【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイト http://carbide.mmc.co.jp/newproduct、http://carbide.mmc.co.jp/newproduct/201711_vpx、平成29年11月10日 ウェブサイト http://carbide.mmc.co.jp/products/rotating_tools/face_mills、http://carbide.mmc.co.jp/products/rotating_tools/face_mills/vpx、平成29年11月10日 ウェブサイト http://www.mitsubishicarbide.com/application/files/7315/1185/6217/vpx_b250j.pdf、平成29年11月10日 ウェブサイト https://www.youtube.com/user/mmtcjp、平成29年10月05日 ウェブサイト https://youtu.be/WW9l0g4CP0w、https://youtu.be/UCJ6UzdU_Io、平成29年10月06日 ウェブサイト https://youtu.be/HmWV3LZwz5Y、平成29年10月05日 ウェブサイト https://youtu.be/NZgT6tNSuvA、平成29年10月30日 ウェブサイト https://youtu.be/60GajJyFdHQ、平成29年11月21日 ウェブサイト https://youtu.be/Go−VofIqduc、平成29年10月10日 ウェブサイト https://www.youtube.com/watch?v=tvPU5k−bkvo、平成29年11月06日 ウェブサイト http://www.mitsubishicarbide.com/en/newproduct、平成29年11月22日 ウェブサイト http://www.mitsubishicarbide.com/en/products/rotating_tools/face_mills、平成29年11月22日 ウェブサイト http://www.mitsubishicarbide.com/en/newproduct/201711_vpx、平成29年11月22日 ウェブサイト http://www.mitsubishicarbide.
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の一実施形態に係る刃先交換式切削工具1および切削インサート3について、図面を参照して説明する。
【0034】
〔刃先交換式切削工具〕
本実施形態の刃先交換式切削工具1は、いわゆる縦刃タイプの切削インサート3を有する刃先交換式フライスカッタである。刃先交換式切削工具1は、金属製等の被削材に対して、例えば正面削りや肩削り等の切削加工を行う。
【0035】
図1〜
図3に示すように、刃先交換式切削工具1は、工具本体2と、切削インサート3と、ネジ部材20と、を備える。工具本体2は、工具軸線O回りに回転させられる。工具軸線Oは、工具本体2の中心軸である。切削インサート3は、工具本体2に装着される。ネジ部材20は、切削インサート3を工具本体2に固定する。
【0036】
工具本体2は、図示しない工作機械の主軸等に着脱可能に装着される。工具本体2の工具軸線O方向の両端部のうち、第1の端部(一方の端部)は、工作機械の主軸等に保持される。工具本体2の工具軸線O方向の両端部のうち、第1の端部とは異なる第2の端部(他方の端部)には、切削インサート3が配置される。
【0037】
〔本実施形態で用いる方向(向き)の定義(説明1)〕
本実施形態では、工具本体2の工具軸線Oに平行な方向(工具軸線Oに沿う方向)を、工具軸線O方向と呼ぶ。工具軸線O方向のうち、工具本体2の前記第1の端部から前記第2の端部へ向かう方向(
図2における下側)を工具先端側と呼び、前記第2の端部から前記第1の端部へ向かう方向(
図2における上側)を工具後端側と呼ぶ。
工具軸線Oに直交する方向を工具径方向と呼ぶ。工具径方向のうち、工具軸線Oに近づく方向を工具径方向の内側と呼び、工具軸線Oから離れる方向を工具径方向の外側と呼ぶ。
工具軸線O回りに周回する方向を工具周方向と呼ぶ。工具周方向のうち、切削加工時に工具本体2が回転させられる向きを工具回転方向Tと呼び、これとは反対の回転方向を、工具回転方向Tとは反対方向(反工具回転方向)と呼ぶ。
なお、切削インサート3に関連する方向の定義については、別途後述する。
【0038】
〔工具本体〕
工具本体2は、例えば鋼材等の金属製である。工具本体2は、柱状または筒状である。
図1〜
図6に示すように、本実施形態の例では、工具本体2が、円柱状または円筒状である。なお工具本体2は、円盤状であってもよい。工具本体2は、インサート取付座4と、チップポケット6と、クーラント孔7と、を有する。
【0039】
〔インサート取付座(説明1)〕
インサート取付座4は、工具本体2の先端外周部に配置される。インサート取付座4は、工具本体2の外周面から工具径方向の内側に向けて窪む。インサート取付座4は、工具本体2の先端面から工具後端側に向けて窪む。インサート取付座4は、多角形穴状である。本実施形態の例では、インサート取付座4が、四角形穴状である。インサート取付座4は、工具本体2に複数設けられる。複数のインサート取付座4は、工具周方向に互いに間隔をあけて配置される。
【0040】
インサート取付座4には、切削インサート3が着脱可能に取り付けられる。インサート取付座4に装着された切削インサート3は、工具本体2の外周面から、少なくとも切れ刃5の部分(後述する主切れ刃部14)を工具径方向の外側に突出させる。インサート取付座4に装着された切削インサート3は、工具本体2の先端面から、少なくとも切れ刃5の部分(後述する副切れ刃部15)を工具先端側に突出させる。
インサート取付座4の上記以外の構成については、別途後述する。
【0041】
〔チップポケット〕
チップポケット6は、工具本体2の先端外周部に配置される。チップポケット6は、工具本体2の外周面から工具径方向の内側に向けて窪む。チップポケット6が工具本体2の外周面から工具径方向の内側に向けて窪む深さは、インサート取付座4が工具本体2の外周面から工具径方向の内側に向けて窪む深さよりも大きい。チップポケット6は、工具本体2の先端面から工具後端側に向けて窪む。チップポケット6が工具本体2の先端面から工具後端側に向けて窪む深さは、インサート取付座4が工具本体2の先端面から工具後端側に向けて窪む深さよりも大きい。
【0042】
チップポケット6は、工具本体2に複数設けられる。複数のチップポケット6は、工具周方向に互いに間隔をあけて配置される。チップポケット6は、インサート取付座4に対して工具回転方向Tに隣接して配置される。インサート取付座4の工具回転方向Tの端部は、チップポケット6の工具先端側の端部と繋がる。インサート取付座4の内部と、チップポケット6の内部とは、互いに連通する。
【0043】
〔クーラント孔〕
