(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
当該形態における前後上下左右は、説明の便宜上定めたものであり、作業の状況等により相対的に変化することがある。
【0009】
[第1形態]
図1は本発明の第1形態に係るサンダ1のパッド80を外した状態での下方からみた斜視図であり、
図2は
図1の一部分解斜視図であり、
図3は
図2の上方からみた斜視図であり、
図4は
図1のサンダの一部中央縦断面図である。尚、
図4の右がサンダ1の前であり、
図4の下がサンダ1の下である。
サンダ1は、その外郭を形成して各種の部材を支持するハウジング2を有している。ユーザは、ハウジング2の前上部2aを片方の手で握ることが可能である。
ハウジング2の前上部2aの後部には、後述のロータリースイッチ42が露出しており、その後側には、主電源をオンオフするためのスライドスイッチ3が露出している。
【0010】
更に、サンダ1は、ハウジング2内の後中央部において、回転駆動軸4を有するモータ6を備えている。モータ6は、ハウジング2後部から出たコードVを介して、図示しない電源と電気的に接続されており、電気により回転駆動軸4を駆動する。尚、電源からの電気は、スライドスイッチ3の状態(前後位置)に応じ、導通されたり切断されたりする。
モータ6の本体から露出した回転駆動軸4の先端部には、ピニオンギヤ10が固定されており、後部には、ファン12が固定されている。又、ピニオンギヤ10とファン12の間には、回転駆動軸4を回転可能に支える軸受14が配置されている。軸受14は、ハウジング2に固定されている。
【0011】
ピニオンギヤ10の上側ないし前上側には、ピニオンギヤ10と噛み合うベベルギヤ20が配置されている。
ベベルギヤ20は、水平な円盤状の部材であり、下外周部においてピニオンギヤ10と噛み合う傘歯を有している。ベベルギヤ20の傘歯の数は、ピニオンギヤ10の歯の数より多く、回転駆動軸4の回転は、ベベルギヤ20により減速される。
ベベルギヤ20の中央部には、円形の孔が開けられており、その孔には、円筒状の第1回転軸22が入れられている。第1回転軸22は、上下に長い部材であり、上端部がベベルギヤ20の孔に入った状態で固定されていて、ベベルギヤ20から下方へ延びている。ベベルギヤ20の回転中心軸と第1回転軸22の回転中心軸は一致し、ベベルギヤ20と第1回転軸22は一体で回転する。第1回転軸22は、上外方ベアリング24と下外方ベアリング26を介して、ハウジング2に回転可能に支持されている。
第1回転軸22の上下方向の内孔は、第1回転軸22(の外面)に対して偏心している。即ち、第1回転軸22(の外面)の回転中心軸と、第1回転軸22の内孔の中心軸は、互いにずれている。そして、当該内孔の内側には、上下に長い第2回転軸30が配置されている。第2回転軸30の中心軸は、第1回転軸22の内孔の中心軸と合致する。第2回転軸30は、上内方ベアリング32と下内方ベアリング34を介して、第1回転軸22に回転可能に支持されている。
【0012】
第2回転軸30の上側には、ランダムオービタル機構40が配置されている。第2回転軸30の上端部は、ランダムオービタル機構40に接続されている。
ランダムオービタル機構40は、ロータリースイッチ42を有しており、その状態(△印が左にあるか右にあるか)に応じて、第2回転軸30に対して駆動力を伝達するか否かを切替可能である。ランダムオービタル機構40によって第2回転軸30に駆動力が伝わると、第1回転軸22及び第2回転軸30が回転駆動されて、第2回転軸30が駆動力により公転すると共に自転する(オービタル回転)。一方、ランダムオービタル機構40によって第2回転軸30に駆動力が伝わらないと、第1回転軸22が回転駆動されて、第2回転軸30が駆動力により公転し、第2回転軸30の自転は作業時の転動抵抗によるものとなる(ランダムオービタル回転)。尚、ランダムオービタル回転における非作業時(無負荷回転時)には、不規則な自転をしたり、自転しなかったりする。
【0013】
