(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施例1〜4を図面を参照しつつ説明する。
【0014】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の画像読取装置1は、本発明の画像読取装置の具体的態様の一例である。
図1では、操作パネル8Pが設けられた側を装置の前側と規定し、操作パネル8Pに向かった場合に左手に来る側を左側と規定して、前後、左右及び上下の各方向を表示する。そして、
図2以降の各図に示す各方向は、全て
図1に示す各方向に対応させて表示する。以下、
図1等に基づいて、画像読取装置1が備える各構成要素について説明する。
【0015】
<全体構成>
図1〜
図5に示すように、画像読取装置1は、本体部8、カバー9、画像形成ユニット5、読取ユニット3及び搬送部4を備えている。本体部8は、扁平な略箱状体である。
図1に示すように、本体部8の前面には、タッチパネル等である操作パネル8Pが設けられている。また、画像読取装置1は、
図3及び
図9に示すように、制御部C1を備えている。制御部C1は、本体部8の内部において、右側面に沿って上下方向に延設されている。制御部C1は、画像形成ユニット5、読取ユニット3、搬送部4及び操作パネル8Pを制御する。
【0016】
図2に示すように、画像形成ユニット5は、本体部8の下側部分に設けられている。画像形成ユニット5は、インクジェット方式又はレーザ方式等によりシートに画像を形成する。読取ユニット3は、本体部8の上側部分に設けられている。読取ユニット3は、原稿の画像を読み取る際に使用される。搬送部4は、カバー9に設けられている。搬送部4は、複数枚のシートを
図2及び
図5に示す搬送経路P1に沿って順次搬送しながら、シートの画像を読取ユニット3に読み取らせる際に使用される。
【0017】
図4〜
図6に示すように、読取ユニット3は、スキャナハウジング10、第1プラテンガラス81、第2プラテンガラス82、キャリッジ20、読取センサ3S及び走査機構30を備えている。スキャナハウジング10は、本発明の「ハウジング」の一例である。第1プラテンガラス81は、本発明の「第1支持体」の一例である。第2プラテンガラス82は、本発明の「第2支持体」の一例である。キャリッジ20は、本発明の「移動体」の一例である。読取センサ3Sは、本発明の「読取部」の一例である。
【0018】
スキャナハウジング10は、
図6に示すスキャナベース110と、
図4に示すスキャナトップ120とが、
図5に示すように、上下方向から組み合わされてなる。スキャナハウジング10の内側には、収容領域10Aが形成されている。スキャナベース110及びスキャナトップ120は、本実施例では、熱可塑性樹脂の射出成形品である。
図1に示すように、スキャナハウジング10の前面側は、操作パネル8P及び前側外装カバー8Cによって覆われている。
【0019】
図6に示すように、スキャナベース110には、底壁面119、左壁111L、右壁111R、前壁111A、第1後壁111B及び第2後壁111BBが形成されている。底壁面119は、略水平に延在する略矩形平面である。底壁面119は、本発明の「ハウジングの底面」の一例である。左壁111L及び右壁111Rは、底壁面119の左右の端縁から上方に向けて突出している。前壁111A及び第1後壁111Bは、底壁面119の前後の端縁から上方に向けて突出している。第2後壁111BBは、第1後壁111Bよりも前側に位置して底壁面119から上方に向けて突出し、かつ第1後壁111Bと略平行に左右方向に延びている。
【0020】
図4及び
図5に示すように、スキャナトップ120は、第1開口129Aと第2開口129Bとが形成された枠状部材である。第1開口129Aは、大きな矩形状をなして開口している。第2開口129Bは、第1開口129Aよりも左側に位置し、前後方向に細長い矩形状をなして開口している。第1プラテンガラス81は、スキャナトップ120の第1開口129A側に配置されている。第2プラテンガラス82は、スキャナトップ120の第2開口129B側に配置されている。
【0021】
第1プラテンガラス81の
図4に示す外周縁81Eは、図示は省略するが、全周に亘って、図示しない両面テープでスキャナトップ120に貼り付けられている。そして、第1プラテンガラス81は、互いに組み合わされるスキャナトップ120及びスキャナベース110によって挟持されている。より詳しくは、第1プラテンガラス81の
図4に示す外周縁81Eのうちの前端縁は、スキャナベース110の前壁111Aと、スキャナトップ120の前端側に位置する部位とによって挟持されている。第1プラテンガラス81の外周縁81Eのうちの後端縁も、スキャナベース110の第2後壁111BBと、スキャナトップ120の後側に位置する部位とによって挟持されている。第1プラテンガラス81の外周縁81Eのうちの右端縁も、スキャナベース110の右壁111Rと、スキャナトップ120の右端側に位置する部位とによって挟持されている。なお、第1プラテンガラス81の外周縁81Eのうちの
図4及び
図5に示す左端縁81Fは、図示しない両面テープでスキャナトップ120に貼り付けられているだけであって、スキャナトップ120及びスキャナベース110によっては挟持されていない。
【0022】
