(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の構成を模式的に示すブロック図である。画像形成装置1は、印刷装置である本体部100と、画像処理装置である画像処理部200とから構成されている。画像形成装置1は、画像処理部200の図示しないLANIF(Local Area Network Interface)を介してネットワーク400上の外部装置(例えばPC300)と相互に情報の送受信が可能に接続されている。
【0018】
本体部100は、画像読取部110、操作表示部120、プリント部130、画像制御部140を主体に構成されている。
【0019】
画像読取部110は、走査露光装置の光学系により原稿の画像を走査露光し、その反射光をラインイメージセンサーにより読み取り、これにより、画像信号を得る。この画像信号は、画像制御部140に入力される。
【0020】
操作表示部120は、例えばディスプレイ上に表示される情報に従い入力操作を行うことが可能なタッチパネル、各種スイッチやボタン、テンキーなどで構成されている。操作表示部120は、画像制御部140から入力される表示信号に従って、印刷ジョブに対する印刷条件の設定等を入力するための各種画面や各種処理結果等を表示する。また、操作表示部120は、ユーザーの操作を通じて入力される操作信号を画像制御部140に出力する。
【0021】
プリント部130は、画像形成部10Y,10M,10C,10K及び定着装置50を主体に構成されるプリントエンジン、画像制御部140から出力される画像データに基づいてプリントエンジンを制御するエンジン制御部(図示せず)を主体に構成されている。
【0022】
図2は、プリントエンジンの詳細な構成を示す説明図である。画像形成部10Y,10M,10C,10Kは、イエロー(Y)の画像を形成する画像形成部10Y、マゼンダ(M)の画像を形成する画像形成部10M、シアン(C)の画像を形成する画像形成部10C、ブラック(K)の画像を形成する画像形成部10Kに対応している。
【0023】
画像形成部10Yは、感光体ドラム1Y及びその周辺に配置された帯電部2Y、光書込部3Y、現像装置4Y及びドラムクリーナー5Yで構成されている。同様に、画像形成部10M,10C,10Kは、感光体ドラム1M,1C,1K及びその周辺に配置された帯電部2M,2C,2K、光書込部3M,3C,3K、現像装置4M,4C,4K及びドラムクリーナー5M,5C,5Kで構成されている。
【0024】
感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kは、帯電部2Y,2M,2C,2Kによりその表面が一様に帯電させられており、光書込部3Y,3M,3C,3Kによる走査露光により、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kには潜像が形成される。さらに、現像装置4Y,4M,4C、4Kは、トナーで現像することによって感光体ドラム1Y,1M,1C,1K上の潜像を顕像化する。これにより、感光体ドラム1Y,1M,1C,1K上には、イエロー、マゼンダ、シアン及びブラックのいずれかに対応する所定色の画像(トナー画像)が形成される。
【0025】
感光体ドラム1Y,1M,1C,1K上に形成された画像は、1次転写ローラー7Y,7M,7C,7Kにより、中間転写ベルト6上の所定位置へと逐次転写される。中間転写ベルト6上に転写された各色よりなる画像は、用紙搬送部20により所定のタイミングで搬送される用紙Pに対して、2次転写ローラー11によって転写される。この2次転写ローラー11は、ローラー状の回転部材であり、中間転写ベルト6の外周面に圧接されている。
【0026】
用紙搬送部20は、搬送経路に従って用紙Pを搬送する。用紙Pは給紙トレイ21に収容されており、当該給紙トレイ21に収容された用紙Pは、給紙部22により取り込まれ、搬送経路へと送り出される。搬送経路において、転写ニップ部よりも上流側には、用紙Pを搬送する複数の搬送手段が設けられている。個々の搬送手段は、互いに圧接された一対のローラーによって構成されており、駆動手段である電動モーターを通じて少なくとも一方のローラーが回転駆動する。そして、搬送手段は、用紙Pを挟持して回転することにより、用紙Pを搬送する。なお、搬送手段は、一対のローラーで構成する以外にも、ベルト同士の組み合わせや、ベルト及びローラーの組み合わせといったように、一対の回転部材からなる構成を広く採用することができる。