第2回転軸30の下部は、断面略小判形の長円形柱状に形成されており、当該下部には、下方に開いた穴が形成されていて、当該穴には、固定ピン(ボルト)50を挿入可能である。
固定ピン50は、当該穴に入る脚部52と、脚部52より太い頭部54と、脚部52及び頭部54の間に配置されたツバ56を有する。
固定ピン50のツバ56の上面と第2回転軸30の下面の間には、水平な円盤状のフランジ60と、板状のリテーナプレート62(弾性部)が配置されている。フランジ60及びリテーナプレート62は、前者を上側とした状態で、固定ピン50により、第2回転軸30に対して固定されている。
フランジ60は、第2回転軸30の下端部と同様である断面略小判形の長円形状の中央孔63と、下面の周辺部から下方へ立てられたリブ64と、下面の中央部において周方向に複数(3個)並ぶように盛り上げられた突部66,66・・を有する。第2回転軸30の下端部に対し、中央孔63を入れた状態で、フランジ60が固定される。
リテーナプレート62は、固定ピン50の脚部52と同様な径を有する中央円孔67を備えており、中央円孔67に脚部52が通される。リテーナプレート62は、複数枚(3枚)の弾性片68,68・・(バヨネット爪)を有する平坦なファン状の部材である。各弾性片68は、放射方向を向いており、弾性を呈する。各弾性片68の先端部は、フランジ60のリブ64と突部66,66・・の間に位置しており、各弾性片68の基端部は、フランジ60の突部66,66の間に入れられている。
リブ64は、リテーナプレート62の外側に配置されている。リブ64の先端部(下端部)は、その他の部分より厚みを薄くされて、当該その他の部分に対して下方に突出した突条69(
図4)として形成されている。
尚、フランジ60の外方には、下方に開口した碗状のカバー70と、カバー70の後部に接続された吸塵ダクト72が配置されている。
【0014】
そして、第2回転軸30(フランジ60,リテーナプレート62)に対しては、パッド80が着脱自在に取り付けられる。第2回転軸30(及び第1回転軸22)は、パッド80(先端工具)に対して回転力を出力するので、スピンドル(出力軸)としての役割がある。又、ベベルギヤ20(及びピニオンギヤ10)は、モータ6の回転駆動軸4の回転力を減速するので、減速機構としての役割がある。尚、フランジ60やリテーナプレート62を含め、スピンドルとして捉えることもできる。
パッド80の下面には、面ファスナー等を介して、研磨用のサンディングペーパー(図示せず)等が取り付けられる。
パッド80の上面には、上方へ突出する複数(3個)のカギ爪82,82・・(凸部)が設けられている。カギ爪82,82・・は、パッド80上面の中央部において、周方向に(等間隔に)並べられている。各カギ爪82は、円弧状に形成された外側部82aと、外側部82aの上端部から放射方向内方へ水平に延びる上面部82bと、外側部82aないし上面部82bの一端を塞ぐ小壁部82cを有する。外側部82aの内径は、リテーナプレート62(弾性片68,68・・を含む)の外径より僅かに大きい。小壁部82c,82c・・は、周方向で見て同じ側(上方から時計回りで見てより先に進んだ側)に配置されている。外側部82a・上面部82b・小壁部82cで囲まれた部分(上面部82bの下側)は、円周方向に向くバヨネット溝となっている。
又、カギ爪82,82・・の外側部82aの外側には、下方に窪む円形の小溝が形成されており、その小溝には、弾性を呈する輪状のシールリング84(シール部)が嵌め込まれている。シールリング84は、各カギ爪82を除くパッド80の上面に対し、上方に突出している。シールリング84は、各カギ爪82の外側に配置されており、フランジ60のリブ64と同じ大きさを有している。尚、シールリング84は、各カギ爪82より低い。
【0015】
パッド80は、まずリテーナプレート62の弾性片68,68・・をカギ爪82,82・・の間に位置させ、次いで所定の方向(時計回り)にパッド80を水平に回して各カギ爪82の上面部82bの下側(バヨネット溝内)に弾性片68を位置させることによって装着される。各弾性片68は、バヨネット溝を閉じる小壁部82cによって止められる。パッド80を装着するフランジ60(及びリテーナプレート62)は、カギ爪82(凸部)を装着のために受け入れる凹部としての役割を担う。
