(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記流量制御弁は、前記操作弁を前記作動油が通過する際に生じる圧力差に応じ、ストローク空間内で移動体を往復移動させることで、開度を調整するパイロット式の流量制御弁であり、
前記移動体は、
移動方向における一端側に設けられて前記ストローク空間を塞ぐ第1の拡径部と、
前記移動方向における他端側に設けられて前記ストローク空間を塞ぐ第2の拡径部と、
前記ストローク空間を形成する内壁から離間し、前記第1の拡径部と前記第2の拡径部とを接続する接続部と、を備え、
前記バイパス流量制御弁部は、少なくとも、
前記ストローク空間に接続された前記バイパス油路と、
前記ストローク空間に接続されて、当該ストローク空間に前記操作弁からの作動油を供給する供給油路と、
前記移動体の往復移動に伴って、前記バイパス油路を塞ぐことで開度を調整する前記第1の拡径部と、によって構成され、
前記蓄圧流量制御弁部は、少なくとも、
前記ストローク空間に接続された前記回生油路と、
前記ストローク空間に接続されて、当該ストローク空間に前記操作弁からの作動油を供給する前記供給油路と、
前記移動体の往復移動に伴って、前記回生油路を塞ぐことで開度を調整する前記第1の拡径部と、によって構成される、請求項1に記載の荷役車両の油圧駆動装置。
前記流量制御弁は、前記操作弁を前記作動油が通過する際に生じる圧力差に応じ、ストローク空間内で移動体を往復移動させることで、開度を調整するパイロット式の流量制御弁であり、
前記移動体は、
移動方向における一端側に設けられて前記ストローク空間を塞ぐ第1の拡径部と、
前記移動方向における他端側に設けられて前記ストローク空間を塞ぐ第2の拡径部と、
前記ストローク空間を形成する内壁から離間し、前記第1の拡径部と前記第2の拡径部とを接続する接続部と、
前記第1の拡径部と前記第2の拡径部との間であって、前記第1の拡径部及び前記第2の拡径部から前記移動方向において離間する位置に配置される第3の拡径部と、を備え、
前記バイパス流量制御弁部は、少なくとも、
前記第1の拡径部と前記第3の拡径部との間で、前記ストローク空間に接続された前記バイパス油路と、
前記第1の拡径部と前記第3の拡径部との間で、前記ストローク空間に接続され、当該ストローク空間へ前記操作弁側から前記作動油を供給するバイパス側供給油路と、
前記移動体の往復移動に伴って、前記バイパス側供給油路を塞ぐことで開度を調整する前記第1の拡径部と、によって構成され、
前記蓄圧流量制御弁部は、少なくとも、
前記第2の拡径部と前記第3の拡径部との間で、前記ストローク空間に接続された前記回生油路と、
前記第2の拡径部と前記第3の拡径部との間で、前記ストローク空間に接続され、当該ストローク空間へ前記操作弁側から前記作動油を供給する蓄圧側供給油路と、
前記移動体の往復移動に伴って、前記蓄圧側供給油路を塞ぐことで開度を調整する前記第3の拡径部と、によって構成される、請求項1に記載の荷役車両の油圧駆動装置。
他の弁を作動油が通過する際に生じる圧力差に応じ、ストローク空間内で移動体を往復移動させることで、開度を調整して前記作動油の流量を制御するパイロット式の流量制御弁であって、
第1の部分へ流れる前記作動油の流量を制御する第1の流量制御弁部と、
第2の部分へ流れる前記作動油の流量を制御する第2の流量制御弁部と、を備え、
前記移動体は、
移動方向における一端側に設けられて前記ストローク空間を塞ぐ第1の拡径部と、
前記移動方向における他端側に設けられて前記ストローク空間を塞ぐ第2の拡径部と、
前記ストローク空間を形成する内壁から離間し、前記第1の拡径部と前記第2の拡径部とを接続する接続部と、を備え、
前記第1の流量制御弁部は、少なくとも、
前記ストローク空間に接続された第1の油路と、
前記ストローク空間に接続されて、当該ストローク空間に前記他の弁からの前記作動油を供給する供給油路と、
前記移動体の往復移動に伴って、前記第1の油路を塞ぐことで開度を調整する前記第1の拡径部と、によって構成され、
前記第2の流量制御弁部は、少なくとも、
前記ストローク空間に接続された第2の油路と、
前記ストローク空間に接続されて、当該ストローク空間に前記他の弁からの前記作動油を供給する前記供給油路と、
前記移動体の往復移動に伴って、前記第2の油路を塞ぐことで開度を調整する前記第1の拡径部と、によって構成される、流量制御弁。
他の弁を作動油が通過する際に生じる圧力差に応じ、ストローク空間内で移動体を往復移動させることで、開度を調整して前記作動油の流量を制御するパイロット式の流量制御弁であって、
第1の部分へ流れる前記作動油の流量を制御する第1の流量制御弁部と、
第2の部分へ流れる前記作動油の流量を制御する第2の流量制御弁部と、を備え、
前記移動体は、
移動方向における一端側に設けられて前記ストローク空間を塞ぐ第1の拡径部と、
前記移動方向における他端側に設けられて前記ストローク空間を塞ぐ第2の拡径部と、
前記ストローク空間を形成する内壁から離間し、前記第1の拡径部と前記第2の拡径部とを接続する接続部と、
前記第1の拡径部と前記第2の拡径部との間であって、前記第1の拡径部及び前記第2の拡径部から前記移動方向において離間する位置に配置される第3の拡径部と、を備え、
前記第1の流量制御弁部は、少なくとも、
前記第1の拡径部と前記第3の拡径部との間で、前記ストローク空間に接続された第1の油路と、
前記第1の拡径部と前記第3の拡径部との間で、前記ストローク空間に接続され、当該ストローク空間へ前記他の弁側から前記作動油を供給する第1の供給油路と、
前記移動体の往復移動に伴って、前記第1の供給油路を塞ぐことで開度を調整する前記第1の拡径部と、によって構成され、
前記第2の流量制御弁部は、少なくとも、
前記第2の拡径部と前記第3の拡径部との間で、前記ストローク空間に接続された第2の油路と、
前記第2の拡径部と前記第3の拡径部との間で、前記ストローク空間に接続され、当該ストローク空間へ前記他の弁側から前記作動油を供給する第2の供給油路と、
