(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6425414
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】データ通信のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H04B 10/00 20130101AFI20181112BHJP
H04B 10/278 20130101ALI20181112BHJP
H01L 31/0232 20140101ALI20181112BHJP
H01S 5/022 20060101ALI20181112BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20181112BHJP
【FI】
H04B10/00
H04B10/278
H01L31/02 C
H01S5/022
G02B6/42
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-93180(P2014-93180)
(22)【出願日】2014年4月28日
(65)【公開番号】特開2014-230274(P2014-230274A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2017年3月29日
(31)【優先権主張番号】13/896,430
(32)【優先日】2013年5月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】チャン, エリック ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】パン, ヘンリー ビー.
(72)【発明者】
【氏名】トルオン, テュオン ケー.
【審査官】
前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】
英国特許出願公開第02482381(GB,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0076247(US,A1)
【文献】
国際公開第2013/036338(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0027415(US,A1)
【文献】
特開平08−274718(JP,A)
【文献】
特開2002−344024(JP,A)
【文献】
特表2013−510468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00
G02B 6/42
H01L 31/0232
H01S 5/022
H04B 10/278
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターミナルコントローラ(306)からの電気信号を受信するよう構成されるターミナルコントローラインターフェース電子回路(TCIEC)(412)と、
前記TCIEC(412)に連結され、受信した前記電気信号に基づき、デジタル光信号をデータバス(304)へ送信するよう構成される光源(424)と、
前記TCIEC(412)に連結され、前記データバス(304)からのデジタル光信号を受信するよう構成される検出器(460)とを備え、
前記TCIEC(412)は、受信した前記デジタル光信号に基づき、電気信号を前記ターミナルコントローラ(306)へ送信するようさらに構成され、
データバスに通信可能に連結されることが可能でありかつターミナルコントローラを備える列線交換ユニットの内部に搭載可能である、プラスチック光ファイバシリアルインターフェースモジュール(POFSIM)(308)。
【請求項2】
前記TCIEC(412)と前記光源(424)との間に連結されるドライバ回路(420)をさらに備え、前記ドライバ回路(420)は、
前記TCIEC(412)からトランジスタ‐トランジスタロジック信号を受信し、かつ、
受信した前記トランジスタ‐トランジスタロジック信号に基づき、駆動電流を前記光源(424)へ送信する、請求項1に記載のPOFSIM。
【請求項3】
前記TCIEC(412)と前記検出器(460)との間に連結されるレシーバ回路(462)をさらに備え、前記レシーバ回路(462)は、前記検出器(460)にて受信したデジタル光信号に基づき、トランジスタ‐トランジスタロジック信号を前記TCIECへ送信するよう構成される、請求項1に記載のPOFSIM。
【請求項4】
前記光源に光学的に連結される送信用ライトパイプ(438)と、
前記検出器(460)に光学的に連結される受信用ライトパイプ(442)とを備え、前記送信用(438)及び受信用(442)ライトパイプはそれぞれ各プラスチック光ファイバ(440、444)に連結されるよう構成される、請求項1に記載のPOFSIM。
【請求項5】
前記光源は、
サブマウント(604)と、
前記サブマウント(604)に設けられる端面発光レーザ、端面発光LED、垂直共振器面発光レーザ、及び面発光LEDのうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載のPOFSIM。