パッド80の脱着中ないし装着時、フランジ60外周部のリブ64の突条69が、パッド80上面のシールリング84の上部に当たり、フランジ60内に粉塵や液体(水)が入り込まないようにシールされる。リブ64下端部の突条69は、シールリング84を弾性変形させ、シールリング84に食い込む。リブ64(突条69)は、パッド80の装着時、シールリング84に対向する。
パッド80の特に装着時において、リテーナプレート62(各弾性片68)は、パッド80(カギ爪82の上面部82bの下面)を直接押す。又、リテーナプレート62(各弾性片68)は、パッド80(カギ爪82の上面部82bの下面)を上方に押す。
【0016】
このようなサンダ1は、例えば次のように動作する。
即ち、動作停止状態において、所望の種類のパッド80をフランジ60の下側においてバヨネット接続し、コードVを電源に接続してスライドスイッチ3を操作すると、モータ6への給電がなされ、回転駆動軸4が所定の速度で回転する。尚、回転駆動軸4の回転によりファン12が回転し、換気(エアの吸気ないし排気)が行われる。
回転駆動軸4は、ピニオンギヤ10及びベベルギヤ20を介して第1回転軸22を回転し、更にランダムオービタル機構40を介して第2回転軸30に駆動力を与えたり(オービタル回転し)あるいは与えなかったり(ランダムオービタル回転)する。
第1回転軸22及び第2回転軸30の回転により、パッド80がオービタル回転し又はランダムオービタル回転するので、かように回転されるパッド80を、ハウジング2の上部2a等を把持することでワークに対し押し付けつつ移動させることにより、サンディングペーパー等を介してワークの表面に研磨等を施すことができる。尚、第1回転軸22及び第2回転軸30並びにパッド80は時計回りで回転(公転及び自転)するので、パッド80は回転時においてもフランジ60から抜けない。
ワークに対して上から研磨等を施す際、ワークからサンダ1に対して上方へ反力を受けることがあるところ、パッド80は、リテーナプレート62によって上方に押されていて既に各カギ爪82の下面に押し付けられているため、反力によりフランジ60に対して上方にずれてしまうことがない。又、フランジ60のリブ64にシールリング84が突き合わせられているので、フランジ60とパッドの間に粉塵や液体が入り込まないし、シールリング84の弾性によりパッド80の振動を減衰して防振作用を施せるし、シールリング84の弾性によりパッド80に摩擦力を及ぼしてパッド80の緩みを抑制することも可能となる。
【0017】
以上のサンダ1では、第2回転軸30(スピンドル)と、第2回転軸30に着脱可能なパッド80と、第2回転軸30に設けられたフランジ60(凹部)、及びパッド80に設けられた、フランジ60に入るカギ爪82,82・・(凸部)と、フランジ60に設けられたリテーナプレート62とを有しており、リテーナプレート62は、カギ爪82,82・・を直接押す。従って、各カギ爪82がリテーナプレート62(対応する弾性片68)により充分な強度で保持され、パッド80が第2回転軸30(フランジ60)に強固に取り付けられる。
又、リテーナプレート62は、各カギ爪82を、パッド80の下面(サンディングペーパー)が有る方向とは反対の方向である上方に押す。従って、パッド80の下面が研磨等の作業時に反力を受けたとしても、各カギ爪82(パッド80)は既に反力と同じ方向の力を受けており、各カギ爪82(パッド80)が反力により動いてしまう事態を防止することができる。
更に、フランジ60は、第2回転軸30に設けられており、各カギ爪82は、パッド80に設けられている。よって、リテーナプレート62が第2回転軸30側に設けられることとなり、全てのパッド80,80・・にリテーナプレート62を設ける必要がないので、コストを低減することができる。又、パッド80,80・・に大きな凹部を設ける必要がなくなり、粉塵等がパッドに蓄積する事態を防止することができて、動作の確実性をより一層向上することができる。
