(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本願が開示する技術の一実施形態について説明する。
【0010】
(電子機器)
図1及び
図2に示されるように、本実施形態に係る電子機器10は、ラック12と、ラックマウント装置30とを備える。なお、各図に適宜示される矢印Fはラック12の前後方向前側(前側)を示し、矢印Rはラック12の前後方向後側(後側)を示す。また、矢印Wはラック12の横幅方向を示し、矢印Hはラック12の高さ方向(上下方向)を示す。
【0011】
(ラック)
ラック12は、箱状に形成される。
図2に示されるように、ラック12の前面(正面)12Fには、後述する電子装置32を収容するための収容口14が形成される。一方、ラック12の後面(背面)12Rには、ラック12に収容(搭載)された電子装置32の後面を露出させる保守用の開口16が形成される。
【0012】
なお、
図2には、ラック12の外形が二点鎖線で示される。また、ラック12の前面12Fには、収容口14を開閉する図示しない前側ドアが取り付けされる。さらに、ラック12の後面12Rには、開口16を開閉する図示しない後側ドアが取り付けられる。
【0013】
ラック12は、一対の前側ラック柱18及び後側ラック柱20を2組有する。一対の前側ラック柱18及び後側ラック柱20は、断面形状がL字状に形成される。また、一対の前側ラック柱18及び後側ラック柱20は、ラック12の前後方向に互いに対向される。さらに、一対の前側ラック柱18及び後側ラック柱20は、ラック12の前後方向に間隔を空けて配置される。
【0014】
前側ラック柱18は、ラック12の前側(矢印F側)の2つの角部にそれぞれ立てられる。各前側ラック柱18は、互いに直交する前壁部18F及び側壁部18Sを有する。前壁部18Fはラック12の前面12F側に配置され、側壁部18Sはラック12の側面12S側に配置される。
【0015】
後側ラック柱20はラック12の後側(矢印R側)の2つの角部にそれぞれ立てられる。各後側ラック柱20は、互いに直交する後壁部20R及び側壁部20Sを有する。後壁部20Rはラック12の後面12R側に配置され、側壁部20Sはラック12の側面12S側に配置される。
【0016】
図3に示されるように、前側ラック柱18の前壁部18Fには、後述するマウントブラケット50の前端側が取り付けられる複数の取付開口22が形成される。複数の取付開口22は矩形状に形成されており、ラック12の高さ方向(矢印H方向)に間隔を空けて配列される。これと同様に、後側ラック柱20の後壁部20Rには、マウントブラケット50の後端側が取り付けられる図示しない複数の取付開口がラック12の高さ方向に間隔を空けて形成される。
【0017】
(ラックマウント装置)
図1及び
図2に示されるように、ラックマウント装置30は、電子装置32と、一対のマウントブラケット50と、一対の回動アーム66とを備える。電子装置32は、ラック12の前面12Fに形成された収容口14からラック12内に収容されると共に、収容口14からラック12の前側(外側)へ引き出される。
【0018】
なお、電子装置32の前後方向前側は、ラック12の前後方向前側と同じ矢印Fで示され、電子装置32の前後方向後側は、ラック12の前後方向後側と同じ矢印Rで示される。また、電子装置32の横幅方向は、ラック12と同じ矢印Wで示される。また、電子装置32の高さ方向は、ラック12と同じ矢印Hで示される。さらに、本実施形態では、矢印F側で示されるラック12の前側が電子装置32の引き出し側とされる。
【0019】
(電子装置)
電子装置32は、筐体34と、複数の前側内蔵ユニット36Fと、複数の後側内蔵ユニット36Rと、中央内蔵ユニット36Mとを有する。なお、中央内蔵ユニット36Mは、内蔵ユニットの一例である。
【0020】
筐体34は、箱状に形成される。
図3に示されるように、筐体34の前面には、複数の前側ユニット収容口38が形成される。複数の前側ユニット収容口38は、電子装置32の高さ方向に配列される。これらの前側ユニット収容口38には、前側内蔵ユニット36Fがそれぞれ収容される。
【0021】
筐体34の後面には、図示しない複数の後側ユニット収容口が形成される。複数の後側ユニット収容口は、電子装置32の高さ方向に配列される。これらの後側ユニット収容口には、後側内蔵ユニット36Rがそれぞれ収容される。
【0022】
さらに、
図2に示されるように、筐体34の上面における中央部には、上側ユニット収容口42が形成される。この上側ユニット収容口42には、中央内蔵ユニット36Mが収容される。この中央内蔵ユニット36Mは、筐体34の上面に形成された上側ユニット収容口42から当該筐体34内に収容され、前側内蔵ユニット36Fと後側内蔵ユニット36Rとの間に配置される。
【0023】
(マウントブラケット)
図2に示されるように、一対のマウントブラケット50は、電子装置32の横幅方向両側に配置される。各マウントブラケット50は、一対の前側ラック柱18及び後側ラック柱20に対してラック12の横幅方向内側に配置される。また、各マウントブラケット50は、一対の前側ラック柱18及び後側ラック柱20に掛け渡される。
【0024】
マウントブラケット50は、ブラケット本体部52と、前側フランジ部54Fと、後側フランジ部54Rと、支持レール60と、ガイドレール62と、上側支持部64とを有する。ブラケット本体部52は壁状に形成され、電子装置32の側面34Sと対向して配置される。また、ブラケット本体部52は、一対の前側ラック柱18及び後側ラック柱20に亘って配置される。
【0025】
前側フランジ部54Fは、ブラケット本体部52の前端部から前側ラック柱18の前側へ延出しており、当該前側ラック柱18の前壁部18Fに重ねられる。この前側フランジ部54Fは、前側ラック柱18の前壁部18Fに例えばビス58によって固定される。
【0026】
一方、後側フランジ部54Rは、ブラケット本体部52の後端部から後側ラック柱20の後側へ延出しており、当該後側ラック柱20の後壁部20Rに重ねられる。この後側フランジ部54Rは、後側ラック柱20の後壁部20Rに例えばビス58によって固定される。