前記移動体の往復移動に伴って、前記第2の供給油路を塞ぐことで開度を調整する前記第3の拡径部と、によって構成される、流量制御弁。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る荷役車両の油圧駆動装置の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る油圧駆動装置を備えた荷役車両を示す側面図である。同図において、本実施形態に係る荷役車両1は、エンジン式のフォークリフトである。荷役車両1は、車体フレーム2と、この車体フレーム2の前部に配置されたマスト3とを備えている。マスト3は、車体フレーム2に傾動可能に支持された左右1対のアウターマスト3aと、これらのアウターマスト3aの内側に配置され、アウターマスト3aに対して昇降可能なインナーマスト3bとからなっている。
【0020】
マスト3の後側には、昇降用油圧シリンダとしてのリフトシリンダ4が配置されている。リフトシリンダ4のピストンロッド4pの先端部は、インナーマスト3bの上部に連結されている。
【0021】
インナーマスト3bには、リフトブラケット5が昇降可能に支持されている。リフトブラケット5には、荷物を積載するフォーク(昇降物)6が取り付けられている。インナーマスト3bの上部にはチェーンホイール7が設けられ、チェーンホイール7にはチェーン8が掛装されている。チェーン8の一端部はリフトシリンダ4に連結され、チェーン8の他端部はリフトブラケット5に連結されている。リフトシリンダ4を伸縮させると、チェーン8を介してフォーク6がリフトブラケット5と共に昇降する。
【0022】
車体フレーム2の左右両側には、傾動用油圧シリンダとしてのティルトシリンダ9がそれぞれ支持されている。ティルトシリンダ9のピストンロッド9pの先端部は、アウターマスト3aの高さ方向ほぼ中央部に回動可能に連結されている。ティルトシリンダ9を伸縮させると、マスト3が傾動する。
【0023】
車体フレーム2の上部には、運転室10が設けられている。運転室10の前部には、リフトシリンダ4を作動させてフォーク6を昇降させるためのリフト操作レバー(第1操作部)11と、ティルトシリンダ9を作動させてマスト3を傾動させるためのティルト操作レバー12とが設けられている。
【0024】
また、運転室10の前部には、操舵を行うためのステアリング13が設けられている。ステアリング13は、油圧式のパワーステアリングであり、パワーステアリング(PS)用油圧シリンダとしてのPSシリンダ14(
図2参照)により運転者の操舵をアシストすることが可能である。
【0025】
また、荷役車両1は、アタッチメント(図示せず)を動作させるアタッチメント用油圧シリンダとしてのアタッチメントシリンダ15(
図2参照)を備えている。アタッチメントとしては、例えばフォーク6を左右移動、傾動、回転させるもの等がある。また、運転室10には、アタッチメントシリンダ15を作動させてアタッチメントを動作させるためのアタッチメント操作レバー(図示せず)が設けられている。
【0026】
さらに、運転室10には、特に図示はしないが、荷役車両1の走行方向(前進/後進/ニュートラル)を切り換えるためのディレクションスイッチが設けられている。
【0027】
図2は、本発明に係る油圧駆動装置の第1実施形態を示す油圧回路図である。同図において、本実施形態の油圧駆動装置16は、リフトシリンダ4、ティルトシリンダ9、アタッチメントシリンダ15及びPSシリンダ14を駆動する装置である。
【0028】
油圧駆動装置16は、単一の油圧ポンプ17と、この油圧ポンプ17を駆動するエンジン18を備えている。油圧ポンプ17は、作動油を吸い込むための吸込口17aと、作動油を吐出するための吐出口17bとを有している。油圧ポンプ17は、一方向に回転可能な構成とされている。
【0029】
油圧ポンプ17の吸込口17aには、作動油を貯留するタンク19が油圧配管20を介して接続されている。油圧配管20には、タンク19から油圧ポンプ17への方向にのみ作動油を流通させる逆止弁21が設けられている。油圧ポンプ17は、リフト操作レバー11による上昇操作時にはリフトシリンダ4に作動油を供給する。
【0030】
油圧ポンプ17の吐出口17bとリフトシリンダ4のボトム室4bとは、油圧配管22を介して接続されている。油圧配管22には、リフト上昇用の電磁比例弁23が配設されている。電磁比例弁23は、油圧ポンプ17からリフトシリンダ4のボトム室4bへの作動油の流通を許容する開位置23aと、油圧ポンプ17からリフトシリンダ4のボトム室4bへの作動油の流通を遮断する閉位置23bとの間で切り換えられる。
【0031】
電磁比例弁23は、通常は閉位置23b(図示)にあり、ソレノイド操作部23cに操作信号(リフト操作レバー11の上昇操作の操作量に応じたリフト上昇用ソレノイド電流指令値)が入力されると、開位置23aに切り換わる。すると、油圧ポンプ17からリフトシリンダ4のボトム室4bに作動油が供給され、リフトシリンダ4が伸長し、これに伴ってフォーク6が上昇する。なお、電磁比例弁23は、開位置23aにあるときは、操作信号に応じた開度で開く。油圧配管22における電磁比例弁23とリフトシリンダ4との間には、電磁比例弁23からリフトシリンダ4への方向にのみ作動油を流通させる逆止弁24が設けられている。
【0032】
油圧配管22における油圧ポンプ17と電磁比例弁23との分岐点には、油圧配管25を介してティルト用の電磁比例弁26が接続されている。油圧配管25には、油圧ポンプ17から電磁比例弁26への方向にのみ作動油を流通させる逆止弁27が設けられている。
【0033】
電磁比例弁26とティルトシリンダ9のロッド室9a及びボトム室9bとは、油圧配管28,29を介してそれぞれ接続されている。電磁比例弁26は、油圧ポンプ17からティルトシリンダ9のロッド室9aへの作動油の流通を許容する開位置26aと、油圧ポンプ17からティルトシリンダ9のボトム室9bへの作動油の流通を許容する開位置26bと、油圧ポンプ17からティルトシリンダ9への作動油の流通を遮断する閉位置26cの間で切り換えられる。
【0034】
電磁比例弁26は、通常は閉位置26c(図示)にあり、開位置26a側のソレノイド操作部26dに操作信号(ティルト操作レバー12の後傾操作の操作量に応じたティルト用ソレノイド電流指令値)が入力されると、開位置26aに切り換わり、開位置26b側のソレノイド操作部26eに操作信号(ティルト操作レバー12の前傾操作の操作量に応じたティルト用ソレノイド電流指令値)が入力されると、開位置26bに切り換わる。電磁比例弁26が開位置26aに切り換わると、油圧ポンプ17からティルトシリンダ9のロッド室9aに作動油が供給され、ティルトシリンダ9が収縮し、これに伴ってマスト3が後傾する。電磁比例弁26が開位置26bに切り換わると、油圧ポンプ17からティルトシリンダ9のボトム室9bに作動油が供給され、ティルトシリンダ9が伸長し、これに伴ってマスト3が前傾する。なお、電磁比例弁26は、開位置26a,26bにあるときは、操作信号に応じた開度で開く。