又更に、リテーナプレート62は、放射方向を向く複数の弾性片68,68・・を有する。よって、充分な強度で装着できる機構をシンプルに実現することができる。
加えて、パッド80の装着時に、第2回転軸30(フランジ60)とパッド80(各カギ爪82)との間をシールするシールリング84が、パッド80に設けられている。従って、第2回転軸30(フランジ60)とパッド80(各カギ爪82)との間に粉塵や液体が入り込む事態を防止して、より一層確実な動作を提供することができる。
又、シールリング84は、各カギ爪82の外側に配置されており、フランジ60におけるシールリング84と対向する部分であるリブ64に対して突き合わせられる。よって、シンプルな構成において密閉状態を確保することができる。
更に、リブ64において、シールリング84に食い込む突条69が設けられている。よって、より確実に密閉状態を実現することができ、更にパッド80のずれを防止することができ、パッド
80をより緩衝することができる。
加えて、シールリング84は、パッド80に設けられる。よって、シールリング84がパッド80に付随して交換されることとなり、シールリング84による、シールや、パッド80のフランジ60に対するずれの防止ないし緩衝といった作用を、適切に維持することが可能となる。
【0018】
[第2形態]
本発明の第2形態のサンダ101は、第1形態のサンダ1と、パッド180の着脱機構以外同様に成る。第1形態のサンダ1と同様である機構や部材等は、同じ符号を付して適宜説明を省略する。
図5はサンダ101のパッド180を外した状態での下方からみた一部斜視図であり、
図6は
図5のサンダ101における第2回転軸30、フランジ160、固定ピン50及びパッド180の分解斜視図であり、
図7は
図5のサンダ101の一部中央縦断面図である。尚、
図7の左がサンダ1の前である。
サンダ101は、第1形態のフランジ60に代えて、フランジ160を有する。フランジ160は、フランジ60と異なり、リテーナプレート62を備えていない。
又、サンダ101は、第1形態のパッド80に代えて、パッド180を有する。パッド180は、上面以外、パッド80と同様に成る。
【0019】
フランジ160は、平坦な円盤状の部材であり、中央部に、第2回転軸30の下端部の形状と合致する中央孔161を有すると共に、周縁部に、放射方向に突出する複数(3個)のバヨネット爪162,162・・を有する。バヨネット爪162,162・・は、周方向において、互いに等間隔に配置されている。又、フランジ160の下面には、下方へリング状に突出する突条164が設けられている。
パッド180の上面中央部には、上方に突出するリング状のリブ182が設けられている。リブ182の内径は、フランジ160の(バヨネット爪162,162・・を含めた)外径と同じである。
パッド180の上面であって、リブ182の内側には、ドーナツ状の弾性部材184(ラバーワッシャ)が固定されている。弾性部材184は、弾性を呈する。
又、リブ182の内面から内方に向けて、カギ爪186,186・・が突出している。各カギ爪186は、リブ182の上端部から放射方向内方へ水平に延びる上面部188と、上面部188の一端を塞ぐ小壁部190を有する。小壁部190,190・・は、周方向で見て同じ側(上方から時計回りで見てより先に進んだ側)に配置されている。リブ182・上面部188・小壁部190で囲まれた部分(上面部188の下側)は、円周方向に向くバヨネット溝となっている。
リブ182(カギ爪186,186・・)は、凹部の役割を担い、フランジ160(バヨネット爪162,162・・)は、凹部に入る凸部の役割を担う。
【0020】
