(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記突出部の前記先端部と、前記シール部材と、が接触する接触面は、前記回転軸線方向と交差する方向において、前記シール部材の前記シール部よりも前記固定部に近い側にあることを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ。
前記突出部は、前記薄板部材の厚み方向において、前記カートリッジ枠体と、前記薄板部材と、の間に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカートリッジ。
前記樹脂部材の材料は、前記シール部材の材料よりもJIS K6253試験方法による硬さが高い材料であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のカートリッジ。
前記回転軸線方向と交差する方向に関し、前記突出部の前記先端部と、前記シール部材と、が接触する接触面が、前記シール部材の前記シール部よりも前記固定部に近い側にあるように、前記第1の工程において前記シール部材と前記樹脂部材を成形することを特徴とする請求項7に記載のカートリッジの製造方法。
前記薄板部材を前記カートリッジ枠体に固定したときに前記薄板部材の厚み方向において、前記突出部が前記カートリッジ枠体と、前記薄板部材と、の間にあるように、前記第1の工程において前記シール部材と前記樹脂部材を成形することを特徴とする請求項7又は8に記載のカートリッジの製造方法。
前記樹脂部材の材料は、前記シール部材の材料よりも、JIS K6253試験方法による硬さが高い材料であることを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施例1)
以下に、本発明に係る実施形態の画像形成装置及びカートリッジを図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明において、カートリッジの長手方向Nとは、像担持体である感光体ドラムの回転軸方向である。
【0017】
(全体構成)
まず、画像形成装置本体及び画像形成装置の本体に着脱可能なプロセスカートリッジの全体構成において
図1、
図2を用いて概略説明する。
図1は実施例に係る電子写真画像形成装置本体の一形態であるレーザービームプリンタの全体構成を示す概略断面図、
図2は実施例に係るプロセスカートリッジの概略断面図である。
【0018】
画像形成装置本体Aは
図1に示すように、露光装置1からドラム形状の電子写真感光体である感光体ドラム7(像担持体)に、画像情報に基づいた情報光(光像)が照射される。これにより、感光体ドラム7には静電潜像が形成され、この静電潜像をトナー(現像剤)で現像してトナー像を形成する。そしてトナー像の形成と同期して、給紙部3a(カセット)から、ピックアップローラ3b及びこれに圧接する圧接部材3cによって記録紙、OHPシート、布等の記録媒体2を一枚ずつ分離給送する。搬送ガイド3f1に沿って搬送された記録媒体2には、転写手段としての転写ローラ4に電圧印加することによって、プロセスカートリッジBの感光体ドラム7に形成されたトナー像が転写される。さらにトナー像を転写された記録媒体2は搬送ガイド3f2に沿って定着手段5へ搬送される。この定着手段5は、駆動ローラ5aと筒状シートで構成された定着回転体5dと、定着回転体5dを回転可能に支持する支持体5cと、定着回転体5d内に配置されたヒータ5bを有する。ヒータ5bにより加熱された定着回転体5dが駆動ローラ5aに対して従動回転し、通過する記録媒体2に熱及び圧力を印加して転写トナー像を定着する。転写トナー像を定着した記録媒体2は排出ローラ3dで搬送され、反転搬送経路を通して排出部6へ排出される。なお本実例では、搬送手段3をピックアップローラ3b、圧接部材3c、排出ローラ3d等により構成しているがその限りではない。
【0019】
(カートリッジ構成)
カートリッジBは
