(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被検体に放射線を照射し、前記被検体を透過した放射線を検出することにより、前記被検体の複数の断層画像を含む3次元画像データを生成する医用画像診断装置であって、
前記3次元画像データを所定方向に投影して、2次元画像を生成する画像生成部と、
前記2次元画像に対し、関心領域を設定する設定部と、
前記関心領域が設定されたことに応じて、前記複数の断層画像の中から断層画像を選択する画像選択部と、
前記画像選択部により選択された前記断層画像を表示部に表示させる表示制御部と
を有する医用画像診断装置。
前記表示制御部は、前記画像選択部により選択された前記断層画像とともに、他の前記断層画像を所定数並べて前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断装置。
前記表示制御部は、前記画像選択部により選択された前記断層画像とともに、該断層画像に近い断面位置の前記断層画像を所定数並べて前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断装置。
【背景技術】
【0002】
被検体の画像を撮影する医用画像診断装置として、X線診断装置、X線CT(Computed Tomography)装置、マンモグラフィ装置などが知られている。
【0003】
例えば、マンモグラフィ装置は、被検体である乳房の画像を撮影する。撮影された画像は、読影され、乳癌等の病変部の有無を確認するために用いられる。近年、乳癌の罹患率は増加しており、それにより、乳癌等の病変部を早期発見したいという要望がある。
【0004】
乳房の画像には、乳房の厚み方向の情報が重ね合わされた2次元画像(一般マンモグラフィ画像)がある。読影医等の読影者がこの2次元画像を読影するとき、乳房の厚み方向に乳腺と重なる病変部を検出し難い場合があるという問題があった。
【0005】
また、マンモグラフィ装置を用いて、被検体である乳房の複数の断層画像を含む3次元画像データを撮影するトモシンセシス撮影法がある。
【0006】
トモシンセシス撮影法は、被検体を間にしてX線管球とX線検出部とが対向配置されたマンモグラフィ装置を用いて、X線管球を移動させながら、被検体に対して異なる方向から複数回のX線撮影を行う方法である。複数回のX線撮影により得られた投影データが再構成されることにより、複数の断層画像を含む3次元画像データが生成される。
【0007】
また、読影により発見された病変部の組織を穿刺針により採取する生検が行なわれる場合がある。生検中、病変部の位置を3次元的に確認する必要がある。この場合、医師等の術者は、複数の断層画像を切り替え表示しながら病変部が描出された断層画像を探し、そして、該断層画像における病変部及び断面位置を把握することで、病変部の位置を3次元的に確認していた。それにより、術者は、病変部の検出のために、切り替え表示による時間を長く強いられる場合があった。
【0008】
なお、一般マンモグラフィ画像に対して病変部を指定し、一般マンモグラフィ画像と3次元画像データとを画像解析して、指定された病変部に対応する位置を3次元画像データから検出することにより、病変部の位置を3次元的に確認する方法がある。この方法を用いるためには、一般マンモグラフィ画像の撮影と3次元画像データの生成のための撮影との2種類の撮影が行われる必要がある。それにより、被検体の被曝量が増加するという問題があった。また、一般マンモグラフィ画像と3次元画像データとでは、ノイズが異なるので、画像解析の精度が低い場合がある。この場合、3次元画像データから検出される位置の精度も低いので、病変部の3次元的な位置を検出し難いという問題があった。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〈医用画像診断装置の実施形態〉
[構成]
図1は、実施形態の医用画像診断装置の構成を表すブロック図である。この医用画像診断装置は、撮影部1と、データ処理部2と、表示制御部3と、表示部4と、データ記憶部5と、システム制御部6と、操作部7とを有する。なお、ここでは、実施形態の医用画像診断装置の一例として、被検体Eが乳房であるマンモグラフィ装置の構成を説明する。
【0014】
(撮影部1)
撮影部1は、被検体Eに放射線を照射し、被検体Eを透過した放射線を検出する。撮影部1は、支持台101と、圧迫板102と、圧迫板制御部103と、X線管球104と、線質フィルタ105と、X線絞り106と、アーム107と、高電圧発生部108と、高電圧制御部109と、線質フィルタ制御部110と、絞り制御部111と、アーム制御部112と、X線検出部113と、データ収集部114とを有する。
