4はセットアップ回数4C(カラー濃度パッチのセットアップ回数)、x5はライフカウント値K(黒のプリント枚数)である。なお、本実施の形態では、上記x1〜x5の変数(パラメータ)を適用したが、変数(パラメータ)は、上記に限定されるものではなく、
図12に示す変数(パラメータ)から適宜選択すればよい。
【0058】
また、yaは、後述する(2)式に示す補正係数a,b,c,dがそれぞれ「1」のときの標準日数yである。
【0059】
なお、上記(1)式は、重回帰分析(多変量解析)に基づく算出式であり、各項の単位に関係なく、適切な変数を複数選択することで、計算しやすく、誤差が少ない予測式である。
【0060】
各変数(x1、x2、x3、x4、x5)は、画像処理を継続していく上で、管理サーバー100のハードディスク(HDD)100Iに逐次記録されている情報(累積値及び平均値を含む変数の数値情報)である。
【0061】
具体的には、
図4に示される如く、ハードディスク100Iには、時間経過と共に、処理状況情報が逐次登録され、データベース化されている。データベースは、各項目(変数x1、x2、x3、x4、x5)毎に累積されるようになっている。
【0062】
図4は、群毎に処理状況情報が分類されている。群とは、各画像処理装置10における処理量に基づく分類である。
【0063】
すなわち、群の定義は、以下の表1に示されるように、予め定めた処理量の範囲での処理が実行された画像処理装置を括る集合体である。なお、表1は、
図4の下段に示す表と同一である。
【0064】
【表1】
すなわち、画像処理装置10は、常に特定の群に属しているのではなく、処理量が増加するにつれて、群No.が繰り上がる(群No.2→3→・・・16)ことになる。
【0065】
より具体的には、特定の画像処理装置10が、処理量として10000枚を超えると、まず、群No.2に属し、処理が進み15000枚を超えると群No.3に属し、さらに継続して処理が進み20000枚を超えると群No.4に属することになる。
【0066】
なお、群No.1は図示していないが、10000枚以下の処理量で、トナー回収容器24Aが満杯になる可能性が極めて低いため、表1の分類から除いた。また、群No.16よりも上は図示していないが、現状で想定し得るトナー回収容器24Aの容量から鑑みて、85000枚を上限とすれば足りるため、表1の分類から除いた。
【0067】
しかしながら、群No.1の処理量、並びに群No.16を超える処理量を排除するものではなく、トナー回収容器24Aの容量の変更によって、適宜表1に追加すればよい。
【0068】
ところで、前記(1)式に基づいて、搬送ローラ10Rの標準日数yaを求めると、
図5(B)に示される如く、各群No.で、トナー回収容易の交換までの平均日数に差が生じている。
【0069】
このようなばらつきがあったのでは、標準日数yaに基づくトナー回収容器24Aの交換時期の予測は、精度の高い予測ということができない。
【0070】
そこで、本実施の形態では、算出式に特定の補正係数を付加することで、トナー回収容器24Aの交換時期での標準日数(後述する「y」)が許容誤差の範囲内で一定となるようにした。
【0071】
(2)式は、補正係数によって、(1)式の最適化を図った後の、標準日数yの算出式である。
【0072】
y=x1+a×x2+b×x3+c×x4+d×x5・・・(2)
ここで、x1は後述する群毎のトナー回収容器24Aの交換までの平均日数、x2はディスペンス時間YMC、x3はセットアップ回数BW、x4はセットアップ回数4C、x5はライフカウント値Kである。なお、本実施の形態では、上記x1〜x5の変数(パラメータ)を適用したが、変数(パラメータ)は、上記に限定されるものではなく、
図12に示す変数(パラメータ)から適宜選択すればよい。
【0073】
なお、最適化していない前記(1)式は、(2)における補正係数a、b、c、dが、それぞれ基準値である「1」(a=1,b=1,c=1、d=1)と等価である。
【0074】