こうして、第1プラテンガラス81は、
図5に示すように、スキャナベース110の底壁面119の間に所定の間隔を有して、スキャナハウジング10に支持されている。また、第2プラテンガラス82は、第1プラテンガラス81に対して左右方向に所定の間隔を有してスキャナハウジング10に支持されている。
【0023】
図4及び
図5に示すように、第1プラテンガラス81の上面、換言すると、スキャナベース110の底壁面119とは反対側を向く面は、支持面81Aを構成している。支持面81Aは、静止した状態の原稿の画像を読取ユニット3が読み取る際に、その原稿を下側から支持する。読取対象の原稿には、用紙、OHPシート等であるシートの他、書籍等が含まれる。
【0024】
第2プラテンガラス82の上面、換言すると、スキャナベース110の底壁面119とは反対側を向く面は、読取面82Aを構成している。読取面82Aは、搬送部4によって1枚ずつ搬送されるシートの画像を読取ユニット3が読み取る際に、その搬送されるシートに下側から接触して案内する。
【0025】
なお、本実施例においては、支持面81Aを使用して画像が読み取られる対象を原稿と記載し、搬送部4により搬送しながら画像が読み取られる対象をシートと記載する。原稿とシートとは、実質的に同じものであってもよい。
【0026】
図3及び
図7に示すように、スキャナハウジング10とカバー9との間には、左右一対のヒンジ70、70が設けられている。カバー9は、各ヒンジ70、70によって、支持面81Aに略平行な左右方向に延びる開閉軸心X9周りで揺動可能に支持されている。
【0027】
より詳しくは、
図3及び
図4に示すように、スキャナハウジング10の後端側には、左右一対の収容部79、79が設けられている。各収容部79、79はそれぞれ、スキャナトップ120のうち、支持面81Aよりも後側の部分から下側に向かって凹んでいる。
【0028】
図3に示すように、各ヒンジ70、70は、取付部75と基部71とが一体成形された樹脂製部材である。ブロック形状の取付部75には、軸穴75Hが貫設されている。取付部75は、カバー9に設けられた図示しない軸部が軸穴75Hに挿通されることにより、カバー9に取り付けられて揺動軸心X9を構成する。
【0029】
基部71は、取付部75の下面に接続し、略角柱状をなして下向きに延びている。基部71は、取付部75を下側から支持する。基部71は、収容部79に挿通されることにより、支持面81Aに略直交する上下方向に往復移動可能にスキャナハウジング10に保持されている。基部71が往復移動する上下方向は、本発明の「第2方向」の一例である。
【0030】
図7(a)及び(b)に示すように、各ヒンジ70、70の基部71が各収容部79、79内で上下に移動すれば、各ヒンジ70、70の取付部75も、揺動軸心X9とともに上下に移動する。こうして、基部71は、スキャナハウジング10に対して、カバー9を上下方向で接近及び離間させる。
【0031】
カバー9は、
図7(a)に実線で示すように、支持面81Aに対する揺動角度α=0の状態では支持面81Aを上方から覆っている。この状態では、カバー9の下面がスキャナトップ120に上側から当接している。カバー9は、
図7(a)に実線で示す状態から、その前端部側が上方かつ後方に変位するように揺動軸心X9周りで揺動することにより、揺動角度αを増加させ、例えば、
図7(a)に二点鎖線で示す状態に変位することができる。
【0032】
また、カバー9は、各ヒンジ70、70の基部71が各収容部79、79内で距離Dだけ上昇した状態で、
図7(b)に実線で示すように、揺動角度α=0とすることができる。また、カバー9は、その状態で、
図7(b)に二点鎖線で示すように、揺動角度αを増加させることもできる。
【0033】
カバー9の揺動角度αを
図7(a)及び(b)に二点鎖線で示すように増加させることにより、カバー9が支持面81Aから上方に離間し、支持面81Aが開放される。これにより、ユーザが支持面81Aに原稿を支持させることができる。そして、支持面81Aに読取対象の原稿が支持された状態で、カバー9の揺動角度αを減少させることにより、カバー9がその原稿を上側から覆う。
【0034】
原稿が図示しない薄いシート等であれば、各ヒンジ70、70の基部71が揺動軸心X9とともに各収容部79、79内で下側に位置した状態で、換言すると、距離D=0、又はDが0に近い状態で、カバー9が
図7(b)に実線で示すように揺動角度α=0、又はαが0に近い状態となり、その薄いシート等を上側から覆う。
【0035】
その一方、原稿が
図7(b)に示す厚い書籍B1等であれば、各ヒンジ70、70の基部71が揺動軸心X9とともに各収容部79、79内で上側に移動した状態で、換言すると、距離Dが増加した状態で、カバー9が
図7(b)に実線で示すように揺動角度α=0、又はαが0に近い状態となり、厚い書籍B1等を上側から覆う。
【0036】
このように、開閉及び昇降可能に構成されたカバー9の状態について、本実施例では、以下のように、閉鎖状態と離間状態とに区分けする。
【0037】
すなわち、
図7(a)及び(b)に示すように、本実施例では、離間状態は、カバー9が支持面81Aに対して揺動軸心X9周りで所定角度α1以上の揺動角度αで傾斜する状態、及び/又は、基部71がスキャナハウジング10に対して上下方向で所定距離D1以上の距離Dで離間する状態と規定される。