【請求項6】
前記光源(424)は、0.5ミリメートル未満の幅を有する多元素アレイを備え、前記多元素アレイは、マルチストライプ端面発光レーザアレイ及びマルチストライプ端面発光LEDアレイのうちの1つである、請求項1に記載のPOFSIM。
【請求項7】
前記光源(424)は、複数の垂直共振器面発光レーザ要素、又は複数の端面発光LED要素を含むアレイを備え、前記アレイの前記要素は、前記光源(424)へ光学的に連結される送信用ライトパイプの直径に適応する直径1ミリメートル内に配置される、請求項1に記載のPOFSIM。
【請求項8】
データバス(304)、及び、
ターミナルコントローラ(306)と、
請求項1から7のいずれか一項に記載のプラスチック光ファイバシリアルインターフェース(POFSIM)(308)とを備える、
列線交換ユニット(302)を備え、
前記POFSIM(308)は、前記ターミナルコントローラ(306)と前記データバス(304)との間に連結される、データ通信システム(300)。
【請求項9】
ターミナルコントローラ(306)とデータバス(304)との間のデータ通信において使用する方法であって、前記方法は、
前記ターミナルコントローラ(306)からの電気信号を、請求項1から7のいずれか一項に記載のプラスチック光ファイバシリアルインターフェースモジュール(POFSIM)(308)において受信すること、
受信した電気信号に基づくデジタル光信号を、POFSIM(308)を使用して生成すること、及び、
前記デジタル光信号を、前記POFSIMから前記データバス(304)へ送信することを含む、方法。
【請求項10】
デジタル光信号を生成することは、
トランジスタ‐トランジスタロジック信号をドライバ回路(420)において受信すること、
前記トランジスタ‐トランジスタロジック信号に基づき、駆動電流を生成すること、
前記駆動電流を光源(424)へ送信すること、及び、
前記駆動信号に基づき、前記光源(424)を使用して前記デジタル光信号を生成することを含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の分野は概して、データ通信に関し、より詳細には、ターミナルコントローラ及とデータバスとの間を結び付ける光ファイバシリアルインターフェースモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
少なくともいくつかの既知のアプリケーションは、重い金属パネルに設けたメタルツイストペア電子バスケーブル、スタブケーブル、バスターミネータ、及びカレントモードカプラ(CMC)を使用したARINC629データバスを含む。しかしながら、これらのようなコンポーネントが原因で、データバスはかさばって重く、高価となる。通信メディアとして光ファイバを利用するものなど、光通信という解決方法は、軽量化されているため望ましく、航空機においては有利となるであろう。
【0003】
光ファイバデータバスを実装するための従来の解決方法のひとつは、ガラス光ファイバ(GOFs)を組み込むことである。このシステムは、ペアとなって個別にパッケージされた850nm波長のトランスミッタとレシーバを使用するもので、光ファイバシリアルインターフェースモジュール(FOSIM)と呼ばれる。FOSIMトランスミッタとレシーバは、FOSIMとの間で電気信号をマンチェスターバイフェーズフォーマットにて送信及び受信するターミナルコントローラに対し、インターフェースエレクトロニクスを有する。航空機への典型的な応用において、これらのFOSIMは、通信にデータバスを利用する航空機の様々なアビオニクスサブシステム内部に位置決めされる。これらのアビオニクスサブシステムは、列線交換ユニット(LRUs)と称されることが多い。LRU内部においてFOSIMは、マルチレイヤ6U(フルサイズ)VME基板上に、ターミナルコントローラとともに取り付けられる。
【0004】
しかしながら、GOFは比較的もろく、例えば飛行機などのビークルへの設置中、比較的容易に破損する。さらに、GOFは比較的小さな径を有するため、光学的なアラインメントが困難である。したがって、コネクタ及び光電子デバイスなどの、GOFと関連するコンポーネントは比較的高価となり得る。航空機製造コミュニティにおいては、現行の電子ARINC629データバスに代わる、より堅牢な光ファイバを使用する光学的データバス、例えばプラスチック光ファイバデータバスなどの開発が、そのような航空機の将来のアップグレードに強く望まれる。ただし、この実装は航空機への応用のみに限定されないであろう。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、データ通信システムが提供される。データ通信システムは、データバス、ターミナルコントローラを含む列線交換ユニット、及びターミナルコントローラとデータバスとの間に連結されるプラスチック光ファイバシリアルインターフェースモジュール(POFSIM)を含む。POFSIMは、ターミナルコントローラから受信した電気信号に基づき、デジタル光信号をデータバスへと送信し、データバスから受信したデジタル光信号に基づき、電気信号をターミナルコントローラへ送信するよう構成される。
