(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0016】
<外観構成>
図1及び
図2を用いて、本発明の一実施の形態であるプリンタ1の外観構成を説明する。以下では、
図1中左下方向を前方、右上方向を後方、左上方向を左方、右下方向を右方として説明する。なお、上記の定義に基づく上下方向が第1方向に相当し、そのうち上方が第1方向の一方側、下方が第1方向の他方側に相当している。また上下方向に直交する前後方向が第2方向に相当し、そのうち前方が第2方向の一方側、後方が第2方向の他方側に相当している。また上下方向及び前後方向に直交する左右方向が第3方向に相当している。
【0017】
プリンタ1は、例えばPC端末や携帯電話等の外部機器2(後述の
図4参照)より有線通信(あるいは無線通信若しくは赤外線通信)を介して受信した印刷データを所定の被印刷用紙S(後述の
図3(a)参照)に印刷する。このプリンタ1は、例えば充電式電池を内蔵したバッテリユニット10(後述の
図4参照)を電源として駆動可能であり、様々な場所に持ち運んで使用したり、携帯して使用することができる。
【0018】
プリンタ1は、例えば樹脂材料で構成された、装置外郭を構成する略直方体形状のハウジング(筐体に相当)100を備えている。このハウジング100は、プリンタ1の外郭上部を構成するトップカバー101(第1カバーに相当)と、外郭下部を構成するアンダーカバー102(第2カバーに相当)と、トップカバー101の上面前方側に開閉可能に設けられたカバー部材103(開閉カバーに相当)と、を備えている。印刷時には、トップカバー101とカバー部材103との間に(言い換えれば筐体100の上面に)左右方向に形成された挿入口104(開口部に相当)に上記被印刷用紙Sが挿入される。挿入された被印刷用紙Sは、挿入口104の下方に設けられたガイド部材120により、後述するプラテンローラ111とサーマルラインヘッド112との対向部分P(圧接部:後述の
図3参照)に案内され、印刷完了後にカバー部材103とアンダーカバー102との間(言い換えれば筐体100の前方側側面)に左右方向に沿って開口した排出口107より排出される。
【0019】
<内部構造>
次に、
図3及び上記
図2を用いて、プリンタ1の内部構造を説明する。
【0020】
プリンタ1のハウジング100内には、前述したプラテンローラ111とサーマルラインヘッド112とが設けられている。プラテンローラ111は、ハウジング100の内部に設けられた一対のサイドシャーシ部材130L,130R(
図2参照)により、サーマルラインヘッド112と上下方向に対向しつつ左右方向に延設され、またカバー部材103により覆われている。また、プラテンローラ111は、駆動モータ11により回転駆動されることで被印刷用紙Sを搬送する。サーマルラインヘッド112は、後方側端部に軸部材113を備えた放熱板114上に設けられており、この放熱板114は上記サイドシャーシ部材130L,130Rにより上記軸部材113を中心に回動可能に支持されている。また、アンダーカバー102の内表面に設けられたメインシャーシ部材150には、上記サーマルラインヘッド112を支持する上記放熱板114をプラテンローラ111側に回動付勢する複数のコイルバネ115(
図3参照)が設けられている。これにより、サーマルラインヘッド112は上記プラテンローラ111に圧接可能となっており、印刷時にはプラテンローラ111に所定の圧接力で接触し、その間に挿通された被印刷用紙Sに所望の印刷を行う。すなわち、印刷時においては、カバー部材103を閉じた状態で挿入口104に被印刷用紙Sを挿入することで、当該被印刷用紙Sが上記ガイド部材120に案内されつつプラテンローラ111により搬送され、サーマルラインヘッド112によって所望の印刷が行われる。
【0021】
ハウジング100の後方側には、上記バッテリユニット10若しくはこのバッテリユニット10とほぼ同じ形状・大きさの取付アダプタDA(詳細は後述)を選択的に着脱可能な着脱凹部410が設けられている(なお
図2及び
図3(a)(b)では取付アダプタDAの装着状態を示している)。バッテリユニット10も取付アダプタDAも装着されない状態では、上記着脱凹部410がハウジング100の背面側に露出する(後述の
図5(a)及び
図5(b)も参照)。
【0022】
<ガイド部材の固定構造>
次に、上記ガイド部材120の固定構造について説明する。なお、以下の説明において前後左右上下の各方向をいうときは、ガイド部材120等の各部品がプリンタ1に取り付けられた状態での各方向に対応している。
【0023】