【0038】
また、本実施例では、閉鎖状態は、離間状態以外のカバー9の状態と規定される。つまり、閉鎖状態は、カバー9が支持面81Aに対して揺動軸心X9周りでゼロ以上、所定角度α1未満の揺動角度αで傾斜し、かつ基部71がスキャナハウジング10に対して上下方向でゼロ以上、所定距離D1未満の距離Dで離間する状態である。つまり、所定角度α1及び所定距離D1は、カバー9が支持面81Aに対して若干揺動又は離間する状態が閉鎖状態に含まれるように設定されている。この所定角度α1、及び所定距離D1は、適宜設定される値である。
【0039】
例えば、
図7(a)に実線で示すカバー9の状態は、揺動角度α=0、距離D=0であるから、閉鎖状態である。
図7(a)に二点鎖線で示すカバー9の状態は、距離D=0ではあるが、揺動角度α≧所定角度α1であるから、離間状態である。
図7(b)に実線で示すカバー9の状態は、揺動角度α=0ではあるが、距離D≧所定距離D1であるから、離間状態である。
図7(a)に二点鎖線で示すカバー9の状態は、揺動角度α≧所定角度α1であり、距離D≧所定距離D1であるから、離間状態である。
【0040】
なお、カバー9の状態を上記のように閉鎖状態と離間状態とに区分けする構成は、本発明の一例であって、この構成には限定されない。
【0041】
図1及び
図2に示すように、カバー9の上側には、供給トレイ9Aが展開可能に設けられている。供給トレイ9Aは、
図1に示す収容された状態から、
図2に示すように展開されることにより、シートを支持可能となる。
図5に示すように、搬送部4は、搬送ローラや分離ローラ等の周知の構成を備えている。搬送部4は、展開された状態の供給トレイ9Aに支持される複数枚のシートを1枚ずつ分離し、搬送経路P1に沿って順次搬送する。
【0042】
図6に示すように、キャリッジ20、読取センサ3S及び走査機構30は、収容領域10Aに収容されている。スキャナベース110の底壁面119上には、ガイドシャフト29が配設されている。ガイドシャフト29は、底壁面119における前後方向の略中央に位置して、スキャナベース110の左壁111L側から右壁111R側まで左右方向に延びている。
【0043】
キャリッジ20は、前後方向に細長い樹脂製部材である。キャリッジ20は、スキャナベース110の前壁111A側から第2後壁111BB側まで前後方向に延びている。キャリッジ20は、ガイドシャフト29に上側から当接し、ガイドシャフト29によって、左右方向に案内される。キャリッジ20の前端部及び後端部には、コロ20Cが設けられている。コロ20Cは、第1プラテンガラス81の下面及び第2プラテンガラス82の下面に当接して回動する。
【0044】
走査機構30は、駆動部30M、従動プーリ32及びタイミングベルト33を有している。
【0045】
駆動部30Mは、電動モータM1と、電動モータM1に噛み合う複数個のギヤ群と、図示しない駆動プーリとからなる。図示しない駆動プーリは、駆動源30Mのギヤ群のうち、電動モータM1から最も離れたギヤに一体成形されている。本実施例では、電動モータM1は、ステッピングモータである。駆動部30Mは、左壁111Lに隣接し、かつ、ガイドシャフト29の左端の近傍に位置している。駆動部30Mが
図3及び
図9に示す制御部C1に制御されて稼動すると、電動モータM1が正回転又は逆回転し、図示しない駆動プーリも正回転又は逆回転する。なお、制御部C1は、設定された駆動条件に基づいて駆動部30Mを制御し、それによって駆動部30Mが駆動力を発生するが、その具体的構成については後で詳しく説明する。
【0046】
図6に示すように、従動プーリ32は、スキャナベース110の右壁111Rに隣接し、かつ、ガイドシャフト29の右端に対して、後側に位置している。タイミングベルト33は、駆動部30Mの図示しない駆動プーリと従動プーリ32とに巻き掛けられた無端ベルトである。図示は省略するが、タイミングベルト33は、ガイドシャフト29に沿いながら左右方向に延びる部分のうちの特定箇所において、キャリッジ20と連結されている。
【0047】
駆動部30Mが稼動すると、図示しない駆動プーリと従動プーリ32との間でタイミングベルト33が循環する。この際、キャリッジ20は、電動モータM1の正回転及び逆回転により、収容領域10A内を左右方向に往復移動可能となっている
【0048】
図5及び
図6に示すように、読取センサ3Sは、収容領域10A内で第1プラテンガラス81及び第2プラテンガラス82に下側から対向可能にキャリッジ20に支持されている。読取センサ3Sは、CIS(Contact Image Sensor)やCCD(Charge Coupled Device)等の周知の画像読取センサである。読取センサ3Sは、前後方向に延びている。読取センサ3Sは、支持面81Aに載置される原稿の前後幅を越える程度の長さを有している。読取センサ3Sは、キャリッジ20の往復移動に追従可能なフラットケーブル50によって、
図3及び
図9に示す制御部C1と電気的に接続されている。
【0049】
図5に示すように、キャリッジ20は、走査機構30の駆動部30Mから駆動力を受けて、スキャナベース110の底壁面119と第1プラテンガラス81との間を左右方向に往復移動する。キャリッジ20に支持された読取センサ3Sも、キャリッジ20とともに左右方向に往復移動する。キャリッジ20及び読取センサ3Sが往復移動する左右方向は、本発明の「第1方向」の一例である。