図2に示すように、感光体ドラム7と、少なくとも1つのプロセス手段を備えたものである。プロセス手段としては、例えば感光体ドラム7を帯電させる帯電手段、感光体ドラム7に形成された静電潜像を現像する現像手段、感光体ドラム7に残留するトナーをクリーニングするためのクリーニング手段等がある。本実施例のカートリッジBでは、感光層を有する電子写真感光体である感光体ドラム7を回転駆動し、帯電手段である帯電ローラ8へ電圧を印加して感光体ドラム7の表面を一様に帯電する。この帯電した状態の感光体ドラム7に対して、露光装置1からの画像情報に基づいた情報光が露光開口9bを通して露光されて、感光体ドラム7表面に静電潜像を形成し、静電潜像を現像手段によって現像するように構成している。
【0020】
現像手段では、現像枠体10fに構成された現像剤収容部であるトナー収容部10a内のトナーをトナー送り手段である回転可能な送り部材10bで送り出す。そして、固定磁石10cを内蔵した現像剤担持体(現像回転体)である現像ローラ10dを回転させる。そして、現像ブレード10eとの摩擦によって帯電したトナーでトナー層を現像ローラ10dの表面に形成し、そのトナーを静電潜像に応じて感光体ドラム7に転移させることによってトナー像を形成して可視像化するものである。
【0021】
そして転写ローラ4にトナー像と逆極性の電圧を印加してトナー像を記録媒体2に転写する。転写後には、感光体ドラム7にクリーニング手段であるクリーニングブレード11aを作用させ、感光体ドラム7から残留トナーを掻き落とすと共に、スクイシート11bによって廃トナー収納部11c外への漏出を防いでいる。
【0022】
なお、カートリッジBは、感光体ドラムユニット11と現像ユニット10に分かれている。感光体ドラムユニット11は、感光体ドラム7と、帯電手段である帯電ローラ8と、クリーニング手段であるクリーニングブレード11aと、スクイシート11bと、クリーニングサブユニット12と、を備えたものである。クリーニングブレード11aは感光体ドラム7と当接するゴム部11a1とゴム部11a1を支持する板金部11a2とからなる。現像ユニット10は現像手段と現像枠体を構成するトナー収容部10aおよび現像容器を備えたものである。現像手段とは、現像ローラ10dと現像ブレード10e等がある。
【0023】
(クリーニングサブユニットのシール構成)
次に、実施例に係るクリーニングサブユニットのシール構成について
図3〜11を用いて詳細に説明する。
図3は実施例に係る感光体ドラムユニットの概略断面図である。
図4は実施例に係るクリーニングブレードとスクイシートが取り付けられたクリーニングサブユニットの概略正面図である。
図5は実施例に係るクリーニングサブユニットの概略正面図である。
図6は実施例に係るクリーニングサブユニットの縦シール近傍の概略正面図である。
図7は
図6のB−B断面を示した図である。
図8は実施例に係るクリーニングサブユニットの縦シール近傍の概略斜視図であり、
図8(b)は
図8(a)の部分詳細を示す図である。
【0024】
図3及び4に示すように、クリーニングサブユニット12には、クリーニングブレード11aとスクイシート11bが取り付けられている。感光体ドラム7に当接し廃トナーの漏出を防ぐためのスクイシート11bは、クリーニング枠体13に樹脂部材31を介して取り付けられている。本実施例では、スクイシート11bを溶着した樹脂部材31でクリーニング枠体13に固定している。
【0025】
そして、
図3及び5に示すように、クリーニングサブユニット12は、クリーニングブレード下シール14、縦シール15、16、端部シール19、20、及び樹脂部材31が設けられている。具体的には、クリーニングブレード下シール14は、クリーニング枠体13の長手方向Nの両端部に設けられたブレード取付座面21、22の間に渡って設けられている。そして、第1シールからなる縦シール15、16は
図6〜
図8に示すように、ブレード取付座面21、22近傍から、スクイシート11bを固定するための樹脂部材31と繋がるように設けられている。つまり、縦シール15、16及び樹脂部材31は、クリーニング枠体13に一体的に成形されている。このようにして、クリーニングブレード下シール14及び縦シール15、16でクリーニングブレード11aとクリーニング枠体13の隙間がシールされる。
【0026】
