特許第6426013号(P6426013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6426013電力監視方法、コンピュータプログラム及び電力監視装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6426013
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】電力監視方法、コンピュータプログラム及び電力監視装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/14 20060101AFI20181112BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20181112BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20181112BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20181112BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20181112BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20181112BHJP
【FI】
   H02J3/14 130
   H02J13/00 301K
   H02J13/00 301A
   H02J3/00 130
   H02J3/38 120
   H04Q9/00 311J
   H04Q9/00 301D
   G06Q50/06
【請求項の数】13
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2015-10818(P2015-10818)
(22)【出願日】2015年1月23日
(65)【公開番号】特開2015-159714(P2015-159714A)
(43)【公開日】2015年9月3日
【審査請求日】2017年8月7日
(31)【優先権主張番号】特願2014-11561(P2014-11561)
(32)【優先日】2014年1月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100118049
【弁理士】
【氏名又は名称】西谷 浩治
(72)【発明者】
【氏名】小塚 雅之
(72)【発明者】
【氏名】大森 基司
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 宜子
【審査官】 松尾 俊介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−259186(JP,A)
【文献】 特開2012−178915(JP,A)
【文献】 特開2010−148185(JP,A)
【文献】 特開2005−332165(JP,A)
【文献】 特開2012−090431(JP,A)
【文献】 特開2007−028036(JP,A)
【文献】 特開2012−231555(JP,A)
【文献】 特開2007−185007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00−3/50
G06Q 50/06
H02J 13/00
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設置された電気機器の電力需要を監視する電力監視システムにおける電力監視方法であって、
予約対象となる1以上の前記電気機器を予約運転させるための運転時間帯が規定された予約情報の入力を受け付ける予約受付ステップと、
前記建物で使用可能な単位時間毎の予測電力量である使用可能電力量を算出する電力量予測ステップと、
予約運転の対象となる各電気機器の消費電力量が予め登録された消費電力量情報と、前記予約情報とを用いて前記建物における単位時間毎の消費電力量の推定量である消費電力推定量を算出する消費電力推定ステップと、
前記消費電力推定量が前記使用可能電力量以下となる予約内容変更案を生成する変更案生成ステップと、
前記予約内容変更案を端末装置に提示する変更案提示ステップとを備え、
予約運転の対象となる電気機器は、予約内容が変更される際の優先度が予め規定されており、
前記予約内容変更案の生成は、前記使用可能電力量を超える超過単位時間を特定し、
前記超過単位時間において、前記優先度が特定の優先度である電気機器の消費電力量の総和である第1総和を前記消費電力量情報を用いて算出し、前記消費電力推定量から前記使用可能電力量を減じた抑制電力量を前記第1総和が超えるか否か判定を行い、前記判定の結果に応じて前記特定の優先度である電気機器から予約内容の変更対象の電気機器を抽出する抽出処理を実行する
電力監視方法。
【請求項2】
前記予約内容変更案の提示では、前記予約内容変更案に対して同意するか否かを示す回答の入力を受け付け、
前記予約内容変更案に対して同意する旨の回答が受け付けられた場合、前記予約内容変更案にしたがって前記予約情報を変更する予約変更ステップを更に備える請求項1記載の電力監視方法。
【請求項3】
前記建物には自家発電装置が設けられ、
前記使用可能電力量の算出では、前記自家発電装置の発電状態を示す状態情報を用いて前記自家発電装置の単位時間毎の予測発電量を示す自家予測発電量を算出すると共に、電力会社が提供する電力供給情報を用いて前記電力会社から供給される単位時間毎の予測電力量である外部予測電力量とを算出し、前記自家予測発電量に前記外部予測電力量を加えることで前記使用可能電力量を算出する請求項1又は2記載の電力監視方法。
【請求項4】
前記自家発電装置は、太陽電池を含み、
前記使用可能電力量の算出では、前記太陽電池の現在の発電量を示す状態情報を取得すると共に天気情報を取得し、前記状態情報及び前記天気情報を用いて前記自家予測発電量を算出する請求項3記載の電力監視方法。
【請求項5】
前記自家発電装置は、燃料電池を含み、
前記使用可能電力量の算出では、前記燃料電池の現在の発電量を示す状態情報を用いて前記自家予測発電量を算出する請求項3又は4記載の電力監視方法。
【請求項6】
前記消費電力推定量の算出では、予約運転される電気機器の消費電力量の単位時間毎の総和である予約運転電力量を前記予約情報及び消費電力情報を用いて算出し、算出した予約運転電力量に、前記建物において留守時及び深夜時間帯に消費される電力量から算出される単位時間毎のベース電力量を加えることで前記消費電力推定量を算出する請求項1〜5のいずれか1項に記載の電力監視方法。
【請求項7】
前記予約内容変更案の生成は、前記超過単位時間において、予約内容の変更対象となる電気機器を、前記消費電力推定量が前記使用可能電力量以下になるまで前記優先度の高い順に抽出していくことで、前記予約内容変更案を生成する請求項1〜6のいずれか1項に記載の電力監視方法。
【請求項8】
前記予約内容変更案の生成では、前記抽出した電気機器について、予約運転を中止する第1予約内容変更案と、予約運転の時間帯を前記超過単位時間以外の時間帯に変更する第2予約内容変更案とを生成する請求項7記載の電力監視方法。
【請求項9】
前記予約内容変更案の生成では、前記抽出した電気機器について、予約運転の時間帯の変更を許可することが予め規定されている電気機器については、前記予約運転の時間帯を変更し、前記変更が許可されていない電気機器については予約運転を中止する案を前記第2予約内容変更案として生成する請求項8記載の電力監視方法。
【請求項10】
前記予約内容変更案の生成では、前記超過単位時間において、前記優先度が最大である第1優先度を持つ第1電気機器の消費電力量の総和である第1総和を前記消費電力量情報を用いて算出し、前記消費電力推定量から前記使用可能電力量を減じた抑制電力量を前記第1総和が超える場合、前記第1総和から前記抑制電力量を減じた余地量を算出し、前記消費電力量の総和が前記余地量以下の1以上の前記第1電気機器を前記消費電力量情報を用いて抽出し、前記抽出した第1電気機器以外の第1電気機器を予約内容の変更対象の電気機器として抽出する抽出処理を実行する請求項7〜9のいずれか1項に記載の電力監視方法。
【請求項11】
前記予約内容変更案の生成では、前記第1総和が前記抑制電力量以下の場合、全ての前記第1電気機器を予約内容の変更対象の電気機器として抽出し、前記抑制電力量から前記第1総和を減じて前記抑制電力量を更新した後、前記第1優先度の次に前記優先度が低い第2優先度の電気機器に対して前記抽出処理を適用する請求項10記載の電力監視方法。
【請求項12】
建物に設置された電気機器の電力需要を監視するコンピュータ読み取り可能なコンピュータプログラムであって、
コンピュータに対し、
予約対象となる1以上の前記電気機器を予約運転させるための運転時間帯が規定された予約情報の入力を受け付ける処理と、
前記建物で使用可能な単位時間毎の予測電力量である使用可能電力量を算出する処理と、
予約運転の対象となる各電気機器の消費電力量が予め登録された消費電力量情報と、前記予約情報とを用いて前記建物における単位時間毎の消費電力量の推定量である消費電力推定量を算出する処理と、
前記消費電力推定量が前記使用可能電力量以下となる予約内容変更案を生成する処理と、
前記予約内容変更案を端末装置に提示させる処理を、実行させ、
予約運転の対象となる電気機器は、予約内容が変更される際の優先度が予め規定されており、
前記予約内容変更案の生成は、前記使用可能電力量を超える超過単位時間を特定し、
前記超過単位時間において、前記優先度が特定の優先度である電気機器の消費電力量の総和である第1総和を前記消費電力量情報を用いて算出し、前記消費電力推定量から前記使用可能電力量を減じた抑制電力量を前記第1総和が超えるか否か判定を行い、前記判定の結果に応じて前記特定の優先度である電気機器から予約内容の変更対象の電気機器を抽出する抽出処理を実行する
コンピュータプログラム。
【請求項13】
建物に設置された電気機器の電力需要を監視する電力監視システムに用いる電力監視装置であって、
前記電気機器を予約運転させるための運転時間帯が規定された予約情報の入力を受け付ける予約受付部と、
前記建物で使用可能な単位時間毎の予測電力量である使用可能電力量を算出する電力量予測部と、
予約運転の対象となる各電気機器の消費電力量が予め登録された消費電力量情報と、前記予約情報とを用いて前記建物における単位時間毎の消費電力量の推定量である消費電力推定量を算出する消費電力推定部と、
前記消費電力推定量が前記使用可能電力量以下となる予約内容変更案を生成する変更案生成部と、
前記予約内容変更案を端末装置に提示する変更案提示部とを備え、
予約運転の対象となる電気機器は、予約内容が変更される際の優先度が予め規定されており、
前記予約内容変更案の生成は、前記使用可能電力量を超える超過単位時間を特定し、
前記超過単位時間において、前記優先度が特定の優先度である電気機器の消費電力量の総和である第1総和を前記消費電力量情報を用いて算出し、前記消費電力推定量から前記使用可能電力量を減じた抑制電力量を前記第1総和が超えるか否か判定を行い、前記判定の結果に応じて前記特定の優先度である電気機器から予約内容の変更対象の電気機器を抽出する抽出処理を実行する
