特許第6425557号(P6425557)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6425557
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】感光体ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/18 20060101AFI20181112BHJP
   G03G 15/02 20060101ALI20181112BHJP
【FI】
   G03G21/18 121
   G03G15/02 101
【請求項の数】7
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-10359(P2015-10359)
(22)【出願日】2015年1月22日
(65)【公開番号】特開2016-133775(P2016-133775A)
(43)【公開日】2016年7月25日
【審査請求日】2017年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】片山 弘雅
【審査官】 三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−095532(JP,A)
【文献】 特開2012−141443(JP,A)
【文献】 特開2014−186130(JP,A)
【文献】 特開平07−152224(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0154247(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/18
G03G 21/16
G03G 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の装置本体から入力された駆動力によって回転可能な感光体と、帯電ローラ軸と前記帯電ローラ軸の周囲に形成された弾性層を有し、かつ回転可能に支持されるとともに、前記感光体に接触して電圧が印加されることによって前記感光体を帯電するための帯電ローラと、前記帯電ローラを前記感光体に向かう方向に付勢する付勢手段と、を備え、前記装置本体に着脱可能な感光体ユニットであって、
前記感光体に固定され、前記感光体の回転軸線を中心に回転する第1のギアと、
前記第1のギアと係合し、前記第1のギアの駆動力を受けて回転する第2のギアと、
前記帯電ローラの回転軸線を中心として前記帯電ローラ軸に回動可能に支持され、前記第1のギアに係合して前記第1のギアから駆動力を受ける係合部を有し、かつ、前記係合部が前記第1のギアに係合した状態で前記感光体と前記帯電ローラとを離間させた離間状態を保持する離間位置と、前記感光体と前記帯電ローラとの離間状態を解除して前記感光体と前記帯電ローラとを接触させる解除位置との間で回動可能な離間部材であって、前記離間状態を解除する時に、前記付勢手段によって前記帯電ローラの前記感光体に向かう方向への移動に伴って前記感光体に向かう方向に移動する離間部材と、を備え、
前記離間部材が前記離間位置に位置する時に、前記離間部材は前記付勢手段によって前記第1のギアを押圧し、
前記係合部は、前記第1のギアに向かって突出した複数の突出部と、隣り合う前記突出部の間に底面部を有し、
前記第1のギアは、複数のギア歯と、隣り合う前記ギア歯の間に歯底部を有し、
前記ギア歯の先端部と前記突出部の先端部のうちの少なくとも一方は、前記底面部または前記歯底部に接触可能であることを特徴とする感光体ユニット。
【請求項2】
前記離間状態が解除される際に、前記突出部の側面は前記ギア歯の側面と接触し、前記離間状態において、前記複数の突出部のそれぞれは、前記係合部における前記離間部材の回動方向において前記突出部の上流側と下流側とに隣接して位置する前記ギア歯のうちの少なくとも一方の前記ギア歯の前記側面から離れるように、前記ギア歯と前記突出部とが構成されていることを特徴とする請求項1に記載の感光体ユニット。
【請求項3】
前記離間状態において、前記突出部の先端部が前記歯底部に接触することなく、前記ギア歯の先端部が前記底面部に接触することを特徴とする請求項1に記載の感光体ユニット。
【請求項4】
前記感光体の表面に接触して清掃するための清掃部材と、前記清掃部材によって除去されたトナーを回収するための回収部と、前記回収部に回収されたトナーを前記感光体ユニットの外に搬送するための搬送部と、を更に備え、
前記搬送部は前記第2のギアから駆動力を受けることによって前記回収部に回収されたトナーを前記感光体ユニットの外に搬送するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の感光体ユニット。
【請求項5】
回転可能な感光体と、弾性層を有し、かつ回転可能に支持されるとともに、前記感光体に接触して電圧が印加されることによって前記感光体を帯電するための帯電ローラと、前記帯電ローラを前記感光体に向かう方向に付勢する付勢手段と、を備え、画像形成装置の装置本体に着脱可能な感光体ユニットであって、
前記装置本体から前記感光体ユニットに入力された駆動力によって回転する第1のギアと、
前記第1のギアと係合し、前記第1のギアの回転力を受けて回転する第2のギアと、
前記第1のギアに係合して前記第1のギアから駆動力を受ける係合部を有し、かつ、前記係合部が前記第1のギアに係合した状態で前記感光体と前記帯電ローラとを離間させた離間状態を保持する離間位置と、前記感光体と前記帯電ローラとの離間状態を解除して前記感光体と前記帯電ローラとを接触可能とする解除位置との間で回動可能な離間部材であって、前記離間状態を解除する時に、前記付勢手段によって前記帯電ローラの前記感光体に向かう方向への移動に伴って前記感光体に向かう方向に移動する離間部材と、を備え、前記離間部材が前記離間位置に位置する時に、前記離間部材は前記付勢手段によって前記第1のギアを押圧し、
前記係合部は、前記第1のギアの回転軸線方向における前記第2のギアと係合する領域と重ならない領域で前記第1のギアと係合することを特徴とする感光体ユニット。
【請求項6】
前記感光体は前記駆動力を受けて回転し、前記第1のギアは前記感光体の回転に伴って回転することを特徴とする請求項5に記載の感光体ユニット。
【請求項7】
前記感光体の表面に接触して清掃するための清掃部材と、前記清掃部材によって除去されたトナーを回収するための回収部と、前記回収部に回収されたトナーを前記感光体ユニットの外に搬送するための搬送部と、を更に備え、
前記搬送部は前記第2のギアから駆動力を受けることによって前記回収部に回収されたトナーを前記感光体ユニットの外に搬送するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の感光体ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真プロセスを利用した画像形成装置に装着可能な感光体ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