パッド180は、まずフランジ160のバヨネット爪162,162・・をカギ爪186,186・・(の上面部188,188・・)の間に位置させ、次いで所定の方向(時計回り)にパッド180を水平に回して各カギ爪186の上面部188の下側(バヨネット溝内)にバヨネット爪162を位置させることによって装着される。各バヨネット爪162は、小壁部190によって止められる。パッド180のリブ182内の各カギ爪186は、フランジ160のバヨネット爪162(凸部)を装着のために受け入れる凹部としての役割を担う。尚、第1回転軸22、第2回転軸30ないしパッド180は時計回りで回転するので、パッド80は回転時においてもフランジ160から抜けない。
パッド180の脱着中ないし装着時、パッド180のリブ182内の弾性部材184は、フランジ160を直接押す。又、弾性部材184は、フランジ160(下面)を上方に押し、カギ爪186,186・・(の上面部188,188・・)に押し付ける。更に、フランジ160下面の突条164が弾性部材184に食い込み、パッド180内(リブ182下側)に粉塵や液体が入り込まないようにシールされる。
【0021】
以上のサンダ101では、第2回転軸30(スピンドル)と、第2回転軸30に着脱可能なパッド180と、パッド180に設けられたリブ182(カギ爪186,186・・)(凹部)、及び第2回転軸30に設けられた、リブ182(カギ爪186,186・・)に入るフランジ160(バヨネット爪162,162・・)(凸部)と、リブ182に設けられた弾性部材184とを有しており、弾性部材184は、フランジ160を直接押す。従って、フランジ160が弾性部材184により充分な強度で保持され、パッド80が第2回転軸30(フランジ160)に強固に取り付けられる。
又、弾性部材184は、フランジ160を、パッド180の下面(サンディングペーパー)が有る方向とは反対の方向である上方に押す。従って、パッド180の下面が研磨等の作業時に反力を受けたとしても、フランジ160は既に反力と同じ方向の力を受けており、各カギ爪68(パッド80)が反力により動いてしまう事態を防止することができる。
加えて、パッド80の装着時に、第2回転軸30(フランジ160)とパッド180との間をシールする弾性部材184が、パッド180に設けられている。従って、第2回転軸30(フランジ160)とパッド180との間に粉塵や液体が入り込む事態を防止して、より一層確実な動作を提供することができる。又、弾性部材184において、フランジ160(第2回転軸30)固定のための付勢作用と、シール作用を兼ねさせることができる。
更に、フランジ160において、弾性部材184に食い込む突条164が設けられている。よって、より確実に密閉状態を実現することができ、更にパッド180のずれが防止され、パッド180をより緩衝することができる。
加えて、弾性部材184は、パッド180に設けられる。よって、弾性部材184がパッド180に付随して交換されることとなり、シールリング84による、シールや、パッド180のフランジ160に対するずれの防止ないし緩衝といった作用を、適切に維持することが可能となる。
【0022】
ここで、主に第2形態に関する発明を挙げる。
(2−1)スピンドルと、
前記スピンドルに着脱可能な先端工具と
前記先端工具に設けられた凹部、及び前記スピンドルに設けられた、前記凹部に入る凸部と、
前記凹部に設けられた弾性部と
を有しており、
前記弾性部は、前記凸部を直接押す
ことを特徴とする電動工具。
(2−2)前記先端工具の装着時に、前記スピンドルと前記先端工具との間をシールするシール部が、前記先端工具に設けられている
ことを特徴とする上記(2−1)に記載の電動工具。
(2−3)前記シール部と対向する部分(前記スピンドル)に、前記シール部に食い込む突条が設けられている
ことを特徴とする上記(2−2)に記載の電動工具。
(2−4)前記弾性部は、前記スピンドルと前記先端工具との間をシールする
ことを特徴とする上記(2−1)ないし上記(2−3)の何れかに記載の電動工具。
【0023】
[第3形態]
本発明の第3形態のサンダは、第1形態のサンダ1と、パッド280の着脱機構以外同様に成る。第1形態のサンダ1と同様である機構や部材等は、同じ符号を付して適宜説明を省略する。