電力監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建物に設置された電気機器の電力需要を監視する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザの家屋に設置された電気機器の電力需要を監視し、節電必要の有無を判断する技術が知られている。例えば、特許文献1は、自家発電量が買電量より小さくなると、節電必要と判断し、節電に関するアドバイスを生成してユーザに提供し、ユーザからアドバイスに従う旨の入力を受け付けた場合、アドバイスに則して機器を動作させる技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−159051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、現時点での節電有無が判断対象とされており、未来における節電の有無は判断対象とされていないため、この点改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による電力監視方法は、建物に設置された電気機器の電力需要を監視する電力監視システムにおける電力監視方法であって、
予約対象となる1以上の前記電気機器を予約運転させるための運転時間帯が規定された予約情報の入力を受け付ける予約受付ステップと、
前記建物で使用可能な単位時間毎の予測電力量である使用可能電力量を算出する電力量予測ステップと、
予約運転の対象となる各電気機器の消費電力量が予め登録された消費電力量情報と、前記予約情報とを用いて前記建物における単位時間毎の消費電力量の推定量である消費電力推定量を算出する消費電力推定ステップと、
前記消費電力推定量が前記使用可能電力量以下となる予約内容変更案を生成する変更案生成ステップと、
前記予約内容変更案を端末装置に提示する変更案提示ステップとを備える。
【0006】
なお、これらの包括的または具体的な側面は、システム、方法、および、コンピュータプログラムで実現されてもよく、システム、装置、方法、およびコンピュータプログラムの任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電気機器の運転が予約された時間帯において節電が必要か否かを事前に判断し、節電が必要な場合、そのことを端末装置に事前に提示することができる。その結果、端末装置に提示された情報を見たユーザは事前に予約内容を変更することで、予約はしたものの実際に運転が開始されると電力不足により、予約した電気機器が運転されなくなる事態を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施の形態に係る電力監視システムの全体構成の一例を示す図である。
図2図2は、本実施の形態に係る電力監視装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、ユーザが電気機器を予約する際の電力監視装置及び携帯端末間の処理の一例を示すシーケンス図である。
図4図4は、予約内容変更案を生成する際の電力監視装置及び携帯端末間の処理の一例を示すシーケンス図である。
図5図5は、図4に示す使用可能電力量の算出処理の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、図4に示す消費電力推定量の算出処理の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、図4に示す予約内容の変更の有無の判定処理の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、予約内容変更案の生成処理の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、予約情報のデータ構成の一例を示す図である。
図10図10は、消費電力量情報のデータ構成の一例を示す図である。
図11図11は、優先度情報のデータ構成の一例を示す図である。
図12図12は、予約情報の一例と、優先度情報の一例とを纏めた図である。
図13図13は、超過単位時間と各超過単位時間における抑制電力量とを纏めた図である。
図14図14は、15:00〜15:30の単位時間における予約内容変更案の生成処理の一例を示した図である。
図15図15は、15:30〜16:00の単位時間における予約内容変更案の生成処理の一例を示した図である。
図16図16は、16:00〜16:30の単位時間における予約内容変更案の生成処理の一例を示した図である。
図17図17は、回答画面の一例を示す図である。
図18図18は、ある超過単位時間において、優先度Aの電気機器の消費電力量の総和が、抑制電力量より大きい場合の、総和と抑制電力量との関係の一例を示した模式図である。
図19図19は、超過単位時間において、優先度Aの電気機器の消費電力量の総和が抑制電力量以下の場合の、総和と抑制電力量との関係を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示に係る一態様を実現するに至った経緯)
近年、携帯端末からユーザが所有する電気機器への予約を受け付けて、受け付けた予約にしたがってユーザが所有する電気機器を稼働させるクラウドサービスが提案されている。
【0010】
また、電力会社から供給される商用電力にも一定の限界があるため、予約にしたがって電気機器を動作させると、電気機器の消費電力量がユーザの家屋で使用できる使用可能電力量を超える事態が発生する。この場合、予約された全ての電気機器を動作させることができないという問題が発生する。
【0011】
この問題を回避するためにクラウド側で全ての電気機器が稼働できるように予約を変更することも考えられる。
【0012】
しかしながら、これを実現するためには、季節や時間帯に応じて変動する商用電力を考慮に入れて、使用可能電力量の時間的推移を予測する必要があるが、従来のクラウドサービスでは、このようなことは行われていない。
【0013】
また、クラウドサービス側で一方的に予約を変更してしまうと、ユーザが予約した時間帯とは異なる時間帯に電気機器が稼働するといった問題が発生してしまう。そのため、予約を変更する場合、その事実をユーザに報知する手段を設ける必要がある。
【0014】
また、近年、スマートハウスの出現により、太陽電池や燃料電池等の自家発電装置を家屋に設置するユーザも多く存在するため、使用可能電力量を予測する際、自家発電装置による発電量の時間的推移も考慮する必要がある。すなわち、自家発電量を考慮することなく商用電力のみを考慮して予約を変更すると、自家発電量を考慮すれば予約通りに全ての電気機器を運転できたにも拘わらず、電力不足が発生すると判断されて予約が変更されるといった事態も発生しうる。この場合、ユーザの要望に沿うことができなくなる。
【0015】
ところで、スマートハウスでは、太陽電池や燃料電池等の設備機器はスマート分電盤を中心とする設備系ネットワークに接続されており、テレビ等のAV(Audio Visual)機器および冷蔵庫等の生活家電機器はホームゲートウェイを中心とする家電系ネットワークに接続されている。そして、近年、スマート分電盤とホームゲートウェイとを通信可能に接続し、設備機器をインターネットに接続させる通信プロトコルが開発されている。この技術を利用すれば、太陽電池および燃料電池をスマート分電盤及びホームゲートウェイを介してクラウドサーバに接続させ、クラウドサーバに太陽電池および燃料電池の発電量を認識させることができる。
【0016】
一方、上述した特許文献1に開示する技術では、節電必要時に、節電に関するアドバイスをユーザに提示し、そのアドバイスにユーザが同意する場合、アドバイスに則した電気機器の制御が実行されている。例えば、エアコンが暖房運転している際に、発電量が買電量より小さくなった場合、エアコンの現在の設定温度が規定値(18度)より高ければ、「エアコンの設定温度が高いようです。設定温度を18度にしませんか?カーテンを閉めるとお部屋の温度が逃げませんよ。」といったアドバイスがユーザに提示される。そして、ユーザがそのアドバイスに同意すると、特許文献1では、エアコンの設定温度を18度にする制御コマンドがエアコンに送信され、カーテンを閉じる制御コマンドがカーテンに送信されている。
【0017】
しかしながら、特許文献1では、現時点での節電必要の有無が判断されており、未来における節電必要の有無は判断されていない。よって、予約された電気機器を稼働させる際に、電力不足が発生するか否かの判断を行うことはできない。
【0018】
また、特許文献1では、現時点での節電に関するアドバイスがユーザに提示されており、予約の変更に関するアドバイスはユーザに提示されていない。
【0019】
本開示では、建物における使用可能電力量の時間的推移を予測し、電気機器の運転が予約された時間帯において節電が必要か否かを事前に判断し、節電が必要である場合、その事実を端末装置に提示する電力監視方法、電力監視装置を提供する。
【0020】
本開示の一態様における電力監視方法は、建物に設置された電気機器の電力需要を監視する電力監視システムにおける電力監視方法であって、
予約対象となる1以上の前記電気機器を予約運転させるための運転時間帯が規定された予約情報の入力を受け付ける予約受付ステップと、
前記建物で使用可能な単位時間毎の予測電力量である使用可能電力量を算出する電力量予測ステップと、
予約運転の対象となる各電気機器の消費電力量が予め登録された消費電力量情報と、前記予約情報とを用いて前記建物における単位時間毎の消費電力量の推定量である消費電力推定量を算出する消費電力推定ステップと、
前記消費電力推定量が前記使用可能電力量以下となる予約内容変更案を生成する変更案生成ステップと、
前記予約内容変更案を端末装置に提示する変更案提示ステップとを備える。
【0021】
この場合、建物に設置された電気機器を予約運転するための予約情報がユーザにより入力される。そして、電力供給情報を用いて建物で使用可能な単位時間毎の予測電力量である使用可能電力量が算出される。例えば、単位時間が30分であると、現時点から所定時間先までの予測可能電力量が30分毎に算出される。
【0022】
そして、予約された電気機器の単位時間毎の消費電力の推定量である消費電力推定量が消費電力情報と予約情報とを用いて算出される。
【0023】
そして、消費電力推定量が使用可能電力以下となる予約内容変更案が生成され、生成された予約内容変更案が端末装置に提示される。
【0024】
よって、電気機器の運転が予約された時間帯において節電が必要か否かを事前に判断し、節電が必要な場合、そのことを端末装置に事前に提示することができる。その結果、端末装置に提示された情報を見たユーザは事前に予約内容を変更することで、予約はしたものの実際に運転が開始されると、電力不足により予約した電気機器が運転されなくなる事態を回避できる。
【0025】
また、本開示の電力監視方法は、上記態様において、前記予約内容変更案の提示では、前記予約内容変更案に対して同意するか否かを示す回答の入力を受け付け、
前記予約内容変更案に対して同意する旨の回答が受け付けられた場合、前記予約内容変更案にしたがって前記予約情報を変更する予約変更ステップを更に備えてもよい。
【0026】
この場合、予約内容変更案に対して同意する旨のユーザからの回答が得られた場合に予約内容変更案で予約情報が変更されるため、ユーザの同意を得た上で、予約情報が示す予約内容を変更できる。そのため、ユーザが知らない間に電力監視システム側で勝手に予約内容が変更されることを防止できる。
【0027】
また、本開示の電力監視方法は、上記態様において、前記建物には自家発電装置が設けられ、
前記使用可能電力量の算出では、前記自家発電装置の発電状態を示す状態情報を用いて前記自家発電装置の単位時間毎の予測発電量を示す自家予測発電量を算出すると共に、電力会社が提供する電力供給情報を用いて前記電力会社から供給される単位時間毎の予測電力量である外部予測電力量とを算出し、前記自家予測発電量に前記外部予測電力量を加えることで前記使用可能電力量の算出をしてもよい。
【0028】
この場合、建物に自家発電装置があれば、その自家発電装置の発電量も考慮して使用可能電力量が算出されるため、自家発電予測量を考慮すれば電力不足にならなかったにも拘わらず、電力会社から供給される電力のみ考慮したために電力不足が発生すると判断される事態を回避できる。その結果、可能なかぎりユーザの予約した電気機器を稼働させることができる。