【0027】
図3に示されるように、支持レール60は、ブラケット本体部52の下端部に沿って設けられると共に、当該下端部からラック12の横幅方向内側へ延出される。また、支持レール60の上には、電子装置32がラック12の前後方向にスライド可能に載置される。この支持レール60によって、電子装置32がラック12の収容口14からラック12内へ案内される。
【0028】
ガイドレール62は、ブラケット本体部52の上端部に沿って設けられると共に、当該上端部からラック12の横幅方向内側へ延出される。また、ガイドレール62の上には、後述する回動アーム66のスライドピン70がラック12の前後方向にスライド可能に載置される。このガイドレール62によって、スライドピン70がラック12の収容口14からラック12内へ案内される。また、ガイドレール62は、電子装置32の重心Gよりも上側に配置される。なお、スライドピン70は、スライド部の一例である。
【0029】
図4に示されるように、上側支持部64は、ガイドレール62におけるラック12の前側の前端部62Fから上側へ突出される。この上側支持部64は、後述する回動アーム66のスライドピン70に対してラック12の前側に配置される。
【0030】
(回動アーム)
図3に示されるように、一対の回動アーム66は、電子装置32の横幅方向両側に配置される。
図4に示されるように、回動アーム66は、長尺状に形成される。この回動アーム66の下端部66Lは、回動軸68を介して電子装置32の筐体34の側面34Sに連結される。
【0031】
回動軸68は、筐体34の側面34Sからラック12の横幅方向外側へ突出される。この回動軸68の中心軸は、ラック12の横幅方向に沿って配置される。また、回動軸68は、電子装置32の重心Gよりも電子装置32の前側且つ下側に配置される。この回動軸68を回動中心として、回動アーム66の下端部66Lが電子装置32に対して回動される。
【0032】
回動アーム66の上端部66Uには、スライド部の一例としてのスライドピン70が設けられる。スライドピン70は円柱状に形成される。このスライドピン70は、回動アーム66の上端部66Uからラック12の横幅方向外側へ突出され、ガイドレール62の上に載置される。また、スライドピン70の中心軸は、ラック12の横幅方向に沿って配置される。このスライドピン70を回動中心として、回動アーム66の上端部66Uが電子装置32に対して回動される。
【0033】
また、スライドピン70は、ラック12からの電子装置32の引き出しに伴ってガイドレール62に沿ってラック12の前側(矢印F側)へ移動する。そして、
図6に示されるように、ラック12から電子装置32が支持レール60に沿ってラック12の前側へ引き出された状態で、ガイドレール62の上側支持部64に係合される。この状態で、回動アーム66は上側支持部64から電子装置32の引き出し側へ向けて斜め下方(矢印K方向)に延出すると共に、ラック12の外側で電子装置32の前側を保持する。なお、回動アーム66は、保持部材の一例である。
【0034】
(上側突起部)
電子装置32の両側の側面34Sには、上側係合部の一例としての上側突起部72がそれぞれ設けられる。上側突起部72は、電子装置32の後側の側面34Sからラック12の横幅方向外側へ突出し、ガイドレール62の下側に配置される。換言すると、ガイドレール62は、上側突起部72の上側に配置される。この上側突起部72は、
図6に二点鎖線で示されるように、ラック12から電子装置32が引き出された状態で、ガイドレール62とラック12の高さ方向に係合される。なお、ガイドレール62は、上側被係合部の一例である。
【0035】
(下側突起部)
電子装置32の両側の側面34Sには、下側係合部の一例としての下側突起部74が設けられる。下側突起部74は、上側突起部72よりも下側に配置される。この下側突起部74は、電子装置32の後側の側面34Sからラック12の横幅方向外側へ突出される。なお、下側突起部は、下側係合部の一例である。
【0036】
また、支持レール60における前側には、ロック機構76が設けられる。ロック機構76は、
図7Aに示されるように、固定台78と、ロックピン82と、ロック解除部材90とを有する。なお、ロックピン82は、下側被係合部の一例である。
【0037】
固定台78は、下方が開口されたU字状に形成されており、支持レール60の上面に固定される。この固定台78の上壁部78Aには、当該上壁部78Aをラック12の高さ方向に貫通する貫通孔80が形成される。
【0038】
ロックピン82は、固定台78の貫通孔80に挿入されると共に、当該貫通孔80に沿ってラック12の高さ方向に移動可能とされる。また、ロックピン82の上端部には、ラック12からの電子装置32の引き出しに伴って下側突起部74によって押し下げられる傾斜面84が形成される。この傾斜面84は、ロックピン82の下端側から上端側に向かうに従ってラック12の前側へ位置するように傾斜される。
【0039】
ロックピン82の下端部には、固定台78の上壁部78Aの下面に係止される係止部82Aが設けられる。この係止部82Aと支持レール60との間には、コイルスプリング等の弾性体86が設けられる。この弾性体86によって、ロックピン82は固定台78の上壁部78A側へ常時付勢されており、当該上壁部78Aに係止部82Aが係止された状態で保持される。また、係止部82Aには、後述するロック解除部材90の傾斜面98によって押し下げられる突起状の被押下部88が設けられる。
【0040】
ロック解除部材90は、支持レール60の上に配置されており、当該支持レール60に沿ってラック12の前後方向に移動可能とされる。このロック解除部材90の後端部は、ガイドレール62に固定された支柱92にコイルスプリング等の弾性体94を介して連結される。この弾性体94によって、ロック解除部材90はラック12の後側へ常時付勢される。
【0041】
また、ロック解除部材90には、係合部90Aが設けられる。この係合部90Aが固定台78に係合されることにより、ロック解除部材90が弾性体94の付勢力に抗して所定位置に保持される。一方、ロック解除部材90の前端部は、作業者によって把持される把持部90Bが設けられる。この把持部90Bを作業者が弾性体94の付勢力に抗してラック12の前側へ引っ張ることにより、ロック解除部材90が支持レール60に沿ってラック12の前側へ移動する。
