(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蒸発凝縮器(減圧容器)を蒸発器として用いる場合には、熱媒が流れる流水管の少なくとも一部を蒸発凝縮器の内部の液層に配置しなければならない。一方、蒸発凝縮器を凝縮器として用いる場合には、流水管の少なくとも一部を気層に配置しなければならない。
【0005】
このため、蒸発凝縮器の本体とは別に水溜めを設け、この水溜めから蒸発凝縮器に水を供給、蒸発凝縮器から水を回収することで蒸発凝縮器の液面の位置を調整することがある。このように、蒸発凝縮器とは別に水溜めを設けた場合に、水溜めの水(液体)を加圧して、蒸発凝縮器へ水を供給することが考えられる。水を加圧する場合に、例えば、プランジャヘッド等の加圧部材を水が貯留されている容器に対して移動させて、容器に貯留されている水を加圧することがある。しかし、このような構成では、加圧部材と容器との間から気体が水に入り込んでしまうことがある。
【0006】
本発明の課題は、内部が減圧されている減圧容器との間で液体を輸送する場合に、輸送される液体に気体が入り込むのを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る液体輸送装置は、内部に液体が貯留されると共に、内部に大気圧に比して減圧されている減圧層を有する容器と、減圧されている減圧容器と前記容器において液体が貯留される部分とを連通する連通部と、前記容器の内部に貯留される液体の層と前記減圧層とを仕切り、前記液体の層の体積が増減するように前記容器の内部に移動可能に設けられる仕切部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、液体を減圧容器に供給する場合は、液体輸送装置の仕切部を容器の内部に貯留された液体側に移動させて、容器の内部に貯留された液体を加圧することで、液体輸送装置は、液体を減圧容器に供給する。これに対して、減圧容器から液体を回収する場合は、液体輸送装置の仕切部を容器の内部に貯留される液体側とは反対側に移動させて、容器の内部で液体が貯留される部分を減圧することで、液体輸送装置は、減圧容器から液体を回収する。
【0009】
ここで、容器の内部で移動可能に設けられている仕切部は、容器の内部に貯留される液体の層と、大気圧と比して減圧されている減圧層とを仕切るように配置されている。このため、減圧層が大気圧である場合と比して、気体が容器と仕切部の間から液体の層へ入り込むのが抑制される。
【0010】
換言すれば、減圧容器との間で液体を輸送する場合に、輸送される液体に気体が入り込むのを抑制することができる。
【0011】
本発明の請求項2に係る液体輸送装置は、請求項1に記載の液体輸送装置において、前記容器の内部を前記減圧層と、前記減圧層とは異なる気体の層とに分割すると共に、前記仕切部の移動方向と同様の方向に移動可能に設けられる分割部と、前記分割部と前記仕切部とを連結する連結部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、連結部によって仕切部と連結されている分割部が、減圧層と、減圧層とは異なる気体の層とを分割している。これにより、仕切部が移動しても減圧層の体積が変化するのを抑制することができる。
【0013】
本発明の請求項3に係る液体輸送装置は、請求項2に記載の液体輸送装置において、前記容器には、前記気体の層を前記容器の外部と分離する分離部が形成され、前記気体の層の圧力を増減させる増減部材を備えることを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、増減部材が、気体の層の圧力を増加させることで、仕切部が容器の内部に貯留された液体側に移動する。これにより、液体輸送装置は、液体を減圧容器に供給する。また、増減部材が、気体の層の圧力を減少させることで、仕切部が容器の内部に貯留される液体側とは反対側に移動する。これにより、液体輸送装置は、減圧容器から液体を回収する。
【0015】
このように、増減部材が、気体の層の圧力を増減させることで、液体輸送装置は、減圧容器との間で液体を輸送することができる。
【0016】
本発明の請求項4に係る吸着式ヒートポンプは、蒸気である吸着媒体を吸着し、吸着媒体を脱着する吸着材を備える吸着装置と、内部が減圧されている減圧容器であって、液体を蒸発させて前記吸着材が吸着する吸着媒体を生成し、前記吸着材が脱着した吸着媒体を凝縮する蒸発凝縮器と、前記蒸発凝縮器に液体を供給し、前記蒸発凝縮器から液体を回収する請求項1〜3の何れか1項に記載の液体輸送装置と、を備えることを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、吸着式ヒートポンプが、請求項1〜3の何れか1項に記載の液体輸送装置を備えることで、蒸発凝縮器に輸送される液体に気体が入り込むのが抑制される。これにより、吸着装置の熱効率が向上する。