メンテナンスを容易にするために、感光体及びその他の画像形成に係る部品を一体にした感光体ユニットを交換する方式を採用する電子写真方式の画像形成装置が知られている。また、このような方式を採用する画像形成装置において、弾性層を有する帯電ローラをバネ等による付勢力によって感光体に接触させて感光体を帯電させる接触帯電方式が多く採用されている。
【0003】
このような接触帯電方式において、帯電ローラと感光体とを長期間接触させたまま感光体ユニットを放置しておくと、帯電ローラにおける感光体に接触していた箇所が変形してしまい、画像形成を行った際に画像不良を生じる場合があった。
【0004】
このような画像不良を抑制するために、感光体と帯電ローラとの間にスペーサを挟み込んで感光体ユニットを出荷し、スペーサを取り外してから画像形成装置の装置本体に感光体ユニットを装着する構成が知られている。
【0005】
しかし、このような構成では、感光体ユニットを装置本体に装着するときにユーザーがスペーサを取り外す手間がかかってしまうという問題があった。
【0006】
そこで、特許文献1には、感光体ユニットを画像形成装置の装置本体に装着するときにユーザーがスペーサを取り外す事なく、感光体が回転することによって離間されていた帯電ローラが感光体に当接するような構成が開示されている。特許文献1の構成では、帯電ローラの回転軸に嵌められた離間部材の先端に設けられたギア歯が感光体と同軸に設けられた感光体ギアと係合した状態で感光体と帯電ローラとを離間させる構成になっている。そして、感光体を回転させることによって離間部材が回動して感光体ギアと離間部材に設けられたギア歯との係合が外れることで感光体と帯電ローラが当接するようになっている。
【0007】
このような構成において、感光体ユニットに備えられた例えばトナー搬送スクリューや現像器などの部材に駆動力を伝えるための感光体ギアを利用して離間部材に駆動力を伝達する構成が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−95532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
感光体ユニットが出荷されてから画像形成装置の装置本体に装着されるまでの間、例えば運搬中に、感光体ユニットに振動が加わることがある。このような振動が加わる事によって離間部材のギア歯が感光体ギアから一旦離れて再度噛み合う時に感光体ギアのギア歯と離間部材のギア歯の側面同士が衝突する事があった。その結果、感光体ギアのギア歯の側面に打痕による欠けや凹みが発生する事があった。
【0010】
その結果、感光体ギアのギア歯の側面に発生した欠けや凹みの影響により、画像形成中に感光体ギアと噛み合って駆動力を受ける部材に振動が発生し、画像不良の原因となる恐れがあった。
【0011】
本発明の目的は、ギアと係合する離間部材を備えた感光体ユニットに振動が加わった場合であっても、その振動に起因して、感光体ユニットを画像形成装置の装置本体に装着した後の画像形成時に画像不良が発生する事を軽減することが可能な感光体ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、本発明に関る感光体ユニットは、画像形成装置の装置本体から入力された駆動力によって回転可能な感光体と、帯電ローラ軸と前記帯電ローラ軸の周囲に形成された弾性層を有し、かつ回転可能に支持されるとともに、前記感光体に接触して電圧が印加されることによって前記感光体を帯電するための帯電ローラと、前記帯電ローラを前記感光体に向かう方向に付勢する付勢手段と、を備え、前記装置本体に着脱可能な感光体ユニットであって、前記感光体に固定され、前記感光体の回転軸線を中心に回転する第1のギアと、前記第1のギアと係合し、前記第1のギアの駆動力を受けて回転する第2のギアと、前記帯電ローラの回転軸線を中心として前記帯電ローラ軸に回動可能に支持され、前記第1のギアに係合して前記第1のギアから駆動力を受ける係合部を有し、かつ、前記係合部が前記第1のギアに係合した状態で前記感光体と前記帯電ローラとを離間させた離間状態を保持する離間位置と、前記感光体と前記帯電ローラとの離間状態を解除して前記感光体と前記帯電ローラとを接触させる解除位置との間で回動可能な離間部材であって、前記離間状態を解除する時に、前記付勢手段によって前記帯電ローラの前記感光体に向かう方向への移動に伴って前記感光体に向かう方向に移動する離間部材と、を備え、前記離間部材が前記離間位置に位置する時に、前記離間部材は前記付勢手段によって前記第1のギアを押圧し、前記係合部は、前記第1のギアに向かって突出した複数の突出部と、隣り合う前記突出部の間に底面部を有し、前記第1のギアは、複数のギア歯と、隣り合う前記ギア歯の間に歯底部を有し、
前記ギア歯の先端部と前記突出部の先端部のうちの少なくとも一方は、前記底面部または前記歯底部に接触可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、帯電ローラと感光体とを離間させる離間部材におけるギアと係合する係合部がギアと衝突した場合であっても、感光体ユニットを画像形成装置の装置本体に装着した後の画像形成時に画像不良が発生する事を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】画像形成装置の模式的な断面図である。
図2】感光体ユニットを示した斜視図である。
図3】感光体ユニットにおける帯電ローラの付勢機構を示した斜視図である。
図4】感光体ユニットの断面図である。
図5】感光体ユニットの離間保持状態を示した斜視図である。
図6】感光体ユニットの離間保持および付勢機構を示した斜視図である。
図7】離間保持の自動解除の動作を示した説明図である。
図8】離間保持部材が離れた状態を示した説明図である。
図9】離間保持部材の係合部と感光体ギアとの係合部分を示した説明図である。
図10】感光体ユニットにおける感光体ギア周辺を示した説明図である。
図11】離間保持部材の係合部と感光体ギアとの係合部分を示した説明図である。
図12】離間保持部材と感光体ギアとの接触部を示した説明図である。
図13】離間保持部材と感光体ギアとの接触部を示した平面図である。
図14】感光体ギアと離間保持部材の係合部との回転軸線方向における係合領域を示した説明図である。
図15】離間保持部材の係合部と感光体ギアとの係合部分を示した説明図である。
図16】比較例における離間保持状態を示した説明図である。
図17】比較例における離間保持部材の係合部と感光体ギアとの係合部分を示した説明図である。
図18】比較例における感光体ギア周辺を示した説明図である。
図19】比較例における感光体ギアとトナー搬送スクリューに駆動力を伝えるギアとの係合部分を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、各図面において同一の符号を付したものは、同一の構成又は作用をなすものであり、これらについての重複説明は適宜省略する。なお、構成部品の寸法、材質、形状、及びその相対位置等は、特に特定的な記載がない限りは、この技術思想の適応範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0016】