【0035】
油圧配管25における逆止弁27の上流側には、油圧配管30を介してアタッチメント用の電磁比例弁31が接続されている。油圧配管30には、油圧ポンプ17から電磁比例弁31への方向にのみ作動油を流通させる逆止弁32が設けられている。
【0036】
電磁比例弁31とアタッチメントシリンダ15のロッド室15a及びボトム室15bとは、油圧配管33,34を介してそれぞれ接続されている。電磁比例弁31は、油圧ポンプ17からアタッチメントシリンダ15のロッド室15aへの作動油の流通を許容する開位置31aと、油圧ポンプ17からアタッチメントシリンダ15のボトム室15bへの作動油の流通を許容する開位置31bと、油圧ポンプ17からアタッチメントシリンダ15への作動油の流通を遮断する閉位置31cの間で切り換えられる。
【0037】
電磁比例弁31は、通常は閉位置31c(図示)にあり、開位置31a側のソレノイド操作部31dに操作信号(アタッチメント操作レバーの一方側操作の操作量に応じたアタッチメント用ソレノイド電流指令値)が入力されると、開位置31aに切り換わり、開位置31b側のソレノイド操作部31eに操作信号(アタッチメント操作レバーの他方側操作の操作量に応じたアタッチメント用ソレノイド電流指令値)が入力されると、開位置31bに切り換わる。なお、アタッチメントシリンダ15の動作については省略する。また、電磁比例弁31は、開位置31a,31bにあるときは、操作信号に応じた開度で開く。
【0038】
油圧配管30における逆止弁32の上流側には、油圧配管35を介してPS用の電磁比例弁36が接続されている。油圧配管35には、油圧ポンプ17から電磁比例弁36への方向にのみ作動油を流通させる逆止弁37が設けられている。
【0039】
電磁比例弁36とPSシリンダ14の第1ロッド室14a及び第2ロッド室14bとは、油圧配管38,39を介してそれぞれ接続されている。電磁比例弁36は、油圧ポンプ17からPSシリンダ14の第1ロッド室14aへの作動油の流通を許容する開位置36aと、油圧ポンプ17からPSシリンダ14の第2ロッド室14bへの作動油の流通を許容する開位置36bと、油圧ポンプ17からPSシリンダ14への作動油の流通を遮断する閉位置36cの間で切り換えられる。
【0040】
電磁比例弁36は、通常は閉位置36c(図示)にあり、開位置36a側のソレノイド操作部36dに操作信号(ステアリング13の左右一方側操作の操作速度に応じたPS用ソレノイド電流指令値)が入力されると、開位置36aに切り換わり、開位置36b側のソレノイド操作部36eに操作信号(ステアリング13の左右他方側操作の操作速度に応じたPS用ソレノイド電流指令値)が入力されると、開位置36bに切り換わる。なお、PSシリンダ14の動作については省略する。また、電磁比例弁36は、開位置36a,36bにあるときは、操作信号に応じた開度で開く。
【0041】
油圧配管22における油圧ポンプ17と電磁比例弁23との分岐点は、油圧配管40を介してタンク19と接続されている。油圧配管40には、アンロード弁41及びフィルタ42が設けられている。また、油圧配管40と電磁比例弁26,31,36とは、油圧配管43〜45を介して接続されている。さらに、電磁比例弁23,26,31,36は、油圧配管46を介して油圧配管40と接続されている。
【0042】
油圧ポンプ17の吸込口17aとリフトシリンダ4のボトム室4bとは、油圧配管(下降油路)47を介して接続されている。油圧配管47には、リフト下降用の操作弁48が配設されている。操作弁48は、リフトシリンダ4のボトム室4bからの作動油の流通を許容する開位置48aと、リフトシリンダ4のボトム室4bからの作動油の流通を遮断する閉位置48bとの間で切り換えられる。
【0043】
操作弁48は、通常は閉位置48b(図示)にあり、ソレノイド操作部48cに操作信号(リフト操作レバー11の下降操作の操作量に応じたリフト下降用ソレノイド電流指令値)が入力されると、開位置48aに切り換わる。すると、フォーク6の自重によりフォーク6が下降し、これに伴ってリフトシリンダ4が収縮し、リフトシリンダ4のボトム室4bから作動油が流れ出る。なお、操作弁48は、開位置48aにあるときは、操作信号に応じた開度で開く。
【0044】
油圧配管47における油圧ポンプ17と操作弁48との分岐点は、バイパス油路49を介してタンク19と接続されている。バイパス油路49には、バイパス流量制御弁部を含んだ流量制御弁50が配設されている。流量制御弁50は、圧力補償機能付きの流量制御弁である。流量制御弁50の詳細な構成については後述する。なお、バイパス油路49には、フィルタ54が設けられている。
【0045】
油圧配管47のうち、分岐点よりも油圧ポンプ17側の油路である回生油路47a上には、アキュムレータ80、放圧制御弁82、及び逆止弁83が設けられている。これらの構成要素に関する詳細な説明については
図4を参照して後述する。
【0046】
上述で説明したシリンダのうち、作動油の給排によりリフトシリンダ(第1油圧シリンダ)4と異なる動作を行うティルトシリンダ9、アタッチメントシリンダ15、及びPSシリンダ14を総称して「第2油圧シリンダ70」と称することがある。また、第2油圧シリンダ70を操作するためのレバーである、ティルト操作レバー12、ステアリング13、アタッチメント操作レバーを総称して「第2操作部73」と称することがある。
【0047】
図3は、油圧駆動装置16の制御系を示す構成図である。同図において、油圧駆動装置16は、リフト操作レバー11の操作量を検出するリフト操作レバー操作量センサ(操作量検出部)55と、ティルト操作レバー12の操作量を検出するティルト操作レバー操作量センサ56と、アタッチメント操作レバー(図示せず)の操作量を検出するアタッチメント操作レバー操作量センサ57と、ステアリング13の操作速度を検出するステアリング操作速度センサ58と、コントローラ60と、を備えている。
【0048】
