(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る音声出力装置1の概略構成を示す斜視図である。
図2Aないし
図2Fは、第1実施形態に係る音声出力装置1の概略構成を示す。
図2Aは音声出力装置1の背面図、
図2Bは左側面図、
図2Cは上面図、
図2Dは右側面図、
図2Eは正面図、
図2Fは底面図である。これらの図に示されるように、音声出力装置1は、外箱2(取付部材)と、スピーカー3と、マイク4とを備えている。スピーカー3には、放音部30aを有するスピーカーユニット30と当該スピーカーユニット30を内包する内箱32(筐体)とが含まれる(スピーカー3の構成の詳細については後述される)。スピーカーユニット30は、供給された音響信号に応じて音を放射する。放音部30aは、スピーカーユニット30のうち、音響信号に応じて振動し音を発生させる部分(例えば、振動板)を指す。
【0020】
これらの図に示されるように、スピーカーユニット30の放音部30aの周縁を含むX−Y平面(以下、放音面と称する場合がある)およびX−Y平面に垂直なZ軸を想定する。Z軸方向はスピーカーユニット30の中心軸の方向に相当し、放音部30aの反対側であるスピーカーユニット30の後部30bは、Z軸方向において放音部30aの正側に位置する。スピーカーユニット30の放音部30aと後部30bとを除く部分を、スピーカーユニット30の側壁30cとする。
【0021】
外箱2は、前面板2a、背面板2b、および複数(4枚)の側板2cを有する。前面板2a、背面板2bおよび側板2cは、それぞれ略矩形状の板状部材である。相互に対向する前面板2aと背面板2bとの間に、前面板2aおよび背面板2bの各縁辺に沿うように4枚の側板2cが設置されることで、直方体状の中空の外箱2が構成される。前面板2aおよび背面板2bはいずれも放音面と平行であり、側板2cはZ軸に平行である。Z軸方向において前面板2aは背面板2bの負側に位置する。前面板2a(取付部材の第1の部分)は、スピーカーユニット30の放音部30a側の板であり、前面板2aには、スピーカーユニット30の放音部30aを露出させる、放音部30aの形状に対応する開口部20が形成されている。背面板2b(取付部材の第2の部分)は、スピーカーユニット30の後部30b側の板であり、背面板2bには、内箱32の背面部32bの一部を露出させる、背面部32bの形状に対応する開口部22が形成されている。側板2c(取付部材の第3の部分)は、スピーカーユニット30の側壁30c側の板であり、側板2cには、複数の開口部21が形成されている。
【0022】
外箱2の前面板2aの外側の面(背面板2b側の面と反対の面)には、凹部23が形成され、凹部23には、マイク4が収容される。マイク4は例えばMEMS(Micro-Electrical-Mechanical Systems)マイクである。なお、本実施形態の音声出力装置1がマイク4を備えない構成も採用し得る。
【0023】
音声出力装置1は、例えば自動車の内装などの、任意の物に取り付けられる。具体的に、音声出力装置1は、スピーカーユニット30の放音部30aが車内を向くよう、開口部20が形成された外箱2の前面板2aの外側の面が、内装の裏面と対向するように取り付けられる。つまり、外箱2は、内箱32を物に取り付けるための取付部材としての機能を有する。取り付け先となる物は、例えば、自動車内装の天井部分(例えば、ルームランプまたは/およびマップランプ近傍)、ダッシュボード、ドア等である。
【0024】
なお、以下の実施形態では、外箱2が別々に成形された複数の板(前面板2a、背面板2b、および側板2c)を有すると想定するが、外箱2は、その一部分(例えば、前面板2aと側板2c)が一体的に成形されてもよい。
【0025】
図3Aないし
図3Fは、第1実施形態に係るスピーカー3の概略構成を示す。
図3Aはスピーカー3の背面図、
図3Bは左側面図、
図3Cは上面図、
図3Dは右側面図、
図3Eは正面図、
図3Fは底面図である。
図4は、第1実施形態に係るスピーカー3の概略構成を示す斜視図である。これらの図に示されるように、スピーカー3は、スピーカーユニット30および当該スピーカーユニット30を内包する内箱32(筐体)を備える。
【0026】
図7Aは、音声出力装置1をY軸の正側から見た場合の、音声出力装置1の断面の一例を示す模式図である。
図7Aから理解されるように、内箱32は箱状部分と当該箱状部分からZ軸の正方向に突出する円筒状部分とを有し、スピーカーユニット30は箱状部分から円筒状部分にわたって内箱32の内部に配置される。内箱32は前面部32a、背面部32b、および側部32cを有する。前面部32aは、スピーカーユニット30の放音部30a側の部分、すなわち、上記箱状部分の放音部30a側の部分である。背面部32bは、スピーカーユニット30の後部30b側の部分であって、上記箱状部分のうち後部30b側の部分と円筒状部分とを含む。側部32cは、前面部32aと背面部32bとを除いた、スピーカーユニット30の側壁30c側の部分、すなわち箱状部分の側面部である。箱状部分の放音部30a側の部分および後部30b側の部分はいずれも放音面に平行であり、箱状部分の側面部はスピーカーユニット30の中心軸に平行である。
【0027】
内箱32の前面部32aの外側の面(Z軸負側の面)は放音面と略同一面上に配置され、内箱32の背面部32bのうち円筒状部分の底部の外側の面(Z軸正側の面)は外箱2の背面板2bの外側の面(Z軸正側の面)と略同一面上に配置される。内箱32の前面部32aは、外箱2の前面板2aのZ軸正側に位置し、内箱32の背面部32bのうち箱状部分の後部30b側の部分は外箱2の背面板2bのZ軸負側に位置する。
【0028】
図3Aないし
図3Fおよび
図4に示されるように、内箱32の前面部32aの外側の面(外箱2の前面板2aと対向する面)の四隅には、例えば凸形状の保持部33が形成されている。また、内箱32の背面部32b(内箱32の箱状部分の後部30b側の部分)の外側の面(外箱2の背面板2bと対向する面)の四隅には、例えば凸形状の保持部34が形成されている。
