(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ホウ化分散剤がホウ化ポリイソブチレンスクシンイミド分散剤であり、前記ホウ化ポリイソブチレンスクシンイミドの前記ポリイソブチレンが750〜2200、または750〜1350、または750〜1150の数平均分子量を有する、先行する請求項1から3のいずれかに記載の組成物。
前記非ホウ化分散剤がポリイソブチレンスクシンイミドであり、前記ホウ化ポリイソブチレンスクシンイミドの前記ポリイソブチレンが750〜2200、または750〜1350、または750〜1150の数平均分子量を有する、請求項6に記載の組成物。
前記ホウ化分散剤が0.9:1〜1.6:1、または0.95:1〜1.5:1、または1.0:1〜1:4のN:CO比を有する、先行する請求項1から7のいずれかに記載の組成物。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明の要旨
本発明の目的は、自動変速機を潤滑することができる潤滑組成物を提供することである。該潤滑組成物は、摩擦制御(クラッチのために)、改善された燃料経済性、抗摩耗耐久性(例えば、ギヤ摩耗)およびポンプ耐久性、ならびに抗揺れ性能を含む少なくとも1種の性質を提供することができる。該潤滑組成物は、例えば、改善された燃料経済性、および抗摩耗耐久性を提供することが可能であり得る。
【0015】
本明細書において使用する、「を含む(including)」、「を含有する(containing)」、または「により特徴付けられる(characterized by)」と同義である移行句「を含む(comprising)」は、包括的または開放型であり、追加の、挙げられていない要素または方法ステップを排除しない。しかしながら、本明細書における「を含む(comprising)」の各記載において、該用語は、代替的実施形態として、句「から本質的になる(consisting essentially of)」および「からなる(consisting of)」も含むことが意図され、この場合、「からなる」は特定されていないいかなる要素またはステップも排除し、「から本質的になる」は考慮されている組成物または方法の基本的および新規な特性に実質的に影響しない、挙げられていない追加の要素またはステップの包含を許容する。
【0016】
本明細書において使用する用語「C
4〜6ヒドロカルビルホスファイト」は、モノC
4〜
6ヒドロカルビルホスファイトおよびジC
4〜6ヒドロカルビルホスファイトの両方を含むことが意図される。典型的には、C
4〜6ヒドロカルビルホスファイトは、ジ−C
4〜6ヒドロカルビルホスファイトを含む。
【0017】
本明細書において使用する表現「(メタ)アクリル、(メタ)アクリレート((meth)arylate)」および関連用語では、アクリル官能性ならびにメタクリル官能性の両方を含むことが意図される。典型的には、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリレート」および関連用語では、メタクリルまたはメタクリレートを含むことが意図される。
【0018】
本発明は、一実施形態において、
(a)100℃で2.8〜3.6cSt(mm
2/s)の動粘度および104〜130の粘度指数を有する潤滑粘度の油、
(b)
1.2〜5.0wt%の少なくとも1種のホウ化分散剤
であって、ここで、少なくとも1種のホウ化分散剤が硫黄またはリン部分でさらに官能化されている、ホウ化分散剤、
(c)少なくとも110ppm〜700ppmのカルシウムをもたらす量で存在するカルシウム含有清浄剤、
(d)360〜950ppmのリンを潤滑組成物にもたらす量で存在し、該リンの少なくとも150ppmがC
4〜6ヒドロカルビルホスファイトによりもたらされる、少なくとも2種のリン含有化合物、および
(e)線状ポリマーが5,000〜25,000の重量平均分子量を有する、0.1wt%〜5wt%の分散剤機能性を有する線状ポリマー粘度調整剤
を含む潤滑組成物であり得る。
【0019】
異なる実施形態で、本発明は、
(a)100℃で2.8〜3.6cSt(mm
2/s)の動粘度および104〜130の粘度指数を有する潤滑粘度の油、
(b)
1.2〜5.0wt%の少なくとも1種のホウ化分散剤
であって、ここで、少なくとも1種のホウ化分散剤が硫黄またはリン部分でさらに官能化されている、ホウ化分散剤、
(c)少なくとも160ppm〜400ppmのカルシウムをもたらす量で存在するカルシウム含有清浄剤、
(d)525〜800ppmのリンを潤滑組成物にもたらす量で存在し、該リンの少なくとも150ppmがC
4〜6ヒドロカルビルホスファイトによりもたらされる、少なくとも2種のリン含有化合物、および
(e)線状ポリマーが5,000〜25,000の重量平均分子量を有する、0.1wt%〜5wt%の分散剤機能性を有する線状ポリマー粘度調整剤
を含む潤滑組成物であり得る。
【0020】
本発明の潤滑組成物は、0.1wt%〜5wt%の星型構造を有する(メタ)アクリルポリマーをさらに含むことができる。
【0021】
本発明の潤滑組成物は、線状ポリマーが25,000超〜400,000(または350,000まで)の重量平均分子量を有する、0.1wt%〜5wt%の分散剤機能性を有する線状(メタ)アクリルポリマー粘度調整剤をさらに含むことができる。
【0022】
本明細書で開示された潤滑組成物中のホウ素の量は、150〜400重量ppmであってもよい。
【0023】
一実施形態では、本明細書で開示された潤滑組成物は、0.3wt%〜1.2wt%のアミン酸化防止剤をさらに含む。
【0024】
一実施形態では、本明細書で開示された潤滑組成物は、少なくとも2種の無灰摩擦調整剤を含む0.5wt%〜3.5wt%の摩擦調整剤成分をさらに含む。
【0025】
一実施形態では、本明細書で開示された潤滑組成物は、0.3wt%〜1.2wt%のアミン酸化防止剤、および少なくとも2種の無灰摩擦調整剤を含む0.5wt%〜3.5wt%の摩擦調整剤成分をさらに含む。
【0026】
本明細書で開示された潤滑組成物は、本発明の一実施形態において、100℃で3.6〜4.8cSt(mm
2/s)の動粘度を有し得、−40℃におけるブルックフィールド粘度は、最大で6,800cP(mPa・s)であり得る。
【0027】
一実施形態で、本発明は、本明細書で開示された潤滑組成物を自動変速機に供給することを含む自動変速機を潤滑する方法を提供する。
【0028】
一実施形態で本発明は、自動変速機のために、摩擦制御(クラッチのために)、改善された燃料経済性、抗摩耗耐久性(例えば、ギヤ摩耗)およびポンプ耐久性、ならびに抗揺れ性能のうちの少なくとも1種を提供する本明細書で開示された潤滑組成物の使用を提供する。
【0029】
該自動変速機は、連続可変変速機(CVT)、変速比無限大変速機(IVT)、赤道面
方向の変速機、連続トルク変換滑りクラッチ(CSTCC)、段階的自動変速機または二
重クラッチ変速機(DCT)を含む。
一実施形態において、例えば、以下の項目が提供される。
(項目1)
(a)100℃で2.8〜3.6cSt(mm
2/s)の動粘度および104〜130
の粘度指数を有する潤滑粘度の油、
(b)
1.2〜5.0wt%の少なくとも1種のホウ化分散剤
であって、ここで、少なくとも1種のホウ化分散剤が硫黄またはリン部分でさらに官能化されている、ホウ化分散剤、
(c)少なくとも110ppm〜700ppmのカルシウムをもたらす量で存在するカ
ルシウム含有清浄剤、
(d)360〜950ppmのリンを潤滑組成物にもたらす量で存在し、前記リンの少
なくとも150ppmがC
4〜6ヒドロカルビルホスファイトによりもたらされる、少な
くとも2種のリン含有化合物、および
(e)線状ポリマーが5,000〜25,000の重量平均分子量を有する、0.1w
t%〜5wt%の分散剤機能性を有する線状ポリマー粘度調整剤
を含む潤滑組成物。
(項目2)
前記カルシウム含有清浄剤が、130ppm〜600ppm、または160ppm〜4
00ppmのカルシウムをもたらす量で存在する、項目1に記載の組成物。
(項目3)
前記C
4〜6ヒドロカルビルホスファイトがC
4アルキルホスファイトである、先行す
る項目のいずれかに記載の組成物。
(項目4)
前記ホウ化分散剤がホウ化ポリイソブチレンスクシンイミド分散剤であり、前記ホウ化
ポリイソブチレンスクシンイミドの前記ポリイソブチレンが750〜2200、または7
50〜1350、または750〜1150の数平均分子量を有する、先行する項目のいず
れかに記載の組成物。
(項目5)
第2のホウ化分散剤をさらに含み、前記ホウ化分散剤がホウ化ポリイソブチレンスクシ
ンイミド分散剤であり、前記ポリイソブチレンスクシンイミドの前記ポリイソブチレンが
750〜2200、または750〜1350、または750〜1150の数平均分子量を
有する、先行する項目のいずれかに記載の組成物。
(項目6)
非ホウ化分散剤をさらに含む、先行する項目のいずれかに記載の組成物。
(項目7)
前記非ホウ化分散剤がポリイソブチレンスクシンイミドであり、前記ホウ化ポリイソブ
チレンスクシンイミドの前記ポリイソブチレンが750〜2200、または750〜13
50、または750〜1150の数平均分子量を有する、項目6に記載の組成物。
(項目8)
前記ホウ化分散剤が0.9:1〜1.6:1、または0.95:1〜1.5:1、また
は1.0:1〜1:4のN:CO比を有する、先行する項目のいずれかに記載の組成物。
(項目9)
線状ポリマーが25,000超〜400,000(または350,000まで)の重量
平均分子量を有する、0.1wt%〜4wt%(または0.2wt%〜3wt%)の分散
剤機能性を有する線状(メタ)アクリルポリマー粘度調整剤をさらに含む、先行する項目
1から8のいずれかに記載の組成物。
(項目10)
分散剤機能性を有する前記線状ポリマー粘度調整剤が、
線状ポリマーが10,000〜20,000の重量平均分子量を有する、0.1wt%
〜4wt%(または0.2wt%〜3wt%)の分散剤機能性を有する線状(メタ)アク
リルポリマー粘度調整剤、および
線状ポリマーが20,000超〜250,000の重量平均分子量を有する、0.1w
t%〜4wt%(または0.2wt%〜3wt%)の分散剤機能性を有する線状(メタ)
アクリルポリマー粘度調整剤
を含む、先行する項目1から8のいずれかに記載の組成物。
(項目11)
分散剤機能性を有する前記線状ポリマー粘度調整剤が、
線状ポリマーが5,000〜25,000または10,000〜20,000の重量平
均分子量を有する、0.1wt%〜4wt%(または0.2wt%〜3wt%)の分散剤
機能性を有する線状(メタ)アクリルポリマーを含み、前記組成物が、
0.1wt%〜4wt%(または0.2wt%〜3wt%)の星型構造を有する(メタ
)アクリルポリマーをさらに含む、先行する項目1から8のいずれかに記載の組成物。
(項目12)
星型構造を有する前記(メタ)アクリルポリマーが、
(a)アルキル基が12〜15個の炭素原子を有する50wt%〜100wt%のアル
キル(メタ)アクリレート、
(b)アルキル基が1〜9個の炭素原子を有する0wt%〜40wt%のアルキル(メ
タ)アクリレート、
(c)0wt%〜10wt%の分散剤モノマー、
(d)0wt%〜5wt%、または0wt%〜2wt%、または0wt%のビニル芳香
族モノマー(典型的にはスチレン)、および
(e)アルキル基が16〜18個の炭素原子を有する0wt%〜20wt%、または0
wt%〜10wt%、または0wt%のアルキル(メタ)アクリレート
を含むモノマー組成物から誘導されるポリ(メタ)アクリレートポリマーを含む3本また
はそれより多いアームを有する、項目11に記載の組成物。
(項目13)
星型構造を有する前記(メタ)アクリルポリマーが、
(a)アルキル基が12〜15個の炭素原子を有する60wt%〜95wt%のアルキ
ル(メタ)アクリレート、
(b)アルキル基が1〜9個の炭素原子を有する5wt%〜30wt%のアルキル(メ
タ)アクリレート、
(c)0wt%〜10wt%の分散剤モノマー、
(d)0wt%〜5wt%、または0wt%〜2wt%、または0wt%のビニル芳香
族モノマー(典型的にはスチレン)、および
(e)アルキル基が16〜18個の炭素原子を有する0wt%〜20wt%、または0
wt%〜10wt%、または0wt%のアルキル(メタ)アクリレート
を含むモノマー組成物から誘導されるポリ(メタ)アクリレートポリマーを含む3本また
はそれより多いアームを有する、項目11に記載の組成物。
(項目14)
分散剤機能性を有する前記線状ポリマー粘度調整剤が、0.5wt%〜4wt%の分散
剤機能性を有する線状(メタ)アクリルポリマー粘度調整剤で存在する唯一の分散剤粘度
調整剤であり、前記線状ポリマーが5,000〜25,000、または10,000〜2
0,000の重量平均分子量を有し、
潤滑粘度の油が100℃で2.8〜3.1cSt(mm
2/s)の動粘度および104
〜130の粘度指数を有する、先行する項目1から8のいずれかに記載の組成物。
(項目15)
C
8〜20ヒドロカルビルホスファイト、またはC
12〜18ヒドロカルビルホスファ
イト、またはC
16〜18ヒドロカルビルホスファイトをさらに含む、先行する項目のい
ずれかに記載の組成物。
(項目16)
前記カルシウム含有清浄剤がスルホン酸カルシウム、またはカルシウムフェネートであ
る、先行する項目のいずれかに記載の組成物。
(項目17)
前記カルシウム含有清浄剤がスルホン酸カルシウムである、先行する項目のいずれかに
記載の組成物。
(項目18)
前記潤滑粘度の油が100℃で2.8〜3.6cSt(mm
2/s)の動粘度および1
10〜120未満の粘度指数を有する、先行する項目1から14または16から17のい
ずれかに記載の組成物。
(項目19)
先行する項目1から18のいずれかに記載の組成物を自動変速機に供給することを含む
、自動変速機を潤滑する方法。
【発明を実施するための形態】
【0030】
発明の詳細な説明
本発明は、上で開示された自動変速機を潤滑する方法および潤滑組成物を提供する。
【0031】
本明細書において使用する粘度指数は、ASTMの方法D2270−10e1を用いることにより決定される。
【0032】
本明細書において使用する100℃における動粘度は、ASTM D445−12の方式により測定される。
【0033】
本明細書において使用するブルックフィールド粘度は、−40℃におけるASTM D2983−09(−40℃におけるブルックフィールド粘度)により測定される。
潤滑組成物
【0034】
本発明の潤滑組成物は、100℃で3.6〜4.8cSt(mm
2/s)、または4.0〜4.6cSt(mm
2/s)、または4.0〜4.4cSt(mm
2/s)、または4.0〜4.2cSt(mm
2/s)の動粘度を有することができる。
【0035】
潤滑組成物は、−40Cで最大6,800cP(mPa・s)のブルックフィールド粘度を有し得る。−40℃におけるブルックフィールド粘度は、3,000〜6,800cP(mPa・s)であり得る。