【0029】
また、本開示の電力監視方法は、上記態様において、前記自家発電装置は、太陽電池を含み、
前記使用可能電力量の算出では、前記太陽電池の現在の発電量を示す状態情報を取得すると共に天気情報を取得し、前記状態情報及び前記天気情報を用いて前記自家予測発電量を算出してもよい。
【0030】
この場合、太陽電池の現在の発電量を示す状態情報と天気情報とを用いて太陽電池の自家予測発電量が算出されているため、自家予測発電量を正確に算出できる。
【0031】
また、本開示の電力監視方法は、上記態様において、前記自家発電装置は、燃料電池を含み、
前記使用可能電力量の算出では、前記燃料電池の現在の発電量を示す状態情報を用いて前記自家予測発電量を算出してもよい。
【0032】
この場合、燃料電池の現在の発電量を示す状態情報を用いて燃料電池の自家予測発電量が算出されているため、自家予測発電量を正確に算出できる。
【0033】
また、本開示の電力監視方法は、上記態様において、前記消費電力量の算出では、予約運転される電気機器の消費電力量の単位時間毎の総和である予約運転電力量を前記予約情報及び消費電力情報を用いて算出し、算出した予約運転電力量に、前記建物において留守時及び深夜時間帯に消費される電力量から算出される単位時間毎のベース電力量を加えることで前記消費電力推定量を算出してもよい。
【0034】
この場合、予約運転される電気機器の消費電力量のみならず、建物において常時消費される電力量を示すベース電力量も考慮して消費電力推定量が算出されているため、消費電力推定量を正確に算出できる。
【0035】
また、本開示の電力監視方法は、上記態様において、予約運転の対象となる電気機器は、前記予約内容が変更される際の優先度が予め規定されており、
前記予約内容変更案の生成では、前記使用可能電力量を超える超過単位時間を特定し、前記超過単位時間において、予約内容の変更対象となる電気機器を、前記消費電力推定量が前記使用可能電力量以下になるまで前記優先度の高い順に抽出していくことで、前記予約内容変更案を生成してもよい。
【0036】
この場合、優先度が高い電気機器から順番に予約内容の変更対象となる電気機器が抽出されるため、ユーザが真に運転されることを望む電気機器の予約が中止されることを防止できる。
【0037】
また、本開示の電力監視方法は、上記態様において、前記予約内容変更案の生成では、前記抽出した電気機器について、予約運転を中止する第1予約内容変更案と、予約運転の時間帯を前記超過単位時間以外の時間帯に変更する第2予約内容変更案とを生成してもよい。
【0038】
この場合、予約運転を中止する第1予約内容変更案と、予約運転の時間帯を変更する第2予約内容変更案とがユーザに提示されるため、ユーザに対してより多くの予約内容変更案を提示できる。その結果、ユーザは自身の要望により則した予約内容変更案を選択できる。
【0039】
また、本開示の電力監視方法は、上記態様において、前記予約内容変更案の生成では、前記抽出した電気機器について、予約運転の時間帯の変更を許可することが予め規定されている電気機器については、前記予約運転の時間帯を変更し、前記変更が許可されていない電気機器については予約運転を中止する案を前記第2予約内容変更案として生成してもよい。
【0040】
この場合、予約運転の時間帯が変更されるとユーザが困るような電気機器について、予約運転の時間帯が変更された第2予約内容変更案が生成されることが防止される。
【0041】
また、本開示の電力監視方法は、上記態様において、前記予約内容変更案の生成では、前記超過単位時間において、前記優先度が最大である第1優先度を持つ第1電気機器の消費電力量の総和である第1総和を前記消費電力量情報を用いて算出し、前記消費電力推定量から前記使用可能電力量を減じた抑制電力量を前記第1総和が超える場合、前記第1総和から前記抑制電力量を減じた余地量を算出し、前記消費電力量の総和が前記余地量以下の前記第1電気機器を前記消費電力量情報を用いて抽出し、前記抽出した第1電気機器以外の第1電気機器を予約内容の変更対象の電気機器として抽出する抽出処理を実行してもよい。
【0042】
この場合、超過単位時間において、最大の優先度である第1優先度を持つ第1電気機器の消費電力量の総和である第1総和が算出される。そして、超過単位時間において、消費電力推定量から使用可能電力量を減じて抑制電力量が算出され、第1総和が抑制電力量を超える場合、第1総和から抑制電力量が減じられて余地量が算出される。そして、超過単位時間において、消費電力量の総和が余地量以下の1以上の第1電気機器が抽出され、抽出された第1電気機器以外の第1電気機器が予約内容の変更対象の電気機器として抽出される。ここで、余地量は超過単位時間において消費可能な消費電力量を示す。そのため、消費電力量の総和が余地量以下となるように予約運転される第1電気機器を抽出し、抽出した第1電気機器以外の第1電気機器を予約運転の変更対象の電気機器として抽出することで、超過単位時間において抑制電力量を0にできる。
【0043】
また、本開示の電力監視方法は、上記態様において、前記予約内容変更案の生成では、前記第1総和が前記抑制電力量以下の場合、全ての前記第1電気機器を予約内容の変更対象の電気機器として抽出し、前記抑制電力量から前記第1総和を減じて前記抑制電力量を更新した後、前記第1優先度の次に前記優先度が低い第2優先度の電気機器に対して前記抽出処理を適用してもよい。
【0044】
この態様では、第1総和では抑制電力量を0にできない場合、抑制電力量から第1総和が減じられて抑制電力量が更新された後、第2優先度を持つ電気機器に対して抽出処理が適用されるため、超過単位時間における抑制電力量を0に近づけることができる。
【0045】
本開示の一態様におけるコンピュータプログラムは、建物に設置された電気機器の電力需要を監視するコンピュータ読み取り可能なコンピュータプログラムであって、
コンピュータに対し、
予約対象となる1以上の前記電気機器を予約運転させるための運転時間帯が規定された予約情報の入力を受け付ける処理と、
前記建物で使用可能な単位時間毎の予測電力量である使用可能電力量を算出する処理と、
予約運転の対象となる各電気機器の消費電力量が予め登録された消費電力量情報と、前記予約情報とを用いて前記建物における単位時間毎の消費電力量の推定量である消費電力推定量を算出する処理と、
前記消費電力推定量が前記使用可能電力量以下となる予約内容変更案を生成する処理と、
前記予約内容変更案を端末装置に提示させる処理を、実行させる。
【0046】
この場合、建物に設置された電気機器を予約運転するための予約情報がユーザにより入力される。そして、電力供給情報を用いて建物で使用可能な単位時間毎の予測電力量である使用可能電力量が算出される。例えば、単位時間が30分であると、現時点から所定時間先までの予測可能電力量が30分毎に算出される。
【0047】
そして、予約された電気機器の単位時間毎の消費電力の推定量である消費電力推定量が消費電力情報と予約情報とを用いて算出される。
【0048】
そして、消費電力推定量が使用可能電力以下となる予約内容変更案が生成され、生成された予約内容変更案が端末装置に提示される。
【0049】
よって、電気機器の運転が予約された時間帯において節電が必要か否かを事前に判断し、節電が必要な場合、そのことを端末装置に事前に提示することができる。その結果、端末装置に提示された情報を見たユーザは事前に予約内容を変更することで、予約はしたものの実際に運転が開始されると、電力不足により予約した電気機器が運転されなくなる事態を回避できる。
【0050】
本開示の一態様における電力監視装置は、建物に設置された電気機器の電力需要を監視する電力監視システムに用いる電力監視装置であって、
前記電気機器を予約運転させるための運転時間帯が規定された予約情報の入力を受け付ける予約受付部と、
前記建物で使用可能な単位時間毎の予測電力量である使用可能電力量を算出する電力量予測部と、
予約運転の対象となる各電気機器の消費電力量が予め登録された使用電力量情報と、前記予約情報とを用いて前記建物における単位時間毎の消費電力量の推定量である消費電力推定量を算出する消費電力推定部と、
前記消費電力推定量が前記使用可能電力量以下となる予約内容変更案を生成する変更案生成部と、
前記予約内容変更案を端末装置に提示する変更案提示部とを備える。
【0051】
この場合、建物に設置された電気機器を予約運転するための予約情報がユーザにより入力される。そして、電力供給情報を用いて建物で使用可能な単位時間毎の予測電力量である使用可能電力量が算出される。例えば、単位時間が30分であると、現時点から所定時間先までの予測可能電力量が30分毎に算出される。
【0052】
そして、予約された電気機器の単位時間毎の消費電力の推定量である消費電力推定量が消費電力情報と予約情報とを用いて算出される。
【0053】
そして、消費電力推定量が使用可能電力以下となる予約内容変更案が生成され、生成された予約内容変更案が端末装置に提示される。
【0054】
よって、電気機器の運転が予約された時間帯において節電が必要か否かを事前に判断し、節電が必要な場合、そのことを端末装置に事前に提示することができる。その結果、端末装置に提示された情報を見たユーザは事前に予約内容を変更することで、予約はしたものの実際に運転が開始されると、電力不足により予約した電気機器が運転されなくなる事態を回避できる。
【0055】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態に係る電力監視システムの全体構成の一例を示す図である。電力監視システムは、電力監視装置100、携帯端末400(端末装置の一例)、及び家屋500に設けられた家庭内ネットワークを備える。電力監視装置100は、ユーザの家屋500(建物の一例)に設置された電気機器504の電力需要を監視するクラウドサーバであり、1又は複数のコンピュータにより構成される。
【0056】
電力監視装置100には、ネットワークNT1を介して電力会社サーバ200、天気情報提供サーバ300、携帯端末400、及びホームゲートウェイ501が接続されている。ネットワークNT1としては、例えば、インターネット通信網及び携帯電話通信網等から構成される公衆通信網が採用される。そして、電力監視装置100、電力会社サーバ200、天気情報提供サーバ300、携帯端末400、及びホームゲートウェイ501は、TCP/IP等の通信プロトコルを用いて相互に通信する。
【0057】
電力会社サーバ200は、例えば、商用電力を供給する電力会社により管理されるWEBサーバであり、電力監視装置100に、電力会社が供給可能な電力量の時間的推移の予測を示す電力供給情報を提供する。
【0058】
天気情報提供サーバ300は、例えば、天気の時間的推移を予測した天気情報を提供する天気情報提供会社により管理されるWEBサーバであり、電力監視装置100に、天気情報を提供する。
【0059】
携帯端末400は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又はボタン式携帯電話等の携帯型の情報処理装置により構成され、家屋500に住むユーザにより携帯される。なお、端末装置としては、携帯端末400以外にも、例えば、据え置き型のパーソナルコンピュータが採用されてもよい。
【0060】
家屋500は、電力監視装置100からサービスが提供されるユーザの住居である。そして、家屋500には、ホームゲートウェイ501、太陽電池502、燃料電池503、及び電気機器504を含む家庭内ネットワークが構成されている。
【0061】
ホームゲートウェイ501は、家屋500に設置された太陽電池502、燃料電池503、及び電気機器504をネットワークNT1に接続させるための通信装置である。太陽電池502、燃料電池503、及び電気機器504は、ホームゲートウェイ501を介して、電力監視装置に種々の情報を送信できる。