図2に示すように、プリンタ1は、上記ハウジング100を構成するトップカバー101、アンダーカバー102、及びカバー部材103と、シャーシ組立体50とを組み付けることによって概略組み立てられる。このシャーシ組立体50は、アンダーカバー102の内表面に設けられた、シャーシ組立体50の底部を構成するメインシャーシ部材150と、このメインシャーシ部材150の長手方向両側端部より立設される一対の上記サイドシャーシ部材130L,130Rとを備えている。サイドシャーシ部材130L,130Rは、軸孔131にプラテンローラ111の軸部材111aを挿通することにより、プラテンローラ111の左右方向両端部を回転可能に支持している。またサイドシャーシ部材130L,130Rは、サーマルラインヘッド112を備えた放熱板114を、前述した軸部材113を介して回動可能に支持している。
【0024】
左側のサイドシャーシ部材130Lには、プラテンローラ111を駆動する上記駆動モータ11と、この駆動モータ11の駆動力をプラテンローラ111の上記軸部材111aに伝達する、複数のギアからなるギア機構132が設けられている。
【0025】
また、サイドシャーシ部材130L,130Rの上部には、ビーム部材140が架け渡され、ネジにより固定されている。そして、挿入口104から挿入された被印刷用紙Sをプラテンローラ111とサーマルラインヘッド112との対向部分Pに案内する前述のガイド部材120は、ハウジング100を構成するトップカバー101、アンダーカバー102、及びカバー部材103とは分離された別体として構成されており、上記ビーム部材140に固定されることによって、サイドシャーシ部材130L,130Rに設けられている。なお、ビーム部材140及びサイドシャーシ部材130L,130Rが各請求項記載のフレームに相当している。
【0026】
なお、以上説明した構成のうち、筐体100とその内部の各機器・構造(言い替えれば、バッテリユニット10又は取付アダプタDA以外の部分)とが各請求項記載のプリンタ本体に相当している。そして、このプリンタ本体と上記バッテリユニット10(又は取付アダプタDA)とを備えた上記プリンタ1が、各請求項記載の携帯型プリンタ、可搬型プリンタ、印刷装置に相当している。
【0027】
<制御系>
次に、
図4を用いて、プリンタ1の制御系について説明する。
【0028】
プリンタ1は、CPU12(制御部に相当)を有している。このCPU12は、SDRAM13の一時記憶機能を利用しつつROM14に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、それによってプリンタ1全体の制御を行う。
【0029】
CPU12は、上記バッテリユニット10の装着時にバッテリユニット10に接続され、プリンタ1の電源のオン・オフ処理を行う電源回路15と、プラテンローラ111を駆動する上記駆動モータ11の駆動制御を行うモータ駆動回路16と、サーマルラインヘッド112の駆動制御を行うサーマルラインヘッド制御回路17とに接続されている。なお、詳細な説明を省略するが、プリンタ1には、外部電源装置(ACアダプタを備える)のDCプラグ(図示せず)を接続可能なDCジャック25(
図1参照)が設けられている。このDCジャック25は上記電源回路15に接続されており、上記DCプラグが当該DCジャック25に装着されることで、上記バッテリユニット10からの電力供給に代えて外部電源装置からプリンタ1(詳細には前述の電源回路15、モータ駆動回路16、サーマルヘッド制御回路17等)の電力供給が可能となっている。
【0030】
また、CPU12は、用紙送り操作を行うためのフィードキー40(
図1も参照)と、電源のオン・オフ操作を行うための電源キー30(
図1も参照)とに接続されている。そして、CPU12は、電源キー30又はフィードキー40が押し下げられた場合に、当該押し下げられたキーに対応した処理を実行する。すなわち、フィードキー40が押し下げられると、CPU12は、上記モータ駆動回路16に制御信号を出力し、駆動モータ11を駆動させてプラテンローラ111を回転させ、被印刷用紙Sを所定量搬送するフィード処理を行う。また、プリンタ1の電源オフ状態で電源キー30が押し下げられると、CPU12は、電源回路15に制御信号を出力して電源のオン処理を行い、電源オン状態で電源キー30が押し下げられると、電源回路15に制御信号を出力して電源のオフ処理を行う。
【0031】
さらに、CPU12は、USBインターフェース駆動回路21と、無線通信部22と、赤外線通信部23とに接続されている。USBインターフェース駆動回路21は、USB端子24(