なお、第1シール材としては、弾性を有し、射出成形可能な樹脂であればよく、エラストマー樹脂を用いることができる。第1シール材としては、クリーニング枠体13と同系の材質からなり弾性を有する材料を用いることにより、プロセスカートリッジBのリサイクル時において、クリーニング枠体13と分離する必要がなくなるため好ましい。そのため、本実施例では、ポリスチレン樹脂からなるクリーニング枠体13と同系の材質からなるスチレン系エラストマー樹脂を用いたが、この他、シリコン系ゴムや軟質ゴムなどを用いても良い。しかしながら、クリーニングブレード11aのゴム部11a1が感光体ドラム7と当接し、撓むことにより縦シール15(16)が圧縮される。縦シール15(16)の反発力が大きいと、クリーニングブレード11のゴム部11a1の感光体ドラム7に対する当接圧が大きくなる。ひいては、クリーニングブレード11aのクリーニング性能に影響が出たり、感光体ドラム7との摩擦力が大きくなりすぎてゴム部11a1がめくれたりするなどの支障が発生しうる。よって、圧縮されても低い反発力を有する、つまり、柔らかく弾性率の低い材料を選択するのが望ましい。但し、成形性も考慮し本実施例では、JIS K6253試験方法による硬さが20〜30程度の物を使用した。
【0027】
また、
図9に示すように端部シール19(20)は、感光体ドラム7と当接する表面19a(20a)と、カートリッジ枠体13の貼り付け面13tに接着するための粘着面19b(20b)とを有する。このように、端部シール19、20が感光体ドラム7と当接するようにして配置されることにより、感光体ドラム7とクリーニング枠体13との隙間がシールされ、カートリッジBの外部へのトナーの漏れ出しを防止する。なお、
図8に示すように、端部シール19、20をカートリッジ枠体13の貼り付け面13tに接着するため、貼り付け面13tに溝部13mを設け、溝部13mを介して縦シール15(16)と樹脂部材31が繋がり、一体的に成形された構成とされている。端部シール19(20)としては、表面19a(20a)がフェルトや不職布、繊維を織り込んでできたパイル、静電植毛等の可撓性部材で構成されたものが用いられる。
【0028】
次に、縦シール15、16に関して詳細に説明する。ここで、本実施例においては、縦シール15と16は、クリーニング枠体の長手方向Nに対して対称的な構成とした。そこで、以下では縦シール15を例にとり、説明を行う。
図7に示すように縦シール15は長手方向Nに交差する短手方向Mに延び、第1部分15a、第2部分15b、及び第3部分15cの3つの部分を有する。
【0029】
(縦シールの第1部分15a)
図7に示すように、縦シール15の第1部分15aは、クリーニングブレード11aとクリーニング枠体13の間に位置する。より具体的には、
図10に示すように、第1部分15aにおいては、クリーニング枠体13からクリーニングブレード11aへ向かって延び、クリーニングブレード11aと当接する構成とする。このとき、縦シール15のクリーニング枠体13との接触部とクリーニングブレード11aとの接触部とを結んだ線が長手方向Nに対し、直交しないように交差するように配置されることが好ましい。このように長手方向Nに対して傾斜させ、縦シール15を配置することにより、クリーニングブレード11aとクリーニング枠体13との間で縦シール15は撓むように変形した状態で固定される。これより、縦シール15の変形により生じるクリーニングブレード11aのゴム部11a1への反発力を低減させることができる。ひいては、感光体ドラム7がクリーニングブレード11aのゴム部11a1から受ける当接圧力を縦シール15、16近傍で高くなることを抑制し、感光体ドラム7の表面のクリーニング性を均一化し、より良く安定化することができる。なお、第1部分15aの傾斜した形状はクリーニングブレード11aのゴム部11aと当接する部分のみでよいが、板金部11a2と当接する部分も同様の形状としてもよい。傾斜の方向は、長手方向Nにおいてクリーニング枠体13の内側方向(
図10(a))でも、外側方向(