【0042】
また、ロック解除部材90の中央部には、ロックピン82の被押下部88が挿入される開口96が形成される。この開口96の上縁部には、ロック解除部材90のラック12の前側への移動に伴って被押下部88を押し下げる傾斜面98が形成される。傾斜面98は、被押下部88に対して後側(矢印R側)に配置される。また、傾斜面98は、ロック解除部材90の下側から上側へ向かうに従ってラック12の前側へ位置するように傾斜される。
【0043】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0044】
図4に示されるように、電子装置32は、一対の支持レール60の上に載置された状態でラック12内に収容される。この状態では、電子装置32の重心Gが支持レール60の上に位置する。この状態から、
図5に示されるように、電子装置32が一対の支持レール60に沿ってラック12の前側(矢印F側)へ引き出されると、回動アーム66のスライドピン70がガイドレール62に沿ってラック12の前側へ移動する。
【0045】
次に、ラック12の引き出しに伴ってラック12の重心Gが支持レール60における電子装置32の引き出し側(ラック12の前側)の端部60Fよりもラック12の前側へ移動されると、次のようになる。
【0046】
すなわち、二点鎖線で示されるように、支持レール60の端部60Fを支点として、電子装置32がその前端側が下側へ位置するように回動される。この際、回動アーム66は、スライドピン70及び回動軸68を回動中心として回動される。この結果、電子装置32の上側突起部72がガイドレール62の下面に接触され、ガイドレール62にラック12の高さ方向上側へ向かう押上げ力Sが作用する。そして、上側突起部72とガイドレール62の下面との間には、摩擦力Q
1(=押上げ力S×ガイドレール62の下面の摩擦係数)が発生する。
【0047】
なお、
図5に示される状態では、スライドピン70に、電子装置32から回動アーム66に沿った荷重Tが作用される。この荷重Tは、ラック12の前後方向前側へ向かう分力T
Xと、ラック12の高さ方向下側へ向かう分力T
Yとに分解される。この場合、スライドピン70とガイドレール62の上面との間には、摩擦力Q
2(=分力T
Y×ガイドレール62の上面の摩擦係数)が発生する。
【0048】
ここで、分力T
X<摩擦力Q
1+摩擦力Q
2の場合は、スライドピン70がラック12の前側へ移動せず、電子装置32がラック12内の所定位置で保持される。一方、分力T
X≧摩擦力Q
1+摩擦力Q
2の場合は、スライドピン70がラック12の前側へ移動される。
【0049】
次に、
図6に示されるように、電子装置32がラック12の前側(矢印F側)へさらに移動されると、電子装置32の後側が支持レール60の端部60Fの上に載置された状態で、スライドピン70と上側支持部64とがラック12の前後方向に係合される。
【0050】
これにより、上側支持部64によってスライドピン70のラック12の前側への移動が制限され、ラック12から電子装置32が引き出された状態で保持される。この状態では、上側支持部64から電子装置32の引き出し側へ向けて斜め下方に延出する回動アーム66によって、電子装置32がラック12の外側で保持される。また、ラック12から電子装置32が引き出された状態では、電子装置32の中央内蔵ユニット36Mがラック12から露出される。これにより、矢印Eで示されるように、中央内蔵ユニット36Mの交換等が可能になる。
【0051】
このように本実施形態では、ラック12から電子装置32が引き出された状態で、電子装置32の後側が支持レール60によって支持され、電子装置32の前側が回動アーム66によって支持される。したがって、ラック12からの引き出しに伴う電子装置32の脱落が抑制される。
【0052】
また、上側支持部64から電子装置32の引き出し側へ向けて斜め下方に延出する回動アーム66によって電子装置32を支持するため、電子装置32の重量が効率的にラック12に伝達される。
【0053】
さらに、回動アーム66は、電子装置32の重心Gよりも前側で電子装置32を保持する。これにより、本実施形態では、回動アーム66が電子装置32の重心Gよりも後側で電子装置32を保持する場合と比較して、電子装置32が安定する。
【0054】
さらにまた、回動アーム66の上端部66Uは電子装置32の重心Gよりも上側に位置し、回動アーム66の下端部66Lは電子装置32の重心Gよりも下側に位置する。そのため、本実施形態では、回動アーム66の上端部66U及び下端部66Lの何れもが電子装置32の重心Gよりも下側または上側に位置する場合と比較して、ラック12の前後方向に対する回動アーム66の傾斜角θが大きくなる。
【0055】
これにより、回動アーム66の下端部66Lに作用する電子装置32の荷重(重量)Pに起因して、回動アーム66に作用するモーメントMが小さくなる。したがって、回動アーム66の破損等が抑制される。換言すると、回動アーム66が保持可能な電子装置32の最大重量が大きくなる。そのため、電子装置32の大型化や電子装置32に対する中央内蔵ユニット36M等の高密度実装が可能になる。
【0056】
しかも、中央内蔵ユニット36Mは、前述したようにラック12から電子装置32を引き出した状態でラック12から露出する。そのため、中央内蔵ユニット36Mの保守等が容易となる。したがって、本実施形態では、電子装置32に対する内蔵ユニットの高密度実装を可能にしつつ、内臓ユニットの保守を容易にすることができる。
【0057】
また、回動アーム66が保持可能な電子装置32の最大重量は、電子装置32に対する回動アーム66の取付位置や回動アーム66の傾斜角θによって調整される。したがって、ラックマウント装置30の設計自由度が向上する。
【0058】
さらに、本実施形態では、
図7A及び
図7Bに示されるように、ラック12からの電子装置32の引き出しに伴って、下側突起部74によってスライドピン70の傾斜面84が下側へ押し下げられる。そして、