図1も参照)に接続されたUSBケーブル(図示省略)を介して上記外部機器2との間で行われる通信の制御を行う。また無線通信部22は、上記外部機器2との間で行われる赤外線以外の電波による無線通信の制御を行う。また赤外線通信部23は、上記外部機器2との間で行われる赤外線通信の制御を行う。
【0032】
上記構成において、プリンタ1で印刷を行う際には、操作者(ユーザ)は、PC端末や携帯電話等の外部機器2を用いて、被印刷用紙Sに印刷する印刷データの入力を行うとともに、印刷開始指示入力を行う。これにより、外部機器2からプリンタ1に、上記USBケーブル(又は無線通信若しくは赤外線通信)を介して、印刷データが送信され、プリンタ1において印刷データに基づいた印刷が行われる。
【0033】
<第1の特徴〜取付アダプタ>
上記の基本構成及び動作のプリンタ1において、本実施形態の特徴の1つは、(上記外部電源装置による電力供給時に)バッテリユニット10に代えて取付アダプタDAを着脱凹部410に装着することで、プリンタ1を適宜の取付対象DB(例えば車載側固定板:ダッシュボード等)に容易に取り付け可能とする点にある。以下、その詳細を順を追って説明する。
【0034】
<着脱凹部への装着・離脱>
図5(a)及び
図5(b)に示すように、プリンタ1のハウジング100において、アンダーカバー102の後縁部からトップカバー101の後方側面にかけて上記着脱凹部410が設けられている。この着脱凹部410に対し、上記バッテリユニット10及び取付アダプタDAのいずれか一方を選択的に装着することができる。
図5(a)は着脱凹部410に対し取付アダプタDAが取り付けられる場合を表しており、
図5(b)は着脱凹部410に対しバッテリユニット10が取り付けられる場合を表している。
【0035】
アンダーカバー102には、上記着脱凹部410に装着されたバッテリユニット10(又は取付アダプタDA)を係止するための、スライド式フック400が左右にそれぞれ設けられている。バッテリユニット10(又は取付アダプタDA)を着脱凹部410に装着する際には、バッテリユニット10(又は取付アダプタDA)を着脱凹部410に押し込むことで、スライド式フック400の基部に設けられたばね力に抗してそれらスライド式フック400が左右に互いに離間する方向にスライドする。その後、バッテリユニット10(又は取付アダプタDA)が着脱凹部410に完全に収納されると上記スライド状態のスライド式フック400が左右に互いに近接する方向にスライドし、係止状態となる。一方、この状態のスライド式フック400を互いに離間する方向にスライドさせることで、着脱凹部410でのバッテリユニット10(又は取付アダプタDA)の上記係止が解除され、着脱凹部410から取出し可能となる。
【0036】
このとき、
図5(b)に示すように、上記バッテリユニット10の後部側側面の左方側には、第1コネクタ320Aが配設されている。これに対応して、上記着脱凹部410の後方に向く内壁面には、第2コネクタ320Bが配設されている。そして着脱凹部410にバッテリユニット10が装着されると、着脱凹部410の上記第2コネクタ320Bと、バッテリユニット10の第1コネクタ320Aとが導通して、プリンタ1(詳細には前述の電源回路15、モータ駆動回路16、サーマルヘッド制御回路17等。前述の
図4参照)にバッテリユニット10からの電力が供給される。
【0037】
一方、取付アダプタDAは、上記バッテリユニット10と略同一の外形状を有している。このとき、
図5(a)に示すように、上記取付アダプタDAの後部側側面の左方側には、(上記第1コネクタ320Aに代えて)略矩形開口状のコネクタ収納部310が設けられている。そして、着脱凹部410に取付アダプタDAが装着されると、着脱凹部410の第2コネクタ320Bは、取付アダプタDAのコネクタ収納部310内に収納される。この着脱凹部410への取付アダプタDAの装着時には、
図6に示すように、筐体100の取付対象DB(後述の
図7参照)側への取付面(言い替えればアンダーカバー102の底面)と、取付アダプタDAの取付対象DB側への取付面360(言い替えれば底面)とが、略同一平面内に位置する。この結果、この取り付けアダプタDAの装着時においても、(バッテリユニット10の装着時と同様)プリンタ1全体で略直方体の外形状を有する。
【0038】
ここで、上記取付アダプタDAの上記取付面360には、
図5(a)及び
図6に示すように、左右一対の挿通孔330が形成されている。これら挿通孔330に対応して、着脱凹部410の下方に向く内壁(言い替えればトップカバー101の上面内壁)には、上記固定ボルト340を締結するための左右一対のねじ穴状の締結部350が設けられている。すなわち、上記取付アダプタDAの挿通孔330に固定ボルト340を挿通させた後、その固定ボルト340を締結部350にねじ込んで締結することにより、取付アダプタDAを上記着脱凹部410に固定することができる。