【0006】
別の態様では、プラスチック光ファイバシリアルインターフェースモジュール(POFSIM)が提供される。POFSIMは、ターミナルコントローラからの電気信号を受信するよう構成されるターミナルコントローラインターフェース電子回路(TCIEC)と、TCIECに連結され、受信した電気信号に基づき、デジタル光信号をデータバスへと送信するよう構成される光源と、TCIECに連結され、データバスからのデジタル光信号を受信するよう構成される検出器とを含み、TCIECは、受信したデジタル光信号に基づき、電気信号をターミナルコントローラへと送信するようさらに構成される。
【0007】
さらに別の態様では、ターミナルコントローラとデータバスとの間のデータ通信に使用する方法が提供される。方法は、ターミナルコントローラからの電気信号をプラスチック光ファイバシリアルインターフェースモジュール(POFSIM)において受信すること、POFSIMを使用して、受信した電気信号に基づきデジタル光信号を生成すること、及びデジタル光信号をPOFSIMからデータバスへと送信することを含む。
【0008】
上述の特徴、機能及び利点は、様々な実装において独立に実現することが可能であり、また別の実装において組み合わせることも可能で、これらの詳細は以下の記載および添付図面を参照してさらに理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は航空機の製造及び保守方法のフロー図である。
【
図3】
図3は、代表的なデータ通信システムのブロック図である。
【
図4A】
図4Aは、
図3に示すデータ通信システムと共に使用され得る、代表的なプラスチック光ファイバシリアルインターフェースモジュール(POFSIM)の概略上面図である。
【
図5】
図5は、
図4A及び4Bに示すPOFSIMの一部分の概略側面図である。
【
図6】
図6は、
図4A及び4Bに示すPOFSIMの一部分の概略側面図である。
【
図7】
図7は、
図4A及び4Bに示すPOFSIMで使用される光源の概要図である。
【
図8】
図8は、
図4A及び4Bに示すPOFSIMの一部分の概略側面図である。
【
図9】
図9は、
図4A及び4Bに示すPOFSIMで使用される光源の概略端面図である。
【
図10A】
図10Aは、
図3に示すデータ通信システムと共に使用され得る、代替的な代表的POFSIMの概略上面図である。
【
図11A】
図11Aは、
図3に示すデータ通信システムと共に使用され得る、代替的な代表的POFSIMの概略上面図である。
【
図12A】
図12Aは、
図3に示すデータ通信システムと共に使用され得る、代替的な代表的POFSIMの概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に記載のシステム及び方法は、ターミナルコントローラとプラスチック光ファイバデータバスとの間のデータ通信を可能にする。プラスチック光ファイバシリアルインターフェースモジュール(POFSIM)は、ターミナルコントローラとデータバスとの間を結び付ける。POFSIMはまた、データバスからデジタル光信号を受信し、対応する電気信号をターミナルコントローラへと送信する。
【0011】
図面をより詳細に参照すると、本発明の実装は、
図1に示す航空機の製造及び保守方法100、及び
図2に示す航空機102に照らして説明することができる。製造前の段階では、代表的な方法100は、航空機102の仕様及び設計104と、材料調達106とを含むことができる。製造段階では、航空機102のコンポーネント及びサブアセンブリの製造108と、システムインテグレーション110とが行われる。その後、航空機102は認可及び納品112を経て運航114される。顧客により運航される間に、航空機102は定期的な整備及び保守116(改造、再構成、改修なども含みうる)を受ける。
【0012】
方法100の各工程は、システムインテグレーター、第三者、及び/又はオペレーター(例えば顧客)によって実施又は実行されうる。本明細書の目的のために、システムインテグレーターは、限定しないが、任意の数の航空機製造者、及び主要システムの下請業者を含むことができ、第三者は、限定しないが、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含むことができ、オペレーターは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などでありうる。
【0013】
図2に示すように、代表的方法100によって製造された航空機102は、複数のシステム120及び内装122を有する機体118を含むことができる。高レベルのシステム120の例には、推進システム124、電気システム126、油圧システム128、及び環境システム130のうちの一又は複数が含まれる。任意の数の他のシステムが含まれてもよい。航空宇宙産業の例を示したが、本発明の原理は、自動車産業などの他の産業にも適用しうる。
【0014】
