特許第6424564号(P6424564)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6424564
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】食品機械
(51)【国際特許分類】
   B65G 69/28 20060101AFI20181112BHJP
   F25D 23/02 20060101ALI20181112BHJP
【FI】
   B65G69/28
   F25D23/02 306Z
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-218806(P2014-218806)
(22)【出願日】2014年10月28日
(65)【公開番号】特開2016-84221(P2016-84221A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2017年7月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110685
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 方宜
(72)【発明者】
【氏名】大下 泰史
【審査官】 福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−119119(JP,A)
【文献】 特開平7−315736(JP,A)
【文献】 実開平7−42921(JP,U)
【文献】 特開平7−301052(JP,A)
【文献】 実開平6−24188(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 69/28
F25D 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理槽本体とその開口部を幅方向にスライドして開閉する扉とから構成され、前記開口部から台車を出し入れされる処理槽と、
前記処理槽本体の開口部と対応して、その手前側の床に設けられ、床と処理槽本体内底面とを架け渡す展開位置と、そのような架け渡しを行わない格納位置との間で可動する外レールと、
前記扉に設けられ、前記外レールと接触しつつ前記扉と共に移動することで、前記扉の開閉に連動して前記外レールを可動させ、前記展開位置と前記格納位置とを切り替える外レール受けと
を備えることを特徴とする食品機械。
【請求項2】
前記外レールは、前記処理槽本体の開口部の手前側の床に固定された固定板と、この固定板の前記処理槽側端部に基端部を保持されてこの基端部まわりに前後に回動可能な可動板とを備え、
前記外レールは、前記可動板の先端部を、前記処理槽本体内底面に架け渡す前記展開位置と、前記処理槽本体内底面よりも上方へ上げた前記格納位置との間を可動し、
前記可動板の裏面が前記外レール受けにもたれかかることで、前記外レール受けは、前記扉の開閉に連動して、前記外レールを展開または格納する
ことを特徴とする請求項1に記載の食品機械。
【請求項3】
前記扉は、幅方向一方へスライドさせて開放され、幅方向他方の外面に前記外レール受けが固定されており、
前記固定板および前記可動板は、それぞれ、平板状の主板部と、この主板部の幅方向両端部に連接された側板部とを備え、
前記固定板は、前記主板部を床面に沿って水平に配置されるか、前記処理槽本体の側へ行くに従って上方へ傾斜して配置され、
前記固定板の前記処理槽側の側板部に、前記可動板の基端部の側板部が、前記固定板の幅方向に沿う軸回りに回転可能に保持され、
前記可動板の主板部は、前記展開位置において、前記固定板の主板部と前記処理槽本体内底面とを連続的に架け渡し、
前記外レール受けは、水平部と、この水平部の前記幅方向他方の端部に連接され前記幅方向他方へ行くに従って下方および後方へ傾斜する傾斜部とを備え、
前記可動板の主板部の裏面が前記外レール受けにもたれかかることで、前記外レール受けは、前記扉の開閉に連動して、前記外レールを展開または格納する