図8Aに示されるように、ラック12からの電子装置32の引き出しに伴って下側突起部74がスライドピン70を通過すると、弾性体86の付勢力によってスライドピン70が押し上げられる。これにより、下側突起部74に対するラック12の後側にスライドピン70が配置される。
【0059】
この状態で、
図6に矢印Vで示されるように、支持レール60の端部60Fを支点として電子装置32が回動されると、下側突起部74がスライドピン70とラック12の前後方向に係合される。また、この状態では、前述した上側突起部72がガイドレール62とラック12の高さ方向に係合される。これにより、電子装置32の回動が制限される。したがって、ラック12からの引き出しに伴う電子装置32の脱落がさらに抑制される。
【0060】
なお、
図8Bに示されるように、例えば、作業者によってロック解除部材90がラック12の前側へ引き出されると、ロック解除部材90の傾斜面98によってスライドピン70の被押下部88が押し下げられる。これにより、下側突起部74とスライドピン70との係合状態が解除される。この状態で、電子装置32が支持レール60に沿ってラック12内に収容される。この際、回動アーム66のスライドピン70は、ガイドレール62に沿ってラック12内に移動される。
【0061】
次に、比較例に係るラックマウント装置100と対比しながら、本実施形態に係るラックマウント装置30の作用を説明する。
【0062】
図9及び
図10には、比較例に係るラックマウント装置100が示される。このラックマウント装置100は、一対の前側ラック柱18及び後側ラック柱20に固定される外側レール102と、電子装置32の側面34Sに固定される内側レール104とを有する。
【0063】
内側レール104は、外側レール102内にスライド可能に嵌め込まれる。そして、
図10に示されるように、ラック12から電子装置32が引き出された状態では、内側レール104は、その後端部104Rを外側レール102の前端部102Fに係合させた状態で電子装置32を支持する。
【0064】
そのため、比較例に係るラックマウント装置100では、電子装置32の重量に応じて、内側レール104の後端部104Rと外側レール102の前端部102Fとのラップ部分106が長くなる。このラップ部分106が長くなると、ラック12に電子装置32が収容された状態で、内側レール104の後端部104Rが外側レール102からラック12の後側へ突出する。この場合、内側レール104の後端部104Rが、電子装置32の配線等の障害になる可能性が発生する。
【0065】
また、電子装置32の重量に応じて内側レール104及び外側レール102の断面積を大きくすると、ラック12内の電子装置32の収容スペースが狭くなる可能性がある。
【0066】
さらに、比較例に係るラックマウント装置100では、外側レール102と内側レール104との間に大きな摩擦力が発生し、外側レール102に対して内側レール104がスライドし難くなる可能性がある。この対策として、外側レール102と内側レール104との間にボールベアリング等を介在させると、ラックマウント装置100の構造が複雑化する可能性がある。
【0067】
しかも、比較例に係るラックマウント装置100では、作業者が電子装置32を支持しながら、内側レール104を外側レール102内に精度良く嵌め入れる必要がある。そのため、ラック12に電子装置32を搭載する際に、手間がかかる可能性がある。
【0068】
これに対して本実施形態では、前述したように、ラック12から電子装置32が引き出された状態で、上側支持部64から電子装置32の引き出し側へ向けて斜め下方に延出する回動アーム66によって電子装置32の前側が支持される。これにより、電子装置32の重量が効率的にラック12に伝達される。したがって、回動アーム66の断面積を小さくすることができるため、ラック12内の電子装置32の収容スペースを広げることができる。また、電子装置32の大型化や電子装置32に対する前側内蔵ユニット36F等の高密度実装が可能になる。
【0069】
また、本実施形態では、
図11に示されるように、電子装置32の後側を支持レール60の端部60Fに載置した状態で、作業者が電子装置32をラック12内へ押し込むことにより(矢印N)、上側突起部72がガイドレール62の下側に配置される。したがって、本実施形態では、比較例に係るラックマウント装置100と比べて、ラック12に電子装置32を容易に搭載することができる。
【0070】
次に、上側保持部及び回動アームの変形例について説明する。
【0071】
図12A及び
図12Bに示されるように、上側支持部材110は、ラック12に着脱可能に取り付けられても良い。これと同様に、回動アーム116は、ラック12及び電子装置32に着脱可能に取り付けられても良い。
【0072】
具体的には、上側支持部材110は、フランジ部112と、引掛け部114とを有する。フランジ部112は、板状に形成されており、前側ラック柱18の前壁部18Fに重ねられた状態で、当該前壁部18Fにビス58で着脱可能に取り付けられる。
【0073】
引掛け部114は、L字状に形成される。この引掛け部114は、フランジ部112からラック12の前側に延出するアーム部114Aと、アーム部114Aの先端部からラック12の上側へ延出する上側支持部114Bとを有する。
【0074】
回動アーム116は、引掛け部114に対するラック12の横幅方向内側に配置される。この回動アーム116の下端部116Lには、取付孔120が形成される。この取付孔120に電子装置32の側面34Sから突出する回動軸118が挿入されることにより、回動アーム116の下端部116Lが電子装置32に取り付けられる。これにより、回動軸118を中心として、回動アーム116の下端部116Lが電子装置32に対して回動される。
【0075】
一方、回動アーム116の上端部116Uには、回動軸122が設けられる。この回動軸122は、回動アーム116の上端部116Uからラック12の横幅方向外側へ突出し、上側支持部材110の引掛け部114に引っ掛けられる。この回動軸122を中心として、回動アーム116の上端部116Uが引掛け部114に対して回動される。