【0018】
吸着装置の熱効率が向上することで、例えば、吸着装置が吸着媒体を吸着する吸着工程において、蒸発凝縮器で生じる蒸発潜熱の量を増加させることができる。
【0019】
本発明の請求項5に係る蓄熱システムは、蒸気である吸着媒体を吸着し、吸着媒体を脱着する蓄熱材を有する蓄熱装置と、内部が減圧されている減圧容器であって、液体を蒸発させて前記蓄熱材が吸着する吸着媒体を生成し、前記蓄熱材が脱着した吸着媒体を凝縮する蒸発凝縮器と、前記蒸発凝縮器に液体を供給し、前記蒸発凝縮器から液体を回収する請求項1〜3の何れか1項に記載の液体輸送装置と、を備えることを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、蓄熱システムが、請求項1〜3の何れか1項に記載の液体輸送装置を備えることで、蒸発凝縮器に輸送される液体に気体が入り込むのが抑制される。これにより、蓄熱装置の熱効率が向上する。
【0021】
蓄熱装置の熱効率が向上することで、例えば、蓄熱装置によって蓄熱される熱量を増加させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、内部が減圧されている減圧容器との間で液体を輸送する場合に、輸送される液体に気体が入り込むのを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態>
(構成)
本発明の第1実施形態に係る液体輸送装置及び吸着式ヒートポンプ(以下「ヒートポンプ」)の一例について
図1〜
図4を用いて説明する。なお、図中に示す矢印UPは鉛直方向の上方側を示す。
【0025】
第1実施形態に係るヒートポンプ100は、
図1に示されるように、水(液体の一例)を蒸発及び凝縮させる減圧容器の一例としての蒸発凝縮器80と、蒸発凝縮器80に水を供給、及び蒸発凝縮器80から水を回収する液体輸送装置10とを備えている。さらに、ヒートポンプ100は、吸着装置90を備えている。
【0026】
そして、蒸発凝縮器80、液体輸送装置10、及び吸着装置90は、内部が真空脱気され、大気圧と比して低い減圧系とされている。
【0027】
〔吸着装置〕
吸着装置90は、
図1に示されるように、容器92と、容器92の内部に設けられた吸着材94とを備えている。この吸着材94としては、例えば、活性炭、メソポーラスシリカ、ゼオライト、シリカゲル、及び粘土鉱物等を用いることができる。
【0028】
また、吸着装置90は、吸着材94との間で熱交換が行われる第一熱媒が流れる第一流路(図示省略)と、第二熱媒が流れる第二流路(図示省略)とを備えている。
【0029】
この構成において、吸着材94は、第一流路を流れる第一熱媒との熱交換により、蒸発凝縮器80によって蒸発して容器92に流れ込んだ水蒸気(吸着媒体の一例)を吸着するようになっている。さらに、吸着材94は、第二流路を流れる第二熱媒との熱交換により、吸着している水蒸気を脱着するようになっている。
【0030】
〔蒸発凝縮器〕
蒸発凝縮器80は、
図1に示されるように、配管88によって吸着装置90と連通している。そして、蒸発凝縮器80は、内部に水が貯留される容器82と、容器82の内部に一部が配置され、流体が流れる流路管84とを備えている。この容器82は、底板82A、側板82B及び天井板82Cを含んで構成されている。
【0031】
この構成において、
図2に示されるように、流路管84の少なくとも一部が容器82の液層(水の中)に配置されている状態で、流路管84を流れる一の流体と容器82の内部の水との熱交換により、水蒸気が生成されるようになっている。そして、この水蒸気が、吸着装置90に供給されるようになっている。
【0032】
また、
図4に示されるように、流路管84の少なくとも一部が容器82の気層に配置されている状態で、流路管84を流れる他の流体と、吸着材94が脱着して容器82の内部に流れ込んだ水蒸気との熱交換により、水蒸気が凝縮されるようになっている。
【0033】
〔液体輸送装置〕
液体輸送装置10は、
図1に示されるように、内部に水(液体の一例)が貯留される容器12を備えている。具体的には、容器12は、底板12A、側板12B、及び天井板12Cを含んで構成され、上下方向に延びる円柱状とされている。
【0034】