上記(2)式は、重回帰分析(多変量解析)に基づく算出式であり、各項の単位に関係なく、適切な変数を複数選択することで、計算しやすく、誤差が少ない予測式である。さらに、補正係数a、b、c、dによって、各項の最適化を図っている。
【0075】
最適化するための補正係数a、b、c、dの設定は、原始的には、a=1,b=1,c=1、d=1から開始して、算出結果の分散を軽減するために徐々にa、b、c、dに補正を加えながらループして収束させていけばよいが、算出結果を目的の数値に収束させるための、専用のソフトウェアプログラムを適用することが可能である。
【0076】
この結果、
図5(B)でトナー回収容器24Aの交換までの平均日数を得たときの情報と同一の情報を用いて、最適化された算出式((2)式)で演算すると、
図5(A)に示される如く、トナー回収容器24Aの交換までの平均日数での、標準日数yが許容範囲内で一致している、例えば、
図5(A)では、60日を基準とした許容範囲に収束している。なお、
図5(A)、の一点鎖線の特性曲線は、
図5(B)の特性曲線と同一である。
【0077】
言い換えれば、最適化された算出式((2)式)を用いて標準日数を算出し、その現実の日数を監視すれば、適正なトナー回収容器24Aの交換予測日を特定することが可能となる。
【0078】
図6は、複数種類の画像処理装置10における、現実の日数と、標準日数との関係を示す理論上の特定図である。
【0079】
図6では、それぞれ異なる群(
図4参照)に属する5種類の画像処理装置10の推移が示されており、現実の日数(横軸)では、経過日数及び交換までの日数がそれぞれ異なっていることがわかる。
【0080】
これに対して、標準交換日数(縦軸)では、全ての群の画像処理装置10において、現実の経過日数が特定の標準日数で一致し、現実の交換までの日数が特定の標準交換日数で一致している。
【0081】
前記(2)式は、
図6における、それぞれ異なる横軸の値を、それぞれ一致する縦軸の値に変換する補正を行うものである。このため、処理量に関係なく、そのときに属している群によって異なる傾きで推移する特性図(一次関数「正比例」)に基づいて、トナー回収容器24Aの交換日を予測することが可能となる。
【0082】
図7は、
図6から得られた標準交換日数(60日)で、トナー回収容器24Aの交換時期を迎えるときに画像処理装置10が属している群No.毎の推移を示した特性図である。なお、
図7において、標準交換日数(60日)に到達する日数は、一定の許容差±を含む(60日±α)。
【0083】
この
図7からわかるように、傾きが大きい(立っている)ほど、交換日数に到達するのが早いため、例えば、(1)の特性図では画像処理装置10が群No.2に属した後に交換されることになる。一方、傾きが小さい(寝ている)ほど、交換日数に到達するのが遅いため、例えば、(15)の特性図では画像処理装置10が群No.16に属した後に交換されることになる。
【0084】
「予測管理制御」
図8(A)は、
図7における特性(15)を例にとった場合の、標準日数の累積推移を予測するための近似式特性である。
【0085】
図8(A)に示される如く、算出式(2)での算出結果である標準日数yは、以下の(3)式で近似することが可能である。
【0086】
y(近似)=Mx+N・・・(3)
ここで、M,Nは標準日数の変化量に基づく実数(定数)である。
【0087】
すなわち、本実施の形態では、標準日数yは、一次関数(正比例)によって近似される(推移予測)。
【0088】
図8(B)は、
図8(A)で生成した近似式(3)を用いて、現実の日数と、標準化された日数との互換を行うための特性図である。
【0089】
この
図8(B)は、前述した
図6(理論上の特性図)の一例である。言い換えれば、
図6が理論上の特性であるのに対し、
図8(B)は実際の情報に基づく実施態様の特性となる。
【0090】
図8(B)において、変換(標準化)された日数(縦軸)での、トナー回収容器24Aの交換日数が一律60日であるので、近似式(3)が縦軸で60日となるときの横軸を読み取る。
【0091】