図5に実線で示すキャリッジ20及び読取センサ3Sの位置は、第2プラテンガラス82に下側から対向する静止読取位置である。静止読取位置は、本発明の「第2支持体に対向する読取位置」の一例である。
図5に二点鎖線で示すキャリッジ20及び読取センサ3Sの位置は、支持面81Aと読取面82Aとの間で待機し、読取ユニット3による読取動作時に、移動を開始する移動開始位置である。この位置で、読取センサ3Sによる読取動作において必要とされる基準値等の取得が行われる。
【0050】
<画像読取動作>
この画像読取装置1では、キャリッジ20を移動させながら、読取センサ3Sによって支持面81Aに支持された原稿の画像を読み取る読取動作(以下、単に、「FB読取動作」という。)を行う場合、制御部C1が走査機構30及び読取センサ3Sを制御し、駆動部30Mによって、キャリッジ20に搭載された読取センサ3Sを
図5に二点鎖線で示す移動開始位置から読取ユニット3内における右端側に向かって移動させる。これにより、読取センサ3Sは、支持面81Aに載置された原稿の画像を読み取る。読取センサ3Sが読み取った画像データは、フラットケーブル50を経由して、制御部C1に伝達される。その後、走査機構30は、読み取りを終えた読取センサ3Sを読取ユニット3内における右端側から左端側に移動させ、
図5に二点鎖線で示す移動開始位置に復帰させる。
【0051】
また、この画像読取装置1では、展開された状態の供給トレイ9Aに支持される複数枚のシートを搬送部4によって1枚ずつ搬送して画像を読み取る場合、制御部C1が走査機構30及び読取センサ3Sを制御し、駆動部30Mによって、キャリッジ20に搭載された読取センサ3Sを読取ユニット3内における左端側に移動させ、
図5に実線で示す静止読取位置に停止させる。そして、搬送部4が供給トレイ9Aに支持されるシートを搬送経路P1に沿って順次搬送すると、そのシートが
図5に実線で示す静止読取位置にある読取センサ3Sの上側を通過するので、読取センサ3Sは、その通過するシートの画像を読み取る。読取センサ3Sが読み取った画像データは、フラットケーブル50を経由して、制御部C1に伝達される。その後、走査機構30は、読み取りを終えた読取センサ3Sを
図5に実線で示す静止読取位置から
図5に二点鎖線で示す移動開始位置に復帰させる。
【0052】
<制御部による取得処理、判断処理及び駆動制御処理の具体的構成>
実施例1の画像読取装置1では、第1プラテンガラス81の支持面81Aに対して負荷が作用する場合がある。具体的には、
図7(b)に示すように、第1プラテンガラス81に厚い書籍B1を支持させる場合、ユーザが書籍B1を支持面81Aに押し付ける動作や、書籍B1自体の重さや、書籍B1を覆うカバー9自体の重さにより、支持面81Aに対して負荷F1が下向きに作用する可能性がある。また、図示は省略するが、第1プラテンガラス81に反り癖のついた原稿を支持させる場合、ユーザがその原稿を矯正するために支持面81Aに押し付ける動作により、負荷F1と同様の負荷が支持面81Aに対して作用する可能性がある。ここで、このような負荷に対してなんら対策を施さなければ、第1プラテンガラス81が下向きに過度に撓むおそれがある。すると、コロ20Cを介して第1プラテンガラス81の下面に当接し、かつスキャナベース110に保持されたガイドシャフト29に上側から当接するキャリッジ20に、第1プラテンガラス81から大きな抵抗が作用し易くなる。その結果、FB読取動作時に、キャリッジ20の速度変動が発生したり、キャリッジ20が止まったりするおそれがあり、ひいては、読取センサ3Sの読取画像が乱れたり、FB読取動作が中断する、といった不具合が発生する可能性がある。
【0053】
このような不具合を抑制するため、実施例1の画像読取装置1では、制御部C1がFB読取動作時に、以下のように、取得処理、判断処理及び駆動制御処理を実行する。
【0054】
図9に示すように、制御部C1は、CPU等からなる制御回路であり、ROM及びRAM等の情報記憶手段に記憶されている各種情報を用いながら、搬送部4、走査機構30の駆動部30M、読取センサ3S及び操作パネル8Pの制御を行う。
【0055】
図3、
図8及び
図9に示すように、制御部C1には、揺動センサS1及び昇降センサS2が電気的に接続されている。揺動センサS1及び昇降センサS2は、
図3及び
図8に示すアクチュエータ60の姿勢を検出するためのものである。揺動センサS1及び昇降センサS2としては、例えば、フォトインタラプタ、マイクロスイッチ及び近接スイッチ等を採用できる。
【0056】
図3に示すように、アクチュエータ60は、本体部8内において、左側のヒンジ70の基部71に隣接する位置に設けられている。
図8に示すように、アクチュエータ60は、軸部61と上側突出部62と下側突出部63とを有している。軸部61は、本体部8内に固定されたガイドレール69に対して上下動可能、かつ回動可能に係合している。つまり、アクチュエータ60は、ガイドレール69に上下動可能、かつ回動可能に保持されている。上側突出部62は、軸部61から上向きに延びる柱状部の途中から前向きに突出している。下側突出部63は、軸部61から前向きに延びる柱状部の先端から下向きに突出している。