図8は第3形態のサンダのパッド280、及びパッド280を装着するストッパ260の上面図であり、
図9はパッド280及びストッパ260の分解斜視図であり、
図10はパッド280及びストッパ260の分解斜視図であり、
図11は
図8のA−A線断面図であり、
図12はパッド280の取付に関する模式的な断面図である。
【0024】
フランジ60に代えて設けられたストッパ260(凹部)は、ケース262と、ケース262内の中央に設けられるワッシャ264と、ケース262内の周縁部に設けられるプッシュリング266及び複数(3個)のスプリング268,268・・と、プッシュリング266やスプリング268,268・・の上側に設けられるストッパプレート270と、ケース262の上に被せられるカバー272と、ケース262に対してカバー272を固定する複数(3個)のネジ274,274・・を有する。
【0025】
ケース262は、周辺部と中央の孔の開口部の間が下方に窪んでいるドーナツ状の部材であり、中央の孔(窪みの底の開口部側から上方に突出する内壁部)の上端部にワッシャ264が配置される。
ケース262の窪みには、複数(3個)の円弧状の挿入孔262a,262a・・が形成されている。挿入孔262a,262a・・は、周方向において互いに等間隔に配置されている。
又、ケース262の周辺部(窪みの底の周辺部側から上方に突出する外壁部)には、複数(3個)のネジ穴部262b,262b・・が、ネジ274を受け入れ可能な状態で上方へ開口するように形成されている。ネジ穴部262b,262b・・は、それらの間に挿入孔262a,262a・・が位置する状態で、周方向において互いに等間隔に配置されている。
各ネジ穴部262bから、放射方向における内方に向けて、小壁部262cが形成されている。各小壁部262cの最も内方の端部は、ケース262の内壁部に達しておらず、各小壁部262cとケース262の内壁部との間には隙間が存在する。各小壁部262cの上部には、小突起262dが設けられている。又、各小壁部262cからは、所定の方向(時計回り方向)に向かう小リブ262eが延びている。各小リブ262eは、先端に向かうほど低くなる状態で、ケース262の窪みの底から上方へ突出している。
ワッシャ264は、第2回転軸30の先端部に固定されるものであり、ワッシャ264を介してストッパ260が第2回転軸30に設置される。
【0026】
プッシュリング266は、リング状の部材であり、周辺部において、放射方向における外方に突出する複数(3個)の突起266a,266a・・(ブロック)を有する。突起266a,266a・・は、周方向において互いに等間隔に配置されている。各突起266aにおける下コーナー部(時計回り方向で見て後側)は、角を取られた状態の面取り部266bが形成されている。
プッシュリング266は、ケース262の窪み内で(上下方向の中心軸の周りで)回転可能に収められている。
各スプリング268は、真っ直ぐな中心軸を有するコイルスプリングである。
各スプリング268は、ケース262の小壁部262cとプッシュリング266の突起266aの間に取り付けられており、取り付けられると
図9に示すように中心軸が円弧に沿う状態となる。各スプリング268の自然長状態において、プッシュリング266の突起266aは、挿入孔262aにはみ出す(突起266aの一部が挿入孔262aの端部の上側に位置する、
図12(d)参照)。
ストッパプレート270は、プッシュリング266と同様、突片270a,270a・・を有するリング状の部材である。
各突片270aは、放射方向における外方に突出して更に所定の方向(時計回り方向)に曲がっている。各突片270aにおける屈曲部内側には、各小壁部262c上部の小突起262dに対応する形状に切り欠かれた切欠部270bが設けられている。各小突起262dは、対応する切欠部270bに入っており、ストッパプレート270が位置決めされる。
各突片270aの先端部は、斜め下方ないし下方を向いている。ストッパプレート270は、各突片270aの先端が挿入孔262aの端部(プッシュリング266の突起266aが位置する端部と反対側)に隣接するように配置されている。各突片270aの先端部は、ケース262の小リブ262eに載っている。