図4に、荷役車両1の油圧駆動装置16の回生油路47a付近の構成について詳細に記載した構成図を示す。上述のように、油圧配管47のうち、分岐点よりもリフトシリンダ4側には操作弁48が設けられる。分岐点とタンク19を連通するバイパス油路49及び回生油路47aには、流量制御弁50が設けられる。回生油路47a上には、アキュムレータ80が設けられ、アキュムレータ80よりも油圧ポンプ17側には放圧制御弁82が設けられ、アキュムレータ80と分岐点との間には逆止弁83が設けられる。
【0049】
本実施形態において、操作弁48前後の圧力が、流量制御弁50のパイロット圧力として用いられる。操作弁48は、前述のように操作者によるリフト操作レバー11の操作量に応じた開度となる。よって、作動油の流量あたりに操作弁48で発生する差圧は、リフト操作レバー11の操作量に応じた値となり、レバー操作量が大きいほど小さくなる。流量制御弁50は、タンク19へ流れる作動油の流量であるバイパス流量を制御するバイパス流量制御弁部50Aと、アキュムレータ80へ蓄圧される作動油の流量を制御する蓄圧流量制御弁部50Bと、を備える。このように、流量制御弁50は、一つの弁でありながら、バイパス流量制御弁としての機能と、蓄圧流量制御弁としての機能を同時に備えている。流量制御弁50は、操作弁48を作動油が通過する際に生じる圧力差に応じて開度を調整するパイロット式の流量制御弁である。
【0050】
バイパス流量制御弁部50Aは、前述のように、操作弁48を作動油が通過する際に生じる差圧に応じて開度を調整するパイロット式の流量制御弁として機能する。すなわち、バイパス流量制御弁部50Aは、操作弁48前後の圧力をパイロット圧力として入力しており、操作弁48前後で発生する差圧が一定となるようにバイパス回路の流量を調節する。このような差圧を「制御差圧」と称する。操作弁48の開度が小さいときは、少ない流量で制御差圧に達するため、それ以上流量が増えないように、バイパス流量制御弁部50Aは、バイパス流量を制御する。操作弁48の開度が大きいときは、十分大きな流量の作動油が流れなければ制御差圧には達しない。従って、バイパス流量制御弁部50Aには十分に大きな流量の作動油が流れる。すなわち、レバー操作量に応じて、バイパス流量制御弁部50Aが流し得る流量が大きくなる。このように、流量制御弁が流し得る作動油の流量を「制御流量」と称する。バイパス流量制御弁部50Aの主たる機能は、積荷が軽い場合やアキュムレータ80が満杯になった場合など、アキュムレータ80に作動油が流れない場合にタンク19側へバイパスさせることである。これによって、所望のリフトシリンダ4の下降速度を得ることができる。
【0051】
蓄圧流量制御弁部50Bは、バイパス流量制御弁部50Aと同様、操作弁48を作動油が通過する際に生じる差圧に応じて開度を調整するパイロット式の流量制御弁として機能する。すなわち、蓄圧流量制御弁部50Bは、操作弁48前後の圧力をパイロット圧力として入力しており、操作弁48前後で発生する差圧が一定となるように回生油路47aの流量を調節する。蓄圧流量制御弁部50Bの制御流量は、レバー操作量に応じて大きくなる。ここで、流量制御弁50は、バイパス流量制御弁部50Aが完全に閉じた状態で、蓄圧流量制御弁部50Bのみが開となるストローク区間を有している(詳細は後述)。従って、アキュムレータ80が満杯となるまで、リフトシリンダ4からの作動油の全てをアキュムレータ80へ蓄圧することができる。従って、高効率にエネルギーをアキュムレータ80に貯蔵できる。蓄圧流量制御弁部50Bの主たる機能は、積荷が重くアキュムレータ80に過剰な流量が流れる場合に、その開度を絞り、所望のリフトシリンダ4の下降速度を得ることである。
【0052】
流量制御弁50は、回生油路47a及びバイパス油路49への作動油の流通を許容する開位置50aと、回生油路47a及びバイパス油路49への作動油の流通を遮断する閉位置50bと、バイパス油路49への作動油の流通量を調整する絞り位置50cと、回生油路47aへの作動油の流通量を調整する絞り位置50gとの間で切り換えられる。流量制御弁50の閉位置50b側のパイロット操作部と操作弁48の上流側(前側)とは、パイロット流路51を介して接続されている。流量制御弁50の開位置50a側のパイロット操作部と操作弁48の下流側(後側)とは、バイパス流路52を介して接続されている。流量制御弁50は、操作弁48の前後の圧力差に応じた開度で開く。具体的には、流量制御弁50は、通常は開位置(図示)にある。そして、操作弁48の前後の圧力差が大きくなるほど、バイパス流量制御弁部50A又は蓄圧流量制御弁部50Bの開度が小さくなる。
【0053】
アキュムレータ80は、作動油を蓄圧する機器である。また、アキュムレータ80は、リフトシリンダ4側から流れてくる作動油を蓄圧し、油圧ポンプ17側へ放圧する。アキュムレータ80には内部にガスが充填されており、作動油が貯蔵されるに従ってガスが圧縮され、内部圧力が高まる。ここで、積荷が軽い状態でも回生を行う場合には、低い圧力の作動油を受け入れ可能であるように、低いガス圧に設定しておく必要がある。しかし、そのような設定を行った場合、積荷が十分に重い場合に、過剰な流量の作動油がアキュムレータ80に流れる事となる。従って、リフトシリンダ4の下降速度が過剰となることを抑制するために、蓄圧流量制御弁部50Bの開度が絞られることとなり、圧力損失が大きくなり、効率が低下してしまう。従って、作業者の扱う積荷重量に合わせて、最も効率が良くなるように充填するガス圧を調整することが好ましい。なお、アキュムレータ80の容積はリフトシリンダ4から吐出される作動油の全てを受け入れられるように、十分に大きくすることが好適である。しかし、体格の制約上、アキュムレータ80を大きくすることが出来ない場合であっても、受け入れられなくなった作動油は、バイパス流量制御弁部50Aを介してタンク19へ排出可能であるため、動作上の問題は生じない。
【0054】
逆止弁83は、アキュムレータ80側からの作動油の流れを遮断し、分岐点側からの作動油の流れを許容する機器である。従って、リフトシリンダ4からアキュムレータ80へ向かう作動油の流れは許容される。一方、アキュムレータ80からリフトシリンダ4へ向かう作動油の流れは遮断される。
【0055】