また、液体輸送装置10は、容器12の液層部(内部に水が貯留された場合に液体の層となる部分)と蒸発凝縮器80とを連通する連通部の一例としての連通管14を備えている。そして、この連通管14は、容器82の底板82Aと、容器12の底板12Aに連結さている。さらに、液体輸送装置10は、連通管14を開閉する開閉バルブ16を備えている。なお、各図において開閉バルブ16については、閉状態が黒塗りで示され、開状態が白抜きで示される。
【0035】
また、液体輸送装置10は、容器12の内部で鉛直方向に移動可能に設けられ、内部に貯留される水の層19(以下「液層19」)と、大気圧に比して減圧された減圧層18とを鉛直方向で仕切る仕切部20を備えている。そして、仕切部20は、板面が上下方向を向くと共に液層19と減圧層18とに挟まれる仕切板22と、仕切板22の端部に固定され、仕切板22と容器12の内周面との間をシールするシール部材24とを有している。
【0036】
また、容器12の天井板12Cには、減圧層18と外部とを連通させる圧力調整孔26が形成され、真空ポンプ(図示省略)を用いて圧力調整孔26から減圧層18の空気を抜くことで、減圧層18は、大気圧と比して減圧され、例えば、0.1〔kPa〕とされている。なお、減圧層18が減圧された後は、この圧力調整孔26は、バルブ27を用いて閉止される。
【0037】
さらに、液体輸送装置10は、基端部が仕切板22に取り付けられ、上方側に延びる支持ロッド28を備えている。この支持ロッド28は、容器12の天井板12Cに形成された貫通孔30を貫通し、支持ロッド28の先端部は、容器12の外部に露出している。また、支持ロッド28の外周と貫通孔30の縁部とをシールするシール部材32が設けられている。なお、シール部材32には例えば、シリコーンゴムを用いて成形することができる。
【0038】
さらに、液体輸送装置10は、支持ロッド28を介して仕切部20を上下方向に移動させる駆動部材34を備えている。
【0039】
(作用)
次に、液体輸送装置10の作用を、液体輸送装置10を用いて蒸発凝縮器80に水を供給する方法、及び液体輸送装置10を用いて蒸発凝縮器80から水を回収する方法によって説明する。
【0040】
〔水の供給〕
先ず、液体輸送装置10を用いて蒸発凝縮器80に水(液体の一例)を供給する方法について説明する。なお、蒸発凝縮器80に水を供給するのは、蒸発凝縮器80が水蒸気を生成する場合である。
【0041】
水を蒸発凝縮器80に供給する前の状態では、
図1に示されるように、開閉バルブ16は、閉状態とされ、容器12の内部には水が貯留されている。
【0042】
そして、蒸発凝縮器80の内部の温度及び圧力は、一例として、5〔℃〕、0.9〔kPa〕となっている。このように、蒸発凝縮器80の容器82内部は、水蒸気と水とが平衡状態となる環境となっている。
【0043】
これに対して、前述したように、容器12の減圧層18の圧力は、例えば、0.1〔kPa〕とされている。
【0044】
この状態で、
図2に示されるように、開閉バルブ16が閉状態から開状態とされる。
【0045】
そして、駆動部材34が、支持ロッド28を介して仕切部20を下方側に移動させる。これにより、容器12の内部に貯留されていた水が、仕切部20によって押圧されて連通管14を通って蒸発凝縮器80の容器82の内部に供給される。
【0046】
そして、流路管84を流れる流体と容器82の内部に供給された水との熱交換により、水蒸気が生成される。
【0047】
なお、蒸発凝縮器80への水の供給を終了する場合には、開閉バルブ16が開状態から閉状態され、駆動部材34が、仕切部20の移動を停止させる。これにより、蒸発凝縮器80への水の供給が終了する。
【0048】
〔水の回収〕
次に、液体輸送装置10を用いて蒸発凝縮器80から水(液体の一例)を回収する方法について説明する。なお、蒸発凝縮器80から水を回収するのは、蒸発凝縮器80が水蒸気を凝縮する場合である。
【0049】
水を蒸発凝縮器80から回収する前の状態では、
図3に示されるように、開閉バルブ16は、閉状態とされ、容器12の内部には水が貯留されていない。容器12に貯留されていた水は、液体輸送装置10を用いて蒸発凝縮器80に水を供給する際に、蒸発凝縮器80に全て供給されたからである。
【0050】
そして、蒸発凝縮器80の内部の温度及び圧力は、吸着装置90が水蒸気を脱気することで、一例として、90〔℃〕、69.0〔kPa〕となっている。このように、蒸発凝縮器80の容器82の内部は、水蒸気と水とが平衡状態となる環境となっている。
【0051】
そして、吸着材94が脱着した水蒸気が配管88を通って蒸発凝縮器80の容器82の内部に流れ込むと、
図4に示されるように、水蒸気が、流路管84を流れる流体との熱交換により凝縮する。
【0052】