(実施例1)
まず、画像形成装置の全体構成および動作について、図1を用いて説明する。その後、帯電ローラと感光体とを離間して保持する離間保持機構および画像形成装置の装置本体から駆動力が入力されて感光体の駆動に伴う離間保持の自動解除機構について詳細に説明する。
【0017】
(画像形成装置の全体構成及び動作)
図1は、本発明の一実施例に係る画像形成装置の模式的な断面図である。本実施例の画像形成装置1は、電写真方式を用いてフルカラー画像の形成が可能な、中間転写方式を採用したタンデム型の画像形成装置である。
【0018】
本実施例の画像形成装置1は、Y(イエロ)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色のトナー像をそれぞれ形成する画像形成部を備える。これらの画像形成部の構成及び動作は、使用するトナーの色が異なることを除いて実質的に同一である。したがって、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用の要素であることを示す符号の末尾のY、M、C、Kを省略して、当該要素について総括的に説明する。
【0019】
画像形成部は、ドラム形(円筒形)の電子写真感光体(感光体)である像担持体としての感光ドラム11を有する。感光ドラム11は、画像形成装置の装置本体に備えられている図示しない駆動手段からの駆動力が伝達されて100mm/secのプロセススピード(周速度)で回転駆動される。
【0020】
画像形成部において、感光ドラムの周囲には、その回転方向に沿って順に、次の各手段が配置されている。
【0021】
まず、帯電手段としての回転可能なローラ状の帯電部材である帯電ローラ12が配置されている。次に、露光手段(静電潜像形成手段)としての露光装置(レーザースキャナー装置)16による露光を感光ドラム11の表面に受ける配置になっている。
【0022】
次に、現像手段としての現像装置14が配置されている。現像装置14には、トナー収容容器としてのトナーボトル19から図示しないトナー搬送路を介してトナーが供給される。
【0023】
次に、一次転写手段としてのローラ状の一次転写部材である一次転写ローラ17が配置されている。
【0024】
次に、感光体の清掃手段としてのドラムクリーニング装置15が配置されている。
【0025】
また、画像形成部には、帯電部材の清掃手段としてのローラ状の帯電清掃部材であるクリーニングローラ13が帯電ローラ12に接触して配置されている。本実施例では、帯電ローラ12は、感光ドラム11の表面に付勢手段としての例えばバネなどの付勢部材によって所定の押圧力で接触させられており、感光ドラム11の回転に伴って従動して回転する。
【0026】
また、本実施例では、清掃ローラ13は、帯電ローラ12の表面に付勢手段としての例えばバネなどの付勢部材によって所定の押圧力で接触させられており、帯電ローラ12の回転に伴って従動して回転する。
【0027】
また、画像形成装置1は、各画像形成部の各感光ドラム11と接触するように、中間転写体としての無端状のベルト体で形成された中間転写ベルト61を有する。中間転写ベルト61は、複数の支持ローラ(張架ローラ)に所定の張力をもって掛け回されている。中間転写ベルト61の内周面側(裏面側)において各感光ドラム11と対向する位置に、上述の一次転写ローラ17が配置されている。
【0028】
一次転写ローラ17は、中間転写ベルト61を介して感光ドラム1に押圧されており、中間転写ベルト61と感光ドラム11とが接触する一次転写部(一次転写ニップ部)N1を形成している。一次転写ローラ17は、中間転写ベルト61の回転に伴って従動して回転する。
【0029】
また、中間転写ベルト61の外周面側(表面側)において二次転写対向ローラ62に対向する位置に、2次転写手段としてのローラ状の二次転写部材である二次転写ローラ35が配置されている。二次転写ローラ35は、中間転写ベルト61を介して二次転写対向ローラ35に押圧されており、中間転写ベルト61と二次転写ローラ35とが接触する二次転写部(二次転写ニップ部)N2を形成している。また、中間転写ベルト61の外周面側においてテンションローラ64に対向する位置に、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置70が配置されている。中間転写ベルト61は、ポリイミドなどの誘電体樹脂によって無端状に形成されている。
【0030】
その他、画像形成装置1には、記録用紙などの記録材Pの給搬送ローラ23、トナー像を記録材Pに定着させる定着器40などが設けられている。
【0031】
画像形成時には、回転駆動される感光ドラム11の表面は、帯電ローラ12によって所定の極性の所定の電位に一様に帯電される。本実施例においては、帯電ローラ12に対して図示しない高圧電源(帯電電源)から−1300Vの直流電圧のみが印加されて感光ドラムの表面に対して放電が発生することによって感光ドラムの表面が約−700Vに帯電される。
【0032】
感光ドラムの表面が一様に帯電された後、画像情報の信号に基づいてレーザスキャナ16によって感光ドラムの表面が走査露光されて感光ドラム上に静電潜像(静電像)が形成される。感光ドラム11上に形成された潜像は、現像器14によって現像剤としてのトナーを用いてトナー像として現像される。
【0033】
本実施例では、トナーの正規の帯電極性は負極性である。現像装置14は、トナーを担持して感光ドラム11との対向部(現像位置)に搬送する現像剤担持体としての現像スリーブを有している。現像スリーブは、回転駆動される。現像時に、現像スリーブには、図示しない現像電源としての高圧電源から所定の現像電圧(現像バイアス)が印加される。現像電圧としては、直流電圧(直流成分)と交流電圧(交流成分)とが重畳された振動電圧が用いられる。
【0034】
感光ドラム11上に形成されたトナー像は、一次転写部N1において、一次転写ローラ17の作用により、中間転写ベルト61の表面に転写(一次転写)される。このとき、一次転写ローラ17には、図示しない一次転写電源(高圧電源)から、現像時のトナーの帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の直流電圧である一次転写電圧(一次転写バイアス)が印加される。フルカラー画像の形成時には、上述の動作が各画像形成部において行われ、各感光ドラム1上に形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像が、順次に重ね合わせるようにして中間転写ベルト61上に転写される。
【0035】
転写後、感光ドラム11上に残った僅かな転写残トナーは、清掃部材としてのクリーニングブレード15によって除去され、回収部に回収される。
【0036】