【0015】
(支持台101)
支持台101は、載置された被検体Eを支持する。支持台101の後段(−Z軸方向)には、X線検出部113が設けられる。
【0016】
(圧迫板102)
圧迫板102は、支持台101に対向して設けられる。圧迫板102は、支持台101に対して接近または離反する方向(+Z軸方向または−Z軸方向)に移動可能に構成される。圧迫板102は、圧迫板制御部103による制御に基づいて移動する。それにより、圧迫板102は、被検体Eを圧迫する。
【0017】
(圧迫板制御部103)
圧迫板制御部103は、システム制御部6による制御に基づいて、圧迫板102の移動を制御する。それにより、圧迫された被検体Eの厚みが制御される。
【0018】
(X線管球104)
X線管球104は、高電圧発生部108から高電圧(管電圧)の印加とフィラメント電流(管電流)の供給とを受けて、X線を発生する。
【0019】
(線質フィルタ105)
線質フィルタ105は、線質フィルタ制御部110による制御に基づいて選択される。選択された線質フィルタ105は、X線管球104が発生したX線のうち、所定のエネルギー強度のX線を選択的に透過する。それにより、撮影に応じたエネルギースペクトルのX線が被検体Eに照射される。
【0020】
(X線絞り106)
X線絞り106は、スリット(開口)を形成し、このスリットのサイズ及び形状を変えることにより、線質フィルタ105を透過したX線の照射野を調整する。
【0021】
(アーム107)
アーム107は、アーム制御部112による制御に基づいて、X線管球104を被検体Eに対して移動させる。
図2は、X線管球104の移動の概略を表す模式図である。アーム107は、X線検出部113の鉛直方向(+Z軸方向)に対して片側に角度α傾いた位置(開始位置)から、開始位置から反対側に角度α傾いた位置へX線管球104を回動方向βに沿って移動させる。
【0022】
(高電圧発生部108)
高電圧発生部108は、高電圧制御部109による制御に基づいて、X線管球104に高電圧(管電圧)の印加とフィラメント電流の供給(管電流)とを行う。
【0023】
(高電圧制御部109)
高電圧制御部109は、システム制御部6による管電圧条件及び管電流条件に基づいて、管電圧及び管電流を制御する。
【0024】
(線質フィルタ制御部110)
線質フィルタ制御部110は、システム制御部6による線質条件に基づいて、撮影に応じた線質フィルタ105を選択する。
【0025】
(絞り制御部111)
絞り制御部111は、システム制御部6による制御に基づいて、X線絞り106を制御して撮影に応じた照射野を調整する。
【0026】
(アーム制御部112)
アーム制御部112は、システム制御部6による制御に基づいて、アーム107を回動させる。アーム制御部112は、角度αを表す制御情報をシステム制御部6から受け、該制御情報に基づいてアーム107を回動させる。角度αの値は、例えば「15度」「20度」など、予め定められる。
【0027】
(X線検出部113)
X線検出部113は、入射したX線を検出する。該X線には、被検体Eを透過したX線が含まれる。X線検出部113は、一例として直接変換型または間接変換型の平面検出器によって構成される。平面検出器は、入射したX線を電気信号に変換し、該電気信号をデータ収集部114へ出力する。
【0028】
(データ収集部114)
データ収集部114は、X線検出部113からの電気信号をA/D変換する。データ収集部114は、変換したデジタル信号を検出データとしてデータ処理部2へ出力する。
【0029】
(データ処理部2)
データ処理部2は、データ収集部114からの検出データに基づいて、被検体Eの複数の断層画像を含む3次元画像データを生成する。
図3は、データ処理部2の構成を表すブロック図である。データ処理部2は、再構成部21と、画像生成部22と、設定部23と、画像検出部24とを有する。
【0030】
(再構成部21)
再構成部21は、検出データにシフト加算処理等の再構成処理を施して、例えば被検体Eの厚み方向に直交する面(XY平面)を断面とする断層画像を複数生成する。さらに再構成部21は、これら断層画像を積層して3次元画像データ(トモシンセシス画像データ)を生成する。再構成部21は、生成した3次元画像データをデータ記憶部5へ出力する。なお、再構成部21は、生成した3次元画像データを画像生成部22へ出力してもよい。
【0031】
(画像生成部22)
画像生成部22は、3次元画像データを所定方向に投影して、2次元画像を生成する。画像生成部22は、データ記憶部5から3次元画像データを読み出す。なお、画像生成部22は再構成部21から3次元画像データを受けてもよい。
【0032】