さらに、開閉バルブ16が閉状態から開状態される。そして、駆動部材34が、支持ロッド28を介して仕切部20を上方側へ移動する。
【0053】
これにより、連通管14の内部が減圧され、容器82の内部で凝縮した水が、連通管14を通って、容器12の内部に流れ込み、容器12の内部に貯留される。このようにして、蒸発凝縮器80によって凝縮した水が回収される。
【0054】
なお、蒸発凝縮器80からの水の回収を終了させる場合には、開閉バルブ16が開状態から閉状態され、駆動部材34が、仕切部20の移動を停止させる。これにより、蒸発凝縮器80からの水の回収が終了する。
【0055】
〔ヒートポンプ〕
次に、ヒートポンプ100の作用について説明する。
【0056】
ここで、ヒートポンプの作用については、ヒートポンプ100が2個設けられる場合を例にとって説明する。
【0057】
図2に示されるように、一方の吸着装置90では、吸着材94が、第一熱媒との熱交換により、吸着装置90の容器92の内部に供給された水蒸気を吸着する。そして、吸着材94が水蒸気を吸着することで、吸着材94は、水蒸気を吸着しつつ発熱(放熱)する(吸着工程)。
【0058】
これに対して、
図4に示されるように、他方の吸着装置90では、吸着材94が、第二熱媒との熱交換により、吸着している水蒸気を脱着する。そして、吸着材94が水蒸気を脱着することで、吸着材94は、水蒸気を脱着しつつ吸熱する(脱着工程)。
【0059】
次に、水蒸気を吸着した吸着材94が、水蒸気を脱着し、水蒸気を脱着した吸着材94が水蒸気を吸着する。このように、一方の吸着材94が吸着・脱着を繰り返し、他方の吸着材94が脱着・吸着を繰り返す。
【0060】
これにより、吸着工程において、蒸発凝縮器80の流路管84を流れる流体が冷却される。
【0061】
(まとめ)
以上説明したように、容器12の減圧層18は、大気圧に対して減圧されている。これにより、減圧層18が大気圧である場合と比して、シール部材24と容器12の内周面との間から、気体が容器12に貯留される水に入り込むのを抑制することができる。換言すれば、蒸発凝縮器80との間で水を輸送する場合に、輸送される水に気体が入り込むのを抑制することができる。
【0062】
また、蒸発凝縮器80との間で輸送される水に気体が入り込むのが抑制されることで、蒸発凝縮器80と液体輸送装置10との間の水の輸送効率を向上させることができる。
【0063】
また、ヒートポンプ100においては、蒸発凝縮器80と液体輸送装置10との間の水の輸送効率が向上することで、吸着装置90の熱効率を向上させることができる。
【0064】
また、吸着装置90の熱効率が向上することで、例えば、吸着材94が水蒸気を吸着する吸着工程において、蒸発凝縮器80の流路管84を流れる流体を効果的に冷却することができる。
【0065】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る液体輸送装置及びヒートポンプの一例について
図5〜
図8を用いて説明する。なお、第1実施形態と同一部材等については、同一符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0066】
(構成)
第2実施形態に係るヒートポンプ200に備えられた液体輸送装置110は、
図5に示されるように、上方側が開放された容器112を備えている。具体的には、容器112は、底板112A、及び側板112Bを含んで構成されている。
【0067】
さらに、液体輸送装置110は、容器112の内部を減圧層118と、容器12の外部と連通する外部層134(気体の層の一例)とに分割すると共に、仕切部20の移動方向(本実施形態では鉛直方向)と同様の方向に移動可能とされる分割部138を備えている。
【0068】
分割部138は、板面が上下方向を向くと共に外部層134と減圧層118とに挟まれる分割板140と、分割板140の端部に固定され、分割板140と容器112の内周面との間をシールするシール部材142とを有している。また、分割板140には、減圧層118を減圧する際に用いる圧力調整孔144が形成されている。
【0069】
さらに、支持ロッド28は、分割板140の表裏を貫通するように、分割板140と一体的に成形されている。このように支持ロッド28は、分割部138と仕切部20とを連結する連結部の一例とされている。これにより、分割部138と仕切部20とが同様に移動するようになっている。
【0070】
(作用)
次に、液体輸送装置110の作用を、液体輸送装置110を用いて蒸発凝縮器80に水を供給する方法、及び液体輸送装置10を用いて蒸発凝縮器80から水を回収する方法によって説明する。
【0071】
〔水の供給〕