【0039】
さらにこのとき、
図7(a)に示すように、取付アダプタDAの取付面(底面)360に、左右一対の取付部(ねじ穴)500が設けられている。これら取付部500に対応して、取付対象DB(例えば自動車・作業車等の車両や建造物の所定の箇所)には、固定ボルト520を挿通させるための左右一対の挿通孔510が形成されている。なお、
図7は、取付対象DBの裏側からの視点で見た図である。そして、プリンタ1を取付対象DB(この例では例えばダッシュボードに固定される車載側固定板)に取り付ける際には、上述のようにして着脱凹部410に固定された一体化されたプリンタ1の取付アダプタDAの上記取付部500を、上記取付対象DBの挿通孔510に対して位置合わせする。そしてその位置合わせ状態で、取付対象DBの裏側(図示手前側)から挿通孔510に固定ボルト520を挿入し、その後固定ボルト520を取付部500にねじ込んで締結する(
図7(a)参照)。これにより、取付対象DBに取付アダプタDA(言い替えればプリンタ1全体)を固定することができる(
図7(b)参照)。
【0040】
<第2の特徴〜遮光部材>
また、本実施形態の別の特徴として、光学センサ18に対する遮光が図られる点がある。以下、その詳細を順を追って説明する。
【0041】
上記
図3(a)を用いて前述したように、本実施形態のプリンタ1においては、被印刷用紙Sは、上記挿入口104からハウジング100内部へと挿入された後、ガイド部材120が形成する導入経路RT(言い替えれば
図3(a)中において被印刷用紙Sが通過している経路)を通じて、プラテンローラ111とサーマルヘッド112との対向部分Pへ導かれる。そして、プラテンローラ111で搬送される被印刷用紙Sにサーマルラインヘッド112によって印字形成が行われることで、当該被印刷用紙Sへの所望の印刷が行われる。
【0042】
このとき、ハウジング100内部の上記導入経路RTに臨む部位(この例ではカバー部材103の下側壁面。なおガイド部材120に設けてもよい)に、上記ガイド部材120で導かれる被印刷用紙Sに対し光学的検出を行う光学センサ18が設けられている。この光学センサ18は、例えば、いわゆる公知の反射型のセンサ(但し透過型のセンサでもよい)であり、被印刷用紙Sの有無を検出したり、あるいは被印刷用紙Sに予め形成されたマークを検出する。そして、この光学センサ18の検出結果に基づく上記
図4に示すCPU12の制御によって、上記プラテンローラ111の搬送及びサーマルヘッド112の印字形成が行われる。
【0043】
そして、
図3及び上記
図2に示すように、ハウジング100の内部(詳細にはカバー部材103)の、光学センサ18よりも挿入口104側の部位に、導入経路側RTへ突出するように(例えば略カーテン状若しくは略板状の)遮光部材19が設けられる。この遮光部材19が、挿入口104から入射した光が光学センサ18に到達するのを遮ることで、光学センサ18による誤検出の防止が図られている。
【0044】
一方、導入経路RTを形成するガイド部材120の上面には、被印刷用紙Sとの摩擦抵抗を減らし円滑な搬送を行うために、
図8に示すように、複数(この例では多数)の搬送リブ部120C(第2リブ部に相当)が設けられる。この搬送リブ部120Cは、導入経路RT側へそれぞれ突出しつつ所定間隔w(
図8中拡大図参照)にて配置され、被印刷用紙Sに接触してガイドする。
【0045】
ここで、上記のよう複数の搬送リブ部120Cが設けられる場合、ガイド部材120の導入経路側の面(この例では上面)において、それら搬送リブ部120Cによる凹凸形状が生じることとなる(
図8中拡大図参照)。この結果、上記のように導入経路RT側へと突出して設ける遮光部材19をガイド部材120の上面に接触させたとしても、そのままでは、上記凹凸形状によって遮光部材19の端部(この例では下端部)との間にわずかな隙間が生じる。この結果、例えば屋外で使用する場合等、強い外光環境で使用される場合においては、万全を期すために、光学センサ18の検出精度を十分に確保するための何らかの方策があったほうが好ましい。
【0046】
そこで、本実施形態においては、
図8、上記
図2、及び、上記
図3(a)の拡大図に示すように、ガイド部材120の上面において、上記複数の搬送リブ部120C以外の部分に、平坦面部120Bが設けられる。そして、この平坦面部120Bに対し、上記遮光部材19の突出側の端部(この例では下端部)が、(この例では導入経路RT方向に沿って若干弛みつつ)当接して略密着するように構成される。
【0047】
具体的には、上記光学センサ18が、上記
図3(a)及び