一例として、所定方向は、断層画像の平面(XY平面)に直交する方向である。所定方向は、予め設定される。画像生成部22は、所定方向を投影方向として、2次元画像を生成する。画像生成部22は、所定方向において、検出された放射線の検出値を表す画素値が最小である画素の画素値を投影する。このことは、画像生成部22が、放射線の検出値を表す画素値についてMinIP(Minimum Intensity Projection)処理を施すことに相当する。このとき、画像生成部22は、画素列の各画素の画素値を読み、画素列の画素のうち放射線の検出値を表す画素値が最小の画素を特定する。そして、画像生成部22は、特定した画素の画素値を投影する。このことは、所定方向と同じ方向の投影線が遭遇した画素列の画素値のうち、放射線の検出値を表す画素値が最小の画素値が投影されることに相当する。それにより、投影線ごとに、放射線の検出値を表す画素値の最小値が特定される。
【0033】
なお、所定方向は、所定の放射線錐(X線錐)における放射線(X線)の照射方向であってもよい。例えば、所定の放射線錐は、アームの107の角度とX線絞り106により形成されたスリットのサイズ及び形状に基づいて定められる。この場合、画像生成部22は、所定の放射線錐において、放射線(X線)の焦点から放射状に拡がる投影線ごとに放射線の検出値を表す画素値が最小の画素を特定する。
【0034】
一般に、X線撮影では、放射線の検出値を表す画素値が小さな画素のいずれかが病変部を表す場合がある。この場合、放射線の検出値を表す画素値が最小の画素の画素値が投影されることにより、病変部を表す可能性が高い画素が、所定方向に直交する平面の座標の画素列ごとに抽出される。なお、投影される値は、放射線の検出値の最小値に限られるものではなく、予め適宜定められる。例えば、画像生成部22は、画素列の画素群に表される放射線の検出値の平均値を求め、求めた平均値を投影する(AveIP;Average Intensity Projection)ことによって、2次元画像の画素を生成してもよい。
【0035】
図4は、3次元画像データPVと2次元画像PFとの関係を表す模式図である。3次元画像データPV及び2次元画像PFにおける1つの直方格子Gは、1つの画素を表す。ここでは、所定方向WがZ軸方向に設定された例について説明する。所定方向Wは、3次元画像データから2次元画像への投影方向に相当する。画像生成部22は、3次元画像データの画素のうち、所定方向Wに直交する平面の座標(XY座標)が同じ画素からなる画素列から、放射線の検出値を表す画素値が最小の画素の画素値を投影する。画像生成部22は、この投影を画素列ごとに行う。それにより、所定方向Wに直交する平面の座標ごとに放射線の検出値を表す画素値が最小の画素が抽出された像を表す2次元画像PFが生成される。画像生成部22は、生成した2次元画像をデータ記憶部5へ出力する。なお、画像生成部22は、生成した2次元画像を画像検出部24へ出力してもよい。
【0036】
(設定部23)
設定部23は、2次元画像に対し、関心領域を設定する。関心領域とは、2次元画像において、病変部を表す画素が含まれた領域である。例えば、設定部23は、表示制御部3により表示部4に表示された2次元画像についての操作情報に基づいて、関心領域を設定する。読影医等の読影者は、この2次元画像を視認しながら、操作部7を用いて、病変部を表す画素を指定する操作を行う。設定部23は、この操作の操作情報を受け、指定された画素の座標を特定する。設定部23は、予め定められた設定範囲を記憶し、特定した座標を中心とした設定範囲の領域を関心領域として設定する。また、読影者は、病変部を表す画素を含む領域を指定する操作を行う場合がある。この場合、設定部23は、この操作の操作情報に表される領域を関心領域として設定する。設定部23は、関心領域の座標を表す関心領域情報をデータ記憶部5へ出力する。なお、設定部23は、関心領域情報を画像検出部24へ出力してもよい。
【0037】
なお、設定部23は、2次元画像を解析することにより関心領域を設定してもよい。例えば設定部23は、2次元画像の画素値を解析し、放射線の検出値を表す画素値が所定の閾値より小さい画素が所定範囲に集まった領域を病変部領域として特定する。設定部23は、特定した病変部領域を含む領域を関心領域として設定する。
【0038】
(画像検出部24)
画像検出部24は、関心領域と関心領域に対応する断層画像ごとの対応領域とに基づいて、関心領域に画素値が類似する対応領域を含む断層画像を3次元画像データから検出する。画像検出部24は、3次元画像データ、2次元画像及び関心領域情報をデータ記憶部5から読み出す。なお、画像検出部24は、再構成部21から3次元画像データを受け、画像生成部22から2次元画像を受け、設定部23から関心領域情報を受けてもよい。