【0062】
具体的には、ホームゲートウェイ501には、ネットワークNT2を介して太陽電池502及び燃料電池503が接続され、ネットワークNT3を介して電気機器504が接続されている。ネットワークNT2としては、例えば、スマート分電盤を中心とする設備系ネットワークが採用されており、例えば、エコーネット等の通信プロトコルを用いた通信が行われる。ネットワークNT3としては、ホームゲートウェイ501を中心とする無線LANや有線LAN等のネットワークが採用され、例えば、エコーネット、HDMI(登録商標)(High−Definition Multimedia Interface)、及びDLNA(Digital Living Network Alliance)等の通信プロトコルを用いた通信が行われる。また、ホームゲートウェイ501及びスマート分電盤は、両者を接続させるための非オープンな通信プロトコルに対応しており、この通信プロトコルを用いて相互に通信する。
【0063】
太陽電池502は、家屋500の例えば屋根等に設置されたソーラーパネルと、ソーラーパネルで発生した電力を蓄電する蓄電装置等により構成され、太陽光を受光して電力を生成する自家発電装置である。燃料電池503は、例えば、酸素と水素と用いて電力を発生する自家発電装置である。燃料電池503としては、例えば、固体高分子型燃料電池、リン酸型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池、又は固体酸化物形燃料電池等が採用される。
【0064】
太陽電池502及び燃料電池503は、スマート分電盤及びホームゲートウェイ501を介して後述する状態情報を電力監視装置100に送信する。
【0065】
電気機器504は、予約対象となる電気機器であり、例えば、携帯端末400を操作することでユーザにより入力される予約内容にしたがって運転の開始及び停止が可能であると共に、予約内容にしたがった制御内容(例えば、エアコンを暖房モードで設定温度を22度で運転させる)で動作することも可能である。
【0066】
電気機器504としては、例えば、エアコン、洗濯機、及び冷蔵庫等の生活家電、並びにテレビ及びレコーダ等のAV機器が採用される。図1の例では、電気機器504として、エアコン、洗濯機、インターネット対応テレビ、レコーダ、炊飯器、電気ポットが採用されている。但し、これらの電気機器は一例に過ぎず、例えば、食洗機や給湯器等の種々の電気機器が採用されてもよい。
【0067】
また、図1では建物の一例として家屋500を示したが、これに限定されず、ビルやビルの一室が建物の一例として採用されてもよい。また、家屋500としては、例えば、一戸建ての住戸が採用されてもよいし、集合住宅の一住戸が採用されてもよい。
【0068】
図2は、本実施の形態に係る電力監視装置100の構成の一例を示すブロック図である。電力監視装置100は、予約受付部201、電力量予測部202、消費電力推定部203、変更案生成部204、変更案提示部205、制御実行部206、予約情報保存部207、ベース電力量保存部208、消費電力量情報保存部209、優先度情報保存部210、及び通信部211を備える。
【0069】
予約受付部201は、電気機器504を予約運転させるための時間帯が規定された予約情報であってユーザにより入力された予約情報を受け付ける。具体的には、予約受付部201は、ユーザが携帯端末400に入力した電気機器504の予約内容を示す予約情報であって、通信部211を介して携帯端末400から送信された予約情報を取得する。そして、予約受付部201は取得した予約情報を予約情報保存部207に保存する。
【0070】
図9は、予約情報のデータ構成の一例を示す図である。予約情報は、対象機器ID、予約対象時間、及び予約内容の項目を備える。対象機器IDの項目には、ユーザにより予約された電気機器504を識別するための識別情報が登録されている。図9の例では、対象機器IDの項目には、電気機器の名称が採用されている。但し、これは一例にすぎず、電気機器504を識別できる情報であれば、どのような情報が採用されてもよく、例えば、電気機器504の製造番号が採用されてもよい。
【0071】
予約対象時間の項目には、予約された電気機器504の運転時間帯に関する情報が登録されている。ここで、運転時間帯としては、運転日時、運転開始時刻、及び運転完了時刻のうち少なくとも2以上が含まれていればよい。例えば、運転開始時刻のみの指定を許容する電気機器504であれば、予約対象時間の項目に運転日時及び運転開始時刻のみが登録される。また、運転完了時刻のみ指定を許容する電気機器504であれば、予約対象時間の項目に運転日時及び運転完了時刻のみが登録される。また、両時刻の指定を許容する電気機器504であれば、予約対象時間の項目に運転日時、運転開始時刻、及び運転完了時刻のいずれか一方が登録される。また、両時刻の指定を強制する電気機器504であれば、予約対象時間の項目に運転日時、運転開始時刻、及び運転完了時刻の全てが登録される。
【0072】
予約内容の項目には、予約運転される電気機器504の予約内容が登録されている。予約内容としては、予約運転される電気機器504の制御内容が含まれる。例えば、エアコンであれば、冷房又は暖房等の運転モード、設定温度、風量、及び風向等の制御内容が予約内容として採用される。
【0073】
なお、図9に示す予約情報は、電力監視装置100にユーザが複数登録されている場合、ユーザ毎に存在する。したがって、各予約情報には図略のユーザIDが対応付けられている。
【0074】
図2に戻り、電力量予測部202は、通信部211を介して電力会社サーバ200から電力会社が提供する電力供給情報を取得し、取得した電力供給情報を用いて電力会社から供給される単位時間毎の予測電力量である外部予測電力量を算出する。
【0075】
また、電力量予測部202は、太陽電池502の現時点での発電量を太陽電池502の状態情報として太陽電池502から取得すると共に、天気情報提供サーバ300から天気情報を取得し、取得した状態情報と天気情報とを用いて太陽電池502による単位時間毎の予測発電量を示す第1予測発電量を算出する。
【0076】
また、電力量予測部202は、燃料電池503の現時点での発電量を燃料電池503の状態情報として燃料電池503から取得し、取得した状態情報を用いて燃料電池503による単位時間毎の予測発電量を示す第2予測発電量を算出する。
【0077】
そして、電力量予測部202は、外部予測電力量と第1予測発電量と第2予測発電量とを単位時間毎に加算して、家屋500で使用可能な単位時間毎の予測電力量である使用可能電力量を算出する。
【0078】
ここで、単位時間としては、例えば、30分、1時間、2時間、又は3時間等が採用できる。例えば、単位時間として30分が採用された場合、電力量予測部202は、現時点から所定時間先までの使用可能電力量を30分毎に算出する。より詳細には、現時点が0:00であり、所定時間が24時間であるとすると、電力量予測部202は、0:00から0:30分の使用可能電力量、0:30から1:00までの使用可能電力量、1:00から1:30までの使用可能電力量というようにして24時間先までの使用可能電力量を30分毎に算出する。
【0079】
なお、ここでは、家屋500に太陽電池502及び燃料電池503等の自家発電装置が設置されている例を示したが、家屋500によっては自家発電装置が設置されていないこともある。この場合、電力量予測部202は、外部予測電力量のみを用いて使用可能電力量を算出すればよい。また、家屋500によっては太陽電池502及び燃料電池503のいずれか一方のみが設置されていることもある。この場合、電力量予測部202は、第1予測発電量又は第2予測発電量に外部予測電力量を加えることで使用可能電力量を算出すればよい。
【0080】
消費電力推定部203は、消費電力量情報保存部209に保存された消費電力量情報と、予約情報保存部207に保存されている予約情報とを用いて家屋500における単位時間毎の消費電力量の推定量である消費電力推定量を算出する。消費電力量情報は、予約運転の対象となる各電気機器504の消費電力量が予め登録された情報である。
【0081】
図10は、消費電力量情報のデータ構成の一例を示す図である。消費電力量情報には、機器機種及び消費電力量の項目が含まれる。機器機種の項目には、電気機器504の識別情報が登録されている。図10の例では、機器機種の項目には、図9に示す対象機器IDと同様、電気機器504の名称が登録されている。これにより、図10の機器機種の項目に登録された電気機器504と、図9の対象機器IDの項目に登録された電気機器504とは対応付けられている。但し、これは一例であり、機器機種の項目には、他の情報が登録されてもよく、例えば、図9に示す対象機器IDの項目に電気機器504の製造番号が登録されているのであれば、電気機器504の製造番号が登録されもよい。
【0082】
図10の例では、機器機種の項目には、エアコン1、エアコン2、洗濯機1、電気ポット1、お風呂給湯器、炊飯器、及び電子レンジが登録されている。これは、これらの電気機器が予約可能な電気機器504であるからである。但し、これは一例にすぎず、テレビまたは床暖房機器等の他の電気機器504が図10に登録されていてもよい。
【0083】
消費電力量の項目には、電気機器504の消費電力が登録されている。例えば、機器機種がエアコン1の電気機器504であれば、エアコン1の設定温度を28度に設定したときの消費電力量として90W、エアコン1の設定温度を変化させる際にエアコン1で消費される消費電力量として50W、及びエアコン1の風量を変化させる際にエアコン1で消費される消費電力量として20Wが登録されている。
【0084】
なお、図10のエアコン1の消費電力量の項目には、設定温度が28度であるときの消費電力量のみが登録されているが、設定温度別の消費電力量が登録されてもよい。また、エアコン1の消費電力量の項目には、3種類の消費電力量が登録されているが、他の種類の消費電力量、例えば、運転モードを切り替える際にエアコン1で消費される消費電力量が登録されていてもよい。また、消費電力量情報はユーザ毎に設けられてもよいし、1つだけ設けられてもよい。消費電力量情報を1つとする場合、機器機種の項目には例えば電気機器の型番を登録すればよい。この場合、図9に示す予約情報の対象機器IDの項目には電気機器504の製造番号を登録すればよい。なお、製造番号には型番を特定する情報が含まれているため、製造番号から型番を特定でき、図9の対象機器IDと図10の機器機種との対応付けが可能である。
【0085】
ここで、消費電力推定部203は、予約運転される全ての電気機器504の消費電力量の単位時間毎の総和である予約運転電力量を予約情報及び消費電力情報を用いて算出し、算出した予約運転電力量に、ベース電力量保存部208に保存されているベース電力量を加えることで消費電力推定量を算出する。ベース電力量は、家屋500においてユーザの留守時及び深夜時間帯に消費される電力量から算出された単位時間毎の電力量の時間的推移を示す。例えば、冷蔵庫や常時点灯される照明機器は、予約対象となる電気機器504のオンオフを問わず常時電力を消費する。このような電気機器の消費電力量を考慮したのがベース電力量である。ベース電力量保存部208は、各ユーザのベース電力量をユーザIDと対応付けて個別に保存している。
【0086】
変更案生成部204は、消費電力推定量が使用可能電力量を超える超過単位時間を特定し、超過単位時間において、消費電力推定量が使用可能電力量以下になるように、予約情報が示す予約内容が変更された予約内容変更案を生成する。ここで、変更案生成部204は、予約運転の対象となる電気機器504のそれぞれにつき、予約内容が変更される際の優先度が予め規定された優先度情報を優先度情報保存部210から読み出す。そして、変更案生成部204は、超過単位時間において、予約運転を停止させる電気機器504を、消費電力推定量が使用可能電力量以下になるまで優先度の高い順に抽出していくことで、予約内容変更案を生成すればよい。