一方、給紙カセット20から記録材Pが1枚ずつ給送され、レジストローラ対23に搬送される。その後、レジストローラ対23は、中間転写ベルト61上のトナー像と同期を取って、記録材Pを中間転写ベルト61と二次転写外ローラ35との間に搬送する。中間転写ベルト61上のカラーのトナー像は、二次転写部N2において、二次転写ローラ35の作用によって、記録材Pの表面に転写(二次転写)される。この記録材Pが二次転写部N2を通過する際に、二次転写ローラ35には、図示しない二次転写電源(高圧電源)から、現像時のトナーの帯電極性とは逆極性の直流電圧である二次転写電圧(二次転写バイアス)が印加される。
【0037】
転写後、中間転写ベルト61上に残った僅かな残トナーは、クリーニングユニット70によって除去回収され、再び、次の画像形成に備える。記録材P上に転写されたトナー像は、定着器40によって、加熱加圧されることで定着され、排紙ローラ対41により排紙トレイ50上に排出される。
【0038】
(帯電ローラ)
次に、本実施例における帯電ローラ12について説明する。
【0039】
本実施例では、帯電部材としての帯電ローラ12は、回転軸としての導電性支持体(芯金、芯材)12aと、該導電性支持体12aの周囲に形成された一層以上の弾性層12bと、を有するローラ状の部材である。その外周面が感光体としての感光ドラム11に接触する。
【0040】
特に、本実施例では、帯電ローラ12は、弾性層12bが基層と表層からなる2層構造を有しており、弾性層12bの基層と表層とでは材料が異なる。つまり、導電性支持体12a上に、少なくとも基層と表層とを設け、上層の表層に適度な体積抵抗を保持させ、下層の基層に被帯電体との当接を適正にするための適度な弾性を保持させる。これにより、感光体の帯電均一性の向上や感光体の表面のピンホール、傷などによるリーク防止などを図ることができる。
【0041】
帯電ローラ12の表層の材料としては、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、これらの混合物、又はこれらの材料にカーボンブラックや金属酸化物などの導電性粒子を分散したものを用いることができる。本実施例では、帯電ローラ12の表層は、主成分としてアクリル樹脂を使用して構成されている。これらの材料は、電子吸引効果により、帯電ローラ2に高い負帯電性をもたらすことができる。帯電ローラ12の表層は、例えば、浸漬塗工、スプレー塗工及びローラ塗工などにより形成することができる。
【0042】
また、帯電ローラ12の基層の材料としては、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、エピクロルヒドリゴム(CO、ECO)、ウレタンゴム(U)及びシリコーンゴムなどの合成ゴム、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンスチレン(SRS)、ポリオレフィン系及びポリウレタン系熱可塑性エラストマー、又はこれらの混合物などを用いることができる。
【0043】
本実施例では、帯電ローラ2の基層は、主成分としてエピクロルヒドリンゴム(ECO、CO)を使用した、イオン導電機構を有する中抵抗材料を主体に構成されている。感光体と帯電ローラ2とを安定的に当接させるために、基層の材料には合成ゴム材料を用いることが好ましい。
【0044】
なお、帯電ローラ12としては、導電性を付与するために、カーボンブラック、グラファイト、金属粉及び金属酸化物などの導電性粉末を弾性材料中に分散した層を有するものを用いることもある。また、所要の低抵抗化のために弾性材料中に比較的多量の導電性微粉末などが配合されることがある。多量の導電性微粉末が配合されると弾性材料の硬度が上がることがあるが、その硬度を所要のものに下げるために比較的多量の軟化油や可塑剤が配合されることがある。帯電ローラ2の基層は、金型成形などで形成することができる。
【0045】
(クリーニングローラ)
次に、本実施例におけるクリーニングローラ13について説明する。
【0046】
本実施例では、帯電清掃部材としてのクリーニングローラ13は、回転軸としての棒状の支持部(芯金、芯材)13aと、該支持部13aの周囲に形成された弾性層13bと、を有し、その外周面が帯電ローラ12に接触するローラ状の部材である。そして、弾性層13bは、帯電ローラ12の表面(外周面)に接触する最外層(当接部)として発泡弾性体層を備えている。
【0047】
特に、本実施例では、清掃ローラ13は、支持部13aと、該支持部13aの外周面上に形成された帯電ローラ12に接触する発泡弾性体層13bと、で構成される。弾性層13bは、最外層に発泡弾性体層を有していれば、より内側の層として単数又は複数の他の弾性層を有していてよい。発泡弾性体層13bを構成する発泡弾性体(多孔性の弾性部材)の構造としては、連続気泡構造が例示できる。
【0048】
クリーニングローラ13の支持部13aは、円柱状の棒状部材であることが好ましい。支持部13aの材料は、特に制限されず、例えば金属又は合成樹脂などの材料が使用できる。なお、支持部13aが合成樹脂で構成される場合は、導電性物質を含有させて、導電性を付与することが好ましい。支持部13aとしては、例えば、金属製の円柱状シャフトや樹脂製の円柱状シャフトが例示できる。
【0049】
クリーニングローラ13の発泡弾性体層13bは、支持部13aの外周面上に略均一な厚さで形成され、その外形は円筒状である。クリーニングローラ13の発泡弾性体層13bは、発泡樹脂材料に、該発泡樹脂材料よりも帯電ローラ12の表面を構成する材料との摩擦帯電性が小さい帯電制御剤(導電剤)が添加されて構成されていることが好ましい。
【0050】
クリーニングローラ13の発泡弾性層13bの厚さは適宜選択することができるが、1〜50mmであることが好ましく、1〜15mmであることがより好ましい。また、クリーニングローラ13の全体の半径は2〜100mmであることが好ましく、2〜40mmであることがより好ましい。
【0051】
発泡樹脂としては、溶融又は流動中の合成樹脂にガスを分散・膨張させ、樹脂を固化させて、気泡を有する樹脂として成形したものが代表的である(三田達監訳、高分子大辞典、丸善、平成6年刊、「発泡体」参照)。
【0052】
合成樹脂として好適なものとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ビスコース、アイオノマー等の熱可塑性樹脂、又はポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール/ユリア樹脂、メラミン樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂、ピラニル樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂が例示できる。
【0053】
発泡剤としては、物理的な変化によってガスを発生させる物理的発泡剤も使用できるが、加熱によりガスを発生する化学的発泡剤が好ましい。原料となる樹脂としては、その硬度や耐久性の点で熱硬化性樹脂も使用できる。このような熱硬化性樹脂としては、ウレタン樹脂やメラミン樹脂が例示でき、ウレタン樹脂が好ましい。
