(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
モータのロータコアとしては、例えば
図8に示すような構成が知られている。この構成においては、ロータコア本体31にその外周縁に沿って複数の収容孔32が形成され、それらの収容孔32には永久磁石33が収容されている。各収容孔32の内面と永久磁石33の外面との間には、永久磁石33を収容状態に固定するための固定材34が充填されている。この固定材34としては、一般には熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂が用いられている。
【0003】
そして、このロータコアを製造する場合には、従来は
図9に示す工程に従って加工が行われる。
すなわち、第1の工程35においては、金属板からコア板がプレス成形されるとともに、そのコア板が多数枚積層されることによって、ロータコア本体31が形成される。第2の工程36においては、ロータコア本体31の各収容孔32に永久磁石33が挿入されて収容される。第3の工程37においては、永久磁石33を収容したロータコア本体31が加熱炉等を用いて、150℃程度に加熱される。これは、永久磁石33を収容状態に固定するための固定材34として、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を使用するためであって、固定材34の充填に先立ってロータコア本体31及び永久磁石33の予備加熱を必要とするためである。
【0004】
第4の工程38においては、このロータコア本体31及び永久磁石33の加熱状態で、成形型を用いて各収容孔32の内面と永久磁石33の外面との間に、溶融状態の固定材34が充填される。そして、この固定材34の熱硬化によって、永久磁石33が収容孔32に対する収容状態に固定される。第5の工程39においては、永久磁石33を収容固定したロータコアが冷却炉等を用いて常温まで冷却される。
【0005】
以上の第1〜第5の工程を経てロータコアが製造され、その後、ロータ軸の組み付け等の各種の工程が施される。
さらに、従来技術として特許文献1〜4が存在する。
【0006】
特許文献1及び特許文献2には、磁石を収容孔内に固定するための固定材として前記エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることが開示されている。
特許文献3においては、熱硬化性樹脂は用いないが、永久磁石が2つ以上に分割され、分割状態で収容孔内に挿入された一対の永久磁石間に発泡樹脂シートが介在される。そして、その発泡樹脂シートが膨張されて、永久磁石が収容孔の内周面に押し付けられ、これによって永久磁石がロータコア本体に固定されるようにしている。
【0007】
特許文献4においては、熱硬化性樹脂が用いられず、磁石埋め込み部と永久磁石とがLCP(液晶ポリマー)よりなる熱可塑性樹脂によって成形固定されることが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述した一般的な従来技術や特許文献1及び特許文献2の技術においては、固定材として前記のように熱硬化性樹脂が用いられ、ロータコア本体を例えば摂氏150度に加熱した状態で収容孔内に熱硬化性樹脂が充填される。このため、ロータコア本体の加熱のために多大なエネルギーを要するだけではなく、加熱と冷却とのための時間も要し、サイクルタイムが長くなる。さらには、熱硬化性樹脂の熱硬化は化学反応であるため、その硬化にも時間がかかる。これらのことから、固定材として熱硬化性樹脂を用いることはロータコアの製造効率の低下を招く。
【0010】
また、永久磁石33は温度低下すると着磁容易軸の直交軸に対して膨張し、温度上昇すると収縮する特性がある。このため、ロータコア本体31が加熱されると、ロータコア本体31は熱膨張されるが、永久磁石33は収縮される。従って、加熱状態では収容孔32の内面と永久磁石33との間の間隔が広がり、この広がった間隔内に熱硬化性樹脂が充填される。そして、熱硬化性樹脂が充填された後に、ロータコア本体31が冷却されると、ロータコア本体31は収縮されるが、永久磁石33は、
図8に矢印で示すように膨張される。このため、硬化された熱硬化性樹脂を介してロータコア本体31が変形されて、特に、薄肉部311が大きく外周側に向かって変形して、ロータコア本体31とそのロータコア本体31の外周側のステータとの間の間隔が所定値から変化して、回転電機としての特性が低下するおそれがある。