【0087】
図11は、優先度情報のデータ構成の一例を示す図である。優先度情報には、機器機種、優先度、及び次善策の項目が含まれる。機器機種は、図10に示す機器機種と同じである。優先度の項目には、同一レコードに登録された電気機器504の予約内容が変更される際の優先度が登録されている。図11の例では、A、Bの2種類の優先度が登録されており、優先度Aの方が優先度Bよりも優先度が高い。したがって、まず、優先度Aの電気機器504について予約内容の変更が検討され、それでも消費電力推定量が使用可能電力量以下にならなければ、優先度Bの電気機器504について予約内容の変更が検討される。
【0088】
なお、図11では、優先度として、A、Bの2種類の優先度が示されたが、これは一例であり、優先度は、C、D、E、・・・というように3種類以上の優先度が規定されてもよい。また、A及びBで示される優先度を第1優先度とすると、第1優先度を同一とする電気機器504における優先度を示す第2優先度が規定されてもよい。例えば、図11では、優先度Aの電気機器としてエアコン2、洗濯機1、電気ポット1、お風呂給湯器、及び電子レンジが登録されているが、この順に第2優先度として、A1>A2>A3>A4>A5が規定されてもよい。また、第1優先度がBの電気機器504についても第1優先度がAの電気機器504と同様に第2優先度が規定されてもよい。この場合、変更案生成部204は、まず、A1、A2、・・・の順で予約内容の変更対象の電気機器504を抽出していき、次に、B1、B2、・・・の順で予約内容の変更対象の電気機器504を抽出していけばよい。
【0089】
次善策の項目には、予約された電気機器504の予約内容を変更する際に電気機器504の予約を中止する以外の次善策があるか否かを示す情報及び次善策の内容に関する情報が登録されている。ここでは、次善策の項目には「ピーク回避前倒し運転」及び「中止」が登録されている。
【0090】
次善策の項目に「中止」が登録されている電気機器504は、予約を中止する以外に予約内容を変更することができない電気機器504であり、次善策のない電気機器504である。
【0091】
次善策の項目に「ピーク回避前倒し運転」が登録されている電気機器504は、次善策がある電気機器504であり、次善策として、超過単位時間を避けるように運転時間帯が前倒し可能な電気機器504である。
【0092】
なお、図11では、次善策の項目には、次善策として「ピーク回避前倒し運転」以外にも、「ピーク回避後倒し運転」が登録されてもよい。この場合、この内容が登録された電気機器504は、超過単位時間を避けるように運転時間帯が後にずらされる。
【0093】
優先度情報は、例えば、ユーザが携帯端末400に入力した情報にしたがって電力監視装置100が予め生成して、予約情報保存部207に保存したものである。したがって、優先度や次善策はユーザが任意に指定したものである。また、優先度情報は、例えば、ユーザ毎に存在し、ユーザIDと対応付けられている。
【0094】
図2に戻り、変更案提示部205は、変更案生成部204により生成された予約内容変更案を携帯端末400に通信部211を介して送信し、予約内容変更案をユーザに提示する。予約内容変更案を受信した携帯端末400は、予約内容変更案を表示部に表示し、予約内容変更案に対して同意するか否かを示すユーザによる回答の入力を受け付け、回答を示す回答通知を電力監視装置100に送信する。変更案提示部205は、通信部211を介してこの回答通知を取得すると、取得した回答通知が予約内容変更案への同意を示す回答通知であるか否かを判定する。
【0095】
制御実行部206は、回答通知が同意を示せば、予約内容変更案で予約情報保存部207に保存されている予約情報を更新する。一方、制御実行部206は、回答通知が同意を示さなければ、予約情報を更新しない。そして、制御実行部206は、予約情報保存部207に保存されている予約情報が示す予約スケジュールにしたがって予約されている電気機器504を運転させる。例えば、予約スケジュールにおいて15:00にエアコンの運転開始がスケジューリングされていたとすると、制御実行部206は、15:00になると、通信部211を介してエアコンの運転を開始するための制御コマンドを、該当するユーザの家屋500のホームゲートウェイ501に送信する。この制御コマンドを受信したホームゲートウェイ501は、制御コマンドをエアコンに送信し、エアコンを運転させる。
【0096】
図2において、予約受付部201、電力量予測部202、消費電力推定部203、変更案生成部204、変更案提示部205、及び制御実行部206は、例えば、コンピュータを電力監視装置100として機能させるコンピュータ読み取り可能な電力監視プログラムを、コンピュータのプロセッサが実行することで実現される。また、予約情報保存部207、ベース電力量保存部208、消費電力量情報保存部209、及び優先度情報保存部210は、例えば、不揮発性の記憶装置により構成される。不揮発性の記憶装置は、例えば、メモリ、またはハードディスクなどであってもよい。メモリは、例えば、ROM(Read Only Memory)または、RAM(Random Access Memory)であってもよい。また、通信部211は、例えば、コンピュータをインターネットに接続させるためのモデム等の通信装置により構成される。
【0097】
通信装置は、例えば、コンピュータをインターネットに接続させる通信回路を含んでもよい。
【0098】
図3は、ユーザが電気機器504を予約する際の電力監視装置100及び携帯端末400間の処理の一例を示すシーケンス図である。まず、ユーザは携帯端末400を操作して、ユーザID及びパスワード(以下、「PW」と略す。)を入力する(S301)。ここで、ユーザID及びパスワードとしては、例えば、ユーザが電力監視装置100にユーザ登録する際に入力したユーザID及びパスワードが採用できる。
【0099】
そして、携帯端末400は、ネットワークNT1を介して入力されたユーザID及びPWを電力監視装置100に送信する(S302)。
【0100】
電力監視装置100の予約受付部201は、入力されたユーザID及びPWが予め登録されているユーザID及びPWと一致すれば(S303でYES)、ログインを許可する。一方、一致しなければ(S303でNO)、予約受付部201は、ログインを不許可にし、その旨を携帯端末400に送信する。
【0101】
ログインを許可すると、予約受付部201は、予約画面の描画データを携帯端末400に送信する(S304)。ここで、描画データとしては、例えば、HTML、XML、Javascript(登録商標)等の言語で記述されたデータが採用される。
【0102】
予約画面の描画データを受信した携帯端末400は、予約画面を表示部に表示させ、ユーザに電気機器504の予約を促す。そして、この予約画面にしたがってユーザにより予約内容が入力されると(S305)、携帯端末400は、入力された予約内容を示す予約情報を電力監視装置100に送信する(S306)。
【0103】
電力監視装置100の予約受付部201は、通信部211を介して携帯端末400から送信された予約情報を取得し、予約情報保存部207に保存する。これにより、例えば、図9に示すような予約情報が予約情報保存部207に保存される。
【0104】
図4は、予約内容変更案を生成する際の電力監視装置100及び携帯端末400間の処理の一例を示すシーケンス図である。なお、図4に示す処理は、例えば、定期的に実行されることに加えて、ユーザが図3の処理で示される予約を行った後にも実行される。ここで、図4の処理が定期的に実行される際の実行間隔としては、例えば、単位時間と同じ時間が採用されてもよいし、単位時間とは関係なく、30分、1時間、2時間等の所定の時間が採用されてもよい。また、図4の処理が定期的に実行される場合、電力監視装置100にユーザ登録されている全ユーザの各々に対して図4の処理が実行される。また、ユーザが図3の処理で示される予約を行った後に図4の処理が実行される場合、予約を行ったユーザに対してのみ図4の処理が実行される。
【0105】
まず、電力監視装置100の電力量予測部202は、電力会社サーバ200及び天気情報提供サーバ300にアクセスして電力供給情報及び電気情報を取得すると共に、太陽電池502及び燃料電池503のそれぞれから状態情報を取得する(S401)。
【0106】
次に、電力量予測部202は、使用可能電力量の算出処理を行う(S402)。次に、消費電力推定部203は、消費電力推定量の算出処理を行う(S403)。次に、変更案生成部204は、予約内容の変更の有無の判定処理を行う(S404)。次に、変更案提示部205は、予約内容変更案を示す情報を通信部211及びネットワークNT1を介して携帯端末400に送信する(S405)。そして、携帯端末400は、送信された予約内容変更案をユーザに提示する(S421)。ここで、予約内容変更案を示す情報は、例えば、HTML、XML等の言語で記述されたデータである。携帯端末400は、予約内容変更案を示す情報を通信部で受信すると、予約内容変更案が示された回答画面を表示部に表示する。
【0107】
この場合、例えば、図17に示す回答画面が表示される。図17は、回答画面の一例を示す図である。回答画面には、第1予約内容変更案が表示される第1表示欄1701と、第2予約内容変更案が表示される第2表示欄1702と、「同意しない」との文言が表示された第3表示欄1703とが含まれている。
【0108】
第1予約内容変更案は、予約内容の変更対象として抽出された電気機器504の予約を全て中止させる予約内容変更案である。図17の例では、第1表示欄1701には、エアコン2、洗濯機1、エアコン1が予約内容の変更対象の電気機器504として抽出されており、これらの電気機器504の予約を全て中止する案が示されている。
【0109】
第2予約内容変更案は、予約内容の変更対象として抽出された電気機器504のうち、優先度情報で予約運転の時間帯の変更が許可されている電気機器504については予約運転の時間帯を変更し、許可されていない電気機器504については予約運転を中止する予約内容変更案である。つまり、第2予約内容変更案は、優先度情報において、次善策が登録されている電気機器504については、登録された次善策にしたがって予約内容が変更された予約内容変更案である。
【0110】
図17の例では、第2表示欄1702には、洗濯機1、エアコン1が予約内容の変更対象の電気機器504として抽出されており、ユーザが予約した時間帯よりも、これらの電気機器504の予約運転の時間帯が前倒しされた案が示されている。
【0111】
第1〜第3表示欄1701〜1703の例えば左側には、第1〜第3表示欄1701〜1703に対応する3つのチェックボックス1704が表示されている。例えば、第1予約内容変更案を選択する場合、ユーザは第1表示欄1701に対応する1行目のチェックボックス1704にチェックマークを入力する。また、第2予約内容変更案を選択する場合、ユーザは第2表示欄1702に対応する2行目のチェックボックス1704にチェックマークを入力する。また、第1、第2予約内容変更案のいずれにも同意しない場合、ユーザは、第3表示欄1703に対応する3行目のチェックボックス1704にチェックマークを入力する。
【0112】