【0057】
上側突出部62には、リンクロッド68が係合している。
図3に示すように、リンクロッド68の上端側は、左側のヒンジ70の取付部75に隣接する位置まで延びて、図示しないリンク機構を介して、カバー9に連結されている。
【0058】
リンクロッド68は、カバー9が揺動軸心X9周りに揺動すれば、
図8(a)に示す位置から、
図8(b)又は(d)に示すように後向きに変位する。その結果、上側突出部62がリンクロッド68によって後向きに押され、アクチュエータ60が
図8(a)に示す位置から、
図8(b)又は(d)に示すように
図8における時計方向に回動する。
【0059】
また、リンクロッド68は、各ヒンジ70、70の基部71が各収容部79、79内で上昇すれば、
図8(a)に示す位置から、
図8(c)又は(d)に示すように上昇する。その結果、上側突出部62がリンクロッド68によって引き上げられ、アクチュエータ60が
図8(a)に示す位置から、
図8(c)又は(d)に示すように上昇する。
【0060】
揺動センサS1は、アクチュエータ60の下側突出部63を検出可能な位置に配置されている。昇降センサS2は、アクチュエータ60の軸部61を検出可能な位置に配置されている。
【0061】
図8(a)及び(c)に示すアクチュエータ60の姿勢は、カバー9の揺動角度α<所定角度α1である場合に対応している。この場合、揺動センサS1は、下側突出部63を検出して、ON状態となる。
【0062】
その一方、
図8(b)及び(d)に示すアクチュエータ60の姿勢は、カバー9の揺動角度α≧所定角度α1である場合に対応している。この場合、揺動センサS1は、下側突出部63を検出せず、OFF状態となる。
【0063】
図8(a)及び(b)に示すアクチュエータ60の姿勢は、各ヒンジ70、70の基部71のスキャナハウジング10に対する上下方向の距離D<所定距離D1である場合に対応している。この場合、昇降センサS2は、軸部61を検出して、ON状態となる。
【0064】
その一方、
図8(c)及び(d)に示すアクチュエータ60の姿勢は、各ヒンジ70、70の基部71のスキャナハウジング10に対する上下方向の距離D≧所定距離D1である場合に対応している。この場合、昇降センサS2は、軸部61を検出せず、OFF状態となる。
【0065】
つまり、カバー9が閉鎖状態にある場合、揺動センサS1及び昇降センサS2がON状態となる。その一方、カバー9が離間状態にある場合、揺動センサS1及び昇降センサS2の少なくとも一方がOFF状態となる。
【0066】
揺動センサS1及び昇降センサS2のON/OFF状態は、本発明の「負荷情報」の一例である。揺動センサS1及び昇降センサS2のON/OFF状態は、第1プラテンガラス81を所定の範囲を超えて撓ませる負荷が第1プラテンガラス81に作用し得る状態か否かを推定可能な情報である。
【0067】
具体的には、揺動センサS1及び昇降センサS2がON状態の場合、カバー9が閉鎖状態にあって、第1プラテンガラス81の支持面81には、
図7(b)に示す厚い書籍B1等が支持されておらず、薄いシート等が支持されている可能性が高いと推定できる。このため、第1プラテンガラス81を所定の範囲を超えて撓ませる負荷が作用している状態ではないと判断できる。
【0068】
その一方、揺動センサS1及び昇降センサS2の少なくとも一方がOFF状態の場合、カバー9が離間状態にあって、第1プラテンガラス81の支持面81に、
図7(b)に示す厚い書籍B1等が支持されている可能性が高いと推定できる。このため、第1プラテンガラス81を所定の範囲を超えて撓ませる負荷が作用している状態であると判断できる。
【0069】
このような負荷情報に基づいて、制御部C1は、画像読取装置1の作動中に、
図10に示すFB読取動作プログラムを繰り返し実行する。
【0070】
ステップS101において、制御部C1は、FB読取動作の開始指令があったか否かを判断する。ステップS101において「Yes」であれば、ステップS102に移行する。その一方、ステップS101において「No」であれば、ステップS101に戻る。
【0071】
ステップS102において、制御部C1は、揺動センサS1及び昇降センサS2の検出結果を取得し、ステップS103に移行する。
【0072】
ステップS103において、制御部C1は、揺動センサS1がONか否かを判断する。ステップS103において「Yes」であれば、ステップS106に移行する。その一方、ステップS103において「No」であれば、ステップS104に移行する。
【0073】
ステップS104において、制御部C1は、昇降センサS2がONか否かを判断する。ステップS104において「Yes」であれば、ステップS106に移行する。その一方、ステップS104において「No」であれば、ステップS105に移行する。
【0074】
ステップS105において、制御部C1は、駆動部30Mの駆動条件として第1駆動条件を選択し、ステップS107に移行する。
【0075】
その一方、ステップS104又はステップS104からステップS106に移行すると、制御部C1は、駆動部30Mの駆動条件として第2駆動条件を選択し、ステップS107に移行する。
【0076】
ここで、第1駆動条件と第2駆動条件との相違を
図11に示す。