【0027】
定着装置50は、画像が転写された用紙Pに対して、画像を定着させる定着処理を施す装置である。定着装置50は、互いに圧接して配置されることによりニップ(定着ニップ)を形成する一対の定着部材と、当該定着部材を加熱する加熱手段とを備えている。一対の定着部材としては、例えば定着ローラー51,52を用いることができる。個々の定着ローラー51,52は、回転可能に構成されており、駆動手段である駆動モーター(図示せず)を通じて、少なくとも一方のローラー(例えば定着ローラー52)が回転駆動する。加熱手段としては、ハロゲンランプなどのヒーター53を用いることができる。定着装置50は、用紙Pを搬送するとともに、一対の定着ローラー51,52による圧力定着、ヒーター53による熱定着を行うことで、画像を用紙Pに定着させる。
【0028】
定着装置50により定着処理が施された用紙Pは、排紙ローラー28により、筐体の外部側面に取り付けられた排紙トレイ29に排出される。また、用紙Pの裏面にも画像形成を行う場合、用紙表面に対する画像形成を終えた用紙Pは、切換ゲート30により、下方にある反転ローラー31へと搬送される。反転ローラー31は、搬送された用紙Pの後端を挟持した後、逆送することによって用紙Pを反転させて、再給紙搬送経路に送り出す。この再給紙搬送経路へと送り出された用紙Pは、再給紙用の複数の搬送手段によって搬送され、転写位置へと用紙Pを回帰させる。
【0029】
再び
図1を参照するに、画像制御部140は、CPU、不揮発メモリー、RAM(Random Access Memory)、HDD等を備えている。画像制御部140は、不揮発メモリーに格納されているシステムプログラム及び各種アプリケーションプログラムの中から指定されたプログラムを読み出してRAMに展開し、RAMに展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行し、画像形成装置1の各部を集中制御する。
【0030】
本実施形態との関係において、画像制御部140は、画像処理部200から出力される画像データをプリント部130へ出力する。
【0031】
画像処理部200は、画像形成装置1をネットワークプリンタとして使用する場合に、ネットワーク400に接続されるPC300から画像形成装置1に入力されるデータの管理及び制御を行うものである。具体的には、画像処理部200は、PC300から送信されるPDLデータに基づいてラスター形式の画像データを生成する。ここで、PDLデータは、PCL(Printer Control Language)、PostScript(登録商標)、PDF(Portable Document Format)等のページ記述言語(PDL)で記述されており、印刷対象となる画像を表すデータ(画像情報)に加えて、各種印刷設定に関する情報(印刷設定情報)を含んでいる。画像処理部200は、印刷ジョブ単位でPDLデータを取得して、1ページ分のPDLデータ毎に後述する処理を行う。
【0032】
画像処理部200は、言語解析部210と、処理部220とで構成されている。
【0033】
言語解析部210は、PDLデータを解析し、オブジェクトの中間データ(DL(Display List)データ)を生成する。このDLデータは、PDLデータを解析してラスター形式の画像データを生成する処理の過程において生成されるデータであり、オブジェクトは例えば文字(テキスト)、図形(グラフィック)、写真(イメージ)等である。すなわち、DLデータは、PDLデータに含まれるオブジェクトの特徴に応じて生成されるデータである。例えば、テキストやグラフィックのDLデータとしてはベクタ形式のデータ、イメージのDLデータとしてはイメージ形式のデータ、を挙げることができる。DLデータは8ビットで生成される。言語解析部210において生成されたDLデータは処理部220に出力される。
【0034】
本実施形態との関係において、言語解析部210は、PDLデータに基づいて、透過処理のオブジェクトがあるか否かを判断する。この透過処理のオブジェクトについては、処理部220において8ビットの多値情報が必要となる。
【0035】
処理部220は、DLデータに対して、ラスタライズ処理を行って印刷データを生成する。印刷データは、プリント部130による画像形成処理が可能となるラスター形式の画像データであり、例えば、ビットマップデータである。