クーラント孔7は、工具本体2の内部を延びる。本実施形態の例では、クーラント孔7が、工具本体2内を工具軸線O方向に延びる。クーラント孔7は、工具本体2を貫通する。クーラント孔7の工具後端側の端部は、工作機械の主軸等に繋がる。クーラント孔7の工具先端側の端部は、チップポケット6に開口する。クーラント孔7は、インサート取付座4に装着された切削インサート3の切れ刃5に向けて開口する。クーラント孔7には、工作機械の主軸等を通して、クーラント(切削液またはエアー等)が供給される。
【0044】
〔切削インサート〕
切削インサート3は、例えば炭化タングステンおよびコバルト等を成分に含む超硬合金製である。
図7〜
図10に示すように、切削インサート3は、多角形板状のインサート本体10と、多角形面状の一対の第1面11と、貫通孔16と、第2面12と、第3面13と、切れ刃5と、を備える。貫通孔16は、インサート本体10を貫通して一対の第1面11に開口する。
【0045】
〔インサート本体(説明1)〕
インサート本体10は、インサート本体10の外面に、一対の第1面11および周面を有する。インサート本体10の周面は、一対の第1面11同士を接続する。周面は、一対の第1面11の外周縁同士を繋ぐ。周面には、第2面12および第3面13が配置される。第2面12と第3面13とは、インサート本体10の周面において周方向に並ぶ。
【0046】
本実施形態の例では、インサート本体10が四角形板状であり、一対の第1面11は、四角形面状である。具体的にインサート本体10は、長方形板状である。また、インサート本体10は、表裏反転対称形状である。つまり切削インサート3は、いわゆる縦刃両面タイプの切削インサートである。インサート本体10の外面には、第1面11、第2面12および第3面13が、それぞれ一対設けられる。インサート本体10の周面は、周方向(貫通孔16の中心軸回りに周回する方向)に配列する4つの面を有する。4つの面は、一対の第2面12および一対の第3面13である。第2面12と第3面13とは、周方向に交互に配列する。
インサート本体10の上記以外の構成については、別途後述する。
【0047】
〔本実施形態で用いる方向(向き)の定義(説明2)〕
本実施形態では、貫通孔16の中心軸を第1軸C1と呼ぶ。第1軸C1は、インサート本体10の厚さ方向に延びる。第1軸C1に平行な方向(第1軸C1に沿う方向)が、第1軸C1方向である。第1軸C1方向は、インサート本体10の厚さ方向に相当する。第1軸C1は、一対の第1面11の各中心を通る。
【0048】
第2軸C2は、インサート本体10の周面を通り、第1軸C1と直交する。第2軸C2は、一対の第2面12の各中心を通る。第2軸C2に平行な方向(第2軸C2に沿う方向)が、第2軸C2方向である。第2軸C2方向は、第1軸C1方向に直交する方向である。
【0049】
第3軸C3は、インサート本体10の周面を通り、第1軸C1と直交する。第3軸C3は、一対の第3面13の各中心を通る。第3軸C3に平行な方向(第3軸C3に沿う方向)が、第3軸C3方向である。第3軸C3方向は、第1軸C1方向に直交しかつ第2軸C2方向とは異なる方向である。本実施形態の例では、インサート本体10が長方形板状であり、第3軸C3と第2軸C2とは、直交する。よって第3軸C3方向は、第2軸C2方向に直交する方向でもある。
【0050】
第1軸C1と第2軸C2とは、インサート本体10の内部の所定の点で交差する。第1軸C1と第3軸C3とは、インサート本体10の内部の所定の点で交差する。第2軸C2と第3軸C3とは、インサート本体10の内部の所定の点で交差する。所定の点とは、インサート本体10の中心(中心点)である。第1軸C1、第2軸C2および第3軸C3の3つの軸は、インサート本体10の中心において互いに交差(直交)する。
【0051】
第1軸C1方向のうち、第1面11からインサート本体10の中心に向かう方向を、第1軸C1方向のインサート内側と呼び、インサート本体10の中心から第1面11に向かう方向を、第1軸C1方向のインサート外側と呼ぶ。
第2軸C2方向のうち、第2面12からインサート本体10の中心に向かう方向を、第2軸C2方向のインサート内側と呼び、インサート本体10の中心から第2面12に向かう方向を、第2軸C2方向のインサート外側と呼ぶ。
第3軸C3方向のうち、第3面13からインサート本体10の中心に向かう方向を、第3軸C3方向のインサート内側と呼び、インサート本体10の中心から第3面13に向かう方向を、第3軸C3方向のインサート外側と呼ぶ。
【0052】
〔インサート本体(説明2)〕
インサート本体10は、第1軸C1を中心とする180°回転対称形状である。インサート本体10は、第2軸C2を中心とする180°回転対称形状である。インサート本体10は、第3軸C3を中心とする180°回転対称形状である。
【0053】
第1面11は、第1軸C1方向を向き、一対の第1面11同士は、互いに背中合わせに配置される。各第1面11は、第1軸C1方向のインサート外側を向く。第2面12は、第2軸C2方向を向き、一対の第2面12同士は、互いに背中合わせに配置される。各第2面12は、第2軸C2方向のインサート外側を向く。第3面13は、第3軸C3方向を向き、一対の第3面13同士は、互いに背中合わせに配置される。各第3面13は、第3軸C3方向のインサート外側を向く。
【0054】
第1面11は、一対の第2面12同士を繋ぎ、一対の第3面13同士を繋ぐ。第2面12は、一対の第1面11同士を繋ぎ、一対の第3面13同士を繋ぐ。第3面13は、一対の第1面11同士を繋ぎ、一対の第2面12同士を繋ぐ。
【0055】
一対の第1面11同士の第1軸C1方向の距離は、一対の第2面12同士の第2軸C2方向の距離よりも小さい。一対の第1面11同士の第1軸C1方向の距離は、一対の第3面13同士の第3軸C3方向の距離よりも小さい。このため、インサート本体10は、第1軸C1方向が厚さ方向(板厚方向)とされた板状である。また、一対の第2面12同士の第2軸C2方向の距離は、一対の第3面13同士の第3軸C3方向の距離よりも小さい。すなわち、一対の第1面11同士の第1軸C1方向の距離、一対の第2面12同士の第2軸C2方向の距離および一対の第3面13同士の第3軸C3方向の距離は、この順に大きくされている。
【0056】
〔切れ刃〕
切れ刃5は、第2面12の外周縁に配置される。切れ刃5は、第2面12と、第1面11および第3面13と、の交差稜線部に形成される。切れ刃5は、第1面11と第2面12との交差稜線に位置する部分(後述する主切れ刃部14)、および、第2面12と第3面13との交差稜線に位置する部分(後述する副切れ刃部15)を有する。
【0057】
第2軸C2方向から見て、切れ刃5は、略L字状である。1つの第2面12の外周縁には、L字型の切れ刃5が2組設けられる。1つの第2面12の外周縁において、2組の切れ刃5同士は、第2軸C2を中心として互いに180°回転対称位置に配置される。本実施形態の例では、切れ刃5は、切削インサート3に計4組設けられる。
【0058】