図9(c)に示すように、上記導入経路RTに臨むカバー部材103の壁面(この例では下方壁面)に設けられている。そして、上記遮光部材19は、上記カバー部材103の下方壁面のうち上記光学センサ18よりも上記挿入口104側となる部位に、カバー部材103の閉じ状態で突出側の端部(下端部)が上記平坦面部120Bに当接するように、設けられている。このように、遮光部材19の端部が当接する部位の凹凸形状をなくし密着可能とすることで、上記隙間が生じるのを防止している。
【0048】
このとき、
図8、
図3(a)拡大図、
図9(a)、及び
図9(b)に示すように、上記ガイド部材120の導入経路RT側の面(この例では上面)には、上記光学センサ18に対向して配置された凹部120Aが備えられている。そして、上記平坦面部120Bは、この凹部120Aよりも挿入口104側に設けられている。
【0049】
なお、上記ガイド部材120において、上記
図8及び上記
図3(a)拡大図に示すように、上記平坦面部120Bと、上記複数の搬送リブ部120Cの突出側の端面(すなわち上面)とが、略同一平面内に位置している。さらに、複数の搬送リブ部120Cのうち一部(
図8拡大図中の範囲ア参照)は、平坦面部120Bの挿入口104側に、当該平坦面部120Bに連続するように設けられている。なお、このとき、
図8中のa−a拡大断面図に示すように、各搬送リブ部120Cに係わる上述の所定間隔wが、各搬送リブ部120Cの当該所定間隔方向の幅寸法t2と略等しくなっている。
【0050】
<第3の特徴〜ガイドリブ部>
さらに、本実施形態の別の特徴として、ガイド部材120に、被印刷用紙Sの両端部のガイドを行うガイドリブ部が設けられる点がある。以下、その詳細を順を追って説明する。
【0051】
図1、
図2、
図8等を用いて前述したように、ガイド部材120の導入経路BT側の面(この例では上面)は、多数の搬送リブ部120C(第2リブ部)が設けられている。これら搬送リブ部120Cが設けられる領域(左右方向の長さL1を備える。
図8参照)が、上記導入経路RT内の被印刷用紙Sの下側に接触してガイドする機能を果たすガイド領域GRとなっている。
【0052】
そして、ガイド領域GRのさらに左右方向両端側には、前述の
図8に示すように、上記導入通路RT側(この例では上側)に突出したガイドリブ部170(第1リブ部)がそれぞれ配置さている(なお、
図1では煩雑防止のために図示省略している)。これらガイドリブ部170は、挿入口104の左右方向両端部に対し臨むように設けられる。
【0053】
このとき、
図8中のa−a断面図に示すように、2つのガイドリブ部170の相対向する側の内壁面(上記ガイド領域GR側の壁面)には、リブ突出方向に沿って直立する鉛直面170B(直立面に相当)が備えられている。また、ガイドリブ部170の頂部(上方側の壁面)には、上に凸の曲面部170Aが備えられ、幅寸法t1は、上記搬送リブ部120Cの幅寸法t2よりも大きくなっている。
【0054】
また、ガイドリブ部170の突出方向への突出高さH1は、上記搬送リブ部120Cの突出方向への突出高さH2よりも大きい。また、ガイドリブ部170は、筐体100の後方側から前方側に向かって下側へと傾斜する態様で配置されている。そして、ガイドリブ部170は、
図11(a)及び
図11(b)に示すように、当該ガイドリブ部170の上記高さH1と搬送リブ部120Cの上記高さH2との段差寸法△Hが被印刷用紙Sの搬送方向下流側へ向かって次第に小さくなる、いわゆる側面視略楔型の形状となっている。なお、
図11(a)及び
図11(b)に示すように、ガイドリブ部170及び搬送リブ部120Cの上端面は、上記トップカバー101及びカバー部材103の上端面と略同一面上に位置している。
【0055】
そして、上記2つのガイドリブ部170,170の離間距離(上記ガイド領域GRの左右方向長さLに等しい)は、ユーザが通常最もよく使用するであろう被印刷用紙Sの紙幅(以下適宜、「通常紙幅」という)に合わせて設定される。本実施形態では、通常紙幅はA4サイズとなっており、ガイドリブ部170相互間の距離は、A4サイズの被印刷用紙S1の短手方向寸法である上記通常紙幅に略等しい。ユーザは、印刷を開始するために前述のように挿入口104から被印刷用紙Sを挿入してその先端を上記対向部分Pに到達させる際、A4サイズの被印刷用紙S1の場合、その紙幅方向端部を上記ガイドリブ部170に当接させることで、当該被印刷用紙S1を容易且つ円滑に上記導入経路RT内の正しい位置に位置決めしセットすることができる。
【0056】
一方、上記2つのガイドリブ部170に対応して、上記カバー部材103には、
図10、
図11、及び、上記
図9(前述の