この読み取った横軸の日数が、現実にトナー回収容器24Aが交換される日数であり、例えば、案内情報として、判断を実行したとき(
図8では、画像処理装置10が群No.12に属したとき)からの差し引き日数を報知することで、式(2)で標準日数に換算しないよりも精度の高いトナー回収容器24Aの交換時期を報知することが可能となる。
【0092】
報知形態は、少なくとも事前に報知することが好ましい。例えば、判断の実行後、常に行ってもよいし、区切りのよい日数(20日、15日、5日等)であってもよい。
【0093】
なお、案内情報は、画像処理装置10に対してメッセージを報知する以外に、保持している情報(履歴として記憶した情報)を、内部処理においてデバイスからデバイスへ出力したり、予め登録したPC21、或いは携帯端末装置のメールアドレス等にメッセージを出力するようにしてもよい。
【0094】
また、メッセージの報知は、視覚を通じた報知(表示)、聴覚を通じた報知(音声)を含みユーザーが認識可能な手段(五感及び五感の組み合わせ)であればよい。また、複数の報知形態を組み合わせてもよい。
【0095】
図9は、管理サーバー100において、上記「基本設定」、「算出式の最適化」、「予測管理制御」を実行するための制御を機能別に分類したブロック図である。なお、この
図9のブロック図は、管理サーバー100のハード構成を特定するものではない。
【0096】
図9に示される如く、管理サーバー100は、I/F100Hを介して、通信回線網20に接続されている。
【0097】
I/F100Hは、通信部106に接続され、管理サーバー100と通信回線網20に接続されている画像処理装置10及びPC21との通信を可能としている。通信部106は、受付部108及び送出部110に接続されている。
【0098】
受付部108は、I/F100Hを介して通信回線網20から受けた情報(ID情報、処理情報(
図4の各変数x1〜x5参照)を含む)を受け付ける。一方、送出部110は、管理サーバー100で生成された情報(例えば、トナー回収容器24Aの交換時期を案内する報知情報)をI/F100Hを介して通信回線網20へ送出する。
【0099】
受付部108は、送信元判別部112に接続されている。また、送信元判別部112には、ID−画像処理装置テーブル記憶部114に接続されている。
【0100】
送信元判別部112では、受け付けた情報の送信元の画像処理装置10を、ID−画像処理装置テーブル記憶部114に記憶されたID−画像処理装置テーブルに基づいて判別する。判別した結果(情報)は、機能振分部116へ送出される。
【0101】
機能振分部116では、受け付けた情報を情報収集機能と保守時期監視機能の何れかに振り分ける。
【0102】
情報収集機能は、画像処理装置10での処理に基づく日々の情報を収集し、算出式((1)式)を最適化するための補正係数a、b、c、dを設定し、(2)式を確立していく機能である。
【0103】
また、保守時期監視機能は、画像処理装置10での処理の継続により、補正係数a、b、c、dが付加された(2)式に基づいて、標準日数yを算出し、トナー回収容器24Aの交換時期を監視する機能である。
【0104】
機能振分部116は、収集手段の一例である処理状況情報収集部118及び算出式・補正係数読出部120にそれぞれ接続されている。
【0105】
機能振分部116では、前記情報収集機能に振り分ける場合、情報を処理状況情報収集部118へ送出する。
【0106】
処理状況情報収集部118は、画像処理装置10毎の情報をハードディスク100Iに逐次格納して収集すると共に、予め定めた算出式の更新時期に、累積した各項目(
図4に示す各変数x1〜x5)の情報を補正手段の一例である最適化処理部122へ送出する。
【0107】
最適化処理部122では、算出式記憶部124から標準日数を算出するための算出式((2)式参照)を読み出し、かつ付加手段の一例である補正係数更新部126から補正係数a、b、c、dを読み出し、最適化を実行する。なお、最適化処理部122での算出式の最適化は、予め設定された最適化プログラムを起動することで実行される。具体的には、算出結果の分散を軽減するために徐々に補正を加えながらループして収束させていく。