【0036】
該潤滑組成物は、100℃で3.6〜4.5cSt(mm
2/s)未満の動粘度を有し得、−40℃におけるブルックフィールド粘度は、3000から最大で6,800cP(mPa・s)であり得る。
【0037】
該潤滑組成物は、100℃で4.0〜4.4cSt(mm
2/s)の動粘度を有し得、−40℃におけるブルックフィールド粘度は、3,000〜6,800cP(mPa・s)であり得る。
潤滑粘度の油
【0038】
本発明の潤滑粘度の油は、100℃で2.8〜3.6cSt(mm
2/s)または2.9〜3.5cSt(mm
2/s)、または3.0〜3.4cSt(mm
2/s)の動粘度を有し得る。該動粘度は、100℃でASTM D445−12の方式により測定される。本発明の潤滑粘度の油は、API規格II+基油として定義することもできる。API規格II+基油は公知であり、例えば「Design Practice: Passenger Car Automatic Transmissions」と題するSAE刊行物、第4版、AE−29、2012年発行、12−9頁に記載されている。US8,216,448でも、API規格II+を、110超またはそれに等しく120未満の粘度指数を有する「規格II+基油」として定義している。
【0039】
本発明の潤滑粘度の油は、104〜130、または少なくとも105、または少なくとも110、または少なくとも115〜130の粘度指数(VI)を有することができる。該粘度指数は104〜125、または110から120未満の範囲であってもよい。特定の一実施形態において、潤滑粘度の油は、100℃で2.8〜3.6cSt(mm
2/s)の動粘度および110から120未満の粘度指数を有する。
【0040】
本発明の潤滑粘度の油の例として、S−オイル、Nexbase、Yubase、Petrocanada、およびChevron中性油110RLVの登録商標で販売されている基油が含まれる。
【0041】
本発明の潤滑粘度の油は、潤滑組成物の60wt%〜97.5wt%、または70wt%〜95wt%、または80wt%〜95wt%で存在することができる。
【0042】
100℃で2.8〜3.6cSt(mm
2/s)の動粘度を有する本発明の潤滑粘度の油は、従来の潤滑粘度の油(即ち、本発明によって定義されたもの以外の潤滑粘度の油)とブレンドすることもできる。従来の潤滑粘度の油は、アメリカ石油協会(API)の基油互換性指針で特定されたように定義してもよい。その5つの基油規格は以下のとおりである:規格I(硫黄含有率>0.03wt%、および/または<90wt%飽和分、粘度指数80〜120);規格II(硫黄含有率≦0.03wt%、および≧90wt%飽和分、粘度指数80〜120);規格III(硫黄含有率≦0.03wt%、および≧90wt%飽和分、粘度指数≧120);規格IV(全てポリα−オレフィン(PAO));および規格V(規格I、II、III、またはIVに含まれない他のもの全て)。該潤滑粘度の油は、API規格I、規格II(本発明により定義された潤滑粘度の油を除く)、規格III、規格IV、規格Vの油またはそれらの混合物を含む。
【0043】
しばしば、従来の潤滑粘度の油は、API規格I、規格II(本発明により定義された潤滑粘度の油を除く)、規格III、規格IV油またはそれらの混合物である。あるいは従来の潤滑粘度の油は、しばしば、API規格II(本発明により定義された潤滑粘度の油を除く)、規格IIIまたは規格IV油またはそれらの混合物である。
【0044】
一実施形態では、従来の潤滑粘度の油は、フィッシャー・トロプシュのガスから液体の合成手順ならびに他のガスからの液体油によって調節することができる。
【0045】
一実施形態では、従来の潤滑粘度の油は、API規格IV油であってよい。規格IV油の量は、潤滑組成物の0wt%〜20wt%、または0.1wt%〜20wt%、または1wt%〜15wt%、または5〜10wt%であってもよい。
【0046】
存在する潤滑粘度の油の量は、典型的には本発明の性能添加剤の量の合計を100wt%から差し引いた後に残る残余である。
【0047】
潤滑組成物は、濃縮物の形態および/または完全に調合された潤滑剤であってもよい。本発明の性能添加剤が濃縮物の形態(全体でまたは一部で、完成された潤滑剤を形成するために追加された油と合わされていてもよい)であれば、性能添加剤の潤滑粘度の油および/または希釈剤油に対する比は、重量で1:99〜99:1、または80:20〜10:90の範囲を含む。
清浄剤
【0048】
潤滑組成物は、カルシウム含有清浄剤を含む。カルシウム含有清浄剤は、130ppm〜600ppm、または160ppm〜400ppmのカルシウムをもたらす量で存在する。
【0049】
該カルシウム含有清浄剤は、過塩基化清浄剤、非過塩基化清浄剤、またはそれらの混合物であってもよい。通常、該清浄剤は過塩基化され得る。
【0050】
カルシウム含有清浄剤の調製は当技術分野において公知である。過塩基化カルシウム含有清浄剤の調製を記載する特許は、米国特許第2,501,731号、第2,616,905号、第2,616,911号、第2,616,925号、第2,777,874号、第3,256,186号、第3,384,585号、第3,365,396号、第3,320,162号、第3,318,809号、第3,488,284号、および第3,629,109号を含む。
【0051】
TBNが引用されて関連付けられた範囲の本明細書において使用されるTBN値は、「現状のまま」に基づく、即ち、希釈剤油の従来量を含有する。希釈剤油の従来の量は、典型的には、清浄剤成分の30wt%〜60wt%(しばしば40wt%〜55wt%)の範囲にある。
【0052】
「金属比」、TBNおよび「石鹸含有率」という表現のさらに詳細な説明は、当業者に公知であり、標準的教則本、表題「Chemistry and Technology of Lubricants」、第3版、R.M. MortierおよびS. T. Orszulik編、版権2010年、219〜220頁、小見出し7.2.5.清浄剤の分類(Detergent Classification)で説明されている。
【0053】
該カルシウム含有清浄剤は、非過塩基化清浄剤であってもよい(中性清浄剤と称することもできる)。非過塩基化のTBNは、20〜200mg KOH/g未満、または30〜100、または35〜50mg KOH/gであってもよい。非過塩基化カルシウム含有清浄剤のTBNは、20〜175、または30〜100mg KOH/gであってもよい。非過塩基化カルシウム含有清浄剤がヒドロカルビルで置換されたスルホン酸などの強酸から調製される場合には、TBNは比較的低くてもよい(例えば、0〜50mg KOH/g、または10〜20mg KOH/g)。
【0054】
該カルシウム含有清浄剤は、過塩基化清浄剤であってもよく、それは200mg KOH/g超のTBNを有することができる(典型的には250〜600、または300〜500mg KOH/g)。
【0055】
該カルシウム含有清浄剤は、塩基性カルシウム化合物と酸性清浄剤基剤との反応により形成することができる。該酸性清浄剤基剤には、アルキルフェノール、アルデヒドとカップリングしたアルキルフェノール、硫化アルキルフェノール、アルキル芳香族スルホン酸(アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルトルエンスルホン酸またはアルキルベンゼンスルホン酸など)、脂肪族カルボン酸、カリックスアレーン、サリキサレン、アルキルサリチル酸、またはそれらの混合物が含まれ得る。
【0056】
本発明の塩基性金属化合物は、塩基性を清浄剤に供給するために使用される。該塩基性のカルシウム化合物は、この金属の水酸化物または酸化物の化合物である。
【0057】
該酸化物および/または水酸化物は、単独でまたは組合せで使用することができる。該酸化物または水酸化物は水和していてもまたは脱水されていてもよいが、水和しているのが典型的である。一実施形態では、塩基性カルシウム化合物は、水酸化カルシウムであってもよく、それは単独で使用されてもまたは他の塩基性金属化合物との混合物で使用されてもよい。水酸化カルシウムは、しばしば、石灰と称される。一実施形態では、塩基性金属化合物は酸化カルシウムであってもよく、それは単独でまたは他の塩基性金属化合物との混合物で使用することができる。
【0058】
まとめると、カルシウム含有清浄剤を調製するために、アルキルフェノール、アルデヒドとカップリングしたアルキルフェノール、および硫化アルキルフェノールが使用される場合、該清浄剤は、カルシウムフェネートと称することができる。カルシウムフェネートは、アルキルフェネート、アルデヒドとカップリングしたアルキルフェネート、硫化アルキルフェネート、またはそれらの混合物であってもよい。
【0059】
カルシウムフェネートのTBNは、200mg KOH/g未満、または30〜175(典型的には150〜175)mg KOH/g(中性フェネートについて)から、200mg KOH/gまたはそれ超から500mg KOH/g、または210〜400(典型的には230〜270)mg KOH/g(過塩基化フェネートについて)まで変化することができる。
【0060】
該フェネートのアルキル基(即ち、アルキルフェネート)は、4〜80個、または6〜45個、または8〜20個、または9〜15個の炭素原子を含有することができる。
【0061】
一実施形態では、該カルシウム含有清浄剤は、スルホン酸塩、またはそれらの混合物であってもよい。該スルホン酸塩は、モノ−またはジ−ヒドロカルビルで置換されたベンゼン(またはナフタレン、インデニル、インダニル、またはビシクロペンタジエニル)スルホン酸から調製することができ、ここで、ヒドロカルビル基は6〜40個、または8〜35個または9〜30個の炭素原子を含有することができる。
【0062】
該ヒドロカルビル基は、ポリプロピレンまたは少なくとも10個の炭素原子を含有する線状もしくは分岐アルキル基から誘導することができる。適当なアルキル基の例には、分岐および/または線状デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、オクタデセニル、ノナデシル(nonodecyl)、エイコシル、ウン−エイコシル、ド−エイコシル、トリ−エイコシル、テトラ−エイコシル、ペンタ−エイコシル、ヘキサ−エイコシルまたはそれらの混合物が含まれる。
【0063】
一実施形態では、該ヒドロカルビルで置換されたスルホン酸は、ポリプロペンベンゼンスルホン酸および/またはC
16〜C
24アルキルベンゼンスルホン酸、またはそれらの混合物を含むことができる。
【0064】
一実施形態では、スルホン酸カルシウム清浄剤は、米国特許出願公開第2005065045号(US7,407,919として許可された)の段落[0026]〜[0037]に記載されているように、少なくとも8の金属比を有する主に直鎖のアルキルベンゼンスルホネート清浄剤であってもよい。一部の実施形態において、該直鎖アルキル基は、このアルキル基の直鎖状鎖に沿ってどこでベンゼン環に結合していてもよいが、しばしば、この直鎖状鎖の2位、3位または4位で、および一部の例では主に2位で結合している。
【0065】
中性または僅かに塩基性の場合、スルホン酸カルシウム清浄剤は、100mg KOH/g未満、または75mg KOH/g未満、典型的には20〜50mg KOH/g、または0〜20mg KOH/gのTBNを有することができる。
【0066】
過塩基化されている場合、スルホン酸カルシウム清浄剤は、200mg KOH/g超、または300〜550、または350〜450mg KOH/gのTBNを有することができる。
【0067】
該清浄剤は、ホウ化されていてもよく、非ホウ化でもよい。
【0068】
スルホン酸塩清浄剤およびフェネート清浄剤の化学構造は、当業者に公知である。標準的教則本、表題「Chemistry and Technology of Lubricants」、第3版、R.M. MortierおよびS. T. Orszulik編、版権2010年、220〜223頁、小見出し7.2.6の下で、前記清浄剤およびそれらの構造の概略の開示が提供されている。
【0069】
一実施形態では、該カルシウム含有清浄剤は、過塩基化スルホン酸カルシウム、過塩基化カルシウムフェネート、またはそれらの混合物であってもよい。典型的には該清浄剤は、過塩基化スルホン酸カルシウムであってもよい。
【0070】
一実施形態では、該カルシウム含有清浄剤は、亜鉛、バリウム、ナトリウム、またはマグネシウムを含有する清浄剤との混合物であってもよい。亜鉛、バリウム、ナトリウム、またはマグネシウムを含有する清浄剤も当技術分野において周知であり、カルシウム含有清浄剤を記載する同じ参考文献に記載されている。しかしながら、TBNおよび金属比は、僅かに異なることもある。亜鉛、バリウム、ナトリウム、またはマグネシウムを含有する清浄剤は、フェネート、硫黄含有フェネート、スルホネート、サリキサレートまたはサリチレートであってもよい。典型的には、亜鉛、バリウム、ナトリウム、またはマグネシウムを含有する清浄剤は、マグネシウムフェネート、マグネシウム硫黄含有フェネート、またはスルホン酸マグネシウムであってもよい。
リン含有化合物
【0071】
リン含有化合物は、酸、塩またはエステルであってもよく、摩擦調整剤、耐摩耗剤、極圧剤またはそれらの混合物であることもできる。一実施形態では、該リン含有化合物は、2もしくは3種、または2〜4種(典型的には2種もしくは3種)のリン含有化合物の混合物の形態にある。
【0072】
該リン含有化合物は、金属を含有していてもよく、金属を含有していなくてもよい(他の成分と混合される前に)。
【0073】
該リン含有化合物は、400ppm〜900ppm、または500ppm〜850ppm、または525ppm〜800ppmのリンをもたらす量で存在することができる。
【0074】
該リン含有化合物は、リン酸、亜リン酸、チオリン酸、チオ亜リン酸、またはそれらの混合物から誘導することができる。
【0075】
該リン含有化合物は、非イオン性リン化合物であってもよい。
【0076】
一実施形態では、該リン含有化合物は、2種またはそれ超の(おそらく4種まで)非イオン性リン化合物を含む。典型的には、該非イオン性リン化合物は、+3または+5に酸化されていてもよい。異なる実施形態は、亜リン酸エステル、リン酸エステル、またはそれらの混合物を含む。
【0077】
一実施形態では、該リン含有化合物は、非イオン性リン化合物(C
4〜6ヒドロカルビルホスファイト)およびリン酸またはエステルのアミン塩を含む。
【0078】
該リン含有化合物は、C
4〜6ヒドロカルビルホスファイト、またはそれらの混合物である非イオン性リン化合物を含む。本発明のC
4〜6ヒドロカルビルホスファイトは、下式により表されるものを含む:
【化1】
(式中、各R’’’は、独立に水素または4〜6個の炭素原子、典型的には4個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であってもよく、ただし、R’’’基のうちの少なくとも1つは、ヒドロカルビルである)。典型的には、該C