本明細書において実装される装置及び方法は、製造及び保守方法100の一又は複数の任意の段階で採用することができる。例えば、製造プロセス108に対応するコンポーネント又はサブアセンブリは、航空機102の運航中に製造されるコンポーネント又はサブアセンブリに類似の方法で作製又は製造される。また、一又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、或いはそれらの組み合わせは、例えば、航空機102の組立てを実質的に効率化するか、又は航空機102のコストを削減することにより、製造段階108及び110で利用することができる。同様に、装置の実施形態、方法の実施形態、或いはそれらの組み合わせのうちの一又は複数を、航空機102の運航中に、例えば限定しないが、整備及び保守116に利用することができる。
【0015】
図3は、データバス304に通信可能に連結された列線交換ユニット(LRU)302を含む、代表的なデータ通信システム300のブロック図である。LRU302は、プラスチック光ファイバシリアルインターフェースモジュール(POFSIM)308に通信可能に連結されたターミナルコントローラ306を含む。LRU302、及びより詳細にはPOFSIM308は、少なくとも1つのプラスチック光ファイバ312を介してデータバス304に通信可能に連結される。代表的な実装では、データ通信システム300は、航空機102(
図2に示す)などのビークルに搭載されて実装される。あるいは、データ通信システム300は、データ通信システム300が本明細書に記載するように機能できる任意の環境で実装されてよい。
【0016】
代表的実装では、データバス304は、例えばプラスチック光スターカプラなどのプラスチック光ファイバデータバスである。あるいは、データバス304は、データ通信システム300が本明細書に記載するように機能できる任意のタイプのデータバスであってよい。POFSIM308は、本明細書に記載のように、ターミナルコントローラ306とデータバス304との間の通信インターフェースとして機能する。より詳細には、POFSIM308は、ターミナルコントローラ306から電気信号を受信し、対応する光信号をデータバス304へと送信する。さらにPOFSIM308は、データバス304から光信号を受信し、対応する電気信号をターミナル306へと送信する。注目すべき点は、POFSIM308はデータバス304及びターミナルコントローラ306とダイレクトに結び付き、データバス304とターミナルコントローラ306との間の通信を促進する他の処理デバイス又は変換ユニットを必要としないという点である。
【0017】
図4Aは、データ通信システム300(
図3に示す)と共に使用され得る、代表的なPOFSIM400の概略上面図である。
図4Bは、POFSIM400の概略側面図である。POFSIM400の無加圧エリアへの確実な実装を可能にするため、POFSIM400のコンポーネントは、蓋404により密封されるバスタブ形状のパッケージ402内に設けられる。POFSIM400はLRU302(
図3に示す)などのLRU内部に設けられ、LRUは、基板間のスペースを限定した複数のLRUを含む航空機用シャシ内部に設けられてもよい。したがって、代表的実装では、POFSIM400は比較的小型である。例えば、パッケージ402は、約1.0インチの幅406、約2.0インチの長さ408、及び約0.25インチの高さ410を有し得る。あるいは、パッケージ402は、POFSIM400を本明細書に記載のように機能させることができるよう、任意の寸法を有してよい。
【0018】
POFSIM400は、例えばターミナルコントローラ306(
図3に示す)のようなターミナルコントローラと結び付く、ターミナルコントローラインターフェース電子回路(TCIEC)412を含む。TCIEC412は、複数のピン414の少なくとも一部に連結される。TXO,TXE,RICK,TXHB,PWRS,及びVCCピンは、POFSIM400に電力を供給し、POFSIM400にマンチェスターバイフェーズ電気信号を送るための、ターミナルコントローラからのインプットである。より詳細には、TXOピンはバイフェーズマンチェスター符号化されたデータをターミナルコントローラからARINC629フォーマットで受信し、TXEピンはドライバイネーブルインプットであり、RICKは32メガヘルツ(MHz)クロック信号であり、TXHBピンはドライバコントローラアクティブインプットであり、PWRSピンはパワーアップリセットインプットであり、VCCピン414は電源電圧インプットである。他のピン414は、ビット0アウトプット(BS0)ピン、ビット1アウトプット(BS1)ピン、シリアルクロック(SCL)ピン、シリアルデータ(SDA)ピン、グランドに接続されるグランド(GD)ピン、バイトステートイネーブル(BSE)ピン、4MHzレシーバクロックアウトプット(RXCK)ピン、レシーバイネーブル(RX)ピン、コンパレータ調整(CADJ)ピン、信号検出(SD)ピン、受信信号強度(RSSI)ピン、テストポイント(TP)ピン、及びパッケージ402に接続されるパッケージ(CASE)ピンを含む。SCL及びSDAピンは、光源ドライバ(後述する)を、外部のコンピューティングデバイス(図示せず)のシリアルインターフェースポートに連結することによって外部からプログラムするために使用される。CADJピンは、TCIEC412内部のコンパレータ閾値を調整するために使用される。SDピンは、レシーバ(後述する)が光信号を正確に検出しているか否かを表示する。
