【実施例】
【0013】
(実施例1)
上記内燃機関用の点火プラグにつき、
図1〜
図6を用いて説明する。
本例の点火プラグ1は、
図1、
図2に示すごとく、筒状の接地電極2と、接地電極2の内側に保持されると共に、接地電極2の先端よりも先端側へ突出した筒状の絶縁碍子3と、絶縁碍子3の内側に保持されると共に、絶縁碍子3の先端よりも先端側へ突出した中心電極4とを備えている。
点火プラグ1は、中心電極4に高周波電圧を印加することによって、接地電極2と中心電極4との間に放電を生じさせるよう構成されている。
【0014】
そして、点火プラグ1は、以下のような条件設定の下、以下の構成を更に備えている。
図3〜
図5に示すごとく、接地電極2の表面上の任意の起点と、絶縁碍子3の外周面とを結ぶプラグ径方向の線分を、線分Hとする。
また、線分Hと絶縁碍子3の外周面との交点を、交点Kとする。
線分Hの長さをL1とする。
交点Kと絶縁碍子3の先端との間の軸方向距離をL2とする。
そして、接地電極2の表面には、L1+L2が最も短くなるような上記起点となる最短放電形成部位21が設けてある。
【0015】
最短放電形成部位21の定義につき、より詳細に説明すると、以下のとおりである。
まず、接地電極2の表面上の任意の起点と、絶縁碍子3の外周面とを結ぶプラグ径方向の線分を、線分Hとする。
ここで、接地電極2の表面上の任意の起点として、例えば、
図4、
図5の点Aに示す部位を選ぶと、線分Hは、点Aと、点Aにプラグ径方向において対向する絶縁碍子3の外周面の点Bとを結ぶ線分となる。そして、点Bが上記交点Kとなる。また、AB間の距離Laが、線分Hの長さL1となる。そして、点Bと絶縁碍子3の先端との間の軸方向距離Lbが、交点Kと絶縁碍子3の先端との軸方向距離L2となる。
【0016】
一方、接地電極2の表面上の任意の起点として、
図3、
図4の点Cに示す部位を選ぶと、線分Hは、点Cと、点Cにプラグ径方向において対向する絶縁碍子3の外周面の点Dとを結ぶ線分となる。そして、点Dが上記交点Kとなる。また、CD間の距離Lcが、線分Hの長さL1となる。そして、点Dと絶縁碍子3の先端との間の軸方向距離Ldが、交点Kと絶縁碍子3の先端との軸方向距離L2となる。
【0017】
それゆえ、接地電極2の表面上の任意の起点として、点Aを選んだときは、L1+L2=La+Lbであり、点Cを選んだときは、L1+L2=Lc+Ldである。ここで、La=Lcであるが、Lb
>Ldであるため、La+Lb>Lc+Ldである。このように、L1+L2は、当然のことながら、接地電極2の表面上の起点の位置の選び方によって異なる。
【0018】
そして、プラグ周方向の全周にわたって、その起点によるL1+L2の大きさを比較すると、本例においては、接地電極2の表面上の任意の起点として点Cを選んだときに最もL1+L2が
小さくなる。したがって、この点Cが、最短放電形成部位21であり、接地電極2の表面上の一部に存在することとなる。すなわち、最短放電形成部位21が、プラグ周方向の一部に局部的に設けてある。そして、最短放電形成部位21は、中心電極4を挟んで点Cと反対側にも存在する。
【0019】
接地電極2は、点火プラグ1のハウジング11も兼ねており、
図1に示すごとく、ハウジング11の外周面には内燃機関に螺合するための取付ネジ部111が形成されている。
最短放電形成部位21は、プラグ周方向における2箇所に設けられており、一対の最短放電形成部位21の間のプラグ周方向における間隔は、π/2[rad]以上である。本例においては、両者の間隔はπ[rad]であり、中心電極4を挟んで互いに反対側に一対の最短放電形成部位21が配置している。なお、一対の最短放電形成部位21の間のプラグ周方向における間隔とは、プラグ先端側から見たとき、プラグ中心と各最短放電形成部位21とを結ぶ一対の直線同士がなす角度であって、π[rad]以下の角度をいう。
【0020】
図2〜
図4に示すごとく、接地電極2は、部分的に先端部を先端側へ突出させた接地突出部22を有する。そして、接地突出部22に最短放電形成部位21が設けられている。
接地突出部22は2個設けられており、2個の接地突出部22に、最短放電形成部位21が設けられている。2個の接地突出部22は、絶縁碍子3を間に配置した状態で、互いに対向した対向内面221を備えている。そして、最短放電形成部位21は、対向内面221の先端に配されることとなる。