【0054】
導電剤としては、電子導電剤としてのカーボンブラックや金属粒子、イオン導電剤としてのイオン導電性付与可能なモノマーが例示できる。これらを発泡樹脂中に練り込むことにより、清掃ローラ13の電荷を中和して除電することができる。本実施例においては、帯電ローラ12の表面に対する、カーボンブラックや金属粒子の導電剤による摺擦傷などを軽減するために、イオン導電剤を使用することが好ましい。
【0055】
(ドラムカートリッジ)
次に図2〜4を用いて感光体ユニットとしてのドラムカートリッジ100の構成について説明する。
【0056】
本実施例のドラムカートリッジ100は、感光体としての感光ドラム11、帯電部材としての帯電ローラ12、帯電清掃部材としてのクリーニングローラ13、清掃部材としてのクリーニングブレード15を有している。そして、これらの部材を枠体としてのドラム容器30で一体的に保持した構成となっている。
【0057】
また、ドラムカートリッジ100は、画像形成装置の装置本体から長手方向に沿ってスライドさせることで装置本体に対して着脱可能に構成してあり、メンテナンス等で交換可能となっている。
【0058】
ドラム容器30には、感光ドラム11が軸受け(図示しない)を介して回転軸線を中心にして回転可能に保持されている。そして、感光ドラム11には、装置本体に装着された状態で装置本体に設けられた図示しない駆動源としてのモータから駆動力を受け取って回転するためのカップリング39が設けられている。
【0059】
また、ドラム容器30には、感光体の表面を清掃するための清掃部材としてのクリーニングブレード15が設けられている。このクリーニングブレード15は、感光体の表面に画像形成時における感光体の回転方向に対してカウンター方向で当接するように固定されている。
【0060】
クリーニングブレード15の近傍にはクリーニングブレード15によって感光体の表面から除去された転写残トナーを回収する回収部が設けられている。また、ドラム容器30には、回収部に回収されたトナーを搬送してドラムカートリッジ100(感光体ユニット)の外に搬送するための搬送部としてのトナー搬送スクリュー38が設けられている。トナー搬送スクリュー38によってドラムカートリッジ100外に搬送されたトナーは装置本体に設けられた図示しない廃トナー容器に回収される。
【0061】
感光ドラム11の長手方向端部には、感光ドラムの回転軸線を中心として感光ドラムと一体で回転するように固定された第1のギアとしてのギア36が設けられている。そして、感光ドラムが回転した時に一体で回転するギア36の回転力がトナー搬送スクリュー38に伝達されることによってトナー搬送スクリュー38が回転する。そして、トナー搬送スクリュー38が回転する事によって、回収部に回収されている転写残トナーをドラムカートリッジ100の外に搬送可能な構成となっている。
【0062】
帯電ローラ12は保持部としての帯電ローラ軸受け31にその回転軸12aが保持されることによって回転可能に支持されている。また、帯電ローラ軸受け31は、ドラム容器30に対してスライド可能に支持されている。具体的には、支持されている帯電ローラが感光ドラム11の回転軸線に垂直な面における感光ドラム11の回転軸線に向かう方向に沿って移動できるように、帯電ローラ軸受け31が感光ドラム11の軸線に向かう方向にスライド可能に構成されている。
【0063】
さらに、ドラム容器30と帯電ローラ軸受け31の間には付勢手段(第1の付勢手段)としての帯電ローラ加圧バネ32が設けられている。この帯電ローラ加圧バネ32が帯電ローラを感光ドラムの回転軸線に垂直な面における感光ドラム11の回転軸線に向かう方向(付勢方向)に付勢しているため、帯電ローラ12は感光ドラム11に加圧されて接触している。
【0064】
また、帯電ローラ12の軸12aには、帯電ローラ12と感光ドラム11との間を離間させるための離間保持部材200が回動可能に嵌合されている。離間保持部材200についての詳細な説明は後述する。
【0065】
帯電清掃部材としてのクリーニングローラ13(清掃ローラ)はクリーニングローラ軸受け33にその回転軸13aが支持されることによって回転可能に支持されている。そして、クリーニングローラ軸受け33は、帯電ローラ軸受け31に対してスライド可能に支持されている。
【0066】
具体的には、クリーニングローラ軸受け33が離間保持部材200の回動軸線に向かう方向(帯電ローラの回転軸線に向かう方向)にスライド可能に構成されている。このような構成にすることで、クリーニングローラ13が離間保持部材200の回動軸線に垂直な面における離間保持部材200の回動軸線に向かう方向(帯電ローラの回転軸線に向かう方向)に沿って移動することが可能となっている。
【0067】
さらに、帯電ローラ軸受け31とクリーニングローラ軸受け33の間には第2の付勢手段としてのクリーニングローラ加圧バネ34が設けられている。このクリーニングローラ加圧バネ34がクリーニングローラ13を離間保持部材200の回動軸線に垂直な面における離間保持部材200の回動軸線に向かう方向(帯電ローラ12の回転軸線方向に向かう方向)(付勢方向)に付勢している。そのため、クリーニングローラ13は加圧された状態で帯電ローラ12に接触している。つまり、クリーニングローラ13はクリーニングローラ加圧バネ34による付勢方向に沿って移動可能になされている。また、本実施例では、帯電ローラ加圧バネ32による付勢方向とクリーニングローラ加圧バネ34による付勢方向とが同じ方向となっている。
【0068】
以上の構成によって、帯電ローラ12が感光ドラム11に接触した状態で感光ドラム11が装置本体に備えられている駆動源から駆動力を受けて回転すると、帯電ローラ12は感光ドラム11との摩擦力によって従動回転する。さらに、帯電ローラ12が回転するとクリーニングローラ13は帯電ローラ12との摩擦力によって従動回転する。また、トナー搬送スクリュー38はギア36から駆動力(回転力)を受けて回転する。
【0069】
また、以上の構成によって、帯電ローラ12が感光ドラム11から離れる方向に移動するのに連動してクリーニングローラ13が帯電ローラ12の移動方向に移動する。
【0070】
(離間保持機構について)
図5図6を用いて感光ドラム11と帯電ローラ12とを離間させた状態を保持する離間保持機構について説明する。
【0071】
感光体ユニットとしてのドラムカートリッジ100には、輸送時に帯電ローラ12と感光ドラム11との間、および帯電ローラ12とクリーニングローラ13との間をそれぞれ離間するための離間部材としての離間保持部材200が設けられている。
【0072】
離間保持部材200は帯電ローラ12の回転軸12aの両端に、帯電ローラの回転軸12aを回動軸として回動可能にそれぞれ設けられている。つまり、離間保持部材200は、帯電ローラ12の回転軸線を中心として回動可能に帯電ローラ12に支持されている。そのため、離間保持部材200は帯電ローラ12の移動に連動して移動可能となっている。ただし、両端の構成は同等なので、本実施例では片側のみを示した図を用いて説明する。
【0073】