図3Cに示されるように、内箱32の前面部32a(筐体の第1の部分)には、スピーカーユニット30の放音部30aを露出させる、放音部30aの形状に対応する開口部35が形成されている。
【0029】
なお、内箱32の各部(前面部32a、背面部32b、および側部32c)は、別々に成形され組み立てられてもよいし、内箱32の一部(例えば、前面部32aと側部32c)が一体的に成形されてもよい。
【0030】
図5Aは外箱2の前面板2aの内側の面(内箱32側の面)を示す図である。
図5Cは外箱2の背面板2bの内側の面(内箱32の箱状部分側の面)を示す図である。これらの図に示すように、前面板2aの内側の面の四隅には、例えば凹形状の保持部24が形成され、背面板2b内側の面の四隅には、例えば凹形状の保持部25が形成される。
図5Bは、
図2CのA−A線断面をY軸正側から見た図である。
図6は、
図5Bに示す断面をZ軸上で分解して示した図である。
【0031】
図5Bおよび
図6に示すように、スピーカー3の内箱32の前面部32aの外側の面に形成された保持部33と、外箱2の前面板2aの内側の面に形成された保持部24との間には、振動吸収材50(離間部材)が介在する。また、内箱32の背面部32b(より正確には、内箱32の箱状部分の後部30b側の部分)の外側の面に形成された保持部34と、外箱2の背面板2bの内側の面に形成された保持部25との間には、振動吸収材51(離間部材)が介在する。振動吸収材50および51は、内箱32と外箱2とを離間させた状態で両者の間に介在することにより、スピーカー3の振動を吸収する部材である。なお、説明の簡易のため、以下では保持部(24、25、33、および34)の説明を省略する場合がある。例えば、「振動吸収材50(または51)が、外箱2の前面板2a(または背面板2b)と内箱32の前面部32a(または背面部32b)との間に介在する」との説明は、「振動吸収材50(または51)が、外箱2の保持部24(または25)と内箱32の保持部33(または34)との間に介在する」ことを意味する。
図5Aおよび
図5Bに示すように、外箱2の内部には、スピーカーユニット30に供給される音響信号に対して増幅や効果付与等の音響処理を実行する信号処理IC60が備えられてよい。
【0032】
図7Aに示されるように、外箱2の前面板2aと内箱32の前面部32aとの間に振動吸収材50が配置される。このため、内箱32の前面部32aと放音部30aとは外箱2の前面板2aから奥まった位置に配置される。また、振動吸収材51は内箱32の背面部32b(より正確には背面部32bの箱状部分)と外箱2の背面板2bとの間に配置される。したがって、
図7Aでは、スピーカーユニット30の中心軸方向(Z軸方向)における外箱2の長さd1はスピーカーユニット30の長さd3よりも長い。具体的には、スピーカーユニット30の中心軸方向において、外箱2の前面板2aは放音部30aから見てZ軸負側に位置し、外箱2の背面板2bはスピーカーユニット30の後部30bから見てZ軸正側に位置する。また、内箱32の長さd2もスピーカーユニット30の長さd3よりも長い。具体的には、スピーカーユニット30の中心軸方向において、内箱32の前面部32aの外側の面は放音面と略同一面上に位置し、内箱32の背面部32bの円筒状部分の底部はスピーカーユニット30の後部30bから見てZ軸正側に位置する。
【0033】
音声出力装置1は、取付部材として機能する外箱2により、例えば自動車の内装である物7に取り付けられる。なお、図示の簡易のため、
図7Aでは、音声出力装置1が取り付けられる物7は、その一部のみが図示され、保持部(24、25、33、および34)、マイク4、信号処理IC60等の図示は省略される。後述の
図7Bないし
図9Bについても同様である。
【0034】
なお、
図7Aは音声出力装置1の構成の一例を模式的に示すものであり、本実施形態に係る音声出力装置1は、
図7Aに示される構成に限定されない。
図7Bは、本実施形態に係る音声出力装置1の別の構成例を模式的に示す。
図7Bに示す例では、内箱32は、箱状部分と当該箱状部分からZ軸の正方向に突出する第1の円筒状部分に加え、スピーカーユニット30の放音部30a側において上記箱状部分からZ軸の負方向に突出する第2の円筒状部分(当該第2の円筒状部分は内箱32の前面部32aに含まれるものとして取り扱う)を有する。スピーカーユニット30は当該第2の円筒状部分から箱状部分を通り第1の円筒状部分にわたって内箱32の内部に配置される。また、スピーカーユニット30は、放音面が外箱2の前面板2aの外側の面と略同一面上に位置するように配置される。この例においても、
図7Aに示す構成例と同様に、外箱2の前面板2aと内箱32の前面部32a(より正確には前面部32aの箱状部分)との間に振動吸収材50が配置され、外箱2の背面板2bと内箱32の背面部32b(より正確には背面部32bの箱状部分)との間に振動吸収材51が配置される。ただし、
図7Bに示す例では、音声出力装置1が、内箱32の長さd2と外箱2の長さd1とが略同一となるように構成される。具体的には、外箱2の前面板2aの外側の面と内箱32の前面部32aの第2の円筒状部分の上端面とが略同一面上に位置し、外箱2の背面板2bの外側の面と内箱32の背面部32bの第1の円筒状部分の底部の外側の面とが略同一面上に位置する。
【0035】
本実施形態においては、内箱32の前面部32a側と背面部32b側の両方に振動吸収材50、51を設けたが、内箱32の前面部32a側の振動吸収材50だけを備えてもよいし、内箱32の背面部32b側の振動吸収材51だけを備えてもよい。内箱32の背面部32b側の振動吸収材51だけを備える場合には、内箱32の前面部32aと外箱2の前面板2aとの間には所定の間隔を設けてもよい。
【0036】