【0108】
この最適化プログラムの処理の実行(補正係数a、b、c、dの収束過程)中は、補正係数更新部126では、逐次更新される補正係数a、b、c、dの値を、補正係数記憶部128に更新しながら記憶していく。すなわち、補正係数記憶部128には、初期値の補正係数a、b、c、dとして、それぞれ「1」が記憶され(式(1)に相当)、最適化プログラムの実行に応じて、更新されていく補正係数a、b、c、dが記憶され、最終的には、式(2)を確立(最適化)するための補正係数a、b、c、dが記憶されることになる。
【0109】
一方、前記ハードディスク100Iに格納される処理状況情報は、群属性管理部130において、処理状況に応じて、予め処理量によって分類された群の何れかに属するように管理される(表1参照)。
【0110】
次に、機能振分部116では、前記劣化監視機能に振り分ける場合、新たに受信(入手)した処理状況情報を算出式・補正係数読出部120へ送出する。
【0111】
算出式・補正係数読出部120では、前記算出式記憶部124から算出式((2)式)を読み出す。また、算出式・補正係数読出部120では、前記補正係数記憶部128から補正係数a、b、c、dを読み出す。
【0112】
読み出した、算出式((2)式)及び補正係数a、b、c、dは、標準日数−現実日数互換演算部132へ送出される。
【0113】
標準日数−現実日数互換演算部132では、
図8(A)に示される如く、予め定められた群に属したとき(
図8(A)では、群No.12に属したとき、これまでの各群での標準化された日数に基づき、予測式を生成する。本実施の形態では、予測式は、一次関数(正比例)である。
【0114】
標準日数−現実日数互換演算部132では、
図8(B)に示される如く、生成した予測式に基づいて、標準日数においてトナー回収容器24A交換日数となる60日に相当する現実の交換日数を読み取る(互換する)。
【0115】
標準日数−現実日数互換演算部132での演算結果(互換された現実の交換までの日数)は、比較手段の一例である比較部134へ送出される。
【0116】
一方、経過日数読出部133では、ハードディスク100Iから、対象となる画像処理装置の現実の経過日数(トナー回収容器24Aを交換してからの現実の日数)を読み出し、比較部134へ送出する。
【0117】
比較部134では、トナー回収容器24Aを交換する現実の交換日数と、対象となる画像処理装置の現実の経過日数とが比較されるようになっている。
【0118】
比較部134での比較結果は、保守時期判定部136において、トナー回収容器24Aの交換を案内するか否かが判定される。この判定は、トナー回収容器24Aの交換時期よりも前であることが好ましいが、特に限定されるものではなく、判定を行ったときから毎日案内する判定を行ってもよい、区切りのよい日(例えば、5日単位)毎に案内する判定を行ってもよい。
【0119】
保守時期判定部136での判定結果は、出力手段の一例である報知情報生成部138において、判定結果に基づく報知情報が生成される。生成された報知情報は、送出部110、通信部106、I/F100Hを経て、通信回線網20を介して該当する画像処理装置10へ送出される。なお、管理サーバー100では、報知情報又は報知情報を生成するための判定結果を保持する(履歴をとる)ようにしてもよい。
【0120】
なお、メッセージは報知形態として視覚を通じた報知を選択した場合の一例であり、報知内容、報知形態は、画像処理装置10の設置環境や保守対象部品の種類に応じて、適宜変更してもよい。
【0121】
以下に本実施の形態の作用を説明する。
【0122】
画像処理装置10から登録要請があると、登録要請に関する情報の中から画像処理装置10を特定する識別情報(ID)を読み出し、読み出したIDに基づいて、画像処理装置10の仕様情報を検索する。なお、管理サーバー100には、全機種の画像処理装置10の仕様情報が記憶されていることが好ましいが、必要に応じて、メーカーサイトへアクセスして、仕様情報取得するようにしてもよい。