【0019】
データバス304などのデータバスと通信するために、TCIEC412はピン414から受信した信号のタイミングを処理し、トランジスタ‐トランジスタロジック(TTL)信号をレーザ/発光ダイオード(LED)ドライバ420へと出力する。トランスミッタ(Tx)ビルトインテスト(BIT)回路422は、TCIEC412とレーザ/LEDドライバ420との間に連結される。TTL信号の受信に応答して、レーザ/LEDドライバ420は光源424へと駆動電流パルスを出力し、次いで光源424は、デジタル光信号を放出する。
【0020】
TxBIT回路422は、送信TTL信号、レーザ/LEDドライバ420、及び光源424の動作を監視する。代表的実装では、TxBIT回路422は、光源424が1つの状態に誤ってトラップされている(「スタックオン」とも称する)、又は散発的/ランダムにデジタル光信号を放出している(「バブリング」とも称する)か否かを監視する。TxBIT回路422が光源424はスタックオン又はバブリングしていると判定すると、TxBIT回路422は、データバス304の障害を防ぐためにTTL信号の送信を抑止することができる。
【0021】
POFSIM400は、パッケージ402から延伸する相手側コネクタ430を含む。代表的実装では、相手側コネクタ403は、約1.0インチの長さ432を有する。あるいは、相手側コネクタ430は、POFSIM400を本明細書に記載のように機能させることができるよう、任意の寸法を有してよい。相手側コネクタ430は、送信用の金属密封フィードスルー管434と、受信用の金属密封フィードスルー管436とを含む。送信用ライトパイプ438は、送信用の金属密封フィードスルー管434内で、送信用プラスチック光ファイバ(POF)440に光学的に連結される。同様に、受信用ライトパイプ442は、受信用の金属密封フィードスルー管436内で、受信用プラスチック光ファイバ(POF)444に光学的に連結される。送信用POF440及び受信用POF444は、POFSIM400をデータバス304に連結する。代表的実装では、相手側コネクタ430は、送信用POF440及び受信用POF444の、POFSIM400への連結を促進する複数のラッチ機構450を含む。光源424は、光源424からのデジタル光信号が送信POF440を介してデータバス304へと送信されるよう、送信用ライトパイプ438に連結される。
【0022】
送信用ライトパイプ438及び受信用ライトパイプ442は、比較的高い動作温度を有し、比較的メタライズしやすく、送信用POF440及び受信用POF444に適応する径と開口数とを有する。例えば、送信用ライトパイプ438及び受信用ライトパイプ442はそれぞれ、直径1ミリメートル(mm)のガラスロッド、直径1mmのハードクラッドシリカ(HCS)ファイバ、又は直径1mmのマルチコアガラスファイバであり得る。送信用ライトパイプ438及び受信用ライトパイプ442はそれぞれ、送信用の金属密封フィードスルー管434及び受信用の金属密封フィードスルー管436に、送信用ライトパイプ438及び受信用ライトパイプ442をメタライズすることによって取り付けられるが、これは高温のはんだリフロー処理を使用して、ライトパイプ438及び442をフィードスルー管434及び436に取り付けることによる。これにより(例えばヘリウムリーク率が1分あたり1×10
−8立方センチメートル(cc/min)未満といった)高い密封性が促進される。
【0023】
受信用ライトパイプ442は、データバス304から受信用POF444を介して、一又は複数のデジタル光信号を受信する。受信用ライトパイプ442に連結される検出器460は、受信したデジタル光信号を電気信号へと変換する。代表的実装では、検出器460は、高感度のシリコン検出器である。あるいは、検出器460は、POFSIM400を本明細書に記載のように機能させることができる、任意の光検出装置であってよい。
【0024】
検出器460に連結されるレシーバ回路462は、検出器460からの電気信号をマンチェスターバイフェーズTTL信号に変換し、TTL信号をTCIEC412へと送信する。代表的実装では、レシーバ回路462は高感度かつ高い瞬時ダイナミックレンジのレシーバである。レシーバ(Rx)BIT回路464は、レシーバ回路462とTCIEC412との間に連結される。TTL信号を受信すると、TCIEC412は受信したTTL信号のタイミングをチェックして有効化し、その後、信号パルスをターミナルコントローラ306へと送る。より詳細には、信号パルスは、複数のピン414のうちRXN及びRXIピンを介してターミナルコントローラ306へと出力される。RxBIT回路464は、レシーバ回路462から出力されたRSSIからのレシーバ信号強度表示に基づき、POFケーブル接続の健全性を監視する。エラー及び/又は問題が検出された場合、RxBIT回路464は警報信号を生成し、TCIEC412を介してターミナルコントローラ306へと送信する。
【0025】