本実施形態においては、振動吸収材50,51の一例としてコイル状のバネ部材を用いている。振動吸収材50の一方の端部は、内箱32の前面部32aに形成された保持部33に取り付けられ、当該振動吸収材50の他方の端部は、外箱2の前面板2aに形成された保持部24に取り付けられる。また、振動吸収材51の一方の端部は、内箱32の背面部32bに形成された保持部34に取り付けられ、当該振動吸収材51の他方の端部は、外箱2の背面板2bに形成された保持部25に取り付けられる。具体的には、例えば凸形状の保持部33(または34)の凸部がバネ部材の一方の端部に挿入され、当該バネ部材の他方の端部が例えば凹形状の保持部24(または25)の凹部に挿入される。
なお、振動吸収材50,51は、振動を吸収する部材であれば、バネ部材に限定されない。振動吸収材としては、バネ部材以外の弾性部材(例えば、スポンジ、樹脂)を用いてもよいし、他の部材(例えば、ジェル)を用いてもよい。
【0037】
本実施形態においては、上述のように、スピーカーユニット30を内包する内箱32が、振動吸収材50,51を介して、外箱2から離間するように取り付けられる。そのため、スピーカーユニット30により音が発せられた場合でも、そのスピーカーユニットが発する振動が、振動吸収材50,51によって吸収される。したがって、音声出力装置1が、例えば自動車の内装である物7に取り付けられた場合に、物7に伝わる振動(スピーカーユニット30が発する振動)が低減され、ひいては当該振動により発生する雑音が低減され得る。また、物7に伝わる振動が低減されるため、スピーカーユニット30に近接するマイク4に伝達される、当該振動が原因となって発生する雑音が低減されるので、エコーキャンセルの性能劣化を緩和することができる。また、本実施形態においては、振動吸収材50が放音部30aと同じ側に配置されるため、後部30b側に振動吸収材51のみが介在する構成と比較して、振動ひいては雑音を低減する効果がより顕著である。
【0038】
また、外箱2の側板2cには、複数の開口部21が形成され、外箱2の背面板2bには、内箱32の背面部32bの一部を露出させる開口部22が形成されているので、音の発生によって内箱32が変形した場合でも、内箱32と外箱2の間の中空の圧力が上昇することがなく、外箱2の余計な歪みの発生を抑制することができる。
【0039】
<第1実施形態の変形例>
第1実施形態に係る音声出力装置1は種々の変形が可能である。
【0040】
<変形例の態様1>
図8Aおよび
図8Bに態様1の例を示す。図示のように、態様1に係る内箱32は、スピーカーユニット30の放音部30aを露出させる開口部35(筐体の第1の部分の開口部)に加え、スピーカーユニット30の後部30b側に位置する背面部32b(筐体の第2の部分)に、後部30bの形状に対応する開口部36を有する。
【0041】
図8Aは
図7Aの変形例である。
図8Aに示す例では、内箱32は、
図7Aに示す内箱32と同様に、箱状部分と、当該箱状部分からZ軸正方向に突出する第1の円筒状部分(内箱32の背面部32bに含まれる)とを有する。また、
図8Aの例では、円筒状部分の底部に開口部36が形成されている。図示のように、スピーカーユニット30の中心軸方向における外箱2の長さd1と内箱32の長さd2とはいずれも、スピーカーユニット30の長さd3を超えない。具体的には、外箱2の前面板2aの外側の面と、内箱32の前面部32aの外側の面とのそれぞれが、放音面と略同一面上に位置し、外箱2の背面板2bの外側の面と、内箱32の背面部32b(より正確には円筒状部分の底部)の外側の面とのそれぞれが、スピーカーユニット30の後部30bの端面(スピーカーユニット30の背面)と略同一面上に位置するように構成されている。すなわち、スピーカーユニット30の中心軸方向における音声出力装置1の長さがスピーカーユニット30の長さd3と略同一である。
【0042】
また、
図8Aに示す例では、
図7Aに示す例と同様に、振動吸収材51が内箱32の背面部32b(より正確には背面部32bの箱状部分)と外箱2の背面板2bとの間に配置されるが、放音部30a側には振動吸収材50が配置されない。また、外箱2の前面板2a(取付部材の第1の部分)と内箱32の前面部32a(筐体の第1の部分)との間は封止部材80で封止されている。
封止部材80は音の伝達を低減する部材であり、例えば、グリス、ゴム、または独立気泡のスポンジを封止部材80として用いてよい。
【0043】
図8Bは
図7Bの変形例である。
図8Bに示す例では、内箱32は、
図7Bを参照して説明した内箱32と同様に、箱状部分と、当該箱状部分からZ軸正方向に突出する第1の円筒状部分(内箱32の背面部32bに含まれる)と、箱状部分からZ軸負方向に突出する第2の円筒状部分(内箱32の前面部32aに含まれる)とを有する。ただし、
図8Bの例では、第1の円筒状部分は底部を有さない。すなわち、
図7Bでは円筒状部分のうちZ軸正側の端部(底部)が閉塞された構成を例示したが、
図8Bの構成では、円筒状部分の底部が開口部36により開放されている。
図8Aに示す例と同様に、
図8Bにおいても、スピーカーユニット30の中心軸方向における外箱2の長さd1と内箱32の長さd2とはいずれもスピーカーユニット30の長さd3を超えず、スピーカーユニット30の中心軸方向における音声出力装置1の長さがスピーカーユニット30の長さd3と略同一である。具体的には、スピーカーユニット30の中心軸方向において、外箱2の前面板2aの外側の面と、内箱32の前面部32aの第2の円筒状部分の上端面とのそれぞれが、放音面と略同一面上に位置し、外箱2の背面板2bの外側の面と、内箱32の背面部32bの第1の円筒状部分の下端面とのそれぞれが、スピーカーユニット30の背面と略同一面上に位置するように構成されている。
【0044】
図8Bにおいても、
図7Bに示す構成例と同様に、外箱2の前面板2aと内箱32の前面部32a(より正確には前面部32aの箱状部分)との間に振動吸収材50が配置され、外箱2の背面板2bと内箱32の背面部32b(より正確には背面部32bの箱状部分)との間に振動吸収材51が配置される。また、外箱2の前面板2a(取付部材の第1の部分)と内箱32の前面部32a(筐体の第1の部分)(より正確には前面部32aの第2の円筒状部分)との間と、外箱2の背面板2b(取付部材の第2の部分)と内箱32の背面部32b(筐体の第2の部分)(より正確には背面部32bの第1の円筒状部分)との間は、封止部材80で封止されている。