そして、チェックマークの入力後に送信ボタン1705の選択がユーザにより入力されると、携帯端末400は、ユーザにより選択された案(チェックマークが入力されたチェックボックスに対応する表示欄の内容)をユーザによる回答として受け付け(S422)、回答を示す回答通知を電力監視装置100に送信する。回答通知は通信部211で受信されると、変更案提示部205に渡される。回答を示す情報を取得した変更案提示部205は、ユーザの回答が第1予約内容変更案又は第2予約内容変更案の選択を示せば、ユーザは予約内容変更案に同意したと判定する(S406でYES)。そして、制御実行部206は、変更案提示部205による判定結果にしたがって予約情報保存部207に保存されている該当するユーザの予約情報を更新する(S407)。この場合、ユーザが第1予約内容変更案を選択したのであれば、変更案提示部205は、第1予約内容変更案で予約情報を更新し、ユーザが第2予約内容変更案を選択したのであれば、変更案提示部205は、第2予約内容変更案で予約情報を更新し、処理を終了する。
【0113】
一方、変更案提示部205は、ユーザの回答が同意しない旨の選択を示せば、ユーザは予約内容変更案に同意しないと判定し(S406でNO)、予約情報を変更することなく、処理を終了する。
【0114】
そして、制御実行部206は、予約情報保存部207から更新された予約情報又は更新されなかった予約情報を読み出し、予約情報に規定された予約スケジュールに従って電気機器504に制御コマンドを送信し、電気機器504に制御指示を行う。図9の例では、エアコン1は、予約対象時間の項目に「2013年9月5日の14:00開始」と登録され、予約内容の項目に「冷房、温度:28度、風量:自動、風向:自動」と登録されている。したがって、制御実行部206は、2013年9月5日の14:00になると、予約内容の項目に登録された予約内容でエアコン1の運転を開始させるための制御コマンドを生成し、通信部211を介してエアコン1に送信する。この制御コマンドには、該当するユーザの家屋500のホームゲートウェイ501の通信アドレスとエアコン1の対象機器IDとが含まれている。したがって、この制御コマンドは該当するユーザの家屋500のホームゲートウェイ501を介してエアコン1に送信される。そして、エアコン1はこの制御コマンドを受信して運転を開始する。
【0115】
図5は、図4に示す使用可能電力量の算出処理の一例を示すフローチャートである。まず、電力量予測部202は、S401で取得した太陽電池502の状態情報及び天気情報提供サーバ300から取得した天気情報を用いて太陽電池502による単位時間毎の予測発電量を示す第1予測発電量を算出する(S501)。
【0116】
例えば、電力量予測部202は、天気情報から単位時間毎の気象状態を抽出し、現時点の気象状態を基準としたときの各単位時間の気象状態の変化を求め、求めた変化に応じた発電係数Kを算出し、算出した発電係数Kを、状態情報が示す太陽電池の現在の発電量に乗じることで、第1予測発電量を算出すればよい。
【0117】
ここで、気象状態は、例えば、天気情報が示す天気及び気温のパラメータによって規定される情報である。この場合、発電係数Kは、例えば、デフォルト値をK0、天気の変動係数をα、温度の変動係数をβとすると、K=K0・α・βで表される。ここで、K0は、例えば1である。
【0118】
天気の種類として、例えば、「晴れ」、「曇り」、「雨」があり、それぞれの天気の状態値であるuを、例えば、「3」、「2」、「1」と定義する。現時点の天気の状態値をu(T0)、ある単位時間T1における天気の状態値をu(T1)とすると、天気の状態値の差分Δuは、Δu=u(T1)−u(T0)で表される。この場合、単位時間T1における天気の変動係数αは例えば以下のように算出される。
【0119】
「Δu=0のとき、α=1」、「Δu=+1のとき、α=1+α1(但し、0<α1<1)」、「Δu=+2のとき、α=1+α2(但し、α2>α1、且つ、0<α2<1)」、「Δu=−1のとき、α=1−α1」、「Δu=−2のとき、α1=1−α2」
また、現時点での気温をt(T0)、単位時間T1における気温をt(T1)とし、単位時間T1における気温の差分を、Δt=t(T1)−t(T0)とすると、温度の変動係数βは、例えば、以下のように算出される。
【0120】
「Δt=0のとき、β=1」、「Δt>0のとき、β=1+β1」、「Δt<0のとき、β=1−β1」
但し、β1はΔtの絶対値が増大するにつれて増大する予め定められた値を持ち、0<β1<1を満たす。
【0121】
そして、電力量予測部202は、上記の手法を用いて算出した発電係数Kを太陽電池502の現在の発電量に乗じて、単位時間毎の第1予測発電量を求める。
【0122】
なお、第1予測発電量の上記の算出手法は一例にすぎない。すなわち、電力量予測部202は、現時点の気象状態に対して、算出対象となる単位時間における気象状態が太陽光の光量が増大することを示せば、現時点の発電量を光量の増大を見越して上方修正し、算出対象となる単位時間における気象状態が太陽光の光量が減少することを示せば、現時点の発電量を光量の減少を見越して下方修正すればよい。
【0123】
S502において、電力量予測部202は、S401で取得した燃料電池503の状態情報を用いて燃料電池503の単位時間毎の予測発電量を示す第2予測発電量を算出する。ここで、燃料電池503の状態情報には、例えば、燃料電池503が、現在、発電中であるか否かを示す情報、及び燃料電池503が発電中である場合の発電量を示す情報が含まれる。また、燃料電池503は気象条件に応じて発電量は変動しないと考えられる。そこで、電力量予測部202は、状態情報が発電中を示せば、単位時間毎の発電量は現在の発電量と同じであるとして、第2予測発電量を求めればよい。一方、電力量予測部202は、状態情報が発電中でないことを示せば、単位時間毎の発電量は0であるとして、第2予測発電量を求めればよい。
【0124】
S503において、電力量予測部202は、電力会社サーバ200から電力供給情報を取得し、取得した電力供給情報を用いて電力会社から供給される単位時間毎の予測電力量である外部予測電力量を算出する。ここで、電力供給情報には、例えば、電力会社が単位時間毎に供給可能な電力量を示す供給可能電力量及び使用が見込まれる電力使用率が含まれており、供給可能電力量及び電力使用率の時間的推移が示されている。そこで、電力量予測部202は、供給可能電力量及び電力使用率と各家屋500が使用可能な外部予測電力量との対応関係が予め算出されたテーブルを用いて外部予測電力量を算出すればよい。この場合、例えば、供給可能電力量が増大するにつれて外部予測電力量が増大すると共に、電力使用率が増大するにつれて外部予測電力量が減少するような対応関係をテーブルに登録しておけばよい。
【0125】
或いは、電力量予測部202は、該当する家屋500が電力会社と契約している契約電流も考慮に入れて、外部予測電力量を算出してもよい。この場合、電力量予測部202は、供給可能電力量と、電力使用率と、契約電流と外部予測電力量との対応関係が予め算出されたテーブルを用いて、外部予測電力量を算出すればよい。この場合、例えば、供給可能電力量及び契約電流が増大するにつれて外部予測電力量が増大すると共に、電力使用率が増大するにつれて外部予測電力量が減少するような対応関係をテーブルに登録しておけばよい。
【0126】
S504において、電力量予測部202は、第1予測発電量と第2予測発電量と外部予測電力量とを単位時間毎に加算することで使用可能電力量を算出する。例えば、単位時間T1において、第1予測発電量、第2予測発電量、及び外部予測電力量がそれぞれW1(T1)、W2(T1)、W3(T1)であるとすると、単位時間T1の使用可能電力量は、W1(T1)+W2(T1)+W3(T1)により算出され、単位時間T2において、第1予測発電量、第2予測発電量、及び外部予測電力量がそれぞれW1(T2)、W2(T2)、W3(T2)であるとすると、単位時間T2の使用可能電力量は、W1(T2)+W2(T2)+W3(T2)により算出される。
【0127】
図6は、図4に示す消費電力推定量の算出処理の一例を示すフローチャートである。まず、消費電力推定部203は、該当するユーザの予約情報を予約情報保存部207から取得する(S601)。次に、消費電力推定部203は、予約情報において運転が予約されている電気機器504を抽出する(S602)。例えば、予約情報において、エアコン1、洗濯機1、及び電気ポット1の運転が予約されていれば、エアコン1、洗濯機1、及び電気ポット1が抽出される。
【0128】
次に、消費電力推定部203は、S602で抽出した電気機器504のそれぞれの消費電力量を消費電力量情報保存部209に保存されている消費電力量情報から取得する。例えば、S602で、エアコン1、洗濯機1、及び電気ポット1を抽出したとすると、消費電力推定部203は、図10に示す消費電力量情報を参照して、エアコン1、洗濯機1、及び電気ポット1のそれぞれの消費電力量を取得する。
【0129】
次に、消費電力推定部203は、単位時間毎に予約されている電気機器504の消費電力量を加算し、単位時間毎の消費電力量の総和である予約運転電力量を算出する(S604)。例えば、単位時間が30分であり、予約情報において、15:00〜15:30にエアコン1及び洗濯機1の運転が予約されており、エアコン1の設定温度が28度であり、洗濯機1が洗濯運転を行う場合、この単位時間における予約運転電力量は、図10の例では、90+445により算出される。また、予約情報において、15:30〜16:00にエアコン1、洗濯機1、及び電気ポット1の運転が予約されており、エアコン1の設定温度が28度であり、洗濯機1が乾燥運転を行い、電気ポット1が沸騰運転を行う場合、この単位時間における予約運転電力量は、図10の例では、90+1150+1100により算出される。他の単位時間についても、同様にして、予約されている電気機器504の消費電力量の総和である予約運転電力量が算出される。
【0130】
次に、消費電力推定部203は、ベース電力量保存部208から該当するユーザの家屋500のベース電力量を取得する(S605)。ここで、消費電力推定部203は、例えば、ユーザの留守時や深夜時間帯における消費電力量の時間的推移の履歴をメモリに保存しておき、その履歴が示す消費電力量を単位時間毎に平均することでベース電力量を予め算出し、ベース電力量保存部208に保存させておけばよい。ここでは、ベース電力量には、0:00〜0:30におけるベース電力量、0:30〜1:00におけるベース電力量、・・・、23:30〜24:00におけるベース電力量というように、1日における単位時間毎のベース電力量が含まれている。
【0131】
次に、消費電力推定部203は、S604で算出した予約運転電力量とS605で算出したベース電力量とを単位時間毎に加算して消費電力推定量を算出する(S606)。
【0132】
図7は、図4に示す予約内容の変更の有無の判定処理の一例を示すフローチャートである。まず、変更案生成部204は、各単位時間において、消費電力推定量から使用可能電力量を減じ、抑制電力量を算出する(S701)。
【0133】
次に、変更案生成部204は、抑制電力量が0より大きい単位時間が1つでも存在すれば、超過単位時間があると判定し(S702でYES)、処理をS703に進め、抑制電力量が0より大きい単位時間が全く存在しなければ、超過単位時間がないと判定し(S702でNO)、処理を終了する。なお、S702でNOと判定された場合、予約内容変更案を生成する必要がないため、図4に示す処理も終了される。
【0134】
S703において、変更案生成部204は、優先度情報保存部210から優先度情報を取得する。次に、変更案生成部204は、予約内容変更案の生成処理を実行する(S704)。
【0135】
図8は、予約内容変更案の生成処理の一例を示すフローチャートである。まず、変更案生成部204は、優先度nを、優先度の最大値であるAに設定する(S801)。
【0136】
次に、変更案生成部204は、超過単位時間において、優先度nの電気機器504を抽出する(S802)。図18は、ある超過単位時間CT1において、優先度Aの電気機器504の消費電力量の総和W_Aが、抑制電力量Pより大きい場合の、総和W_Aと抑制電力量Pとの関係を示した模式図である。図18の例では、ある超過単位時間CT1において、電気機器(A−1)、(A−2)、(A−3)の電気機器504が予約されている。そのため、S802では、電気機器(A−1)、(A−2)、(A−3)が抽出される。