【0039】
具体的には、画像検出部24は、関心領域の座標と3次元画像データの座標とに基づいて、対応領域を断層画像ごとに特定する。
図5は、3次元画像データPVと関心領域が設定された2次元画像PFとの関係を表す模式図である。画素P1は、関心領域に含まれる画素である。画素P2は、対応領域に含まれる画素である。画像検出部24は、関心領域情報に表される関心領域の座標と同じ2次元座標(XY座標)の画素P2からなる画素群を3次元画像データにおいて抽出する。対応領域は、2次元平面(XY平面)を断面とする断層画像ごとに抽出された画素群の領域として画像検出部24により特定される。
【0040】
画像検出部24は、特定した対応領域に基づいて、関心領域における画素値と対応領域における画素値との差分を表す差分画像を断層画像ごとに生成する。画像検出部24は、関心領域の画素P1の放射線の検出値を表す画素値と、画素P2の対応領域の放射線の検出値を表す画素値との差分を2次元座標(XY座標)が同じ画素P1及び画素P2の対ごとに算出する。画像検出部24は、算出した差分を画素値とする画素を2次元平面(XY平面)に配列して差分画像を生成する。画像検出部24は、断面位置(Z座標)ごとに差分画像を生成する。それにより、差分画像が断層画像ごとに生成される。
【0041】
画像検出部24は、差分画像における画素値の標準偏差を差分画像ごとに算出する。画像検出部24は、差分画像に含まれる画素群を母集団とし、放射線の検出値を表す画素値を標本とした標準偏差を算出する。画像検出部24は、この算出を差分画像ごとに行う。それにより、断面位置(Z座標)ごとの標準偏差が算出される。
【0042】
画像検出部24は、標準偏差が最小の差分画像の断層画像を、関心領域に画素値が類似する対応領域を含む断層画像として検出する。
図6は、断面位置と標準偏差との関係を表す模式図である。横軸は、断面位置(Z座標)を表す。縦軸は、標準偏差を表す。点Sは、断面位置(Z座標)ごとの標準偏差を表す。画像検出部24は、標準偏差が算出された断面位置(Z座標)のうち、最小の標準偏差である断面位置を特定する。画像検出部24は、特定した断面位置の断層画像を、関心領域に画素値が類似する対応領域を含む断層画像として検出する。それにより、関心領域内の画像に最も類似した対応領域の3次元的な位置(X座標、Y座標及びZ座標)が特定される。このことは、読影医等の読影者が所望する位置が3次元的に特定されることに相当する。
【0043】
関心領域の画素の画素値と対応領域の画素の画素値とが近いほど(つまり、類似するほど)、差分画像の画素群の画素値は小さな値となる。さらに、関心領域の画素の画素値と近い画素値の画素を多く含む対応領域の差分画像ほど、標準偏差は小さな値となる。したがって、画像検出部24が、標準偏差が最小の差分画像の断層画像を、関心領域に画素値が類似する対応領域を含む断層画像として検出することにより、病変部及び病変部周辺の画素の画素値と近い画素値の画素を多く含む対応領域を含む断層画像が検出される。画像検出部24は、検出した断層画像をデータ記憶部5へ出力する。なお、画像検出部24は、検出した断層画像を表示制御部3へ出力してもよい。
【0044】
(表示制御部3)
表示制御部3は、画像検出部24により検出された断層画像を表示部4に表示させる。表示制御部3は、データ記憶部5から画像検出部24により検出された断層画像を読み出す。なお、表示制御部3は、断層画像を画像検出部24から受けてもよい。
図7は、断層画像の表示例を表す模式図である。断層画像T1は、画像検出部24により検出された断層画像である。対応領域A1は、断層画像T1の対応領域である。2次元画像に対して指定された病変部と同じ2次元座標(XY座標)の画素からなる画素群PG1は、断層画像T1において病変部を表し得る画素群である。
【0045】
なお、表示制御部3は、3次元画像データに基づいて、対応領域A1の中心位置を含み、断層画像T1と異なる断面の断層画像を断層画像T1とともに表示部4に表示させてもよい。例えば、表示制御部3は、データ記憶部5に記憶された3次元画像データと対応領域A1の中心位置とを参照して、ZX平面を断面とする断層画像T2と、YX平面を断面とする断層画像T3とを表示部4に表示させる。それにより、読影医等の読影者は、対応領域A1に含まれる病変部を、複数の方向から一覧することができる。
【0046】
(表示部4)
表示部4は、表示制御部3による制御に基づいて、断層画像を表示する。表示部4は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro‐Luminescence)ディスプレイなどの表示デバイスにより構成される。
【0047】