TCIEC412、TxBIT回路422、レーザ/LEDドライバ420、光源424、検出器460、レシーバ回路462、及びRxBIT回路464は、POFSIM400のコンポーネントからの熱をパッケージ402の底へとシンクする基板470に設けられる。この熱的配置によって、POFSIM400の作動中のジャンクション温度上昇が抑えられる。代表的実装では、基板470は、高い熱伝導性を有する窒化アルミニウム基板である。あるいは、基板470は、POFSIM400を本明細書に記載のように機能させることができる任意の材料であってよい。
【0026】
コンポーネントがパッケージ402内に設けられ、送信用ライトパイプ438及び受信用ライトパイプ442が金属管434及び436にはんだ封止されると、ガス抜き処理がパッケージ402において行われる。ガス抜き処理の終了後、高温パラレルシーム溶接処理によって蓋404がパッケージ402に封着され、POFSIM400が気密封止される。
【0027】
図5は、POFSIM400の一部分の概略側面図である。
図5に示す実装において、検出器460は、ボールレンズ504を組み込んだ高感度検出器502を含む。高感度検出器502及びボールレンズ504は、基板470に取り付けられたセラミックサブマウント506の側面に設けられる。検出器460は基板470の、受信用ライトパイプ442と検出器460との間の光学的連結を最大化する位置に設けられる。
【0028】
図6は、POFSIM400の一部分の概略側面図である。
図6に示す実装において、光源424は、高熱伝導性コバール(銅‐タングステン合金)サブマウント604の頂部に設けられる端面発光(EE)レーザ又はLED602を含む。光源424は、送信用ライトパイプ438と光源424との間の光学的連結を最大化させるよう、基板470に設けられる。光源424の出力パワーをさらに増大させるために、多元素モノリシック(すなわちマルチストライプ)レーザ又はEE LEDアレイが、光出力パワーを3デシベル(dB)又はそれ以上増加させるよう、光源424に実装され得る。
【0029】
図7は、マルチストライプレーザ、又は4つの要素704を伴うEE LEDアレイ702を含む、光源424の実装の概略図である。代表的実装において、アレイ702の幅706は、0.5mm未満である。受信用ライトパイプ438は1.0mmの直径を有し、アレイ702は0.5mmより小さい幅を有するため、単一のレーザ又はEE LEDを使用する実装とカップリング効率はほぼ同等である。アレイ702は、サブマウント604(
図6に示す)に設けられ得る。
【0030】
光源424は、EEレーザ又はEE LEDの代わりに面発光(SE)レーザ又はSE LEDを含んでもよい。
図8は、POFSIM400の一部分の概略側面図である。
図8に示す実施形態では、光源424は、ボールレンズ804を組み込んだ、SE垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)又はSE LEDチップ802を含む。チップ802及びボールレンズ804は、基板470に取り付けられたAlN(窒化アルミニウム)サブマウント806の側面に設けられる。AlNサブマウント806は、チップ802に対し比較的高い熱伝導性を有する。AlNサブマウント806は基板470の、送信用ライトパイプ438と光源424との間の光学的連結を最大化する位置に設けられる。
【0031】
光パワーを増大させるために、いくつかの実装では、光源424はVCSEL又はSE LED要素のアレイを含んでもよい。
図9は、光源424の概略端面図である。
図9に示す実装では、光源424は、0.5mmの直径を有するボールレンズ904を組み込んだ、SE垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)又はSE LEDチップ902を含む。チップ902及びボールレンズ904は、基板470(
図4A及び4Bに示す)に取り付けられたAlNサブマウント906の側面に設けられる。チップ902は、複数のVCSEL又はSE LED要素910を有する、アレイ908を含む。代表的実装では、チップ902は4つの要素910を含む。あるいは、チップ902は、本明細書に記載されているように光源424を機能させる、任意の数の要素910を含むことができる。送信用ライトパイプ438及び送信用POF440が、アレイ908よりも大きい1.0mmの直径を有するため、各要素910の光出力は、単一のVCSEL又はSE LED源と同じ効率で送信用ライトパイプ438へと連結される。
【0032】
図10Aは、データ通信システム300(
図3に示す)と共に使用され得る、代替的なPOFSIM1000の概略上面図である。
図10Bは、POFSIM1000の概略側面図である。他に記載のない限りにおいて、POFSIM1000はPOFSIM400(
図4A及び4Bに示す)とほぼ類似している。相手側コネクタ430(
図4A及び4Bに示す)の代わりに、POFSIM1000は、POF440及びPOF444の送受信用に、POF440及びPOF444へと永続的に取り付けられた、送信用ピグテール1002及び受信用ピグテール1004を含む。
【0033】