【0076】
この変形例では、例えば、ラック12から電子装置32が引き出される際に、ラック12及び電子装置32に上側支持部材110及び回動アーム116が取り付けられる。そのため、ラック12に複数の電子装置32が搭載される場合には、複数の電子装置32の間で、上側支持部材110及び回動アーム116の使い回しが可能になる。したがって、上側支持部材110及び回動アーム116の部品コストが削減される。
【0077】
なお、
図13に示される変形例では、電子装置32の側面34Sには、回動アーム116を所定の傾斜角度で保持する保持ピン124が設けられる。この変形例では、回動アーム116が取り付けられた電子装置32がラック12から引き出されることにより、二点鎖線で示されるように、回動アーム116の回動軸122が上側支持部材110の引掛け部114に引っ掛けられる。したがって、引掛け部114に回動アーム116の回動軸122を容易に引っ掛けることができる。
【0078】
また、
図14に示されるように、上側支持部材126は、ビス58(
図12A参照)ではなく、フランジ部112から突出する爪部128によって前側ラック柱18に取り付けられても良い。
【0079】
次に、
図15に示される変形例では、ラック12から電子装置32が引き出された状態で、保持部材の一例としての線状部材130によって電子装置32が保持される。線状部材130は、例えば、ワイヤ等に形成される。この線状部材130の一端部には、取付ブラケット132が設けられる。
【0080】
取付ブラケット132には、取付孔134が形成される。この取付孔134に電子装置32の側面34Sから突出する回動軸118が挿入されることにより、線状部材130が電子装置32に取り付けられる。これにより、回動軸118を中心として、線状部材130の一端部が電子装置32に対して回動される。
【0081】
一方、線状部材130の他端部には、取付フック部136が設けられる。取付フック部136は、U字状に形成される。この取付フック部136は、前側ラック柱18の取付開口22の下縁部22Aに引っ掛けられる。これにより、取付開口22の下縁部22Aを中心として、線状部材130の他端部が前側ラック柱18に対して回動される。なお、取付開口22の下縁部22Aは、上側支持部の一例である。
【0082】
ここで、線状部材130は、ラック12から電子装置32が引き出される際に、電子装置32及び前側ラック柱18に取り付けられる。この線状部材130は、ラック12に電子装置32が収容された状態では湾曲される。
【0083】
一方、ラック12から電子装置32が引き出された状態では、線状部材130が直線状となる。この状態で、線状部材130は、取付開口22の下縁部22Aから電子装置32の引き出し側へ向けて斜め下方に延出し、ラック12の外側で電子装置32を保持する。したがって、上記実施形態と同様に、ラック12からの電子装置32の脱落が抑制される。
【0084】
次に、
図16に示される変形例では、ラック12から電子装置32が引き出された状態で、保持部材の一例としての回動アーム140によって電子装置32が保持される。
【0085】
具体的には、一対の前側ラック柱18と後側ラック柱20(
図2参照)との間には、横フレーム138が掛け渡される。また、電子装置32の側面34Sには、当該側面34Sから突出する被保持ピン146が設けられる。なお、被保持ピン146は、被保持部の一例である。
【0086】
回動アーム140の上端部140Uは、回動軸142を介して横フレーム138における電子装置32の引き出し側(ラック12の前側)の端部138Aに連結される。これにより、回動軸142を中心として、回動アーム140の上端部140Uが前側ラック柱18に対して回動される。なお、横フレーム138の端部138Aは、上側支持部の一例である。
【0087】
回動アーム140の下端部140Lには、フック部144が設けられる。フック部144は、L字状に形成される。このフック部144は、二点鎖線で示されるように、ラック12に電子装置32が収容された状態で、被保持ピン146に対するラック12の前側に配置される。
【0088】
ここで、フック部144には、ラック12からの電子装置32の引き出しに伴って、被保持ピン146に引っ掛けられる。この状態で、ラック12から電子装置32がさらに引き出されると、回動アーム140の上端部140Uが回動軸142を中心として回動する。そして、ラック12から電子装置32が引き出された状態では、回動アーム140が横フレーム138の端部138Aから電子装置32の引き出し側へ向けて斜め下方に延出し、ラック12の外側で被保持ピン146を保持する。したがって、上記実施形態と同様に、ラック12からの電子装置32の脱落が抑制される。
【0089】
なお、
図17に示される変形例では、回動アーム150は、上側リンク部材152と下側リンク部材154とを有する。上側リンク部材152の上端部は、回動軸142を介して横フレーム138の端部138Aに連結される。
【0090】
下側リンク部材154の上端部は、回動軸156を介して上側リンク部材152の下端部に連結される。これにより、上側リンク部材152と下側リンク部材154とが互いに回転可能とされる。この下側リンク部材154の下端部には、フック部144が設けられる。
【0091】
ここで、回動アーム150は、ラック12に電子装置32が収容された状態では、二点鎖線で示されるように、上側リンク部材152と下側リンク部材154とが所定の角度θを成すように屈曲される。したがって、本変形例では、回動アーム150の収容スペースを小さくすることができる。
【0092】
一方、ラック12から電子装置32が引き出された状態では、上側リンク部材152と下側リンク部材154とが直線状に配列される。そして、回動アーム150が横フレーム138の端部138Aから電子装置32の引き出し側へ向けて斜め下方に延出し、ラック12の外側で被保持ピン146を保持する。したがって、上記実施形態と同様に、ラック12からの電子装置32の脱落が抑制される。
【0093】
次に、ロック機構の変形例について説明する。
【0094】