4〜6ヒドロカルビルホスファイトはジブチルホスファイトを含む。
【0079】
該C
4〜6ヒドロカルビルホスファイトは、リン含有化合物によりもたらされるリンの総量で少なくとも175ppmまたは少なくとも200ppmをもたらすことができる。
【0080】
該C
4〜6ヒドロカルビルホスファイトは、リン含有化合物からのリンの総量の少なくとも45wt%、または50wt%〜100wt%、または50wt%〜90wt%または60wt%〜80wt%をもたらすことができる。
【0081】
該リン含有化合物は、第2のホスファイトを含むことができ、その式は、R’’’が2〜40個、8〜24個または11〜20個の炭素原子を含有することができることを除いて上で開示されたものと同様であるが、ただし、第2のホスファイトはC
4〜6ヒドロカルビルホスファイトではない。適当なヒドロカルビル基の例には、プロピル、ドデシル、ブタデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、プロペニル、ドデセニル、ブタデセニル、ヘキサデセニル(hexadeencyl)、またはオクタデセニル基が含まれる。
【0082】
本明細書において使用する用語「アルキ(ケニ)ル(alk(en)yl)」はアルキルおよび/またはアルケニル基を有する部分を含むことが意図される。
【0083】
一実施形態では、該リン含有化合物は、C
4〜6ヒドロカルビルホスファイト(典型的にはジブチルホスファイト)およびC
12〜18アルキ(ケニ)ル水素ホスファイトならびに任意選択でリン酸の混合物を含む。異なる実施形態では、リン酸は存在するかまたは存在しない。
【0084】
一実施形態では、該リン含有化合物は、C
4〜6ヒドロカルビルホスファイト(典型的にはジブチルホスファイト)とC
16〜18アルキ(ケニ)ル水素ホスファイトの混合物を含む。該アルキ(ケニ)ル水素ホスファイトは、アルキル水素ホスファイト、およびアルケニル水素ホスファイト、またはアルケニル水素ホスファイトとアルキル水素ホスファイトの混合物であってもよい。一実施形態では、アルキ(ケニ)ル水素ホスファイトは、アルケニル水素ホスファイトおよびアルキル水素ホスファイトならびに任意選択でリン酸の混合物であってもよい。リン酸は、存在しても存在しなくてもよい。
【0085】
一実施形態では、該リン含有化合物は、C
4〜6ヒドロカルビルホスファイト(典型的にはジブチルホスファイト)とC
11〜14アルキ(ケニ)ル水素ホスファイトの混合物を含む。該アルキ(ケニ)ル水素ホスファイトは、アルキル水素ホスファイト、およびアルケニル水素ホスファイト、またはアルケニル水素ホスファイトとアルキル水素ホスファイトの混合物であってもよい。一実施形態では、該アルキ(ケニ)ル水素ホスファイトは、アルケニル水素ホスファイトおよびアルキル水素ホスファイトならびに任意選択でリン酸の混合物であってもよい。
【0086】
一実施形態では、該リン含有化合物は、C
4〜6ヒドロカルビルホスファイト(典型的にはジブチルホスファイト)とリン酸の混合物を含む。
【0087】
一実施形態で、本発明の潤滑組成物は、リン含有化合物およびヒドロカルビルホスファイトである非イオン性リン化合物を含むパッケージを含む。
【0088】
一実施形態では、該潤滑組成物は、C
8〜20ヒドロカルビルホスファイト、またはC
12〜18ヒドロカルビルホスファイト、またはC
16〜18ヒドロカルビルホスファイトをさらに含む。
【0089】
異なる実施形態において、本発明の潤滑組成物は、リン酸を含有していても含有していなくてもよい。一実施形態では、該潤滑組成物はリン酸をさらに含む。
分散剤
【0090】
本発明のホウ化分散剤は、スクシンイミド分散剤、マンニッヒ分散剤、ポリオレフィンコハク酸エステル、アミド、もしくはエステルアミド、またはそれらの混合物であってもよい。一実施形態では、該非ホウ化分散剤は、ホウ化スクシンイミド分散剤であってもよい。
【0091】
ホウ化分散剤は、ホウ化ポリイソブチレンスクシンイミド分散剤に基づくことができ、その場合ホウ化ポリイソブチレンスクシンイミドのポリイソブチレンは、750〜2200、または750〜1350、または750〜1150の数平均分子量を有する。
【0092】
該ホウ化分散剤は、単独でまたはホウ化分散剤の混合物の一部として使用することができる。ホウ化分散剤の混合物が使用される場合、2〜5種、または2〜3種または2種のホウ化分散剤が存在し得る。
【0093】
第2のホウ化分散剤は、ホウ化ポリイソブチレンスクシンイミド分散剤であってもよく(第1のホウ化分散剤と化学的に異なっているとの条件で)、ここで、ホウ化ポリイソブチレンスクシンイミドのポリイソブチレンは、750〜2200、または750〜1350、または750〜1150の数平均分子量を有する。
【0094】
1種または複数のホウ化分散剤を含有する潤滑組成物は、非ホウ化分散剤をさらに含むこともできる。該非ホウ化分散剤は、ポリイソブチレンスクシンイミドであってもよく、ホウ化ポリイソブチレンスクシンイミドのポリイソブチレンは、750〜2200、または750〜1350、または750〜1150の数平均分子量を有する。
【0095】
ホウ化および非ホウ化ポリイソブチレンスクシンイミドは、当技術分野において公知であり、950の数平均分子量を有するポリイソブチレンを用いて調製することができる。
【0096】
ホウ化および非ホウ化分散剤は、置換されたアシル化剤とポリアミン(典型的には、2またはそれ超の反応性部位を有する)との反応により形成することができる。例えば、置換されたアシル化剤は、ポリイソブチレン無水コハク酸およびポリアミンであってもよい。
【0097】
該ポリアミンは、アルキレンポリアミンであってもよい。該アルキレンポリアミンは、エチレンポリアミン、プロピレンポリアミン、ブチレンポリアミン、またはそれらの混合物を含むことができる。プロピレンポリアミンの例は、プロピレンジアミン、ジプロピレントリアミンおよびそれらの混合物を含む。
【0098】
一実施形態では、該ポリアミンは、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリアミン釜残およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0099】
該ホウ化および非ホウ化分散剤は、「エン」反応または「熱」反応により、「直接アルキル化プロセス」と称される反応により、無水コハク酸の反応から得てもよく/得ることができる。「エン」反応の機構および一般的反応条件は、「Maleic Anhydride」、147〜149頁、B.C. TrivediおよびB.C. Culbertson編、Plenum Press出版、1982年にまとめられている。「エン」反応を含むプロセスにより調製された非ホウ化分散剤は、分散剤分子の50モル%未満、または0〜30モル%未満、または0〜20モル%未満、または0モル%で存在する炭素環式環を有するポリイソブチレンスクシンイミドであってもよい。「エン」反応は、180℃〜300℃未満、または200℃〜250℃、または200℃〜220℃の反応温度を有し得る。
【0100】
該ホウ化および非ホウ化分散剤は、しばしば、ディールス−アルダー化学を含む、塩素により促進される、炭素環式連結の形成に至るプロセスにより得てもよく/得ることもできる。該プロセスは当業者に公知である。塩素により促進される該プロセスは、分散剤分子の50モル%もしくはそれ超で、または60〜100モル%(典型的には100モル%)で存在する炭素環式環を有するポリイソブチレンスクシンイミドである非ホウ化分散剤を生成することができる。熱により促進されるプロセスと塩素により促進されるプロセスとの両方は、米国特許第7,615,521号、4〜5欄ならびに調製例AおよびBにさらに詳細に記載されている。
【0101】
本発明のホウ化分散剤(複数可)は、0.9:1〜1.6:1、または0.95:1〜1.5:1、または1:1〜1:4のN:CO比を有するように調製することができる。
【0102】
非ホウ化分散剤は、5:1〜1:10、2:1〜1:10、または1:1〜1:10、または1:1〜1:5、または1:1〜1:2のカルボニル対窒素の比(CO:N比)を有することができる。一実施形態では、非ホウ化分散剤は、1:1〜1:10、または1:1〜1:5、または1:1〜1:2のCO:N比を有することができる。
【0103】
ホウ化および非ホウ化分散剤は、種々の試剤のいずれかを用いる反応による従来の方法により後処理することもできる。これらのうちでもとりわけ、尿素、チオ尿素、ジメルカプトチアジアゾール、二硫化炭素、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、炭化水素置換された無水コハク酸、無水マレイン酸、ニトリル、エポキシド、およびリン化合物である。
【0104】
非ホウ化分散剤は、典型的には、潤滑油組成物の0.1wt%〜10wt%、または0.5wt%〜7wt%、または1wt%〜4wt%、または1.5wt%〜3wt%で存在する。
【0105】
該分散剤は、(a)分散剤(ポリイソブチレンスクシンイミドなど)および(b)2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールもしくはヒドロカルビルで置換された2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール(25℃で潤滑粘度の炭化水素油に実質的に不溶性)、およびさらに、(c)ホウ化剤または(d)無機リン化合物のいずれか、あるいは(c)と(d)の両方を一緒に加熱することにより調製される反応生成物であってもよく、前記加熱は、(a)、(b)、および(c)または(d)の反応生成物(25℃で前記炭化水素油に可溶)を提供するのに十分な加熱である。
【0106】
該反応生成物は、典型的には、成分(b)に由来する0.5〜2.5重量パーセントの硫黄、または1〜2重量パーセント、もしくは1.25〜1.5重量パーセントの硫黄を含有することができる。該生成物は、同様に成分(c)からの0.2〜0.6重量パーセントのホウ素、もしくは成分(d)からの0.3〜1.1パーセントのリン、または成分(c)および(d)の両者からのそのような量を含有することができる。
【0107】
ホウ化分散剤は、ホウ酸の種々の形態(メタホウ酸、HBO
2、オルトホウ酸、H
3BO
3、およびテトラホウ酸、H
2B
4O
7を含む)、酸化ホウ素、三酸化ホウ素、およびアルキルボレートからなる群から選択される種々の試剤を使用してホウ化することにより調製することができる。これらの試剤は、上でより詳細に説明してある。一実施形態ではホウ化剤はホウ酸であり、それは単独でまたは他のホウ化剤との組合せで使用することができる。
【0108】
ホウ化分散剤は、ホウ素化合物とN−置換された長鎖アルケニルスクシンイミドとをブレンドして、それらを、適当な温度、典型的には80℃〜250℃、90℃〜230℃、または100℃〜210℃で、所望の反応が起こるまで加熱することにより調製することができる。不活性液体が、反応を実施する際に使用され得る。該液体には、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジメチルホルムアミドおよびそれらの混合物が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0109】
該ホウ化分散剤は:
(i)分散剤基剤;
(ii)2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールもしくはヒドロカルビルで置換された2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、もしくはそれらのオリゴマー;
(iii)ホウ化剤;ならびに
(iv)任意選択で1,3−二酸および1,4−二酸からなる群から選択される芳香族化合物のジカルボン酸;または
(v)任意選択で、リンの酸の化合物
を一緒に加熱することにより調製される生成物であってもよく、
前記加熱は、(i)、(ii)、(iii)および任意選択で(iv)もしくは(v)の生成物(それは、潤滑粘度の油に可溶である)を提供するのに十分な加熱である。
【0110】
分散剤基剤、芳香族化合物のジカルボン酸およびメルカプトチアジアゾールの混合物を、ホウ化剤および任意選択でリンの酸または酸無水物も用いて処理する。成分はどのような順序で組み合わせて反応させてもよい。特に、該ホウ化剤は、前処理プロセスであっても後処理プロセスであってもよい。したがって、例えば、ホウ酸(および任意選択でリンの酸も)を、分散剤基剤と1ステップで反応させて、その後で中間体のホウ化分散剤をメルカプトチアジアゾールおよび芳香族化合物のジカルボン酸と反応させてもよい。あるいは、該分散剤基剤、芳香族化合物のジカルボン酸およびメルカプトチアジアゾールを最初に反応させて、次に該生成物をホウ化剤で(および任意選択でリン酸、リン酸も用いて)で処理してもよい。さらに別の変形では、リン酸化されたスクシンイミド分散剤を、リンの酸とヒドロカルビルで置換された無水コハク酸とを反応させて混合無水物−酸前駆体を調製し、次に該前駆体とポリアミンを反応させてリン含有分散剤を形成させることにより調製することができる。該リン含有分散剤は、その後芳香族化合物のジカルボン酸およびメルカプトチアジアゾールと、およびホウ化剤と反応させることができる。
【0111】
該成分は、典型的にはホウ化剤および任意選択で該リンの酸の化合物(一緒にまたは順に)を残りの成分、すなわち、分散剤基剤、芳香族化合物のジカルボン酸およびジメルカプトチアジアゾールと加熱することにより反応させるが、上記のように他の反応順も可能である。加熱は、生ずる生成物の溶解性を確実にするのに十分な時間および温度で、典型的には80〜200℃、または90〜180℃、または120〜170℃、または150〜170℃で行われる。反応時間は、典型的には、少なくとも0.5時間、例えば、1〜24時間、2〜12時間、4〜10時間、または6〜8時間である。反応に必要な時間の長さは、当業者には明らかなように、一部は、反応の温度により決定される。反応の進行は、一般に、反応混合物からH
2Sまたは水が発生することにより明示される。典型的には、H
2Sはジメルカプトチアジアゾール中の1個または複数の硫黄原子に由来する。
【0112】
該反応生成物は、典型的には、成分(iii)に由来する0.5〜2.5重量パーセントの硫黄、または1〜2重量パーセント、または1.25〜1.5重量パーセントの硫黄を含有し得る。それは、同様に、成分(iv)からの0.2〜0.6重量パーセントのホウ素、もしくは成分(e)からの0.3〜1.1パーセントのリン、または成分(iv)および(v)の両者からのそのような量を含有し得る。
【0113】