液体輸送装置110を用いて蒸発凝縮器80に水(液体の一例)を供給する方法について説明する。
【0072】
蒸発凝縮器80に水を供給する方法については、第1実施形態と同様で、
図5、
図6に示されるように、開閉バルブ16が閉状態から開状態され、駆動部材34が、支持ロッド28を介して仕切部20を下方側へ移動することで、水が、蒸発凝縮器80の容器82の内部に供給される。
【0073】
ここで、減圧層118の容積については、仕切部20の移動によって変化しないため、減圧層118の圧力が所定の値(例えば、0.1〔kPa〕)に維持される。
【0074】
また、蒸発凝縮器80の内部の温度及び圧力は、一例として、90〔℃〕、69.0〔kPa〕となっている。このため、支持ロッド28の先端部に取り付けられている仕切部20は、下方側から減圧されている空間に接しており、支持ロッド28と一体的に成形されている分割部138は、上方側から大気圧となっている外部層134に接している。この圧力差により、仕切部20には、仕切部20を下方側へ移動させる力が作用する。
【0075】
これより、液体輸送装置110では、駆動部材34が、仕切部20を下方側へ移動する力を軽減すること、又は、圧力差によって仕切部20を移動させることができる。
【0076】
〔水の回収〕
次に、液体輸送装置110を用いて蒸発凝縮器80から水(液体の一例)を回収する方法について説明する。
【0077】
蒸発凝縮器80から水を回収する方法については、第1実施形態と同様で、
図7、
図8に示されるように、開閉バルブ16が閉状態から開状態され、駆動部材34が、仕切部20を上方側へ移動することで、水が、蒸発凝縮器80の容器82の内部に回収される。
【0078】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る液体輸送装置及びヒートポンプの一例について
図9〜
図12を用いて説明する。なお、第2実施形態と同一部材等については、同一符号を付してその説明を省略し、第2実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0079】
(構成)
第3実施形態に係るヒートポンプ300に備えられた液体輸送装置210は、
図9に示されるように、上方側が閉止された容器212を備えている。具体的には、容器212は、底板212A、側板212B、及び天井板212Cを含んで構成されている。
【0080】
さらに、分割部138は、容器12の内部を減圧層118と、天井板212Cとの間の層である気層234とに分離している。気層234は、気体の層の一例であって、天井板212Cは、気層234を容器212の外部と分離する分離部の一例である。
【0081】
また、支持ロッド28は、容器212の天井板212Cに形成された貫通孔230を貫通し、支持ロッド28の先端部は、容器212の外部に露出している。そして、支持ロッド28の外周と貫通孔230の縁部とをシールするシール部材232が設けられている。
【0082】
さらに、容器212の側板212Bには、減圧層118と外部とを連通させる圧力調整孔226が形成されている。
【0083】
さらに、容器212の側板212Bには、気層234と外部とを連通させる圧力調整孔246が形成されている。そして、液体輸送装置210は、この圧力調整孔246を通して気層234から空気を抜き取り、この圧力調整孔246を通して気層234に空気を送り込むことで、気層234の圧力を増減させる増減部材の一例としての空気ポンプ250を備えている。
【0084】
(作用)
次に、液体輸送装置210の作用を、液体輸送装置210を用いて蒸発凝縮器80に水を供給する方法、及び液体輸送装置10を用いて蒸発凝縮器80から水を回収する方法によって説明する。
【0085】
〔水の供給〕
先ず、液体輸送装置210を用いて蒸発凝縮器80に水(液体の一例)を供給する方法について説明する。
【0086】
水を蒸発凝縮器80に供給する前の状態では、
図9に示されるように、開閉バルブ16は、閉状態とされ、容器212の内部には水が貯留されている。また、気層234の圧力は、蒸発凝縮器80の容器82の内部の圧力と同様とされている。
【0087】
この状態で、
図10に示されるように、開閉バルブ16が閉状態から開状態される。そして、空気ポンプ250が、圧力調整孔246を通して気層234へ空気を送り込む。これにより、気層234の圧力が増加する。
【0088】
気層234の圧力が増加することで、分割部138、支持ロッド28及び仕切部20が、下方側へ移動する。これにより、容器212の内部に貯留されていた水が、仕切部20によって押圧されて連通管14を通って蒸発凝縮器80の容器82の内部に供給される。