【0011】
さらに、固定材を構成するエポキシ樹脂は靭性が乏しい。その結果、エポキシ樹脂が前述したロータコア本体31の収縮及び永久磁石33の伸長に起因する挟圧作用を受けたり、回転電機としてロータコアの回転使用時等においてヒートショックあるいは物理的ストレスを受けたりすると、固定材にクラックが生じるおそれがある。そのため、ロータコア本体の側面に蓋を設けて、割れた固定材の飛散を防止するための対策が必要になる場合もある。このような場合は、ロータの大型化と大重量化とに直結し、回転電機の作動効率の低下を招く結果となる。
【0012】
さらに、熱硬化性樹脂の充填に要する時間を短くするためには、射出ノズルの口径を大きくすることが考えられるが、このようにすれば、熱硬化性樹脂の硬化後におけるノズル部分の熱硬化性樹脂の切り離しに大きなトルクを要するため、その切り離しが困難になる。加えて、射出ノズルの大口径化により、切り離し部分の熱硬化性樹脂の硬化に時間がかかって、製造のサイクルタイムが長くなったり、硬化によって廃棄される熱硬化性樹脂のカルの量が増えて材料ロスの割合が高くなったりする。
【0013】
特許文献3の技術においては、熱硬化性樹脂を用いないために、熱硬化性樹脂の使用に起因する問題は生じないが、この特許文献3においては、発泡樹脂の膨張圧力を利用して永久磁石を固定するようにしているため、永久磁石が収容孔の内周面に強く圧接される。そして、発泡樹脂の発泡による膨張量は金属や熱硬化性樹脂の膨張収縮量や磁石の膨張量より大きいため、場合によっては固定材として熱硬化性樹脂を用いた場合よりロータコア本体が変形しやすい。従って、この場合も、回転電機としての特性が低下するおそれがある。
【0014】
特許文献4においては、熱硬化性樹脂を用いず、永久磁石をLCPよりなる熱可塑性樹脂によって固定するということが開示されているが、LCPに関するその他の条件は開示されていない。
【0015】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、コアの製造工程を簡略化することができるとともに、コアの変形等を抑制することができる回転電機のコアの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するために、本発明は、コア本体に形成された収容孔に永久磁石を収容した後に、収容孔の内面と永久磁石の外面との間に固定材を充填する回転電機のコアの製造方法において、前記固定材として液晶ポリマーを用い、その液晶ポリマーの充填速度を1秒間に100〜300ミリメートルとすることを特徴としている。
【0017】
このような方法を採用すれば、固定材の充填に先立って、コア本体及び永久磁石を高い温度に加熱したり、加熱後に冷却したりすることが不要になる。このため、製造工程を簡略化することができるとともに、エネルギーロスを低減できる。また、温度変化が小さいために、コア本体や永久磁石に伸びや収縮が発生することはほとんどなく、コアの変形を抑制できて、高精度なコアを得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
前記の回転電機のコア及びその製造方法によれば、製造工程を簡略化できるとともに、高精度なコアを得ることができるという効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に従って説明する。
(ロータコア10の構成)
はじめに、ロータコア10の構成を説明する。
【0021】
図1及び
図2に示すように、ロータコア10のロータコア本体(以下、コア本体という)11は、複数枚のコア板111を積層することにより構成されている。コア本体11の中心部には、図示しないロータ軸を挿通するための軸孔12が形成されている。コア本体11の外周部には、平面細長形状の複数の収容孔13が2個ずつ隣接状態で対をなすように形成されている。各収容孔13には、板状の永久磁石14がコア板111の積層方向に延びるように収容されている。
【0022】
前記各収容孔13の内面と永久磁石14の外面との間の間隔部には、固定材15が充填されている。この固定材15としては、常温で固化可能な熱可塑性樹脂である液晶ポリマー(LCP:Liquid Crystal Polymer)、より具体的には液晶ポリエステルが用いられている。この液晶ポリエステルとしては、周知の各種の成分と直鎖状にエステル結合させた周知の芳香族ポリエステル系樹脂,例えばサーモトロピック液晶に属する全芳香族ポリエステルが用いられる。そして、この固定材15の充填及び固化によって、永久磁石14が収容孔13に対する収容状態においてコア本体11と一体的に固定されている。