図1、
図2も参照)に示すように、上記挿入口104側の縁部のうち上記ガイドリブ部170に対し前後方向に臨む部位に、他の部位よりも前方側に凹んだ凹部103Aが備えられている。この凹部103Aは、
図11に示すように、筐体100の前方側から後方側に向かって下側へと傾斜する傾斜面103Aaを備えている。これら2つの凹部103Aについて、左側の凹部103Aの右側縁部と右側の凹部103Aの左側縁部との間の離間距離は、
図1に示すように、前述の距離L1(ガイド領域GRの左右方向距離。
図8参照)となっている。一方、左側の凹部103Aの左側縁部と右側の凹部103Aの右側縁部との間の離間距離は、
図1に示す距離L2(距離L1よりも大きい。例えば後述のレターサイズの紙幅に相当する距離)となっている。これにより、前述のA4サイズの被印刷用紙S1以外に、例外的に、通常紙幅(A4サイズ)よりも大きな紙幅、この例ではいわゆるレターサイズ(LTR)の被印刷用紙S2を使用する場合には、上記2つの凹部103Aを活用する形で、2つのガイドリブ部170を乗り越えさせつつ被印刷用紙Sがセットされる(
図8中のa−a断面図も参照)。
【0057】
また、上記2つの凹部103Aが設けられるのには、上述した以外に、以下のような意義もある。
【0058】
すなわち、既に述べたように、印刷実行時には、ユーザが挿入口104から挿入した被印刷用紙Sが上記ガイド部材120に案内されつつプラテンローラ111により搬送され、サーマルラインヘッド112によって所望の印刷が行われる。
【0059】
このとき、例えば上記のようにして搬送される被印刷用紙Sが何らかの原因でプリンタ1内で紙詰まりを起こした場合は、
図11(a)に示すカバー部材103の閉じ状態から
図11(b)に示すカバー部材103の開き状態とすることで、プラテンローラ111側へ圧着した状態のサーマルラインヘッド112が下方に動いてリリースすることができる(前述の圧接が解消される)。この結果、容易に被印刷用紙Sを引き出し、取り除くことができる。
【0060】
しかしながら、上記のようにガイド領域GRの端部にガイドリブ部170が設けられた場合、そのままでは、上記カバー部材103の開き動作時に、カバー部材103が、突出した上記ガイドリブ部170と干渉する可能性があり得る。凹部103Aはこれを回避するためにも設けられており、カバー部材103が開いた状態では、
図11(b)に示すように、上記ガイドリブ部170は上記凹部103A内に貫入する(
図10も参照)。これにより、上記干渉を防止することができる。なお、
図10においては、上記貫入時の凹部103Aとガイドリブ部170との位置関係を明確化するために、カバー部材103を裏返しの状態として示しているが、開き状態のときに裏返しになるまでカバー部材103が回動する必要はない。すなわち、上記圧着状態の解除(リリース)ができる程度、すなわち、
図11(b)に示す程度までカバー部材103が回動すれば足りる。
【0061】
なお、上記の例では、ガイドリブ部170は上記ガイド領域GRの左右両端にそれぞれ設けられ、凹部103Aが上記挿入口104側の縁部のうちそれら2つのガイドリブ部170に対しそれぞれ臨む部位に2つ設けられていたが、これに限られない。すなわち、被印刷用紙Sの左右方向(紙幅方向)の両側ではなく左右方向のいずれか一方側のみをガイドすれば足りる場合には、ガイドリブ部170は上記ガイド領域GRの左右両端のうちいずれか一端に設けられ、凹部103Aもその1つのガイドリブ部170に臨む部位に1つ設けられればよい。
【0062】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態のプリンタ1は、バッテリ駆動が可能な構成である。すなわち、バッテリユニット10から供給される電力によって、ハウジング100内に設けられたプラテンローラ111及びサーマルラインヘッド112が駆動され、被印刷用紙Sに対し所望の印刷を行うことができる。このとき、上記のようにユニット化されたバッテリユニット10は、プリンタ1に備えられたハウジング100の着脱凹部410に着脱することができる。
【0063】
一方、プリンタ1は、別途用意される取付アダプタDAを用いることで、適宜の取付対象DBに取り付けることができる。この取付アダプタDAは、上記バッテリユニット10と略同一の外形状を備えている。そして、取付対象DBへの取り付け時には、上記バッテリユニット10を着脱凹部410から取り外し、それに代えて取付アダプタDAが上記着脱凹部410に装着される。このとき、取付アダプタDAには、プリンタ1を取付対象に取り付けるための取付部500が備えられていることから、この取付部500を用いることでプリンタ1を容易に取付対象DBに取り付けることができる。