【0045】
以上の構成によれば、上述した第1実施形態の効果と同様の効果が奏される。また、内箱32が密閉される構成では、内箱32内に空気の圧縮による空気バネが発生するため、スピーカーユニット30の放音部30a(例えば振動板)の振動が阻害されるが、本態様の構成では内箱32が開口部36を有するため、スピーカーユニット30と内箱32との間に空気バネが発生しない。そのため、放音部30aの十分な振動が可能となり、スピーカーユニット30が、音圧が高い音を放射しやすくなる。さらに、スピーカーユニット30の中心軸方向において、外箱2の長さd1と内箱32の長さd2とのそれぞれがスピーカーユニット30の長さd3と同じまたはそれ未満となるように音声出力装置1が構成されるため、外箱2の長さd1と内箱32の長さd2との少なくとも一方がスピーカーユニットの長さよりも長い構成(例えば、
図7Aおよび
図7Bに例示される構成)と比べ、本態様による音声出力装置1は小型化される。また、外箱2と内箱32との間が、封止部材80によって封止されているため、スピーカーユニット30の後部30bから放射され、外箱2と内箱32との間を通ってスピーカーユニット30の放音部30a側へ伝達される音(すなわち、スピーカーユニット30の後部30bから放射された音の放音部30a側への回り込み)が低減される。
【0046】
なお、
図8Bは、外箱2の前面板2aと内箱32の前面部32aとの間、および、外箱2の背面板2bと内箱32の背面部32bとの間を封止部材80で封止する例を示す。しかし、外箱2の前面板2aと内箱32の前面部32aとの間のみを封止してもよいし、外箱2の背面板2bと内箱32の背面部32bとの間のみを封止してもよい。なお、放音部30a側への回り込みを防ぐ観点から、放音部30a側において外箱2の前面板2aと内箱32の前面部32aとの間を封止する態様がより好適である。
【0047】
<変形例の態様2>
図9Aおよび
図9Bが示す態様2の例において、内箱32は、第1実施形態で例示した背面部32b(筐体の第2の部分)が省略され、Z軸正側が開放された構造を有する。すなわち、内箱32は底部のない箱状部分と当該箱状部分からZ軸の負の方向に突出する円筒状部分とを有する。また、態様1と同様に、態様2の例においても、外箱2の長さd1と内箱32の長さd2とはいずれもスピーカーユニット30の長さd3を超えず、スピーカーユニット30の中心軸方向における音声出力装置1の長さがスピーカーユニット30の長さd3と略同一である。また、いずれの例においても、外箱2の前面板2a(取付部材の第1の部分)と内箱32の前面部32a(筐体の第1の部分)との間が、封止部材80で封止されている。
【0048】
図9Aに示す例では、スピーカーユニット30の中心軸方向(Z軸方向)において、外箱2の前面板2aの外側の面と、内箱32の前面部32aのうち円筒状部分の上端面とはいずれも、放音面と略同一面上に位置する。外箱2の背面板2bの外側の面は、スピーカーユニット30の背面と略同一面上に位置し、内箱32の側部32cの、後部30b側(放音部30aと反対側の)の端面(「縁」とも表現され得る)は、後部30bから見てZ軸負側に位置する。また、本例の音声出力装置1は、外箱2の前面板2aと内箱32の前面部32a(より正確には前面部32aの箱状部分)との間に振動吸収材50を有し、外箱2の背面板2b(取付部材の第2の部分)と内箱32の側部32c(筐体の第3の部分)との間に振動吸収材51を有する。より正確には、振動吸収材51は外箱2の背面板2bと内箱32の側部32cの縁との間に配置される。
【0049】
図9Bに示す例では、外箱2は、第1実施形態で例示した背面板2b(取付部材の第2の部分)が省略され、Z軸正側が開放された構造を有する。スピーカーユニット30の中心軸方向において、外箱2の前面板2aの外側の面と、内箱32の前面部32aのうち円筒状部分の上端面とはいずれも、放音面と略同一面上に位置し、外箱2の側板2cの後部30b側の端面と、内箱32の側部32cの後部30b側の端面とのそれぞれが、スピーカーユニット30の背面と略同一面上に位置するように構成されている。また、本例の音声出力装置1は、外箱2の前面板2aと内箱32の前面部32a(より正確には前面部32aの箱状部分)との間に振動吸収材50を有する。
【0050】
以上の構成によれば、第1実施形態の効果と同様の効果が奏される。また、スピーカーユニット30を内包する内箱32が背面部32bを有さない(Z軸正側が開放されている)ため、内箱が密閉される構成と比較して、スピーカーユニット30が、音圧が高い音を放射しやすくなる。
また、内箱32のZ軸正側が開放されているため、スピーカーユニット30の中心軸方向において、外箱2の長さd1と内箱32の長さd2とのそれぞれがスピーカーユニット30の長さd3と同じまたはそれ未満となるように音声出力装置1が構成され得る。そのため、外箱2の長さd1と内箱32の長さd2との少なくとも一方がスピーカーユニットの長さよりも長い構成(例えば、
図7Aおよび
図7Bに示される構成)と比べ、本態様による音声出力装置1は小型化される。また、外箱2の前面板2aと内箱32の前面部32aとの間が封止部材80によって封止されているため、スピーカーユニット30の後部30bから放射され、外箱2と内箱32との間を通って放音部30a側へ伝達される音(すなわち、スピーカーユニット30の後部30bから放射された音の放音部30a側への回り込み)が低減される。
【0051】
なお、
図8Aないし
図9Bに示す例において、音声出力装置1が取り付けられる物7(例えば自動車の内装)が有する空間、例えば自動車の内装の内側の空間が、スピーカーユニット30の後部30bから放射された音の放音部30a側への回り込み(外箱2の外側を通った回り込み)を防ぐエンクロージャーとして機能し得る。