【0123】
なお、新規登録要請に限定されるものではなく、オプション機器の着脱、機種交換、部品交換の際に登録された情報を更新するようにしてもよい。
【0124】
この登録により、管理サーバー100では、画像処理装置10における保守対象部品(ここでは、トナー回収容器24A)の標準日数を算出する算出式を設定することが可能となる。
【0125】
「標準日数算出式最適化処理」
図10は、標準日数算出式を最適化するための処理を示す制御フローチャートである。
【0126】
ステップ200では、最適化時期か否かが判断される。
【0127】
ステップ200で肯定判定されると、ステップ202へ移行して補正係数a、b、c、dをそれぞれ「1」に設定する(a=1,b=1、c=1、d=1)。
【0128】
次のステップ204では、算出式である(2)式を読み出し、次いで、ステップ206へ移行して標準日数yを算出する。
【0129】
このとき、画像処理装置10の処理量が増加するに従い、当該画像処理装置10が属する群が順次繰り上がっていく。
【0130】
相対的に処理量の増加率が大きい場合は、群No.の繰り上げが少ない状態で交換時期となり、相対的に処理量の増加率が小さい場合は、群No.の繰り上げが多い状態で交換時期となる。
【0131】
算出式(2)による算出の初期段階では、各群での交換までの平均日数が
図5(B)のように、ばらつきが見られる。
【0132】
次のステップ208では、交換時期の標準日数の分散度合いを演算し、次いで、ステップ210へ移行して演算した分散度合いが、前回よりも小さくなったか否かが判断される。なお、初回(a=1,b=1、c=1、d=1)は、比較対象が存在しないため、否定判定となる。
【0133】
このステップ210で否定判定されると、ステップ214へ移行して、特定のアルゴリズム(専用のソフトウェアプログラムの実行による処理手順)に基づき、補正係数a、b、c、dを変更して、ステップ206へ戻り、上記工程を繰り返す。
【0134】
また、ステップ210で肯定判定されると、ステップ212へ移行して、分散度合いが許容範囲(予め定めたしきい値以下)か否かが判断される。すなわち、分散度合いが小さくなっていくことを前提に、予め定めたしきい値まで到達したか否かが判断される。
【0135】
このステップ212で否定判定された場合は、ステップ214へ移行して、特定のアルゴリズム(専用のソフトウェアプログラムの実行による処理手順)に基づき、補正係数a、b、c、dを変更して、ステップ206へ戻り、上記工程を繰り返す。
【0136】
前記ステップ212で肯定判定されると、分散度が許容範囲に達したと判断され、ステップ216へ移行して、ステップ210及びステップ212で肯定判定されたときの補正係数a、b、c、dを記憶して、このルーチンは終了する。
【0137】
すなわち、記憶された補正係数a、b、c、dを(2)式に代入することで、最適化された標準日数yの算出式となり、
図5(A)に示すように、トナー回収容易器の交換までの平均日数のばらつきが、各群において、予め定めた許容範囲内に収束されることになる。
【0138】
「予測管理制御の流れ」
図11は、本実施の形態に係る標準日数予測管理制御ルーチンを示すフローチャートである。
【0139】
図11の標準日数予測管理制御ルーチンは、標準日数予測のために必要な標準日数近似式の生成モードと、生成された標準日数近似式に基づく日々の標準日数の監視モードとに分類される。
【0140】
(標準日数近似式の生成モード)
ステップ250では、対象となる画像処理装置10において、トナー回収容器24Aの交換が実施されたか否かが判断される。ステップ250で肯定判定されると、ステップ252へ移行して、対象の画像処理装置10の標準日数yをクリアし、次いで、ステップ254へ移行して、既に、交換を促す報知がされているため、報知(表示)をクリアして、このルーチンは終了する。
【0141】
また、ステップ250で否定判定された場合は、ステップ256へ移行して、対象の画像処理装置10が属する群を特定する。すなわち、画像処理装置10は、処理が継続される従い、群No.が繰り上がる(