切れ刃5は、主切れ刃部14と、副切れ刃部15と、コーナ刃部21と、連結刃部22と、を有する。主切れ刃部14の刃長は、副切れ刃部15の刃長、コーナ刃部21の刃長および連結刃部22の刃長よりも長い。副切れ刃部15の刃長は、コーナ刃部21の刃長および連結刃部22の刃長よりも長い。コーナ刃部21の刃長は、連結刃部22の刃長よりも長い。なお、例えばコーナ刃部21の曲率半径が大きい場合などには、コーナ刃部21の刃長が、副切れ刃部15の刃長より長くてもよい。
【0059】
主切れ刃部14は、第1面11と第2面12との交差稜線部に形成される。主切れ刃部14は、直線状に延びる。主切れ刃部14は、第2面12の外周縁をなす4辺(一対の長辺および一対の短辺)のうち、長辺に位置する。
【0060】
図9に示すように、主切れ刃部14は、主切れ刃部14の両端部のうちコーナ刃部21に接続する端部が、最も第2軸C2方向のインサート外側に配置される。主切れ刃部14は、主切れ刃部14の両端部のうち、コーナ刃部21に接続する端部からコーナ刃部21に接続する端部とは異なる端部(他の切れ刃5の連結刃部22に接続する端部)へと第3軸C3方向に向かうにしたがい、第2軸C2方向のインサート内側へ向けて傾斜して延びる。
【0061】
図8に示すように、主切れ刃部14は、主切れ刃部14の両端部のうちコーナ刃部21に接続する端部が、最も第1軸C1方向のインサート内側に配置される。主切れ刃部14は、主切れ刃部14の両端部のうち、コーナ刃部21に接続する端部からコーナ刃部21に接続する端部とは異なる端部(他の切れ刃5の連結刃部22に接続する端部)へと第3軸C3方向に向かうにしたがい、第1軸C1方向のインサート外側へ向けて傾斜して延びる。
【0062】
副切れ刃部15は、第2面12と第3面13との交差稜線部に形成される。副切れ刃部15は、第2面12の外周縁をなす4辺(一対の長辺および一対の短辺)のうち、短辺に位置する。
図8に示すように、切削インサート3を第2軸C2方向から見て(第2面12を正面に見て)、副切れ刃部15は、第3軸C3方向のインサート外側に向けて凸となるV字状である。
【0063】
副切れ刃部15は、第1副切れ刃部31と、第2副切れ刃部32と、を有する。
図9および
図10に示すように、第1副切れ刃部31は、直線状に延びる。第1副切れ刃部31は、切削加工時にさらい刃として機能する。具体的に、切削インサート3が工具本体2のインサート取付座4に装着されたときに、第1副切れ刃部31は、工具軸線Oに垂直な不図示の仮想平面上を延びる。第1副切れ刃部31は、コーナ刃部21に接続する端部と、第2副切れ刃部32に接続する端部と、を有する。
【0064】
図8に示すように、切削インサート3を第2軸C2方向から見て、第1副切れ刃部31は、第1副切れ刃部31の両端部のうちコーナ刃部21に接続する端部が、最も第3軸C3方向のインサート内側に配置される。第1副切れ刃部31は、第1副切れ刃部31の両端部のうち、コーナ刃部21に接続する端部からコーナ刃部21に接続する端部とは異なる端部(第2副切れ刃部32に接続する端部)へと第1軸C1方向に向かうにしたがい、第3軸C3方向のインサート外側へ向けて傾斜して延びる。
【0065】
図10に示すように、切削インサート3を第3軸C3方向から見て(第3面13を正面に見て)、第1副切れ刃部31は、第1副切れ刃部31の両端部のうちコーナ刃部21に接続する端部が、最も第2軸C2方向のインサート外側に配置される。第1副切れ刃部31は、第1副切れ刃部31の両端部のうち、コーナ刃部21に接続する端部からコーナ刃部21に接続する端部とは異なる端部(第2副切れ刃部32に接続する端部)へと第1軸C1方向に向かうにしたがい、第2軸C2方向のインサート内側へ向けて傾斜して延びる。
【0066】
図9および
図10に示すように、第2副切れ刃部32は、凹曲線状に延びる。第2副切れ刃部32は、切削加工時にランピング刃として機能する。具体的に、切削インサート3が工具本体2のインサート取付座4に装着されたときに、第2副切れ刃部32は、第1副切れ刃部31との接続部分から工具径方向の内側へ向かうしたがい、工具後端側へ向けて傾斜して延びる。第2副切れ刃部32は、第1副切れ刃部31に接続する端部と、連結刃部22に接続する端部と、を有する。
【0067】
図8に示すように、切削インサート3を第2軸C2方向から見て、第2副切れ刃部32は、第2副切れ刃部32の両端部のうち第1副切れ刃部31に接続する端部が、最も第3軸C3方向のインサート外側に配置される。第2副切れ刃部32は、第2副切れ刃部32の両端部のうち、第1副切れ刃部31に接続する端部から第1副切れ刃部31に接続する端部とは異なる端部(連結刃部22に接続する端部)へと第1軸C1方向に向かうにしたがい、第3軸C3方向のインサート内側へ向けて傾斜して延びる。
【0068】
図10に示すように、切削インサート3を第3軸C3方向から見て、第2副切れ刃部32は、第2副切れ刃部32の両端部のうち第1副切れ刃部31に接続する端部が、最も第2軸C2方向のインサート外側に配置される。第2副切れ刃部32は、第2副切れ刃部32の両端部のうち、第1副切れ刃部31に接続する端部から第1副切れ刃部31に接続する端部とは異なる端部(連結刃部22に接続する端部)へと第1軸C1方向に向かうにしたがい、第2軸C2方向のインサート内側へ向けて傾斜して延びる。
【0069】
第2副切れ刃部32は、切れ刃5において最も第2軸C2方向のインサート内側に位置する部分を有する。第2副切れ刃部32において最も第2軸C2方向のインサート内側に位置する部分は、第2副切れ刃部32の両端部同士の間に位置する。
【0070】
副切れ刃部15のうち、第1副切れ刃部31と第2副切れ刃部32との接続部分は、切削インサート3の中心を通り第1軸C1に垂直な不図示の仮想平面上に位置する。つまり、副切れ刃部15の第1副切れ刃部31と第2副切れ刃部32との接続部分は、切削インサート3の厚さ方向(第1軸C1方向)の中央に配置される。
図8に示すように、切削インサート3を第2軸C2方向から見て、第1副切れ刃部31と第2副切れ刃部32との接続部分は、切れ刃5において最も第3軸C3方向のインサート外側に位置する。
【0071】
図8および
図9に示すように、コーナ刃部21は、凸曲線状に延びる。コーナ刃部21は、第2面12の外周縁の4つの角部のうち、主切れ刃部14と第1副切れ刃部31との間に位置する角部に配置されて、主切れ刃部14と第1副切れ刃部31とに繋がる。コーナ刃部21は、主切れ刃部14と第1副切れ刃部31とに接して、主切れ刃部14と第1副切れ刃部31とを滑らかに接続する。
図9および
図10に示すように、コーナ刃部21は、切れ刃5において最も第2軸C2方向のインサート外側に位置する部分を有する。
【0072】
図8に示すように、連結刃部22は、凸曲線状に延びる。連結刃部22は、第2面12の外周縁の4つの角部のうち、第2副切れ刃部32と、この第2副切れ刃部32を含む一の切れ刃5とは異なる他の切れ刃5の主切れ刃部14と、の間に位置する角部に配置されて、第2副切れ刃部32と前記他の切れ刃5の主切れ刃部14とに繋がる。連結刃部22は、第2面12の外周縁において第2軸C2回りに隣り合う一対の切れ刃5同士を接続する。なお、連結刃部22は、概ね切削加工に用いられることのない見せかけの切れ刃5部分であることから、切れ刃5に設けられなくてもよい。