図18Aに示されるロック機構160は、ロック用レール162と、回転ロック部材166とを備える。ロック用レール162は、ラック12の前後方向に延びると共に、支持レール60の上に配置される。
【0095】
また、このロック用レール162における電子装置32の引き出し側(ラック12の前側)の端部162Fは、支持レール60の端部60Fよりもラック12の後側に配置される。これにより、ロック用レール162の端部162Fと支持レール60の端部60Fとの間に段差部164が形成される。なお、段差部164は、下側被係合部の一例である。
【0096】
回転ロック部材166は、長尺状に形成されており、ロック用レール162に対するラック12の横幅方向内側に配置される。この回転ロック部材166における電子装置32の引き出し側(ラック12の前側)の一端部(前端部)166Fは、電子装置32の後側の側面34Sに回動軸168を介して連結される。この回動軸168を中心として、回転ロック部材166の一端部166Fが電子装置32に対して回動される。
【0097】
一方、回転ロック部材166における電子装置32の引き出し側と反対側(ラック12の後側)の他端部(後端部)166Rには、スライドロック部170が設けられる。スライドロック部170は、回転ロック部材166の他端部166Rからラック12の横幅方向外側へ突出し、ロック用レール162の上に載置される。このスライドロック部170は、ラック12からの電子装置32の引き出しに伴ってロック用レール162に沿ってラック12の前側へ移動する。
【0098】
そして、
図18Bに示されるように、ラック12から電子装置32が引き出された状態では、矢印Jで示されるように、スライドロック部170がロック用レール162の端部162Fから自重により落下し、段差部164に落とし込まれる。この状態で、矢印Vで示されるように、支持レール60の端部60Fを支点として電子装置32が回動すると、スライドロック部170が段差部164とラック12の前後方向に係合される。これにより、電子装置32の回動(矢印V方向)が制限され、ラック12からの電子装置32の脱落が抑制される。
【0099】
一方、ラック12に電子装置32を収容する際には、作業者が回転ロック部材166の他端部166Rを持ち上げ、スライドロック部170と段差部164との係合状態を解除する。これにより、ラック12内に電子装置32が収容可能になる。なお、スライドロック部170は、下側係合部の一例である。
【0100】
次に、
図19Aに示されるロック機構180は、ロック用レール162と、ロックピン182とを備える。なお、ロックピン182は、下側係合部の一例である。
【0101】
ロックピン182は、電子装置32の後側の側面34Sに、一対のブラケット184を介してラック12の高さ方向にスライド可能に取り付けられる。このロックピン182は、ラック12内に電子装置32が収容された状態で、ロック用レール162の上に載置される。また、ロックピン182の上端部には、抜け留め用の係止部182Aが設けられる。この係止部182Aは、ラック12の高さ方向に配列された一対のブラケット184のうち、上側のブラケット184に係止される。
【0102】
ロックピン182は、ラック12からの電子装置32の引き出しに伴ってロック用レール162に沿ってラック12の前側へ移動する。そして、
図19Bに示されるように、ラック12から電子装置32が引き出された状態では、矢印Jで示されるように、スライドロック部170がロック用レール162の端部162Fから自重により落下し、段差部164に落とし込まれる。これにより、ロックピン182の係止部182Aが上側のブラケット184に係止される。
【0103】
この状態で、矢印Vで示されるように、支持レール60の端部60Fを支点として電子装置32が回動すると、ロックピン182の下端部が段差部164とラック12の前後方向に係合される。これにより、電子装置32の回動(矢印V方向)が制限され、ラック12からの電子装置32の脱落が抑制される。
【0104】
一方、ラック12に電子装置32を収容する際には、作業者が係止部182Aを持ち上げ、ロックピン182と段差部164との係合状態を解除する。これにより、ラック12内に電子装置32が収容可能になる。
【0105】
次に、
図20Aに示されるロック機構190は、ロックピン192と、一対のブラケット194と、弾性体196とを備える。なお、ロックピン192は、下側被係合部の一例である。
【0106】
ロックピン192は、前側ラック柱18に、一対のブラケット194を介してラック12の高さ方向にスライド可能に取り付けられる。また、ロックピン192には、コイルスプリング等の弾性体196が取り付けられる。
【0107】
弾性体196は、上側のブラケット194とロックピン192に設けられたフランジ部198との間に圧縮された状態で配置される。この弾性体196によって、ロックピン192が下方へ常時付勢される。
【0108】
また、ロックピン192の上端部には、作業者によって上方へ持ち上げられる操作部192Aが設けられる。一方、ロックピン192の下端部には、傾斜面200が形成される。傾斜面200は、ラック12内に電子装置32が収容された状態で下側突起部74に対するラック12の前側に位置する。この傾斜面200は、ロックピン192の下端側から上端側に向かうに従ってラック12の後側へ位置するように傾斜される。
【0109】
ここで、
図20Bに示されるように、傾斜面200は、ラック12からの電子装置32の引き出しに伴って、下側突起部74によって押し上げられる。そして、
図20Cに示されるように、ラック12から電子装置32が引き出された状態では、ロックピン192が下側突起部74を乗り越え、ロックピン192が下側突起部74に対するラック12の後側へ配置される。
【0110】
この状態で、矢印Vで示されるように、支持レール60の端部60Fを支点として電子装置32が回動すると、下側突起部74がロックピン192の下端部とラック12の前後方向に係合される。これにより、電子装置32の回動(矢印V方向)が制限され、ラック12からの電子装置32の脱落が抑制される。
【0111】