【0021】
本例において、対向内面221は、平面状に形成されている。一対の対向内面221は互いに平行な状態で対向している。また、対向内面221は、絶縁碍子3の外周面に対向している。そして、
図4に示すごとく、プラグ先端側から見たとき、プラグ中心から対向内面221に下ろした垂線の足が最短放電形成部位21に一致する。
【0022】
本例において、中心電極4は円柱形状を有し、絶縁碍子3は中心電極4と中心軸を共有する円筒形状を有する。ハウジング11でもある接地電極2は、接地突出部22が形成された部分を除いて、中心電極4及び絶縁碍子3と中心軸を共有する略円筒形状を有する。接地突出部22の対向内面221は、プラグ軸方向から見たとき、円筒状の接地電極2(ハウジング11)の内周面23の接線となっている。そして、プラグ先端側から見たときの接地電極2の内周面23と対向内面221との接点位置が、最短放電形成部位21と一致している。
【0023】
また、
図2は点火プラグ1の先端部を模式的に表したものであり、絶縁碍子3の先端面と外周面との間の角部を曲面状に表していないが、
図3、
図5等に示すように、絶縁碍子3の先端面と外周面との間の角部は曲面状に形成されている。
【0024】
次に、本例の作用効果につき説明する。
上記点火プラグ1においては、接地電極2の表面に、L1+L2が最も短くなるような上記起点となる最短放電形成部位21が設けてある。これにより、最短放電形成部位21において、放電が開始されやすくなる。つまり、プラグ周方向における特定の位置において、放電が生じやすくなる。それゆえ、最短放電形成部位21を起点とした放電が、気流によって効率的に引き伸ばされるような姿勢で、点火プラグ1を内燃機関に設置することにより、高い確率で放電を絶縁碍子3の表面から引き離すことが可能となる。これにより、点火プラグ1の安定した着火性を確保することができる。
【0025】
すなわち、
図6に示すごとく、プラグ先端側から見たときに、中心電極4と最短放電形成部位21との並び方向が、気流Fの方向と直交するように、点火プラグ1を内燃機関に取り付けると、最短放電形成部位21を起点にして形成された放電S1の方向が、気流Fの方向と略直交することとなる。この状態において、放電S1は気流Fによって大きく引き伸ばされて、S2に示すような状態となる。
図6において、符号S1が放電開始直後の放電を示し、符号S2が気流によって引き伸ばされた状態の放電を示す。
【0026】
なお、内燃機関に対する点火プラグ1の設置姿勢は、例えば、ハウジング11と内燃機関との間に介在させるガスケットの厚みや、ハウジング11における取付ネジ部111及びこれと螺合する内燃機関の雌ネジ部のネジの切り方等を調整することにより、所望の姿勢に合わせることができる。
【0027】
また、最短放電形成部位21は、プラグ周方向における2箇所に設けられており、一対の最短放電形成部位21は、中心電極4を挟んで互いに反対側に配置している。そのため、気流Fの方向に対して一対の最短放電形成部位21の並び方向が直交するような状態で点火プラグ1を内燃機関に取り付けることにより、気流Fによって効率的に放電を引き伸ばしやすくなる。つまり、一対の最短放電形成部位21のうちのいずれかにおいて放電S1が開始されたとき、絶縁碍子3の表面とこれに沿った放電S1との並び方向が、気流Fの方向に略直交する状態となる。その結果、気流Fが効率的に放電を引き伸ばし、絶縁碍子3から放電を引き離しやすくなる。
【0028】
また、接地電極2は、部分的に先端部を先端側へ突出させた接地突出部22を有し、接地突出部22に最短放電形成部位21が設けられている。これにより、上記線分Hの長さL1が小さくなる部位を、最短放電形成部位21として容易に形成することができる。
【0029】
以上のごとく、本例によれば、安定した着火性を確保することができる内燃機関用の点火プラグを提供することができる。
【0030】
(実施例2)
本例は、
図7に示すごとく、接地突出部22の形状を変更した点火プラグ1の例である。