ことを特徴とする請求項2に記載の食品機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理槽に台車ごと被処理物が出し入れされる各種食品機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されるように、処理槽(2)に台車(14)ごと被処理物(4)が出し入れされる食品機械が知られている。処理槽(2)に台車(14)を出し入れするために、処理槽外の床面と処理槽内の底面とは渡し板(15)で架け渡され、この渡し板(15)の上を台車(14)が走行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−119119号公報(図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来構成では、処理槽に対し被処理物を出し入れしようとする度に、渡し板を手動で設置または収納する必要がある。渡し板を、床への固定板と、この固定板に対する可動板とから構成し、固定板と処理槽内底面とを可動板で架け渡すか否かを切り替える構成にするにしても、その切替操作を手動で行う必要がある。
【0005】
このように、渡し板(可動板)の操作が、台車の出し入れの操作とは別途必要になることから、操作性に改善の余地がある。また、もし、渡し板(可動板)の操作を忘れたまま扉の開閉を行うと、扉や渡し板(可動板)を破損させるおそれもある。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、処理槽に台車が出し入れされる各種食品機械において、処理槽外の床面と処理槽内の底面とを架け渡す部材を、扉の開閉に応じて自動で展開または格納させることにある。これにより、操作性の改善と、操作忘れによる破損とを防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、処理槽本体とその開口部を幅方向にスライドして開閉する扉とから構成され、前記開口部から台車を出し入れされる処理槽と、前記処理槽本体の開口部と対応して、その手前側の床に設けられ、床と処理槽本体内底面とを架け渡す展開位置と、そのような架け渡しを行わない格納位置との間で可動する外レールと、前記扉に設けられ、前記外レールと接触しつつ前記扉と共に移動することで、前記扉の開閉に連動して前記外レールを可動させ、前記展開位置と前記格納位置とを切り替える外レール受けとを備えることを特徴とする食品機械である。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、処理槽外の床面と処理槽内の底面とを架け渡す外レールを、扉の開閉に応じて自動で展開または格納することができる。これにより、外レールの可動を手動で行う必要がなくなり、また、操作忘れによる扉や外レールの破損も防止される。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記外レールは、前記処理槽本体の開口部の手前側の床に固定された固定板と、この固定板の前記処理槽側端部に基端部を保持されてこの基端部まわりに前後に回動可能な可動板とを備え、前記外レールは、前記可動板の先端部を、前記処理槽本体内底面に架け渡す前記展開位置と、前記処理槽本体内底面よりも上方へ上げた前記格納位置との間を可動し、前記可動板の裏面が前記外レール受けにもたれかかることで、前記外レール受けは、前記扉の開閉に連動して、前記外レールを展開または格納することを特徴とする請求項1に記載の食品機械である。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、外レールを、床への固定板と、この固定板に対する可動板とから構成し、固定板と処理槽本体内底面とを可動板で架け渡すか否かを切り替えることができる。しかも、可動板の裏面を扉の外レール受けにもたれかけさせることで、扉の開閉に応じて自動で可動板を可動して、外レールを展開または格納することができる。
【0011】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記扉は、幅方向一方へスライドさせて開放され、幅方向他方の外面に前記外レール受けが固定されており、前記固定板および前記可動板は、それぞれ、平板状の主板部と、この主板部の幅方向両端部に連接された側板部とを備え、前記固定板は、前記主板部を床面に沿って水平に配置されるか、前記処理槽本体の側へ行くに従って上方へ傾斜して配置され、前記固定板の前記処理槽側の側板部に、前記可動板の基端部の側板部が、前記固定板の幅方向に沿う軸回りに回転可能に保持され、前記可動板の主板部は、前記展開位置において、前記固定板の主板部と前記処理槽本体内底面とを連続的に架け渡し、前記外レール受けは、水平部と、この水平部の前記幅方向他方の端部に連接され前記幅方向他方へ行くに従って下方および後方へ傾斜する傾斜部とを備え、前記可動板の主板部の裏面が前記外レール受けにもたれかかることで、前記外レール受けは、前記扉の開閉に連動して、前記外レールを展開または格納することを特徴とする請求項2に記載の食品機械である。