【0089】
なお、蒸発凝縮器80への水の供給を終了する場合には、開閉バルブ16が開状態から閉状態され、空気ポンプ250が、気層234への空気の送り込みを停止して仕切部20の移動を停止させる。
【0090】
〔水の回収〕
次に、液体輸送装置210を用いて蒸発凝縮器80から水を回収する方法について説明する。
【0091】
水を蒸発凝縮器80から回収する前の状態では、
図11に示されるように、開閉バルブ16は、閉状態とされ、容器212の内部には水が貯留されていない。また、気層234の圧力は、蒸発凝縮器80の容器82の内部の圧力と同様とされている。
【0092】
この状態で、
図12に示されるように、開閉バルブ16が閉状態から開状態とされる。そして、そして、空気ポンプ250が、圧力調整孔246を通して気層234から空気を抜き取る。これにより、気層234の圧力が減少する。
【0093】
気層234の圧力が減少することで、分割部138、支持ロッド28及び仕切部20が、上方側へ移動する。これにより、連通管14の内部が減圧され、容器82の内部で凝縮した水が、連通管14を通って、容器212の内部に流れ込み、容器12の内部に回収される。
【0094】
なお、蒸発凝縮器80からの水の回収を終了させる場合には、開閉バルブ16が開状態から閉状態され、空気ポンプ250が、気層234からの空気の抜き取りを停止して仕切部20の移動を停止させる。
【0095】
<第4施形態>
次に、本発明の第4施形態に係る液体輸送装置及び蓄熱システムの一例について
図13を用いて説明する。なお、第1施形態と同一部材等については、同一符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0096】
(構成)
第4実施形態に係る蓄熱システム400は、
図13に示されるように、水を蒸発、水蒸気を凝縮させる蒸発凝縮器80と、蒸発凝縮器80に水を供給、蒸発凝縮器80から水を回収する液体輸送装置10とを備えている。さらに、蓄熱システム400は、蓄熱装置390を備えている。
【0097】
そして、蒸発凝縮器80、液体輸送装置10、及び蓄熱装置390は、内部が真空脱気され、大気圧と比して低い減圧系とされている。
【0098】
〔蓄熱装置〕
蓄熱装置390は、
図13に示されるように、容器392と、容器392の内部に設けられている蓄熱材394とを備えている。この蓄熱材394としては、例えば、活性炭、メソポーラスシリカ、ゼオライト、シリカゲル、及び粘土鉱物等を用いることができる。
【0099】
また、蓄熱装置390は、蓄熱材394との間で熱交換が行われる第一熱媒が流れる第一流路(図示省略)と、第二熱媒が流れる第二流路(図示省略)とを備えている。
【0100】
具体的には、蓄熱材394は、第一流路を流れる第一熱媒との熱交換より、蒸発凝縮器80によって蒸発して容器392に流れ込んだ水蒸気を吸着することで放熱するようになっている。さらに、蓄熱材394は、第二流路を流れる第二熱媒との熱交換により、吸着している水蒸気を脱着することで蓄熱するようになっている。
【0101】
この蓄熱装置390に供給される水蒸気の生成、蓄熱装置390から蒸発凝縮器80に流れ込んだ水蒸気の凝縮については、第1実施形態の吸着装置90に供給される水蒸気の生成、吸着装置90から蒸発凝縮器80に流れ込んだ水蒸気の凝縮と同様である。
【0102】
この蓄熱システム400においては、蒸発凝縮器80と液体輸送装置10との間の水の輸送効率が向上することで、蓄熱装置390の熱効率が向上する。
【0103】
また、蓄熱装置390の熱効率が向上することで、例えば、蓄熱装置390によって蓄熱される熱量を増加させることができる。
【0104】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記第1、第2実施形態では、駆動部材34が、支持ロッド28を介して仕切部20を移動させたが、作業者が支持ロッド28を押し引きして仕切部20を移動させてもよい。
【0105】
また、上記実施形態では、減圧層18、118を例えば、例えば、0.1〔kPa〕としたが、大気圧より低ければよい、これにより、輸送される水に気体が入り込むのが抑制される。
【0106】
また、上記第4実施形態の蓄熱システム400は、液体輸送装置10を備えたが、液体輸送装置110、又は210を備えてもよい。
【0107】
また、上記実施形態のヒートポンプ100、200、300、及び蓄熱システム400では、蒸発凝縮器80が、一体であったが、水を蒸発させる蒸発部と水蒸気を凝縮する凝縮部が別体であってもよい。この場合には、蒸発部に水が供給され、凝縮部から水が回収される。