本例の点火プラグ1においては、接地突出部22の対向内面221を、曲面状に形成してなる。すなわち、プラグ先端側から見たとき、対向内面221は、中心電極4側に凸の状態で略円弧状に湾曲している。
そして、曲面状の対向内面211のうち、最も絶縁碍子3の外周面に近い位置における先端部に、最短放電形成部位21が形成される。
【0031】
その他は、実施例1と同様である。なお、本例又は本例に関する図面において用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
【0032】
本例の場合には、対向内面221を、中心電極4及び絶縁碍子3に向かって凸の曲面状に形成したことで、最短放電形成部位21を所定の位置に形成しやすい。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0033】
(
参考例1)
本例は、
図8、
図9に示すごとく、ピン状の接地突出部220を設けた点火プラグ1の例である。
すなわち、本例の点火プラグ1は、接地電極2の本体部20の先端に、ピン状の接地突出部220を固定してなる。接地突出部220は、接地電極2の本体部20から先端側へ向かって突出するように取り付けられている。そして、接地突出部220の先端が最短放電形成部位21となる。
【0034】
接地電極2の本体部20の先端部は、接地突出部220を除いて、プラグ周方向の全周にわたって、プラグ軸方向の同じ位置に形成されている。そして、上述のように、接地電極2の本体部20の先端部に接地突出部220を設けることにより、L2の長さを小さくしている。これにより、L1+L2が最短となるような接地電極2の表面上の起点となる最短放電形成部位21が、接地突出部220の先端に形成されることとなる。
【0035】
その他は、実施例1と同様である。なお、本例又は本例に関する図面において用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
【0036】
この場合には、接地電極2を容易に製造することができると共に、最短放電形成部位21を容易に形成することができる。すなわち、接地電極2の本体部20の形状を特に複雑な形状とする必要がない。そして、本体部20とは別部材であるピン状の金属部材を本体部20の先端に取り付けることにより、これを接地突出部220とし、その先端を最短放電形成部位21とすることができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0037】
(
実施例3)
本例は、
図10、
図11に示すごとく、一対の最短放電形成部位21のプラグ周方向における間隔を、π[rad]未満とした点火プラグ1の例である。
実施例1の点火プラグ1においては、一対の最短放電形成部位21のプラグ周方向における間隔が、π[rad]であり、一対の最短放電形成部位21は、中心電極4を挟んで対称となる位置に形成されている(
図4)。これに対し、本例の点火プラグ1においては、一対の最短放電形成部位21が、プラグ中心を挟んで対称となる位置にはない。そして、一対の最短放電形成部位21の間のプラグ周方向における間隔(角度θ)が、π[rad]以下となっている。また、角度θは、π/2[rad]以上である。
【0038】
一対の最短放電形成部位21の間のプラグ周方向における間隔を、π/2[rad]≦θ<π[rad]となる状態の一例として、本例においては、一対の接地突出部22の対向内面221同士を、互いに斜めに対向させている。平面上の一対の対向内面221を、互いの法線同士のなす角度が、上記角度θとなる。
【0039】
そして、一対の対向内面221は、プラグ先端側から見たとき、一端側から他端側へ向かって徐々に間隔が狭くなるように形成されている。
なお、プラグ先端側から見たとき、一対の対向内面221の法線に対して同等の角度となる方向から、気流が流れるように、点火プラグ1を内燃機関に設置することで、効果的に放電の引き伸ばし効果を得ることができる。
【0040】
その他は、実施例1と同様である。なお、本例又は本例に関する図面において用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
【0041】