該反応は、所望であれば最終の生成物中に保持され得る潤滑粘度の油などの疎水性媒体中で実施することができる。該油は、しかしながら、典型的には、反応条件下でそれ自体が反応も分解もしない油であるべきである。したがって、反応性のエステル官能性を含有する油は、希釈剤として通常使用されない。潤滑粘度の油は、上でより詳細に説明してある。
【0114】
ジカルボン酸が存在しない場合、反応させる成分の相対量は、反応前に重量部として表して、典型的には(i)分散剤100部、(ii)ジメルカプトチアジアゾールまたは置換されたジメルカプトチアジアゾール0.75〜6部、および(iii)ホウ化剤0または0.01〜7.5部、および(v)リンの酸の化合物0.01〜7.5部であるが、ただし、(iii)+(v)の相対量は少なくとも0.075部である。一実施形態では、相対量は、(i)の100部、(ii)の1.5〜3部、(iii)の0〜4.5部、および(v)の0〜4.5部であるが、ただし、(iii)+(v)は少なくとも1.5部である。別の実施形態では、相対量は、(i)100部、(ii)1.5〜2.2部、(iii)3.7〜4.4部、(v)1.5〜4.4部である。種々の成分、特に(iii)および(v)の量および範囲は、例えば、(v)が存在してもしなくても、(iii)の3.7〜4.4部があるように、および同様に、(iii)が存在してもしなくても、(v)1.5〜4.4部があるように、独立に組み合わせることができる。
【0115】
ジカルボン酸が存在する場合、反応前に重量部として表される反応させる成分の相対量は、典型的には(i)分散剤の100部、(ii)芳香族化合物のジカルボン酸の5〜5000ppm、(iii)ジメルカプトチアジアゾールまたは置換されたジメルカプトチアジアゾールの0.75〜6部、および(iv)ホウ化剤の0〜7.5部および(v)リンの酸の化合物の0〜7.5部であるが、ただし、(ii)+(iii)+(iv)+(v)の相対量は少なくとも1.5部である。一実施形態では、相対量は、(i)の100部、(ii)の1.5〜6部、(iii)の5〜1000ppm、(iv)の0または0.01〜4.5部、および(v)の0〜4.5部であるが、ただし、(iii)+(iv)+(v)は、少なくとも1.5部である。別の実施形態では、相対量は、(i)100部:(ii)1.5〜5.0部:(iii)25〜500ppm:(iv)3.7〜4.4部:(v)0〜4.4部である。種々の成分、特に、(iv)および(v)の量および範囲は、例えば、(v)が存在してもしなくても(iv)の3.7〜4.4部があるように、同様に(iv)が存在してもしなくても(v)の1.5〜4.4部があるように、独立に組み合わせることができる。
分散剤基剤
【0116】
加熱により調製された生成物は分散剤基剤を含む。本発明の分散剤は、周知であり、スクシンイミド分散剤(例えばN−置換された長鎖アルケニルスクシンイミド)、マンニッヒ分散剤、エステル含有分散剤、脂肪族ヒドロカルビルモノカルボン酸アシル化剤とアミンもしくはアンモニアとの縮合生成物、アルキルアミノフェノール分散剤、ヒドロカルビル−アミン分散剤、ポリエーテル分散剤、ポリエーテルアミン分散剤、分散剤機能性を含有する粘度調整剤(例えば分散剤機能性を含有するポリマーの粘度指数調整剤(VM))、またはそれらの混合物を含む。典型的には、分散剤基剤は、スクシンイミド、またはその混合物である。分散剤基剤は、ポリイソブチレンスクシンイミドであってもよい。
【0117】
一実施形態では、ホウ化分散剤は、芳香族化合物の1,3−ジカルボン酸もしくは1,4−ジカルボン酸、またはそれらの反応性等価物、あるいはそれらの混合物の存在下における反応により調製され、それは、該分散剤と反応するかまたは錯化する。用語「それらの反応性等価物」は、酸ハロゲン化物、エステル、アミドまたはそれらの混合物を含む。「芳香族成分」は、典型的にはベンゼン(フェニレン)環または置換されたベンゼン環であるが、縮合環化合物または複素環式化合物などの他の芳香族材料も考えられる。(いかなる理論により拘束されることも意図せず)ジカルボン酸芳香族化合物は、形成されるかもしれないがあまり重要な役割は果たせないアミドなどの共有結合で結合した構造の形成よりむしろ、塩形成または錯化により、分散剤に結合することができると考えられる。典型的には、本発明におけるジカルボン酸芳香族化合物の存在は、腐食を阻害する性質を組成物に付与すると考えられる。適当なジカルボン酸の例には、イソフタル酸などの1,3−ジカルボン酸および2−メチルイソフタル酸、4−メチルイソフタル酸または5−メチルイソフタル酸などのアルキル同族体;ならびにテレフタル酸などの1,4−ジカルボン酸および2−メチルテレフタル酸などのアルキル同族体が含まれる。ヒドロキシまたはアルコキシ(例えば、メトキシ)基などの他の環置換基も、ある特定の実施形態で存在することができる。一実施形態では、芳香族化合物はテレフタル酸である。
【0118】
一実施形態では、ホウ化分散剤は、「加熱により調製された生成物」の一部として反応するジメルカプトチアジアゾールの存在下における反応により調製される。これが、潤滑組成物中に別の腐食防止剤として存在し得る任意のジメルカプトチアジアゾールに加わる。例には、2,5−ジメルカプト−1,3−4−チアジアゾールまたはヒドロカルビルで置換された2,5−ジメルカプト−1,3−4−チアジアゾール、またはそれらのオリゴマーが含まれる。ヒドロカルビルで置換された2,5−ジメルカプト−1,3−4−チアジアゾールのオリゴマーは、典型的には、2,5−ジメルカプト−1,3−4−チアジアゾール単位間の硫黄−硫黄結合を形成して、2またはそれ超の前記チアジアゾール単位のオリゴマーを形成することにより形成される。
【0119】
一実施形態では、ホウ化分散剤は、リンの酸の化合物の存在下における反応により調製される。該リンの酸の化合物は、酸素原子および/または硫黄原子をその構成要素の元素として含有することができ、典型的にはリン酸または酸無水物である。この成分として、以下の例:亜リン酸、リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸、三酸化リン、四酸化リン、五酸化リン(P
2O
5)、ホスホロテトラチオン酸(H
3PS
4)、ホスホロモノチオン酸(H
3PO
3S)、ホスホロジチオン酸(H
3PO
2S
2)、ホスホロトリチオン酸(H
3PO
2S
3)、およびP
2S
5が含まれる。これらの中で、亜リン酸およびリン酸またはそれらの酸無水物が通常使用される。リンの酸の化合物のアミン塩などの塩も使用することができる。複数のこれらのリンの酸の化合物を一緒に使用することも可能である。該リンの酸の化合物は、しばしばリン酸または亜リン酸またはそれらの酸無水物である。
【0120】
該リンの酸の化合物は、リン酸塩、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、またはホスフィン酸化物などの+3または+5にリンが酸化されたリン化合物も含むことができる。これらの適当なリンの酸の化合物についてのより詳細な記載は、米国特許第6,103,673号、9欄の64行から11欄の8行に記載されている。
【0121】
一実施形態では、該リンの酸の化合物は無機リン化合物である。
【0122】
ホウ化分散剤は、典型的には、潤滑油組成物の0.1wt%〜10wt%、または0.5wt%〜7wt%、または1wt%〜4wt%で存在する。
【0123】
一実施形態では、該分散剤のパッケージは、
(i)ポリイソブチレンスクシンイミドを含む非ホウ化分散剤であって、該非ホウ化分散剤を調製するために使用されるポリイソブチレンが、550〜1150、または750〜1150、または900〜1000の数平均分子量を有する(市販のものは約950の数平均分子量であることが多い)分散剤;および
(ii)ポリイソブチレンスクシンイミドを含むホウ化分散剤であって、該非ホウ化分散剤を調製するために使用されるポリイソブチレンが550〜1150、または750〜1150、または900〜1000の数平均分子量を有する(市販のものは約950の数平均分子量であることが多い)分散剤
を含むことができる。
【0124】
一実施形態では、該分散剤パッケージは、
(a)ポリイソブチレンスクシンイミドを含む非ホウ化分散剤であって、該非ホウ化分散剤を調製するために使用されるポリイソブチレンは、550〜1150、または750〜1150、または900〜1000の数平均分子量を有する(市販のものは約950の数平均分子量であることが多い)分散剤、ならびに
(b)
(i)分散剤基剤、
(ii)2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールもしくはヒドロカルビルで置換された2,5−ジ−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、またはそれらのオリゴマー、
(iii)ホウ化剤、および
(iv)任意選択で、1,3−二酸および1,4−二酸からなる群から選択される、芳香族化合物のジカルボン酸、あるいは
(v)任意選択で、リンの酸の化合物
を一緒に加熱することにより調製される生成物であってもよいホウ化分散剤であって、
前記加熱は、(i)、(ii)、(iii)および任意選択で(iv)または(v)の、潤滑粘度の油に可溶である生成物を提供するのに十分な加熱であるホウ化分散剤
を含むことができる。
粘度調整剤
【0125】
粘度調整剤のための本明細書において使用する下の範囲は、350〜2,000,000の範囲に重量平均分子量を有するポリスチレン標準物質を使用してGPCにより測定される。
【0126】
潤滑組成物は、0.1wt%〜5wt%(または0.5wt%〜4wt%)の分散剤機能性を有する線状ポリマーを含有する。このタイプの化合物は当技術分野において公知であり、分散剤とは異なり、分子量は本発明の線状ポリマーより低いと考えられる。
線状ポリマー
【0127】
本発明の潤滑組成物は、一実施形態では、5,000〜25,000、または8000〜20,000の重量平均分子量を有する線状ポリマーを含む。
【0128】
一実施形態では、該線状ポリマーは、ポリ(メタ)アクリレート、またはそれらの混合物を含む。該線状ポリマーは、本明細書に記載された組成物中に、潤滑組成物の0.1wt%〜5wt%、または0.1wt%〜4wt%、または0.2wt%〜3wt%、または0.5wt%〜3wt%、0.5wt%〜4wt%で存在することができる。
【0129】
該線状ポリマーは、(a)アルキル基が10〜15個の炭素原子を有する50wt%〜95wt%、または60wt%〜80wt%のアルキル(メタ)アクリレート、(b)アルキル基が1〜9個の炭素原子を有する1wt%〜40wt%、または4wt%〜35wt%のアルキル(メタ)アクリレート、(c)1wt%〜10wt%、または1wt%〜8wt%の分散剤モノマー、(d)0wt%〜4wt%、もしくは0wt%〜2wt%、または0wt%のビニル芳香族モノマー(典型的にはスチレン)、および(e)アルキル基が16〜18個の炭素原子を有する0wt%〜9wt%、または0wt%〜6wt%のアルキル(メタ)アクリレートを含むモノマー組成物から誘導されるポリ(メタ)アクリレートポリマーを含む組成物を有することができる。一実施形態では、該線状ポリマーは、0wt%〜20wt%の16〜18単位のアルキル(メタ)アクリレートを含有することができる。
【0130】
該スターポリマーは、C
12〜15アルキル(メタ)アクリレート(約80wt%)、およびメチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、およびエチレングリコールジ(メタ)アクリレートで構成されるモノマーの混合物(約20wt%)を含むモノマー組成物から誘導することができる。二官能性。該線状ポリマーは、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート(30wt%)、C
12〜15アルキル(メタ)アクリレート(68.2wt%)、およびジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート(1.8wt%)を含むモノマー組成物から誘導することができる。
【0131】
一実施形態では、該線状ポリマーは、(a)エステル基のアルコール由来部分中に8〜24個、または10〜18個、または12〜15個の炭素原子、および(b)エステル基のアルコール由来の部分中に6〜11個または8〜11個、または8個の炭素原子を含有し、2−(C
1〜4アルキル)置換基を有するアルキル(メタ)アクリレートエステルモノマー、ならびに任意選択で、エステル基のアルコール由来部分中に1〜7個の炭素原子を含有する、(メタ)アクリル酸エステル(a)および(b)とは異なる(メタ)アクリル酸エステル、ビニル芳香族化合物(またはビニル芳香族モノマー)、および窒素含有ビニルモノマーからなる群から選択される少なくとも1つのモノマーの混合物から誘導される単位を有するポリ(メタ)アクリレート(典型的にはポリメタクリレート)を含むが、ただし、該エステルの60重量%以下、または50重量%以下、または35重量%以下が、該エステル基のアルコール由来部分中に10個以下の炭素原子を含有する。このタイプの線状ポリマーは、US6,124,249号、またはEP0937769A1の段落[0019]および[0031]〜[0067]にさらに詳細に記載されている。(「アルコール由来部分」は、R’C(=O)−ORと書かれている場合には、それがアルコールとの反応により実際に調製されてもいなくてもエステルの「−OR」部分を指す)。任意選択で、該線状ポリマーは第3のモノマーをさらに含むこともある。第3のモノマーはスチレンまたはその混合物であってもよい。第3のモノマーはポリマー組成物の0%〜25%、または該組成物の1%〜15%、該組成物の2%〜10%、またはさらに該組成物の1%〜3%の量で存在し得る。
【0132】
典型的には、コポリマー中におけるエステル(a)のエステル(b)に対するモル比は、95:5〜35:65、または90:10〜60:40、または80:20〜50:50の範囲にある。
【0133】
該エステルは、通常脂肪族エステル、典型的にはアルキルエステルである。一実施形態では、(a)のエステルは、C
12〜15アルキル(メタ)アクリレートであってもよく、そして(b)のエステルは2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートであってもよい。
【0134】
一実施形態では、エステル(a)におけるエステル基は、分岐アルキル基を含有する。該エステル基は、2〜65%、または5〜60%の分岐アルキル基を有するエステル基を有することができる。該分岐アルキル基は、β−分岐であってもよく、8〜60個、または8〜30個、または8〜16個の炭素原子を有することができる。例えば、該分岐アルキル基は、2−エチルヘキサノール、2−ブチルオクタノール、2−ヘキシルデカノール、2−オクチルドデカノール、2−デシルテトラデカノール、もしくはそれらの混合物、またはSasolから入手できるIsofol(登録商標)分岐Guerbetアルコールなどの市販のアルコールから誘導することができる。