(データ記憶部5)
データ記憶部5は、再構成部21による3次元画像データ、画像生成部22による2次元画像、設定部23による関心領域情報、画像検出部24による断層画像を記憶する。データ記憶部5は、HDD(Hard Disc Drive)などの記憶装置によって構成される。
【0048】
(システム制御部6)
システム制御部6は、医用画像診断装置の各部の機能を制御する。システム制御部6は、CPU(Central Processing Unit)などの処理装置、及びHDDなどの記憶装置を含んで構成される。システム制御部6は、医用画像診断装置の各部の機能を実行するためのコンピュータプログラムを記憶する。システム制御部6は、こられコンピュータプログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。
【0049】
(操作部7)
操作部7は、医用画像診断装置に対する各種の指示入力や情報入力に用いられる。操作部7は、キーボード、マウス、フットペダルなどの操作デバイスにより構成される。なお、操作部7は、表示部4に表示されたGUI(Graphical User Interface)を含んでもよい。
【0050】
[動作]
図8は、この実施形態の医用画像診断装置の動作を表すフローチャートである。
【0051】
(ステップS101)
撮影部1は、被検体Eに放射線を照射し、被検体Eを透過した放射線を検出する。このとき、撮影部1は、X線管球104を移動させながら、被検体Eに対する異なる方向ごとに被検体Eを透過したX線を検出する(トモシンセシス撮影法)。再構成部21は、検出データにシフト加算処理等の再構成処理を施して、被検体Eの厚み方向に直交する面(XY平面)を断面とする断層画像を複数生成する。さらに再構成部21は、これら断層画像を積層して3次元画像データを生成する。再構成部21は、生成した3次元画像データをデータ記憶部5へ出力する。
【0052】
(ステップS102)
画像生成部22は、データ記憶部5から3次元画像データを読み出す。画像生成部22は、3次元画像データを所定方向に投影して、2次元画像を生成する。画像生成部22は、生成した2次元画像をデータ記憶部5へ出力する。
【0053】
(ステップS103)
設定部23は、生成された2次元画像に対し、関心領域を設定する。例えば、設定部23は、操作部7を介して、読影医等の読影者によりなされた画素を指定する操作の操作情報を受け、指定された画素の座標を特定する。設定部23は、特定した座標を中心とした設定範囲の領域を関心領域として設定する。設定部23は、関心領域の座標を表す関心領域情報をデータ記憶部5へ出力する。
【0054】
(ステップS104)
画像検出部24は、3次元画像データ、2次元画像及び関心領域情報をデータ記憶部5から読み出す。画像検出部24は、関心領域の座標と3次元画像データの座標とに基づいて、対応領域を断層画像ごとに特定する。
【0055】
(ステップS105)
画像検出部24は、特定した対応領域に基づいて、関心領域における画素値と対応領域における画素値との差分を表す差分画像を断層画像ごとに生成する。
【0056】
(ステップS106)
画像検出部24は、差分画像における画素値の標準偏差を差分画像ごとに算出する。画像検出部24は、差分画像に含まれる画素群を母集団とし、放射線の検出値を表す画素値を標本とした標準偏差を算出する。
【0057】
(ステップS107)
画像検出部24は、標準偏差が最小の差分画像の断層画像を、関心領域に画素値が類似する対応領域を含む断層画像として検出する。画像検出部24は、検出した断層画像をデータ記憶部5へ出力する。
【0058】
(ステップS108)
表示制御部3は、データ記憶部5から画像検出部24により検出された断層画像を読み出す。表示制御部3は、画像検出部24により検出された断層画像を表示部4に表示させる。
【0059】
[効果]
この実施形態の医用画像診断装置の効果について説明する。実施形態の医用画像診断装置は、被検体Eに放射線を照射し、被検体Eを透過した放射線を検出することにより、被検体Eの複数の断層画像を含む3次元画像データを生成する医用画像診断装置であって、画像生成部22と、設定部23と、画像検出部24と、表示制御部3とを有する。画像生成部22は、3次元画像データを所定方向に投影して、2次元画像を生成する。設定部23は、2次元画像に対し、関心領域を設定する。画像検出部24は、関心領域と関心領域に対応する断層画像ごとの対応領域とに基づいて、関心領域に画素値が類似する対応領域を含む断層画像を3次元画像データから検出する。表示制御部3は、画像検出部24により検出された断層画像を表示部4に表示させる。このように、実施形態の医用画像診断装置は、3次元画像データに基づく2次元画像に対して設定された関心領域に類似する対応領域を含む断層画像を検出する。このように、この実施形態の医用画像診断装置による2次元画像は、病変部を表し得る画素が投影された画像であるので、乳房の厚み方向に乳腺と重なる病変部であっても、この病変部は検出され易い。さらに、2次元画像に関心領域が設定されれば、この実施形態の医用画像診断装置は、関心領域に類似する断層画像が検出されるので、断層画像を切り替え表示しながら病変部を探す手間が省かれる。したがって、3次元画像データの病変部を簡便に検出する医用画像診断装置を提供することができる。