本例の場合には、実施例1に比べると、放電の引き伸ばし効果が小さくなりやすいが、上記角度θがπ/2[rad]以上を確保していることにより、後述する実験例に示すように、充分な放電引き伸ばし効果を得ることができ、着火性を確保することができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0042】
(実験例)
本例は、一対の最短放電形成部位21を形成するにあたり、両者間のプラグ周方向における間隔、すなわち上記角度θをどの程度とすべきかを検証した例である。
実験に当たっては、
図12、
図13に示すごとく、最短放電形成部位21を有しない点火プラグ9を用いた。すなわち、点火プラグ9は、筒状の接地電極2と、接地電極2の内側に保持されると共に、接地電極2の先端よりも先端側へ突出した筒状の絶縁碍子3と、絶縁碍子3の内側に保持されると共に、絶縁碍子3の先端よりも先端側へ突出した中心電極4とを備えている。
【0043】
そして、実施例1の点火プラグ1とは異なり、上記点火プラグ9は、プラグ周方向の全周にわたって、接地電極2の先端部の位置が変わらない形状となっている。すなわち、プラグ周方向の全周にわたって、L1及びL2が一定となっている。そして、具体的寸法としては、中心電極4の直径が1.6mm、絶縁碍子3の直径が4.75mm、L1=0.25mm、L2=3.0mmである。
【0044】
かかる点火プラグ9を試験用の圧力容器に設置して、所定条件の下、放電を生じさせるとともに、放電を観察した。
すなわち、圧力容器に、点火プラグ9を取り付け、圧力容器内に高圧空気を導入すると共に一定の向きに流動させた。高圧空気の圧力は0.6MPaとし、流速は30m/sとした。この状態で、点火プラグ9に高周波電圧を印加して放電を生じさせた。印加した電圧の周波数は、820kHz、印加電圧は30kVpp、一回の放電期間は0.8msとした。
【0045】
上記の条件の下、放電を繰り返し生じさせ、その放電の伸びる様子を、高速度カメラにて撮影して観察した。観察の結果、放電開始位置は、プラグ周方向における任意の位置において、ランダムであった。これは、上述した考察どおりである。
そして、放電開始位置と放電の伸びとの関係を調べると、
図14のグラフに示す結果が得られた。ここで、放電開始位置は、接地電極2における放電の起点位置Pである。そして、プラグ先端側から見たとき、プラグ中心から起点位置Pに向かうベクトルの向きと、気流Fのベクトルと逆向きのベクトルの向き(
図15、
図16における左方)とのなす角度を、放電開始位置αとした。つまり、
図15に示す放電開始位置αはπ/2[rad]であり、
図16に示す放電開始位置αは0[rad]である。
また、プラグ中心から最も遠くまで延びた瞬間の放電S2のプラグ径方向の端部までの距離を、放電S2の伸びMとした。なお、
図15、
図16において、符号S1が放電開始直後の放電を示し、符号S2が気流Fによって引き伸ばされた状態の放電を示す。
【0046】
図14に示すごとく、放電開始位置αがπ/2[rad]付近において、最も放電の伸びMが大きくなり、放電開始位置αが0[rad]のとき、及びπのとき、放電の伸びMが極めて小さくなった。また、放電開始位置αが3π/4[rad]付近においても、ある程度大きな放電の伸びは観測された。なお、放電開始位置αがπ/4[rad]付近においての観測データは得られなかったが、対称性から、この位置においても、α=3π/4[rad]付近と同等の放電の伸びが得られると考えられる。
【0047】
この結果から、一対の最短放電形成部位21を形成するにあたり、両者間のプラグ周方向における間隔、すなわち上記角度θ(
図11参照)をπ[rad]とすることが好ましいが、θをπ/2[rad]以上とすることにより、充分な放電の伸びを実現することができることが分かる。
つまり、角度θをπとすることにより、一対の最短放電形成部位21の並び方向が気流の方向に対して直交するように点火プラグ1を配置すれば、いずれの最短放電形成部位21において放電が開始されても、放電が効果的に引き伸ばされることとなる。
また、角度θをπ/2[rad]以上としておけば、放電と気流との位置関係、すなわち、上記放電開始位置αをπ/4[rad]≦α≦3π/4[rad]となるように点火プラグ1を設置することが可能となる。これにより、いずれの最短放電形成部位21において放電が開始されても、放電が充分に引き伸ばされることとなる。