【0073】
〔第1面〕
第1面11は、板状の切削インサート3の厚さ方向を向く板面である。第1面11は、四角形状である。
図9に示すように、切削インサート3を第1軸C1方向から見て(第1面11を正面に見て)、第1面11は平行四辺形状である。第1面11は、第3軸C3方向の長さが第2軸C2方向の長さよりも大きい。第1面11は、切れ刃5の逃げ面のうち、主切れ刃部14の逃げ面部分(後述する主逃げ面部23)を有する。
【0074】
第1面11は、主逃げ面部23と、径方向着座面部24と、を有する。
主逃げ面部23は、主切れ刃部14に沿って延びる。主逃げ面部23は、主切れ刃部14に接続する。主逃げ面部23は、第1面11において主切れ刃部14の内側に位置する。主逃げ面部23は、第1面11の第2軸C2方向の両端部に一対設けられる。主逃げ面部23の幅は、主切れ刃部14とコーナ刃部21との接続部分において最大となる。主逃げ面部23の幅は、主切れ刃部14とコーナ刃部21との接続部分から、主切れ刃部14と他の切れ刃5の連結刃部22との接続部分に向かうにしたがい小さくなる。
図10および
図11に示すように、主逃げ面部23は、主切れ刃部14から第2軸C2方向に離れるにしたがい、第1軸C1方向のインサート外側へ向かって傾斜する。
【0075】
径方向着座面部24は、第1軸C1に垂直な平面状である。径方向着座面部24は、第1面11において一対の主逃げ面部23同士の間に位置する。なお、第1面11に主逃げ面部23が設けられなくてもよい。この場合、径方向着座面部24は、主切れ刃部14に直接接続する。
【0076】
〔貫通孔〕
貫通孔16は、インサート本体10の内部を第1軸C1方向に延びる。貫通孔16は、切削インサート3を第1軸C1方向に貫通して、一対の第1面11の各径方向着座面部24に開口する。貫通孔16内には、ネジ部材20が挿入される(
図1等を参照)。
図12に示すように、貫通孔16は、第1軸C1に垂直な断面が円形状である。
【0077】
図11に示すように、貫通孔16は、大径部17と、小径部18と、テーパ部19と、を有する。
大径部17は、インサート本体10の第1軸C1方向の端部に位置する。大径部17は、貫通孔16において第1軸C1方向の両端部に一対設けられる。大径部17は、第1面11に開口する。
【0078】
大径部17は、外側大径部17aと、内側大径部17bと、を有する。
外側大径部17aは、径方向着座面部24に繋がる。
図11に示すように、第3軸C3に垂直な断面視で、外側大径部17aは略直線状に延びる。本実施形態の例では、外側大径部17aの内径が、径方向着座面部24から第1軸C1方向のインサート内側に向かうにしたがい小さくなる。外側大径部17aの内径は、第1軸C1方向において一定でもよい。
【0079】
内側大径部17bは、外側大径部17aよりも第1軸C1方向のインサート内側に位置する。
図11に示す断面視において、内側大径部17bは、凹曲線状に延びる。内側大径部17bは、内側大径部17bと外側大径部17aとの接続部分から第1軸C1方向のインサート内側に向かうにしたがい、縮径する。すなわち、内側大径部17bは、内側大径部17bと外側大径部17aとの接続部分から第1軸C1方向に離れるにしたがい、第2軸C2方向のインサート内側および第3軸C3方向のインサート内側に向けて傾斜して延びる。内側大径部17bの内径は、第1軸C1方向のインサート内側に向かうにしたがい小さくなる。
【0080】
小径部18は、大径部17よりも小径である。小径部18は、貫通孔16において最も小径である。小径部18は、大径部17よりも第1軸C1方向のインサート内側に位置する。小径部18は、大径部17から第1軸C1方向のインサート内側に離れて配置される。小径部18の内径は、第1軸C1方向において略一定である。小径部18の内径は、インサート本体10の中心(第1軸C1、第2軸C2および第3軸C3の交点)から第1軸C1方向のインサート外側に向かうにしたがい僅かに大きくなる。なお、小径部18の内径は、第1軸C1方向において一定でもよい。小径部18の内部には、インサート本体10の中心が位置する。小径部18の内周面は、第2軸C2および第3軸C3と交差する。
【0081】
テーパ部19は、大径部17と小径部18とを接続する。テーパ部19は、一対の大径部17と、小径部18と、の間に一対設けられる。テーパ部19は、大径部17よりも第1軸C1方向のインサート内側に位置する。テーパ部19は、小径部18よりも第1軸C1方向のインサート外側に位置する。テーパ部19は、テーパ部19と大径部17との接続部分から第1軸C1方向のインサート内側に向かうにしたがい、縮径する。テーパ部19の内径は、第1軸C1方向のインサート内側に向かうにしたがい小さくなる。
【0082】
〔第2面〕
図7に示すように、第2面12は、第1面11に接続する。第2面12は、一対の第1面11に接続する。第2面12は、第1面11の外周縁をなす4辺(一対の長辺および一対の短辺)のうち、長辺に接続する。第2面12は、四角形状である。
図8に示すように、第2軸C2方向から見て、第2面12は長方形状である。第2面12は、第3軸C3方向の長さが第1軸C1方向の長さよりも大きい。第2面12は、切れ刃5のすくい面を有する。切れ刃5のすくい面は、主切れ刃部14のすくい面部分と、副切れ刃部15のすくい面部分と、コーナ刃部21のすくい面部分と、連結刃部22のすくい面部分と、を有する。
【0083】
第2面12は、ランド部25と、傾斜面部26と、凸部33と、平面部27と、を有する。
ランド部25は、第2面12から第2軸C2方向に突出する。ランド部25は、第2面12において最も第2軸C2方向のインサート外側に突出する。ランド部25は、第2面12において切れ刃5の内側に配置される。ランド部25は、切れ刃5に沿って延びる。ランド部25は、切れ刃5の全長にわたって、切れ刃5に対して第2面12の内側から接続する。
【0084】
図8に示すように、第2軸C2方向から見て、ランド部25は、略L字状である。1つの第2面12には、L字型のランド部25が2組設けられる。2組のランド部25同士は、第2軸C2を中心として互いに180°回転対称位置に配置される。2組のランド部25は、第2軸C2回りに互いに繋がる。2組のランド部25の全体形状は、四角形枠状である。
【0085】
ランド部25は、切れ刃5のすくい面である。ランド部25は、主切れ刃部14のすくい面部分と、副切れ刃部15のすくい面部分と、コーナ刃部21のすくい面部分と、連結刃部22のすくい面部分と、を有する。主切れ刃部14のすくい面部分は、第2面12において主切れ刃部14の内側に位置する。副切れ刃部15のすくい面部分は、第2面12において副切れ刃部15の内側に位置する。コーナ刃部21のすくい面部分は、第2面12においてコーナ刃部21の内側に位置する。連結刃部22のすくい面部分は、第2面12において連結刃部22の内側に位置する。なお、連結刃部22が切削加工に用いられることがない場合には、連結刃部22のすくい面部分は、すくい面としての機能を有していなくてもよい。