【0023】
(成形型20の構成)
次に、コア本体11の収容孔13内に固定材15としての液晶ポリマー、すなわち液晶ポリエステルを充填させるための成形型20の構成を説明する。
【0024】
図3及び
図4に示すように、前記成形型20は、コア本体11を載置支持する基台21と、基台21上のコア本体11の外周を包囲する環状の外枠22と、コア本体11の上面に接合される上枠23と、射出装置30とを備えている。
図5に示すように、外枠22は複数の分割片221によって構成されている。各分割片221は作動装置24によってコア本体11の中心を中心とした半径線上において移動される。
【0025】
図6に示すように、作動装置24は油圧シリンダ25とチェックバルブ26とを備えている。
図3及び
図4に示すように、上枠23は、その内部に、溶融状態の固定材15の通路231と、加熱部232と、加熱部232の下側に位置する冷却部233とを備えている。また、上枠23には通路231の下流端において通路231の一部を構成するノズル234が設けられている。ノズル234のノズル孔235は、前記基台21上に設置されたコア本体11の収容孔13の位置に対応して配置されている。ノズル孔235の口径αは0.5〜2.0mmの値に設定され、好ましくは0.5〜1.0mmに設定される。
【0026】
そして、射出装置30からの液晶ポリエステルよりなる固定材15は通路231を通り、加熱部232で温度低下が抑制されながらノズル孔235から収容孔13内に充填される。なお、加熱部232の温度は冷却部233においてブロックされて、コア本体11側へはほとんど伝達されないようになっている。
【0027】
(ロータコア10の製造方法)
次に、ロータコア10の製造方法について説明する。
ロータコア10を製造する場合には、
図7に示すように、第1〜第3の工程が実行される。第1の工程17においては、電磁鋼板等の磁性体からコア板111がプレス成形されるとともに、そのコア板111が多数枚積層されてコア本体11が形成される。第2の工程18においては、コア本体11の各収容孔13に永久磁石14が挿入されて収容される。第3の工程19においては、前記成形型20を用いて、各収容孔13の内面と永久磁石14の外面との間の間隔部に、液晶ポリマーよりなる固定材15が充填される。そして、この固定材15が常温で固化されることにより、永久磁石14が収容孔13に対する収容状態に固定される。
【0028】
すなわち、前記第3工程において、コア本体11は基台21上において外枠22によって外周から包囲された状態で、成形型20内にセットされる。このとき、成形型20はその温度が摂氏40〜80度、好ましくは40〜50度の範囲内に維持され、コア本体11及び永久磁石14も同温度に維持される。
【0029】
そして、射出装置30によって上枠23の通路231及びノズル孔235を介して、コア本体11における各収容孔13の内面と永久磁石14の外面との間の間隔部に固定材15が溶融状態で充填される。このとき、前記加熱部232により、液晶ポリマーよりなる固定材15は摂氏300〜380度に維持されて、低い粘性が維持され、良好な流動性が確保される。そして、上枠23の冷却部233によりコア本体11の過熱が防止され、コア本体11が摂氏40〜80度に維持される。
【0030】
この固定材15の充填時には、液晶ポリエステルよりなる固定材15の溶融粘度が、シェア速度1000sec
-1において、1.2〜8.0パスカル秒(以下、単にPa・sという)、好ましくは1.2〜3.5Pa・sに調整される。なお、固定材15の粘度は低いほど好ましいが、言い換えれば0Pa・sに近いほど好ましいが、現段階ではそのような液晶ポリマーは入手し得ないため、1.2Pa・sを下限とした。そして、固定材15の収容孔13内における充填速度(流速)が、1秒当たり100〜300mm、好ましくは1秒当たり150〜300mmに調整される。このため、コア本体11及び永久磁石14の温度が高温でなくても、固定材15の粘度が高くなることを防止できて、充填を円滑に実行できる。ちなみに、液晶ポリマーは流動速度が速いほど低粘度になり、遅くなると高粘度になる。
【0031】
そして、収容孔13内における固定材15の充填圧が5〜30メガパスカル(MPa)となるように固定材15の射出圧力が設定される。このため、固定材15が収容孔13内に適切に充填される。