【0036】
また、処理部220は、必要に応じてハーフトーン処理を行う。ハーフトーン処理は、8ビットから1ビットへの変換処理であり、これにより、中間階調が表現された1ビットの画像データが生成される。
【0037】
処理部220は、1ページ(1フレーム)分の画像データを生成すると、これを印刷データとして画像制御部140に出力する。
【0038】
なお、処理部220は、1ページ分の描画すべき画像を指定するデータをバンドと呼ばれる複数の部分に分割してバンド単位で処理を行うことができる。各バンドは、複数のラインの組によって構成されており、バンドを構成するライン数がバンド幅と称される。ラインとは、画像を構成する画素を所定の一方向(例えば、画像の主走査方向)に配列した画素の集合であり、この一方向に配列された画素数がページ幅と称される。このラインの方向と直交する一方向(例えば、画像の副走査方向)にライン数だけラインを並べて組み合わせることで1バンド分の画像データが構成される。
【0039】
本実施形態との関係において、処理部220は、2つの処理モードを有している。第1の処理モードは、透過処理が必要なオブジェクトについて実行されるモードであり、DLデータに基づいて8ビットの画像データ(オブジェクトに対応する8ビットの画像データ)を生成し、当該8ビットの画像データについてハーフトーン処理を行い、これにより、1ビットの画像データを生成するモードである。一方、第2の処理モードは、透過処理が不必要なオブジェクトについて実行されるモードであり、オブジェクトのDLデータについてハーフトーン処理を行い、これにより、1ビットの画像データを生成するモードである。処理部220は、これらの第1の処理及び第2の処理を通じて、1フレーム分の画像データを生成する。
【0040】
以下、画像処理部200の具体的な動作説明に先立ち、当該画像処理部200による処理内容の概念について説明する。
【0041】
図3は、PDLデータに係る原稿ORを示す説明図である。同図に示すように、原稿ORには、テキストオブジェクトMaや、イメージオブジェクトMbが存在している。例えば、イメージオブジェクトMbに透過処理がなされている場合、当該透過処理を行うには8ビットの多値情報が必要となるため、ラスタライズ処理にて、1画素8ビットの画像データを生成する。
【0042】
一方で、プリント部130によって処理される画像データ(印刷データ)は1ビットの画像データであるため、ラスタライズ処理後の8ビットの画像データをそのままプリント部130に出力することはできない。そこで、8ビットの画像データにハーフトーン処理を施し、8ビットから1ビットへと変換する必要がある。
【0043】
ラスタライズ処理は、バンド毎に行われるが、1フレーム分の全ての画像データが8ビットで生成される。この場合、ハーフトーン処理は1フレームの全域に施すこととなるが、これをソフトウェア処理にて実現した場合には、画像領域が広いため処理負荷が高く、パフォーマンスの低下を招くこととなる。
【0044】
透過処理のオブジェクトの存在を前提に、ラスタライズ処理後の画像データを8ビットで生成しているが、
図3に示すように、透過処理のオブジェクトMbは、1フレーム内の限られた領域にのみ存在することが多い。
【0045】
そこで、本実施形態では、透過処理の不要なオブジェクトMbについては、DLデータから1ビットの画像データを生成する。一方、透過処理の必要なオブジェクトMbについては、DLデータから8ビットの画像データを生成してこの画像データのみにハーフトーン処理を施し、これにより、1ビットの画像データを生成することとしている。
【0046】
図4は、1フレームをなす画像データの構成を示す説明図である。同図に示す例においては、8ビットの画像データを生成するのは、透過処理を必要とするオブジェクトMbのみとなる。
【0047】
図5は、1フレームの面積とオブジェクトMa1,Ma2の面積との関係を示す説明図である。ここで、オブジェクトMa1,Ma2は、非透過処理のオブジェクトである。1フレームFLの面積が70である場合、フレーム全域にハーフトーン処理を施す場合には、1フレームの総面積(面積70)が対象となる。一方、各オブジェクトMa1,Ma2の面積が4である場合、オブジェクトMa1,Ma2毎にハーフトーン処理を施す場合には、オブジェクトMa1,Ma2の総面積(面積8)が対象となる。このようなケースでは、1フレームの全領域ではなくオブジェクト毎にハーフトーン処理を施すことで、ハーフトーン処理を行う領域を狭めることができる。そのため、ソフトウェア処理によっても効率的に処理を実行することができる。