図11(a)に示すように、第2駆動条件において駆動部30Mに印加される駆動電流の値AS2を基準電流値とする。基準電流値AS2は一定値である。第2駆動条件に基づいて駆動部30Mが駆動力を発揮することによるキャリッジ20の速度は、
図11(b)に示すように、ゼロから加速後、一定に維持され、その後、減速してゼロとなるように、制御部C1によって制御される。キャリッジ20が一定の速度で移動する際の速度VS2を基準速度とする。本実施例では、基準電流値AS2は、FB読取動作時の騒音を低減可能な小さい値に設定されている。
【0077】
これに対して、第1駆動条件では、
図11(a)に示すように、駆動部30Mに印加される駆動電流の値A1は、基準電流値AS2よりも大きな一定値となるように設定されている。第1駆動条件に基づいて駆動部30Mが駆動力を発揮することによるキャリッジ20の速度V1は、
図11(b)に示すように、第2駆動条件での速度変化と一致するように、制御部C1によって制御される。ここで、ステッピングモータである電動モータM1は、第1駆動条件では、駆動電流の値A1が基準電流値AS2よりも大きく設定されていることにより、第2駆動条件よりも駆動力が強くなり、外部からの影響を受け難くなる。つまり、第1駆動条件は、支持面81Aに対して負荷が作用している状態において、キャリッジ20が移動する速度V1を基準速度VS2に近づけて、より厳密には、V1=VS2を維持して、キャリッジ20の速度変動を抑制可能とする条件に設定されている。
【0078】
図10に示すステップS107において、制御部C1は、駆動部30M及び読取センサ3Sを制御して、FB読取動作を実行する。この際、駆動部30Mは、第1駆動条件及び第2駆動条件のうちの選択された駆動条件に基づいて駆動力を発生する。その結果、キャリッジ20が
図11(b)に示すように、加速後、一定の基準速度VS2(=V1)で移動しながら、読取センサ3Sが支持面81Aに支持された原稿の画像を読み取る。こうして、制御部C1は、
図10に示すFB読取動作プログラムを終了し、再び、ステップS101からの処理を繰り返す。
【0079】
<作用効果>
実施例1の画像読取装置1では、読取センサ3S及び駆動部30Mを制御する制御部C1は、
図10に示すように、本発明の「取得処理」の一例としてのステップS102と、本発明の「判断処理」の一例としてのステップS103、S104と、本発明の「駆動制御処理」の一例としてのステップS105〜S107とを実行する。
【0080】
制御部C1は、ステップS102において、第1プラテンガラス81の支持面81Aに作用する負荷を判断するための負荷情報として、揺動センサS1及び昇降センサS2の検出結果を取得する。
【0081】
次に、制御部C1は、ステップS103、S104において、ステップS102により取得した揺動センサS1及び昇降センサS2の検出結果に基づいて、支持面81Aに対して負荷が作用している状態か否かを判断する。
【0082】
次に、制御部C1は、ステップS105〜S107において、ステップS103、S104での判断結果に基づいて、カバー9が離間状態である場合に、支持面81Aに負荷が作用している状態であると判断する。この場合、制御部C1は、第1駆動条件に基づいて駆動力を発生させるように駆動部30Mを制御する。
【0083】
ここで、この画像読取装置1では、
図11に示すように、キャリッジ20に大きな抵抗が作用することを前提とした第1駆動条件を設定している。具体的には、第1駆動条件では、
図11(a)に示すように、駆動部30Mに印加される駆動電流の値A1は、基準電流値AS2よりも大きな一定値となるように設定されている。このように第1駆動条件を設定しておくことで、負荷によって第1プラテンガラス81が撓む場合であっても、駆動力が強くなった電動モータM1が外部からの影響を受け難くなるので、キャリッジ20の速度変動が発生し難くなる。その結果、読取センサ3Sの読取画像が乱れたり、FB読取動作が中断する、といった不具合の発生を抑制できる。
【0084】
その一方、制御部C1は、ステップS105〜S107において、ステップS103、S104での判断結果に基づいて、カバー9が閉鎖状態である場合に、支持面81Aに負荷が作用している状態ではないと判断する。この場合、制御部C1は、第1駆動条件とは異なる第2駆動条件に基づいて駆動力を発生させるように駆動部30Mを制御する。
【0085】
ここで、この画像読取装置1では、キャリッジ20に大きな抵抗が作用しないことを前提とした第2駆動条件を設定している。具体的には、第2駆動条件では、
図11(a)に示すように、基準電流値AS2は、第1駆動条件における駆動電流の値A1と比較して、小さい値に設定されている。このため、基準電流値AS2によって駆動される電動モータM1の作動音を小さくできる。よって、第2駆動条件によってFB読取動作を行う間は、騒音の低減効果を期待することができる。
【0086】
したがって、実施例1の画像読取装置1では、支持面81Aに対して負荷が作用する場合においても、FB読取動作を好適に、かつ安定して実施できる。
【0087】
また、この画像読取装置1では、第1駆動条件は、FB読取動作時に、第1プラテンガラス81に負荷が作用することによるキャリッジ20の速度変動を抑制可能とする条件に設定されている。より詳しくは、第1駆動条件は、支持面81Aに対して負荷が作用している状態において、キャリッジ20が移動する速度V1を基準速度VS2に近づける条件、より厳密には、V1=VS2に維持する条件に設定されている。さらに詳しくは、第1駆動条件では、