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、固定板および可動板は、それぞれ、台車が走行する主板部の幅方向両側に側板部を備えるので、側板部間に案内されて台車を処理槽に対し容易に出し入れすることができる。また、外レール受けは、水平部と傾斜部との簡易な構成で、外レールの可動板を容易に可動することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、処理槽に台車が出し入れされる各種食品機械において、処理槽外の床面と処理槽内の底面とを架け渡す外レールを、扉の開閉に応じて自動で展開または格納させることができる。これにより、外レールの可動を手動で行う必要がなくなり、また、操作忘れによる扉や外レールの破損も防止される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施例の食品機械の使用状態を示す概略斜視図である。
図2図1の食品機械の外レールの概略斜視図であり、格納位置を示している。
図3図2の右側面視の縦断面図である。
図4図1の食品機械の外レールの概略斜視図であり、展開途中を示している。
図5図4の右側面視の縦断面図である。
図6図1の食品機械の外レールの概略斜視図であり、展開位置を示している。
図7図6の右側面視の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施例の食品機械1の使用状態を示す概略斜視図であり、処理槽2の扉3を開くと共に外レール4を展開した状態を示している。また、図2から図7は、外レール4の可動状態を示す図であり、図2および図3は格納位置、図4および図5は展開途中、図6および図7は展開位置(展開完了)を示している。なお、図2図4および図6は、正面側から見た概略斜視図であり、図3図5および図7は、右側面側から見た概略縦断面図である。
【0017】
以下において、処理槽2の手前側(つまり開口部5のある側)を前方、処理槽2の奥側(つまり開口部5と反対側)を後方とし、また、処理槽2の幅方向を左右方向として説明する。
【0018】
食品機械1は、典型的には、被処理物(食材または食品)6を加熱および/または冷却する装置であり、その種類を特に問わないが、たとえば真空冷却機である。この場合、食品機械1は、被処理物6が収容される処理槽2と、この処理槽2内の気体を外部へ吸引排出して処理槽2内を減圧する減圧手段と、減圧された処理槽2内へ外気を導入して処理槽2内を復圧する復圧手段と、これら各手段を制御する制御手段とを備える。そして、処理槽2内に被処理物6を収容して、処理槽2の扉3を気密に閉じた状態で、減圧手段により処理槽2内を減圧して被処理物6を真空冷却後、復圧手段により処理槽2内を大気圧まで復圧する。
【0019】
いずれにしても、食品機械1は、被処理物6が収容される処理槽2と、処理槽2外の床面と処理槽2内の底面とを架け渡す外レール4と、扉3の開閉に連動して外レール4を展開または格納する外レール受け7とを備える。以下、各構成を順に説明する。
【0020】
処理槽2は、前面に開口部5を有する処理槽本体8と、この処理槽本体8の開口部5を幅方向にスライドして開閉する扉3とから構成され、処理槽本体8には前記開口部5から被処理物6が台車9ごと出し入れされる。
【0021】
処理槽本体8は、略矩形の中空ボックス状に形成され、その中空部は、処理槽本体8の前方へ全面を開口される。処理槽本体8内には、外レール4を介して、被処理物6が台車9ごと出し入れされる。台車9は、四隅に車輪(キャスター)10を備え、被処理物6が適宜容器に入れられて載せられる。なお、図示例の台車9は、一例であって、これに限定されるものではない。たとえば、台車9は、把手を備えたり、上下に棚を有したワゴン状とされたりしてもよい。
【0022】
扉3は、略矩形の板状に形成され、処理槽本体8の前面の開口部5を開閉する。扉3は、処理槽本体8の上部に、左右にスライド可能に吊り下げられる。具体的には、図1において、処理槽本体8の前端上部の天板には、左右方向へ沿うと共に処理槽本体8から右側へ延出して吊レール11が設けられており、この吊レール11に扉3がスライド可能に吊り下げられている。
【0023】
図1に示すように、扉3を処理槽本体8に対し右側へ目一杯スライドさせると、処理槽本体8の開口部5を全開させることができ、逆に、図2に示すように、扉3を処理槽本体8に対し左側へ目一杯スライドさせると、処理槽本体8の開口部5を全閉することができる。なお、扉3のスライドは、手動により行われ、このスライド操作時に用いる把手12が、扉3の外面に設けられている。また、処理槽2には、開口部5を取り囲む位置に、パッキン13が設けられている。このパッキン13により、扉3の閉鎖時、処理槽本体8と扉3との隙間が封止される。具体的には、本実施例では、処理槽本体8の開口部5を全閉する位置に扉3を移動させた後、従来公知(前記特許文献1)のとおり、扉3のハンドル引掛部(図示省略)に処理槽本体8のハンドル(図示省略)を引っ掛けて、扉3を処理槽本体8の側へ押し付けて、処理槽本体8の開口部5を、パッキン13を介して扉3で気密に閉じることができる。