尚、スプリング268,268・・は、周方向において同じ側(小壁部262cより時計回り方向で見て後側)に配置されており、突片270a,270a・・は、周方向において同じ側(挿入孔262aより時計回り方向で見て後側)に配置されている。
【0027】
カバー272は、ドーナツ状の部材であり、ネジ穴部262b,262b・・に対応する複数のネジ孔部272a,272a・・を有する。カバー272は、ケース262の外壁部上部ないしケース262内の各種部材を覆う。
各ネジ274は、対応するネジ孔部272aないしネジ穴部262bを通る。
【0028】
パッド280は、上面以外、パッド80と同様に成る。
パッド280の上面の中央部には、他の部分(周辺部分)に対して上方に突出する円筒状のリブ282が設けられている。
リブ282の外側には、他の部分(周辺部分)に対して上方に突出する複数(3個)の爪284,284・・(凸部)が設けられている。爪284,284・・は、周方向において互いに等間隔に配置されている。各爪284の先端部には、特定の方向(反時計回り方向)へ向かうカギ部286が設けられると共に、カギ部286と反対側(時計回り方向)において、角を取られて曲面状とされた面取り部288が設けられている。
各爪284の先端部の形状は、各挿入孔262aの形状と同様であり、爪284,284・・は、挿入孔262a,262a・・へ挿入可能である。
【0029】
パッド280は、ストッパ260の挿入孔262a,262a・・に対して爪284,284・・を入れることで装着される。
挿入開始時、爪284の面取り部288がプッシュリング266の突起266aの面取り部266bに当たる。このとき、爪284の面取り部288が、突起266aの面取り部266bを押すことで、突起266aを所定の方向(時計回り方向)へ案内するので、突起266aが挿入孔262aから自然に退くこととなり、爪284が挿入し易い。
図12(a)にも示すように、挿入孔262aに挿入された爪284は、プッシュリング266の突起266aを介してスプリング268を(時計回り方向へ)押し、押した方向と逆方向(反時計回り方向)にスプリング268の付勢力を受ける。爪284の先端部がストッパプレート270の突片270aの先端部に隣接するまでパッド280がストッパ260に対して近づけられると、スプリング268の付勢力により、爪284のカギ部286が、突片270aの先端部上側とカバー272の間(カギ受入部)に入り込み、パッド280がストッパ260に対して上下方向にずれようとしても、カギ部286が突片270aの先端部やカバー272に引っ掛かってずれることができない。尚、第1回転軸22、第2回転軸30ないしパッド280は時計回りで回転するので、パッド280は装着中の回転によってもストッパ260から抜けない。
他方、パッド280は、
図12に示すように、まず所定の方向(時計回り方向)に若干回し、次いで下方へ移動させることによって取り外すことができる。
即ち、
図12(a)に示す取付状態から、
図12(b)に示すようにパッド280を所定の方向に(上下方向の中心軸周りで)回転させ、そのまま
図12(c)に示すようにパッド280を下方に移動させると、
図12(d)に示すように爪284が挿入孔262aから抜け出てパッド280がストッパ260から脱する。
【0030】
以上の第3形態のサンダでは、第2回転軸30と、第2回転軸30に着脱可能なパッド280と第2回転軸30に設けられたストッパ260、及びパッド280に設けられた、ストッパ260に入る爪284,284・・に設けられたスプリング268,268・・及びプッシュリング266とを有しており、スプリング268,268・・は、爪284,284・・を、第2回転軸30の回転方向(時計回り方向)に沿う方向(反時計回り方向)に押す。よって、ストッパ260に爪284,284・・を合わせて押し込むだけで、パッド280を所定の位置(設計上の第2回転軸30やストッパ260に対するパッド280の位置に見合う位置)に確実に装着することができる。