【0052】
また、
図8Aないし
図9Bは、外箱2の長さd1および内箱32の長さd2がスピーカーユニット30の長さd3と略同一である例を示すが、音声出力装置1の長さがスピーカーユニット30の長さd3を超えない範囲において、外箱2の長さd1および内箱32の長さd2は、任意に変更可能である。
【0053】
また、内箱32が側部32cのみを有する構成も採用可能である。この場合、外箱2の前面板2aと内箱の側部32cのうち放音部30a側の端面(縁)との間に振動吸収材50が配置され、外箱2の背面板2bと内箱32の側部32cのうち後部30b側の端面(縁)との間に振動吸収材51が配置されてよい。
【0054】
また、封止部材80が内箱32から外箱2へ伝わる振動を低減する作用を有する場合には、音声出力装置1は、振動吸収材50および51を備えず封止部材80のみを備えるように構成されてもよい。すなわち、封止部材80が振動吸収材としても機能する構成も採用可能である(振動吸収材50および51が封止部材80として機能するとも理解され得る)。この場合、封止部材80は、図示されている位置でなく、振動吸収材50および51の位置に配置されてもよい。また、振動吸収材50および51を封止部材80として機能させる場合、スピーカーユニット30の後部30bから放射された音が放音部30a側へ回り込まないように、振動吸収材50および51が外箱2と内箱32との間(例えば、前面板2aと前面部32aの箱状部分との間、背面板2bと背面部32bの箱状部分との間、等)を封止する構成とすればよい。
【0055】
また、以上では外箱2が箱形状である例が示されるが、外箱2は、振動吸収材を介して内箱32を物に取り付けるものであれば、例えば板状でもよいし、円柱状でもよい。外箱2が板状である場合、前面板2aが取付部材の第1の部分に対応する。外箱2が、その中心軸がZ軸と平行な円柱状である場合、当該円柱のうち、放音部30a側の面が前面板2a(取付部材の第1の部分)に対応し、後部30b側の面が背面板2b(取付部材の第2の部分)に対応し、円筒部分が側板2c(取付部材の第3の部分)に対応する。
同様に、以上では内箱32の前面部32aおよび側部32cは平板状であるが、例えば側部32cが筒状等の他の形状でもよい。具体的には、内箱32が、その中心軸がZ軸と平行である円柱状でもよい。この場合、当該円柱のうち、放音部30a側の面が前面部32a(筐体の第1の部分)に対応し、後部30b側の面が背面部32b(筐体の第2の部分)に対応し、円筒部分が側部32c(筐体の第3の部分)に対応する。
【0056】
<第2実施形態>
次に、
図10および11を参照しつつ、本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下に例示する各形態において、作用や機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0057】
図10は第2実施形態における音声出力装置1の解析モデルを示す図であり、
図11は当該解析モデルの等価回路を示す図である。スピーカーユニット30は、振動により音を放射する可動部301と、非可動部302と、可動部301と非可動部302とを接続する弾性部材303とを有する。可動部301には、例えば、振動板(放音部30a)および振動板に振動を伝えるボイスコイルが含まれる。非可動部302には、例えば、振動板およびボイスコイルを固定するフレームが含まれる。弾性部材303は、例えば振動板とフレームとをつなぐエッジである。
図10に示す解析モデルのように、可動部301の質量をLs、内箱32の内部の空気のコンプライアンスをCa、弾性部材303のコンプライアンスをCs、内箱32と非可動部302との質量の合計をLb、内箱32と非可動部302との抵抗成分の合計をRbとする。また、振動吸収材50のコンプライアンスをCb、外箱2と音声出力装置1の取り付け先である物7(例えば、自動車の内装)との質量の合計をLm、外箱2と物7とのコンプライアンスの合計をCm、外箱2と物7との抵抗成分の合計をRmとする。
【0058】
本実施形態における音声出力装置1は、
図11に示すような等価回路として表すことができる。
図11において、Vsは可動部301を駆動する力を表し、Imは外箱2と物7とにおける振動速度を表す。
図11に示す等価回路において、内箱32と非可動部302との質量の合計Lbと、振動吸収材50のコンプライアンスCbとによりローパスフィルターが構成される。ここで、可動部301の質量Lsと、弾性部材303のコンプライアンスCsと、内箱32の内部の空気のコンプライアンスCaとによる共振周波数をf1と表す。また、内箱32と非可動部302との質量の合計Lbと、振動吸収材50のコンプライアンスCbとで構成されるローパスフィルターのカットオフ周波数をf2と表す。本実施形態においては、共振数端数f1とカットオフ周波数f2とが、以下の関係を満たすように設計される。
(数1)
f2<f1
【0059】
本実施形態によれば、外箱2に伝達される、スピーカーユニット30(可動部301)の振動が、内箱32と非可動部302との質量の合計Lbと、振動吸収材50のコンプライアンスCbとで構成されるローパスフィルターにより低減される。そのため、マイク4の周辺に伝わるスピーカーユニット30の振動が低減される。また、振動により発生する雑音が低減される(すなわち、マイク4に伝達される雑音が低減する)ため、エコーキャンセルの性能が改善され得る。
【0060】
<第3実施形態>
次に、添付図面を参照しつつ、本発明の第3実施形態を説明する。
図12Aは本実施形態に係る音声出力装置1の断面をZ軸上で分解して示した図であり、
図12Bは本実施形態に係る音声出力装置1の断面を示す図である。