【0086】
ランド部25は、切れ刃5から第2面12の内側へ向かうにしたがい、第2軸C2方向のインサート内側へ向けて傾斜する。ランド部25の幅(切れ刃5に直交する向きの長さ)は、ランド部25がコーナ刃部21に接続する部分において最大である。
ランド部25のうち、主切れ刃部14に接続する部分、コーナ刃部21に接続する部分および第1副切れ刃部31に接続する部分は、平面状である。ランド部25のうち、第2副切れ刃部32に接続する部分および連結刃部22に接続する部分は、凹曲面状である。
【0087】
傾斜面部26は、第2面12においてランド部25の内側に位置する。傾斜面部26は、ランド部25に対して第2面12の内側から接続する。傾斜面部26は、ランド部25に沿って延びる。傾斜面部26のうち、第2面12において、主切れ刃部14の内側に位置する部分、コーナ刃部21の内側に位置する部分、第1副切れ刃部31の内側に位置する部分は、傾斜面部26とランド部25との接続部分から第2面12の内側へ向かうにしたがい、第2軸C2方向のインサート内側へ向けて傾斜する。
【0088】
傾斜面部26のうち、第2面12において主切れ刃部14の内側に位置する部分は、第2軸C2に垂直な不図示の仮想平面に対する傾斜角が、ランド部25のうち、第2面12において主切れ刃部14の内側に位置する部分の前記傾斜角よりも大きい。傾斜面部26のうち、第2面12においてコーナ刃部21の内側に位置する部分は、第2軸C2に垂直な不図示の仮想平面に対する傾斜角が、ランド部25のうち、第2面12においてコーナ刃部21の内側に位置する部分の前記傾斜角よりも大きい。傾斜面部26のうち、第2面12において第1副切れ刃部31の内側に位置する部分は、第2軸C2に垂直な不図示の仮想平面に対する傾斜角が、ランド部25のうち、第2面12において第1副切れ刃部31の内側に位置する部分の前記傾斜角よりも大きい。
【0089】
凸部33は、第2面12から第2軸C2方向に突出する。本実施形態の例では、凸部33が、第2面12において最も第2軸C2方向のインサート内側に位置する部分(後述する平面部27)から、第2軸C2方向に突出する。
【0090】
図8に示すように、第2軸C2方向から見て、貫通孔16と凸部33とは、重なって配置される。第2軸C2方向から見て、凸部33は、少なくとも大径部17に重なる部分を有する。凸部33は、大径部17のうち少なくとも内側大径部17bに重なる部分を有する。本実施形態の例では、第2軸C2方向から見て、凸部33が、大径部17、小径部18およびテーパ部19と重なる。
【0091】
第2軸C2方向から見て、凸部33は、第3軸C3方向において貫通孔16の内側に配置される。すなわち、第2軸C2方向から見て、凸部33の第3軸C3方向の両端は、貫通孔16の第3軸C3方向の両端よりも、第3軸C3方向のインサート内側に位置する。第2軸C2方向から見て、凸部33は、貫通孔16内に配置される。凸部33の第3軸C3方向の長さ(幅)は、貫通孔16の第3軸C3方向の長さよりも小さい。
【0092】
凸部33は、第2面12上を第1軸C1方向に延びる。凸部33の第1軸C1方向の長さは、凸部33の第3軸C3方向の長さよりも大きい。凸部33の第1軸C1方向の端部は、ランド部25と繋がる。本実施形態の例では、凸部33の第1軸C1方向の両端部が、一対のランド部25と繋がる。凸部33の第1軸C1方向の端部は、傾斜面部26と繋がる。本実施形態の例では、凸部33の第1軸C1方向の両端部が、それぞれ傾斜面部26と繋がる。
【0093】
図8に示すように、第2軸C2方向から見て、凸部33は、第1軸C1に重なる部分において、第2面12からの突出量が最大となる。第2軸C2方向から見て、凸部33のうち第1軸C1上に位置する部分は、後述する平面部27から第2軸C2方向へ向けて最も突出する。
【0094】
第2軸C2方向から見て、凸部33は、第1軸C1に重なる部分から第3軸C3方向に離れるにしたがい、第2面12からの突出量が小さくなる(
図12を参照)。すなわち、第2軸C2方向から見て、凸部33は、第1軸C1上から第3軸C3方向に向かうにしたがい、第2軸C2方向のインサート内側へ向けて傾斜して延びる。
【0095】
図12に示すように、第1軸C1方向に垂直な断面において、貫通孔16は円形状であり、凸部33の外面は、貫通孔16の中心軸である第1軸C1を中心とする円弧状である。つまりこの断面視で、凸部33は、第2軸C2方向のインサート外側へ向けて凸となる円弧状である。
【0096】
凸部33は、外側部分34と、内側部分35と、を有する。
外側部分34は、凸部33の第1軸C1方向の両端部に一対設けられる。外側部分34は、凸部33の第1軸C1方向の端部に位置する。第2軸C2方向から見て、外側部分34は、大径部17およびテーパ部19と重なって配置される。凸部33のうち外側部分34は、第2軸C2方向から見て、少なくとも大径部17に重なる部分である。
【0097】
外側部分34は、ランド部25と繋がる。
図11に示すように、外側部分34は、外側部分34とランド部25との接続部分から第1軸C1方向に離れるにしたがい、第2軸C2方向のインサート内側に向けて傾斜して延びる。外側部分34の第2面12(の平面部27)からの第2軸C2方向へ向けた突出量は、外側部分34とランド部25との接続部分において最も大きく、この接続部分から第1軸C1方向のインサート内側に向かうにしたがい小さくなる。
【0098】
第2軸C2方向から見て、外側部分34は、第1軸C1と重なる部分から第3軸C3方向に離れるにしたがい、第2面12からの突出量が小さくなる(
図12を参照)。すなわち、第2軸C2方向から見て、外側部分34は、第1軸C1上から第3軸C3方向に向かうにしたがい、第2軸C2方向のインサート内側へ向けて傾斜して延びる。
【0099】
内側部分35は、凸部33の第1軸C1方向の両端部同士の間に位置する。内側部分35は、一対の外側部分34同士を繋ぐ。第2軸C2方向から見て、内側部分35は、小径部18およびテーパ部19と重なって配置される。凸部33のうち内側部分35は、第2軸C2方向から見て、少なくとも小径部18に重なる部分である。つまり、第2軸C2方向から見て、凸部33は、小径部18に重なる部分を有する。
【0100】
内側部分35の第2面12(の平面部27)からの第2軸C2方向へ向けた突出量は、第1軸C1方向において一定である。
図11に示すように、凸部33のうち、外側部分34の第2軸C2方向へ向けた第2面12からの突出量は、内側部分35の第2軸C2方向へ向けた第2面12からの突出量よりも大きい。
【0101】
図8に示すように、内側部分35は、第2面12上を第1軸C1方向に延びる。内側部分35の第3軸C3方向の長さ(幅)は、第1軸C1方向において一定である。凸部33のうち、外側部分34の第3軸C3方向の長さは、内側部分35の第3軸C3方向の長さよりも大きい。
【0102】