放圧制御弁82は、アキュムレータ80に蓄圧された作動油を油圧ポンプ17側へ放圧する。放圧制御弁82は、リフトシリンダ4の下降時にはその回路を遮断しておく。一方、放圧制御弁82は、リフトシリンダ4の上昇、あるいは第2油圧シリンダ70の動作が行われた場合にその回路を導通させ、アキュムレータ80の加圧流体を油圧ポンプ17へと誘導する。油圧ポンプ17は、当該加圧流体により回転することができるため、エンジン等の動力源のトルクを軽減することができ、燃料消費率を低減することができる。また、アキュムレータ80に蓄積されたエネルギーを利用するタイミングは第2油圧シリンダ70の動作時のみならず、走行中に利用することも考えられるため、放圧制御弁82の切換タイミングは特に限定されるものではない。
【0056】
具体的に、放圧制御弁82は、アキュムレータ80から油圧ポンプ17の吸込口17aへの作動油の流通を許容する開位置82aと、当該流通を遮断する閉位置82bとの間で切り換えられる。放圧制御弁82は、通常は閉位置82b(図示)にあり、ソレノイド操作部82cに操作信号(例えば、第2操作部73の操作量に応じたソレノイド電流指令値など)が入力されると、開位置82aに切り換わる。すると、アキュムレータ80から作動油が流れ出る。なお、放圧制御弁82は、開位置48aにあるときは、操作信号に応じた開度で開く。
【0057】
次に、
図5〜
図8を参照して、流量制御弁50の詳細な構成について説明する。
図5〜
図8は、流量制御弁50の詳細な構成を示す断面図である。
図5〜
図7は、リフトシリンダ4での積荷重量が重い場合の流量制御弁50の動作の順序を示している。
図8は、リフトシリンダ4での積荷重量が軽い場合の流量制御弁50の動作の順序を示している。
【0058】
図5に示すように、流量制御弁50は、ストローク空間50f内に配置されて当該空間内で往復移動するスプール(移動体)90と、当該スプール90を押圧するスプリング93と、を備えている。スプール90は、一端側に設けられてストローク空間50fを塞ぐ形状及び大きさを有する拡径部91と、他端側に設けられてストローク空間50fを塞ぐ形状及び大きさを有する拡径部92と、拡径部91,92同士を接続し当該拡径部91,92より径が小さい接続部96と、を備える。接続部96は、ストローク空間50fを形成する内壁から離間しており、当該内壁との間で隙間を形成している。ストローク空間50fのうち、拡径部91の端部より外側の位置には、パイロット流路51と接続されるパイロット空間50eが形成される。なお、拡径部91のパイロット空間50eに配置される端部は受圧面91aを構成する。ストローク空間50fのうち、拡径部92の端部より外側の位置には、バイパス流路52と接続され、且つスプリング93が配置されるスプリング室50dが形成される。なお、拡径部92のスプリング室50dに配置される端部は受圧面92aを構成する。
【0059】
ストローク空間50fに対して、油圧配管47のうち操作弁48側の油路47bが接続される。当該油路47bは、操作弁48からの作動油をストローク空間50fのうち、拡径部91,92間に供給する供給油路として機能する。当該油路47bとは反対側には、ストローク空間50fに対して、タンク19へ向かうバイパス油路49が接続され、アキュムレータ80へ向かう回生油路47aが接続される。バイパス油路49は、回生油路47aよりも、スプール90の移動方向における一端側(拡径部91側)に配置される。なお、操作弁48からの作動油が流量制御弁50にて分岐するため、流量制御弁50は油圧配管47とバイパス油路49との分岐点として機能する。
【0060】
なお、このような流量制御弁50の構成要素のうち、バイパス流量制御弁部50Aは、拡径部91,92及び接続部96を備えるスプール90と、スプリング93と、ストローク空間50fに接続される油路47bと、ストローク空間50fに接続されるバイパス油路49と、スプリング室50dに接続されるバイパス流路52と、パイロット空間50eに接続されるパイロット流路51と、によって構成される。また、流量制御弁50の構成要素のうち、蓄圧流量制御弁部50Bは、拡径部91,92及び接続部96を備えるスプール90と、スプリング93と、ストローク空間50fに接続される油路47bと、ストローク空間50fに接続される回生油路47aと、スプリング室50dに接続されるバイパス流路52と、パイロット空間50eに接続されるパイロット流路51と、によって構成される。以上のように、バイパス流量制御弁部50Aと蓄圧流量制御弁部50Bとは、バイパス油路49及び回生油路47a以外の構成を共通の構成要素として有している。
【0061】
油路47bは、接続部96と対応する位置に配置され、スプール90の往復動作に関わらず拡径部91,92にさしかからない位置に配置されている。バイパス油路49は、スプール90の往復動作(変位)によって、拡径部91で塞がれる量が調整可能な位置に配置されている。すなわち、拡径部91は、スプール90の往復移動に伴って、バイパス油路49を塞ぐことで開度を調整する。特に、バイパス油路49は、スプール90の往復動作の過程において、拡径部91で完全に塞がれ得る位置に配置されている。このように、バイパス流量制御弁部50Aは、拡径部91でバイパス油路49を完全に閉じるストローク区間を有する。なお、拡径部91でバイパス油路49を完全に閉じるストローク区間とは、スプール90が移動する移動区間のうち、拡径部91でバイパス油路49を完全に閉じている状態となる区間のことである。以降の説明において、所定の状態の「ストローク区間」とは、スプール90が移動する移動区間のうち当該所定の状態が維持される区間のことであるものとする。なお、バイパス流量制御弁部50Aは、拡径部91でバイパス油路49を部分的に閉じるストローク区間と、バイパス油路49が完全に開放されるストローク区間を有する。
【0062】
回生油路47aは、スプール90の往復動作(変位)によって、拡径部91で塞がれる量が調整可能な位置に配置されている。すなわち、拡径部91は、スプール90の往復移動に伴って、回生油路47aを塞ぐことで開度を調整する。特に、回生油路47aは、スプール90の往復動作の過程において、バイパス油路49が拡径部91で完全に塞がれている状態で、完全に開放され得る位置、及び部分的に拡径部91で塞がれ得る位置に配置されている。このように、蓄圧流量制御弁部50Bは、拡径部91で回生油路47aを部分的に閉じるストローク区間と、回生油路47aが完全に開放されるストローク区間を有する。
【0063】
次に、
図5〜
図7を参照して、リフトシリンダ4での積荷重量が重い場合の流量制御弁50の動作について説明する。まず、リフトシリンダ4の下降開始直後は、