より詳細には、送信用POF440及び受信用POF444は、送信用ライトパイプ438及び受信用ライトパイプ444へと連結される。次いでエポキシ1010が、フィードスルー管434及び436に画定されるエポキシ穴1012へと供給される。エポキシ1010の硬化後、ファイバブーツ1020が送信用POF440及び受信用POF444のそれぞれの上にスライドされ、追加のエポキシによりフィードスルー管434及び436に取り付けられる。ブーツ1020は、POF440及びPOF444が、POFの最小屈曲半径よりも曲げられることを防止する。ブーツ1020はまた、POF440及びPOF444の引張強度を増大させ、望ましくない屈曲に起因する光損失を低減する。
【0034】
図11Aは、データ通信システム300(
図3に示す)と共に使用され得る、代替的なPOFSIM1100の概略上面図である。
図11Bは、POFSIM1100の概略側面図である。他に記載のない限りにおいて、POFSIM1100はPOFSIM1000(
図4A及び4Bに示す)とほぼ類似している。POFSIM1100では、ライトパイプ438及びライトパイプ442並びにPOF440及びPOF444は、POFに適合するファイバ1102に置換されている。POF適合ファイバ1102は、例えば、ハードクラッドシリカ(HCS)ファイバ、又はマルチコアガラス(MCG)ファイバであり得る。POF適合ファイバ1102はパッケージ402の近域で被覆され、POFの径及び開口数に適応するよう選択される。POF適合ファイバ1102はフィードスルー管434及び436を越えて延び、POFSIM1100の外側でPOFと連結する。
【0035】
代表的実装では、はんだ封止1104が各POF適合ファイバ1102を、フィードスルー管434及び436の内部に封止する。はんだ封止1104の完了後、次いでエポキシ1010がエポキシ穴1012へと供給され、硬化される。POFSIM1000と同様に、フィードスルー管434及び436にファイバブーツ1020が設置される。
【0036】
図12Aは、データ通信システム300(
図3に示す)と共に使用され得る、代替的なPOFSIM1200の概略上面図である。
図10Bは、POFSIM1200の概略側面図である。他に記載のない限りにおいて、POFSIM1200はPOFSIM400(
図4A及び4Bに示す)とほぼ類似している。POFSIM400と異なり、POFSIM1200は密封されない。したがってPOFSIM1200は、例えば航空機102(
図2に示す)などのビークルの与圧領域で使用される。POFSIM1200は密封されていないため、POFSIM1200の製造費用は比較的高くない可能性がある。
【0037】
POFSIM1200において、コンポーネントは、マルチレイヤFR4プリント基板上に設けられる。さらに、光源424及び検出器460はそれぞれ、各アクティブ光コネクタ1206内に設けられたトランジスタアウトラインCAN(TO can)パッケージ1204に実装される。送信用ライトパイプ438及び受信用ライトパイプ444は、各アラインメントスリーブ1208に設置される。各アクティブ光コネクタ1206は、送信用POF440及び受信用POF444を係合させる、外部ラッチ機構1210を含む。代表的実装では、各アクティブ光コネクタ1206は、アクティブ光コネクタ1206がねじ1222及びナット1224を使用してプリント基板1202へと設けられることを可能にする、2つの孔1220を含む。環境保護のために、代表的な実施形態では、プリント基板1202はコンフォーマル(パリレン)コーティングを使用して被覆される。
【0038】
本明細書に記載の実装は、ターミナルコントローラとプラスチック光ファイバデータバスとの間のデータ通信を可能にする。プラスチック光ファイバシリアルインターフェースモジュール(POFSIM)は、ターミナルコントローラとデータバスとの間を結び付ける。POFSIMは、ターミナルコントローラから電気信号を受信し、対応する光デジタル信号をデータバスへと送信する。POFSIMはまた、データバスからデジタル光信号を受信し、対応する電気信号をターミナルコントローラへと送信する。
【0039】
いくつかの既知のデータ通信システムとは異なり、本明細書に記載のPOFSIMは、ターミナルコントローラとデータバスとの間にダイレクトインターフェースを提供する。SIMとデータバスとの間に光媒体コンバータを利用するいくつかの既知のデータ通信システムとは異なり、POFSIMはデータバスと、少なくとも1つのプラスチック光ファイバを介してダイレクトに連結する。したがって、少なくともいくつかの既知のデータ通信システムと比較すると、POFSIMはより高いパワーバジェット(例えば6dB)及びより長い有効長(例えば50メートル)を有し得る。さらに、本明細書に記載のPOFSIMは、堅牢、確実、軽量であり、高い耐久性を有する。
【0040】
本発明の種々の実装の特定の機能が一部の図面には示されて他の図面には示されないことがあるが、このような図解は便宜的に行われているにすぎない。本発明の原理に従い、図面の任意の機能は、他の任意の図面の任意の機能と組み合わせて参照及び/又は特許請求されることがある。
【0041】
さらに、本発明は、以下の条項による実施形態を含む。
条項1.