【0137】
次に、変更案生成部204は、S802で抽出した優先度nの電気機器504のそれぞれの消費電力量を図10に示す消費電力量情報から抽出し、抽出した消費電力量の超過単位時間毎の総和を算出する(S803)。図18の例では、消費電力量情報において、電気機器(A−1)、(A−2)、(A−3)の消費電力量が、それぞれ、W(A−1)、W(A−2)、W(A−3)と規定されているため、総和W_AはW_A=W(A−1)+W(A−2)+W(A−3)により算出される。ここで、超過単位時間CT1において抽出された優先度Aの消費電力量の総和が第1総和の一例に相当する。
【0138】
次に、変更案生成部204は、S803で算出した総和が抑制電力量を超えていれば(S804でYES)、総和から抑制電力量を減じ、超過単位時間における余地量を算出する(S805)。図18の例では、総和W_Aが抑制電力量Pを超えているため(W_A>P)、余地量Rは、R=W_A−Pにより算出される。
【0139】
一方、変更案生成部204は、S803で算出した総和が抑制電力量以下であれば(S804でNO)、処理をS810に進める。図19は、ある超過単位時間CT1において、優先度Aの電気機器504の消費電力量の総和W_Aが抑制電力量P以下の場合の、総和W_Aと抑制電力量Pとの関係を示した模式図である。図19の例では、総和W_Aが抑制電力量Pより小さいため、S804でNOと判定される。
【0140】
S806において、変更案生成部204は、超過単位時間において、抽出した優先度nの電気機器504の中から使用可能電気機器を抽出する。ここで、変更案生成部204は、例えば、抽出した優先度nの電気機器504のうち、消費電力量が余地量より小さな1以上の電気機器504を使用可能電気機器として抽出する。ここで、使用可能電気機器とは予約内容の変更対象とはならない電気機器504を指す。
【0141】
図18の例において、まず、変更案生成部204は、電気機器(A−1)、(A−2)、(A−3)の中から消費電力量が余地量Rより小さい電気機器504を抽出する。例えば、電気機器(A−1)、(A−2)の消費電力量W(A−1)、W(A−2)がそれぞれ、余地量Rよりも小さかったとすると、電気機器(A−1)、(A−2)が抽出される。
【0142】
そして、変更案生成部204は、抽出した電気機器504の中から、消費電力量の総和が余地量R以下であって、最大となる1以上の電気機器504を抽出し、抽出した電気機器504を使用可能電気機器として決定する。例えば、図18の例において、W(A−1)+W(A−2)が余地量Rより小さければ、電気機器(A−1)、(A−2)が使用可能電気機器として決定され、W(A−1)+W(A−2)が余地量R以上であれば、W(A−1)、W(A−2)の大きい方の電気機器504が使用可能電気機器として決定される。
【0143】
なお、ここでは、消費電力量の総和が余地量R以下であって、消費電力量の総和が最大となる1以上の電気機器504を抽出するとしたが、これに限定されず、消費電力量の総和が余地量R以下であって、所定順位(例えば2位)までの電気機器504の組み合わせを抽出し、組み合わせ毎に使用可能電気機器を決定してもよい。
【0144】
次に、変更案生成部204は、優先度nの電気機器504の中から使用可能電気機器の補集合を変更対象電気機器として決定する(S807)。ここで、変更対象電気機器とは、予約内容の変更対象となる電気機器504を指す。図18の例において、電気機器(A−1)、(A−2)が使用可能電気機器として決定されたとすると、電気機器(A−3)が変更対象電気機器として決定される。また、図18の例において、電気機器(A−1)が使用可能電気機器として決定されたとすると、電気機器(A−2)、(A−3)が変更対象電気機器として決定される。
【0145】
なお、組み合わせ毎に使用可能電気機器を決定する態様が採用された場合、組み合わせ毎に変更対象電気機器が決定されればよい。
【0146】
このように、優先度Aの電気機器504のうち、消費電力量の総和が余地量Rを超えない電気機器504が使用可能電気機器として抽出されている。そのため、使用可能電気機器の補集合である変更対象電気機器の消費電力量の総和は抑制電力量Pより大きくなり、超過単位時間CT1を避けるように変更対象電気機器の予約内容を変更する或いは予約を中止することで、超過単位時間CT1における抑制電力量を0にすることができる。
【0147】
次に、変更案生成部204は、抽出した変更対象電気機器についての次善策の検討処理を行う(S808)。ここで、変更案生成部204は、変更対象電気機器のうち、優先度情報(図11)の次善策の項目において次善策が登録されている電気機器504については次善策を検討し、中止が登録されている電気機器504については次善策を検討せずに予約を中止する。
【0148】
例えば、変更対象電気機器が図11に示す洗濯機1であったとすると、次善策の項目に「ピーク回避前倒し運転」が登録されているため、超過単位時間の前の時間帯に洗濯機1が運転されるように予約内容が変更される。
【0149】
次に、変更案生成部204は、予約内容変更案を生成する(S809)。S809では、S804でYESと判定した場合、変更案生成部204は、S807で抽出した変更対象電気機器の予約を全て中止するに変更した案を第1予約内容変更案として生成し、S808での次善策の検討結果を用いて第2予約内容変更案を生成する。S804でNOと判定された場合のS809の処理については後述する。
【0150】
S804において、S803で単位時間毎に算出した優先度nの電気機器504の消費電力量の総和が抑制電力量以下の場合(S804でNO)、変更案生成部204は、優先度nの電気機器の全てを変更対象電気機器として抽出する(S810)。図19に示すように、超過単位時間CT1において、優先度Aの電気機器(A−1)、(A−2)、(A−3)の消費電力量の総和W_A(=W(A−1)+W(A−2)+W(A−3))が抑制電力量P以下の場合、電気機器(A−1)、(A−2)、(A−3)の全ての予約が中止されても、抑制電力量Pを0にできない。そこで、変更案生成部204は、抑制電力量Pをできる限り0に近づけるために、電気機器(A−1)、(A−2)、(A−3)の全てを変更対象電気機器として抽出している。
【0151】
次に、変更案生成部204は、S808と同様にしてS810で抽出した変更対象電気機器について次善策の検討処理を行う。
【0152】
次に、変更案生成部204は現在設定されている優先度nを1段階下げて、優先度nを更新する(S812)。例えば、優先度nがAに設定されていたとすると、優先度nはBに更新される。
【0153】
次に、優先度nが最小値N_minより小さければ(S813でYES)、処理がS809に進められ、優先度nが最小値N_min以上であれば(S813でNO)、処理がS814に進められる。ここで、優先度nとして、A、Bが定義されているとすると、最小値N_min=Bであるため、S812で優先度n=Cに設定されると、S813でYESと判定され、S812で優先度n=Bに設定されると、S813でNOと判定される。
【0154】
S814において、変更案生成部204は、抑制電力量を更新して処理をS802に戻し、S802以降の処理が行われる。図19の例では、現在の抑制電力量Pから優先度Aの電気機器(A−1)、(A−2)、(A−3)の消費電力量の総和W_Aを減じることで得られる抑制電力量P’が更新後の抑制電力量として算出される。そして、S804では、抑制電力量P’が優先度Bの電気機器504の消費電力量の総和と比較され、総和が抑制電力量P’より大きければ、S804でYESと判定され、優先度「B」の電気機器についてS805以降の処理が行われ、総和が抑制電力量P’以下であれば、S804でNOと判定され、優先度Bの電気機器504について、S810以降の処理が行われる。
【0155】
1回目のループにおいてS804でNOと判定され、2回目のループにおいてS804でYESと判定された場合のS809の処理について説明する。この場合、S810で変更対象電気機器として抽出された優先度Aの全ての電気機器504と、S807で変更対象電気機器として抽出された優先度Bの電気機器504との予約を中止する案が第1予約内容変更案として生成される。また、S811で検討された優先度Aの電気機器504に対する次善策の検討結果と、S808で検討された優先度Bの電気機器504に対する次善策の検討結果とを用いて第2予約内容変更案が生成される。
【0156】
次に、優先度A、Bが定義された場合であって、1回目のループにおいてS804でNOと判定され、2回目のループにおいてS804でNOと判定された場合のS809の処理について説明する。この場合、1回目のS810で変更対象電気機器として抽出された優先度Aの全ての電気機器504と2回目のS810で変更対象電気機器として抽出された優先度Bの全ての電気機器504との予約を中止する案が第1予約内容変更案として生成される。また、1回目のS811で検討された優先度Aの電気機器504に対する次善策の検討結果と、2回目のS811で検討された優先度Bの電気機器504に対する次善策の検討結果とを用いて第2予約内容変更案が生成される。
【0157】
次に、予約内容変更案の生成処理に具体例について説明する。図12は、予約情報の一例と、優先度情報の一例とを纏めた表である。図13は、超過単位時間と各超過単位時間における抑制電力量とを纏めた表である。以下、図12図13を用いて予約内容変更案の生成処理の具体例について説明する。図12において、対象機器ID及び予約対象時間の項目には、図9に示す予約情報の対象機器ID及び予約対象時間の項目に登録された情報が記載されている。また、図12において、消費電力量の項目には、図10に示す消費電力量情報の消費電力量の項目に登録された情報が記載されている。また、図12において、優先度及び次善策の項目には、図11に示す優先度情報の優先度及び次善策の項目に登録された情報が記載されている。
【0158】
図13に示すように、この具体例では、15:00〜15:30の単位時間、15:30〜16:00の単位時間、及び16:00〜16:30の単位時間の抑制電力量がそれぞれ、1800(W)、1000(W)、800(W)であり、抑制電力量が0より大きいため、これらの3つの単位時間が超過単位時間として抽出されている。
【0159】
図14は、15:00〜15:30の単位時間における予約内容変更案の生成処理の一例を示した図である。なお、図14において左側に示す「S」で始まる番号は図8の「S」で始まるステップ番号と対応している。このことは、図15図16についても同じである。
【0160】
15:00〜15:30の単位時間では、図12に示すように、予約されている優先度Aの電気機器504は、エアコン2及び洗濯機1である。そのため、S802では、エアコン2及び洗濯機1が抽出される。
【0161】
ここで、15:00〜15:30の単位時間において、洗濯機1は乾燥運転が行われる。これは、洗濯機1の予約内容が15:00から乾燥運転が開始されることになっているからである。そのため、S803では、S802で抽出された電気機器504の消費電力量の総和は、エアコン2の消費電力、乾燥運転時の洗濯機1の消費電力の和となる。つまり、S803では、S802で抽出された電気機器504の消費電力量の総和は、550+1150=1700(W)と算出される。
【0162】
S804では、消費電力量の総和である1700(W)が、15:00〜15:30の単位時間の抑制電力量である1800(W)より小さいため、S804でNOと判定され、処理がS810に進められる。
【0163】