【0135】
上記C
1〜4アルキル置換基は、メチル、エチル、ならびにプロピルおよびブチルの任意の異性体であってもよい。
【0136】
該線状ポリ(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、45,000もしくはそれ未満、または35,000もしくはそれ未満、または25,000もしくはそれ未満、または8000〜25,000、または、10,000〜35,000、または12,000〜20,000であってもよい。
【0137】
分散剤機能性を有する線状ポリマー粘度調整剤は、0.5wt%〜4wt%の分散剤機能性を有する線状(メタ)アクリルポリマー粘度調整剤で存在する唯一の分散剤粘度調整剤として使用することができ、該線状ポリマーは5,000〜25,000、または10,000〜20,000の重量平均分子量を有し、潤滑粘度の油は100℃で2.8〜3.1cSt(mm
2/s)の動粘度および104〜130の粘度指数を有する。
【0138】
該潤滑組成物は、一実施形態で、線状ポリマーが5,000〜25,000、または10,000〜20,000の重量平均分子量を有する、分散剤機能性を有する2種のみの線状ポリマー粘度調整剤を含有することができる。
【0139】
一実施形態では、本発明の潤滑組成物は、本明細書に記載したスターポリマーおよび線状ポリマーを含む粘度調整剤を含む。
【0140】
一実施形態では、潤滑組成物は、線状ポリマーが25,000超〜400,000(または350,000まで)または30,000〜150,000の重量平均分子量を有する、0.1wt%〜4wt%(または0.2wt%〜3wt%)の分散剤機能性を有する線状(メタ)アクリルポリマー粘度調整剤を含むことができる。重量平均分子量が25,000超〜400,000(または350,000まで)の線状(メタ)アクリルポリマーは、重量平均分子量が5,000〜25,000の線状(メタ)アクリルポリマーと、重量平均分子量が異なることを除いて化学的に同様と考えてよい。
【0141】
該潤滑組成物は、線状ポリマーが10,000〜20,000の重量平均分子量を有する、0.1wt%〜4wt%(または0.2wt%〜3wt%)の分散剤機能性を有する線状(メタ)アクリルポリマー粘度調整剤、および線状ポリマーが20,000超〜250,000(または30,000〜150,000)の重量平均分子量を有する、0.1wt%〜4wt%(または0.2wt%〜3wt%)の分散剤機能性を有する線状(メタ)アクリルポリマー粘度調整剤を含む、分散剤機能性を有する線状ポリマー粘度調整剤を含むことができる。
【0142】
該潤滑組成物は、線状ポリマーが5,000〜25,000または10,000〜20,000の重量平均分子量を有する、0.1wt%〜4wt%(または0.2wt%〜3wt%)の分散剤機能性を有する線状(メタ)アクリルポリマーを含む、分散剤機能性を有する線状ポリマー粘度調整剤を含むことができ、該組成物は、0.1wt%〜4wt%(または0.2wt%〜3wt%)の星型構造を有する(メタ)アクリルポリマーをさらに含む。
【0143】
本明細書で開示されたスターポリマーの詳細な説明は、WO2007/127660(2007年11月8日公開、BakerらによりLubrizol Corporationに譲渡)、段落[0021]〜[0061]にも記載されているかもしれない。Bakerは種々のスターポリマーの組成物および調製の方法を開示している。
【0144】
異なる実施形態において、該スターポリマーは、50wt%超、または55wt%もしくはそれ超、または70wt%もしくはそれ超、または90wt%もしくはそれ超、または95wt%もしくはそれ超、あるいは100wt%の非ジエンモノマー(すなわち、1種またはそれ超の非ジエンモノマーの重合から誘導される非ジエンモノマー単位(複数可))を含有することができる。ジエンモノマーの例として、1,3−ブタジエンまたはイソプレンが含まれる。対照的に、本発明の非ジエンの例として、スチレン、(メタ)アクリレート、アクリレート、またはそれらの混合物が含まれ得る。一実施形態では、該スターポリマーは、(メタ)アクリレート、またはそれらの混合物から誘導されるポリマーであってもよく、スチレンを含まない。
【0145】
後で記載するように、粘度調整剤の分子量は、ポリスチレン標準物質を使用するGPC分析などの公知の方法を使用して決定した。ポリマーの分子量を決定する方法は周知である。該方法は、例えば、(i)P. J. Flory、「Principles of star polymerChemistry」、Cornell University Press 91953)、第VII章、266〜315頁、または(ii)「Macromolecules, an Introduction to star polymer Science」、F. A. BoveyおよびF. H. Winslow編、Academic Press(1979年)、296〜312頁に記載されている。本明細書において使用する本発明のポリマーの重量平均および数平均分子量は、希釈剤、不純物、カップリングしていないスターポリマー鎖および他の添加剤と関連するピークを除外した、通常主要な高分子量ピークである、本発明のスターポリマーに対応するピーク下の面積を積分することにより得られる。
【0146】
該星型構造を有する(メタ)アクリルポリマーは、(a)アルキル基が12〜15個の炭素原子を有する50wt%〜100wt%のアルキル(メタ)アクリレート、(b)アルキル基が1〜9個の炭素原子を有する0wt%〜40wt%のアルキル(メタ)アクリレート、(c)0wt%〜10wt%の分散剤モノマー、(d)0wt%〜5wt%、または0wt%〜2wt%、または0wt%のビニル芳香族モノマー(典型的にはスチレン)、および(e)アルキル基が16〜18個の炭素原子を有する0wt%〜20wt%、または0wt%〜10wt%、または0wt%のアルキル(メタ)アクリレートを含むモノマー組成物から誘導されるポリ(メタ)アクリレートポリマーを含む3本またはそれより多いアームを有する。
【0147】
該星型構造を有する(メタ)アクリルポリマーは、(a)アルキル基が12〜15個の炭素原子を有する60wt%〜95wt%のアルキル(メタ)アクリレート、(b)アルキル基が1〜9個の炭素原子を有する5wt%〜30wt%のアルキル(メタ)アクリレート、(c)0wt%〜10wt%の分散剤モノマー、(d)0wt%〜5wt%、または0wt%〜2wt%、または0wt%のビニル芳香族モノマー(典型的にはスチレン)、および(e)アルキル基が16〜18個の炭素原子を有する0wt%〜20wt%、または0wt%〜10wt%、または0wt%のアルキル(メタ)アクリレートを含むモノマー組成物から誘導されるポリ(メタ)アクリレートポリマーを含む3本またはそれより多いアームを有することができる。
【0148】
該スターポリマーは、100,000〜1,300,000、または125,000〜1,000,000、または150,000〜950,000、または200,000〜800,000の重量平均分子量を有することができる。本明細書において使用するスターポリマーの剪断安定性指数(SSI)は20時間KRL試験(Volkswagen Tapered Bearing Roller Test)により決定することができる。試験手順は、CEC−L−45−99または等価の試験方法DIN51350−6−KRL/Cの両方に詳述されている。
【0149】
該スターポリマーSSIは、0〜100、または0〜80、または0〜60、または0〜50、0〜20、または0〜15、または0〜10、または0〜5の範囲内であり得る。SSIの適当な範囲の例は、1〜5、10〜25、または25〜65を含む。
【0150】
スターポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーであってもよく、すなわち、そのアームは、ホモポリマー状であってもコポリマー状(即ち、2またはそれ超のモノマータイプを含有する)であってもよい。一実施形態では、スターポリマーはコポリマーであってもよい。スターポリマーは、ランダム、テーパー付き、ジブロック、トリブロックまたはマルチブロック構造を有するスターポリマーであってもよい。典型的には、スターポリマーは、ランダムまたはテーパー付き構造を有する。
【0151】
スターポリマーは、ブロックアーム構造、またはヘテロアーム構造、またはテーパー付きアーム構造を有していてもよいアームを有することができる。テーパー付きアーム構造は、スターポリマーアームの長さにわたって可変の組成を有する。例えば、テーパー付きアームは、1つの末端で、比較的純粋な第1のモノマー、および他の末端で、比較的純粋な第2のモノマーで構成されていてもよい。アームの中央は、2種のモノマーの勾配組成物が多くなっている。
【0152】
Hsiehら(Henry HsiehおよびRoderic Quirk、「Anionic Polymerization,Principles and Practical Applications」(Marcel Dekker,Inc、New York、1996年)の第13章(333〜368頁))(今後Hsiehらと称する)に記載されているように、ヘテロアーム、または「ミクトアーム」のスターポリマーは、分子量、組成のいずれか、または両方で互いに異なり得るアームを含有する。例えば、所与のスターポリマーのアームの一部分は、1つのポリマーのタイプであり得、そして一部分は、第2のポリマーのタイプであり得る。より複雑なヘテロアームスターポリマーは、3またはそれ超のポリマーのアーム部分を、カップリング剤で結合させることにより形成することができる。一実施形態では、ヘテロアームのスターは、連結およびコア形成に先立って、数バッチのポリマーを、リビング特性で組み合わせることにより調製することができる。
【0153】
ポリマーの「アーム」部分の形成のために開示された技法で使用される上記のモノマーは、アクリル酸よりもむしろメタクリル酸に基づく。ある特定の実施形態では、メタクリルポリマーは、アクリルポリマーより良好な低温特性を有する。一般に、ポリマーアームを形成するための反応混合物中にまたは生ずるポリマーアーム自体中に存在するアクリルモノマーの量は、0〜5モル%、または0.001〜2モル%または0.01〜1モルパーセントまたは0.05〜0.5モルパーセント、または0.1モルパーセント未満であってもよい。
【0154】
分岐した、櫛様の、ラジアルのまたは星型構造を有するスターポリマーは、2またはそれの超アーム、または5またはそれ超のアーム、または7またはそれ超のアーム、または10またはそれ超のアーム、例えば12〜100、または14〜50、または16〜40のアームを有することができる。分岐、櫛様、ラジアルのまたは星型構造を有するスターポリマーは、120アームまたはそれ未満、または80アームまたはそれ未満、または60アームまたはそれ未満を有することができる。
【0155】
スターポリマーは、制御されたラジカル重合技法により得られてもよく/得ることもできる。制御されたラジカル重合技法の例には、RAFT、ATRPまたはニトロキシド媒介プロセスが含まれる。スターポリマーは、アニオン重合プロセスにより得られてもよく/得ることもできる。一実施形態では、スターポリマーは、RAFT、ATRPまたはアニオン重合プロセスにより得られてもよく/得ることもできる。一実施形態では、スターポリマーは、RAFTまたはATRP重合プロセスにより得られてもよく/得ることもできる。一実施形態では、スターポリマーは、RAFT重合プロセスにより得られてもよく/得ることもできる。
【0156】
スターポリマーを調製する場合に、RAFTまたはATRP重合プロセスが、他の重合技法よりも好ましく、その理由は、(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリルアミドを含む極性ビニルモノマーは、アニオン重合中に副反応を起こしやすく、アニオン重合をあまり望ましくないものにし得るからである。
【0157】
ATRP、RAFTまたはニトロキシド媒介技法を使用してポリマーを調製する方法は、国際公開WO2006/047398の実施例の項に開示されているので、その実施例1〜47を参照されたい。
【0158】
重合機構および関連する化学のより詳細な記載は、Handbook of RadicalPolymerization、Krzysztof MatyjaszewskiおよびThomas P. Davis編、2002年、John Wiley and SonsInc出版(今後「Matyjaszewskiら」と称する)で、ニトロキシド媒介重合(第10章、463〜522頁)、ATRP(第11章、523〜628頁)およびRAFT(第12章、629〜690頁)について論じられている。
【0159】
ATRP重合のスターポリマー機構の考察は、Matyjaszewskiらの524頁の反応スキーム11.1、566頁の反応スキーム11.4、571頁の反応スキーム11.7、572頁の反応スキーム11.8および575頁の反応スキーム11.9に示されている。ATRP重合において、ラジカル機構により移動され得る基は、ハロゲン(ハロゲン含有化合物から)または種々のリガンドを含む。移動され得る基のより詳細な概説は、US6,391,996、または国際公開WO2006/047398の段落61〜65に記載されている。
【0160】
RAFT重合においては連鎖移動剤が重要である。適当な連鎖移動剤のより詳細な概説は、国際公開WO2006/047398の段落[0066]〜[0071]に見出される。一実施形態では、適当なRAFT連鎖移動剤には、2−ドデシルスルファニル−チオカルボニルスルファニル−2−メチル−プロピオン酸ブチルエステル、クミルジチオベンゾエートまたはそれらの混合物が含まれる。RAFT重合のスターポリマー機構の考察は、Matyjaszewskiらの12.4.4項664〜665頁に示されている。
【0161】
スターポリマーは、コアファーストまたはアームファーストのいずれかのアプローチで調製するための当技術分野において公知の技法により調製することができる。典型的には、スターポリマーは、RAFTまたはATRP(典型的にはRAFT)重合技法を使用して「アームファーストの」アプローチにより調製される。
【0162】