【0024】
外レール4は、処理槽本体8の開口部5の間口と対応して、その手前側の床に設けられ、床面と処理槽本体8内底面とを架け渡す展開位置(図1図6図7)と、そのような架け渡しを行わない格納位置(図2図3)との間で可動する。なお、処理槽本体8の前端下部の床には、処理槽本体8の前端辺に沿って、左右方向に排水ピット(凹溝)14が設けられることが多いが、外レール4は、この排水ピット14上を架け渡すよう展開される。
【0025】
外レール4は、処理槽本体8の開口部5の手前側の床に固定される固定板15と、この固定板15の後端部に基端部を保持されてこの基端部まわりに前後に回動可能な可動板16とを備える。
【0026】
固定板15は、平板状の主板部17と、この主板部17の幅方向両端部に連接された側板部18とを備える。主板部17は、床面に沿って水平に配置されるか、後方つまり処理槽本体8の側へ行くに従って上方へ傾斜して配置される。
【0027】
床の一部を掘り込んで処理槽2を設置することで、処理槽本体8内の底面が処理槽本体8外の床面と同一高さに配置される場合には、主板部17を処理槽本体8外の床面に重ね合わせるように水平に固定すればよい。一方、そのような掘り込みを行わずに処理槽2を設置することで、処理槽本体8内の底面が処理槽本体8外の床面よりも所定寸法だけ高く配置される場合には、処理槽本体8内の底面と処理槽本体8外の床面とを外レール4でスロープ状に架け渡すために、主板部17を処理槽本体8の側へ行くに従って上方へ傾斜して固定すればよい。本実施例では、適宜の支持材19で主板部17を傾斜して保持し、主板部17は、処理槽本体8の側へ行くに従って上方へ傾斜して配置される。これにより、固定板15の主板部17は、前端辺が、床面と接して配置される一方、後端辺が、床面から上方へ浮いた状態で配置される。
【0028】
いずれにしても、主板部17は、略矩形の平板から構成される。また、主板部17の幅方向両端部には、主板部17の板面と垂直に、所定高さの側板部18が固定されている。側板部18は、主板部17の前後方向へ沿って配置されるが、前端部は、前方へ行くに従って左右方向外側へ広がる拡幅部18aとされている。
【0029】
可動板16も、固定板15と同様に、平板状の主板部20と、この主板部20の幅方向両端部に連接された側板部21とを備える。可動板16の主板部20は、略矩形の平板から構成され、その幅寸法は固定板15の主板部17と略対応している。また、主板部20の幅方向両端部には、主板部20の板面と垂直に、所定高さの側板部21が設けられている。
【0030】
固定板15の後端部の左右の側板部18には、可動板16の基端部の左右の側板部21が重ね合わされる。そして、重ね合わされた側板部18,21同士は、それぞれ、左右方向に沿う軸22で連結され、その軸22まわりに可動板16が固定板15に対し前後に回動可能とされる。
【0031】
処理槽2の扉3を開いた状態で、可動板16を後方へ倒せば、図1に示すように、処理槽2外の床面と処理槽2内の底面とを、固定板15および可動板16の各主板部17,20で連続的に接続することができる。つまり、本実施例では、外レール4の展開位置において、固定板15の主板部17の後端辺(先端辺)と、可動板16の主板部20の前端辺(基端辺)とが、略当接するように配置され、これにより、各主板部17,20で一つの平面が形成される(図7)。但し、場合により、外レール4の展開位置において、固定板15の主板部17の後端部と、可動板16の主板部20の基端部とが、重なり合うよう展開されてもよい。なお、可動板16は、先端部を後方へ倒された際、展開位置にて位置決めされ、それ以上には倒れない。
【0032】
外レール4の展開位置についてさらに説明すると、固定板15の主板部17が床面に沿って水平に配置される場合(つまり処理槽2を掘り込み設置する場合)、固定板15の主板部17と同一平面になるように、可動板16の主板部20も水平に展開される。一方、固定板15の主板部17が処理槽2の側へ行くに従って上方へ傾斜して配置される場合(つまり処理槽2を掘り込み設置しない場合)には、可動板16の主板部20が固定板15の主板部17と連続的な傾斜面を構成するように、可動板16の主板部20も傾斜して展開される(図1図6図7)。この際、図7に示すように、可動板16の主板部20の先端部20aは、処理槽本体8の開口部5付近(つまり処理槽本体8の前端部)において、処理槽本体8内底面に重ね合わされるように、前記各主板部17,20の傾斜面に対し若干屈曲して形成されているのが好ましい。なお、この屈曲箇所(つまり可動板16の主板部20の先端部20a)は、それより基端側の箇所よりも若干幅寸法が小さく形成され、側板部21も設置されない。