【0048】
(
実施例4)
本例は、
図17、
図18に示すごとく、中心電極4に、中心電極4からプラグ径方向外側へ延びる延長電極41を接続してある例である。
延長電極41は、最短放電形成部位21に向かって延びている。
【0049】
延長電極41は、絶縁碍子3の先端面に沿って配置された板状の部材からなり、中心電極4の外周面の全周に接触している。
図18に示すごとく、プラグ軸方向から見たとき、延長電極41は、長方形状を有し、その長手方向が、一対の最短放電形成部位21の並び方向となるように配されている。
【0050】
図17に示すごとく、延長電極41は、プラグ径方向における外側端部から絶縁碍子3の先端よりも基端側へ屈曲した基端側屈曲部411を有する。基端側屈曲部411は、絶縁碍子3の先端面から外周面に向かって絶縁碍子3の表面に沿うように湾曲している。そして、基端側屈曲部411と絶縁碍子3の外周面との間には隙間が形成されている。
【0051】
基端側屈曲部411の基端と絶縁碍子3の先端との間のプラグ軸方向の距離をL3とし、基端側屈曲部411の基端と絶縁碍子3の外周面との間のプラグ径方向の距離をL4としたとき、L4<L3である。
その他は、実施例1と同様である。なお、本例又は本例に関する図面において用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
【0052】
本例の場合には、最短放電形成部位21を、より確実に放電開始位置としやすくすることができる。つまり、最短放電形成部位21と延長電極41との間において、絶縁碍子3の表面に沿った放電の沿面距離を短くすることができる。その結果、最短放電形成部位21を起点とした放電をより容易に生じさせることができる。
【0053】
また、延長電極41は、基端側屈曲部411を有するため、放電開始時における絶縁碍子3の表面に沿った放電経路を、プラグ軸方向に平行な方向に、一直線状とすることができる。その結果、気流によって放電が一様に伸ばされやすくなり、切れにくくなる。また、基端側屈曲部411が絶縁碍子3の先端よりも基端側に配されているため、最短放電形成部位21と延長電極41との間の沿面距離をより短くすることができる。その結果、放電開始位置を一層確実に、最短放電形成部位21とすることができる。
【0054】
また、L4<L3を満たすため、最短放電形成部位21から延長電極41への放電経路に、より効果的に放電を誘導することができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0055】
(
参考例2)
本例は、
図19に示すごとく、接地電極2にピン状の内向突出部222を設けた点火プラグ1の例である。
すなわち、接地電極2の本体部20は、先端側へ突出した先端突出部22を有する。
先端突出部22の対向内面221から、プラグ径方向の内側に向かって、内向突出部222が設けてある。すなわち、内向突出部222は、絶縁碍子3の外周面に向かって突出している。そして、内向突出部222の内側端縁が、L1+L2が最短となるような接地電極2の表面上の起点となる最短放電形成部位21である。
【0056】
先端突出部22の対向内面221は、実施例1の点火プラグ1における対向内面221(
図3参照)よりも、絶縁碍子3の外周面から遠い位置に形成されている。また、先端突出部222は、接地電極2の本体部20とは別部材の柱状部材を、本体部20に穿設した孔に打ち込むことによって固定することができる。
その他は、実施例1と同様である。なお、本例又は本例に関する図面において用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
【0057】
本例の場合にも、効果的に、最短放電形成部位21において、放電が開始されやすくなり、着火性を向上させることができる。その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0058】
(
実施例5)
本例は、
図20に示すごとく、接地電極2の先端突出部22に段差部223を設けた点火プラグ1の例である。