星型構造を有する(メタ)アクリルポリマーは、アルキル(メタ)アクリレートなどの公知のモノマーから調製することができる。アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、飽和アルコールから誘導される化合物、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−メチルペンチル(メタ)アクリレート、2−プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、2−ブチルオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、2−tert−ブチルヘプチル(メタ)アクリレート、3−イソプロピルヘプチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、5−メチルウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−メチルドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、5−メチルトリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、2−メチルヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、セチルエイコシル(メタ)アクリレート、ステアリルエイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレートおよび/またはエイコシルテトラトリアコンチル(メタ)アクリレートなど;不飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリレート、例えば、オレイル(メタ)アクリレートなど;ならびにシクロアルキル(メタ)アクリレート、例えば、3−ビニル−2−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートまたはボルニル(メタ)アクリレートなどが含まれる。
【0163】
長鎖アルコールから誘導される基を有するアルキル(メタ)アクリレートは、例えば、(メタ)アクリル酸(直接エステル化により)またはメチル(メタ)アクリレート(エステル交換により)と長鎖脂肪族アルコールとの反応により得ることができ、その反応で種々の鎖長のアルキル基を有する(メタ)アクリレートなどのエステルの混合物が一般的に得られる。これらの脂肪族アルコールとしては、モンサントのOxo Alcohol(登録商標)7911、Oxo Alcohol(登録商標)7900およびOxo Alcohol(登録商標)1100;ICIのAlphanol(登録商標)79;Condea(現在Sasol)のNafol(登録商標)1620、Alfol(登録商標)610およびAlfol(登録商標)810;Ethyl CorporationのEpal(登録商標)610およびEpal(登録商標)810;Shell AGのLinevol(登録商標)79、Linevol(登録商標)911およびDobanol(登録商標)25L;Condea Augusta(ミラノ)のLial(登録商標)125;Henkel KGaA(現在Cognis)のDehydad(登録商標)およびLorol(登録商標)ならびにUgine KuhlmannのLinopol(登録商標)7〜11およびAcropol(登録商標)91、ならびにSasolからのIsofol(登録商標)分岐Guerbetアルコールが含まれる。
【0164】
一実施形態では、該スターポリマーは、コアまたはポリマーアームで窒素含有モノマーによりさらに官能化されていてもよい。該窒素含有モノマーは、分散剤モノマーと称することもできる。該窒素含有モノマーには、ビニル置換された窒素複素環式モノマー、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートモノマー、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドモノマー、第三級(メタ)アクリルアミドモノマー、ウレイド(メタ)アクリレート、またはそれらの混合物が含まれ得る。
【0165】
一実施形態では、コアまたはポリマーアームは、(メタ)アクリルアミドまたは窒素含有(メタ)アクリレートモノマーをさらに含む。適当な窒素含有ビニルモノマーの例として、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニル−ホルムアミドなどのN−ビニルカルボンアミド、ビニルピリジン、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−n−プロピオンアミド、N−ビニルヒドロキシアセトアミド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリジノン、N−ビニルカプロラクタム、ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート(DMAEMA)、ジメチルアミノブチルアクリルアミド、ジエチルアミン−プロピル(メタ)アクリレート(DMAPMA)、ジメチルアミン−プロピル−アクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジメチルアミノエチル−アクリルアミド、またはそれらの混合物が含まれる。分散剤モノマーは、酸素含有化合物であってもよい。該酸素含有化合物は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えば、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3,4−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなど、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオール(メタ)アクリレート、カルボニル含有(メタ)アクリレート、例えば、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシメチル(メタ)アクリレートなど、オキサゾリジニルエチル(メタ)アクリレート、N−(メタクリロイルオキシ)ホルムアミド、アセトニル(メタ)アクリレート、N−メタクリロイルモルホリン、N−メタクリロイル−2−ピロリジノン、N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−ピロリジノン、N−(3−メタクリロイルオキシプロピル)−2−ピロリジノン、N−(2−メタクリロイルオキシペンタデシル)−2−ピロリジノン、N−(3−メタクリロイルオキシヘプタデシル)−2−ピロリジノン、グリコールジ(メタ)アクリレート、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール(メタ)アクリレートなど、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシドエトキシメチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、またはそれらの混合物を含むことができる。
【0166】
コポリマー中に組み込まれ得る適当な非カルボニル酸素含有化合物の他の例として、エーテルアルコールの(メタ)アクリレート、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ビニルオキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、1−ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、1−メチル−(2−ビニルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシメトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンゾイルオキシメチル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシメチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、アリルオキシメチル(メタ)アクリレート、1−エトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシメチル(メタ)アクリレート、1−エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート、および典型的には1〜20個、または2〜8個のエトキシ基を有するエトキシ化された(メタ)アクリレート、あるいはそれらの混合物などが含まれる。
【0167】
該スターポリマーは、二官能性モノマーのジビニルベンゼン、ジペンタエリトリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、トリペンタエリトリトールオクタメタクリレート、トリペンタエリトリトールオクタアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、ビス−アクリレートおよび分子量200〜4000のポリエチレングリコールのメタクリレート、ポリカプロラクトンジオールジアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールトリメタクリレート、1,1,1−トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリトールジアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,1,1−トリメチロールプロパントリメタクリレート、ヘキサメチレンジオールジアクリレートもしくはヘキサメチレンジオールジメタクリレートまたはアルキレンビス−(メタ)アクリルアミドから調製することができる。典型的には、該二官能性モノマーは二官能性メタクリレートモノマーを含む。
【0168】
該線状または星型の(メタ)アクリレートは、0wt%〜30wt%または0wt%〜20wt%のC
1〜C
10、またはC
1〜C
8アクリレート基を含有することができる。該アクリレート基は、例えばエチルアクリレートまたは2−エチルヘキシルアクリレートであってもよい。
【0169】
本発明の潤滑組成物は、0.1wt%〜5wt%(0.1wt%〜4wt%または0.2wt%〜3wt%)の櫛型構造を有するポリマーをさらに含むことができる。
【0170】
櫛型構造を有するポリマーは、主鎖中にポリオレフィン系マクロモノマーから誘導される反復単位、ならびに8〜17個の炭素原子を有するスチレンモノマー、アルコール基中に1〜15個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレート、アシル基中に1〜11個の炭素原子を有するビニルエステル、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有するビニルエーテル、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有する(ジ)アルキルフマレート、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有する(ジ)アルキルマレエート、およびこれらのモノマーの混合物からなる群から選択される低分子量モノマーから誘導される反復単位を含み、モル分岐度は0.1〜10mol%の範囲内である櫛型ポリマーであってもよく、該櫛型ポリマーは、重量に対して、ポリオレフィン系マクロモノマーから誘導される反復単位を総計で少なくとも80重量%、ならびに8〜17個の炭素原子を有するスチレンモノマー、アルコール基中に1〜15個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレート、アシル基中に1〜11個の炭素原子を有するビニルエステル、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有するビニルエーテル、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有する(ジ)アルキルフマレート、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有する(ジ)アルキルマレエート、およびこれらのモノマーの混合物からなる群から選択される低分子量モノマーから誘導される反復単位を含む。
【0171】
一実施形態では、櫛型構造を有する該ポリマーは、−30〜100℃の範囲内にガラス転移温度を有していてもよい。
【0172】
櫛型構造を有する該ポリマーは、500〜10 000g/molの範囲内の数平均分子量を有するポリオレフィン系マクロモノマーから誘導される反復単位を有することができる。
【0173】
櫛型構造を有する該ポリマーは、少なくとも90重量%のポリオレフィン系マクロモノマーから誘導される反復単位、ならびに8〜17個の炭素原子を有するスチレンモノマー、アルコール基中に1〜15個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレート、アシル基中に1〜11個の炭素原子を有するビニルエステル、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有するビニルエーテル、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有する(ジ)アルキルフマレート、アルコール基中に1〜10個の炭素原子を有する(ジ)アルキルマレエート、およびこれらのモノマーの混合物からなる群から選択される低分子量モノマーから誘導される反復単位を有することができる。
【0174】
櫛型構造を有する該ポリマーは、0.8%〜6.0%、または0.8%〜3.4%の範囲内のモル分岐度を有することができる。
【0175】
櫛型構造を有する該ポリマーは、櫛型ポリマー1g当たり0.2g未満またはそれに等しいヨウ素価を有することができる。
【0176】
櫛型構造を有する該ポリマーは、C2〜C10−アルケンおよび/またはC4〜C10−アルカジエンからなる群から選択されるモノマーから誘導されるポリオレフィン系マクロモノマーから誘導される反復単位を有することができる。
【0177】
該反復単位は、C2〜C10−アルケンおよび/またはC4〜C10−アルカジエンからなる群から選択されるモノマーから誘導される基を少なくとも80重量%(ポリオレフィン系マクロモノマーから誘導される反復単位の重量に基づいて)含むポリオレフィン系マクロモノマーから誘導することができる。
【0178】
櫛型構造を有する該ポリマーは、スチレン、(メタ)アクリレート、ビニルエステル、ビニルエーテル、フマレートおよびマレエートの群から選択される非オレフィン性モノマーから誘導される基を含むポリオレフィン系マクロモノマーから誘導される反復単位を有することができる。
【0179】
該反復単位は、スチレン、(メタ)アクリレート、ビニルエステル、ビニルエーテル、フマレートおよびマレエートの群から選択される非オレフィン性モノマーから誘導される基を、反復単位の重量に対して最大で20重量%含むポリオレフィン系マクロモノマーから誘導することができる。
【0180】
櫛型構造を有する該ポリマーは、−10℃未満またはそれに等しい融点を有するポリオレフィン系マクロモノマーから誘導される反復単位を有することができる。