【0060】
また、この実施形態の医用画像診断装置による2次元画像は、3次元画像データに基づいて生成された画像であるので、2次元画像のノイズと3次元画像データのノイズとの差異による検出精度の誤差を低減できる。したがって、3次元画像データの病変部を精度良く検出する医用画像診断装置を提供することができる。
【0061】
また、この実施形態の医用画像診断装置による2次元画像は、3次元画像データに基づいて生成されるので、従来の2次元画像を撮影することによる被曝量が低減される。したがって、被検体Eの被曝量を低減しつつ3次元画像データの病変部を検出する医用画像診断装置を提供することができる。
【0062】
なお、ここでは、マンモグラフィ装置としての医用画像診断装置について説明したが、胸部一般X線撮影装置など、被検体Eの3次元画像データを生成可能な他の医用画像診断装置に本明細書の構成が援用されてもよい。
【0063】
〈医用画像診断装置の変形例〉
この変形例の医用画像診断装置は、画像検出部24と、表示制御部3との構成が上述の実施形態の医用画像診断装置と異なる。以下、該医用画像診断装置と異なる構成について主に説明する。
【0064】
画像検出部24は、関心領域に画素値が類似する対応領域を含む断層画像を3次元画像データから検出するとともに、他の断層画像を画素値が類似する順に所定数検出する。画像検出部24が検出する所定数は、予め定められる。画像検出部24は、検出した断層画像群をデータ記憶部5へ出力する。なお、画像検出部24は、検出した断層画像群を表示制御部3へ出力してもよい。
【0065】
表示制御部3は、画像検出部24により検出された関心領域に画素値が最も類似する対応領域を含む断層画像とともに、他の断層画像を画素値が類似する順に所定数並べて表示部4に表示させる。表示制御部3は、画像検出部24により検出された断層画像群をデータ記憶部5から読み出す。なお、表示制御部3は、断層画像群を画像検出部24から受けてもよい。
【0066】
図9は、断層画像群の表示例を表す模式図である。画像検出部24により検出された関心領域に画素値が最も類似する対応領域を含む断層画像T1とともに、他の断層画像T4、T5、T6が、並べられて表示される。これら断層画像T1、T4、T5、T6の表示レイアウトは、適宜設定可能である。なお、表示制御部3は、2次元画像PFをさらに並べて表示してもよい。
【0067】
同様に、画像検出部24は、関心領域に画素値が類似する対応領域を含む断層画像を3次元画像データから検出するとともに、該断層画像に近い断面位置の断層画像を所定数検出してもよい。この場合、表示制御部3は、画像検出部24により検出された断層画像とともに、該断層画像に近い断面位置の断層画像を所定数並べて表示部4に表示させる。
【0068】
この変形例の医用画像診断装置は、関心領域に画素値が最も類似する対応領域を含む断層画像とともに、他の断層画像を画素値が類似する順に所定数並べて表示する。このことは、複数の断層画像が、病変部を描出する可能性が高い順に表示されることに相当する。したがって、読影医等の読影医は、病変部を描出し得る可能性が高い複数の断層画像を一覧することができる。
【0069】
また、この変形例の医用画像診断装置は、画像検出部24により検出された断層画像とともに、該断層画像に近い断面位置の断層画像を所定数並べて表示する。このことは、病変部を描出する可能性が高い位置の画像とともに、この位置に近い位置の画像が表示されることに相当する。したがって、読影医等の読影医は、病変部を描出する可能性が高い位置の画像とともに、この位置に近い断面の画像を一覧することができる。
【0070】
〈実施形態及び変形例に共通の効果〉
以上述べた少なくともひとつの実施形態または変形例の医用画像診断装置によれば、3次元画像データに基づく2次元画像に対して設定された関心領域に類似する対応領域を含む断層画像を検出することにより、被検体の被曝量を低減しつつ3次元画像データの病変部を検出することが可能となる。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。