第2軸C2方向から見て、内側部分35は、第1軸C1と重なる部分から第3軸C3方向に離れるにしたがい、第2面12からの突出量が小さくなる(
図12を参照)。すなわち、第2軸C2方向から見て、内側部分35は、第1軸C1上から第3軸C3方向に向かうにしたがい、第2軸C2方向のインサート内側へ向けて傾斜して延びる。
【0103】
より詳しくは、
図8に示すように、第2軸C2方向から見て、凸部33は、大径部17に重なる部分33aと、小径部18に重なる部分33bと、テーパ部19に重なる部分33cと、を有する。大径部17に重なる部分33aは、外側部分34に配置される。小径部18に重なる部分33bは、内側部分35に配置される。テーパ部19に重なる部分33cは、外側部分34に位置する部分と、内側部分35に位置する部分と、を含む。つまりテーパ部19に重なる部分33cは、外側部分34と内側部分35とにわたって配置される。
【0104】
図11に示すように、凸部33のうち、大径部17に重なる部分33aの第2軸C2方向へ向けた第2面12からの突出量は、小径部18に重なる部分33bの第2軸C2方向へ向けた第2面12からの突出量、および、テーパ部19に重なる部分33cの第2軸C2方向へ向けた第2面12からの突出量よりも大きい。
第2軸C2方向から見て、凸部33のうち、テーパ部19に重なる部分33cの第3軸C3方向の長さは、小径部18に重なる部分33bの第3軸C3方向の長さよりも大きい。
【0105】
平面部27は、第2面12において凸部33の第3軸C3方向の両側に位置する。本実施形態の例では、平面部27が、第2面12において凸部33の両側に一対設けられる。平面部27は、略四角形状である。本実施形態の例では、平面部27が、第2軸C2に垂直な方向に広がる。
【0106】
〔第3面〕
図7に示すように、第3面13は、第1面11および第2面12に接続する。第3面13は、一対の第1面11および一対の第2面12に接続する。第3面13は、第1面11の外周縁をなす4辺(一対の長辺および短辺)のうち、短辺に接続する。第3面13は、第2面12の外周縁をなす4辺のうち、短辺に接続する。第3面13は、四角形状である。
図10に示すように、第3軸C3方向から見て、第3面13は平行四辺形状である。第3面13は、第2軸C2方向の長さが第1軸C1方向の長さよりも大きい。第3面13は、切れ刃5の逃げ面のうち、副切れ刃部15の逃げ面部分(後述する副逃げ面部36)を有する。
【0107】
第3面13は、副逃げ面部36を有する。副逃げ面部36は、1つの第3面13に一対設けられる。一対の副逃げ面部36同士は、第2軸C2方向に対向する。一対の副逃げ面部36同士は、第2軸C2方向に繋がる。
【0108】
副逃げ面部36は、第1副逃げ面部41と、第2副逃げ面部42と、を有する。
第1副逃げ面部41は、第1副切れ刃部31に接続する。第1副逃げ面部41は、第3面13において第1副切れ刃部31の内側に位置する。第1副逃げ面部41は、凸曲面状である。なお、第1副逃げ面部41は、平面状でもよい。第1副逃げ面部41は、第1副切れ刃部31から第2軸C2方向へ延びる。第1副逃げ面部41の第1軸C1方向の長さ(幅)は、第2軸C2方向のインサート内側へ向かうにしたがい小さくなる。
【0109】
第2副逃げ面部42は、第2副切れ刃部32に接続する。第2副逃げ面部42は、第3面13において第2副切れ刃部32の内側に位置する。第2副逃げ面部42は、平面状である。第2副逃げ面部42は、第2副切れ刃部32から第2軸C2方向へ延びる。第2副逃げ面部42の第1軸C1方向の長さ(幅)は、第2副切れ刃部32から第2軸C2方向に離れるにしたがい小さくなる。
【0110】
副逃げ面部36の第1副逃げ面部41と第2副逃げ面部42とは、第1軸C1方向に接続する。
図8に示すように、第2副逃げ面部42は、第2副逃げ面部42と第1副逃げ面部41との接続部分から第1軸C1方向(のインサート外側)に向かうにしたがい、第3軸C3方向のインサート内側に向けて傾斜する。すなわち、
図8に示されるように、第2軸C2方向から見て、第2副逃げ面部42は、第3軸C3から第1軸C1方向に離れるにしたがい、第3軸C3方向のインサート内側に向けて延びる。
【0111】
図10に示すように、第2副逃げ面部42の第2軸C2方向の長さは、第1副逃げ面部41の第2軸C2方向の長さよりも大きい。第2副逃げ面部42の第1軸C1方向の長さ(幅)は、第1副逃げ面部41の第1軸C1方向の長さよりも大きい。
【0112】
〔インサート取付座(説明2)〕
図4〜
図6に示すように、インサート取付座4は、第1壁部51と、第2壁部52と、第3壁部53と、ネジ穴54と、を有する。
第1壁部51は、インサート取付座4において工具径方向の外側を向く。第1壁部51は、平面状である。第1壁部51は、略四角形状である。インサート取付座4に切削インサート3が取り付けられたときに、第1壁部51は、第1面11に接触する。第1壁部51は、第1面11の径方向着座面部24に接触する。
【0113】
第2壁部52は、インサート取付座4において工具回転方向Tを向く。インサート取付座4に切削インサート3が取り付けられたときに、第2壁部52は、第2面12に接触する。
【0114】
第2壁部52は、支持部52aと、凹部52bと、を有する。
支持部52aは、平面状である。支持部52aは、略四角形状または略五角形状である。支持部52aは、第2壁部52において工具軸線O方向に互いに間隔をあけて、一対設けられる。支持部52aは、第2面12の凸部33以外の部分を支持する。本実施形態の例では、支持部52aが、平面部27を支持する。第2壁部52の一対の支持部52aは、第2面12の一対の平面部27に接触する。
【0115】
凹部52bは、第2壁部52から工具回転方向Tとは反対方向に向けて窪む。凹部52bは、支持部52aよりも反工具回転方向に向けて窪む。凹部52bは、工具径方向に延びる溝状である。凹部52bには、凸部33が挿入される。凹部52bには、凸部33が配置される。凹部52bの内面と凸部33の外面とは、隙間をあけて対向する。
【0116】
第3壁部53は、インサート取付座4において工具先端側を向く。第3壁部53は、平面状である。第3壁部53は、略五角形状である。インサート取付座4に切削インサート3が取り付けられたときに、第3壁部53は、第3面13に接触する。第3壁部53は、第3面13の第2副逃げ面部42に接触する。第3壁部53は、第3面13の一対の第2副逃げ面部42のうち、工具径方向の外側に位置する第2副逃げ面部42に接触する。
【0117】
ネジ穴54は、第1壁部51に開口する。ネジ穴54は、第1壁部51から工具径方向の内側に向けて延びる。ネジ穴54の内周面には、雌ネジ部が設けられる。
【0118】
〔ネジ部材〕
図1および
図2に示すように、ネジ部材20は、インサート取付座4に切削インサート3を固定する。ネジ部材20は、貫通孔16に挿入されて、インサート取付座4にねじ込まれる。
【0119】
ネジ部材20は、ネジ軸部と、ネジ頭部と、を有する。
ネジ軸部は、貫通孔16内に挿入される。ネジ軸部の外周面には、雄ネジ部が設けられる。ネジ軸部は、ネジ穴54にねじ込まれる。