【0181】
櫛型構造を有する該ポリマーは、スチレンから誘導される反復単位、およびn−ブチルメタクリレートから誘導される反復単位を有することができる。該反復単位は、スチレン、およびn−ブチルアクリレートから誘導される反復単位から誘導することができる。
【0182】
櫛型構造を有する該ポリマーは、メチルメタクリレートから誘導される反復単位およびn−ブチルメタクリレートから誘導される反復単位を有することができる。
【0183】
櫛型構造を有する該ポリマーは、50,000〜500,000g/molの範囲内の重量平均分子量を有することができる。
【0184】
櫛型構造を有する該ポリマーを調製するプロセスは、連続またはバッチ様式、典型的にはバッチ様式であってもよい。
【0185】
櫛型構造を有する該ポリマーを調製するプロセスは、可溶化担体媒体の不在または存在下、典型的には、可溶化担体媒体の存在下で実施することができる。存在する場合、担体媒体は基油および/または芳香族炭化水素の群から選択される。
【0186】
該櫛型ポリマーのより詳細な記載は、US2008/194443に記載されている。該櫛型ポリマーは、US2008/194443の段落[0142]〜[0160]に開示されたようにして調製することもできる。櫛型ポリマーのより詳細な記載は、US2008/194443に記載されている。該櫛型ポリマーは、US2008/194443の段落[0142]〜[0160]で開示されたようにして調製することもできる。
摩擦調整剤
【0187】
本発明の潤滑組成物は、少なくとも2種の摩擦調整剤を任意選択で含有することができる。本発明のために有用な摩擦調整剤を下に記載する。
【0188】
一実施形態では、摩擦調整剤は、ヒドロキシアルキル化合物とアシル化剤またはアミンとの縮合により形成することができる。ヒドロキシアルキル化合物のより詳細な記載は、米国特許出願第60/725360号(2005年10月11日出願、発明者Bartley、Lahiri、BakerおよびTipton)の段落8、19〜21に記載されている。米国特許出願第60/725360号で開示された摩擦調整剤は、式R
1R
2N−C(O)R
3(式中、R
1およびR
2は、各々独立に少なくとも6個の炭素原子のヒドロカルビル基であり、R
3は、1〜6個の炭素原子のヒドロキシアルキル基、または前記ヒドロキシアルキル基のそのヒドロキシル基を通すアシル化剤との縮合により形成される基である)により表されるアミドであり得る。調製の例は、実施例1および2(段落68および69)に開示されている。一実施形態では、ヒドロキシルアルキル化合物のアミドは、グリコール酸、すなわち、ヒドロキシ酢酸、HO−CH
2−COOHをアミンと反応させることにより調製される。
【0189】
一実施形態では、摩擦調整剤は、式R
4R
5NR
6(式中、R
4およびR
5は、各々独立に少なくとも6個の炭素原子のアルキル基であり、R
6は、水素、ヒドロカルビル基、ヒドロキシル含有アルキル基、またはアミン含有アルキル基である)により表される第二級または第三級アミンであってもよい。該摩擦調整剤のより詳細な記載は、米国特許出願第05/037897号の段落8および19〜22に記載されている。
【0190】
一実施形態では、摩擦調整剤は、カルボン酸またはそれらの反応性等価物とアミノアルコールとの反応から誘導することができ、該摩擦調整剤は、各々少なくとも6個の炭素原子を含有する少なくとも2種のヒドロカルビル基を含有する。そのような摩擦調整剤の例には、イソステアリン酸またはアルキル無水コハク酸とトリスヒドロキシメチルアミノメタンとの反応生成物が含まれる。そのような摩擦調整剤のより詳細な記載は、国際公開WO04/007652の段落8および9〜14に開示されている。
【0191】
摩擦調整剤としては、脂肪族アミン、ホウ化グリセリンエステル、脂肪酸アミド、非ホウ化脂肪族エポキシド、ホウ化脂肪族エポキシド、アルコキシ化脂肪族アミン、ホウ化アルコキシ化脂肪族アミン、脂肪酸の金属塩、脂肪族イミダゾリン、アルキルサリチレートの金属塩(清浄剤と称することもできる)、スルホン酸の金属塩(清浄剤と称することもできる)、ヒドロキシアルキル化合物のカルボン酸またはポリアルキレン−ポリアミン、またはアミドの縮合生成物が含まれる。
【0192】
一実施形態では、摩擦調整剤は、グリセリンの脂肪酸エステルを含む。最終生成物は、金属塩、アミド、イミダゾリン、またはそれらの混合物の形態であり得る。該脂肪酸は、6〜24個、または8〜18個の炭素原子を有することができる。該脂肪酸は、分岐であっても直鎖であってもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。適当な酸としては、2−エチルヘキサン酸、デカン酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、ラウリン酸、およびリノレン酸、ならびに天然生成物の獣脂、パーム油、オリーブ油、ピーナツ油、トウモロコシ油、および牛脚油からの酸が含まれる。一実施形態では、脂肪酸はオレイン酸である。金属塩の形態にある場合、典型的には、該金属は亜鉛またはカルシウムを含み、該生成物は過塩基化および非過塩基化生成物を含む。例は、過塩基化カルシウム塩および一般式Zn
4Oleate
6Oにより表すことができる塩基性オレイン酸−亜鉛塩錯体である。アミドの形態にある場合、縮合生成物としては、アンモニア、またはジエチルアミンおよびジエタノールアミンなどの第一級または第二級アミンを用いて調製されるものが含まれる。イミダゾリンの形態にある場合、酸とジアミンまたはポリエチレンポリアミンなどのポリアミンとの縮合生成物。一実施形態では、摩擦調整剤は、C8〜C24原子を有する脂肪酸とポリアルキレンポリアミンとの縮合生成物、特に、イソステアリン酸とテトラエチレンペンタミンとの生成物である。
【0193】
一実施形態では、摩擦調整剤は、ヒドロキシアルキル化合物とアシル化剤またはアミンとの縮合により形成されるものを含む。ヒドロキシアルキル化合物のより詳細な記載は、WO2007/0044820の段落9、および20〜22に記載されている。WO2007/044820で開示された摩擦調整剤は、式R
12R
13N−C(O)R
14(式中、R
12およびR
13は、各々独立に少なくとも6個の炭素原子のヒドロカルビル基であり、R
14は、1〜6個の炭素原子のヒドロキシアルキル基、または前記ヒドロキシアルキル基のそのヒドロキシル基を通すアシル化剤との縮合により形成される基である)により表されるアミドを含む。調製の例は、実施例1および2(WO2007/044820の段落72および73)で開示されている。一実施形態では、ヒドロキシルアルキル化合物のアミドは、グリコール酸、すなわち、ヒドロキシ酢酸、HO−CH
2−COOHとアミンを反応させることにより調製される。
【0194】
一実施形態では、摩擦調整剤は、式R
15R
16NR
17(式中、R
15およびR
16は、各々独立に少なくとも6個の炭素原子のアルキル基であり、R
17は水素、ヒドロカルビル基、ヒドロキシル含有アルキル基、またはアミン含有アルキル基である)により表される第二級または第三級アミンを含む。該摩擦調整剤のより詳細な記載は、米国特許出願第2005/037897号の段落8および19〜22に記載されている。
【0195】
一実施形態では、摩擦調整剤は、ジ−ココアルキルアミン(またはジココアミン)とグリコール酸との反応生成物を含む。該摩擦調整剤は、WO2008/014319の調製の実施例1および2で調製される化合物を含む。
【0196】
一実施形態では、摩擦調整剤は、カルボン酸またはそれらの反応性等価物とアミノアルコールとの反応生成物から誘導されるものを含み、該摩擦調整剤は、各々少なくとも6個の炭素原子を含有する少なくとも2種のヒドロカルビル基を含有する。そのような摩擦調整剤の例は、イソステアリン酸またはアルキル無水コハク酸とトリス−ヒドロキシメチルアミノメタンとの反応生成物を含む。そのような摩擦調整剤のより詳細な記載は、米国特許出願第2003/22000号(または国際公開WO04/007652)の段落8および9〜14に開示されている。
【0197】
一実施形態では、摩擦調整剤はアルコキシ化アルコールを含む。適当なアルコキシ化アルコールの詳細な記載は、米国特許出願公開第2005/0101497号の段落19および20に記載されている。該アルコキシ化アミンは、米国特許第5,641,732号の7欄、15行〜9欄、25行にも記載されている。
【0198】
一実施形態では、摩擦調整剤は、米国特許第5,534,170号の37欄、19行〜39欄、38行で定義されたヒドロキシルアミン化合物を含む。任意選択で該ヒドロキシルアミンは、米国特許第5,534,170号の39欄、39行〜40欄、8行に記載されたようなホウ化生成物を含む。
【0199】
一実施形態では、摩擦調整剤は、アルコキシ化アミン、例えば、米国特許第5,703,023号、28欄、30行〜46行の実施例Eに記載された1.8%のEthomeen(商標)T−12および0.90%のTomah(商標)PA−1から誘導されるエトキシ化されたアミンを含む。他の適当なアルコキシ化アミン化合物としては、商標「ETHOMEEN」により公知の、Akzo Nobelから入手できる市販のアルコキシ化脂肪族アミンが含まれる。これらのETHOMEEN(商標)材料の代表的な例は、ETHOMEEN(商標)C/12(ビス[2−ヒドロキシエチル]−ココ−アミン)、ETHOMEEN(商標)C/20(ポリオキシエチレン[10]ココアミン)、ETHOMEEN(商標)S/12(ビス[2−ヒドロキシエチル]ソイアミン)、ETHOMEEN(商標)T/12(ビス[2−ヒドロキシエチル]−タロー−アミン)、ETHOMEEN(商標)T/15(ポリオキシエチレン−[5]タローアミン)、ETHOMEEN(商標)0/12(ビス[2−ヒドロキシエチル]オレイル−アミン)、ETHOMEEN(商標)18/12(ビス[2−ヒドロキシエチル]オクタデシルアミン)、およびETHOMEEN(商標)18/25(ポリオキシエチレン[15]オクタデシルアミン)である。脂肪族アミンおよびエトキシ化された脂肪族アミンは、米国特許第4,741,848号にも記載されている。
【0200】
一実施形態では、摩擦調整剤は、米国特許第5,750,476号8欄、40行〜9欄、28行に記載されたポリオールエステルを含む。
【0201】
一実施形態では、摩擦調整剤は、米国特許第5,840,662号の2欄、28行〜3欄、26行に記載された低効力摩擦調整剤を含む。米国特許第5,840,662号は、3欄、48行〜6欄、25行で、低効力摩擦調整剤を調製する特定の材料および方法をさらに開示している。
【0202】
一実施形態では、摩擦調整剤は、米国特許第5,840,663号の2欄、18〜43行に記載された異性化したアルケニル置換無水コハク酸とポリアミンとの反応生成物を含む。米国特許第5,840,663号に記載された摩擦調整剤の特定の実施形態は、3欄、23行〜4欄、35行にさらに開示されている。調製の例は、米国特許第5,840,663号の4欄、45行〜5欄、37行でさらに開示されている。
【0203】
一実施形態では、摩擦調整剤は、Rhodiaにより商標Duraphos(登録商標)DMODPで市販されているアルキルホスホネートモノ−またはジ−エステルを含む。
【0204】
本発明の脂肪酸とポリアミンとの縮合は、典型的には、ヒドロカルビルアミド、ヒドロカルビルイミダゾリンおよびそれらの混合物から選択される少なくとも1種の化合物の形成を生ずる。一実施形態では、縮合生成物はヒドロカルビルイミダゾリンである。一実施形態では、縮合生成物は、ヒドロカルビルアミドである。一実施形態では、縮合生成物は、ヒドロカルビルイミダゾリンとヒドロカルビルアミドの混合物である。典型的には、縮合生成物は、ヒドロカルビルイミダゾリンとヒドロカルビルアミドの混合物である。
【0205】
本発明の脂肪酸は、ヒドロカルビルカルボン酸から誘導することができる。該ヒドロカルビル基は、アルキル、シクロアルキル、またはアリールであってもよいが、アルキルが典型的であり、該ヒドロカルビル基は直鎖状でも分岐でもよい。典型的には、該脂肪酸は、8またはそれ超の、10またはそれ超の、さらに13または14またはそれ超の炭素原子(カルボキシ基の炭素を含む)を含有する。典型的には該脂肪酸は、8〜30個、12〜24個、または16〜18個の炭素原子を含有する。他の適当なカルボン酸としては、2〜4個、典型的には2個のカルボニル基を有するポリカルボン酸またはカルボン酸または酸無水物が含まれ得る。該ポリカルボン酸は、コハク酸および酸無水物ならびに不飽和モノカルボン酸と不飽和カルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸およびイタコン酸など)とのディールス−アルダー反応生成物を含むこともできる。該脂肪族カルボン酸は、8〜30個、10〜26個、または12〜24個の炭素原子を含有する脂肪族モノカルボン酸を含む。
【0206】
適当な脂肪酸の例は、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、エイコサン酸(eicosic acid)および、トール油酸を含むことができる。一実施形態では、脂肪酸はステアリン酸であり、それは単独でまたは他の脂肪酸との組合せで使用することができる。
【0207】
本発明のポリアミンは、非環式であっても環式であってもよく、好ましくは非環式であり、線状であっても分岐であってもよく、好ましくは線状である。
【0208】
一実施形態では、ポリアミンは、エチレンポリアミン、プロピレンポリアミン、ブチレンポリアミンおよびそれらの混合物からなる群から選択されるアルキレンポリアミンであってもよい。プロピレンポリアミンの例は、プロピレンジアミンおよびジプロピレントリアミンを含むことができる。
【0209】
特に有用なエチレンポリアミンは、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N−(2−アミノエチル)−N’−[2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル]−1,2−エタンジアミン、ポリアミン釜残およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0210】
一実施形態では、ポリアミンは、α,β−ジアミノアルカンであってもよい。適当なα,β−ジアミノアルカンは、ジアミノプロパン、ジアミノブタンまたはそれらの混合物を含むことができる。特定のジアミノアルカンは、N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、3,3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、N,N’−1,2−エタンジイルビス−(1,3−プロパンジアミン)およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0211】