又、爪284,284・・は、第2回転軸30の回転方向に沿う方向(反時計回り方向)に突出するカギ部286,286・・を有しており、ストッパ260は、カギ部286,286・・を受け入れる、突片270aの先端部上側の空間を有している。よって、パッド280がストッパ260から意図せず抜ける事態の発生をより一層防止することができる。
更に、プッシュリング266は、爪284,284・・を押す突起266a,266a・・を有しており、突起266a,266a・・及び爪284,284・・の双方は、爪284,284・・のストッパ260に対する挿入時に、突起266a,266a・・をスプリング268,268・・の押す方向と逆方向(時計回り方向)に案内する面取り部288,266bをそれぞれ有している。従って、パッド280をストッパ260に対してより挿入し易くなる。
加えて、ストッパ260は、第2回転軸30に設けられており、爪284,284・・は、パッド280に設けられている。よって、パッド280に凹部が形成されず、粉塵や液体が蓄積してパッド280装着等の動作を阻害する事態を防止することができる。
【0031】
ここで、主に第3形態に関する発明を挙げる。
(3−1)スピンドルと、
前記スピンドルに着脱可能な先端工具と
前記スピンドルと前記先端工具の一方に設けられた凹部、及び他方に設けられた、前記凹部に入る凸部と、
前記凹部に設けられた弾性部と
を有しており、
前記弾性部は、前記凸部を、前記スピンドルの回転方向に沿う方向に押す
ことを特徴とする電動工具。
(3−2)前記凸部は、前記スピンドルの回転方向に沿う方向に突出するカギ部を有しており、
前記凹部は、前記カギ部を受け入れるカギ受入部を有している
ことを特徴とする上記(3−1)に記載の電動工具。
(3−3)前記弾性部は、前記凸部を押すブロックを有しており、
前記ブロック及び前記凸部の少なくとも一方は、前記凸部の前記凹部に対する挿入時に、前記ブロックを前記弾性部の押す方向と逆方向に案内する面取り部を有している
ことを特徴とする上記(3−1)又は(3−2)に記載の電動工具。
(3−4)前記凹部は、前記スピンドルに設けられており、
前記凸部は、前記先端工具に設けられている
ことを特徴とする上記(3−1)ないし上記(3−3)の何れかに記載の電動工具。
【0032】
[変更例]
尚、本発明は上記各形態に限定されず、次にそれぞれ示す変更例を有するものである。
各形態において、凸部や凹部は、1個や2個にしても良いし、4個以上としても良い。複数の凸部や凹部において、互いに異なる形状としても良い。
第1形態・第3形態において、凸部を第2回転軸に配置し凹部をパッドに配置しても良く、第2形態において凸部をパッドに配置し凹部を第2回転軸に配置しても良い。
第1形態・第2形態において、凸部及び凹部は、バヨネット爪とカギ爪によるバヨネット結合の構成要素以外のものを採用して良い。
第1形態・第2形態において、シールリングや弾性部材に対向するフランジ(の部分)にも、シールリングや弾性部材を設けて良い。又、当該フランジ(の部分)のみにシールリングや弾性部材を設けても良い。
各形態において、各種部材を複数の別個の部材から形成しても良いし、各種部材の何れか2個以上を一体化して一つの部材として扱っても良い。例えば、第1形態のリテーナプレートは、各弾性片が独立した複数の部材から形成されても良いし、フランジと一体形成されても良い。又、第2形態の弾性部材は、パッドと一体形成されても良い。更に、第3形態のパッドの爪は、各爪をパッドの他の部分と別個に形成しても良いし、複数の爪を有する部材をパッドと別個に形成しても良い。又更に、第3形態のプッシュリングの各突起を別個のブロックとしても良い。
又、各形態において、コードを電源に接続することに代えて、バッテリを装着するようにすることができる。
更に、各形態について、パッドや第2回転軸がオービタル回転するオービタルサンダ以外の他のサンダに適用したり、先端工具やスピンドルを有する他の電動工具に適用したりする。