図4参照)。
【0142】
次のステップ258では、対象の画像処理装置の標準日数yを算出式(式(2))に基づき算出し、ステップ260へ移行する。
【0143】
ステップ260では、算出結果において、対象の画像処理装置10の属する群が群No.2であり、かつ、算出した標準日数yが規定値未満(例えば、50日)か否かが判断される。
【0144】
このステップ260で否定判定されると、ステップ262へ移行して、予測無しで警告メッセージを報知(表示)する。
【0145】
すなわち、群No.2において、標準交換日数(60日)に切迫(ここでは、10日後)しているということは、予測するまでもなく、直ちに、トナー回収容器24Aを交換することを促す。
【0146】
また、ステップ260で肯定判定されると、ステップ264へ移行して、予測式を生成する。すなわち、
図8に示す例では、対象の画像処理装置10が群No.12に到達した時点で、予測式を生成する。予測式は、一次関数(正比例)となり((3)式参照)、この結果、標準日数yに到達するまでの推移を予測することが可能となる。
【0147】
すなわち、次のステップ266では、予測式に基づいて、標準交換日数(
図8(A)の縦軸の60日)を、現実の交換日数Dc(
図8(B)の横軸)に互換する。この
図8(B)の例では、Dc値は88日となる。
【0148】
次のステップ268では、対象の画像処理装置10の現実の経過日数Drを読み出す。すなわち、予測式を生成した時点(ここでは、群No.12に到達した時点)での
図8(B)の横軸の値を読み取る。
【0149】
次のステップ270では、現実の交換日数Dcと、現在の経過日数Drの差Δを演算し(Δ=|Dc−Dr|)、次いで、ステップ272へ移行して、ステップ270での演算結果(Δ値)に基づき、交換案内の要否を判定する。
【0150】
このステップ272で肯定判定されると、ステップ274へ移行して、Δ値に基づいて、警告メッセージを報知(表示)して、このルーチンは終了する。すなわち、ステップ274では、Δ値(すなわち、現実の交換日までの日数をカウントダウン方式に報知してもよいし、5日単位等、特定の区切り毎に報知してもよいし、色の変化や表示領域の大きさの変化等で、徐々に現実の交換日までを継続的に報知するようにしてもよい。
【0151】
また、ステップ272で否定判定された場合は、ステップ276へ移行して、
図8(A)及び(B)に示されるような、処理状況に応じた推移(標準日数−現実日数特性推移)を報知する指示があるか否かが判断される。
【0152】
このステップ276で否定判定された場合は、このルーチン終了する。また、ステップ276で肯定判定された場合は、ステップ278へ移行して、標準日数−現実日数特性推移を報知(表示)してこのルーチンは終了する。
【0153】
なお、本実施の形態では、管理サーバー100が、保守管理制御装置100として機能し、通信回線網20に接続されている複数の画像処理装置10の保守管理を一括して実行するようにしたが、保守管理制御装置100としての機能をそれぞれの画像処理装置10に搭載し、各々の画像処理装置10が独立して保守管理を実行するようにしてもよい。すなわち、
図3(A)に示す画像処理装置10の主制御部30に、本実施の形態で示した標準日数算出式最適化、並びに、予測管理制御を実行可能な機能(
図9に示す制御ブロック)を組み込むようにしてもよい。
【0154】
なお、本実施の形態では、標準日数算出式(式(2)参照)を補正する過程を、「標準日数算出式の最適化」としたが、最適化とは、誤差が無くなるまでの理論上の最適化を求めるものではない。標準日数算出式は、標準日数に基づく保守対象部品の交換時期の予測に支障がない、必要十分な精度であれば、その時点での標準日数算出式が最適化された算出式である。
【0155】
また、本実施の形態では、交換する警告として、メッセージを報知するようにしたが、管理サーバー100において報知情報等を保持する(履歴をとる)ようにしてもよいし、PC21等に適宜出力するようにしてもよい。