一実施形態では、他のポリアミンは、ジ−(トリメチレン)トリアミン、ピペラジン、ジアミノシクロヘキサンおよびそれらの混合物を含むことができる。
【0212】
一実施形態では、一方または両方の摩擦調整剤は、窒素含有化合物であってもよく、典型的には両方の摩擦調整剤が窒素含有化合物である。
【0213】
一実施形態では、摩擦調整剤の1種は、C8〜C24原子を有する脂肪酸とポリアルキレンポリアミンとの縮合生成物、特に、イソステアリン酸とテトラエチレンペンタミンとの生成物である。
【0214】
少なくとも2種の摩擦調整剤の混合物は、潤滑組成物の0.1wt%〜1wt%、または0.2wt%〜0.9wt%または0.1wt%〜0.4wt%、または0.4wt%〜1.0wt%で存在することができる
酸化防止剤
【0215】
一実施形態では、本発明の潤滑組成物はアミン酸化防止剤を含む。該アミン酸化防止剤は、フェニル−α−ナフチルアミン(PANA)またはヒドロカルビル置換されたジフェニルアミン、またはそれらの混合物であってもよい。ヒドロカルビル置換されたジフェニルアミンは、モノ−またはジ−C
4〜C
16−、またはC
6〜C
12−、またはC
9−アルキルジフェニルアミンを含むことができる。例えばヒドロカルビル置換されたジフェニルアミンは、オクチルジフェニルアミン、またはジ−オクチルジフェニルアミン、ジノニルジフェニルアミンであり得、典型的にはジノニルジフェニルアミンであり得る。
【0216】
存在する場合、該アミン酸化防止剤は、潤滑組成物の0.2wt%〜1.2wt%、または0.3wt%〜1.0wt%、または0.4wt%〜0.9wt%または0.5wt%〜0.8wt%で存在することができる。
【0217】
該潤滑組成物は、任意選択で、少なくとも1種の公知の他の抗酸化剤を含み、硫化オレフィン、ヒンダードフェノール、モリブデンジチオカルバメートおよびそれらの混合物を含む。
【0218】
ヒンダードフェノール酸化防止剤は、しばしば、立体障害基として第二級ブチル基および/または第三級ブチル基を含有する。該フェノール基は、しばしばヒドロカルビル基および/または第2の芳香族基に連結する架橋基でさらに置換されている。適当なヒンダードフェノール抗酸化剤の例として、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−メチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−エチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−プロピル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノールまたは4−ブチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、または4−ドデシル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノールが含まれる。一実施形態では、該ヒンダードフェノール酸化防止剤は、エステルであってもよく、例えば、CibaからのIrganox(商標)L−135、またはブチル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパノエートを含むことができる。
【0219】
存在するならば、第二級酸化防止剤は、潤滑組成物の0.1wt%〜1wt%、または0.2wt%〜0.9wt%または0.1wt%〜0.4wt%、または0.4wt%〜1.0wt%で存在することができる。
【0220】
任意選択で、該潤滑組成物は、他の性能添加剤をさらに含有することもできる。他の性能添加剤には、腐食防止剤、発泡防止剤、流動点降下剤、解乳化剤、金属不活性化剤またはシール膨潤剤が含まれる。
【0221】
腐食防止剤としては、1−アミノ−2−プロパノール、アミン、トリルトリアゾールを含むトリアゾール誘導体、ジメルカプトチアジアゾール誘導体、オクチルアミンオクタノエート、ドデセニルコハク酸または酸無水物および/またはオレイン酸などの脂肪酸とポリアミンとの縮合生成物が含まれる。
【0222】
本発明の組成物において有用であり得る発泡防止剤は、ポリシロキサン、エチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートおよび任意選択で酢酸ビニルのコポリマーを含み、解乳化剤は、フッ素化されたポリシロキサン、トリアルキルホスフェート、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドおよび(エチレンオキシド−プロピレンオキシド)ポリマーを含む。
【0223】
本発明の組成物において有用であり得る流動点降下剤は、ポリα−オレフィン、無水マレイン酸−スチレンコポリマーのエステル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアクリレートまたはポリアクリルアミドを含む。
【0224】
解乳化剤は、トリアルキルホスフェート、ならびにエチレングリコール、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、またはそれらの混合物の種々のポリマーおよびコポリマーを含む。
【0225】
金属不活性化剤は、ベンゾトリアゾール(典型的にはトリルトリアゾール)、1,2,4−トリアゾール、ベンゾイミダゾール、2−アルキルジチオベンゾイミダゾールまたは2−アルキルジチオベンゾチアゾールの誘導体を含む。金属不活性化剤は、腐食防止剤と記載することもできる。
【0226】
シール膨潤剤は、スルホレン誘導体、Exxon Necton−37(商標)(FN1380)およびExxon Mineral Seal Oil(商標)(FN3200)を含む。
【0227】
以下の実施例により本発明を例示する。これらの実施例は、非網羅的であり、本発明の範囲を限定することは意図されない。
【実施例】
【0228】
潤滑剤:本発明および参照の潤滑油組成物
4種の本発明の流体(INV1〜INV4)は、指定された基油(または潤滑粘度の油)に13.85wt%の下記添加剤パッケージを添加することにより、下にまとめたようにして調製した。本発明の各潤滑剤の基油は、100℃で2.8〜3.6cSt(mm
2/s)の範囲内の動粘度および110から120未満の間の粘度指数を有する。
【表1】
脚注:
Ultra S−3油およびS−8油は、両方共110から120未満の間の粘度指数を有するAPI規格II+基油である。
耐摩耗剤の混合物は、リン酸、ジブチルホスファイト、およびジヒドロカルビルC16〜18水素ホスファイト(ここでヒドロカルビル基はアルキル基とアルケニル基の混合物である)を含む。
摩擦調整剤の混合物は、3から6種の間の摩擦調整剤を含む。
4.24wt%で処理された他の添加剤は、フェノール性抗酸化剤とアミン性抗酸化剤の混合物、カルボン酸エステル、ホウ酸エステル、腐食防止剤、流動点降下剤、消泡剤、シール膨潤剤、および希釈剤油を含む。
該線状ポリマーは、メチルメタクリレート(14.1wt%)、2−エチルヘキシルメタクリレート(4.7wt%)、C
12〜15アルキルメタクリレート(75.1wt%)、およびエチレングリコールジメタクリレート(6.1wt%)を含むモノマー組成物から誘導することができる。該線状ポリマーの重量平均分子量は15,000である。
比較例は、FordタイプA MERCON(登録商標)LV ATFおよびShell ATF(商標)134FEに基づいて評価される。
【0229】
各潤滑剤INV1〜INV4、および比較のATFは、下記の手順を使用して2011Ford溶融AT(6HP6)を使用するCAFE図を比較することにより査定する。
【0230】
ASTM D2882ポンプ試験:この手順により、潤滑剤耐摩耗性を、電動モータで駆動されるVickers 104−C翼式ポンプを使用して査定する。ポンプ翼およびカム環の重量減損を100時間の連続運転後に記録し、続いて切り傷および表面の損傷について視覚的に検査する。
【0231】
ASTM D−3233に記載されているファレックス摩耗/EP試験を使用して、潤滑流体の摩擦、摩耗および極圧(EP)の性質を査定する。回転する鋼軸頸を試験流体に浸漬した2つの固定鋼V−ブロック間で作動させる。250−lbf(1112N)ずつ増加させて、増加した各荷重を1分間一定に保ち、トルクを維持できなくなるまで荷重を増加させるかまたはピンに対するブロックの焼き付きまで、荷重をV−ブロックにかけた。該試験は100および150℃の流体温度で実施した。
【0232】
ファレックスEP試験およびポンプ試験について得られた結果は以下の通りである:
【表2】
【0233】
次に、該潤滑組成物を、動粘度およびブルックフィールド粘度を決定することにより評価する(ASTMの方法D445を40℃および100℃で(40℃における動粘度:KV40、および100℃における動粘度:KV100)ならびにD2983を−40℃で(−40℃におけるブルックフィールド粘度:BV−40)それぞれ用いることにより)。得られた結果も表に示す。各潤滑剤について得られた結果は以下の通りである:
【表3】
【0234】
全体として、データは、本発明の潤滑組成物が、150℃のファレックス摩耗試験により測定される一層高い通過荷重で、低潤滑剤粘度を維持しながら、滑り翼型回転ポンプ試験により測定される摩耗を減少させたことを示す。
【0235】
本発明の実施例5〜11(INV5〜INV12)は、各潤滑剤の潤滑組成物が以下のようにまとめられることを除いて、INV1と同様な方法で準備される:
【表4】
脚注:
線状分散剤のポリ(メタ)アクリレートは、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート(30wt%)、C
12〜15アルキル(メタ)アクリレート(68.2wt%)、およびジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート(1.8wt%)を含むモノマー組成物から誘導される。
INV7〜INV10のスターポリマーは、それぞれ約540,000、740,000、920,000、および1,200,000の重量平均分子量を有する。該スターポリマーは、下記のメタクリレートモノマー混合物から調製される。該スターポリマーは、RAFT重合プロセスにより調製される。
【表5】
E=エチレングリコールジメタクリレート
【表6】
脚注:
*は、2エチルヘキシルアクリレートである
線状分散剤ポリメタクリレートコポリマー(HLW)は第2の分散剤粘度調整剤である。INV5のHLWは15,000の重量平均分子量を有し、68.2wt%のC
12〜15アルキルメタクリレート、30wt%の2−エチルヘキシルメタクリレート、および1.8wt%のジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートのモノマー混合物から誘導される。
耐摩耗剤の混合物は、リン酸、ジブチルホスファイト、およびジヒドロカルビルC16〜18水素ホスファイト(ヒドロカルビル基はアルキル基とアルケニル基の混合物である)を含む。
摩擦調整剤の混合物は、3種から6種の間の摩擦調整剤を含む。
4.24wt%で処理された他の添加剤は、フェノール性およびアミン性抗酸化剤、カルボン酸エステル、ホウ酸エステル、腐食防止剤、流動点降下剤、消泡剤、シール膨潤剤、および希釈剤油の混合物を含む。
【0236】
INV5〜INV10を、粘度の性質について評価して、下にまとめた。
【表7】
【0237】
本明細書において使用する用語「ヒドロカルビル置換基」または「ヒドロカルビル基」は、当業者に周知のその普通の意味で使用される。特に、その用語は、分子の残部に直接結合した炭素原子を有し、主に炭化水素の特性を有する基を指す。ヒドロカルビル基の例としては:
(i)炭化水素置換基、すなわち、脂肪族(例えば、アルキルまたはアルケニル)、脂環式(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル)置換基、および芳香族、脂肪族、および脂環式で置換された芳香族置換基、ならびに環状置換基(環が分子の別の部分を通って完結する(例えば、2つの置換基が一緒になって環を形成する));
(ii)置換された炭化水素置換基、すなわち、本発明の関係では、置換基の主に炭化水素の性質を変えない非炭化水素基(例えば、ハロ(特にクロロおよびフルオロ)、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、ニトロ、ニトロソ、およびスルホキシ)を含有する置換基;
(iii)ヘテロ置換基、すなわち、本発明の関係で、主に炭化水素の特性を有しながら、そうでなければ炭素原子で構成される環または鎖中に炭素以外を含有する置換基が含まれる。
ヘテロ原子は、硫黄、酸素、窒素を含み、ピリジル、フリル、チエニルおよびイミダゾリルのような置換基を包含する。一般に、2つ以下、好ましくは1つ以下の非炭化水素置換基が、ヒドロカルビル基中10個の炭素原子毎に存在し、典型的には、ヒドロカルビル基中に非炭化水素置換基は存在しないであろう。
【0238】
上記の材料の一部が最終の調合物中で相互作用して、最終の調合物の成分が最初に添加されたものと異なることもあることは公知である。それにより形成された生成物は、本発明の潤滑組成物をその意図される用途で用いるときに形成される生成物を含めて、容易に説明できないかもしれない。それにも拘わらず、全てのそのような改変および反応生成物は、本発明の範囲内に含まれて、本発明は、上記の成分を混合することにより調製される潤滑組成物を包含する。
【0239】
上で参照した文献の各々は、参照により本明細書に組み込まれる。実施例中で、またはそれ以外に明示的に表される場合を除いて、材料の量、反応条件、分子量、および炭素原子の数等を特定するこの記載における全ての数量は、単語「約」により修飾されていると理解されるべきである。そうでないと述べられていない限り、本明細書で挙げた各化学物質または組成物は、異性体、副生成物、誘導体、およびその他商業的規格で存在すると通常理解されるような物質を含かもしれない、商業的規格材料であると解釈されるべきである。しかしながら、各化学的成分の量は、そうでないと述べられていない限り、市販の材料中に通例存在していてもよい任意の溶媒または希釈剤油を除いて提供される。本明細書で示された上方および下方の量、範囲、および比の限界は、独立に組み合わせることができることが理解されるべきである。同様に、本発明の各要素についての範囲および量は、任意の他の要素についての範囲または量と一緒に使用することができる。
【0240】
本発明を、その好ましい実施形態に対して説明したが、それらの種々の改変は、本明細書を読めば当業者には明らかになるであろうと理解されるべきである。それ故、本明細書で開示された本発明は、そのような改変を、添付の請求項の範囲内に入るとして包含することが意図されると理解されるべきである。