図5(a)に示すように、スプール90が最もパイロット流路51側に配置され、パイロット空間50eが消滅した状態にある。当該状態ではバイパス油路49及び回生油路47aは、ストローク空間50fに完全に開放されている。作動油の入り口である油路47bは高圧状態にあり、バイパス油路49及び回生油路47aは低圧状態にある。従って、蓄圧流量及びバイパス流量は両方とも過多となる。従って、パイロット圧力を一定とするために、スプール90がスプリング室50d側へ移動する。スプール90が移動することで、
図5(b)に示すように、バイパス油路49が拡径部91で部分的に閉じられる。これにより、バイパス流量は減少するが、蓄圧流量は過多のままであるため、更にスプール90が移動する。従って、
図6(a)に示すように、拡径部91がバイパス油路49を完全に塞ぐ。当該状態でも蓄圧流量が過多であるため、更にスプール90がスプリング室50dへ移動する。これにより、
図6(b)に示すように、回生油路47aが絞られて蓄圧流量が減少することで、蓄圧流量が適切な流量となる。
【0064】
次に、アキュムレータ80に十分な量の作動油が蓄圧されると、アキュムレータ80の圧力が上昇することで、
図7(a)に示す状態から蓄圧流量が減少してゆく。これにより、
図7(b)に示すように、スプール90がスプリング93で押されてパイロット空間50e側へ移動する。これによって、回生油路47aが徐々に拡径部91から開放され、蓄圧流量が増加する。アキュムレータ80への蓄圧が完了すると、蓄圧流量がゼロとなるため、
図7(c)に示すように、スプール90がパイロット空間50e側へ移動することで、バイパス油路49を開放し、バイパス流量を適切な流量に制御できる。
【0065】
次に、
図8を参照して、リフトシリンダ4での積荷重量が軽い場合の流量制御弁50の動作について説明する。まず、積荷重量が軽いため作動油の入り口である油路47bの圧力は低い状態にとどまる。従って、
図8(a)に示すように、蓄圧流量は0となる。一方、シリンダ流量は過多となるため、スプール90はスプリング室50d側へ移動する。これにより、
図8(b)に示すように、バイパス油路49が拡径部91で絞られることで、バイパス流量を適切に制御できる。
【0066】
次に、
図10〜
図12を参照して、油圧駆動装置16の各パラメータの波形の例を示す。
図10(a)に示すように、アキュムレータ(Acc)の入口圧力は作動油が蓄圧されるに従って上昇し、満杯になって以降は一定となる。一方、リフトシリンダ4のボトム室4bの圧力(シリンダボトム圧)、及び油圧配管47の分岐点は作動開始と共に急激に上昇し、所定の圧力にて一定となる。アキュムレータの入口圧力と分岐点の圧力の差分は、流量調整のために蓄圧流量制御弁部50Bで絞られて熱に変換した分の圧力である。分岐点の圧力とアキュムレータ80の入口圧力が等しくなると蓄圧側へ作動油が流れなくなるので、所望の下降速度に対応するシリンダ流路に対して不足する分を補うため、バイパス流量制御弁部50Aが開き、タンク19側へ作動油が流れる。
図10(b)に示すように、当該切替のタイミング(4秒付近)においても、シリンダ流量の変動は小さく、略一定に保たれている。この点より、リフトシリンダ4の安定した動作が確認できる。
【0067】
なお、
図11(a)に示すように、シリンダ流量の積算値は単調に増加する一方、アキュムレータ80への流量の積算値は、満杯になるまで単調に増加し、満杯になった後は増加が停止する。
図11(b)に示すように、アキュムレータ80への蓄圧効率は(初期段階で急激に立ち上がる部分以外では)、蓄圧量が増えるに従って増加し、満杯になった以降は略0となる。
図12(a)に示すように、流量に圧力を掛け合わせることで算出される電力は、シリンダボトム側では略一定となり、アキュムレータ80の入口側では、蓄圧量が増えるに従って増加し、満杯になった後は略0となる。シリンダボトム側の電力量は単調に増加し、アキュムレータ80の入口側では、単調に増加して満杯になった後は増加が停止する。
【0068】
次に、本実施形態に係る荷役車両1の油圧駆動装置16の作用・効果について説明する。
【0069】
本実施形態に係る荷役車両1の油圧駆動装置16は、油圧配管47の分岐点と油圧ポンプ17の吸込口17aとを接続する回生油路47a上に設けられ、リフトシリンダ4から排出される作動油を蓄圧するアキュムレータ80を備えている。このようなアキュムレータ80に対して、アキュムレータ80へ蓄圧される作動油の流量を制御する蓄圧流量制御弁部50Bがアキュムレータ80と操作弁48との間に設けられる。また、タンク19と操作弁48との間には、タンク19へ流れる作動油の流量であるバイパス流量を制御するバイパス流量制御弁部50Aが設けられている。このように、油圧駆動装置16は、蓄圧流量制御弁部50B及びバイパス流量制御弁部50Aという二つの流量制御弁部を備えている。従って、アキュムレータ80への蓄圧が可能な場合には、昇降用のリフトシリンダ4から吐出される作動油は、蓄圧流量制御弁部50Bを介してアキュムレータ80へ蓄圧可能である。このように、積荷の位置エネルギーをアキュムレータ80に蓄圧し、他のタイミングで利用することが可能となる。一方、アキュムレータ80への蓄圧が出来ない場合には、昇降用のリフトシリンダ4から吐出される作動油をバイパス流量制御弁部50Aを介してタンク19へ供給できる。従って、昇降用のリフトシリンダ4から吐出される作動油の流量の変動を抑制し、当該リフトシリンダ4を所望の下降速度で下降させることができる。以上より、積荷の位置エネルギーを効率よく回収可能であると共に、昇降用のリフトシリンダ4を所望の下降速度で下降させることができる。また、一つの弁である流量制御弁が二つの流量制御弁部として機能するため、例えば、共振などによる異常な流量脈動、振動の発生を抑制し、安定した動作にて流量制御を行うことができる。
【0070】
また、荷役車両1の油圧駆動装置16において、バイパス流量制御弁部50A及び蓄圧流量制御弁部50Bを備える流量制御弁50は、操作弁48を作動油が通過する際に生じる圧力差に応じて開度を調整するパイロット式の流量制御弁である。また、流量制御弁50を
図5や