離間保持部材200には、感光ドラム11と帯電ローラ12とを離間させるとともにクリアランスの確保するための離間保持部210が設けられている。また、離間保持部材200には、帯電ローラ12とクリーニングローラ13とを離間させるとともにクリアランスを確保するための離間保持部220が設けられている。
【0074】
感光ドラム11と帯電ローラ12、帯電ローラ12とクリーニングローラ13をそれぞれ離間させた状態を離間保持状態(離間状態)と称呼する。離間保持状態のとき、離間保持部210は、第1の付勢手段としての帯電ローラ加圧バネ32の加圧力(付勢力)で帯電ローラ12の回転軸12a(離間保持部材200の回動軸)とギア36の間に挟み込まれている。
【0075】
また、離間保持状態のとき、離間保持部材200は、クリーニングローラ加圧バネ34から加圧されているクリーニングローラ13の回転軸13aと、帯電ローラ12の回転軸12a(離間保持部材200の回動軸)との間に挟み込まれている。
【0076】
これによって、帯電ローラ12の弾性層12bと感光ドラム11とを離間させ、さらに、帯電ローラ12とクリーニングローラ13とを離間させ、互いのクリアランスを確保している。
【0077】
図7(a)に示すように離間保持状態でギア36と向かい合う側の離間保持部210の側面には、ギア36と係合する係合部211が設けられており、係合部211にはギア36に向かって突出した複数の突出部211aが設けられている。
【0078】
感光ドラム11と帯電ローラ12とを離間させている離間保持状態のとき、係合部211は、ギア36の隣り合うギア歯36aの間に突出部211aが入り込むことによりギア36と係合している。言い換えると、この時、離間保持部材200は、係合部211が第1のギアとしてのギア36に係合した状態で感光ドラム11と帯電ローラ12とを離間させた離間状態を保持する離間位置に位置している。
【0079】
また、離間保持状態で離間保持部220のクリーニングローラ13と向かい合う側の側面には、凹部である清掃ローラの受け面221(被支持部)が設けられている。また、離間保持状態のとき、受け面221にクリーニングローラ13の回転軸13aが入り込んだ状態となっている。
【0080】
離間保持状態では、クリーニングローラ13に対して第2の付勢手段としてのクリーニングローラ加圧バネ34から、離間保持部材200の回動軸線に垂直な面において回動軸線に向かう方向に向かう加圧力(付勢力)が働く。そして、この加圧力によって、クリーニングローラが受け面221を押圧する。そして、帯電ローラ12の回転軸12a(離間保持部材200の回動軸)とクリーニングローラ13の回転軸13aの間に離間保持部220が挟み込まれることによって離間保持部材200が支持されている。
【0081】
ドラムカートリッジが出荷されてから装置本体に装着されて感光ドラム11の駆動によって離間保持状態が自動解除されるまでは、感光ドラム11と帯電ローラ12とクリーニングローラ13それぞれの離間状態が保持されている。
【0082】
この構成において、図8に示すように、例えばドラムカートリッジの輸送時の振動や落下によってギア36と係合部211が一時的に離れる場合がある。このような場合でも、クリーニングローラ加圧バネ34のバネ力(付勢力)によって、クリーニングローラ13の回転軸13aが離間保持部材200の受け面221を離間保持部材200の回動軸線に向かう方向に押圧して支持する。その結果、離間保持部材200の回動を抑制することが可能となる。
【0083】
(離間保持の自動解除について)
次に離間保持状態の自動解除について図7を用いて説明する。図7は離間保持状態の自動解除の動作を示した説明図である。
【0084】
新しいドラムカートリッジ100を装置本体に装着して画像形成装置を起動させたとき、装置本体によって行われる初期動作によって、感光ドラム11に装置本体に備えられているモータから駆動力(回転力)が入力される。
【0085】
図7(a)に示すように、感光ドラム11と帯電ローラ12との間および帯電ローラ12とクリーニングローラ13との間が離間されている離間保持状態から、感光ドラム11の回転が開始される。そして、図7(b)に示すように感光ドラム11の回転とともにギア36が回転する。そして、ギア36と係合している離間部材としての離間保持部材200の係合部211に備えられた複数の突出部211aがギア36の回転力を受けることで離間保持部材200が回動する。そして、離間保持部材200が回動することによってクリーニングローラ13の回転軸13aは離間保持部材200の回動方向における第1の部分としての受け面221よりも上流側の第2の部分としての端部を乗り越える。
【0086】
離間保持部材200の回動方向における受け面221に離間保持状態の時にクリーニングローラ13が押圧している部分(第1の部分)が設けられている。そして、受け面221よりも上流側に、感光体の回転軸線と垂直な面における離間保持部材200の回動軸線からの直線距離が第1の部分よりも長い部分(第2の部分)が設けられている。
【0087】
図7(a)に示すように、回動軸線から第1の部分までの直線距離X1よりも回動軸線から第2の部分までの直線距離X2の方が長くなっている。
【0088】
そして、クリーニングローラ13の回転軸13aが受け面221の上流側の端部を乗り超えた状態となることで離間保持状態を解除することが可能となる。
【0089】
したがって、離間保持部材200を回動させるためには、クリーニングローラ加圧バネ34の付勢力が働いている方向(付勢方向)の上流側に向けてクリーニングローラ13を移動させて、クリーニングローラ加圧バネ34を圧縮する力が必要なる。
【0090】
このときギア36と係合部211が係合しているため、ギア36の回転力を受けて離間保持部材200を回動させて受け面221よりも上流側の端部の第2の部分を通過して乗り越えることが可能となっている。
【0091】
図7(c)に示すように、ギア36の回転によって離間保持部材200がさらに回動すると、ギア36と係合部211が噛合わない領域となる。このとき、クリーニングローラ13にはクリーニングローラ加圧バネ34によって図7(c)に示されている矢印のA方向に付勢力が働いている。この力は、離間保持部材200に設けられた離間補助面222(接触部)によって、離間保持部材200がB方向へ回動する力に変換される。これは、離間保持部材200が離間解除する時に回動する方向と同一の方向である。
【0092】
そして、離間保持部材200の係合部211がギア36から離れ、帯電ローラ12と感光ドラム11の表面が接触するとともに、クリーニングローラ13と帯電ローラ12とが接触し、離間状態が解除された状態となる。
【0093】
このように、離間保持部材200は離間位置と、感光ドラム11と帯電ローラ12とを離間させた状態を解除して感光ドラム11と帯電ローラとを接触可能とする解除位置と、の間で回動可能になされている。そして、離間保持部材200が離間位置から解除位置に向けて上述したように回動することによって、離間状態を解除できるようになされている。
【0094】
(比較例における係合部について)