【0064】
以上のようにして、本実施形態においては、バッテリユニット10を取外した後のプリンタ1に対し(バッテリユニット10と略同一形状の)取付アダプタDAを装着することで、バッテリ収納スペースを活用しつつプリンタ1を容易に取付対象DBに取り付けることができる。したがって、ユーザの利便性を向上することができる。
【0065】
また、本実施形態では特に、筐体100の取付対象DB側への取付面と、取付アダプタDAの取付対象DB側への取付面360とが、略同一平面内に位置する。これにより、取付アダプタDAを装着したプリンタ1において、取付対象DB側の面がすべて略同一平面となるので、取付対象DBへの取付時の安定性を向上することができる。
【0066】
また、本実施形態では特に、着脱凹部410に取付アダプタDAが装着されると、着脱凹部410の第2コネクタ320Bが取付アダプタDAのコネクタ収納部310内に収納される。これにより、取付アダプタDAの装着時には不要となる(バッテリユニット10接続用の)第2コネクタ320Bを、取付アダプタDAのコネクタ収納部310内で確実に保護することができる。
【0067】
また、本実施形態では特に、取付アダプタDAの上記取付面360に、挿通孔330が形成され、着脱凹部410に、固定ボルト340を締結する締結部350が設けられている。ユーザは、取付アダプタDAの着脱凹部410への装着の際、取付アダプタDAの挿通孔330に固定ボルト340を通した後、当該固定ボルト340を着脱凹部410の締結部350に対し締結し、固定を行う。このように、取付アダプタDAを装着後にボルト締結を行うことにより、プリンタ1全体の剛性を確実に向上することができる。
【0068】
また、本実施形態のプリンタ1においては、ガイド部材120の導入経路RT側の面において、複数の搬送リブ部120C以外の部分に平坦面部120Bが設けられる。そして、この平坦面部120Bに、遮光部材19の突出側の端部が当接し、略密着するように構成される。このように、遮光部材19端部が当接する部位の凹凸形状をなくし密着可能とすることで、搬送リブ部120Cによる凹凸形状と遮光部材19との間に隙間が生じるのを防止することができる。これにより、複数の搬送リブ部120Cによって円滑な搬送を図りつつ、光学センサ18による検出精度を十分に確保することができる。
【0069】
また、本実施形態では特に、複数の搬送リブ部120Cの突出側の端面(上面)と平坦面部120Bとが略同一平面内に位置している。これにより、搬送リブ部120Cの端面上を搬送されてきた被印刷用紙Sは、平坦面部120Bによって搬送が阻害されることなく、円滑に搬送を継続することができる。
【0070】
また、本実施形態では特に、ガイド部材120の導入経路RT側の面(上面)は、光学センサ18に対向して配置された凹部120Aよりも上記開口部104側に設けられている。これにより、光学センサ18側から見て被印刷用紙Sの反対側に、凹部120Aによる空間が生じる(言い替えれば被印刷用紙Sが凹部120Aによって浮いた状態となる)ことにより、さらに確実に検出精度を向上できる。
【0071】
また、本実施形態では特に、複数の搬送リブ部120Cのうち一部が、平坦面部120Bの挿入口104側に当該平坦面部120Bに連続するように設けられている。これにより、平坦面部120Bと搬送リブ部120Cの突出側の端面とが(上記同一の突出高さのまま)なめらかに接続される。したがって、搬送リブ部120Cの端面上を搬送されてきた被印刷用紙Sがそのまま下流側の平坦面部120Bへと確実に円滑に搬送される。
【0072】
また、本実施形態では特に、搬送リブ部120Cの幅寸法t2と、隣接するリブどうしの間隔wとが略等しい。これにより、多数の搬送リブ部120Cが小刻みに設けられることとなる(
図8等参照)ので、ガイド部材120上において被印刷用紙Sの搬送方向に対する斜め方向から入射する光量を減らすことができ、かつ、安定した搬送性能を実現することができる。
【0073】
また、本実施形態のプリンタ1においては、ガイド部材120の導入経路RT側の面に、ガイド領域GRとガイドリブ部170とが設けられている。ガイド領域GRは、挿入口104から投入されて上記対向部分Pへと進む被印刷用紙Sの下側に接触してガイドする。このガイド領域GRに対応し、挿入口104に臨むようにガイドリブ部170が設けられている。これにより、ユーザは、印刷を開始するために上記のように挿入口104から被印刷用紙Sを挿入してその先端を上記対向部分Pに到達させる際、被印刷用紙Sの紙幅方向端部を上記ガイドリブ部170に当接させることで、被印刷用紙Sを容易且つ円滑に上記導入経路RT内の正しい位置に位置決めしセットすることができる。