ネジ頭部の直径(外径)は、ネジ軸部の直径よりも大きい。ネジ頭部の少なくとも一部は、貫通孔16内に挿入される。ネジ頭部は、貫通孔16の内周面に接触する。特に図示しないが、ネジ頭部は、テーパ部19に接触する。
【0120】
〔切削インサートのインサート取付座への装着姿勢〕
切削インサート3がインサート取付座4に装着されたときに、特に図示しないが、切削インサート3の第2軸C2は、工具回転方向Tに向かうにしたがい工具先端側へ向けて傾斜して延びる。第3軸C3は、工具先端側へ向かうにしたがい工具回転方向Tとは反対方向へ向けて傾斜して延びる。
【0121】
〔本実施形態による作用効果〕
以上説明した本実施形態の切削インサート3およびこれを用いた刃先交換式切削工具1によれば、下記の作用効果が得られる。
この切削インサート3は、切れ刃5のすくい面が第2面12に形成され、ネジ部材20が挿入される貫通孔16が一対の第1面11に開口する、いわゆる縦刃タイプの切削インサートである。従来の縦刃タイプの切削インサートでは、貫通孔16と第2面12との間に肉厚が薄くなる部分が生じやすいが、本実施形態では、第2面12に凸部33を設けたことにより、切削インサート3の貫通孔16周りに肉厚の薄い部分が生じることを抑制できる。したがって、切削インサート3の割損を抑えられる。
【0122】
また本実施形態では、凸部33が、第2面12上を貫通孔16と同じ第1軸C1方向に延びるので、切削インサート3の貫通孔16周りに肉厚の薄い部分が生じることをより抑制できる。
【0123】
また、
図8に示すように、第2軸C2方向から見て、凸部33が、第3軸C3方向において貫通孔16の内側に配置される。したがって、切削インサート3の貫通孔16周りに肉厚の薄い部分が生じることを抑制しつつ、凸部33が第3軸C3方向に必要以上に大きく形成されることを抑えて、切削インサート3の材料費を抑えられる。
【0124】
また、
図12に示すように貫通孔16の断面が円形状であり、凸部33は、第2軸C2方向から見て第1軸C1に重なる部分において、第2面12からの突出量が最大となる。すなわち、貫通孔16の内周面のうち、第2面12に対して第2軸C2方向に最も接近する部分において、凸部33の突出量が最大となる。したがって、切削インサート3の割損をより抑制できる。
【0125】
また本実施形態では、凸部33が、第2軸C2方向から見て、第1軸C1に重なる部分から第3軸C3方向に離れるにしたがい、第2面12からの突出量が小さくなる。このため、切削インサート3の貫通孔16周りに肉厚の薄い部分が生じることを抑制しつつ、貫通孔16周りにおける肉厚の変化量を小さく抑えることができる。したがって、切削インサート3の貫通孔16周りの剛性を均等化できる。
【0126】
また本実施形態では、第2軸C2方向から見て、凸部33が、少なくとも大径部17に重なる部分を有する。すなわち、第2軸C2方向から見て、貫通孔16のうち少なくとも大径部17と重なる位置に、凸部33が配置される。したがって、切削インサート3の割損をより抑えられる。
【0127】
従来の切削インサートにおいて、貫通孔16の内周面と第2面12との間の肉厚は、第2軸C2方向から見て、小径部18に重なる部分33bおよびテーパ部19に重なる部分33cよりも、大径部17に重なる部分33aで薄くなりやすい。これに対し、本実施形態では、凸部33のうち、大径部17に重なる部分33a(外側部分34)の第2面12からの突出量が、小径部18に重なる部分33b(内側部分35)の第2面12からの突出量およびテーパ部19に重なる部分33cの第2面12からの突出量よりも大きい。つまり、凸部33の突出量が、小径部18に重なる部分33bおよびテーパ部19に重なる部分33cよりも大径部17に重なる部分33aにおいて大きいので、貫通孔16周りの肉厚を均等化でき、切削インサート3の割損をより抑制できる。
【0128】
また本実施形態では、凸部33のうち、テーパ部19に重なる部分33cの第3軸C3方向の長さが、小径部18に重なる部分33bの第3軸C3方向の長さよりも大きい。すなわち、凸部33の第3軸C3方向の長さ(幅)が、小径部18に重なる部分33bよりもテーパ部19に重なる部分33cにおいて大きいので、小径部18に重なる部分33bよりも切れ刃5(の特に主切れ刃部14およびコーナ刃部21)に近く、大きな切削負荷が作用しやすいテーパ部19に重なる部分33cにおいて、インサート本体10の剛性を確保できる。
【0129】
また本実施形態では、第2面12が、凸部33の第3軸C3方向の両側に位置する一対の平面部27を有する。そして、平面部27を、工具本体2のインサート取付座4に着座させることができる。一対の平面部27のうち、切削加工に用いられる切れ刃5に対して、凸部33よりも離れて配置される一方の平面部27(一対の平面部27のうち、工具後端側に位置する平面部27)には、凸部33が設けられることによって切屑が接触しにくくされている。すなわち、一対の平面部27のうち、切れ刃5から他方の平面部27(一対の平面部27のうち、工具先端側に位置する平面部27)上を流れる切屑が凸部33に当たることによって、凸部33が切屑を第2面12から離れる向きに排出させるので、切屑が一方の平面部27に接触することが抑えられる。したがって、一方の平面部27の摩耗を抑制でき、平面部27がインサート取付座4に安定して支持される。これにより、インサート取付座4に対する切削インサート3の取り付け姿勢を安定させることができる。
【0130】
また
図12に示すように、第1軸C1方向に垂直な断面において、貫通孔16は円形状であり、凸部33の外面は、第1軸C1を中心とする円弧状である。したがって、貫通孔16の内周面と凸部33の外面との間の肉厚を一定にでき、切削インサート3の割損をより抑制できる。
【0131】
また本実施形態では、凸部33の第1軸C1方向の端部が、ランド部25と繋がるので、凸部33の剛性を高めることができ、凸部33による上述の作用効果がより高められる。また、凸部33の第1軸C1方向の端部が、傾斜面部26と繋がるので、凸部33の剛性がより高められる。
【0132】
また本実施形態では、インサート本体10が、表裏反転対称形状である。すなわち、切削インサート3は、縦刃両面タイプである。したがって、縦刃片面タイプの切削インサートに比べて、切れ刃5の数が倍増し工具寿命が延長する。
【0133】
また本実施形態では、インサート取付座4の工具回転方向Tを向く第2壁部52の支持部52aに、切削インサート3の第2面12の凸部33以外の部分(本実施形態においては平面部27)が支持される。また、インサート取付座4の第2壁部52の凹部52bには、切削インサート3の第2面12の凸部33が挿入される。したがって、切削インサート3の凸部33により上述の作用効果が得られつつも、凸部33を設けたことによって第2面12がインサート取付座4に対してぐらつくような不具合が抑えられる。そして、インサート取付座4に対する切削インサート3の取り付け姿勢が安定する。
【0134】
〔本発明に含まれるその他の構成〕