【0032】
そして、固定材15に用いられる液晶ポリマーは、常温でも固化するため、収容孔13内において流動が停止されると、摂氏40〜80度の温度で固化される。従って、固定材15の充填に先立ってコア本体11及び永久磁石14を高温状態に予備加熱したり、固定材15の充填後にコア本体11及び永久磁石14を冷却したりする必要はない。よって、コア本体11の製造工程が簡略化される。
【0033】
また、コア本体11や永久磁石14の温度が低いために、固定材15の充填後の冷却は不要であるが、仮に冷却を行うとしても、その冷却時間を短縮できて、工程の簡略化が可能になる。
【0034】
また、このコア本体11の製造過程においては、永久磁石14が高い温度に加熱されたり、冷却されたりしないため、温度変化により永久磁石14に収縮や伸びが発生することはほとんどない。よって、従来技術とは異なって、コア本体11の薄肉部112等に大きな応力が発生するおそれはなく、その薄肉部112等が変形しやすくなることを防止することができる。
【0035】
なお、成形型20の分割片221よりなる外枠22は、以下の定寸式及び定圧式のいずれかの態様で制御される。
すなわち、定寸式においては、油圧シリンダ25により分割片221がコア本体11の外周の所定位置に配置される。そして、コア本体11のコア板111が外側に移動されようとして、分割片221に外側への移動力が作用した場合は、チェックバルブ26の作用により分割片221の後退が阻止される。このため、コア板111が積層位置を維持し、この状態で固定材15の充填と固化とが実行される。
【0036】
定圧式においては、分割片221が油圧シリンダ25による所定の圧力でコア本体11の外周を押圧する。このため、コア板111の移動が阻止され、この状態で固定材15の充填と固化とが実行される。
【0037】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)コア本体11に形成された収容孔13に永久磁石14が収容されるとともに、収容孔13の内面と永久磁石14の外面との間に固定材15が充填される。そして、この固定材15として、常温で固化可能な液晶ポリマー、より具体的には液晶ポリエステルが用いられる。
【0038】
このため、ロータコア10の製造において、固定材15の充填に先立ってロータコア10及び永久磁石14を高い温度に加熱したり、固定材15の充填後にロータコア10及び永久磁石14を冷却したりする必要がない。よって、従来方法と比較して、加熱工程及び冷却工程を省くことが可能になり、ロータコア10の製造工程を簡略化して短時間で実行することができる。従って、製造におけるサイクルタイムを短縮できるとともに、エネルギーロスを低減できる。
【0039】
(2)液晶ポリマーの固化は、化学反応による硬化とは異なるため、短時間で固化する。このため、製造工程を短時間で実行することが可能になる。
(3)固定材15の充填時にはコア本体11が摂氏40〜80度に設定される。このため、永久磁石14が高温に加熱されたり、高温状態から冷却されたりすることがないため、温度変化により永久磁石14に伸びや収縮が発生することはほとんどない。このため、例えば、ロータコア10の薄肉部112等に生じる大きな応力を抑制することができて、ロータコア10の変形を抑えることができる。従って、高精度なロータコア10を得ることができる。
【0040】
また、外枠22によって外周から包囲された状態で液晶ポリマーが溶融状態で充填される。このため、液晶ポリマーの充填圧によるロータコア10の変形を抑えることができる。なお、ロータコア10に変形のおそれがなければ、外枠22は必ずしも必要としない。
【0041】
(4)ロータコア10の収容孔13に永久磁石14を収容した後に、1.2〜8.0Pa・sの溶融粘度の液晶ポリマーよりなる固定材15が収容孔13の内面と永久磁石14の外面との間に充填される。このため、固定材15を好適な低粘度状態で、収容孔13の内面と永久磁石14の外面との間に円滑に充填することができる。従って、永久磁石14を十分な押し抜き強度、すなわち固定材15に対する密着強度をもって収容孔13内に固定できる。
【0042】
(5)固定材15が1秒当たり100〜300mm、好ましくは150〜300mmの速度で充填される。このため、前記と同様に、固定材15を好適な流速で所定の溶融粘度を保って収容孔13内に円滑かつ適切に充填することができて、永久磁石14の押し抜き強度を高くすることができる。この場合、ノズル孔235の口径が0.5〜2.0mmに設定されているため、固定材15の流速を高めて、円滑な充填に寄与できる。