一方、ラック12に電子装置32を収容する際には、作業者が操作部192Aを持ち上げ、下側突起部74とロックピン192との係合状態を解除する。これにより、ラック12内に電子装置32が収容可能になる。
【0112】
また、一対のブラケット194は前側ラック柱18に着脱可能に取り付けられる。そのため、複数の電子装置32の間で、一対のブラケット194及びロックピン192の使い回しが可能になる。したがって、一対のブラケット194及びロックピン192の部品コストが削減される。
【0113】
次に、
図21Aに示されるロック機構210は、ブラケット212と、回転ロック板214とを備える。なお、回転ロック板214は、下側被係合部の一例である。
【0114】
ブラケット212は、前側ラック柱18の前壁部18Fに図示しないビス等によって固定される。このブラケット212には、ラック12の横幅方向に延びる回動軸216を介して回転ロック板214が取り付けられる。この回転ロック板214は、図示しないストッパ機構により、
図21Cに示される略鉛直状態からラック12の後側への回動が制限される。
【0115】
回転ロック板214は、ラック12内に電子装置32が収容された状態で、下側突起部74に対するラック12の前側に位置する。そして、ラック12からの電子装置32の引き出しに伴って、矢印aで示されるように、下側突起部74によってラック12の前側へ押圧される。そして、
図21Bに示されるように下側突起部74が回転ロック板214の下側を通過し、ラック12から電子装置32が引き出された状態になると、矢印bで示されるように自重により回転ロック板214が下側突起部74に対するラック12の後側へ回動される。
【0116】
この状態で、矢印Vで示されるように、支持レール60の端部60Fを支点として電子装置32が回動すると、下側突起部74が回転ロック板214とラック12の前後方向に係合される。これにより、電子装置32の回動(矢印V方向)が制限され、ラック12からの電子装置32の脱落が抑制される。
【0117】
また、ブラケット212は前側ラック柱18に着脱可能に取り付けられる。そのため、複数の電子装置32の間で、ブラケット212及び回転ロック板214の使い回しが可能になる。したがって、ブラケット212及び回転ロック板214の部品コストが削減される。
【0118】
次に、上側係合部の変形例について説明する。
【0119】
図22Aに示されるように、上側係合部材220は、断面L字形状に形成される。この上側係合部材220は、フランジ部222と、張出し部224とを有する。なお、張出し部224は、上側係合部の一例である。
【0120】
フランジ部222は、電子装置32の後側の側面34Sにビス226によって固定される。張出し部224は、フランジ部222の上端部からラック12の横幅方向外側へ張り出し、ガイドレール62の下側に配置される。
【0121】
ここで、張出し部224の上面は、ラック12に電子装置32が収容された状態で、ガイドレール62の後端側の下面とラック12の高さ方向に係合される係合面224Aとされる。これにより、例えば、地震時やラック12の輸送時における電子装置32の振動が抑制される。
【0122】
また、
図22Bに示されるように、張出し部224の係合面224Aは、ラック12から電子装置32が引き出された状態で、ガイドレール62の前端側の下面とラック12の高さ方向に係合される。これにより、矢印Vで示されるように、支持レール60の端部60Fを支点とした電子装置32の回動が制限される。したがって、ラック12からの電子装置32の脱落が抑制される。また、張出し部224の係合面224Aはガイドレール62の下面に面接触させるため、電子装置32の回動がより確実に制限される。
【0123】
なお、張出し部224の係合面224Aは、ガイドレール62とは別の部材に係合されても良い。また、ラック12の前側及び後側には、張出し部224の係合面224Aと係合される部材が別々に設けられても良い。
【0124】
次に、
図23A及び
図23Bを参照しながら、電子装置32の側面34Sに設けられる下側突起部230と上側突起部232との位置関係について補足する。
【0125】
なお、
図23A及び
図23Bでは、支持レール60とガイドレール62との間隔がDで示される。また、下側突起部230における支持レール60との接触部230Aと上側突起部232におけるガイドレール62との接触部232Aとの間隔がL
1で示される。さらに、下側突起部230の接触部230Aから上側突起部232の接触部232Aまでの高さがL
2で示される。
【0126】
図23Aに示されるように、下側突起部230と上側突起部232とは、ラック12の前後方向にずらされる。これにより、接触部230A,232A間の間隔L
1が支持レール60とガイドレール62との間隔Dよりも広くなる(D<L
1)。この場合、
図23Bに矢印Vで示されるように、支持レール60の端部60Fを支点として電子装置32が回動されたときに、下側突起部230及び上側突起部232の接触部230A,232Aが支持レール60及びガイドレール62にそれぞれ圧接され易くなる。これにより、電子装置32の回動が制限されるため、ラック12からの電子装置32の脱落が抑制される。
【0127】
また、下側突起部230と上側突起部232とがラック12の前後方向にずらされることにより、接触部230Aから接触部232Aまでの高さL
2が支持レール60とガイドレール62との間隔Dよりも短くなる(L
2<D)。これにより、作業者が電子装置32をラック12に搭載する際に、支持レール60とガイドレール62との間に下側突起部230及び上側突起部232を挿入し易くなる。したがって、作業者がラック12に電子装置32を搭載し易くなる。
【0128】
このように上側突起部232と下側突起部230とがラック12の前後方向にずらされることにより、ラック12からの電子装置32の脱落が抑制されると共に、ラック12に電子装置32を搭載し易くなる。
【0129】
なお、上記実施形態では、電子装置32がラック12の前側から引き出されるが、電子装置32はラック12の後側から引き出されても良い。この場合、電子装置32の引き出し側は、ラック12の後側となる。
【0130】