図10(b))であっても、どちらでもよい。本実施例では、クリーニング枠体13及びクリーニングブレード11aの長手方向Nにおける長さを短くするため、内側へ傾斜した形状が望ましく、採用している。また、トナー封止の観点からも、長手方向Nにおいてクリーニング枠体13の内側へ傾斜した形状とした。
【0030】
(縦シールの第2部分15b)
次に、縦シール15の第2部分15bの説明をする。
図7に示すように、第2部分15bは、長手方向Nにおいて、第1部分15aにつながる様にして形成される。
図9に示すように、第2部分15bは、クリーニング枠体3及び端部シール19に圧縮され、クリーニング枠体13と端部シール19の間をシールするようにして設けられる。
【0031】
より具体的には、
図8(b)に示すように、第2部分15bは、3つの接触部(15b1、15b2、15b3)で端部シール19と接触する。接触部15b1は、第1部分15aと貼り付け面13tをなだらかに繋ぐ傾斜面を形成している。これにより、端部シール19が貼り付け面13tに貼られた際に、縦シール15aと貼り付け面13tとの段差を端部シール19が塞ぐことができず、隙間が生じることを防止し、より確実にトナー漏れを防止する構成としている。
【0032】
次に、接触部15b1につながる接触部15b2は、貼り付け座面13tとほぼ同じ高さとし、粘着層19bと貼り付け面13tとが確実に接着するようにしてある。なお、接触部15b2は、貼り付け座面13tとほぼ同じ高さとするため、カートリッジ枠体13の貼り付け面13tに溝部13mを設け、溝部13mに接触部15b2を設けている。
【0033】
そして、接触部15b2からなだらかにつながる接触部15b3は、
図7に示すように、貼り付け面13tからスクイシート11bが取りけられる固定面13sにつながる段差部13pに設けられる。接触部15b3は、段差部13pから貼り付け面13tの延びる方向に突出したリブ形状とされている。貼り付け面13tと段差部13pとが交わる隅部13rにおいては、曲線形状15b3rを設け、なだらかに接触部15b2と15b3とをつながるように形成した。これにより、端部シール19がクリーニング枠体13に貼りつけられた際にクリーニング枠体13の貼り付け面13tと段差部13pとが交わる隅部13rを端部シール19で塞ぐことができず、隙間が生じることを防止する。この結果、より確実に端部シール19とクリーニング枠体13の間からトナー漏れを防止する構成としている。また、接触部15b3においては、幅の細いリブ形状とし、接触部15b3を端部シール19が圧縮し、変形した状態で固定されることにより生じる端部シール19への反発力を低減させることができる。本実施例では、接触部15b3の幅を約0.6mmとした。この結果、
図9に示すように、端部シール19により接触部15b3を容易に圧縮、変形させることができ、より良く端部シール19とカートリッジ枠体13との間に隙間が生じることを防止し、より確実にトナー漏れを防止する構成としている。
【0034】
(縦シールの第3部分15c及び樹脂部材31)
次に第3部分15cの説明をする。第3部分15cは、
図9に示すように、スクイシート11bとクリーニング枠体13との間に形成される。第3部分15cの一端は、第2部分15bの接続部15b3につながるようにして形成される。一方、第3部分15cの他端は、第2シール材からなる樹脂部材31と連続的に形成されている。より具体的には、
図7に示すように樹脂部材31は、クリーニング枠体13の長手方向Nに沿って延びた長手接着部31aと、長手方向Nの両端に設けられた短手方向Mに沿って延びた端部樹脂部31bを有する。そして、この端部樹脂部31bが第3部分15cの他端につながり、縦シール15と樹脂部材31が一体的に形成されている。つまり、縦シール15と樹脂部材15とは接触し、界面である境界部103がスクイシート11bとクリーニング枠体13との間、つまり第3部分15cに位置するように形成されている。これにより、スクイシート11bとクリーニング枠体13との間において、樹脂部材31と第3部分15cに隙間ができることがなく、より確実にトナー漏れを防止する構成としている。
【0035】
なお、本実施例では、第3部分15cを設ける構成としたが、第3部分15cを設けず、