図11(a)に示すように、駆動部30Mに印加される駆動電流の値A1は、基準電流値AS2よりも大きな一定値となるように設定されている。このような第1駆動条件の設定により、この画像読取装置1では、負荷によって支持体が撓む場合であっても、読取センサ3Sの読取画像が乱れたり、FB読取動作が中断する、といった不具合の発生を確実に抑制できる。
【0088】
さらに、この画像読取装置1では、負荷情報は、カバー9が閉鎖状態であるか又は離間状態であるかを示す情報である揺動センサS1及び昇降センサS2のON/OFF状態を含んでいる。つまり、負荷情報は、支持面81Aに対して負荷が作用している状態か否かを推定可能なユーザの使用態様に関連する情報を含んでいる。このため、この画像読取装置1では、制御部C1が第1駆動条件と第2駆動条件とを一層好適に切り替えることができる。ここで、カバー9が離間した状態で、FB読取の開始が指示される場合には、例えば、書籍等の厚みのある原稿が読み取られることが想定される。この場合、ユーザが、書籍を支持面81Aに向かって押し付ける可能性が考えられる。その結果、支持面81Aには、通常に比べて大きな負荷が作用すると推定される。このような支持面81Aに負荷が作用している状態を推定するために、本実施形態においては、カバー9の状態を利用するものである。
【0089】
また、この画像読取装置1では、各ヒンジ70、70の基部71は、各収容部79、79内で上下動することにより、カバー9を支持面81Aに対して上下方向で接近及び離間させる。そして、カバー9の離間状態は、カバー9が支持面81Aに対して揺動軸心X9周りで所定角度α1以上傾斜する状態、及び/又は、基部71がスキャナハウジング10に対して第2方向で所定距離D1以上離間する状態を含んでいる。このように、カバー9の離間状態が上記の複数の状態を含み、負荷情報は、その離間状態が反映された具体的な情報となっているので、制御部C1は、駆動制御処理において、第1駆動条件と第2駆動条件とを一層好適に切り替えることができる。ここで、カバー9が閉鎖した状態であっても、例えば、書籍等の厚みのある原稿が支持面81Aにセットされている場合、各ヒンジ70、70の基部71の上昇によって書籍等の厚みを吸収しつつ、カバー9を閉鎖させることが可能である。しかし、ユーザは、この状態においてカバー9を上方から押さえつけている可能性がある。カバー9の上方からの押圧力は原稿を介してさらに支持面81Aまで到達することが想定される。この場合も、支持面81Aには、通常に比べて大きな負荷が作用すると推定される。このような支持面81Aに負荷が作用している状態を推定するために、本実施形態においては、ヒンジ70の上昇状態を利用するものである。
【0090】
さらに、この画像読取装置1は、制御部C1は、搬送部4によって搬送される原稿を読取センサ3Sに読み取らせる際、
図5に実線で示す静止読取位置にキャリッジ20を移動させ、読取第プラテンガラス82に対して、読取センサ3Sを下側から対向させる。この場合、第1プラテンガラス81の外周縁81Eのうち、第2プラテンガラス82側の左端縁81Fよりも下側をキャリッジ20が往復移動する。このため、第1プラテンガラス81の左端縁81Fは、スキャナベース110及びスキャナトップ120に挟持されていない。その結果、第1プラテンガラス81の左端縁81Fの近傍は、負荷が作用することにより撓み易い。この点、この画像読取装置1では、制御部C1が第1駆動条件又は第2駆動条件を適宜選択することにより、このような場合でも、キャリッジ20の速度変動が発生し難く、画像の読取処理を安定して実施できる。
【0091】
(実施例2)
実施例2の画像読取装置では、実施例1の画像読取装置1に係る第1駆動条件の設定が以下のように変更されている。すなわち、実施例2にかかる第1駆動条件では、
図12(a)に示すように、駆動部30Mに印加される駆動電流の値A1=基準電流値AS2に設定されている。
【0092】
図12(b)では、第2駆動条件に基づくキャリッジ20の速度変化を実線L22で示し、第1駆動条件に基づくキャリッジ20の速度変化を一点鎖線L21で示している。第2駆動条件において、キャリッジ20が基準速度VS2で移動する際の駆動部30Mの電動モータM1の回転数RS2を基準回転数とする。回転数RS2×(駆動部30Mの減速比)=基準速度VS2である。実施例2にかかる第1駆動条件では、駆動部30Mの電動モータM1の回転数R1は、基準回転数RS2よりも小さくなるように設定されている。
【0093】
この場合、第1駆動条件に基づいて駆動部30Mが駆動力を発揮することにより、回転数R1×(駆動部30Mの減速比)=速度V1<基準速度VS2となる。つまり、キャリッジ20の移動速度は、第2駆動条件に基づく場合と比較して小さくなり、キャリッジ20が一定速度で移動する所要時間が長くなる。しかしながら、速度V1<基準速度VS2であることにより、駆動部30Mの電動モータM1が外部からの影響を受け難くなるので、第1プラテンガラス81に負荷が作用することによるキャリッジ20の速度変動を確実に抑制できる。
【0094】