【0033】
一方、外レール4を格納位置へ戻すには、可動板16の先端部を前記軸22まわりに上方へ持ち上げるよう回転させればよい。ところで、本実施例では、可動板16の裏面(図1において下面)には、幅方向に沿って補助材23が設けられている。本実施例では、補助材23は、断面略コ字形状の形材から形成され、その中央片が可動板16の主板部20の前後方向中途部の裏面に重ね合わされ、左右方向に沿って固定されている。補助材23は、可動板16の主板部20の幅方向全体に亘って設けられるか、可動板16の主板部20の幅寸法よりもやや小さい幅寸法で設けられる。
【0034】
外レール受け7は、扉3に設けられ、外レール4と接触しつつ扉3と共に移動することで、扉3の開閉に連動して外レール4を可動させ、外レール4の展開位置と格納位置とを切り替える。つまり、可動板16の裏面が外レール受け7にもたれかかることで、外レール受け7は、扉3の開閉に連動して、外レール4を展開または格納する。
【0035】
本実施例では、扉3を右側へスライドさせて開く構成であるのに伴い、外レール受け7は、扉3の外面の左下部に固定される。また、本実施例では、外レール受け7は、板材から構成され、水平部24と、この水平部24の左端部に連接され左側へ行くに従って下方および後方へ傾斜する傾斜部25と、この傾斜部25の下端部において左側へ略水平に若干延出する延出部26とを備える。
【0036】
水平部24は、略矩形板状であり、水平に配置される。傾斜部25は、水平部24の左端部に連接される板状であり、左側へ行くに従って下方へ傾斜すると共に、左側へ行くに従って幅寸法(前後方向寸法)を減少させるよう前端辺が後方へ傾斜する。延出部26は、傾斜部25の下端部に連接され、左側へ若干突出して略水平に配置される。
【0037】
上述した水平部24、傾斜部25および延出部26は、各後端辺が同一平面内に配置される。そして、水平部24の後端辺が、扉3の外面に固定される。その際、本実施例では、図2に示すように、水平部24の左端部を扉3の左端部よりも左側へ突出させ、これにより、傾斜部25や延出部26は、扉3の左端部よりも左側に延出して配置される。
【0038】
図2および図3に示すように、扉3の閉鎖状態では、外レール4は格納位置にある。その状態では、外レール受け7の水平部24に、可動板16の主板部20の裏面がもたれかかった状態にある。本実施例では、可動板16の主板部20の裏面に設けた補助材23が、外レール受け7の水平部24の上部に載せられている。また、可動板16は、先端部を上方へ跳ね上げた状態とされ、上方へ行くに従って後方へ傾斜して配置される。
【0039】
この状態から扉3を開いていくと、外レール受け7の水平部24に可動板16の主板部20の裏面がもたれかかった状態のまま(より詳細には本実施例では水平部24に補助材23を載せたまま)、扉3を右側へ開いていくことができる。扉3を右側へ開いていくと、可動板16の主板部20の右端部(より詳細には本実施例では補助材23の右端部)が外レール受け7の水平部24の左端部よりも左側の傾斜部25に配置されるようになる。
【0040】
図4および図5に示すように、可動板16の主板部20の右端部が外レール受け7の傾斜部25に配置されると、可動板16の主板部20の裏面が傾斜部25にもたれかかった状態のまま、扉3を右側へ開くに従って、可動板16の先端部が後方へ倒れていくことになる。本実施例では、可動板16の補助材23の右端部が外レール4の傾斜部25の上部に保持されつつ、可動板16が徐々に展開することになる。
【0041】
図6および図7に示すように、扉3を外レール4の幅以上に右側へ十分に開くと、可動板16の主板部20の先端部が処理槽本体8内底面に当たって、外レール4の展開が完了する。この展開位置では、可動板16の右端部の下方に、外レール受け7の延出部26が配置された状態となる。この展開位置にて、処理槽2に対し被処理物6を台車9ごと出し入れすることができる。つまり、外レール4の各主板部17,20上に台車9を走行させて、処理槽2に台車9を出し入れすることができる。
【0042】