図11(a)に示すように、第2部分15b(接触部15b3)と樹脂部材31とが接触し、一体化する構成としてもよい。さらには、
図11(b)に示すように、端部樹脂部31bを設けず、第3部分15cと長手接着部31aとが接触し、一体化する構成としてもよい。つまり、縦シール15と樹脂部材31の界面からなる境界部103は、スクイシート11bとクリーニング枠体13との間に挟まれた領域において、縦シール15が延びる短手方向に長手樹脂部31aと交差しない範囲に設ければよい。
【0036】
また、第2シール材としては、エラストマー樹脂を用いているが、縦シール15に用いる第1シール材と異なる樹脂を使用する。具体的には、第2シール材としてJIS K6253試験方法による硬さが50程度と、第1シール材に比べて硬い材料を用いることにより、スクイシート11bを高精度にクリーニング枠体13へ配置可能とする。その一方で、第2シール材として弾性率が2.5MPa〜10MPaの樹脂が用いることにより、縦シール15,16など他のシール部材の成形と同様に樹脂部材31を枠体に成形可能とする。
【0037】
なお、第1シール材と同様、第2シール材としては、クリーニング枠体13と同系の材質からなり弾性を有する材料を用いることにより、プロセスカートリッジBのリサイクル時において、クリーニング枠体13と分離する必要がなくなるため好ましい。そのため、本実施例では、ポリスチレン樹脂からなるクリーニング枠体13と同系の材質からなるスチレン系エラストマー樹脂を用いたが、この他、射出成形可能な樹脂であればよく、シリコン系ゴムや軟質ゴムなどを用いても良い。
【0038】
また、本実施例では、ポリスチレン樹脂からなるクリーニング枠体13、ポリエステル樹脂からなる薄板部材のスクイシート11bを用いた。このため、クリーニング枠体13とスクイシート11bは、材質の違いによって、雰囲気温度変動が発生した場合に、熱膨張の差によってスクイシート11bにうねりが発生する恐れがある。この場合、スクイシート11bと当接している感光体ドラム7と間に隙間ができ、廃トナーが漏出しうる。
【0039】
そこで本実施例では、枠体に成形した樹脂部材31が、クリーニング枠体13とスクイシート11bの高温下の環境放置での線膨張の差を吸収する緩衝材として働くことを可能としている。これにより、高温下の環境放置後のシート部材のうねりを防止することができる。
【0040】
(スクイシートの固定)
次にスクイシート11bの固定構造について説明する。スクイシート11bは、樹脂部材31を介し、クリーニング枠体13に固定される。より具体的には、スクイシート11bは、樹脂部材31の長手接着部31aと端部樹脂部31bが溶着し、クリーニング枠体13に固定されている。
【0041】
(本実施例の効果)
以上のように本実施例では、樹脂の射出成形によって縦シール15や樹脂部材31を形成することで、スクイシート固定面13sとスクイシート11bとの間にできる隙間102を埋めることができる。さらには、縦シール15や樹脂部材31を溶融し、スクイシート11bと密着させることにより、隙間をなくし、クリーニング枠体13の端部のトナーの封止性を高めることができる。この結果、従来、クリーニング枠体13と端部シール19との間の隙間を塞ぐ為に行っていたホットメルトの注入工程が不要となり、本実施例に係る構成とすることにより、作成工程の簡略化を図ることができる。
【0042】
また、本実施例に係る構成とすることにより、軟体部材であるシール部材を用いない構成とすることができ、組み立て易く、生産性の高いカートリッジとすることができる。
【0043】
(クリーニングサブユニットの製造方法)
続いて
図12ないし20を用いて、クリーニングサブユニットの形成方法を説明する。
図12はクリーニング枠体の概略斜視図、
図13〜
図16は、クリーニング枠体へ射出成型する工程を説明するための模式断面図である。
【0044】
(射出成形工程)
以下では、縦シール15、16及び樹脂部材31をクリーニング枠体13へ射出成形する工程を説明する。
図13は実施例に係るクリーニング枠体の注入口を示した概略斜視図、
図14は実施例に係るクリーニング枠体を樹脂注入装置へセットした状態の斜視図である。