【0048】
図6は、1フレームの面積とオブジェクトMa3〜Ma5の面積との関係を示す説明図である。ここで、オブジェクトMa3〜Ma5は、非透過処理のオブジェクトである。
図5と同様、1フレームFLの面積が70である場合、フレーム全域にハーフトーン処理を施す場合には、1フレームの総面積(面積70)が対象となる。一方、オブジェクトMa3,Ma4,Ma5の各面積が54、40、28である場合、これらのオブジェクトMa3〜Ma5の総面積は122となる。そのため、オブジェクトMa3〜Ma5毎にハーフトーン処理を施す場合には、オブジェクトMa3〜Ma5の総面積(面積122)が対象となる。各オブジェクトMa3〜Ma5にハーフトーン処理を施すことで、むしろその処理領域が拡大してしまうこととなる。このようなケースでは、オブジェクト毎ではなく1フレームの全域にハーフトーン処理を施すことで、ハーフトーン処理を行う領域を狭めることができる。
【0049】
そこで、本実施形態の処理部220では、オブジェクトの総面積と、所定の閾値とを比較して、1フレームの全域にハーフトーン処理を実施するのか、オブジェクトをベースにハーフトーン処理を実施するのかを判断することとしている。この閾値は、1フレームの画像領域の面積が基準となるが、処理速度等を考慮して効率的な処理を可能とする値を自由に選択することが可能である。なお、オブジェクトをベースにハーフトーン処理を行う場合には、上述したように、オブジェクトについての透過処理の有無に応じて第1の処理と第2の処理とが切り換えられることとなる。
【0050】
図7は、本実施形態に係る画像処理方法を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、印刷ジョブの入力をトリガーとして画像処理部200により実施される。
【0051】
まず、ステップ1(S1)において、言語解析部210は、PDLデータを解析するPDL解析処理を行う。ここで、
図8は、PDL解析処理を示すフローチャートである。
【0052】
まず、ステップ10(S10)において、言語解析部210は、処理対象となるオブジェクト(対象オブジェクト)のDLデータを生成するとともに、その対象オブジェクトが透過処理を要するものであるか否かを判断する。このステップ10において肯定判定された場合、すなわち、対象オブジェクトが透過処理を要するものである場合には、ステップ11(S11)に進む。一方、ステップ10において否定判定された場合、すなわち、対象オブジェクトが透過処理を要するものでない場合には、ステップ12(S12)に進む。
【0053】
ステップ11において、言語解析部210は、対象オブジェクトに、透過処理を要するものであることを意味するフラグを付加する。
【0054】
ステップ12において、言語解析部210は、制御パラメータNに対象オブジェクトの面積を加算し、これにより、当該制御パラメータNを更新する。制御パラメータNは、初期的にはゼロに設定されている。
【0055】
ステップ13(S13)において、言語解析部210は、オブジェクトについて解析処理が終了したか否かを判断する。このステップ13で肯定判定された場合、すなわち、全てのオブジェクトについて解析処理が終了した場合には、本ルーチンを終了してメインフローへと戻る(RETURN)。一方、ステップ13で否定判定された場合、すなわち、全てのオブジェクトについて解析処理が終了していない場合には、ステップ10に戻る。そして、未だ解析処理の対象となっていないオブジェクトについて、これを対象オブジェクトとしてステップ10以降の処理を行う。
【0056】
再び
図7を参照するに、ステップ2(S2)において、言語解析部210は、制御パラメータN(オブジェクトの総面積)が閾値よりも小さいか否かを判断する。この閾値は、1フレームの全域にハーフトーン処理を実施するのか、それともオブジェクトをベースにハーフトーン処理を実施するのかを判断するための値であり、最適値が予め設定されている。
【0057】
このステップ2において肯定判定された場合、すなわち、制御パラメータNが閾値よりも小さい場合には、ステップ3(S3)に進む。一方、ステップ2において否定判定された場合、すなわち、制御パラメータNが閾値以上の場合には、ステップ4(S4)に進む。