図9に示すような構成とすることで、リフトシリンダ4からの作動油を蓄圧流量制御弁部50Bを介してアキュムレータ80に蓄圧することができる。また、アキュムレータ80が満杯になった後は、作動油をバイパス流量制御弁部50Aを介してタンク19へ向かわせることができる。このように、アキュムレータ80への蓄圧が可能なタイミングで、自動的に積荷エネルギーの回収を行うことができる。また、2つの流量制御弁部が、荷重、油温、レバー操作量に応じて自動的に作動油の流量を調整するため、あらゆる条件下であっても、リフトシリンダ4を所望の下降速度にて下降させることができる。また、油圧駆動装置16は、荷重センサ、油温センサ、回生専用の油圧モータ・ポンプ等を設けることなく、簡素な構成で、低いコストにて、上述の効果を得ることができる。
【0071】
また、荷役車両1の油圧駆動装置16において、流量制御弁50は、操作弁48を作動油が通過する際に生じる圧力差に応じ、ストローク空間50f内でスプール90を往復移動させることで、開度を調整するパイロット式の流量制御弁である。スプール90は、移動方向における一端側に設けられてストローク空間50fを塞ぐ拡径部91と、移動方向における他端側に設けられてストローク空間50fを塞ぐ拡径部92と、ストローク空間50fを形成する内壁から離間し、拡径部91と拡径部92とを接続する接続部96と、を備える。バイパス流量制御弁部50Aは、少なくとも、ストローク空間50fに接続されたバイパス油路49と、ストローク空間50fに接続されて、当該ストローク空間50fに操作弁48からの作動油を供給する供給油路である油路47bと、スプール90の往復移動に伴って、バイパス油路49を塞ぐことで開度を調整する拡径部91と、によって構成される。蓄圧流量制御弁部50Bは、少なくとも、ストローク空間50fに接続された回生油路47aと、ストローク空間50fに接続されて、当該ストローク空間50fに操作弁48からの作動油を供給する供給油路である油路47bと、スプール90の往復移動に伴って、回生油路47aを塞ぐことで開度を調整する拡径部91と、によって構成される。これにより、一つのスプール90を用いたシンプルな構成にて、蓄圧流量制御及びバイパス流量制御を行うことができる。
【0072】
荷役車両1の油圧駆動装置16において、ストローク空間50fに対して、バイパス油路49は回生油路47aよりも移動方向における一端側に配置され、バイパス流量制御弁部50Aは、拡径部91でバイパス油路49を完全に閉じるストローク区間を有してよい。これにより、バイパス油路49を完全に閉じておくことにより、蓄圧流量制御弁部50Bでアキュムレータ80のみへ作動油を供給することができる。
【0073】
本実施形態に係る流量制御弁50は、操作弁(他の弁)48を作動油が通過する際に生じる圧力差に応じ、ストローク空間50f内でスプール90を往復移動させることで、開度を調整して作動油の流量を制御するパイロット式の流量制御弁である。流量制御弁50は、タンク(第1の部分)へ流れる作動油の流量を制御するバイパス流量制御弁部(第1の流量制御弁部)50Aと、アキュムレータ(第2の部分)80へ流れる作動油の流量を制御する蓄圧流量制御弁部(第2の流量制御弁部)50Bと、を備える。スプール90は、移動方向における一端側に設けられてストローク空間50fを塞ぐ拡径部91と、移動方向における他端側に設けられてストローク空間50fを塞ぐ拡径部92と、ストローク空間50fを形成する内壁から離間し、拡径部91と拡径部92とを接続する接続部96と、を備える。バイパス流量制御弁部50Aは、少なくとも、ストローク空間50fに接続されたバイパス油路(第1の油路)49と、ストローク空間50fに接続されて、当該ストローク空間50fに操作弁48からの作動油を供給する供給油路である油路47bと、スプール90の往復移動に伴って、バイパス油路49を塞ぐことで開度を調整する拡径部91と、によって構成される。蓄圧流量制御弁部50Bは、少なくとも、ストローク空間50fに接続された回生油路(第2の油路)47aと、ストローク空間50fに接続されて、当該ストローク空間50fに操作弁48からの作動油を供給する供給油路である油路47bと、スプール90の往復移動に伴って、回生油路47aを塞ぐことで開度を調整する拡径部91と、によって構成される。
【0074】
このような流量制御弁50を用いることで、上述の荷役車両1の油圧駆動装置16と同様の作用・効果を得ることができる。
【0075】
以上、本発明に係る荷役車両の油圧駆動装置の好適な実施形態について幾つか説明してきたが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0076】
例えば、流量制御弁の構成は上述の実施形態の構成に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、流量制御弁として、
図9のような構成を採用してよい。
図9に示す流量制御弁150のスプール90は、拡径部91と拡径部92との間であって、拡径部91及び拡径部92から移動方向において離間する位置に配置される拡径部97を備える。また、バイパス油路49は、拡径部91と拡径部97との間で、ストローク空間50fに接続される。バイパス油路49は、接続部96と対応する位置に配置され、スプール90の往復動作に関わらず拡径部91,97にさしかからない位置に配置されている。回生油路47aは、拡径部92と拡径部97との間で、ストローク空間50fに接続される。回生油路47aは、接続部96と対応する位置に配置され、スプール90の往復動作に関わらず拡径部92,97にさしかからない位置に配置されている。
【0077】
また、
図9では、油路47bは分岐点にて蓄圧側供給油路47
1と、バイパス側供給油路47b
2とに分岐されている。バイパス側供給油路47b
2は、拡径部91と拡径部97との間で、ストローク空間50fに接続され、ストローク空間50fへ操作弁48側から作動油を供給する。バイパス側供給油路47b
2は、スプール90の往復動作(変位)によって、拡径部91で塞がれる量が調整可能な位置に配置されている。すなわち、拡径部91は、スプール90の往復移動に伴って、バイパス側供給油路47b
2を塞ぐことで開度を調整する。蓄圧側供給油路47
1は、拡径部92と拡径部97との間で、ストローク空間50fに接続され、当該ストローク空間50fへ操作弁48側から作動油を供給する。蓄圧側供給油路47
1は、スプール90の往復動作(変位)によって、拡径部97で塞がれる量が調整可能な位置に配置されている。すなわち、拡径部97は、スプール90の往復移動に伴って、蓄圧側供給油路47
1を塞ぐことで開度を調整する。