S810(1回目)では、15:00〜15:30の単位時間において運転が予約されている優先度Aの全ての電気機器504であるエアコン2及び洗濯機1が変更対象電気機器として確定される。
【0164】
S811(1回目)では、エアコン2及び洗濯機1について次善策が検討される。図12に示すように、次善策の項目において、エアコン2は中止が登録され、洗濯機1はピーク回避前倒し運転が登録されている。そのため、次善策として、エアコン2の予約の中止と洗濯機1の前倒し運転とが検討される。この場合、洗濯機1について、超過単位時間の開始時刻である15:00までに乾燥が完了されるように、12:20に洗濯を開始する案と、エアコン2について、予約を中止する案とが次善策として決定される。
【0165】
次に、エアコン2及び洗濯機1の消費電力量の総和である1700(W)が、抑制電力量である1800(W)から減じられ、抑制電力量が更新される。この場合、抑制電力量は、1800−1700=100(W)に更新される。
【0166】
次に、15:00〜15:30の単位時間において、予約されている優先度Bの電気機器504の消費電力量の総和が算出される。ここでは、エアコン1が抽出されるため、優先度Bの消費電力量の総和は90(W)となる。ここで、総和である90(W)は抑制電力量である100(W)以下であるため、S804でNOと判定され、S810(2回目)が実行される。
【0167】
S810(2回目)では、15:00〜15:30の単位時間に予約されている優先度Bの電気機器504は、エアコン1であるため、エアコン1が変更対象電気機器として確定される。
【0168】
S811(2回目)では、エアコン1について次善策が検討される。図12に示すように、次善策の項目において、エアコン1はピーク回避前倒し運転が登録されている。そのため、次善策として、エアコン1の前倒し運転が検討される。この場合、エアコン1について、単位時間である30分だけ運転の開始時刻が前倒しされると共に、15:00〜15:30での運転を回避するために15:00に運転が一旦停止される案が次善策として決定される。
【0169】
なお、S811(1回目)、S811(2回目)においては、運転開始時刻が前倒しされた単位時間において、変更案生成部204は、消費電力推定量が使用可能電力量を超えるか否かを確認し、超えない場合、この前倒しされた案を次善策とすればよい。一方、変更案生成部204は、運転開始時刻が前倒しされた単位時間において、消費電力推定量が使用可能電力量を超える場合、消費電力推定量が使用可能電力量を超えなくなるまで、単位時間ずつ運転開始時刻を前倒する処理を繰り返していけばよい。そして、前倒し処理を繰り返しても、消費電力推定量が使用可能電力量を超えない単位時間を検出できなかった場合、変更案生成部204は、該当する電気機器について次善策はないと判定すればよい。
【0170】
S809では、S810(1、2回目)で抽出された変更対象電気機器の予約を中止する案が第1予約内容変更案として生成され、S811(1、2回目)で検討された次善策が第2予約内容変更案として生成され、両案を含む情報が予約内容変更案として生成される。
【0171】
図15は、15:30〜16:00の単位時間における予約内容変更案の生成処理の一例を示した図である。
【0172】
15:30〜16:00の単位時間では、図12に示すように、予約されている優先度Aの電気機器504はエアコン2、洗濯機1(乾燥時)、及び電気ポット1(沸騰時)である。そのため、S802では、エアコン2、洗濯機1、及び電気ポット1が抽出される。
【0173】
ここで、15:30〜16:00の単位時間において、洗濯機1は乾燥運転を行い、電気ポット1は沸騰運転を行う。そのため、S803では、S802で抽出された電気機器504の消費電力量の総和は、エアコン2の消費電力、乾燥運転時の洗濯機1の消費電力、沸騰運転時の電気ポット1の和となる。つまり、S803では、S802で抽出された電気機器504の消費電力量の総和は、550+1150+1100=2800(W)と算出される。
【0174】
S804では、消費電力量の総和である2800(W)が、15:30〜16:00の単位時間の抑制電力量である1000(W)より大きいため、S804でYESと判定され、処理がS805に進められる。
【0175】
S805では、消費電力量の総和である2800(W)から抑制電力量である1000(W)が減じられ余地量である1800(W)が算出される。
【0176】
S807では、まず、S802で抽出された電気機器504の中から、消費電力量が余地量である1800より小さい電気機器504が抽出される。ここでは、エアコン2、洗濯機1、及び電気ポット1のそれぞれの消費電力量が余地量より小さいため、これら3つの電気機器504が抽出される。次に、消費電力量の総和が余地量を超えない、エアコン2、洗濯機1、及び電気ポット1の組み合わせが抽出される。ここでは、エアコン2及び洗濯機1(乾燥時)の消費電力量の総和が550+1150=1700(W)であるため、エアコン2及び洗濯機1の組み合わせC1が使用可能電気機器として抽出されると共に、エアコン2及び電気ポット1(沸騰時)の消費電力量の総和が550+1100=1650(W)であるため、エアコン2及び電気ポット1の組み合わせC2が使用可能電気機器として抽出される。次に、S802で抽出された電気機器504の中から、組み合わせC1の補集合である電気ポット1が組み合わせC1の変更対象電気機器として抽出され、組み合わせC2の補集合である洗濯機1が組み合わせC2の変更対象電気機器として抽出される。
【0177】
S808では、組み合わせC1の変更対象電気機器である電気ポット1の次善策と、組み合わせC2の変更対象電気機器である洗濯機1の次善策が個別に検討される。
【0178】
図12に示すように、次善策の項目において、洗濯機1はピーク回避前倒し運転が登録されている。そのため、第1次善策として洗濯機1の前倒し運転が検討される。この場合、洗濯機1について、超過単位時間の開始時刻である15:00までに乾燥が完了されるように12:20に洗濯を開始する案が第1次善策として決定される。
【0179】
また、電気ポット1は、次善策の項目においてピーク回避前倒し運転が登録されている。そのため、第2次善策として電気ポット1の前倒し運転が検討される。この場合、電気ポット1について、超過単位時間の開始時刻である15:00に沸騰運転が完了されるように14:45に運転を開始する案が第2次善策として決定される。
【0180】
S809では、S807で抽出された電気ポット1の予約を中止する案と洗濯機1の予約を中止する案とが第1予約内容変更案として生成される。また、S809では、S808で決定された第1次善策と第2次善策とが第2予約変更内容変更案として生成される。
【0181】
図16は、16:00〜16:30の単位時間における予約内容変更案の生成処理の一例を示した図である。
【0182】
16:00〜16:30の単位時間では、図12に示すように、予約されている優先度Aの電気機器504はエアコン2、洗濯機1(乾燥時)、電気ポット1(保温時)およびお風呂給湯器(加熱時)である。そのため、S802では、エアコン2、洗濯機1、電気ポット1、及びお風呂給湯器が抽出される。
【0183】
ここで、16:00〜16:30の単位時間において、エアコン2の温度は28度に設定され、洗濯機1は乾燥運転を行い、電気ポット1は保温運転を行い、お風呂給湯器は加熱運転を行う。そのため、S803では、S802で抽出された電気機器504の消費電力量の総和は、エアコン2の消費電力、乾燥運転時の洗濯機1の消費電力、保温運転時の電気ポット1の消費電力、加熱運転時のお風呂給湯器の消費電力の和となる。つまり、S803では、S802で抽出された電気機器504の消費電力量の総和は、550+1150+35+2000=3735(W)と算出される。
【0184】
S804では、消費電力量の総和である3735(W)が、16:00〜16:30の単位時間の抑制電力量である800(W)より大きいため、S804でYESと判定され、処理がS805に進められる。
【0185】
S805では、消費電力量の総和である3735(W)から抑制電力量である800(W)が減じられ余地量である2935(W)が算出される。
【0186】
S807では、まず、S802で抽出された電気機器504の中から、消費電力量が余地量である2935(W)より小さい電気機器504が抽出される。ここでは、エアコン2、洗濯機1、及び電気ポット1のそれぞれの消費電力量が余地量より小さいため、これら3つの電気機器504が抽出される。次に、消費電力量の総和が余地量を超えない、エアコン2、洗濯機1、及び電気ポット1の組み合わせが抽出される。ここでは、エアコン2、洗濯機1(乾燥時)、及び電気ポット1(保温時)の消費電力量の総和が550+1150+35=1735(W)であるため、エアコン2、洗濯機1、及び電気ポット1の組み合わせC1が使用可能電気機器として抽出されると共に、エアコン2、電気ポット1(保温時)、お風呂給湯器(加熱時)の消費電力量の総和が550+35+2000=2585(W)であるため、エアコン2、電気ポット1、及びお風呂給湯器の組み合わせC2が使用可能電気機器として抽出される。次に、S802で抽出された電気機器504の中から、組み合わせC1の補集合であるお風呂給湯器が組み合わせC1の変更対象電気機器として抽出され、組み合わせC2の補集合である洗濯機1が組み合わせC2の変更対象電気機器として抽出される。
【0187】
S808では、組み合わせC1の変更対象電気機器であるお風呂給湯器の次善策と、組み合わせC2の変更対象電気機器である洗濯機1の次善策が個別に検討される。
【0188】
図12に示すように、次善策の項目において、お風呂給湯器はピーク回避前倒し運転が登録されている。そのため、第1次善策としてお風呂給湯器の前倒し運転が検討される。この場合、お風呂給湯器について、超過単位時間の開始時刻である15:00までに加熱運転が完了されるように14:15に加熱を開始する案が第1次善策として決定される。
【0189】
また、洗濯機1は、次善策の項目においてピーク回避前倒し運転が登録されている。そのため、第2次善策として洗濯機1の前倒し運転が検討される。この場合、洗濯機1について、超過単位時間の開始時刻である15:00に乾燥運転が完了されるように12:20に運転を開始する案が第2次善策として決定される。
【0190】
S809では、S807で抽出されたお風呂給湯器の運転を停止する案と洗濯機1の運転を停止する案とが第1予約内容変更案として生成される。また、S809では、S808で決定された第1次善策と第2次善策とが第2予約変更内容変更案として生成される。
【0191】
このように、本実施の形態における電力監視システムでは、電気機器の運転が予約された時間帯において節電が必要か否かを事前に判断し、節電が必要な場合、そのことをユーザに事前に提示することができる。その結果、ユーザは事前に予約内容を変更することで、予約はしたものの実際に運転が開始されると電力不足により、予約した電気機器が運転されなくなる事態を回避できる。
【産業上の利用可能性】
【0192】
本開示の技術は、電気機器の運転が予約された時間帯において節電が必要か否かの判断が事前になされ、節電が必要である場合、その事実がユーザに提示されるため、クラウドサーバを用いてユーザの建物の電気機器の電力を監視する技術において有用である。
【符号の説明】
【0193】
100 電力監視装置
200 電力会社サーバ
201 予約受付部
202 電力量予測部
203 消費電力推定部
204 変更案生成部
205 変更案提示部
206 制御実行部
207 予約情報保存部
208 ベース電力量保存部
209 消費電力量情報保存部
210 優先度情報保存部
211 通信部
300 天気情報提供サーバ
400 携帯端末
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