【0058】
ステップ3において、処理部220は、以下に示す第1ラスタライズ処理を行った後、本処理を終了する(END)。
【0059】
図9は、第1ラスタライズ処理を示すフローチャートである。この第1ラスタライズ処理は、バンド単位で行うこともできるが、以下に述べるように1フレームを単位として行うことができる。
【0060】
まず、ステップ30(S30)において、処理部220は、所定のオブジェクトを対象として、画像データの生成を開始する。
【0061】
ステップ31(S31)において、処理部220は、当該オブジェクトについてフラグがあるか否かを判断する。ステップ31において肯定判定された場合、すなわち、オブジェクトにフラグがある場合には、ステップ32(S32)に進む。一方、ステップ31において否定判定された場合、すなわち、オブジェクトにフラグがない場合には、ステップ36(S36)に進む。
【0062】
ステップ32において、処理部220は、オブジェクトの画像データの生成に必要なバッファメモリを確保する。
【0063】
ステップ33(S33)において、処理部220は、DLデータに基づいて、8ビットの画像データを生成する。また、処理部220は、この8ビットの画像データを生成すると、透過処理も併せて実施する。
【0064】
ステップ34(S34)において、処理部220は、8ビットの画像データにハーフトーン処理を施す。ハーフトーン処理はオブジェクト単位で実行され、当該ハーフトーン処理により1ビットの画像データが生成される。
【0065】
ステップ35(S35)において、処理部220は、バッファメモリを解放する。
【0066】
一方、ステップ36において、オブジェクトの画像データの生成に必要なバッファメモリを確保する。
【0067】
ステップ37(S37)において、処理部220は、DLデータに基づいて、オブジェクトにハーフトーン処理を施す。DLデータは8ビットであり、このハーフトーン処理により、1ビットのデータが生成される。
【0068】
ステップ38(S38)において、処理部220は、ハーフトーン処理が施されたオブジェクトに基づいて、1ビットの画像データを生成する。
【0069】
ステップ39(S39)において、処理部220は、バッファメモリを解放する。
【0070】
ステップ40(S40)において、処理部220は、1フレーム分の画像データが生成されたか否かを判断する。このステップ40で肯定判定された場合、すなわち、1フレーム分の画像データが生成された場合には、本ルーチンを終了してメインフローへと戻る(RETURN)。一方、ステップ40で否定判定された場合、すなわち、全てのバンドデータが生成されていない場合には、ステップ30の処理に戻り、新たなバンドを対象としてステップ30以降の処理を実行する。
【0071】
再び
図7を参照し、ステップ4において、処理部220は、以下に示す第2ラスタライズ処理を行った後、本処理を終了する(END)。
【0072】
図10は、第2ラスタライズ処理を示すフローチャートである。この第2ラスタライズ処理は、バンド単位で行うものであるが、1フレームを単位として行うことも可能である。
【0073】
まず、ステップ50(S50)において、処理部220は、バンドに対応する画像データの生成を開始する。
【0074】
ステップ51(S51)において、処理部220は、1バンド分の画像データの生成に必要なバッファメモリを確保する。
【0075】
ステップ52(S52)において、処理部220は、DLデータに基づいて、1バンド分の画像データを生成する。DLデータは8ビットであり、同様に、1バンド分の画像データも8ビットで生成される。また、処理部220は、この画像データを生成するにあたり、1バンド内に透過処理が必要なオブジェクトが存在する場合には、透過処理も併せて実施する。
【0076】
ステップ53(S53)において、処理部220は、生成された8ビットの画像データにハーフトーン処理を施す。このハーフトーン処理により、1バンド分の画像データが8ビットから1ビットへと変換される。
【0077】
ステップ54(S54)において、処理部220は、バッファメモリを解放する。
【0078】