【0078】
図9に示す流量制御弁150では、バイパス流量制御弁部150Aは、バイパス油路49と、バイパス側供給油路47b
2と、バイパス側供給油路47b
2を塞ぐことで開度を調整する拡径部91と、によって構成される。また、蓄圧流量制御弁部150Bは、回生油路47aと、蓄圧側供給油路47b
1と、蓄圧側供給油路47b
1を塞ぐことで開度を調整する拡径部97と、によって構成される。なお、バイパス流量制御弁部150A及び蓄圧流量制御弁部150Bは、スプール90と、スプリング93と、スプリング室50dに接続されるバイパス流路52と、パイロット空間50eに接続されるパイロット流路51と、を共通の構成要素として備えている。
【0079】
このような流量制御弁150は、リフトシリンダ4での積荷重量が重い場合、まず、拡径部91がバイパス側供給油路47b
2を完全に塞いで、蓄圧側供給油路47
1を拡径部97で絞りながら、蓄圧流量を適切に制御する。そして、流量制御弁150は、アキュムレータ80が満杯になるに従って、バイパス側供給油路47b
2を拡径部91で絞りながら、バイパス流量を適切に制御する。また、リフトシリンダ4での積荷重量が軽い場合、流量制御弁150は、蓄圧流量が0となっている一方で、バイパス油路49を拡径部91で絞りながら、バイパス流量を適切に制御する。
【0080】
このような変形例に係る荷役車両1の油圧駆動装置16において、流量制御弁150は、操作弁48を作動油が通過する際に生じる圧力差に応じ、ストローク空間50f内でスプール90を往復移動させることで、開度を調整するパイロット式の流量制御弁である。移動体は、移動方向における一端側に設けられてストローク空間50fを塞ぐ拡径部91と、移動方向における他端側に設けられてストローク空間50fを塞ぐ拡径部92と、ストローク空間50fを形成する内壁から離間し、拡径部91と拡径部92とを接続する接続部96と、拡径部91と拡径部92との間であって、拡径部91及び拡径部92から移動方向において離間する位置に配置される拡径部97と、を備える。バイパス流量制御弁部150Aは、少なくとも、拡径部91と拡径部97との間で、ストローク空間50fに接続されたバイパス油路49と、拡径部91と拡径部97との間で、ストローク空間50fに接続され、当該ストローク空間50fへ操作弁48側から作動油を供給するバイパス側供給油路47b
2と、スプール90の往復移動に伴って、バイパス側供給油路47b
2を塞ぐことで開度を調整する拡径部91と、によって構成される。蓄圧流量制御弁部150Bは、少なくとも、拡径部92と拡径部97との間で、ストローク空間50fに接続された回生油路47aと、拡径部92と拡径部97との間で、ストローク空間50fに接続され、当該ストローク空間50fへ操作弁48側から作動油を供給する蓄圧側供給油路42b
1と、スプール90の往復移動に伴って、蓄圧側供給油路42b
1を塞ぐことで開度を調整する拡径部97と、によって構成される。これにより、一つのスプール90を用いたシンプルな構成にて、蓄圧流量制御及びバイパス流量制御を行うことができる。
【0081】
荷役車両1の油圧駆動装置16において、バイパス流量制御弁部150Aは、拡径部91でバイパス油路49を完全に閉じるストローク区間を有してよい。これにより、バイパス油路49を完全に閉じておくことにより、蓄圧流量制御弁部150Bでアキュムレータ80のみへ作動油を供給することができる。
【0082】
本実施形態に係る流量制御弁150は、操作弁(他の弁)48を作動油が通過する際に生じる圧力差に応じ、ストローク空間50f内でスプール90を往復移動させることで、開度を調整して作動油の流量を制御するパイロット式の流量制御弁である。流量制御弁150は、タンク(第1の部分)へ流れる作動油の流量を制御するバイパス流量制御弁部(第1の流量制御弁部)150Aと、アキュムレータ(第2の部分)80へ流れる作動油の流量を制御する蓄圧流量制御弁部(第2の流量制御弁部)150Bと、を備える。スプール90は、移動方向における一端側に設けられてストローク空間50fを塞ぐ拡径部91と、移動方向における他端側に設けられてストローク空間50fを塞ぐ拡径部92と、ストローク空間50fを形成する内壁から離間し、拡径部91と拡径部92とを接続する接続部96と、拡径部91と拡径部92との間であって、拡径部91及び拡径部92から移動方向において離間する位置に配置される拡径部97と、を備える。バイパス流量制御弁部150Aは、少なくとも、拡径部91と拡径部97との間で、ストローク空間50fに接続されたバイパス油路(第1の油路)49と、拡径部91と拡径部97との間で、ストローク空間50fに接続され、当該ストローク空間50fへ操作弁48側から作動油を供給するバイパス側供給油路(第1の供給油路)47b
2と、スプール90の往復移動に伴って、バイパス側供給油路47b
2を塞ぐことで開度を調整する拡径部91と、によって構成される。蓄圧流量制御弁部150Bは、少なくとも、拡径部92と拡径部97との間で、ストローク空間50fに接続された回生油路(第2の油路)47aと、拡径部92と拡径部97との間で、ストローク空間50fに接続され、当該ストローク空間50fへ操作弁48側から作動油を供給する蓄圧側供給油路(第2の供給油路)42b
1と、スプール90の往復移動に伴って、蓄圧側供給油路42b
1を塞ぐことで開度を調整する拡径部97と、によって構成される。
【0083】
このような流量制御弁150を用いることで、上述の荷役車両1の油圧駆動装置16と同様の作用・効果を得ることができる。
【0084】
また、上述の実施形態では、第2油圧シリンダとして、ティルトシリンダ、PSシリンダ、及びアタッチメントシリンダが設けられている。しかし、第2油圧シリンダは少なくとも一本あればよく、一部は省略されてよい。例えば、上記実施形態では、アタッチメント及びパワーステアリングが搭載されているが、本発明の油圧駆動装置は、アタッチメント及びパワーステアリングが搭載されていないフォークリフトにも適用可能である。また、本発明の油圧駆動装置は、バッテリ式のフォークリフトはもとより、フォークリフト以外のエンジン式、バッテリ式の荷役車両にも適用可能である。
【0085】
リフト操作レバーの下降操作に基づいて作動油の流れを制御する制御弁、及び第2操作部の操作に基づいて作動油の流れを制御する制御弁として、電磁式の比例弁を例示したが、油圧式、機械式のいずれでもよい。