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。
【0135】
前述の実施形態では、凸部33が第2面12から第2軸C2方向に突出する突出量が、第1軸C1方向において変化する例を挙げたが、これに限定されない。凸部33が第2面12から突出する突出量は、第1軸C1方向において一定でもよい。
【0136】
前述の実施形態では、凸部33が第2面12から第2軸C2方向に突出する突出量が、第3軸C3方向において変化する例を挙げたが、これに限定されない。凸部33が第2面12から突出する突出量は、第3軸C3方向において一定でもよい。
【0137】
前述の実施形態では、第2軸C2方向から見て、凸部33の第3軸C3方向の長さ(幅)が、第1軸C1方向において変化する例を挙げたが、これに限定されない。凸部33の第3軸C3方向の長さは、第1軸C1方向において一定でもよい。
【0138】
第2軸C2方向から見て、凸部33は、第3軸C3方向において貫通孔16の外側に位置する部分を有していてもよい。
前述の実施形態では、平面部27が、第2軸C2に垂直な方向に広がる平面状である例を挙げたが、これに限定されない。平面部27は、第2軸C2に垂直な方向(第2軸C2に垂直な仮想平面)に対して傾斜して広がる平面状であってもよい。
【0139】
図13および
図14に示す切削インサート3は、前述の実施形態で説明した切削インサート3の第1変形例である。
この第1変形例では、第2軸C2方向から見て、凸部33の第2面12(の平面部27)からの第2軸C2方向へ向けた突出量が、第1軸C1方向のインサート内側に向かうにしたがい小さくなる。具体的には、凸部33のうち、大径部17に重なる部分33aの第2面12からの突出量が、第1軸C1方向のインサート内側に向かうにしたがい小さくなる。また、テーパ部19に重なる部分33cの第2面12からの突出量が、第1軸C1方向のインサート内側に向かうにしたがい小さくなる。また、小径部18に重なる部分33bの第2面12からの突出量が、第1軸C1方向のインサート内側に向かうにしたがい小さくなる。
【0140】
また、第2軸C2方向から見て、凸部33のうち、小径部18に重なる部分33bの第3軸C3方向の長さ(幅)が、小径部18に重なる部分33bとテーパ部19に重なる部分33cとの接続部分から第1軸C1方向のインサート内側に向かうにしたがい、小さくなる。
また、第1軸C1方向に垂直な断面視において、凸部33の外面は、第2軸C2方向のインサート外側に向けて凸となるV字状である。
【0141】
この第1変形例においても、前述の実施形態と同様の作用効果が得られる。
また、凸部33の第2面12からの突出量が、第1軸C1方向のインサート内側に向かうにしたがい小さくなる。すなわち、凸部33の突出量が、切れ刃5(の特に主切れ刃部14およびコーナ刃部21)から離れるにしたがい小さくなる。したがって、貫通孔16周りのうち、切れ刃5からの切削負荷が作用しやすい部分においては、凸部33の突出量を大きくして剛性を確保し、切れ刃5からの切削負荷が作用しにくい部分においては、凸部33の突出量を小さくして、切削インサート3の材料費を抑えることができる。
また、凸部33の小径部18に重なる部分33bの第3軸C3方向の幅が、第1軸C1方向のインサート内側に向かうにしたがい小さくなる。すなわち、小径部18に重なる部分33bの幅が、切れ刃5から離れるにしたがい小さくなる。したがって、貫通孔16周りのうち、切れ刃5からの切削負荷が作用しやすい部分においては、小径部18に重なる部分33bの幅を大きくして剛性を確保し、切れ刃5からの切削負荷が作用しにくい部分においては、小径部18に重なる部分33bの幅を小さくして、切削インサート3の材料費を抑えることができる。
【0142】
図15および
図16に示す切削インサート3は、前述の実施形態で説明した切削インサート3の第2変形例である。
この第2変形例では、第2面12において凸部33が、第1軸C1方向に互いに間隔をあけて一対設けられる。凸部33の第2面12からの第2軸C2方向へ向けた突出量は、凸部33とランド部25との接続部分から第1軸C1方向に離れるにしたがい、小さくなる。つまり、凸部33の第2面12からの突出量が、第1軸C1方向のインサート内側に向かうにしたがい小さくなる。
【0143】
また、第2軸C2方向から見て、凸部33のうち、小径部18に重なる部分33bの第3軸C3方向の長さ(幅)が、小径部18に重なる部分33bとテーパ部19に重なる部分33cとの接続部分から第1軸C1方向のインサート内側に向かうにしたがい小さくなる。
【0144】
また、第2面12は、一対の凸部33同士の間に位置する平面部連結部28を有する。平面部連結部28は、第2面12において一対の平面部27同士の間に配置される。平面部連結部28は、一対の平面部27同士を繋ぐ。平面部連結部28は、第2軸C2に垂直な方向に広がる平面状である。
この第2変形例においても、前述の実施形態および第1変形例と同様の作用効果が得られる。
また、凸部33は、第2面12において3つ以上設けられてもよい。
また、凸部33は、小径部18に重なる部分33bを有していなくてもよい。この場合、凸部33は、大径部17に重なる部分33aと、テーパ部19に重なる部分33cと、を有する。
【0145】
前述の実施形態では、インサート本体10が四角形板状であるとしたが、これに限定されない。インサート本体10は、多角形板状であればよいことから、例えば、三角形板状、五角形板状、六角形板状および七角形板状等であってもよい。これにともない、第1面11の形状は、三角形面状、五角形面状、六角形面状および七角形面状等でもよい。またインサート取付座4の形状は、三角形穴状、五角形穴状、六角形穴状および七角形穴状等でもよい。
【0146】
前述の実施形態では、インサート本体10が、表裏反転対称形状であるとしたが、これに限定されない。つまり切削インサート3は、縦刃両面タイプに限らず、縦刃片面タイプでもよい。
【0147】
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例およびなお書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【解決手段】多角形板状のインサート本体10と、多角形面状の一対の第1面11と、インサート本体10を貫通して一対の第1面11に開口し、第1軸C1方向に延びる貫通孔16と、一対の第1面11同士を接続するインサート本体10の周面に配置され、第1軸C1方向に直交する第2軸C2方向を向く第2面12と、周面に配置されて一対の第1面11および第2面12に接続し、第1軸C1方向に直交しかつ第2軸C2方向とは異なる第3軸C3方向を向く第3面13と、第1面11と第2面12との交差稜線に位置する部分、および、第2面12と第3面13との交差稜線に位置する部分を有する切れ刃5と、を備え、第2面12は、第2面12から第2軸C2方向に突出する凸部33を有し、第2軸C2方向から見て、貫通孔16と凸部33とが重なって配置される。