また、上記実施形態における上側突起部72及びロック機構76の少なくとも一方は、省略されても良い。
【0131】
以上、本願が開示する技術の一実施例について説明したが、本願が開示する技術は上記の実施例に限定されるものでない。また、上記実施例及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本願が開示する技術の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0132】
なお、以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0133】
(付記1)
ラックに設けられ、該ラックの前後方向に延びる支持レールと、
前記支持レールに沿って前記ラック内に収容されると共に該支持レールに支持される電子装置と、
前記ラックに設けられ、前記支持レールよりも上側に配置される上側支持部と、
前記電子装置が前記ラックから前記支持レールに沿って引き出された状態で、前記上側支持部から前記電子装置の引き出し側へ向けて斜め下方に延出し、前記ラックの外側で前記電子装置を保持する保持部材と、
を備えるラックマウント装置。
(付記2)
前記保持部材は、前記電子装置の重心よりも該電子装置の引き出し側で該電子装置を保持する、
付記1に記載のラックマウント装置。
(付記3)
前記上側支持部は、前記電子装置の重心よりも上側に配置され、
前記保持部材は、前記電子装置の重心よりも下側で該電子装置を保持する、
付記1または付記2に記載のラックマウント装置。
(付記4)
前記電子装置の側面における上部に設けられ、該電子装置の重心よりも後側に位置する上側係合部と、
前記ラックに設けられ、該ラックから前記電子装置が引き出された状態で前記上側係合部の上側に位置する上側被係合部と、
を備える付記1〜付記3の何れか1つに記載のラックマウント装置。
(付記5)
前記上側係合部は、前記電子装置の側面から突出する上側突起部とされる、
付記4の記載のラックマウント装置。
(付記6)
前記電子装置の側面における下部に設けられ、該電子装置の重心よりも後側に位置する下側係合部と、
前記ラックに設けられ、該ラックから前記電子装置が引き出された状態で前記下側係合部の後側に位置する下側被係合部と、
を備える付記1〜付記5の何れか1つに記載のラックマウント装置。
(付記7)
前記下側係合部は、前記電子装置の側面から突出する下側突起部とされる、
付記6の記載のラックマウント装置。
(付記8)
前記ラックに設けられ、前記支持レールの上に配置されると共に前記ラックの前後方向に延びるロック用レールと、
前記電子装置の側面に、一端部が回動軸を介して連結される回転ロック部材と、
を備え、
前記下側係合部は、前記回転ロック部材の他端部に設けられ、前記電子装置の引き出しに伴って前記ロック用レールに沿って移動するスライドロック部とされ、
前記下側被係合部は、前記ロック用レールに設けられ、前記電子装置の引き出しに伴って前記スライドロック部が落とし込まれる段差部とされる、
付記6または付記7に記載のラックマウント装置。
(付記9)
前記保持部材は、前記上側支持部及び前記電子装置の各々に対し、前記ラックの横幅方向を回動中心として回動する、
付記1〜付記8の何れか1つに記載のラックマウント装置。
(付記10)
前記支持レールは、前記電子装置を前記ラックの前面側から該ラック内へ案内する、
付記1〜付記9の何れか1つに記載のラックマウント装置。
(付記11)
前記支持レールは、前記ラックから前記電子装置が引き出された状態で該電子装置の後側を支持する、
付記1〜付記10の何れか1つに記載のラックマウント装置。
(付記12)
前記ラックに設けられ、前記支持レールの上に配置されると共に前記ラックの前後方向に延びるガイドレールを備え、
前記保持部材は、下端部が前記電子装置の側面に回動軸を介して連結される回動アームとされ、
前記回動アームの上端部には、前記電子装置の引き出しに伴って前記ガイドレールに沿って移動するスライド部が設けられ、
前記上側支持部は、前記スライド部に対して前記ラックの引き出し側に配置され、前記ラックから前記電子装置が引き出された状態で前記スライド部と係合する、
付記1〜付記11の何れか1つに記載のラックマウント装置。
(付記13)
前記上側支持部は、前記ガイドレールに設けられる、
付記12に記載のラックマウント装置。
(付記14)
前記電子装置の側面から突出する被保持部を備え、
前記保持部材は、上端部が前記上側支持部に回動軸を介して連結される回動アームとされ、
前記回動アームの下端部には、前記被保持部に対して前記ラックの引き出し側に配置され、前記電子装置の引き出しに伴って前記被保持部に引っ掛かるフック部が設けられる、
付記1〜付記11の何れか1つに記載のラックマウント装置。
(付記15)
前記回動アームは、前記上側支持部に連結される上側リンク部材と、前記上側リンク部材に回動軸を介して連結される下側リンク部材と、を有する、
付記14に記載のラックマウント装置。
(付記16)
前記保持部材は、下端部が前記電子装置の側面に取り付けられ、上端部が前記上側支持部に取り付けられる線状部材とされる、
付記1〜付記11の何れか1つに記載のラックマウント装置。
(付記17)
前記線状部材の前記上端部には、前記上側支持部に引っ掛けられる取付フック部が設けられる、
付記16に記載のラックマウント装置。
(付記18)
前記ラックは、該ラックの前後方向に互いに対向すると共に、前記電子装置の横幅方向両側にそれぞれ配置される一対の前側ラック柱及び後側ラック柱を有し、
前記支持レールは、前記電子装置の横幅方向両側に配置される前記一対の前側ラック柱及び後側ラック柱にそれぞれ架け渡される、
付記1〜付記17の何れか1つに記載のラックマウント装置。
(付記19)
前記上側支持部は、前記前側ラック柱に着脱可能に取り付けられ、
前記保持部材は、前記上側支持部及び前記電子装置に着脱可能に取り付けられる、
付記18の記載のラックマウント装置。
(付記20)
前記電子装置は、筐体と、前記筐体の上面から該筐体内に収容される内蔵ユニットとを有する、
付記1〜付記19の何れか1つに記載のラックマウント装置。