図16は、比較例における離間保持状態を示した説明図である。また、図17は、比較例における離間保持部材200の係合部212と感光体ギア36との係合部分を示した説明図である。また、図18は、比較例における感光体ギア36周辺を示した説明図である。
【0095】
図16に示すように、比較例では、離間保持部材200の感光体ギア36と向かい合う側面にギア歯212aが設けられている。そして、このギア歯212aと感光体ギア36のギア歯36aとが互いに噛み合った状態で帯電ローラ12と感光ドラム11とが離間されている。なお、離間保持部材200は帯電ローラ12の回転軸に設けられており、帯電ローラ12を感光ドラム11に向かう方向に付勢する帯電ローラ加圧バネによって離間部材200も感光体ギア36に向けて加圧されている。
【0096】
このとき、図17に示すように、感光体ギア36のギア歯36aの側面と、ギア歯212aの側面が互いに接触することで噛み合っている。そして、隣り合うギア歯212a間の歯底部212bと感光体ギア36のギア歯36aの先端との間にはクリアランスが設けられている。
【0097】
また、同様に、感光体ギア36における隣り合うギア歯36a間の歯底部36bとギア歯212aの先端との間にはクリアランスが設けられている。
【0098】
言い換えれば、感光体ギア36におけるギア歯36aの先端はギア歯212a間の歯底部分212bと接触できないように構成されており、ギア歯212aの先端部は感光体ギア36のギア歯36a間の歯底部36bと接触できないように構成されている。このような構成にすることによって、ギア歯同士がスムーズに噛み合って駆動できるようになされている。
【0099】
そして、感光体ギア36が回転する駆動力をギア歯212aによって離間保持部材200が受けることで離間保持部材200が回動して、帯電ローラ12と感光ドラム11との離間保持状態が解除されるようになされている。
【0100】
また、図18に示すように、比較例においては感光体ギア36に対してギア37が係合しており、感光体ギア36の駆動力がギア37を介して伝達されて、トナー搬送スクリュー38が回転するように構成されている。つまり、トナー搬送スクリュー38のような画像形成時に駆動させる部材に駆動力を伝達する感光体ギア36を利用して離間保持部材200を回動させる構成にしている。
【0101】
このような比較例において、感光体ユニットが工場から出荷されて装置本体に装着されるまでの間に、例えば運送や落下による振動が感光体ユニットに加わる場合がある。振動が感光体ユニットに加わった場合、離間保持部材200が帯電ローラ加圧バネの付勢力に逆らう方向に移動し、離間保持部材200のギア歯212aと感光体ギア36のギア歯36aとが一時的に離れる事がある。
【0102】
この場合、一時的に離れた離間部材のギア歯212aと感光体ギア36のギア歯36aが再び接触して係合する時に、ギア歯36aの側面に対してギア歯212aの側面が衝突する。この時、ギア歯36aの間にギア歯212aがその両側面が隣接するギア歯36aの側面に接触して係合する関係になされているため感光体ギア36が回転方向にほとんど移動することができない。そのため、ギア歯36aの側面は衝突によるダメージを受け、凹みや傷が発生するおそれがある。
【0103】
このような場合、図19に示すように、感光体ギア36とギア37が噛み合う箇所に凹みや傷が存在することになり、感光体ギア36から駆動力を受けてギア37が回転する時に振動が発生するおそれがある。この感光体ギア36の凹みや傷によって発生した振動によって、画像形成中に画像不良が発生するおそれがあった。
【0104】
(実施例1における係合部について)
図9は、本実施例における離間保持部材200の係合部211と感光体ギア36との係合部分を示した図である。また、図10は、本実施例における感光体ギア36周辺を示した図である。
【0105】
本実施例では、図10に示すように、感光体ギア36に対してギア37が係合しており、感光体ギア36の駆動力がギア37を介して伝達されてトナー搬送スクリューが駆動されるようになされている。
【0106】
本実施例では、図9に示すように、離間保持部材200における感光体ギア36と向かい合う面に、感光体ギアに向かって突出する複数の突出部211aを設けている。この突出部211aは感光体ギア36のギア歯36a間の凹部に対して小さくなっており、図16に示した比較例のようにギア歯212aの両側面が感光体ギア36のギア歯36aの側面と接触して噛み合うように構成されていない。
【0107】
図9は感光体ギア36のギア歯36a間の凹部の中央に突出部211aが位置している様子を示しており、突出部211aは離間保持部材200の回動方向における両側に位置する感光体ギア36のギア歯36aの側面から離れている。
【0108】
図9には、離間保持部材200の回動方向における突出部211aの両側がギア歯36aの側面から離れている状態を示した。しかし、離間保持部材200の回動方向における突出部211aの片側がギア歯36aと接触した状態では、その反対側はギア歯36aから離れている。また、図9に示すように、感光体ギア36のギア歯36aの先端が複数の突出部211aの間の底面部211bに接触した状態となっている。
【0109】
図9に示すように、本実施例における突出部211aの幅aは0.4mmである。感光体ギア36のギア歯36aの先端間の距離bは1.04mmである。このように、突出部211aの幅aが、離間保持状態において離間保持部材の回動方向における突出部の両側に位置するギア歯36aの先端間の距離b(感光体ギア36の隣り合うギア歯36a間の距離)よりも小さくなされている。
【0110】
また、ギア歯36aの先端の幅cは0.34mmである。突出部211aの根元間の距離dは0.9mmである。このように、ギア歯36aの先端の幅が、離間保持部材200の回動方向におけるギア歯36aの両側に位置する突出部211aの根元間の距離よりも小さくなされている。
【0111】
また、ギア歯36aの高さh1は6.0mmである。突出部211aの高さh2は0.4mmである。このように、突出部211aの先端が感光体ギア36における複数のギア歯36aの間の歯底部36bと接触しないように構成されている。突出部211aの高さはギア歯36aの高さの6割以下であることが好ましい。
【0112】
離間状態が解除される時には、装置本体から駆動力を受けて回転を開始した感光体ギア36におけるギア歯36aの側面が突出部211aの側面と接触する。そして、ギア歯36aによって突出部211aの側面が押されることによって離間保持部材200に駆動力が伝わり、離間保持部材200が回動する。
【0113】
このとき、図11に示すように、突出部211aは、離間保持部材200の回動方向における突出部211aの両側に位置するギア歯36aのうち上流側に位置するギア歯36aと接触し、下流側に位置するギア歯36aとは接触しない。言い換えると、この時、突出部211aは、離間保持部材200の回動方向において突出部211aの両側に位置するギア歯36aのうち一方とのみ接触する。
【0114】