【0043】
(6)充填圧力が5〜30MPaに維持されるため、良好な充填性を確保できるとともに、コア板111や収容孔13内の永久磁石14に対して過度な圧力が作用することを防止できる。このため、高い充填圧によってコア本体11が変形することを防止できる。加えて、固定材15の充填終了時において運動エネルギーが圧力に転換されるサージ圧の高騰も回避することができる。このため、コア板111の移動、コア本体11の変形や永久磁石14の移動等を抑えることができて、高精度なロータコア10を得ることができる。
【0044】
(7)分割片221によりコア本体11の外径が拘束されるため、コア本体11の変形やコア板111の移動が防止され、高精度なロータコア10を得ることができる。
(8)固定材15を構成する固化した液晶ポリマーは硬化後のエポキシ樹脂より強靭性が高いため、物理的ストレスによるクラック発生のおそれが少ない。加えて、コア本体11や永久磁石14を高温にしたり、冷却したりする必要がないため、固定材15の充填工程の前後において収容孔13の内面と永久磁石14の外面との間の間隔部が大きく拡縮することはなく、このため前記間隔部の固定材15に物理的ストレスがかかることもほとんどなく、クラック発生を防止できる。従って、ロータコア10として所要の機能を確保できるとともに、破片の飛散を防止するためのカバーは不要となる。
【0045】
(9)ノズル234のノズル孔235が小径化されているため、固定材15がノズル孔235内を高速で通過される。従って、固定材15は流速アップによる粘性低下を得ることができて、充填を円滑かつ適切に行うことができる。しかも、固定材15の固化後における固定材15の切り離し破断部が小径になり、この破断部の破断をともなう上枠23のロータコア10からの離間を小さなトルクで容易に行うことができるとともに、ノズル孔235の開口部のランナーゲートを小さくでき、材料歩留まりが向上する。また、固定材15がノズル孔から漏洩する場合は、その漏洩量を少なくできる。従って、固定材15の材料ロスを少なくできる。さらに、前記破断部が小径であるために、破断部の固定材15の固化速度が速くなるため、固化及び切り離し動作に時間がかかることを防止できて、製造のサイクルタイムを短くすることができる。
【0046】
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・固定材15の充填時におけるコア本体11の温度を常温にすること。
【0047】
・
図10に示すように、成形型20の上枠23内の加熱部232を省略すること。このように構成した場合、前記実施形態と比較して、液晶ポリマーの温度がやや低くなるが、低い粘性に基づく十分な流動性は確保される。なお、
図10に示すように、前記実施形態におけるノズル234を省略して、通路231の下流側の端部をノズルとしてもよい。
【0048】
・前記実施形態をロータコアの製造方法に代えて、ステータコアの製造方法に具体化すること。すなわち、ステータコアの本体に形成された収容孔内に永久磁石を収容するとともに、収容孔の内面と永久磁石との間の間隔部に液晶ポリマーよりなる固定材を充填する方法において本発明を具体化すること。
【0049】
(他の技術的思想)
前記実施形態から把握される技術的思想は以下の通りである。
(A)コア本体に形成された収容孔に永久磁石を収容した後に、収容孔の内面と永久磁石の外面との間に固定材を充填する回転電機のコアの製造方法において、
前記固定材として液晶ポリマーを用い、前記収容孔における充填圧を5〜30メガパスカルとする請求項1に記載の回転電機のコアの製造方法。
【0050】
(B)コア本体に形成された収容孔に永久磁石を収容した後に、収容孔の内面と永久磁石の外面との間に固定材を充填する回転電機のコアの製造方法において、
前記固定材として液晶ポリマーを用い、充填時におけるコア本体及び永久磁石の温度を摂氏40〜80度とする請求項1または2に記載の回転電機のコアの製造方法。
【0051】
(C)コア本体に形成された収容孔に永久磁石を収容した後に、収容孔の内面と永久磁石の外面との間に固定材を充填する回転電機のコアの製造方法において、
前記固定材として液晶ポリマーを用い、前記収容孔における充填圧を5〜30メガパスカルとし、充填時における前記コア本体及び永久磁石の温度を摂氏40〜80度とする回転電機のコアの製造方法。