段差部223は、先端突出部22における外周部の一部を内周部よりも先端側へ突出させてなる。段差部223の内側端縁は、絶縁碍子3の外周面から遠い位置に配されている。また、段差部223には、内側から切り込まれた溝部224が、プラグ軸方向に直交する方向に沿って形成されている。
【0059】
本例において、接地電極2の表面上の任意の起点として、段差部223の内側端縁を選んだとき、L1+L2は、最小とならない。つまり、段差部223の内側端縁は最短放電形成部位21ではない。そして、先端突出部22の対向内面221の一部が、実施例1と同様に、L1+L2が最短となるような接地電極2の表面上の起点となる最短放電形成部位21である。
【0060】
その他は、実施例1と同様の構成及び作用効果を有する。なお、本例又は本例に関する図面において用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
【0061】
(
実施例6)
本例は、
図21に示すごとく、先端突出部22の先端面225が湾曲している点火プラグ1の例である。
先端突出部22の先端面225は、凹状の曲面となっている。そして、先端突出部22の先端面225の外周端縁226が、内周端縁227よりも先端側に位置している。ただし、本例において、接地電極2の表面上の任意の起点として、外周端縁226を選んだとき、L1+L2は、最小とならない。つまり、外周端縁226は最短放電形成部位21ではない。そして、内周端縁227の一部が、L1+L2が最短となるような接地電極2の表面上の起点となる最短放電形成部位21である。
【0062】
その他は、実施例1と同様の構成及び作用効果を有する。なお、本例又は本例に関する図面において用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
【0063】
(
実施例7)
本例は、
図22に示すごとく、先端突出部22の先端面225が、プラグ中心軸に近づくほど先端側へ向かうように傾斜したテーパ面となっている、点火プラグ1の例である。
本例の点火プラグ1においても、実施例1と同様に、先端突出部22の内周端縁が、最短放電形成部位21となる。
その他は、実施例1と同様である。なお、本例又は本例に関する図面において用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
【0064】
本例の場合には、最短放電形成部位21を、周囲の部位よりもL1+L2が短くなるようにしやすい。つまり、所定の部位に、最短放電形成部位21を一層容易に形成することができる。
また、最短放電形成部位21が鋭角状の角部に形成されることとなるため、電界集中が生じやすく、一層放電が生じやすくなる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0065】
(
実施例8)
本例は、
図23に示すごとく、
実施例4の変形例であり、延長電極41の形状を変更した例である。
すなわち、
実施例4の点火プラグ1(
図17参照)においては、基端側屈曲部411は、絶縁碍子3の先端面から外周面に向かって絶縁碍子3の表面に沿うように湾曲しているが、本例の点火プラグ1においては、
図23に示すごとく、基端側屈曲部411が、延長電極41の外周側端部から略直角に基端側へ屈曲している。
【0066】
また、基端側屈曲部411の基端面412は、プラグ中心軸に近づくほど基端側へ向かうように傾斜したテーパ面となっている。これにより、基端側屈曲部411における基端面412の内周側端縁が、鋭角状の角部となっている。
その他は、
実施例4と同様である。なお、本例又は本例に関する図面において用いた符号のうち、
実施例4において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、
実施例4と同様の構成要素等を表す。
【0067】
本例の場合には、基端側屈曲部411における基端面412の内周側端縁が鋭角状の角部に形成されることとなるため、最短放電形成部位21と、これに対向する基端面412の内周側端縁との間で、放電をより安定して生じさせやすくなる。
その他、
実施例4と同様の作用効果を有する。