図12Aに示すように、本実施形態においては、内箱32の前面部32a側に設ける振動吸収材として、2種類のバネを用いる。つまり、第1実施形態で振動吸収材50として用いたバネ部材の他に、別のバネ部材(振動吸収材52)をさらに設ける。振動吸収材52は、振動吸収材50として用いられるバネ部材よりも大きいバネ定数を有する。外箱2の前面板2aの内側の面(内箱32の前面部32a側の面)には保持部26が形成され、振動吸収材52の一端は当該保持部26に取り付けられる。具体的には、振動吸収材52の一端が、例えば凹形状の保持部26の凹部に挿入される。
【0061】
図12Bに示すように、通常の状態においては、振動吸収材52の他端は、内箱32の前面部32aには接触していない。しかし、内箱32に振動による過剰な加速度が加わった場合には、振動吸収材52の他端が内箱32の前面部32aに接触する。すなわち、振動吸収材52を設けることで、内箱32が振動する際の内箱32と外箱2の前面板2aとの衝突が防止され得る。
【0062】
このように、本実施形態によれば、内箱32の前面部32aに、バネ定数の異なる2種類のバネ部材(振動吸収材)が設けられるため、内箱32に過剰な加速度が加わった場合でも、内箱32と外箱2との衝突が防止され、ひいては衝突により発生する雑音が低減され得る。
【0063】
なお、2種類のバネ部材を用いることなく、振動吸収材50として、非線形バネを用いてもよい。例えば、バネ部材を円錐形状に巻き、かかる荷重が大きくなるとバネ定数が高くなる(硬くなる)バネを用いてもよい。また、バネ部材を円柱形状に巻き、巻き数に粗密があるようにした非線形バネを用いてもよい。このような非線形バネを用いた場合でも、過剰な加速度が加わった場合に、内箱32が外箱2の内面に接触する前にバネ定数が上昇し、内箱32と外箱2との衝突が防止される。そのため、内箱32と外箱2とが衝突することにより発生する雑音が低減され得る。
【0064】
本実施形態においても、振動を吸収する振動吸収材としてバネ以外の弾性部材(例えば、硬度の異なる樹脂、スポンジ)を用いてもよいし、弾性部材以外の部材(例えば、ジェル)を用いてもよい。あるいは、弾性部材およびそれ以外の部材を適宜組み合わせて用いてもよい(例えば、バネ部材とスポンジ、スポンジとジェル)。
【0065】
<第4実施形態>
次に、
図13および14を参照しつつ、本発明の第4実施形態を説明する。
第1ないし第3実施形態においては、音声出力装置1が、スピーカーユニット30を内包する内箱32(筐体)を有し、振動吸収材50および51が外箱2(取付部材)と内箱32との間に介在する例を示した。これに対し、本実施形態に係る音声出力装置1は、内箱32を有さず、振動吸収材50が取付部材とスピーカーユニット30との間に介在する。
【0066】
図13は、第4実施形態に係る音声出力装置1の概略構成を示す正面図である。本実施形態の音声出力装置1は、板状部材102(取付部材)と、スピーカーユニット30とを備える。上述の実施形態においては取付部材として箱形状の外箱2を用いる例を示したが、
図13に示すように、本実施形態の例においては、外箱2に代えて板状部材102が取付部材として用いられる(外箱2が前面板2aのみを有する構成としても理解され得る)。
本実施形態の板状部材102は略矩形状を有する。
図13に示されるように、板状部材102はスピーカーユニット30のZ軸負側に位置し、放音面と略平行である。すなわち、板状部材102は、取付部材のうちの放音部30a側の部分(取付部材の第1の部分)に対応する(第1の部分のみを有する取付部材とも理解され得る)。板状部材102には、スピーカーユニット30の放音部30aを露出させる、放音部30aの形状に対応する開口部120が形成されている(
図13において破線で示される)。板状部材102の内側の面(スピーカーユニット30側の面)の四隅には、例えば凹形状の保持部24が形成される。
【0067】
スピーカーユニット30は、音響信号に応じて振動し音を発生させる部分(例えば振動板)である放音部30aに加えて、放音部30aが振動可能なように固定されるフレーム71を有する。フレーム71は、放音部30aを収容する収容部分71a(
図13において放音部30aの位置が点線にて示される)と、放音面と略平行な略矩形状の板状部分71bとを有する。
図13に示されるように、本実施形態の収容部分71aは、その中心軸がZ軸と平行であり、Z軸の負方向(放音面の方向)に向かって広がった円錐台状形状を有する。フレーム71の板状部分71bは、放音部30aを露出させる開口部72(
図13において破線で示される)を有し、収容部分71aのZ軸負側(板状部材102側)に配置される。板状部分71bにおける板状部材102側の面の四隅には、例えば表面から突出する保持部73が形成される。
【0068】
図14は、音声出力装置1をY軸の正側から見た場合の、音声出力装置1の断面の一例を示す模式図である。なお、図示の簡易のため、
図14において、保持部24および73、ならびに、スピーカーユニット30の詳細(フレーム71等)の図示は省略されている(後述の
図16および
図17についても同様である。)。
図13および14に示されるように、板状部材102と、スピーカーユニット30との間には、振動吸収材50(離間部材)が介在する。振動吸収材50は、板状部材102とスピーカーユニット30とを離間させた状態で両者の間に介在することにより、スピーカーユニット30の振動を吸収する部材である。上述の実施形態と同様に、本実施形態において、振動吸収材50の一例としてコイル状のバネ部材が用いられる。振動吸収材50の一方の端部は、板状部材102に形成された保持部24に取り付けられ、当該振動吸収材50の他方の端部は、スピーカーユニット30(板状部分71b)に形成された保持部73に取り付けられる。より具体的には、例えば表面から突出した保持部73がバネ部材の一方の端部に挿入され、当該バネ部材の他方の端部が例えば凹形状の保持部24の凹部に挿入される。本実施形態において、振動吸収材50は、スピーカーユニット30を板状部材102に固定する部材としても機能する。
なお、説明の簡易のため、以下では保持部(24および73)の説明を省略する場合がある。例えば、「振動吸収材50が、板状部材102とスピーカーユニット30との間に介在する」との説明は、「振動吸収材50が、板状部材102の保持部24とスピーカーユニット30の保持部73との間に介在する」ことを意味する。