【0074】
このとき、カバー部材103の挿入口104側の縁部のうち、ガイドリブ部170に対し臨む部位に凹部103Aが設けられる。これにより、紙詰まり解消のためのカバー部材103の上記開き動作時において、突出したガイドリブ部170を当該凹部103Aに貫入させ、ガイドリブ部170とカバー部材103との干渉を防止し、円滑な開閉動作を確保することができる。
【0075】
以上の結果、本実施形態においては、被印刷用紙Sを確実に容易にセットでき、かつ、カバー部材103の円滑な開閉動作を確保する(用紙セット性と開閉円滑性の両立)ことができる。
【0076】
また、本実施形態では特に、ガイド領域GRの両端に2つのガイドリブ部170が設けられる。そして、2つのガイドリブ部170の離間距離は、A4サイズの被印刷用紙Sの短手方向寸法に略等しい。これにより、ユーザは、紙幅方向両端部をそれぞれ2つのガイドリブ部170に当接させることで、最もよく使用するA4サイズの被印刷用紙S1を(いわゆるセンター合わせによって)容易且つ円滑に位置決めし、セットすることができる。そして、A4サイズよりも大きな紙幅(上記の例ではレターサイズ)の被印刷用紙S2を使用する場合には、上記2つの凹部103Aを活用する形で、それら2つのガイドリブ部170を乗り越えさせつつ、被印刷用紙Sを容易にセットすることができる。以上のように、本実施形態においては、A4サイズの被印刷用紙S1を確実にガイドしつつ、それよりも大きな紙幅の被印刷用紙S2についても容易にセットすることができる。
【0077】
また、本実施形態では特に、ガイドリブ部170は、ガイド領域GR側の壁面に、突出方向に直立する鉛直面130Bを備えている。これにより、被印刷用紙S(詳細にはA4サイズの被印刷用紙S1)に対し鉛直面130Bが接してガイドを行うこととなり、用紙搬送時における直進性を確保し、斜行を防止することができる。
【0078】
また、本実施形態では特に、ガイドリブ部170は、上方側の壁面に曲面部170Aを備えている。これにより、通常紙幅よりも大きな紙幅の被印刷用紙S(上記の例ではレターサイズの被印刷用紙S2)を使用する際に、ガイドリブ部170を円滑に乗り越えさせ、確実に容易にセットすることができる。
【0079】
また、本実施形態では特に、ガイドリブ部170は、上記カバー部材103の開き状態において、上記凹部103A内に貫入する。これにより、カバー部材103の開き動作時に、ガイドリブ部170がカバー部材103と干渉するのを確実に回避することができる。
【0080】
また、本実施形態では特に、ガイド領域GRは、ガイドリブ部170よりも突出高さが小さい搬送リブ部120Cを備えている。これによりガイド領域GRと被印刷用紙Sとの摩擦抵抗を減らし、搬送円滑性を向上することができる。
【0081】
また、本実施形態では特に、ガイドリブ部170及び搬送リブ部120Cの上端面は、上記トップカバー101及びカバー部材103の上端面と、略同一面上に位置する。これにより、ガイドリブ部170や搬送リブ部120Cがプリンタ1の外形状から突出しないようにすることができるので、美観を向上できると共に、プリンタ1を置いたときの安定性も向上することができる。
【0082】
また、本実施形態では特に、ガイドリブ部170は、上記搬送リブ部120Cとの段差寸法△Hが被印刷用紙Sの搬送方向下流側へ向かって小さくなる、略楔型の形状を備えている。これにより、被印刷用紙Sが投入される搬送方向上流側ほどガイドリブ部170による大きなガイド効果を得るようにしつつ、搬送方向下流側ではガイドリブ部170と搬送リブ部120Cとの段差を小さくし前述の乗り越え性を良好にすることができる。
【0083】
また、本実施形態では特に、ガイドリブ部170が後方側から前方側に向かって下側へと傾斜する一方、凹部103Aが前方側から後方側に向かって下側へと傾斜する傾斜面103Aaを備えている。このように、凹部103Aの傾斜面103Aaの傾斜方向とガイドリブ部170の傾斜方向が逆向きであることにより、
図11(b)に示すように、前述の干渉を回避しつつ、開き動作可能なカバー部材103の開度を最大限確保することができる。
【0084】
なお、以上において、
図4の図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0085】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0086】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、上記以外にも種々の変更が加えられて実施されるものである。