図15は実施例に係るクリーニング枠体へ樹脂を注入成形する際の概略断面図であり、
図16は
図15(c)を示した部分拡大図である。
【0045】
まず始めに、溶融樹脂を注入するための注入口26、27、44、45及び縦シール15、クリーニングブレード下シール14、並びに樹脂部材31を保持するための溝部13m、14m、31mが設けられたクリーニング枠体13を準備する。なお、注入口26、27、44、45は、カートリッジ枠体13を貫通する穴として設けられている。本実施例では、クリーニング枠体13に設けている注入口25、26、27、28、29は、クリーニング枠体13の長手方向における位置が互いにずらして配置している。
【0046】
図16に示すように、縦シール15、16を形成するための縦シール型51、52及び樹脂部材31を形成するためのスクイシート型53をクリーニング枠体13に固定する。これにより、縦シール型51、52とクリーニング容器13で形成される空間に注入口26、27から溶融樹脂を注入可能な構成とした。なお、本実施例では縦シール型51(52)は、第1部分15aを形成するための型51aと第2部分15b〜15cを形成するための型51bの2つに分けた構成とした。しかしながら、これに限らず、型51aと型51bが一体となった縦シール型51を用いてもよい。
【0047】
また同様にスクイシート型53とクリーニング容器13で形成される空間に注入口28、29から溶融樹脂を注入可能な構成とした。このとき、スクイシート型53とクリーニング容器13で形成される空間は、縦シール型51、52とクリーニング容器13で形成される空間に連通するようにされる。
【0048】
なお、本実施例では、縦シール15、16及び樹脂部材31に加えてクリーニングブレード下シール14も同一工程で成形する成形工程とした。このため、クリーニングブレード下シール14を形成するための下シール型50もクリーニング枠体13に固定し、下シール型50とクリーニング枠体13とで形成される空間に注入口25から溶融樹脂を注入可能な構成とした。
【0049】
そして、
図14に示すようにクリーニング枠体13を樹脂注入装置40にセットする。樹脂注入装置40は、2つの樹脂供給部40a、40bから構成され、クリーニングブレード下シール14及び縦シール15、16の材料を供給するホッパー部46(40a)、及び樹脂部材31の材料を供給するホッパー部47(40b)が設けられている。また、
図15で示すように樹脂を射出するゲート41〜45は各々の注入口25〜29に対応する位置に注入口と同一方向に配置されている。さらに、クリーニング枠体13に設けられた注入口25〜29も同一方向に配置されていることにより、ゲート41〜45が注入口25〜29に同時に当接可能な構成としている。
【0050】
次に、ゲート41、42、43と注入口25、26、27とが当接した状態で樹脂供給部40aのプランジャ55、56、57を矢印方向へ駆動する。これによって、クリーニングブレード下シール14及び縦シール15、16のシール材である第一のエラストマー樹脂をゲート41、42、43から射出する。同様に、ゲート44、45と注入口28、29とが当接した状態で樹脂供給部40bのプランジャ58、59を矢印方向へ駆動する。これによって、樹脂部材31の材料である第二のエラストマー樹脂をゲート44、45から射出する。射出された第一エラストマー樹脂は、クリーニング枠体13と下シール型50、縦シール型51、52とで形成された空間に流し込まれる。同様に射出された第二エラストマー樹脂は、クリーニング枠体13とスクイシート型53とで形成された空間に流し込まれる。
【0051】
このとき、クリーニング枠体13とスクイシート型53とで形成される空間の一部にゲート41、42、43から射出された第一のエラストマー樹脂が流れ込むようにして形成する。プランジャ56〜59の始動タイミングや移動量、移動速度を調整し、流し込まれた第一のエラストマー樹脂と、第二のエラストマー樹脂とがぶつかり、形成される境界部103が第3部分15cに形成されるよう設定する。
【0052】