【0069】
板状部材102とスピーカーユニット30(より正確には、スピーカーユニット30のフレーム71の板状部分71b)との間には、封止部材80が設けられる。封止部材80は、板状部材102の開口部120の周縁部と、放音部30aの周縁部(より正確には、板状部分71bの開口部72の周縁部)との間を封止する。具体的には、封止部材80は、板状部材102と板状部分71bとの間に介在する筒状の部材であり、一端が板状部材102の開口部120の周縁部に設置されるとともに他端が板状部分71bの開口部72の周縁部に設置される。板状部分71bの開口部72と板状部材102の開口部120とは、封止部材80の内側の空間を介して相互に連通する。したがって、放音部30aが生成した音は、板状部分71bの開口部72と封止部材80の内側の空間と板状部材102の開口部120とを通過して外部空間に放射される。封止部材80は、板状部分71bの開口部72から板状部材102の開口部120に至る空間を、その外側の空間から遮断するための要素とも表現され得る。
封止部材80は、音の伝達を低減する部材であり、本実施形態ではその一例としてゴム部材が用いられる。
【0070】
図14に示されるように、音声出力装置1は、例えば自動車の内装などの、任意の物7に取り付けられる。具体的には、スピーカーユニット30の放音部30aが車内を向くよう、開口部120が形成された板状部材102の外側の面(スピーカーユニット30側と反対側の面)が、内装の裏面と対向するように取り付けられる。つまり、板状部材102は、スピーカーユニット30を物7に取り付けるための取付部材としての機能を有する。物7は、例えば、自動車内装の天井部分(例えば、ルームランプまたは/およびマップランプ近傍)、ダッシュボード、ドア等である。
なお、図示の簡易のため、
図14において、また、音声出力装置1が取り付けられる物7は、その一部のみが図示される。後述の
図16および
図17についても同様である。
【0071】
本実施形態においては、上述のように、スピーカーユニット30が、振動吸収材50(離間部材)を介して、板状部材102(取付部材)から離間するように取り付けられる。そのため、スピーカーユニット30により音が発せられた場合でも、そのスピーカーユニット30が発する振動が、振動吸収材50によって吸収される。したがって、音声出力装置1が、例えば自動車の内装である物7に取り付けられた場合に、板状部材102を介して物7に伝わる振動(スピーカーユニット30が発する振動)が低減され、ひいては当該振動により発生する雑音が低減され得る。また、板状部材102の開口部120の周縁部と、放音部30aの周縁部との間が封止部材80によって封止されるため、スピーカーユニット30の後部30bから放射され、放音部30a側へ伝達される音(すなわち、スピーカーユニット30の後部30bから放射された音の放音部30a側への回り込み)が低減される。すなわち、音の回りこみを低減するという、第1ないし第3実施形態における内箱32と同様の機能が封止部材80によって果たされ、同様の効果が奏される。
なお、本実施形態に係る音声出力装置1はマイクを備えないが、マイクがスピーカーユニット30の近傍に設けられてもよい。本実施形態の構成によれば、物7に伝わる振動が低減されるため、スピーカーユニット30近傍のマイクに伝達される、当該振動が原因となって発生する雑音が低減される。そのため、上述の効果に加え、エコーキャンセルの性能劣化を緩和するという効果も奏される。
【0072】
なお、本実施形態では振動吸収材50としてバネ部材用いる構成を例示したが、振動を吸収する部材であれば、バネ部材に限定されない。振動吸収材50としては、バネ部材以外の弾性部材(例えば、スポンジ、樹脂)を用いてもよいし、他の部材(例えば、ジェル)を用いてもよい。
【0073】
また、以上では封止部材80が板状部材102の開口部120の周縁部と放音部30aの周縁部との間に設けられる構成を例示したが、後部30bから放射された音の放音部30a側への回りこみが低減されるのであれば、他の場所に設けられてもよい。
図13の例では、封止部材80はX軸上で振動吸収材50から見てスピーカーユニット30の中心軸側(すなわち、振動吸収材50よりも内側)に位置するが、例えば、封止部材80は、当該中心軸から見て振動吸収材50よりも離れた位置(すなわち、振動吸収材50よりも外側)に設けられてもよい。また、
図13および14では、取付部材(板状部材102)が板状である例を示したが、取付部材が第1実施形態で説明されたような前面板2aおよび側板2cを有する構成も採用し得る。この場合、封止部材80は、側板2cとスピーカーユニット30(例えばフレーム71の板状部分71b)との間に設けられてもよい。
【0074】
以上では板状部分71bが略矩形状である例を説明したが、例えば円形状でもよいし、他の形状でもよい。また、板状部分71bの表面は、平面でなくてもよい。
同様に、以上では収容部分71aが円錐台状である例を示したが、例えば四角錐台状または直方体状でもよいし、他の形状でもよい。
【0075】
また、以上では、振動吸収材50がスピーカーユニット30を板状部材102に固定する部材としても機能する例を示したが、封止部材80がスピーカーユニット30を板状部材102に固定してもよい。また、物7に伝わる振動の低減という機能を妨げない範囲で、他の要素がスピーカーユニット30を板状部材102に固定してもよい。
【0076】
<第4実施形態の変形例>
第4実施形態に係る音声出力装置1は種々の変形が可能である。次に述べる態様から任意に選択された複数の態様は、矛盾しないかぎり適宜に組み合わされてよい。
【0077】
<変形例の態様1>
第4実施形態では封止部材80としてゴム部材を用いる構成を例示したが、音の伝達を低減する他の部材、例えばグリスまたは独立気泡のスポンジを封止部材80として用いてもよい。