図9は感光体ギア36のギア歯36a間の凹部の中央に突出部211aが位置している様子を示した。しかし、上述した図11のように、突出部211aがその両側に位置するギア歯36aの一方と接触することは可能だが、両側に位置するギア歯36aの両方と接触することはできないように構成されている。言い換えると、離間状態において、複数の突出部211aのそれぞれは、離間保持部材200の回動方向における突出部211aの両側に位置するギア歯36aのうち少なくとも一方のギア歯36aの側面と離れるように構成されている。
【0115】
突出部211aが感光体ギア36におけるギア歯36aの側面に衝突した場合、突出部211aの衝突を受けたギア歯36aの側面とは反対側の側面には突出部211aが接触していない状態となる。そのため、感光体ギア36が衝突を逃がす方向に回転することによって、ギア歯36aが衝突によって受ける力を逃がすことができる。
【0116】
その結果、突出部211aがギア歯36aの側面に衝突することに起因する凹みや傷の発生を軽減することができ、感光体ユニット100を画像形成装置の装置本体に装着した後の画像形成時に画像不良が発生する事を軽減することができる。
【0117】
また、本実施例における突出部211aの先端は円弧形状であり、角が無い円弧形状にすることによって、突出部211aの表面とギア歯36aの表面との引っ掛かりが少なくなって滑り易くなる。その結果、突出部211aがギア歯36aに接触した時にギア歯36aが感光体ギア36の回転によって突出部211aから受ける力を逃がす方向に移動し易くなる。
【0118】
(実施例2)
実施例1では、離間保持部材200に突出部211aが設けられている例を説明したが、実施例2では、突出部211aを有していない例について説明する。
【0119】
図12は本実施例における離間保持部材200と感光体ギア36との接触部分を示す説明図である。
【0120】
図12に示すように、離間保持部材200における感光体ギア36と向かい合う面には、感光ドラム11と帯電ローラ12とが離間されている離間状態の時に感光体ギア36のギア歯36aの先端が接触する接触面213が備えられている。この接触面213は、例えばゴム等の摩擦係数が比較的高い材料によって構成されている。
【0121】
そして、離間状態を解除する時、感光体ギア36の回転が開始されると、感光体ギア36におけるギア歯36aの先端と接触面213との摩擦力によって離間保持部材200が回動することで離間状態が解除可能に構成されている。
【0122】
本実施例においては、離間保持部材200における感光体ギア36と向かい合う面に突出する形状を有していない。そのため、感光体ユニット100に振動が加わって離間保持部材200が感光体ギア36から一時的に離れた場合でも、感光体ギア36におけるギア歯36aの側面に離間保持部材200の一部が接触することがない。その結果、ギア歯36aの側面に傷や凹みが発生することを抑制することができる。その結果、感光体ユニット100を画像形成装置の装置本体に装着した後の画像形成時に画像不良が発生する事を抑制することができる。
【0123】
なお、本実施例では接触面213がゴムで構成されている例を説明したがこれに限らず、ギア歯の先端との摩擦力によって離間保持部材が回動可能な摩擦係数を有すれば良い。また、摩擦力を大きくするために接触面213の表面を粗面加工していても良く、図13に示すように浅い溝を複数設けても良い。この場合、粗面や溝による凹凸の高さはギア歯の側面に接触しないようにするのが好ましい。
【0124】
(実施例3)
実施例1や実施例2では、感光体ギア36と向かい合う部分における離間保持部材200の形状によって、感光体ユニット100を画像形成装置の装置本体に装着した後の画像形成時に画像不良が発生する事を抑制する例について説明した。
【0125】
本実施例では、離間保持部材200と感光体ギア36とが係合する位置を工夫することによって感光体ユニットを画像形成装置の装置本体に装着した後の画像形成時に画像不良が発生する事を抑制する例を説明する。
【0126】
図14は本実施例における感光体ギア36と離間保持部材200との係合部分の側面を示した図である。本実施例においても離間保持部材200は感光体ギア36と向かい合う面に突出部211aを有しており、突出部211aが感光体ギア36と係合している。
【0127】
図14に示すように、感光体ギア36の駆動力をトナー搬送スクリューに伝達するための第2のギアとしてのギア37が、感光体ギア36の軸線方向における感光体ギア36の幅の一部の領域である領域Cで感光体ギア36と係合している。
【0128】
そして、離間保持部材200における突出部211aは、感光体ギア36の軸線方向に沿った感光体ギア36の幅のうち、領域Cとは重ならない領域Aで感光体ギア36と係合している。本実施例においては、駆動時におけるギア同士の軸方向へのガタつきを考慮して領域Aと領域Cとの間に領域Bを設けている。
【0129】
このような構成にすることによって、感光体に振動が加わって領域Aにおけるギア歯36aの側面に傷や凹みが発生したとしても、ギア37が係合する領域Cには感光体ギア36と突出部211aとの衝突による傷や凹みが発生しない。そのため、感光体ユニットを画像形成装置の装置本体に装着した後の画像形成時に画像不良が発生する事を抑制することができる。なお、本実施例における突出部211aの形状は離間状態で両側面がギア歯36aの側面と接触するギア歯形状でも良く、実施例1のような形状でも良い。
【0130】
(その他の実施例)
実施例1では、帯電ローラ12と感光ドラム11との離間状態の時に、感光体ギア36のギア歯36aの先端が複数の突出部211aの間の底面部211bに接触した状態となる例を示した。しかし、この場合に限られず、図15のように実施例1とは逆に、突出部211aの先端が複数のギア歯36aの間の歯底部36bに接触するようにしても良い。この場合、離間状態の時にギア歯36aの先端が底面部211bに接触しない構成となっている。
【0131】
また、本実施例も実施例1と同様に、離間状態において、複数の突出部211aのそれぞれは、離間保持部材200の回動方向における突出部211aの両側に位置するギア歯36aのうち少なくとも一方のギア歯36aの側面と離れるように構成されている。本実施例によっても実施例1と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0132】
11 感光ドラム(感光体)
12 帯電ローラ
13 クリーニングローラ(帯電清掃部材)
30 ドラム容器
31 帯電ローラ軸受け
32 帯電ローラ加圧バネ(第1の付勢手段)
33 クリーニングローラ軸受け
34 クリーニングローラ加圧バネ(第2の付勢手段)
36 感光体ギア(第1のギア)
37 ギア(第2のギア)
39 カップリング
200 離間保持部材
210 離間保持部
211 係合部
211a 突出部
220 離間保持部
100 ドラムカートリッジ(感光体ユニット)
図1
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