上記一連の操作とは逆に、扉3を閉める際、まず、外レール受け7の傾斜部25に可動板16の主板部20の裏面(より詳細には本実施例では補助材23)が載ることになり(図4図5)、扉3を左側へ移動させるに従って、可動板16が外レール受け7の傾斜部25に案内されて、先端部を徐々に上方へ持ち上げられる。やがて、可動板16の裏面は、外レール受け7の水平部24に保持され、図2および図3に示す格納位置に戻される。
【0043】
このように、本実施例の食品機械1によれば、処理槽2外の床面と処理槽2内の底面とを架け渡す外レール4を、扉3の開閉に応じて自動で展開または格納させることができる。これにより、外レール4の可動を別途手動で行う必要がなくなり、操作性がよい。また、外レール4の操作忘れがないので、扉3や外レール4の破損が防止される。
【0044】
本発明の食品機械1は、前記実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。特に、次の(a)〜(c)の構成を備えるのであれば、その他の構成は、適宜に変更可能である。
(a)処理槽本体8と、この処理槽本体8の開口部5を幅方向にスライドして開閉する扉3とから構成され、前記開口部5から台車9を出し入れされる処理槽2。
(b)処理槽本体8の開口部5と対応して、その手前側の床に設けられ、床と処理槽本体8内底面とを架け渡す展開位置と、そのような架け渡しを行わない格納位置との間で可動する外レール4。
(c)扉3に設けられ、外レール4と接触しつつ扉3と共に移動することで、扉3の開閉に連動して外レール4を可動させ、展開位置と格納位置とを切り替える外レール受け7。
【0045】
前記実施例では、図1において、扉3は、右側へスライドさせて開放する構成としたが、場合により、左側へスライドさせて開放する構成としてもよい。その場合、扉3の右下部に、外レール受け7を設置し、この外レール受け7は、図1と左右対称形状に形成すればよい。つまり、水平部24の右側に、右側へ行くに従って下方および後方へ傾斜して傾斜部25を形成し、その傾斜部25の下端部に右側へ略水平に延出して延出部26を設ければよい。
【0046】
このように、処理槽2の扉3の開閉方向は、適宜に変更可能である。つまり、処理槽2の扉3は、幅方向一方へスライドさせて開放され、幅方向他方の外面に外レール受け7が固定される。また、外レール受け7は、水平部24と、この水平部24の幅方向他方の端部に連接され幅方向他方へ行くに従って下方および後方へ傾斜する傾斜部25とを備える。そして、可動板16の主板部20の裏面が外レール受け7にもたれかかることで、外レール受け7は、扉3の開閉に連動して、外レール4を展開または格納する。
【0047】
また、前記実施例では、可動板16の裏面に、略コ字形状断面の形材からなる補助材23を設けたが、この補助材23の断面形状は、略ロ字形状とするなど、適宜に変更可能である。さらに、場合により、可動板16の主板部20の裏面への補助材23の設置を省略してもよい。その場合も、外レール受け7の前端部に可動板16の主板部20の裏面が当接しつつ、扉3の開閉に伴って可動板16を可動することができる。
【0048】
また、前記実施例では、外レール受け7は、水平部24と傾斜部25と延出部26とから構成されたが、場合により、延出部26の設置を省略してもよい。
【0049】
さらに、前記実施例では、処理槽2の正面にのみ扉3を備えた食品機械1に適用した例を示したが、処理槽2の正面および背面の双方に扉3を備えた両扉式の食品機械1にも同様に適用可能である。その場合、処理槽2の背面側にも、正面側と前後対称に、外レール4や外レール受け7を設置すればよい。具体的には、処理槽2の背面側にも、扉3の開放時に、処理槽2内の底面と処理槽2外の床面とを外レール4で架け渡し可能とし、その外レール4の可動板16を扉3側の外レール受け7により、扉3の開閉に連動して自動的に可動するようにすればよい。なお、背面側の扉の開放方向は、食品機械1を正面側から見て、正面側の扉3と同一方向でもよいし、逆方向でもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 食品機械
2 処理槽
3 扉
4 外レール
5 開口部
6 被処理物
7 外レール受け
8 処理槽本体
9 台車
10 車輪(キャスター)
11 吊レール
12 把手
13 パッキン
14 排水ピット
15 固定板
16 可動板
17 (固定板の)主板部
18 (固定板の)側板部(18a:拡幅部)
19 (固定板の)支持材
20 (可動板の)主板部(20a:先端部)
21 (可動板の)側板部
22 軸
23 補助材
24 水平部
25 傾斜部
26 延出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7