したがって、実施例2の画像読取装置でも、実施例1の画像読取装置1と同様に、支持面81Aに対して負荷が作用する場合においても、FB読取動作を好適に、かつ安定して実施できる。
【0095】
(実施例3)
実施例3の画像読取装置では、実施例1の画像読取装置1に係る第1駆動条件の設定が以下のように変更されている。すなわち、実施例3にかかる第1駆動条件では、
図13(a)に示すように、駆動部30Mに印加される駆動電流の値A1=基準電流値AS2に設定されている。
【0096】
図13(b)では、第2駆動条件に基づくキャリッジ20の速度変化を実線L32で示し、第1駆動条件に基づくキャリッジ20の速度変化を一点鎖線L31で示している。第2駆動条件においてキャリッジ20が基準速度VS2まで加速する際の加速度WS2を基準加速度とする。実施例3にかかる第1駆動条件では、キャリッジ20が基準速度VS2まで加速する際の加速度W1は、基準加速度WS2よりも小さくなるように設定されている。換言すると、第2駆動条件に基づくキャリッジ20の速度変化を示す実線L32の加速域の傾斜に対して、第1駆動条件に基づくキャリッジ20の速度変化を示す一点鎖線L31の加速域の傾斜のほうが緩やかとなっている。
【0097】
この場合、キャリッジ20の移動開始位置は、
図5に二点鎖線で示す位置よりも左側に移動させて、加速距離を長く確保する必要がある。しかしながら、加速度W1<基準加速度WS2であることにより、駆動部30Mの電動モータM1が外部からの影響を受け難くなるので、第1プラテンガラス81に負荷が作用することによるキャリッジ20の速度変動を確実に抑制できる。
【0098】
したがって、実施例3の画像読取装置でも、実施例1、2の画像読取装置1と同様に、支持面81Aに対して負荷が作用する場合においても、FB読取動作を好適に、かつ安定して実施できる。
【0099】
(実施例4)
実施例4の画像読取装置では、実施例1の画像読取装置1に係る第1、2駆動条件の設定は変更されていない。その代わりに、実施例4の画像読取装置では、制御部C1は、
図10に示すステップS103、S104の判断結果に基づいて、支持面81Aに対して負荷が作用している状態であると判断されて、ステップS105で第1駆動条件が選択され、ステップS107でFB読取動作を実行する際に、キャリッジ20が第1プラテンガラス81における第2プラテンガラス82側の端縁部に対向する移動開始位置から第1方向に所定距離移動する間は、
図14に示すように、実施例1に係る第1駆動条件に基づいて駆動力を発生させるように駆動部30Mを制御する。具体的には、14(a)に示すように、この間に駆動部30Mに印加される駆動電流の値A1は、基準電流値AS2よりも大きな一定値となる。
【0100】
図14(a)にキャリッジ20が所定距離移動した時点をT1で示す。制御部C1は、ステップS107において、キャリッジ20が所定距離移動した後は、駆動条件を第1駆動条件から第2駆動条件に切り替える。そして、制御部C1は、第2駆動条件に基づいて駆動力を発生させるように駆動部30Mを制御し、残りのFB読取動作を実行する。具体的には、14(a)に示すように、この間に駆動部30Mに印加される駆動電流の値は、基準電流値AS2となる。
【0101】
実施例4の画像読取装置では、第1プラテンガラス81における
図5に示す左端縁81Fの近傍、すなわち、第1プラテンガラス81に作用する負荷によって撓み易い領域では、第1駆動条件を選択し、その撓み易い領域を通過した後は、第2駆動条件に変更することで、キャリッジ20の速度変動を抑制しつつ、FB読取動作の途中から騒音を抑制できる。
【0102】
したがって、実施例4の画像読取装置でも、実施例1〜3の画像読取装置1と同様に、支持面81Aに対して負荷が作用する場合においても、FB読取動作を好適に、かつ安定して実施できる。
【0103】
以上において、本発明を実施例1〜4に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜4に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0104】
例えば、実施例1〜4では、負荷情報は、カバー9が閉鎖状態であるか又は離間状態であるかを示す情報であったが、この構成には限定されない。例えば、負荷情報は、第1支持体やその近傍に設置される荷重センサの計測値や、カバーの裏面に貼り付けられたクッション材の凹み量等の情報を含んでいてもよい。
【0105】
また、実施例1〜4では、制御部C1は、揺動センサS1及び昇降センサS2がON状態となるときにカバー9が閉鎖状態にあると判断し、揺動センサS1及び昇降センサS2の少なくとも一方がOFF状態となるときにカバー9が離間状態にあると判断するが、この構成には限定されない。揺動センサS1のON/OFFだけで、カバー9の閉鎖/離間を判断してもよい。また、揺動センサS1及び昇降センサS2がON状態、揺動センサS1のみがOFF状態、昇降センサS2のみがOFF状態、揺動センサS1及び昇降センサS2がOFF状態、の4つの状態に区分けし、各状態について、異なる駆動条件を設定してもよい。また、所定角度α1や所定距離D1も適宜変更可能である。
【0106】
また、第2駆動条件は、FB読取動作の所要時間の短縮、又はFB読取動作時の消費電力の低減を実現可能に設定してもよい。