射出終了後、クリーニング枠体13をクリーニングブレード下シール型50、縦シール型51、52、及び樹脂部材型53から取り外し、離形を行う。これにより、クリーニング枠体13にクリーニングブレード下シール14、縦シール15、16、及び樹脂部材31を一体的に成形することができる。
【0053】
このようにしてクリーニングサブユニット12が完成する。
【0054】
(クリーニングブレード及び端部シール取り付け工程)
クリーニングブレード11aは、クリーニングブレード下シール14上に配置され、クリーニング枠体13の長手方向Nの両端部に設けられたブレード取付座面21、22にねじなどの固定部材17によりクリーニング枠体13に固定する。このとき、クリーニングブレード下シール14によりクリーニング枠体13とクリーニングブレード11aの板金11a2の間がシールされる。
【0055】
そして、
図17に示すように、端部シール19は、クリーニングブレード11a及び後ほど取り付けられる感光体ドラム7、スクイシート11bと当接するようにカートリッジ枠体13の貼り付け面13tに接着される。端部シール19は、粘着面19bがカートリッジ枠体13の溝部13m、つまり縦シール15上に固定する。このとき、
図17(b)に示すように、縦シール15、より具体的には段差部13pから突出する接触部15b3を潰すようにして端部シール19をクリーニング枠体13に固定し、端部シール19とクリーニング枠体13との隙間がシールされるようにする。
【0056】
(スクイシート貼り付け工程)
次にスクイシート11bの貼り付けについて説明する。本実施例ではスクイシート11bはポリエステル製のシートを用いた。クリーニング枠体13に成形された樹脂部材31の上にスクイシート11bを所定の位置に配置する。そして、
図18に示すように、樹脂部材31の融点以上で且つスクイシート11bの材料の融点以下に加熱されたヒートバーなどの加熱体71を押しあてる。この加熱体71による熱と圧力によって樹脂部材31を溶融させ、クリーニング枠体13とスクイシート11bの接着を行う。より具体的には、樹脂部材31の長手接着部31aだけでなく、端部樹脂部31bと縦シール第3部分15cの全てを加熱する。これにより、端部樹脂部31bは溶融してスクイシート11bに接着するとともに、第3部分15cに存在する縦シール15の一部も溶融させてスクイシート11bに密着させる。このため、樹脂部材31はスクイシート11bの材料と相溶性のある材料を用いることが好ましい。
【0057】
さらには、樹脂部材31の溶融方法としては、加熱体71の押しあての他、スクイシート11bに光透過性の高いシート材を用い、樹脂部材31にレーザー照射を行い、樹脂部材31を溶融させてもよい。この場合にあっては、
図19に示すように、光透過性の高いガラスなどの透明固定体72でスクイシート11bを固定したうえで、レーザーヘッド73を走査させ、長手樹脂部31aと端部樹脂部31bにレーザーを照射する。樹脂部材31としては、レーザー光を吸収し、溶融するものであればよく、熱溶融する樹脂に光を吸収するレーザー反応剤、例えばカーボンを添加したものを使用することができる。本実施例においては、樹脂部材31として使用する第2シール材は、カーボンを0.5〜12質量部含有させスチレン系樹脂を使用した。
【0058】
クリーニングサブユニット12にスクイシート11bを固定後、感光体ドラム7及び帯電ローラ8を所定の位置に固定することで感光体ドラムユニット11が完成する。そして、感光体ドラムユニット11に現像ユニット10を一体化することによりカートリッジが完成する。
【0059】
なお、各々の型50〜53はクリーニング枠体13に対し、樹脂が漏れないように当接した状態として射出工程を行えばよく、本実施例のように型50〜53を同時に当接させる他、順次当接させた後、射出工程を行ってもよい。
【0060】
(本実施例の効果)
本実施形態にでは、製造されたカートリッジBは、カートリッジBの構成により奏する効果の他、クリーニングブレード下シール14、縦シール15及び16、樹脂部材31といった複数の部品を樹脂注入装置40で同一工程により製造することができる。このため、生産性を高めることができる他、カートリッジ枠体へ軟体部材であるシール部材を貼り付ける工程を有さないため、自動機による組立を可能とすることができる。