図15は、態様1に係る音声出力装置1の概略構成を示す。態様1では、グリスを封止部材80として用いる。板状部材102のスピーカーユニット30側の面には、内筒401と、内筒401の外径よりも大きい内径を有する外筒402とが開口部120の周囲に同心に形成される。スピーカーユニット30の板状部分71bのうち板状部材102側の面には、円筒状部分501が開口部72の周囲に同心に形成される。円筒状部分501の内径は内筒401の外径よりも大きく、円筒状部分501の外径は外筒402の内径よりも小さい。また、内筒401、外筒402、および円筒状部分501のそれぞれのZ軸方向の長さ(高さ)は、板状部材102とスピーカーユニット30との間に介在する離間部材のZ軸方向の長さよりも短い。
図示のように、音声出力装置1が組み立てられた状態において、円筒状部分501は、内筒401と外筒402との間に差し込まれる。すなわち、内筒401と外筒402との間は、円筒状部分501を差し込み可能な程度に離間している。内筒401と外筒402との間の空間をグリス(封止部材80)が埋めることにより、板状部材102の開口部120の周縁部と放音部30aの周縁部(より正確には、板状部分71bの開口部72の周縁部)との間が封止される。例えば、内筒401と外筒402との間にグリス(封止部材80)が注入された状態で、内筒401と外筒402との間に円筒状部分501が差し込まれることにより、音声出力装置1が組み立てられてもよい。
【0078】
以上の構成においても、第4実施形態と同様の効果が奏される。
【0079】
<変形例の態様2>
図16は、態様2に係る音声出力装置1をY軸の正側から見た場合の、音声出力装置1の断面の一例を示す模式図である。図示のように、態様2に係る音声出力装置1は、振動吸収材50および封止部材80に代えて、振動吸収材53(離間部材)を備える。振動吸収材53は、第4実施形態で説明された振動吸収材50および封止部材80として機能する部材である。振動吸収材53は、板状部材102とスピーカーユニット30とを離間させた状態で両者の間に介在することにより、スピーカーユニット30の振動を吸収する。また、振動吸収材53は、音の伝達を低減する部材であり、板状部材102とスピーカーユニット30との間を封止する。より具体的には、振動吸収材53は、板状部材102の開口部120の周縁部と、スピーカーユニット30の放音部30aの周縁部(より正確には、板状部分71bの開口部72の周縁部)との間を封止する。振動吸収材53は、例えばゴム部材である。
なお、態様2において、板状部材102は、保持部24を有さなくてもよい。また、スピーカーユニット30は、保持部73を有さなくてもよい。
【0080】
以上の構成においても、第4実施形態と同様の効果が奏される。スピーカーユニット30により音が発せられた場合でも、そのスピーカーユニット30が発する振動が、振動吸収材53によって吸収される。したがって、音声出力装置1が、例えば自動車の内装である物7に取り付けられた場合に、板状部材102を介して物7に伝わる振動(スピーカーユニット30が発する振動)が低減され、ひいては当該振動により発生する雑音が低減され得る。また、板状部材102の開口部120の周縁部と、放音部30aの周縁部との間が振動吸収材53によって封止されるため、スピーカーユニット30の後部30bから放射され、スピーカーユニット30の放音部30a側へ伝達される音(すなわち、スピーカーユニット30の後部30bから放射された音の放音部30a側への回り込み)が低減される。さらに、振動吸収材53が振動吸収材50および封止部材80として機能するため、振動吸収材50および封止部材80が別々に設けられる構成と比較し、音声出力装置1の製造に用いる部品点数が減少し、製造工数が減少し得る。ひいては、コストが削減され得る。
【0081】
<変形例の態様3>
図17は、態様3に係る音声出力装置1をY軸の正側から見た場合の、音声出力装置1の断面の一例を示す模式図である。図示のように、態様3に係る音声出力装置1は、第4実施形態に係る音声出力装置1と同様に、スピーカーユニット30と、振動吸収材50(離間部材)と、封止部材80とを備える。ただし、態様3に係る音声出力装置1は、板状部材102(取付部材)を備えない。態様3において、振動吸収材50は、音声出力装置1の取り付け先である物7とスピーカーユニット30を離間させた状態で両者の間に介在し、スピーカーユニット30の振動を吸収する。封止部材80は、物7(より正確には、放音部30aが生成した音を通過させるために物7に設けられている開口部の周縁部)とスピーカーユニット30(より正確には、板状部分71bの開口部72の周縁部)との間を封止する。
【0082】
以上の構成においても、第4実施形態と同様の効果が奏される。スピーカーユニット30により音が発せられた場合でも、そのスピーカーユニット30が発する振動が、振動吸収材50によって吸収される。したがって、音声出力装置1が、例えば自動車の内装である物7に取り付けられた場合に、振動吸収材50を介して物7に伝わる振動(スピーカーユニット30が発する振動)が低減され、ひいては当該振動により発生する雑音が低減され得る。また、物7の開口部と、放音部30aの周縁部との間が封止部材80によって封止されるため、スピーカーユニット30の後部30bから放射され、スピーカーユニット30の放音部30a側へ伝達される音(すなわち、スピーカーユニット30の後部30bから放射された音の放音部30a側への回り込み)が低減される。さらに、態様3の構成では、取付部材(板状部材102)を介さずにスピーカーユニット30が物7に取り付けられるため、取付部材を備える構成と比較し、音声出力装置1の製造に用いる部品点数が減少し、製造工数が減少し得る。ひいては、コストが削減され得る。
【0083】
なお、本実施形態および本実施形態の変形例の各態様において、音声出力装置1が取り付けられる物7(例えば自動車の内装)が有する空間、例えば自動車の内装の内側の空間が、スピーカーユニット30の後部30bから放射された音の放音部30a側への回り込みを防ぐエンクロージャーとして機能し得る。