ステップ55(S55)において、処理部220は、1フレーム分の画像データが生成されたか否かを判断する。このステップ55で肯定判定された場合、すなわち、1フレーム分の画像データが生成された場合には、本ルーチンを終了してメインフローへと戻る(RETURN)。一方、ステップ55で否定判定された場合、すなわち、1フレーム分の画像データが生成されていない場合には、ステップ50の処理に戻り、新たなバンドを対象としてステップ50以降の処理を実行する。
【0079】
このように本実施形態において、画像形成装置1は、ページ記述言語で記述されたPDLデータに基づいてラスター形式の画像データを生成する画像処理部200と、画像処理部200により生成された画像データに基づいて用紙に画像を形成するプリント部130と、を有している。この画像処理部200は、PDLデータを解析してオブジェクトのDLデータを生成する言語解析部210と、言語解析部210により生成されたオブジェクトのDLデータに基づいてラスタライズ処理を行い、1ビットの画像データを生成する処理部220と、を有している。ここで、言語解析部210は、PDLデータに基づいて、透過処理のオブジェクト、すなわち、8ビットの多値情報での処理が必要なオブジェクトがあるか否かを判断する。また、処理部220は、透過処理が必要なオブジェクトについて、オブジェクトのDLデータに基づいて8ビットの画像データを生成し、当該生成した8ビットの画像データについてハーフトーン処理を行い、これにより、1ビットの画像データを生成する第1の処理モードと、透過処理の不必要なオブジェクトについては、オブジェクトのDLデータから1ビットの画像データを生成する第2の処理モードと、を有している。
【0080】
この構成によれば、1フレームやバンドの全域にハーフトーン処理を施す必要がないので、処理負荷を軽減することができる。さらに、透過処理の有無に応じて、第1の処理モードと、第2の処理モードとを使い分けることができる。特に、第2の処理モードでは、DLデータから1ビットの画像データが直接的に生成されるので、第1の処理モードを適用する場合と比較して、処理負荷を低減することができる。効率的な処理によりラスター形式の画像データを生成することができる。
【0081】
また、この構成によれば、バッファメモリを動的に確保する場合であっても、使用メモリを削減することが可能となり、他の処理にメモリリソースを割り当てることができる。これにより、処理効率の改善を図ることができる。
【0082】
また、本実施形態において、言語解析部210は、オブジェクトの総面積を算出し、総面積が予め定められた閾値以上であるか否かを判断する。そして、処理部220は、総面積が閾値以上の場合には、DLデータに基づいて1フレーム分の画像領域についてのMビットの画像データを生成し、当該画像データについてMビットからNビットへの変換処理を行うことで、Nビットの画像データを生成している。
【0083】
オブジェクトの総面積が大きいケースでは、1フレーム全体にハーフトーン処理を施す場合に比べて、処理量が増大してしまうことがある。そこで、オブジェクトの総面積を閾値と比較することで、処理負荷を有効に低減することができる。
【0084】
なお、本実施形態では、透過処理のオブジェクトを処理する観点から、8ビットの多値情報を例示し、これを1ビットの画像データへと変換するハーフトーン処理を例示した。しかしながら、本実施形態はこれに限定されるものではない。すなわち、ハーフトーン処理に拘わらず、MビットからNビットへの変換処理において処理負荷が増大するため、このような変換処理を備える手法について広く適用することができる。ここで、Nは正の自然数であり、MはNよりも大きい正の自然数であればよい。
【0085】
以上、本発明の実施形態にかかる画像形成装置について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能であることはいうまでもない。本実施形態では、PDLデータを処理して画像データを生成する画像処理装置と、この画像データに応じて画像を形成する印刷装置を一体に備える画像形成装置について説明を行った。しかしながら、画像処理装置と、印刷装置とをそれぞれ独立のユニットで構成してもよい。すなわち、画像形成装置そのものだけでなく、プリンタエンジンと独立して構成される画像処理装置においても本発明の一部として機能する。また、この画像処理装置が実行する画像処理方法や、情報処理装置にこの画像処理方法を実行させるコンピュータープログラム、及びこのコンピュータープログラムを記憶してコンピューター読取可能な情報記憶媒体も本発明の一部として機能する。