データバスと、
ターミナルコントローラ及び
前記ミナルコントローラと前記データバスとの間に連結されるプラスチック光ファイバシリアルインターフェースモジュール(POFSIM)を
備える列線交換ユニットと
を含むデータ通信システムであって、前記POFSIMは、
前記ターミナルコントローラから受信される電気信号に基づき、デジタル光信号を前記データバスへと送信し、かつ、
前記データバスから受信されるデジタル光信号に基づき、電気信号を前記ターミナルコントローラへと送信するよう構成される、
データ通信システム。
条項2.
前記POFSIMは、前記データバスへと送信されるデジタル光信号を生成するよう構成される光源を含む、条項1に記載のデータ通信システム。
条項3.
前記光源に光学的に連結される送信用ライトパイプと、
前記送信用ライトパイプと前記データバスとの間に連結される送信用プラスチック光ファイバ(POF)をさらに備える、
条項2に記載のデータ通信システム。
条項4.
前記POFSIMは、前記データバスからのデジタル光信号を受信するよう構成される検出器を含む、条項1に記載のデータ通信システム。
条項5.
前記検出器に光学的に連結される受信用ライトパイプと、
前記受信用ライトパイプと前記データバスとの間に連結される受信用プラスチック光ファイバ(POF)をさらに備える、
条項4に記載のデータ通信システム。
条項6.
前記POFSIMは密封される、条項1に記載のデータ通信システム。
条項7.
前記データバスはプラスチック光スターカプラである、条項1に記載のデータ通信システム。
【0042】
本明細書では、ベストモードを含め、様々な実装を開示する実施例を使用しているため、当業者は任意の機器やシステムの作成ならびに使用、及び組込まれた任意の方法の実施を含む実装を実行することができる。特許性の範囲は、特許請求の範囲によって画され、当業者が想到する他の例も含み得る。このような他の例は、それらが特許請求の範囲の文言と異ならない構成要素を有する場合、あるいは、それらが特許請求の範囲の文言とわずかに異なる均等な構成要素を有する場合は、特許請求の範囲の範囲内にあることを意図する。
【符号の説明】
【0043】
100 航空機の製造及び保守方法
102 航空機
104 仕様及び設計
106 材料調達
108 コンポーネント及びサブアセンブリの製造
110 システムインテグレーション
112 認可及び納品
114 運航
116 整備及び保守
118 機体
120 システム
122 内装
124 推進システム
126 電気システム
128 油圧システム
130 環境システム
300 データ通信システム
302 列線交換ユニット(LRU)
304 データバス
306 ターミナルコントローラ
308 プラスチック光ファイバシリアルインターフェースモジュール(POFSIM)
312 プラスチック光ファイバ
400 POFSIM
402 パッケージ
404 蓋
406 幅
408 長さ
410 高さ
412 ターミナルコントローラインターフェース電子回路(TCIEC)
414 ピン
420 レーザ/発光ダイオード(LED)ドライバ
422 ビルトインテスト(BIT)回路
424 光源
430 相手側コネクタ
432 長さ
434 送信用フィードスルー管
436 受信用フィードスルー管
438 送信用ライトパイプ
440 送信用プラスチック光ファイバ(POF)
442 受信用ライトパイプ
444 受信用プラスチック光ファイバ(POF)
450 ラッチ機構
460 検出器
462 レシーバ回路
464 レシーバ(Rx)BIT回路
470 基板
502 高感度検出器
504 ボールレンズ
506 セラミックサブマウント
602 端面発光(EE)レーザ又はLED
604 高熱伝導性コバール(銅‐タングステン合金)サブマウント
702 EE LEDアレイ
704 4つの要素
706 幅
802 SE垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)又はSE LEDチップ
804 ボールレンズ
806 AlN(窒化アルミニウム)サブマウント
902 SE垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)又はSE LEDチップ
904 ボールレンズ
906 AlN(窒化アルミニウム)サブマウント
908 アレイ
910 複数のVCSEL又はSE LED要素
1000 POFSIM
1002 送信用ピグテール
1004 受信用ピグテール
1010 エポキシ
1012 エポキシ穴
1020 ファイバブーツ
1100 POFSIM
1102 POF適合ファイバ
1104 はんだ封止
1200 POFSIM
1202 プリント基板
1204 トランジスタアウトラインCAN(TO can)パッケージ
1206 アクティブ光コネクタ
1208 アラインメントスリーブ
1210 外部ラッチ機構
1220 孔
1222 ねじ
1224 ナット